JP2008529506A - 細菌同定方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、試料中の細菌を定量的および/または定性的に同定する方法に関する。かかる方法は、少なくとも1つの蛍光マーカによって試料中に存在する細菌の少なくとも幾分かをラベリングすることを含んで成る試料調製工程(a)と、蛍光発光を記録および/または測定することによって定量的および/または定性的な検出および/または評価を行うことを含んで成る検出および/または評価の工程(b)とを含んで成る。工程(b)では、工程(a)で調製された蛍光ラベリングされた細菌を含んだ試料に対して、所定の波長または所定の波長範囲の励起放射線を所定の期間施すことによって生じる蛍光発光放射線の経時変化を記録し、蛍光ラベリングされた細菌によって生じた第1の測定信号と第2の干渉信号との間を識別することによって、試料中の蛍光ラベリングされた細菌を定量的および/または定性的に同定する。また、本発明はかかる方法を実施するための装置にも関する。

Description

本発明は、細菌を定量的および/または定性的に同定する方法に関し、特に製造制御および/または品質制御に組み込まれた同定方法の使用に関する。さらに、本発明は、細菌を定量的および/または定性的に同定する装置、特に上記方法を実施するための装置に関し、また、特に好ましくは自動製造制御および/または品質制御のための上記装置の使用に関する。
発明において、細菌とは、バクテリア、イーストおよび菌類を意味しており、あらゆる製品中において、品質、動作および機能モードに直接影響する腐敗をもたらすものである。その一方、非常に高い細菌量および病原性細菌は、感染および/または病気を招きうるものである。したがって、たとえば、最終製品が市場に達する前に、細菌量を迅速に検出することは重要である。
微生物学的安全性は、工業、商業、家庭、健康、料理等の種々の分野の数多くの物質、原材料および製品について保証されなければならない。種々の細菌、たとえば、バクテリアおよび菌類の種類および数を厳しい制限範囲内で制御せねばならないことに留意されたい。
消費者の物品、たとえば、食製品、化粧品、接着剤、洗浄剤および洗剤の衛生状態の制御だけでなく、たとえば、工場の分野で特に使用される冷却潤滑剤の衛生状態の制御は、法律で規制されている。物品のタイプに依存して、種々の閾値の微生物量が規定されている。同じことは、病院(たとえば、手術室)の外面だけでなく、空調システムや熱変換機等にも当てはまる。
多くの種類の検出方法があるが、その複雑さ、必要な装置および必要な分析時間は、通常検出される細菌の含有量、特に細菌の最大数の規格および前記細菌が生じうるマトリックスに依存する。本願ではバクテリア(グラム−ポジティブおよびグラム−ネガティブ)、イーストおよび菌類を特に細菌として示す。
長年、質的保証のために、定量的な微生物学的分析技術が用いられてきた。これらの方法は、塗抹標本やコロニーとして裸眼で目視できる程度まで、調査材料中に生じた個々の細菌が繁殖することに基づいている。これに使用されるルーチンな培養法は、前記細菌を固形の栄養分媒体上か液体の栄養分溶液または媒体中で繁殖させるものである。バクテリアおよび菌類を検出するための常套的培養法では、方法や細菌のタイプに依存して数日以上要する場合がある。
しばしば「最も伝統的な」細菌検出法は「プレート培養法」である。ここでは、分析される試料を、栄養分媒体(寒天培養基)が塗布されたペトリ皿に対して塗布し、規定の条件下で特定時間培養する。細菌量がある試料の場合には、コロニーが1日または数日以内に栄養分媒体上に成長しはじめ、これを裸眼で検出し計数することができる。検出される細菌に好適な栄養分媒体と環境条件(たとえば、酸素含有量、温度、光等は成長促進に影響する)を供すれば、プレート培養法は、ゆっくりではあるものの、満足のいくように細菌を検出する比較的単純な方法であると言える。このようにして、1ミリリットル(ml)当たり1cfu(コロニー形成単位)の範囲内で細菌を検出することができる。プレート培養法の取り扱いが比較的簡単でさらに、明らかな微生物学的専門知識を必要としないので、プレート培養法は、現在でも多くの用途に対して選択されている。
先行技術では、一般的に培養法は、栄養分媒体(典型的には寒天培養基に基づく栄養分媒体を含有する培養皿)に試料を植付け、これを通常特定の細菌に適した高温で1週間以内で培養する(たとえば、培養器内で培養する)。次に、当業者は得られた培養物の成長および形状から試料に含まれていた微生物の種類や量を導き出すことができる。
この技術の主たる欠点は、試料中に存在する細菌の量(割合)が明確とならないことであり、また、1週間後にしか情報が得られないという事実である。
上述の問題を解決すべく、微生物検出の速度を上げて感度を上げるために多くの方法が開発されている。例えば、細菌を選択的にまたは非選択的に着色して検出する顕微鏡法、または更には免疫測定に基づく方法および、細菌の生殖細胞質を増幅した後にゲル電気泳動的に検出する直接分子−生物学法がある。
新しい「急速検出法」によって、検出時間を数日から数時間以上少なく減らす試みがしばしば為されてきた。「急速検出法」(インピーダンス、生物発光等)はすでに部分的に使用されているが、より直接的でより急速な方法についての要求がある。これは、「急速検出法」は時間に依存した生物学的材料の増菌に基づいているので分析に24〜48時間を要するからである。
より複雑な装置を用いた分析法は、たとえば、細菌含有溶液の導電率を測定することに基づいている。かかる分析法では、細菌の成長および代謝で発生した溶液の成分に起因した導電率の変化をモニタリングしている。しかしながら、変化する電気抵抗を同定することになるインピーダンス法は、導電率の顕著な変化が、1ml当たり少なくとも10〜10の細菌数でなければ同定できない点で不都合である。より少ない「出発細菌数」を分析することはできるが、効果的に測定するためには、まず、ある細菌数を越える細菌量が必要である。この閾値に達するのに必要な時間を勘案して当初の濃度を逆算して得ることができる。細菌含有量が非常に少ないと、通常24〜48時間の待機時間を経ねば妥当な結果を得ることができない。
「ATP法」(ATP=アデノシン三リン酸)では、同様の細菌数範囲で行われるものであり、細菌のATPによる生化学的分解反応の過程で放出される生物発光を測定している。
上述の3つの方法、すなわち、プレート培養法、インピーダンス法およびATP法は、全て生存している元気な細菌しか検出することができない。これは、細菌が繁殖し代謝機能を有するという事実に基づいている。
フローサイトメーターは、技術的に複雑な装置であり、それゆえ、購入するには相当に高価なものである。かかる装置は細菌含有溶液を汲み上げ、これを非常に細い毛管を通じて分析する。この毛管の直径は、毛管にて個々の細菌および細胞を観察することができるように幾分小さめであり、マイクロメートルの範囲内である。染料でラベリングされた細菌は、これらのボトルネックにおいて、高エネルギーの理想的な単色光(たとえば、レーザ)で励起され、蛍光を生じることになる。放出される蛍光の強度は通常光電子増倍管(PMT)によって測定され、パルス増幅分析に付される(注、S.ラポッシュら(S. Rapposch et al.)、「未精製のミルク中の一連の微生物におけるアクリジンオレンジで着色されたバクテリアの蛍光の影響」J.デイリー・サイ.(J. Dairy Sci.)83 (2000))、2753〜2758頁)。好適な染料を選択して、フローサイトメーターによって生存細菌/活性細菌と死亡細菌との両方を同定することができる。これらのフローシステムは、通常、比較的高粘度を有し泡を発生させる傾向を有する試料に対しては使用することができない。なぜなら、そのような試料では、第1に、毛管が容易に閉塞されるからであり、また、第2に、生じた泡のためにレーザおよびPMTを用いた正確な検出ができないからである。
より最近では、常套の「急速検出法」および培養法に代えて、光学蛍光法が用いられつつある。本明細書に記載の発明に基づいた方法は、DEFTとして示される直接落射蛍光フィルター技術(Direct Epifluorescent Filter Technique)である。直接落射蛍光フィルター技術(DEFT)は、1時間以内に「生存/死亡」細菌を定量的に検出できる直接的方法である。この非特異性光学蛍光法は、25年以上もの間、大学ベースでの基本的研究では定量的な方法として周知であったが(たとえば、プチファーら(Pettipher et al.)、アプリ.エンヴァイロン.ミクロビオール(Appl. Environ. Microbiol.)44(4): 809−13、 1982)、90年の始めからそれ自身工業的用途(たとえば、ビール、乳製品、食品工場等)において定量的な調査方法として用いられていた(ヘルミダら(Hermida et al.)J. AOAC Int. 83(6): 1345−1348、 2000、およびニッシュら(Nitzsche et al.)ブラウベルト(Brauwelt) NO. 5、177−178、2000)。さらに、DEFTスクリーニング法を用いて食品照射試験を行うためのヨーロッパの基準が存在する(EN 13783: 2001「落射蛍光フィルター技術/好気性、中温性細菌カウント(DEFT/APC)スクリーニング法」)。
様々な製造業者が、生存の検出用に、選択的活性を有する別の蛍光染料を研究室キットとして供給している(たとえば、モレキュラー・プローブス(Molecular Probes)社やイージープルーフ・ラボルベダルフ(EasyProof Laborbedarf)GmbH社)。いくつかの販売業者(たとえば、ケムネックス(Chemunex))は装置システムを販売しており、たとえば、ケムネックスが供給するシステムは、低細菌含有量の試験のために24時間の増菌相を要するフローサイトメトリーの原理に基づくものであるか(L.フィリッペ(L. Philippe)SOFW ジャーナル(Journal)126、 28−31、 2000)、顕微鏡濾過法に基づくものであるものの、これは「生存/死亡」の識別が不可能である(ワルナーら(Wallner et al.)、PDA J.ファーム.サイ.テクノロ.(PDA J. Pharm. Sci. Technol.)53(2): 70−74、1999)。
