JP2008533133A - アレルギー疾患の治療の為のヒスタミン−含有組成物 - Google Patents

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Abstract

本発明は活性成分としてヒスタミン、免疫グロブリン及びアレルゲンを含む薬学的組成物を提供する。本発明は前記活性成分を含むアレルギー疾患治療用キットを提供する。本発明はさらに、アレルギー疾患治療用医薬の製造の為の前記組成物の用途を提供する。追加して本発明は哺乳動物に前記薬学的組成物を投与することを含むアレルギー疾患の治療方法を提供する。本発明の薬学的組成物、そのアレルギー疾患治療用用途、それを利用する治療方法によれば、標準的な薬物治療のみではアレルギー疾患の症状が十分に調節されないアレルギー疾患を有する患者等からもアレルギー疾患を効果的に治療することができる。
【選択図】なし

Description

本発明はアレルギー疾患治療用薬学的組成物、アレルギー疾患治療用キット、アレルギー疾患治療用医薬の製造の為の前記組成物の用途及びアレルギー疾患の治療方法に関する。
特定抗原物質に対する過敏な免疫反応(アレルギー反応)により、皮膚や気道又は眼球粘膜に炎症反応と過敏症を同伴するアトピー性皮膚炎、アレルギー鼻炎、アレルギー結膜炎、蕁麻疹、アレルギー性喘息等を含むアレルギー疾患が発生すると知られている(Bierman CW, et al. (eds.) Allergy, asthma, and immunology from infancy to adulthood. page xvii, Saunders, Philadelphia, 1996)。一般的に、当業界ではアレルギー反応又はIgE抗体媒介過敏反応を誘発し得る抗原物質等をアレルゲンと定義している。最近になり、アレルギー疾患は環境的な要因の変化により、世界的にその誘病率が急増する趨勢であるものの、未だに正確な発病機転が究明されないことにより根本的な治療が難しい状況である。
アレルギー反応とアレルギー疾患等は下記のような段階により生成されると知られている。
(1)特定遺伝的性向を生まれ持つ患者等が、主に自分の環境に存在する過敏な免疫反応(アレルギー反応)を起し得る物質 [アレルゲン、allergen; 主に外部環境に存在するチリダニ(ハウスダストダニ、house dust mite)、花粉、動物のフケ、真菌等がそれに該当する] に露出されることにより、それらのアレルゲンと反応する特異抗体(IgE抗体等)とアレルゲン-特異T細胞を形成する。このような過程はアレルゲンに対して感作されると表現される。
(2)前記特定アレルゲンに感作された人が気道、眼球及び胃腸管粘膜や皮膚を通じて同一アレルゲンに再度露出されると、前記アレルゲンがIgE及びIgG受容体を有する肥満細胞(mast cell)のような細胞等の表面に付着されている前記アレルゲン-特異IgE及びIgG抗体と反応するか又は、アレルゲン-特異T細胞と反応して、前記細胞等からヒスタミンを初め、多様な化学媒介物質等が分泌される。
(3)前記人間の気道及び眼粘膜又は皮膚に存在するIgE及びIgG受容体を有する細胞及びT細胞等から分泌される化学媒介物質等により、気道粘膜、眼粘膜、皮膚に慢性的な炎症が発生し、前記組織の過敏な状態と共に、気道の収縮及び呼吸困難、鼻粘膜と眼粘膜の痒み症、くしゃみ、気道の浮腫、さらに、皮膚の蕁麻疹、掻痒症、湿疹、角質及び苔癬化等がアレルギー疾患と関連した多様な臨床症状を誘発すると知られている。
前記アレルギー反応は免疫学的な過敏反応の一種にして、第1型から第4型までの過敏反応機転(Gell and Coombs' classification of hypersensitivity reaction)として分類され、普通狭意における典型的なアレルギー反応はIgE抗体により、媒介される第1型過敏反応機転により発生するとして知られているものの、アレルギー疾患の発病機転に第2型、第3型又は第4型過敏反応機転も共に関与する可能性も提示されている。従って、広意におけるアレルギー反応はそれを表す宿主自身に有害となる全ての形態の免疫学的な過敏反応と、それにより発生する現象等を指称する(Bierman CW, et al. (eds.) Allergy, asthma, and immunology from infancy to adulthood. page xvii, Saunders, Philadelphia, 1996)。
一方、前記のアトピー性皮膚炎、アレルギー性喘息、アレルギー結膜炎、アレルギー鼻炎、又は蕁麻疹等のアレルギー疾患等は、それぞれ疾病の臨床的表現様相は異なるものの、極めて類似した病因機転により発病するものとして知られている。それにより、相当数のアレルギー疾患患者等において、2種以上のアレルギー疾患等を同時に患っている場合が多いと知られていて、前記の5種のアレルギー疾患を同時に有する患者等も観察することができる。
アレルギー疾患の治療の為に、現在アレルゲン-回避療法、薬物治療法、さらにアレルゲン-免疫療法の3種の治療法が施行されている。
アレルゲン-回避療法は、それぞれの患者等において原因アレルゲン等を探し出してそれに対する露出を最大限減らす方法である。動物又は人間にアレルギー反応を誘発する原因アレルゲンは、既に公知された方法によりアレルゲンを皮膚に投与して、発赤、膨疹、又は浮症を観察する皮膚試験や血清アレルゲン-特異IgE抗体検査を通じて確認することができる(Board of Directors. Allergen skin testing. J Allergy Clin Immunol 92:653-7, 1993; Bierman CW, et al. (eds.) Allergy, asthma, and immunology from infancy to adulthood. p144-156, Saunders, Philadelphia, 1996)。このような回避療法は理論的に最も理想的ではあるものの、現在までは現実的に患者等に臨床症状を有意に好転させる程度に、日常生活においてチリダニや花粉等のありふれたアレルゲン等に対する露出を効果的に減らすことは困難なことでもあり得る。
薬物治療法は原因アレルゲンに対するアレルギー反応と、その他の悪化因子等により誘発された多様な組織の炎症反応と化学媒介体の分泌による、身体的な反応により発生される臨床症状等が抑制できる薬物を投与して臨床症状を好転させる方法である。しかしながら、このような薬物治療法は薬物が投与される間にのみ臨床症状を好転させるだけで、疾病を根本的に改善できないものとして知られている。現在アレルギー疾患の薬物治療に用いられている副腎皮質ステロイド剤や、ロイコトリエン拮抗剤、アンチヒスタミン剤、抗-IgE抗体治療剤等の治療薬物を全身的に投与する場合、1人の患者から2種以上のアレルギー疾患を有する場合にも、それぞれの疾患等と関連した臨床症状を同時に好転させ得ると知られている。
最後に、アレルゲン-免疫療法(又は脱感作療法とも表現する)は、アレルギー疾患を有する患者等に、原因アレルゲンを少量から漸次増量して一定間隔で皮下注射、舌下、非粘膜、又は口腔から投与して原因アレルゲンに対する過敏反応を減少させ、アレルギー疾患を根本的に好転させる治療法である。普通は皮下注射を利用したアレルゲン投与が最も普遍的なアレルゲン-免疫療法の方法として知られている。
1911年にNoonによりアレルギー疾患患者に過敏反応を呈するアレルゲンを、低い容量より漸次高い容量に増量しながら一定間隔で皮下に注射してアレルギー疾患を好転させるアレルゲン-免疫療法が開発されて以降(Lancet 1911;1:1572-3)、現在まで極めて有用なアレルギー疾患の治療法として利用されつつある(Bousquet J, 等; J Allergy Clin Immunol 1998;102:558-62)。特に、アレルゲン-免疫療法はアレルギー性喘息、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、蜂毒アレルギー等に対して効果的な治療法として知られている(Bousquet J, 等; J Allergy Clin Immunol 1998;102:558-62)。
しかしながら、未だにアレルゲン免疫療法の正確な作用機転が明確に究明されていない状態であり、アレルギー反応を呈する患者等の内一部では現在のアレルゲン-免疫療法だけでは、薬物治療が不要な程度に十分な臨床症状の好転が得られない場合も多々ある。特に、アトピー性皮膚炎の場合、アレルゲン免疫治療の効果が一部でのみ観察され、その効果の程度が未だに大多数の専門家等が認める程に著名でなく、最近発表された国際的な根拠中心(evidence-based)のアトピー性皮膚炎の治療指針等において、標準治療として認められていない実情である(Hanifin JM, et al. Guidelines of care for atopic dermatitis. J Am Acad Dermatol 2004;50:391-404.)。Wuthrichはアトピー性皮膚炎と共にアレルギー性喘息や、アレルギー性鼻炎のような呼吸器アレルギー疾患が同伴された小児患者等を3年間アレルゲン-免疫療法で治療した場合、70%の患者から呼吸器アレルギー疾患は好転されたものの、同様な患者等においてアトピー性皮膚炎の場合、80%において有意な好転がないとして報告されている(Wuthrich B. Ann Allergy 1999;83:464-70)。このような結果は、現在施行されている姑息的な免疫治療がアトピー性皮膚炎の治療にはっきりした効果が無い可能性を示唆する結果と判断される。アトピー性皮膚炎患者の多数は現在アトピー性皮膚炎治療の為に、普遍的に利用される局所的な(topical)保濕療法、局所的ステロイド、局所的免疫調節剤の使用のみでは患者自身が満足する程に十分に調節されない場合が多い。このような難治性アトピー性皮膚炎患者において、全身的ステロイドや免疫抑制剤を投与するのが臨床的に症状が緩和できるものの、疾病の経過が長期的な理由により、持続的な使用に伴う全身的な副作用の発生可能性が高く、継続して使用できない場合が多い(Ellis C, et al. Bri J Dermatol 2003(Suppl.63):3-10)。
