JPH09500261A - ヒトt細胞モノクローン、その産生方法及び感染症、自己免疫疾患、t細胞媒介アレルギー及びガンの診断上のその使用 - Google Patents

ヒトt細胞モノクローン、その産生方法及び感染症、自己免疫疾患、t細胞媒介アレルギー及びガンの診断上のその使用

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JPH09500261A JP6524846A JP52484694A JPH09500261A JP H09500261 A JPH09500261 A JP H09500261A JP 6524846 A JP6524846 A JP 6524846A JP 52484694 A JP52484694 A JP 52484694A JP H09500261 A JPH09500261 A JP H09500261A
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ザンハ,ジンフー
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ドクトル エル.ウィレムス−インスティテュート
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Abstract

(57)【要約】 本願発明は、増殖力が高く、唯一の抗原に対して特異的なヒトT細胞単クローンに関する。本願発明は、また、本願発明に従うヒトT細胞単クローンの製造方法と、感染疾患、自己免疫疾患、T細胞を介するアレルギー、及び癌の処置に、本願発明に従ってヒトT細胞単クローンを使用することに関連する。

Description

【発明の詳細な説明】 ヒトT細胞モノクローン、その産生方法及び感染症、自己免疫疾患、T細胞媒介 アレルギー及びガンの診断上のその使用発明の分野 本発明は、免疫学、免疫療法及び免疫診断の分野に関する。より具体的には、 本発明はきわめて増殖性の高い抗原特異的T細胞モノクローン及びその産生方法 そして、感染症、自己免疫疾患、T細胞媒介アレルギー及びガンのためのその使 用に関する。 発明の背景及び技術の現状 免疫系は、宿主を外来性侵入者(抗原)又は有害作用物質に対して防御する。 これは、なかんづく、特定のタスクを実行するべくプログラミングされているT 細胞及びB細胞を含む精巧なネットワークの中で調節されている。免疫系の不適 切な機能は、エイズに見られるような免疫不全、又は自己免疫疾患に見られるよ うな免疫調節不均衡を導く。今日知られている数多くの免疫関連疾患は、T細胞 機能の不全又は異常に結びつけられている。 インビトロでの抗原特異的T細胞系の樹立のための方法論における最近の進歩 は、分子及び細胞免疫学を理解する上で大きな助けとなってきた。これらの進歩 は、T細胞レセプター遺伝子、そしてT細胞レパートリーの多様性を生み出すメ カニズムを分析することを可能にし、抗原提示における免疫応答遺伝子産物の役 割についての貴重な情報を提供してくれた。特に抗原特異的T細胞のクローン分 析は、いくつかのヒト疾患の病因におけるT細胞集団の病理学的役割を規定する 機会を提供してくれた。タンパク質及び合成ペプチド のT細胞認識の基本原則が現在確立されつつある。この情報に基づくと、MHC ク ラスI及びクラスII制限T細胞免疫のいずれかを惹起するようなワクチンを設計 することが可能である。その上、インビトロで生成された抗原特異性T細胞系統 及びクローンが、疾患メカニズムを同定し免疫療法及び免疫診断戦略を開発する 上で実際上著しい助けとなる可能性がある。 有効な治療を設計する上で抗原特異的T細胞系統及びクローンが貴重な助けと なりうるいくつかのグループのヒト疾患が存在する。特に自己免疫疾患は、1つ の共通の特徴すなわち自己反応性T細胞の免疫調節における欠損という特徴を共 有する1つの疾患グループである(Brostoff et al.Clinical Immunology(臨床 免疫学)Gower Medical Publishing編、ロンドン−ニューヨーク、1991により再 検討)。ヒト自己免疫疾患の例としては、甲状腺機能亢進症、多発硬化症(MS) 、リウマチ様動脈炎(RA)、重症筋無力症(MG)、I型糖尿症などが含まれる。 既知の全ての自己免疫疾患において、自己反応性T細胞又はB細胞産生抗体が活 性化されクローン拡大されて宿主の標的組織に対する攻撃を高める。このプロセ スは往々にして、炎症性サイトカインを産生することのできるT細胞、ガンマデ ルタT細胞及びマクロファージを含む炎症性細胞の漸増とそれに続く、関与する 組織の破壊を導く(Deodhar et al.,Clin.Biochem.25,181,1992内で再検討 )。 多発硬化症は、脳の白質の中へのリンパ球及びマクロファージの浸潤及び中枢 神経系内の局所的に産生された炎症性サイトカイン及び抗体を特徴とする、中枢 神経系の慢性炎症性脱髄疾患である(Selmaj.et al.,Ann.Neurol.23,339,1 988;Cross et al.,J.Neuroimmunol.33.237,1991)。これらのプロセスは、 脱髄及び神経系機能障害に結びつけられる。往々にして、浸潤細胞は本来自己 免疫性をもち、自家タンパク質を認識しミエリン組織を、破壊するプロセスの中 でエフェクターとして作用する。自己反応性T細胞によって媒介される自己免疫 メカニズムは、脱髄へと導く連続した事象の中で中心的位置を占めている(Zhan g et al.,Intern.Rev.Immunol.9,183,1992.により再検討)。 MS及びその他の自己免疫疾患についての我々の知識は、実験動物における研究 によって大きな指針を得ている。実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)は、MSと数多 くの類似性を共有する中枢神経系の麻痺性疾患である。従ってこれは一般にMSに とっての動物モデルとみなされる。EAE は、MBP 又はプロテオリピドタンパク質 (PLP)に特異的な活性化されたT細胞により誘発され得る。ヒトにおいては、MBP 特異的T細胞の潜在的な病理学的効果は、感染したウサギの脳から調製された 狂犬病ワクチンを受けた個体の体内で発生するワクチン接種後の脳脊髄炎におい て例証され得る。実験動物と同様に、MBP 特異的T細胞は、MS患者の脳脊髄液の 中に、より増大した頻度で発生する。患者の末梢血から分離されたこれらの自己 反応性T細胞は、活性化された状態で見い出され、疾患プロセスの中でのその役 割を示唆している。免疫系が活発に関与していることから、MSのいくつかの現行 の治療は、非特異的免疫抑制に基づくものである。しかしながら、特異性が欠如 しているために、これらの治療には往々にして重症の副作用が付随することが多 い。 MSがミエリン抗原に対する自己反応性T細胞応答により媒介される炎症性自己 免疫疾患であるならば、これらの病原性T細胞を選択的に除去するべく免疫療法 を設計することは理論的に実現可能である。この推測は、EAE モデルにおける研 究に大幅に基づくものである。 1つのT細胞又は一群のT細胞を他のものと区別するT細胞の部 分はT細胞レセプター(TCR)である。かくして、TCR は、有効かつ特異的治療戦 略を設計するための最も適切な標的であると思われる。この療法のための明らか な1必要条件は、関与する特定のTCR に対する治療の特異性である。このことは すなわち、病原性T細胞の集団が、関与する自己抗原を認識するためのTCR レパ ートリーに関して均質でなくてはならないということを意味している。この条件 は、脳炎誘発性のMBP 反応性T細胞がMBP 上のエピトープ及び単一のTCR Vβ遺 伝子セグメントに制限されているルイスラット及びPL/Jマウスの中にEAE にお いて満たされていると思われる(Burns et al.,J.Exp.Med.169,27,1989; Acha-Orbea et al.,Cell 54,263,1988)。全体として自己反応性T細胞か又 はTCR のいずれかをターゲティングするように設計されたさまざまな治療戦略が 、感作された動物の体内のEAE の発達を防ぐ上で有効であることが示されてきた (Zhang et al.,Intern.Rev.Immunol.9,183,1992内で再検討)。 しかしながら動物においてそれに対応するものとは異なり、MSにおける状況は 、MBP 特異的T細胞のTCR 遺伝子利用及びエピトープ特異性に関してさらに複雑 である(Ben-Nun et al.Proc.Natl.Acad.Sci.88,2466,1991)。その上、 この疾患は、きわめて多様で個人によって可変的である主要組織適合遺伝子複合 体(MHC)遺伝子の関与によりさらに複雑になっている。MHC 遺伝子産物は、T細 胞が抗原を認識するのに用いることのできる重要な要素である。従って、これら の病原性T細胞が共有する標的構造が規定される前に、特定の患者又は関係する MHC 遺伝子を共有する患者グループに対して特異的免疫療法を個別調整すること が必要であろう。 活性化されたMBP 特異的T細胞は、非毒性にされた時点で、実験動物における EAE を予防し治療することができる(Ben-Nun et al. ,Nature 292,60,1981)。この手順は、感染症を予防するための微生物ワクチ ン接種からから類推してT細胞ワクチン接種と呼ばれる。疾病を治療する上でワ クチンが有効となるためには活性化と弱毒化の両方が必要とされる。弱毒化は化 学的修正又は照射のいずれかによって達成できる(Ben-Nun et al.,Nature 292 ,60,1981)。いくつかの実験的自己免疫疾患を予防し治療する上でT細胞ワク チン接種が有効であることがわかっている。EAE に加えて、実験的自己免疫性甲 状腺炎(EAT)、アジュバント関節炎(AA)及び実験的自己免疫性ブドウ膜炎(EAU) を治療又は予防するためのワクチンとしても、生の又は弱毒化したTリンパ球が 使用されてきた(Cohen,Immunol.Rev.94,5,1986)。ワクチン接種の繊細な 特異性はT細胞認識の繊細な特異性によって左右されることから、TCR が治療又 は予防的効果に関与する可能性が最も高い。例を挙げると、各々MBP の異なるエ ピトープに対し反応性をもつ2つの異なるMBP 特異的T細胞系統が特定のエピト ープにより特異的に誘発されたEAE に対するワクチンとして作用し、或る種の抗 イディオタイプ免疫を表わすことが発見された。しかしながら、クローニングさ れていない細胞系統から抗イディオタイプのMBP 特異的又はサイログロブリン特 異的T細胞(甲状腺炎モデルの場合)のクローンを分離する試みがなされた場合 、疾病を生み出すものの耐性を生み出さないクローンのみが得られた。このこと から、静水圧又は化学的架橋結合のいずれかによる細胞膜の適切な凝集又は剛性 化が、より一貫して防御を誘発することのできる細胞を生み出すという仮説が導 き出された。同様にして、低用量(脳炎誘発以下の)のMBP 特異的細胞は、致死 的EAE に対する耐性を誘発することができた。防御性状態は、「対抗自己免疫」 と呼ばれた。この状態には、ワクチン接種用T細胞に応答して特異的に増殖する ことができ、インビトロでエフェクタ ークローンを抑制でき(非特異的に、恐らくは抑制性リンフォカインの放出を通 して)かつインビボで対抗自己免疫を養子免疫細胞移入することのできるT細胞 クローンが関与している。このような対抗自己免疫には、特異的エピトープに対 する抑制された遅延型過敏症(DTH)応答及び臨床疾患の予防又は緩解が伴う。 動物研究から習得した生物学的原則は、自己反応性T細胞がMSにおいても類似 の病原性の役割を果たすことを条件として、MSにおいても作用している可能性が ある。かくして、EAE の治療において有効な免疫療法戦略は、MSのための特異的 治療を設計する上でいくつかの手がかりを提供したのかもしれない。 疾病のメカニズムにおいて抗原特異的T細胞が重要な役割を果たすもう1つの グループの疾病は、ニッケル媒介アレルギーといったようなT細胞媒介アレルギ ーである(Kapsenberg,M.L.et al.J.Invest.Dermatol.98,59-63,1992) 。これらのアレルゲン特異的T細胞を除去することは、疾患の症状を軽減するの に有益でありうる。 治療のため現在抗原特異的T細胞クローンが適用されているもう1つのヒト疾 患グループは、ガンである。ガンの病因はいまだにわかっていないが、ガン細胞 に対する宿主免疫の欠損が悪性腫瘍の発生において重要な役割を果たしていると いうことは、一般に受入れられている(Miescher et al.,J.Immunol.136,18 99,1986)。