JP2008511294A - 非病害性アグロバクテリウム株、Riプラスミド、およびそれらに基づく形質転換方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、アグロバクテリウム株K599(NCPPB 2659)の「非病害性」(disarmed)変異株、RiプラスミドpRi2659の「非病害性」プラスミド変異体、およびそれらの誘導体、ならびに植物形質転換におけるこれら菌株およびプラスミドの利用方法に関する。
【選択図】図1C

Description

発明の分野
本発明は、アグロバクテリウム株K599(NCPPB 2659)の「非病害性(disarmed)」変異株、RiプラスミドpRi2659の「非病害性」プラスミド変異体、およびそれらの誘導体、ならびに植物形質転換におけるこれらの菌株およびプラスミドの利用方法に関する。
アグロバクテリウム属(最近の総説については、Gelvin 2003を参照されたい)は、いくつかの種に分類されてきた。しかしながら、この分類は、その大部分が病害の総体的症状および宿主域を反映したものであった。A.ラジオバクター(A. radiobacter)は「無毒性」種であり、A.ツメファシエンス(A. tumefaciens)はクラウンゴール病を引き起こし、A.リゾゲネス(A. rhizogenes)は毛状根病を引き起こし、A.ルビ(A. rubi)はケインゴール病を引き起こし、そしてA.ビティス(A. vitis)はブドウおよび少数の他の植物種でえい瘤を引き起こす(Otten 1984; Smith and Townsend 1907; Hildebrand 1934; for review on A. rhizogenes see Nilsson and Olsson, 1997)。Bergey’s Manual of Systematic Bacteriologyは今でもこの命名法を反映しているが、分類は複雑で紛らわしい。病害の総体的症状は、主に、Ti(腫瘍誘発性)プラスミドおよびRi(根誘発性)プラスミドと呼ばれる大型プラスミドに由来するDNA(T−DNA)が植物細胞ゲノム中に移入されたり、組み込まれたり、植物細胞ゲノム中で発現されたりすることに起因する(Van Laerebeke 1974; Chilton 1977, 1982; Moore 1979; White 1982; Tepfer 1983; Nester 1984)。特定のプラスミドを除去してこのプラスミドを他のタイプの腫瘍原性プラスミドと置き換えると、病害症状が変化する可能性がある。たとえば、ノパリン型TiプラスミドpTiC58を含有するA.ツメファシエンスC58が植物に感染すると、クラウンゴール奇形腫が発生する。このプラスミドを除去した場合、菌株は非病原性になる。除去処理された菌株にRiプラスミドを導入すると、細菌は発根性株に「変化」する(Lam 1984, White 1980)。さらに、A.ツメファシエンスに由来するTi(腫瘍誘発性)プラスミドをA.リゾゲネスに導入することが可能であり;得られる菌株は、リュウキュウベンケイソウ属(Kalanchoe)植物で改変された形態の腫瘍を誘発する(Costantino 1980)。したがって、単に一タイプの癌原性プラスミドを他のタイプのものと置き換えるだけでA.ツメファシエンスはA.リゾゲネスに「変化」しうるので、「種」という用語は無意味になる。したがって、これらの特徴は染色体外プラスミドにのみ関係しているので、細菌株をそれらのクラウンゴール表現型または毛状根表現型により区別する方法は、近年ではもはや適切とは思われない。ゲノムDNA分析の結果、以前はA.リゾゲネスとして分類されたいくつかの菌株がA.ツメファシエンスとの関連のほうが強かったり、その逆であったりすることが明らかにされた。
より意味のある分類体系では、アグロバクテリウム属は、増殖特性および代謝特性に基づいて「次亜種」に分けられる(Keane 1970)。この体系を用いると、ほとんどのA.ツメファシエンス株およびA.ルビ(Tighe 2000)株は次亜種Iに属し、A.リゾゲネス株は次亜種IIにあてはまり、次亜種IIIはA.ビティス株により代表される。つい最近、アグロバクテリウム属に対するさらに他の分類学的な分類体系が提案された(Young 2001)。A.ツメファシエンスC58の全ゲノム(線状染色体および環状染色体、Tiプラスミド、ならびに他の大型プラスミドから構成される(Goodner 1999, 2001; Wirawan 1996))のDNA配列が最近すべて決定されたことは、アグロバクテリウム「株」を真の「種」に再分類するための出発点となりうる。RAPD(ランダム増幅多型DNA)に基づく最近の分類は、ゲノムの差を反映したものであり、いくつかのアグロバクテリウム株の「ファミリー」樹を提供している(Llop 2003)。改変分類スキームがSawadaにより提案された(Sawada 1993)。
アグロバクテリウムの遺伝的背景についてはほとんど探究されていないが、植物感染におけるそれらのTiプラスミドまたはRiプラスミドの機能については十分な知見がすでに存在する。T−DNAを動員するには、Tiプラスミド上またはRiプラスミド上の他の場所に位置する遺伝子(まとめてvir遺伝子と呼ばれる)の産物をトランスで創傷植物細胞由来の特定のエリシターで活性化させることにより、T−DNAの一本鎖コピー(T鎖)を合成して植物細胞に移入することが必要である(Zambryski 1992;Zupan 1995)。Tiプラスミド上のT−DNA配列は、T−DNAの認識(Wang 1984)に必要とされる短い24bp直列反復配列(Yadav 1982)につなげられている。これらの境界領域を直接取り囲む配列は、右境界領域で開始されるT鎖合成の方向性に関与するように思われる(Wang 1987)。T−DNA境界配列につなげられた外来DNAは、ベクターとしてA.ツメファシエンスを用いて植物細胞内に移入可能である(Hernalsteens 1980)。ホルモン合成に関与する生来型のT−DNA遺伝子を不活性化または除去すれば、A.ツメファシエンスは、クラウンゴール病症状を引き起こすことができなくなるであろう。病害症状に関与する遺伝子を不活性化または除去するこの過程は、「非病害化(disarming)」と称される。A.ツメファシエンスを遺伝子操作する第1の方法は、導入された遺伝子でT−DNAの遺伝子を直接置き換えることにより、非病害化と所望の遺伝子の導入とが同時に含まれるものであった。「同型遺伝子接合」と称される方法(Matzke and Chilton, 1981)により、Tiプラスミドの生来型のT−DNAは、形質転換のために所望の遺伝子で置き換えられた。A.ツメファシエンスを遺伝子操作すべく開発された他のストラテジーは、単一のT−DNA相同性領域と単一の境界配列とを含有する共組込み中間ベクター中に所望の遺伝子をクローニングすることを含むものであった。この系では、配列は、単一のクロスオーバー事象により組み換えられ、結果として、組み込まれた対象の遺伝子を含む完全ベクターを生じる(Horsch 1985)。共組込み系では、TiプラスミドのT−DNA領域と導入された組込みベクター上のDNA配列との間の相同性領域が対をなす。有用な共組込みプラスミドの一例は、ノパリン菌株(C58)に由来するTiプラスミドの境界領域間の全T−DNA領域がpBR322で置き換えられたpGV3850であり、したがって、pBR322相同性を含有する任意の遺伝子構築物に対する組換え部位を提供する(Zambryski 1983)。
T−DNAがvir遺伝子と同一のプラスミド上に存在する必要がないという発見(de Framond 1983; Hoekema 1983, 1985)に基づいて、バイナリーベクターが開発された。バイナリーベクターは、Tiプラスミドとは分離してA.ツメファシエンス中に保持され、T−DNA境界配列間に対象の遺伝子と植物選択マーカー遺伝子とを含有する。これらのベクターは、相同的組換え部位を有するように特定的に遺伝子操作の施されたTiプラスミドを必要としないので、大きな柔軟度を提供する。それが理由で、任意の非病害性A.ツメファシエンス株を用いて、任意のバイナリーベクターの遺伝子を移入することが可能である。汎用性があるおかげで、バイナリーベクターは、現在のところ、植物におけるアグロバクテリウム媒介形質転換の対象となる遺伝子をクローニングするための好ましい媒介ベクターである。しかしながら、とくに、標的植物種がA.ツメファシエンスを介して非効率的にしか形質転換されない場合、バイナリーベクターと併用されるA.ツメファシエンス株はいずれも、それぞれのTiプラスミドが非病害化されたものでなければならない。さもなければ、バイナリーベクターの所望の遺伝子は、細菌の生来型のT−DNAの癌原性植物ホルモン遺伝子と一緒に共形質転換され、それにより、所望の遺伝子の形質転換効率が低下するとともに、標的細胞の多くで腫瘍原性病害症状を引き起こし、さらにはそれにより、これらの細胞の正常植物への分化が阻止されるであろう。
バイナリーベクターと一般に併用される野生型A.ツメファシエンス株を非病害化する処理は、いくつかの場合には、同型遺伝子接合の形態を伴うものであった。T−DNAの外側に位置する領域と相同的であるTiプラスミド配列がつなげられたマーカー遺伝子を含有する媒介構築物は、細菌接合により野生型A.ツメファシエンスに導入される(Hood 1986, 1993)。非病害性A.ツメファシエンス株は、典型的には、その全T−DNA配列が除去されているが、右境界配列を除去することによりT−DNA動員を不活性化させることが可能であることも実証されている。すなわち、A.ツメファシエンスのノパリン型菌株を用いた研究報告から、T−DNAの右境界領域は遺伝子移入に必要であるが、左境界領域は必要でないことが明らかにされている(Joos 1983; Peralto and Ream 985; Shaw 1984; Wang 1984)。アグロバクテリウム・ツメファシエンスは、さまざまな双子葉植物宿主域および追加的にいくつかの単子葉植物科の宿主域を有する(De Cleene 1976; Smith 1995)。A.ツメファシエンスには、いくつかの異なる株が存在し、それぞれ、それらが感染した植物細胞中で合成されるオピンの型にちなんで命名されて、オクトピン型、ノパリン型、およびL,L−スクシナモピン型に分類される。これらの菌株は、同一ではないが類似した宿主域を有しており、さまざまな植物種に遺伝子移入すべく多くのタイプのA.ツメファシエンスの非病害性変種が使用され成功を収めている(van Wordragen 1992; Hood 1993)。
アグロバクテリウム・リゾゲネス株は、A.ツメファシエンス株のときと同一の方法で分類される。典型的には、それらは、それらが産生するオピンにより分類される。最も一般的な菌株は、アグロピン型菌株(たとえば、RiプラスミドpRi A4により特徴付けられる)、マンノピン型菌株(たとえば、RiプラスミドpRi8196により特徴付けられる)、およびククモピン型菌株(たとえば、RiプラスミドpRi2659により特徴付けられる)である。いくつかの他の菌株は、ミキモピン型(たとえば、RiプラスミドpRi1724により特徴付けられる)である。ミキモピンおよびククモピンは、立体異性体であるが、ヌクレオチドレベルでは、それらの間に相同性は見いだされていない(Suzuki 2001)。
ダイズ(Glycine max L. Merr.)は、A.ツメファシエンスを用いた形質転換が非常に困難であることが判明しているが、その理由は、少なくとも部分的には、野生型A.ツメファシエンスによる感染に対して抵抗性を有することにある。いくつかのダイズ品種およびA.ツメファシエンス株を用いた比較研究から、A.ツメファシエンスのダイズ感染性はわずかであり、品種および細菌株の両方に依存することが示唆される(Bush 1991; Byrne 1987; Hood 1987)。A.ツメファシエンスに対するダイズの抵抗性に関する問題は、組織培養でダイズを扱うことが困難であることによってさらに複雑になる。これまでにいくらかの進歩があったとはいえ、ダイズにおけるアグロバクテリウム媒介形質転換は、依然として非効率的で労力がかかるので、その効率を改善する方法が継続的に探索されている。
先に述べたように、いくつかのA.ツメファシエンス株は、他のものよりも容易にダイズに感染する。一菌株A281は、ノパリン型C58染色体的背景を有するきわめて毒性の強い広い宿主域のL,L−スクシナモピン型A.ツメファシエンスであり、L,L−スクシナモピン型TiプラスミドpTiBo542を含有する(Hood 1987)。この菌株を非病害化することにより、ダイズ形質転換に関連して現在広く使用されている菌株EHA101およびEHA105が生産されてきた(Hood 1986, 1987)。種々の他の非病害性アグロバクテリウム株が報告されている(A208、US5,416,011;LBA4404、WO 94/02620)。Hood et al. (1993)には、3種のTiプラスミド(それぞれ、オクトピン型、ノパリン型、およびL,L−スクシナモピン型)の非病害化が開示されている。アグロバクテリウム・ツメファシエンス株A281およびEHA101は、ダイズを形質転換しうるものとして開示されている。菌株A281に由来するプラスミドpTiBo542の非病害性誘導体が開示され、pEHA105と名付けられている。
いくつかの植物種のアグロバクテリウム・リゾゲネスRi形質転換植物は、短縮された節間、皺のある葉、および多数の側方分枝を有する過剰な根量を特徴とする表現型を有する(Tepfer 1984)。Ri T−DNA中のrol遺伝子は、植物ホルモンに対する感受性の変化および/または植物ホルモンの代謝の変化を引き起こす(Maurel 1994; Moritz and Schmuelling 1998; Nilsson 1997; Shen 1988)。さらに、A.リゾゲネスの感染による植物組織の形質転換は、特定の代謝産物の産生を増大させる(Ermayanti 1994; Mano 1986; Sim 1994)。
生来型の「病害性(armed)」アグロバクテリウム・リゾゲネスK599(pRi2659)は、Jack、Williams 82、Cartter、Fayette、Hartwig、Mandarin、Lee 68、Peking、およびPI437654(Cho 2000)をはじめとするさまざまなダイズ品種において毛状根形成を誘発しうる。
A.リゾゲネスの場合、菌株8196のマンノピンRiプラスミドは、pTi T−DNAオンコジーンのいずれとも相同性を共有しない単一のT領域を有する(Lahners 1984)。この観測から、tmr Ti突然変異体におけるtms発現に基づくものとは異なる新規な機序がこの菌株による根誘発に関与していることが示唆される。A4のようなアグロピン菌株の場合、Riプラスミドの2つの異なる領域(TL領域およびTR領域)が植物ゲノムに移入される(Huffman 1984; Jouanin 1984; White 1985)。菌株A4により形質転換された植物で見られるTL−DNAのサイズは、かなり一定しているが、TR−DNAの長さは、より変動的である。A.ツメファシエンスのT領域とのハイブリダイゼーションにより、pRi TR領域において、アグロピン合成に関与するオクトピンTiプラスミドのTR−DNAの遺伝子との相同性が明らかにされた。一般的なpTiオンコジーン間では、fm遺伝子座との相同性のみが見いだされたことから(Willmitzer 1982; Huffman 1984; Jouanin 1984)、たとえ、再生されたすべての形質転換植物のゲノム中にtms様遺伝子が見いだされなくても、TR−DNA指令オーキシン合成が根誘発の役割を担う可能性のあることが示唆される(Taylor 1985; Jouanin 1986a)。これとは対照的に、TL領域は、pTi T−DNAの遺伝子にハイブリダイズしない(Jouanin 1984)。Slightom et al. (1986)により確定されたTL−DNA配列から、ヌクレオチドレベルでこの相同性不在が確認される。しかしながら、TL−DNAは、マンノピンpRi8196の単一のT領域とかなり相同的であるので、形質転換根を誘発しうる可能性がある。
Vilaineら(Vilaine 1987)は、TL−DNA単独の移入さらにはTR−DNA単独の移入が感染植物断片で根誘発を引き起こさないことを実証し、このことから、アグロピン型Riプラスミドには根誘発に関して2つの独立した分子機序が存在することを示唆した。Vilaineらはさらに、RiプラスミドpRiA4に由来するTL領域、TR領域、またはTL領域とTR領域の両方を欠失させることによりアグロピン型アグロバクテリウム・リゾゲネスA4RS株を非病害化すると、A.リゾゲネス株RS(pRiB278b)が得られると記載している。非病害性RiプラスミドとTL領域またはTR領域を保有するコスミドとの接合により毛状根表現型が「レスキュー」されると記載されている。該非病害性A.リゾゲネス株を遺伝子移入に使用することについては開示されていない。
アグロバクテリウム・ツメファシエンス媒介植物形質転換は、多くの植物種に対して植物バイオテクノロジー産業における標準になってきているが、アグロバクテリウム・リゾゲネスの使用は、ごくわずかに行われているにすぎない。現在までのところ、外来遺伝子を植物中に組み込むために、生来型の「病害性」アグロバクテリウム・リゾゲネス株だけが利用されたにすぎない(たとえば、Narayanan 1999; Kouchi 1999)。A.リゾゲネスを用いてバイナリーベクターのT−DNAを「トランスで」移入することも可能であるので、双子葉植物種中に外来DNAを導入するためのベクターとしてRiプラスミドが使用されてきた(Bevan 1984; Simpson 1986; Hamill 1991)。しかしながら、これらの開示で利用されたアグロバクテリウム・リゾゲネス株は、(それらの生来型のRiプラスミドを含むことが原因で)「病害性」であるので、依然として毛状根表現型を誘発する可能性がある(たとえば、Narayanan 1999を参照されたい)。
植物形質転換に関係する問題点のいくつかは、当技術分野で報告された方法により克服されたが、依然として改良および代替的手順がかなり必要とされている。アグロバクテリウム媒介形質転換法の領域で著しい進歩がみられるが、そのような方法、さらにはとくに、標準的A.ツメファシエンス株による形質転換に対して抵抗性のある単子葉植物および双子葉植物の形質転換法、の容易性、速度、および効率を向上させる改良された方法の必要性が依然として存在する。したがって、本発明の目的は、広範にわたるさまざまな植物種に対して改良された形質転換効率を与える代替法を提供することであった。この目的は本発明により解決される。
発明の概要
本発明では、植物細胞中へのT−DNA送達のためにアグロバクテリウム株K599(NCPPB 2659)の「非病害性」変異株を使用する。これ以降では、「A.リゾゲネス」株としてこれまでの分類を利用しない。なぜなら、毛状根誘発性表現型(これは、細菌ゲノムに起因するのではなくRiプラスミドに起因する)のほかに、リボソームrDNA配列の比較分析に基づいて、菌株は、他のA.リゾゲネス株にごくわずかに関連付けられるにすぎないと思われるからである。したがって、該菌株はユニークであると考えられ、一義的にA.ツメファシエンス型またはA.リゾゲネス型の菌株であるとみなされるものではない。
本発明の第1の実施形態は、以下のステップ:
a) アグロバクテリウム株K599(NCPPB 2659)または該菌株の誘導体のトランスジェニック非病原性変異株の細菌を準備するステップ、ここで、該変異株は植物細胞に感染可能であるが、毛状根表現型誘発性を欠損し、かつ該変異株はさらにトランスジェニックT−DNAを含むものである、および
b) 植物細胞を前記細菌と共培養するステップ、および
c) 安定的にゲノムに組み込まれた前記トランスジェニックT−DNAを含んでなる植物細胞を単離または選択するステップ
を含む、トランスジェニック植物細胞の作製方法に関する。
本発明の他の実施形態は、以下のステップ:
a) アグロバクテリウム株K599(NCPPB 2659)または該菌株の誘導体のトランスジェニック非病原性変異株の細菌を準備するステップ、ここで、該変異株は植物細胞に感染可能であるが、毛状根表現型誘発性を欠損し、かつ該変異株はさらにトランスジェニックT−DNAを含むものである、および
b) 植物体、植物細胞または植物組織を前記細菌と共培養するステップ、および
c) 安定的にゲノムに組み込まれた前記トランスジェニックT−DNAを含んでなる植物を単離または選択し、かつ任意により再生するステップ
を含む、トランスジェニック植物の作製方法に関する。
本発明に係る方法は、実質的にすべての種類の植物、好ましくは、単子葉植物、双子葉植物、および裸子植物からなる群より選択される植物に由来する植物細胞、植物組織、または植物体を形質転換するために使用可能である。より好ましくは、植物は、ウマゴヤシ属(Medicago)、トマト属(Lycopersicon)、アブラナ属(Brassica)、キュウリ属(Cucumis)、ナス属(Solanum)、クルミ属(Juglans)、ワタ属(Gossypium)、リンゴ属(Malus)、ブドウ属(Vitis)、キンギョソウ属(Antirrhinum)、ハコヤナギ属(Populus)、イチゴ属(Fragaria)、シロイヌナズナ属(Arabidopsis)、トウヒ属(Picea)、トウガラシ属(Capsicum)、アカザ属(Chenopodium)、キク属(Dendranthema)、アサガオ属(Pharbitis)、マツ属(Pinus)、エンドウ属(Pisum)、イネ属(Oryza)、トウモロコシ属(Zea)、コムギ属(Triticum)、ライコムギ属(Triticale)、ライムギ属(Secale)、ドクムギ属(Lolium)、オオムギ属(Hordeum)、ダイズ属(Glycine)、トガサワラ属(Pseudotsuga)、リュウキュウベンケイ属(Kalanchoe)、フダンソウ属(Beta)、ヒマワリ属(Helianthus)、およびタバコ属(Nicotiana)からなる群より選択される属に由来する。
本発明の好ましい実施形態では、トランスジェニックT−DNAは、植物で発現可能な選択マーカー遺伝子を少なくとも1つ含む。
本発明の他の実施形態は、アグロバクテリウム株K599(NCPPB 2659)または該菌株の誘導体の非病原性変異株(これ以降では「非病害性」変異株)に関し、ただし、該変異株は、植物細胞に感染可能であるが、毛状根表現型誘発性を欠損している。本発明の他の実施形態は、アグロバクテリウム株K599(NCPPB 2659)または該菌株の誘導体のトランスジェニック非病原性変異株に関し、ただし、該変異株は、植物細胞に感染可能であるが、毛状根表現型誘発性を欠損し、かつ該変異株は、トランスジェニックT−DNAをさらに含む。
本発明の好ましい実施形態では、アグロバクテリウム株K599(NCPPB 2659)(または該菌株の誘導体)の前記非病原性変異株は、植物細胞に感染可能であり、植物細胞へのT−DNAの移入を媒介することが可能であり、かつ植物ゲノムへのT−DNAの挿入を媒介することが可能であるが、毛状根表現型誘発性は欠損している。より好ましくは、これは、RiプラスミドpRi2659(アグロバクテリウム株K599;NCPPB 2659中の生来型のRiプラスミド)またはその誘導体の非病原性プラスミド変異体の存在により達成される。前記非病原性プラスミド変異体は、好ましくは、植物細胞感染および形質転換に必要とされる機能をすべて提供するが、毛状根表現型を誘発する配列を欠損している。
アグロバクテリウム株K599(NCPPB2659)の誘導体は、好ましくは、配列番号5、6、7、8、9、10、11、12、13、および14により示される配列モチーフからなる群より選択される少なくとも1つの配列モチーフを含む16S−23S rRNA遺伝子間配列により特徴付けられる土壌の植物病原性細菌である。非病原性変異株は、突然変異型もしくはキメラ型のvirA遺伝子またはvirG遺伝子の存在あるいは強毒性プラスミドの存在からなる群より選択される1つ以上の特徴をさらに含みうる。アグロバクテリウム株K599(NCPPB2659)の非病原性変異株は、pRi2659プラスミドの非病原性プラスミド変異体(以下に定義されるとおり)を含みうる。
本発明のさらに他の実施形態は、pRi2659(アグロバクテリウム株K599;NCPPB 2659中の生来型のRiプラスミド)またはその誘導体の非病原性プラスミド変異体に関し、ただし、該プラスミド変異体は、植物細胞感染および形質転換に必要とされる機能を提供するが、毛状根表現型を誘発する配列を欠損している(これ以降では「非病害性」プラスミド変異体)。好ましくは、とくに分離型(バイナリー)ベクター中に含まれるトランスジェニックT−DNAと組み合わせて使用する場合、前記「非病害性」プラスミド変異体は、植物ゲノム中に移入されうるエレメント(たとえばT−DNAエレメントなど)を含んでいない。そのような「非病害性」プラスミド変異体を提供する種々の手段が存在する。これは、T−DNAの境界領域を非機能的にすることにより(たとえば突然変異誘発により)または好ましくはRiプラスミドから全T−DNAを欠失させることにより、実現可能である。
本発明に係るとくに好ましい一実施形態では、前記非病原性プラスミド変異体は、
a) 配列番号24により示される配列または配列番号24により示される配列のうち少なくとも100個の連続したヌクレオチドからなる配列、を含む配列、および
b) 配列番号24により示される配列、または配列番号24により示される配列のうち少なくとも1000個の連続したヌクレオチドからなる配列、に対して少なくとも90%の配列同一性を有する配列、および
c) 5×SSPE、1%SDS、5×デンハルト試薬および100μg/mLの変性サケ精子DNAからなる溶液中、68℃での結合またはハイブリダイゼーションと、それに続く、0.1×SSPEおよび0.1%SDSを含む溶液中、68℃での洗浄と、等価の条件下で、配列番号24により示される配列もしくはその相補配列のうち少なくとも100個の連続したヌクレオチドからなるプローブにハイブリダイズする配列、
により示される配列の群より選択される少なくとも1つの配列を含んでいる。
プラスミドpRi2659の非病害性変種の単離された配列が本発明で提供される。したがって、本発明の好ましい実施形態は、
a) 配列番号24により示される配列または配列番号24により示される配列のうち少なくとも100個の連続したヌクレオチドからなる配列、を含む配列、および
b) 配列番号24により示される配列、または配列番号24により示される配列のうち少なくとも1000個の連続したヌクレオチドからなる配列、に対して少なくとも90%の配列同一性を有する配列、および
c) 5×SSPE、1%SDS、5×デンハルト試薬および100μg/mLの変性サケ精子DNAからなる溶液中、68℃での結合またはハイブリダイゼーションと、それに続く、0.1×SSPEおよび0.1%SDSを含む溶液中、68℃での洗浄と、等価の条件下で、配列番号24により示される配列もしくはその相補配列のうち少なくとも100個の連続したヌクレオチドからなるプローブにハイブリダイズする配列、
により示される配列の群より選択される、単離されたヌクレオチド配列に関する。
より好ましくは、前記非病原性プラスミド変異体は、上述の非病害性pRi2659プラスミドまたは誘導体(先に定義したとおり)を記述するヌクレオチド配列により記述される。さらにより好ましくはまたは他の選択肢として、誘導体は、配列番号112により示される配列に対して少なくとも85%のアミノ酸配列同一性を有するvirD2タンパク質をコードしている。前記virD2タンパク質は、非病害性pRi2659プラスミドの形質転換性能の向上に対する重要な因子であると予想される。したがって、本発明の他の実施形態は、
a) 配列番号112により示される配列またはそのうちの少なくとも200個の連続したアミノ酸からなる配列、
b) 配列番号112により示される配列に対して少なくとも85%(好ましくは少なくとも90%もしくは92%、より好ましくは少なくとも95%もしくは98%、最も好ましくは少なくとも99%)の配列同一性を有する配列
からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドに関する。
しかしながら、非病害性pRi2659プラスミドによりコードされる他のタンパク質もまた、形質転換過程の最適化に有用であると考えられるので、本発明の他の実施形態は、
a) 配列番号25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、126、128、129、130、131、132、133、134、136、137、139、140、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、154、155、156、158、159、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、もしくは187のいずれか1つにより示される配列またはそのうちの少なくとも200個の連続したアミノ酸(好ましくは少なくとも300個の連続したアミノ酸、より好ましくは少なくとも400個の連続したアミノ酸、好ましくはすべての連続したアミノ酸)からなる配列、
b) 配列番号25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、126、128、129、130、131、132、133、134、136、137、139、140、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、154、155、156、158、159、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、または187のいずれか1つにより示される配列に対して少なくとも85%(好ましくは少なくとも90%もしくは92%、より好ましくは少なくとも95%もしくは98%、最も好ましくは少なくとも99%)の配列同一性を有する配列、
からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドに関する。
本発明のさらに他の実施形態は、前記ポリペプチドをコードする単離された核酸配列に関する。これらの配列は、単離された天然の配列(pRi2659プラスミド中に含まれる配列)または遺伝暗号の縮重に基づいて誘導される他の配列でありうる。
したがって、本発明の好ましい実施形態は、pRi2659またはその誘導体の非病原性プラスミド変異体に関し、ただし、該プラスミド変異体は、生来型の病原性pRi2659またはその誘導体の植物細胞感染および形質転換に必要とされる配列を含むが、T−DNA、好ましくは、GenBank登録番号AJ271050(配列番号4)により特徴付けられる配列の塩基538付近から塩基15519付近までの配列または配列番号26により特徴付けられる配列の塩基3644付近から塩基18577付近までの配列を欠損している。この配列は、病原性アグロバクテリウム株K599(NCPPB 2659)中に提供される元の病原性RiプラスミドpRi2659のT−DNAに対応する。より好ましくは、前記非病原性プラスミド変異体は、高ストリンジェンシーの条件下(たとえば、5×SSPE、1%SDS、5×デンハルト試薬および100μg/mLの変性サケ精子DNAからなる溶液中、68℃での結合またはハイブリダイゼーションと、それに続く、0.1×SSPEおよび0.1%SDSを含む溶液中、68℃での洗浄と、等価の条件下)で、病原性アグロバクテリウム株K599(NCPPB 2659)中に提供される元の病原性RiプラスミドpRi2659とハイブリダイズするが、該高ストリンジェンシーの条件下で、GenBank登録番号AJ271050(配列番号4)により特徴付けられる配列の塩基538付近から塩基15519付近までの配列、配列番号26により特徴付けられる配列の塩基3644付近から塩基18577付近までの配列のいずれともハイブリダイズしない、配列である。
より好ましくは、pRi2659の誘導体は、植物細胞への土壌細菌由来のT−DNAの移入を媒介することができ、
a) 生来型のpRi2659プラスミド(アグロバクテリウム株K599(NCPPB2659)に含まれるものと同様)をコードするDNAに対して少なくとも90%の配列同一性を有すること、または
