JP2008529522A - 免疫学的及び抗腫瘍活性を有するチミジル酸シンターゼ由来のポリエピトープペプチド - Google Patents

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Abstract

本発明は、抗腫瘍活性を有するペプチド、及びそれに関連する製薬組成物に関する。特に、本発明は、抗腫瘍予防的及び療法的活性を有し、さらに他の既知の抗腫瘍化合物、例えば5-フルオロウラシル等と組み合わせたペプチドに関する。

Description

本発明は、抗腫瘍活性を有するペプチド、及びそれに関連する製薬組成物に関する。特に、本発明は、抗腫瘍予防的及び療法的活性を有し、さらに他の既知の抗腫瘍化合物、例えば5-フルオロウラシル等と組み合わせたペプチドに関する。
チミジル酸シンターゼ(TS)は、そのコファクター及びその基質の発現レベルに反応して、それ自身を制御し得る細胞内タンパク質である。TSは、真核細胞におけるチミジンの主要な供給源であり、DNA合成及び複製に必須である。それは、還元型葉酸の存在下で、モノカーボネート単位をデオキシウラシルに付加することによって、チミジンを合成する[1, 2]。
TSは、DNAの複製及び細胞増殖に厳密に関与し、それによって、正常細胞において、その発現は細胞周期に関与する遺伝子によって厳密に制御され、S期の間のみ一時的に発現する[3, 4]。
これに対して、腫瘍細胞において、TSは恒常的に発現し、発現のその強さは増殖の指標である。これらの考察に基づいて、抗代謝産物を含む非常に活性のある抗腫瘍薬のいくつかは、この酵素を阻害することによって直接的及び/または間接的に作用する[5]。
さらに、TSは、5-フルオロウラシル(5-FU)の代謝産物で、非常に活性のある細胞毒性の薬剤であり、胃腸器官の悪性腫瘍、乳癌、並びに頭部及び頚部の悪性腫瘍を治療するために用いられるほぼ全ての多重化学療法の治療措置に含まれる、5-フルオロデオキシウリジン一リン酸(5-FdUMP)によって阻害される重要な酵素標的である[6]。
5-FUは、腫瘍細胞の細胞質内で2つの細胞毒性代謝産物、5-フルオロ-ウリジン三リン酸(5-FUTP)及び5-FdUMPに活性化されることになるのフルオロピリミジン・プロドラッグである。後者は、特にTSの永久的な阻害の原因であり、さらに還元型葉酸とともに、腫瘍抗原由来のペプチドエピトープの形成の原因であるプロテアソーム系によって、細胞質中で急速に分解される安定な第三の複合体を形成する。
これまでのところ、TS並びにその変異体の恒常的または後天的な過剰発現は、それらが5-FUに対する耐性を与えるため、腫瘍細胞に対する効果的な回避メカニズムであることを、多くの研究が証明している[7]。
これに関して、胃癌または大腸癌に罹患した患者における高レベルのTSまたはその変異体の検出は、薬剤耐性の前兆であり、ネガティブな予後因子と見なされることを、多くの研究がすでに示している[8, 9]。
低いまたは中程度のTSを恒常的に発現している腫瘍細胞中でさえ、5-FUへのほんの5時間の暴露の後、これらの細胞も当該酵素の明らか且つ即時の過剰発現を有する適応応答を示すため、任意の場合において、当該酵素は強力な自己制御活性を受けやすい[10]。
Van der Wilt CL, Peters GJ. Pharm World Sci 1994; 84-103 Chu E, Allegra CJ. Bioassay 1996; 18: 191-198 Parsel LA, Chu E. Cancer J Sci Am 1998; 4: 287-295
従って、腫瘍性疾患を完全に根絶させ、それによって、特に乳房及び胃腸器官の悪性腫瘍を有する患者を治療するために、単独または他の化学療法剤と組み合わせて、5-FUの能力の欠如を克服し得る療法手段を開発する必要があることは明らかである。
本発明の著者らは、TS/PPと称される、免疫療法的活性を備える抗腫瘍ペプチド剤を開発しており、それは従来のフルオロピリミジンに基づく化学療法と組み合わせることができ、且つin vivo及びin vitroにおいて、TS酵素を過剰発現する腫瘍細胞を破壊し得るポリエピトープの細胞毒性T-リンパ細胞応答を得ることができる。TSタンパク質の発現は、発癌の間に全てのヒト腫瘍中に生じる最初の変化の1つであるため、本発明のペプチドは、その療法的活性に加え、予防的な免疫保護作用も有する。
TS/PPは28merの合成ペプチドであり、エピトープ性質の種々のアミノ酸配列を含み、それらのいくつかはクラスI HLA分子(HLA-A (*) 02.01分子に特異的な3つの既知のエピトープ:TS-1、TS-2、及びTS-3を含む)[11]、及びクラスII HLAの異なるハプロタイプと潜在的に結合し得ることを特徴とする。ヒトin vitroモデルにおいて、及び主要な組織適合性システムのヒトクラスI分子(ハプロタイプHLA-A (*) 02.01)を用いて遺伝子操作された、ヒトTSと非常に類似したTS(90-95%アミノ酸相同性)を発現するマウス(トランスジェニック-HHDマウス)において、TS/PPの免疫学的及び抗腫瘍活性が証明されている。
ヒトモデルにおいて、TS/PPを用いて、低量のインターロイキン2を有し、且つTS/PPにあらかじめ暴露させた自己由来の樹状細胞との共培養物中で、ヒト末梢血単核細胞(PBMC)(健常ドナー及び悪性腫瘍を有するドナーの両方に由来する)を周期的に刺激することによって、in vitroにおいて細胞毒性T-リンパ細胞(CTL)株を作製する。これらのリンパ細胞株は、乳癌及び大腸癌(HLA-A (*) 02.01+)腫瘍細胞に対して、顕著な細胞毒性活性を示す。前記腫瘍細胞を、TSの内在的発現を増大させ得る亜致死量の5-FUにあらかじめ暴露させた場合、この細胞毒性活性は劇的に増大する。
動物モデルにおいて、TSを発現する自己由来(EL-4 HHD)白血球細胞を接種されたHHDマウスに投与されたTS/PPは、5-FUと組み合わせた処理によって増大した強力な(予防的及び療法的)抗腫瘍活性を有する。TS/PPの免疫原性及び抗腫瘍活性は、任意の有害事象または自己免疫の発症をともなわないが、マウス及びヒトモデルの両方において、単独でまたは組み合わせて用いられるTSの既知のエピトープペプチド(TS-1、TS-2、及びTS-3)によってもたらされるものよりも非常に大きい。
本発明はまた、腫瘍患者の免疫療法に用いられるための、抗腫瘍活性を有するTS特異的(且つ複数エピトープの)CTL株をin vitroにおいて作製するための方法に関する。当該腫瘍患者中に再注入されるべきリンパ細胞株は、実際上、低量のIL-2及び当該TS/PPペプチドに暴露させた自己由来の樹状細胞を有する当該患者の末梢血単核細胞(PBMC)(HLA-(*) 02.01+、白血球交換療法によって採取される)のex vivoにおける周期的な刺激によって作製される。
本発明はまた、HLA-(*) 02.01(HHD)に陽性で、且つ自己由来(EL-4/HHD)の腫瘍細胞を接種されたトランスジェニックマウスにおける、腫瘍の発生を防ぐ、当該TS/PPペプチドの能力に関する。
本発明はまた、HLA-(*) 02.01(HHD)に陽性で、且つ自己免疫及び/または中毒反応の非存在下で自己由来(EL-4/HHD)の腫瘍細胞を接種されたトランスジェニックマウスにおける、抗腫瘍活性を有する免疫反応を誘発する、当該TS/PPペプチドの能力に関する。
