JP2008511359A - 着色された歯列矯正器 - Google Patents

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Abstract

所望の美的外観を形成すべく着色する着色手段を含んだ歯列矯正器である。歯列矯正器は矯正器のベース部と、矯正器のベース部に形成されたアーチワイヤスロット部と、前記アーチワイヤスロット部に関して開放状態の非結紮位置と前記アーチワイヤスロット部に関して閉鎖状態の結紮位置との間において矯正器のベース部にヒンジ状に結合されて矯正器のベース部に関して選択的に回転する結紮カバーと、からなる。一実施例によれば、着色手段は熱可塑性樹脂に含浸する有色色素若しくは顔料であり、該熱可塑性樹脂から矯正器のベース部及び/又は結紮カバーが形成される。他の実施例においては、着色用の着色手段は有色色素若しくは顔料を含んだ硬化性樹脂からなり、該硬化性樹脂は矯正器のベース部及び/又は結紮カバーの少なくとも一部分の上に塗布されて硬化せしめられる。

Description

本発明は歯列矯正器に関し、特にベース部と、アーチワイヤ(arch wire)を受け入れる少なくとも1つのスロット部と、結紮カバーとを含んだ自己結紮式(self-ligating)歯列矯正器に関する。
歯科矯正学は歯学における専門分野であり、劣拙に配置された歯並びの悪い歯に機械的な応力を加えて正しい配置及び方向となるようにすることが行なわれている。歯列矯正法は、反対咬合(underbite)若しくは過蓋咬合(overbite)を矯正する医学上の必要性による歯の移動のみならず、歯の美容上の理由によっても使用されている。例えば、歯列矯正治療は患者の咬合性を向上したり、対応する歯同士の空間的適合性を向上したりすることが可能である。
歯列矯正治療の最も一般的な形態は歯列矯正器(bracket)及びワイヤを使用することであり、これらは併せて一般的に「ブリッジ(braces)」と称されている。歯列矯正器、特に歯列矯正器のベース部は、小さなスロット部が形成された本体部(body)であり患者の歯に直接当着するように構成されているか、または代替例として帯部に当着するように構成され、該帯部は次にセメントまたは他の手段によって歯の周りに固定される。接着剤又はセメント等によって一旦矯正器が患者の歯に取り付けられると、湾曲したアーチワイヤが各矯正器のスロット部内に挿入される。該アーチワイヤはテンプレートすなわち軌道の役割を担い、適切な歯並びとなるように歯の移動をガイドする。アーチワイヤの端部は患者の臼歯に取り付けられている「頬側チューブ(buccal tubes)」として知られている小さな器具内に一般に収められる。歯列矯正器には異なる2種類が存在している。すなわち、アーチワイヤを矯正器に締め付ける連結線(ligature)の使用が必要な種類と、自己結紮式の種類とである。最初の種類の矯正器においては、小さな連結線ワイヤを一般に使用することによって、矯正器においてアーチワイヤは確実に固定される位置に保持される。張力がかけられたアーチワイヤが歯列弓の周りに適切に配置されるのを確実にするため、及び食物の咀嚼の際、歯磨きの際、またはその他の応力が加えられた際にワイヤが矯正器のスロット部から外れるのを防止するために、連結線若しくは何らかの他の形態の締結手段が必須である。あるタイプの市販の連結線は小さなエラストマー系Oリングであり、これは矯正器本体に結合している「結合ウィング(tie wings)」として知られている小さなウィングの周りにOリングを張設することによって取り付けられる。金属の連結線も使用され、これによってアーチワイヤが矯正器のスロット部内に保持される。
ブリッジの取り付け工程を簡易にする努力がなされる際に、種々の自己結紮式矯正器が開発された。「自己結紮式矯正器」との語句は、ある種のカバーを含んだ歯列矯正器の種類を称しており、該カバーはベース部から分離しているか、又はベース部にヒンジで連結されているか、又は滑動自在にベース部に結合しており、ベース部のスロット部内で包含するか若しくは他の方法でアーチワイヤを保持している。
