JP2008538342A - 弾支されたボールスクリュー式ギヤを有するパワーステアリング - Google Patents
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Abstract
ボールスクリュー式ギヤの部材(1)が軸受(7)により回転自在に支承され、部材(1)の支持部(6)が妨害力の作用方向に応じて旋回運動を可能にするボールスクリュー式パワーステアリング。
Description
本発明は請求項1の上位概念の特徴を有するボールスクリュー式パワーステアリングに関する。
上記類別に基づくパワーステアリングはドイツ特許公開DE10310492Aにより周知である。
上記類別に関する文書は、ベルトとベルト車からなるステアリングギヤを記述する。その場合電気モータの出力軸及びプッシュロッドがそれぞれベルト車を備え、これらのベルト車はベルトによって連結される。またプッシュロッドはボールスクリュー式ギヤユニットの一部をなし、ユニットはさらに偏心輪、ボールナット又はステアリングナット、軸受及びベルト車を含む。プッシュロッドはボールナットとともにおおむねボールスクリューを構成する。ボールナットは軸受によってステアリングハウジングの中に支承される。
偏心輪は、ベルト又はベルト車の取付けが予荷重なしで行えるように、電気モータの出力軸とプッシュロッドの軸間隔を変えることを可能にする。
その場合ボールナットの支承で重要なのは、軸方向にも半径方向にも支持部の遊びが極めて小さいことである。また支持部は若干の旋回性を持たなければならない。そのために溝付き玉軸受及び4点接触軸受が一般的先行技術により知られている。その場合溝付き玉軸受は優れた旋回性を有するが、大きな軸方向遊びもある。在来の4点接触軸受は軸方向遊びが少ないが、極めて小さな旋回性しかない。柔軟に支承された4点接触軸受(例えばばね部材により)も周知であるが、これは設計上複雑な構造になっており、その他の望ましくない副作用がある。
特に支承される部材がステアリングシステムのボールスクリュー式ギヤの、元来高い軸方向力に適したボールナットであるならば、走行運転中に高いタイロッド力が現れ、それがスピンドルの大きなたわみを生じることが可能である。横力と曲げモーメントがギヤユニットの不均一な荷重分布及び個別部品(ボールナット、スピンドル、ボール)の付加荷重をもたらす。この荷重が不当に高ければ、必要な寿命が得られない。
また、すでに組立時に許容差、形状及び位置偏差又は調整過程の結果、一部で横力と曲げモーメントが現れ、ひずみや摩擦の増加をもたらし、ついには締め付け効果を生じる。
その他の先行技術については、ドイツ特許公開DE10052275A1並びに欧州特許EP0101579B1及びEP0133003B1を参照のために挙げる。
そこで本発明の根底にあるのは、ボールスクリュー式ギヤの縦長の部材が回転自在に支承され、支持部に極めて小さな軸方向遊びと、妨害力の補正のために良好な旋回性を持たせたボールスクリュー式パワーステアリングを提供する課題である。
この課題は本発明に基づき請求項1の特徴部分によって解決される。
本発明に基づくパワーステアリングは、軸方向遊びをごく小さくし、妨害力を補正するために優れた旋回性又は旋回角及び旋回モーメントを持たせて、縦長の部材をステアリングギヤの中に支承することを可能にする。
本発明は特にベルト及びベルト車を有するステアリングギヤのボールスクリュー式ギヤユニットのボールナットの支承に適している。なお発明者は、おおむね妨害力の原因であるタイロッド力の横力分と作用方向がタイロッド又は車両のキャンバ及び弾性たわみに左右され、作用方向は一定でないが、当該の負荷の場合、限られた許容範囲内で変動することを認識していた。
その場合本発明に基づき支持部が妨害力の作用方向に応じて旋回運動を行わせるようになっている。そこで好ましい実施形態では、支持部が少なくとも1つの軸受旋回軸の周りに旋回可能な軸受を有し、軸受旋回軸は少なくとも近似的に、妨害力が部材に旋回運動を強制する妨害力旋回軸に相当するようにした。軸受を含めて支承される部品は、こうしてステアリングシステムの最適な旋回軸又は妨害力から生じる妨害力旋回軸にほぼ相当する旋回軸の周りに旋回可能である。好ましい軸受旋回軸を確定することにより、本発明に基づく装置は設計上簡単な、持続的使用に適した構造を有する。
軸受が旋回装置の一部である(これに直接組み込まれている)か、又は軸受が旋回装置の内部に配置又は固定されているならば好都合である。
軸受は軸方向遊びがごく僅かな玉軸受、例えば4点接触軸受であることが好ましい。