さらに、本発明は、フルオロピリミジン感受性癌(胃腸器官、乳房、並びに頭部及び頚部癌)に対する、化学−免疫療法的な処理としての、組み合わせたTS/PP及び5-FU抗腫瘍療法に関する。
従って、本発明の目的は、医学的使用のための、配列YMIAHITGLFLDSLGFSTTLGDAHIYL(配列番号2)中に含まれるペプチドである。好ましくは、前記ペプチドは、配列番号2のアミノ酸19-27である配列TLGDAHIYLを有する。あるいは、それは、配列番号2のアミノ酸1-9である配列YMIAHITGLを有する。あるいは、前記ペプチドは、配列番号2のアミノ酸10-18である配列FLDSLGFSTを有する。
別の好ましい形態において、前記ペプチドは配列YMIAHITGLFLDSLGFSTTLGDAHIYL(配列番号2)を有する。
本発明のさらなる目的は、本発明のペプチドをコードするヌクレオチドを含み、真核細胞中で効果的に発現し得るベクタであって、前記ヌクレオチド配列は、好ましくは、TACATGATTGCGCACATCACGGGCCTGTTTTTGGACAGCCTGGGATTCTCCACCACTTTGGGAGATGCACATATTTACCTG(配列番号1)である。
本発明のさらなる目的は、製薬上有効な量の本発明に係るペプチド、並びに適切な付形剤及び/または希釈液及び/または可溶化剤を含む、予防的抗腫瘍活性を有する製薬組成物である。
本発明のさらなる目的は、製薬上有効な量の本発明に係るペプチド、並びに適切な付形剤及び/または希釈液及び/または可溶化剤を含む、化学療法的活性を有する製薬組成物である。
好ましくは、前記製薬組成物はさらなる抗腫瘍活性成分を含み、より好ましくは、前記さらなる抗腫瘍活性成分は5-フルオロウラシルである。
本発明のさらなる目的は、以下の工程:
a)被験者からPBMCを採取し、それらをin vitroにおいて培養する工程;
b)前記PBMCに、あらかじめ有効な濃度の本発明に係るペプチドに適切な時間暴露させた照射自己由来の樹状細胞を暴露することによって、それらを刺激する工程;
を含む、TSに対して活性化された細胞毒性T-リンパ細胞(CTL)をin vitroにおいて獲得するための方法である。
本発明の別の目的は、好ましくは免疫療法のための、記載された方法によって獲得し得る、TSに対して活性化された細胞毒性T-リンパ細胞である。
本発明は、特に以下の図に関する、その非制限的な例に記載される。
図1A−TSのそれぞれ個々のエピトープペプチド(TS-1、TS-2、及びTS-3)を用いることによって作製されたCTL株は、当該TS/PPペプチドに暴露させたCIR-A2標的細胞を溶解し得る。これらの結果は、TS/PPが標的細胞によって前記個々のペプチドエピトープの形態にプロセシングされることを示唆している。これらのCTLの溶解活性を、TS/PP 25μg/mLに4時間暴露させたCIR-A2細胞に対する細胞毒性の試験(51Crの放出により)で検討している。ポジティブコントロールは同じ細胞からなり、TS酵素の過剰発現を誘導する、TS遺伝子を含むプラスミド(pcTS)をトランスフェクションされた株を作製するために特異的に用いられる、個々のペプチド(TS/1、TS/2、またはTS/3)それぞれ25μg/mLでパルス標識される。ネガティブコントロールは、同じCIR-A2細胞からなり、いずれの試薬にも暴露させず、当該プラスミドバックボーン(pcDNA3)をトランスフェクションされ(図中にデータは示さず)、またはこれらの細胞中で発現せず、且つTSに無関係の抗原由来の既知のエピトープペプチド(PTR-4、副甲状腺ホルモン関連タンパク質)でパルス標識される。当該結果は、異なるエフェクター/標的(E/T)の比率における特異的溶解のパーセンテージ(3つの別々の実験の平均値及び標準偏差)として表される。記号は:未処理の標的CIR-A2細胞[破線/白い丸];pcTSをトランスフェクションされたCIR-A2細胞[実線/白い丸];TS/PPペプチドに前暴露させたCIR-A2細胞[実線/黒い四角];当該株を作製するために用いたTSの特異的ペプチドエピトープでパルス標識されたCIR-A2細胞[実線/白い三角];コントロールペプチド(PTR-4)でパルス標識されたCIR-A2細胞[破線/白い四角];を表す。
図1B−TS/PPを用いることによって作製されたCTL株の複数エピトープの特異性。細胞毒性試験において、TS/PPペプチドを用いることによって作製されたCTL株は、TSの3つのペプチドエピトープ(TS/1、TS/2、またはTS/3)それぞれ25μg/mLでパルス標識されたCIR-A2細胞を溶解し得る。TS/PP 25μg/mLに4時間暴露させたCIR-A2細胞、及びTS遺伝子の組換えプラスミドをトランスフェクションされた細胞をポジティブコントロールとして用い、一方、ネガティブコントロールは、いずれの試薬にも暴露させず、またはプラスミドバックボーン(pcDNA3)をトランスフェクションされ(図中にデータは示さず)、PTR-4またはインフルエンザウイルス(IFN)のマトリックス由来のエピトープペプチドをトランスフェクションされた、同じCIR-A2細胞である。当該結果は、異なるエフェクター/標的(E/T)の比率における特異的溶解のパーセンテージ(3つの別々の実験の平均値及び標準偏差)として表される。
記号は:いずれの試薬にも暴露させないCIR-A2標的細胞[破線/白い丸];pcTSをトランスフェクションされたCIR-A2細胞[実線/白い三角];TS/PPペプチドに暴露させたCIR-A2細胞[実線/黒い四角];TS-1でパルス標識されたCIR-A2細胞[実線/白いダイヤ];TS-2でパルス標識されたCIR-A2細胞[実線/黒いダイヤ];TS-3でパルス標識されたCIR-A2細胞[実線/黒い三角];PTR-4でパルス標識されたCIR-A2細胞[破線/白い四角];IFNペプチドでパルス標識されたCIR-A2細胞[破線/白い三角];を表す。
図2−TS/PPペプチドを用いることによって作製された細胞毒性T-リンパ細胞株の、乳癌細胞に対する溶解活性は、標的細胞の5-FU前処理によって増大する。In vitroにおける細胞毒性試験で検討された、TS/PPを用いることによって作製されたCTL株は、HLA-A (*) 02.01+乳癌(MDA-MB-231細胞株)由来の標的細胞を破壊し得る。エフェクターリンパ細胞の溶解活性は、TSの前記3つのペプチドエピトープのそれぞれを用いることによってin vitroにおいて作製されるリンパ細胞株によってもたらされるものよりも顕著に大きく、且つ標的細胞がTSの内在的発現を増大させ得る亜致死量の5-FUに暴露された場合、顕著に増大する。
当該細胞毒性実験が抗HLA- (*) 02.01抗体(A2.69及びW6.32)の存在下で実施される場合、特異的TS/PPリンパ細胞の溶解活性は除去されるため、それはクラスI HLA分子に制限される(データは示さず)。その代わりに、当該溶解は、標的細胞と反応しないネガティブコントロールとして用いられるUPC-10抗体によって変化しなかった(図中にデータは示さず)。
当該結果は、異なるエフェクター/標的(E/T)の比率における特異的溶解のパーセンテージとして表される。
