JP2017163428A - 音響装置 - Google Patents

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Soichi Takigawa
宗一 瀧川
昭彦 野崎
Akihiko Nozaki
昭彦 野崎
野呂 正夫
Masao Noro
正夫 野呂
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Abstract

【課題】ステレオ再生、ステレオ集音可能な音響装置において、二つのスピーカやマイクの間で斜め方向に配置される演奏者等との間でも明瞭な音の再生、集音を可能にする。【解決手段】支持体110の前面部に、二つの振動体1が相互間隔をおいて設けられているとともに、これら振動体1は、一対の湾曲板11の各々の凸面の一方の側部どうしの間で谷部6を形成した翼状振動部を有し、湾曲板11の凸面が支持体110の前面部の一部を構成するように配置され、かつ、両振動体1の谷部6の相互間隔を谷部6の一端から他端に向けて漸次広げるように各谷部6の長さ方向が両振動体の離間方向と直交する方向に対して傾斜して配置されている。【選択図】 図1

Description

本発明は、対をなす二つのスピーカ又はマイクロホンを一つの支持体に配置してステレオ再生、ステレオ集音可能な音響装置に関する。
二つのスピーカ又はマイクロホンを一つの筐体等の支持体に配置してステレオ再生、ステレオ集音可能な音響装置として、例えば特許文献1に電子ピアノ、特許文献2にはポータブルキーボードが開示されている。
特許文献1には、アップライト型電子ピアノとして、その上前板の左右、及び下前板の左右に、それぞれスピーカが放音面を前方に向けた状態で配設されたものが開示されている。
特許文献2のポータブルキーボードの場合は、鍵盤部の後方の屋根板の左右両端部に、それぞれスピーカが放音面を上方に向けた状態で配設されている。
実開平7−23394号公報 特開2011−43611号公報
ところで、特許文献1のアップライト型電子ピアノの場合も、特許文献2のポータブルキーボードの場合も、演奏者は、左右に配置されているスピーカの間に配置されることになる。特許文献1のアップライト型電子ピアノの場合は、上前板に設けられている二つのスピーカの間に演奏者の聴取位置が配置され、下前板に設けられている二つのスピーカに対しては、これらの間の斜め上方位置に聴取位置が配置される。また、特許文献2のポータブルキーボードの場合は、このポータブルキーボードの中央前方に立つ演奏者に対して、二つのスピーカは斜め前方に配置される。
このため、演奏者の左右両側で前方に向けて発せられるスピーカからの音が、中央の演奏者に届きにくい。特に、一般的なコーン形のダイナミックスピーカを用いる場合であると、高域の指向性が狭いため、演奏者に高い音が届きにくい。
この場合、スピーカの放音面を演奏者に向けるように傾斜させて配置することも考えられるが、放音面を傾斜させると、ピアノやポータブルキーボードの筐体の表面からスピーカの一部が突出し、あるいは、筐体の表面に斜めに切り欠いた凹部を形成してスピーカを設置する必要があるなど、特に奥行き方向の設置スペースが大きくなる不具合が生じる。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、ステレオ再生、ステレオ集音可能な音響装置において、二つのスピーカやマイクの間で斜め方向に配置される演奏者等との間でも明瞭な音の再生、集音を可能にすることを目的とする。
本発明の音響装置は、支持体の前面部に、二つの振動体が相互間隔をおいて設けられているとともに、これら振動体は、一対の湾曲板の各々の凸面の一方の側部どうしの間で谷部を形成した翼状振動部を有し、前記湾曲板の凸面が前記支持体の前面部の一部を構成するように配置され、かつ、両振動体の前記谷部の相互間隔を前記谷部の一端から他端に向けて漸次広げるように各谷部の長さ方向が両振動体の離間方向と直交する方向に対して傾斜して配置されている。
この音響装置は、振動体が一対の湾曲板の各々の凸面の一方の側部どうしの間で谷部を形成した翼状振動部を有していることから、本発明をスピーカに適用する場合、翼状振動部により中高音域で広い指向性を有し、また、谷部の長さ方向への音の広がりと比較して、湾曲板の凸面の周方向に沿う横方向への音の広がりが大きいという特性を有している。
