JP2008532792A - 耐汚染性dlc皮膜層 - Google Patents
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Abstract
【選択図】なし
Description
一般に、伝統的に金属酸化物の真空蒸着法により得られる単層膜または多層膜がある。
このような皮膜層は、特に使用者の視覚的快適性を改善するという光学的観点上の利点がある。
汚れの影響は主に2つあり、その一つは、使用者の受光する透過光線の透過性を損なわせることで使用者の視認性を悪くすることであり、他の一つは、他人から見て、ガラス表面上に局所的に反射の強さと色が異なる審美的な不快さを生じることである。
疎水性および/または疎油性皮膜層は、非反射性皮膜の表面上に表面エネルギー低減化合物を被覆することにより得られる。
このような化合物は、先行技術たとえば特許文献1〜5に広く開示されている。
この皮膜は、多くの使用者を満足させる。
特許文献6は、少なくとも1つのDLC系層で被覆した無機基材および眼科用レンズ、特にサングラスの分野におけるそれの応用を開示する。
基材は、該基材と、光学的に基本的に透明なDLC外層との間に蒸着されて挿入された中間膜層を含む。
特に、基材からの層の積層は、第一中間膜層、第二中間膜層、DLC膜層、他の中間膜層、DLC型外層の順であることが具体的に記載されている。
各層の厚みは、所定の波長範囲における光反射を最小化または最大化するように選択することができる。
DLC膜は、好ましくは炭化水素ガス、具体的にメタンまたは炭素蒸気を用いるイオン銃法による蒸着を介して行なわれる。
このDLC層の厚みは、10Åないし10μmの範囲、好ましくは少なくとも200Åとすることができる。
例Qは、無機ガラス製基材の表面からSiO2 (75nm)/DLC(55nm)/SiO2(75nm)/DLC(55nm)の順に堆積した反射積層膜を示す。このように被覆された基材は、サングラスとして使用することができ、青−黄光沢をもつ。
上記基材はサングラスレンズであり、そのほとんどはポリカーボネート製である。
最終積層膜の耐久性ならびに耐摩耗性は、このような製品について言及される主要な特徴である。
使用される誘電材料はDLC材料を含むことが記載されている。
この材料は、積層膜を構成する多層のうちの1層の成分として用いられてもよく、または積層膜のトップ層または外層として用いられてもよく、この場合、該DLC層は摩耗に対する付加的な耐性とともに充分な化学的耐性をもたらす。この特許は、DLC層の高い原子密度とともにその疎水性、硬さおよび低摩擦係数が、積層膜に、より長い耐久性、より優れた耐摩耗性および汚れの落とし易さをもたらすことについては明確にしてない。
この特許では、積層第一皮膜は、高耐摩耗性の透明皮膜成分である。
この摩耗耐性皮膜は、好ましくは5〜20μmの範囲にあるが、オルガノシランまたはオルガノシラザンプラズマ由来のイオンアシスト蒸着により得られる。
これら性質のためにはDLC層の充分な厚みを必要とし、これが、DLC層が少なくとも20nm厚である現実的な理由である。
ミラー型反射積層膜の表面上への厚い層の堆積は、その高い屈折指数により反射効果を打ち消す目的ならば可能であるが、逆に、非反射性能を大きく損なわせるため、厚みによって顕著な耐摩耗性効果をもたらすような外層を非反射性積層膜とともに使用することは不可能である。
上記各文献は、非反射性皮膜の表面上への耐摩耗性を有するDLC層の堆積について言及しない。
実用上、上記基材を眼鏡用レンズとすれば、着用者の視界はどのような汚れにもほとんどあるいはまったく影響を受けないことを意味する。
具体的に、残存反射色は、通常、染みがついた領域で局所的に変る。
好ましい外層は、40°以下、より好ましくは30°以下、より一層好ましくは20°以下、特に好ましくは15°以下のオレイン酸接触角をもつものである。
このため、該外層の表面エネルギーは、好ましくは55°mJ/m2未満、より好ましくは50°mJ/m2未満、より一層好ましくは45mJ/m2未満、特に好ましくは30mJ/m2未満である。
表面エネルギーは、次の文献に記載されたオーエンス−ウェンツ(Owens-Wendt)法にしたがい算出される:“ポリマーの表面力エネルギー概算”Owens D.K.,Wendt R.G. (1969)J. APPL. POLYM. SCI., 13,1741−1747。