記号は:MDA-MB-231標的細胞[実線/白い丸];A2.69 mAbに暴露させたMDA-MB-231細胞[破線/白い三角];5-FUで前処理されたMDA-MB-231細胞[実線/黒い四角];5-FUで前処理され、且つA2.69 mAbに暴露させたMDA-MB-231細胞[破線/白い四角];を表す。
図3−TS/PPペプチドを用いることによって作製される細胞毒性T-リンパ細胞株の大腸癌細胞に対する溶解活性は、標的細胞の5-FU前処理によって増大する。TS/PPを用いることによってin vitroにおいて作製された当該リンパ細胞株は、大腸癌由来の標的細胞(HT-29及びSW-1463細胞株)を破壊し得る。前記HT-29細胞株は、HLA-A (*) 02.01を発現せず、それゆえ、我々のCTLの標的細胞として用いることができる大腸癌細胞株であり、トランスフェクション(pc-HLA-A (*) 02.01遺伝子)によってHLA-A (*) 02.01分子を発現するように誘導された。TS/PPペプチドを用いることによって作製されるリンパ細胞株によりもたらされる溶解は、3つの個々のエピトープのそれぞれを用いることによって作製された他のリンパ細胞株によりもたらされるものより大きく、且つ標的細胞がTSの内在的発現を増大させ得る亜致死量の5-FUに暴露された場合、顕著に増大する。
細胞毒性実験において、A2.69及びW6.32抗体の使用によって当該溶解は除去され(図中にデータは示さず)、さらにこれらのCTLは、HLA-(*) 02.01遺伝子をトランスフェクションされていない、またはプラスミドバックボーンをトランスフェクションされた前記HT-29細胞を破壊し得ないため(図中にデータは示さず)、当該溶解はクラスI HLA分子に制限される。当該結果は、異なるエフェクター/標的(E/T)の比率における特異的溶解のパーセンテージとして表される。
記号は:HT-29標的細胞[破線/白い丸];HLA-A (*) 02.01遺伝子をトランスフェクションされたHT-29細胞[実線/黒い丸];HLA-A (*) 02.01遺伝子をトランスフェクションされ、5-FUで前処理されたHT-29細胞[実線/黒いダイヤ];SW-1463標的細胞[破線/白い四角];5-FUで前処理されたSW-1463細胞[実線/黒い四角];を表す。
図4−CTL非放射性競合アッセイ(CTL cold competition assay)によって評価された、当該リンパ細胞株のペプチド特異性。
図は、25/1と12.5/1のエフェクター/標的比率を測定し、且つCTL(51Crを供給された)の標的細胞としてTS/PPでパルス標識されたCIR-A2細胞、及び段階的な(scalar)標識された標的/非放射性競合物(L/C)比率で非放射性競合物として用いられる、(HLA-A (*) 02.01遺伝子をトランスフェクションされた、または5-FUで前処理され、次いでHLA-A (*) 02.01遺伝子をトランスフェクションされた)HT-29細胞を用いることによって、非放射性競合アッセイを用いて検討された、TS/PPペプチドを用いることによって作製された2つのリンパ細胞株のペプチド特異性を示す。
図は、TS/PP 25μg/mLを供給されたCIR-A2細胞に対する当該CTLの細胞毒性活性が、非放射性競合物によって低下し、より低いL/C比率[1/5](P<0.05)において完全に除去されることを示す。図はまた、5-FUで前処理され、次いでHLA-A (*) 02.01遺伝子をトランスフェクションされたHT-29細胞は、5倍高いL/C比率[1/1](P<0.05)において標的細胞の溶解を除去するため、それらはより効果的であることを示している。このことは、5-FUの免疫感度を高める効果は、実際上、標的細胞中のTSエピトープ量の増大に関係していることを示唆している。
記号は:競合物の非存在化でTS/PPを供給されたCIR-A2細胞[実線/白い丸];HLA-A (*) 02.01遺伝子をトランスフェクションされ、且つ1/1[実線/黒いダイヤ]、1/2[実線/黒い四角]、及び1/5[実線/黒い三角]のL/C比率で非放射性競合物として用いられたHT-29細胞;5-FUで前処理され、次いでHLA-A (*) 02.01遺伝子をトランスフェクションされ、且つ1/1[破線/白い丸]、1/2[破線/黒い四角]、及び1/5[破線/白い三角]のL/C比率で非放射性競合物として用いられたHT-29細胞;を表す。
図5−自己由来の白血球細胞を接種されたHHDマウスにおける腫瘍の増殖は、TS/PP及び5-FUを用いた組合せ処理によって、顕著に減速され、完全に阻止された。腫瘍の増殖を、その最大直径を測定することによって毎週モニターした。当該最大直径の平均値±SDとして結果を示す。TS/PPをワクチン接種されたマウスは、腫瘍の増殖の顕著な遅滞を示し、これは5-FUを用いた化学療法的処理とともにTS/PPを受けたマウスにおいてさらに明らかとなった。
これらの実験において、化学療法的処理のみ、コントロールペプチド(流行性耳下腺炎ウイルス由来)を用いたワクチン接種、及び3つのTSペプチドエピトープ(+/−5-FU)の組合せを用いたワクチン接種はすべて、腫瘍の増殖を妨害し得なかった。
記号は:コントロールペプチド[実線/白い四角];TSペプチドエピトープ混合物[実線/白い三角];TS/PPペプチド[実線/白い丸];コントロールペプチド及び5-FU化学療法[実線/黒い四角];TSペプチドエピトープ混合物及び5-FU化学療法[実線/黒い三角];TS/PPペプチド及び5-FU化学療法[実線/黒い丸];で処理されたマウスの一群を表す。
図6−図は、2×106個の自己由来の白血球細胞(EL/HHD)を皮下接種された30日後の異なる群に属する各マウスにおける、腫瘍の外観を示す。この実験は、TS/PP及び5-FUを用いた組合せ処理が、最大の抗腫瘍及び保護活性を有することを示している。当該写真は、麻酔されたマウスを示す。当該実験は2回繰り返され、同様の結果を得た。
A:コントロールペプチド(流行性耳下腺炎)をワクチン接種されたマウス
B:コントロールペプチドをワクチン接種され、且つ5-FUで処理されたマウス
C:TSペプチドエピトープの混合物をワクチン接種されたマウス
D:TSペプチドエピトープの混合物をワクチン接種され、且つ5-FUで処理されたマウス
E:TS/PPペプチドをワクチン接種されたマウス
F:TS/PPペプチドをワクチン接種され、且つ5-FUで処理されたマウス
図7−図は、殺したマウスから採取した腫瘍組織の解剖学的−病理学的調査の結果を示す。大きい写真はTSに対する免疫染色(IS)を示し、一方、小さい挿入写真は同一サンプルに対するヘマトキシリン−エオシン染色(HES)を示す。各写真は1つの動物から得たものであり、同一処理を受けた動物の群における、経験した解剖学的−病理学的状態を代表するものである。
A:コントロールペプチド(流行性耳下腺炎)をワクチン接種されたマウス。IS:TS発現に対して極めて陽性の腫瘍細胞の存在。HES:いくつかのアポトーシス小体を有する腫瘍細胞の層。
B:コントロールペプチドをワクチン接種され、且つ5-FUで処理されたマウス。IS:TS発現に対して陽性の腫瘍細胞数の増大。HES:腫瘍細胞における変性変化、及び細胞間スペースの存在。