歯列矯正器の一般的な不快感に関する問題点に加えて、多くの患者は取り付けられた歯列矯正器の外観を好んでいない。ほとんどの既存の歯列矯正器は金属によって形成されており、その結果予想以上に際立った外観を呈するため、ある患者には好まれていない。簡易に使用できて製造が高価でなく強度を有し耐久性のある特徴を保持しつつ、所望の美的外観を形成することに対して患者にいくらかの自由度が与えられた自己結紮式の歯列矯正器を提供することは当業者にとっては改善となる。
本発明は、所望の美的外観を生ぜしめるべく矯正器を着色する着色手段を含む歯列矯正器に関する。該歯列矯正器は矯正器のベース部と、該矯正器のベース部に形成されたアーチワイヤスロット部と、該矯正器のベース部にヒンジ状に結合されてアーチワイヤスロット部に関して開放状態の非結紮位置とアーチワイヤスロット部に関して閉鎖状態の結紮位置との間で矯正器のベース部に関して選択的に回転する結紮カバーと、矯正器のベース部及び/又は結紮カバーの少なくとも一部分を着色する着色手段とを有している。一実施例によれば、着色用の着色手段は熱可塑性樹脂に含浸する有色色素若しくは顔料からなり、前記熱可塑性樹脂から矯正器のベース部及び/又は結紮カバーが形成される。他の実施例においては、着色用の着色手段は、矯正器のベース部及び/又は結紮カバーの少なくとも一部分の上に塗布されて硬化せしめられる有色色素若しくは顔料を含んだ硬化性樹脂からなる。歯列矯正器は熱可塑性樹脂材料を射出成形することによって形成されても良く、これによって歯列矯正器が形成される。更に、矯正器のベース部及び結紮カバーは一体品として一体成形されても良い。好適な熱可塑性樹脂の例としては、限定するものではないが、ポリアミド(例えば、ナイロン)、アセタール重合体、ポリエーテルイミド、ポリカーボネート、ポリアリールエーテルケトン、ポリスルホン、及びポリフェニルスルホンが含まれる。矯正器材料に適合する任意の有色色素若しくは顔料を着色用の着色手段として使用しても良く、有色色素若しくは顔料は矯正器を形成する樹脂に含浸されるか、若しくは矯正器のベース部及び/又はカバーに塗布された後に光硬化若しくは化学硬化せしめられる硬化性樹脂に含まれる。一実施例によれば、有色色素若しくは顔料は食用着色料からなっていても良い。矯正器のベース部及び/又は結紮カバーの少なくとも一部分の上に有色色素若しくは顔料を含んだ硬化性樹脂が塗布される実施例においては、硬化性樹脂は歯列矯正器の製造の際に塗布されるか、または歯科矯正医によって臨床的に行なわれても良い。製造段階において他の塗布方法を使用しても良いが、一実施例によれば、当業者に知られているように、硬化性樹脂は製造の際にスピンコーティングによって塗布される。他の臨床的塗布方法を使用しても良いが、他の実施例においては、硬化性樹脂はブラシコーティングによって塗布される。一実施例の歯列矯正器は細長のフィルムヒンジ部とヒンジ部ガイド構造とを有している。細長のフィルムヒンジ部は一端部が矯正器のベース部に取り付けられており、対向する端部は結紮カバーに取り付けられており、よって結紮カバーは矯正器のベース部にヒンジ状に結合している。ヒンジ部ガイド構造は結紮カバー若しくは矯正器のベース部に配置されても良く、結紮カバーが矯正器のベース部に関して回転する際に細長のフィルムヒンジ部がその上で湾曲する湾曲した表面を提供している。湾曲した表面は細長のフィルムヒンジ部にその全体長さの大部分に亘る湾曲をもたらす。細長のフィルムヒンジ部及びヒンジ部ガイド構造を含むことは利点がある。なぜならば特に強度を有して耐久性のある歯列矯正器が結果的に得られるからである。細長のフィルムヒンジ部とヒンジ部ガイド構造との組合せによって、湾曲部において一点若しくは一本の線に応力が集中するのではなく、矯正器の開放及び閉鎖に関連した応力が細長のフィルムヒンジ部の大部分の長さに亘って分配されることが可能となる。一実施例によれば、ヒンジ部ガイド構造の湾曲した表面はカム構造の一部を形成し、前記カム構造は結紮カバーの内部表面に取り付けられて矯正器のベース部に向けて伸長している。