そして、この振動体の谷部が両谷部の相互間隔を一端から他端に向けて漸次広げるように傾斜して配置されていることにより、両振動体の間の斜め方向位置に対しても、それぞれの振動体における湾曲板の凸面の周方向に沿う広い指向性によって明瞭な音の再生、集音を行うことができ、また、周辺でもこもった音にならずに快適な音場を提供することができる。
本発明の音響装置において、前記振動体は、両振動体の離間方向と直交する方向に対する谷部の傾斜角度をそれぞれ調整可能に設けられていてもよい。
両振動体の谷部の傾斜角度が調整可能であるので、この電気音響機器を設置する環境、聴取位置に応じて傾斜角度を最適に調整することができる。
本発明の音響装置によれば、翼状振動部を有する振動体により広い指向特性を有するとともに、二つの振動体の谷部を斜めに配置したので、両振動体の間で斜め方向に配置される演奏者等に対しても明瞭な音の再生、集音を行うことができる。
本発明のスピーカ装置をアップライト型電子ピアノに適用した第1実施形態の正面図である。 図1のスピーカ装置に組み込まれているスピーカ単体の分解斜視図である。 図2のスピーカの組立状態を示す斜視図である。 図3のスピーカの正面図である。 図4における翼状振動部の軸心を通るA−A線に沿う矢視断面図である。 図3における翼状振動部の軸心を通るB−B線に沿って切断した半断面斜視図である。 図2のスピーカに用いられている振動体の斜視図である。 図7の振動体の正面図である。 図8における翼状振動部の軸心を通るC−C線に沿う矢視断面図である。 (a)が実施形態のスピーカ、(b)が従来のコーン形スピーカのそれぞれの指向性を示すポーラパターンである。 (a)が実施形態のスピーカ装置の横方向、(b)が実施形態のスピーカの縦方向、(c)が従来のコーン形スピーカを用いた装置のそれぞれの周波数特性を示すグラフである。 本発明の第2実施形態のスピーカ装置を模式化して示す平面図及び縦断面図である。 第2実施形態のスピーカ装置と従来のコーン形スピーカを用いた場合との音圧レベルを所定高さ位置で測定して比較した等高線図である。 本発明の第3実施形態のスピーカ装置を示す模式的に示す側面図である。 本発明の第4実施形態のスピーカ装置を模式的に示したもので、(a)が平面図、(b)が側面図である。 本発明の第5実施形態のスピーカ装置を模式的に示したもので、(a)が側面図、(b)が正面図である。 本発明の第6実施形態のスピーカ装置を示す平面図である。 本発明の第7実施形態のスピーカ装置を示す平面図である。 図18のスピーカ装置に用いられている翼状振動部を示す斜視図である。
以下、本発明の音響装置をスピーカ装置に適用した実施形態について図面を参照して説明する。
<第1実施形態>
1.全体の外観構成
この実施形態のスピーカ装置100は、アップライト型電子ピアノの鍵盤111を支持する棚板112より下方の下前板113に二つのスピーカ120を組み込んだものであり、このアップライト型電子ピアノの外郭110がスピーカ装置100の筐体を構成している。
二つのスピーカ120は、この実施形態では同じ構造、同じ形状を有している。
2.個々のスピーカの構成
(1)スピーカの全体構成
この実施形態のスピーカ120は、図2〜図9に示すように、振動体1と、この振動体1を往復駆動するアクチュエータ(変換部)2と、これら振動体1及びアクチュエータ2を支持するための支持枠3と、振動体1を支持枠3に往復移動自在に支持するエッジ部4とを備えている。
なお、このスピーカ120単体で方向を示すときは、図3において、エッジ部4が設けられている側を上、アクチュエータ2が設けられている側を下とするように上下方向を設定し、後述する振動体1の翼状振動部7における谷部6の長さ方向を縦方向、これと直交する方向を横方向とする。また、上方を向く面を表面、下方を向く面を裏面とし、さらに、図示したように、縦方向(谷部6の長さ方向)をx方向、横方向をy方向、上下方向をz方向とも称するものとする。