C:TSペプチドエピトープの混合物をワクチン接種されたマウス。IS:まばらなTS発現に対して陽性の腫瘍細胞、及びTS陰性領域を取り囲む小さなリンパ細胞の塊。HES:多数のアポトーシス小体、細胞間スペース、及び間質反応(desmoplastic reaction)の存在。
D:TSペプチドエピトープの混合物をワクチン接種され、且つ5-FUで処理されたマウス。IS:まばらなTS陽性腫瘍細胞、及びTS陰性領域における小さなリンパ細胞の凝集物。HES:顕著な変性変化を有する領域における仮性嚢胞性空間(pseudocystic space)。
E:TS/PPペプチドをワクチン接種されたマウス。まばらなTS陽性細胞、及びTS陰性領域を取り囲み、残りの腫瘍細胞間のスペースに浸潤する小さなリンパ細胞の凝集物。HES:腫瘍組織全体にわたる散在した仮性嚢胞性領域。
F:TS/PPペプチドをワクチン接種され、且つ5-FUで処理されたマウス。TS陽性細胞がほとんどなし。TS陰性領域を取り囲む小さなリンパ細胞の多数の凝集物。HES:当該細胞間の小さなリンパ細胞の凝集物、腫瘍組織全体にわたる大きな分散した仮性嚢胞性領域。
<材料と方法>
[細胞培養]
MDA-MB-231乳癌細胞株、並びにHY-29及びSW-1463大腸癌細胞株をATCCから購入した。CIR-A2リンパ芽球細胞株[12]は、Dr. Jeffrey Schlom(EOS, LTIB, NCI, NIH, Bethesda, MD, USA)により供与された。全ての腫瘍細胞株を、以前に記載したように[12]、培養物中で維持した。
[ペプチド合成]
TS由来のペプチドであるTS-1(TLGDAHIYL)(配列番号2のアミノ酸19-27、TSのアミノ酸245-253に相当)、TS-2(YMIAHITGL)(配列番号2のアミノ酸1-9、TSのアミノ酸229-237に相当)、及びTS-3(FLDSLGFST)(配列番号2のアミノ酸10-18、TSのアミノ酸111-119に相当)、並びにTS/PP(YMIAHITGLFLDSLGFSTTLGDAHIYL)(配列番号2)を化学的に合成し、以前に記載したように[14]特徴づけした。
前記TS-1、TS-2、及びTS-3ペプチドを、Parker et al.[15]により提案されたアルゴリズムを用いて算出されるような、HLA-A (*) 02.01とのそれらの密な結合に基づいて選択した。
[樹状細胞の産生及びCTL培養物]
分離バフィーコート・フィコール−ハイパーク(Ficoll-Hypaque)濃度勾配を用いて、HLA-A (*) 02.01ハプロタイプを有する健常ドナー及び大腸癌に罹患した患者から採取した血液サンプルから、PBMCを得た。In vitroにおいてTリンパ細胞を刺激するために用いられた樹状細胞は、以前に記載したように[16]、GM-CSF及びインターロイキン4の存在下で増殖させた自己由来のPBMCから産生させた。
当該CTLを刺激するために用いられた樹状細胞を、刺激に用いられる前に4時間TS/PPに暴露させる(PBMC/CTL共培養)という点以外は、以前の研究で記載されたように[17]、CTL株を作製するために用いられたPBMCを培養した。照射自己由来の樹状細胞に前記ペプチドを供給し、当該リンパ細胞培養物に加え、終濃度1:5の樹状細胞/CTLを得た。
[細胞毒性アッセイ]
放射性クロム(51Cr)の放出を、以前の研究で記載したように[18]、アッセイした。
遺伝子トランスフェクションによって、実験ごとの前にHT-29標的細胞の膜上にHLA-A (*) 02.01発現を誘導した。特異的溶解を、以下のように算出した。
Figure 2008529522
自然放出は、エフェクター細胞なしで、培地100μLを添加したプレート中で測定される。放出された総放射活性は、TritonX-100で標的を処理後に測定される。細胞毒性アッセイの前に1時間、標的細胞とインキュベートさせる抗HLA-A2抗体(A2.69, One Lambda社, Chanoga Park, CA, USA)または抗クラスI(pan A, B, C)-HLA抗体W6.32を用いることによって、HLAは阻害される。ネガティブコントロールは、UPC-10モノクローナル抗体であった。
[流動細胞蛍光測定法(flow cytofluorimetry)]
各染色の細胞蛍光測定分析のための手順は、以前記載している[19]。
当該接合抗体はBecton Dickinson社(San Jose, CA, USA)から提供され、一方、W6.32(抗クラスI HLA)、A9(抗HLA-A2.1)、COL-1(抗CEA)、及びMOPC-21抗体はそれぞれ、Scra社(Sussex, England)、One Lambda社、及びCappel/Organon Technica社(West Chester, PA, USA)から提供された。488nmで15nWの励起レベルを有するブルーレーザーを備えたBecton Dickinson社製FACScanを用いて、当該サンプルを分析した。
[前駆体頻度の測定]
二量体細胞蛍光測定(dimer cytofluorimetry)アッセイキット及び関連する試薬は、Pharmigen BD社から提供され、メーカによって記載されたように[20]、当該試験を実施した。
[統計的計算]
Stat View統計ソフトウエア(Abacus Concepts社, Berkeley, CA, USA)を用いて、差を統計的に分析した。当該結果は、3つの異なる実験において実施された4つの測定の平均値±SD、及び両側スチューデントt検定または対のサンプルを用いて分析された差として表される。0.05未満のP値を、統計的に有意であると見なした。
<結果>
[ポリエピトープペプチドの免疫学的特徴づけ]
著者らは、HLA-A (*) 02.01分子に対する特異的結合モチーフを有する、TS-1、TS-2、及びTS-3として知られるTSの3つのペプチドエピトープ[21]のアミノ酸配列を連続して含む、新規なポリエピトープペプチドコンストラクト(TS/PP)の免疫学的活性を特徴づけした。以前の研究において、著者らは、T2細胞上のHLA分子と結合するペプチドを間接的に評価でき、これらの分子の細胞膜発現の増加として現れる、細胞蛍光測定技術T2試験を用いることによって、これらのペプチドがHLA-A (*) 02.01分子に結合し得ることを証明した。それによって、前記3つのペプチドエピトープ(TS-1、TS-2、及びTS-3)のそれぞれを用いて、乳癌及び大腸癌細胞に対する中程度の抗腫瘍活性を有するTS特異的CTL株をin vitroにおいて作製することができた。
非段階的に連続して前記3つのTSエピトープのアミノ酸配列を連結させ、それによって、未知の配列を有するペプチドを生じさせることによって、前記新規作製TS/PPペプチドを発展させた。その天然の形態をとる28アミノ酸のTS/PPペプチドは、前記T2試験においてHLA-A 02.01分子と結合し得ず、特異的TS複数エピトープリンパ細胞応答を起こすために、専門の抗原提示細胞(例えば、Bリンパ細胞または樹状細胞)によるプロセシングを必要とする。
Ken parkerのアルゴリズムを用いた、前記28merのペプチド(TS/PP)のさらなる分析により、それはまた、クラスI及びクラスII HLAの他の一般的ハプロタイプに対する特異的結合モチーフを有する他の潜在的エピトープに属するアミノ酸配列も含むことが明らかになった(表1)。
Figure 2008529522