カム構造は好適にはフィルムヒンジ部の遠位側にカム作用を行なう表面を有しており、該カム作用を行なう表面は矯正器のベース部と相互作用して結紮カバーを開放状態の非結紮位置に向けて付勢する。これによって歯科医師がアーチワイヤをアーチワイヤスロット部に容易に挿入することが可能となる。歯列矯正器は好適にはラッチ機構を有しており、該ラッチ機構は結紮カバーを閉鎖状態の結紮位置において選択的にロックしたりアンロックしたりする。ラッチ機構は傾斜部を有する係止溝部及び係止舌状部からなる。傾斜部を有する係止溝部は細長のフィルムヒンジ部から遠位側において矯正器のベース部の側面内に形成されている。係止舌状部は細長のフィルムヒンジ部において遠位側のカバーの端部から延在している。係止舌状部は傾斜部を有する係止溝部内に選択的に係合するように構成されており、閉鎖状態の結紮位置において結紮カバーを矯正器のベース部にロックする。本発明のこれら及び他の利点及び特徴は以下の説明及び添付されている特許請求の範囲によって、若しくは以下に説明した発明を実施することによってより明白になるであろう。
I.序文
ここで本発明の好適な実施例を示す特定の図面を参照しつつ本発明の詳細な説明を行なう。当然のことながら、同様の構成部分には同じ参照符号が付されている。
II.歯列矯正器の例
図1A乃至IBに示される歯列矯正は、射出成形されたプラスチック部品によって一体構造として作成される。歯列矯正器100はベース部110を有しており、そこにカバー部112がヒンジ状に取り付けられる。ベース部110の上部に開口しているスロット部114がベース部110の中央近傍に設けられており、その中にアーチワイヤ116が挿入される。更なるアーチワイヤスロット部114aが設けられても良い。断面が正方形で示されている(当業者に知られている任意の他の断面形状を使用しても良い)アーチワイヤ116がスロット部114の内部に配置されており、公知の方法によって歯並びの矯正が行なわれる。
単一の細長いフィルムヒンジ部118によってカバー部112は矯正器のベース部110にヒンジ状に結合されている。カバー部112は開放位置と閉鎖位置との間でアーチワイヤスロット部114に対して選択的に回転するように構成されている。カバーが閉鎖した結紮位置のときは、カバー部112はアーチワイヤ116をスロット部114内に保持する。
本実施例の細長のフィルムヒンジ部118は、単一の点や線で曲がるのではなく、実質的にその長さ全体に亘って曲がるように設計されている。これによって、疲労や破砕に対して単一の線に沿って曲がるフィルムヒンジ部に比べて優れた耐性がヒンジ部に付与される。
図1A及び1Bに示される実施例の矯正器は好適には相互作用的なカム構造120を有しており、これは第1の湾曲した表面122と第2の湾曲した表面124とを備えている。第1の湾曲した表面122は細長のフィルムヒンジ部118と相互作用して湾曲した表面を提供し、よって細長のフィルムヒンジ部118が特定の場所で突然曲がるのではなく、全体の長さに亘って徐々に確実に曲がるのを補助する。第2の湾曲した表面122はベース部110の対応する壁部125と相互作用するように湾曲されており、よって結紮カバー112が開放位置のときに矯正器のベース部110に対して結紮カバー112は開放位置に向けて付勢される。これによってアーチワイヤスロット部114へのアクセスが改善され、アーチワイヤ116の挿入や取り外しがより容易になる。第2の湾曲した表面124は、矯正器のベース部110の対応する壁部125の形状に応じて、矯正器のベース部110に対して閉鎖位置のときに結紮カバー112が閉鎖位置を維持すべく付勢されるように機能しても良い。
傾斜部を有する係止溝部126がベース部110の一端部近傍に設けられている。カバー部112は対応する係止舌状部128を具備し、これによって結紮カバー112が矯正器のベース部110に対して選択的にロックされたりアンロックされたりすることが可能となる。結紮カバー112は、係止舌状部128が傾斜部を有する係止溝部126内に挿入されるようにカバー部112を閉じることによって矯正器のベース部110(図1Bからわかるように)にロックされる。