このスピーカ120単体の方向に対して、前述した筐体(アップライト型電子ピアノの外郭)110にスピーカ120を組み込んだ状態においては、図1に示すように、各スピーカ120の谷部6の長さ方向をx1方向及びx2方向、これと直交する方向をy1方向、y2方向、谷部6の深さ方向をそれぞれz方向とする。
(2)スピーカの各部の構成
(a)振動体の構成
振動体1は、図7〜図9に拡大して示したように、一対の湾曲板11が並列に形成されるとともに、隣接する湾曲板11の一方の側部どうしの間(又は一対の湾曲板11の凸面どうしの間)で谷部6を形成した表面形状を有する翼状振動部7と、この翼状振動部7の谷部6の両端を塞ぐとともに翼状振動部7の外周縁を囲むように外側に延びる円錐面状に形成されたコーン部8とを備えている。なお、一対の湾曲板11は、筒形状の部材を、縦方向(筒部の軸方向)に分割して得られる複数の部材のうちの2つの部材によって構成されるものである。
図示例の翼状振動部7は、一対の湾曲板11により構成されており、両湾曲板11の谷部6を形成している側部どうしが接合された状態とされている。
また、一対の湾曲板11によって形成される一対の凸面は、その凸となる方向を同じ表面側に向けて並列にかつ互いに向き合うように配置されている。言い換えれば、一対の湾曲板11は、一対の湾曲板11の一方の湾曲板の凸面と他方の湾曲板の凹面が互いに向き合うように配置されておらず、また、一対の湾曲板11の一対の凹面どうしが互いに向き合うように配置されていない。一対の凸面の各々の一方の側部どうしが、一対の凸面の他方の側部どうしよりも互いに近接して配置されるか、または、一対の凸面の各々の他方の側部どうしが離間して配置され、一方の側部どうしが互いに接触して配置されることにより、一対の凸面の間に一方の側部近傍を底部とする谷部6が形成される。
また、湾曲板11の凸面は、必ずしも単一円弧面でなくてもよく、複数の曲率を連続させたもの、凸面の周方向(横方向)に沿う断面が放物線形状やスプライン曲線など曲率が一定ないし連続的に変化するもの、角筒状面としたもの、階段状に複数の段差部を有する形状としたものなどを採用することができる。また本実施形態の凸面は、一方向(凸面の周方向:横方向)に湾曲し、その一方向と直交する方向(凸面の縦方向であり、湾曲板11の軸方向)へは直線状となっているが、凸面は、縦方向に沿う断面の曲率が横方向に沿う断面の曲率(一定の曲率又は連続的に変化する複数の曲率)よりも小さい曲面であっても良い。図9に示すように、その接合部13では、両湾曲板11がわずかに間隔をあけて接合されており、この接合部13に沿って、両湾曲板11の間に、凸面の縦方向に沿う直線状に谷部6が形成されている。
また、図7及び図8に示すように、翼状振動部7の谷部6(あるいは接合部13)がコーン部8の直径方向に沿う直線状に配置され、コーン部8の軸心上に谷部6の長さ方向の中心位置が配置された同軸状に一体化されている。この谷部6の長さ方向の中心を通る軸を翼状振動部7の軸心Mとし、この実施形態では翼状振動部7の軸心Mとコーン部8の軸心とは一致する。
また、均一な再生音を得るために、図9に示すように、両湾曲板11を、その凸面の周方向(y方向)に沿う断面が翼状振動部7の軸心Mに対して線対称になるように形成することが好ましい。ただし、本発明においては、両湾曲板11の各々の断面は、必ずしも線対称でなくてもよい。
コーン部8は、両湾曲板11の接合部13とは反対側の側部(端部)から延びるとともに、両湾曲板11の谷部6の縦方向の両端を閉塞しており、全体として円錐面状に形成されている。翼状振動部7の湾曲板11の外周縁は、図8に示すように、正面視では、谷部6を形成している側部とは反対側の側部が円弧状に形成されている。この場合、湾曲板11は、谷部6の長さ方向の直径よりも、谷部6と直交する方向の直径の方が若干長いが、正面視でほぼ半円状に形成されており、この湾曲板11の円弧状の外周縁間を連結し、翼状振動部7の全周をほぼ囲むようにコーン部8が設けられ、その外周縁が正面視で円形に形成される。そして、コーン部8の外周縁がエッジ部4の内周縁に接続されている。
コーン部8の軸心を通る断面では、この振動体1は、図5及び図9に示すように、湾曲板11の接合部13を下側に配置すると、この接合部13から高さ方向の大部分が翼状振動部7とされ、この翼状振動部7の上端の若干の高さの範囲にコーン部8が配置された形状とされる。
