JP2016082321A - 電気音響変換器 - Google Patents

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憲市 ▲吉▼永
憲市 ▲吉▼永
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野呂 正夫
Masao Noro
正夫 野呂
宗一 瀧川
Soichi Takigawa
宗一 瀧川
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Abstract

【課題】スピーカの取付面を傾斜させたり、後付の部品をスピーカユニットに取り付けたりすることなく、スピーカユニットだけで、特性の方向に指向特性を制御することができる電気音響変換器を提供する。【解決手段】振動体1と、振動体1の振動と該振動に対応する電気信号との変換を行う変換部2と、振動体1を振動方向に沿って移動可能に支持する支持部3とを備え、振動体1は、一対の縦割り筒状部の凸面5を三対有し、各対では凸面5の一方の側部どうしが谷部6を形成するとともに、各谷部6が放射状に配置されている。【選択図】 図1

Description

本発明は、凸面を振動させて音を再生するスピーカ又は音を収集するマイクロホンに好適な電気音響変換器に関する。
一般的なダイナミックスピーカは、振動板をボイスコイルモータで往復駆動するピストンモーションにより音を発するスピーカであり、低い周波数ではほぼ点音源として機能し、広い指向特性を有するが、振動板の口径と再生音の半波長がほぼ同等になる周波数以上の帯域では、指向性が鋭くなる。このため、高音域の再生には、小口径の振動板を使用した小型のスピーカが用いられる。
また、ダイナミックスピーカの動作原理と逆の動作原理を有するダイナミックマイクロホンでも、上記と同様のことが言える。即ち、広い指向性で高音域を収集するには、小口径の振動板を使用した小型のマイクロホンが用いられる。
これに対してリッフェル型スピーカは、一対の長方形の湾曲板により振動板が構成され、中高音域での指向性が広く、また、振動板の湾曲方向に沿う横方向に音が広がり、縦方向にはほとんど広がらないという特性を有するため、ラインアレイスピーカとして縦方向に連続させることにより、理想的な音空間を提供することができると考えられる。
このようなリッフェル型スピーカとして、従来、例えば特許文献1又は特許文献2に開示されたものがある。
特許文献1には、高分子樹脂フィルムの中央部分にボイスコイルとしての導電体パターンをプリント形成し、その中央部分を折り返し加工して接着することによって、導電体パターンを有する平板状の部分と、湾曲形状の第1,第2の振動部とを一体化して備える振動板が形成されており、この振動板の平板状の部分は磁気回路内の磁気ギャップ内に配置され、両振動部の先端は支持部材に固定された構造のスピーカが開示されている。
特許文献2には、振動板中央部が凹部を形成した状態で折り返され、その凹部内に、長円の環状に巻回された偏平なボイスコイルが配置され、そのボイスコイルを上下に離間した二つの磁気ギャップ内に配置した構造のスピーカが開示されている。このスピーカにおいても、振動板の外周部は、環状のフレーム上に固定されている。
特開2002−78079号公報 特開2007−174233号公報
しかしながら、この種のリッフェル型スピーカは、低音域での再生には適さないため、可聴帯域の全域を再生するためには、別途、低音域用のスピーカ(ウーハー)を用いたマルチスピーカシステムとする必要がある。
また、リッフェル型スピーカは、前述したように振動板の湾曲方向に沿う横方向に音が広がり、これと直交する縦方向にはほとんど広がらないという特性を有するため、配置との関係で指向性が特定の方向に決まってしまう。
スピーカの指向性を任意の方向に設定する場合には、スピーカの取付面を傾斜させることにより可能となるが、取付面に傾斜角度が必要となるため、全体の厚さが大きくなり、設置空間が大きくなる不具合がある。また、視覚的にも方向が認識されるため、外観のデザインにも制約を受ける。また、複数のスピーカを所望の方向に配置することで指向性を制御することも可能であるが、スピーカが複数必要でコストの増加を招くとともに、これら複数のスピーカを制御するための信号処理回路も必要であり、さらに設置面積も大きくなる。また、スピーカの前面にルーバーを設けて指向性を制御することも考えられるが、ルーバーが別部品として必要であるとともに、スピーカ全体の厚さが大きくなり、また、外観デザインも制約される。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、スピーカの取付面を傾斜させたり、後付の部品をスピーカユニットに取り付けたりすることなく、スピーカユニットだけで、特性の方向に指向特性を制御することができる電気音響変換器を提供することを目的とする。
本発明の電気音響変換器は、振動体と、前記振動体の振動と該振動に対応する電気信号との変換を行う変換部と、前記振動体を前記振動の方向に沿って移動可能に支持する支持部とを備え、前記振動体は、一対の縦割り筒状部の凸面を三対有し、各対では前記凸面の一方の側部どうしが谷部を形成し、前記谷部が放射状に配置されている。
この電気音響変換器は、縦割り筒状部の凸面が振動面となるので、本発明をスピーカに適用した場合、リッフェル型スピーカと同様に中高音域で広い指向性を有しており、しかも、変換部により振動させられる振動体は、その全体がピストンモーションするので、ダイナミックスピーカと同様に低音域においても高い音圧を有する。したがって、1本のスピーカユニットにより低音域から中高音域までの可聴帯域の全域で広い指向性で再生可能なフルレンジスピーカユニットを実現することができる。