b) 5×SSPE、1%SDS、5×デンハルト試薬および100μg/mLの変性サケ精子DNAからなる溶液中、68℃での結合またはハイブリダイゼーションと、それに続く、0.1×SSPEおよび0.1%SDSを含む溶液中、68℃での洗浄と、等価の高ストリンジェンシーの条件下で、生来型のpRi2659プラスミドとハイブリダイズすること、
によりさらに特徴付けられるプラスミドである。
好ましくは、アグロバクテリウム株K599(NCPPB 2659)またはその誘導体の前記トランスジェニック非病原性変異株中のT−DNAは、植物感染に必要とされる特徴を提供するプラスミドとは分離してバイナリーベクタープラスミド(たとえば、新生物誘発性もしくは毛状根誘発性を欠損しているTiプラスミドまたはRiプラスミド)に含まれる。好ましくは、T−DNAは、少なくとも右境界配列(より好ましくは右境界配列および左境界配列)につなげられている。好ましいのは、Tiおよび/またはRi境界領域である。好ましい実施形態では、前記トランスジェニックT−DNAは、農学上有益な形質を前記植物に付与するための少なくとも1つの発現カセットを含んでいる。他の好ましい実施形態では、前記T−DNAは、形質転換された植物体、植物細胞、もしくは植物組織の選択および/または特定を可能にする少なくとも1つのマーカー遺伝子をさらに含んでいる。
プラスミドpRi2659のT−DNA境界領域は、T−DNAの移入ひいてはトランスジェニック植物(特定的にはトランスジェニックダイズ植物)の生産にとくに有効であることが実証されている。したがって、本発明の他の実施形態は、アグロバクテリウム・リゾゲネスpRi2659プラスミドに由来する少なくとも1つのT−DNA境界領域につなげられたトランスジェニックT−DNAに関し、ただし、該トランスジェニックT−DNAは、毛状根表現型を誘発する配列を含まない。好ましくは、前記境界配列の少なくとも1つは、配列番号18または19により示される。より好ましくは、前記トランスジェニックT−DNAは、農学上有益な形質または少なくとも1つのマーカー遺伝子を前記植物に付与するための少なくとも1つの発現カセットを含む。ただし、該マーカー遺伝子は、形質転換された植物体、植物細胞、もしくは植物組織の選択および/または特定を可能にする。本発明の他の課題は、本発明に係る前記トランスジェニックT−DNAを含むトランスジェニックベクターに関する。
本発明の他の実施形態は、本発明に係るヌクレオチド配列、非病原性プラスミド変異体、またはトランスジェニックT−DNAを含む、細胞または非ヒト生物に関する。好ましくは、前記細胞または非ヒト生物は、細菌、酵母、植物、哺乳動物、および昆虫からなる群より選択される。好ましい一実施形態では、前記細胞または生物は、リゾビウム科(genus Rhizobiaceae)の土壌細菌である。他の好ましい実施形態では、前記細胞または生物は、植物細胞または植物生物、より好ましくは、単子葉植物および双子葉植物からなる群より選択される。
本発明の他の目的、利点、および特徴は、以下の説明から明らかになろう。
図面の簡単な説明
図1A:RAPD(ランダム増幅多型DNA)により決定したときのアグロバクテリウム株の関係を示す樹状図(Llob 2003の図2)。種々の菌株の説明については、以下の表1を参照されたい。アグロバクテリウム株K599(NCPPB 2659)は、この条件下では、C58やAch5のような伝統的な「アグロバクテリウム・ツメファシエンス」株と区別されるだけでなくNCPPB 8196やATCC 15834のような他の「アグロバクテリウム・リゾゲネス」株とも区別される異なるグループの変種に分類される。
図1B:16S rRNA比較により決定したときのアグロバクテリウム株の関係を示す樹状図。配列は、Clustal Wプログラム(Saitou 1987)を用いて編集されている。菌株は、それらのそれぞれの16S rRNAのGenBank登録番号により示されている。以下の菌株が評価対象となっている:
Figure 2008511294
図1C:virD2アミノ酸配列比較により決定したときのアグロバクテリウム株の関係を示す樹状図。配列は、Clustal Wプログラム(Saitou 1987)を用いて編集されている。菌株は、それらのそれぞれのvirD2タンパク質のGenBank登録番号により示されている。以下の菌株が評価対象となっている:
Figure 2008511294
図2:アグロバクテリウムプラスミドpRi2659のT−DNA領域の物理的制限地図。矢印は、右境界領域および左境界領域を示している(出典:Combard 1987)。
図3:AGL1(pBPSMM192b)(I)またはSHA016(pBPSMM192b)(II)のいずれかと2日間共培養した後の葉腋成長点外植片のダイズにおける一過的GUS発現(5日間)。SHA016/pBPSMM192bは、非病害性トランスジェニックアグロバクテリウムK599変異株である。AGL1/pBPSMM192bは、対照菌株である。アグロバクテリウム株SHA001およびSHA016は、アグロバクテリウム株K599(NCPPB 2659)(pRi2659Δtet)の機能的に等価な菌株である。すなわち、非病害性pRi2659Δtetプラスミドを含む。
図4:アグロバクテリウムSHA001(pBPSEW008)を感染させた葉腋成長点外植片を用いたときの感染後35日目のダイズにおける安定なGUS発現(I、II、III:種々の外植片についての実施例)。SHA001(pBPSEW008)は、非病害性トランスジェニックアグロバクテリウムK599変異株(pRi2659Δtet)である。
図5:pBPSMM192bを含有する組換えSHA001を用いたときのトランスジェニックトマト幼植物(A)およびトランスジェニック葉におけるGUS発現(B)。SHA001(pBPSMM192b)は、非病害性トランスジェニックアグロバクテリウムK599変異株(pRi2659Δtet)である。
図6:非病害性テトラサイクリンマーカー付きK599(pRi2659Δtet)のサザンハイブリダイゼーション。右境界領域でプローブしたときにダブルクロスオーバー事象のハイブリダイズバンドが消失したことから、pRi2659からT−DNA領域が欠失されたことが示唆される(下側のサザン)。上側のサザンのハイブリダイズバンドから、T−DNA欠失部の外側の隣接DNAの存在が示唆される。
RF=右隣接部プローブを用いたハイブリダイゼーション
RB=左隣接部プローブを用いたハイブリダイゼーション
WT=野生型
S=野生型T−DNAおよび欠失型T−DNAの両方を含む挿入をもたらすシングルクロスオーバー組換えの結果として生じたクローン
CS=シングルであることが確認されたもの;シングルクロスオーバーの結果として生じたクローンとバンドパターンマッチングで計算されたバンドサイズ(中間産物)
D=目標のT−DNA欠失をもたらすダブルクロスオーバー組換えの結果として生じたクローン(目標の最終産物)
図7:ダイズ子葉を用いた毛状根アッセイ
[a] 非病害性K599による感染は毛状根を誘発しない。
[b] 野生型K599による感染は毛状根を誘発する。
図8:植物細胞における一過的GUS発現(構築物の説明については、以下の実施例を参照されたい)。
A:トウモロコシ胚形質転換。SHA001は、非病害性アグロバクテリウムK599変異株である。LBA4404は、対照菌株である。
B:種々のバイナリーベクターと組み合わされたSHA001による他の植物組織の形質転換(以下の図に示されている;説明については、実施例を参照されたい)。I:ダイズ苗腋生節;II:ダイズ器官形成カルス;III:トマト子葉。
図9:AHASで選択された安定なT1トランスジェニックシロイヌナズナ。アグロバクテリウム株MP90(対照菌株1)、野生型アグロバクテリウム株K599(対照菌株2)、および非病害性アグロバクテリウム株K599(SHA001)を用いて、形質転換を行った。各菌株は、それぞれ、バイナリープラスミドpBPSEW008またはpBPSMM192bのいずれかを含む。
図10:安定なT1トランスジェニックシロイヌナズナのGUS染色。AHASで選択された安定なT1トランスジェニックシロイヌナズナ。アグロバクテリウム株MP90(対照菌株1)、野生型アグロバクテリウム株K599(対照菌株2)、および非病害性アグロバクテリウム株K599(SHA001)を用いて、形質転換を行った。各菌株は、それぞれ、バイナリープラスミドpBPSEW008またはpBPSMM192bのいずれかを含む。
図11:右隣接領域および左隣接領域を含むプラスミドpRi2659 T−DNA領域の地図。
図12:菌株K599を非病害化するために使用した欠失カセットを構築するために使用したステップを詳述したフローチャート。
図13:A:ベクターpBPSMM192bおよびpBPSMM232のプラスミド地図
B:ベクターpBPSEW008のプラスミド地図。
図14:A〜E:土壌細菌の種々の16S−23S rRNA遺伝子間配列領域のアライメント。
K599: アグロバクテリウム株K599(NCPPB 2659)
AE008980: アグロバクテリウム・ツメファシエンスC58
AE009348: アグロバクテリウム・ツメファシエンスC58
AE008265: アグロバクテリウム・ツメファシエンスC58
AE007948: アグロバクテリウム・ツメファシエンスC58
AE009201: アグロバクテリウム・ツメファシエンスC58
U45329: アグロバクテリウム・ビティスNCPPB3554
AE102735: アグロバクテリウム・ツメファシエンス(リゾビウム・ラジオバクター)MAFF301001
アグロバクテリウム株C58は、4つのrRNAオペロンを有する。これらは、K599の16S−23S rRNA遺伝子間配列に最も近い既知の類縁体である。他のアグロバクテリウム株に由来する他の16S−23S rRNA遺伝子間配列は、低い相同性を有し、十分に蓄積されていなかった。このことから、この領域は、アグロバクテリウム株K599と他の近縁種とを区別するシグネチャー配列として使用するのに十分な多様性を呈することがわかる。16S−23S rRNA遺伝子間配列とは、16S rRNAと23S rRNAとの間の領域のことであり、通常、tRNA(たとえば、Ile、Ala、Asp、Trp)をコードする。
図15:非病害性アグロバクテリウム株K599(pRi2659Δ)で形質転換されたダイズT1およびT0植物体のサザンハイブリダイゼーション。ゲノムDNAをHindIIIで消化し、gusINT遺伝子でプローブした。T−DNA中にはHindIII部位が1つ存在する。M=1kbマーカー;wt=非形質転換ゲノムDNA;レーン1〜7、それぞれのT1系列;レーン8、T0植物体。
図16:アグロバクテリウム種の種々のvirD2アミノ酸配列のアライメント。pRi2659によりコードされるvirD2タンパク質(配列番号112)をその既知の相同体と区別するユニークな突然変異は、アステリスク(*)が記されている。
TiAB2/73: アグロバクテリウム・ツメファシエンス
TiA6: アグロバクテリウム・ツメファシエンス
Ti−SUKURA: アグロバクテリウム・ツメファシエンス
RiA4: アグロバクテリウム・リゾゲネス
Ri1724: アグロバクテリウム・リゾゲネス
Ri2659: アグロバクテリウム株K599
一般的定義
略号: BAP:6−ベンジルアミノプリン; 2,4−D:2,4−ジクロロフェノキシ酢酸; MS:ムラシゲ・スク−グ培地; NAA:1−ナフタレン酢酸; MES:2−(N−モルホリノ)−エタンスルホン酸; IAA:インドール酢酸; Kan:硫酸カナマイシン; GA3:ジベレリン酸; チメンチン(Timentin)TM:チカルシリンジナトリウム/クラブラン酸カリウム。
当然のことながら、本発明は、記載のごとき特定の方法、プロトコル、細胞株、植物種もしくは属、構築物、および試薬に限定されるものではない。同様に当然のことながら、本明細書中で使用される用語は、特定の実施形態を説明することだけを目的としたものにすぎず、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される本発明の範囲を限定しようとするものではない。本明細書および添付の特許請求の範囲で使用する場合、単数形は、文脈上明らかに異なる場合を除いて、複数形表現を包含することに留意しなければならない。したがって、たとえば、「ベクター」が言及された場合、1つもしくはそれ以上のベクターが言及されたことになり、また、当業者に公知のその等価物などが包含される。
「約(付近)」という用語は、本明細書中では、近似的、概算、およそ、または近傍という意味で使用される。「約」という用語が数値範囲と組み合わせて使用された場合、境界値が記載の数値超および数値未満に拡張されて、その範囲は変更される。一般的には、「約」という用語は、本明細書中では、20パーセント、好ましくは10パーセントの上下(高低)変動により、数値を指定値超および指定値未満に変更するように使用される。
本明細書中で使用する場合、「または」という単語は、特定のリストのいずれか1つのメンバーを意味するとともに、そのリストのメンバーの任意の組合せをも包含する。
「農学上有益な形質」には、食品製造または食品製品(植物の一部分および植物生産物を包含する)に有用もしくは有利な植物生物の任意の表現型が包含される。紙などのような非食品農業製品もまた、包含される。農学上有益な形質の部分的なリストには、有害生物抵抗性、生長力、発育期間(収穫までの期間)、栄養素含有量の増大、新規な成長パターン、風味もしくは色、耐塩性、耐暑性、耐乾燥性、耐寒性などが含まれる。好ましくは、農学上有益な形質には、選択マーカー遺伝子(たとえば、形質転換細胞の検出または選択を容易にするためにのみ使用される除草剤耐性または抗生物質耐性をコードする遺伝子)、植物ホルモン(たとえば、選択のためにのみ使用されるオーキシン、ジベレリン、サイトカイニン、アブシジン酸、およびエチレン)の産生を引き起こすホルモン生合成遺伝子、レポーター遺伝子(たとえば、ルシフェラーゼ、グルクロニダーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)など)はいずれも包含されない。そのような農学上有益な重要な形質には、有害生物抵抗性(たとえば、Melchers 2000)、生長力、発育期間(収穫までの期間)、栄養素含有量の増大、新規な成長パターン、風味もしくは色、耐塩性、耐暑性、耐乾燥性、耐寒性(たとえば、Sakamoto 2000; Saijo 2000; Yeo 2000; Cushman 2000)などの改良が包含されうる。当業者であれば、これらのおよび他の農学上有益な形質を付与すべく選択される多数のポリヌクレオチドが存在することはわかるであろう。
「核酸」という用語は、デオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチド、および一本鎖もしくは二本鎖、センスもしくはアンチセンスのいずれかの形態のそれらのポリマーまたはハイブリッドを意味する。とくに指示がないかぎり、特定の核酸配列は、明示された配列だけでなく、その保存的改変変異体(たとえば縮重コドン置換体)および相補的配列をも暗黙的に包含する。「核酸」という用語は、本明細書中では、「遺伝子」、「cDNA」、「mRNA」、「オリゴヌクレオチド」、および「ポリヌクレオチド」と同義的に使用される。
「核酸配列」という表現は、5’末端から3’末端の方向に解読されるデオキシリボヌクレオチド塩基またはリボヌクレオチド塩基の一本鎖もしくは二本鎖のポリマーを意味する。それは、染色体DNA、自己複製プラスミド、DNAまたはRNAの感染性ポリマー、および主に構造的役割を担うDNAまたはRNAを包含する。「核酸配列」はまた、ヌクレオチドを表す略号、文字、記号、または単語の連続的リストを意味する。一実施形態では、核酸は、比較的短い核酸(通常は100ヌクレオチド長未満)である「プローブ」でありうる。多くの場合、核酸プローブは、約50ヌクレオチド長〜約10ヌクレオチド長である。核酸の「標的領域」は、対象となる特定される核酸部分である。核酸の「コード領域」は、適切な調節配列の制御下に配置されたときに特定のポリペプチドまたはタンパク質を産生するように配列特異的に転写および翻訳される核酸部分である。コード領域は、そのようなポリペプチドまたはタンパク質をコードすると言われる。
「対象のヌクレオチド配列」という用語は、当業者によりなんらかの理由で(たとえば、向上した品質を付与するために)操作することが望ましいとみなされうる任意のヌクレオチド配列を意味する。そのようなヌクレオチド配列としては、構造遺伝子(たとえば、レポーター遺伝子、選択マーカー遺伝子、薬剤耐性遺伝子、増殖因子など)のコード配列、およびmRNAやタンパク質産物をコードしない非コード調節配列(たとえば、プロモーター配列、ポリアデニル化配列、終止配列、エンハンサー配列など)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。対象の核酸配列は、好ましくは、農学上有益な形質をコードしうる。
「アンチセンス」という用語は、標的配列に相補的な配列を有する核酸、たとえば、標的配列とのハイブリダイゼーションにより発現のブロックを開始させようと試みられるメッセンジャーRNA(mRNA)配列を意味するものと解釈される。
「センス」という用語は、標的配列と相同もしくは同一の配列を有する核酸、たとえば、タンパク質転写因子に結合して所与の遺伝子の発現に関与する配列を有する核酸を意味するものと解釈される。好ましい実施形態によれば、核酸は、対象の遺伝子、および該対象の遺伝子の発現を可能にするエレメントを包含する。
「遺伝子」という用語は、なんらかの形でポリペプチドの発現を調節しうる適切な調節配列に機能しうる形で連結されたコード領域を意味する。遺伝子には、コード領域(オープンリーディングフレーム、ORF)の前(上流)および後(下流)のDNAの非翻訳調節領域(たとえば、プロモーター、エンハンサー、リプレッサーなど)、さらには、妥当な場合には、個々のコード領域(すなわちエキソン)間の介在配列(すなわちイントロン)が包含される。本明細書中で使用する場合、「構造遺伝子」という用語は、mRNAに転写されてから特定のポリペプチドに特有なアミノ酸の配列に翻訳されるDNA配列を意味するものとする。
「ゲノム」または「ゲノムDNA」という用語は、宿主生物の遺伝可能な遺伝情報を意味する。前記ゲノムDNAは、核のDNA(染色体DNAとも呼ばれる)だけでなくプラスチド(たとえば葉緑体)および他の細胞オルガネラ(たとえばミトコンドリア)のDNAをも包含する。好ましくは、ゲノムまたはゲノムDNAという用語は、核の染色体DNAを意味する。
「染色体DNA」または「染色体DNA配列」という用語は、細胞周期状態に依存しない細胞核のゲノムDNAとして解釈されるものとする。したがって、染色体DNAは、染色体中または染色分体中に組織化されうるものであり、凝縮状または非コイル状でありうる。染色体DNA中への挿入は、たとえば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)分析、サザンブロット分析、蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)、およびin situ PCRのような当技術分野で公知の種々の方法により実証および分析が可能である。
本明細書中で使用する場合、構造遺伝子に関連して使用されるときの「コード領域」という用語は、mRNA分子の翻訳の結果として生じる新生ポリペプチド中に見いだされるアミノ酸をコードするヌクレオチド配列を意味する。コード領域は、真核生物の場合、5’側では、イニシエーターメチオニンをコードするヌクレオチドトリプレット「ATG」により、3’側では、停止コドンを指定する3つのトリプレット(すなわち、TAA、TAG、TGA)のうちの1つにより、境界付けられる。イントロンを含有するほかに、ゲノム形態の遺伝子はまた、RNA転写産物に存在する配列の5’末端および3’末端の両方に位置する配列を含みうる。これらの配列は、「隣接」配列または領域(これらの隣接配列は、mRNA転写産物に存在する非翻訳配列の5’側または3’側に位置する)と呼ばれる。5’隣接領域は、遺伝子の転写を制御したりまたはそれに影響を及ぼしたりするプロモーターやエンハンサーのような調節配列を含有しうる。3’隣接領域は、転写の終止、転写後の切断およびポリアデニル化を指令する配列を含有しうる。
本明細書中で使用する場合、「アミノ酸配列」という用語は、アミノ酸残基を表す略号、文字、記号、または単語のリストを意味する。アミノ酸は、本明細書中では、それらの一般に知られる三文字記号またはIUPAC−IUB生化学命名法委員会(Biochemical Nomenclature Commission)により推奨される一文字記号のいずれかで参照可能である。
ヌクレオチドも同様に、それらの一般に受け入れられている一文字コードにより参照可能である。「ポリペプチド」、「ペプチド」、「オリゴペプチド」、「ポリペプチド」、「遺伝子産物」、「発現産物」、および「タンパク質」という用語は、本明細書中では、連続したアミノ酸残基のポリマーまたはオリゴマーを参照すべく同義的に使用される。
本明細書中で使用する場合、「単離された」という用語は、物質がその元の環境から取り出されたことを意味する。たとえば、生きている動物中に存在する天然のポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、単離されたものではないが、天然で共存する物質の一部もしくは全部から分離させた同一のポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、単離されたものである。そのようなポリヌクレオチドは、ベクターの一部分であったり、かつ/または、そのようなポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、組成物の一部分であったりすることもあり、そうであれば、そのようなベクターまたは組成物がその元の環境の一部分ではないという点で単離されたものである。好ましくは、「単離された核酸配列」の場合のように核酸に関連して使用されるときの単離された」という用語は、同定され、かつその天然源中で通常はそれと一体化されている少なくとも1種の混入核酸から分離された、核酸配列を意味する。単離された核酸は、天然に見いだされるものとは異なる形態または周囲状態で存在する核酸である。これとは対照的に、単離されていない核酸は、天然に存在する状態で見いだされるDNAやRNAのような核酸である。たとえば、所与のDNA配列(たとえば遺伝子)は、隣接する遺伝子に近接して宿主細胞染色体上に見いだされ;特異的タンパク質をコードする特異的mRNA配列のようなRNA配列は、多数のタンパク質をコードする多数の他のmRNAとの混合物として細胞内に見いだされる。しかしながら、たとえば配列番号18を含む単離された核酸配列は、一例として、核酸配列が天然の細胞のものとは異なる染色体内位置または染色体外位置に存在するか、さもなければ天然に見いだされるものとは異なる核酸配列がつなげられている、通常は配列番号18を含有する細胞内の核酸配列を包含する。単離された核酸配列は、一本鎖または二本鎖の形態で存在しうる。単離された核酸配列を利用してタンパク質を発現させる場合、核酸配列は、最低限、センス鎖またはコード鎖の少なくとも一部分を含有するであろう(すなわち、核酸配列は一本鎖でありうる)。他の選択肢として、それは、センス鎖およびアンチセンス鎖の両方を含有しうる(すなわち、核酸配列決は二本鎖でありうる)。
本明細書中で使用する場合、「精製された」という用語は、自然環境から取り出された、単離された、または分離された、核酸配列またはアミノ酸配列のいずれかの分子を意味する。したがって、「単離された核酸配列」は、精製された核酸配列である。「実質的に精製された」分子は、天然でそれらと一体化されている他の成分が少なくとも60%除去、好ましくは少なくとも75%除去、より好ましくは少なくとも90%除去されたものである。
生物のポリペプチド配列または核酸配列に関連する「野生型」、「天然」、または「天然源」という用語は、該生物が天然に存在するものであるか、またはヒトによる改変、突然変異、他の操作がいずれも行われていない少なくとも1つの天然に存在する生物中に入手可能なものであることを意味する。
「ポリヌクレオチド構築物」とは、少なくとも一部分が組換え法により作製された核酸を意味する。「DNA構築物」という用語は、デオキシリボヌクレオチドからなるポリヌクレオチド構築物を意味する。構築物は、一本鎖または好ましくは二本鎖でありうる。構築物は、環状または線状でありうる。当業者は、DNA構築物の1つを取得するためのさまざまな方法に精通している。構築物は、たとえば、Maniatis 1989, Silhavy 1984、およびAusubel 1987に記載されているように、慣用的な組換え技術およびクローニング技術を利用して調製可能である。
「相補的」または「相補性」という用語は、塩基対形成規則により関連付けられるヌクレオチド配列を参照する際に使用される。たとえば、配列5’−AGT−3’は、配列5’−ACT−3’に相補的である。相補性は、「部分的」または「全体的」でありうる。「部分的」相補性とは、塩基対形成規則に基づいて1つ以上の核酸塩基が一致しないものである。「全体的」または「完全」な核酸間相補性とは、塩基対形成規則に基づいてすべての核酸塩基が他の塩基と一致するものである。核酸鎖間の相補度は、核酸鎖間のハイブリダイゼーションの効率および強度に顕著な影響を及ぼす。本明細書中で使用される核酸配列の「相補体」とは、核酸配列の核酸に対して全体的相補性を示す核酸からなるヌクレオチド配列を意味する。
核酸に関連して使用されるときの「相同性」または「同一性」という用語は、相補度を意味する。2つの核酸間の相同性または同一性は、いずれの場合にも、プログラムアルゴリズムGAP(Wisconsin Package Version 10.0, University of Wisconsin, Genetics Computer Group (GCG), Madison, USA)を用いてパラメーターを以下のように設定して比較することにより計算される配列の全長にわたる核酸配列の同一性を意味するものと解釈される:
ギャップ加重: 12 長さ加重: 4
平均マッチ: 2.912 平均ミスマッチ: 2.003。
たとえば、核酸レベルで配列番号20の配列に対して少なくとも95%の相同性(または同一性)を有する配列は、上記のプログラムアルゴリズムにより上記のパラメーターセットを用いて配列番号20の配列と比較したときに、少なくとも95%の相同性を有する配列を意味するものと解釈される。部分的相同性(すなわち100%未満の部分的同一性)または完全な相同性(すなわち100%の完全な同一性)が存在しうる。
他の選択肢として、部分的に相補的な配列は、完全に相補的な配列が標的核酸にハイブリダイズするのを少なくとも部分的に阻害するものであると解釈され、「実質的に相同な」という機能的用語を用いて参照される。標的配列への完全に相補的な配列のハイブリダイゼーションの阻害は、低ストリンジェンシーの条件下でハイブリダイゼーションアッセイ(サザンブロットまたはノーザンブロット、溶液ハイブリダイゼーションなど)を用いて調べることが可能である。実質的に相同な配列またはプローブ(すなわち、対象の他のオリゴヌクレオチドにハイブリダイズしうるオリゴヌクレオチド)は、低ストリンジェンシーの条件下で標的への完全に相同な配列の結合(すなわちハイブリダイゼーション)と競合しそれを阻害するであろう。このことは、低ストリンジェンシーの条件が非特異的結合を許容するものであると言っているわけではなく;低ストリンジェンシーの条件は、2つの配列の相互の結合が特異的(すなわち選択的)作用であることを必要とする。非特異的結合の不在は、部分的相補度(たとえば、約30%未満の同一性)さえも欠如している第2の標的を用いることにより試験可能であり;非特異的結合の不在下では、プローブは、第2の非相補的標的にハイブリダイズしないであろう。
cDNAまたはゲノムクローンのような二本鎖核酸配列に関連して使用する場合、「実質的に相同な」という用語は、以下に記載されるように低ストリンジェンシーの条件下で二本鎖核酸配列の一方もしくは両方の鎖にハイブリダイズしうる任意のプローブを意味する。一本鎖核酸配列に関連して使用する場合、「実質的に相同な」という用語は、以下に記載されるような低ストリンジェンシーの条件下で一本鎖核酸配列にハイブリダイズしうる任意のプローブを意味する。
本明細書中で使用される「ハイブリダイゼーション」という用語は、「核酸の鎖が塩基対形成を介して相補鎖と一体化する任意の過程」を包含する(Coombs 1994)。ハイブリダイゼーションおよびハイブリダイゼーション強度(すなわち核酸間の一体化強度)は、核酸間の相補度、関係する条件のストリンジェンシー、形成されるハイブリッドのTm、および核酸中のG:C比のような因子による影響を受ける。
本明細書中で使用する場合、「Tm」という用語は、「融解温度」を参照する際に使用される。融解温度とは、二本鎖核酸分子の集団が半分解離されて一本鎖になる温度のことである。核酸のTmを計算する式は、当技術分野で周知である。標準的参考文献により示されるように、Tm値の簡単な推定値は、核酸が1M NaClの水溶液中に存在する場合、式:Tm=81.5+0.41(G+Cの%)により計算可能である[たとえば、Anderson and Young, Quantitative Filter Hybridization, in Nucleic Acid Hybridization (1985)を参照されたい]。他の参考文献には、Tmを計算するために構造および配列の特徴を考慮したより高度な計算が記載されている。
核酸ハイブリダイゼーションに関連して使用されるときの低ストリンジェンシーの条件は、約100〜約1,000ヌクレオチド長のDNAプローブを利用する場合、5×SSPE(43.8g/L NaCl、6.9g/L NaHPO・HO、および1.85g/L EDTA、pHはNaOHを用いて7.4に調整される)、1%SDS、5×デンハルト試薬[50×デンハルト試薬は、500mLあたり次の物質を含有する:5gフィコール(Type 400, Pharmacia)、5g BSA(Fraction V; Sigma)]、および100μg/mLの変性サケ精子DNAからなる溶液中、68℃での結合またはハイブリダイゼーションと、それに続く、0.2×SSPEおよび0.1%SDSを含む溶液中、室温での洗浄と、等価の条件を含む。
核酸ハイブリダイゼーションに関連して使用されるときの高ストリンジェンシーの条件は、約100〜約1,000ヌクレオチド長のプローブを利用する場合、5×SSPE、1%SDS、5×デンハルト試薬、および100μg/mLの変性サケ精子DNAからなる溶液中、68℃での結合またはハイブリダイゼーションと、それに続く、0.1×SSPEおよび0.1%SDSを含む溶液中、68℃での洗浄と、等価の条件を含む。
対象のハイブリダイゼーション条件に関連させてハイブリダイゼーション条件を参照するときの「等価な」という用語は、ハイブリダイゼーション条件および対象のハイブリダイゼーション条件が、同一範囲の相同性パーセント(%)を有する核酸配列のハイブリダイゼーションを引き起こすことを意味する。たとえば、対象のハイブリダイゼーション条件が、第1の核酸配列と、第1の核酸配列に対して80%〜90%の相同性を有する他の核酸配列とのハイブリダイゼーションを引き起こす場合、他のハイブリダイゼーション条件は、もしもこの他のハイブリダイゼーション条件もまた、第1の核酸配列と、第1の核酸配列に対して80%〜90%の相同性を有する他の核酸配列とのハイブリダイゼーションを引き起こすのであれば、対象のハイブリダイゼーション条件と等価であると言われる。
核酸ハイブリダイゼーションに関連して使用する場合、低ストリンジェンシーまたは高ストリンジェンシーのいずれかの条件を含む多数の等価な条件を利用しうることは当技術分野で周知であり;プローブの長さおよび性質(DNA、RNA、塩基組成)および標的の性質(DNA、RNA、塩基組成、溶液中に存在するかまたは固定されているかなど)ならびに塩および他の成分の濃度(たとえば、ホルムアミド、デキストラン硫酸、ポリエチレングリコールの存在または不在)のような因子を考慮して、ハイブリダイゼーション溶液を変更することにより、先に列挙した条件とは異なるがそれと等価である低ストリンジェンシーまたは高ストリンジェンシーのいずれかのハイブリダイゼーション条件をもたらすことが可能である。非特異的結合を低減または排除するには、より高いストリンジェンシーが好ましい可能性があり、さまざまな相同性を有するより多数の核酸配列を検出するには、より低いストリンジェンシーが好ましい可能性があることは、当業者の熟知するところである。