好ましい例としては、ケイ素およびフッ素含有DLC層が挙げられる。このような層は、たとえば著書名“M.グリスク(Grishke)(1998)ダイアモンドおよび関連材料 (Diamond and related materials),7,454−458”に記載されている。
このような層は、ケイ素含有膜のための(一例として)HMDSO(ヘキサメチルジシロキサン)またはTMS(トリメチルシラン)およびフッ素含有層のためのCF4に基づくプラズマ法を用いて生成される。
DLC材料は、文献に広範囲に記載されており、かなりの割合のsp3C−C結合からなるアモルファスカーボンの準安定性形態として定義される。この材料は、カーボンのみからなっていてもよく、またはa-C:Hで示される水素化アロイを含むことができる。
DLC層の特性ならびにその製法は、特に“ダイアモンド状アモルファスカーボン”と表題された論文; J. ロバートソン(Robertson);材料科学および工学(Materials science and engineering)R37(2002)129−181に記載されている。
このような材料からなる層は、比較的疎水性(水接触角=82°)で、かつ高親油性(オレイン酸接触角=12°)である。
このタイプの材料は、sp2混成炭素クラスターと定義することができ、実質的にそのほとんどが芳香族であり、ほとんどが水素化されているsp3混成C−C結合をもつマトリックス全体に分布している。
プラズマ化学気相堆積法(従来PECVDと称される)は、試料表面における反応ガスと該表面との縮合反応に電圧をかけ、該反応ガスの一部がプラズマの形態にイオン化 されることからなる。
上記イオン化工程の間、メタンの場合には、CH3 +、C2H5 +、H+イオンが生成され、それらが基材を攻撃する。該プラズマは、CH3 ・、C2H5 ・、Hラジカルも含む。
基材(カソード)を有する電極とプラズマとの間にかけられる自己バイアス電圧は、得られるDLC膜、特にa-C:Hの膜の構造的状態を決定するための重要なパラメータを示す。一般的にいって、水素濃度は、カソードにかけられる自己バイアス電圧の絶対値が増加するに従って減少する。
自己バイアス電圧が150ボルト近辺では、その絶対値に従い、sp3マトリックスの水素化度が減少し、sp3C−C混成の最大と良好な機械的特性が得られる。
約400ボルトの絶対値で示される高い自己バイアス電圧のとき、黒鉛状クラスターのサイズが大きくなり、該層の吸収性は強くなり、硬さは低下する。
このa-C:H材料は、通常、カソードに、0ないし−400ボルト、好ましくは0ないし−150ボルト、より好ましくは−10ないし−50ボルトの範囲の自己バイアス電圧をかけることによって堆積される。
堆積工程の間、ガス圧は、通常、10-2ミリバールないし10-1ミリバールの範囲にある。
該外層の厚みは、好ましくは2nm超ないし10nm、より好ましくは3〜8nmの範囲にある。
自己バイアス電圧は、特に、0ないし−50ボルト、好ましくは−10ないし−50ボルトの範囲が推奨され、この後者の電圧範囲は、低消光率と充分な機械的特性(硬さ)の組合わせを実現する。
具体的に、a-C:H層厚みを増加するとき、a-C:H材料は、400nmにおける消光率が0.20未満、好ましくは0.15未満のものが好ましく用いられる。
一例として、非反射性皮膜は、SiO、SiO2、Si3N4、TiO2、ZrO2、Al2O3、MgF2またはTa2O5、またはそれらの組合わせなどの単層または多層の膜の誘電材料を含むことができる。
1.蒸着、任意にイオンビームアシスト。
2.イオンビームスパッタリング。
3.陰極スパッタリング、任意にマグネトロンアシスト。
4.プラズマ化学気相成長法
真空蒸着と並んで、ゾル/ゲル無機層堆積も想定することができる(たとえばテトラエトキシシラン加水分解物から)。
非反射性皮膜が複数の層からなるとするなら、これはすなわち高屈折指数の材料層と低屈折指数材料層の交互積層皮膜層である。通常、高指数は、nD 25≧1.55、好ましくは≧1.60を意味し;低指数は、nD 25<1.50、好ましくは<1.45を意味する。
多層膜が3層からなるとするなら、それぞれの光学厚みλ/4、λ/2、λ/4またはλ/4-λ/4-λ/4に対応した組み合わせを用いることができる。
さらに、上記した3つの層に属する層のどれかに代えて、より多くの層を含む同等の膜も用いることができる。