本発明に基づく解決策は、遊びの少ない又は遊びのない支持部を可能にし、その場合支持部は大きな旋回角と、とりわけ妨害力旋回軸に相当する優先軸(軸受旋回軸)の周りの設計可能な旋回モーメントを有する。支持部に対して高い軸方向及び半径方向力が許容される。ひずみなしに組立を行うことができるから、ステアリングシステム(又は他のシステム)の摩擦への影響が最小化される。本発明に基づく装置は横力、たわみ(スピンドルのたわみ)及び傾きの場合でも均一な荷重分布を可能にし、従ってボールスクリュー式ギヤに特に適している。
本発明に基づく装置によって、ギヤユニット及び全システムの高い寿命が生じる。
発明の有利な改良及び実施態様が従属請求項で明らかである。次に図面に基づき発明の実施例の概要を説明する。
図面はステアリングギヤの中の縦長の部材1を回転自在に支承するための装置を示す。
本発明に基づく装置はとりわけステアリングギヤの部材を回転自在に支承するのに適している。この点について図1は好ましい実施例を示す。その場合部材はステアリングシステムのボールスクリュー式ギヤのボールナット1又はステアリングナット1である。ボールスクリュー式ギヤの機能は一般的先行技術でよく知られており、この点については例えばドイツ特許公開DE10310492A1を参照のために挙げる。図1はベルト3を介してボールナット1を駆動する駆動ユニット2を示す。これはスピンドル4の直線又は軸方向運動をもたらす。スピンドル4はタイロッド5を介して車両の詳しく図示しない車輪を操縦する。なおボールナット1は支持部6によって回転自在に支承され、支持部6は妨害力(おおむねタイロッド力から生じる)の作用方向に従って旋回運動を行わせる。
また図1はボールナット1の支持部6の配列の概要を示す。支持部6の種々の実施形態の横断面図が図2ないし10に示されている。
図2ないし10で明らかなように、支持部6は軸受7を有する。軸受7は少なくとも1つの軸受旋回軸8の周りに旋回可能である。軸受旋回軸8は少なくとも近似的に妨害力旋回軸に相当する。妨害力はボールナット1又はスピンドル4にこの軸の周りの旋回運動を強制する。当該の負荷の場合、妨害力の作用方向は限られた許容範囲内で変動するから、妨害力旋回軸をこれから計算し、軸受旋回軸8を適当に決定し、又は整列することができる。
本例では軸受は4点接触軸受の形の玉軸受である。原則として他の軸受も、とりわけ軸方向遊びがごく小さければ適している。
次に実施例で示すように、旋回作用は旋回装置9自体の変形及び/又は当該の支持部材10のねじりに基づく。
図2は旋回装置9の中の玉軸受7の配置を示す。その場合旋回装置は内輪11及び外輪12を有する旋回リング9として形成され、内輪11と外輪12はブリッジ13によって連結されている。玉軸受7は旋回リング9の中に固定されている。玉軸受7は内輪7a、外輪7b及びその間に配置されたボール7cを備えた慣用かつ周知の構造を有する。
旋回リング9の内輪11と外輪12は2つのブリッジ13によって連結され、ブリッジ13は旋回リング9の相対する位置に少なくとも近似的に一線をなして配置されている。その場合2つのブリッジ13の軸は軸受旋回軸8をなす。
図示の便宜上、図2及び以下の図にはボールナット1とスピンドル4を図示しない。ボールナット1、スピンドル4及び2つの部材を結合するボールは通常のように配置され、玉軸受7によって支承される。
図3は本発明に基づく装置の変型を示す。この変型は玉軸受7の外輪7bが旋回リング9の内輪11をなすことが図2と相違する。この内輪は図2と同様に2つのブリッジ13によって外輪12と結合される。2つのブリッジ13の軸はやはり軸受旋回軸8をなす。
図示しない実施形態では図2及び図3に示した実施形態に基づき、組立時にすでに生じる傾きを補正するために、弾性部材を使用できるようになっている。そのために弾性部材によって旋回リング9とハウジング14が結合されるようにすることができる。その場合、弾性部材を旋回リング9に半径方向及び/又は軸方向に配置することができる。
図4は、ハウジングの受座14aに対して旋回リング9をねじることができる本発明装置の実施形態を示す。そのために旋回リング9は偏心構造を有し、ハウジング14に対するボールナット1、さらにはスピンドル4の位置を変化できるようになっている。
ハウジング14に対する旋回リング9の偏心構造によって、支承された部材の位置を変更できることは、特に図1に示すようにベルト伝動装置を使用する場合に特に適していることが判明した。こうして調整、例えばベルトの張りの調整を簡単に行うことができるからである。