腫瘍特異的T細胞が腫瘍細胞を何故除去できないかという精確なメ カニズムはわかっていないが、現在、腫瘍特異的なT細胞の機能的能力の増大を 目指した免疫療法を開発するための研究努力がなされている。この点において、 腫瘍部位に宿った腫瘍浸潤リンパ球(TIL)は、腫瘍に対する免疫攻撃を発達させ ようとする腫瘍をもつ宿主の試みを表わしうることから、最も興味を引くもので ある(Uose e t al.,Semin.Haematol.22,27,1985)。TIL は、エフェクター及び免疫調節 リンパ球及び単球の不均質集団で構成されている(Whiteside et al.,Int.J.C ancer.37,803,1986)。動物研究から得た最近の証拠は、腫瘍をもつ宿主の中 へのTIL の養子免疫細胞移入が多大な抗腫瘍効果を媒介するかさらには完全な腫 瘍退行さえ誘発することもできる。ということを示している(Rosenberg et al. ,Science 223,1318,1986)。同様にして、ヒトにおいて、腫瘍特異的T細胞は TIL 調製物から誘導され得、抗原特異的な形で腫瘍標的を溶解させることがわか っている。標準的には、TIL は、外科的腫瘍標本から分離され、腫瘍をもつ受容 個体への養子免疫細胞移入のため109〜1011個の細胞まで拡大される。養子免疫 療法としてのその潜在的利用分野は現在臨床前研究及び臨床試験において評価さ れつつある(Rosenberg et al.New.Eugl.J.Med.319,1676,1988)。 外来性抗原、自己抗原及び腫瘍を攻撃するT細胞は、自らの標的として外来性 抗原、自己抗原及び腫瘍を特異的に認識することから免疫学的に重要であり、こ れらの特異性は、外来性抗原特異的T細胞、自己抗原特異的T細胞及び腫瘍特異 的T細胞の調節不全の又は調節不良の機能に関連する疾病の療法及び診断のため に利用可能である。 T細胞クローニングの問題点は、クローンレベルでT細胞の相互作用を研究す るという全ての免疫学者にとってのたゆまぬ挑戦にあった。特異的抗原によるヒ トT細胞のクローニングは一般に従来のアプローチ通りに使用されてきた。この 技法では、T細胞は、抗原提供細胞により処理され提供される抗原ペプチドによ り剌激される。しかしながら、このT細胞の活性化経路が必ずしもすべての単一 の抗原特異的T細胞を剌激するわけではない、というのが一般的な 経験であった。抗原ペプチドとT細胞レセプターの間の相互作用の間に起こった 不適切な抗原提供が、T細胞を抗原に対し反応しないものにするクローンアレル ギーを誘発するということを示唆するいくつかの証拠が存在する(LaSalle et al .,J.Exp.Med.176,177,1992)。さらに、T細胞活性化のための培養条件は 、関与する個々の抗原及び個々のクローンの機能的特性と共に変動することから 、最適化するのが困難である。従って、抗原剌激によるヒトT細胞のクローニン グは、さらに低いクローニング効率によって大きく妨害され、そのためクローニ ングプロセスのためにさらに多くのT細胞が必要となる。こうしてその他の無関 連細胞によるクローン調製物の汚染及び、低い成長特性が発生する。 このことは、MBP での剌激により患者の血液からのMBP 特異的T細胞をクロー ニングする我々の試みによって例証されている。これらのクローンは、単一の抗 原ペプチドに対してクローン応答を示し単一の表現型を発現したものの、PCR 分 析は多数のVβ遺伝子産物を明らかにし、クローン調製物のオリゴクローン性を 表わしていた(Ben-Nun et al.,国立科学アカデミー会報、1991)。これらのMB P 特異的T細胞「クローン」は通常、短期間(通常2〜3週間)MBP に対する反 応性を維持し、その後、培養劣化する。抗原での反復的剌激がダウンレギュレー ションによる「クローン」の不応答を誘発する確率が高い(La Salle et al.,Jo urnal of Experimental Medecine,1992)。 最近になるまで、結果として得られるクローンのクローン性は適切に分析され なかった。「T細胞クローン」という語はあいまいにも通常さらに低いクローニ ング効率でのクローニングプロセスの完了及び「クローン」調製物の抗原反応性 に基づいている。かくして過去において、クローンの唯一の遺伝子標識について の証拠が欠如 しているために、たとえそのことがその実験結果に直接影響を及ぼし得るにせよ 、数多くの初期の出版物において記述されてきたようなこれらの「クローン」の 真のクローン性についての疑いが増すことになった。T細胞クローニング手順に おける、特にPCR 技術といった分子バイオテクノロジーの進歩及び具体化のおか げで、特定の細胞調製物のモノクローン性についてより多くの証拠を提供するこ とが可能となった。発明の要約 本発明は、集団を形成するヒトT細胞の特異性の対象である抗原の存在下でき わめて増殖性の高いヒトT細胞モノクローン集団に関する。ヒトT細胞モノクロ ーンの集団は、その後の培養発達の全ての段階において、汚染細胞をもたない状 態にとどまるという点で完全な生物学的純度を有することを特徴としている。 好ましくは、本発明のヒトT細胞モノクローン集団は、それが単一のTCR V遺 伝子発現を発生させるということを特徴とする。同様に、これは唯一のTCR V− D−J DNA配列を有することを特徴としている。同様に好ましいのは、CD4 又は CD8 表現型のいずれかの細胞を含むT細胞モノクローン集団である。 本発明のヒトT細胞モノクローン集団のヒトT細胞が特異性を有しておりかつ 存在した場合に集団が増殖性のものとなる抗原は、好ましくは腫瘍細胞又はその 免疫原性部分すなわち自己抗原である。その他の好ましい抗原としては、ミエリ ン抗原又はその免疫原性部分、特にミエリン塩基性部分、プロテオリピドタンパ ク質、ミエリン関連糖タンパク質、ミエリン−乏突起膠細胞−糖タンパク質及び /又はその混合物、さらに特定的に言うとミエリン塩基性タンパク質のアミノ酸 配列の84〜102 領域又は 149〜170 領域のエピトープ が含まれる。 ヒトT細胞モノクローン集団を形成するヒトT細胞が特異性をもつ抗原は、破 傷風トキソイド抗原といった外来性抗原又はT細胞を通してアレルギーを媒介し ているアレルゲンである可能性もある。 同様に本発明の範囲内に入るのは、ヒトT細胞が特異性をもつ抗原及び/又は その他のあらゆるT細胞剌激剤の存在下できわめて増殖性が高く、しかもその後 の培養発達の全ての段階において汚染細胞をもたない状態にとどまっている点で 完全な生物学的純度を有することを特徴とするヒトT細胞モノクローン集団の産 生方法である。この方法には、 1)抗原に対して応答性をもつヒトT細胞系統を提供する段階、 2)ヒトT細胞モノクローン集団を産生するべく、T細胞系統を単細胞クローニ ングし、自己由来の又は同種異系の供給細胞の存在下でT細胞剌激剤を用いて、 結果として得られたT細胞クローンを剌激する段階、及び 3)望ましいTCR 特異的特性をもつモノクローン集団を選択する段階、 が含まれる。 好ましくは、本発明の方法において使用されるヒトT細胞系統は末梢血リンパ 球から採取される。T細胞剌激剤について言うと、これは好ましくは、レクチン 好ましくはPHA 及び/又はConA、リンフォカイン好ましくはCD3 及びその他の細 胞表面分子に対するインターロイキン−2(IL−2)及び/又は組換え型IL−2 (r−IL2)マイトジェン抗体及び/又はその混合物から成るグループの中から 選択される。 同様に、本発明の範囲内に入るのは、本発明の集団を形成するヒトT細胞モノ クローンからのT細胞レセプターの均質な集団又はそ の抗原特異的部分及び/又は、選ばれた複数の集団又は部分の混合物である。 同様に本発明の範囲内に入るのは、自己免疫疾患、T細胞媒介アレルギー、感 染症及びガンの治療のための治療薬である。この治療薬には、本発明に従ったT 細胞モノクローンの1集団又は選択された複数の集団の混合物が有効量含まれて いる。 本発明は同様に、ヒトに対してその他の免疫疾患に対する能動免疫を付与する ためのワクチン組成物にも関する。このワクチン組成物は、本発明に従ったヒト T細胞モノクローンからのT細胞レセプターの均質な集団又は本発明に従ったヒ トT細胞モノクローン集団から得られたT細胞レセプターの選択された複数の集 団の混合物を有効量含んでいる。 同様に、本発明の範囲内に入るのは、その状態に関連づけられその患者の生体 試料から得ることのできる単数又は複数の抗原によってひき起こされた1つの状 態に苦しむ患者を治療するための方法である。この方法にはこの状態を少なくと も軽減するべく適切な免疫応答を生成するのに充分な量のヒトT細胞モノクロー ン集団を患者に養子免疫細胞移入することにより患者にワクチン接種する段階が 含まれる。ヒトT細胞モノクローン集団は抗原に対し応答性をもち、かつそれが 培養発達の全段階において汚染細胞を含まない状態にとどまるという点で完全な 生物学的純度を有する。 本発明は同様に、特別に診断された疾病の原因であると考えられるタイプの抗 原の存在下できわめて増殖性の高いヒトT細胞モノクローン集団を同定し、その 後同定されたヒトT細胞モノクローンの集団を調製するためのキットにも関する 。このキットには次のものが含まれる。 1)生体試料から抗原に対する応答性をもつ細胞系を生成するのに 充分な量の、診断された疾病に特異的な必須抗原及びそのペプチド; 2)きわめて低い細胞密度でヒトT細胞系統を平板培養するための手段; 3)低密度でヒトT細胞を成長させるためのT細胞剌激剤、そして任意には、 4)T細胞モノクローンの特徴づけのためのプロトコル及び必須試薬。 本発明は同様に、診断すべき状態と結びつけられた抗原に対する応答性をもつ 特異的T細胞を含む生体試料を固定化するための適切な固体支持体、少なくとも 支持体上に特異的T細胞を固定化するための手段、及び診断すべき状態に関連す る抗原に対し特異性をもつT細胞モノクローンレセプターに対する抗原を含む診 断用キットにも関する。 本発明のヒトT細胞モノクローン集団は、適切な治療薬を調製するのに充分な 細胞量に達するべく長期培養にT細胞モノクローンを維持するのに特に有用であ る。感染性疾患及び免疫関連疾患及び/又はガンを特異的に検出、予防、抑制及 び/又は治療することのできる診断及び治療薬に対する需要が明らかに存在する 。 本発明のヒトT細胞モノクローン集団は、養子免疫療法のために使用すべきT 細胞の調製物又はワクチンといった治療薬又は診断用キットのいずれかの形で使 用するのに充分多い量まで拡大させることができる。ヒトT細胞モノクローン集 団は同様に、現在の技術的状況の最も一般的な免疫療法及び免疫薬理学的アプロ ーチの場合にそうであるように免疫を全身的に抑制することなく、感染疾患及び 免疫関連疾患及び/又はガンを予防、抑制及び/又は治療するための治療薬とし ても使用できる。 本発明は同様に、現在の技術的状況の一般的方法に付随する細胞汚染の問題を 最小限におさえるかさらには除去さえする外来性抗原特異的、自己抗原特異的及 び腫瘍特異的T細胞モノクローン集団のインビトロ調製のための方法をも提供し ている。 図面の簡単な説明 図1は、3つのMBP フラグメントに対するMBP 特異的T細胞系パネルの反応性 パターンを例示する。 図2は、反復的MBP 剌激(パネルA−B)及びPHA 剌激(パネルC−D)によ りクローニングされたMBP 特異的T細胞クローンのTCR Vβ遺伝子使用のPCR 分 析を表わしている。パネルEは、本発明の方法によりクローニングされた標準的 TSL クローンの唯一図のVβ遺伝子使用を表わす。 図3は、PHA 及びMBP 剌激によるMBP 特異的T細胞系のクローニング効率の比 較を示す。 図4は、各接種前後のMBP 特異的T細胞の頻度の変化及び接種物及び対照T細 胞に対する増殖性応答を表わす。 図5は、受容個体(GE及びCW)及び非受容個体(AH及びGC)におけるMBP,TT 及び接種物に対する応答性をもつT細胞の頻度の変化の関係を表わす。 図6は、抗クローン型T細胞系統の機能的特性を表わす。 図7は、自己由来の及び同種異系の腫瘍標的に対するTSL 系統の増殖性応答を 表わす。 図8は、自己由来の及び同種異系の腫瘍細胞、NK感応性K562細胞系統及びNK− 耐性Daudi 細胞系に対するTSL 系統の細胞毒性活性を表わす。MCF7細胞系は、ヒ ト乳ガン細胞系である。 図9は、各々の接種の前後の6人のMS患者における循環するMBP 反応性T細胞の見積り上の頻度の変化及びワクチンクローンに対する抗クローン 型T細胞応答を表わす。 図10は、抗クローン型T細胞応答を潜在的に惹起する標的TCR 内の特異的部位 及びTCR 遺伝子の組織を概略的に表わしている。 発明の詳細な説明 本発明は、抗原特異的T−細胞モノクローナル集団、及び種々の疾患、例えば 感染患、自己免疫性疾患、T細胞媒介アレルギー及びガンなどの診断及び治療、 へのその使用、に関する。 