さらに、アレルゲン-免疫療法の効果は、投与されるアレルゲンの容量が多い程一層顕著だとして知られているものの、アレルゲン容量が多い程免疫療法による局所的又は全身的な副作用の発生危険が大きいとして知られている。アレルゲン免疫療法の局所的な副作用としては、注射部位の浮腫、痛症、発赤等であり、全身的副作用としては全身的な蕁麻疹、呼吸困難、目眩症、ショック等の発生を指称する。特に、アレルゲン-免疫療法の施行を受けた一部の患者等において、甚だしい全身的なアレルギー反応が発生して死亡した証例等も報告されている(Rockey RF, et al. Ann Allergy Asthma Immunol 2001;87:47-55)。既存の文献等に報告された全身的な副作用の発生率は報告者によって差があるものの、0.8%から46.7%と多様であり、386名のアレルギー疾患患者等を対象に施行した22,722回のアレルゲン-免疫療法注射治療を分析した或る報告では、全身的な副作用の発生率が全体患者の6.22%において1回以上の全身的な副作用を経験し、注射1回当り0.12%の発生率を呈するとして報告された(Ohashi Y, et al. Acta Otolaryngol 1998;538:113-7)。同じ報告において特にアトピー性皮膚炎を有する患者等においては、全身副作用の発生率が43.75%であるのに比べて、アトピー性皮膚炎を有していない患者等の場合、2.82%のみが全身副作用が発生して有意に高い全身副作用の発生率を呈し、報道した。このようなアレルゲン-免疫療法の安全性の問題により、国家別にアレルギー疾患患者等の治療過程で、アレルゲン-免疫療法が施行される頻度にかなりの差があると知られている。
それにより、アレルゲン-免疫療法の治療効果をより高めて副作用を最小化する為の多様な試みがなされている実情である(Casale TB, et al. J Allergy Clin Immunol 2006;117:134-40)。
既存のアレルゲン-免疫療法の効果をさらに高めて、副作用を最小化する為の試みの1つとして、Saint-Remy等はアレルゲンを付着させたアガロースビードを利用して、吸着クロマトグラフィー(affinity chromatography)法でアレルギー疾患を有する患者の血漿からアレルゲンと反応する特異抗体のみを分離し、アレルゲンと混合して免疫複合体を形成させ、それを同一な患者に少量から順次的に増量しながら、真皮内に注射して投与する免疫療法を開発した(Saint-Remy JM 等, Clin Exp Allergy 1994;24:1091-3)。この方法はチリダニに感作されたアトピー性皮膚炎とアレルギー性喘息患者に臨床的に効果的であり、比較的安全な治療法であることが報告された(Saint-Remy JR 等, Clin Exp Allergy 1994;24:1091-3)。しかしながら、前記アレルゲン-特異抗体免疫複合体を利用した免疫療法は、患者毎に個別的にアレルゲン-特異抗体を分離しなければならないので、治療薬剤を製造する過程が極めて複雑な点による製造費用の増加と、製造過程における感染性原因物質の混入等の安全性の面で虞の高い点等から普遍的に使用され難い点等の問題点があった。それにより、アレルゲン-特異抗体免疫複合体を利用した免疫療法は、最初にそれを報告したSaint-Remyグループ以外に、現在まで他の研究者等によりアレルギー疾患の治療に明確な効果のあることが再現されない実情である。それにより、前記アレルゲンと、特異-抗体免疫複合体を利用した免疫療法は、臨床的な効果と治療に伴う安全性に対する十分な根拠が不足するとの理由により、未だにアトピー性皮膚炎を含むその他のアレルギー疾患の国際的な治療指針等において標準的な治療法として認められていない実情である(Hanifin JM, et al. J Am Acad Dermatol 2004;50:391-404)。
一方、1951年ParrotとLabordeにより、アレルギー疾患患者等より減少されているヒスタミン固定能(histaminopexy)を回復させる為の方法として、正常人の血清ガンマグロブリンとヒスタミンを結合させ、複合体の状態に作り投与する治療法が開発された以降(J Physiol 1951;40:885-9)、ヨーロッパと日本を含む多くの国々からアレルギー性鼻炎、気管支喘息、アトピー性皮膚炎、さらに慢性蕁麻疹の治療の為現在まで広範囲に使用されている(Yoshii H, 等; J Allergy Clin Immunol 1997;100:809-16)。このようなヒスタミン-免疫グロブリン複合体を利用した治療法を、一部では‘非特異的免疫療法’とも称される。アレルギー動物モデルにおいてヒスタミン-免疫グロブリン複合体を注射する場合、アレルギー炎症反応の減少と共に、血清内のTNF-alpha、IL-4、さらに、アレルギー特異IgE抗体が減少される免疫調節効果を呈するとして知られている(Ayoub M, 等; Int Immunopharmacol 2003;3:523-539)。アレルギー動物モデルにおいてヒスタミン-免疫グロブリン複合体投与による抗炎症効果は、同一な量のヒスタミン単独又は免疫グロブリン単独投与の際には、観察されない点に基づきヒスタミンと免疫グロブリンの2種の物質の結合がアレルギー疾患の治療効果に重要な役割をするものと判断されている(Yoshii H, 等; J Allergy Clin Immunol 1997;100:809-16)。しかしながら、ヒスタミン-免疫グロブリン複合体を利用した‘非特異的免疫療法’は単独療法として利用する場合、現在使用される標準的な薬物治療に比べて臨床的に際だった良い効果を表し得ず、アトピー性皮膚炎を含むその他のアレルギー疾患の国際的な治療指針等において、標準療法として認められない実情である。(Hanifin JM, et al. J Am Acad Dermatol 2004;50:391-404)。
現在まで‘アレルゲン-免疫療法’とヒスタミン-免疫グロブリン複合体を利用した‘非特異的免疫療法’はそれぞれ単独で又は、他の薬物治療法と併行して使用され、前記のそれぞれの2種の治療法等は、前記にて察した通り限界点があった。それにも拘らず現在まで‘アレルゲン-免疫療法’とヒスタミン-免疫グロブリン複合体を利用した‘非特異的免疫療法’2種を併合(combination)し、2種の治療薬剤等を混合して同時に投与することにより、アレルギー疾患を治療しようとする試みは未だに無かった。
本発明者等は既存の薬物治療法のみでは効果的に好転されない甚だしいアレルギー疾患を有する患者等において、より効果的な治療薬物及び治療方法を開発する為に多くの努力を注いだ。そのような努力の一環として本発明者等は既存のアレルゲン-免疫治療と、ヒスタミン-免疫グロブリン複合体を利用した非特異的免疫治療を併合する場合、既に使用してきたそれぞれの治療方法よりアレルギー疾患の治療により優れた効果を呈するであろうとの仮説を持って本発明の新たな薬学的組成物及び治療法を開発した。
本発明者等は最初は薬物治療とアレルゲン-免疫療法のみで十分に疾病が調節されないアレルギー疾患患者等において、アレルゲン-免疫療法の維持治療としてアレルゲンを皮下注射した腕の反対側の腕にヒスタミン-免疫グロブリン複合体を別々に皮下注射した。しかしながら、相異する注射を両腕に注射することによる2回の苦痛を1回の注射時の苦痛に減らす為に、アレルゲン-免疫療法用途のアレルゲン注射溶液を注射用バイアルに密封されている粉末状態のヒスタミン2塩酸塩と、人間の免疫グロブリンの複合体と混合して溶解させ、一度に皮下に注射した。このように、免疫療法用途のアレルゲン溶液とヒスタミン及び免疫グロブリンを混合して毎月一度に皮下に注射した結果、予想とは異なり案外アレルゲン-免疫治療のみを施行した場合や、ヒスタミン-免疫グロブリン複合体注射治療のみを施行した場合に比べて極めて顕著なアレルギー疾患の好転を観察することができた。
本発明は活性成分としてヒスタミン、免疫グロブリン及びアレルゲンを含む薬学的組成物を提供する。
本発明はさらに活性成分としてヒスタミン、免疫グロブリン及びアレルゲンを含むアレルギー疾患治療用薬学的組成物を提供する。
さらに、本発明はヒスタミンを含む第1容器;免疫グロブリンを含む第2容器;及びアレルゲンを含む第3容器を含むアレルギー疾患治療用キットを提供する。
本発明はさらに、ヒスタミン、免疫グロブリン及びアレルゲンにより構成されるグループから選ばれた1つ又は2つの成分を含む第1容器;及び残りの成分を含む第2容器を含むアレルギー疾患治療用キットを提供する。
さらに、本発明はアレルギー疾患治療用医薬の製造の為のヒスタミン、免疫グロブリン及びアレルゲンを活性成分として含む組成物の用途を提供する。
追加して、本発明は哺乳動物に治療上有効量のヒスタミン、免疫グロブリン及びアレルゲンを含む薬学的組成物を投与することを含むアレルギー疾患の治療方法を提供する。
本発明の具体例において、前記アレルギー疾患はアトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、蕁麻疹又はアレルギー性喘息でもあり得る。
さらに、本発明の具体例において、前記アレルゲンはチリダニ、花粉、動物のフケ又は真菌でもあり得る。