DEFT法は、基本的には、蛍光染料で細菌を着色(stain)し、前記細菌に蛍光を生じさせ、その放出した蛍光を測定することからなる。ATP法およびインピーダンス法を上回るDEFT法の重要な利益は、細菌含有試料を着色前または後に濾過するという事実である。この増菌工程は、文献に記載される検出限界を1ml当たり1cfuまで低減することができる。さらに、生存細菌と死亡細菌との両方をDEFT法によって着色することができる。特に死亡細菌の検出は、製造工場(たとえば、バイオフィルム形成する工場)の衛生状態を評価する場合に非常に重要である。さらに、分析手順、すなわち、濾過および着色を約30分以内で行うことができる。調査される製品の濾過性は、DEFT法で基本的に必要とされるものである。
細菌が放出する蛍光放射線を各種方法で検出することができ、最も普及している方法は蛍光顕微鏡の使用である。着色した細菌を含有する膜フィルターを視野領域ごとにスキャンする。ここでは、顕微鏡使用者が裸眼で着色細菌の数を記録し足し合わせる。この手順はまず、顕微鏡および微生物学的経験を多量に必要とする。なぜなら、実際の細菌と必ず生じる同様のサイズの異粒子とを明確に識別すること及び蛍光を識別することは専門家でないものにはしばしば非常に困難であるからである。さらに、この方法は濃縮に使用者のスキルが要求される。なぜなら、細菌は完全に平坦でない膜フィルターの異なる深さレベルに現れ、視野領域の重複を二重カウントすることなく明確に認識せねばならないからである。
以前は、蛍光顕微鏡の以下の要素を変更することによって、この評価手順を自動化し、使用者が事実上ミスをしないといった目的を達成していた。すなわち、手動で調節可能な検体ホルダテーブルを制御可能なx、y、zユニットに置き換え、これは自動的にかつ厳密な精密度で検体を位置決めすることができるものである。顕微鏡使用者が対象を見るのに役立つアイピースに代えて、各種カメラシステムが用いられる。カメラは、画面上で目視検査することができる一方、デジタル化データが入手可能であり、たとえば、画像認識アルゴリズムを用いて続いて分析することができる。また、蛍光励起用の光源の部分に別の変更が生じている。白色光源に加えて、強力なレーザからなるものがいっそう用いられている。レーザは非常に限定された励起光波長を有しているという利益を有し、その結果、光学フィルターを実際に排除することができる。
EP0713087A1号公報は、DEFT法に基づいており、顕微鏡を必要としない点でより単純な方法を開示している。EP0713087A1号公報では、固形支持体材料上に配置された着色細菌を含有する設計および方法が開示されている。この固形支持体材料上に配置された着色細菌をレーザによってラインスキャンし、少なくとも1つの波長の場合、放出される蛍光を検出する。伝統的な顕微鏡に比べて、この方法は相当迅速な分析を可能にし、さらに、完全に自動化されるものである。この方法は、実際的には画像形成法ではないが、記載されている評価アルゴリズムに基づいて、粒子を計数し、そのサイズを同定し、個々の粒子の分光特性を用いることによって100未満の絶対細菌数を検出することができる。
アプライド・スペクトラル・イメージング社(Applied Spectral Imaging, Inc.)の公報では、FISH試料(FISH=蛍光インシトゥハイブリダイゼーション(Fluorescence in situ hybridization))を分析する方法が開示されている。かかる方法は、一種の「位置−分解分光法」として記載することができる(注、D.G.ソエンセンら(D.G. Soenksen et al)「新規の分光バイオ−画像形成システムを用いた多色FISH」、SPIE(光工学のための国際学会(International Society for Optical Engineering))の要旨集)、2678 (1996)、303〜309頁)。染料ラベリングされた試料を蛍光顕微鏡によってスクリーニングし、画像をフーリエ変換(FT)分光学とCCDカメラとの組み合わせによって画素ごとに分析する。それゆえ、デジタル画像の各画素は紫外線範囲から近赤外線範囲までの完全なスペクトルを生成する。したがって、異なるフィルターを用いて操作する方法(たとえばI.ラブキンら(I. Ravkin et al.)「検出用自動顕微鏡システムおよびスライド上の胎児の有核赤血細胞の遺伝的特徴」、SPIE(光工学のための国際学会)の要旨集)、3260 (1998)、180〜191頁参照)と違い、非常に多くの波長を細菌と自発蛍光/異粒子間の識別に利用することができる。さらに、FT分光学は試料を迅速に観察することを可能にする。しかし、莫大な量のデータおよびその複雑な分析には不都合である。
I.ラブキンら、ロク.サイト.(loc. cit.)で記載される細胞検査方法は画像を入手するためだけに自動化され、次に使用者が画像材料を評価する。粒子が放出する蛍光光のより良好な識別のために、フィルターホイールを使用する。このフィルターホイールは着色用に選択された蛍光染料にs依存して構成されてもよい。さらに、この参考文献は可能な自動フォーカシング法について議論している。
J.パーンサラーら(J. Pernthaler et al.)「蛍光自然交雑後の海洋性ピコプランクトン群の自動計数」、アプリ.エンヴァイロン.ミクロビオール.(Appl. Environ. Microbiol.)69 (2003)、2631〜2637頁も自動フォーカシングの観点で関連し、固体支持体、たとえば、膜フィルター上の細菌含有試料の分析において自動化を成功させるのに重要である。著者は焦点を見つけるために「二重自動フォーカシング法」を提案している。第1の工程では、まず「通常」入射光を用いて、大まかな焦点を互いに独立した2つのフィルター片間で調節する。同じフィルターの各種視野領域の自動フォーカシングは蛍光条件下でしか行われない。
WO2002/064818A1号公報は、微生物を検出する非常に単純な手順に関しており、細菌を2つの異なる構造的態様で分析する。まず、生存/死亡染料混合物と混合した試料を透明なガラス支持体に滴下塗布し、220倍に拡大して蛍光をCCDカメラで記録する。第2の態様では、フローサイトメトリーと同様に、試料を毛管を通じて汲み上げ、光照射し、生じた蛍光信号を、フォトダイオードまたは光電子増倍管を用いて記録する。上で引用した参考文献で述べられている自動分析の問題では、特に反射を識別していないにもかかわらず、この出願人は、試料を照射するために、Xeランプに代えてLED(発光ダイオード)を提案している。「常套的」光源に比べて、LEDは放出される光の出力が高安定性であるといった利益を有する。さらに、それでもLEDの強度に関しては不都合が存在し、これはほぼ年々新しい開発で解消されている。
特にFISH試料では、多くの種々の蛍光マーカを使用しなければならない。異なるDNA部分を明確に識別する場合には、複数の染料の使用が不可欠である。単独のフィルターホイールまたはフィルターキューブはこの場合には適当でなく、2以上のフィルターキューブを構成し、両方において少なくとも1つのフィルターが同じであるようにする。WO98/17992A2号公報において議論される数学的方法は、2つの異なるキューブ内の2つの同じフィルターを考慮しており、特に放出された蛍光の強度に関して、得られたデータセットを配列させることができる。これは異なるフィルターキューブを用いた画像の比較を可能にする。
A.パーンサラーら(A. Pernthaler et al.)「遠洋性海洋性バクテリアおよび始原細菌の検出のための蛍光ラベリングされたオリゴヌクレオチドおよびポリヌクレオチドプローブ」、アプリ.エンヴァイロン.ミクロビオール.(Appl. Environ. Microbiol.)、68 (2992)、661〜667頁は、細菌数、すなわち染料の漂白の正確な同定において一役を担う重要な現象を示している。この参考文献はプランクトン試料を各種蛍光マーカと混合し計測する調査を記載し、その調査は、低い含有量が推定されるのは他の蛍光プローブに比べてより早く染料が漂白したことによると説明することができることを証明している。
US6122396A号公報では、上述の装置のいくつかとソフトウェアの解決法とを1つの設計に組み合わせている。蛍光顕微鏡、LED照明およびビデオカメラの組み合わせを、特定の画像分析アルゴリズムと組み合わせる。参照(「トレーニング」)データセットをこのアルゴリズムに入れ、このセットに基づいて、微生物と異粒子とを明確に識別することができる。この参照データセットを特徴付けるパラメータは、形態学と特定の波長範囲内の蛍光放射線の「輝度」である。
以前では、染料を使用することによって生存細胞を調査する場合、FLIM法(蛍光寿命画像顕微鏡(fluorescence lifetime imaging microscopy)が興味の中心であった。同様の実験は、細胞全体よりもむしろFISH試料を用いることによって行われてもよい。H.J.タンケら(H.J. Tanke et al.)「FISH染色体分析において対象の数を増大するためのプラチナコプロポルフィリンの使用および遅延発光画像形成」、サイトメトリー(Cytometry 33(1998)、453〜459頁では、蛍光寿命を測定している、すなわち、実際に異なる染料の発光測定することから、特定のDNA断片の存在を最終的に推測している。交雑に依存して、DNA断片に特徴的な強度および寿命の値がこのようにして得られる。
「膜フィルターミクロコロニー蛍光」法(Membrane filter Microcolony Fluorescence))法(MMCF法、たとえば、J.バウムガルト(J. Baumgart)、ミクロビオロジッシュ・ウンタースシュング・バン・レベンスミッテルン(Mikrobiologische Untersuchung von Lebensmitteln)「食品の微生物学的試験」、ベハーズ・ベラグ(Behr's Verlag)、1993、第3版、98頁参照)は、試料の調製、または膜フィルター上における試料中に存在する細菌の調製を提供する。ここでの不都合はまず、時間を浪費する細菌の増菌を行わねばならず、次に落射蛍光顕微鏡用の膜フィルターを予備処理(特定の媒体で湿らせ、寸法決定し乾燥する処置)を行わなければならず、細菌を落射蛍光顕微鏡中でまたはUVランプ下で蛍光ラベリングされたコロニーを数えることによって計数せねばならないことである。