この振動体1は、その材質が限定されるものではなく、スピーカの振動板として一般的に用いられる合成樹脂、紙、金属等の材料を用いることができ、また、その成形方法も、樹脂フィルムの真空成形、射出成形、プレス成形等を採用することができ、例えば、ポリプロピレン、ポリエステル等の合成樹脂からなるフィルムを真空成形することにより、比較的容易に成形することができる。
この実施形態の振動体1は合成樹脂からなる1枚のフィルムを一体成形しており、その接合部13は、フィルムの中央部を断面U字状に折り返す形状に成形して形成されている。
(b)振動体以外の各部の構成
アクチュエータ2は、例えばボイスコイルモータが用いられ、湾曲板11の接合部13に設けられたボイスコイル20と、支持枠3に固定された磁石機構21とにより構成される。
ボイスコイル20は、円筒状のボビン20aの回りにコイル20bが巻回されたものであり、その直径方向に湾曲板11の接合部13が配置されるように、ボイスコイル20の上端と接合部13の下縁とが接着剤等を介して固着されている。そして、このボイスコイル20の外周部がダンパー22を介して支持枠3に支持されており、ボイスコイル20は支持枠3に対してボイスコイル20の軸方向に沿って往復移動自在である。ダンパー22は一般的なダイナミックスピーカに用いられる材料のものを適用することができる。
磁石機構21は、環状の磁石23と、この磁石23の一方の極に固定されたリング状のアウターヨーク24と、他方の極に固定されたインナーヨーク25とを備えており、インナーヨーク25の中心のポール部25aの先端部がアウターヨーク24内に配置されることにより、これらアウターヨーク24とインナーヨーク25との間に、環状に磁気ギャップ26が形成され、この磁気ギャップ26内にボイスコイル20の端部が挿入状態に配置されている。
支持枠3は、例えば金属材により成形され、図示例では、矩形の枠状に形成されたフランジ部30と、フランジ部30の下方に延びる複数のアーム部31と、これらアーム部31の下端に形成された環状フレーム部32とを備えている。そして、そのフランジ部30の内周面は円周面に形成されており、その内側に、接合部13を下方に向けて振動体1が配置され、振動体1のコーン部8がエッジ部4を介してフランジ部30の上面に支持されている。したがって、エッジ部4は、振動体1のコーン部8に対応して円形リング状に形成される。このエッジ部4も、一般的なダイナミックスピーカに用いられている材料のものを適用することができる。
なお、谷部6の深さ方向における振動体1の変形し難さの度合い(剛性)が、谷部6の深さ方向におけるエッジ部4の変形し難さの度合い(剛性)よりも大きくなるように、振動体1及びエッジ部4が形成される。言い換えれば、振動体1及びエッジ部4は、振動体1が谷部6の深さ方向に振動する際に、振動体1の振動によって引き起こされる振動体1の変形量が、振動体1の振動によって引き起こされるエッジ部4の変形量よりも小さくなるように構成される。
本発明において、振動体1を振動可能に支持する支持部35は、この実施形態では、支持枠3とエッジ部4によって構成されている。
なお、エッジ部4は、コーン部8の外周縁にエッジ部4の内周縁が固定され、支持枠3にエッジ部4の外周縁が固定されている。従って、エッジ部4は、振動体1の全体が上下方向へ振動することを許容しつつ、振動体1を支持している。
この支持枠3に振動体1を取り付けた状態において、湾曲板11は、図5及び図9に示すように、上方に向けて凸となるように湾曲している。
なお、図2及び図3において符号33は、ボイスコイル20を外部に接続するための端子を示している。また、符号34は、スピーカ120を筐体110に固定するためのねじを通す取り付け孔を示しており、外縁がほぼ正方形状に形成されるフランジ部30の四隅部にそれぞれ取り付け孔34が設けられている。
(3)スピーカの動作