クローン型制御は、自己反応性T細胞をチェックする末梢制御機構の重要な要 素の一つである。この制御ネットワークは、ワクチンのような弱毒化した自己反 応性T細胞を用いる従来の接種法に類似する、自己免疫病理中の自己侵襲性T細 胞を治療的に除去するためにT細胞を接種する方法により、更に増大する。例え ばクローン型制御ネットワークに潜在的に関係する細胞性及び分子性相互作用は 、ヒトの自己免疫患、例えば様々の硬化症におけるT細胞接種の治療学的適用に より生じる。 種々の自己抗原を認識する自己反応性T細胞は、通常のT細胞レパートリーの 一部を占め、末梢部位で自然に循環している。多くの器官特異的自己免疫疾患に 共通して、これら自己反応性T細胞は活動及びクローン増殖を行い、これは、自 己免疫性疾患の発生における自己侵襲性T細胞の病理特性の証明である。自己侵 襲性T細胞の活性化により異なる官能状態がこれら細胞に取られ関係する器官に 誘導性パターンが付与される。クローン増殖は、自己侵襲性T細胞の数の増大だ けでなく、その通常は異種起源T細胞レセプター(TCR)レパートリーを引き出し 型病理エピトープへシフトさせる。正常な生理学的状態から自己免疫性病理状態 への、自己反応による臨界 的な相互作用は、自己反応性T細胞の活性化及びクローン増殖と、これを制御し ている制御ネットワークのまちがった機能化、との相互作用に関係する。制御機 構一つは、そのTCR クローン決定基と相互作用する自己反応性T細胞を制御する クローン型ネットワークに関係する。TCR 重変異エピトープは、個々の自己反応 性T細胞クローンの特性のクローン型マーカーを構成し、その制御要素により認 識可能である。クローン型相互作用は、T細胞レパートリーの残る部分に影響を 与えることなく制御ネットワークに“良好な協調”を生じさせる。最近の研究の 結果によれば、このようなクローン型ネットワークは生体内で自然に行われてお り、自己侵襲性T細胞を治療的に除去しうるよう、臨床的に制御できる。 病原性自己反応性T細胞はT細胞媒介自己免疫疾患中に病原として認められる ため、照射あるいは圧力及び化学治療により無毒化される場合には、病気を予防 し治療するためワクチンとして使用することができる。T細胞ワクチン接種の原 理は、感染事態に対する従来の細菌的接種と同様である。ワクチンとして弱毒化 した自己反応性T細胞を投与することにより、顕在化する自己反応性T細胞を制 御ネットワークが特異的に抑圧することは証明されている(参考文献7)。T細 胞接種は多くの実験的な自己免疫性疾患、例えば脳脊髄炎(EAE)、実験的自己免 疫性ブドウ膜炎、実験的な糖尿病モデル及びアジュバント関節炎、の予防及び治 療に効果的である。この保護効果は長期間継続し特異的である。なぜなら引き起 しうる病気に対し、ワクチン接種のみに使用される自己反応T細胞が保護するか らである。 T細胞ワクチン接種に関する機構は完全には理解されていないが、標的TCR の クローン型決定基に向けられたクローン型ネットワークの制御にかかわる、と考 えられる。この考えを裏付ける証拠はい くつかの論文に見られる:(1) CD4*及び CD8*、抗−クローン型制御T細胞は 免疫クローンにより誘導され免疫クローンを特異的に認識する。(2)これら抗 −クローン型T細胞は保護機構の主要な細胞構成分であり、移植により無感染ラ ットに対する特異的な保護を与えることができる。他の調整T細胞も保護に寄与 し、この場合、TCR でなく、活性状態に関係するマーカーに応答する抗エルゴ型 T細胞として同定される調整T細胞などの、TCR クローン型とは異なる細胞状マ ーカーと相互作用する。 生体内において抗−クローン型T細胞応答を引きおこすことに関係する変異TC R 領域は、超可変領域(スーパバリアブル領域)、例えば補足性決定域−3(CD R3)あるいはより変異の少ないCDR2域、に存在することが多い。 T細胞接種は生体内で独特の状態をつくりだす、即ちクローン型ネットワーク が、自己反応T細胞を自然に制御するために関係する標的エピトープを選ぶ。図 10において、TCR 遺伝子構造、及び生体内で潜在的に抗クローン型T細胞応答を 引きだす標的TCR 内の特定部位、が示されている。 標的TCR の結合(CDR3)域に対する抗クローン型T細胞の認識により、MHC ク ラスI分子に関係する免疫T細胞クローンの特異的な除去が誘導される。変異域 のCDR2配列にある“交叉反応性”クローン型に対する他の認識パターンを有する 抗クローン型T細胞は、免疫クローンに加え、同じクローン型を共有する他のT 細胞と反応する。 MS中の自己反応性T細胞の構造的及び機能的特徴、及び治療戦略の展開におけ るその関連 EAE において、活性化脳脊髄炎T細胞は、病気の直接の原因である。原因とな る自己抗原であるミエリン基本蛋白(MBP)に対するそ のTCR レパートリーは、限定されたエピトープ認識及びV遺伝子使用の双方に関 して、かなり限定されている。従ってこの限定されたTCR レパートリーから、特 定された治療的介入のための適当な分子標的が提供される。脳脊髄炎T細胞のTC R 特性の範囲内でVβ遺伝子産物あるいはその他の攻撃点における標的のための 、種々のTCR をベースとする戦略が開発されてきた。 しかし、自己免疫患モデルと異なり、ヒト自己免疫病理学の複雑さは、しばし ば、あらわれる自己抗原、及びむしろ関係する自己反応性T細胞の異種起源TCR レパートリー、の同定があいまいであることが反映している。例えばMSにおいて 、MBP などのミエリン抗原に対するT細胞応答は、自己免疫病理学の導入に関係 している。そのげっ歯目対応生物の場合と対象的に、ヒトMBP 反応T細胞はTCR Vβ遺伝子の異種起源パターンを表わす。異なるMS患者から分離したこれらT細 胞は、MBP に対する応答としてVβ遺伝子の広いスペクトルを使用する。もっと も応答はMBP の二つの免疫主体域、残物84-102及び残物143-168 に相対的に限定 される。ここでVβ遺伝子利用パターンはMS患者相互の間でかなり変動するが、 所定の個人においては限定されていることは注目してよい。本発明に関係してな された研究の結果、所定のMS個人における限定されたVβ遺伝子の使用は、特有 のV−D−J及びV−J接合部DNA 配列パターンを共有していることから証明さ れるように、MBP-特異T細胞のクローン増殖を表わすものであることがわかった 。表4にはその例が示されており、これには、MSを有する患者から分離されたMB P-反応T細胞の限定されたクローン起源が示されている。これらの証拠に基いて 、MSにおけるMBP 特異的T細胞が活性化、及び関係するエピトープ及びあるV遺 伝子使用に対する非対称TCR レパートリーによりマークされるクローン増殖、を 起こすと提案することは合理的である。 この考えに合致するわれわれの最近の発見は、生体内で活性化するMBP 反応T細 胞は、しばしば、同じV−D−J配列パターンを所定MS患者中のクローン的に増 殖した集団と共有する、ということである。 一般的なMS集団中のTCR V遺伝子産物の異種起源的発現は、TCR V遺伝子ベー スの治療戦略を開発する現在の試みをかなり当惑させるものである。あるTCR V 遺伝子産物における標的的に設計された治療剤(例えばTCR ペプチドに対するモ ノクローナル抗体)はある患者には有効であるが、別の患者には適さず、このこ とはその臨床的な有用性を著しく減じる。一方、極めて限定されたMBP-特異性T 細胞母集団のクローン増殖はMSにおけるかなり大きな特徴であるため、その限定 されたTCR レパートリーは、個体間では変動するとしても、所定の患者には均一 な標的構造となる。これらのクローン増殖T細胞は、MSを有する所定固体におけ る全MBP-特異性T細胞の60%〜80%をしばしば占める。従って可能な治療法にお いては、クローン増殖MBP 反応T細胞の代表的なマーカーを利用することもでき るが、その利用は所定個体に限定されることもあり、このことは、適当なTCR ベ ースの治療戦略を設計するにあたってジレンマとなる。 治療的な観点からは、T細胞媒介自己免疫プロセスを停止させるためには二つ の主要な方法があり、これは、病原T細胞をブロックし除去するか、宿主の既に 存在する制御機構を活性化することである。前者の方法に固有の難点は、治療薬 をひんぱんに投与しなければならないこと、またその治療効果がしばしば短期間 しか持続せず、薬剤の消尽と共に効果が減ずることである。従って、宿主の自然 的な制御ネットワークを動員し高めるようにして特異的に自己侵襲性T細胞を抑 制する積極的な治療が必要である。T細胞接種は、種 々ヒト病理に対するこのような治療戦略の開発に役立つように見える。更に、ク ローン増殖T細胞集団は自己免疫疾患に病理学的関連を有するため、均一なクロ ーン型マーカーを有するこれらT細胞は、免疫介入に対し明らかな治療的可能性 を有する。 本発明によるヒトT細胞モノクローン集団の調製方法 A.抗原特異性T細胞系列の発生 一般的に、本発明のモノクローン集団調製のために使用されるT細胞は、治療 すべき症状により選択される。例えば免疫性疾患の場合、患者の末梢血リンパ球 が、適当なT細胞系列をひきだすために使用される。腫瘍特異性リンパ球の場合 には、その細胞は患者から入手した腫瘍から得られる。 別の事態の場合、患者の症状に関係する解剖学的領域に見られるT細胞からの モノクローン集団を開発することもできる。そのような事態の例にはリューマチ 様関節炎が含まれ、この場合この症状に関係する細胞は関節の滑膜液にみられ、 様々の硬化症の場合、関係する細胞は脳脊髄液にみられる。 別の抗体特異性T細胞モノクローン集団の場合、特異性のある細胞系列は末梢 血リンパ球から生成することができる。この説明の後につづく実施例からわかる ように、この方法は、中毒性強直抗原に特異性のあるT細胞系列を生成するため に連続的に適用された。 従来技術として、ヒトT細胞増殖に関する種々の方法が発表されている。例え ばZamvilほかのNature 319,355-358 ページ、1985、及びNature 324,258-260 ページ、1986年;LondeiほかのScience228-85-89,1985年、LondeiほかのActa E ndocrinol,115 (suppl.281),86-89,1987年;Stamenkovic ほかのProc.Natl .Acad.Sci.,USA 85,1179-1183 ページ、1988年、Lipoldova ほか、J.Autoi mmun.2,1-13,1989年、を参照することができよう。しかし当 業者には適当な抗原特異性細胞系列を生成するために上述の文献記載の方法ある いは他の方法を使用できることが理解されるべきである。更に、当業者はまた、 末梢血からMPB 特異性T細胞系列、患者からの腫瘍から腫瘍特異性リンパ球、末 梢血から中毒性強直特異性T細胞系列を生成するための特異な方法を開示する本 発明の実施例を参照することができよう。 T細胞系列が末梢血から単離される場合、末梢血リンパ球が単離され、5乃至 10日間の期間、抗原の存在のもとで培養される。この期間はサンプル中の反応性 細胞の数、細胞の活性状態、剌激調製物の力、によって変動する。これらの要因 すべては、当業者には調整できよう。 得られる培養物は、増殖及び抗原を防ぐためにあらかじめ照射された自己由来 の抗原発生細胞と共に再度剌激を加える。再剌激時間は変動してよいが、一般的 には5乃至12日間である。腫瘍特異性リンパ球の場合、ある場合には、適当なT 細胞剌激剤の存在下にリンパ球を定期的に剌激するために、表面酸化した同種異 系細胞が必要な場合もある。 この生きたT細胞系は次いで単離され、5乃至12日間適当な抗原の存在下に自 己由来の抗原発生細胞と共に再剌激を受ける。この細胞系列は次いで、増殖アッ セイ中に抗原に応動する特異増殖について検査される。 B.抗原特異性T細胞の単一細胞クローニング 真の抗原特異性T細胞クローンをクローン化することは通常困難である。これ は、自己由来の抗原発生細胞、低いクローニング効率、及び抗原剌激プロセスに おいてT細胞耐性が導入されること、に通常関係する問題のためである。これら の問題の結果、T細胞をクローン化するために採用される一般的な方法は、ウェ ルあたり10乃 至30個の細胞を使用することである。その結果、クローン調製物は望ましくない T細胞で汚染される。 本発明方法によれば、抗原特異性T細胞は、照射された自己由来もしくは同種 異系の抗原発生細胞及び効力あるT細胞剌激剤、例えばPHA 及び/もしくはConA ,CD3 に対する分裂性抗体及びその他の表面分子及び/もしくはその混合物、の 存在下に極めて低い細胞濃度で平板培養される。当業者には上述のT細胞剌激剤 は例示であり、他のT細胞剌激剤も使用できることが理解できよう。