JP4223600B2 - 歯列矯正用ブラケット - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、歯列矯正治療において用いる歯列矯正用ブラケットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
乱杭歯や八重歯等の様に歯並びが悪いということは、外観が悪いというだけでなく、歯並びの悪い所に歯垢が堆積し易く、虫歯や歯槽膿漏の原因になる。そこで近年の歯科治療分野においては、歯列矯正治療が広く行われるようになってきている。
【0003】
歯列矯正治療の方法は、各歯の表面にブラケットを接着剤等で固定し、該ブラケット列にアーチワイヤーを通し、該アーチワイヤーの復元力によって歯に押圧・引戻し・捩り等の外力(以下、矯正力と称することがある)を加え、これにより歯列を正しい位置及び向きに変位させて矯正していくというものである。また上記アーチワイヤーの復元力による矯正力だけでなく、ブラケットに備えられたフックに、ゴム製リングやバネ等を引掛け、これによる引戻し・押圧等の外力(矯正力)を併せて加えることによって矯正していく場合もある。
【0004】
歯列矯正の治療手順としては、不規則な乱杭状態の歯列を先ず1次治療として大まかに歯列矯正することから始まる(以下、粗揃え段階と称す)。この段階のブラケットに対するアーチワイヤーの固定の程度はしっかりしたものではなく、ある程度の遊びがある。従って一般に粗揃え段階のアーチワイヤーは断面丸形や細いものが用いられている。
【0005】
この様な粗揃え段階を経て大まかに歯列が整った歯は、次の治療段階において精密に矯正される(以下、正位置矯正段階と称す)。この段階ではアーチワイヤーとして、ブラケットのスロット部に適応した断面角形のものを用い、アーチワイヤー縛付けワイヤー(以下、取付ワイヤーと称することがある)により強く巻き絞めてアーチワイヤーをブラケットにしっかりと押付け固定する。この様に角形アーチワイヤーが角溝のスロット部に対して面接触でぴったりと嵌め込まれることにより、設計されたトルク角θに応じたトルクが正しく付与されて、歯の歪みが矯正される。
【0006】
ブラケットとしては従来より金属製が主流であるが、該金属製ブラケットは強い金属色反射を放って目立つ為、患者に精神的苦痛を与えている。そこで最近は、審美性向上のため、乳白色や透明或いは半透明の合成樹脂製やセラミックス製のブラケットが提案されている。
【0007】
しかしながらこれら合成樹脂製やセラミックス製のブラケットは金属製のブラケットに比べて物性的に欠点が多く、例えばアーチワイヤーと接触する溝の部分(スロット部分)において摩擦抵抗が大きい為にアーチワイヤーが滑り難く、また当該スロット部分が摩耗したり、更には割れたりして、アーチワイヤーにかけられた矯正力が歯まで正確に伝わらない場合がある。
【0008】
そこでアーチワイヤーと当接する部分を補強するべく、合成樹脂製やセラミックス製のブラケットにおけるスロット部分(アーチワイヤー挿通溝の部分)に、金属製溝部材を埋め込んだブラケットが提案されている(以下、複合型ブラケットと称することがある)。
【0009】
歯列治療において最も摩耗を生じ易いのは、主としてアーチワイヤーと当接するスロット部分であり、該スロット部分が摩耗すると、意図した矯正角度を歯に与えるのが困難になるという問題があった。しかし、上記複合型ブラケットはスロット部(溝部)が金属製であり、耐摩耗性に優れるから、長期間使用しても歯に矯正の力を適切に与え続けることができるという利点がある。また金属製の場合はアーチワイヤーとの滑りが良く好ましい。
【0010】
歯列矯正用ブラケットの形状としては、2組のウイング部を持つツイン型のブラケットや、1組のウイング部を持つシングル型ブラケット等がある。ブラケットのスロット部に挿通されるアーチワイヤーは取付ワイヤーにより縛り付けられて固定されるが、その際に上記ウイング部に上記取付ワイヤーを引っかける様にする。即ち上記ツイン型ブラケットではアーチワイヤーを2カ所で固定し、上記シングル型ブラケットでは1箇所で固定するものである。
【0011】
更にシングル型ブラケットには、スロット部の底面を近遠心方向に延設した延長部を有するものがある(以下、枝付きブラケットと称することがある)。該枝付きブラケットとしては例えば特開平9−544号公報に示されている。