被覆された側面のRm反射係数は、好ましくは2%未満、より好ましくは1.5%未満、特に好ましくは1%未満である。
好ましくは、非反射性皮膜は、多層膜である。
非反射性皮膜のための高屈折指数材料 は、好ましくは金属酸化物から選ばれる。
低屈折指数材料は、好ましくはケイ素酸化物から選ばれ、特にSiO2である。非反射性皮膜は、好ましくは蒸着で堆積される。
非反射性積層膜は、1または複数のDLC層を含んでもよいが、好ましくはDLC材料含有層をまったく含まない。
非反射性皮膜は、好ましくは耐摩耗層の上に積層される。
好適な態様は、100nmを超える厚みにすることができるシリカ系アンダーコート層または通常極薄い、すなわち典型的に10nm未満の厚みであるCrまたはニオブまたはそれらの酸化物を含むアンダーコート層を含む。
加水分解工程後、2時間ないし24時間、好ましくは2時間ないし6時間保持し、触媒は任意に添加される。好ましくは、界面活性剤も皮膜層の光学的品質を向上させるために添加される。
好ましいエポキシ−アルコキシシランは、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルメトキシシランなどのβ-(3,4-エポキシシクロヘキシル)基を含有するアルコキシシランであってもよい。
特に好ましいエポキシ−アルコキシシランは、下記式(I)で示される:
さらに使用できるエポキシシランの例として、γ-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシランおよびγ-グリシドキシエトキシプロピルメチルジメトキシシランなどのエポキシジルコキシシランも挙げられる。
しかしながらエポキジアルコキシシランは、好ましくは前述のエポキシトリアルコキシシランよりも少量で使用される。
R3 cR4 dSiZ4 -(c+d) (II)
式中、R3およびR4は、置換または非置換のアルキル、メタクリロキシアルキル、アルケニルおよびアリール基(置換アルキル基は、たとえばハロゲン化、特に塩化またはフッ化アルキル基)から選ばれ;
Zは、アルコキシ、アルコキシアルコキシまたは アシルオキシ基を示し;
cおよびdは、個々に0、1または2であり;かつc+dの合計は0、1または2である。
この式は次の化合物を含む:(1)ケイ酸メチル、ケイ酸エチル、ケイ酸n-プロピル 、ケイ酸イソプロピル、ケイ酸n-ブチル、ケイ酸sec-ブチル、およびケイ酸t-ブチル などのテトラアルコキシシラン、および/または(2)メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、γ-クロロプロピル-トリメトキシシラン、γ-トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシランなどのトリアルコキシシラン、トリアルコキシアルキルシランまたはトリアシロキシシラン、 および/または(3)ジメチルジメトキシシラン、γ-クロロプロピルメチルシランおよびメチルフェニルジメトキシシランなどのジアルコキシシラン。
欧州特許第614957および米国特許第4211823に詳細された方法を実施することができる。
シラン加水分解物は、たとえば、溶媒の存在下、水または塩酸もしくは硫酸溶液をシランに添加することにより調製される。溶媒をまったく添加せず、水とアルコキシシランとの反応により生成するアルコールまたはカルボン酸のみを用いて加水分解を行なうことも可能である。この溶媒は、アルコール、ケトン、塩化アルキルおよび芳香族溶媒などの他の溶媒種に置き換えることもできる。
塩酸水溶液を用いる加水分解は好ましい。
このような粒子の好適例としては、シリカ、または酸化チタンもしくはジルコニウム粒子などの高屈折指数粒子が挙げられる。
硬化触媒の好適例としては、特にアルミニウム化合物、具体的には、次のアルミニウム化合物から選ばれる:
・アルミニウムキレート、および
・以下に詳細される式(III)または(IV)で示される化合物:
(R'O)3-nAl(OSiR”3)n (IV)
式中、
RおよびR'は、1〜10の炭素原子を有する線状または分枝鎖状アルキル基、
R”は、1〜10の炭素原子を有する線状または分枝鎖状アルキル基、フェニル基、
であり、ここで、Rは上記同様に定義され、nは1〜3の整数である。
AlXvY3-v (V)
式中、
Xは、OL基を示し、該Lは1〜10の炭素原子を有するアルキル基を示し、
Yは、次式(1)または(2)で示される化合物から得られる少なくとも1つの配位子:(1)M1COCH2COM2