「トランスジーン」、「トランスジェニック」、または「組換え」とは、ヒトにより操作されたポリヌクレオチドまたはヒトにより操作されたポリヌクレオチドのコピーもしくは相補体を意味する。たとえば、第2のポリヌクレオチドに機能しうる形で連結されたプロモーターを含むトランスジェニック発現カセットは、発現カセットを含む単離された核酸のヒトによる操作の結果として第2のポリヌクレオチドに対して異種であるプロモーターを含みうる(たとえば、Sambrook 1989, or Current Protocols in Molecular Biology Volumes 1-3, John Wiley & Sons, Inc. (1994-1998)に記載の方法により)。他の例では、組換え発現カセットは、ポリヌクレオチドが天然に見いだされるものと極端に異なるように組み合わされたポリヌクレオチドを含みうる。たとえば、ヒトにより操作された制限部位またはプラスミドベクター配列により、プロモーターを第2のポリヌクレオチドにつなげたりまたはそれから分離したりすることが可能である。当業者であればわかるであろうが、ポリヌクレオチドは、多くの方法で操作可能であり、上述の例に限定されるものではない。
本明細書中で使用される「トランスジェニック」または「組換え」という用語(たとえば、植物細胞または植物体に関連して)は、トランスジーンを含有するか、またはトランスジーンの導入により改変されたゲノムを有するか、または組み込まれた外来の遺伝子もしくはDNA配列(たとえば、限定されるものではないが、おそらく通常は存在しない遺伝子もしくはDNA配列、所与の細胞型で通常は転写および翻訳(「発現」)されない遺伝子、または形質転換されていない細胞および/もしくは植物体に導入することが望まれる任意の他の遺伝子もしくはDNA配列、たとえば、形質転換されていない細胞および/もしくは植物体に通常存在しうるが発現を改変することが望まれる遺伝子)を有する、細胞および/または植物体を意味するものとする。好ましくは、核酸に関連して本明細書中で使用される「組換え」という用語は、核酸が、その自然環境では隣接していない核酸に隣接して共有結合されることを意味する。トランスジェニックな細胞、組織、および植物体は、ヒトが介入して核酸(通常はDNA)を含む「トランスジーン」を標的細胞に導入したりまたはトランスジーンを標的細胞の染色体に組み込んだりすることを含むいくつかの方法により、たとえば、本明細書に記載の方法により、生産可能である。
本明細書中で使用される「トランスジーン」という用語は、実験操作により細胞のゲノム中に導入される任意の核酸配列を意味する。トランスジーンは、「内因性DNA配列」または「異種DNA配列」(すなわち「外来DNA」)でありうる。「内因性DNA配列」という用語は、天然に存在する配列と比較してなんら改変(たとえば、点突然変異、選択マーカー遺伝子の存在など)を含有しない限りにおいて、導入される細胞中に天然に見いだされるヌクレオチド配列を意味する。
たとえば核酸配列(または該核酸配列を含む生物、発現構築物、もしくはベクター)に関連する「トランスジーン」または「トランスジェニック」という用語は、実験操作により生成されるすべての構築物を意味する。ただし、
a)該核酸配列、または
b)該核酸配列a)に機能しうる形で連結された遺伝子制御配列、たとえばプロモーター、または
c)(a)および(b)、
はいずれも、その天然の遺伝子環境で配置されていないか、または実験操作により改変されている。改変の例は、1つ以上のヌクレオチド残基の置換、付加、欠失、逆位、または挿入である。天然の遺伝子環境とは、起源の生物における天然の染色体座またはゲノムライブラリーにおける存在を意味する。ゲノムライブラリーの場合、核酸配列の天然の遺伝子環境は、好ましくは、少なくとも部分的に保持される。該環境は、核酸配列の少なくとも一方の側につなげられ、少なくとも50bp、好ましくは少なくとも500bp、とくに好ましくは少なくとも1、000bp、なかでもとくに好ましくは少なくとも5,000bpの長さを有する。天然に存在する発現構築物(たとえば、プロモーターと対応する遺伝子との天然に存在する組合せ)は、たとえば突然変異誘発のような非自然的合成的「人工的」方法により改変された場合、トランスジェニック発現構築物になる。そのような方法は報告されている(US5,565,350;WO 00/15815)。
「異種核酸配列」または「異種DNA」という用語は、天然では連結されないかまたは天然では異なる位置に連結されている核酸配列に連結されたかまたは連結されるように操作されたヌクレオチド配列を参照すべく同義的に使用される。異種DNAは、それが導入される細胞に内在するものではなく、他の細胞から取得されたものである。異種DNAはまた、なんらかの改変を含有する内因性DNA配列を包含する。一般的には、異種DNAは、それが発現される細胞により通常は産生されないRNAおよびタンパク質をコードするが、必ずしもそうであるとはかぎらない。異種DNAの例としては、レポーター遺伝子、転写および翻訳の調節配列、選択マーカータンパク質(たとえば、薬剤耐性を付与するタンパク質)などが挙げられる。好ましくは、調節配列(たとえば、本発明に係るプロモーター)に関連する「トランスジェニック」または「組換え」という用語は、該調節配列が、その自然環境では隣接していない核酸に隣接して共有結合されることを意味する。
「外来遺伝子」という用語は、実験操作により細胞のゲノム中に導入される任意の核酸(たとえば、遺伝子配列)を意味し、導入される遺伝子が、天然に存在する遺伝子と比較してなんらかの改変(たとえば、点突然変異、選択マーカー遺伝子の存在など)を含有する限りにおいて、その細胞中に見いだされる遺伝子配列を含みうる。
「組換え」ポリペプチドまたはタンパク質とは、組換えDNA技術により作製されたポリペプチドまたはタンパク質、すなわち、所望のポリペプチドまたはタンパク質をコードする外因性組換えDNA構築物により形質転換された細胞から産生されたポリペプチドまたはタンパク質を意味する。組換え核酸およびポリペプチドはまた、その状態で天然に存在するものではなく、ヒトにより改変、変更、突然変異、または他の操作が行われた分子を包含しうる。好ましくは、「組換えポリペプチド」は、配列中の少なくとも1つのアミノ酸残基が天然に存在するポリペプチドのものと異なる天然に存在しないポリペプチドである。前記組換えポリペプチドおよび/または核酸を作製するための好ましい方法は、限定的もしくは非限定的突然変異誘発、DNAシャッフリング、または他の反復的組換え法を包含しうる。
「遺伝子改変生物」または「GMO」という用語は、トランスジーンDNAを含む任意の生物を意味する。代表的な生物としては、植物、動物、および微生物が挙げられる。
本明細書中で使用される「細胞」または「植物細胞」という用語は、単一細胞を意味する。複数形の「細胞」という用語は、細胞の集団を意味する。集団は、1つの細胞型を含む純粋な集団でありうる。同様に、集団は、2つ以上の細胞型を含みうる。本発明では、細胞集団が含みうる細胞型の数に制限はない。細胞は、同調的であっても同調的でなくてもよい。本発明の意味の範囲内の植物細胞は、単離されたもの(たとえば、懸濁培養状態のもの)であってもよいし、任意の発育段階の植物組織、植物器官、または植物体に含まれるものであってもよい。
植物に関連する「器官」(または「植物器官」)という用語は、植物の一部分を意味し、たとえば、根、果実、苗条、茎、葉、葯、萼片、花弁、花粉、種子などを包含する(ただし、これらに限定されるものではない)。
植物に関連する「組織」(または「植物組織」)という用語は、植物の分化組織または未分化組織を含めて複数の植物細胞の構成体を意味する。植物組織は、植物器官の一部分(たとえば、植物の葉の表皮)を構成しうるだけでなく、腫瘍組織(たとえば、カルス組織)および培養下の種々の細胞型(たとえば、単一細胞、プロトプラスト、胚、カルス、プロトコーム様体など)をも構成しうる。植物組織は、植物内、器官培養物中、組織培養中、または細胞培養物中に存在しうる。
本明細書中で使用される「植物」という用語は、複数の植物細胞を意味し、その大部分は、植物の発育の任意の段階で存在する構造体に分化されている。そのような構造体としては、1つ以上の植物器官、たとえば、果実、苗条、茎、葉、花弁などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。好ましくは、「植物」という用語は、全植物体、苗条の栄養器官/構造体(たとえば、葉、茎、および塊茎)、根、花および花の器官/構造体(たとえば、苞葉、萼片、花弁、雄蕊、心皮、葯、および胚珠)、種子(胚、胚乳、および種皮を含む)および果実(成熟子房)、植物の組織(たとえば、維管束組織、基本組織など)および細胞(たとえば、孔辺細胞、卵細胞、毛状突起など)、ならびにそれらの後代を包含する。本発明に係る方法に使用しうる植物のクラスは、一般的には、形質転換技術に適した高等植物および下等植物のクラスと同程度に広範囲であり、たとえば、被子植物(単子葉植物および双子葉植物)、裸子植物、シダ類、および多細胞藻類が挙げられる。それは、異数体、倍数体、二倍体、一倍体、および半接合体をはじめとするさまざまな倍数レベルの植物を包含する。植物界の高等植物および下等植物の属および種はすべて、本発明の範囲内に包含される。さらに、成熟植物体、種子、苗条および苗、ならびに一部分、増殖材料(たとえば、種子および果実)、さらにはそれから誘導される培養物、たとえば細胞培養物が包含される。好ましいのは、次の植物科の植物および植物材料である:ヒユ科(Amaranthaceae)、アブラナ科(Brassicaceae)、ナデシコ科(Carophyllaceae)、アカザ科(Chenopodiaceae)、キク科(Compositae)、ウリ科(Cucurbitaceae)、シソ科(Labiatae)、マメ科(Leguminosae)、ソラマメ亜科(Papilionoideae)、ユリ科(Liliaceae)、アマ科(Linaceae)、アオイ科(Malvaceae)、バラ科(Rosaceae)、ユキノシタ科(Saxifragaceae)、ゴマノハグサ科(Scrophulariaceae)、ナス科(Solanaceae)、ツルナ科(Tetragoniaceae)。
一年生植物、多年生植物、単子葉植物、および双子葉植物は、トランスジェニック植物を作製させるのに好ましい宿主生物である。本発明に係る組換え系または方法の使用はさらに、すべての観賞植物、林業用、果実用、もしくは観賞用の高木、花、切花、低木、または芝生に有利である。前記植物としては、コケ植物、たとえば、苔綱(Hepaticae)(ゼニゴケ)および蘚綱(Musci)(スギゴケ);シダ植物、たとえば、シダ、トクサ、およびヒカゲノカズラ;裸子植物、たとえば、針葉樹、ソテツ、イチョウ、およびグネツム綱(Gnetaeae);藻類、たとえば、緑藻綱(Chlorophyceae)、褐藻綱(Phaeophpyceae)、紅藻網(Rhodophyceae)、藍藻綱(Myxophyceae)、黄緑藻綱(Xanthophyceae)、珪藻綱(Bacillariophyceae)(珪藻)、およびユーグレナ藻綱(Euglenophyceae)が挙げられうるが、これらに限定されるものではない。
本発明の目的に合った植物は、バラのようなバラ科(Rosaceae)、ロードデンドロンやアザレアのようなツツジ科(Ericaceae)、ポインセチアやクロトンのようなトウダイグサ科(Euphorbiaceae)、ナデシコのようなナデシコ科(Caryophyllaceae)、ペチュニアのようなナス科(Solanaceae)、アフリカスミレのようなイワタバコ科(Gesneriaceae)、キツリフネのようなツリフネソウ科(Balsaminaceae)、ランのようなラン科(Orchidaceae)、グラジオラス、アイリス、フリージア、およびクロッカスのようなアヤメ科(Iridaceae)、マリーゴールドのようなキク科(Compositae)、ゼラニウムのようなフウロソウ科(Geraniaceae)、ドラセナ(Drachaena)のようなユリ科(Liliaceae)、イチジクのようなクワ科(Moraceae)、フィロデンドロンのようなサトイモ科(Araceae)、ならびにその他多数を包含する。
本発明に係るトランスジェニック植物はさらに、とくに、双子葉作物の中から、たとえば、エンドウ豆、アルファルファ、およびダイズのようなマメ科(Leguminosae);セリ科(Umbelliferae)、とくに、ニンジン属(Daucus)(なかでもとくにキャロタ(carota)種(ニンジン))およびオランダミツバ属(Apium)(なかでもとくにグラベオレンス・バル・ダルス(graveolens var. dulce)種(セロリ))、ならびにその他多数;ナス科(Solanaceae)、とくに、トマト属(Lycopersicon)、なかでもとくにエスクレンタム(esculentum)種(トマト)、およびナス属(Solanum)、なかでもとくにツベロスム(tuberosum)種(ジャガイモ)およびメロンゲナ(melongena)種(ナス)、タバコ、ならびにその他多数;さらにはトウガラシ属(Capsicum)、なかでもとくにアヌム(annum)種(コショウ)およびその他多数;マメ科(Leguminosae)、とくにダイズ属(Glycine)、なかでもとくにマックス(max)種(ダイズ)およびその他多数;アブラナ科(Cruciferae)、とくにアブラナ属(Brassica)、なかでもとくにナプス(napus)種(アブラナ)、カンペストリス(campestris)種(ビート)、オレラセア(oleracea)栽培種タスティー(キャベツ)、オレラセア(oleracea)栽培種スノーボールY(カリフラワー)、およびオレラセア(oleracea)栽培種エンペラー(ブロッコリー);ならびにシロイヌナズナ属(Arabidopsis)、なかでもとくにタリアナ(thaliana)種およびその他多数;さらにはキク科(Compositae)、とくにアキノノゲシ属(Lactuca)、なかでもとくにサティバ(sativa)種(レタス)およびその他多数;から選択される。
本発明に係るトランスジェニック植物は、とくに単子葉作物の中から、たとえば、コムギ、オオムギ、モロコシおよびアワ、ライムギ、ライコムギ、トウモロコシ、イネ、またはオートムギのような穀類、およびサトウキビから選択される。さらに好ましいのは、リンゴ、セイヨウナシ、カリン、プラム、サクランボ、モモ、ネクタリン、アンズ、パパイア、マンゴーのような高木、および他の木質種、たとえば、ポプラ、マツ、セコイア、シーダー、オークなどのような針葉樹および落葉樹である。とくに好ましいのは、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)、タバコ(Nicotiana tabacum)、アブラナ、ダイズ、トウモロコシ(メイズ)、コムギ、アマニ、ジャガイモ、およびマンジュギク(tagetes)である。
本明細書中で使用される「形質転換の効率」または「形質転換の頻度」は、標準的実験条件下(すなわち、外来DNAに接触した細胞の量、送達されたDNAの量、DNA送達のタイプおよび条件、一般的培養条件などに関して標準化または規格化された実験条件下)で回収される形質転換細胞(または個々の形質転換細胞から成長させたトランスジェニック生物)の数により測定することが可能である。たとえば、分離された葉柄を形質転換の出発材料として使用した場合、形質転換の頻度は、形質転換された葉柄1つあたり得られるトランスジェニック苗条(または得られる稔性植物系)の数として表すことが可能である。
「発現」という用語は、遺伝子産物の生合成を意味する。たとえば、構造遺伝子の場合、発現は、構造遺伝子からmRNAへの転写および(場合により)それに続くmRNAから1種以上のポリペプチドへの翻訳を含む。
本明細書中で使用される「発現カセット」または「発現構築物」という用語は、機能しうる形で連結されて発現される任意の核酸配列と、該核酸配列の発現を促進するプロモーター配列および(場合により)さらなるエレメント(たとえば、ターミネーターおよび/またはポリアデニル化配列など)との組合せを意味するものとする。
本明細書中で使用される「プロモーター」、「プロモーターエレメント」、または「プロモーター配列」とは、対象のヌクレオチド配列に連結されたときに対象のヌクレオチド配列からmRNAへの転写を制御しうるDNA配列を意味する。プロモーターは、典型的には、必ずというわけではないが、mRNAへの転写が制御される対象のヌクレオチド配列の5’側(すなわち上流)に(たとえば、構造遺伝子の転写開始部位に近接して)位置し、転写を開始するためにRNAポリメラーゼおよび他の転写因子による特異的結合の部位を提供する。ポリヌクレオチド配列は、外来種に由来する場合、生物または第2のポリヌクレオチド配列「に対して異種」であり、同一種に由来する場合、その元の形態から改変されている。たとえば、異種コード配列に機能しうる形で連結されたプロモーターとは、プロモーターの由来である種と異なる種に由来するコード配列であることを意味するか、または同一種に由来する場合、天然でプロモーターに一体化されていないコード配列(たとえば、遺伝工学処理の施されたコード配列または異なる生態型もしくは品種に由来する対立遺伝子)であることを意味する。好適なプロモーターは、植物または植物病原体、たとえば植物ウイルスなどに由来することが可能である。
プロモーターが誘導性プロモーターである場合、転写の速度は、誘導剤に応答して増大する。これとは対照的に、プロモーターが構成的プロモーターである場合、転写の速度は誘導剤により調節されない。また、葉、根、または成長点のような特定の組織型においてのみ関連コード領域の転写に関して活性であるように、組織特異的または組織優先的にプロモーターを調節することが可能である。プロモーターに適用される「組織特異的」という用語は、異なる組織型(たとえば、根)において対象の同一ヌクレオチド配列の発現が相対的に不在の状態で、特定の組織型(たとえば、花弁)に対して対象のヌクレオチド配列の選択的発現を指令しうるプロモーターを意味する。プロモーターの組織特異性は、たとえば、レポーター遺伝子をプロモーター配列に機能しうる形で連結させてレポーター構築物を作製し、得られるトランスジェニック植物のすべての組織にレポーター構築物が組み込まれるようにレポーター構築物を植物のゲノム中に導入し、そしてトランスジェニック植物の異なる組織においてレポーター遺伝子の発現を検出することにより(たとえば、レポーター遺伝子によりコードされるmRNA、タンパク質、またはタンパク質の活性を検出することにより)、評価することが可能である。他の組織におけるレポーター遺伝子の発現レベルを基準にして1つ以上の組織においてレポーター遺伝子の発現レベルの増大が検出された場合、プロモーターは発現レベルの増大が検出される組織に特異的であることが示唆される。プロモーターに適用される「細胞型特異的」という用語は、同一組織内の異なる細胞型において対象の同一ヌクレオチド配列の発現が相対的に不在の状態で、特定の細胞型において対象のヌクレオチド配列の選択的発現を指令しうるプロモーターを意味する。プロモーターに適用されたときの「細胞型特異的」という用語はまた、単一組織内の領域において対象のヌクレオチド配列の選択的発現を促進しうるプロモーターを意味する。プロモーターの細胞型特異性は、当技術分野で周知の方法、たとえば、GUS活性染色(たとえば実施例7に記載のもの)または免疫組織化学的染色を用いて、評価可能である。簡潔に述べると、組織切片をパラフィン中に包埋し、パラフィン切片を、プロモーターにより発現が制御された対象のヌクレオチド配列によりコードされるポリペプチド産物に特異的な一次抗体と反応させる。一次抗体に特異的な標識化(たとえば、ペルオキシダーゼコンジュゲート化)二次抗体を切片組織に結合させて、特異的結合を顕微鏡法により検出する(たとえば、アビジン/ビオチンを用いる)。プロモーターは、構成的または調節的でありうる。プロモーターを参照するときの「構成的」という用語は、プロモーターが、刺激(たとえば、熱ショック、化学物質、光など)の不在下で、機能しうる形で連結された核酸配列の転写を指令しうることを意味する。典型的には、構成的プロモーターは、実質的に任意の細胞および任意の組織においてトランスジーンの発現を指令しうる。これとは対照的に、「調節的」プロモーターは、刺激の不在下における機能しうる形で連結された核酸配列の転写レベルとは異なるレベルで、刺激(たとえば、熱ショック、化学物質、光など)の存在下における機能しうる形で連結された核酸配列の転写を指令しうるプロモーターである。
トランスジェニックな植物または他の生物のすべての組織において遺伝子の発現が望まれる場合、一般的にはほとんどの環境条件および発育または細胞分化の段階で活性である「構成的」プロモーターを使用することが可能である(Benfey 1989)。植物に有用なプロモーターとしては、TiプラスミドもしくはRiプラスミドから、植物細胞、植物ウイルス、または植物において機能的であることが明らかにされているプロモーターを含む、他の生物から得られるものも挙げられる。植物において機能し、したがって、本発明に係る方法に使用するのに好適である細菌性プロモーターとしては、オクトピンシンテターゼプロモーター、ノパリンシンターゼプロモーター、およびマンノピンシンテターゼプロモーターが挙げられる。形質遺伝子および/または選択マーカーの発現を制御するプロモーターは、構成的でありうる。植物で使用するのにの好適な構成的プロモーターとしては、たとえば、カリフラワーモザイクウイルス(CaMV)の35S転写開始領域(Franck 1980; Odell 1985; Shewmaker 1985; Gardner 1986)、19S転写開始領域(US5,352,605およびWO 84/02913)、および領域VIプロモーター、アグロバクテリウム・ツメファシエンスのT−DNAに由来する1’または2’プロモーター、ならびに当業者に公知の植物細胞で活性な他のプロモーターが挙げられる。他の好適なプロモーターとしては、ゴマノハグサモザイクウイルスに由来する全長転写プロモーター、アクチンプロモーター(たとえば、コメアクチンプロモーター;McElroy 1990)、ヒストンプロモーター、チューブリンプロモーター、またはマンノピンシンターゼプロモーター(MAS)が挙げられる。他の構成的植物プロモーターとしては、種々のユビキチンまたはポリユビキチンプロモーター(Sun 1997; Christensen 1989, 1992; Bruce 1989; Holtorf 1995)、mas、Mac、またはDoubleMacプロモーター(US5,106,739; Comai 1990)、ユビキチンプロモーター(Holtorf 1995)、ルビスコ小サブユニット(SSU)プロモーター(US4,962,028)、レグミンBプロモーター(GenBank No. X03677)、アグロバクテリウム由来のノパリンシンターゼ(NOS)のプロモーター、TRデュアルプロモーター、アグロバクテリウム由来のオクトピンシンターゼ(OCS)プロモーター、Smasプロモーター、シンナミルアルコールデヒドロゲナーゼプロモーター(US 5,683,439)、液胞ATPアーゼサブユニットのプロモーター、pEMUプロモーター(Last 1991);MASプロモーター(Velten 1984)、トウモロコシH3ヒストンプロモーター(Lepetit 1992; Atanassova 1992)、α−コングリシニンプロモーター、ファセオリンプロモーター、ADHプロモーター、および熱ショックプロモーター、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)由来のニトリラーゼプロモーター(WO 03/008596;GenBank登録番号:U38846、ヌクレオチド3,862−5,325または5,342)、コムギ由来の高プロリンタンパク質のプロモーター(WO 91/13991)、エンドウマメ(Pisum sativum)ptxA遺伝子のプロモーター、および当業者に公知の種々の植物遺伝子由来の他の転写開始領域が挙げられる。
当然ながら、プロモーターは、ただ1つまたはいくつかの組織において常に発現を調節することが可能である。他の選択肢として、プロモーターは、すべての組織において発現を調節することが可能であるが、ただし、特定の発育時点でのみ可能である。先に述べたように、切除プロモーター(すなわち、配列特異的DNA切断ポリヌクレオチドに連結されたプロモーター)は、一般的には構成的でないが、その代わりに、生活環の一部分またはトランスジェニック生物の少なくとも1つの組織でのみ活性である。特定の組織において対象の遺伝子の発現を指令するか、さもなければより正確な環境もしくは発育の制御下にあるプロモーターを使用することが可能である。誘導性プロモーターによる転写に影響を及ぼしうる環境条件の例としては、病原体攻撃、嫌気的条件、エチレン、または光の存在が挙げられる。発育制御下のプロモーターとしては、葉、果実、種子、もしくは花、またはそれらの一部分のような特定の組織または器官においてのみ転写を開始するプロモーターが挙げられる。プロモーターの作用はまた、ゲノム中のその位置に依存して異なりうる。したがって、誘導性プロモーターは、特定の位置において完全にもしくは部分的に構成的になりうる。発育制御下の組織特異的植物プロモーターの例としては、果実、種子、花、葯、子房、花粉、成長点、花、葉、茎、根、および種子のような特定の組織においてのみ転写を開始するプロモーターが挙げられる。トマトに由来する組織特異的ESプロモーターは、所望の遺伝子産物が果実に位置するように遺伝子発現を指令するのにとくに有用である(たとえば、Lincoln 1988; Deikman 1988, 1992を参照されたい)。他の好適な種子特異的プロモーターとしては、次の遺伝子に由来するものが挙げられる:トウモロコシ由来のMAC1(Sheridan 1996)、トウモロコシ由来のCat3(GenBank No.L05934, Abler 1993)、トウモロコシ由来のオレオシン18kDをコードする遺伝子(GenBank No.J05212, Lee 1994)、シロイヌナズナ属(Arabidopsis)由来のviviparous−1(Genbank No.U93215)、シロイヌナズナ属(Arabidopsis)由来のオレオシンをコードする遺伝子(Genbank No.Z17657)、シロイヌナズナ属(Arabidopsis)由来のAtmycl(Urao 1996)、シロイヌナズナ属(Arabidopsis)由来の2S種子貯蔵タンパク質遺伝子ファミリー(Conceicao 1994)、ブラシカ・ナプス(Brassica napus)由来のオレオシン20kDをコードする遺伝子、ブラシカ・ナプス(Brassica napus)由来のナピン(GenBank No.J02798, Josefsson 1987)、ナピン遺伝子ファミリー(たとえば、ブラシカ・ナプス(Brassica napus)由来;Sjodahl 1995, US5,608,152; Stalberg 1996)ブラシカ・ナプス(Brassica napus)由来の2S貯蔵蛋白質をコードする遺伝子(Dasgupta 1993)、ダイズ由来のオレオシンA(Genbank No.U09118)およびオレオシンB(Genbank No.U09119)をコードする遺伝子、ダイズ由来の低分子量高硫黄タンパク質をコードする遺伝子(Choi 1995)、ファセオリン遺伝子(US5,504,200, Bustos 1989; Murai 1983; Sengupta-Gopalan 1985)、2Sアルブミン遺伝子(Joseffson 1987)、レグミン遺伝子(Shirsat 1989)、USP(未知種子タンパク質)遺伝子(Baumlein 1991)、スクロース結合タンパク質遺伝子(WO 00/26388)、レグミンB4遺伝子(LeB4;Baumlein 1991a,b; 1992; Fiedler 1995)、アラビドプシス・オレオシン(Arabidopsis oleosin)遺伝子(WO 98/45461)、アブラナ属(Brassica)Bce4遺伝子(WO 91/13980)、「高分子量グルテニン」(HMWG)、グリアジン、分枝酵素、ADP−グルコースピロホスファターゼ(AGPアーゼ)、またはデンプンシンターゼをコードする遺伝子。さらに好ましいプロモーターは、トウモロコシ、オオムギ、コムギ、ライムギ、イネなどのような単子葉植物において種子特異的発現を可能にするものである。有利に利用可能なプロモーターは、Ipt2またはIpt1遺伝子(WO 95/15389、WO 95/23230)のプロモーターまたはWO 99/16890に記載のプロモーター(ホルデイン遺伝子、グルテリン遺伝子、オリジン遺伝子、プロラミン遺伝子、グリアジン遺伝子、ゼイン遺伝子、カシリン遺伝子、またはセカリン遺伝子のプロモーター)である。さらに好ましいのは、葉特異的および光誘導性のプロモーター、たとえば、cabまたはルビスコに由来するもの(Simpson 1985; Timko 1985);葯特異的プロモーター、たとえば、LAT52に由来するもの(Twell 1989b);花粉特異的プロモーター、たとえば、Zml3に由来するもの(Guerrero 1993);および小胞子優先的プロモーター、たとえば、apgに由来するもの(Twell 1993)である。さらなる好適なプロモーターは、たとえば、塊茎、貯蔵根、もしくは根に特異的なプロモーター、たとえば、クラスIパタチンプロモーター(B33)、ジャガイモカテプシンD阻害剤プロモーター、デンプンシンターゼ(GBSS1)プロモーター、またはスポラミンプロモーター、さらには果実特異的プロモーター、たとえば、トマト果実特異的プロモーターである(EP−A 409 625)。
さらに好適なプロモーターは、葉特異的発現を保証するものである。プロモーターとして挙げられうるのは、ジャガイモサイトゾルFBPアーゼプロモーター(WO 98/18940)、ルビスコ(リブロース−1,5−ビスホスフェートカルボキシラーゼ)SSU(小サブユニット)プロモーター、またはジャガイモST−LSIプロモーター(Stockhaus 1989)である。他の好ましいプロモーターは、種子および植物胚における発現を支配するものである。
さらなる好適なプロモーターは、たとえば、果実成熟特異的プロモーター、たとえば、トマト果実成熟特異的プロモーター(WO 94/21794)など、花特異的プロモーター、たとえば、フィトエンシンターゼプロモーター(WO 92/16635)もしくはP1−rr遺伝子のプロモーター(WO 98/22593)などであり、またはEP−A 249676に記載されているような他の節特異的プロモーターが有利に使用可能である。プロモーターはまた、WO 93/07278に記載されているような植物TrpA遺伝子から単離されたプロモーターのような髄特異的プロモーターでもありうる。とくに、発育調節性プロモーターが報告されている(Baerson 1993)。
発現カセットはまた、植物において外来遺伝子の発現を特定の時点で制御しうる化学的誘導性プロモーター(総説:Gatz 1997)を含有しうる。そのようなプロモーター、たとえば、PRP1プロモーター(Ward 1993)、サリチル酸誘導性プロモーター(WO 95/19443)、ベンゼンスルホンアミド誘導性プロモーター(EP 0 388 1866)、テトラサイクリン誘導性プロモーター(Gatz 1991, 1992)、アブシジン酸誘導性プロモーター(EP 0 335 528)、またはエタノールシクロヘキサノン誘導性プロモーター(WO 93/21334)なども、同様に使用することが可能である。同様に好適なのは、グルタチオン−S−トランスフェラーゼアイソフォームII遺伝子(GST−II−27)のプロモーターであり、これは、たとえば、N,N−ジアリル−2,2−ジクロロアセトアミドのような外因的に適用される薬害軽減剤により活性化可能であり(WO 93/01294)、単子葉植物および双子葉植物の両方の多数の組織において作用可能である。本発明で利用しうるさらなる代表的な誘導性プロモーターとしては、銅に応答するACE1系に由来するもの(Mett 1993);またはベンゼンスルホンアミド除草剤薬害軽減剤(Hershey 1991 ; Gatz 1994)に応答するトウモロコシ由来のIn2プロモーターが挙げられる。植物が通常は応答しない誘導剤に応答するプロモーターを利用することが可能である。代表的な誘導性プロモーターは、ステロイドホルモン遺伝子に由来する誘導性プロモーターであり、その転写活性はグルココルチコステロイドホルモンにより誘導される(Schena 1991)。他の好ましいプロモーターは、生物的もしくは非生物的ストレスにより誘導されるプロモーター、たとえば、PRP1遺伝子の病原体誘導性プロモーター(Ward 1993)、トマト熱誘導性hsp80プロモーター(US5,187,267)、ジャガイモ低温誘導性α−アミラーゼプロモーター(WO 96/12814)、または創傷誘導性pinIIプロモーター(EP−AI 0 375 091)である。