【0012】
図4は該枝付きブラケットの一例を示す斜視図である。
この枝付きブラケット50はウイング部51を1組有し、合成樹脂製ブラケット本体52のスロット部分に金属製溝部材53を備えた複合型ブラケットであり、該金属製溝部材53はその溝底面から近遠心方向に延設された延長部54を有する。該延長部は金属製の板状部材であり、ブラケットのスロット部分55から近遠心端に向かって幅広くなっている。
【0013】
この様な枝付きブラケット50は歯を大きく移動させるときに有効であり、例えば図5(歯列の一部を交合側から見た図)の(a) に示す様に歯56を舌側にへこませる場合には、枝付きブラケット50の両延長部54を唇頬側に上げ、アーチワイヤー2による押圧力(矢印A)を歯56に強く作用させる。また図5の(b) に示す様に歯56を回す様に矯正する場合には、一方の延長部54を唇頬側に上げて回転させる力(矢印B)を加える様にする。
【0014】
尚上記延長部のないブラケットを用いて治療を行う場合であっても、舌側への押圧力や回転力を歯に対して作用させることは可能であるが、上記枝付きブラケットを用いることで、より強力に押圧力や回転力等を歯に作用させることができる。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら従来の枝付きブラケットは下述の様に、延長部が用をなさない場合があるという問題がある。
【0016】
つまり、図6(歯列を正面から見た拡大図)に示す様に、隣接する歯57,58の長さが異なる場合、即ち歯57が歯茎59に深く圧下、或いは歯58が高く挺出している場合には、ブラケット50が段違いの位置となり、アーチワイヤー2が延長部54から外れ、延長部54にアーチワイヤー2が当接しない様になる。すると延長部54によってもたらされる上記強力な押圧力や回転力等を歯に作用させることができず、延長部のないブラケットと変わらないこととなる。尚図4に示す従来の枝付きブラケット50では延長部54の近遠心側が広くなっているから、延長部54上からアーチワイヤー2が外れるのをある程度防ぐことができるが、ブラケット50の段違いが大きい場合では、外れることが避けられない。
【0017】
そこで本発明においては、枝付きブラケットとして有効に作用させ得る歯列矯正用ブラケットを提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る歯列矯正用ブラケットは、アーチワイヤー挿通用の金属製溝部材が少なくとも溝部内面を残して合成樹脂製ブラケット本体中に埋め込まれた歯列矯正用ブラケットにおいて、前記金属製溝部材がその溝底面を近遠心方向に延設した延長部を有し、該延長部の近遠心端近傍における頬唇側面(アーチワイヤー挿通側面)に、アーチワイヤー用ガイド突起が設けられたものであることを要旨とする。
【0019】
この様に延長部に突起が設けられているから、該突起にアーチワイヤーがガイドされる様に引っかかり、アーチワイヤーが延長部上から外れる恐れが低減する。
【0020】
また本発明においては、前記突起が前記延長部の近遠心端近傍における上側縁部及び/または下側縁部に設けられたものであることが好ましい。
【0021】
更に前記突起が前記アーチワイヤーの太さの間隔を開けて少なくとも1対設けられたものであることが好ましい。この1対の突起によりアーチワイヤーが狭持され、延長部に固定される様になる。
【0022】
加えて本発明においては、前記延長部の近遠心端近傍における歯側面(アーチワイヤー挿通反対側面)に、アーチワイヤー縛付けワイヤー係止用の凹溝が設けられたものであることが好ましい。
【0023】
該凹溝に取付ワイヤー(アーチワイヤー縛付けワイヤー)を引っかけつつ、該取付ワイヤーによりアーチワイヤーを縛り付けて固定することにより、一層強固にアーチワイヤーを上記延長部上に固定することができる。
【0024】
尚図4に示す従来の枝付きブラケットの場合では、取付ワイヤー係止用凹溝が無く、しかも延長部が近遠心側に向かって幅広になっているから、仮に取り付けワイヤーによりアーチワイヤーを延長部に縛り付けて固定しようとしても、上記取付ワイヤーがブラケット中央側に向けてずれて行き、縛付け固定することができない。