(2)M3COCH2COOM4
式中、M1、M2、M3およびM4は、1〜10の炭素原子を有するアルキル基を示し、
vは0、1または2である。
アセチルアセトナトアルミニウムを、好ましくは硬化触媒組成として、該組成物の全重量に対し0.1〜5重量%の範囲の量で用いることは特に好都合である。
本発明において使用しうる好ましい有機溶媒としては、アルコール、エステル、ケトン、テトラヒドロピラン、テトラヒドロフランおよびそれらの混合物などが挙げられる。
アルコールは、好ましくはメタノール、エタノールおよびイソプロパノールなどの低級アルコール(C1−C6)から選ばれる。
エステルは、好ましくはアセタートから選ばれ、特には酢酸エチルである。
上記理論的固形分含量は、最終皮膜層組成物の各種成分について算出される固形分量全重量に相当する。
他の堆積方法は、スピンコーティング堆積ならびにコーティングしようとする基材を組成物の浴中に浸漬するディップコーティングである。
ゾルは、好ましくは遠心と呼ばれるスピンコーティング法により、基材たとえばジエチレングリコールポリ(ビスアリルカーボネート)系のエシロール(Essilor)製ORMA(登録商標)基材上に堆積される。堆積速度は、100rpm〜3000rpm、好ましくは200rpm〜2000rpmの範囲である。
耐摩耗層の厚みは、1〜10μm、好ましくは3〜8μmの範囲にある。
好ましいプライマー組成物としては、熱可塑性ポリウレタン系組成物たとえば日本特許63-141001および63-87223中に記載されるもの、ポリ(メタ)アクリルプライマー組成物、たとえば米国特許US-5,015,523中に記載されるもの、熱硬化性ポリウレタン系組成物たとえば欧州特許EP-0,404,111中に記載されるもの、およびポリ(メタ)アクリルラテックス系およびポリウレタンラテックス系組成物たとえば特許明細書US5,316,791およびEP-0,680,492中に記載されるものなどが挙げられる。
好ましいポリ(メタ)アクリルラテックスは、アクリラート−スチレン共重合ポリマーラテックスである。
そのようなアクリラート−スチレン共重合ポリマーラテックスは、ゼネカ樹脂(ZENECA RESINS)からNEOCRYL(登録商標)の商品名で上市されている。
その例として、ポリエステル単位を含むポリウレタンラテックスが挙げられる。そのよなラテックスもまた、ZENECA RESINSからはNEOREZ(登録商標)の商品名で、バクセンデンケミカル(BAXENDEN CHEMICAL)からはWITCOBOND(登録商標)の商品名で上市されている。
これらプライマー組成物は、光学物品の側面の表面上にディッピングまたは遠心により積層し、その後、少なくとも70℃ないし100℃まで、好ましくは約90℃の温度で、2分間ないし2時間、通常約15分間乾燥して、硬化後0.2〜2.5μm厚み、好ましくは0.5〜1.5μm厚みのプライマー層を形成する。
基材は、上記モノマーの混合物の重合により得られる。
すべての堆積は、RF容量放電PECVD反応装置(プラズマ化学気相成長法)内で実施された。この技術において、堆積はガス前駆(CH4)分子のプラズマ(イオン化、解離)中で進行する反応により得られる。
操作モードは、印加電力に依存してさまざま異なる。
基材担持電極に印加すれば、自己バイアス化される。印加電力を変えれば、異なる自己バイアス電圧を生じ、それが、層が成長する間に表面を攻撃するイオンのエネルギーとして作用する。2つの自己バイアス電圧−35Vおよび−150Vに対応する2つの電力(40および85W)が適用される。この自己バイアス電圧は、通常は負であるが、絶対値で表記されることもある。
1.試料を担持する適切な基材担持電極を、エアロックシステム中に置く。
2.ドアを閉める。
3.蒸着室内を真空にする。
4.エアロックシステムを、一旦、低真空にし、蒸着室の電極を自動的に傾ける。
5.到達真空度が3×10-6torrが得られるまで待ち、熱陰極真空計を停止させる。
6.“エッチング”操作モードを選択する。
7.スロットルゲート弁を閉じる。
8.アルゴン流量を20cm3/sに設定した後、アルゴン供給弁を開ける。
9.100Vの基材自己バイアス電圧(“プラットホーム電圧”)に対応する50W放射電力(“印加電力”)を選択する。
10.蒸着時間を1分に設定する。
11.プラズマを発生するために“電源”ボタンを押す。