プロモーターはまた、発現特異的特性を改変しうるさらなるプロモーター、プロモーターエレメント、または最小プロモーターを包含しうる。したがって、たとえば、組織特異的発現はさらに、遺伝子制御配列に基づいて、特定のストレス因子の関数として行われうる。そのようなエレメントは、たとえば、水ストレス、アブシジン酸(Lam 1991)、および熱ストレス(Schoffl 1989)に関連して報告されている。
「機能しうる形の連結」または「機能しうる形で連結された」という用語は、各調節エレメントがその目標機能を発揮して、核酸配列の発現を可能にしたり、改変したり、促進したり、または他の形で発現に影響を及ぼしたりすることができるように、たとえば、調節エレメント(たとえばプロモーター)と、発現される核酸配列および適切であればさらなる調節エレメント(たとえばターミネーターなど)と、が連続的に配置されることを意味すると解釈されるものとする。発現は、センスRNAまたはアンチセンスRNAに関連する核酸配列の構成に応じて起こりうる。この目的のために、化学的意味の直接的結合が必ずしも必要とされるわけではない。たとえばエンハンサー配列のような遺伝子制御配列はまた、さらに離れた位置から、または実際には他のDNA分子から、標的配列に対してそれらの機能を発揮することも可能である。好ましい構成は、組換え発現される核酸配列をプロモーターとして作用する配列の後方に配置して2つの配列を互いに共有結合させたものである。プロモーター配列と組換え発現される核酸配列との間の距離は、好ましくは200塩基対未満、とくに好ましくは100塩基対未満、なかでもとくに好ましくは50塩基対未満である。機能しうる形の連結および発現構築物は、報告されている慣用的な組換え技術およびクローニング技術により形成可能である(たとえば、Maniatis 1989; Silhavy 1984; Ausubel 1987; Gelvin 1990)。しかしながら、たとえば、制限酵素のための特定の切断部位を有するリンカーとしてまたはシグナルペプチドとして作用するさらなる配列を2つの配列間に配置することも可能である。また、配列の挿入により、融合タンパク質の発現を引き起こすことも可能である。好ましくは、プロモーターと発現される核酸配列との連結よりなる発現構築物は、ベクターに組み込まれた形態で存在し、たとえば、形質転換により植物ゲノム中に挿入することが可能である。
本明細書中で使用される「形質転換」という用語は、細胞内への遺伝物質(たとえばトランスジーン)の導入を意味する。細胞の形質転換は、安定的または一過的でありうる。「一過的形質転換」または「一過的に形質転換された」という用語は、宿主細胞のゲノム中へのトランスジーンの組込みの不在下における細胞内への1つ以上のトランスジーンの導入を意味する。一過的形質転換は、たとえば、1つ以上のトランスジーンによりコードされたポリペプチドの存在を検出する酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)により、検出可能である。他の選択肢として、一過的形質転換は、本明細書中で実証されるように、トランスジーン(たとえば、uid A遺伝子)によりコードされるタンパク質(たとえば、β−グルクロニダーゼ)の活性を検出することにより、検出可能である[たとえば、GUS酵素の存在下で青色沈殿を与えるX−glucで染色することによるGUS酵素活性の組織化学的アッセイ;およびGUS−Lightキット(Tropix)を用いるGUS酵素活性の化学発光アッセイ]。「一過的形質転換体」という用語は、一過的に組み込まれた1つ以上のトランスジーンを有する細胞を意味する。これとは対照的に、「安定的形質転換」または「安定的に形質転換された」という用語は、細胞のゲノム中への1つ以上のトランスジーンの導入および組込みを意味し、好ましくは、減数分裂を介して染色体内組込みおよび安定的遺伝力を生じる。細胞の安定的形質転換は、1つ以上のトランスジーンに結合しうる核酸配列を用いて細胞のゲノムDNAのサザンブロットハイブリダイゼーションを行うことにより検出可能である。他の選択肢として、細胞の安定的形質転換はまた、細胞のゲノムDNAのポリメラーゼ連鎖反応を行ってトランスジーン配列を増幅することにより検出することも可能である。「安定的形質転換体」という用語は、ゲノムDNA中に安定的に組み込まれた1つ以上のトランスジーンを有する細胞を意味する。したがって、安定的形質転換体に由来するゲノムDNAは1つ以上のトランスジーンを含有するが、一過的形質転換体に由来するゲノムDNAはトランスジーンを含有しないという点で、安定的形質転換体は、一過的形質転換体と区別される。形質転換はまた、減数分裂安定性に関してさまざまな性質を呈しうる染色体外での複製および遺伝子発現を含む植物ウイルスベクターの形態で植物細胞中に遺伝物質を導入することを含む。
細菌に関して「感染性」および「感染」という用語は、細菌中に含まれる核酸配列が標的生物学的サンプルの1つ以上の細胞中に導入されるような条件下における標的生物学的サンプル(たとえば、細胞、組織など)と細菌との共インキュベーションを意味する。
「成長点」または「分裂組織細胞」または「分裂組織」という用語は、同義的に使用可能であり、茎または根の先端で見いだされるように継続的に分裂して新しい細胞を形成する未分化植物組織を意味するものとする。
「節」という用語は、葉が結合されているかまたは結合されていた茎上の点を意味するものとする。「節間」という用語は、茎上の2つの節間の区画または部分を意味するものとする。
「葉柄(petiole)」という用語は、葉を茎に結合させる柄を意味するものとする。これは、葉柄(leaf-stalk)とも呼ばれる。
「腋芽」という用語は、保護鱗片で囲まれていることもありかつ未発育の苗条、葉、または花を含有する、茎または枝に沿った小突起を意味するものとする。これは、側芽とも呼ばれる。
「胚軸」という用語は、子葉(seed leaves(cotyledons))と根との間の茎の部分を意味するものとする。「葉腋」という用語は、葉と茎との間の角度を意味するものとする。腋芽は葉腋で生じる。
「子葉(cotyledon)」という用語は、種子植物の胚の葉を意味するものとする。これは、発芽時に種子中に残存するかまたは出芽し生長し緑色になる。これは、子葉(seed leaf)とも呼ばれる。ダイズ種子は、子葉(cotyledonsまたはseed leaves)である2つの半切り種子よりなる。2つの子葉は、苗立ちするまで苗を育てる養分および栄養素を含有する。子葉の色は、発育状態の莢中では緑色であるが、植物が成熟するにつれて黄色に変化する。胚軸は、子葉間に位置し、珠孔に最も近い端部近傍でそれらに結合されている。
本明細書中で使用される「アグロバクテリウム」という用語は、土壌のグラム陰性桿状植物病原性細菌を意味する。アグロバクテリウムは、リゾビウム、シノリゾビウム、およびアロリゾビウムと共に、リゾビウム細菌科の属であり(Kersters and De Ley. 1984)、リボソーム特性に基づいてプロテオバクテリアのα−2亜綱に組み入れられてきた(Willems and Collins. 1993)。この科のメンバーは、好気性グラム陰性である。細胞は、通常、桿状であり(0.6〜1.0μm×1.5〜3.0μm)、内生胞子を伴うことなく、単独でまたは対をなして存在し、1〜6本の周毛性鞭毛により運動性である。炭水化物含有培地で増殖中に、通常、多量の細胞外多糖粘液が産生される。アグロバクテリウム、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(別名アグロバクテリウム・ラジオバクター)、アグロバクテリウム・リゾゲネス、アグロバクテリウム・ルビ、およびアグロバクテリウム・ビティスの種は、アロリゾビウム・ウンディコラと共に、比較16S rDNA分析に基づいて、すべてのリゾビウム種を含む単系統群を形成する(Sawada 1993, Young 2003)。アグロバクテリウムは、植物病原性種を含む人工的な属である。アグロバクテリウム、アロリゾビウム、およびリゾビウムの単系統性およびそれらの一般的な表現型共通範囲は、それらが単一のリゾビウム属にまとめられることを支持する。アグロバクテリウム・ツメファシエンスおよびアグロバクテリウム・リゾゲネスならびにそれらの種々のオピン型クラスの分化を含めてアグロバクテリウム株の分類および特徴付けは、当技術分野で周知である(たとえば、Laboratory guide for identification of plant pathogenic bacteria, 3rd edition. (2001) N. W. Schaad, J. B. Jones, and W. Chun (編) ISBN 0890542635を参照されたい;たとえば、そこに記載されているMooreらの論説)。
最近の分析から、その植物病原性による分類が正しくないことが実証されている。したがって、種々の菌株の関係を解明するために、ゲノムの分析および比較に基づくより先進的な方法(たとえば、16S rRNA配列決定;RFLP、Rep−PCRなど)が利用される(たとえば、Young 2003, Farrand 2003, de Bruijn 1996, Vinuesa 1998を参照されたい)。アグロバクテリアは、示差的生化学的生理学的試験に基づく種分類に対応する少なくとも3つの次亜種に細分することが可能である。アグロバクテリウムの病原性株は、共通した特徴を共有し;それらは、少なくとも1つの大型プラスミド、すなわち、腫瘍誘発性または根誘発性(それぞれTiおよびRi)プラスミドを含有する。毒性は、移入DNA(T−DNA)および毒性(vir)遺伝子をはじめとするプラスミドのさまざまな領域により決定される。毒性遺伝子は、感染植物細胞中へのT−DNAの移入を媒介し、その際、T−DNAは、植物DNA中に組み込まれる。「伝統的」分類によれば、アグロバクテリアは、限定されるものではないが、アグロバクテリウム・ツメファシエンス株(典型的には、その天然の「病害性」Tiプラスミドにより、感染植物でクラウンゴールを誘発する)、およびアグロバクテリウム・リゾゲネス株(その天然の「病害性」Riプラスミドにより、感染宿主植物で毛状根病を誘発する)、アグロバクテリウム・ルビ株(その天然の「病害性」形態で、キイチゴでケインゴールを誘発する)、アグロバクテリウム・ビティス株、ならびにアグロバクテリウム・ラジオバクター株(非病原性アグロバクテリアとしてまとめられる)を包含する。
アグロバクテリウム株K599の関係を明らかにする2つの方法によるアグロバクテリウム属のメンバーの系統発生的関係を、図1A(RAPD(ランダム増幅多型DNA)に基づく;出典 Llob 2003; figure 2)および図1B(16S rRNA配列決定に基づく)に示す。
Figure 2008511294
本明細書中で使用されるTiプラスミドという用語は、アグロバクテリウムにおいて複製可能でありかつその天然の「病害性」形態でアグロバクテリウム感染植物においてクラウンゴールを媒介するプラスミドを意味する。アグロバクテリウムのTiプラスミドが天然の「病害性」形態で植物細胞に感染すると、一般的には、感染細胞によりオピン(たとえば、ノパリン、アグロピン、オクトピンなど)が産生される。したがって、ノパリンの産生を引き起こすアグロバクテリウム株(たとえば、菌株LBA4301、C58、A208)は、「ノパリン型」アグロバクテリウムと呼ばれ;オクトピンの産生を引き起こすアグロバクテリウム株(たとえば、菌株LBA4404、Ach5、B6)は、「オクトピン型」アグロバクテリウムと呼ばれ;そしてアグロピンの産生を引き起こすアグロバクテリウム株(たとえば、菌株EHA105、EHA101、A281)は、「アグロピン型」アグロバクテリウムと呼ばれる。非病害性Tiプラスミドとは、そのクラウンゴール媒介性は欠如しているが、植物感染に関する機能は提供するTiプラスミドとして解釈されるものである。好ましくは、前記「非病害性」プラスミドのT−DNA領域は、境界配列を除いて機能的内部Ti配列が植物ゲノム中に移入されないように改変されたものである。好ましい実施形態では(バイナリーベクター系と併用した場合)、全T−DNA領域(T−DNA境界領域を含む)は欠失している。
本明細書中で使用されるRiプラスミドという用語は、アグロバクテリウムにおいて複製可能でありかつその天然の「病害性」形態でアグロバクテリウム感染植物において毛状根病を媒介するプラスミドを意味する。アグロバクテリウムのRiプラスミドが天然の「病害性」形態で植物細胞に感染すると、一般的には、感染細胞によりオピン(形質転換植物細胞において生成される特定のアミノ糖誘導体、たとえば、アグロピン、ククモピン、オクトピン、ミキモピンなど)が産生される。アグロバクテリウム・リゾゲネス株は、伝統的には、A.ツメファシエンス株のときと同一の方法でサブクラスに分類される。最も一般的な菌株は、アグロピン型菌株(たとえば、RiプラスミドpRi−A4により特徴付けられる)、マンノピン型菌株(たとえば、RiプラスミドpRi8196により特徴付けられる)、およびククモピン型菌株(たとえば、RiプラスミドpRi2659により特徴付けられる)である。いくつかの他の菌株は、ミキモピン型(たとえば、RiプラスミドpRi1724により特徴付けられる)である。ミキモピンおよびククモピンは、立体異性体であるが、ヌクレオチドレベルでは、pRiプラスミド間に相同性は見いだされていない(Suzuki 2001)。非病害性Riプラスミドとは、その毛状根病媒介性は欠如しているが、植物感染に関する機能は提供するRiプラスミドとして解釈されるものである。好ましくは、前記「非病害性」RiプラスミドのT−DNA領域は、境界配列を除いて機能的内部Ri配列が植物ゲノム中に移入されないように改変されたものである。好ましい実施形態では(バイナリーベクター系と併用した場合)、全T−DNA領域(T−DNA境界領域を含む)は欠失している。
TiおよびRiプラスミドは菌株間で著しく異なるが、それらはすべて、類似のvir遺伝子を保有する。
本明細書中で使用される「16S−23S rRNA遺伝子間配列」という用語は、16S rRNAおよび23S rRNAをコードする配列の間に位置するゲノムDNA領域を意味するものとする。前記遺伝子間配列は、16S rRNAおよび23S rRNAをコードする配列とオーバーラップしていてもよい。
発明の詳細な説明
本発明では、植物細胞中へのT−DNA送達のためにアグロバクテリウム株K599(NCPPB 2659)の「非病害性」変異株を使用する。これ以降では、「A.リゾゲネス」株として菌株K599のこれまでの分類を利用しない。なぜなら、毛状根誘導性表現型(これは、細菌ゲノムに起因するのではなくRiプラスミドに起因する)のほかに、リボソームrDNA配列の比較分析に基づいて、菌株は、他のA.リゾゲネス株にごくわずかに関連付けられるにすぎないと思われるからである。したがって、菌株は、ユニークであるとみなされ、一義的にA.ツメファシエンス型またはA.リゾゲネス型の菌株であるとみなされるものではない。
本発明の第1の実施形態は、以下のステップ:
a) アグロバクテリウム株K599(NCPPB 2659)または該菌株の誘導体のトランスジェニック非病原性変異株の細菌を準備するステップ、ここで、該変異株は植物細胞に感染可能であるが、毛状根表現型誘発性を欠損し、かつ該変異株はさらにトランスジェニックT−DNAを含むものである、および
b) 植物細胞を前記細菌と共培養するステップ、および
c) 安定的にゲノムに組み込まれた前記トランスジェニックT−DNAを含んでなる植物細胞を単離または選択するステップ
を含む、トランスジェニック植物細胞の作製方法に関する。
本発明の他の実施形態は、以下のステップ:
a) アグロバクテリウム株K599(NCPPB 2659)または該菌株の誘導体のトランスジェニック非病原性変異株の細菌を準備するステップ、ここで、該変異株は植物細胞に感染可能であるが、毛状根表現型誘発性を欠損し、かつ該変異株はさらにトランスジェニックT−DNAを含むものである、および
b) 植物体、植物細胞または植物組織を前記細菌と共培養するステップ、および
c) 安定的にゲノムに組み込まれた前記トランスジェニックT−DNAを含んでなる植物を単離または選択し、かつ任意により再生するステップ
を含む、トランスジェニック植物の作製方法に関する。
本発明に係る方法は、先行技術よりも優れた以下の利点のうちの1つ以上を有する:
a) 当技術分野で公知のアグロバクテリウム・ツメファシエンス株により媒介される形質転換に対して抵抗性のある植物種、特定的には、ダイズおよびポプラやクリのような高木の形質転換に非常に有効である。驚くべきことに、本明細書に提供されるアグロバクテリウム・リゾゲネスK599の非病害性誘導体(それぞれpRi2659ΔおよびpRi2659Δtet)は、ダイズに対して高い感染率を示し、植物形質転換に関してアグロバクテリウムの従来の菌株よりも優れた改良を提供する。
b) 感染性が強いので、アグロバクテリウム・ツメファシエンスよりもはるかに低い濃度で利用可能である。このため、通常のアグロバクテリウム・ツメファシエンス共培養に対して非常に感受性の高い標的組織(たとえば、コムギのような植物の接合体または未成熟胚など)が利用可能になる。
c) 追加的に、pRi2659プラスミドに由来するT−DNA境界領域を使用して、新しいバイナリーベクターが作製される。これらの境界配列は、とくに、非病害性変異株アグロバクテリウム・リゾゲネスK599(pRi2659Δ)と組み合わせたときに、慣用される境界配列よりも優れた利点を提供する。
d) 最後に、本発明に係る方法は、他のアグロバクテリウムに基づく植物形質転換系と適合性がある。
本発明に係る方法を用いれば、実質的にすべての種類の植物を形質転換することが可能である。好ましい植物は、以上の一般的定義の節に列挙されている。単子葉植物、双子葉植物、および裸子植物からなる群より選択される植物に由来する植物細胞、植物組織、または植物体が好ましい。より好ましくは、植物は、ウマゴヤシ属(Medicago)、トマト属(Lycopersicon)、アブラナ属(Brassica)、キュウリ属(Cucumis)、ナス属(Solanum)、クルミ属(Juglans)、ワタ属(Gossypium)、リンゴ属(Malus)、ブドウ属(Vitis)、キンギョソウ属(Antirrhinum)、ハコヤナギ属(Populus)、イチゴ属(Fragaria)、シロイヌナズナ属(Arabidopsis)、トウヒ属(Picea)、トウガラシ属(Capsicum)、アカザ属(Chenopodium)、キク属(Dendranthema)、アサガオ属(Pharbitis)、マツ属(Pinus)、エンドウ属(Pisum)、イネ属(Oryza)、トウモロコシ属(Zea)、コムギ属(Triticum)、ライコムギ属(Triticale)、ライムギ属(Secale)、ドクムギ属(Lolium)、オオムギ属(Hordeum)、ダイズ属(Glycine)、トガサワラ属(Pseudotsuga)、リュウキュウベンケイソウ属(Kalanchoe)、フダンソウ属(Beta)、ヒマワリ属(Helianthus)、およびタバコ属(Nicotiana)からなる群より選択される属に由来する。
本発明の好ましい実施形態では、トランスジェニックT−DNAは、農学上有益な形質または少なくとも1つのマーカー遺伝子を前記植物に付与するための少なくとも1つの発現カセットを含む。ただし、該マーカー遺伝子は、形質転換された植物体、植物細胞、もしくは植物組織の選択および/または同定を可能にする。好ましいマーカー遺伝子は、以下に記載されている。
1. 「非病害性」アグロバクテリウム株K599(NCPPB2659)
本発明の他の実施形態は、アグロバクテリウム株K599(NCPPB 659)または該菌株の誘導体の非病原性変異株(これ以降では「非病害性」変異株)に関し、ただし、該変異株は、植物細胞に感染可能であるが、毛状根表現型誘発性を欠損している。
アグロバクテリウム株K599(NCPPB2659)を参照するときの「誘導体」という用語は、
1. 5’−AATCGTCGATGCGAATTGTTG−3’ (モチーフM1、配列番号5)
2. 5’−GTTTTGTCCTGACGCTGTCGCGA−3’ (モチーフM2、配列番号6)
3. 5’−TCTAACGATCGCTGCGCTCCGGA−3’ (モチーフM3、配列番号7)
4. 5’−CGCCACGAGGCGCGACGGA−3’ (モチーフM4、配列番号8)
5. 5’−TTATGGGCGAATTGATCTGA−3’ (モチーフM5、配列番号9)
6. 5’−GTCCTGCTAAGGATTGATGCCT−3’ (モチーフM6、配列番号10)
7. 5’−AGACCAGTCCTTGTGAAACC−3’ (モチーフM7、配列番号11)
8. 5’−CCTGGGCATTTTTGTTGTTGG−3’ (モチーフM8、配列番号12)
9. 5’−AATGGTATGGCTTCGAGGTG−3’ (モチーフM9、配列番号13)
10. 5’−CTCAAAGAAGACCGTACCGACA−3’ (モチーフM10、配列番号14)
からなる群より選択される少なくとも1つの配列モチーフを含む16S−23S rRNA遺伝子間配列により特徴付けられる土壌の植物病原性細菌を意味するものとする。
好ましくは、アグロバクテリウム株K599(NCPPB2659)の誘導体は、配列番号5、6、7、8、9、10、11、12、13、および14により示されるモチーフからなる群より選択される少なくとも2または3個のモチーフ、好ましくは少なくとも4または5個のモチーフ、より好ましくは少なくとも6または7個のモチーフ、最も好ましくは少なくとも8、9、または10個のモチーフを含む16S−23S rRNA遺伝子間配列により特徴付けられる。
さらなる特徴的配列モチーフは、公知の16S−23S rRNA遺伝子間配列可変領域の多重アライメントから特定可能である(アグロバクテリウムK599に最も類似したものが図14A〜Eで比較されている)。好ましくは、アグロバクテリウムK599の誘導体は、塩基対配列番号20により示される配列またはその相補体に対して少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは少なくとも98%の同一性を有する配列を含む16S−23S rRNA遺伝子間配列により特徴付けられる。とくに好ましいのは、配列番号21により示される16S rRNA配列によりさらに特徴付けられる菌株である。
非病原性変異株はさらに、突然変異型もしくはキメラ型のvirA遺伝子またはvirG遺伝子の存在あるいは強毒性プラスミドの存在からなる群より選択される1つ以上の特徴を含みうる。アグロバクテリウム株K599(NCPPB2659)の非病原性変異株は、pRi2659プラスミドの非病原性プラスミド変異体(以下に定義されるとおり)を含みうる。
本発明の他の実施形態は、アグロバクテリウム株K599(NCPPB 2659)または該菌株の誘導体のトランスジェニック非病原性変異株に関し、ただし、該変異株は、植物細胞に感染可能であるが、毛状根表現型誘導性が欠如しており、かつ該変異株は、トランスジェニックT−DNAをさらに含む。本発明の好ましい実施形態では、トランスジェニックT−DNAは、農学上有益な形質または少なくとも1つのマーカー遺伝子を前記植物に付与するための少なくとも1つの発現カセットを含む。ただし、該マーカー遺伝子は、形質転換された植物体、植物細胞、もしくは植物組織の選択および/または同定を可能にする。好ましいマーカー遺伝子は、以下に記載されている。好ましいT−DNAは、以下に記載されている。
本発明の好ましい実施形態では、アグロバクテリウム株K599(NCPPB 2659)(または該菌株の誘導体)の前記非病原性変異株は、植物細胞に感染可能であり、植物細胞中へのT−DNA移入を媒介することが可能であり、かつ植物ゲノム中へのT−DNA挿入を媒介することが可能であるが、毛状根表現型誘導性が欠如していている。より好ましくは、これは、RiプラスミドpRi2659(アグロバクテリウム株K599;NCPPB 2659中の天然のRiプラスミド)またはその誘導体の非病原性プラスミド変異体の存在により達成される(以下に規定されるとおり)。前記非病原性プラスミド変異体は、好ましくは植物細胞感染および形質転換に必要とされる機能をすべて提供するが、毛状根表現型を誘導する配列が欠如している。RiプラスミドpRi2659の好ましい非病原性プラスミド変異体は、以下に記載されている。
本発明の他の好ましい実施形態では、本発明に係る非病原性アグロバクテリウム株はさらに、形質転換効率を増大させるために、たとえば、vir遺伝子発現および/またはその誘導を変化させることにより、改変されている。これは、たとえば、突然変異型もしくはキメラ型のvirA遺伝子またはvirG遺伝子の存在により、実現可能である(たとえば、Hansen 1994; Chen and Winans 1991; Scheeren-Groot et al., 1994に記載されているとおり)。強毒性プラスミドとのさらなる組合せにより、いわゆる強毒性菌株を作製することが可能である(たとえば、pTOK246に基づくベクター;Ishida 1996)。強毒性変異株はまた、pSB1強毒性プラスミド由来のベクターを利用することにより作製することも可能である(Komari 1996)。
2. 「非病害性」pRi2659プラスミド
プラスミドpRi2659の非病害性変種の単離された配列は、本明細書に提供されている。この配列および配列情報は、その全体が有用であるだけでなく、部分的にも有用である。多数のタンパク質の発現を行うプラスミドが示されており(表4参照)、これらのタンパク質のうちのいくつかは、当技術分野のものよりも新規であり、ほとんどは、pRi2659プラスミドの優れた形質転換性能に関与する可能性が高い。配列および配列情報はまた、
a) プラスミドの優れた性能についての理解の向上、
b) 他の植物形質転換法(たとえば、標準的アグロバクテリウム・ツメファシエンス利用形質転換に基づくもの)の性能を促進するためのプラスミド由来の単離された構成要素(たとえば、タンパク質)の利用、および
c) 前記プラスミドの限定的変化および最適化
をはじめとする種々の使用に供することが可能であるが、これらに限定されるものではない。
したがって、本発明の好ましい実施形態は、
a) 配列番号24により示される配列または配列番号24により示される配列のうち少なくとも100個の連続したヌクレオチド(好ましくは少なくとも250または500個の連続したヌクレオチド、より好ましくは少なくとも1000または2500個の連続したヌクレオチド、さらにより好ましくは少なくとも5000または10000個の連続したヌクレオチド、最も好ましくはすべての連続したヌクレオチド)からなる配列、を含む配列、および
b) 配列番号24により示される配列または配列番号24により示される配列のうち少なくとも1000個の連続したヌクレオチド(好ましくは少なくとも2000または4000個の連続したヌクレオチド、より好ましくは少なくとも5000または10000個の連続したヌクレオチド、さらにより好ましくは少なくとも20000または50000個の連続したヌクレオチド、最も好ましくはすべての連続したヌクレオチド)からなる配列、に対して少なくとも90%(好ましくは少なくとも92%または95%、より好ましくは少なくとも97%または98%、最も好ましくは少なくとも99%)の配列同一性を有する配列、および
c) 5×SSPE、1%SDS、5×デンハルト試薬および100μg/mLの変性サケ精子DNAからなる溶液中、68℃での結合またはハイブリダイゼーションと、それに続く、0.1×SSPEおよび0.1%SDSを含む溶液中、68℃での洗浄と、等価の条件下で、配列番号24により示される配列もしくはその相補配列のうち少なくとも100個の連続したヌクレオチド(好ましくは少なくとも250または500個の連続したヌクレオチド、より好ましくは少なくとも1000または2500個の連続したヌクレオチド、さらにより好ましくは少なくとも5000または10000個の連続したヌクレオチド、最も好ましくはすべての連続したヌクレオチド)からなるプローブにハイブリダイズする配列、
により示される配列からなる群より選択される単離されたヌクレオチド配列に関する。
本発明の他の実施形態は、pRi2659(アグロバクテリウム株K599;NCPPB 2659中の天然のRiプラスミド)またはその誘導体の非病原性(「非病害性」)プラスミド変異体に関し、ただし、該プラスミド変異体は、植物細胞感染および形質転換に必要とされる機能を提供するが、毛状根表現型を誘発する配列を欠損している(これ以降では「非病害性」プラスミド変異体)。好ましくは、前記非病原性プラスミド変異体は、生来型の病原性pRi2659またはその誘導体の植物細胞感染および形質転換に必要とされる配列を含んでいるが、毛状根表現型を媒介するT−DNAの配列を欠損している。
好ましくは、pRi2659またはその誘導体の非病原性プラスミド変異体は、植物ゲノム中に移入されうるエレメント(たとえば、T−DNAエレメントなど)を含んでいる。これは、バイナリーベクター中に含まれるトランスジェニックT−DNAと組み合わせた場合、とくに有利である。そのような「非病害性」プラスミド変異体を提供する種々の手段が存在する。たとえば、これは、
1. T−DNAの境界領域を非機能的にすること(たとえば、突然変異誘発により)、または
2. Riプラスミドから全T−DNAを欠失させること、または
3. 天然の欠失または非病原性突然変異体に関してスクリーニングすること、または
4. DNAニックの誘導による欠失突然変異誘発を引き起こして(たとえば、アセトシリンゴンを利用して)T−DNAを切除すること、または
5. トランスポゾン突然変異誘発を行って非病原性突然変異体に関してスクリーニングすること、または
6. たとえば遺伝子置換ストラテジーを用いて、関連する遺伝子を限定的かつ特異的に欠失させること;RBとLBとの間の遺伝子の野生型コピーを欠失代替物で置き換えることにより、欠失させる必要のある遺伝子だけを正確に切除することが可能である;
により実現可能である。
本発明のとくに好ましい一実施形態では、前記非病原性プラスミド変異体は、
a) 配列番号24により示される配列または配列番号24により示される配列のうち少なくとも100個の連続したヌクレオチド(好ましくは少なくとも250または500個の連続したヌクレオチド、より好ましくは少なくとも1000または2500個の連続したヌクレオチド、さらにより好ましくは少なくとも5000または10000個の連続したヌクレオチド、最も好ましくはすべての連続したヌクレオチド)からなる配列、を含む配列、および
b) 配列番号24により示される配列または配列番号24により示される配列のうち少なくとも1000個の連続したヌクレオチド(好ましくは少なくとも2000または4000個の連続したヌクレオチド、より好ましくは少なくとも5000または10000個の連続したヌクレオチド、さらにより好ましくは少なくとも20000または50000個の連続したヌクレオチド、最も好ましくはすべての連続したヌクレオチド)からなる配列、に対して少なくとも90%(好ましくは少なくとも92%または95%、より好ましくは少なくとも97%または98%、最も好ましくは少なくとも99%)の配列同一性を有する配列、および
c) 5×SSPE、1%SDS、5×デンハルト試薬および100μg/mLの変性サケ精子DNAからなる溶液中、68℃での結合またはハイブリダイゼーションと、それに続く、0.1×SSPEおよび0.1%SDSを含む溶液中、68℃での洗浄と、等価の条件下で、配列番号24により示される配列もしくはその相補配列のうち少なくとも100個の連続したヌクレオチド(好ましくは少なくとも250または500個の連続したヌクレオチド、より好ましくは少なくとも1000または2500個の連続したヌクレオチド、さらにより好ましくは少なくとも5000または10000個の連続したヌクレオチド、最も好ましくはすべての連続したヌクレオチド)からなるプローブにハイブリダイズする配列、
により示される配列からなる群より選択される少なくとも1つの配列を含んでいる。