【0025】
更に上記延長部が暖色系の色に着色されたものであることが望ましく、該着色によって審美性が向上する。
【0026】
この暖色系の色としては例えば金色や歯芽色があり、着色する方法としてはメッキ,蒸着,陽極酸化,ディップコーティング等が挙げられ、また顔料による着色や樹脂コーティングを行っても良い。
【0027】
具体的には上記金色に着色する手法として金メッキが挙げられ、この様な金色はステンレス鋼等の銀色と異なり、口腔内においてあまり目立たない色であるから、金属製の延長部であっても、審美性があまり損なわれない。
【0028】
加えて上記延長部だけでなく、金属製溝部材のスロット部分も暖色系の色に着色したものであることがより好ましい。上記と同様にこの様な着色によって、金属製でありながらも審美性があまり損なわれない。尚金属製溝部材のうちの合成樹脂に埋設された部分においては、合成樹脂によって保護されから、仮に着色が剥がれ易いものであっても構わない。
【0029】
金属製溝部材のスロット部の溝内面や延長部のアーチワイヤー挿通側においては、アーチワイヤーとの接触によって上記着色が剥がれる恐れがあるが、当該接触部分はそもそもアーチワイヤーによって隠れる部分であるから、たとえ剥がれても審美性に影響はない。もっともアーチワイヤーがブラケットの挿通路をスムーズに移動できる必要があることから、アーチワイヤーと接触する溝内面を着色する場合は、着色後においてアーチワイヤーとの摩擦抵抗の小さいものが推奨される。例えばポリ四フッ化エチレンをコーティングした場合では摩擦係数が低いからアーチワイヤーの滑りが良く、且つコーティングが剥がれ難く、好ましい。
【0030】
加えて本発明においては、前記金属製溝部材が埋め込み部の中央部分で溝空間が大きくなる様に窪んでいるものであることが好ましい。換言すれば前記金属製溝部材が、近遠心方向の中央部分で溝幅方向及び/または溝底方向に窪んでいることが好ましい。
【0031】
この様に金属製溝部材が中央部分で窪んでいるから、フラットな形状の溝部材と異なり、曲げ等に対する抵抗力が高く、強度的に優れる。従ってブラケットのスロット部に変形を起こす懸念が少なく、アーチワイヤーによる矯正力を歯に適切に伝達し得る。
【0032】
【発明の実施の形態及び実施例】
<実施例1>
図1は本発明の実施例1に係る歯列矯正用ブラケットを示す図であり、(a) は該ブラケットの斜視図、(b) はブラケットの頬唇側からの正面図、(c) は(a) ,(b) に示すC−C線断面図である。
【0033】
該ブラケットは1組のウイング部81を有するシングル型ブラケットであって、ブラケット本体87は透明の合成樹脂製であり、ブラケットの中央水平方向のスロット部には金属製溝部材85が設けられている。尚ブラケット用の合成樹脂としては繊維等の充填物を含有して強化したものが一般的に用いられているが、上記ブラケット本体87も同様に繊維を含有する合成樹脂である。
【0034】
金属製溝部材85は、ブラケットのスロット部に形成された溝部82と、該溝部82の溝底面86から近遠心方向に延設された延長部83からなり、この金属製溝部材85全体に金メッキが施されている。該金属製溝部材85の溝部82は、その内面を露出する様にして合成樹脂製ブラケット本体87内に埋設され、金属製溝部材85の延長部83はブラケット本体87から突出する様にして露出している。
【0035】
上記溝部82は、アーチワイヤーを囲むように断面コ字状をしており、近遠心方向の中央部分(埋め込み部分の中央部)である溝部材中央部82cにおいて、溝空間が大きくなる様に窪んでおり、即ち中央部82cにおいて溝底面86が溝底方向に窪み、また溝側壁88が溝幅方向に窪んでいる。
【0036】
上記延長部83は、溝部82との連続部分近傍において溝底面86のスロットル高さから歯側へ一旦へこみ、延長部83の端部分83aにおいて再び頬唇側に上がってアーチワイヤーを支持する様になっている。上記延長部83の幅は、使用するアーチワイヤーの太さ(幅)と同じか或いはやや広いものであり、該延長部83の端部分83aの頬唇側面(アーチワイヤー挿通側面)には、上記アーチワイヤーの太さと同じか或いはやや広い間隔を開けて1対の突起89が設けられている。尚各治療段階で太さの異なるアーチワイヤーを用いる場合は、最も太いアーチワイヤーの太さを基準として上記延長部83の幅や突起89の位置を設定することが推奨され、一般的には上記正位置矯正段階において用いる角型アーチワイヤーの太さ(幅)に適応させると良い。