また、この電気音響変換器においては、各対の凸面は、それぞれ、凸面の周方向には音が広がり、これと直交する方向にはほとんど広がらないという指向特性を有している。本発明では、三対の凸面の谷部を放射状に配置したので、法線方向に対して偏った指向特性を有し、聴取位置や各凸面の面積比率を適宜に設定することにより、所望の指向性に制御することができる。
本発明をマイクロホンに適用する場合も、縦割り筒状の凸面が振動面であり、その振動体の全体が一様に振動することにより、感度を維持しながら指向性が良好となり、低音域から高音域まで広い周波数帯域に亘って広い指向性で収音することができる。また、スピーカの場合と同様に、各凸面の面積比率等に応じて、所望の指向性に制御することができる。
本発明の電気音響変換器において、前記放射状に配置された各谷部が互いに等間隔で配置されていると、その放射の中心に対して点対称となるように各対の凸面が均等に配置され、その中心を通る法線方向(正面方向)の聴取位置では、各対の凸面の振動による音が均等に伝搬するが、法線方向からずれた位置では、円周方向のいずれの位置でも一様な音となるのではなく、特定の方向に偏って音が広がる。
一方、前記放射状に配置された各谷部が互いに等間隔ではない間隔で配置されていると、放射の中心に対して非対称となるように各対の凸面が配置され、それぞれの凸面の面積が異なることになり、その面積の比率に応じて正面方向から斜め方向にずれた指向性となり、正面方向以外の方向に音をサービスする。
本発明の電気音響変換器において、前記振動体は、前記各対の凸面を有する翼状部と、該翼状部の外周部を囲むように設けられ錐形状に延びるコーン部とを備え、前記翼状部は、前記コーン部の小径側端部と大径側端部との間に配置され、前記変換部は、前記凸面の谷部に固定されているものとしてもよい。
振動体が凸面の翼状部のみで形成される場合は、直線状の谷部が延びているので、外周縁が複雑な形状となり、支持部の構造も複雑になるが、凸面から円錐面状又は楕円錐面状等の錐形状に延在するコーン部を介在させることにより、支持部に円形リング状又は楕円形リング状の単純形状のものを用いることができ、安価に製造することが可能になる。
この場合、コーン部を翼状部の外周部だけでなく、コーン部の小径側端部と大径側端部との間に翼状部が配置されるように設けたことにより、支持部及び変換部の両方に通常のダイナミックスピーカ等と同様の構成のものを用いることが容易になり、より安価に製造することが可能である。
また、本発明の電気音響変換器において、前記翼状部は前記コーン部の表面に設けられるとよい。
翼状部以外は通常のダイナミックスピーカ等に用いられる部品を適用することができ、そのコーン部に翼状部を設けた単純構造であり、さらに安価に製造することができる。
この場合、前記コーン部に、該コーン部と前記翼状部との間の空間に開口する貫通孔が形成されているとよい。
コーン部と翼状部との間の空間が密閉されていると空洞共鳴の原因となるおそれがあり、また、振動板が2枚重なって存在することになるため、それぞれから放射される音が干渉して特性の乱れを生じるおそれがある。そこで、2重構造となっている部分のコーン部に貫通孔を形成することにより、コーン部と翼状部との間の空間を開放状態として空洞共鳴を防止するとともに、コーン部の面積を貫通孔により小さくして、振動板としての機能を低下させて干渉を抑えるようにしたものである。貫通孔は、コーン部が翼状部を支持し得る程度の強度を有する範囲内で1個又は複数個形成することができる。
また、本発明の電気音響変換器において、前記コーン部に、前記翼状部における各谷部の端部を収容する切欠部が形成されていてもよい。
翼状部の凸面において谷部はコーン部の小径側に配置されるため、単に円錐面状又は楕円錐面状等の錐形状のコーン部であると、翼状部の谷部の長さを小さくしないと配置できないが、コーン部の小径側部分に切欠部を形成して、その切欠部内に谷部の両端部を収容したことにより、谷部の長さを大きくすることができ、凸面としての放射面を広く確保することができる。
本発明の電気音響変換器において、前記翼状部と前記コーン部とは、前記翼状部の外周縁と前記コーン部の内周縁とが連続して一体成形されているとよい。
例えば、樹脂フィルムの真空成形等により、翼状部とコーン部とを一体に形成することができ、安定した品質のスピーカ又はマイクロホンを容易に製造することができる。
本発明の電気音響変換器をスピーカに適用した場合、このスピーカは、低音域においてはピストンモーションにより高い音圧を有し、中低音域においては縦割り筒状の凸面からの再生音の放射により広い指向性を有しており、1本のスピーカユニットにより低音域から中高音域までの広い範囲で広い指向性を有するフルレンジスピーカユニットを実現することができる。また、三対の凸面の谷部を放射状に配置したので、指向特性の主軸を法線方向から傾斜させ、法線方向以外の方向に音をサービスすることが可能で、所望の指向性に制御することができる。本発明の電気音響変換器をマイクロホンに適用した場合も、このマイクロホンは、低音域から高音域まで広い周波数帯域に亘って広い指向性で収音することができるとともに、所望の指向性に制御することができる。