アーチワイヤ116がカバー部112を十分な力で押したとき、矯正器のベース部110に対してカバー部は上方に隆起せしめられ、舌状部128が傾斜部を有する係止溝部126から引き抜かれることはない。舌状部128が引き抜かれたときは、カバー部112は好ましくない離脱を生じ得ることになる。しかしながら、係止舌状部128はより深く傾斜部を有する係止溝部126内に引き込まれ、よってロック機構が締め付けられる。これは更なる安全性が提供されることになる。カバーが開放されるのは、傾斜部を有する係止溝部126から係止舌状部128を引き抜いて矯正器のベース部110の外側突起部129を超えたときである。
更に、支持突起部130がカバー部112の内側の中央部に設けられており、カバー部112が閉鎖状態のときにアーチワイヤ116がスロット部114内で固定されるのを補助する(図1B)。支持突起部130は、アーチワイヤスロット部114の近傍において結紮カバー112を効果的に幅広くすることによってシステム内での遊びを低減する。
図1C及び1Dは歯列矯正器150の代替例を示しており、矯正器のベース部152及び/又は結紮カバー154の少なくとも一部分を着色する着色手段を有しても良い。歯列矯正器150はカム構造を含んでいない。その代わり、図1C及び1Dに示されている歯列矯正器150は矯正器のベース部152と、矯正器のベース部152に細長のフィルムヒンジ部156によって取り付けられている結紮カバー154とを有している。矯正器のベース部152は更に湾曲した端部158を含んでおり、これはヒンジ部のガイドの機能を備え、これによって細長のフィルムヒンジ部156がその全体的な長さのかなりの部分に亘って徐々に曲がる。このようにして、矯正器のベース部152の湾曲した端部158は図1A乃至1Bに示された歯列矯正器100のカム構造120の湾曲したヒンジ部ガイド表面122と同様に機能する。従って、結紮カバー154が開放した非結紮位置(図1C)から閉鎖した結紮位置(図1D)に移動する際、細長のフィルムヒンジ部156は少なくとも部分的に湾曲した端部158に当接する。細長のフィルムヒンジ部156と湾曲した端部158との間の当接は、湾曲した端部158の周りに細長のフィルムヒンジ部156が緩やかに曲がることが生ぜしめられ、よって細長のフィルムヒンジ部156における実質的に全長に亘って、曲げ応力及び曲げ角度が良好に分配される。
図2A及び2Bは矯正器の他の代替例を示しており、これは矯正器のベース部210及び/又は結紮カバー212の少なくとも一部分を着色する着色手段を含んでも良い。矯正器200は、矯正器のベース部210、結紮カバー212、スロット部214、アーチワイヤ216(図2B参照)、傾斜部を有する係止溝部226、係止舌状部228、及び支持突起部230を含んでいる点において図1A乃至1Bに示された矯正器と同様である。この代替例は図1A乃至1Bに示された矯正器とは次の点で異なっている。すなわち、この代替例もまたフィルムヒンジ部218を使用して結紮カバー212が矯正器のベース部210に取り付けられるが、ヒンジ部218は図1A乃至1Bに示されるヒンジ部118の如く細長ではない。矯正器200は更に、当業者に公知の追加の若しくは代わりのアーチワイヤ用に使用する追加のアーチワイヤスロット部232及び234を含んでいる。
図3A及び3Bは矯正器の他の代替例を示しており、これは矯正器のベース部310及び/又は結紮カバー312の少なくとも一部分を着色する着色手段を含んでも良い。矯正器300は矯正器のベース部310、結紮カバー312、スロット部314、アーチワイヤ316(図3B参照)、主フィルムヒンジ部318、傾斜部を有する係止溝部326、係止舌状部328、支持突起部330、及び追加のアーチワイヤスロット部332を含んでいる。本代替例は、スプリング部材320を更に有している点において図2A乃至2Bに示される実施例と異なっており、その一端部は矯正器のベース部310にフィルムヒンジ部322によって取り付けられており、その対向する端部は結紮カバー312にフィルムヒンジ部324によって取り付けらている。