より好ましくは、前記非病原性プラスミド変異体は、上述の非病害性pRi2659プラスミドまたは誘導体(先に定義したとおり)を記述するヌクレオチド配列により記述される。さらにより好ましくはまたは他の選択肢として、誘導体は、配列番号112により記述される配列に対して少なくとも85%(好ましくは少なくとも90%または92%、より好ましくは少なくとも95%または98%、最も好ましくは少なくとも99%)アミノ酸配列同一性を有するvirD2タンパク質をコードしている。
当該virD2タンパク質は、非病害性pRi2659プラスミドの形質転換の性能を向上させるのに重要な因子である。したがって、本発明の他の実施形態は、
a) 配列番号112により示される配列、またはそのうち少なくとも200個の連続したアミノ酸(好ましくは少なくとも300個の連続したアミノ酸、より好ましくは少なくとも400個の連続したアミノ酸、好ましくはすべて連続したアミノ酸)からなる配列、
b) 配列番号112により示される配列に対して少なくとも85%(好ましくは少なくとも90%または92%、より好ましくは少なくとも95%または98%、最も好ましくは少なくとも99%)の配列同一性を有する配列、
からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドに関する。
しかしながら、非病害性pRi2659プラスミドによりコードされる他のタンパク質もまた、形質転換過程の最適化に有用であると考えられるので、本発明の他の実施形態は、
a) 配列番号25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、126、128、129、130、131、132、133、134、136、137、139、140、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、154、155、156、158、159、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、もしくは187のいずれか1つにより示される配列またはそのうちの少なくとも200個の連続したアミノ酸(好ましくは少なくとも300個の連続したアミノ酸、より好ましくは少なくとも400個の連続したアミノ酸、好ましくはすべての連続したアミノ酸)からなる配列、
b) 配列番号25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、126、128、129、130、131、132、133、134、136、137、139、140、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、154、155、156、158、159、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、または187のいずれか1つにより示される配列に対して少なくとも85%(好ましくは少なくとも90%もしくは92%、より好ましくは少なくとも95%もしくは98%、最も好ましくは少なくとも99%)の配列同一性を有する配列、
からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドに関する。
本発明のさらに他の実施形態は、前記ポリペプチドをコードする単離された核酸配列に関する。これらの配列は、単離された天然の配列(pRi2659プラスミド中に含まれる配列)または遺伝暗号の縮重に基づいて誘導される他の配列でありうる。
最も好ましくは、そこに提供されるvirD2タンパク質のこれらの誘導配列は、図16に指定されるvirD2タンパク質の少なくとも1つのユニークなアミノ酸残基(アステリスク(*)で示される)を含んでいる。
好ましくは、非病原性プラスミド変異体は、境界領域を含めて全T−DNAを生来型のプラスミドから欠失させることにより取得される。より好ましくは、本発明に係る非病原性プラスミド変異体に関して、欠失されたT−DNAは、配列番号4の塩基538付近から塩基15,519付近までの配列または配列番号26の塩基3644付近から塩基18577付近までの配列により示される配列に対応する。
好ましくは、全T−DNAは、Riプラスミドから欠失されている(より好ましくは、全右境界領域および全左境界領域を含めて)。両方の境界領域部分がTiプラスミド上にインタクトな状態で残存する従来の非病害性Tiプラスミドの場合、この境界領域の後方のDNAおよびバイナリープラスミドに由来するDNAが組み込まれる可能性があるので、全RBおよび全LBを含めて全T−DNAをRiプラスミド(たとえばpRi2659)から欠失させることが好ましい。本発明の好ましい実施形態で利用される方法では、無関係なDNA組込みの可能性が排除される。したがって、本発明に係る好ましい実施形態は、pRi2659またはその誘導体の非病原性プラスミド変異体に関し、ただし、該プラスミド変異体は、生来型の病原性pRi2659またはその誘導体の植物細胞感染および形質転換に必要とされる配列を含むが、T−DNA、好ましくは、GenBank登録番号AJ271050(配列番号4)により特徴付けられる配列の塩基538付近から塩基15,519付近までの配列または配列番号26により特徴付けられる配列の塩基3644付近から塩基18577付近までの配列を欠損している。この配列は、病原性アグロバクテリウム株K599(NCPPB 2659)中に提供される元の病原性RiプラスミドpRi2659のT−DNAに対応する。より好ましくは、前記非病原性プラスミド変異体は、高ストリンジェンシーの条件下(たとえば、5×SSPE、1%SDS、5×デンハルト試薬および100μg/mLの変性サケ精子DNAからなる溶液中、68℃での結合またはハイブリダイゼーションと、それに続く、0.1×SSPEおよび0.1%SDSを含む溶液中、68℃での洗浄と、等価の条件下)で、病原性アグロバクテリウム株K599(NCPPB 2659)中に提供される元の(生来型の)病原性RiプラスミドpRi2659とハイブリダイズするが、該高ストリンジェンシーの条件下で、GenBank登録番号AJ271050(配列番号4)により特徴付けられる配列の塩基538付近から塩基15,519付近までの配列、配列番号26により特徴付けられる配列の塩基3644付近から塩基18577付近までの配列のいずれともハイブリダイズしない配列である。
より好ましくは、pRi2659の誘導体は、植物細胞への土壌細菌由来のT−DNAの移入を媒介することができ、
a) 生来型のpRi2659プラスミド(アグロバクテリウム株K599(NCPPB2659)に含まれるものと同様)をコードするDNAに対して少なくとも90%(好ましくは少なくとも91%もしくは92%、より好ましくは少なくとも95%もしくは98%、最も好ましくは少なくとも99%)の配列同一性を有すること、または
b) 高ストリンジェンシーの条件下(たとえば、5×SSPE、1%SDS、5×デンハルト試薬および100μg/mLの変性サケ精子DNAからなる溶液中、68℃での結合またはハイブリダイゼーションと、それに続く、0.1×SSPEおよび0.1%SDSを含む溶液中、68℃での洗浄と、等価の条件下)で、生来型のpRi2659プラスミド(配列番号111により示されるのと同様)とハイブリダイズすること、
によりさらに特徴付けられるプラスミドである。
好ましい実施形態では、本発明に係る非病原性プラスミド変異体は、高ストリンジェンシーの条件下で、病原性アグロバクテリウム株K599(NCPPB 2659)の生来型病原性RiプラスミドpRi2659の全体とハイブリダイズするが、高ストリンジェンシーの条件下で、配列番号4により特徴付けられる配列の塩基538付近から塩基15,519付近までの配列、配列番号26により特徴付けられる配列の塩基3644付近から塩基18577付近までの配列のいずれともハイブリダイズしない。
pRi2659を参照するときの「誘導体」という用語は、植物細胞中への土壌細菌由来のT−DNAの移入を媒介することが可能であり、かつ
a) 生来型のpRi2659プラスミド(アグロバクテリウム株K599(NCPPB2659)に含まれるものと同様)をコードするDNAに対して少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有すること、または
b) 高ストリンジェンシーの条件下(以上に定義したとおり)で生来型のpRi2659プラスミドとハイブリダイズすること、
によりさらに特徴付けられるプラスミドを意味するものとする。
より好ましくは、pRi2659のそのような誘導体は、その天然の病原性形態で、オピン合成のククモピン型表現型を媒介している。
3. トランスジェニックT−DNA
好ましくは、アグロバクテリウム株K599(NCPPB 2659)またはその誘導体の前記トランスジェニック非病原性変異株中のT−DNAは、植物感染に必要とされる特徴を提供するプラスミドとは分離してバイナリーベクタープラスミド(たとえば、新生物誘発性もしくは毛状根誘発性を欠損しているTiプラスミドまたはRiプラスミド)に含まれる。したがって、本発明の他の実施形態は、アグロバクテリウム・リゾゲネスpRi2659プラスミドに由来する少なくとも1つのT−DNA境界領域がつなげられたトランスジェニックT−DNAに関し、ただし、該トランスジェニックT−DNAは、毛状根表現型を誘発する配列を含まない。
好ましくは、T−DNAは、少なくとも右境界配列(より好ましくは右境界配列および左境界配列)がつなげられている。好ましいのは、Tiおよび/またはRi境界領域である。T−DNA境界領域は、当技術分野で報告されているように(Zupan 2000)、明確に定義された約25bpの反復配列である。いわゆるvir遺伝子(元のTiまたはRiプラスミドの一部分)の併用作用により、境界領域は、T−DNA移入を媒介する。
好ましい実施形態では、前記トランスジェニックT−DNAは、農学上有益な形質を前記植物に付与するための少なくとも1つの発現カセットを含んでいる。他の好ましい実施形態では、前記T−DNAは、形質転換された植物体、植物細胞、もしくは植物組織の選択および/または同定を可能にする少なくとも1つのマーカー遺伝子をさらに含んでいる。
プラスミドpRi2659のT−DNA境界領域は、T−DNAの移入ひいてはトランスジェニック植物(特定的にはトランスジェニックダイズ植物)の生産にとくに有効であることが実証されている。したがって、好ましくは、T−DNAは、pRi2659プラスミドに由来するT−DNA境界領域を含む(たとえば、バイナリーベクターに組み込まれる)。右境界領域は、オーバードライブ配列と機能的に等価な16個の8bpの反復配列を有する(Hansen 1992)。これらの境界配列は、慣用される境界配列よりも優れた利点を提供する。とくに好ましいのは、アグロバクテリウム株K599(BCPPB2659)の非病害性変異株または誘導体と、Riプラスミド、より好ましくはpRi2659プラスミドの境界領域を含むトランスジェニックT−DNAとの組合せであり、この組合せは、たとえばダイズで、高い形質転換効率に寄与する。とくに好ましいのは、配列番号4(pRi2659のT−DNA領域)の塩基538−561を表す配列番号18:
5’−tggcaggata tattgtggtg taaa−3’ (配列番号18)
により示される配列を含む左境界配列である。
とくに好ましいのは、配列番号4(pRi2659のT−DNA領域)の塩基15,496−15,519を表す配列番号19:
5’−tgacaggata tatccccttg tcta−3’ (配列番号19)
により示される配列を含む右境界配列である。
したがって、本発明の他の実施形態は、アグロバクテリウム・リゾゲネスpRi2659プラスミドに由来する少なくとも1つのT−DNA境界領域がつなげられたトランスジェニックT−DNAを含むプラスミドベクターに関する。好ましくは、これらの境界領域は、配列番号18または19により示される。より好ましくは、プラスミドは、配列番号19により示される配列を含む右境界領域を含んでいる。最も好ましくは、プラスミドは、配列番号18および19によりそれぞれ示される配列を含む両方の境界配列を含んでいる。好ましくは、前記プラスミドは、毛状根表現型を誘発する配列を含んでおらず、より好ましくは、前記プラスミドは、内部T−DNAタンパク質コード配列を含んでおらず、最も好ましくは、前記プラスミドは、内部T−DNA配列を実質的に含んでいない。これに関連して「内部」という用語は、境界領域がつなげられたDNAを意味する(ただし、T−DNA境界領域を除く)。T−DNA境界領域とは、配列番号18および19によりそれぞれ示される配列を少なくとも含む配列として解釈されるものである。「実質的に」という用語は、病原性表現型に連結されていないいくつかの内部配列が含まれうることを意味するものとし、好ましくは、これらの配列は、200塩基対以下、好ましくは100塩基対以下、最も好ましくは50塩基対以下であり、好ましくは境界配列に直接的に連続している。
非病原性変異株により植物ゲノム中に組み込まれるT−DNAは、種々の形態で提供可能である。T−DNAは、DNA構築物として、好ましくは、シャトルベクターもしくは中間ベクターまたはバイナリーベクターのいずれかの特定のプラスミドに組み込んで、提供可能である。たとえば、以下の手段により提供可能である(ただし、これらに限定されるものではない):
a) T−DNAが、非病原性変異株の染色体DNA中に組み込まれる;
b) T−DNAが、非病原性変異株に含まれる非病害性RiプラスミドDNA中に組み込まれる;
c) T−DNAが、非病害性Riプラスミドとは分離してプラスミドの形態で非病原性変異株中に含まれる。
好ましくは、前記非病原性変異株中のT−DNAは、非病害性Riプラスミドとは分離してバイナリーベクタープラスミド上に含まれうる。
他の好ましい実施形態では、前記T−DNAは、形質転換された植物体、植物細胞、もしくは植物組織の選択および/または同定を可能にする少なくとも1つのマーカー遺伝子をさらに含んでいる。
本発明の他の実施形態は、本発明に係るヌクレオチド配列、非病原性プラスミド変異体、またはトランスジェニックT−DNAを含む、細胞または非ヒト生物に関する。好ましくは、前記細胞または非ヒト生物は、細菌、酵母、植物、哺乳動物、および昆虫からなる群より選択される。好ましい一実施形態では、前記細胞または生物は、リゾビウム科(genus Rhizobiaceae)の土壌細菌である。他の好ましい実施形態では、前記細胞または生物は、植物細胞または植物生物、より好ましくは、単子葉植物および双子葉植物からなる群より選択される。最も好ましいのは、ダイズ、トウモロコシ(メイズ)、コムギ、アブラナ(カノーラ)、マンジュギク、ジャガイモ、イネ、オオムギ、およびトマトからなる群より選択される植物である。
本発明の他の実施形態は、本発明に係るトランスジェニックT−DNAを含むトランスジェニックベクターに関する。好ましくは、T−DNAは、バイナリーベクターの形態で提供される。いわゆる「バイナリーベクター系」では、T−DNAは、シャトルベクター中に組み込まれることにより、Riプラスミドの他の機能的エレメント(たとえば、vir遺伝子)から物理的に分離されるので、取扱いがより容易になる(Tiプラスミドに基づくバイナリー系の解説については、EP−A 120 516;US4,940,838を参照されたい)。これらのバイナリーベクターは、(境界配列を有する非病害性T−DNAのほかに)、アグロバクテリウムおよび大腸菌(E. coli)の両方で複製できるように原核配列を含む。この場合、形質転換のために利用される非病害性アグロバクテリウム・リゾゲネス株は、その非病害性Riプラスミドに加えて、移入されるT−DNAを有するバイナリープラスミドを含み、バイナリープラスミドは、好ましくは、形質転換アグロバクテリウム細胞の選択用の遺伝子(一般的にはT−DNAの外側)、形質転換植物細胞を選択するためのマーカー、および転写させる対象の核酸配列を含む(後者の2つは、一般的には、T−DNA内に含まれる)。バイナリープラスミドは、たとえば、エレクトロポレーションまたは他の形質転換法により、非病害性アグロバクテリウム・リゾゲネス株に移入可能である(Mozo 1991)。バイナリーベクターは、大腸菌およびアグロバクテリウムの両方において複製可能である。それらは、アグロバクテリウム中に直接的に形質転換導入することが可能である(たとえば、Holsters 1978に記載のとおり)。この場合、宿主生物として作用するアグロバクテリウムは、vir領域を有するプラスミドをすでに含有していなければならない。後者は、T−DNAを植物細胞に移入するために必要とされる。このように形質転換されたアグロバクテリウムは、植物細胞を形質転換するために使用することが可能である。形質転換アグロバクテリウムの選択を可能にする選択マーカーは、たとえば、カナマイシンに対する耐性を付与するnptI遺伝子もしくはnptII遺伝子、またはストレプトマイシン、スペクチノマイシンに対する耐性を付与するaadA遺伝子である。形質転換された植物細胞、組織、または植物体の特定および/または選択のために、種々のマーカー(選択マーカーおよびレポーター遺伝子)が好適である(詳細については下記参照)。アグロバクテリウムベクター系およびアグロバクテリウム媒介形質転換法の内容については、当技術分野で公知である(Miki 1993; Gruber 1993; Moloney 1989)。種々のバイナリーベクターが公知であり、そのうちのいくつかは、たとえば、pBIN19(Clontech Laboratories, Inc. USA)のように市販されている。アグロバクテリウム・ツメファシエンスに基づく形質転換に好適なベクターはすべて、本発明に係る方法で利用することも可能である。一般的なバイナリーベクターは、P型プラスミドRK2に由来するpRK252(Bevan 1984)またはpTJS75(Watson 1985)のような「広い宿主域」のプラスミドに基づく。これらのベクターのほとんどは、pBIN19の誘導体である(Bevan 1984)。種々のバイナリーベクターが公知であり、そのうちのいくつかは、たとえば、pBI101.2またはpBIN19(Clontech Laboratories, Inc. USA)のように市販されている。さらなるベクターは、サイズおよび取扱いに関して改良されたものである(たとえば、pPZP;Hajdukiewicz 1994)。改良されたベクター系はまた、WO 02/00900に記載されている。バイナリーベクターまたは任意の他のベクターは、一般的なDNA組換え技術による改変、大腸菌における増殖、およびたとえばエレクトロポレーションまたは他の形質転換技術によるアグロバクテリウム中への導入が可能である(Mozo 1991)。
したがって、本発明の他の実施形態は、本発明に係る非病原性プラスミド変異体を含む細胞もしくは非ヒト生物(先に指定したとおり)または本発明に係る前記T−DNAを含むトランスジェニックT−DNAもしくはベクターに関する。好ましくは、前記細胞または非ヒト生物は、細菌、酵母、植物、哺乳動物、および昆虫からなる群より選択される。より好ましくは、前記細胞または非ヒト生物は、リゾビウム科(genus Rhizobiaceae)の土壌細菌である。とくに好ましいのは、シノリゾビウム・メリロティ(Sinorhizobium meliloti)、シノリゾビウム・メディカエ(Sinorhizobium medicae)、シノリゾビウム・フレディイ(Sinorhizobium fredii)、リゾビウム・sp.NGR234(Rhizobium sp. NGR234)、リゾビウム・sp.BR816(Rhizobium sp. BR816)、リゾビウム・sp.N33(Rhizobium sp. N33)、リゾビウム・sp.GRH2(Rhizobium sp. GRH2)、シノリゾビウム・サヘリ(Sinorhizobium saheli)、シノリゾビウム・テランガエ(Sinorhizobium terangae)、リゾビウム・レグミノサルム・ビオバル・トリフォリイ(Rhizobium leguminosarum biovar trifolii)、リゾビウム・レグミノサルム・ビオバル・ビシアエ(Rhizobium leguminosarum biovar viciae)、リゾビウム・レグミノサルム・ビオバル・ファセオリ(Rhizobium leguminosarum biovar phaseoli)、リゾビウム・トロピシ(Rhizobium tropici)、リゾビウム・エトリ(Rhizobium etli)、リゾビウム・ガレガエ(Rhizobium galegae)、リゾビウム・ガリカム(Rhizobium gallicum)、リゾビウム・ギアルディニイ(Rhizobium giardinii)、リゾビウム・ハイナネンセ(Rhizobium hainanense)、リゾビウム・モンゴレンセ(Rhizobium mongolense)、リゾビウム・ルピニ(Rhizobium lupini)、メソリゾビウム・ロティ(Mesorhizobium loti)、メソリゾビウム・フアクイイ(Mesorhizobium huakuii)、メソリゾビウム・シセリ(Mesorhizobium ciceri)、メソリゾビウム・メディテラネイウム(Mesorhizobium mediterraneium)、メソリゾビウム・ティアンシャネンセ(Mesorhizobium tianshanense)、ブラディリゾビウム・エルカンニ(Bradyrhizobium elkanni)、ブラディリゾビウム・ジャポニカム(Bradyrhizobium japonicum)、ブラディリゾビウム・リアオニンゲンセ(Bradyrhizobium liaoningense)、アゾリゾビウム・カウリノダンス(Azorhizobium caulinodans)、アロバクテリウム・ウンディコラ(Allobacterium undicola)、フィロバクテリウム・ミルシナセアルム(Phyllobacterium myrsinacearum)、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)、アグロバクテリウム・ラジオバクター(Agrobacterium radiobacter)、アグロバクテリウム・リゾゲネス(Agrobacterium rhizogenes)、アグロバクテリウム・ビティス(Agrobacterium vitis)、およびアグロバクテリウム・ルビ(Agrobacterium rubi)のような土壌細菌である。
本発明の好ましい実施形態では、本発明に係る非病害性アグロバクテリウム・リゾゲネス株により植物ゲノムに組み込まれるT−DNAは、前記植物に農学上有益な形質を付与するための少なくとも1つの発現カセットを含んでいる。他の好ましい実施形態では、前記T−DNAは、形質転換された植物体、植物細胞、もしくは植物組織の選択および/または同定を可能にする少なくとも1つのマーカー遺伝子をさらに含んでいる。したがって、標的植物のゲノムに挿入されるT−DNAは、少なくとも1つの発現カセットを含み、発現カセットは、たとえば、選択マーカー遺伝子、形質遺伝子、アンチセンスRNA、または二本鎖RNAの発現を促進しうる。好ましくは、該発現カセットは、発現時に有利な表現型を形質転換植物に付与する核酸配列に機能的に連結された、植物細胞において機能的であるプロモーター配列を含む。当業者であれば、これに関連して、たとえば、食品および飼料の品質を向上させたり、化学物質、ファインケミカル、もしくは医薬(たとえば、ビタミン、油脂、炭水化物;Dunwell 2000)を生成させたり、除草剤に対する耐性を付与したり、または雄性不稔性を付与したりするために利用可能な多数の配列を熟知している。さらに、増殖、収量、ならびに非生物的および生物的ストレス因子(たとえば、真菌、ウイルス、または昆虫など)に対する耐性を増大させることが可能である。有利な性質は、タンパク質を過剰発現させることにより、またはたとえば、対応するアンチセンス(Sheehy 1988;US4,801,340;Mol 1990)もしくは二本鎖RNA(Matzke 2000;Fire 1998;Waterhouse 1998;WO 99/32619;WO 99/53050;WO 00/68374;WO 00/44914;WO 00/44895;WO 00/49035;WO 00/63364)を発現させて、内因性タンパク質の発現を低減させることにより、付与することが可能である。
植物で発現させるために、植物特異的プロモーターが好ましい。「植物特異的プロモーター」という用語は、原理的には、植物もしくは植物の一部分、植物細胞、植物組織、または植物培養物において、遺伝子、特定的には外来遺伝子の発現を支配しうる任意のプロモーターを意味するものと解釈される。これに関連して、発現は、たとえば、構成的、誘導的、または発育依存的でありうる(以上に定義および明記したとおり)。
遺伝的成分および/または発現カセットは、プロモーターに加えて遺伝子制御配列をさらに含みうる。「遺伝子制御配列」という用語は、広義に解釈されるものとし、本発明に係るDNA構築物またはそれに含まれる発現カセットの作製または機能に影響を及ぼすすべての配列を意味する。たとえば、遺伝子制御配列は、原核生物または真核生物において転写および翻訳を調節する。好ましくは、本発明に係る発現カセットには、組換え発現される対象の核酸配列の5’上流に植物において機能的なプロモーターならびに3’下流に追加の遺伝子制御配列としてターミネーター配列および適切であればさらなる慣用的調節エレメントが、いずれの場合にも組換え発現される核酸配列に機能しうる形で連結されて含まれる。
遺伝子制御配列については、たとえば、"Goeddel; Gene Expression Technology: Methods in Enzymology 185, Academic Press, San Diego, CA (1990)"または"Gruber and Crosby, in: Methods in Plant Molecular Biology and Biotechnolgy, CRC Press, Boca Raton, Florida(編): Glick and Thompson, Chapter 7, 89-108"およびそこに引用されている参考文献に記載されている。
そのような制御配列の例は、インダクターまたはリプレッサーが結合されることにより核酸の発現を調節する配列である。遺伝子制御配列はさらに、遺伝子の5’非翻訳領域、イントロン、または非コード3’領域、たとえば、アクチン−1イントロン、またはAdh1−Sイントロン1、2、および6などをも含む(一般的参考文献:The Maize Handbook, Chapter 116, Freeling and Walbot (編), Springer, New York (1994))。それらは、遺伝子発現の調節において重要な役割を果たしうることが実証されている。この際、5’非翻訳配列は、異種遺伝子の一過的発現を促進しうることが実証されている。翻訳エンハンサーとして挙げられうる例は、タバコモザイクウイルス5’リーダー配列(Gallie 1987)などである。さらに、それらは、組織特異性を向上させうる(Rouster 1998)。さらに、それらは、組織特異性を向上させうる(Rouster 1998)。逆に、opaque−2遺伝子の5’非翻訳領域は、発現を抑制する。該当する領域を欠失させると、遺伝子の活性が増大される(Lohmer 1993)。遺伝子制御配列はまた、翻訳を開始するためのリボソーム結合性配列を含みうる。発現される核酸配列が好適な配列を提供しない場合またはそれらが発現系に適合しない場合、このことはとくに好ましい。
発現カセットは、有利には、プロモーターに機能しうる形で連結されて核酸配列の組換え発現の増大を可能にする1つ以上のエンハンサー配列を含みうる。さらなる調節エレメントやターミネーターのような追加の有利な配列を組換え発現される核酸配列の3’末端に挿入することも可能である。制御配列として好適なポリアデニル化シグナルは、植物ポリアデニル化シグナル、好ましくは、アグロバクテリウム・ツメファシエンスに由来するT−DNAポリアデニル化シグナルに本質的に対応するもの、特定的には、オクトピンシンターゼ(OCS)ターミネーターおよびノパリンシンターゼ(NOS)ターミネーターである。
組換え発現される核酸配列の1つ以上のコピーを遺伝子構築物中に存在させることが可能である。遺伝子制御配列はさらに、シグナルペプチド配列からなる融合タンパク質をコードする配列を意味するものと解釈される。
制御配列はさらに、ゲノムから挿入配列を除去できるようする配列と解釈されるものとする。cre/lox系(Sauer B 1998; Odell 1990; Dale 1991)、FLP/FRT系(Lysnik 1993)、またはAc/Ds系(Wader 1987; US5,225,341; Baker 1987; Lawson 1994)に基づく方法を用いると、適切であれば、組織特異的におよび/または誘導可能に、宿主生物のゲノムから特定のDNA配列を除去することが可能である。これに関連して、制御配列は、(たとえばcreリコンビナーゼにより)後で除去できるようにする特定の隣接配列(たとえばlox配列)を意味しうる。
本発明に係る遺伝的成分および/または発現カセットは、さらなる機能的エレメントを含みうる。機能的エレメントという用語は、広義に解釈されるものとし、本発明に係る遺伝的成分、発現カセット、または組換え生物の作製、増幅、または機能に影響を与えるすべてのエレメントを意味する。機能的エレメントとしては、たとえば、以下のものが挙げられる(ただし、これらに限定されるものではない):
1. 選択マーカー遺伝子
選択マーカー遺伝子は、形質転換細胞または相同的組換え細胞をうまく選択し分離するのに有用である。好ましくは、本発明に係る方法の範囲内で、原核宿主における選択のために1種のマーカーを利用することが可能であり、真核宿主、とくに植物種宿主における選択のために、他のマーカーを利用することが可能である。マーカーは、抗生物質、トキシン、重金属などのような殺生物剤に対する保護でありうるか、または相補性により栄養要求性宿主に原栄養性を付与するように機能しうる。植物に好ましい選択性マーカー遺伝子としては、以下のものが挙げられる:
1.1 ネガティブ選択マーカー
ネガティブ選択マーカーは、代謝阻害剤(たとえば、2−デオキシグルコース−6−ホスフェート、WO98/45456)、抗生物質(たとえば、カナマイシン、G418、ブレオマイシン、もしくはハイグロマイシン)、または除草剤(たとえば、ホスフィノトリシンもしくはグリホセート)のような殺生物性化合物に対する耐性を付与する。とくに好ましいネガティブ選択マーカーは、除草剤に対する耐性を付与するものである。例として挙げられるのは、以下のとおりである:
・ ホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼ(PAT;ビアラホス(Bialophos)耐性;barとも呼ばれる;De Block 1987;EP 0 333 033;US4,975,374)
・ 5−エノールピルビルシキミ酸−3−リン酸シンターゼ(EPSPS;US5,633,435)またはグリホセート(N−ホスホノメチルグリシン)(Shah 1986)に対する耐性を付与するグリホセートオキシドレダクターゼ遺伝子(US5,463,175)
・ グリホセート分解酵素(グリホセートオキシドレダクターゼ;gox)、
・ ダラポン不活性化デハロゲナーゼ(deh)
・ スルホニルウレア不活性化アセト乳酸シンターゼおよびイミダゾリノン不活性化アセト乳酸シンターゼ(たとえば、S4および/またはHra突然変異などを有する突然変異型ALS変異体)
・ ブロモキシニル分解ニトリラーゼ(bxn)
・ ネオマイシンホスホトランスフェラーゼ(Fraley 1983)などをコードし、抗生物質カナマイシンならびに関連抗生物質ネオマイシン、パロモマイシン、ゲンタマイシン、およびG418に対する耐性を付与する酵素を発現する、カナマイシン耐性遺伝子またはG418耐性遺伝子(NPTII;NPTI)
・ 2−デスオキシグルコース(Randez-Gil 1995)に対する耐性を付与する2−デオキシグルコース−6−リン酸ホスファターゼ(DOGR1遺伝子産物;WO 98/45456;EP 0 807 836)
・ ハイグロマイシン耐性を媒介するハイグロマイシンホスホトランスフェラーゼ(HPT)(Vanden Elzen 1985)
・ ジヒドロ葉酸レダクターゼ(Eichholtz 1987)