本発明の第1実施形態のスピーカを示す分解斜視図である。 図1のスピーカの組立状態を示す斜視図である。 図2のスピーカの正面図である。 図3のA−A線に沿う矢視断面図である。 図3のB−B線に沿う矢視断面図である。 図2の半分を断面にした斜視図である。 第1実施形態の振動体の指向特性について振動体を180°旋回して測定した音圧レベル(dB)を示す図である。 本発明の第2実施形態における振動体の分解斜視図である。 図8の振動体の組立状態を示す斜視図である。 図9の振動体の正面図である。 図9の振動体の側面図である。 図10のC−C線に沿う矢視断面図である。 本発明の第3実施形態における振動体の分解斜視図である。 本発明の第4実施形態における振動体の分解斜視図である。 図14の振動体の組立状態を示す斜視図である。 本発明の第5実施形態における振動体の斜視図である。 第5実施形態の振動体の指向特性について振動体を180°旋回して測定した音圧レベル(dB)を示す図である。 本発明の第6実施形態における振動体の斜視図である。
以下、本発明の電気音響機器をスピーカに適用した実施形態について図面を参照して説明する。
図1〜図7は、本発明の第1実施形態のスピーカ(電気音響機器)を示す。
1.全体の構成
この実施形態のスピーカは、振動体1と、この振動体1を往復駆動するアクチュエータ(変換部)2と、これら振動体1及びアクチュエータ2を支持するための支持枠3と、振動体1を支持枠3に往復移動自在に支持するエッジ部4とを備えている。
なお、図2において、エッジ部4が設けられている側を上、アクチュエータ2が設けられている側を下とするように上下方向を設定し、この上下方向と直交し、後述するように放射状に配置される振動体1の谷部6のうちの一つの谷部6の延在方向をx方向、このx方向と直交する方向をy方向とする。このx方向及びy方向に対して、上下方向をz方向と称する場合もある。また、上方を向く面を表面、下方を向く面を裏面とする。表面を正面という場合もある。
2.各部の構成
(1)振動体の構成
振動体1は、図2及び図3等に示すように、翼状部7とこの翼状部7の外周部を囲むように円錐面状に延びるコーン部8とを備える。翼状部7は、三つの対の縦割り筒状部の凸面5を、各対がxy平面で互いに120°で交差するように配置させて、これらを合体した形状で構成される。各対においては、それぞれ、一対の凸面5が並列に形成されるとともに、隣接する凸面5の一方の側部どうしの間で谷部6を形成している。形成された三つの谷部6は、振動体1の中心から、互いに等間隔、即ち120°の間隔でxy平面上で放射状に配置されている。つまり、谷部6の放射状の中心と振動体1の中心とが同軸に配置される。
なお、上述の縦割り筒状部の凸面5とは、筒状部の湾曲した側面の一部を縦割りにして切り取った曲面のことである。また、上述の凸面5の側部とは、凸面5において、前記筒状部の面の湾曲する方向の側の部位のことである。合体した形状については、後段で詳述する。
これら凸面5は、必ずしも単一円弧面でなくてもよく、複数の曲率を連続させたもの、凸面5の周方向(横方向)に沿う断面が放物線形状やスプライン曲線など曲率が一定ないし連続的に変化するもの、角筒状面としたもの、階段状に複数の段差部を有する形状としたものなどを採用することができ、一方向(凸面5の周方向である横方向)に湾曲し、その一方向と直交する方向(凸面5の縦方向)へは直線状となっている。
また、均一な音響特性(周波数特性、指向特性)を得るために、図5に示すように、各対における二つの凸面5は、その谷部6の底部における各凸面5の接線L1,L2(一つの谷部6に直交する面に現れる凸面5の断面に接する線)の間の中心で谷部6に沿う平行な面Mを中心として、互いに面対称に形成することが好ましい。ただし、本発明においては、必ずしも面対称でなくてもよい。
図5に示す例では、各凸面5の横方向(周方向)の断面は、谷部6の底部から高さ方向の途中位置までは円弧状に形成され、高さ方向の途中位置から曲率半径を大きくしあるいはほぼ直線状に形成され、エッジ部4の方へ延びている。前者に対応する面を円弧面部5a、後者に対応する面を傾斜面部5bとする(図2、図6等参照)。
そして、各対の凸面5は、図4及び図5に示すように、その凸となる方向を同じ表面側に向けて並列に配置されるとともに、隣接する側部どうしが、凸面5の周方向に沿う断面における接線方向をほぼ平行にした状態で接合されている。その接合部13では、両凸面5がわずかに間隔をあけて接合されており、その接合部13における接線L1,L2が平行に配置される(図5参照)。この接合部13に沿って、両凸面5の間に、凸面5の縦方向に沿う直線状に谷部6が形成されている。
以上より、翼状部7は、上述した形状の凸面5が、三つの谷部6を介して互いに120°の等間隔で交差させて配置されることにより構成される。換言すれば、図3に示すように、表面側から視て(正面視で)120°で三叉路状に交差する三つの谷部6と、これら谷部6によって分割されて表面側に隆起する三つの隆起部11とで構成される。各隆起部11は、xy平面で谷部6に対して60°回転した位置に、隣接する対の各凸面5の他方の側部(即ち、谷部6を形成する凸面5の一方の側部に対する他方の側部)どうしが滑らかな曲面で連結されることで形成されている。ここで、傾斜面部5bどうし及び円弧面部5aどうしは、滑らかな曲面である山部12で連結された形状で形成される。従って、翼状部7には三つの隆起部11により、三つの山部12がそれぞれ形成されている。
なお、谷部6の交差部9には、三つの隆起部11の角部が接近して配置されており、これにより、図3に示すように、交差部9は、隆起部11の角部に囲まれ、谷部6の直線部分の幅より広い平面状に形成されている。この交差部9および谷部6の底部において、各凸面5どうし及び隆起部11の角部どうしを接合している部分の面を接合部13とし、この接合部13が翼状部7の下端の面を形成している。
一方、コーン部8は、翼状部7の各隆起部11の外側(交差部9とは反対側の先端)から延びるとともに、各凸面5の間の3本の谷部6の端部を閉塞しており、全体として円錐面状に形成されている。