図4A及び4Bは矯正器の更に他の代替例を示しており、これは矯正器のベース部410及び/又は結紮カバー412の少なくとも一部分を着色する着色手段を有しても良い。矯正器400は矯正器のベース部410、結紮カバー412、スロット部414、アーチワイヤ416、一対の傾斜部を有する係止溝部426、一対の係止舌状部428、支持突起部430、及び追加のアーチワイヤスロット部432及び434を含んでいる。この代替例は図1乃至3に示される実施例とはベース部410とカバー412との間にヒンジ部を有していない点において異なっている。矯正器のベース部410は、連結線を必要とする従来の矯正器のようにカバー412なしで使用可能である。カバー412の使用によって、自己結紮式矯正器は矯正器400の頂部表面に亘って均一な、閉じた、平滑な表面を伴い、これは患者にとって快適で衛生的であるという利点がある。
種々の他の矯正器のデザインが2001年2月15日出願の米国特許出願第09/784,525号、2001年8月29日出願の米国特許出願第09/914,737号、及び2001年9月12日出願の米国特許出願第09/953,400号に開示されている。
歯列矯正器は熱可塑性樹脂材料を射出成形することによって形成可能であり、よって分離した部品若しくは一体品として形成される。好適な熱可塑性樹脂の例としては、限定するものではないが、ポリアミド、アセタール重合体、ポリエーテルイミド、ポリカーボネート、ポリアリールエーテルケトン(例えば、PEEK)、ポリスルホン、及びポリフェニルスルホンが含まれる。
III.着色手段の例
一実施例によれば、着色用の着色手段は熱可塑性樹脂に含浸する有色色素若しくは顔料からなり、これから矯正器のベース部及び/又は結紮カバーが形成される。代替例によれば、着色用の着色手段は有色色素若しくは顔料を含む硬化性樹脂からなり、これは矯正器のベース部及び/又は結紮カバーの少なくとも一部分の上に塗布後硬化せしめられる。後者の着色手段の利点は矯正器の色を初期の色から変更することが可能な点にある。
矯正器材料に適合し得る任意の有色色素若しくは顔料を着色用の着色手段として使用して良く、有色色素若しくは顔料は矯正器を形成する樹脂材料に含浸するか、または矯正器のベース部及び/又はカバーに塗布された後光硬化若しくは化学硬化せしめられる硬化性樹脂内に含まれる。一実施例によれば、有色色素若しくは顔料は当業者に公知の任意の種々の食用着色料からなっても良い。
有色色素若しくは顔料を含む硬化性樹脂が矯正器のベース部及び/又は結紮カバーの少なくとも一部分の上に塗布される実施例においては、硬化性樹脂は歯列矯正器の製作の際に塗布されるか、若しくは歯科矯正医によって臨床的に行なわれても良い。製作段階における他の塗布方法を使用しても良いが、一実施例によれば、硬化性樹脂は当業者によって公知のスピンコーティング法によって製作時に塗布される。
他の臨床的塗布方法を使用しても良いが、一実施例によれば、硬化性樹脂は図5Aに示されるようにブラシコーティングによって臨床的に塗布される。ブラシ510または他の塗布具が、有色色素若しくは顔料を含む硬化性樹脂505の塗布に用いられる。任意の硬化性樹脂を使用しても良いが、ドイツのブルツブルグのフラウンホーファ社(Fraunhofer)によって製造されているオルモセレ(Ormocere)が硬化性樹脂の好適な例であり、これは有色色素若しくは顔料(例えば、食用着色料)と組み合わせることが可能であり、その後図5Bに示すように発光装置515によって光硬化せしめられる。代替例によれば、化学的硬化性樹脂を使用しても良い。図6に患者の歯520に結合した歯列矯正器100が示されている。更なる実施例によれば、小さな装飾品(例えば、装飾的宝石類、絵画、若しくは模様)を望みに応じて歯列矯正器に結合しても良い。
本発明をその思想又は本質的な特徴から逸脱することなく他の具体的な形態によって実施しても良い。上記にて説明した実施例はあらゆる点において説明のみのために記載されており限定するものではないことに留意すべきである。本発明の範囲は従って上記の説明ではなく、ここに添付する特許請求の範囲に示されている。かかる特許請求の範囲に均等な範囲及び意味に含まれる全ての変更はそれらの範囲に包含されることが企図されている。