本発明の具体例において、前記活性成分等は組成物の中で乾燥された粉末の形態で存在することもあり、哺乳動物に投与の際、注射用緩衝液に溶解させて投与できる。
本発明の具体例において、前記アレルギー疾患治療用キットは注射用緩衝液を含む容器を追加して含め得る。
本発明の薬学的組成物、そのアレルギー疾患治療用用途、それを利用する治療方法によれば、標準的な薬物治療のみではアレルギー疾患の症状が十分に調節されないアレルギー疾患を有する患者等からもアレルギー疾患を効果的に治療することができる。
以下、本発明をより詳細に説明する。
本発明で使用する用語は別に言及しない限り、明細書全般に亙って同一な意味で使用されるものと見做される。
本発明は活性成分としてヒスタミン、免疫グロブリン及びアレルゲンを含む薬学的組成物を提供する。
活性成分としてヒスタミン、免疫グロブリン及びアレルゲンを含む本発明の薬学的組成物はアレルギー疾患治療用として使用できる。従って、本発明は活性成分としてヒスタミン、免疫グロブリン及びアレルゲンを含むアレルギー疾患治療用医薬的組成物を提供する。
ここで使用された用語“組成物”とは特定成分を含む産物であるのみならず、特定成分の配合により直接又は間接的に造られる任意の産物を含むものと見做される。
本発明の組成物にて使用される、それぞれの活性成分は本発明の組成物の中で、又は本発明の組成物を溶解させた注射用製剤内で、又は生体内で単独で又は複合的に存在し得る。例えば、ヒスタミンと免疫グロブリンは共有的又は非共有的に結合されたヒスタミン-免疫グロブリン複合体でもあり得る。ヒスタミン、免疫グロブリン又はヒスタミン-免疫グロブリン複合体は、さらに、本発明の組成物内で、又は本発明の組成物を溶解させた注射用製剤内で、又は生体内でアレルゲンと複合体が形成できる。
本発明の組成物は活性成分の内、1つが薬学的又は生理学的に許容される塩の形態である組成物、全ての活性成分が薬学的又は生理学的に許容される塩の形態である組成物、1つ以上の活性成分が薬学的又は生理学的に許容される塩の形態であって、他の活性成分等が自由塩基の形態である組成物、又は1つ以上の活性成分の複合体が薬学的又は生理学的に許容される塩の形態である組成物を含む。
本発明の組成物の中に含まれた活性成分又は1つ以上の活性成分の複合体の塩は薬学的又は生理学的に許容される全ての塩の形態を含む。本発明の組成物の中に含まれた活性成分又は1つ以上の活性成分の複合体の薬学的又は生理学的に許容される塩は水溶性、脂溶性又は不溶性形態の産物を含み、例えば、無機酸又は有機酸又は塩基から形成された通常的な無毒性塩又は4級アンモニウム塩を含む。酸付加塩の例はアセテート、アジピン酸、アルキネート、アスパラギン酸、安息香酸塩、ベンゼン-スルホン酸塩、硫酸水素塩、酪酸塩、クエン酸塩、カンポレート、カンポスルホネート、サイクロペンタン-プロピオネート、グルコン酸、ドデシルスルフェート、エタンスルホネート、フマル酸、グロコヘプタノエート、グリセロホスフェート、ヘミスルフェート、ヘプタノアート、ヘキサノエート、ヒドロクロライド、ヒドロブロミド、ヒドロアイオジド、2-ヒドロキシエタンスルホネート、乳酸塩、マレイン酸、メタンスルフォネート、2-ナフタレンスルホネート、ニコチン酸、シュウ酸塩、パモエート、ペクチネート、過硫酸、3-フェニル-プロピオン酸、ピクラート、ピバル酸、ホスフェート、プロピオネート、琥珀酸塩、硫酸塩、酒石酸、チオシアン酸、トシルレート、オンデカノエート等を含む。塩基塩はアンモニウム塩、ナトリウム塩及びカリウム塩のようなアルカリ金属塩、カルシウム塩及びマグネシウム塩のようなアルカリ土金属塩、ジサイクロヘキシルアミン塩、N-メチル-D-グルカミンのような有機塩基を有する塩、及びアルギニン、リシンのようなアミノ酸を有する塩等を含む。さらに、塩基性窒素-含有グループはメチル、エチル、プロピール及びブチルクロライド、ブロマイド及びアイオジドのような低級アルキルハリド;ジメチル、ジエチル、ジブチル及びジアミルスルフェートのようなジアルキルスルフェート;デシル、ラウリル、ミリスチル及びステアリルクロライド、ブロマイド及びアイオジドのような長鎖ハリド;ベンジル及びペンエチル-ブロマイド等のようなアルアルキルハリドのような製剤で4級化となれる。他の薬学的又は生理学的に許容される塩はスルフェート塩エタノレート及びスルフェート塩を含む。
本発明の組成物の活性成分の内の1つである“ヒスタミン”は生体内に広く分布する化学式C5H9N3の化合物である。腐敗菌や腸内細菌により蛋白質中のヒスタミンが脱カルボキシル化されて生ずるものの、組織内では組織蛋白質と結合して非活性状態にあって、抗原抗体反応によりアレルギーやアナフィラクシスが表れる時には、非活性型であるヒスタミンが或る作用により活性型となって、臓器や組織に作用するものと思われている。本発明の組成物で使用されるヒスタミンは当業界に公知された方法により化学的に合成するか、又は当業界に市販されているものが使用できる。
本発明の組成物のさらに別の活性成分中の1つである“免疫グロブリン”は、血清成分中免疫に重要な役割をし、抗体作用をする蛋白質を総称して表現したものである。基本構造は分子量約23,000のL鎖(軽鎖)1対と分子量約50,000〜70,000のH鎖(重鎖)1対がS-S結合により連結されていて、H鎖の種類γ、α、μ、δ、εによりそれぞれIgG、IgA、IgM、IgD、IgEに分類される。本発明の組成物で使用される免疫グロブリンはIgG、IgA、IgM、IgD、IgE又はそれらの混合物の場合もあって、生物学的に同等な活性を有するそれらの断片又はそれらの混合物でもあり得る。さらに、本発明の組成物で使用される免疫グロブリンはアレルゲンに特異的であるか又は、非特異的な免疫グロブリンを全て含む。本発明の組成物で使用される免疫グロブリンは、動物又は人間の血漿から分離でき得る。本発明の組成物の免疫グロブリンは一般的に、血漿分画を通じて製剤化されたものを使用することができ、当業界に公知された方法により遺伝工学的に製造されたものを使用することもできる。
本発明の組成物のさらに他の活性成分である“アレルゲン”はアレルギー反応又はIgE抗体媒介過敏反応を誘発し得る抗原を総称する表現である。アレルゲンはチリダニ、花粉、動物のフケ、真菌、飲食物、合成繊維、アクセサリ、薬物、化粧品等、我々の周辺にありふれた物質にして、我々が口にし、触り、息をする時、伝えられる大部分の物質等がアレルゲンとなり得る。種類は大別して吸引性、飲食物性、薬物性、接触性アレルゲンに区分される。吸引性アレルゲンは呼吸作用により入ってくるものにして、花粉、チリダニ、(犬や猫等が含まれる)動物のフケ、真菌、接着剤、塗料等を含む。飲食物性アレルゲンは食べる飲食物の内、過敏反応やアレルギー反応を誘発し得るものとして、卵、牛乳、乳製品、肉類、大豆、蕎麦、海老、ガザミ、桃、加工食品等を含む。薬物性アレルゲンは注射や内服薬を通じて生体内に入込み、過敏反応やアレルギー反応を誘発させ得るものにして、抗生剤、鎮痛剤、ホルモン剤等を含む。接触性アレルゲンは皮膚に接して過敏反応やアレルギー反応を誘発し得るものにして、化粧品、染色薬、衣服、洗剤、ゴム、金属、化学物質等を含む。
本発明の組成物の内で使用されるアレルゲンは好ましくは、大多数の一般人がアレルギー反応を呈する花粉、チリダニ、動物のフケ、真菌又はこれらの混合物の場合もあり得るものの、これに制限されるものではない。好ましくは、患者毎にアレルギー反応を呈する(感作された)アレルゲンの種類により、アレルギー疾患を患っている患者等をグループを作り、本発明の組成物にて使用されるアレルゲンが各患者グループのアレルギー疾患の治療に最も適した単独のアレルゲン成分又は数個のアレルゲン成分の混合物でもあり得るように構成できるであろう。動物又は人間にアレルギー反応を誘発する原因アレルゲンは、既に公知された方法によりアレルゲンを皮膚に投与して発赤、膨疹、又は浮腫を観察する皮膚試験や血清アレルゲン-特異IgE抗体検査を通じて確認できる(Board of Directors. Allergen skin testing. J Allergy Clin Immunol 92:653-7, 1993; Bierman CW, et al. (eds.) Allergy, asthma, and immunology from infancy to adulthood. p144-156, Saunders, Philadelphia, 1996)。
本発明の薬学的組成物を製造する為に、前記活性成分等は投与の為に必要とする製剤の形態によって多様な形態の薬学的に許容される担体と密に混合できる。本発明の薬学的組成物は、好ましくは単位投与量の形態でもあって、医師の判断によって投与量を調節して使用できるように希釈して使用可能な形態を取り得る。
本発明の組成物は好ましくは、皮下注射の為のものである。しかしながら、本発明の具体例において、前記組成物は静脈内、動脈内、筋肉内、腹腔内、胸骨内、経皮、非側内、吸込み、局所、直腸、経口、眼球内又は皮内経路を通じても通常的な方式で投与できる。
本発明の組成物を注射用製剤に製剤化する為に使用される注射用緩衝液及びその他の補助剤成分は当業界に公知されている。本発明の組成物に対する注射用製剤は注射用緩衝液の他に、例えば、溶解補助剤、pH調整剤、懸濁剤等のその他の補助剤を含む。例えば、注射用緩衝液は整理食塩水等が使用できる。
本発明の組成物は、アレルギー疾患の治療の為に使用できる。治療できるアレルギー疾患はこれに制限されるものではないものの、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、蕁麻疹又はアレルギー性喘息を含む。
本発明はさらに、前記本発明の薬学的組成物中の活性成分を別に、又は共に含有する容器を含むアレルギー疾患治療用キットを提供する。