このように構成されたスピーカ120は、振動体1に固定されたアクチュエータ2のボイスコイル20に音声信号に応じた駆動電流が流れると、その駆動電流によって生じる磁束変化と、磁気ギャップ26内の磁界とにより、ボイスコイル20に駆動電流に応じた駆動力が作用し、磁界と直交する方向(ボイスコイル20の軸方向、図5では矢印で示す上下方向)にボイスコイル20を振動させる。これにより、このボイスコイル20に接続されている振動体1が、翼状振動部7の谷部6の深さ方向(コーン部8の軸心方向)に沿って振動し、表面から再生音が放射される。
この場合、振動体1は、その高さ方向の大部分を構成するように配置された翼状振動部7と、その上側で限られた範囲に配置されたコーン部8とからなっており、その大部分を構成する翼状振動部7の湾曲板11の凸面から放射される再生音が支配的になる。
このため、リッフェル型スピーカに用いられている振動板と同様に、湾曲板11の凸面の周方向に沿う横方向への音の指向性が広く、縦方向には横方向と比較して狭いという特性を有する。また、リッフェル型スピーカに用いられている振動板と同様に中高音域で広い指向性を有している。この場合、谷部6の両端が開放状態であると、振動体1により放射された音波の一部が、その開放された空間を通って湾曲板11の裏面側に抜けていくが、コーン部8により谷部6の両端が塞がれた状態となっているので、音波の湾曲板11の裏面側への抜けを防止し、振動体1の前面の全体から効率的に放音することができる。
しかも、振動体1は、コーン部8の外周縁部がエッジ部4により支持枠3に往復振動が可能なように支持されているので、接合部13から外周縁部までの全体がアクチュエータ2によって一様に振動し、いわゆるピストンモーションによる振動が生じる。このため、ダイナミックスピーカと同様に、低音域においても高い音圧を有する。
すなわち、このスピーカ120は、低い周波数域においては、コーン部8及び翼状振動部7が一体となったピストンモーションにより音が放射されると共に、再生周波数が高くなって振動体の振幅が小さくなるにしたがって、翼状振動部7からの放射音が支配的になり、高い周波数域でも広い指向性の音を再生する。
以上により、1本のスピーカユニットにより低音域から中高音域までの可聴帯域の全域で広い指向性で再生可能なフルレンジスピーカユニットを実現することができる。
図10は、スピーカのコーン部の軸心を通る平面(y−z平面)上をスピーカから1mの距離でスピーカの周囲を180°旋回して集音し、その指向性を円形グラフに示したポーラパターンである。(a)が本実施形態のスピーカ、(b)が従来のコーン形スピーカについてのものである。400Hzと8000Hzの周波数域で測定した。
また、図11は、スピーカから1mの距離でコーン部に向けた集音方向と、スピーカのコーン部の軸心とのなす角度を0°、15°、30°、45°、60°に変化させ、各位置で測定した周波数特性を示している。(a)が本実施形態のスピーカについて、コーン部の軸心を通る一の平面(y−z平面)上で集音位置を変化させた場合であり、凸面の周方向(横方向)に沿う周波数特性を示し、(b)がこれに直交する平面(x−z平面)上で集音位置を変化させた場合であり、凸面の周方向と直交する方向(縦方向)に沿う周波数特性を示している。(c)は従来のコーン形スピーカについての周波数特性を示す。
これら図10及び図11から明らかなように、本実施形態のスピーカは特に高音域において広い指向性を有し、縦方向よりも横方向の指向性が広いことがわかる。
3.筐体へのスピーカの取り付け姿勢及びスピーカ装置の作用
このように構成されたスピーカ120は、図1に示すように、アップライト型電子ピアノの外郭(筐体)110の下前板113の左右両端部にそれぞれ取り付けられている。筐体110に対して演奏者Pが立つ側を前側とし、矢印Uで示す方向を上下方向、演奏者Pから視た筐体110の両側方を左右方向とする。
この実施形態の場合、各スピーカ120は、振動体1を前方に向けて配置され、湾曲板11の凸面が下前板113の前面の一部を構成するように設けられているが、谷部6が相互に平行ではなく、両振動体1の谷部6の相互間隔を下前板113の下方から上方に向けて漸次広げるように両スピーカ120の離間方向と直交する方向(矢印Uで示す上下方向)に対して傾斜して配置されている。両スピーカ120の離間方向と直交する方向と谷部6の長さ方向とのなす角度θを谷部6の傾斜角度とすると、両スピーカ120において、谷部6は、相互に反対方向に同じ大きさの傾斜角度θで傾斜している。そして、両スピーカ120の湾曲板11のなす凸面の周方向(横方向、y1方向、y2方向)が、このアップライト型電子ピアノの前に演奏者が座って演奏するときの聴取位置に向けられる。