本発明による自己結紮式歯列矯正器の実施例である。 本発明による自己結紮式歯列矯正器の代替例である。 本発明による自己結紮式歯列矯正器の他の代替例である。 本発明による自己結紮式歯列矯正器の他の代替例である。 本発明による自己結紮式歯列矯正器の更に他の代替例である。 数個の歯列矯正器の結紮カバーの少なくとも一部の上にブラッシングによって有色色素すなわち顔料を含む硬化性樹脂を塗布することが示されている。 図5Aの塗布された硬化性樹脂の光硬化が示されている。 光硬化型着色コーティングを有する結合された歯列矯正器が示されている。

Claims (25)

  1. 熱可塑性樹脂によって形成される歯列矯正器であって、
    矯正器のベース部と、
    前記矯正器のベース部に形成されて、その中にアーチワイヤを受け入れる少なくとも1つのアーチワイヤスロット部と、
    前記アーチワイヤスロット部に関して開放状態の非結紮位置と前記アーチワイヤスロット部に関して閉鎖位置の結紮位置との間で、前記矯正器のベース部に関して選択的に回転する結紮カバーと、
    前記矯正器のベース部若しくは前記結紮カバーの少なくとも一部分を着色する着色手段と、からなることを特徴とする歯列矯正器。
  2. 着色用の前記着色手段は前記熱可塑性樹脂に含浸する有色色素若しくは顔料からなり、前記熱可塑性樹脂から前記矯正器のベース部及び/又は結紮カバーが形成されることを特徴とする請求項1に記載の歯列矯正器。
  3. 前記有色色素若しくは顔料は少なくとも1つの食品着色剤からなることを特徴とする請求項2に記載の歯列矯正器。
  4. 前記歯列矯正器は前記熱可塑性樹脂を射出成形することによって形成されることを特徴とする請求項1に記載の歯列矯正器。
  5. 前記熱可塑性樹脂はポリアミド、アセタール重合体、ポリエーテルイミド、ポリカーボネート、ポリアリールエーテルケトン、ポリスルホン、及びポリフェニルスルホンの少なくとも1つからなることを特徴とする請求項1に記載の歯列矯正器。
  6. 着色用の前記着色手段は有色色素若しくは顔料を含む硬化性樹脂からなり、前記矯正器のベース部若しくは結紮カバーの少なくとも一部分の上に塗布されて硬化せしめられることを特徴とする請求項1に記載の歯列矯正器。
  7. 前記有色色素若しくは顔料は少なくとも1つの食品着色剤からなることを特徴とする請求項6に記載の歯列矯正器。
  8. 前記歯列矯正器は更に、
    その一端部が前記矯正器のベース部に取り付けられており、その対向する端部が前記結紮カバーに取り付けられており、よって前記結紮カバーを前記矯正器のベース部にヒンジ状に結合する細長のフィルムヒンジ部と、
    前記結紮カバー若しくは矯正器のベース部に配置されて湾曲した表面を提供し、前記結紮カバーが前記矯正器のベース部に関して選択的に回転する際に前記細長のフィルムヒンジ部がその全体長さの大部分に亘って曲がるようにその周りで前記細長のフィルムヒンジ部が湾曲するヒンジ部ガイド構造と、を有することを特徴とする請求項1に記載の歯列矯正器。
  9. 前記湾曲した表面は前記細長のフィルムヒンジ部と相互作用し、よって前記矯正器のベース部に関して選択的に回転する際に前記細長のフィルムヒンジ部の前記全体長さの前記大部分に沿って曲げ応力が分配されることを特徴とする請求項8に記載の歯列矯正器。
  10. 前記細長のフィルムヒンジ部において、その断面の厚みは前記結紮カバー及び矯正器のベース部が前記細長のフィルムヒンジ部に取り付けられている場所における前記結紮カバー及び矯正器のベース部の断面の厚みに比べて薄いことを特徴とする請求項8に記載の歯列矯正器。
  11. 前記細長のフィルムヒンジ部は、前記結紮カバーが前記閉鎖状態の結紮位置に向けて付勢されないように前記結紮カバーと相互作用していることを特徴とする請求項8に記載の歯列矯正器。
  12. 前記ヒンジ部ガイド構造は前記フィルムヒンジ部に近接したカム構造を有する湾曲した表面からなり、前記湾曲した表面は前記結紮カバーの内部表面に取り付けられて前記矯正器のベース部に向けて伸長しており、前記カム構造は前記フィルムヒンジ部の遠位側においてカム作用を行なう表面を有し、前記カム構造は前記矯正器のベース部と相互作用して前記結紮カバーを前記開放状態の非結紮位置に向けて付勢していることを特徴とする請求項9に記載の歯列矯正器。