【0037】
また上記端部分83aの歯側面(アーチワイヤー挿通反対側面)には取付ワイヤー係止用凹溝(アーチワイヤー縛付けワイヤー係止用凹溝)84が設けられている。
【0038】
治療に際しては、歯に接着されたブラケットの金属製溝部材85のスロット部(溝部82内面側)にアーチワイヤーを嵌め込むと共に、延長部83上の1対の突起89間に上記アーチワイヤーを挟み込む様に嵌め、取付ワイヤーをウイング部81に引っかける様にして巻回して縛り付けることによりブラケットにアーチワイヤーを固定する。この様にしてアーチワイヤーは金属製溝部材85に、即ち溝部82及び延長部83上に挿通されるが、この際アーチワイヤーは、溝部82の窪んでいない部分(中央部82c以外の部分)、及び延長部83の端部分83aに当接して支持される。そして該アーチワイヤーによる矯正力が歯に伝達される。
【0039】
本実施例1に係るブラケットにおいては、延長部83上に挿通されるアーチワイヤーは、突起89によってガイドされるから、延長部83上からアーチワイヤーがズレて外れるということがほとんどない。従ってアーチワイヤーによる矯正力を、延長部83を介して歯に伝えることができる。
【0040】
また延長部83は上述の様にアーチワイヤーとほぼ同じ幅であるから、アーチワイヤーを挿通すれば上記延長部83は殆ど隠れる様になり、従って審美性を損なうことがない上、金属製溝部材85は金メッキにより金色をしており、この金色は歯の色に近い暖色系であるから、アーチワイヤーの側端から多少見えてもあまり目立たない。
【0041】
加えて場合によっては延長部83の端部分83aの位置でアーチワイヤーを取付ワイヤーにより縛り付けて固定しても良く、この際上記凹溝84に上記取付ワイヤーを引掛ける様にすれば、取付ワイヤーが近遠心方向にずれることがなく、しっかりとアーチワイヤーを固定することができる。
【0042】
この様に延長部83の端部分83aでアーチワイヤーを固定した場合には、スロット部(溝部82)における1点の支持だけでなく、延長部端部分83aにおける支持も併せて行うことができるから、シングル型ブラケットでありながらも、歯に矯正力を加える際のコントロール性が良好である。
【0043】
また延長部83は金属製であるから、曲げることが可能である。よって例えば隣接するブラケットの位置が過度に段違いとなっており、延長部83が近遠心方向に真っ直ぐのままではアーチワイヤーの湾曲が大き過ぎて矯正力が過大となる場合には、アーチワイヤーの湾曲が緩やかになる様に上記延長部83を曲げて、歯にかかる矯正力を弱めても良い。そして歯が矯正移動するに従って、徐々に上記延長部83をブラケットのスロット部(溝部82)と一直線となる様に曲げ戻す様にすると良い。
【0044】
加えて金属製溝部材85の溝部82は中央で窪んだ形状であるから、フラットなコ字状の金属製溝部材と異なり、曲げの力に対する抵抗力(強度)が高く、変形し難い。従ってスロット部が当初の形状を保ち続けることができる。またこの様に強度が向上することで、従来の金属製溝部材よりも薄いものを使用することが可能となる。ブラケット本体の合成樹脂が透明の場合は、埋設された金属製溝部材が透けて、金属色が外に表れることになるが、金属製溝部材を薄いものとすれば、外から見える金属色を低減でき、審美性が向上する。
【0045】
金属製溝部材85の製造方法としては、板金を曲げて形作る方法や、鋳造法、金属粉末冶金による方法等がある。
【0046】
また、ブラケット本体87への金属製溝部材85の埋設方法としては、インサート成形や圧入により嵌め込む方法等がある。
【0047】
<実施例2>
図2は本発明の実施例2に係る歯列矯正用ブラケットを示す図であり、(a) は該ブラケットの斜視図、(b) はブラケットの頬唇側からの正面図、(c) は(a) ,(b) に示すD−D線断面図である。
【0048】
本実施例2は、前記実施例1に係るシングル型ブラケットにフック部材を設けたものである。該フック部材96は、その根元が金属製溝部材85の溝部82における溝側壁88の外側面に溶接されており、その先端が合成樹脂製ブラケット本体87内を貫いてウイング81から抜け出ている。