成長過程で は、培養体には、新しい培養物であって、抗原及び上述のT細胞剌激剤で交互に 剌激を与えることにより更に増殖できるIL−2のようなリンパ球成育要素を含む 培養物を与えることができる。ここで、その成育要素特性は別として、IL−2も またT細胞剌激剤として使用できることが理解されるべきである。 この単一細胞クローニング法は、本発明の重要な局面である。これは、より高 いクローン化効率、クローンの大規模な増殖を可能にするより高い生育特徴、反 復的な増殖及びモノクローナル性の後の抗原特異性の維持、をもたらす。実際本 発明方法によれば、4乃至6週間の期間で数百万の細胞の均質な集団を生育させ ることが可能である。効力のあるT細胞剌激剤を使用することにより、抗原発生 細胞の場合にみられる汚染の問題が避けられる。 本発明T細胞集団の特徴 既に述べたように、本発明方法によれば、治療に使用することのできる十分な 量の均質なT細胞モノクローン集団を生育させることができる。勿論本発明の集 団は単一性免疫エピトープあるいは抗原を認識する細胞に限定されない。一つの 抗原に異なるエピトープを認識する異なるクローンの混合物からなる細胞系列集 団を生育させることが可能である。このような場合、最初に平行的に単一細胞ク ローニング行って、組みあわせて適当な混合物を生成することのできるような単 一エピトープを認識する均質な集団を先ず生育させるようにすることが、必要で あるかもしれない。 高度に増殖性のあるT細胞クローンは少くとも10の剌激指数(培養物のみの中 に抗原/CPM の存在する場合のCPM)により定義することができ、これは、標準的 な3H−チミジン取り込みアッセイにより測定される。抗原特異性T細胞は、反復 的な抗原性の挑戦あるいは不適当な抗原があらわれた後では、しばしば耐性をも つ。これに関して本発明によれば、クローンを抗原、及びPHA のような非特異的 剌激剤で交互して剌激することにより、実際的な代替法が提供される。この方法 は、長期間培養中のクローンの特異性及び応動性を確実なものとする。 本発明方法を用いて生育させたヒトT細胞集団は、従って、多数のサブ培養段 階の後汚染細胞なしに保持されるため、生物学的に高度に純粋さが維持される。 この生物学的に純粋である理由の一つは、所望ヒトT細胞に特異性がある抗原の 存在下に生育する能力を有する他の細胞が存在しないこと、によって説明される 。治療用途においては、コンスタントな治療効果を確保するため、集団を形成す る細胞が均質な特徴を保持していることが重要である。 ヒトT細胞単一クローンの同定、及びヒトT細胞単一クローンの集団調製のた めのキット 診断される病気の原因となりうる型の抗原に対して高い増殖性を有するヒトT 細胞モノクローンの同定のため、及び同定されるヒトT細胞モノクローンの集団 についてその後の調製のため、キットを使用することができる。T細胞ワクチン の調製のために必要な器具は臨床現場で得られるため、本発明のキットを使用す る臨床医は、患者の生物学的標本から、治療すべき症状と関係する標的抗原に応 答する特異T細胞を同定し、単離し、接種及び治療的に使用する十分な量のこれ ら特異T細胞を増殖させることができる。 一般的にはこのキットは、生物学的標本からその特異T細胞を同定するために 必要な抗原又はその免疫優位ペプチド、同定されたヒトT細胞系列を極めて低い 細胞濃度で平板培養するための手段、及び低い濃度で培養される特異ヒトT細胞 を生育させるためのT細胞剌激剤、を含む。キットの一部を構成してもよい任意 的な要素のうちには、平板培養前に特異T細胞の増殖を評価する反応剤、が含ま れる。これら反応剤の選択は当業者には容易である。 キットに含まれる抗原は、好ましくは、関連する症状で患っている大部分の患 者に共通した抗原を含んでいる。それは、関連する免疫優勢なエピトープを含む 、分子又はペプチド全体、又はそのフラグメントでよい。そのような抗原の例は 、 1)リウマチ様関節炎の場合: a)II型コラーゲン(1990 Rheumatol.Int.10,21-29) b)熱ショック蛋白質(1990 Int.Immunol.3,965-972) c)超抗原(1991 Proc.Natl.Acad.Sci.88,10921-10925) 2)多発性硬化症の場合: a)ミエリン塩基性蛋白質とその免疫優勢なエピトープ(1992 Ann.Neurol. 32,330-338 及び1990 Nature 346,183-187) b)プロテオリピド蛋白質(1994 J.Exp.Med.Vol.179) 3)I型糖尿病の場合: a)グルタミン酸デカルボキシラーゼ(1993 J.Exp.Med.177,535-540) 4)アレルギーの場合: ニッケル、ivy毒、ゴム等、リンパ球が介する異なるタイプのアレルギーが同 定されている。(1993 Immunology、第3版 Mosby出 版、E.Roitt,J.Brostoff,D.Male編集) 5)癌の場合: 癌浸潤Tリンパ球の抗原特異性の証拠が示されている。そのような抗原の例は 、1993 J.Immunol.151,3719-3727 に記載されている。 ヒトT細胞株を培養する方法は、当該技術分野において通常の知識を有する者 が操作し得る比較的多くの装置から選ぶことができる。 T細胞剌激剤についても、様々な利用可能な化合物から選ぶことができる。必 要なのは、T細胞剌激剤が、非常に低い細胞密度で播種されたT細胞の発育を剌 激するのに充分な効力を持つことである。利用できる化合物は、PHA のような前 記のものを含む。しかし、当該技術分野で通常の知識を有する者は、低密度で播 種されたT細胞の増殖を促進するような他の剌激剤を選択することもできる。 生物試料から特異的T細胞株が容易に同定される場合や、個人毎に異なる抗原 に対して特異的なT細胞単クローンが必要な場合には、抗原はキットの必須の要 素ではない。このような場合、抗原特異的なT細胞株を、処置されるべき症状に 関連した生物試料から発育させる。前述したように、自己免疫疾患では患者の末 梢血リンパ球を使い、癌特異的リンパ球では、切除した癌からえた細胞を使い、 リウマチ様関節炎では、関節中の滑液を使い、多発性硬化症では脳脊髄液に見ら れる細胞を使う。 T細胞群の治療用調製物及び投与 疾患や異常の処置における本願発明によるT細胞群の治療のための使用は、公 知の診断及び処置の原理を用いて、当該技術分野において通常の知識を有する者 により、遂行することができる。一つの重要な基準は、選択されたT細胞クロー ンが良好な増殖特性を有し 、クローン当たり1×106から1×108細胞の範囲の充分な量になるまで、大スケ ールの増殖が可能でなければならないということである。 薬学的な組成は、不活性化した細胞を使って、又は、それ自体が免疫的なアジ ュバントとなり得る適切な担体に不活性化した細胞を結合させることにより調製 する。これらの組成は、所望の目的を達成するための全ての手段を用いて投与す ることができる。例として、皮下、静脈内、皮内、筋肉内及び腹腔内への投与が 可能である。 投与の頻度と同様に、投与される細胞の量は、所望の効果の性質の他、受容者 の年齢、性別、健康状態及び体重に依存している。一般的には、1×105から5 ×107の間の細胞を、最低2回接種して注入する。投与される細胞の量は、好ま しくは2回目の接種後にワクチン調製物に対する増殖応答を実際に誘導するのに 充分な量でなければならない。 例として、107−1.5 ×107個の放射線照射細胞のプールをワクチンとして調製 し、皮下注射することができる。ワクチン接種のための細胞数は、Zhang et al によって、Science Vol 261,p.1451-1454(1993)で記載されているようにヒト における有効投与量に基づくか、Ben-Nun et al によって、1981年にNature 292 ,60-63 に記載されたような適切な動物モデルに基づいて選択できる。 特定のワクチンクローン、あるいはクローンの混合物に対する適当な増殖応答 を誘導するのに必要な接種の数は、疾患の型、疾患の状態及び患者の免疫系の状 態に依存して変動する。一般的に、自己免疫疾患では、少なくとも2回の107−1 .5 ×107の放射線照射した細胞の接種を、2から4ヵ月の間隔をおいて行えば、 適切な応答を引き起こすのに十分である。ある状況においては、必要とされる接 種の回数は、特異的T細胞ワクチンに対する患者の短期及び長期 の免疫応答や、疾患の機構に関わる他の可能性のある病理学的なT細胞に対する 抗原特異性に大きく依存する。 処置に対する患者の応答は、本願発明のT細胞群を注射した患者における抗ク ローン型T細胞の増殖を調べることで評価する。簡潔に述べると、末梢血単核細 胞を接種後、異なる期間をおいてから単離し、標的抗原への剌激をするためプレ ートに播く。患者が処置に対して応答していた場合、特異的な調節T細胞が患者 中に検出される。通常、CD4+又はCD8+の細胞株が接種によって剌激を受ける。し かし、ワクチン接種による生成物にたいして阻害効果を示したり、抑制を高める ように制御ネットワークを動かすことによって、ワクチン接種が、他のT細胞群 も誘導する可能性がある。 診断キット 本願発明のT細胞単クローン群は、これらの細胞の病理学的作用によりもたら される症状の診断もに使うことができる。 ある症状を患っていると疑われる患者の診断をが必要な場合、生物試料、ある いはその溶解産物を患者から採取し、固相の支持体に固定する。その後、特定の T細胞の存在を、T細胞レセプターの認識された共通配列に対するモノクローナ ル抗体を適用して検出する。同定は、ELISA やフローサイトメトリーといった当 該技術分野において通常の知識を有する者によく知られた様々な免疫染色技術に よって行うことができる。 従って、本発明の診断キットは、その上に生物試料を保持することができる固 相担体と固定された関連するT細胞からなる。また、少なくとも担体上に試料細 胞を固定する手段も有する。担体上に試料細胞を固定するのに方法の中で、抗体 を用いて細胞をELISA のプレートに接着するもの(例えばLymphocytes:a pract ical approach,Ed.Klaus GGB,pp.48-54 1987 IRL Pross,Oxford,Washing ton D.C.を参照)や化学的架橋(例えば1990 Anticancer research 10,271-2 78を参照)が挙げられる。 キットは、モノクローナル抗体、又は診断すべき症状に関連する抗原の一つを 認識する特異的なT細胞膜レセプターに対するモノクローナル抗体も含んでいる 。抗体は当該分野の通常の知識を有する者が知っている方法によって得られる。 例えば、Kohler and Milstein,Nature 256:495-497 1975及びUS Patent 4,376 ,110を参照。そのような抗体は、どの免疫グロブリンのクラスでもよいが、IgG クラスのものが好ましい。抗体は、本願発明のヒトT細胞単クローン群で免疫し た動物から採取したポリクローナルな抗血清からも得られ、当該分野の通常の知 識を有する者が知っているような様々の精製技術で精製される。抗体は、当該分 野の通常の知識を有する者にはよく知られているように、酵素、蛍光色素、又は 化学ルミネセンスラベルにより標識できる。その他、抗体は、以前から記載され ているように、PCR で増幅可能なDNA 断片で標識できる(Sano Tet AL.Science ,Vol.259,p.120-122,1992)。 動物由来のモノクローナル抗体及びその断片、あるいはもとの抗体の抗原結合 部位を含む組み換え抗体は、モノクローナル抗体の領域をコードするcDNA分子を 、ヒトの定常部領域をコードするDNA に結合させて“ヒト化”することができ、 その方法については、US patent 4,816,567,European patent publication EP 125023,EP 171496,EP 173494,PCT publication WO 8601533及びWO 8602571に 記載されている。 本発明の診断キットの例は、多発性硬化症の診断に使われている。MBP の免疫 優勢な領域(例えば84-102及び143-168 の残基)に特異的な共有T細胞単クロー ンレセプターに対するモノクローナル抗体を調製し、適当な担体上に固定する。 多発性硬化症を患っている と疑われる患者から生物試料を採取し、担体と接触させる。T細胞レセプターの 担体への結合が陽性であることは、生物試料中に免疫優勢なMBP エピトープに対 して特異的なT細胞が存在することを示している。 本発明の好ましい態様の記載 1.MBP 特異T細胞単クローン a.MBP 特異T細胞系の産生及び特性づけ 末梢血からMBP 特異T細胞を産生するために、静脈穿剌により新鮮な血液試料 を得、等量のRPMI培地(GIBCO)で希釈した。