JP2008523594A - ピエゾ電気式の変換器及び、該変換器の製造のための方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、入力部分(1)及び出力部分(2)を備えた変換器に関し、この場合に前記入力部分(1)と前記出力部分(2)とは絶縁部分(3)によって互いに機械的に結合されており、前記入力部分(1)と前記出力部分(2)との間で前記絶縁部分(3)の表面に沿って延びる電流路は、前記入力部分と前記出力部分との間の直接的な結合部に比べて、凹設部(5)によって延長されている。該変換器の利点として、入力部分(1)と出力部分(2)との間の破壊強度は改善されている。さらに本発明は、変換器の製造方法にも関する。

Description

本発明は、圧電性の材料を含む本体を備えたピエゾ電気式の変換器に関する。さらに本発明は、該変換器の製造のための方法に関する。
米国特許出願公開第2001/0028206A1号明細書により公知のピエゾ電気式の変換器においては、本体の内部に内側電極を設けてある。
本発明の課題は、ピエゾ電気式の変換器、つまり圧電素子から成る変換器を提供して、該変換器において異なる電極間の電圧弧絡のおそれを減少させることである。
前記課題は、請求項1に基づくピエゾ電気式の変換器によって解決される。変換器の有利な実施態様並びに該変換器の製造のための方法は請求項2以下に記載してある。
本発明の1つの実施態様では、ピエゾ電気式の変換器の本体の圧電性の材料は、例えば鉛・ジルコン・チタン酸・セラミックである。
本明細書で逆圧電気は、必要に応じて分極されている圧電性のセラミックが電場の発生に際して分極方向に対して平行に若しくは逆平行に若しくは所定の角度で変形を生ぜしめることを意味している。正圧電気は、本体の変形に際して本体内に電圧を生ぜしめることを意味している。
本発明の1つの実施態様では、変換器の入力部分内で電圧を用いて変換器の本体内に機械振動を生ぜしめるようになっている。本体内の機械振動は変換器の出力部分で電場に変換され、該電場は適切な電極によって取り出されるようになっている。
本体内に有利には入力電極を設けてある。入力電極を用いて入力電極への電圧の印加に際して本体の機械的な変形を生ぜしめるようになっている。別の有利な実施態様では出力電極を設けてあり、該出力電極は本体に接続されている。出力電極を用いて、本体の変形に際して発生する電圧を取り出すようになっている。
入力電極と出力電極とは1つの構成部材内で互いに組み合わされていてもよい。これによって入力電極への交流電圧の印加に際して、本体の周期的に繰り返される変形を生ぜしめるようになっている。本体の周期的に繰り返される変形は、出力電極で周期的に変化する電圧に変換される。出力電圧は、電極の適切な配置によって入力電圧と異ならせられている。この場合に変換器は、電圧の比に相当する変成比を有している。
本発明の実施態様に基づき、変換器の入力部分と出力部分との間に配置された絶縁部分は両方の部分を互いに電気的に分離している。絶縁部分は入力部分にも、出力部分にも機械的に結合されている。
電圧弧絡のおそれを減少させるために有利には、入力部分と出力部分との間で絶縁部分の表面に沿って延びる電流路は、入力部分と出力部分との間の直接的な結合部に比べて延長されている。これによって絶縁部分の絶縁耐力若しくは破壊強度は適切に高められる。
電流路の延長は、有利には絶縁部分の外周の形状付与によって、例えば絶縁部分の外周にリブパターン又はリブ成形部、若しくは1つのへこみ部若しくは1つの膨らみ部を設けることによって達成される。原理的には、絶縁部分による入力部分と出力部分との間の直線の直接的な表面結合部と異なるあらゆる形状構成が可能である。
変換器の表面における電流路の延長によって、特に表面放電、ひいてはこれに起因する電圧弧絡は効果的に避けられる。
変換器の特に有利な実施態様では、絶縁部分は表面に1つの凹設部を備えている。凹設部は、溝の形を有している。凹設部としての溝は、絶縁部分の表面に加工成形されており、これによって入力部分と出力部分とは互いに分離されている。凹設部の利点として、凹設部は、平滑な外周面を有する変換器本体を後から加工することによって容易に成形されるものである。
変換器の別の実施態様では、凹設部は、変換器の縦軸線若しくは長手方向軸線を中心とした方位に環状に形成され若しくは変換器の縦軸線若しくは長手方向軸線を中心に取り囲むように環状に形成されている。凹設部のこのような構成に基づき、変換器の表面におけるすべての電流路は絶縁部分の前述の特別な形状によって延長されている。特に有利には、凹設部は変換器本体の周方向で完全に変換器本体の周りに環状に形成されている。