上述の技術のいくつかは数時間以内で結果を生成するが、これらは通常、必要な検出装置および使用者に必要な知識の点で非常に複雑である。このため、今日までこれらの方法はルーチン的使用が十分に確立されていなかった。さらに、個々の方法は特異性および感度に関して制限を有する。さらに、上述の方法のいくつかの細菌検出限界は非常に高いので予備培養を省略できない場合が多い。
さらに、常套的な培養法および相当の増菌工程を有する「急速検出法」は、操作モードに起因して基本的に不都合である。栄養分媒体の選択は、微生物を増殖させることができるかを決定する重要な部分を担う。精選された栄養分媒体はここでは有効である。しかしそれでも、栄養分媒体は物理的に可能な微生物しか増殖させることができない。最新の情報によれば、微生物の5%しか培養することができない。したがって、試料は実際には細菌を含有しているが、常套的方法はしばしば不正確でマイナスの結果をもたらす。さらに、分析の信頼性が利用可能な時間によって制限される。増菌期間終了後には、全ての細菌は、可視可能な程度に増殖しなければならない。したがって、不適当なサンプリングまたは成長条件のために成長が抑えられれば、ひどいマイナスの結果をもたらしうる。したがって、バクテリアおよび菌類を検出する常套的培養法を行うには、しばしば数日を要するが、その結果、微生物の結果にはしばしば非常に遅れが生じるので、規制的に生成過程に介入することができない。細菌を培養する手段による検出法は、増殖させることができる生存細菌を検出するためにしか使用することができない。しかし、汚染細菌はしばしば生存製品の保存によって破壊される。しかし、製品中の「死亡」細菌はこの方法で検出することができず、その結果、製造または瓶詰め時において衛生問題に気付くことができず、または欠陥(fault)が生じた場合にしか、すなわち保存欠陥後にしか気付くことができない。
非常に低細菌含有量、特に1ml当たり100cfu以下を検出することは、数時間(インピーダンス法または生物発光法)または数日(プレート培養法)の範囲の待機時間を要し、またはさらには顕微鏡法は(特に、人の目のために)長々と、費用がかかり疲れを伴うものであり、訓練された専門家を要する。
非常に少量の細菌用の自動検出手順は、ある程度は以前から実施されていたものの、不都合を有する。フローサイトメトリーでの比較的多量の試料(数ミリリットル)の分析は、長い待機時間を要する。なぜなら、細菌が流れ通過する毛管は相応の寸法を有するからである。さらに、高粘度を有する媒体をこれらの毛管で使用することは、目詰まりを招き、界面活性剤を含有する製品では、泡またはバブルの形成のために分析がより困難となる。
固形支持体(たとえば、膜フィルター)上の細菌の自動検出の主な問題は、第1に、検体の平面のフォーカシングであり、第2には「実際の」細菌と必然的に生じる本来的に蛍光を有する干渉粒子(妨害粒子)との明確な識別しなければならないことである。
出願人のDE10259302A1号公報および同じパテントファミリーのWO2004/055203A1号公報は、試料中の細菌を定量的および/または定性的に同定する方法を開示している。この方法は少なくとも1つの蛍光マーカによって試料中に存在する細菌の少なくとも幾分かをラベリングすることを伴う試料調製工程(a)と、定量的および/または定性的な検出および/または評価の工程(b)とを含有している。工程(b)で行われる検出および/または評価は、蛍光反射測光法による。蛍光ラベリングされた細菌によって生じた測定信号と異信号または干渉信号とを十分に識別するまたは区別することが常に可能であるわけではない。従って、かかる方法は、常に非常に低細菌濃度を十分な信頼性を持って同定することができるわけではないが、測定データが蛍光反射測光法によって比較的迅速に記録されるために、蛍光ラベリングされた細菌に比較的短時間しか光照射せず、蛍光マーカの「漂白効果」および故に測定結果の歪みは本質的に回避されている。
本発明の目的は、冒頭で述べた方法を提供するものである。即ち、本発明の目的は、細菌を定量的または定性的に同定(または測定)するのに好適な方法、特に上記で例示された不利益を少なくとも部分的に取り除いた方法を提供すると共に、かかる方法を実施するための装置を提供することである。
第1の要旨において、本発明は、蛍光ラベリングの後で検出および/または評価を行うことによって、試料(またはサンプル)中の細菌を定量的および/または定性的に同定する方法である。検出および/または評価は、蛍光発光を記録しおよび/または測定することによって実施される。蛍光ラベリングされた細菌に所定の波長または所定の波長範囲の励起放射線を所定の期間連続的に施し(または照射し)、それによって生じた蛍光発光放射線の経時変化(time course)を記録しおよび/または測定しており、その結果、蛍光ラベリングされた細菌によって生じた第1の測定信号と第2の干渉信号とを識別(または区別)している。
より詳細にいうと、本発明は、試料中の細菌を定量的および/または定性的に同定(または測定)する方法であって、
少なくとも1つの蛍光マーカによって試料中に存在する細菌の少なくとも幾分かをラベリングすることを含んで成る試料調製工程(a)と、蛍光発光(または蛍光放出)を記録および/または測定することによって定量的および/または定性的な検出および/または評価を行うことを含んで成る検出および/または評価の工程(b)とを含んで成り、
工程(b)では、工程(a)で調製された蛍光ラベリングされた細菌を含んだ試料に対して、所定の波長または所定の波長範囲の励起放射線を所定の期間施すことによって生じる蛍光発光放射線の経時変化を記録し、蛍光ラベリングされた細菌によって生じた第1の測定信号と第2の干渉信号(または妨害信号)との間を識別することによって、試料中の蛍光ラベリングされた細菌を定量的および/または定性的に同定する方法である。
したがって、本発明の実質的概念は、励起光源による連続照光または放射線を用いて蛍光発光放射線の経時変化を記録すること、および、蛍光ラベリングされた細菌によって生じた第1の測定信号と第2の干渉信号とを識別することであると考えることができる。蛍光ラベリングされた細菌によって生じる測定信号は、蛍光発光の経時変化(干渉信号の経時変化とは異なる)を含有しており、所定の蛍光発光を記録および測定することによって、第1の測定信号と第2の干渉信号とを識別できることを出願人が見出したことは驚くべきことである。また、驚くべきことに、出願人は、蛍光ラベリングされた細菌は通常、蛍光異粒子より速く漂白し、その結果、そのような「漂白効果(またはブリーチング効果、bleaching effect)」を蛍光発光信号の決定に使用できることを見出した。このようにして、たとえ、試料中の細菌数が著しく少なく、蛍光ラベリングされた細菌に起因して生じた測定信号数が実質的に干渉信号の数より(たとえば、1000以上のファクターで)少なくても、蛍光ラベリングされた細菌によって生じた第1の測定信号と第2の干渉信号とを効果的に区別または識別できる。これは実質的に蛍光ラベリングされた細菌を更なる処理に付す必要がないので、発明の方法では、煩雑さを伴うことなく比較的単純に検出または評価を行うことができる。特に、本発明では、細菌の(予備)濃縮の時間浪費および複雑な工程が排除されるので、検出または評価によって細菌の「真の」数または試料中に存在する細菌の数を直接得ることができる。
本明細書において「蛍光発光の放射線の経時変化」という用語は、特に、検出され又は観察される蛍光発光の強度の経時変化を意味する。これはルミネッセンス現象ではない。なぜなら、励起光源がスイッチオフされた後でしか蛍光強度はモニターされないからである。
「干渉信号」という用語は、蛍光ラベリングされた細菌によって生じたものではない「検出された又は測定された蛍光発光信号」を意味する。かかる干渉信号は、たとえば、本来的に蛍光を有する異物によって生じるだけでなく、蛍光マーカの異粒子への非特異的な結合によって生じたり、あるいは、例えば、洗い落とされなかった未結合の蛍光マーカによる汚染によっても、試料中にて生じ得る。
原則、発明の方法は試料中の細菌を定量的にも定性的にも同定することができる。即ち、本発明の方法は、細菌自体の属および種、細菌数および細菌濃度を同定することができる。
特に、発明の方法は、励起により生じた蛍光発光の経時変化を記録し、それによって、蛍光マーカまたは蛍光ラベリングされた細菌(即ち、死亡細菌を検出する場合には細菌に結合した蛍光マーカ、または生存細菌の代謝により変換された蛍光マーカ)の劣化(もしくは分解、degradation)または漂白の状態(または動態、kinetic)が記録される。上述したように、発明の方法は、蛍光ラベリングされた細菌では蛍光マーカの分解または漂白され、これは異粒子の作用とは異なっている(特に、蛍光ラベリングされた細菌では蛍光マーカが通常異粒子より速く漂白する)といった驚くべき発見または事実を利用したものである。蛍光マーカの劣化および/または漂白の状態を記録するために、検出または記録される蛍光発光信号は、干渉信号を用いて比較されるため、第1に同定される細菌を特定し第2に干渉信号を特定することによって特定の識別または判別が可能となる。従って、たとえ非常に低い濃度でも、信頼性のある方法で、蛍光ラベリングされた細菌を定量的および/または定性的に同定することができる。
蛍光発光信号または蛍光マーカおよびラベリングされた細菌の劣化および/または漂白の状態は、通常、蛍光発光信号の強度の経時変化の記録を通じて記録されることになる。
次に、試料中に存在する細菌の数を蛍光発光によって同定されたデータに基づいて同定することができ、必要に応じて、適当なキャリブレーションを用いることによって同定することができる。
「試料中に存在する細菌の少なくとも幾分かをラベリングする」という表現は、特に次のことを意味する:
試料中に存在する特定の細菌又はある種類の細菌を同定するのか、あるいは、試料中に存在する全ての細菌を同定するのかに依存しており、前者の場合には、試料中に存在する幾分かの特定の細菌のみが(通常、「細菌−特異性蛍光マーカ」を用いて)特にラベリングされることを意味しており、一方、後者の場合には、試料中に存在する全ての細菌が(通常、「細菌−非特異性蛍光マーカ」を用いて又は更には「各種細菌−特異性蛍光マーカの混合物」を用いて)ラベリングされることを意味している。
発明の方法によれば、試料中に存在する細菌の数(即ち、試料中に存在する全ての細菌を蛍光ラベリングする場合では「試料中に存在する全ての細菌の総数」であり、特定の細菌のみ蛍光ラベリングする場合では「特定の細菌の総数」である)を、同定された測定値に基づいて同定し、必要に応じて、適当なキャリブレーションを用いることによって同定する。更に、以下にて説明するように、また、「細菌−特異性蛍光マーカ」の使用によって、試料中に存在する特定の細菌についての定性的な情報を得ることができる。
発明の方法の再現性または信頼性は、少なくとも2つの連続的な時間間隔において、互いに異なる所定の波長または波長範囲で、蛍光ラベリングされた細菌を含有する試料から放射される蛍光を検出することによって向上させることができる。
発明の方法の性能は、蛍光ラベリングされた細菌によって生じた第1の測定信号と第2の干渉信号とを、蛍光特性の分析により更に識別することによって、更に高めることができる。特に、相互に異なる所定の波長または波長範囲で蛍光強度の比を記録することによって、同定される蛍光ラベリングされた細菌によって生じた第1の測定信号と第2の干渉信号との識別に対して信頼性がもたらされる。
照射される放射線の波長または波長範囲は、蛍光マーカの蛍光特性または蛍光ラベリングされた細菌の蛍光特性、特に蛍光発光に関するその吸収ピークに適合させるべきである。
また、発明の方法の性能は、蛍光発光放射線の経時変化を記録することによる識別に加えて、さらに、放出される粒子のサイズおよび/または形状を識別することによって、高めることができる。これは、例えば、自動画像記録処理に組み込んで行ってよい。経時変化を評価することと併せて、放出される粒子のサイズおよび/または形状を記録することは、干渉粒子(妨害粒子)または異粒子を特定して、同定される細菌を特定するに際して信頼性のある別の基準を提供するものである。検出される細菌は通常6μmより小さいので、それよりも大きい信号を無視することができる。なお、形状は考慮される。なぜなら、本発明に従って10倍または20倍の倍率の顕微鏡レンズを用いれば、菌類の菌糸の形状を除けば、細菌の主軸の比は通常約1:1であり、すなわち、細菌はほぼ球形構造を示す。それゆえ、逆に、異なる主軸比を有する粒子は無視できることになる。
発明の方法の特に好ましい実施の形態によれば、蛍光ラベリングされた細菌によって生じた第1の測定信号と第2の干渉信号間との識別は、3段階で行われる。換言すれば、上述の3つ全ての識別法を用いて、即ち、蛍光発光放射線の経時変化を記録することによって、放出粒子のサイズおよび/または形状によって、また、最終的に蛍光特性を分析することによって、識別が行われる。
発明の方法または検出および/または評価は、同定される細菌を通常支持体に塗布し又は固定化することによって行われる。このようにして、少なくとも測定中は同定される細菌が「固定化形態」で存在することになり、細菌が支持体上の固定位置にあってその位置を変えることができないかぎり、信号特定に信頼性がもたらされる。
試料は、通常出願人自身による刊行物DE10259302A1号公報およびWO2004/055203A1号公報に記載されるように処理される。かかる公報は、引用することにより本明細書に組み込まれる。
工程(a)で行われる試料調製では、通常、蛍光ラベリングされた細菌が、好ましくは支持体(例えばポリカーボネート膜フィルターなどの膜フィルター、または、シリコン・マイクロシーブ)に塗布される。かかる支持体は好ましくは多孔質支持体である。支持体、特に膜フィルターまたはシリコン・マイクロシーブは、通常、細菌を保持するように設計されているか、あるいは、細菌を透過させないように不浸透性を備えるように設計されている。この目的のために、支持体の孔サイズは、試料中に存在する細菌のサイズよりも小さくなるように選択されるべきである。本発明で使用することができる多孔質支持体材料の例は、膜フィルターであり、例えば、ポリカーボネート、PTFE、ポリエステル、セルロースおよびセルロース誘導体(たとえば、セルロースアセテート、再生セルロース、ニトロセルロースまたはセルロース混合エステル)に基づいた膜フィルターである。本発明に好適な膜フィルターとしては、例えば、マシェリー−ナーゲル(Macherey−Nagel)から市販されている膜フィルター(例えば、ポラフィル(PORAFIL(R))シリーズ)である。使用できる別の多孔質支持体は、特に滑らかで平坦な表面を有するシリコン・マイクロシーブである。かかるシリコン・マイクロシーブでは、その上に配置される細菌をさらに良好に検出することができるだけでなく、このようなシーブは比較的洗浄が容易で、1回以上使用することができ、更には、シリコン・マイクロシーブは生体適合性が良好で丈夫な構造を有しているので、その取り扱いの点で格段の利益がもたらされる。
多孔質支持体を使用すると(特に膜フィルターまたはシリコン・マイクロシーブを使用すると)、多孔性支持体上で特に更に試料を処置、処理および移送等をすることなく(即ち、特に予備濃縮をすることなく)直接的に検出または評価を行うことができる点で有効な効果がもたらされる。
発明の方法で使用される蛍光マーカは、工程(a)で行われる試料調製で使用される支持体(特に膜フィルターまたはシリコン・マイクロシーブ)を通過することができるように選択される。これにより、過剰な蛍光マーカによって生じる干渉信号やバックグラウンド・ノイズが検出または評価中に生じないので、好ましい信号対バックグランド比または信号対ノイズ比が達成されるという事実である。
試料中に存在する細菌は、本発明の方法の工程(a)において本来周知の方法で蛍光ラベリングすることができる。この手法は当業者には極めてよく知られている。例えば、(どの蛍光マーカを選択するのか依存しているが、たとえば、試料中に存在する全ての細菌なのか、さもなければ1以上の種類の細菌のみについて全ての細菌なのかに依存して)ラベリングされるべき細菌は、完全に蛍光ラベリングされるように、存在する細菌の点で過剰な蛍光マーカの溶液または分散液と十分な接触時間で接触させられ得る。蛍光ラベリングの後、過剰の蛍光マーカを蛍光ラベリングされた細菌から除去してもよい。多孔質支持体(特に膜フィルターまたはシリコン・マイクロシーブ)を用いる場合、多孔質支持体は蛍光マーカを通過させることができる一方、細菌を通過させないので、前記除去は、たとえば、過剰の蛍光マーカの溶液または分散液を多孔質支持体を通して排出することによって(たとえば、加圧下または減圧下で多孔質支持体を通して排出することによって)行うことができる。必要に応じて、次に、水または緩衝溶液または他の液体でシステム全体をすすぐことによって、最終的には、蛍光ラベリングされた細菌のみが(厳密に言えばラベリングされないままの細菌を伴って)支持体上に残ることになる。これにより、直ちに発明の方法の工程(b)に従って検出または評価を実施することができる。
必要に応じて、試料調製工程(a)では、試料中に存在しうる「細菌抑制作用および/または殺菌作用を有する物質または成分」、例えば、防腐剤または界面活性剤等を不活性化させたり、及び/または、除去したりしてもよい。これにより、『「細菌抑制作用または殺菌作用を有する物質または成分」に起因して細菌の幾分かが試料調製時または測定時に破壊されまたは不活性化して、測定結果が歪められ、不当に著しく小さい細菌数と同定されてしまうこと』が防止される。このように、「細菌抑制作用および/または殺菌作用を有する物質または成分(たとえば、防腐剤、界面活性剤等)」を含有する試料においても細菌数を同定することができる。即ち、例えば、界面活性剤および分散製品に対しても本発明の方法を適用することができる。
試料中に存在しうる「細菌抑制作用または殺菌作用を有する物質または成分」を不活性化又は除去する工程は、必要に応じて、試料の種類に依存して行われることになり、蛍光ラベリングの前(好ましくはサンプリング直後)に行われたり、試料調製工程(a)の開始時に直接的に行われたりするので、「細菌抑制作用または殺菌作用を有する物質/成分等によって試料中に当初存在する細菌数が実質的に変化することはない。機能が低下するとはいえ、蛍光ラベリング後に試料中に存在しうる「細菌抑制作用または殺菌作用を有する物質または成分」を不活性化させる又は除去してもよい。蛍光ラベリングと、「細菌抑制作用または殺菌作用を有する物質または成分」の不活性化又は除去とを同時に行ってもよい。
必要に応じて、試料中に存在しうる「細菌抑制作用または殺菌作用を有する物質または成分」を不活性化又は除去する工程は、試料の種類に依存して周知の方法で行うことができる。例えば、スタンプ(Stumpe et al.)らの「ケモルミネーゼンズ−バサイルテ・ディレクトナックバイゼ・バン・ミクロオルガニスメン−アイン・エルファラングスベリッヒ・オイス・デア・リーベンシュミッテル−ウント・コスメチキンダストリー(Chemolumineszenz−basierte Direktnachweise von Mikroorganismen−Ein Erfahrungsbericht aus der Lebensmittel− und Kosmetikindustrie)[化学発光に基づく微生物直接検出方法−食品および化粧品産業からの報告]、「HY−PRO 2001、ハイギーニッシュ・プロダクチオンズテクノロギー/ハイギーニック・プロダクション・テクノロジー(Hygienische Produktionstechnologie/Hygienic Production Technology)」、2.インターナチオナーレ・ファコングレッシュ・ウント・アウステラング(Internationaler Fachkongress und Ausstellung)、バイスバーデン(Wiesbaden)2001年5月15〜17日の会議冊子の317〜323頁、およびこれに関連する文献を参照することができる(尚、かかる文献は参照することによって本明細書に組み込まれる)。そこでは、通常、分析される試料を、好適な不活性化および/または条件調節溶液と接触させている。このような不活性化または条件調節溶液は本来当業者に周知である(例えば、水性TLH条件調節溶液、TLH=ツイーン−レシチン−ヒスチジン(Tween−Lecithin−Histidine))。本発明に好適な水性不活性化または条件調節溶液は、例えば、THL(たとえば、ポリソルベート80=ツイーン80、大豆レシチンおよびL−ヒスチジン)に加えて、緩衝物質(たとえば、リン酸水素および/またはリン酸二水素などのリン酸緩衝液)、他の塩(たとえば、塩化ナトリウムおよび/またはチオ硫酸ナトリウム)およびトリプトン(カゼインからのペプトン)などを含有してもよい。