つまり、この振動体1は、図4及び図5に断面を示したように、接合部13を下側に配置すると、この接合部13から高さ方向の大部分が翼状部7とされ、各隆起部11の外側からコーン部8が円錐面の一部をなすように配置された形状とされる。この振動体1の下端は、120°に交差した接合部13の下面により構成され、振動体1の上端は、コーン部8の上縁により円形に形成される。
この振動体1は、その材質が限定されるものではなく、スピーカの振動板として一般的に用いられる合成樹脂、紙、金属等の材料を用いることができ、例えば、ポリプロピレン、ポリエステル等の合成樹脂からなるフィルムを真空成形することにより、比較的容易に成形することができる。
この実施形態の振動体1は合成樹脂からなる1枚のフィルムを一体成形しており、その接合部13は、フィルムを断面U字状に折り返すように成形して形成されている。
(2)振動体以外の各部の構成
アクチュエータ2は、例えばボイスコイルモータが用いられ、翼状部7の接合部13が交差している部分に設けられたボイスコイル20と、支持枠3に固定された磁石機構21とにより構成される。
ボイスコイル20は、図1に示すように円筒状のボビン20aの回りにコイル20bが巻回されたものであり、図6に示すように、その軸上に翼状部7の交差部9の中心が配置され、ボイスコイル20の上端と接合部13の下縁とが接着剤等を介して固着されている。そして、このボイスコイル20の外周部がダンパー22を介して支持枠3に支持されており、ボイスコイル20は支持枠3に対してボイスコイル20の軸方向に沿って往復移動自在であるとともに、ダンパー22によりボイスコイル20の振動は、適宜制動される。ダンパー22は一般的なダイナミックスピーカに用いられる材料のものを適用することができる。
磁石機構21は、環状の磁石23と、この磁石23の一方の極に固定されたリング状のアウターヨーク24と、他方の極に固定されたインナーヨーク25とを備えており、インナーヨーク25の中心のポール部25aの先端部がアウターヨーク24内に配置される。これにより、アウターヨーク24とインナーヨーク25との間に、環状に磁気ギャップ26が形成される。この磁気ギャップ26内に、ボイスコイル20のコイル20bが巻回された部分が挿入された状態で配置される。
支持枠3は、例えば金属材により成形され、図示例では、矩形の枠状に形成されたフランジ部30と、フランジ部30の下方に延びる複数のアーム部31と、これらアーム部31の下端に形成された環状フレーム部32とを備えている。そして、そのフランジ部30の内周面は円周面に形成されており、その内側に、接合部13を下方に向けて振動体1が配置され、振動体1のコーン部8の上端縁がエッジ部4を介してフランジ部30の上面に支持されている。したがって、エッジ部4は、振動体1のコーン部8に対応して円形リング状に形成される。このエッジ部4も、一般的なダイナミックスピーカに用いられている材料のものを適用することができる。
本発明において、振動体1を振動の方向(谷部6の深さ方向であるz方向)に振動可能に支持する支持部35は、この実施形態では、支持枠3とエッジ部4によって構成されている。
また、支持枠3の環状フレーム部32に、磁石機構21のアウターヨーク24が取り付けられることにより、磁石機構21と支持枠3とが一体に固定される。
この支持枠3に振動体1を取り付けた状態において、凸面5の断面形状は、図5に示すように、谷部6を介して対向している両凸面5の周方向に沿う断面(横方向の断面)において、これら凸面5の湾曲方向に沿って最も外側(谷部6からの距離が最も大きくなる位置)の先端(この実施形態の場合は傾斜面部5bの先端)どうしを結ぶ線を境界線Hとするとき、先端から谷部6に向かうにしたがって境界線Hから漸次離間する方向に湾曲する。
前述したように、凸面5は、単一円弧面だけでなく、複数の曲率を連続させたもの、断面が放物線形状やスプライン曲線など曲率が一定ないし連続的に変化するもの、角筒状面としたもの、階段状に複数の段差部を有する形状としたものなどを採用することができるが、その先端どうしを結ぶ境界線Hを超えない形状の凸面とするのが好ましい。
なお、図1及び図2において符号33は、ボイスコイル20を外部に接続するための端子を示している。
3.動作
このように構成されたスピーカは、振動体1に固定されたアクチュエータ2のボイスコイル20に音声信号に応じた駆動電流が流れると、その駆動電流によって生じる磁束変化と、磁気ギャップ26内の磁界とにより、ボイスコイル20に駆動電流に応じた駆動力が作用し、磁界と直交する方向(ボイスコイル20の軸方向、図4では矢印で示す上下方向であるz方向)にボイスコイル20を振動させる。これにより、このボイスコイル20に接続されている振動体1が、谷部6の深さ方向に沿って振動し、表面から再生音が放射される。
この場合、振動体1は、音波の主要な放射面となるように、振動体1の大部分の面積を占めるように構成された翼状部7と、振動体1の一部分の面積となるように、翼状部7の上端部に配置されたコーン部8とからなっている。
このため、広帯域に亘って広い指向性を有している。
しかも、振動体1は、コーン部8の外周部がエッジ部4により支持枠3に往復振動が可能なように支持されているので、接合部13から外周部までの全体がアクチュエータ2によって一様に振動し、いわゆるピストンモーションによる振動が生じる。このため、ダイナミックスピーカと同様に、低音域においても高い音圧を有する。この場合、谷部6の両端が開放状態であると、振動体により放射された音波の一部が、その開放された空間を通って振動体の裏面側に抜けていくが、コーン部8により谷部6の両端が塞がれているので、音波の振動体1の裏面側への抜けを防止し、振動体1の前面の全体から効率的に放音することができる。