12.一旦、洗浄が完了したら、アルゴン供給弁を閉め、スロットルゲート弁を開け、熱陰極真空計をオンにする。
13.到達真空度が3×10-6torrが得られるまで待ち、熱陰極真空計を停止させる。
14.スロットルゲート弁を閉じる。
15.メタン流量を20cm3/sに設定した後、メタン供給弁を開ける。
16.−35Vの基材自己バイアス電圧(“プラットホーム電圧”)に対応する20W放射電力(“印加電力”)を選択する。
17.約100nmの堆積を生成させるには蒸着時間を1時間20分、約6nmの厚みには5分および約3nmの厚みには2分30に設定する。
18.プラズマを発生するために“電源”ボタンを押す。
19.一旦、蒸着が完了したら、メタン供給弁を閉め、スロットルゲート弁を開け、熱陰極真空計をオンにする。
20.ガスを自動的に大気中に放出する前に、エアロックシステム内の基材担持電極を上方へ傾けて戻すため、“解除”ボタンを押す。
21.基材担持電極を反応装置から解除する。
上記工程16および17を以下の工程に代えた以外は、上記と同様の手順である。
16.−150Vの基材自己バイアス電圧(“プラットホーム電圧”)に対応する85W放射電力(“印加電力”)を選択する。
17.約100nmの堆積を生成させるには蒸着時間を40分、約6nmの厚みには2分30および約3nmの厚みには1分15に設定する。
標的電極に電力を印加すれば、それはすなわち自己バイアス化する。層の構造的変化および光学的性質は主に入射イオンエネルギーに依存し、かつ該基材は常にこのモードに 従い接地されているので、単一の電力(85W)を印加する。
手順は、工程14後に工程14の2が付加され、工程16および17が後述するとおり置換されたのを除き、低自己バイアス電圧堆積工程に従う。
14の2:陰極スパッタリングの操作モードを選択する。
16:−250V標的自己バイアス電圧(“タレット電圧”)に対応する85W放射電力(“印加電力”)を選択する。
17.蒸着時間を、約100nmの堆積を生成させるには30分、約6nmの厚みには1分44および約3nmの厚みには52秒に設定する。
図1は、a-C:H層厚みに依存する本発明のa-C:H層が被覆されたまたは被覆層のない基材について、表面エネルギー値および接触角の値を示すグラフである。
図2は、自己バイアス電圧に依存する本発明のa-C:H層が被覆されたまたは被覆層のない基材について、表面エネルギー値および接触角の値を示すグラフである。
図3は、本発明によるa-C:H層または従来の疎水性および/または疎油性皮膜層が被覆されたまたは被覆層のない基材について、表面エネルギー値および接触角の値を示すグラフである。
ここで行なわれた第一のクリーニングテスト(テストA)は、直径20mm(再生皮脂、本質的にオレイン酸からなる)の汚れシミの眼科用レンズへの堆積、背面および前面方向動作(一方向拭き取り後、元に戻して、2回拭き取りパスとする)における再現可能な拭き取り方法を実施する;木綿布を用いて(バークシャー(Berkshire)製)、750g負荷で。
各人は、新しいガラスにつける前に、指で額をなぞった。
拭き取りパスが、テストAにおける手順と同様に行なわれた。
3−汚れが目立つ
2−汚れがほとんど目立たない
1−清澄ガラス(視認できる汚れなし)
実施例1−シリコン基材堆積
等自己バイアス電圧(−150V)を用いる各種厚み(3,6および100nm)のa-C:H層被覆基材ならびに変位自己バイアス電圧(0,−35Vおよび−150V)を用いる一定厚み(100nm)のa-C:H層被覆基材を前述の方法にしたがって作製した。
陰極スパッタリングにより得られた約80nmのシリカ層で被覆された平坦なシリコンチップを基材として使用した。
比較例に、初期、被覆のない基材(厚み=0°nm)の値を示す。
堆積条件にかかわらず、a-C:H層は同じ表面エネルギー値が保たれた。すなわち3 nmは、a-C:H材料層−特異的接触角挙動をもたらすに足りる。
曲線は、オレイン酸接触角が極めて小さく(≒12°)、a-C:H膜の親油性の特徴を明確に示す。一方、a-C:H材料は、基本的に親水性を示さない(水接触角≒78°)。
・比較的非極性の液体であるオレイン酸は、ほぼ完全にa-C:H層表面を湿らす。換言すれば、表面エネルギーの分散成分はかなり強い。
・極性液体である水は、a-C:H膜表面をほとんど湿らさない。換言すれば、表面エネルギーの極性成分は弱い。
実施例2−湿潤性測定