変換器の別の実施態様では、絶縁部分の凹設部は変換器本体の外周面の相対する側に設けられている。該実施態様において得に有利には、凹設部を配置してある側に、変換器の外側電極も配置してある。変換器の、ちょうど外側電極を配置してある外周面において、電圧弧絡のおそれは特に高くなっており、これに対して、電流路の前述の延長の手段は特に有効に作用する。
変換器の別の実施態様では、絶縁部分の外周面若しくは絶縁部分の外周面の少なくとも一部分は、電気絶縁性の材料で被覆されている。このような付加的な絶縁によって、入力部分と出力部分との間の弧絡に対する電圧耐力はさらに改善される。絶縁部分は付加的に、入力部分と出力部分との間の電流路を延長するように形成されていると特に有利である。この場合に有利には、絶縁耐力を増大するための両方の効果は互いに組み合わされていてよい。
変換器の別の実施態様では、絶縁部分の凹設部は、電気絶縁性の材料で部分的に若しくは完全に充填されている。この場合に、充填部分は凹設部を超えて突出していてよく、つまり、充填部分の高さは凹設部の深さよりも大きくなっていてよい。このような手段によって、変換器の入力部分と出力部分との間の二重の絶縁を達成している。一面において入力部分と出力部分との間の、凹設部の表面に沿った距離は、直接的な結合部若しくは直線的な結合部に比べて延長されている。他面において入力部分と出力部分との間の最短の結合路は絶縁材料によってふさがれており、その結果、弧絡は生じにくくなっている。このような実施態様は、空間を経る弧絡のメカニズムに対処するものである。
本発明の有利な実施態様では、入力部分及び出力部分の、絶縁部分に隣接する領域を、電気絶縁性の材料で被覆してある。
電気絶縁性の材料として有機材料も無機材料も用いることができる。特に有利には有機塗料若しくは有機複合材料を用いてあり、このような塗料若しくは複合材料は良好な電気的な絶縁物であり、電子構成部分の不動態化のために用いられるものである。
変換器の別の実施態様では、凹設部若しくは溝内の角若しくは隅、及び/又は凹設部と変換器本体の外周面との間の移行部の角若しくはエッジを避けるようになっている。このことは、凹設部の少なくとも1つの縁部(角若しくは隅)に丸みを付けることによって有利に達成されている。凹設部の縁部に丸みを付けること、例えば凹設部を断面で見てU字形に形成すること、若しくは凹設部と変換器本体の外周面との間の移行部に丸みを付けることによって利点として、凹設部若しくは溝の領域に施された絶縁材料は、縁部が丸みを付けられていない、つまり尖った状態である場合よりも良好に変換器の表面に付着されている。これによって、絶縁材料の剥離の発生の確率は減少されている。その結果、変換器の電圧耐力はさらに高められている。変換器のさらに別の実施態様では、入力部分及び出力部分の表面に設けられた金属被覆の互いに向き合わされた縁部若しくは角隅部は丸みを付けられている。
変換器を製造するための本発明に基づく方法では、変換器の入力部分と出力部分との間で絶縁部分に、回転する研削部材、例えば研削子若しくは研削砥石(砥石円板)を用いて凹設部を加工成形するようになっている。この場合に有利には、縁部に丸みの付けられた凹設部の成形のために適合された輪郭若しくは形状を有する研削部材が用いられる。入力部分及び出力部分の外側電極は、変換器の構成部分、つまり入力部分及び出力部分と絶縁部分との結合の前若しくは後に、例えばステンシルを用いて対応する構成部分の表面に形成される。
変換器の製造のための方法の有利な実施態様では、まず入力部分、出力部分及び絶縁部分を互いに接合して1つの変換器本体を形成し、次いで入力部分、出力部分及び絶縁部分の相対する少なくとも2つの側面に面積の大きな金属層を施すようになっている。該金属層の一部分は、絶縁部分に凹設部を形成する際に研削によって除去され、これによって該金属層は絶縁部分の領域で中断されて、入力部分及び出力部分の互いに分離された外側電極を形成するようになっている。該実施態様においては利点として、入力部分及び出力部分の外側電極間の間隔の調整は、ステンシルを用いて入力部分及び出力部分の外側電極を形成する方法に比べて容易に達成される。
次に、変換器及び該変換器の製造方法を図示の実施例に基づき詳細に説明する。図面において、
図1は、本発明の実施例の変換器の斜視図であり、
図2Aは、図1に示す変換器の変化例の概略的な断面図であり、この場合に絶縁は1つの層の形で設けられ、つまり層として形成されており、
図2Bは、図1に示す変換器の別の変化例の概略的な断面図であり、この場合に絶縁は充填物の形で設けられ、つまり充填物によって形成されており、
図3は、変換器の製造のための工程を示しており、
図4は、プレート構造の変換器のための実施例の斜視図であり、