末梢血単核細胞(PBMC)を、フィコ ール密度勾配分離(Zhang et al.,Cell.Immunol.139,118,1992)により単離 した。この方法は、以下の段階から成る。希釈した血液をフィコールに重層し、 1,800rpmで20分間遠心する。次にPBMCを3回洗浄し、再懸濁させて均一な浮遊 物とする。次いでPBMCを限界希釈(Zhang et al.,Ann.Neurol.32,330,1992 )により、96ウェルからなる200μl容量/プレートのU底マイクロウェルプレ ート(Costar,Cambridge,USA)に、ウェル当たり 200,000細胞及び 100,000細 胞及び50,000細胞を播種する(各細胞濃度につき60ウェル)。各々のウェルに、 100,000個の照射した(8,000ラド)自己のPBMCを、抗原提供細胞(APC)の源として 、40μg/mlのヒトMBP の存在下に加える。 ヒトMBP は、ヒト脳組織の白質から抽出し、カラムクロマトグラフィーにより 精製する(Hashim et al.,J.Neurosci.Res.16,467,1986)。これらの条件 は、最大のT細胞応答が得られるよう、50以上の臨床血液試料を含む一連の実験 において最適化した。培養物は、5% CO2及び37℃に調整したインキュベーター 中で、7日間維持した。7日後に、MBP でパルスした 100,000個/ウェルの照射 した自己PBMCを用いて、培養物を再び剌激した。PBMCのパルシングは、PBMCを 1 00μg/mlのMBP と共に37℃で4時間インキュベートすることにより行った。遊 離のMBP は、細胞の照射の前に洗い流した。 MBP 特異T細胞系の選択は、増殖分析の12日目及び14日目に行った。各々の培 養物を4つのアリコートに分け(アリコート当たり約104細胞)、MBP でパルス したか又はパルスしていない(対照)105細胞の自己PBMCの存在下に、72時間デ ュプリケートに培養した。培養の最後の16時間は、1μCi/ウェルの3H−チミ ジンを添加して培養し、セルハーベスター(Betaplate 1295-004,Pharmacia)を 用いて細胞を集めた。トリチウムチミジンの取り込みは、ベータシンチレーショ ンカウンター(Betaplate 1205,Pharmacia)で測定した。 MBP 特異T細胞の頻度は、ポアソン統計学により算出した(Lefkovits et al. eds.Limiting dilution analysis of cells in the immune system.Cambridge ,Cambridge University Press,1979;Fey et al.J.Exp.Med.158,40,198 3)。簡単に言えば、CPM の平均値が 1,000より大きい時、及びCPM が少なくとも 対照CPM の3倍より大きい時は培養物を陽性として記載し、陽性のウェルの頻度 を各細胞濃度ごとに得た。増殖陽性T細胞又は抗原特異T細胞の頻度の算出は、 ポアソン式:Fr=(ur/r!)×e-u〔式中、Frは、ウェル当たりのPBMC数が ある与えられた濃度においてuである時に、一つのウェル当たりr個の特異T細 胞を得る確率である〕を適用して行った。陰性ウェルの分画は、Fo=e-uで与 えられる。u=1の時、Fo=0.37である。従って、理論的には、応答しているT 細胞のウェル当たりの平均数が1である時、37%のウェルが陰性として記録され ると考えられる。限界希釈においてこの点に外挿 すると細胞数が得られ、その逆数は問題の抗原特異T細胞の頻度を表す。MBP 特 異T細胞は、MSの患者及び対照の末梢血リンパ球において、10-7と10-6の間に見 積もられた頻度で生じる(Zhang et al.,Ann.Neurol.32,330,1992;Ota et al.,Nature 346,183,1990)。使用した培地は、10%自己血清(56℃で30分 間熱不活性化した)及び、2mM L−グルタミン及び、50μg/mlゲンタマイシ ン(Gibco Life Technologies)及び、10mMヘペス緩衝液(Flow Laboratories,Be lgium)を追加したRPMI 1640 である。 選択したMBP 特異T細胞系を、ウェル当たり10,000細胞に播種し、MBP でパル スした照射した自己APC で再剌激した。7日後、これらの細胞系を、増殖分析( 前記)において、MBP に対する応答における特異的な増殖について再実験した。 この過程を説明するため、表1に一つの実施例を示す。MBP 特異T細胞系を、表 現型の発現及び、図1A−1Bに示したMBP フラグメントと合成ペプチドとに対する 反応性に関してさらに調べた。ヒトMBP のフラグメント及びペプチドに対する反 応性を明らかにするために、MBP 特異T細胞の各細胞系の104細胞を、それぞれ のペプチドでパルスした、105個の照射した自己PBMC又はEBV 形質転換B細胞と 共に培養した。抗原でパルスしたAPC を調製するためには、PBMC又はB細胞を、 2ないし5μg/mlのペプチド又はペプチド混合物と共に4時間インキュベート し、照射前に2回洗浄した。フラグメント又はペプチドに対する特異的な増殖応 答を、増殖分析で測定した。 本発明者らのデータは、ヒトにおけるMBP に対するT細胞の応答が、CD4 表現 型に限られ、主としてMBP 上の二つの免疫支配エピトープに対して向けられるこ とを示してきた。一方は84-102領域に局在し、他方は149-170 領域に存在する( Zhang et al.,Intern.Rev.Immunol.9,183,1992に総説されている)。これ らの二つの免 疫支配エピトープに対する反応性は、MBP に対するT細胞の応答の60%より多く 占めている(Zhang et al.,Ann.Neurol.32,330,1992;Ota et al.,Nature 346,183,1990;Pette et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.87,7968,1990)。 表1は、PBMCからMBP 特異T細胞系を確立するために用いた全般的な構成の一 例を示している。 図1は、ヒトMBP の1−38領域及び、45−89領域及び、90-170領域にわたる三 つのMBP フラグメント(図1A)と、MBPの84-171領域に重複する合成ペプチド( 図1B)とに対する、MBP 特異T細胞系の一団の反応性のパターンを示している。 b.MBP 特異T細胞の単個細胞クローニング 抗原提供細胞(APC)の自己の源が限られていること及び、低いクローン化率及 び、MBP 剌激過程におけるT細胞の耐性の誘導(LaSalle et al.,J.Exp.Med. 176,177,1992)により、真のMBP 特異T細胞クローンをクローン化することは 不確実であった。従って、APC 存在下にMBP 剌激を繰り返すことによるMBP 特異 T細胞系のクローニングは、通常、ウェル当たり一細胞より多い播種濃度を必要 とする。結果として、得られた「クローン」標品には、しばしば希望しないT細 胞が混入する。この混入は、TCR Vβ遺伝子使用の発現によって検出することが できる。ポリメラーゼ連鎮反応(PCR)により一団のTCR Vβ遺伝子プライマーを 用いて調べた時、一つのクローン標品における複数のVβ遺伝子の使用が少数の クローンの混入を示唆しているのに対し、真のクローンは、通常TCR vβ遺伝子 の単一の発現を生じる。かかる混入の一例を、図2(パネルA及びパネルB)に 示したが、これはウェル当たり3細胞をクローニングした後の少数のクローン形 成性を示している。この少数のクローン形成性は、恐らくもとのT細胞系に存在 する混入T細胞によって引 き起こされると考えられる。このことは、ポアソン統計学によってさらに確かめ ることができる(Lefkovits et al.eds.Limiting dilution analysis of cell s in the immune system.Cambridge,Cambridge University Press,1979参照 )。さらに、これらのMBP 特異混入T細胞「クローン」は、低い増殖特性を示し 、しばしばそれらの抗原特異性を失う。従って、これらの「クローン」を、長期 間の培養において、治療に使用するために必要な十分に高い細胞量に達するまで 維持することは極めて困難である。 これらの問題に対処するため、代わりのクローニング法を開発した。この方法 においては、強力なT細胞剌激剤であるPHA を用いて、非常に低い細胞密度にお いてMBP 特異T細胞系をクローン化した。MBP 特異T細胞を、自己又は同種の、 照射したPBMC及び、 0.2μg/mlないし10μg/mlのPHA の存在下に、ウェル当 たり 0.1細胞及び 0.3細胞に播種する。培養物には、3日ごとにrIL−2(5単 位/ml)を含んでいる新鮮な培地を与える。14日目に、増殖陽性クローン(通常 、陽性の割合は6%ないし10%)を、MBP に対する特異的な応答について前述の ように調べる。このクローニング法に由来するMBP 特異T細胞のクローンは、MB P と、抗CD3 抗体(Weber et al.,J.Immunol.135,2337,1985)と、PHA と、C onAと、IL−2とを含む他のT細胞剌激剤に対して増殖性が高く、MBP 及びPHA を用いる交互の剌激により、107ないし108細胞より多くなるまでさらに拡張させ ることができる。 この方法は、MBP 剌激による従来のクローニング法に対し、(1)より高いク ローニング効率、(2)PHA 剌激又はMBP 剌激によるクローンの大規模な拡張を 許す改良された増殖特性、(3)拡張を繰りかえした後の、MBP 特異性の保持、 (4)単一のTCR Vβ遺伝子発現により確認される単一クローン性(図4、パネ ルC及びD及 びE)を含め、多くの利点を有する。 図2は、MBP による繰り返し剌激によりクローン化したMBP 特異T細胞クロー ン(パネルA−B)と、PHA 剌激によりクローン化したMBP 特異T細胞クローン (パネルC−D)とのTCR Vβ遺伝子使用のPCR 分析を表している。パネルEは 、PHA 法によりクローン化した典型的なTIL クローンの、単一なVβ遺伝子使用 を表している。これらのクローンのVβ遺伝子を、まず標準的なPCR 技法(35サ イクル)で、20個の科に特異的なプライマーの各々により増幅し、次いで、特定 のVβ遺伝子産物をサザンブロット分析において、特異的なプローブとハイブリ ダイズさせた。増幅されたTCR Vβ遺伝子産物(又は複数の遺伝子産物)を、分 子量マーカーに沿って表示する。Cβは、恒常的なβ遺伝子産物を示す。 図3は、PHA 剌激とMBP 剌激とによるMBP 特異T細胞系のクローニング効率の 比較を表している(代表的な実験)。MBP 特異T細胞系(剌激指数11.2)を、限 界希釈により、表示された細胞濃度においてクローン化し、自己のPBMC存在下に 、MPB(左パネル)又はPHA(右パネル)で剌激した。データは、増殖陽性ウェル( 白ぬきの丸)及び、MBP 特異T細胞クローン(塗りつぶした丸)の頻度として表 されている。MBP 特異T細胞の頻度は、ポアソン確率により、MBP クローニング によれば1/250 であり、PHA クローニングによれば1/5であると見積もられ た。 c.ワクシネーション T細胞のワクシネーションのためのMBP 特異T細胞クローンの選択は、二つの 特性に基づいている。 a.MBP 分子上の二つの免疫支配エピトープ又は、特定の個体において主に使 われる他のエピトープに対する、ペプチドの反応性。MBP に対するT細胞の認識 は、主としてMBP の84-102領域及び、14 9-170 領域に向けられていることはよく記録されてきた(Zhang et al.,Cell.I mmunol.129,189,1990;Zhang et al.,Ann.Neutrol.32,330,1992;Ota e t al.Nature,346,183,1990)。ヒトにおける起脳炎エピトープはまだ明らか ではないが、免疫支配決定基が起脳炎性を持つと考えられる動物実験から外挿法 を行うことができる。(Vandenbark et al.,J.Immunol.135,229,1985,Zam vil et al.,J.EXP.Med.162,2107,1985)。 b.第二の基準は、選択されたT細胞クローンが良好な増殖特性を有し、最低 2回の接種の合計に十分な量(3×107から6×107)まで大量にクローンの拡張 が可能であること。 