したがって、演奏者は、両スピーカ120から発せられる演奏音を高音域まで的確に聞きながら演奏することができる。もちろん、このスピーカ120は、湾曲板11の凸面の周方向に音の広がりが大きいので、このアップライト型電子ピアノの前方に聴衆が配置されている場合には、その聴衆に向けても明瞭に音を伝えることができる。
<第2実施形態>
図12に示す第2実施形態のスピーカ装置150は、ポータブルキーボードに適用した例である。ポータブルキーボードの筐体160の上面の前側(演奏者Pが立つ側)にキーボード部161が設けられ、後側の左右両端部に上面に向けてスピーカ120がそれぞれ設けられている。筐体160に対して演奏者Pが立つ側を前側とし、矢印Fで示す方向を前後方向、演奏者Pから視た筐体160の両側方を左右方向とする。
これらスピーカ120単体は、前述した第1実施形態のものと同様であり、図12には模式的に示している(以降の各図において同様)。このスピーカ120は、その振動体1の谷部6が筐体160の前後方向F(両スピーカ120の離間方向と直交する方向)に対して斜めに配置され、筐体160の後方から前方に向かうにしたがって谷部6を漸次広げるように傾斜して設けられている。キーボード部161の前方で左右方向の中央位置が演奏者Pの聴取位置となり、各スピーカ120の湾曲板11の凸面の周方向(横方向、y1方向、y2方向)が聴取位置に向けられる。
このように谷部6を傾斜して配置したことにより、演奏者Pに対して、左右のスピーカ120から発する音を高音域まで的確に届けることができる。
図13は、一方のスピーカから出力される音の音圧レベルをスピーカの上方500mmの高さ位置で6.3kHz、8kHz、10kHz、12.5kHzの各周波数ごとに測定して得た等高線図であり、スピーカの真上を0dBとしたときの、各位置の減衰量の等値位置を結んだ線図である。また、図中十字線が演奏者の聴取位置を想定している。(a)の列が本実施形態、(b)の列が従来のコーン形スピーカSの場合を示しており、本実施形態のスピーカの場合、演奏者Pの聴取位置まで大きな音圧レベルで確実に音が伝わっていることがわかる。特に周波数が高い音域において、従来のコーン形スピーカSでは演奏者の聴取位置での音圧レベルが小さくなるが、本実施形態のスピーカでは、高音域においても音圧レベルが低下することなく、確実に伝達されている。
<第3実施形態>
各スピーカを筐体に対してコーン部の周方向に沿って回転可能に取り付けて、その谷部の傾斜角度を変えられるようにしてもよい。例えば、図14に示す第3実施形態では、スピーカ120の支持枠3にアクチュエータ2の後方に延びるアーム170を固定し、このアーム170の先端にコーン部8の軸心(翼状振動部7の軸心M)と同心上に軸171を固定し、この軸171を筐体(図示略)に回転可能に保持する。あるいは、支持枠3の外周にコーン部8の周方向に沿う円筒面175を形成しておき、その円筒面175を筐体の開口部の円筒状内周面(ともに図示略)に摺動可能に支持する構成としもよい。
そして、筐体内でスピーカ120をコーン部8の軸心(翼状振動部7の軸心M)回りに回転させて谷部6の傾斜角度を変えることにより、演奏者の身長等に応じた最適な聴取位置にスピーカ120の向きを調整することができる。
<第4実施形態>
第1実施形態及び第2実施形態では、両スピーカ120をアップライト型電子ピアノやポータブルキーボードの筐体110、160に取り付けて筐体110、160と一体化した例を示したが、筐体以外にも、建物の天井、壁、床等にスピーカ120を取り付けた構成とすることも可能である。その場合も、天井や壁、床等の支持体に、前述した構成のスピーカ120が、その谷部6の長さ方向が二つのスピーカ120の離間方向と直交する方向に対して傾斜し、湾曲板11の凸面が支持体の前面部の一部を構成するように取り付けられる。