図5は、直方体状の変換器のための実施例の斜視図であり、
図6は、広幅面に形成された外側電極、つまり大きな面積で形成された外側電極を有するプレート構造の変換器のための実施例の斜視図であり、
図6Aは、図6の変換器の概略的な平面図である。
図面において、同じ構成部分、若しくは同じ或いは類似の機能を有する構成部分には同一の符号を付けてある。図面は正確な寸法比で示されたものではなく、図面を見やすくするために若しくは作図上の理由から例えば長手方向の寸法若しくは長手方向に対する垂直方向の寸法を異なる寸法比で示してある。
図1に示してある圧電式の変換器は、2つの構成部分、つまり一次側部分(入力部分)と二次側部分(出力部分)とから成っている。両方の構成部分は互いに機械的に結合されている。入力部分、出力部分及び絶縁部分を互いに一体に結合してあると有利である。このことは、例えばセラミック製のグリーンシートと内側電極とを交互に積み重ねてパイルを形成し、次いで該パイルを焼結することによって達成されてよく、これによってパイルは一体構造の1つの構成部材として形成される。電気的な信号は入力部分で逆圧電気に基づき変換器本体の機械振動に変換される。機械振動は変換器の本体内を伝播して、変換器の二次側部分に達して、そこで再び正圧電気に基づき電気的な信号に変換される。有利には入力部分も出力部分も、圧電性のセラミックの複数の層から成っており、各層は金属製の電極によって互いに分離されている。セラミック製の層は、有利には電気的に並列に接続されている。
変換器の入力側と出力側とを電気的に分離するために、絶縁性の材料から成る層を入力側と出力側との間に配置してある。該層は、変換器の残りの部分と同じ圧電性の材料から成っていてよい。電気的な分離は、特に変換器の入力側と出力側との間の電気的な絶縁耐力若しくは絶縁強度を高めるために必要とされている。
図1に示す変換器(変換素子)は、変換器本体4を備えており、変換器本体(素子本体)は入力部分1及び出力部分2を有している。両方の部分1,2は絶縁部分3によって互いに結合されている。入力部分1は第1の種類の電極11及び第2の種類の電極12を備えており、両方の電極11,12は互いに入り組んだ電極パターンを形成していて、該電極パターン(電極構造体)によって入力部分11の内部に電場を生ぜしめるようになっている。第1の種類の電極11は、外側電極13に電気的に接続されており、第2の種類の電極12は外側電極14に電気的に接続されている。同様に変換器の出力部分2内に2種類の電極21,22を設けてあり、該電極は電圧を発生させるために用いられており、電圧は、電極21に接続された外側電極23並びに電極22に接続された外側電極24を介して処理される。変換器の入力部分及び出力部分は、使用目的に適合された別の形で形成されていてよいものである。
入力部分1と出力部分2との間に配置されている絶縁部分3は、全周にわたって凹設部5を備えている。凹設部5は、例えば外側電極13の縁部と外側電極23の縁部との間で表面に沿って延びる電流路を、直線状の結合部若しくは直接的な結合部8に比べて明らかに延長しており、これによって変換器の電圧強度は改善されるようになっている。凹設部5は、変換器の本体に加工成形された溝として形成されていてよい。
図2Aは1つの変換器を断面で示しており、該変換器においては絶縁部分3の領域に1つの層を施してあり、該層は絶縁性の材料6から成っている。前記層によって溝5の表面のみを被ってある。表面放電の原因は電極間の表面の埃、湿気若しくは汚れ等である。施された絶縁層は、表面を保護して変換器の作動中の埃や湿気若しくは汚れの侵入を防止する効果を生ぜしめている。これによって、破壊電圧を高めることができるようになっている。
図2Bは、図2Aと同様に凹設部を示しており、該凹設部は絶縁性の材料で満たされている。絶縁性の材料6は凹設部をわずかに超えて突出している。このような処置によって絶縁耐力はさらに改善され、それというのは、図1で空気中を通る直接的な結合部は、ここでは絶縁性の材料6を通って延びており、したがって直接的な結合部に沿った弧絡は起こらないようになっている。
図3は、変換器本体の外周への溝の加工成形のための可能な1つの方法を概略的に示している。この場合に、回転する研削子7は外側から変換器本体に近づけられる。研削子7の適切な外周面若しくは輪郭によって凹設部5を画成するようになっており、凹設部は尖った縁部若しくは角隅を有しておらず、つまり縁部若しくは角隅に丸みを付けられており、これによって変換器本体の表面への絶縁性の材料の付着は改善されている。