【0049】
尚フック部材96は金属製であるから、小さいものとすることができ、また曲げることが可能である。
【0050】
<実施例3>
また図3は本発明の実施例3に係る歯列矯正用ブラケットを示す斜視図である。該実施例3のブラケットは上記実施例1のブラケットに比べて延長部83の端部分83aが幅広く、アーチワイヤーの太さより余裕を持った間隔を開けて突起89が1対設けられている。またウイング部の形状がそれぞれ異なり、ブラケットの上下が判別し易い様になっている。尚図3において、図1と同じ構成部分については同一の符号を付して重複説明を避ける。
【0051】
以上、本発明に係る歯列矯正用ブラケットに関して、実施例を示す図面を参照しつつ具体的に説明したが、本発明はもとより図示例に限定される訳ではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
【0052】
例えばツイン型ブラケットにおいても、上述の様な延長部を有するものとしても良い。
【0053】
また上記実施例では、溝空間が大きくなる様に窪んでいる金属製溝部材として、溝部材中央部82cが溝幅方向と溝底方向の両方に窪んでいるものを示したが、これに限るものではなく、例えば溝底方向のみが窪んだ形状の金属製溝部材を埋設したブラケットであっても良い。また金属製溝部材として窪みのないフラットな形状の金属製溝部材を用いても良い。
【0054】
加えて合成樹脂製ブラケット本体として透明のものの他、半透明或いは乳白色であっても良い。
【0055】
ブラケットの材料には、金属製溝部材としてはステンレス,チタン等、生体に対して為害性の少ない(又はない)金属または合金が挙げられ、ブラケット本体の合成樹脂としてはポリカーボネイト,ポリスルホン,アクリル等、強靭なエンジニアリングプラスチックが挙げられる。
【0056】
治療にあたっては、以上の様なフックのないブラケットやフック付きブラケット、またシングル型やツイン型ブラケットを種々組み合わせて、これらを各歯に夫々取り付け、歯列矯正治療を行うと良い。
【0057】
【発明の効果】
本発明に係る歯列矯正用ブラケットにおいては、アーチワイヤーが延長部上から外れる恐れが少ないから、該延長部によりもたらされる矯正力を歯に伝えることができ、枝付きブラケットとして有効に作用させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1に係る歯列矯正用ブラケットを示す図。
【図2】本発明の実施例2に係る歯列矯正用ブラケットを示す図。
【図3】本発明の実施例3に係る歯列矯正用ブラケットを示す斜視図。
【図4】従来の枝付きブラケットの一例を示す斜視図。
【図5】枝付きブラケットを用いた治療例を説明する為の図であって、歯列の一部を交合側から見た図。
【図6】延長部が用をなさない場合を説明する為の図であって、歯列を正面から見た拡大図。
【符号の説明】
2 アーチワイヤー
50 ブラケット
51 ウイング部
52,87 ブラケット本体
53,85 金属製溝部材
54,83 延長部
55 スロット部
56,57,58 歯
59 歯茎
81 ウイング部
82 溝部
83a 端部分
84 取付ワイヤー係止用凹溝
86 溝底面
88 溝側壁
89 突起
Claims (4)
- アーチワイヤー挿通用の金属製溝部材が少なくとも溝部内面を残して合成樹脂製ブラケット本体中に埋め込まれた歯列矯正用ブラケットにおいて、
前記金属製溝部材がその溝底面を近遠心方向に延設した延長部を有し、
該延長部の近遠心端近傍における頬唇側面に、アーチワイヤー用ガイド突起が設けられたものであることを特徴とする歯列矯正用ブラケット。 - 前記突起は、前記延長部の近遠心端近傍における上側縁部及び/または下側縁部に設けられたものである請求項1に記載の歯列矯正用ブラケット。
- 前記延長部の近遠心端近傍における歯側面に、アーチワイヤー縛付けワイヤー係止用の凹溝が設けられたものである請求項1または2に記載の歯列矯正用ブラケット。
- 前記金属製溝部材は、埋め込み部の中央部分で溝空間が大きくなる様に窪んでいるものである請求項1〜3のいずれかに記載の歯列矯正用ブラケット。
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