T細胞クローンは、接種の4日前に、MBP でパルスした自己APC で活性化し、 一般的な細菌及びウィルスの汚染について検査する(Hafler et al.,Clin Immun o.Immunopath.62,307,1992)。次に、細胞を無菌PBS(孔径0.22μmのフィル ターで濾過した)で3回洗浄し、 8,000ラドで照射する。免疫化のたびに、少な くとも二つの異なるMBP 特異T細胞クローンの、照射した107から 1.5×107個の 1プールを、ワクチンとして1mlのPBS 中に調製し、皮下注射する(腕当たりPB S 0.5ml中に5×106細胞)。このワクシネーション用の細胞量の選択は、EAE の 効果的な用量にもとづいて計算する(Beraud,in Edelson ed.Antigen and clo ne-specific immunoregulation,Ann.NY.Acad.Sci.636,124,1991)。皮下 注射のルートは、ラットで行われた実験で皮下注射が静脈注射と同じ様に効果的 であることが示されたため選択された(I.Cohen、未発表)。 d.in vivoにおける、抗クロノタイプT細胞の誘導 表2は、本試験に関与した6人のMS患者の臨床データ及び、ワクシネーション に用いたMBP 特異T細胞クローンの詳細な特異性を示している。 表2は、接種物として用いたMBP 特異T細胞クローンの、ペプチド反応性を表 している。MBP 特異T細胞系を、上記のように患者の末梢血から産生させ、限界 希釈により、105個の照射した自己の支持細胞及びPHA(2μg/ml)と共に、ウェ ル当たり 0.3細胞の濃度でクローン化した。培養物には、5単位/mlのrIL−2 を含んでいる培地を、3日ごとに新たに供給する。12日ないし14日後に、増殖し ているクローンについて、MBP の1−37領域及び、45−89領域及び、90-170領域 にわたるMBP の三つのフラグメント(SH CHOU 博士より供与)に対する反応性を 調べ、次いで、MBP の11のペプチド(D.Hafler 博士より供与)について調べた 。各クローンの104細胞を、ウェル当たり10個の、照射した自己APC と共に培養 し、これに10μg/mlの各フラグメント又は、2μg/mlの各ペプチドを加えた 。細胞を72時間培養し、培養の最後の16時間の間、3H−チミジンでパルスし、収 穫し(Betaplate 1295)、トリチウムチミジンの取り込みを測定した。同じ方法 を、本特許出願の別の箇所に述べた、他の増殖分析に使用した。 実験は、PHA で誘導した自己のT芽細胞と比較して、接種物に対するT細胞の 応答を追跡するよう設計されていた。PHA で誘導したT芽細胞は、細胞の増殖周 期を対比させるため、MBP 特異T細胞クローンと同時に調製した。この目的のた め、新たに単離したPBMCを、2μg/mlのPHA の存在下に、106細胞/mlの濃度 で4日間培養した。細胞は、使用前に3回洗浄した。図4に示したように、6人 の患者すべてが、自己のワクチン標品に対する実質的な増殖応答を、特に2回目 の接種の後に展開させた。これらの応答に付随して、T芽細胞の反応性が制限さ れていた。MBP 特異T細胞の頻度分析は、循環しているMBP 特異T細胞が、2回 目の接種の後に著しく減少することを示した。MBP 特異T細胞の頻度の減少は、 抗クロノタイ プ応答(図4)の大きさと反対の関係にあった。その頻度は、この臨床試験の最 後では、6人の患者のうち5人において、本発明者らの分析の検出可能な限界を 下回っていた。HM患者においては、MBP 特異T細胞は、3回目の予防接種の後に もまだ検出されたが、予防接種前の値より5倍低い頻度(1.1×10-7)であった。 対照を下げることにより、TT特異T細胞の頻度は、すべての患者において変化せ ずに残り、2人の非受容患者(平行対照)においても、MBP 特異T細胞の頻度が 変化せずに残っており(図5)、このことは、MBP 特異T細胞の特異的なダウン レギュレーションに適合し、これらのMBP 特異T細胞が除去されているか、又は MBP に対して非反応性であることを示唆している。 図4は、接種物及び対照T細胞に対する増殖応答及び、各々の接種の前後のMB P 特異T細胞の頻度の変化を示している。分析は、ワクシネーション前と、各々 の接種の3日後及び、1週間後及び、2週間後及び、4週間後及び、6週間後及 び、8週間後に行った。新鮮な末梢血単核細胞(PBMC)を単離し、5×104個/ ウェルの細胞を、5×104個の照射した接種物又は、72時間にわたって同時に調 製した自己のPHA で誘導したT芽細胞とともに、トリプリケートに培養した。対 照として、PBMC及び、照射した接種物又はT芽細胞を、単独に培養した。細胞の 増殖は、前述の増殖分析により測定した。データは、PBMCプラス照射した接種物 又はT芽細胞の1分間当たりの平均カウント数(CPM)/単独で培養したPBMCのCPM と、単独で培養した照射した接種物又はT芽細胞のCPM との和、として定義さ れる剌激指数で表される。MBP 特異T細胞及び、TT特異T細胞の頻度は、ワクシ ネーションの前及び、各々の接種の後に分析した。PMBCは、MBP 剌激(40μg/ ml)用には、ウェル当たり2×105細胞及び105細胞の濃度に播種し、TT剌激(2.5 Lf TT/ml)用には、ウ ェル当たり2×104細胞及び104細胞の濃度に、それぞれ播種した(各濃度ごとに 60ウェル)。この濃度範囲は、感度のよい検出ができるよう、あらかじめ決定 しておいた。培養物は次に、APC の源として、MBP 又はTTでパルスしたPBMCで再 び剌激し、rIL−2を5/ml加えた。1週間後、各培養物を分割し、増殖分析に おいて、MBP 又はTTに対する特異的な増殖について調べた。MBP 又はTTでパルス したAPC を含んでいるウェルのCPM/対照ウェルのCPM 、の比が3を越えるとき及 び、ΔCPM が 1,000より大きい時は、そのT細胞系を「特異的」であると定義し た。抗原特異T細胞の頻度は、特異的なウェルの数を、播種したPBMCの全量で割 って算定した。 図5は、受容体(GE及びCW)及び非受容体(AH及びGC)における、MBP 及びTT 及び接種物に反応性のあるT細胞の頻度における変化の関係を表している。MBP 特異T細胞及びTT特異T細胞の頻度分析については前述した。接種物に応答する T細胞の頻度を算定するためには、新たに単離したPBMCをウェル当たり4×104 細胞及び2×104細胞の濃度に播種し、4×104個の照射した接種物と共に培養し た。7日後に、照射した剌激物(ワクチン)で培養物を再び剌激し、rIL−2( 5単位/ml)を加えた。14日後に、各培養物の50%をそれぞれ取り出し、 8,0 00ラドで照射した。細胞を4つのアリコートに分け、増殖分析において阻害効果 を測定するため、104個の接種物又はTT特異T細胞と、105個のMBP 又はTTでパル スした照射したAPC とを含んでいる培養ウェルにデュプリケートに加えた。阻害 は、1−(インヒビターとしての、照射した応答するT細胞の存在下での増殖/ インヒビターがない時の増殖)×100 %として測定した。接種物の増殖について 、60%阻害をこえて作用する培養物を、応答する細胞系とみなした。その頻度は 、応答するウェル数を、播種した全PBMC(6×104細胞)で割って算定した。 接種物に対するT細胞の観察された増殖応答に基づき、接種物に対する応答が 最高レベルに達した時、応答するT細胞を単離するよう実験を設計した。この目 的のために、2回目又は3回目の接種の後に単核細胞を得、スティミュレーター としての、照射した自己のMBP 特異T細胞接種物と共に培養した。培養物は、照 射した同じT細胞標品で再度剌激した。応答する細胞系の選択は、MBP に対して の、接種物の増殖におよぼす特異的な阻害(>70%)にもとづいて行った(図5 凡例参照)。特異的なサプレッサーT細胞は、 0.2×10-6(BC)及び、 2.3×10-6 (CW)及び、 5.2×10-6(GE)の算定された頻度を有する、調べた3人の受容 者のすべてにおいて検出可能であったが、2人の非受容対照患者では検出できな かった(図5)。24の短期細胞系を、さらなる特徴づけのため、2人の受容者CW 及びGEから選択し、それらの表現型としての側面及び反応性を定義した。本発明 者らのデータは、すべての細胞系がCD3 表現型及びαβT細胞レセプターを発現 したことを示した。22のT細胞系はCD8+であり、二つはCD4+であった。培養上清 はMBP 特異T細胞の増殖に影響しないため、阻害は培養上清を介さなかった。こ れらの阻害性T細胞系は、機能特性及び、破傷風毒素(TT)に反応性のクローン と比較しての、自己の接種物の特異的な認識についてさらに調べた。図6Aは、CD 4+(CW2F3)及びCD8+(CW1G9 及び、GE1B3 及び、GE1D6)の両T細胞系が、自己の接 種物によって特異的に剌激されるが、TT反応性クローンには剌激されないことを 示している。それらは、特に接種物に対しての強力な阻害剤である(図6B)。CD 4+細胞系を除いては、三つのCD8+細胞系のすべてが、標準的な4時間のクロム放 出分析において、接種物を溶かし(図6C)。この抗原特異な細胞毒性が、MHC ク ラスI分子(W6/32)に対する単クローン抗体の添加によって阻止されるが、ク ラスII産物に対する抗体によっては阻 止されないことがわかり(図6D)、T細胞による接種物の認識が、MHC クラスI 分子によって制限されていることが示唆される。同様な結果が、他の七つのCD8+ 細胞系からえられた。従って、これらのT細胞系は、接種物中におけるMBP 特異 T細胞上の、クロノタイプ構造の特異的な認識により、抗クロノタイプT細胞と して分類される(Lamb et al.,Nature 300,456,1982;Mohagheghpour et al. ,J.Exp.Med.164,950,1986;Holoshitz et al.,Science 219,56,1983参 照)。本発明者らが得た抗クロノタイプT細胞は、その選択が阻害効果に基づい ているため、ワクシネーションによって誘導されたT細胞集団の一部しか代表し ていないことが可能である。他の応答性T細胞は、ワクシネーションした実験動 物から単離した抗エルゴタイプT細胞によって代表的に説明されるように、調節 ネットワークを作動させて抑制を強めることにより作用していると考えられる( Lider et al.,Science 239,181,1988)。 図6は、抗クロノタイプT細胞系の機能特性を表している。パネルAでは、レ スポンダーとして調べた抗クロノタイプT細胞系を、2×104細胞/mlの濃度に トリプリケートに播種し、それら自身の増殖を妨げるために照射した(8,000ラド )、スティミュレーターとしての、4×104個の自己の接種物又はTT特異T細胞と 共に培養した。照射したスティミュレーターのCPM は、 1,200を越えなかった。 パネルBでは、抗クロノタイプT細胞系を照射し、インヒビターとして用いた。 増殖分析において、104細胞を、接種物又はTT特異T細胞からの104細胞とMBP 又 はTTでパルスした105個のAPC とを含んでいるウェルに、トリプリケートに加え た。阻害率は、図5に明示したように算出した。パネルCでは、接種物又はTT特 異T細胞を 200μCiの51Crで45分間標識し、次いで4回洗浄し、標準的なクロム 放出分析におけるターゲット細胞として用いた。4時間のイン キュベーションの後、上清を集め、放射能を測定した。ターゲット(接種物及び 対照T細胞)に対するエフェクター(抗クロノタイプT細胞)の比は8であった 。クロムの最大放出及び自然放出は、洗剤又は培地のみを含んでいるウェルにお いて測定した。特異的な細胞溶解率は、((実験での放出−自然放出)/(最大 放出−自然放出))×100 として算出した。パネルDでは、三つの抗クロノタイ プクローンを、クロム放出分析における抗体のブロッキングについて調べた。用 いた抗体は、クラスI分子(W6/32)又はクラスII分子(HB55)に対するもので あった。AHF 4.2 は、対照として用いた。MBP でパルスしたターゲット細胞に特 異的なCD4+細胞毒性T細胞クローンであった。エフェクタークローンは、51Crで 標識したターゲット細胞と混ぜる前に、10μg/mlの表示した抗体と共に、予め 30分間インキュベートした。ターゲットに対するエフェクターの比は8であった 。 e.臨床上の改良点及びT細胞のワクシネーションによって誘導される可能な 毒性効果の監視 試験全体にわたる毒性の監視は、副作用が何も観察されず、標準的な体系的毒 性試験において何の変化も見られないことから、このワクシネーションが安全で あることを確証した。ワクシネーション後の急性の悪化の証拠は何もない。 ワクチン投与は、そのワクチンクローンに特異的に、実質的な抗クロノタイプ T細胞の応答を誘導し、それに伴い循環しているMBP 反応性T細胞が、6人全員 の受容者において特異的に枯渇した。