a:Ken Parkerのアルゴリズムによって予測される。
b:H. G. Rammenseeのアルゴリズム(H. G. Rammensee, J. Bachmann, and S. Stevanovic, 「MHC Ligands and Peptide Motifs」の本中の)によって予測される。
[TS/PPを用いることによるTS特異的細胞毒性Tリンパ細胞株の作製、及び特徴づけ]
当該TS/PPペプチドの免疫学的活性を評価するために、種々のCTL株を作製した。
2人の異なるHLA-A (02.01)+のドナー由来のPBMCを、TS/PPに暴露させた自己由来の樹状細胞で周期的に刺激し(5日間の共培養)、次いで、再度刺激する前に低量のインターロイキン2(IL-2)を含む培地中で10日間増殖させた。5日間の共培養+IL-2を用いた10日間の増殖性刺激が、in vitroにおける刺激(IVS)の1周期に相当する。
競合的コントロールを得ることを目的として、同じドナーから生じる3つのペプチドエピトープTS-1、TS-2、及びTS-3を用い、同じ方法論を用いることによって、in vitroにおいて細胞毒性Tリンパ細胞株を作製した。4回のIVS周期(2ヶ月の培養)の後、当該CTL細胞株を、免疫細胞蛍光測定法的及び機能的(細胞毒性活性)に特徴づけするのに十分安定であると見なした。
[TS/PPペプチドの抗原プロセシング及び免疫原性]
以前の研究において、著者らは、前立腺特異的抗原(PSA)に対する複数エピトープを含む別のtrentamericペプチドが、樹状細胞及び標的細胞の膜上でプロセシングされ、別々のエピトープペプチドを形成することを証明した。このオリゴペプチドであるPSAを用いて、in vitroのヒトモデルにおいて抗腫瘍活性を示す複数エピトープPSA特異的リンパ細胞株を作製することができ、次いでそれを用いて、HLA-A (*) 02.01分子を発現するトランスジェニックマウスにおいてPSA特異的リンパ細胞応答を起こすことができる[22]。しかし、これらの結果が他のシステムに推測され得るかどうかは明らかでなかった。
著者らは、現在、標的細胞上でのTS/PPのプロセシングを研究しており、in vitroにおいて複数エピトープTS特異的CTL応答を起こすためのその能力を評価している。著者らは、次いで、TS/PPペプチドを供給されたCIR-A2標的細胞が、細胞毒性試験において、TSの3つのペプチドエピトープ(TS-1、TS-2、TS-3)のそれぞれを用いることによって作製されたCTL株によって認識されるかどうかを調べた。著者らは、これらのリンパ細胞株のそれぞれが、TS/PPに暴露された標的細胞を破壊し得ることを認めた。これらの実験において、検討されたCTL株を作製するために用いられたものと同じエピトープペプチド(TS-1、TS-2、TS-3)を供給された、またはTS遺伝子を含むプラスミド(pcTS)をトランスフェクションされたCIR-A2細胞を、ポジティブコントロールとして用いた。いずれの薬剤にも暴露させず、またはTSと無関係のペプチドに暴露させた、またはプラスミドバックボーン(pcDNA3)をトランスフェクションされたCIR-A2をネガティブコントロールとして用いた(図1、及びデータは示さず)。
これらの実験の結果により、3つ全てのCTL株(T-TS-1、T-TS-2、T-TS-3)が、TS/PPに暴露させた標的細胞及びポジティブコントロールを破壊し得るが、それらがネガティブコントロールを破壊し得ないことが示された。これらの結果により、TS/PPが、その後得られたエピトープをHLA-A (*) 02.01に結合させ得るCIR-A2標的細胞によってプロセシングされ、それによってエピトープ特異的CTLによるそれらの認識が可能になることが示唆された。
前述のように、TS/PPを用いて、HLA-A 02.01+のドナー由来のCTL株を作製した。T3939/TS/PP及びT4756/TS/PPと称されるこれらのCTLは、以下の免疫表現型:CD3+= 90-95%;CD56+= 10-22%;CD4+= 37-40%;CD8+= 40-50%;を有した。これらのリンパ細胞株はまた、それらが、TSの3つの既知のエピトープのそれぞれに個々に暴露させたCIR-A2標的細胞を破壊し得、且つそれらが、TS/PPを供給されたまたはTS遺伝子を含む前記プラスミドをトランスフェクションされた標的細胞を破壊し得る限りにおいて、複数エピトープ細胞溶解活性を有した。しかし、同じCTLは、ネガティブコントロールとして用いた標的細胞を破壊し得なかった(図1B)。これらのデータは、当該TS/PPペプチドが樹状細胞によってもプロセシングされ得ること、さらに複数エピトープでTS特異的な細胞毒性Tリンパ細胞応答をin vitroにおいて刺激し得ることを示している。
[TS/PPを用いることによって作製された細胞毒性Tリンパ細胞株の抗腫瘍活性]
TS/PPを用いることによって作製されたCTL株の溶解活性を、抗HLA-A (*) 02.01+乳癌及び大腸癌細胞に対して検討した。
著者らはまた、TS/PPを用いることによって作製されたCTL株の溶解活性を、亜致死量の5-FUで処理した後の同一腫瘍標的細胞に対してアッセイした。
著者らはまた、TS/PPを用いることによって作製されたCTL株の同一腫瘍標的細胞に対する溶解活性を、個々のペプチドエピトープTS-1、TS-2、及びTS-3を用いることによって作製されたものと比較した。51Cr放出の技術を用いて実施された細胞毒性試験を、亜致死量の5-FUを用いた処理前及び処理後の、乳癌(MDA-MB-231)及び大腸癌(HT-29及びSW-1463)由来の細胞株から得た標的細胞を用いて実施した。
HT-29細胞は、HLA-A (*) 02.01を恒常的に発現しておらず、そのため、それらはHLA-A (*) 02.01遺伝子をトランスフェクションした後に標的として用いた。
著者らは、TS/PPを用いることによって作製されたCTL株が前記MBA-MB-231細胞(図2)、HLA-A (*) 02.01遺伝子をトランスフェクションした前記HT-29細胞、及び前記SW-1463細胞(図3)を破壊し得ることを証明した。
CTLの溶解活性が抗体(A2.69及びW6.32)を阻害することによって除去され、またCTLが、HLA 02.01をトランスフェクションしていない、またはプラスミドバックボーンをトランスフェクションしたHT-29標的細胞を破壊し得ないため、前記溶解活性はHLA-A (*) 02.01分子に制限された。
TS/PPを用いることによって作製されたCTL株の抗腫瘍活性は、TSの3つのエピトープペプチドを用いることによって作製されたものより有意に大きかった(図2及び図3)。
最近の研究により、TSの発現はそのコファクターによって、及び基質レベル等によって調節され、腫瘍細胞において5-FUの代謝産物によって誘導された阻害の後、その遺伝子の発現が有意に増大することが分かっている(図中にデータは示さず)[23]。従って、著者らは、5-FUを用いた処理によって、TS特異的CTLによって誘導された溶解活性に対する乳癌及び大腸癌細胞の感度が高くなるかどうかを調べた。前述の同じ細胞毒性試験を用いることによって、著者らは、亜致死量の5-FUに48時間暴露させた場合、同一の乳癌及び大腸癌腫瘍細胞が、TS/PP及び/または他のTSエピトープを用いることによって作製されたCTLの細胞毒性活性に対して、有意により高感度であることを証明した。