抗生物質耐性を付与する細菌起源のさらなるネガティブ選択マーカー遺伝子としては、抗生物質スペクチノマイシンに対する耐性を付与するaadA遺伝子、ゲンタマイシンアセチルトランスフェラーゼ、ストレプトマイシンホスホトランスフェラーゼ(SPT)、アミノグリコシド−3−アデニルトランスフェラーゼ、およびブレオマイシン耐性デターミナントが挙げられる(Hayford 1988; Jones 1987; Svab 1990; HiIIe 1986)。
とくに好ましいのは、D−アラニンやD−セリンなどのようなD−アミノ酸によりもたらされる毒性作用に対する耐性を付与するネガティブ選択マーカーである(WO 03/060133)。これに関連してとくに好ましいネガティブ選択マーカーは、酵母ロドトルラ・グラシリス(Rhodotorula gracilis)(ロドスポリジウム・トルロイデス(Rhodosporidium toruloides))由来のdaol遺伝子(EC:1.4.3.3:GenBank登録番号:U60066)および大腸菌遺伝子dsdA(D−セリンデヒドラターゼ(D−セリンデアミナーゼ)[EC:4.3.1.18;GenBank登録番号:J01603])である。
1.2) ポジティブ選択マーカー
ポジティブ選択マーカーは、非形質転換植物と比較して形質転換植物に増殖優位性を付与する。アグロバクテリウム・ツメファシエンス(菌株:PO22;Genbank登録番号:AB025109)に由来するイソペンテニルトランスフェラーゼのような遺伝子は、サイトカイニン生合成の主要な酵素として形質転換植物(たとえば、サイトカイニン非含有培地に基づく選択による)の再生を促進しうる。対応する選択方法は、報告されている(Ebinuma 2000a, b)。非形質転換植物と比較して形質転換植物に増殖優位性を付与するさらなるポジティブ選択マーカーは、たとえば、EP−A 0 601 092に記載されている。増殖刺激選択マーカーとしては、β−グルクロニダーゼ(たとえばサイトカイニングルクロニドとの組合せで)、マンノース−6−リン酸イソメラーゼ(マンノースとの組合せで)、UDP−ガラクトース−4−エピメラーゼ(たとえばガラクトースとの組合せで)が挙げられうるが(ただし、これらに限定されるものではない)、マンノースと組み合わされるマンノース−6−リン酸イソメラーゼは、とくに好ましい。
1.2) カウンター選択マーカー
カウンター選択マーカーは、前記マーカーを含み所定の欠失配列を有する生物を選択するのにとくに好適である(Koprek 1999)。ネガティブ選択マーカーの例としては、チミジンキナーゼ(TK)、シトシンデアミナーゼ(Gleave 1999; Perera 1993; Stougaard 1993)、シトクロムP450タンパク質(Koprek 1999)、ハロアルカンデハロゲナーゼ(Naested 1999)、iaaH遺伝子産物(Sundaresan 1995)、シトシンデアミナーゼcodA(Schlaman & Hooykaas 1997)、またはtms2遺伝子産物(Fedoroff & Smith 1993)が挙げられる。
2) レポーター遺伝子
レポーター遺伝子は、容易に定量可能なタンパク質をコードし、それらの色または酵素活性を介して、形質転換効率、発現部位、または発現時期の評価を可能にする。これに関連してなかでもとくに好ましいのは、レポータータンパク質をコードする遺伝子(Schenborn 1999)、たとえば、緑色蛍光タンパク質遺伝子(Sheen 1995; Haseloff 1997; Reichel 1996; Tian 1997; WO 97/41228; Chui 1996; Leffel 1997)、クロラムフェニコールトランスフェラーゼ遺伝子、ルシフェラーゼ遺伝子(Ow 1986; Millar 1992)、エクオリン遺伝子(Prasher 1985)、β−ガラクトシダーゼ遺伝子、R座遺伝子(植物組織においてアントシアニン色素(赤色着色)の産生を調節するタンパク質をコードし、したがって、さらなる補助物質または色素原性物質を添加することなくプロモーター活性の直接分析を可能にする)(Dellaporta 1988; Ludwig 1990)であるが、β−グルクロニダーゼ(GUS)遺伝子がなかでもとくに好ましい(Jefferson 1987a,b)。β−グルクロニダーゼ(GUS)発現は、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−グルクロン酸と共に組織をインキュベートしたときの青色により検出され、細菌ルシフェラーゼ(LUX)発現は、発光により検出され;ホタルルシフェラーゼ(LUC)発現は、ルシフェリンと共にインキュベートした後の発光により検出され;そしてガラクトシダーゼ発現は、組織を5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトピラノシドで染色した後の鮮青色により検出される。レポーター遺伝子はまた、抗生物質耐性マーカーの代わりにスコア付け可能なマーカーとして使用することも可能である。そのようなマーカーは、移入された遺伝子の存在を検出したりまたはその発現レベルを測定したりするために使用される。遺伝子改変細胞の特定またはタグ付けのための植物におけるスコア付け可能なマーカーの使用は、細胞の改変効率が高い場合にかぎり良好に機能する。
3) 大腸菌などにおける本発明に係る発現カセットまたは発現ベクターの増幅を保証する複製起点。例として挙げられるのは、ORI(DNA複製起点)、pBR322 ori、またはP15A oriである(Maniatis 1989)。大腸菌で機能する複製系のさらなる例は、ColEI、pSC101、pACYC184などである。大腸菌複製系に加えてまたはその代わりに、P−1不和合性(incompatibility)プラスミド(たとえばpRK290)の複製系のような広い宿主域の複製系を利用することが可能である。これらのプラスミドは、病害性および非病害性のTiプラスミドを用いてT−DNAを植物宿主に移入するのにとくに効果的である。
4) アグロバクテリウム媒介形質転換に必要なエレメント。たとえば、T−DNA領域またはvir領域の左境界領域および/または任意により右境界領域。
5) 1つ以上の核酸配列の挿入を可能および容易にするための多重クローニング部位(MCS)。
典型的には、トランスジーン発現技術を用いて、T−DNAを含む構築物(または本発明の範囲内で利用される任意の他のDNA構築物)を調製する。組換え発現技術は、組換え核酸の構築および形質転換細胞における遺伝子の発現を含む。これらの目的を達成するための分子クローニング技術は、当技術分野で公知である。組換え核酸の構築に好適な多種多様なクローニング方法およびin vitro増幅方法が当業者に周知である。多くのクローニング作業を介して当業者に指針を与えるのに十分なこれらの技術の例および説明は、Berger and Kimmel (1987)、Maniatis 1989、ilhavy 1984、Ausubel 1998に見いだされる。好ましくは、本発明に係るDNA構築物は、当業者の熟知した組換えおよびクローニングの技術を用いて上述の配列中でDNA構築物の上述の必須の成分を連結させることにより作製される。
ポリヌクレオチド構築物の構築は、一般的には、細菌中で複製可能なベクターの使用を必要とする。細菌由来のプラスミドを精製するためのキットは、多数市販されている。それらを適切に使用するために、製造業者の説明書に準拠されたい(たとえば、いずれもPharmacia Biotech製のEasyPrepTM、FlexiPrepTM; Stratagene製のStrataCleanTM; およびQiagen製のQIAexpressTM Expression Systemを参照されたい)。単離および精製されたプラスミドは、次に、他のプラスミドを作製するためにさらに操作されうるか、細胞にトランスフェクトするために使用されうるか、または植物に感染させて形質転換するためにアグロバクテリウム・ツメファシエンスに組み込まれうる。アグロバクテリウムが形質転換の手段である場合、シャトルベクターが構築される。
4. 形質転換手順
本発明に係る方法は、トランスジェニック植物、またはそれに由来する細胞、一部分、組織、収穫物質を取得するのに有用である。
したがって、本発明の他の対象は、ゲノム中に、好ましくは核染色体DNA中に本発明に係るDNA構築物(たとえば、RiプラスミドpRi2659の境界領域を含むT−DNA)を含むトランスジェニック植物体または植物細胞、およびそのような植物に由来する細胞、細胞培養物、組織、一部分、または増殖物質、たとえば、植物生物の場合、葉、根、種子、果実、花粉などに関する。本発明の他の重要な態様は、開示された方法により作製されるトランスジェニック植物の後代、さらにはそのような後代に由来する細胞およびそのような後代から得られる種子を包含する。
植物品種は、植物育種者権利法(Plant Breeders Rights)に基づく排他的植物品種、とくに登録可能植物品種であってもよい。植物体の細胞またはその原細胞に導入されたトランスジーンをゲノム中に安定的に含有するというだけの理由で、植物体が「植物品種」を構成すると考える必要はないことに留意されたい。植物体に加えて、本発明は、そのような植物体の任意のクローン、結実、自己増殖、または異種交配による後代および子孫、ならびにこれらのいずれかの任意の一部分または繁殖体、たとえば、有性もしくは無性の生殖または増殖に使用されうる挿穂および種子を提供する。このほかに本発明に包含されるのは、そのような植物体の有性的もしくは無性的に増殖された後代、クローン、または子孫である植物体、あるいは該植物体、後代、クローン、または子孫の任意の一部分または繁殖体である。また、ヒトまたは動物により摂取可能な本発明に係る遺伝子改変植物は、たとえば、直接的にまたは当技術分野で公知の処理に従って食品または飼料として使用可能である。
本発明に係る方法は、実質上、さまざまな単子葉植物および双子葉植物を含めてすべての植物品種(以上に定義および明記したとおり)で利用可能である。驚くべきことに、本発明に係る非病害性アグロバクテリウム・リゾゲネス株を用いたところ、トウモロコシ(Zea mays)などのような単子葉植物で高い形質転換効率が得られた。単子葉植物の形質転換法は、種々存在する。多くの場合、微粒子銃は、その効率の点でおよび宿主域制限がない点で有利である(Christou 1995; Jahne 1995)。しかしながら、形質転換事象の構造および数が不規則であるため(たとえば、複数のコピーまたは断片化されたコピー)、多数の得られるトランスジェニック生物のスクリーニングおよび詳細分析が必要となる(Hadi 1996; Trick 1997)。一方、アグロバクテリウムにより媒介される単子葉植物の形質転換系の樹立は、困難であると考えられてきた。なぜなら、アグロバクテリウムによる単子葉植物の感染は、非常にまれな事象であり、妥当な効率は、「強毒性」A.ツメファシエンス株および/またはアセトシリンゴン(Tiプラスミド上のvir遺伝子の発現を引き起こすフェノール系化合物)を用いて達成しうるにすぎないからである(Belarmino 2000; Eady 2000; Hiei 1994; Smith and Hood 1995; Wilmink 1992)。しかしながら、非病害性A.リゾゲネス菌株により媒介される単子葉植物の形質転換に関する報告は、本発明以前には存在しない。
また、共培養法の標的物質として、多数の外植片、植物組織、または植物細胞培養物を利用することが可能である。当業者であればわかるであろうが、DNA構築物がトランスジェニック植物体に安定的に組み込まれて機能しうることが確認された後、有性交雑により他の植物体に導入することが可能である。交雑される種に応じて、いくつかの標準的交配技術のいずれかを使用することが可能である。
植物細胞にDNAを移入するために、トランスジェニックT−DNAを含む本発明に係る非病害性アグロバクテリウム・リゾゲネスと共に、植物外植片が共培養される。感染植物材料(たとえば、葉、根、柄の切片、さらには植物細胞のプロトプラストまたは懸濁液)から出発して、形質転換細胞を選択するための抗生物質や殺生物剤などを含有しうる好適な培地を用いて、インタクトな植物体を再生することが可能である。次に、導入されたDNA(この場合、本発明に係るDNA構築物)の存在下で、得られた植物体をスクリーニングすることが可能である。DNAが宿主ゲノムに組み込まれた直後から、該当する遺伝子型は、原則として安定的であり、該当する挿入断片はまた、後続の世代でも見いだされる。好ましくは、安定的に形質転換された植物体は、トランスジェニックT−DNAに含まれる選択マーカーを利用して選択される。得られた植物体は、慣用的方法で培養され交雑されうる。ゲノム中への組込みが安定的かつ遺伝的であることを保証するために、二世代以上増殖させなければならない。
カルス(US5,591,616;EP−A1 604 662)、未成熟胚(EP−A1 672 752)、花粉(US54,929,300)、茎頂(US5,164,310)をはじめとする種々の組織が、アグロバクテリウム媒介形質転換法またはin planta形質転換(US5,994,624)の出発材料(外植片)として好適であるが、これらに限定されるものではない。本明細書に記載の方法および材料は、当技術分野で公知の実質的にすべてのアグロバクテリウム媒介形質転換法と組み合せることが可能である。好ましい組合せは、以下の出発材料および方法を包含するが、これらに限定されるものではない:
Figure 2008511294
アグロバクテリウムによる形質転換の効率は、たとえば、創傷形成、真空浸潤(WO00/58484)、熱ショックおよび/または遠心分離、硝酸銀添加、超音波処理などのような当技術分野で公知の多数の他の方法により、向上させることが可能である。本発明の好ましい実施形態では、外植片材料は、アグロバクテリウムの接種(共培養)前に創傷が形成される。たとえば、切断、研磨、穿刺、ポーキング、微粉粒子もしくは加圧流体の貫通、プラズマ創傷形成、高圧適用、または超音波処理をはじめとする多くの創傷形成方法を使用することが可能である。創傷形成は、たとえば、メス、ハサミ、針、研磨材、エアブラシ、粒子、電気遺伝子銃、または音波のような手段を用いて実施可能であるが、これらに限定されるものではない。このほかの選択肢は、真空浸潤である(EP−A1 1,141,356;EP−A1 1,171,618)。当技術分野で公知の他のアグロバクテリウム形質転換効率増大法は、超音波処理(EP−A1 904,362)または標的組織の減量(EP−A1 1,137,790)と組み合わせることが可能であるが、これらに限定されるものではない。
本発明に係る非病害性アグロバクテリア・リゾゲネス細菌は、当技術分野で公知の方法により増殖および使用される。アグロバクテリウム株を含むベクターは、たとえば、適切な抗生物質(たとえば、50mg/Lスペクチノマイシン)が追加されたYEB培地(実施例2.6参照)で3日間増殖される。細菌は、固体培地からループで捕集され再懸濁される。本発明の好ましい実施形態では、アグロバクテリウム培養は、−80℃で凍結されたアリコートを用いて開始される。単離された葉柄をアグロバクテリウム処理するために、細菌は、葉柄培養に用いられる培地中に再懸濁される。
感染および共培養に用いられるアグロバクテリウムの濃度は、変化させる必要があることもある。この場合、10〜1010cfu/mLの範囲内のアグロバクテリウム濃度および数時間〜7日間の範囲内の共培養時間を使用することが可能である。アグロバクテリウムと単離された葉柄との共培養は、一般的には1〜5日間、好ましくは2〜4日間行われる。
次に、外植片は、数分間〜数時間、典型的には約10分間〜3時間、好ましくは約0.5時間〜1時間かけてアグロバクテリウム培養物の接種を受ける。過剰の培地は取り除かれ、アグロバクテリウムは、数日間、典型的には3日間かけて暗所で標的組織と共培養される。このステップの間、アグロバクテリウムは、標的組織のいくつかの細胞中に外来の遺伝的構築物を移入する。通常、このステップの間、選択剤は存在しない。
アグロバクテリウム共培養の前または共培養の間、培地中で1種以上のフェノール系化合物を利用することが可能であるが、必ずしもそれが必要というわけではない。本発明の範囲内で好適な「植物フェノール系化合物」または「植物フェノール類」は、陽性の化学走性応答を誘発しうる単離された置換フェノール系分子、特定的には、Riプラスミド含有アグロバクテリウム種においてvir遺伝子発現の増大を誘発しうるものである。好ましいのは、アセトシリンゴンである。さらに、浸透圧保護剤(たとえば、好ましくは約700mg/Lの濃度のL−プロリン、またはベタイン)、植物ホルモン(とくにNAA)、オピン、または糖のような特定の化合物は、植物フェノール系化合物と組み合わせて添加したときに相乗的に作用すると予想される。植物フェノール系化合物、特定的にはアセトシリンゴンは、単離された葉柄とアグロバクテリアとの接触(たとえば、数時間〜1日)の前に培地に添加することが可能である。培地中の植物フェノール系化合物の可能な濃度は、約25μM〜700μMの範囲内である。しかしながら、本発明に係る方法では、好ましくは、アセトシリンゴンを利用しない。アグロバクテリウム・ツメファシエンスにとくに適した誘発条件は、Vernade et al. (1988)に記載されている。
植物防御応答(たとえばフェノール酸化)に基づく組織壊死を減少させうる抗酸化剤(たとえばジチオトレイトール)またはチオール化合物(たとえばL−システイン、Olhoft 2001)を共培養培地に追加すると、アグロバクテリウム媒介形質転換の効率がさらに改善される可能性がある。
共培養の後、アグロバクテリウム・リゾゲネスを除去するか、増殖を抑制するか、または死滅させるためのステップを含めることが可能である。このステップは、1回以上の洗浄ステップを含みうる。共培養ステップの後に利用される培地は、好ましくは、殺細菌剤(抗生物質)を含有する。このステップは、非形質転換細胞の増殖を停止させるかまたは少なくとも遅延させて残存するアグロバクテリウム細胞を死滅させることが目的である。利用される好ましい抗生物質は、たとえば、カルベニシリン(500mg/L)またはチメンチン(Timentin)TM[GlaxoSmithKline;チカルシリンジナトリウムとクラブラン酸カリウムとの混合物;0.8gのチメンチン(Timentin)TMは、750mgのチカルシリンと共に50mgのクラブラン酸を含有する。化学的には、チカルシリンジナトリウムは、N−(2−カルボキシ−3,3−ジメチル−7−オキソ−4−チア−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプト−6−イル)−3−チオフェンマロンアミド酸ジナトリウム塩である。化学的には、クラブラン酸カリウムは、(Z)−(2R,5R)−3−(2−ヒドロキシエチリデン)−7−オキソ−4−オキサ−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプタン−2−カルボン酸カリウムである]である。
共培養ステップの後、共培養された外植片は、好ましくは、少なくとも1種の植物成長因子を含む再生培地でインキュベートされる。利用される培地は、植物細胞の特定および/または選択を可能にする選択マーカー遺伝子と組み合わせて適用可能である少なくとも1種の化合物(たとえば選択剤)をさらに含有しうる。しかしながら、共培養ステップの後、特定の時間にわたり、好ましくは5〜14日間にわたり、選択化合物が欠如している培地で外植片をインキュベートすることが好ましい。さらには形質転換体細胞および組織に対する選択化合物による意図せぬ損傷を阻止するために、前記選択化合物に対する信頼性の高い耐性レベルの確立に、ある程度の時間が必要である。
形質転換細胞(すなわち、宿主細胞のDNAに組み込まれたDNAを含む細胞)は、好ましくは、本発明に係る選択方法を用いて、非形質転換細胞から選択可能である。形質転換植物細胞が作製されれば、当業者に公知の方法を用いてインタクトな植物体を得ることが可能である。たとえば、カルス培養物が出発材料として使用される。苗条および根の形成は、このいまだに未分化の細胞バイオマスにおいて公知の方式により誘導可能である。得られた苗条は、植付けおよび栽培が可能である。
アグロバクテリウム媒介技術では、典型的には、標的組織において限定数の細胞中への遺伝子送達が起こりうる。したがって、本発明の好ましい実施形態では、形質転換されていない標的組織中の細胞をすべて死滅させるかまたは選択有利性を介して形質転換細胞を同定するために、形質転換後、選択剤が適用される。培養時間は、部分的には、非形質転換細胞に対する選択剤の毒性に依存する。前記選択またはスクリーニングに用いられる選択マーカー遺伝子および対応する選択化合物は、抗生物質、除草剤、またはD−アミノ酸のようなさまざまな周知の選択化合物のいずれであってもよい(詳細については下記参照)。この培養ステップの時間は、さまざまであり(選択化合物およびその濃度、選択マーカー遺伝子に依存する)、1日間から120日間までに及ぶ。選択可能および/またはスクリーニング可能なマーカー遺伝子の挿入断片は、本発明に係る方法の範囲内に包含される。これは、たとえば、除草剤耐性形質として後で使用に対するのに有利でありうる。
たとえば、選択マーカーとしてカナマイシン耐性遺伝子(ネオマイシンホスホトランスフェラーゼNPTII)を用いる場合、約3〜200mg/Lの濃度のカナマイシンが培地に含まれうる。選択に用いられる典型的な濃度は、5〜50mg/Lである。苗条が発育するまで、組織は、1〜3週間、好ましくは約7日間にわたりこの培地で増殖される。
たとえば、選択マーカーとしてのホスフィノトリシン耐性遺伝子(bar)を用いる場合、約3〜200mg/Lの濃度のホスフィノトリシンが培地に含まれうる。選択に用いられる典型的な濃度は、5〜50mg/Lである。苗条が発育するまで、組織は、1〜3週間、好ましくは約7日間にわたりこの培地で増殖される。
たとえば、選択マーカーとしてdao1遺伝子を用いる場合、約3〜100mg/Lの濃度のD−セリンまたはD−アラニンが培地に含まれうる。選択に用いられる典型的な濃度は、20〜40mg/Lである。苗条が発育するまで、組織は、1〜3週間、好ましくは約7日間にわたりこの培地で増殖される。
上記の形質転換技術のいずれかにより誘導される形質転換植物細胞は、形質転換遺伝子型ひいては所望の表現型を有する全植物体を再生するように培養可能である。そのような再生技術は、組織培養増殖培地における特定の植物ホルモンの操作に依拠し、この操作は、典型的には、所望のヌクレオチド配列と共に導入される殺生物剤マーカーおよび/または除草剤マーカーに依拠する。培養されたプロトプラストからの植物再生については、報告されている(Evans 1983; Binding, 1985)。再生はまた、植物カルス、外植片、体細胞不定胚(Dandekar 1989; McGranahan 1990)、器官、またはそれらの一部分から達成することも可能である。そのような再生技術については、報告されている(概説、Klee 1987)。他の利用可能な再生技術については、報告されている(Vasil 1984; Weissbach 1989)。
再生および/または選択のための本発明に係る方法で利用される培地は、場合により、たとえば、サイトカイニン化合物(たとえば6−ベンジルアミノプリン)および/またはオーキシン化合物(たとえば2,4−D)のような1種以上の植物成長調節剤を追加することが可能である。本明細書中で使用される「植物成長調節剤」(PGR)という用語は、植物の増殖および発育をレギュレートしうる天然に存在するかまたは合成の(天然に存在しない)化合物を意味する。PGRは、単独で、または互いと協同して、または他の化合物(たとえば、糖、アミノ酸)と協同して、作用しうる。「オーキシン」または「オーキシン化合物」という用語は、細胞伸長および細胞分裂、維管束組織の分化、果実の発育、不定根の形成、エチレンの産生を刺激し、(高濃度で)脱分化(カルス形成)を引き起こす化合物を包含する。最も一般的な天然に存在するオーキシンは、極の方向に根および茎に輸送されるインドール酢酸(IAA)である。合成オーキシンは、現代の農業で広範囲に使用される。オーキシン化合物は、インドール−3−酪酸(IBA)、ナフチル酢酸(NAA)、および2,4−ジクロルフェノキシ酢酸(2,4−D)を包含する。苗条形成を引き起こす化合物としては、IAA、NAA、IBA、サイトカイニン、オーキシン、カイネチン、グリホセート、およびチアジアズロン(thiadiazorun)が挙げられるが、限定されるものではない。
「サイトカイニン」または「サイトカイニン化合物」という用語は、細胞分裂、子葉拡張、および側芽成長を刺激する化合物を包含する。それらは、オーキシン(たとえばIAA)と共同して切断葉の老化を遅延させ、根および苗条の形成に影響を与えうる。サイトカイニン化合物は、たとえば、6−イソペンテニルアデニン(IPA)および6−ベンジルアデニン/6−ベンジルアミノプリン(BAP)を包含する。
子孫は、有性増殖または無性増殖により作製可能である。無性増殖は、当技術分野で周知の技術を用いて体細胞胚形成を導入することにより実現可能である。好ましくは、子孫は、有性増殖/受精により作製される。受精は、自殖(自家受粉)によりまたは他のトランスジェニック植物もしくは非トランスジェニック植物との交雑により実現可能である。本発明に係るトランスジェニック植物は、この点に関して、雌性植物または雄性植物のいずれかとして機能しうる。子孫は、農学上有益な形質遺伝子の1つ以上のコピーを含みうる。好ましくは、前記形質遺伝子の1コピーだけを含む子孫を単離する。
本明細書に開示されかつ特許を受けようとする組成物および方法はすべて、本明細書の開示に照らして過度の実験を行わなくとも構築および実施が可能である。好ましい実施形態により本発明に係る組成物および方法について説明してきたが、本発明の概念、精神、および範囲から逸脱することなく、本明細書に記載の組成物、方法、および方法の工程または順序に変更を加えうることは、当業者には自明であろう。より特定的には、同一または類似の結果が達成されているように、化学的にも生理学的にも関連する特定の薬剤を本明細書に記載の薬剤と置き換えうることは、自明であろう。当業者に自明なそのような類似の代替形態および変更形態はすべて、添付の特許請求の範囲に規定されている本発明の精神、範囲、および概念に包含されるものとみなされる。本明細書に挙げた出版物および特許出願はすべて、本発明が関係する当業者の技術レベルを示唆するものである。出版物および特許出願はすべて、あたかも個々の出版物および特許出願が具体的かつ個別的に示されて参照により組み入れられたのと同一程度まで参照により組み入れられるものとする。次に、本発明の特定の態様および実施形態について、実施例を介しておよび以下に記載の図を参照しながら具体的に説明する。
配列
1. 配列番号1:pRi2659の右隣接配列をコードする核酸配列
2. 配列番号2:pRi2659の左隣接配列をコードする核酸配列
3. 配列番号3:クローニングベクターpRL278(GenBank登録番号:L05083)の核酸配列
4. 配列番号4:pRi2659(GenBank登録番号:AJ271050)のT−DNA領域をコードする核酸配列
5. 配列番号5:アグロバクテリウム株K599 16S−23S rRNA遺伝子間配列モチーフM1:5’−AATCGTCGATGCGAATTGTTG−3’
6. 配列番号6:アグロバクテリウム株K599 16S−23S rRNA遺伝子間配列モチーフM2:5’−GTTTTGTCCTGACGCTGTCGCGA−3’
7. 配列番号7:アグロバクテリウム株K599 16S−23S rRNA遺伝子間配列モチーフM3:5’−TCTAACGATCGCTGCGCTCCGGA−3’
8. 配列番号8:アグロバクテリウム株K599 16S−23S rRNA遺伝子間配列モチーフM4:5’−CGCCACGAGGCGCGACGGA−3’
9. 配列番号9:アグロバクテリウム株K599 16S−23S rRNA遺伝子間配列モチーフM5:5’−TTATGGGCGAATTGATCTGA−3’
10. 配列番号10:アグロバクテリウム株K599 16S−23S rRNA遺伝子間配列モチーフM6:5’−GTCCTGCTAAGGATTGATGCCT−3’
11. 配列番号11:アグロバクテリウム株K599 16S−23S rRNA遺伝子間配列モチーフM7:5’−AGACCAGTCCTTGTGAAACC−3’
12. 配列番号12:アグロバクテリウム株K599 16S−23S rRNA遺伝子間配列モチーフM8:5’−CCTGGGCATTTTTGTTGTTGG−3’
13. 配列番号13:アグロバクテリウム株K599 16S−23S rRNA遺伝子間配列モチーフM9:5’−AATGGTATGGCTTCGAGGTG−3’
14. 配列番号14:アグロバクテリウム株K599 16S−23S rRNA遺伝子間配列モチーフM10:5’−CTCAAAGAAGACCGTACCGACA−3’
15. 配列番号15:バイナリーベクターpBPSEW008 [p−NOS::c−bar::t−NOS p−PcUBI::c−gusINT::t−NOS]
16. 配列番号16:バイナリーベクターpBPSMM192b [p−AtAhas::c−csr1−2::t−AtAHAS t−NOS::c−gusINT::p−SUPER]
17. 配列番号17:JTバイナリーベクターpBPSMM232 [p−ZmUbi1::c−ZmAHASL/Xi12::t−ZmAHAS t−NOS::c−gusINT::p−ZmUbi1] pBPSMM232は、そのままの状態ではアグロバクテリウム中で複製可能でないが大腸菌でのみ複製可能であるベクターである。スーパーバイナリープラスミドpSB1を含むアグロバクテリウム中への形質転換では、pBPSMM232とpSB1との間の選択媒介融合によりキメラプラスミド(pSB1/pBPSMM232)が得られる;Komari 1996。
18. 配列番号18:pRi2659の左境界配列 5’−TGGCAGGATA TATTGTGGTG TAAA−3’
19. 配列番号19:pRi2659の右境界配列 5’−TGACAGGATA TATCCCCTTG TCTA−3’
20. 配列番号20:アグロバクテリウム株K599の16S−23S rRNA遺伝子間配列
21. 配列番号21:アグロバクテリウム株K599の16S rRNAをコードするゲノムDNA
22. 配列番号22:欠失ベクターpBPSSH009
23. 配列番号23:欠失ベクターpRL278 LF/RF(pBPSSH009bとも呼ばれる)
24. 配列番号24:pRi2659Δをコードする核酸配列(テトラサイクリン選択マーカー(tet)を含まない)
25. 配列番号25:mll6374様遺伝子(インテグラーゼ/リコンビナーゼ[メソリゾビウム・ロティ(Mesorhizobium loti)MAFF303099])に類似したrcorf1によりコードされるアミノ酸配列
26. 配列番号26:pRi1724中のriorf22にやや類似したrcorf13によりコードされるアミノ酸配列(仮定的タンパク質Bcep02000337[バークホルデリア・フンゴルム(Burkholderia fungorum)LB400]に類似)
27. 配列番号27:pRi1724中のriorf37(推定的ミキモピントランスポーター)に類似した推定的ククモピントランスポーター遺伝子rcorf14によりコードされるアミノ酸配列
28. 配列番号28:rcorf16(SMa2205シノリゾビウム・メリロティ(Sinorhizobium meliloti)1021(菌株:1021)のCOG1176[E]ABC型スペルミジン/プトレシン輸送系パーミアーゼ成分Iに類似)によりコードされるアミノ酸配列
29. 配列番号29:pRi1724中のriorf39(KEGG経路:ヒスチジン代謝00340)に少し類似したhutl(イミダゾロン−5−プロピオン酸ヒドロラーゼ[アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)株C58])に類似したrcorf19によりコードされるアミノ酸配列
30. 配列番号30:pRi1724中のriorf41(仮定的タンパク質)に類似したrcorf20によりコードされるアミノ酸配列
31. 配列番号31:pRi1724中のhutU遺伝子相同体riorf42(ウロカナーゼ、EC番号4.2.1.49)に類似したrcorf21によりコードされるアミノ酸配列