本発明の具体例には、本発明はヒスタミンを含有する第1容器;免疫グロブリンを含む第2容器;及びアレルゲンを含有する第3容器を含むアレルギー疾患治療用キットを提供する。
さらには、本発明はヒスタミン、免疫グロブリン及びアレルゲンから構成されるグループから選ばれた1つ又は2つの成分を含有する第1容器;及び残りの成分を含有する第2容器を含むアレルギー疾患治療用キットを提供する。
前記本発明のアレルギー疾患治療用キットは注射用緩衝液を含有する容器を追加して含み得る。
前記キットの中に含まれるアレルゲンはチリダニ、花粉、動物のフケ又は真菌の場合も有り得て、前記活性成分等は乾燥された粉末の形態で存在し得る。さらに、前記アレルギー疾患は、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、蕁麻疹又はアレルギー性喘息でもあり得る。
前記キットにおいて使用される容器は例えば、活性成分を満たしている密封可能なガラス又はプラスチック容器でもあり得る。活性成分を満たす為のものであれば足り、特別な形態を要求するのではない。
本発明はアレルギー疾患治療用医薬の製造の為のヒスタミン、免疫グロブリン及びアレルゲンを活性成分として含む組成物の用途を提供する。前記のヒスタミン、免疫グロブリン及びアレルゲンを活性成分として含む本発明の薬学的組成物はアレルギー疾患治療用医薬の製造の為の用途に利用できる。
さらに、本発明は哺乳動物に治療上有効量のヒスタミン、免疫グロブリン及びアレルゲンを含む薬学的組成物を投与することを含むアレルギー疾患の治療方法を提供する。ここで使用される用語“哺乳動物”とは治療、観察又は実験の対象である哺乳動物を指し、好ましくは人間をいう。
ここで使用される用語“治療上有効量”とは研究者、医師又はその他の臨床医により考えられる組織系、動物又は人間において生物学的又は医学的反応を誘導する活性成分又は薬学的組成物の量を意味するものにして、これは治療する疾患又は障碍の症状の緩和を誘導する量を含む。
本発明に記述されたアレルギー疾患の治療方法は、前記記述された薬学的組成物を利用して行える。
本発明の薬学的組成物の投与量はアレルゲン免疫治療と、ヒスタミン-免疫グロブリン複合体を利用した非特異的免疫治療で使用されるアレルゲンとヒスタミン-免疫グロブリン複合体の投与量を考慮して決定できる。一般的な薬学的組成物の場合、症状の軽重度、患者の年齢、体重等により組成物の投与量を決定するものの、本発明の治療方法では前記の条件のみならず、アレルギー疾患を引起こしたアレルゲンに対する患者の敏感度、及び/又はヒスタミン、又は免疫グロブリンに対する患者の敏感度により決定すべきである。
ヒスタミン、免疫グロブリン及びアレルゲンを含む本発明の薬学的組成物の1回投与の際、ヒスタミンの投与量は0.05乃至2.5μgでも有り得、好ましくは、0.1乃至1.0μgの場合もあって、好ましくは、0.15乃至0.45μgでも有り得る。さらに、前記薬学的組成物の1回投与の際、免疫グロブリンの投与量は0.05乃至50mgの場合もあって、好ましくは、12乃至36mgの場合も有り得て、アレルゲンの投与量は注射用緩衝液中に蛋白質量として1乃至1000μg/mlの場合もあり、好ましくは、50乃至100μg/mlでもあり得る。ヒスタミン、免疫グロブリン及びアレルゲンは好ましくは、1回投与の際0.5乃至2mlの注射用緩衝液の中で混合して溶解させて使用することができる。
好ましくは、別途のバイアルに満たされた注射用緩衝液に溶解させて使用できるように、ヒスタミン、免疫グロブリン、アレルゲン及び/又はその他の補助成分は別に密封包装されて提供でき、投与前医師が患者の症状により投与量を決定して投与量分溶解させて使用できる。
アレルギー疾患の治療の際、前記活性成分等の1回投与量は固定的でなく、最初の投与量に対する患者の敏感度を考慮して漸次的に増進し得る。さらに、前記薬学的組成物投与の際、ヒスタミンと免疫グロブリンの投与量は一定に維持し、投与回数が増えることによりアレルゲンの濃度を増加させ、患者からアレルゲンに対する免疫力を漸次増強させることもできる。本発明の組成物の投与量は本発明の組成物の投与に伴う患者の症状によって、医師の豊富な経験により調節して決定できる。
本発明の活性成分又はそれらを含む薬学的組成物に対する治療上有効投与量及び投与回数は、望む効果によって変化可能であることは当業者に明らかである。そこで投与される最適な投与量は容易に決定することができ、使用される特定活性成分、投与の方式、製剤の効果及び疾患状態の発展により変化し得るものである。さらに、患者の年齢、体重、食餌及び投与の時間を含む治療を受ける患者個々人の因子等によって適切な治療的水準に伴う投与量の調節を必要とする。
本発明の利点及び特徴、さらにそれらを達成する方法は詳細に後述されている実施例等を参照すれば明確になるであろう。しかしながら、本発明は以下に開示される実施例等に限定されるものではなく、相異する多様な形態で具現され、ただ、本実施例等は本発明の開示を完全ならしめ、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせる為に提供されるものであって、本発明は請求項の範疇により定義されるのみである。
製剤例1
人間の免疫グロブリン 12mg
ヒスタミン2塩酸塩 0.15μg
塩化ナトリウム 4mg
アミノ酢酸 45mg
D-マンニトール 4mg
水酸化ナトリウム 適量
水酸化アルミニウム 0.001-2mg
アレルゲン 40-60μg(蛋白質の量で)
注射用水 0.8-2ml(前記成分等と異なるバイアルに供給)
製剤例2:本実施例で使用されたアレルゲン-免疫療法注射液とヒスタミン-免疫グロブリン複合体の薬剤学的組成及びその投与方法
製剤例2−1:アレルゲン-免疫療法注射液
アルミニウムヒドロキサイド(aluminum hydroxide)に吸着させた2種類のチリダニ抽出蛋白質(Dermatophagoides farinaeと Dermatophagoides pteronyssinusがそれぞれ50%ずつ含まれる)を含むアレルゲン-免疫療法注射液(Novo-Helisen DepotTM;Allergopharma Joachim Ganzer KG, Reinbeck, Germany;維持治療用途の免疫療法注射液内にはBradford方法で定量の際、蛋白質濃度が60-80μg/mlであるアレルゲンが含まれる、水酸化アルミニウム及び0.4%フェノール-生理食塩水含む;チリダニアレルゲンの濃度は5000 therapeutic unit (TU)/mlに表記される)を製造会社の勧誘通りに投与した。維持治療の為のアレルゲン濃度に比べて100倍に希釈された1番バイアルから、維持治療容量の10倍に希釈された2番バイアル、維持治療容量である3番バイアルの順で順次的にそれぞれのバイアルを0.1ml、0.2ml、0.4ml、0.8mlの順で増量しながら1週置きに皮下注射して12週に亙って維持容量(3番バイアル0.8ml;維持治療免疫療法注射薬剤内のチリダニアレルゲンの濃度は5000 therapeutic unit (TU)/mlで表記される)に達した後には1ヶ月置きで0.8mlずつ皮下注射した。
製剤例2−2:ヒスタミン-免疫グロブリン複合体
ヒスタミン-免疫グロブリン複合体注射薬剤(ヒストブリンTM、緑十字、韓国)は製造社の薬剤説明書には人間の免疫グロブリン12mgと、ヒスタミン2塩酸塩が0.15μg含まれていると記述されている。前記製剤は有効成分が乾燥された状態で密封された注射用バイアルとは別に、密封された2mlの注射用蒸留水バイアルの形態で供給され、製造会社は注射の度毎にこの2種のバイアルを混合して有効成分を溶解した後、2mlずつ皮下注射するように勧奨している。前記薬剤に含まれた免疫グロブリン成分の再確認の為に、発明者等がヒスタミン-免疫グロブリン複合体注射薬剤内のIgG、IgM、IgA、アルブミンの濃度をNephelometry測定機器(COBAS INTEGRA, Roche Diagnostics GmbH, Germany)を利用して定量した結果、Human IgG 11.0mg, Human IgA 0.24mgが含まれたものと測定され、IgMとアルブミンは前記機器を利用した測定方法の測定可能最小限界値より低い濃度(IgM <0.037mg/ml, albumin <0.09mg/ml)で存在して検出されなかった。
実施例1:チリダニに対してアレルギーを呈する呼吸器アレルギー疾患と、アトピー性皮膚炎を同伴した患者等において標準的な方法によるアレルゲン-免疫療法の施行を受けたにも拘らず、アトピー性皮膚炎の臨床症状が好転されない患者等を対象にアレルゲン-免疫療法と、ヒスタミン-免疫グロブリン複合体の併合治療に転換した後、アトピー性皮膚炎症状の有意な好転を呈した臨床試験例
臨床試験例1