  13. 前記歯列矯正器は更にラッチ機構を有し、前記ラッチ機構は前記結紮カバーを前記閉鎖状態の結紮位置において選択的にロックしたりアンロックしたりすることを特徴とする請求項1に記載の歯列矯正器。
  14. 熱可塑性樹脂から形成される歯列矯正器であって、
    矯正器のベース部と、
    前記矯正器のベース部に形成されてアーチワイヤをその内部に受け入れるように構成されている少なくとも1つのアーチワイヤスロット部と、
    前記アーチワイヤスロット部に関して開放状態の非結紮位置と前記アーチワイヤスロット部に関して閉鎖状態の結紮位置との間において前記矯正器のベース部に関して選択的に移動自在な結紮カバーと、からなり、少なくとも前記矯正器のベース部又は結紮カバーが有色色素若しくは顔料が含浸した熱可塑性樹脂から形成されることを特徴とする歯列矯正器。
  15. 歯列矯正器は熱可塑性樹脂を射出成形することに形成され、前記矯正器のベース部及び結紮カバーは一体品として一体成形されることを特徴とする請求項14に記載の歯列矯正器。
  16. 熱可塑性樹脂によって形成される歯列矯正器であって、
    矯正器のベース部と、
    前記矯正器のベース部内に形成されてアーチワイヤをその中に受け入れるように構成された少なくとも1つのアーチワイヤスロット部と、
    前記アーチワイヤスロット部に関して開放状態の非結紮位置と前記アーチワイヤスロット部に関して閉鎖状態の結紮位置との間において前記矯正器のベース部に関して選択的に移動自在な結紮カバーと、
    有色色素若しくは顔料を含んで前記矯正器のベース部若しくは結紮カバーの少なくとも一部分の上に塗布されて硬化せしめられる硬化性樹脂と、からなることを特徴とする歯列矯正器。
  17. 前記矯正器のベース部及び結紮カバーは前記熱可塑性樹脂を射出成形することによって形成され、前記矯正器のベース部及び結紮カバーは一体成形品として共に一体的に成形されることを特徴とする請求項16に記載の歯列矯正器。
  18. 所望の色を有する歯列矯正器の形成キットであって、
    熱可塑性樹脂から形成される歯列矯正器と、
    硬化性樹脂と、
    有色色素若しくは顔料と、からなり、
    前記歯列矯正器は、
    矯正器のベース部と、
    前記矯正器のベース部に形成されてその中にアーチワイヤを受け入れるように構成された少なくとも1つのアーチワイヤスロット部と、
    前記アーチワイヤスロット部に関して開放状態の非結紮位置と前記アーチワイヤスロット部に関して閉鎖状態の結紮位置との間において前記矯正器のベース部に関して選択的に移動自在な結紮カバーと、からなることを特徴とする形成キット。
  19. 前記有色色素若しくは顔料は前記硬化性樹脂内に予め混合されることを特徴とする請求項18に記載のキット。
  20. 前記キットは複数の異なる有色色素若しくは顔料からなることを特徴とする請求項18に記載のキット。
  21. 歯列矯正器の製造方法であって、
    請求項18に記載のキットを準備するステップと、
    前記有色色素若しくは顔料を含んだ前記硬化性樹脂を前記矯正器のベース部若しくは結紮カバーの少なくとも一部分に塗布するステップと、
    前記硬化性樹脂を硬化するステップと、からなることを特徴とする歯列矯正器の製造方法。
  22. 前記硬化性樹脂は製作の際にスピンコーティングによって塗布されることを特徴とする請求項21に記載の方法。
  23. 前記硬化性樹脂はブラシコーティングによって臨床的に塗布されることを特徴とする請求項21に記載の方法。
  24. 前記硬化性樹脂は光硬化型であることを特徴とする請求項21に記載の方法。
  25. 前記硬化性樹脂は化学硬化せしめられることを特徴とする請求項21に記載の方法。
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