これらの応答は、各ワクシネーションと共 にブースターによって際立たせられた(図1)。ワクシネーションした患者から 単離したCD8+抗クロノタイプT細胞系は自己のワクチンクローンを特に溶解する ため、MBP 反応性T細胞のin vivo における枯渇は、抗クロノタイ プT細胞の直接の効果であると考えられる。この研究は、ある臨床上の環境にお いて、T細胞のワクシネーションが、枯渇している病理学的に関連のある自己反 応性T細胞中の、クロノタイプ調節機構を急増させるために使用することができ ることを確証した。 図9は、6人のMSの患者で、それぞれの接種の前後におけるワクチンクローン に対する抗クローン型T細胞の応答と、推定される循環MBP 反応性T細胞の頻度 を示している。 ワクチンクローンに対する応答は、末梢血単核細胞(PBMC)を、放射線照射し たワクチンクローンとともに培養する増殖試験で決定した。増殖応答は剌激指数 (ワクチンクローン存在下でのPBMCの増殖/PBMC単独の自然増殖と放射線照射ワ クチンクローンの残存増殖の合計)として計算した。データは、それぞれの接種 後の7回の試験の平均剌激指数として示してある。MBP 反応性T細胞の頻度は、 引用例25に記載の方法に従って推定した。ワクチン接種前の頻度は、線の上に示 してあり、これらの患者において 5.8×10-7から11.8×10-6の範囲であった。 この試験から多くの事が示された。第一に、臨床試験は、クローンとして増殖 されたMS中のMBP 反応性T細胞は優勢なTCR レパートリーを表しており、この細 胞群の減少によりMBP に対する主要な応答がなくなることを確認した。これに関 連して、優勢なTCR レパートリーの減少は、なくなったレパートリーに代わって 、事前の曖昧なエピトープの発現につながるかどうかという疑問が生じるかも知 れない。ワクチン接種から2年を経過した患者において、プローブとしてMBP 分 子全体を使うと、MBP 反応性T細胞は見つからないが、一定期間後に異なったラ ベル(異なったエピトープ反応性とV遺伝子の使用)で出現するかも知れない為 、この可能性は除外出来ない。さらに、この試験は、MBP 反応性T細胞を認識す る抗クローン 型T細胞が事前に存在し、ワクチン接種に先立ってMS患者において低い頻度で発 生していることを示唆している。応答は、それぞれの接種によって高められ、そ の頻度は、典型的には、2回目及び3回目の後で、10倍の増加となる。従って、 抗クローン型T細胞応答がMS患者において一貫して低いのか、また、それは、疾 患におけるMBP 反応性T細胞の過剰な活性と関連するのかについて、さらに注目 する事が重要である。 抗クローン型T細胞を誘発する標識配列の分子的本質については、これまでの ところ、少なくとも2つの可変領域が、3人のワクチン接種をうけた患者から単 離されたCD8+ MHC クラスI拘束抗クローンT細胞のパネルを用いて特定されて いる(図10)。一つは、あるワクチンクローンに特異的な結合配列に特徴のある CDR3領域で、免疫しているT細胞上に特異的に発現されている標識TCR 配列に対 する抗クローン型T細胞の認識によって示される。この認識パターンを持つ抗ク ローン型T細胞クローンは、免疫しているMBP 特異的T細胞クローンには特異的 に応答したが、18個の他の自己由来のもの、及びワクチン接種には用いられなか ったMHC が一致した同種異系のMBP 特異的T細胞クローンには応答しなかった。 他のパターンには、自己由来のT細胞間では、Vα領域内において比較的保存さ れているクローン型のマーカーに関係している。これはそれらの免疫しているT 細胞クローンに加えて、他の自己由来のものや、同じVα領域をもつMHC が一致 した同種異系のMBP 特異的T細胞に対する反応性により明らかである。CDR3の認 識パターンは優勢なものであり、免疫しているクローンに対して非常に特異的で ある。関係しているもう一つの標的配列は、CDR2中あるいは関連した領域中にあ るらしく、この認識はより選択性が低い。免疫しているクローンの他に、この認 識パターンの抗クローン型T細胞株は自己由来、ある いは無関係な特異性をもつが、同じVα領域をもつMHC が一致したT細胞に作用 する。T細胞ワクチン接種は、ペプチド(あるいはペプチド群)を用いて、標的 となる自己反応性T細胞が共通のTCR 構造の特徴を共有しているような患者の群 に一般化する事ができる。更に一般化されたT細胞接種の型は、合成ペプチド、 あるいは望ましい標的配列(あるいは配列群)を含む関連したT細胞の膜画分を 利用した簡素化されたバージョンにより行う事ができる。 CDR2領域の配列は、比較的保存されており、ある個人の群においては共有され ていることが示唆される。VαCDR2配列は、そのVβ対応物に比べて、より限ら れた不均一性を有しているらしい。従って、CDR2関連クローン型相互作用に加え て、“あつらえて作られる”ペプチドのライブラリーがつくられ、ある特有の“ 在庫の”ペプチドが与えられたCDR2、あるいはある患者群においてクローン的に 増殖した自己反応性T細胞間で共有される関連した配列を攻撃する為に選択され る。これに対して、CDR3領域配列はクローン間の多様性が非常に高いことが知ら れている。CDR3で拘束される制御のため、類似した戦略の使用の可能性はCDR3認 識パターンの標的配列がV−D−J領域内で限られたモチーフを示し、これらの 配列モチーフがクローン型相互作用の共通のエピトープ(あるいはエピトープ群 )を構成している可能性のみにかかっている。確かに、そのような限られたV− D−J配列モチーフは、ヒトMBP の89-106領域(免疫優勢な領域の一つ)に特異 的なT細胞で確認されており、これらの共通のモチーフは、そのホストの由来と は無関係に89-106反応性T細胞間でかなり一致している。 f.抗クローン型T細胞のクローニング 小項目b)で記載したMBP 特異的T細胞のクローニングと同じ方法を、抗クロ ーン型T細胞群のクローニングに応用した。技術的に は、小項目d)で記載したように抗クローン型T細胞株を、放射線照射した自己 由来又は同種異系のPBMC、及び2μg/mlのPHA の存在下で、1ウェル当たり 0 .1個及び 0.3個ずつ播種した。培養に、3日毎にrIL−2(5units/ml)を含む 新鮮培地を補給する。14日目に、増殖陽性のクローン(通常8%−10%の陽性率 )について、特異的認識と接種したものに対する細胞傷害活性をテストする。こ のクローニング方法で得られた抗クローン型T細胞は、放射線照射した接種物及 び他のT細胞剌激に応答した増殖性が高く、rIL−2を細胞の継代のたびに添加 すれば、107−108個以上まで、更に増殖させることができる。 表IIIは、抗クローン型T細胞株のクローニングの典型的な実験を示している 。 2.癌特異的T細胞単クローン a.癌特異的リンパ球(TSL)の生成と特徴 患者から切除した癌は、直ちに病院から研究室へ輸送した。それを1−2mmの 小片に切り刻み、続いて、RPMI 1640 培地(Gibco,Life techonlogies,Belgiu m)に溶解した、V型ヒアルロニダーゼ0.01%、IV型コラゲナーゼ 0.1%(Sigma ,Vel,Belgium)、I型DNアーゼ 0.002%、ゲンタマイシン50μg/mlとファン ギゾン 250ng/mlを含む酵素溶液で処理した。混合液を37℃で、2−4時間、又 は室温で一晩インキュベートした。その後、滅菌した粗いワイヤーグリッドで濾 過し、RPMI 1640 培地で4回洗浄して、10%牛胎児血清、2mM L−グルタミン 、50μg/mlゲンタマイシン、 250ng/mlファンギゾン(Gibco,Life Techonlo gies)、及び10mM Hepes緩衝液(Flow Laboratories,Belgium)を添加したRPMI 1640 培地に再懸濁した。rIL−2は、最終濃度で 200U/ml(Eurocetus)を加 えた。Eurocetus から得た 200U/mlのIL2は、Bochringer Manheim (Germany)から得たIL−2の5U/mlに相当する(Zhang et al.J.Exp.Hed.Vo l.179 1994)。TSL を、最初の4週間は24ウエルプレート(Costar,ElsColab,B elgium)を用いて2mlの培地で培養し、その後培地を2つに等分した後、24ウエ ル又は、12ウエルのプレートで、酸化PBL(下記参照)の存在下又は非存在下で 培養した。 in vitroでの、癌特異的リンパ球(TSL)の増殖は、癌から得られるリンパ球の 量が限られていること、知られていない標的抗原、また一般にT細胞の剌激及び 増殖の古典的経路において、必須であると考えられている抗原提示細胞(APC)の 供給が限られていることといったいくつかの要因によって阻害される。これらの 問題への取り組みにおいて、表面を酸化した同種異系PBL を、rIL−2の存在下 (200IU/ml)で定期的にTSL を剌激するために用いた(Chin,Y.et al.Antican ce Res.12,733,1992)。(23個中)22個の癌標本から得られたTSL は6−16 週間で、20−107倍に増殖し、養子免疫療法に十分な109−1011個の細胞に増殖さ せることができた。これに対して、 200IU/mlのrIL−2のみを使用した場合に は、(23個中)6個の癌標本において2-100倍の増殖しか見られなかった。表面 を酸化させた剌激物で増殖させたTSL の表現型、自己由来の癌に対する反応性及 び細胞傷害能は、IL−2のみの存在下で増殖させたものと類似していた。これら のデータは、表面修飾した剌激細胞によりTSL の増殖させることが、癌抗原によ る剌激及びMHC 拘束性に無関係に、大量の癌特異的細胞傷害性T細胞を臨床の免 疫療法に使うために得る有用な選びうる方法となり得ることを示唆している。 PBL の酸化は、Novogrodsky とFlischerの方法に従って行った。簡単に述べる と、健常人由来の放射線照射したPBL(4×107−107細胞/ml)を、RPMI 1640 培地中で、ガラクトースオキシダーゼ、0.05U/ml(Sigma)とノイラミダーゼ0.0 2U/ml(Boehringer Man nheim,Germany)と共に、塊になるのを防ぐため15分毎に振りながら、37℃で90 分インキュベートした。細胞を、0.01Mガラクトース(Sigma)を含むRPMI 1640 で3回洗浄して、ガラクトースオキシダーゼの残存活性をブロックする。酸化さ れたPBL を、上述の培養TSL に、酸化PBL 5−10に対して、TSL1の比で加えた。 細胞は、新鮮rIL−2を含む培養培地中の酸化PBL で毎週再剌激し、生育可能な 細胞濃度を継代毎に 0.5×106細胞/mlに戻した。 その後、TSL 細胞株を、自己由来及び同種異系の癌標的に対する応答と癌標的 に対する細胞傷害活性について特徴づけた。 図7は、自己由来及び同種異系の癌標的に対するTSL 株の増殖応答を示してい る。各TSL 株の104細胞を3つ一組にして、それぞれ105個の放射線照射PBMCと、 自己由来又は同種異系の癌細胞の存在下で培養した。その後、微小培養を、細胞 の回収に先立って1ウエル当たり1μCiの「3H」−チミジン(Radiochemical Cen ter,Amersham,England)で4時間パルスし、液体シンチレーションカウンティ ングでチミジンの取り込みを測定した。 図8は、自己由来及び同種異系癌細胞、NK−感受性K562細胞株、及びNK−耐性 Daudi 細胞株に対するTSL 株の細胞傷害活性を示している。標的細胞を、 200μ Ciの51Cr(Na2Cr3O4,Amersham,England)で、37℃,60分標識し、培地で4回 洗浄した。標的細胞を、さらに30分、再度インキュベートして使用前に2回洗浄 した。5×103個の標識標的細胞を、96ウエルプレートに入れ、様々なエフェク ター:標的比で、3つ一組として、総量200μl中でTSL とインキュベートした 。37℃で4時間インキュベートした後、上澄をスカトロン−タイタテックシステ ムで回収して、ガンマカウンターで放射活性を測定した。クロムの最大放出量と 自然放出量は、界面活性剤の存在下にある標的細胞のウエルと培地のみの中にあ る標的細胞のウ エルで測定した。 特異的な放出は次のようにして計算した。 b.癌抗原に特異的な癌浸潤T細胞の単細胞クローニング 同じクローニング方法を、治療の為の癌特異的TIL クローンを確立するのに応 用できる。1−bで記載したとおり、TIL 株は、放射線照射同種異系PBMCと2μ g/ml PHAの存在下で、1ウエル当たり 0.1細胞、 0.3細胞、及び1細胞の限界 希釈によりクローン化する。