24才の女性患者が8年前から発生した、顔と耳裏を含む全身に甚だしい庠瘍症と皮膚乾燥症、角質及び湿疹症状及び鼻汁、くしゃみ、鼻詰り症状により、日常生活に莫大な支障を訴えながら外来で来院した。患者は個人病院の皮膚科等で持続的な薬物治療を受けてきたものの、目立った好転が見られなかったと言った。来院後施行したアレルギー皮膚端子試験上、チリダニ(D. pteronyssinusと D. farinae)に対して膨疹の平均径が6mm以上に強陽性所見を呈し、血清チリダニ(D. pteronyssinus)特にIgE抗体が66.7kU/Lに上昇され、血清の総IgE抗体が1000 IU/ml以上に上昇されていて、チリダニアレルギーを同伴したアトピー性皮膚炎とアレルギー性鼻炎として臨床的に診断した。前記患者は経口アンチヒスタミン剤服用と共に、鼻腔内ステロイド噴霧治療を施行しながら前記製剤例2-1のチリダニアレルゲン-免疫療法注射薬(Novo-Helisen DepotTM)で免疫治療を始めたものの、1ヶ月に1度ずつ前記試薬を0.8mlずつ皮下注射を施行する維持治療を施行して9ヶ月が経った状態からも有意な皮膚炎及び鼻炎症状の好転を観察することができなかった。ここに1ヶ月置きに免疫治療注射の度毎に前記製剤例2-2のヒスタミン-免疫グロブリン複合体(ヒストブリンTM、緑十字、韓国;凍結乾燥されたヒスタミン、2塩酸塩0.15μgと人間の免疫グロブリン12mgが含まれた密封されたバイアル)に、直接チリダニ免疫治療注射液0.8mlを添加して溶解させ、皮下注射した。前記の併合治療施行後3ヶ月以降から皮膚炎及び鼻炎症状が著しく好転され初めて9ヶ月後には、ヒスタミン-免疫グロブリン複合体及びアレルゲン-免疫療法の併合治療前より、患者自身の主観的な好転度と医師が客観的に判断した医学的所見の好転において、50%以上のはっきりした好転を呈した。皮膚炎の侵犯範囲及び侵犯程度、皮膚角質程度全てより治療前に比べて50%以上の好転を呈し、さらに、アンチヒスタミン剤や鼻腔内ステロイド噴霧剤投与無しでも特に鼻炎に因る鼻汁、くしゃみ症状無く過ごせる程度に有意な好転を呈した。
臨床試験例2
30才の女性患者が夜間に激しくなる咳、喘鳴音、呼吸困難、鼻汁、くしゃみ、眼痒み症、全身の皮膚の庠瘍症及び乾燥症を訴えながら来院した。患者は5年間個人病院、内科医院等で持続的な薬物治療を受けてきたものの、目立った好転が見られなかった。来院後施行したアレルギー皮膚端子試験上、チリダニ(D. pteronyssinusと D. farinae)に対して膨疹の平均径が6mm以上に強陽性所見を呈し、血清pteronyssinus-特異IgE抗体とD. farinae-特異IgE抗体が3.5kU/L以上に上昇されていて、メタコリン気管支誘発検査上陽性反応(8mg/ml未満の濃度のmethacholineを吸込んだ後、FEV1値が基底値に比べて20%以上減少)であった。これに前記患者は、チリダニアレルギーを同伴したアレルギー性喘息、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、アトピー性皮膚炎として臨床的に診断した。前記患者は経口アンチヒスタミン剤、ロコトリエン拮抗剤服用と共にステロイド及び長時間持続型ベータ-2拮抗剤の複合製剤(flixotide+salmeterol)を毎日吸込みながら喘息と鼻炎症状が一部好転されたものの、前記のような薬物治療で6か月間の治療を施行後にも、間歇的な咳と喀啖等の症状が持続された。患者にアレルゲン-免疫療法に対して説明した後で前記製剤例2-1のチリダニアレルゲン-免疫療法注射薬(Novo-Helisen DepotTM)で製剤社の勧奨方法に従い免疫治療を始めた。前記チリダニ-特異免疫療法の維持治療を施行して24ヶ月後の状態で診察した時、咳と呼吸困難、鼻汁、くしゃみ等の呼吸器アレルギー症状は有意に好転されているにも拘らず、全身皮膚の庠瘍感、角質、乾燥症、顔面皮膚の赤くて痒い発疹等のアトピー性皮膚炎症状は、チリダニアレルゲン-免疫療法施行前に比べて好転された所見が無かった。これに1ヶ月置きに免疫治療注射の度毎に前記製剤例2-2で記述したヒスタミン-免疫グロブリン複合体(ヒストブリンTM、緑十字、韓国)の乾燥粉末が含まれたバイアルに直接チリダニ免疫治療注射液0.8mlを添加して溶解させ、皮下注射した。前記アレルゲン-免疫療法とヒスタミン-免疫グロブリン複合体を併合した治療を施行後、3ヶ月以降からアトピー性皮膚炎と関連した皮膚庠瘍症、乾燥症及び角質、及び鼻炎症状が著しく好転し始め、アトピー性皮膚炎関連臨床症状が6ヶ月後にはヒスタミン-免疫グロブリン複合体及びアレルゲン-免疫療法の併合治療前より、患者自身の主観的好転度と医師が客観的に判断した医学的所見の好転において、50%以上のはっきりした好転を呈した。前記治療の施行を受けた12ヶ月以降には主観的好転度と医師の医学的検査に基づいた好転度の評価で全て80%以上の有意な好転を呈した。
臨床試験例3
26才の女性患者が10年前から始まった鼻汁、くしゃみ、全身皮膚の庠瘍症、角質、さらに乾燥症を訴え来院した。来院後に施行したアレルギー皮膚端子試験上、チリダニ(D. pteronyssinusと D. farinae)に対して膨疹の平均径が6mm以上に強陽性を呈し、血清D. pteronyssinus-特異IgE抗体とD. farinae-特異IgE抗体が3.5kU/L以上に上昇していた。前記患者はチリダニアレルギーを同伴したアレルギー性鼻炎とアトピー性皮膚炎として臨床的に診断した。経口アンチヒスタミン剤、皮膚に局所用ステロイドクリームとローションを使用しながら、前記製剤例2-1のチリダニアレルゲン-免疫療法試薬(NovoHelisen DepotTM)として、前記試薬の製造社の勧誘方法によりアレルゲン-免疫治療を始めた。前記チリダニ-特異免疫療法の維持治療を始めて36ヶ月経った状態から診察したところ、鼻汁、くしゃみ等のアレルギー性鼻炎の症状はアレルゲン-免疫療法施行前に比べて70%以上有意に好転されたにも拘らず、全身皮膚の庠瘍感、角質、乾燥症、頭の湿疹等のアトピー性皮膚炎症状は、チリダニアレルゲン-免疫療法施行前に比べて有意に好転された所見が無かった。ここに、1ヶ月置きに免疫治療注射の度毎に前記製剤例2-2で記述した、乾燥した粉末状態のヒスタミン-免疫グロブリン複合体(ヒストブリンTM、緑十字)にチリダニ免疫治療注射液0.8mlを添加して溶解させて皮下注射した。前記アレルゲン-免疫療法とヒスタミン-免疫グロブリン複合体を併合した治療を施行した後、2ヶ月以降からアトピー性皮膚炎と関連した皮膚庠瘍症、乾燥症及び角質及び鼻炎症状が好転され始め、アトピー性皮膚炎関連臨床症状が12ヶ月後にはヒスタミン-免疫グロブリン複合体及びアレルゲン-免疫療法の併合治療前より、患者自身の主観的な好転度と医師が医学的所見に基づいて客観的に判定した好転度全てより50%以上のはっきりした好転を呈した。
前記臨床試験例等は本発明の治療方法がチリダニアレルギーを有するアレルギー疾患患者等より、既存の標準的なアレルゲン-免疫療法のみでは好転されなかったアトピー性皮膚炎を効果的に好転させることができる、改善された薬学的組成物とそれを利用した治療方法が提供できることを確認させる。
実施例2:アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、アレルギー性喘息を同時に有する患者において、アレルゲン-免疫療法とヒスタミン-免疫グロブリン複合体治療の併合療法の治療効果
臨床試験例
24才の女性患者が10年前から発生し、4ヶ月前から悪化した顔と胴体、手足を含む全身に甚だしい庠瘍症と皮膚乾燥症、角質及び湿疹症状により、適切な睡眠が取れず甚だしい症状を訴えながら外来で来院した。患者は病歴上鼻汁、くしゃみのアレルギー性鼻炎の症状と共に、間歇的な咳呼吸困難、喘鳴音の気管支喘息に然るべき臨床症状を共に同伴していた。来院後施行したアレルギー皮膚端子試験上チリダニ(D. pteronyssinusと D. farinae)に対して膨疹の平均径が5mm以上に強陽性所見を呈し、血清チリダニ(D. pteronyssinus)-特異IgE抗体が5.07kU/L、D. farinae-特異 IgE 6.87kU/L、に上昇し、血清総 IgE 抗体は58 IU/mlであった。チリダニアレルギーを同伴したアトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、アレルギー性喘息として臨床的に診断した。前記患者は経口アンチヒスタミン剤、服用と経口ステロイド低用量治療を施行しながら、薬物治療と併合して前記製剤例2-1のチリダニアレルゲン-免疫療法注射薬(Novo-Helisen DepotTM)と前記製剤例2-2において記述したヒスタミン-免疫グロブリン複合体(ヒストブリンTM、緑十字、韓国)を製剤例2-1において記述した通り、アレルゲン-免疫療法注射薬の製造会社の勧誘した間隔でアレルゲン注射薬を投与し、毎回アレルゲン注射の度毎にヒスタミン-免疫グロブリン複合体を混合して皮下注射した。前記治療の施行後、1ヶ月以降から患者のアトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、アレルギー性喘息の症状が著しく好転し始めて3ヶ月後には、ヒスタミン-免疫グロブリン複合体及びアレルゲンの併合治療前より患者自身の主観的な臨床症状と医師が医学的所見に基づいて客観的に判断した臨床的重症度が治療開始前に比べて70%以上のはっきりした好転を呈した。特に、アトピー性皮膚炎の侵犯部位及び侵犯程度、皮膚の湿疹程度全てより治療前に比べて70%以上のはっきりした好転を呈し、アトピー性皮膚炎による皮膚庠瘍症の調節の為に、経口アンチヒスタミン剤は服用しているものの、経口ステロイド剤を使用しなくても日常生活に支障の無い水準に皮膚及び鼻汁、くしゃみ症状、咳、呼吸困難症状等の全てのアレルギー疾患と連関した臨床症状等が有意な好転を呈し、このような効果は治療開始6ヶ月及び12ヶ月後にも維持された。
実施例3:標準的な薬物治療を施行しても臨床的に好転が少ないチリダニに感作された難知性アトピー性皮膚炎患者等よりアレルゲン-免疫療法単独治療、ヒスタミン-免疫グロブリン複合体単独治療、さらに、アレルゲン-免疫療法とヒスタミン-免疫グロブリン複合体の併合療法の3種の治療法等によるアトピー性皮膚炎の臨床的な好転程度及び治療に伴う副作用を比較分析