32. 配列番号32:未知機能のタンパク質DUF886[メソリゾビウム(Mesorhizobium)sp.BNC1]に類似し、かつシュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)のhutR遺伝子に隣接する不明な遺伝子に類似したpRi1724中のriorf43に少し類似したrcorf22によりコードされるアミノ酸配列
33. 配列番号33:rcorf23によりコードされるアミノ酸配列(IS30ファミリーのトランスポザーゼに類似した類似C末端)
34. 配列番号34:gatA−1遺伝子[グルタミル−tRNAアミドトランスフェラーゼ、サブユニットA(gatA−1) スルフォロブス・ソルファタリクス(Sulfolobus solfataricus)P2]に類似したpRi1724中のriorf60に類似したrcorf32によりコードされるアミノ酸配列
35. 配列番号35:agaB遺伝子(アグロピン酸パーミアーゼpfam00528:BPD_transp_1;結合タンパク質依存性輸送系内膜成分)に類似した仮定的ABCトランスポーター遺伝子であるpRi1724中のriorf62に類似したrcorf34によりコードされるアミノ酸配列
36. 配列番号36:dppC遺伝子(pfam00528:BPD_transp_1;結合タンパク質依存性輸送系内膜成分)に類似した仮定的ABCトランスポーター遺伝子であるpRi1724中のriorf63に類似したrcorf35によりコードされるアミノ酸配列
37. 配列番号37:moaD遺伝子(マンノピニン酸パーミアーゼCOG1123:種々のABC型輸送系のATPアーゼ成分)に類似した仮定的ABCトランスポーター遺伝子であるpRi1724中のriorf64に類似したrcorf36によりコードされるアミノ酸配列
38. 配列番号38:amaB遺伝子(N−カルバモイル−β−アラニンアミドヒドロラーゼ)に類似したpRi1724中のriorf66に類似したrcorf37によりコードされるアミノ酸配列
39. 配列番号39:pck遺伝子(pfam01633:Choline_kinase;コリン/エタノールアミンキナーゼ)にやや類似したpRi1724中のriorf68に類似したrcorf39によりコードされるアミノ酸配列
40. 配列番号40:マイコバクテリウム・レプレ(Mycobacterium leprae)のMLCB1779.29(推定的モノホスファターゼ遺伝子)(cd01641:Bacterial_IMPase_like_1;イノシトールモノホスファターゼに関連付けられる主に細菌性ファミリーのMg++依存性ホスファターゼ)に類似したpRi1724中のriorf69に類似したrcorf40によりコードされるアミノ酸配列
41. 配列番号41:pTi15955中のorf2遺伝子に類似した仮定的ケモレセプター遺伝子であるpRi1724中のriorf71に類似したrcorf41によりコードされるアミノ酸配列
42. 配列番号42:teuB(ペリプラズム糖結合タンパク質)遺伝子(COG1879:RbsB;ABC型糖輸送系ペリプラズム成分[炭水化物の輸送および代謝])に類似したriorf74に類似したrcorf44によりコードされるアミノ酸配列
43. 配列番号43:仮定的ABCトランスポーター遺伝子であるteuA(ATP結合糖ABCトランスポーター)遺伝子(COG1129:MglA;ABC型糖輸送系ATPアーゼ成分[炭水化物の輸送および代謝])に類似したpRi1724中のriorf75に類似したrcorf45によりコードされるアミノ酸配列
44. 配列番号44:仮定的ABCトランスポーター遺伝子であるteuC1(糖ABCトランスポーターパーミアーゼ)遺伝子(pfam02653:BPD_transp_2;分枝鎖状アミノ酸輸送系/パーミアーゼ成分)に類似したpRi1724中のriorf76に類似したrcorf46によりコードされるアミノ酸配列
45. 配列番号45:仮定的ABCトランスポーター遺伝子であるteuC2(糖ABCトランスポーターパーミアーゼ)遺伝子(pfam02653:BPD_transp_2;分枝鎖状アミノ酸輸送系/パーミアーゼ成分)に類似したpRi1724中のriorf77に類似したrcorf47によりコードされるアミノ酸配列
46. 配列番号46:pRi1724中のriorf78(COG2755[E]リゾホスホリパーゼL1および関連エステラーゼ)に類似したrcorf48によりコードされるアミノ酸配列
47. 配列番号47:glpD遺伝子相同体であるpRi1724のriorf80(グリセロール−3−リン酸デヒドロゲナーゼ[アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)株C58])に類似したrcorf50によりコードされるアミノ酸配列
48. 配列番号48:acs(アセチル−CoAシンテターゼ)(EC6.2.1.1)遺伝子相同体であるpRi1724中のriorf81に類似したrcorf51によりコードされるアミノ酸配列
49. 配列番号49:adk遺伝子相同体であるpRi1724のriorf82(pfam00406:ADK;アデニル酸キナーゼEC2.7.4.3)に類似したrcorf52によりコードされるアミノ酸配列
50. 配列番号50:pTi15955中のorf2遺伝子に類似した仮定的ケモレセプター遺伝子であるpRi1724中のriorf83に類似したrcorf53によりコードされるアミノ酸配列
51. 配列番号51:cbbF遺伝子相同体であるriorf84(cd00354:FBPアーゼ;フルクトース−1,6−ビスリン酸からフルクトース−6−リン酸への加水分解を触媒し糖新生経路に重要である酵素フルクトース−1,6−ビスホスファターゼ)に類似したrcorf54によりコードされるアミノ酸配列
52. 配列番号52:cbbA遺伝子相同体であるrcorf55(acd00947:TBP_aldolase_IIB;タガトース−1,6−ビスリン酸(TBP)アルドラーゼおよび関連タイプBクラスIIアルドラーゼ)によりコードされるアミノ酸配列
53. 配列番号53:pdbのA鎖(酵母トリオースリン酸イソメラーゼ(tri1))に類似したrcorf56によりコードされるアミノ酸配列
54. 配列番号54:pRi1724中のriorf88とphrR遺伝子(DNA結合タンパク質、ヘリックス・ターン・ヘリックスXREファミリー)とに類似したrcorf57によりコードされるアミノ酸配列
55. 配列番号55:pRi1724中のriorf89とthcR遺伝子(保存ドメインHTH−ARAC;ヘリックス・ターン・ヘリックスアラビノースオペロン制御タンパク質)とに類似したrcorf58によりコードされるアミノ酸配列
56. 配列番号56:pRi1724中のriorf90とpTiC58中のAtu6096(メソリゾビウム(Mesorhizobium)種およびアグロバクテリウム(Agrobacterium)種で保存されている)とに類似したrcorf59によりコードされるアミノ酸配列
57. 配列番号57:アグロバクテリウム(Agrobacterium)種、メソリゾビウム(Mesorhizobium)種、およびニトロバクター(Nitrobacter)種のいくつかの仮定的タンパク質にも類似したpRi1724中のriorf91に類似したrcorf60によりコードされるアミノ酸配列
58. 配列番号58:pRi1724中のriorf92(いくつかのアグロバクテリウム(Agrobacterium)株およびメソリゾビウム(Mesorhizobium)株で保存されている仮定的タンパク質)に類似したrcorf61によりコードされるアミノ酸配列
59. 配列番号59:ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)のjhp0928遺伝子(COG0827;アデニン特異的DNAメチラーゼ[DNAの複製、組換え、および修復])に類似したriorf93に類似したrcorf62によりコードされるアミノ酸配列
60. 配列番号60:AGR_pTi_191分配タンパク質(アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)株C58、分配タンパク質、COG1475[K]予測される転写レギュレーター)に類似したrcorf63によりコードされるアミノ酸配列
61. 配列番号61:アグロバクテリウム(Agrobacterium)種、メソリゾビウム(Mesorhizobium)種、およびニトロバクター(Nitrobacter)種で保存されている仮定的タンパク質MesoDRAFT_1041[メソリゾビウム(Mesorhizobium)sp.BNC1]に類似したrcorf64によりコードされるアミノ酸配列
62. 配列番号62:アグロバクテリウム(Agrobacterium)種、メソリゾビウム(Mesorhizobium)種、およびニトロバクター(Nitrobacter)種で保存されている仮定的タンパク質MesoDRAFT_1043[メソリゾビウム(Mesorhizobium)sp.BNC1]に類似したrcorf66によりコードされるアミノ酸配列
63. 配列番号63:チオカプサ・ロセオペルシシナ(Thiocapsa roseopersicina)のhydL遺伝子の下流領域にやや類似したpRi1724中のriorf96(仮定的タンパク質)に類似したrcorf67によりコードされるアミノ酸配列
64. 配列番号64:AGR_pTi_204[アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)株C58]およびストレプトマイセス・クラブリゲルス(Streptomyces clavuligerus)由来のargG(アルギニノコハク酸シンターゼ)に類似したrcorf68によりコードされるアミノ酸配列
65. 配列番号65:pSa(lncWプラスミド)中のardC遺伝子(COG4227推定的接合移入タンパク質(抗制限タンパク質))に類似したpRi1724中のriorf100に類似したrcorf69によりコードされるアミノ酸配列
66. 配列番号66:mll9093(アスパラギン酸1−デカルボキシラーゼ[メソリゾビウム・ロティ(Mesorhizobium loti)MAFF303099])およびキサントモナス・シトリ(Xanthomonas citri)のpgi遺伝子(COG0853[H]アスパラギン酸1−デカルボキシラーゼ)に類似したpRi1724中のriorf101に類似したrcorf70によりコードされるアミノ酸配列
67. 配列番号67:pRtrCFN299a中のteuB遺伝子(COG1879:RbsB;ABC型糖輸送系ペリプラズム成分[炭水化物の輸送および代謝])に類似したpRi1724中のriorf106に類似したrcorf71によりコードされるアミノ酸配列
68. 配列番号68:リゾビウム・レグミノサルム(Rhizobium leguminosarum)のmcpC(リゾビウム(Rhizobium)のmcpC遺伝子)遺伝子(smart00283:MA;メチル受容化学走性様ドメイン(化学走性感覚トランスデューサー))に類似したpRi1724中のriorf107に類似したrcorf72によりコードされるアミノ酸配列
69. 配列番号69:pRi1724中のriorf112(COG0507:RecD;ATP依存性エキソDNアーゼ(エキソヌクレアーゼV)αサブユニット−ヘリカーゼスーパーファミリーIメンバー[DNAの複製、組換え、および修復])に類似した推定的traA遺伝子rcorf77によりコードされるアミノ酸配列
70. 配列番号70:pRi1724中のriorf114に類似した推定的traB遺伝子rcorf79によりコードされたアミノ酸配列
71. 配列番号71:pRi1724中のriorf115(アグロバクテリウム・リゾゲネス(Agrobacterium rhizogenes)(菌株:MAFF03−01724)の仮定的タンパク質)に類似したrcorf80によりコードされるアミノ酸配列
72. 配列番号72:pRi1724中のriorf118(TraRアンタゴニスト)に類似した推定的traM遺伝子rcorf82によりコードされるアミノ酸配列
73. 配列番号73:riorf132(アグロバクテリウム・リゾゲネス(Agrobacterium rhizogenes)(菌株:MAFF03−01724)、cd00550:ArsA_ATPase;オキシアニオン転位ATPアーゼ(ArsA)およびcd00592:HTH_MERR;ヘリックス・ターン・ヘリックス転写レギュレーターMERR、N末端ドメイン)に類似した推定的repA遺伝子rcorf96によりコードされるアミノ酸配列
74. 配列番号74:pRi1724中のriorf133(smart00470:ParB;ParB様ヌクレアーゼドメインタンパク質)に類似した推定的repB遺伝子rcorf97によりコードされるアミノ酸配列
75. 配列番号75:栄養複製に不可欠であるpRi1724中のriorf134に類似した推定的repC遺伝子rcorf98によりコードされるアミノ酸配列
76. 配列番号76:pNGR234a中のy4aO遺伝子にやや類似したpRi1724中のriorf135に類似したrcorf99によりコードされるアミノ酸配列
77. 配列番号77:pRi1724中のriorf137遺伝子およびpTiA6NC中のorf4遺伝子に類似したrcorf103によりコードされるアミノ酸配列
78. 配列番号78:pNGR234a中のy4jF遺伝子とy4jG遺伝子との間の特性付けされていない領域に類似したpRi1724中のriorf139に類似したrcorf105によりコードされるアミノ酸配列
79. 配列番号79:pRi1724中のriorf140と大腸菌のorf300遺伝子(pfam00004:AAA;種々の細胞活性に関連するATPアーゼファミリー(AAA))とに類似したrcorf106によりコードされるアミノ酸配列
80. 配列番号80:pRi1724中のriorf141(仮定的タンパク質)のN末端に類似したrcorf107によりコードされるアミノ酸配列
81. 配列番号81:SERP1653(スタフィロコッカス・エピデルミディス(Staphylococcus epidermidis)RP62A(菌株:RP62A)の仮定的タンパク質)にやや類似したrcorf109によりコードされるアミノ酸配列
82. 配列番号82:シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)のルミナール結合タンパク質に対する遺伝子エキソン6に類似したpRi1724中のriorf142に類似したrcorf110によりコードされるアミノ酸配列
83. 配列番号83:pRi1724中のriorf143とpSG5中のspdB3遺伝子とに類似したrcorf111によりコードされるアミノ酸配列
84. 配列番号84:pRi1724中のriorf144に類似したrcorf112によりコードされるアミノ酸配列
85. 配列番号85:pRi1724中のriorf146とpTiSAKURA中のtiorf133とに類似したrcorf114(推定virF遺伝子)によりコードされるアミノ酸配列
86. 配列番号86:aatA(atu2196)(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼA[アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)株C58])のN末端に類似したpRi1724中のriorf149に類似したrcorf117によりコードされるアミノ酸配列
87. 配列番号87:pRi1724中のriorf151(シトクロムP450型オキシダーゼ、おそらくvirB/D4を介するIV型分泌タンパク質)に類似したrcorf119(推定的virH)によりコードされるアミノ酸配列
88. 配列番号88:pRi1724中のriorf152(二成分virA/G調節系のレセプター)に類似したrcorf120(推定的virA)によりコードされるアミノ酸配列
89. 配列番号89:pRi1724中のriorf153(T−複合体移入に必要とされるIV型分泌系)に類似したrcorf121(推定的virB1)によりコードされるアミノ酸配列
90. 配列番号90:pRi1724中のriorf155(T−複合体移入に必要とされるIV型分泌系)に類似したrcorf123(推定的virB3)によりコードされるアミノ酸配列
91. 配列番号91:pRi1724中のriorf157(T−複合体移入に必要とされるIV型分泌系)に類似したrcorf125(推定的virB5)によりコードされるアミノ酸配列
92. 配列番号92:pRi1724中のriorf158(T−複合体移入に必要とされるIV型分泌系)に類似したrcorf126(推定的virB6)によりコードされるアミノ酸配列
93. 配列番号93:pRi1724中のriorf159(T−複合体移入に必要とされるIV型分泌系)に類似したrcorf127(推定的virB7)によりコードされるアミノ酸配列
94. 配列番号94:pRi1724中のriorf161(T−複合体移入に必要とされるIV型分泌系)に類似したrcorf129(推定的virB9)によりコードされるアミノ酸配列
95. 配列番号95:pRi1724中のriorf163(T−複合体移入に必要とされるIV型分泌系)に類似したrcorf131(推定的virB11)によりコードされるアミノ酸配列
96. 配列番号96:pRi1724中のriorf164(二成分virA/G調節系のアクチベーター)に類似したrcorf132(推定的virG)によりコードされるアミノ酸配列
97. 配列番号97:ISBm1トランスポザーゼorfB[ブルセラ・スイス(Brucella suis)1330](NP 697552)のaa1−103に類似したrcorf133(仮定的タンパク質)によりコードされるアミノ酸配列
98. 配列番号98:pRi1724中のriorf167(virA/G調節T−DNA境界領域エンドヌクレアーゼアクセサリータンパク質)に類似したrcorf137(推定的virD1)によりコードされるアミノ酸配列
99. 配列番号99:pRi1724中のriorf168(virA/G調節T−DNA境界領域エンドヌクレアーゼ)に類似したrcorf138(推定的virD2)によりコードされるアミノ酸配列
100. 配列番号100:pRi1724中のriorf170(virB/D4 IV型分泌系のvirA/G調節成分)に類似したrcorf140(推定的virD4)によりコードされるアミノ酸配列
101. 配列番号101:pRi1724中のriorf172に類似しかつpTi−SAKURA(virB/D4複合体を介するIV型分泌タンパク質)中のtiorf133に少し類似したrcorf142(推定的virF)によりコードされるアミノ酸配列
102. 配列番号102:A.ツメファシエンス(A. tumefaciens)のvirE2およびIMPA1(AtKAPα)(virB/D4 IV型分泌タンパク質)と相互作用するpRi1724中のriorf173およびpRiA6NC中のvirE3に類似したrcorf143(推定的virE3)によりコードされるアミノ酸配列
103. 配列番号103:メソリゾビウム・ロティ(Mesorhizobium loti)MAFF303099 mlr1626(予測マンノース−6−リン酸イソメラーゼ)に類似したrcorf144によりコードされるアミノ酸配列
104. 配列番号104:ファージインテグラーゼに類似したrcorf145によりコードされるアミノ酸配列
105. 配列番号105:pRi2659Δtet(テトラサイクリン選択マーカー(tet)を含む)のRF::tet::LF領域をコードする核酸配列
106. 配列番号106:pRi2659をコードする核酸配列
107. 配列番号107:virG CDS内のPCRプライマー 5’−TACTTCCTCC TCACGCACTC−3’
108. 配列番号108:virBオペロン内のPCRプライマー 5’−GCCAGCAATG ATCAAGAATT TGTTT−3’
109. 配列番号109:PCR G109フォワードプライマー 5’−TTGGTGCGAC AACTCCTCGG CG−3’
110. 配列番号110:PCR G112リバースプライマー 5’−GGTGAGCTCG ATCAGCTTCG GC−3’
111. 配列番号111:pRi2659のvirD2をコードする核酸配列
112. 配列番号112:rcorf138としても知られるpRi2659のvirD2タンパク質に対するアミノ酸配列
113. 配列番号113:rcorf2〜rcorf12を含有するpRi2659の相補的核酸配列
114. 配列番号114:仮定的タンパク質Bcep02000338[バークホルデリア・フンゴルム(Burkholderia fungorum)LB400]に類似したpRi1724中のriorf20にやや類似したrcorf12によりコードされるアミノ酸配列
115. 配列番号115:hutH遺伝子相同体であるpRi1724中のriorf40(cd01441:HAL;ヒスチジンアンモニアリアーゼ(HAL)はヒスチジンからグルタミン酸への分解の第一段階を触媒する)に類似したrcorf11によりコードされるアミノ酸配列
116. 配列番号116:転写調節タンパク質[ブラディリゾビウム・ジャポニカム(Bradyrhizobium japonicum)USDA 110]ヘリックス・ターン・ヘリックスグルコネートオペロン転写リプレッサーに類似したrcorf10によりコードされるアミノ酸配列
117. 配列番号117:A.ツメファシエンス(A. tumefaciens)C58ヒダントイン利用タンパク質hyuAに類似したrcorf9によりコードされるアミノ酸配列
118. 配列番号118:A.ツメファシエンス(A. tumefaciens)C58ヒダントイン利用タンパク質hyuBに類似したrcorf8によりコードされるアミノ酸配列
119. 配列番号119:STH1060(グルタミンABCトランスポーター基質結合タンパク質[シンビオバクテリウム・サーモフィラム(Symbiobacterium thermophilum)IAM 14863])に類似したCOG0834(バークホルデリア・フンゴルム(Burkholderia fungorum)LB400 COG0834)に類似したrcorf7によりコードされるアミノ酸配列
120. 配列番号120:PSPTO5181(推定シスチンABCトランスポーターパーミアーゼタンパク質[シュードモナス・シリンガエ(Pseudomonas syringae)pv.トマト菌株DC3000])に類似したCOG0765[バークホルデリア・フンゴルム(Burkholderia fungorum)LB400]に類似したrcorf6によりコードされるアミノ酸配列
121. 配列番号121:blr3310(COG0765:ABCトランスポーターパーミアーゼタンパク質[ブラディリゾビウム・ジャポニカム(Bradyrhizobium japonicum)USDA 110])に類似したBcep02000339[バークホルデリア・フンゴルム(Burkholderia fungorum)LB400]に類似したrcorf5によりコードされるアミノ酸配列
122. 配列番号122:グルタミンABCトランスポーターATP結合タンパク質[シンビオバクテリウム・サーモフィラム(Symbiobacterium thermophilum)IAM 14863]に類似したSTH1062にN末端が類似し;ブラディリゾビウム・ジャポニカム(Bradyrhizobium japonicum)USDA 110の仮定的タンパク質bll6362(プロピオン酸異化に関与する特性付けされていないタンパク質COG2079[R])にC末端が類似したrcorf4によりコードされるアミノ酸配列
123. 配列番号123:mlr6097(窒素同化制御タンパク質[メソリゾビウム・ロティ(Mesorhizobium loti)MAFF303099]、転写レギュレーターCOG0583[K])にやや類似したrcorf3によりコードされるアミノ酸配列
124. 配列番号124:IS66中のorf3遺伝子相同体であるpRi1724中のriorf1に類似したrcorf2によりコードされるアミノ酸配列
125. 配列番号125:rcorf18を含有するpRi2659の相補的核酸配列
126. 配列番号126:仮定的タンパク質AGR_L_1821[アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)株C58](sdeB遺伝子相同体、cd01298:ATZ_TRZ_like;TRZ/ATZファミリーはアトラジン分解経路の酵素および関連ヒドロラーゼを含む)に類似したrcorf18によりコードされるアミノ酸配列
127. 配列番号127:rcorf24〜rcorf31を含有するpRi2659の相補的核酸配列
128. 配列番号128:メチロバクテリウム・エクストルクエンス(Methylobacterium extorquens)のorf3遺伝子(予測N−ホルミルグルタメートCOG3931[E])に類似したpRi1724中のriorf59に類似したrcorf31によりコードされるアミノ酸配列
129. 配列番号129:eutB相同体であるpRi1724中のriorf58(エタノールアミンアンモニアリアーゼ重鎖)に類似したrcorf30によりコードされるアミノ酸配列
130. 配列番号130:pRi1724中のriorf55(virE2を補完する。効率的な安定的植物形質転換に必要とされるが、機序不明)に類似したrcorf28(推定的GALLS遺伝子)によりコードされるアミノ酸配列
131. 配列番号131:pRi1724中のriorf54に類似したrcorf27(推定的トランスゼアチンシンターゼ(EC 2.5.1.−))によりコードされるアミノ酸配列
132. 配列番号132:idi(イソペンテニル二リン酸δ−イソメラーゼ[マイコバクテリウム・ツベルクロシス(Mycobacterium tuberculosis)CDC1551]EC 5.3.3.2)に類似したpRi1724中のriorf53に類似した推定的idi遺伝子であるrcorf26によりコードされるアミノ酸配列
133. 配列番号133:デカルボキシラーゼファミリータンパク質MCA2182[メチロコッカス・カプスラタス(Methylococcus capsulatus)株Bath]に類似したpRi1724中のriorf52に類似したrcorf25によりコードされるアミノ酸配列
134. 配列番号134:tetR細菌性調節ファミリーのmtrR遺伝子にやや類似したpRi1724中のriorf51に類似したrcorf24によりコードされるアミノ酸配列
135. 配列番号135:rcorf42〜rcorf43を含有するpRi2659の相補的核酸配列
136. 配列番号136:SMa2002[シノリゾビウム・メリロティ(Sinorhizobium meliloti)1021](COG2755[E] リゾホスホリパーゼL1および関連エステラーゼ)に類似したpRi1724中のriorf73に類似したrcorf43によりコードされるアミノ酸配列
137. 配列番号137:SMa2004[シノリゾビウム・メリロティ(Sinorhizobium meliloti)1021](推定ROKファミリー転写レギュレーター)に類似した仮定的リプレッサー遺伝子であるpRi1724中のriorf73に類似したrcorf42によりコードされるアミノ酸配列
138. 配列番号138:rcorf74〜rcorf76を含有するpRi2659の相補的核酸配列
139. 配列番号139:pRi1724中のriorf111に類似した推定的traC遺伝子(Tiプラスミド接合DNAプロセシング)であるrcorf76によりコードされるアミノ酸配列
140. 配列番号140:pRi1724中のriorf109(cd01126:TraG_VirD4;TraG/TraD/VirD4ファミリーは細菌接合タンパク質である)に類似した推定的traG遺伝子であるrcorf74によりコードされるアミノ酸配列
141. 配列番号141:rcorf83〜rcorf95を含有するpRi2659の相補的核酸配列
142. 配列番号142:pRi1724中のriorf131(LuxI型菌体数感知レギュレーター、3−オキソオクタノイルホモセリンラクトン合成、pfam00765:Autoind_synth;オートインデューサーシンテターゼ)に類似した推定的traI遺伝子rcorf95によりコードされるアミノ酸配列
143. 配列番号143:pRi1724中のriorf130(Ri/Tiプラスミド接合に必要とされるIV型移入系)に類似した推定的trbB遺伝子であるrcorf94によりコードされるアミノ酸配列
144. 配列番号144:pRi1724中のriorf129(Ri/Tiプラスミド接合に必要とされるIV型移入系)に類似した推定的trbC遺伝子であるrcorf93によりコードされるアミノ酸配列
145. 配列番号145:pRi1724中のriorf127(Ri/Tiプラスミド接合に必要とされるIV型移入系)に類似した推定的trbE遺伝子であるrcorf91によりコードされるアミノ酸配列
146. 配列番号146:pRi1724中のriorf125(Ri/Tiプラスミド接合に必要とされるIV型移入系)に類似したtrbK遺伝子相同体であるrcorf89によりコードされるアミノ酸配列
147. 配列番号147:pRi1724中のriorf123(Ri/Tiプラスミド接合に必要とされるIV型移入系)に類似した推定的trbF遺伝子であるrcorf88によりコードされるアミノ酸配列
148. 配列番号148:pRi1724中のriorf123(Ri/Tiプラスミド接合に必要とされるIV型移入系)に類似した推定的trbF遺伝子であるrcorf87によりコードされるアミノ酸配列
149. 配列番号149:pRi1724中のriorf122(Ri/Tiプラスミド接合に必要とされるIV型移入系)に類似した推定的trbG遺伝子であるrcorf86によりコードされるアミノ酸配列
150. 配列番号150:pRi1724中のriorf121(Ri/Tiプラスミド接合に必要とされるIV型移入系)に類似した推定的trbH遺伝子であるrcorf85によりコードされるアミノ酸配列
151. 配列番号151:pRi1724中のriorf120(pfam03743:Trbl;細菌接合TrbI様タンパク質)に類似した推定的trbI遺伝子であるrcorf84によりコードされるアミノ酸配列
152. 配列番号152:pRi1724中のriorf119とpTiC58中のtraR/AGR pTi249とに類似した推定的traR遺伝子であるrcorf83によりコードされるアミノ酸配列
153. 配列番号153:rcorf100〜rcorf102を含有するpRi2659の相補的核酸配列
154. 配列番号154:pTiA6NC中の仮定的インテグラーゼ遺伝子orf2(シュードモナス(Pseudomonas)のインテグラーゼ様遺伝子に類似する)に類似したrcorf102によりコードされるアミノ酸配列
155. 配列番号155:pAT22(アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)株C58(菌株:C58、単離株:Cereon)、COG0582[L]インテグラーゼタンパク質)のN末端断片に類似したrcorf101によりコードされるアミノ酸配列
156. 配列番号156:pAT22(アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)株C58(菌株:C58、単離株:Cereon)、COG0582[L]インテグラーゼタンパク質)のC末端に類似したrcorf100によりコードされるアミノ酸配列
157. 配列番号157:rcorf115〜rcorf116を含有するpRi2659の相補的核酸配列
158. 配列番号158:Atu0711(アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)株C58)およびpRi1724中のriorf148と、kup遺伝子(pfam02705:K_Trans;K+カリウムトランスポータータンパク質)とに類似した推定的カリウム取込みタンパク質であるrcorf116によりコードされるアミノ酸配列
159. 配列番号159:pRi1724中のriorf147とpNGR234a中のy4mC遺伝子相同体(vir誘導遺伝子)とに類似したrcorf115によりコードされるアミノ酸配列
160. 配列番号160:rcorf134〜rcorf136を含有するpRi2659の相補的核酸配列