本発明に特に好適な不活性化溶液または条件調節溶液は、以下の組成を有している:
−トリプトン 1.0g
−塩化ナトリウム 8.5g
−ナトリウムチオスルフェートペンタハイドレレート 5.0g
−0.05Mのリン酸緩衝溶液 10ml
−TLH水 1000ml添加
本発明に使用できるTLH水は、特に以下の組成を有している:
−ホスフェート80(ツイーン80) 30.0g
−大豆レシチン 3.0g
−L−ヒスチジン 1.0g
−脱イオン水 1000ml添加
本発明に使用できるリン酸緩衝溶液は、特に以下の組成を有している:
−リン酸二水素カリウム 6.8045g
−リン酸水素二カリウム 8.709g
−脱イオン水 1000ml添加
蛍光マーカの選択は重要ではない。本発明の方法に好適であれば、用途および細菌の種類に応じて、先行技術で周知の蛍光マーカを使用してもよい。
「蛍光マーカ」という用語は、本発明では非常に幅広い意味を有しており、特に細菌と相互作用する蛍光マーカを意味している。例えば、「蛍光マーカ」という用語は、細菌に、特に細菌の細胞壁(外膜)および/または核酸に結合し、および/または、細菌によって吸収されるように、特に代謝されおよび/または酵素で変換されるように設計された蛍光マーカを意味している。
本発明で使用される蛍光マーカは、例えば、細菌−非特異性蛍光マーカ(germ-unspecific fluorescent marker)または細菌−非特異性蛍光マーカを含んだ混合物であってもよい。かかる蛍光マーカを使用すると、比較的コスト的に効率よく、試料中に存在する全ての細菌を蛍光ラベリングすることができ、試料中の細菌の総数を比較的早く同定することができる。
特定の細菌を定性的および定量的に記録する場合には、細菌−特異性蛍光マーカ(germ-specific fluorescent marker)を使用したり、あるいは、各種細菌に対して特異性を有する蛍光マーカを含んだ混合物を特に使用してもよい。
同様に、蛍光マーカとして、「細菌−非特異性蛍光マーカ」と「細菌−特異性蛍光マーカ」との混合物を使用してもよい。
例えば、蛍光マーカとして、生きている「生存細菌」と相互作用する蛍光マーカを使用してもよい。同様に、蛍光マーカとして、死亡した「死亡細菌」と相互作用する蛍光マーカを使用してもよい。
また、蛍光マーカとして、「生存細菌と相互作用する蛍光マーカ」と「死亡細菌と相互作用する蛍光マーカ」との混合物を使用してもよい。これにより、試料中に存在する細菌の生存/死亡を識別することができる。このような混合物は先行技術で周知である(例えば、スタンプら(Stumpe et al.)、ロク.サイト.(loc. cit.)およびそこで述べられるイージープルーフ・ラボルベダルフ(EasyProof Laborbedarf))GmbH、ボエルデ、ドイツのシステムを参照のこと)。
上述のイージープルーフ・ラボルベダルフGmbHのマーカ・システムは、当初醸造工場用に導入されたものであった(エッガーら(Eggers et al.)ブラウインデゥスツリー(Brauindustrie)6、34−35、2001)。これは蛍光マーカの非蛍光前駆体を含み、この前駆体は無処理の微生物細胞内に吸収され、細胞内部(細胞質中)の酵素力(エステラーゼ)により蛍光化合物(緑の着色=生存検出)に変換される。このような過程が生じうるためには、膜電位を有する無処理の細胞膜が存在せねばならない。「死亡細胞」は、特異性蛍光染料を細胞のDNAに挿入することによって検出される。この挿入は逆に欠陥のある細胞膜を有する細胞にのみ行うことができる(赤色着色=死亡検出)。両反応は異なる原理に基づいているので、結果は互いに独立したものである。このラベリング技術は細胞を損なわないので、試料の現在の微生物状態を評価できる。
また、本発明の方法では、蛍光マーカとして、例えば落射蛍光顕微鏡、DEFT(直接落射蛍光フィルター技術(Direct Epifluorescent Filter Technique))またはMMCF(膜フィルターミクロコロニー蛍光法(Membrane Filter Microcolony Fluorescence Method))にて細菌をラベリングするために通常使用される蛍光マーカを使用してもよい。
例えば、蛍光マーカとして、蛍光染料を使用することができる。または、細菌との相互作用により(特に代謝および/または酵素変換により)、前記蛍光染料を生じる蛍光染料前駆体を蛍光マーカとして使用することもできる。
このような蛍光染料前駆体の例は、例えばWO86/05206A1号公報およびEP0443 700A2号公報に記載されており、例えば、酵素で変換されてフルオレスセインを生じる非蛍光性ジアセチルフルオレスセインを挙げることができる。尚、かかる公報は、参照することによって本明細書に組み込まれる。
(たとえば、)。
本発明にて蛍光マーカとして使用され得る蛍光染料は、特に限定されないが、例えば、3,6−ビス[ジメチルアミノ]アクリジン(アクリジンオレンジ)、4’6−ジアミノ−2−フェニルインドール(DAPI)、3,8−ジアミノ−5−エチル−6−フェニルフェナントリジニウム臭化物(エチジウム臭化物)、3,8−ジアミノ−5−[3−(ジエチルメチル−アンモニオ)プロピル]−6−フェニルフェナントリジニウム二沃化物(プロピジウム沃化物)、ローダミン(例えばローダミンBおよびスルホローダミンB)およびフルオレスセインチオシアネートなどを挙げることができる。蛍光染料の更なる例は、EP0940472A1号公報、または「蛍光プローブおよび調査化学物質の分子プローブハンドブック」第5版、モレキュラー・プローブス(Molecular Probes)社、ユーゲン、オレゴン(P.R.ホーグランド(Haugland)、編集、1992)に記載されているものである(それらの内容は、参照することによって本明細書に組み込まれる)。また、蛍光染料の更なる例は、適当な化学物質カタログ(例えば、シグマ・アルドリッチ(Sigma Aldrich)のカタログ、生科学調査のための生化学物質および試薬、「蛍光ラベリング試薬(Fluorescent Labeling Reagents)」2002/2003編集)に記載されている。
また、本発明の方法では、核酸プローブ(例えば、細菌−特異性核酸プローブ)を用いることができる。かかる核酸プローブは、それ自身が特に蛍光基(蛍光官能基)または蛍光分子で蛍光ラベリングされている。そのような蛍光基または蛍光分子は、例えば、共有結合等で核酸プローブに結合され得る。本発明で蛍光マーカとして使用される核酸プローブとしては、例えば、蛍光ラベリングされたオリゴヌクレオチドもしくはポリヌクレオチド、または、蛍光ラベリングされたDNAプローブもしくはRNAプローブを挙げることができる。一般的に、本発明では安定性の理由からDNAプローブが好ましい。
本発明にて蛍光マーカとして使用できる核酸プローブの例は、例えば、WO01/85340A2号公報、WO01/07649A2号公報およびWO97/14816A1号公報に記載されているプローブである。(かかる公報の内容は、参照することによって本明細書に組み込まれる)。
例えば、核酸プローブとして、蛍光インシトゥハイブリダイゼーション(Fluorescence in−situ Hybridization)(FISH)においてラベリング(DNAラベリングまたはRNAラベリング)用として通常使用される核酸プローブを使用することができる。これについては、ROEMPP レキシコン・ビオテクノギー・ウント・ゲンテクニック(Lexikon Biotechnogie und Gentechnik)第2版、ゲオルグ・タイム・ベラグ・シュツットガルト(Georg Thieme Verlag Stuttgart)、ドイツ、285/286頁、キーワード:「FISH」、およびそこで引用されている文献、およびWO01/07649A2号公報に詳細に記載されており、それらを参照してもよい(尚、かかる文献および公報の内容は、参照することによって本明細書に組み込まれる)。
同様に、蛍光マーカとして、特に細菌−特異性抗体を使用することができる。この場合、細菌−特異性抗体は特に蛍光基または蛍光分子で蛍光ラベリングされている。尚、蛍光基または前記蛍光分子は、共有結合等で抗体に結合され得る。
当業者は、個々のケースの特定の状況に応じて、使用する蛍光マーカの量または濃度を調節するであろう。このことは、当業者には容易に理解されるところである。例えば、試料中に存在する細菌の生存/死亡を識別すべく着色し、同時に弱く「背景を着色する」するべく、好適な「生存染料/死亡染料」混合比を選択することになり、個々のケースにおいて前記比を選択することは当業者の技能の範囲内である。
発明の方法にて同定される細菌の検出限界は、通常試料体積1ミリリットル当たり100cfu(コロニー形成単位)以下であり、好ましくは試料体積1ミリリットル当たり10cfu(コロニー形成単位)以下である。従って、本発明の方法は、予備濃縮工程を必要としない。検出限界が低いことは、たとえば、特定のガイドラインまたは規定に合わせるためには非常に重要なことである。たとえば、化粧品原材料用のCFTAガイドラインによると、細菌数限界が著しく高ければ(たとえば、10〜10cfu/ml)、特定の問題細菌、すなわち病原性細菌の不在を示すための時間を浪費し高価な試験を行わねばならないとされている。