典型的な臨床症状である慢性的に持続したり、頻繁に再発する皮膚庠瘍症、乾燥症、角質、さらに典型的な分布の湿疹性皮膚病変を呈しHanifinとRajkaが提案したアトピー性皮膚炎の診断基準(Hanifin JM, Rajka G. Acta Derm Venereol (Stockh) 1980;92(Suppl.):44-47)に適し、2種類のチリダニ(D. farinaeと D. pteronyssinus)アレルゲン等に対して皮膚端子検査上、膨疹の平均径が3mm以上を呈したり、又は血清アレルゲン-特異IgE抗体検査上、前記2種類のチリダニに対する特異IgE抗体が検査方法製造会社が定めた基準により、陽性として確認されたアトピー性皮膚炎患者等を対象とした。前記基準を満足する患者等の中で6ヶ月以上の局所用ステロイド外用剤とアンチヒスタミン剤、局所用保湿剤を含む典型的な薬物治療のみで患者自身が満足できる程度に臨床症状が十分に好転されない難治性アトピー性皮膚炎患者等を対象に下記のような治療を施行した。
1群(姑息的アレルゲン-免疫療法治療群):前記製剤例2-1のチリダニアレルゲン-免疫療法注射液(Novo-Helisen DepotTM)を前記製剤例2-1に記述した通り、製造会社の勧誘に従い皮下注射した。
2群(ヒスタミン-免疫グロブリン複合体治療群):前記製剤例2-2のヒスタミン-免疫グロブリン注射薬剤(ヒストブリンTM、緑十字、韓国)を使用した。
前記薬剤を製造会社により、勧奨された投与指針を小幅に修正して最初8週間は1週置きに8回注射を施行し、その8週から12週間には2週置きに2回注射を施行し、12週以降からは1ヶ月置きに注射を施行した。
3群(アレルゲン-免疫療法+ヒスタミン-免疫グロブリン複合体併用治療群):前記第1群の治療と前記第2群の治療を同時に進行した。患者等において両腕に前記2種の注射薬剤を別々に2回注射を打たれる不都合を最小化する為に、ヒスタミン-免疫グロブリン複合体注射液(2ml)と、前記1群で使用した同一なチリダニアレルゲン-免疫療法注射液(最初0.1mlより最大0.8ml)を混合して最大2.8mlを皮下に1度に注射した。前記注射方法は患者等に極めて良く受入れられ、アレルゲン溶液のみを単独で注射した場合に比べて患者等が注射部位の痛症を少なめに訴えるのを観察した。さらに、発明者等は前記患者等において、前記にて記述した2種の注射液を混合して1度に投与する方法が極めて安全で、患者等に注射の際苦痛を和らげ得ることを発見した。さらに、チリダニ免疫療法注射液が維持容量(3番バイアル0.8ml)に達した治療開始12週以降からは、毎回1ヶ月置きに0.8mlのチリダニ注射液を乾燥したヒスタミン-免疫グロブリン粉末が含まれたバイアルに直接入れた結果、極めて速やかに溶解され、0.8mlの少ない容量でチリダニアレルゲンとヒスタミン-免疫グロブリン複合体を混合して1度に注射して治療を施行した。
前記の3種類の治療群全てより治療前から使用してきた経口アンチヒスタミン剤、ステロイド外用剤の使用は治療開始前と同一に維持した。
前記治療法等によるアトピー性皮膚炎の臨床的な好転程度を下記のような2つの基準を綜合して評価した。
(1)問診を通じた患者の主観的好転程度:治療前後に1ヶ月置きに患者に治療前と比べて庠瘍症、乾燥症、角質及び湿疹等のアトピー性皮膚炎の臨床症状がどれ程好転されたかを医師が問診で確認した。患者にアトピー性皮膚炎関連症状を綜合的に評価して前記の治療の開始前に比べて症状が完全に消え去った場合を100%、全く差度が無かったり、かえって悪化した場合を0%、半分程良くなった場合を50%と表現するとして知らせた後で治療前に比べて、現在何%程良くなったかを毎月問診して記録し、アトピー性皮膚炎の臨床症状の主観的好転程度を評価した。
(2)臨床医師による医学的診察所見に基づいた全般的な重症度の評価:既に文献(Gelmetti C 等, Allergy 2004;59(Suppl. 78):61-65)で報告された通り、治療に臨む医師が1ヶ月置きに診察の際、医学的検査を通じて患者の病変部位を確認して、アトピー性皮膚炎による病変の甚だしい程度(角質程度、湿疹、苔癬化程度を綜合的に判断)と侵犯した面積を綜合的に勘案して極めて甚だしい(5点)、甚だしい(4点)、中等症(3点)、軽症(2点)、微弱な症状(1点)、正常所見(0点)で評価してそれを記録した。
患者等に前記治療を1年以上持続し、前記2種の評価基準による好転程度を合算した後、平均して臨床的な好転程度を分析した。前記治療開始後6ヶ月、治療後12ヶ月の臨床的な好転程度を評価して前記治療開始前の臨床的な重症度と比べて好転程度を判定して分析した(表2)。前記治療法等の長期的な臨床効果を判定する為に、少なくとも6ヶ月以上持続的な治療の施行を受けた患者等の結果のみを分析した。
Figure 2008533133
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以上の結果から本発明の治療方法が既に知られた普遍的に施行されるアレルゲン-免疫療法単独又は、ヒスタミン-免疫グロブリン複合体単独治療方法に比べて6ヶ月又は12ヶ月治療後に、治療前に比べて50%以上のはっきりした臨床的な好転をなす割合が有意に高いことを確認した(表2)(p<0.05, Fisher's exact test)。さらに、姑息的なチリダニアレルゲン-免疫療法の施行を受けた第1群の15名の内、1名から全身的な蕁麻疹反応が観察され、2名からは注射部位の局所的な甚だしい浮腫を訴えたのに比べて、第2群や第3群では全ての患者において注射治療と関連した有意な局所的な、又は全身的な副作用が観察されなかった。前記3つの群の患者等は90%以上からアトピー性皮膚炎以外にもアレルギー性鼻炎症状を同伴していて、3群全部において80%以上の患者等から治療6ヶ月と12ヶ月に施行した問診上、アレルギー性鼻炎と関連した症状が50%以上有意に好転された様相を呈した。これは本発明に伴うアレルゲン-免疫療法とヒスタミン-免疫グロブリン複合体を利用した非特異的免疫療法の併合治療が副作用が少ない安全な治療であることを意味する。さらに、本発明の薬学的組成物及び治療方法に含まれる免疫グロブリンは、アレルゲン-特異抗体のみを利用しているものでないので、Saint-Remy等が考案したアレルゲン-特異抗体免疫複合体治療法(Saint-Remy JM 等, Clin Exp Allergy 1994;24:1091-3)に比べて治療薬剤の製造が容易であり、製造費用が低廉で、薬学的組成物の製造過程における安全性を高め得る。さらに、既存のアレルゲン-免疫療法に比べて治療に伴う副作用が減少され、安全性が向上するに従いアレルギー疾患の治療を担当する臨床医師等が、たやすく適用し得るアレルゲン-免疫療法の為の、より改善された薬学的組成物及び治療方法を提供する。本発明は既に現在の当業界で通常的に使用される技術的水準に治療剤開発の完成度が高いアレルゲン-免疫療法治療薬剤とヒスタミン-免疫グロブリン複合体を併合して利用することにより、既に存在するアレルギー疾患の治療薬物等に比べて、治療効果が優れ、副作用が少なく、製造が容易であり、安全性が高い薬学的組成物を提供する。従って、本発明の薬学的組成物及びそれを利用した治療方法はより多くのアレルギー疾患患者等に臨床的な好転の機会が提供できる。
実施例4:花粉とチリダニに同時にアレルギー反応を呈する呼吸器アレルギー疾患患者等より、姑息的なアレルゲン-免疫療法の施行を受ける途中、全身的副作用が発生した患者等から本発明の治療的組成物と治療方法を通じて副作用を最小化して臨床的な好転を誘導した臨床試験例
臨床試験例1
28才の女性患者が2年前から発生した夜間に激しくなる咳、喘鳴音、呼吸困難、鼻汁、くしゃみ症状と間歇的に表れる慢性的な蕁麻疹症状を註疏に来院した。来院後に施行したアレルギー皮膚端子試験上チリダニ(D. pteronyssinusと D. farinae)とヨモギ(Murwort)の花粉に対して膨疹の平均径が6mm以上に強陽性所見を呈し、血清アレルゲン-特異IgE抗体検査上前記アレルゲン等に対する特異IgE抗体の全てが陽性であり、メタコリン気管支誘発検査上陽性反応(8mg/ml未満の濃度のmethacholineを吸込んだ後、FEV1値が基底値に比べて20%以上減少)であった。これに、前記患者はチリダニとヨモギの花粉アレルギーを同伴したアレルギー性喘息、アレルギー性鼻炎、慢性蕁麻疹として臨床的に診断した。前記患者は経口アンチヒスタミン剤、ロコトリエン拮抗剤服用と共に、ステロイド及び長時間持続型ベータ2-拮抗剤の複合製剤(budesonide+formoterol)を毎日吸込みながら喘息と鼻炎及び蕁麻疹症状が一部好転された。前記のような薬物治療で6ヶ月間治療を施行した後にも間歇的な咳、喀啖、蕁麻疹等の症状が持続され、患者にアレルゲン-免疫療法に対して説明した後で、前記に記述した2種類のチリダニ抽出物とヨモギの花粉アレルゲンがD. pteronyssinus 25%, D. farinae 25%, Mugwort pollen 50%の割合で混合され、製造された免疫治療試薬(Novo-Helisen DepotTM; Allergopharma, Germany;維持治療免疫療法注射液内には、Bradford方法で定量時蛋白質濃度が60-80μg/mlであり、水酸化アルミニウム及び0.4%フェノール-生理食塩水を含む)で免疫治療を開始した。前記試薬の製造社の勧誘方法により漸進的な増量を通じて12週から維持治療濃度に達しようと増量する途中、維持治療最終濃度のアレルゲン-免疫療法注射液を0.4mlを皮下注射した後で注射当日に全身に甚だしい蕁麻疹が発生する全身的な副作用所見を呈し、アレルゲン-免疫療法注射液の増量をなし得ず、0.2mlずつのみ毎月注射していたものの、喘息と鼻炎症状及び間歇的な蕁麻疹症状は好転されずに持続した。これに、前記維持治療濃度の免疫療法用注射液0.4mlと前記製剤例2-2のヒスタミン-免疫グロブリン複合体(ヒストブリンTM、緑十字、韓国)2mlを混合して皮下注射した結果、アレルゲン-注射に伴う全身的な蕁麻疹症状が観察されなかった。これに、1ヶ月後に前記維持治療濃度の免疫療法注射液を1ヶ月置きにそれぞれ0.5mlと0.6mlに増量させ、それぞれを前記ヒスタミン-免疫グロブリン複合体注射液 2mlと混合して皮下注射した結果、有意な局所的及び全身的な副作用が観察されず、経口薬物の投与が無くても咳、呼吸困難、鼻汁、くしゃみの喘息及び鼻炎症状及び慢性蕁麻疹症状が有意に好転された状態で維持された。