図4は変換器のための別の実施例を示しており、該変換器は扁平ないプレートの形を有しており、プレートの狭幅面に外側電極を配置してある。外側電極13と24若しくは14と23の間にプレートの広幅面があるので、該方向では電極14と23若しくは電極13と24の間に放電に対する十分に長い経路が形成されている。この場合には、プレートの狭幅面で入力部分と出力部分との間に電流路の延長のための凹設部5を設けてある。
図5及び図6は変換器のためのさらに別の実施例を示しており、この場合には絶縁部分3内にそれぞれ凹設部5を設けてある。
図5の変換器は複数のセラミック層及び該セラミック層間に配置された内部電極を含んでいる。内部電極を互いに接続していて図面でハッチングされた面として示された外側電極は、直方体状の本体若しくはベース部材の角隅に配置されている。
図6には外側電極の配置のための別の実施例を示してある。図6の変換器は、図6Aを上方から見た平面図で概略的に示されている。
ハッチングで表す外側電極は本体の1つの面(側面)を大きな面積で被っている。この場合に変換器は有利には唯一のセラミック層を有しており、該セラミック層の相対する大きな面に外側電極としての金属層を施してある。
電極面は凹設部5の丸みの付けられた縁部を越えて延びている。電極をこのように配置した場合の利点として、外側電極も凹設部の縁部の丸みに基づき外側電極の縁部若しくは角隅に丸みを付けられており、このことは電極縁部の電場強さを減少させることに役立っている。丸みの付けられた異なる極の2つの接触部間の放電は、尖端を有する、すなわち角隅に丸みの付けられていない2つの接触部間よりも高い電圧でしか生じない。結果として外側電極の角隅の丸み部は、変換器の表面における尖った電極角隅間の放電を防止していて、ひいては該放電の確率を減少させている。
本発明は、図示の実施例、構成部材の形状及び数量に限定されるものではない。
本発明の実施例の変換器の斜視図 図1に示す変換器の変化例の概略的な断面図 図1に示す変換器の別の変化例の概略的な断面図 変換器の製造のための工程を示す側面図 プレート構造の変換器のための実施例の斜視図 直方体状の変換器のための実施例の斜視図 大きな面積で形成された外側電極を有するプレート構造の変換器のための実施例の斜視図 図6の変換器の概略的な平面図
符号の説明
1 入力部分、 2 出力部分、 3 絶縁部分、 4 変換器本体、 5 凹設部、 6 材料、 7 研削子、 11,12 電極、 13,14 外側電極、 21,22 電極、 23,24 外側電極

Claims (12)

  1. ピエゾ電気式の変換器であって、入力部分(1)及び出力部分(2)を備えており、前記入力部分(1)と前記出力部分(2)とは絶縁部分(3)によって互いに機械的に結合されており、前記絶縁部分(3)は表面に凹設部(5)を有していることを特徴とするピエゾ電気式の変換器。
  2. 凹設部(5)は、変換器の縦軸線を中心に取り囲むように環状に形成されている請求項1に記載の変換器。
  3. 凹設部(5)は、変換器の相対する側面に設けられている請求項1に記載の変換器。
  4. 絶縁部分(3)の表面は電気絶縁性の材料(6)で被覆されている請求項1から3のいずれか1項に記載の変換器。
  5. 凹設部(5)は、電気絶縁性の材料(6)で満たされている請求項1から3のいずれか1項に記載の変換器。
  6. 入力部分(1)及び出力部分(2)の、少なくとも絶縁部分(3)に隣接する領域は、電気絶縁性の材料(6)で被覆されている請求項4又は5に記載の変換器。
  7. 電気絶縁性の材料(6)は有機若しくは無機の材料である請求項4から6のいずれか1項に記載の変換器
  8. 凹設部(5)の縁部は丸みを付けられている請求項1から7のいずれか1項に記載の変換器。
  9. 入力部分(1)及び出力部分(2)の表面に設けられた金属被覆の互いに向き合わされた縁部は丸みを付けられている請求項1から8のいずれか1項に記載の変換器。
  10. 変換器を製造するための方法において、変換器の絶縁部分(3)に、回転する研削部材(7)を用いて凹設部(5)を加工成形することを特徴とする、変換器を製造するための方法。
  11. 縁部に丸みの付けられた凹設部(5)の成形のために適合された輪郭を有する研削部材(7)を用いる請求項10に記載の方法。
  12. まず入力部分、出力部分及び絶縁部分を互いに接合して本体を形成し、次いで入力部分、出力部分及び絶縁部分の相対する少なくとも2つの側面に面積の大きな金属層を施し、この場合に該金属層の一部分を絶縁部分の環状の凹設部の形成のために研削によって除去して、前記金属層を絶縁部分の領域で中断し、入力部分及び出力部分の互いに分離された外側電極を形成する請求項10又は11に記載の方法。
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