5-FUで処理した標的細胞に対するCTLの溶解活性は、阻害抗体(A2.69)の使用によって低減または除去されるため、5-FUで処理した標的細胞に対する溶解活性は必ずクラスI HLA分子に制限された。
この場合においてもまた、TS/PPを用いることによって作製されたリンパ細胞株の溶解活性は、個々のペプチドエピトープTS-1、TS-2、及びTS-3を用いることによって作製されたリンパ細胞株のものより大きかった(図2及び図3)。
5-FUに暴露させた標的細胞の生存率を染色後に細胞数測定によって検討し、決して90%未満にはならず、それゆえ、当該細胞毒性試験における免疫感作が、多数の死滅またはすでに変性している細胞が原因である可能性を除外した。
標的細胞の細胞測定蛍光及び免疫ブロッティング分析により、5-FUを用いた処理はクラスI HLA発現のいかなる変化も誘導しないが、MDA-MB-231、HT-29、及びSW-1463標的細胞におけるTS発現の有意な増大を誘導し得ることが示された(データは示さず)。
[乳癌及び大腸癌細胞のCTL媒介溶解はTSのペプチドエピトープによって調節される]
乳癌及び大腸癌腫瘍細胞に対する、TS/PPを用いることによって作製されたリンパ細胞の溶解活性が、TS及びHLA-A (*) 02.01分子間の特異的な現象であることを証明することを意図して、著者らは、TS/PP(51Crで標識した)に暴露させたCIR-A2細胞をCTLエフェクターの標的として用い、且つHLA-A (*) 02.01をトランスフェクションした、またはトランスフェクションし、次いで亜致死量の5-FUに暴露させたHT-29大腸癌細胞を非放射性(標識されていない)競合物として用いる細胞毒性試験を行うことによって、非放射性抗原競合アッセイを実施した。細胞毒性試験において、前記標的細胞及び前記非放射性競合物を異なるL/C比率で用いた。
これらの実験により、TS/PPを供給されたCIR-A2のCTL媒介溶解は、細胞毒性試験における非放射性競合物の添加によって低減し、当該L/C比率が1/5の値に到達した場合に完全に消滅することが証明された。5-FUで処理された競合物を細胞毒性試験に添加した場合、標的細胞(TS/PPを供給されたCIR-A2細胞)のCTL媒介溶解は5倍低いL/C比率で生じる(図4)。同様の結果が、MDA-MB-231乳癌細胞を用いることによって以前得られている(データは示さず)。
これらの実験の結果により、TS/PPを用いることによって作製されたリンパ細胞は、(TS/PPを供給されたCIR-A2細胞の膜上及び腫瘍細胞上で)HLA-A (*) 02.01分子に結合する同一のペプチドエピトープをTS/PP配列中に含まれるものとして認識することが示唆される。これらの結果により、5-FUによって誘導された免疫感作は、TS産生の増大、それによる標的細胞の細胞質におけるTSの過剰制御の直接的結果として、HLA分子に対して当該ペプチドエピトープがより接近しやすくなることに関係していることが示唆される。
[HLA-A (*) 02.01分子を発現するように操作されたマウスのin vivo調査]
著者らは、ヒトHLA-A (*) 02.01分子を発現するように遺伝子操作されたトランスジェニック(HHD)マウスにおける、TS/PPの免疫学的、中毒学的、及び抗腫瘍活性を検討した。
著者らはまた、TS/PPの免疫学的、中毒学的、及び抗腫瘍活性を、TSの3つの既知のペプチドエピトープ(TS-1、TS-2、及びTS-3)の組合せによって誘導されるものと比較した。
この調査において、5匹のマウスの6群が、5-FUによる化学療法的処理を用いたまたは用いない異なる免疫学的処理を受けた。A及びB群のマウスに、流行性耳下腺炎ウイルス由来のコントロールペプチドを投与し(マウス1匹につき100μg)、C及びD群のマウスに、TS-1、TS-2、及びTS-3ペプチドの混合物を投与し(マウス1匹につき100μg)、並びにE及びF群のマウスに、TS/PPペプチドの混合物を投与した(マウス1匹につき100μg)。
前記マウスに、0時間で第一のペプチド皮下投与をし、第3及び第6週に再現した。最後の投与の2週間後、全ての動物に2×106個のEL-4/HHD細胞を皮下播種した。
EL-4/HHD細胞の播種前に、HLA-A (*) 02.01ハプロタイプを発現するHHDマウスに対する自己由来リンパ芽球細胞を、マウスTSの恒常的な低い発現(35%)を明らかにする細胞蛍光測定試験を用いることによって、TS及びHLAの内在的発現について調べた。しかし、この発現は、亜致死量の5-FUを用いた処理によって有意に増大し得た(55-70%まで)。ワクチン接種を目的とした、TS及び5-FU処理間の可能性のある相互作用を評価するために、腫瘍細胞播種の7日後、B、D、及びF群のマウスは毎週の5-FUの腹腔内投与に基づく化学療法的処理を受けた(マウス1匹につき100μg/mL)。当該試験の結果により、TS/PP処理は腫瘍の増殖を著しく遅らせるが、前記TS/PP処理がさらに化学療法的処理を含む場合、大部分のマウスが治癒することが証明された(図5及び図6)。これに対して、化学療法のみ、及び化学療法ありまたはなしでのTSエピトープの組合せを用いた処理は、いずれの点においても腫瘍の増殖を変化させなかった。
実際上、腫瘍細胞の播種の30日後、A、B、C、及びD群のマウス(コントロールペプチドまたはペプチド+/−化学療法の組合せで処理された)は、大きな腫瘍塊を発達させ、それらの臨床状態は急速に衰退し、この理由のために、それらを殺した。
TS/PPで処理されたマウスの群において、非常に明らかな抗腫瘍効果が観察された。これらのマウスの数匹は、5-FUで処理された、または処理されていないコントロールマウスがそれまでにすでに当該疾患のために死んでいる、または殺されている時期である、播種後ほんの35-40日後に、小さな腫瘍を発達し始めた。TS/PPワクチン接種の抗腫瘍効果は、5-FU処理を受けていたマウスにおいてより効果的であった。実際にこの群において、5匹のマウスのうち3匹には腫瘍塊が全く存在しなかった。この群の腫瘍を発達させたマウスにおいて、当該塊は皮下組織または筋膜に接着しておらず、外科的に完全に除去することができた。この場合において、当該マウスは生存し続けることができ、その後30日間、いかなるさらなる病理学的徴候なく良好な状態を維持することができた(この時点で、それらを免疫学的及び解剖学的−病理学的調査のために殺した)。
TS/PPまたはペプチドの組合せをワクチン接種され、その後殺されたマウス由来の脾細胞の抗腫瘍活性を、EL-4/HHDに対する細胞毒性試験(51Cr)において証明した(図中にデータは示さず)。
TS/PPまたは3つのペプチドの組合せをワクチン接種されたマウスの二量体細胞蛍光測定法により、当該3つのTSエピトープに対する効果的な特異的免疫感作が証明された。
表2:マウスの処理
Figure 2008529522
当該結果を、細胞ごとの平均蛍光に関するCD8+/特異的二量体ペプチド+(PE/二量体)のパーセンテージとして表す。カッコ内の数字は、標準偏差に相当する。