臨床試験例2
12才の男性患者が慢性的で頻繁に再発する鼻汁、くしゃみ、鼻詰まり、眼痒み症、眼球充血のアレルギー鼻炎とアレルギー結膜炎症状を註疏に来院した。来院後に施行したアレルギー皮膚端子試験上チリダニ(D. pteronyssinusと D. farinae)とヨモギ花粉、タンポポ花粉に対して膨疹の平均径が6mm以上に強陽性所見を呈し、血清アレルゲン-特異IgE抗体検査結果、D. pteronyssinus, D. farinae、ヨモギ花粉(Mugwort pollen)、タンポポ花粉(Dandelion pollen)全てに対してアレルゲン-特異IgE抗体が3.5kU/L以上に陽性として検出された。これに前記患者はチリダニとヨモギ花粉、タンポポ花粉、アレルギーを同伴したアレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎として臨床的に診断した。前記患者は経口アンチヒスタミン剤、、ロコトリエン拮抗剤服用と共にステロイド鼻腔噴霧剤を毎日使用しながらアレルギー性鼻炎とアレルギー性結膜炎症状が一部好転された。患者の保護者がより根本的な治療を望み、アレルゲン-免疫療法の効果と副作用に対して説明した後、前記に記述した2種類のチリダニ抽出物(D. pteronyssinus 30%, D. farinae 20%)とヨモギ花粉(30%)、タンポポ花粉(20%)が混合された免疫治療試薬(Novo-Helisen DepotTM; Allergopharma, Germany;水酸化アルミニウム及び0.4%フェノールと生理食塩水が含まれたものと表記)で免疫療法を開始した。前記アレルゲン-免疫療法注射薬剤を製造社が勧奨した方法により漸次的に維持治療濃度に達しようと増量途中維持治療最終濃度のアレルゲン注射液を0.8mlを皮下注射した後、全身に蕁麻疹反応と呼吸困難症状を呈し、救急室に来院して応急手当てを受け、それ以降前記の維持治療濃度の免疫療法注射液の増量ができず、0.5mlずつのみを毎月注射していたものの、喘息と鼻炎症状は好転されずに持続した。ここに、前記維持治療濃度の免疫療法注射液0.8mlと前記製剤例2-2の乾燥したヒスタミン-免疫グロブリン複合体粉末(緑十字、韓国)を混合溶解して皮下注射した結果、全身的な蕁麻疹症状の副作用が観察されなかった。ここに、毎1ケ月置きに前記維持治療濃度の前記アレルゲン-免疫療法注射液0.8mlとヒスタミン-免疫グロブリン複合体(緑十字、韓国)を混合して投与する併合治療を開始して3ヶ月以降からは、鼻汁、くしゃみと眼痒み症、眼球充血症状が免疫治療前に比べて50%以上有意に好転された。
前記実施例等はアレルゲン-免疫療法とヒスタミン-免疫グロブリン複合体を利用した非特異的免疫治療を併合した本発明の薬学的組成物と、それを利用した治療方法が既存のアレルゲン-免疫療法治療による、全身副作用の発生が抑制できる臨床的により安全なアレルギー疾患治療方法であることを確認させる。さらに、全身的な実施例等は本発明の治療方法がチリダニアレルギーを有するアレルギー疾患患者等のみならず、花粉アレルギーを有するアレルギー疾患患者等においても、有用であることを確認させる。さらに、前記実施例等はアレルゲンとヒスタミン、さらに免疫グロブリンを含む本発明の薬学的組成物とそれを利用した治療方法がアトピー性皮膚炎ばかりでなく、アレルギー性結膜炎とアレルギー性喘息、アレルギー性鼻炎、さらに蕁麻疹の治療でも効果的であることを確認してくれる。
実施例5:難治性アトピー性皮膚炎患者等においてアトピー性皮膚炎の標準化された重症度指標(SCORAD index)を測定して本発明の治療的組成物と治療方法の臨床的効果を分析した結果
現在のアトピー性皮膚炎に対する標準的な薬物治療及び保湿療法等で臨床症状が有意に好転されず、アレルギー皮膚端子検査と血清チリダニアレルゲン-特異IgE抗体検査全てにおいて、チリダニに対するアレルギー反応が陽性であると確認されたチリダニに感作された難治性アトピー性皮膚炎患者等を対象に、前記実施例3の3群で施行したものと同様に本発明の併合療法を施行した。前記併合療法の治療の効果は最近国際的なアトピー性皮膚炎に対する研究等において、最も標準的に使用されているアトピー性皮膚炎の臨床的な重症度を評価する指標であるSCORAD index (European task force on atopic dermatitis. Dermatology 1993;186:23-31)を利用して本発明の併合治療開始前と治療後6ヶ月、治療後12ヶ月の臨床的な重症度を評価して分析した(表3、表4)。
Figure 2008533133
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前記表3と表4の結果の通り、本発明の併合治療はSCORAD indexを利用した分析結果、治療前に比べて有意にアトピー性皮膚炎の重症度を改善させるものとして表れた。特に、SCORAD indexの値が40点以上であるチリダニに感作された重症アトピー性皮膚炎患者等のみを対象にして、チリダニを利用したアレルゲン-免疫療法の効果を確認した最近の論文で発表された1年以上チリダニアレルゲン-免疫療法の施行を受けた群より、治療12ヶ月以降にSCORAD indexの値が治療前に比べて平均19点が減少したとの最近の報告(Werfel T 等, Allergy 2006;61:202-205)に比べて表4の結果は、SCORAD indexの値の変化だけで判定する際、約10点程度の追加的な好転を呈し、既存の治療方法より一層大きい効果を呈した。さらに、表2で示すように21名の難治性アトピー性皮膚炎患者等の内、1名を除いては20名全部が1年間本発明の併合治療を受けたものにして(順応度95%)、既存の報告でチリダニアレルゲン-免疫療法が効果的であると発表されたアトピー性皮膚炎患者群における、初期参加患者33名の内、18名だけが12ヶ月間の治療を受けたとの報告(Werfel T, et al. Allergy 2006;61:202-205)の順応度(55%)に比べて優れた順応度を呈した。
実施例6:アレルゲン-免疫療法とヒスタミン-免疫グロブリン複合体の併合療法の効果が2種の治療剤の効果を取り混ぜた単純な付加的な効果(additive effect)であるのか、若しくは併合による相乗効果(synergistic effect)であるかを確認した実施例
臨床試験例1
27才の女性患者が20年前から始まった鼻汁、くしゃみ、全身の皮膚庠瘍症、角質、さらに乾燥症、顔面部の湿疹様発疹を註疏に来院した。来院後に施行したアレルギー皮膚端子試験上2種類のチリダニ(D. pteronyssinusと D. farinae)に対して膨疹の平均径が6mm以上に陽性所見を呈し、血清D.pteronyssinus-特異IgE抗体とD.farinae-特異IgE抗体が3.5kU/L以上に測定され、陽性所見を呈した。前記患者はチリダニアレルギーを同伴したアレルギー性鼻炎とアトピー性皮膚炎であると臨床的に診断した。患者は去る10年間以上多くの病院で治療を受けたものの、有意な好転が見られなかったと言った。患者が経口薬物を拒んだ為、皮膚に局所用ステロイド薬剤を使用しながら、前記製剤例2-1のチリダニアレルゲン-免疫療法注射薬剤(Novo-Helisen DepotTM)と、前記製剤例2-2のヒスタミン-免疫グロブリン複合体(ヒストブリンTM、緑十字、韓国)の2種類の注射治療をそれぞれ前記実施例3の第1群と第2群の場合と同じ間隔で相異する腕に別々に注射する治療を開始した。前記治療を開始して6ヶ月後の状態から診察した時、鼻汁、くしゃみと全身皮膚の庠瘍感、角質、乾燥症、顔面部の湿疹様発疹等の臨床症状と医学的診察所見が治療開始前に比べて、有意に好転された所見がなく、患者自信も又自覚症状が治療開始前に比べて、全く好転がないと言った。これに、1ヶ月置きに免疫治療注射の度毎に前記製剤例2-2の乾燥したヒスタミン-免疫グロブリン複合体(ヒストブリンTM、緑十字、韓国)粉末を含むバイアルに直接チリダニ免疫療法注射液0.8mlを添加して溶解させて片腕に混合して皮下注射した。前記アレルゲン-免疫療法とヒスタミン-免疫グロブリン複合体を併合した治療を施行して1週後から突然皮膚庠瘍症、乾燥症及び角質、顔面部の湿疹様発疹及び鼻汁、くしゃみ症状が好転し始め、前記併合治療を開始して1ヶ月後にはヒスタミン-免疫グロブリン複合体及びアレルゲン-免疫療法の併合治療前より、アトピー性皮膚炎とアレルギー性鼻炎と関連した臨床様相が患者自身の主観的な好転程度と医師が客観的に判断した医学的所見の好転程度全てにおいて、50%以上のはっきりした好転を呈した。以上の結果は本発明のアレルゲン-免疫療法とヒスタミン-免疫グロブリン複合体を併合した治療がそれぞれの注射の治療効果を取り纏めた治療効果よりも有意な相乗作用があることを示した。
臨床試験例2
本発明の実施例3の第3群での通り、チリダニアレルゲン-免疫療法とヒスタミン-免疫グロブリン複合体の併合治療を開始して1ヶ月毎に施行する維持治療を6ヶ月以上持続した後に、治療前よりアトピー性皮膚炎関連臨床様相が患者自身の主観的な判断と医師が医学的所見を基に客観的な判断全てにおいて、50%以上の有意な好転を経験した患者1名より患者自身が希望してヒスタミン-免疫グロブリン複合体を除いて、同一な量のチリダニアレルゲン-免疫療法注射のみを同一な間隔で投与した場合、前記の治療法転換後2ヶ月経った時点で、再度アトピー性皮膚炎が前記併合治療前の水準に甚だしく弱化された。ここで、再び実施例3の第3群の維持治療の通り、本発明のアレルゲン-免疫療法とヒスタミン-免疫グロブリン複合体の併合治療に転換した結果、転換1ヶ月後から再び有意なアトピー性皮膚炎の好転が始まり、前記併合治療に再び転換した3ヶ月後には、再び最初の治療開始前に比べてアトピー性皮膚炎関連臨床様相が患者自身の主観的な判断と医師が医学的所見を基に客観的な判断全てにおいて、50%以上好転された状態で維持された。