したがって、1本のスピーカユニットにより、低音域から高音域までの可聴帯域の全域で広い指向性で再生可能なフルレンジスピーカユニットを実現することができる。
また、この振動体1の凸面5は、その周方向(湾曲方向)に沿う方向への音の指向性が広く、これと直交する方向には狭いという特性を有する。そして、この振動体の凸面5は、三つの対の凸面5により構成されているので、対ごとに指向性の主軸が形成され、各対が120°の角度で交差しているので、その交差部9を通る法線方向(正面方向)の聴取位置では、各対の凸面5の振動による音が均等に伝搬するが、他方、この交差部9の法線方向からずれた聴取位置では、そのずれた方向と凸面5の周方向とが最も近い対の凸面5からの音に対して、他の対の凸面5からの音が相対的に小さくなる。
例えば、交差部9の正面からx方向に聴取位置をずらすと、このx方向に沿って谷部6を有する対の凸面5(図3に示す例では交差部よりも図の右側に配置されている一対の凸面5)からの音が、他の対の凸面5(図3に示す例ではx軸方向に交差する方向に延びる谷部6を介して対向している凸面5)からの音に対して、相対的に小さくなる。逆に、交差部9の正面からy方向に聴取位置をずらすと、x方向に沿って谷部6を有する対の凸面5からの音が、他の対の凸面5からの音に対して、相対的に大きくなる。
交差部9の正面からx方向とy方向との間の方向に聴取位置が移動する場合は、その移動方向と凸面5の周方向とが最も近くなる対の凸面5(言い換えると、聴取位置の移動方向に直交する方向が谷部6の延在方向に最も近くなる対の凸面5)からの音が相対的に大きくなり、他の対の凸面5からの音は相対的に小さくなる。
このように、この振動体1は、凸面5の対が120°向きを変え交差して三つ設けられているので、聴取位置を正面からx方向、y方向のいずれに移動する場合でも、移動した方向に直交する方向と近い方向に沿って谷部6を有する対の凸面5からの音が大きくなり、移動した方向と近い方向に沿って谷部6を有する対の凸面5からの音は小さくなるとともに、各対の凸面5からの音が互いに干渉することも少なく、各対の凸面5からの音が互いに補完し合って合成される。その結果、これら三つの対の凸面5によって合成される指向特性の主軸が法線方向に対して傾斜した特性を有する。
この実施形態のスピーカの指向特性を検証するために以下の実験を行った。振動体のコーン部の中心を通る法線方向(正面方向)に対して30°傾斜した方向で、コーン部の中心から1mの位置にマイクを設置し、スピーカをコーン部の中心を軸として旋回させながら、旋回させた角度ごとにスピーカの音圧レベル(dB)を計測して、指向特性を観測した。図7はスピーカを180°旋回した結果の音圧レベル(dB)を示している。振動体の谷部6の配置と測定方位との関係を図の右上に示す。
図7(a)は中心周波数6300Hz(1/3オクターブバンドノイズ)における指向特性を示す図であり、指向特性は広く、90度から−90度の範囲でほぼ均等である。これに対して、同図(b)は中心周波数8000Hz(1/3オクターブバンドノイズ)における指向特性を示す図であり、特定の方向(約−30度の方向)に指向特性が偏っている。
このように、この振動体1を有するスピーカは、特定の周波数(本実施形態では6.3kHz程度)までの帯域では、ほぼ無指向性を示すが、この周波数以上の高い帯域(本実施形態では8kHz以上の帯域)では、偏った指向特性を示す。したがって、このスピーカは、特定の方向に指向特性を制御することが可能で、特定の方向に音をサービスすることができる。例えば、部屋の天井の隅部にこのスピーカを配置して、中央側に向けて放音する、あるいは、車両のドアの下部にスピーカを配置して、搭乗者に向けて放音するなどの適用が可能であり、使用環境に応じて適切な音響特性を有するスピーカを得ることができる。
また、この実施形態では、振動体1の外周部が円錐面状のコーン部8により形成されているので、エッジ部4を円形リング状の単純な形状とすることができる。さらに、アクチュエータ2のボイスコイル20も円筒状に形成して、その上端部と振動体1とを固着したので、このアクチュエータ2としても、通常のダイナミックスピーカに用いられているものを適用することができ、したがって、エッジ部4、支持枠3、アクチュエータ2等として、通常のコーン状振動板を有するダイナミックスピーカと共通の部品を適用することができ、安価に製造することができる。
なお、翼状部7とコーン部8は、1枚のフィルムから一体成形した例を示したが、個々の隆起部を成形して、これら隆起部を隣接する凸面が対をなすように接合部を介して接着して形成してもよい。また、帯板状の補強板あるいは補強ワイヤ等の補強部材を接合部13に沿って固着して接合部13を直線状に補強した形態等としてもよい。
いずれの形態の場合も、凸面5は、接合部13とは反対側の先端どうしを結ぶ境界線Hを超えない凸面とするのが好ましい。
図8〜図17は、他の実施形態に用いられる振動体を示している。これらの実施形態において、振動体以外の構成要素(アクチュエータ、支持体、エッジ部)は第1実施形態と同じものが用いられるので、図示を省略し、また、各図において、第1実施形態と共通要素には同一符号を付して説明を簡略化する。