屈折指数−2.00で、厚み1μmのポリウレタンプライマー皮膜層を有し、欧州特許EP614957の実施例3で規定される厚み約3μmの耐摩耗層および耐摩耗層(外層=SiO2)からZrO2/SiO2/ZrO2/SiO2の順に積層された非反射性多層皮膜層を有する数個のORMA(登録商標)眼科用レンズ(ESSILOR)は、上記のとおり非反射性多層皮膜層の最後のシリカ層の表面上に積層した各種皮膜層(トップコート)について接触角を特徴とする。
図3は、OF110トップコートで処理したガラスは、疎水性でかつ比較的高度に疎油性であることを示す。
一方、非反射性皮膜の第二シリカ層が直接空気に触れるトップコートのないガラスは、親水性でかつ親油性を示す。
a-C:H層を被覆したガラスは、比較的疎水性で、かつ親油性を示す。
第一系列のクリーニング性実験を行なった(上述したようなテストA)。
a-C:H層を被覆した非反射性ガラス(−150V;6nm)−実施例2で説明したような−を試験し、a-C:Hを被覆し(3nm)、各種自己バイアス電圧(−150V、−35V、0V)で処理した非反射性ガラスを同様に試験した。
最後に、a-C:H-処理挙動を、市販の疎水性かつ疎油性トップコート(OF110,OPTRON)、およびトップコートなしと比較した。
再生皮脂を堆積後、清澄性スコアは3であった。
接触角測定では、a-C:H処理したガラスのクリーニングテスト挙動は、カーボン層の厚みにかかわらず、6nmでも3nmでもほぼ同じである(表1)。
・激しく堆積した汚れの視認(拭き取り0)は、親油性表面(a-C:H,トップコートなし)の方が疎油性表面(OF110)よりも少なかった。本発明者は、親油性表面の場合には、汚れがほとんど散乱を起こさない薄い膜であることを観察した。一方、疎油性表面をもつと、汚れが、より散乱性の液滴となった。
・a-C:Hガラス上、汚れマークの視認は急速に低減した。汚れは、表面上に長時間留まるが、非散乱性の薄い膜を形成したため、ほとんど感知できない。
・従来技術のフッ素系トップコート(OF110)の挙動はまったく異なっていた:a-C:H材料で観察されたそれに比べて、視認の低減はほとんど変化ない。
強い親油性表面(a-C:H)のみが、拭き取りパス2で視認低減を収束した。
3枚のOF110処理ガラス、3枚のトップコートなしガラスおび3枚のa-C:H処理ガラス(3nm厚、自己バイアス電圧−35V)上に、各人が近接する2つのマークを付けた。したがって、結果は9つの目視検査の平均に対応する。
再生皮脂堆積の直後、清澄性スコアは3であった。汚れは、OF110で、強く付いたマークが視認された。
さらに、機械的特性について、従来の試験系(欧州特許EP947601(ESSILOR)、バイエル(Bayer),スチールウール(steel wool)などに記載されたN10ラン)を実施した。非反射性皮膜上に積層したa-C:H層(−35V,3nm)で被覆した非反射性ガラスに実施した。
a-C:H層堆積は、機械的特性に何の影響も及ぼさないことが観察された。
Claims (36)
- 2つの主面を有し、少なくとも一方の主面に非反射性皮膜を有する基材であって、前記非反射性皮膜上に空気と接触する外層が堆積されており、該外層は、厚みが10nm以下、表面エネルギーが60mJ/m2未満であり、かつ表面がオレイン酸接触角70°未満を示すことを特徴とする基材。
- 前記外層の厚みが2超ないし10nmの範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の基材。
- 前記外層の厚みが3〜8nmの範囲にあることを特徴とする請求項2に記載の基材。
- 前記オレイン酸接触角が40°以下、好ましくは30°以下、より好ましくは20°以下、さらに好ましくは15°以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の基材。
- 前記外層の表面エネルギーが55mJ/m2未満であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の基材。
- 前記外層の表面エネルギーが、50mJ/m2未満、好ましくは45mJ/m2未満、より好ましくは30mJ/m2未満であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の基材。
- 前記外層がDLC材料を含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の基材。