培養にr−IL2(5units/ml)を含む培養培地を3 日毎に補給する。14日目に増殖陽性のクローン(通常8−10%の陽性率)を、上 述の標準的なクロム放出試験で、自己由来の癌標的に対する細胞傷害活性につい て試験した。このクローニングで得られた特異的クローンは、自己由来のガン細 胞に対して、また、他のT細胞剌激に対して増殖性が高く、細胞の継代毎にrIL −2を加えることにより、更に養子免疫療法に必要な109−1011細胞まで増殖で きる。典型的なTIL クローンのTCR Vβ遺伝子の利用を図2に示してある(パネ ルE)。 3.外来抗原特異的T細胞単クローン a.外来抗原に特異的なT細胞株の生成 MBP 特異的T細胞の生成方法を、他の抗原に対しても応用できる。破傷風トキ ソイド(TT)特異的T細胞株を、1−aでMBP 特異的T細胞株について記載した ようにして生成した。用いた破傷風トキソイド抗原の濃度は、1ml当たり 2.5Lf TT であった。 b.外来抗原特異的T細胞の単細胞クローニング 破傷風トキソイド(TT)特異的T細胞を、1−bで記載した方法でクローン化 した。技術的には、TT特異的T細胞を自己由来又は同 種異系のPBMCと、2μg/mlのPHA の存在下で、1ウエル当たり 0.1細胞及び 0 .3細胞を播種する。培養に、3日毎にr−IL2(5units/ml)を含む新鮮培養培 地を補給する。14日目に、増殖陽性のクローン(通常8−10%の陽性率)を、破 傷風トキソイドに対する特異的応答について試験する。このクローニングで得ら れたTT特異的T細胞クローンは破傷風トキソイド及び他のT細胞剌激に対して、 増殖性が高く、継代の度にrIL−2を加えれば、さらに107−109細胞まで増殖で きる。この方法は、TT剌激による従来のクローニングに比べて、1−bで具体的 に述べたと利点と同じような利点を有する。 同じ方法を、T細胞を介したアレルギーの原因となるアレルゲン等の外来抗原 に特異的なT細胞株の生成や、T細胞単クローンの単離に応用できる。増殖させ たT細胞単クローンは、T細胞を介したアレルギーに特異的であり、1−cに具 体的に記載したような同じワクチン接種方法を応用して、このようなアレルギー に処置に使うことができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI C12N 15/09 9162−4B C12N 15/00 A (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG ,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN, TD,TG),AT,AU,BB,BG,BR,BY, CA,CH,CN,CZ,DE,DK,ES,FI,G B,GE,HU,JP,KG,KP,KR,KZ,LK ,LU,LV,MD,MG,MN,MW,NL,NO, NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SI,S K,TJ,TT,UA,US,UZ,VN

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.ヒトT細胞の特異性の対象である抗原の存在下できわめて増殖性が高く、 その後の培養進行の全ての段階において汚染細胞をもたない状態にとどまってい るという点で完全な生物学的純度を有することを特徴とするヒトT細胞モノクロ ーン集団。 2.単一のTCR V遺伝子発現を生じさせることを特徴とする、請求の範囲第1 項に記載のヒトT細胞モノクローン集団。 3.唯一のTCR V−D−J DNA配列を有することを特徴とする、請求の範囲第 1項〜第2項に記載のヒトT細胞モノクローン集団。 4.CD4 又はCD8 表現型のいずれかの細胞を含むことを特徴とする、請求の範 囲第1項〜第3項のいずれか1項に記載のヒトT細胞モノクローン集団。 5.存在した場合に前記集団に増殖性を与える抗原が腫瘍細胞又はその免疫原 性部分であることを特徴とする、請求の範囲第1項〜第4項のいずれか1項に記 載のヒトT細胞モノクローン集団。 6.存在した場合に前記集団に増殖性を与える抗原が自己抗原であることを特 徴とする請求の範囲第1項〜第5項のいずれか1項に記載のヒトT細胞モノクロ ーン集団。 7.自己抗原がミエリン抗原又はその免疫原性部分であることを特徴とする、 請求の範囲第6項に記載のヒトT細胞モノクローン集団。 8.ミエリン抗原が、ミエリン塩基性タンパク質(MBP)、プロテオリピドタン パク質(PLP)、ミエリン関連糖タンパク質(MAG)、ミエリン−乏突起膠細胞−糖タ ンパク質(MOG)及び/又はその混合物であることを特徴とする、請求の範囲第7 項に記載のヒトT細胞モノクローン集団。 9.ミエリン抗原が、ミエリン塩基性タンパク質のアミノ酸配列の84〜102 領 域又は 149〜170 領域のエピトープであることを特徴とする、請求の範囲第8項 に記載のヒトT細胞モノクローン集団。 10.存在する場合に前記集団に増殖性を与える抗原が外来性抗原であることを 特徴とする、請求の範囲第1項〜第4項のいずれか1項に記載のヒトT細胞モノ クローン集団。 11.前記外来性抗原が破傷風トキソイド抗原であることを特徴とする、請求の 範囲第10項に記載のヒトT細胞モノクローン。 12.存在した場合に前記集団に増殖性を与える抗原が、T細胞を通してアレル ギーを媒介するアレルゲンであることを特徴とする、請求の範囲第1項〜第4項 のいずれか1項に記載のヒトT細胞モノクローン集団。 13.請求の範囲第1項〜第12項のいずれか1項に記載のヒトT細胞モノクロー ンに向けて導かれた、ヒトT細胞モノクローン。 14.ミエリン塩基性タンパク質特異的ヒトT細胞モノクローンに向けて導かれ た、請求の範囲第13項に記載のヒトT細胞モノクローン。 15.ミエリン塩基性タンパク質のアミノ酸配列の84〜102 領域又は 149〜170 領域のエピトープに対して特異的なヒトT細胞モノクローンに向けて導かれた、 請求の範囲第13項に記載のヒトT細胞モノクローン。 16.特異性の対象である抗原及び/又はその他のあらゆるT細胞剌激剤の存在 下できわめて増殖性が高く、その後の培養進行の全ての段階において汚染細胞を もたない状態にとどまっているという点で完全な生物学的純度を有することを特 徴とするヒトT細胞モノクローン集団の産生方法において、 (1)前記抗原に対して応答性をもつヒトT細胞系を提供する段階 、 (2)ヒトT細胞モノクローンの集団を産生するべく、前記T細胞系統を単細胞 クローニングし自己由来の又は同種異系の供給細胞の存在下でT細胞剌激剤を用 いて結果として得られたT細胞クローンを剌激する段階、 (3)望ましいTCR 特異的特性をもつモノクローン集団を選択する段階、 を含んで成る方法。 17.前記ヒトT細胞系が末梢血リンパ球(PBL)から採取されることを特徴とす る、請求の範囲第16項に記載の方法。 18.T細胞剌激剤が、レクチン好ましくはPHA 及び/又はConA、リンフォカイ ン、好ましくはCD3 及びその他の細胞表面分子に対するインターロイキン−2( IL−2)及び/又は組換え型IL−2(r−IL2)マイトジェン抗体及び/又はそ の混合物から成るグループの中から選ばれることを特徴とする請求の範囲第16項 又は第17項に記載の方法。 19.T細胞剌激剤がPHA であることを特徴とする、請求の範囲第18項に記載の 方法。 20.請求の範囲第1項〜第12項のいずれか1項に記載のヒトT細胞モノクロー ンからのT細胞レセプターの均質な集団又はその免疫原性部分及び/又は選択さ れた複数の集団又は部分の混合物。 21.請求の範囲第1項〜第10項のいずれか1項に記載のT細胞モノクローンの 1集団又は選択された複数の集団の混合物を有効量含む、自己免疫疾患の治療の ための治療薬。 22.請求の範囲第1項〜第4項及び第12項のいずれか1項に記載のT細胞モノ クローンの1集団又は選択された複数の集団の混合物を有効量含む、T細胞媒介 アレルギーの治療のための治療薬。 23.請求の範囲第1項〜第6項のいずれか1項に記載のT細胞モノクローンの 1集団又は選択された複数の集団の混合物を有効量含む、感染症及びガンの治療 のための治療薬。 23.ヒトに対して自己免疫疾患に対する能動免疫を付与するためのワクチン組 成物において、ヒトT細胞モノクローンからの請求の範囲第1項〜第12項に記載 のT細胞レセプターの均質な集団又はその抗原特異的部分を有効量含むワクチン 組成物。 25.ヒトに対して自己免疫疾患に対する能動免疫を付与するためのワクチン組 成物において、請求の範囲第1項〜第12項に記載のヒトT細胞モノクローンの集 団から得られたT細胞レセプターの1集団又は選択された複数の集団の混合物を 含むワクチン組成物。 26.その状態に特異的でかつその患者の生体試料から得ることのできる単数又 は複数の抗原に関連する状態に苦しむ患者を治療するための方法において、 − 前記状態を少なくとも軽減するべく適切な免疫応答を生成するのに充分な量 のヒトT細胞モノクローン集団を前記患者にワクチン接種するか又は養子免疫細 胞移入し、かくして前記ヒトT細胞モノクローン集団が前記単数又は複数の抗原 に対する応答性をもちかつそれが培養発達の全段階において汚染細胞を含まない 状態にとどまるという点で完全な生物学的純度を有することになる、治療方法。 27.前記状態が、1つの感染に特異的な単数又は複数の抗原と関連するもので ある、請求の範囲第26項に記載の方法。 28.前記状態が、自己免疫疾患に特異的な単数又は複数の抗原と関連するもの である、請求の範囲第26項に記載の方法。 29.前記状態が、T細胞媒介アレルギーに特異的な単数又は複数の抗原と関連 するものである、請求の範囲第26項に記載の方法。 30.前記状態が、ガンに特異的な単数又は複数の抗原と関連する ものである、請求の範囲第26項に記載の方法。 31.特別に診断された疾病の原因であると考えられるタイプの抗原に対してき わめて高い増殖性をもつヒトT細胞モノクローンを同定し、その後かかる同定さ れたヒトT細胞モノクローンの集団を調製するためのキットにおいて、 (1)生体試料から前記抗原に対する応答性をもつ細胞系統を産生するのに充分 な量の、診断された疾病に特異的な抗原。 (2)非常に低い細胞密度で前記ヒトT細胞系統を平板培養するための手段;及 び (3)前記低密度ヒトT細胞を成長させるためのT細胞剌激剤。 を含んで成るキット。 32.前記T細胞モノクローンの特徴づけのためのプロトコル及び必須試薬を含 んで成る、請求の範囲第31項に記載のキット。 33.前記抗原がミエリン塩基性タンパク質である、請求の範囲第31項又は第32 項に記載のキット。 34.前記抗原がミエリン塩基性タンパク質のアミノ酸配列の84〜102 領域又は 149〜170 領域のエピトープである、請求の範囲第31項又は32項に記載のキット 。 35.前記抗原が、コラーゲンII型、熱ショックタンパク質又は超抗原から成る グループの中から選ばれている、請求の範囲第31項又は第32項に記載のキット。 36.前記抗原がプロテオリピドタンパク質である、請求の範囲第31項又は第32 項に記載のキット。 37.前記抗原がグルタミン酸デカルボキシラーゼである、請求の範囲第31項又 は第32項に記載のキット。 38.前記抗原がニッケル、ツタウルシ及びゴムから成るグループの中から選ば れている、請求の範囲第31項又は第32項に記載のキッ ト。 39.感染症、自己免疫疾患、T細胞媒介アレルギー又はガンの治療のための、 請求の範囲第1項〜第2項に記載の抗原ヒトT細胞モノクローンの単数又は複数 の選択された集団の使用。 40.感染症、自己免疫疾患、T細胞媒介アレルギー又はガンの治療のための、 請求の範囲第1項〜第12項のうちのいずれか1項に記載のヒトT細胞モノクロー ン又はその抗原特異的部分からのT細胞レセプターの1つの均質な集団又は選択 された複数の集団の混合物の使用。 41.感染症、自己免疫疾患、T細胞媒介アレルギー又はガンの治療を目的とし た薬学組成物の産生のための、請求の範囲第1項〜第12項のいずれか1項に記載 のヒトT細胞モノクローンの1つの集団又は選択された複数の集団の混合物の使 用。 42.1つの抗原に対して応答性をもつ特異的T細胞を含む生体試料を固定化す るための適切な固体支持体、少なくとも前記支持体上に前記特異的T細胞を固定 化するための手段、及び診断すべき状態に関連する又はこの状態に特異的な抗原 を結合するT細胞モノクローンレセプターに対する抗体、を含んで成る診断用キ ット。 43.前記抗体がモノクローナル抗体である、請求の範囲第42項に記載の診断用 キット。
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