一般的に、本発明の方法は、試料体積1ミリリットル当たり約10cfu以下〜試料体積1ミリリットル当たり約10cfuの細菌数を同定することができる。したがって、定量的な評価の目的のために、特定の数以上(通常試料体積1ミリリットル当たり約10cfu以上)の細菌の試料は、取り扱う前に好適な手法で希釈されることになる。
発明の方法は、原理的には、いずれの種類の細菌を検出するのに適している。発明の方法は、特にいずれの種類の病原性細菌(たとえば、いずれの種類の微生物、特に単細胞微生物、たとえば、バクテリアおよび菌類、たとえば、イーストまたはかび)を検出するのに好適である。
発明の方法は、原理的には、いずれの製品(すなわち、媒体、マトリックス、溶液等)において細菌を定量的および/または定性的に同定するのに適している。好ましくは、発明の方法は、濾過可能な液体および/または易流動性製品においても、定量的および/または定性的に細菌を同定するのに適している。固形製品または試料処理時に発明の方法を施せる形態に変換せねばならないような濾過不能な製品については、周知の手法を用いてよく、例えば、溶液または分散液に変換したり、粉砕または抽出を行ったりしてよい。
例えば、本発明の方法は、食料品、界面活性剤含有製品(例えば洗浄剤および洗剤)、界面処理剤、分散製品、化粧品、衛生製品(または生理用品)、ボディケア製品、薬剤、接着剤、冷却潤滑剤、塗料、(塗料)凝固物ならびにそれらの原材料および出発材料において、定量的および/または定性的に細菌を同定するのに適している。
つまり、本発明の方法は、種々の分野のいずれの種類の原材料、中間体および最終製品に対して好適に用いることができる。たとえば、本発明の方法は、食料品、専売品、化粧品、接着剤、冷却潤滑剤(たとえば、油性冷却潤滑剤エマルジョン);細菌が検出されれば、例えば濾過または沈殿分離によって分離除去せねばならないといった制限を有する工場からの処理流体等にとって好適である。また、製品が固形であるか液体形態であるかはここでは重要でない。
本発明の方法が比較的単純な方法であって、工程の特定の組み合わせで行われうるということに起因して、本発明の方法は特に自動化(たとえば、製造制御および/または品質制御に組み込んだ自動化)に好適である。また、製造制御および/または品質制御(たとえば、液体界面活性剤製品、分散液、保存製品等の瓶詰め時)とは別に、本発明の方法は、例えば欠陥や不純物を調査するのに、細菌の状態等を同定し、さらには製品の再利用のために測定値を評価するのに好適である。またそれだけでなく、(例えば、保存製品を調製する工場において)、本発明の方法は、CIP法(クリーニング・イン・プレイス(Cleaning in Place))およびSIP法(SIP=ステリリゼーション・イン・プレイス(Sterilization in Place))に組み込んで工場の清掃過程を最適化し試験するのにも好適に使用することができる。
発明の方法は通常次のように実施される。
試料をDE10269302A1号公報およびWO2004/055203号公報に記載されるように処理してもよい。これは次のように行われる。
定量的および/または定性的に同定される細菌を含む試料を、その底部に通常多孔質支持体(例えば、膜フィルターまたはシリコン・マイクロシーブ)を備えた好適な試料容器に導入する。試料容器は滅菌状態に封止可能であるべきである。多孔質支持体の外側エッジは、試料容器上に、その外側同心状エッジを細菌が占有しないように配置される。「細菌抑制作用または殺菌作用を有する物質または成分(たとえば、防腐剤または界面活性剤)」を含んだ試料を試験する場合、まず、好適な不活性化溶液および/または条件調節溶液に試料を接触させて、「細菌抑制作用または殺菌作用を有する物質または成分」を不活性化および/または除去する。尚、不活性化および/または除去するのに十分な時間接触させる。不活性化溶液および/または条件調節溶液は、加圧下または減圧下にて膜フィルターに通すことによって除去する。次に、適切な場合には、過剰のまたは残存する不活性化溶液および/または条件調節溶液を、膜フィルターを介して1回または数回水で洗浄することによって除去し、通常加圧または減圧することによって洗浄水も単純な方法で除去する。この後、試料中に存在する少なくとも幾分かの細菌を、少なくとも1つの蛍光マーカを用いてラベリングする。ラベリングのために、たとえば蛍光マーカの溶液または分散液と細菌とを十分な時間接触させてもよい。次に、過剰な蛍光マーカの溶液または分散液を、再度加圧下または減圧下にて多孔質支持体を通して除去する。最後に、必要に応じて、過剰の蛍光マーカを除去するために、1回または数回、水、緩衝溶液または他の液体でを用いて試料を洗浄する。加圧または減圧することによって、多孔質支持体を介して水を除去した後、次に、多孔質支持体を最終的に試料容器から取り外す。ここで、多孔質支持体、特に膜フィルターまたはシリコン・マイクロシーブでは、蛍光ラベリングされた細菌が存在している。通常、試料が更に処理またはフィルター処置に付されることなく、測定または検出に多孔質支持体を直接的に用いることができる。次に、測定に際して、蛍光ラベリングされた細菌で占められた支持体に適当な波長の光が照射され、支持体がスキャンされる。同定されたデータは、膜フィルター上の細菌数および試料中の細菌数とそれぞれ相関関係を有している。
本発明の基礎となる測定は、通常蛍光顕微鏡法から幾分かの「偏差」を含んでおり、あるポイントで更なる工程が実施される。
検出器は、たとえば、以下の部品を含有してもよい:3方向に移動可能な検体ホルダテーブル。その位置決めのステップサイズはたとえば、約2μmである。テーブルは、たとえば、コンピュータを用いて制御することができる(支持体または膜フィルターまたはシリコン・マイクロシーブをスキャンするためのパラメータは対応する測定プログラムに含まれている)。これらのパラメータは、自動フォーカシング、xおよびy方向のスキャニング幅、z方向の断面深さおよび試験される試料の面積などである。検体ホルダテーブルは、それ自体、たとえば、好ましくは幅26mm、長さ76mmの標準的なスライド(ISO標準8037/1)をしっかりと固定して形成されたものでもよい。
試料は、たとえば、LED(発光ダイオード)によって光照射に付される。LEDを使用することは、試験に付される検体が熱ストレスをほとんど受けないので、検体をより長時間保存できるといった利益をもたらす。LEDの励起波長は、特に使用される蛍光染料の吸収ピークに依存する。LED光を二色性ビームスプリッタを介して試料へと向ける。細菌が放出する蛍光放射線は、顕微鏡レンズからCCDカメラまでの経路において分光濾過してもよい。これによって、蛍光放射線を波長依存法で検出することができ、細菌の「分光指紋(spectral fingerprint)」が基本的に得られる。
異なった特別の平面への自動フォーカシングは、自動フォーカシング機能によって行うことができる。この方法で得られた画像部は約1.5mm×1.0mmのサイズであり、たとえば、10倍の倍率の顕微鏡レンズを用いて得るのが好ましい。自動フォーカシング機能は、特別の画像平面を規定するのに使用される。自動フォーカシングから始め、規定工程では、調査される検体をz方向に(すなわち、検体の表面に垂直に)移動させる。このようにして、様々な深さの平面における画像を記録する。次に、画像平面を投影して最終的に領域深さを有する全体画像を得る。
支持体または膜フィルターまたはシリコン・マイクロシーブの全体的分析では、異なる光学フィルターを用いて様々な深さにおける(たとえば、1.5mm×1.0mmの好ましいサイズの)複数の視野領域が、比較的大量のデータを提供する。さらに、比較的長い暴露時間において、所定の深さと光学フィルターを用いた特定の視野領域の多量の画像シーケンスを記録できる。
このようにして生じた画像を実際の細菌含有量について各種評価パラメータを考慮して評価する。まず、検出粒子のサイズおよび形状は重要な役割を果たす。検出される細菌は通常6μmより小さいので、6μmより大きい粒子を無視することができる。形状も考慮せねばならない。なぜなら、ここで述べた好ましい倍率を用いれば、細菌の主軸の比は通常約1:1である。すなわち、(菌類の菌糸の形状を除けば)細菌はほぼ球形構造を示すからである。それゆえ、異なる主軸比を有する粒子は無視できる。
更なる追加のパラメータは、蛍光特性の分析である。ここで重要なのは特定の波長または波長範囲での放射線強度だけではない。むしろ、異なる波長/波長範囲での蛍光強度の比が、細菌と他の粒子とを識別するのに重要である。これらの波長の差異はさらに、上述の領域深さ画像に人口色として描かれる。励起光を、500nmの「カットオン(cuton)」を有する二色性ビームスプリッタを用いて除去する。これによって、励起光はフィルターで実質的に全て反射される一方、着色した生存細菌が放出した520nmの波長以上の蛍光光は実質的に全て通過することになる。それでもLEDの強い励起光を減衰させるために、520nmの「カットオン」を有するロングパスフィルターを蛍光光経路内に配置する。他の全てのフィルターはフィルターホイールに一体成形され、このフィルターホイールには一箇所(「ポジション1」)フィルターのない箇所があり、この箇所は試料が放出する全蛍光光を測定するために使用される。異なる幅を有する緑蛍光光を濾過除去するバンドパスフィルターを別の二箇所(「ポジション2および3」)に使用する。フィルターホイールの残りの箇所(「ポジション4〜6」)にある別の3つのフィルターは、さらに赤の範囲にシフトした「吸収カットオン」を有するロングパスフィルターである。
最後に、特定の照射時間について同定された蛍光強度を評価する。かかる評価は、単一の励起光の有する「残光」の持続時間を検出することを含んだ蛍光寿命の測定ではない。むしろ、本発明は、特定の時間ある視野領域を照射し、かかる視野領域の画像を取り、再度照射すること等を包含する。LEDを用いて生じるこの漂白は、細菌と、細菌数を同定するのには重要でない他の粒子(「干渉粒子」)とを識別するのに非常に役立つ。細菌は限られた量の蛍光染料しか吸収しないので、特定の時間後にLEDの照射により漂白され、細菌は僅かしか成長せずまたは全く成長しない。しかし、蛍光染料によって着色されずかつ本来的な特性に起因して蛍光を生じる粒子(たとえば、プラスチック粒子)の強度は、実質的に照射時間に影響されないままである。