コントロール群の動物の腫瘍組織の解剖学的−病理学的試験により、化学療法的処理によってさらに増大する、腫瘍細胞における中程度のTS発現が明らかになった。しかし、ネクローシス及びアポトーシスを増大させ得るが、後者は腫瘍の増殖に重大な効果を全く有せず、一方、TSエピトープの組合せまたはTS/PPを用いたワクチン接種は、顕著なリンパ細胞の浸潤、及びTSを発現する腫瘍細胞の低減または消滅をもたらした。
TS/PPと化学療法とを組み合わせた処理は、腫瘍細胞からのTSの消滅だけでなく、変性した仮性嚢胞及びリンパ細胞の浸潤物中に多く存在する、腫瘍組織の明らかな免疫媒介性破壊を引き起こす(図7)。肺、肝臓、脾臓、腎臓、及び脳、皮膚及び粘膜等の器官の解剖学的−病理学的試験は、検討された群のいずれにおいても、変性または自己免疫症の徴候を全く示さなかった。
これらの結果の全てにより、TS/PPは、TS-1、TS-2、及びTS-3の組合せによって誘導されるものより、より優れたin vivoにおける強力な抗腫瘍活性を有する細胞媒介性応答を誘導し得ることが示唆される。TS/PPは、5-FU処理とともに投与された場合、より良好に作用する。
従って、5-FUのみでは腫瘍の増殖を制御し得ないが、TS/PPとともに作用すると、それは、そのTSの調節により、標的細胞において強力な免疫感作活性を有する。さらに、得られた結果により、二次的効果の非存在下でTS/PP処理によって誘導される自己免疫または毒性現象は全く示されなかった。
(参考文献)
Figure 2008529522
TSのそれぞれ個々のエピトープペプチド(TS-1、TS-2、及びTS-3)を用いることによって作製されたCTL株は、当該TS/PPペプチドに暴露させたCIR-A2標的細胞を溶解し得る。これらのCTLの溶解活性を、TS/PP 25μg/mLに4時間暴露させたCIR-A2細胞に対する細胞毒性の試験(51Crの放出により)で検討している。 当該結果は、異なるエフェクター/標的(E/T)の比率における特異的溶解のパーセンテージ(3つの別々の実験の平均値及び標準偏差)として表される。 記号は:未処理の標的CIR-A2細胞[破線/白い丸];pcTSをトランスフェクションされたCIR-A2細胞[実線/白い丸];TS/PPペプチドに前暴露させたCIR-A2細胞[実線/黒い四角];当該株を作製するために用いたTSの特異的ペプチドエピトープでパルス標識されたCIR-A2細胞[実線/白い三角];コントロールペプチド(PTR-4)でパルス標識されたCIR-A2細胞[破線/白い四角];を表す。 TS/PPを用いることによって作製されたCTL株の複数エピトープの特異性。細胞毒性試験において、TS/PPペプチドを用いることによって作製されたCTL株は、TSの3つのペプチドエピトープ(TS/1、TS/2、またはTS/3)それぞれ25μg/mLでパルス標識されたCIR-A2細胞を溶解し得る。当該結果は、異なるエフェクター/標的(E/T)の比率における特異的溶解のパーセンテージ(3つの別々の実験の平均値及び標準偏差)として表される。 記号は:いずれの試薬にも暴露させないCIR-A2標的細胞[破線/白い丸];pcTSをトランスフェクションされたCIR-A2細胞[実線/白い三角];TS/PPペプチドに暴露させたCIR-A2細胞[実線/黒い四角];TS-1でパルス標識されたCIR-A2細胞[実線/白いダイヤ];TS-2でパルス標識されたCIR-A2細胞[実線/黒いダイヤ];TS-3でパルス標識されたCIR-A2細胞[実線/黒い三角];PTR-4でパルス標識されたCIR-A2細胞[破線/白い四角];IFNペプチドでパルス標識されたCIR-A2細胞[破線/白い三角];を表す。 TS/PPペプチドを用いることによって作製された細胞毒性T-リンパ細胞株の、乳癌細胞に対する溶解活性は、標的細胞の5-FU前処理によって増大する。In vitroにおける細胞毒性試験で検討された、TS/PPを用いることによって作製されたCTL株は、HLA-A (*) 02.01+乳癌(MDA-MB-231細胞株)由来の標的細胞を破壊し得る。エフェクターリンパ細胞の溶解活性は、TSの前記3つのペプチドエピトープのそれぞれを用いることによってin vitroにおいて作製されるリンパ細胞株によってもたらされるものよりも顕著に大きく、且つ標的細胞がTSの内在的発現を増大させ得る亜致死量の5-FUに暴露された場合、顕著に増大する。当該細胞毒性実験が抗HLA- (*) 02.01抗体(A2.69及びW6.32)の存在下で実施される場合、特異的TS/PPリンパ細胞の溶解活性は除去されるため、それはクラスI HLA分子に制限される(データは示さず)。その代わりに、当該溶解は、標的細胞と反応しないネガティブコントロールとして用いられるUPC-10抗体によって変化しなかった(図中にデータは示さず)。当該結果は、異なるエフェクター/標的(E/T)の比率における特異的溶解のパーセンテージとして表される。 記号は:MDA-MB-231標的細胞[実線/白い丸];A2.69 mAbに暴露させたMDA-MB-231細胞[破線/白い三角];5-FUで前処理されたMDA-MB-231細胞[実線/黒い四角];5-FUで前処理され、且つA2.69 mAbに暴露させたMDA-MB-231細胞[破線/白い四角];を表す。 TS/PPペプチドを用いることによって作製される細胞毒性T-リンパ細胞株の大腸癌細胞に対する溶解活性は、標的細胞の5-FU前処理によって増大する。TS/PPを用いることによってin vitroにおいて作製された当該リンパ細胞株は、大腸癌由来の標的細胞(HT-29及びSW-1463細胞株)を破壊し得る。当該結果は、異なるエフェクター/標的(E/T)の比率における特異的溶解のパーセンテージとして表される。 記号は:HT-29標的細胞[破線/白い丸];HLA-A (*) 02.01遺伝子をトランスフェクションされたHT-29細胞[実線/黒い丸];HLA-A (*) 02.01遺伝子をトランスフェクションされ、5-FUで前処理されたHT-29細胞[実線/黒いダイヤ];SW-1463標的細胞[破線/白い四角];5-FUで前処理されたSW-1463細胞[実線/黒い四角];を表す。 CTL非放射性競合アッセイ(CTL cold competition assay)によって評価された、当該リンパ細胞株のペプチド特異性。 図は、25/1と12.5/1のエフェクター/標的比率を測定し、且つCTL(51Crを供給された)の標的細胞としてTS/PPでパルス標識されたCIR-A2細胞、及び段階的な(scalar)標識された標的/非放射性競合物(L/C)比率で非放射性競合物として用いられる、(HLA-A (*) 02.01遺伝子をトランスフェクションされた、または5-FUで前処理され、次いでHLA-A (*) 02.01遺伝子をトランスフェクションされた)HT-29細胞を用いることによって、非放射性競合アッセイを用いて検討された、TS/PPペプチドを用いることによって作製された2つのリンパ細胞株のペプチド特異性を示す。 図は、TS/PP 25μg/mLを供給されたCIR-A2細胞に対する当該CTLの細胞毒性活性が、非放射性競合物によって低下し、より低いL/C比率[1/5](P<0.05)において完全に除去されることを示す。図はまた、5-FUで前処理され、次いでHLA-A (*) 02.01遺伝子をトランスフェクションされたHT-29細胞は、5倍高いL/C比率[1/1](P<0.05)において標的細胞の溶解を除去するため、それらはより効果的であることを示している。