図4の旋回リング9は図3の実施形態と同様に構成され、玉軸受7の外輪7bが旋回リング9の内輪11をなす。しかし図4の実施形態は図2の構造を有することもできる。いずれの実施形態でも、組立時の傾きを適当に補正するために、弾性部材(軸方向及び/又は半径方向)の使用が原則として可能である。
図5は、ハウジングの受座14aに対する旋回リング9のねじりの代わりに、旋回リング9をハウジング14の中で移動するようにした本発明の実施形態を示す。そのために旋回リング9は調整装置16を有する。調整装置16はハウジング14に対するボールナット1及びスピンドル4の位置を変更することを可能にする。こうして図4と同様に、調整、例えばベルト伝動装置のベルトの張りの調整を簡単に行うことができる。図5の旋回リング9は原則として図3の実施形態に基づきすでに説明した構造を有し、外輪12が調整装置16に置き換えられている。なお調整装置16は、内輪11の反対側のブリッジ13の端部に配置された2個の固定具16a、16bを有する。固定具16a、16bはハウジング14と任意に適当に結合することができ、その際ハウジング14の中の軸受の移動は、ブリッジ13が固定具16a、16bに対して移動可能であるか、又は固定具16a、16bの固定がハウジング14に対して移動可能であることによる。
図3の実施形態と同様に、外輪7bを旋回リング9の内輪11と一体に形成することもできる。原則として図5のすべての実施形態で、周囲のハウジング14との結合のために軸方向及び/又は半径方向に配置された弾性部材を使用することも可能である。
図6は、旋回装置が旋回リング9として形成され、旋回リング9がその外側の2つの相対する位置にジャーナル17、突出部等を有し、これがハウジング側の支持部材10に支承される本発明装置の実施形態を示す。ジャーナル17は旋回リング9又は支持部材10に任意に配置することができる。所望の旋回性(旋回モーメント、騒音発生等)に応じてジャーナル17を、図6に示すように補助ラジアル軸受18により支持部材10の中に配置することができる。その場合ジャーナル17の軸は軸受旋回軸8をなす。玉軸受7は旋回リング9に固定される。
図7は、図6に示す実施形態と異なり、旋回リング9が玉軸受7の外輪7bからなるようにした本発明装置の実施形態を示す。その他の構造は図6の実施形態に相当する。
図8は、図6の実施形態にも図7の実施形態にも適する本発明装置の変型を示す。その場合、組立時に生じる組立ひずみ又は傾きの補正のために、支持部材10の区域に弾性部材15が設けられている。弾性部材15は前述と同じ役割を遂行するが、前掲の図では弾性部材が示されていない。弾性部材15は支持部材10をハウジング14に対して移動可能に配置することを可能にする。その場合、軸方向及び/又は半径方向に配置された部材15によって、支持部材10とハウジング14を結合することができる。
図9は、図8の実施形態と異なり、組立時に生じる傾きに影響を及ぼすようにした本発明装置の変型を示す。弾性部材15の少なくとも1つ又は支持部材10に作用するその力が調整可能であることによって、これが行われる。図9に示す実施形態によれば、ねじ部材19によって調整が行われる。但しこの点については、多数のその他の可能性が一般的先行技術により明らかである。
図10は、軸受又は支承される部材(ボールナット1、スピンドル4)がハウジング14の中で移動可能であることが請求項6の実施形態と異なる本発明装置の実施形態を示す。ハウジング14の中で移動することによって、支承される部品の位置が変更され、それによって調整、例えばベルト伝動装置のベルトの張りの調整が行われる。図10に示す実施形態によれば、ハウジング14に対する支持部材10の位置を変えることができ、それによって玉軸受7及び支承される部品(ボールナット1、スピンドル4)の位置も変化する。さらに支持部材10が細長い穴を有し、それによってハウジング14に対する支持部材10の位置を簡単に変更できるようにした。
本発明に基づくこの装置は、ボールナットがベルト伝動装置により駆動されるボールスクリュー式ギヤユニット、例えば図1に概要を示した軸平行な駆動装置での使用に特に適している。しかし本発明に基づく装置はこれに限定されるものではない。むしろ本発明装置は、妨害力(例えば横力、曲げモーメント)が負荷される部材を回転自在に支承することになっている別種の装置での使用にも適している。
Claims (24)
- ボールスクリュー式ギヤの縦長の部材(1)が軸受(7)により回転自在に支承され、部材(1)の支持部(6)が妨害力の作用方向に従って旋回運動を可能にするボールスクリュー式パワーステアリングにおいて、下記の特徴、即ち