図15に示す第4実施形態のスピーカ装置200は、二つのスピーカ120を天井300に取り付けた例を示しており、壁310の表面に展示されている絵画等の展示物311に対して、所定距離(展示物311の鑑賞に適した距離)離れた位置を鑑賞位置とし、この鑑賞位置と壁との間の天井300であって、展示物311を介して左右対称位置に、それぞれスピーカ120が天井300の表面の一部を構成するように設けられている。壁310の表面と直交する方向を前後方向Fとする。
各スピーカ120は、谷部6が前後方向F(両スピーカ120の離間方向と直交する方向)に対して斜めに配置され、後方から前方に向かうにしたがって谷部6を漸次広げるように傾斜して設けられている。
したがって、展示物311の正面の鑑賞位置(人Pが立った位置)において、両スピーカ120からの再生音を適切な音圧レベルで聴取することができ、展示物311の正面位置はもちろん、両スピーカ120の広い指向性により、展示物311の周辺の広い範囲にクリアな音を届けることができる。
図16に示す第5実施形態のスピーカ装置210は、二つのスピーカ120を壁310に取り付けた例を示しており、壁310の表面に展示されている展示物311の左右位置で人の高さの半分程度の位置に、展示物311を介して左右対称となるようにスピーカ120が設けられている。この場合、壁310に沿う矢印Uで示す方向を上下方向とする。両スピーカ120の谷部6は、上下方向U(両スピーカ120の離間方向と直交する方向)に対して斜めに配置され、下方から上方に向かうに従って両スピーカ120間で漸次広げるように傾斜しており、凸面の周方向が展示物の正面の聴取位置に向けられている。
したがって、展示物311の正面の聴取位置で両スピーカ120からの再生音を適切な音圧レベルで聴取することができ、展示物311の正面位置だけでなく、展示物311の周辺の広い範囲にクリアな音を届けることができる。
なお、図16(b)に二点鎖線で示すように、人の高さよりも高い位置に両スピーカ120が配設される場合は、谷部6の長さ方向が上方から下方に向かうにしたがって漸次広がるように傾斜して配置され、凸面の周方向が展示物311の正面の聴取位置に向けられる。
これら第4実施形態及び第5実施形態のいずれの場合も、第2実施形態のように、スピーカ120に軸171を設けて、その軸171を中心に回動可能に支持体(天井300、壁310)に取り付け、谷部6の傾斜角度θを調整できるように構成してもよい。
<第6実施形態>
前述の各実施形態では、翼状振動部7の谷部6をコーン部8の軸心を通る直径方向に形成し、コーン部8の軸心と翼状振動部7の軸心Mとを一致させたものを前提としていたが、図17に示す第6実施形態のスピーカ装置220(筐体を第2実施形態と同様のポータブルキーボードに適用した実施形態として示している。次の第7実施形態においても同様。)では、コーン部8の軸心からずれた偏芯位置に谷部6を配置したスピーカ230を用いている。この場合は、二つの湾曲板11の凸面の大きさ(面積)が一つのスピーカ230の左右で異なることになり、コーン部8の軸方向に対して偏った指向特性を示す。図18では、左右二つのスピーカ230において、谷部6の位置を筐体160のキーボード部161側の中央寄りに偏心させた例を示している。
この第6実施形態においても、谷部6は、両スピーカ230の離間方向と直交する方向である筐体160の前後方向Fに対して傾斜して配置される。
<第7実施形態>
コーン部8を有しない翼状振動部のみからなる振動体とすることも可能である。図18及び図19に示す第7実施形態のスピーカ装置250においては、各スピーカ260の翼状振動部261として、平面視で長方形状の一対の湾曲板11により凸面を形成し、その凸面の各々の側部どうしの間で谷部6を形成したものであり、筐体160に形成した矩形状の穴163に翼状振動部261を臨ませ、両湾曲板11の谷部6と反対側の側縁部を穴163の縁部に支持している。この場合、谷部6の両端部を塞ぐように筐体160の穴163の内縁に立ち壁を形成すれば、翼状振動部261に谷部6を塞ぐ部材は必ずしも必要ではない。
この第7実施形態においても、谷部6は、筐体160の前後方向F(両スピーカ260の離間方向と直交する方向)に対して傾斜して配置される。
<その他の変形例>