本発明に使用されるシステムは、完全に自動化された方法で観察視野領域をフォーカシングすることができる。膜フィルター上に存在する細菌および他の粒子の画像をできるだけ正確に得るために、各工程後にまたは各視野領域において自動フォーカシングを繰返す。
比較的長い照射時間の場合、蛍光染料で着色された細菌と干渉粒子(即ち、本質的に蛍光性を有する粒子)との間において蛍光強度に根本的な差異がある。細菌の場合には、染料は高エネルギー光で徐々に漂白される。しかし、その本来的特性(本来的蛍光性)に起因して蛍光を発する粒子の場合には、比較的長い照射は強度変化につながらず、または非常に僅かな変化しか生じない。同じサイズで同様の分光特性の粒子同士を識別する場合には、この指標は非常に重要である。この関係で、これは識別のための漂白法を記載したものであり、蛍光寿命の測定と同一視できないことに留意されたい(注、たとえば、H.J.タンケら)。
細菌と「干渉粒子」の両方の形状/サイズ特性および分光特性およびさらには粒子の漂白作用を組み合わせることは、区別または識別に際して非常に高い信頼性をもたらす。従って、使用者による顕微鏡検査はもはや必要ではない。このようにして、再現性および信頼性のある方法で10KBE/ml未満の範囲内で自動分析を行うことができる。
数多くの有利な効果が発明の方法でもたらされるが、その中でも特に重要なものを以下に挙げる:
本発明の方法の有利な効果の1つは、本発明の方法を自動化できるということである。全過程の完全自動化によって、本発明の方法をより単純に、迅速にかつ再現性よく行うことができる。これはコスト、人員の必要性および感度に関して利益をもたらす。同様に、試験の実施における高い再現性は高い利益をもたらす。
本発明の方法の他の有利な効果は、標準化された要素または常套的な要素の使用に起因する。本発明の方法を実施するのに必要な全システムは、多数の標準化された要素または常套的な要素(容器、媒体、フィルター等)を使用することができるように一体的に構成されているので、操作者の作業量を低減し、本発明の方法の信頼性を高めることができる。
本発明の方法の更に他の有利な効果は、単純な検出および評価に起因する。例えば、本発明の方法を好適な試料容器内で行うことができ、ラベリングされた細菌を適当な支持体(例えば膜フィルター)にて調製できる。
本発明の方法の更に他の有利な効果は、発明の方法を実施する速度に起因する。本発明の方法によって、細菌の種類および細菌数に依存して僅か数分後に細菌数を同定することができる。これに対して、常套的培養法では数日以上要する。
本発明の方法が高感度であることも特別な有利な効果である。本発明の方法によって、たとえ高希釈物であっても細菌の同定が可能である。尚、加速培養法は試料体積1ミリリットル当たり10cfuの検出限界では十分な感度を有していない。
また、本発明の方法の更に他の有利な効果は、使用者に親しみのやすいことである。つまり、試料の細菌量を自動で同定する全過程は、試料を導入し処理を開始することのみから成っており、それによって、使用者は細菌量の数値を得ることができる。試料処理および測定のための労力は最小であるといえる。従って、システムを、定性的なモニタリング、保証および証拠書類のために、理想的処理システムへと一体化できる。
第2の要旨によれば、本発明は、請求項35で記載されるような、蛍光ラベリングによってまたは蛍光マーカによって試料中の細菌を定量的および/または定性的に同定する装置に関する。かかる本発明の装置は、蛍光発光の経時変化を記録し、蛍光ラベリングされた細菌によって生じた第1の測定信号と第2の干渉信号とを識別できるように設計されている。
本発明は、特に、試料調製の後で検出および/または評価を行うことによって試料中の細菌を定量的および/または定性的に同定する装置に関している。かかる装置では、試料調製に際して、試料中に存在する細菌の少なくとも幾分かが少なくとも1つの蛍光マーカによってラベリングされ、蛍光マーカに起因した蛍光発光が記録および/または測定される。特に、上述した本発明の方法を実施することができる装置は、
試料調製の後に検出および/または評価を行うことを含んで成る方法によって試料中の細菌を定量的および/または定性的に同定する装置であって、
特に、上述の本発明の方法を実施することができるように、試料中に存在する細菌の少なくとも幾分かを少なくとも1つの蛍光マーカによってラベリングすることができ、蛍光発光を記録および/または測定して検出および/または評価を行うことができる装置であって:
− 試料容器と、
− 試料容器の出口(特に試料容器の底部)に設けられた、細菌が供される及び/または固定化される多孔質支持体と、
− 蛍光発光の測定を行う検出システムと
を有して成り、
多孔質支持体は、特に膜フィルターまたはシリコン・マイクロシーブであって、検出される細菌を保持するようにおよび/または検出される細菌に関して不浸透性であるように設計されており、
検出システムでは、支持体を備えた試料容器および/または試料容器から取り出された支持体が検出および/または評価目的のために配置されており、
該検出システムが、検出システムの一部としておよび/または検出システムを制御するために、好ましくはコンピュータ制御された制御および/または評価ユニットを有して成り、また、該検出システムが、蛍光ラベリングされた細菌を所定の波長または所定の波長範囲の励起放射線に所定の期間暴露させることを可能にする照射源を有して成り、
特に、該制御および/または評価ユニットが、蛍光ラベリングされた細菌によって生じた第1の測定信号と第2の干渉信号とを識別可能にするために、該励起放射線の暴露により生じた蛍光発光放射線の経時変化を記録する手段を有して成る。
発明の装置の更なる有効な実施の形態は、装置の従属請求項(請求項37〜40)に記載されている。従って、本発明の方法に関して為された説明は発明装置に適用することができる。
更なる第3の要旨によれば、本発明は、更に、上述した本発明の装置の使用に関している。このことは、使用クレーム(請求項41〜43)に記載されている。
更なる実施の形態、改良および変更、さらには本発明の有利な効果は、本発明の範囲を逸脱しない範囲で、当業者には容易に理解でき、実施できることであろう。

Claims (43)

  1. 試料中の細菌を定量的および/または定性的に同定する方法であって、
    少なくとも1つの蛍光マーカによって試料中に存在する細菌の少なくとも幾分かをラベリングすることを含んで成る試料調製工程(a)と、蛍光発光を記録および/または測定することによって定量的および/または定性的な検出および/または評価を行うことを含んで成る検出および/または評価の工程(b)とを含んで成り、
    工程(b)では、工程(a)で調製された蛍光ラベリングされた細菌を含んだ試料に対して、所定の波長または所定の波長範囲の励起放射線を所定の期間施すことによって生じる蛍光発光放射線の経時変化を記録し、蛍光ラベリングされた細菌によって生じた第1の測定信号と第2の干渉信号との間を識別することによって、試料中の蛍光ラベリングされた細菌を定量的および/または定性的に同定することを特徴とする方法。
  2. 蛍光マーカの劣化および/または漂白の状態を記録することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. 前記状態の記録が、蛍光発光信号強度の経時変化を記録することによって行われることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
  4. 試料中に存在する細菌数を、測定された蛍光発光の値に基づいて同定し、特に適当なキャリブレーションを用いることによって同定することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  5. 2つ以上の連続的な時間間隔において、それぞれ互いに異なる所定の波長または波長範囲の励起放射線を、蛍光ラベリングされた細菌を含んだ試料に照射すること、および/または、少なくとも2つ以上の連続的な時間間隔において、蛍光ラベリングされた細菌を含む試料から得られるそれぞれ互いに異なる所定の波長または波長範囲の蛍光放射線を検出することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
  6. 励起放射線の波長または波長範囲は、蛍光マーカおよび/または蛍光ラベリングされた細菌の蛍光特性、特に、それらの蛍光発光の吸収ピークに適合していることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
  7. 放出される粒子のサイズおよび/または形状によって、前記識別を更に行うことを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
  8. 蛍光特性を分析することによって前記識別を更に行い、特に、相互に異なる所定の波長または波長範囲において蛍光強度の比を記録することを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
  9. 細菌を支持体に供する及び/または固定化することを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
  10. 支持体は多孔質構造を有し、特に、該支持体の孔サイズが試料中に存在する細菌よりも小さくなっており、および/または、該支持体が細菌を保持するように設計および/または細菌に対して不浸透性であるように設計されていることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
  11. 工程(a)で行われる試料調製では、蛍光ラベリングされた細菌を膜フィルター、特に、多孔質膜フィルター、好ましくはポリカーボネート膜フィルターまたはシリコン・マイクロシーブに供することが含まれており、該膜フィルターまたは該シリコン・マイクロシーブが該細菌を保持するように及び/または該細菌に関して不浸透性であるように設計されていることを特徴とする、請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