このことは、5-FUの免疫感度を高める効果は、実際上、標的細胞中のTSエピトープ量の増大に関係していることを示唆している。 記号は:競合物の非存在化でTS/PPを供給されたCIR-A2細胞[実線/白い丸];HLA-A (*) 02.01遺伝子をトランスフェクションされ、且つ1/1[実線/黒いダイヤ]、1/2[実線/黒い四角]、及び1/5[実線/黒い三角]のL/C比率で非放射性競合物として用いられたHT-29細胞;5-FUで前処理され、次いでHLA-A (*) 02.01遺伝子をトランスフェクションされ、且つ1/1[破線/白い丸]、1/2[破線/黒い四角]、及び1/5[破線/白い三角]のL/C比率で非放射性競合物として用いられたHT-29細胞;を表す。 自己由来の白血球細胞を接種されたHHDマウスにおける腫瘍の増殖は、TS/PP及び5-FUを用いた組合せ処理によって、顕著に減速され、完全に阻止された。腫瘍の増殖を、その最大直径を測定することによって毎週モニターした。当該最大直径の平均値±SDとして結果を示す。TS/PPをワクチン接種されたマウスは、腫瘍の増殖の顕著な遅滞を示し、これは5-FUを用いた化学療法的処理とともにTS/PPを受けたマウスにおいてさらに明らかとなった。 これらの実験において、化学療法的処理のみ、コントロールペプチド(流行性耳下腺炎ウイルス由来)を用いたワクチン接種、及び3つのTSペプチドエピトープ(+/−5-FU)の組合せを用いたワクチン接種はすべて、腫瘍の増殖を妨害し得なかった。 記号は:コントロールペプチド[実線/白い四角];TSペプチドエピトープ混合物[実線/白い三角];TS/PPペプチド[実線/白い丸];コントロールペプチド及び5-FU化学療法[実線/黒い四角];TSペプチドエピトープ混合物及び5-FU化学療法[実線/黒い三角];TS/PPペプチド及び5-FU化学療法[実線/黒い丸];で処理されたマウスの一群を表す。 図は、2×106個の自己由来の白血球細胞(EL/HHD)を皮下接種された30日後の異なる群に属する各マウスにおける、腫瘍の外観を示す。この実験は、TS/PP及び5-FUを用いた組合せ処理が、最大の抗腫瘍及び保護活性を有することを示している。当該写真は、麻酔されたマウスを示す。当該実験は2回繰り返され、同様の結果を得た。A:コントロールペプチド(流行性耳下腺炎)をワクチン接種されたマウスB:コントロールペプチドをワクチン接種され、且つ5-FUで処理されたマウスC:TSペプチドエピトープの混合物をワクチン接種されたマウスD:TSペプチドエピトープの混合物をワクチン接種され、且つ5-FUで処理されたマウスE:TS/PPペプチドをワクチン接種されたマウスF:TS/PPペプチドをワクチン接種され、且つ5-FUで処理されたマウス 図は、殺したマウスから採取した腫瘍組織の解剖学的−病理学的調査の結果を示す。大きい写真はTSに対する免疫染色(IS)を示し、一方、小さい挿入写真は同一サンプルに対するヘマトキシリン−エオシン染色(HES)を示す。各写真は1つの動物から得たものであり、同一処理を受けた動物の群における、経験した解剖学的−病理学的状態を代表するものである。A:コントロールペプチド(流行性耳下腺炎)をワクチン接種されたマウス。IS:TS発現に対して極めて陽性の腫瘍細胞の存在。HES:いくつかのアポトーシス小体を有する腫瘍細胞の層。B:コントロールペプチドをワクチン接種され、且つ5-FUで処理されたマウス。IS:TS発現に対して陽性の腫瘍細胞数の増大。HES:腫瘍細胞における変性変化、及び細胞間スペースの存在。C:TSペプチドエピトープの混合物をワクチン接種されたマウス。IS:まばらなTS発現に対して陽性の腫瘍細胞、及びTS陰性領域を取り囲む小さなリンパ細胞の塊。HES:多数のアポトーシス小体、細胞間スペース、及び間質反応(desmoplastic reaction)の存在。D:TSペプチドエピトープの混合物をワクチン接種され、且つ5-FUで処理されたマウス。IS:まばらなTS陽性腫瘍細胞、及びTS陰性領域における小さなリンパ細胞の凝集物。HES:顕著な変性変化を有する領域における仮性嚢胞性空間(pseudocystic space)。E:TS/PPペプチドをワクチン接種されたマウス。まばらなTS陽性細胞、及びTS陰性領域を取り囲み、残りの腫瘍細胞間のスペースに浸潤する小さなリンパ細胞の凝集物。HES:腫瘍組織全体にわたる散在した仮性嚢胞性領域。F:TS/PPペプチドをワクチン接種され、且つ5-FUで処理されたマウス。TS陽性細胞がほとんどなし。TS陰性領域を取り囲む小さなリンパ細胞の多数の凝集物。HES:当該細胞間の小さなリンパ細胞の凝集物、腫瘍組織全体にわたる大きな分散した仮性嚢胞性領域。

Claims (15)

  1. 医学的使用のための、配列YMIAHITGLFLDSLGFSTTLGDAHIYL(配列番号2)中に含まれるペプチド。
  2. 配列番号2のアミノ酸19-27の配列TLGDAHIYLを有する、請求項1に記載のペプチド。
  3. 配列番号2のアミノ酸1-9の配列YMIAHITGLを有する、請求項1に記載のペプチド。
  4. 配列番号2のアミノ酸10-18の配列FLDSLGFSTを有する、請求項1に記載のペプチド。
  5. 配列YMIAHITGLFLDSLGFSTTLGDAHIYL(配列番号2)を有する、請求項1に記載のペプチド。
  6. 配列YMIAHITGLFLDSLGFSTTLGDAHIYL(配列番号2)を有するペプチド。
  7. 請求項1から6のいずれか一項に記載のペプチドをコードするヌクレオチド配列を含み、且つ真核細胞において効果的に発現させ得るベクター。
  8. 前記ヌクレオチド配列が、TACATGATTGCGCACATCACGGGCCTGTTTTTGGACAGCCTGGGATTCTCCACCACTTTGGGAGATGCACATATTTACCTG(配列番号1)である、請求項7に記載のベクター。
  9. 製薬上有効な量の請求項1から5のいずれか一項に記載のペプチド、並びに適切な付形剤及び/または希釈液及び/または可溶化剤を含む、予防的抗腫瘍活性を有する製薬組成物。
  10. 製薬上有効な量の請求項1から5のいずれか一項に記載のペプチド、並びに適切な付形剤及び/または希釈液及び/または可溶化剤を含む、化学療法的活性を有する製薬組成物。
  11. さらなる抗腫瘍活性剤を含む、請求項9または10に記載の製薬組成物。
  12. 前記さらなる抗腫瘍活性成分が5-フルオロウラシルである、請求項11に記載の製薬組成物。
  13. a)被験者から末梢血単核細胞(PBMC)を採取し、それらをin vitroにおいて培養する工程;
    b)前記PBMCに、あらかじめ有効な濃度の請求項1から5のいずれか一項に記載のペプチドに適切な時間暴露させた照射自己由来の樹状細胞を暴露することによって、それらを刺激する工程;
    を含む、TSに対して活性化された細胞毒性T-リンパ細胞(CTL)をin vitroにおいて獲得するための方法。
  14. 請求項13に記載の方法によって獲得し得る、TSに対して活性化された細胞毒性Tリンパ細胞。
  15. 免疫療法のための、請求項14に記載のTSに対して活性化された細胞毒性Tリンパ細胞の使用。
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