臨床試験例3
本発明の実施例3の第3群での通り、チリダニアレルゲン-免疫療法とヒスタミン-免疫グロブリン複合体の併合治療を開始して1ヶ月毎に施行する維持治療を6ヶ月以上持続した後で、治療開始前に比べてアトピー性皮膚炎関連臨床様相が患者自身の主観的な判断と医師が医学的所見を基に客観的な判断全てにおいて、50%以上の有意な好転を経験した患者2名から患者等の同意を求めた後で、ヒスタミン-免疫グロブリン複合体注射液の代わりに、同一な容量の人間の免疫抗体を市販されている注射用人間ガンマグロブリン注射液(緑十字、韓国;ガンマグロブリン165mg/mlで表記される;nephelometryで測定時IgG 150mg/ml, IgA 0.14mg/ml, IgM<0.04mg/ml, Albumin 1.58mg/mlで定量される)を一人の患者に、さらに別の患者には静脈注射用人間IgG抗体注射液(緑十字、韓国;IgG50mg/mlで表記される;nephelometryで測定時IgG 50.92mg/ml, IgA <0.013 mg/ml, IgM < 0.05 mg/ml, Albumin < 0.09 mg/mlで定量される)をそれぞれ生理食塩水で希釈した後、12mgのIgG抗体を採集して前記アレルゲン-免疫療法注射薬と混合して1ヶ月置きに2ヶ月間注射した結果、治療法を変更した後、1ヶ月経った時点から再びアトピー性皮膚炎の症状と医学的所見が30%以上有意に悪化され、治療法変更2ヶ月後にはさらに甚だしい悪化を呈した。ここで、再び実施例3の第3群の維持治療のように本発明のアレルゲン-免疫療法とヒスタミン-免疫グロブリン複合体を併合した治療法に復帰した結果、治療法復帰2ヶ月後から再び有意なアトピー性皮膚炎の好転が始まり治療法復帰3ヶ月後には、再び最初の治療開始前に比べてアトピー性皮膚炎関連臨床様相が患者自身の主観的な判断と、医師が医学的所見を基に客観的な判断全てにおいて、50%以上好転された状態で維持された。
臨床試験例4
本発明の実施例3の第3群での通り、チリダニアレルゲン-免疫療法とヒスタミン-免疫グロブリン複合体の併合治療を開始して、1ヶ月毎に施行する維持治療を6ヶ月以上持続した後で、治療開始前に比べてアトピー性皮膚炎関連臨床様相が患者自身の主観的な判断と医師が医学的所見を基に客観的な判断全てにおいて、50%以上の有意な好転を経験したチリダニに対してアレルギー反応を呈する患者1名から患者の同意を求めた後で、チリダニアレルゲン免疫療法とヒスタミン-免疫グロブリン注射液を混合せずに、それぞれの注射薬剤の製造会社の勧奨する投与方法により、両腕に別々に注射した結果、2ヶ月後には治療法変更前より、アトピー性皮膚炎関連臨床様相が患者自身の主観的な判断と医師が医学的所見を基に客観的な判断全てにおいて、30%以上有意に悪化され、再び発明の実施例3の第3群での通り、アレルゲン-免疫療法とヒスタミン-免疫グロブリン複合体の併合治療により転換した結果、転換1ヶ月後から再び有意なアトピー性皮膚炎の好転が始まり、転換3ヶ月後には治療前に比べてアトピー性皮膚炎関連臨床様相が患者自身の主観的な判断と医師が医学的所見を基に客観的な判断全てにおいて、再度最初の治療開始前に比べて50%以上好転された状態に維持された。
前記のような臨床試験例等はアレルゲン-免疫療法とヒスタミン-免疫グロブリン複合体治療を併合した本発明の薬学的組成物及び治療方法の治療効果がそれぞれの治療剤の効果を単純に取り纏めた付加的な効果(additive effect)でなく、併合治療に因る有意な相乗効果(synergistic effect)を表すことを確認させた。
正常人の血液にはチリダニに対する特異IgG及びIgA抗体が存在すると知られている(Hong CS, et al. Yonsei Med J 1994;35:453-63; Stewart GA, et al. Clin Allergy 1988;18:235-43; Saint-Remy JM, et al. Allergy 1988;43:338-47)。それに基づき本発明のアレルゲン-免疫療法とヒスタミン-免疫グロブリン複合体の併合療法がヒスタミン-免疫グロブリンに含まれたチリダニに対する特異-IgG抗体が免疫療法注射液内のチリダニ-アレルゲンと反応して免疫複合体を形成した効果であると指摘することもできるであろう。しかしながら、前記臨床試験例等において見られた通り、同一な会社(緑十字、韓国)で製造したガンマグロブリンや静脈注射用IgG抗体を、本発明のアレルゲン-免疫療法とヒスタミン-免疫グロブリン複合体の併合療法に使用された同一な量のIgG抗体になるように希釈して、同一な量のチリダニアレルゲン-免疫療法注射薬剤と混合して投与した結果、アトピー性皮膚炎に対する臨床的治療効果がなくなった事実は、本発明の併合治療によるアトピー性皮膚炎の臨床的治療効果が単純にSaint-Remy等が報告したアレルゲン-特異抗体の免疫複合体(Clin Exp Allergy 1994;24:1091-3)の形成を通じた効果でないことを確認させる。前記実施例等はさらに、本発明の薬学的組成物が多数の正常人の血液から分離されたアレルゲン-特異抗体、ヒスタミン及びアレルゲンの形態で組成される場合、本発明の実施例等で示されたアレルゲン、免疫グロブリンさらにヒスタミンを含む組成物及び治療方法の併合による治療効果の上昇と共に、Saint-Remy等が報告したアレルゲン-特異抗体免疫複合体によるアレルギー疾患治療効果を同時に表せる進歩した薬学的組成物の開発と、新たな治療方法開発により応用できることが明らかである。
本発明の薬学的組成物をアレルギー疾患患者等に投与する場合、アレルゲン-免疫治療のみを施行した場合や、ヒスタミン-免疫グロブリン複合体注射治療のみを施行した場合に比べて極めて著しいアレルギー疾患の好転効果を得ることができた。従って、本発明の薬学的組成物、そのアレルギー疾患治療用用途、それを利用する治療方法に依れば、標準的な薬物治療やアレルゲン-免疫療法のみでアレルギー疾患の臨床様相が十分に好転されない難治性アレルギー疾患を患う患者等からも、アレルギー疾患を副作用無く効果的に好転させ得る。

Claims (21)

  1. 活性成分としてヒスタミン、免疫グロブリン及びアレルゲンを含むことを特徴とする薬学的組成物。
  2. アレルゲンがチリダニ、花粉、動物のフケ又は真菌であることを特徴とする第1項記載の薬学的組成物。
  3. 活性成分等が乾燥した粉末の形態で存在することを特徴とする第1項又は第2項記載の薬学的組成物。
  4. 活性成分としてヒスタミン、免疫グロブリン及びアレルゲンを含むアレルギー疾患治療用であることを特徴とする薬学的組成物。
  5. アレルゲンがチリダニ、花粉、動物のフケ又は真菌であることを特徴とする第4項記載の薬学的組成物。
  6. 活性成分等が乾燥した粉末の形態で存在することを特徴とする第4項又は第5項記載の薬学的組成物。
  7. アレルギー疾患がアトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、蕁麻疹又はアレルギー性喘息であることを特徴とする第4項又は第5項記載の薬学的組成物。
  8. ヒスタミンを含む第1容器;免疫グロブリンを含む第2容器;及びアレルゲンを含む第3容器を含むことを特徴とするアレルギー疾患治療用キット。
  9. ヒスタミン、免疫グロブリン及びアレルゲンで構成されるグループから選ばれた1個又は2個の成分を含む第1容器;及び残りの成分を含む第2容器を含むことを特徴とするアレルギー疾患治療用キット。
  10. 注射用緩衝液を含む容器を追加して含むことを特徴とする第8項又は第9項記載のキット。
  11. アレルゲンがチリダニ、花粉、動物フケ又は真菌であることを特徴とする第8項又は第9項記載のキット。
  12. 活性成分等が乾燥した粉末の形態で存在することを特徴とする第8項又は第9項記載のキット。
  13. アレルギー疾患がアトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、蕁麻疹又はアレルギー性喘息であることを特徴とする第8項又は第9項記載のキット。
  14. アレルギー疾患治療用医薬の製造の為のヒスタミン、免疫グロブリン及びアレルゲンを活性成分として含むことを特徴とする組成物の用途。
  15. アレルゲンがチリダニ、花粉又は真菌であることを特徴とする第14項記載の用途。
  16. 活性成分等が組成物の内で乾燥した粉末の形態で存在することを特徴とする第14項又は第15記載の用途。
  17. アレルギー疾患がアトピー性皮膚炎、鼻炎、結膜炎又は喘息であることを特徴とする第14項又は第15記載の用途。
  18. 哺乳動物に治療上有効量のヒスタミン、免疫グロブリン及びアレルゲンを含む薬学的組成物を投与することを含むことを特徴とするアレルギー疾患の治療方法。
  19. アレルゲンがチリダニ、花粉又は真菌であることを特徴とする第18項記載の方法。
  20. 乾燥した粉末の形態の治療上有効量のヒスタミン、免疫グロブリン及びアレルゲンを含む薬学的組成物を注射用緩衝液に溶解させて投与することを含むことを特徴とする第18項又は第19項記載の方法。
  21. アレルギー疾患がアトピー性皮膚炎、鼻炎、結膜炎又は喘息であることを特徴とする第18項又は第19項記載の方法。
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