図8〜図12に示す第2実施形態における振動体41は、図8に分解して示したように、翼状部42とコーン部43とが2枚の振動体として別々に製作され、コーン部43の表面に翼状部42が重ねられて、貼り付けられた構成である。翼状部42は、三つの隆起部44が3弁の花びら状の形状をなし、正面視で互いに120°で交差する三叉路状をなす谷部6を介して配置され、谷部6の底部で接合部13によって凸面5の一側部どうしが接合された形状とされているが、各谷部6の長さが第1実施形態のものより短く形成されている(図3と図10を比較参照)。凸面5は、第1実施形態のように円弧面部5aと傾斜面部5bとからなる形状ではなく、その全体がほぼ同じ曲率の円弧面状に形成されている。各隆起部44においては、正面視で三叉路状の谷部6に対して60°回転してずらした位置に、隣接する対の凸面5どうしを滑らかに繋げる山部12を有している。このため、隆起部44は、120°の等間隔で放射状に延びる谷部6の間に、60°回転してずれた方向に沿って山部12が延びるように形成されている。
コーン部43は、円錐面状に形成され、その大径側端部43aと小径側端部43bとの間の中央部分に翼状部42が接着されている。この翼状部42が貼り付けられる領域には複数の貫通孔45がコーン部43に形成されている。したがって、コーン部43の貫通孔45が形成された領域を覆うように、翼状部42がコーン部43の表面に接着されている。コーン部43と翼状部42との間には図12に示すように空洞部46が形成されており、その空洞部46は貫通孔45によりコーン部43の裏側に開口している。
このように構成される振動体41は、図12に示すように、翼状部42の接合部13はコーン部43の小径側端部43bの下端より上方位置に配置される。そして、図12の二点鎖線で示されるアクチュエータのボイスコイル20は、翼状部42の接合部13に接合され、コーン部43の小径側端部43bには接合されない。
この振動体41を備えたスピーカは、アクチュエータによって翼状部42の谷部6の深さ方向に駆動されることにより、振動体41全体にピストンモーションによる振動が生じて、翼状部42の凸面5から音が放射される。このとき、コーン部43と翼状部42との間に形成された空洞部46が密閉した空間であると、この空洞部46で共鳴が発生するおそれがあるとともに、2枚の重なった振動板が放射する音が互いに干渉するおそれがある。しかし、本実施形態の振動体41においては、貫通孔45を設けることにより、空洞部46を密閉しない空間とするとともに、コーン部43の翼状部42と重なる部分において、振動板としての面積が小さくなるようにした。
したがって、翼状部42の背面側のコーン部43に影響されることなく、凸面5から有効に再生音を放射することができる。
なお、貫通孔45は、コーン部43が翼状部42を支持し得る程度の強度を有する範囲内で1個又は複数個形成することができる。貫通孔45の形状も、図8に例示する丸型に限定されない。
また、この第2実施形態の振動体41では、翼状部42がコーン部43に重なる部分に、内部の空洞部46をコーン部43の裏側に開口する貫通孔45を形成したが、本発明においては、貫通孔45を有さないものも含むものとする。図13は、そのような振動体として第3実施形態における振動体を分解して示した斜視図であり、この振動体47は、貫通孔を有しないコーン部48の大径側端部48aと小径側端部48bとの間の表面に、第2実施形態の翼状部と同様の翼状部42が貼り付けられている。この第3実施形態は、翼状部42とコーン部48とを合体させて剛性を上げる場合に、有効な構成となる。なお、コーン部48の表面に翼状部42を貼り付けたが、他の固定手段でもよく、コーン部48の表面に翼状部42が設けられていればよい。
図14及び図15は第4実施形態における振動体を示している。この振動体51は、第2実施形態のものと同様に翼状部52とコーン部53とが別々に製作され、2枚の振動板(翼状部52とコーン部53)が合体して構成される。詳述すると、コーン部53の大径側端部53aと小径側端部53bとの間に翼状部52が貼り付けられた構成とされており、翼状部52は、三つの隆起部54が120°で交差した谷部6を介して相互の凸面5どうしを対向させるように配置されている。そして、この実施形態においては、コーン部53に、放射状に延びる接合部13の三つの端部をそれぞれ収容する三つの切欠部55が形成される。この切欠部55内に接合部13の端部を収容して、翼状部52がコーン部53に貼り付けられて固定される。
この場合、切欠部55は、図14に示すように、コーン部53の一部にV字状の切り込みを入れて三角形状の舌片55aを形成し、この舌片55aを上方から下方へ押し込むことにより、形成されている。更に、図15に示すように、切欠部55に接合部13の端部を収容して配置すると、翼状部52の谷部6の開口している先端が舌片55aによって閉塞され、振動体51から放射される音波がコーン部53の裏側へ抜けることが防止され、振動体51の前面の全面から放音することができる。
翼状部52の接合部13は、正面視で120°の等間隔で放射状に形成され、第2実施形態のものより長く形成されており、また、谷部6の端部は、接合部13を頂点として徐々に広がるほぼ三角形状をなしている。この翼状部52を第2実施形態のように円錐面状のコーン部の表面に貼り付ける場合は、コーン部の円錐面に整合させるために、翼状部を接合部に向かうにしたがって徐々に小さく形成する必要があるため、接合部の長さが短くなる。しかし、本実施形態のように、コーン部53に切欠部55を形成して、その切欠部55に接合部13の両端部を収容して配置することにより、接合部13を長い状態のままコーン部53に貼り付けることが可能となる。したがって、円錐面状のコーン部53と凸面5を有する翼状部42とを合体させた振動体において、コーン部53の円錐面形状による制約の少ない合体構造となっており、広い振動面積を有する凸面5で構成される振動体を実現することができる。
なお、図示例では、コーン部53に貫通孔は設けられていないが、第2実施形態の場合と同様に、コーン部53の翼状部52と重なる部分に貫通孔を設けてもよい。