  12. 膜フィルターまたはシリコン・マイクロシーブの孔のサイズは、試料中に存在する細菌よりも小さくなっていることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
  13. 検出および/または評価を支持体上で行い、特に試料を更に処理または移送することなく直接的に膜フィルターまたはシリコン・マイクロシーブ上で検出および/または評価を行うことを特徴とする、請求項9〜12のいずれかに記載の方法。
  14. 蛍光マーカは、支持体の孔を通過することができるように選択されており、特に工程(a)で行われる試料調製において使用される膜フィルターまたはシリコン・マイクロシーブを通過できるように選択されることを特徴とする、請求項9〜13のいずれかに記載の方法。
  15. 試料処理の工程(a)には、試料中に存在しうる細菌抑制作用および/または殺菌作用を有する物質または成分、特に防腐剤または界面活性剤を、不活性化させる及び/または除去することが含まれ、特に、試料中に存在しうる細菌抑制作用および/または殺菌作用を有する物質または成分を、適当な不活性化溶液および/または条件調節溶液と接触させることによって不活性化させる及び/または除去することを特徴とする、請求項1〜14のいずれかに記載の方法。
  16. 細菌と相互作用するような蛍光マーカが選択されており、
    細菌、特に細菌の細胞壁(外膜)および/または核酸に付着するような、及び/または、細菌によって吸収され、特に代謝され及び/または酵素で変換されるような蛍光マーカが選択されることを特徴とする、請求項1〜15のいずれかに記載の方法。
  17. 使用される蛍光マーカが、細菌−非特異性蛍光マーカまたは細菌−非特異性蛍光マーカを含んだ混合物であることを特徴とする、請求項1〜16のいずれかに記載の方法。
  18. 使用される蛍光マーカが、細菌−特異性蛍光マーカまたは各種細菌−特異性蛍光マーカを含んだ混合物であることを特徴とする、請求項1〜16のいずれかに記載の方法。
  19. 使用される蛍光マーカが、細菌−非特異性蛍光マーカと細菌−特異性蛍光マーカとの混合物であることを特徴とする、請求項1〜16のいずれかに記載の方法。
  20. 使用される蛍光マーカが、生きている生存細菌と相互作用する蛍光マーカであることを特徴とする、請求項1〜19のいずれかに記載の方法。
  21. 使用される蛍光マーカが、死亡した死亡細菌と相互作用する蛍光マーカであることを特徴とする、請求項1〜19のいずれかに記載の方法。
  22. 試料中に存在する細菌の生存/死亡の識別を行うために、使用される蛍光マーカが、生存細菌と相互作用する蛍光マーカと死亡細菌と相互作用する蛍光マーカとの混合物であることを特徴とする、請求項1〜19のいずれかに記載の方法。
  23. 使用される蛍光マーカが、落射蛍光顕微鏡またはDEFT(直接落射蛍光フィルター技術)またはMMCF(膜フィルターミクロコロニー蛍光法)において細菌をラベリングするのに一般的に使用される蛍光マーカであることを特徴とする、請求項1〜22のいずれかに記載の方法。
  24. 使用される蛍光マーカが、蛍光染料であるか、または、細菌との相互作用によって蛍光染料を生じる蛍光染料前駆体、特に代謝および/または酵素での変換によって蛍光染料を生じる蛍光染料前駆体であることを特徴とする、請求項1〜23のいずれかに記載の方法。
  25. 蛍光染料が、3,6−ビス(ジメチルアミノ)アクリジン(アクリジンオレンジ)、4’6−ジアミド−2−フェニルインドール(DAPI)、3,8−ジアミノ−5−エチル−6−フェニルフェナントリジニウム臭化物(エチジウム臭化物)、3,8−ジアミノ−5−[3−(ジエチルメチル−アンモニオ)プロピル]−6−フェニルフェナントリジニウム二沃化物(プロピジウム沃化物)、ローダミン(例えばローダミンBおよびスルホローダミンB)およびフルオレスセインチオシアネートからなる群から選択されることを特徴とする、請求項24に記載の方法。
  26. 使用される蛍光マーカが、蛍光基または蛍光分子で蛍光ラベリングされた核酸プローブ、特に細菌−特異性核酸プローブであり、
    特に、該蛍光基または該蛍光分子と該核酸プローブとが共有結合等で結合されており、および/または、特に該核酸プローブが蛍光ラベリングされたオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドを含有し、および/または特に該核酸プローブが蛍光ラベリングされたDNAプローブまたはRNAプローブであることを特徴とする、請求項1〜25のいずれかに記載の方法。
  27. 使用される核酸プローブが、蛍光インシトゥハイブリダイゼーション(FISH)においてラベリング用に一般的に使用される核酸プローブであることを特徴とする、請求項26に記載の方法。
  28. 使用される蛍光マーカが、特に蛍光基または蛍光分子で蛍光ラベリングされた抗体、特に細菌−特異性抗体であり、特に該蛍光基または該蛍光分子と該抗体とが共有結合等で結合されていることを特徴とする、請求項1〜27のいずれかに記載の方法。
  29. 細菌についての検出限界が、試料体積1ミリメートル当たり100cfu(コロニー形成単位)以下であり、好ましくは試料体積1ミリメートル当たり10cfu(コロニー形成単位)以下であることを特徴とする、請求項1〜28のいずれかに記載の方法。
  30. 測定される細菌は、病原性細菌、特に微生物であり、特にバクテリアおよび菌類(例えばイーストまたはかび)などの単細胞微生物であることを特徴とする、請求項1〜29のいずれかに記載の方法。
  31. 食料品、界面活性剤含有製品(例えば洗浄剤および洗剤)、界面処理剤、分散製品、化粧品、衛生製品、ボディケア製品、薬剤、接着剤、冷却潤滑剤、塗料、(塗料)凝固物ならびにそれらの原材料および出発材料において、定量的および/または定性的に細菌を同定するための、請求項1〜30のいずれかに記載の方法。
  32. 濾過可能な製品、特に液体および/または易流動性製品において、細菌を定量的および/または定性的に同定するための、請求項1〜31のいずれかに記載の方法。
  33. 自動化して行うことを特徴とする、請求項1〜32のいずれかに記載の方法。
  34. 製造制御および/または品質制御に組み込んで行うことを特徴とする、請求項1〜33のいずれかに記載の方法。
  35. 蛍光マーカによって試料中の細菌を定量的および/または定性的に同定する装置、特に請求項1〜34のいずれかに記載の方法を実施するための装置であって、
    蛍光ラベリングされた細菌によって生じた第1の測定信号と第2の干渉信号とを識別するために、蛍光発光の経時変化を記録できるように設計されていることを特徴とする装置。
  36. 試料調製の後に検出および/または評価を行うことを含んで成る方法(特に請求項35に記載の方法)によって試料中の細菌を定量的および/または定性的に同定する装置であって、
    特に、請求項1〜34のいずれかに記載の方法を実施することができるように、試料中に存在する細菌の少なくとも幾分かを少なくとも1つの蛍光マーカによってラベリングすることができ、蛍光発光を記録および/または測定して検出および/または評価を行うことができる装置であって:
    − 試料容器と、
    − 試料容器の出口(特に試料容器の底部)に設けられた、細菌が供される及び/または固定化される多孔質支持体と、
    − 蛍光発光の測定を行う検出システムと
    を有して成り、
    多孔質支持体は、特に膜フィルターまたはシリコン・マイクロシーブであって、検出される細菌を保持するようにおよび/または検出される細菌に関して不浸透性であるように設計されており、
    検出システムでは、支持体を備えた試料容器および/または試料容器から取り出された支持体が検出および/または評価目的のために配置されており、
    該検出システムが、検出システムの一部としておよび/または検出システムを制御するために、好ましくはコンピュータ制御された制御および/または評価ユニットを有して成り、また、該検出システムが、蛍光ラベリングされた細菌を所定の波長または所定の波長範囲の励起放射線に所定の期間暴露させることを可能にする照射源を有して成り、
    特に、該制御および/または評価ユニットが、蛍光ラベリングされた細菌によって生じた第1の測定信号と第2の干渉信号とを識別可能にするために、該励起放射線の暴露により生じた蛍光発光放射線の経時変化を記録する手段を有して成る、装置。
  37. 多孔質支持体が、孔を有する支持体であって、特に膜フィルター、好ましくはポリカーボネート膜フィルターまたはシリコン・マイクロシーブであることを特徴とする、請求項35または36に記載の装置。
  38. 支持体の孔のサイズが、試料中に存在する及び/または存在が予測されうる細菌のサイズよりも小さいことを特徴とする、請求項35〜37のいずれかに記載の装置。
  39. 試料容器(1)は、試料流体を滴下、吸引および/または押出するための、および/または、蛍光マーカ用流体を受容するための及び/または支持体の上または支持体の上流に位置する流体をすすぐための、滴下ユニット、吸引ユニットおよび/または押出ユニットを有することを特徴とする、請求項35〜38のいずれかに記載の装置。
  40. 試料容器の温度を調節するための温調ユニットを更に有することを特徴とする、請求項35〜39のいずれかに記載の装置。
  41. 食料品、界面活性剤含有製品(例えば洗浄剤および洗剤)、界面処理剤、分散製品、化粧品、衛生製品、ボディケア製品、薬剤、接着剤、冷却潤滑剤、塗料、塗料凝固物ならびにそれらの原材料および出発材料において、定量的および/または定性的に細菌を同定するための、請求項35〜40のいずれかに記載の装置の使用。
  42. 濾過可能な、特に液体および/または易流動性製品において、特に媒体、溶液、液体、マトリックス等において、細菌を定量的および/または定性的に同定するための請求項35〜40のいずれかに記載の装置の使用。
  43. 好ましくは自動製造制御および/または品質制御を行うための請求項35〜40のいずれかに記載の装置の使用。
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