−軸受(7)が旋回装置(9)の一部であり、
−旋回装置が内輪(11)と外輪(12)を有する旋回リング(12)として形成され、内輪(11)と外輪(12)がブリッジ(13)によって連結されている
ことを特徴とするパワーステアリング。 - 軸受(7)が少なくとも1つの軸受旋回軸(8)の周りに旋回可能であり、軸受旋回軸(8)が少なくとも近似的に、妨害力が部材(1)に旋回運動を強制する妨害力旋回軸に相当することを特徴とする請求項1に記載のパワーステアリング。
- 軸受(7)が旋回装置(9)の内部に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載のパワーステアリング。
- 旋回装置(9)が変形可能であることを特徴とする請求項1または3に記載のパワーステアリング。
- 2個のブリッジ(13)が設けられ、これらのブリッジが旋回リング(9)の相対する位置に少なくとも近似的に一線をなして配置されていることを特徴とする請求項1に記載のパワーステアリング。
- ブリッジ(13)が軸受旋回軸(8)をなすことを特徴とする請求項5に記載のパワーステアリング。
- 旋回リング(9)の内輪(11)が軸受(7)の外輪(7b)からなることを特徴とする請求項1、5および6のいずれか一項に記載のパワーステアリング。
- 旋回リング(9)が弾性部材(15)によりハウジング(14)と結合され、弾性部材(15)が旋回リング(9)に半径方向及び/又は軸方向に配置されていることを特徴とする請求項1および5〜7のいずれか一項に記載のパワーステアリング。
- 旋回装置(9)をハウジングの受座(14a)に対してねじることができることを特徴とする請求項1および3〜8のいずれか一項に記載のパワーステアリング。
- 旋回装置(9)が偏心構造を有し、旋回装置(9)をハウジングの受座(14a)に対してねじることによって、支承される部材(1)のハウジング(14)に対する位置が変更されることを特徴とする請求項9に記載のパワーステアリング。
- 軸受(6)がハウジングの受座(14a)に対して移動可能であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載のパワーステアリング。
- 旋回装置(9)が、ハウジング(14)に対する軸受(7)の位置及び支承される部材(1)の位置を変更することを可能にする調整装置(16)を有することを特徴とする請求項11に記載のパワーステアリング。
- 旋回リング(9)の外輪(12)が調整装置(16)に置き換えられていることを特徴とする請求項1または12に記載のパワーステアリング。
- 旋回装置が旋回リング(9)を有し、旋回リング(9)がその外側の2つの相対する位置に少なくとも近似的に一線をなしてジャーナル(17)を有し、ジャーナル(17)がハウジング側の支持部材(10)に支承されることを特徴とする請求項1または3に記載のパワーステアリング。
- ジャーナル(17)が軸受旋回軸(8)をなすことを特徴とする請求項14に記載のパワーステアリング。
- ジャーナル(17)がラジアル軸受(18)により支持部材(10)に支承されることを特徴とする請求項14または15に記載のパワーステアリング。
- 旋回リング(9)が軸受(7)の外輪(7b)からなることを特徴とする請求項14、15または16に記載のパワーステアリング。
- 支持部材(10)がハウジング(14)に対する組立ひずみの補正のために移動可能に配置されていることを特徴とする請求項14〜17のいずれか一項に記載のパワーステアリング。
- 支持部材(10)が支持部材(10)に軸方向及び/又は半径方向に配置された弾性部材(15)によりハウジング(14)と結合されていることを特徴とする請求項18に記載のパワーステアリング。
- 少なくとも支持部材(10)に働く弾性部材(15)の力が調整可能であることを特徴とする請求項19に記載のパワーステアリング。
- ねじ部材(19)によって調整が行われることを特徴とする請求項20に記載のパワーステアリング。
- 軸受が軸方向遊びのごく少ない玉軸受(7)であることを特徴とする請求項1〜21のいずれか一項に記載のパワーステアリング。
- 玉軸受(7)が4点接触軸受であることを特徴とする請求項22に記載のパワーステアリング。
- 部材がステアリングシステムのボールスクリュー式ギヤのボールナット(1)であることを特徴とする請求項1〜22のいずれか一項に記載のパワーステアリング。
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