上記の各実施形態においては、三つの谷部6がxy平面上で互いに120°の均等な角度で交差するように配置し、三つの隆起部11が正面視で全て同じ大きさになるように形成したが、図16及び図18に示すように、谷部6が均等でない角度で交差し、三つの隆起部が正面視で全て同じ大きさでないように形成してもよい。
図16に示す第5実施形態の振動体61における翼状部62では、谷部6が正面視でT字状に直交しており、三つの隆起部のうちの一つの隆起部63Aは、正面視でほぼ半円状に形成され、他の二つの隆起部63Bはそれぞれ正面視でほぼ四分の一円状に形成される。従って、隆起部63Aは、正面視で隆起部63Bのほぼ倍の大きさに形成される。大きい方の隆起部を大型隆起部63A、小さい方の隆起部を小型隆起部63Bと称する。この実施形態の場合、第1実施形態に対応する三つの谷部のうちの二つの谷部6が、X軸方向に沿ってコーン部8の中心を通り、直径方向に連結されて一つの直線状の谷部を形成し、他の一つの谷部6がコーン部8の中心からY軸方向に沿って形成されることにより、谷部6の全体が正面視でT字状に直交して配置される。
したがって、大型隆起部63Aは、凸面5が一つだけ存在し、その一つの凸面5が二つの小型隆起部63Bの凸面5との間でそれぞれ対をなすように配置されている。言い換えれば、大型隆起部63Aの凸面5は、他の小型隆起部63Bの凸面5との対をなす凸面5を二つ分連続させた形状である。
一方、小型隆起部63Bは、大型隆起部63Aの凸面5と対をなす各凸面5と、小型隆起部63Bどうしで対をなす凸面5とが90°向きを変えて配置されており、これら凸面5において谷部6とは反対側の側部どうしを滑らかな曲面で連結した山部12が形成されている。
このような構成の振動体61とすることにより、大型隆起部63Aと二つの小型隆起部63Bとの間で対をなす凸面5と、二つの小型隆起部63Bどうしの間で対をなす凸面5とで、凸面5が湾曲する方向(指向性が拡がる方向)とこれら凸面5の面積とが異なっている。このため、指向特性の主軸がコーン部8の中心から法線方向となるのではなく、法線方向から傾斜した主軸を有する指向特性(実施形態の場合は、大型隆起部63A側に傾斜した特性)を得ることができる。
したがって、この振動体61を備えるスピーカは、大型隆起部63Aと小型隆起部63Bとの周方向の配置を適宜に設定することにより、所定の方向に指向特性を制御することが可能となり、前述したように、部屋の天井の隅部にこのスピーカを配置して、中央側に向けて放音する、あるいは、車両のドアの下部にスピーカを配置して、搭乗者に向けて放音するなどの適用が可能であり、使用環境に応じて適切な音響特性を有するスピーカを得ることができる。
この第5実施形態の振動体を有するスピーカに対しても、前述した方法により指向特性の検証を行ったところ、図17に示す結果を得た。図7の場合と同様、振動体の谷部6の配置と測定方位との関係を図の右上に示す。
図17(a)は中心周波数8000Hz(1/3オクターブバンドノイズ)における指向特性を示す図であり、指向特性は広く、90度から−90度の範囲でほぼ均等である。これに対して、同図(b)は中心周波数10000Hz(1/3オクターブバンドノイズ)における指向特性を示す図であり、特定の方向(約30度の方向)に指向特性が偏っている。
このように、この振動体1を有するスピーカは、特定の周波数(本実施形態では8kHz程度)までの帯域では、ほぼ無指向性を示すが、この周波数以上の高い帯域(本実施形態では10kHz以上の帯域)では、偏った指向特性を示す。したがって、このスピーカは、特定の方向に指向特性を制御することが可能で、特定の方向に音をサービスすることができる。
図18に示す第6実施形態の振動体65における翼状部66は、三つの隆起部67A,67Bが谷部6を正面視でほぼY字状に交差させて配置されている。具体的には、これら隆起部67A,67Bが同じ大きさではなく、三つの隆起部のうちの一つの隆起部67Bが、正面視で他の二つの隆起部67Aより小さく形成されている。即ち、小さい隆起部67Bを形成する谷部6は、正面視で120°よりも小さい角度(例えば72°)に形成され、他の二つの隆起部67Aを形成する谷部6は、正面視で120°より大きい角度(例えば144°)に形成されている。言い換えると、図18に示す例では、x軸方向に一つの谷部6が配置されるとした場合に、他の二つの谷部6が、前記のx軸方向の谷部6に対して、例えば144°の角度でそれぞれ交差し、従って、この他の二つの谷部6どうしは、結果的に72°の角度で交差するように形成される。
ここで、三つの隆起部のうち、正面視で面積の大きい二つの隆起部を大型隆起部67A、面積の小さい一つの隆起部を小型隆起部67Bと称する。この第6実施形態の振動体65においても、大型隆起部67Aどうしの間で谷部6を形成している一対の凸面5と、大型隆起部67Aと小型隆起部67Bとの間の谷部6を形成している二つの対の凸面5とで面積が異なっている。さらに、後者の一つの対の凸面5においても、即ち大型隆起部67Aと小型隆起部67Bとの間の谷部6を形成している一つの対の凸面5における二つの凸面5の面積も、互いに異なっている。したがって、この振動体65を備えるスピーカも、指向特性の主軸がコーン部8から法線方向ではなく、法線方向から傾斜した特性を有し、第5実施形態の振動体と同様、特定の方向に指向特性を制御することが可能であり、特定方向に向けて音をサービスすることができる。
また、再生される音波の寄与がx方向、y方向で均等でなく、大きい面積の凸面5の対の方向で指向特性が広く、小さい面積の凸面5の対の方向で指向特性が狭いという特性となる。図18に示す例では、x方向に谷部6を有しy方向に周方向を有する凸面5の対の方が、他の方向に谷部6を有する凸面5の対よりも大きい面積に形成されている。このため、この振動体65は、大きい面積の凸面5の周方向(y方向)で指向特性が広く、小さい面積の凸面5の周方向で指向特性が狭いという特性となる。