- 前記DLC材料がa-C:H材料を含むことを特徴とする請求項7に記載の基材。
- 前記a-C:H材料が、水素原子を30〜55%の範囲、好ましくは43%超の原子百分率で含むことを特徴とする請求項8に記載の基材。
- 前記外層の25℃および630nmにおける屈折指数が、1.58〜2.15、好ましくは1.60〜2.10の範囲にあることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の基材。
- 前記非反射性皮膜で被覆された前記基材の側面および前記外層のRm反射係数が2.5%未満であることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の基材。
- 前記被覆された側面のRm反射係数が2%未満、好ましくは1.5%未満、より好ましくは1%未満であることを特徴とする請求項11に記載の基材。
- 前記非反射性皮膜の物理的厚みが、700nm未満、好ましくは500nm未満であることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の基材。
- 前記非反射性皮膜が多層皮膜層であることを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の基材。
- 前記多層皮膜層が、高屈折指数材料層と低屈折指数材料層との交互積層膜であることを特徴とする請求項14に記載の基材。
- 前記高屈折指数材料が金属酸化物から選択されることを特徴とする請求項15に記載の基材。
- 前記低屈折指数材料がケイ素酸化物から選択されることを特徴とする請求項16に記載の基材。
- 前記非反射性皮膜がDLC材料含有層を含まないことを特徴とする請求項1〜17のいずれかに記載の基材。
- 前記外層が、前記基材最外の非反射性皮膜層であるケイ素酸化物からなる低指数層上に堆積されていることを特徴とする請求項1〜18のいずれかに記載の基材。
- 前記非反射性皮膜が蒸着膜であることを特徴とする請求項1〜19のいずれかに記載の基材。
- 前記非反射性皮膜が耐摩耗層上に堆積されていることを特徴とする請求項1〜20のいずれかに記載の基材。
- 前記耐摩耗層が耐衝撃性プライマー層上に堆積されていることを特徴とする請求項21に記載の基材。
- 前記耐摩耗層および前記非反射性皮膜の間に、アンダーコート層または下地層が堆積されていることを特徴とする請求項21または22に記載の基材。
- 前記基材が有機材料基材であることを特徴とする請求項1〜23のいずれかに記載の基材。
- 眼科用レンズ、特に眼鏡レンズであることを特徴とする請求項1〜24のいずれかに記載の基材。
- ・2つの主面を有し、少なくとも一方の主面に非反射性皮膜を有する基材を準備し、
・前記非反射性皮膜上に、厚みが10nm以下、表面エネルギーが60mJ/m2未満であり、かつその表面がオレイン酸接触角70°未満を示す空気と接触する外層を堆積することを含む方法。 - 前記外層がDLC材料を含むことを特徴とする請求項26に記載の方法。
- 前記DLC材料がa-C:H材料を含むことを特徴とする請求項27に記載の方法。
- 前記a-C:H材料が、水素原子を30〜55%の範囲、好ましくは43%超の原子百分率で含むことを特徴とする請求項28に記載の方法。
- 前記a-C:H材料含有層がプラズマ化学気相堆積法により堆積されることを特徴とする請求項27または28に記載の方法。
- 前記層の堆積中、前記基材を無線周波発生器に連結したカソードに接触させることを特徴とする請求項30に記載の方法。
- 前記プラズマが炭化水素含有ガスの少なくとも部分イオン化により得られることを特徴とする請求項30または31に記載の方法。
- 前記炭化水素が、CH4、C2H2、C2H4およびC6H6から選ばれることを特徴とする請求項31に記載の方法。
- 前記カソードが0ないし−400ボルトの範囲の自己バイアス電圧を有することを特徴とする請求項31〜33のいずれかに記載の方法。
- 前記自己バイアス電圧が、0ないし−150ボルト、好ましくは−10ないし−50ボルトの範囲にあることを特徴とする請求項34に記載の方法。
- 前記ガスの圧が、10−2〜10−1ミリバールの範囲にあることを特徴とする請求項32〜35のいずれかに記載の方法。
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