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、コーン部を有する振動体とする場合、翼状振動部の外側を円錐面状のコーン部に連結し、そのコーン部の外周縁に円形リング状のエッジ部に接続したが、翼状振動部を谷部と直交する方向よりも谷部の長さ方向に長い形状とし、コーン部を翼状振動部の谷部の長さ方向に沿って長い楕円錐面状に形成して、エッジ部も楕円形のリング状に形成してもよい。また、コーン部は、一般的なダイナミックスピーカとして用いられる振動板であれば、円錐面状や楕円錘面状以外の形状でもよく、正面視で丸型や角型、あるいは角型に丸型を組み合わせた形状でもよく、全体として錐形状に形成されていればよい。翼状振動部の形状も、上記コーン部の形状に合わせて、適宜変更可能である。
また、振動体は、コーン部、翼状振動部を一体成形するのが好ましいが、これらを別々に成形して接合することも可能である。翼状振動部も1枚の板状材料として一体成形する場合以外に、2枚の湾曲板の一側部どうしを接着して形成してもよく、その接合部も、板状の材料をU字状に折り返して形成した形態以外に、板状の材料をV字状に折り返して形成した形態でもよいし、2枚の湾曲板の一側部どうしを所定幅で接着して帯板状に形成した形態としてもよい。また、帯板状の補強板あるいは補強ワイヤ等の補強部材を接合部に沿って固着して接合部を直線状に補強した形態等としてもよい。
また、振動面の剛性を補強するために、リブやブロック等を振動体の裏面に付加して固着してもよい。翼状振動部の放射面に対しては、湾曲板の凸面に横方向に沿って板状又は棒状のリブを設けることが可能である。この翼状振動部は、前述したように、凸面を再生音の放射面としているので、その凸面の周方向に沿う横方向への指向性は広いが、縦方向には横方向と比較して狭いという特性を有しており、このため、凸面の放射面に横方向に沿って板状又は棒状のリブを設けたとしても、音響的な影響は少ない。
さらに、振動体を往復駆動する変換部として、ボイスコイルモータを適用したが、ボイスコイルモータに代えて、圧電素子等を用いてもよい。
また、上記実施形態ではいずれも本発明をスピーカに適用したが、本発明をマイクロホンに適用することも可能である。本発明をスピーカに適用する場合は、ボイスコイルモータ等の変換部が、音声信号に基づく電気信号を振動体の振動に変換するが、本発明をマイクロホンに適用する場合も、変換部としてボイスコイルモータ等を用いることができ、その場合の変換部は、音波を受けて振動する振動体の振動を電気信号に変換する。そして、本発明を適用したマイクロホンは、コーン部と翼状振動部における湾曲板の凸面とが振動面であり、その振動体の全体が一様に振動することにより、感度を維持しながら低音域から高音域まで広い周波数帯域に亘って広い指向性で収音することができる。
1…振動体、2…アクチュエータ(変換部)、3…支持枠、4…エッジ部、6…谷部、7、8…コーン部、11…湾曲板、13…接合部、20…ボイスコイル、21…磁石機構、22…ダンパー、23…磁石、24…アウターヨーク、25…インナーヨーク、25a…ポール部、26…磁気ギャップ、30…フランジ部、31…アーム部、32…環状フレーム部、33…端子、34…取り付け孔、100、150、200、210、220、250…スピーカ装置(音響装置)、110、160…筐体(支持体)、120、230、260…スピーカ、171…軸、261…翼状振動部、300…天井(支持体)、310…壁(支持体)

Claims (2)

  1. 支持体の前面部に、二つの振動体が相互間隔をおいて設けられているとともに、これら振動体は、一対の湾曲板の各々の凸面の一方の側部どうしの間で谷部を形成した翼状振動部を有し、前記湾曲板の凸面が前記支持体の前面部の一部を構成するように配置され、かつ、両振動体の前記谷部の相互間隔を前記谷部の一端から他端に向けて漸次広げるように各谷部の長さ方向が両振動体の離間方向と直交する方向に対して傾斜して配置されていることを特徴とする音響装置。
  2. 前記振動体は、両振動体の離間方向と直交する方向に対する谷部の傾斜角度をそれぞれ調整可能に設けられていることを特徴とする請求項1記載の音響装置。
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