また、第5実施形態及び第6実施形態に、前述の第2実施形態から第4実施形態の構造を適用することも可能である。
すなわち、
(1)図16及び図18では、翼状部とコーン部とを一体に形成した例を図示したが、これら翼状部とコーン部とを別体に作製して、コーン部の表面に翼状部を固定した構造(第3実施形態)
(2)上記(1)のコーン部に貫通孔を形成した構造(第2実施形態)
(3)コーン部に切欠部を形成して、谷部の端部を収容し、切欠部の舌片で谷部の両端を閉塞した構造(第4実施形態)
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、第5実施形態及び第6実施形態で、放射状に配置された谷部6を等間隔でない間隔で配置した例として、三つの谷部6のそれぞれの交差角度のうちの二つは同じ角度とした例を示したが、三つの谷部6の交差角度がすべて異なる配置としてもよい。
また、各実施形態では、谷部6の放射状の中心と振動体1の中心とを同軸に配置したが、本発明は、これらの中心がずれているものも含むものとする。
さらに、各実施形態において、コーン部は円錐面状に形成し、エッジ部を円形のリング状に形成したが、コーン部を楕円錐面状に形成し、エッジ部も楕円形のリング状に形成してもよい。また、コーン部は、一般的なダイナミックスピーカとして用いられる振動板であれば、円錐面状や楕円錘面状以外の形状でもよく、 正面視で丸型や角型、あるいは角型に丸型を組み合わせた形状でもよく、全体として錐形状に形成されていればよい。翼状部の形状も、上記コーン部の形状に合わせて、適宜変更される。
また、振動体の裏面に補強用のリブやブロック等を固着してもよい。振動体の放射面に対しては、凸面にその周方向に沿って板状又は棒状のリブを設けることが可能である。このスピーカは、前述したように、凸面を再生音の放射面としているので、その凸面の周方向に沿う方向への指向性は広いが、これと直交する方向には狭いという特性を有しており、このため、凸面の放射面に周方向に沿って板状又は棒状のリブを設けたとしても、音響的な影響は少ない。
さらに、振動体を往復駆動する変換部として、ボイスコイルモータを適用したが、ボイスコイルモータに代えて、圧電素子等を用いてもよい。
また、上記実施形態ではいずれも本発明をスピーカに適用したが、本発明をマイクロホンに適用することも可能である。本発明をスピーカに適用する場合は、ボイスコイルモータ等の変換部が、音声信号に基づく電気信号を振動体の振動に変換するが、本発明をマイクロホンに適用する場合も、変換部としてボイスコイルモータ等を用いることができ、その場合の変換部は、音波を受けて振動する振動体の振動を電気信号に変換する。そして、本発明を適用したマイクロホンは、凸面が振動面であり、その振動体の全体が一様に振動することにより、感度を維持しながら指向性が良好となり、低音域から高音域まで広い周波数帯域に亘って広い指向性で収音することができ、かつ、任意の方向に指向特性を制御することができる。
1…振動体、2…アクチュエータ(変換部)、3…支持枠、4…エッジ部、5…凸面、5a…円弧面部、5b…傾斜面部、6…谷部、7…翼状部、8…コーン部、9…交差部、11…隆起部、12…山部、13…接合部、20…ボイスコイル、21…磁石機構、22…ダンパー、23…磁石、24…アウターヨーク、25…インナーヨーク、25a…ポール部、26…磁気ギャップ、30…フランジ部、31…アーム部、32…環状フレーム部、33…端子、41…振動体、42…翼状部、43…コーン部、43a…大径側端部、43b…小径側端部、44…隆起部、45…貫通孔、46…空洞部、47…振動体、48…コーン部、48a…大径側端部、48b…小径側端部、51…振動体、52…翼状部、53…コーン部、53a…大径側端部、53b…小径側端部、54…隆起部、55…切欠部、55a…舌片、61…振動体、62…翼状部、63A,63B…隆起部、65…振動体、66…翼状部、67A,67B…隆起部

Claims (8)

  1. 振動体と、前記振動体の振動と該振動に対応する電気信号との変換を行う変換部と、前記振動体を前記振動方向に沿って移動可能に支持する支持部とを備え、前記振動体は、一対の縦割り筒状部の凸面を三対有し、各対では前記凸面の一方の側部どうしが谷部を形成するとともに、各谷部が放射状に配置されている電気音響変換器。
  2. 前記放射状に配置された各谷部が互いに等間隔で配置されている請求項1記載の電気音響変換器。
  3. 前記放射状に配置された各谷部が互いに等間隔でない間隔で配置されている請求項1記載の電気音響変換器。
  4. 前記振動体は、前記各対の凸面を有する翼状部と、該翼状部の外周部を囲むように設けられ錐形状に延びるコーン部とを備え、前記翼状部は、前記コーン部の小径側端部と大径側端部との間に配置され、前記変換部は、前記凸面の谷部に固定されている請求項1から3のいずれか一項に記載の電気音響変換器。
  5. 前記翼状部は前記コーン部の表面に設けられる請求項4記載の電気音響変換器。
  6. 前記コーン部に、該コーン部と前記翼状部との間の空間に開口する貫通孔が形成されている請求項5記載の電気音響変換器。
  7. 前記コーン部に、前記翼状部における各谷部の端部を収容する切欠部が形成されている請求項4又は5記載の電気音響変換器。
  8. 前記翼状部と前記コーン部とは、前記翼状部の外周縁と前記コーン部の内周縁とが連続して一体成形されている請求項4記載の電気音響変換器。
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