161. 配列番号161:pRi1724中のriorf166(毒性virA/G調節タンパク質、AGR_pTi_18p;VirC1;T−DNAの右境界領域に隣接するオーバードライブ配列に結合;T−DNAプロセシングのレベルを増大)に類似した推定的virC1であるrcorf136によりコードされるアミノ酸配列
162. 配列番号162:pRi1724中のriorf165(T−DNAプロセシング毒性virA/G調節タンパク質)に類似した推定的virC2であるrcorf135によりコードされるアミノ酸配列
163. 配列番号163:ISBm1トランスポザーゼorfA[ブルセラ・スイス(Brucella suis)1330](NP 697551)のaa4−122/142に類似した仮定的タンパク質であるrcorf134によりコードされるアミノ酸配列
164. 配列番号164:SMa2207(推定ABCトランスポーター、ATP結合タンパク質[シノリゾビウム・メリロティ(Sinorhizobium meliloti)1021]、COG3842:PotA;ABC型スペルミジン/プトレシン輸送系ATPアーゼ成分[アミノ酸の輸送および代謝])に類似したrcorf15によりコードされるアミノ酸配列
165. 配列番号165:riorf34(仮定的タンパク質[アグロバクテリウム・リゾゲネス(Agrobacterium rhizogenes)]、推定的ミキモピントランスポーター遺伝子)に類似した推定的ククモピントランスポーターであるrcorf17によりコードされるアミノ酸配列
166. 配列番号166:pRi1724中のriorf57(eutC相同体、エタノールアミンアンモニアリアーゼ軽鎖)に類似したrcorf29によりコードされるアミノ酸配列
167. 配列番号167:PH0807(pfam00496:SBP_bac_5;細菌細胞外溶質結合タンパク質ファミリー5)に類似した仮定的ABCトランスポーター遺伝子であるpRi1724中のriorf61に類似したrcorf33によりコードされるアミノ酸配列
168. 配列番号168:pck遺伝子(smart00587:CHK;キナーゼドメインを含有するZnF_C4 abd HLHドメイン)にやや類似したpRi1724中のriorf67に類似したrcorf38によりコードされるアミノ酸配列
169. 配列番号169:glpK(グリセロールキナーゼ(EC 2.7.1.30))遺伝子相同体であるpRi1724中のriorf79に類似したrcorf49によりコードされるアミノ酸配列
170. 配列番号170:pOAD2中のnylA遺伝子の下流領域に類似したpRi1724中のriorf95に類似したrcorf65によりコードされるアミノ酸配列
171. 配列番号171:AGR_pTi_225ヌクレアーゼ[アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)株C58](COG1525[L]ミクロコッカスヌクレアーゼ(サーモヌクレアーゼ)相同体)に類似したrcorf73によりコードされるアミノ酸配列
172. 配列番号172:pRi1724中のriorf110に類似した推定的traD遺伝子であるrcorf75(接合移入タンパク質)によりコードされるアミノ酸配列
173. 配列番号173:pRi1724中のriorf113(COG4959:TraF;IV型分泌経路プロテアーゼTraF[翻訳後修飾、タンパク質代謝回転、シャペロン/細胞内輸送および分泌])に類似した推定的traF遺伝子であるrcorf78によりコードされるアミノ酸配列
174. 配列番号174:pRi1724中のriorf117(仮定的タンパク質)またはアグロバクテリウム・リゾゲネス(Agrobacterium rhizogenes)(菌株:MAFF03−01724)cd00093:HTH−XRE;ヘリックス・ターン・ヘリックスXREファミリー様タンパク質に類似したrcorf81によりコードされるアミノ酸配列
175. 配列番号175:pRi1724中のriorf126(Ri/Tiプラスミド接合に必要とされるIV型移入系、COG5314;接合移入/侵入排除タンパク質[細胞内輸送および分泌])に類似した推定的trbJ遺伝子であるrcorf90によりコードされるアミノ酸配列
176. 配列番号.176:pRi1724中のriorf128(Ri/Tiプラスミド接合に必要とされるIV型移入系)に類似した推定的trbD遺伝子であるrcorf92によりコードされるアミノ酸配列
177. 配列番号177:pRi1724中のriorf138とpHH1中のgvp1遺伝子(pfam04079:DUF387;推定転写レギュレーター(Ypuh様)タンパク質)とに類似したrcorf104によりコードされるアミノ酸配列
178. 配列番号178:pRi1724中のriorf141(仮定的タンパク質)のC末端に類似したrcorf108によりコードされるアミノ酸配列
179. 配列番号179:ブラディリゾビウム・ジャポニカム(Bradyrhizobium japonicum)USDA 110(菌株:USDA 110)のblr8180(COG1760[E]L−セリンデアミナーゼ)に79aaにわたりやや類似したrcorf113によりコードされるアミノ酸配列
180. 配列番号180:pRi1724(リゾビウム・レグミノサルム(Rhizobium leguminosarum)のaatA遺伝子相同体(フレームシフトにより生じる仮定的偽遺伝子)であるriorf150に類似したrcorf118によりコードされるアミノ酸配列
181. 配列番号181:pRi1724中のriorf154(T−複合体移入に必要とされるIV型分泌系)に類似した推定的virB2であるrcorf122によりコードされるアミノ酸配列
182. 配列番号182:pRi1724中のriorf156(T−複合体移入に必要とされるIV型分泌系)に類似した推定的virB4であるrcorf124によりコードされるアミノ酸配列
183. 配列番号183:pRi1724中のriorf160(T−複合体移入に必要とされるIV型分泌系)に類似した推定的virB8であるrcorf128によりコードされるアミノ酸配列
184. 配列番号184:pRi1724中のriorf162(T−複合体移入に必要とされるIV型分泌系)に類似した推定的virB10であるrcorf130によりコードされるアミノ酸配列
185. 配列番号185:pRi1724中のriorf169(virA/Gにより調節され、毒性に必要とされない、考えられる宿主域因子)に類似した推定的virD3であるrcorf139によりコードされるアミノ酸配列
186. 配列番号186:pRi1724中のriorf171(virB/D4 IV型分泌系のvirA/Gにより調節される成分)に類似した推定的virD5であるrcorf141によりコードされるアミノ酸配列
187. 配列番号187:Y4rB(リゾビウム(Rhizobium)sp.NGR234)に類似したrcorf146によりコードされるアミノ酸配列
188. 配列番号188:アグロバクテリウム株K599の左側T−DNA隣接配列をコードするヌクレオチド配列
実施例
とくに指示がないかぎり、実施例中の化学物質および試薬は、Sigma Chemical Company (St. Louis, MO)から入手したものであり、制限エンドヌクレアーゼは、New England Biolabs (Beverly, MA)またはRoche (Indianapolis, IN)から入手したものであり、オリゴヌクレオチドは、MWG Biotech Inc. (High Point, NC)により合成されたものであり、そして生化学物質および分子生物学的アッセイに関連する他の修飾酵素またはキットは、Clontech (Palo Alto, CA)、Pharmacia Biotech (Piscataway, NJ)、Promega Corporation (Madison, Wl)、またはStratagene (La JoIIa, CA)から入手したものである。細胞培養培地用の材料は、Gibco/BRL (Gaithersburg, MD)またはDIFCO (Detroit, Ml)から入手したものである。本発明の目的で実施されるクローニングステップ、たとえば、制限切断、アガロースゲル電気泳動、DNA断片の精製、ニトロセルロース膜およびナイロン膜への核酸の転写、DNA断片の連結、大腸菌(E. coli)細胞の形質転換、細菌増殖、ファージ増殖、組換えDNAの配列解析は、Sambrook (1989)に記載されているように行われる。組換えDNA分子の配列決定は、とくに記載がないかぎり、Sanger (Sanger 1977)の方法に従ってABIレーザー蛍光DNAシークエンサーを用いて行われる。実例として以下の実施例を提供するが、これらに限定されるものではない。
実施例1: アグロバクテリウム株K599の非病害化
アグロバクテリウム株K599は、ダイズをはじめとする多くの双子葉植物で毛状根病を引き起こす土壌細菌である。菌株K599は、ダイズの根にきわめて感染し易いことが明らかにされている。アグロバクテリウム株K599(British NCPPB stock center; www.ncppb.com National Collection of Plant Pathogenic Bacteria Central Science Laboratory, Sand Hutton, York YO41 1LZ Englandに寄託番号NCPPB2659で寄託されている)を28℃で液体培養(LB培地)により増殖させ、pRiプラスミドを精製するように改変されたDNA抽出プロトコルをQiagen Large Construct kit(catalog No. 12462)を用いて実施し、pRi2659プラスミドのDNA調製物を富化した。
右境界プローブ(285bp)または左境界プローブ(240bp)を用いてサザンハイブリダイゼーションを実施し、pRi2659のT−DNA領域の物理的制限地図の妥当性を確認した(図6参照)。欠失ベクターに対する相同領域として使用するのに許容しうる(2kb超の隣接部)断片が制限酵素SphIにより生成されることを確認した。K599 pRi2659 SphI断片のサブゲノムクローンバンクをpUC19中に構築した。pRi2659プラスミドを富化して単離されたアグロバクテリウム株K599 DNAをSphIで消化し、0.8%アガロースゲルで泳動した。右隣接部DNAを含有する2905bp断片および左隣接部DNAを含有する7,498bp断片に相当する断片領域をアガロースゲルから切り出し、Qiagen QIAquick gel extraction kit(catalog No. 28706)を用いて精製した。これらの精製ゲル断片をpUC19中にライゲーションしてサブゲノムクローンバンクを作製した。
クローンバンクに由来するコロニーリフトを右境界断片または左境界断片でプローブし、隣接部DNAを含有するクローンを特定した。2つのクローンが特定された:右隣接部DNAを含有する2,905bp断片および左隣接部DNAを含有する7,498bp断片。これらの各クローンをさらにサブクローニングし、標準的なフォワードプライマーおよびリバースプライマー(それぞれ、配列番号1および2)を用いて配列を決定した。
隣接部を有する各クローンに由来する2.1kbの断片を用いてアグロバクテリウム欠失カセットを構築した。相同領域は、二重相同的組換えが起こるのに十分なスペースを提供する。RF断片とLF断片との間にテトラサイクリン耐性遺伝子を含有する類似のカセットを構築した(フローチャートに関して図12を参照されたい)。これらの構築物の配列を確認した。RF/LFカセットおよびRF/Tet/LFカセットをpRL278(配列番号3;Peter Wolk, Michigan State University)のリンカー改変体中にクローニングし、それぞれプラスミドベクターpRL278LF/RF(配列番号23;Tetなしカセット)およびプラスミドベクターpBPSSH009(配列番号22;Tetありカセット)を得た。これらのベクターは、sacB遺伝子を用いることにより二重相同的組換え体の効率的な選択を可能にする。単一相同的組換え体を含有する増殖培地にスクロースを添加すると、毒性化合物レバンが生成される。この化合物は、プラスミドを含有する菌株に対してカウンター選択として作用するので、ダブルクロスオーバー体から野生型の表現型または所望の欠失が分離される。pBPSSH009およびpRL278LF/RFをそれぞれエレクトロポレーションにより菌株K599に導入し、カナマイシン100μg/mLを用いて選択した。Riプラスミド中に組み込まれた欠失プラスミドを含有するシングルクロスオーバー体を回収し、スクロースに基づくカウンター選択を行った。スクロース/sacB選択は、次のように行った。sacBおよび欠失構築物を有するカナマイシン耐性ベクターを含有する確認された(サザンハイブリダイゼーションにより)シングルクロスオーバー事象を選択に付すことなく一晩増殖させて組換えを行わせた。5%(v/v)スクロースを含有するLB寒天カウンター選択培地上に培養物の逐次希釈物をプレーティングした。2日後、出現したコロニーを増殖させ、ゲノムDNAを単離し、それを用いてサザンハイブリダイゼーションによりT−DNA領域の欠失を確認した。ダブルクロスオーバー体を単離し、サザンハイブリダイゼーションによりT−DNA欠失の分子確認を行った(図6)。サザンハイブリダイゼーションで使用したプローブは、pRi2659の右隣接領域を含有する断片を単離するために先に使用したものと同一であった。それは、右境界領域と境界領域の上流および下流の両方の隣接配列とを含有する200bp断片である。サザンブロットのために、ゲノムDNAサンプルをSphIで消化し、0.8%アガロースゲルで泳動した。
得られた菌株を以下のように命名した:
・ アグロバクテリウムK599[pRi2659Δtet]株:SHA001およびSHA016は、T−DNA領域を欠損しテトラサイクリン(tet)発現カセットを含む非病害性アグロバクテリウムK599株である(pBPSSH009を用いて取得した)。アグロバクテリウム株SHA001およびSHA016はいずれも、非病害性テトラサイクリン耐性型の(すなわちpRi2659Δtetプラスミドを含む)機能的に等価な菌株である。
・ アグロバクテリウムK599[pRi2659Δ]株:SHA017は、T−DNA領域が欠如している非病害性アグロバクテリウムK599株である(pBPSSH009bとしても知られるpRL278LF/RFを用いて取得した)。
ダイズ子葉を用いる毛状根症候群に関する機能試験(以下の実施例2を参照されたい)により、病害表現型の喪失を確認した。ダイズ、トウモロコシ、トマト、およびシロイヌナズナで植物形質転換実験を行って(下記参照)、非病害性菌株の植物感染性を確認した。すべての植物種において、一過的β−グルクロニダーゼ(GUS)発現が検出された。さらに、ダイズ、トウモロコシ、およびトマトの組織をはじめとする種々の植物種で安定的GUS発現が検出された。安定的PursuitTM耐性およびグルホシネート耐性シロイヌナズナ植物もまた回収された。強毒性pSB1プラスミド(Komari 1996)を非病害性K599株中に移し、トウモロコシ形質転換に有効であることを立証した。
実施例2: 毛状根アッセイ
ダイズ種子(栽培品種Williams 82)を以下のアッセイ1に使用した。接種の6日前、ダイズ種子を滅菌する。表面上に創傷/亀裂のない種子を滅菌ビーカーに入れる。評価対象の各アグロバクテリウム株に対して30個の種子を使用し、95%エタノールに1分間浸す。エタノールを除去し、0.0005% TritonX−100を含む新たに調製された10%漂白液で種子を10分間処理する。漂白液を3分間ごとに交換する。その後、漂白液を排出し、種子を滅菌水で4回洗浄する。それぞれ10個の種子を1%寒天プレート上に配置し、ParafilmTMで密閉し、25℃で16時間/日の照明下(70〜100μE/ms)に配置する。
毛状根アッセイのためのアグロバクテリウム接種
接種前、発芽したダイズを層状フード下に配置する。新たな一晩アグロバクテリウム培養物を振盪機から取り出し、OD650を測定する。1mLのアリコートを滅菌微量遠心管に入れ、12,000rpmで3分間、アグロバクテリウムを沈澱させる。上清を除去し、感染培地(1×MS塩、3.6%グルコース、6.9%スクロース、100mg/L myo−イノシトール、1.5mg/L 2,4−D、1mg/L カザミノ酸、1mg/L チアミンHCl、0.5mg/L ニコチン酸、0.5mg/L ピリドキシンHCl)でアグロバクテリウムを再懸濁する。
OD65Oを1.0に調整する。感染培地中でアグロバクテリウムを1時間インキュベートしてから感染させ、vir遺伝子カスケードを誘発する。緑色子葉だけを苗から切り取り、向軸面にメスで創傷を形成する。背軸面を上に向けて子葉を寒天プレート上に配置する。各子葉の創傷表面に17〜20μLのアグロバクテリウムを接種する。プレートをParafilmで密閉し、25℃で16時間/日の照明条件下(70〜100μE/ms)に配置して共培養に供する。接種の3日後、選択培地(1×MS塩、1×Gamborgs B5ビタミン、3%スクロース、100mg/L カルベニシリン(carbinicillin)、KOHでpH6.2に調整)上に子葉を移す。プレートを密閉し、同一の培養条件下に戻す。2週間後、培地の表面中に成長する毛状根を検出し採取することが可能である(毛状根誘導性菌株の場合)。採取された根を選択培地上に配置する。さらに2〜3週間後、選択培地で成長する根株を、選択剤を含まない培地で継代培養する。4週間ごとに継代培養しなければならない。根は暗所で培養しなければならない。
実施例3: 植物形質転換のためのアグロバクテリウムの増殖および調製
所望のバイナリーベクターを保有する細菌を固体YEP増殖培地上に塗ることによりアグロバクテリウム培養物を調製し、コロニーが出現するまで(約2日間)、25℃でインキュベートする。Riプラスミド、バイナリーベクター、および細菌染色体に存在する選択マーカー遺伝子に応じて、さまざまな選択剤をYEP固体培地およびYEP液体培地におけるA.ツメファシエンス(A. tumefaciens)およびA.リゾゲネス(A. rhizogenes)の選択のために使用することが可能である。約2日後、単一コロニーを単離し(滅菌楊枝を使用)、抗生物質を含む50mlの液体YEP中に接種して0.8〜1.0のOD650に達するまで(約2日間)、振盪下(175rpm、25℃)に置く。形質転換用のグリセロールストック液(15%)を調製し、−70℃で1.5mLのエッペンドルフ管中に1mlのアグロバクテリウムストック液として貯蔵する。
YEP増殖培地(アグロバクテリウム培地):
10g/L バクトペプトン、5g/L 酵母抽出物、5g/L NaCl、12g/L 寒天(Difco)、適切な抗生物質;pH7.0。
外植片接種の前日、500mLエルレンマイヤーフラスコ中で200mLのYEPに5μL〜3mLのアグロバクテリウムストック液を接種する。OD650が0.8〜1.0になるまで、25℃でフラスコを一晩振盪する。ダイズ外植片の作製前、20℃および5,500×gで10分間遠心することにより、アグロバクテリウムをペレット化する。所望の濃度(OD650 0.5〜0.8)になるようにペレットを液体CCM培地中に再懸濁し、使用前、室温で少なくとも30分間置く。
液体CCM培地(=共培養培地):
1/10 B5塩、1/10 MS鉄ストック液、3% スクロース、20mM MES、1×B5ビタミン、200μM アセトシリンゴン、0.7μM ジベレリン酸、7.5μM 6−ベンジル−アミノプリン;pH5.4。
実施例4: 植物形質転換
実施例4a: ダイズ形質転換
苗およびアグロバクテリウムの調製
密閉蓋付きデシケーター中の100mLの漂白液(5.25%次亜塩素酸ナトリウム)に3.5mLのHClを添加することにより、種々の栽培品種のダイズ種子を塩素ガスで24〜48時間滅菌する。滅菌後、種子を取り出し、PlantCon容器中の発芽培地[1×B5主要塩、1×B5副次塩、1×MSIII鉄、2%スクロース、1×B5ビタミン、0〜5μM BAP、0.8% 精製寒天(Sigma);pH5.8]に約20粒の種子を蒔く。子葉が緑色になり、種皮が開裂し、そして葉外植片の場合は上胚軸が約0.5cmの長さに拡張するまで(約7日間)、苗外植片の場合は1〜4cmに拡張するまで、明所(150μms)で苗を成長させる。
バイナリーベクターpBPSEW008[p-NOS::c-bar::t-NOS p-PcUBI::c-gusINT::t-NOS](配列番号15)またはpBPSMM192b[pAtAhas::c-csr1-2::t-AtAHAS t-NOS::c-gusINT::p-SUPER](配列番号16)を保有する非病害性アグロバクテリウム株K599(pRi2659Δtet)またはA.ツメファシエンス株AGL1を、固体YEP[10g/L バクトペプトン(Difco; Becton, Dickinson, and Co., Cockeysville, MD1 USA)、5g/L 酵母抽出物(Difco)、5g/L NaCl、50mg/L カナマイシン、1.2% 顆粒化寒天(Difco)固体のみ;pH7.0]に塗り、そして25℃で2日間インキュベートした。単一コロニーを滅菌楊枝で採取し、抗生物質を含む50mLの液体YEP中に配置し、そして25℃で16時間振盪した(175rpm)。0.8〜1.0のOD650に達した後、15%のグリセロールストック液を作製し、−80℃で貯蔵した。外植片接種の1日前、アグロバクテリウム株+50mg/L カナマイシンの処理用ストック液(アグロバクテリウムの増殖およびストック液濃度に応じて5μL〜50μLの間の任意の量)をエルレンマイヤーフラスコ中のYEP液体培地に添加した。OD650が0.8に達するまで、フラスコを25℃で一晩振盪した。ダイズ外植片を作製する前、20℃および5,500×gで10分間遠心することにより、アグロバクテリウムをペレット化し、所望の濃度(たとえば、OD650 0.5)になるように液体共培養培地[1/10× B5主要塩、1/10× B5副次塩、1/10× MSIII鉄、1×B5ビタミン、3% スクロース、20mM MES、200μM アセトシリンゴン、0.72μM GA、7.5μM BAP;pH5.4]中に再懸濁し、そして室温で30分間インキュベートした。
外植片の作製および接種
葉外植片: 子葉節の2mm下の位置で胚軸から子葉および上胚軸を切り離した。上胚軸および単葉を露出させるために、子葉同士を分離させ、次に、上胚軸を子葉節の上で切り離した。腋成長点が外植片に含まれるように、托葉の基部で注意深く切断することにより、葉身、葉柄、および托葉からなる初生葉を初生節から切り離した。鋭利なメスで托葉間の領域を3〜5回カットすることにより、外植片に創傷を形成し、すでに形成されている苗条をすべて切り離した。
苗外植片: 胚軸/上胚軸接合部または胚軸上部(胚軸が非常に長い場合)で大多数の根を、この節で1枚の子葉および任意の腋生組織増殖部を、初生節のすぐ上で頂端を含めて上胚軸を、さらには初生節からすでに形成されているすべての葉を、除去することにより、外植片を作製する。次に、腋成長点が位置する上胚軸の先端中に鋭利なメスで5〜10回突き刺すことにより、初生節に損傷を与える。
外植片の作製後、外植片をアグロバクテリア懸濁液中に完全に30分間浸漬した。インキュベーション後、過剰のアグロバクテリウム培養物を除去するために葉外植片を滅菌濾紙上に置いて水分を吸収させてから、固体共培養培地[1/10× B5主要塩、1/10× B5副次塩、1/10× MSIII鉄、1× B5ビタミン、3% スクロース、20mM MES、200μM AS、0.72μM GA、7.5μM BAP、(0.825〜8.25mM L−システイン、Sigma、0〜1mM ジチオトレイトール(dithiothrietol)、0〜1mM チオ硫酸ナトリウム)、0.5% 精製寒天;pH 5.4]に重畳されている丸形7cm濾紙に創傷面を接触させて配置した。苗外植片は、水分の吸収を行わずに共培養培地に重畳されている濾紙上に移した。この濾紙は、ダイズ外植片でアグロバクテリウムが過剰増殖するのを阻止する。5枚のプレートをParafilm「M」(American National Can, Chicago, Illinois, USA)で覆った。葉外植片は、2日間インキュベートし、苗外植片は、25℃の暗所で5日間インキュベートした。
選択および植物再生
インキュベーション後、液体苗条誘導培地[1× B5主要塩、1× B5副次塩、1× MSIII鉄、1× B5ビタミン、3% スクロース、3mM MES、1.0μM BAP(苗外植片)または2.5μM BAP(葉外植片)、5μM カイネチン、250mg/l チカルシリン;pH 5.6]中で外植片を洗浄することにより、過剰のアグロバクテリウムを除去し、そして水による損傷(とくに葉身上)を防止するために、葉外植片を滅菌濾紙上で水分を吸収・乾燥させた。次に、グルホシネート選択を行うことなく約10個の葉外植片および5個の苗外植片を固体苗条誘導培地[0.8% 精製寒天(Sigma)]上に移して7日間置いた。葉柄が培地中に埋め込まれ、かつ葉身が培地外に置かれた状態で、葉が培地の表面に垂直に位置するように、葉外植片を培地中に配置し、そして上胚軸全体が培地に接触した状態で、苗外植片を配置した。プレートをScotch 394 venting tape(3M, St. Paul, Minnesota, USA)でラッピングし、平均温度25℃、明所18時間/暗所6時間のサイクル、70〜100μE/msの条件で、増殖チャンバー内に配置した。
7日後、3.0mg/Lのグルホシネートを含む苗条誘導培地に葉外植片を移し、5.0mg/Lのグルホシネートを含む苗条誘導培地に苗外植片を移した。この時点で、葉外植片では葉柄の基部で、苗外植片では初生節の上胚軸の先端で、かなりのde novo苗条発育があった。選択を有する苗条誘導培地上に2週間置いた後、3mg/Lのグルホシネート選択を有する苗条伸長培地[1×MS 主要塩、1×MS 副次塩、1× MSIII鉄、1× B5ビタミン、3% スクロース、3mM MES、0.378mM L−アスパラギン、0.775mM L−ピログルタミン酸、0.057μM IAA、1.44μM GA、2.85μM トランス−ゼアチンリボシド、250mg/L チカルシリン、0.8% 精製寒天(Sigma);pH 5.6]に葉外植片を移して苗条原基の苗条伸長を刺激した。苗外植片では、外植片の上胚軸の先端から苗条パッド(shoot pad)を切り取って、同じ苗条伸長培地に移す。次に、外植片が死滅するかまたは健康な苗条が伸長するまで、3週間ごとに新たなSEM培地中に外植片を移した。移動させる間、死滅苗条を除去し、カルス組織が形成される外植片の基部をカットして、上述の苗条への栄養素や水の移動を促進させた。次に、伸長した苗条を発根培地(1/2× B5塩、1/2× MS鉄ストック液、2% スクロース、3mM MES、5μM インドール酪酸、250mg/L Timentin、0.8% Noble寒天;pH 5.6)に移し、根が形成されるまで置いた。次に、発根した苗条を成長チャンバー中の土壌(1:1 (w/w) Carolina soil:Metro mix)に移し、第3の三葉が伸長するまで20時間にわたり明所下に置いた。次に、温室内で成熟するまで明所16時間/暗所8時間のレジームで植物を成長させた。
GUS組織化学的アッセイ
GUS組織化学的染色液[80mM NaHPO(pH8.0)、8mM NaEDTA、0.8%(v/v) Triton X、1.6%(v/v) ジメチルスルホキシド、20%(v/v) メタノール、0.38mM KFe(CN),1mM X−glucuro CHA塩(Inalco, Milan, Italy)]中に37℃で1日配置することにより、GUS活性に関して葉外植片を評価し、その後、葉組織を70%(v/v)エタノール中で洗浄し、そして95%エタノール中で透明化した(Jefferson 1987; Kosugi 1990)。
実験設計
実験1では、バイナリーpBPSMM192b(配列番号16)を保有するAGL1またはSHA016を接種すべく40個の外植片を作製し、共培養の5日後、一過的GUS発現に関してアッセイした。第2の3回反復実験では、さまざまな濃度(OD650:0、0.125、0.25、0.5)のアグロバクテリウムAGL1またはSHA016(両方ともpBPSEW008(配列番号15)を保有する)が接種された合計120個の外植片を用いて、苗条再生を試験した。第3の実験では、SHA016またはAGL1(両方ともpBPSEW008(配列番号15)を保有する)を接種すべく120個の外植片を作製し、共培養の36日後、安定的GUS発現を調べるために一部を染色した。第4の実験では、アグロバクテリウム株SHA017(pSB1)またはAGL1(両方ともpBPSE008(配列番号15)を保有する)のいずれかで形質転換された苗外植片から伸長した苗条を用いてGUS組織学的染色をアッセイすることにより、推定形質転換頻度を決定した。この実験は、5つの異なる接種日から構成した。
第1の実験において、A.ツメファシエンスAGL1および非病害性アグロバクテリウム株K599(SHA016)のいずれの場合も、葉外植片の葉柄中にT−DNAがうまく移入された(図3)。AGL1を感染させた外植片の42.5パーセントは、標的領域でGUSフォーカスを示し、一方、SHA016は、標的領域の10%でGUSフォーカスを示した(表1)。SHA016を感染させた外植片における一過的GUS発現の低減は、主に、共培養中の組織死が原因であった。
Figure 2008511294
第2の実験において、さまざまな濃度の非病害性K599が接種された外植片の再生能力は、この試験では互いに顕著に異なることはなかった。
Figure 2008511294
第3の実験において、GUS組織化学的染色に供された外植片はすべて、接種の35日後、葉外植片で安定的GUS発現を示した(図4)。
第4の実験において、合計900個の苗外植片を作製した。このうちの288個にAGL1(pBPSEW008)を接種し、612個にSHA017(pSB1、pBPSEW008)を接種した(表3)。この試験において、AGLが接種された外植片から1個のGUS苗条(0.35%)が確認され、SHA017が接種された外植片から25個の独立したGUS苗条(4.1%)が確認された。これらのうちで、SHA017処理を受けた苗条の10個は、成熟T0植物体まで発育した。10個のT0植物体のサザン分析から、各植物体は、植物ゲノム中へのT−DNA組込みパターンに基づき独立した形質転換事象であることが確認された。また、一系列21−2のT後代へのT−DNAの遺伝は、gus遺伝子およびbar遺伝子のプローブへの植物ゲノムDNAのサザンハイブリダイゼーションにより確認された(図15)。
Figure 2008511294
実施例4b:シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)の形質転換
シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)植物(生態型Col−0)を開花するまで土壌で成長させ、一次抽薹を除去して二次抽薹の花を増加させた。アグロバクテリウム株MP90(GV3101 (pMP90); Koncz and Schell 1986)、SHA001、および野生型K599を、対象の構築物pBPSEW008(配列番号15)およびpBPSMM192b(配列番号16)で形質転換し、1.2のOD650に達するまで、液体LB培地(10g/L トリプトン、5g/L 酵母抽出物、10g/L NaCl(EM Science))中、250mLで培養物を増殖させた。細菌細胞を遠心(15分間、4,000×g)により回収し、0.8〜0.9のOD650になるように浸潤溶液(5% スクロース、0.05% SILWET L−77[Lehle Seeds, Cat.No. VIS-02]、0.217% MS塩[Sigma M5524]])中に再懸濁した。
次に、アグロバクテリウム溶液中に10〜20秒間浸漬することにより、上述のベクターを保有するトランスジェニックアグロバクテリウム株で花浸漬法(Clough and Bent 1998)により開花シロイヌナズナ(A. thaliana)植物を形質転換した。その後、種子を採取できるようになるまで、成長チャンバー内に植物を保持した。成長培地(4.4g/L MS塩[Sigma-Aldrich]、1g/L MES[Duchefa]、20g/L スクロース、6g/L Phytagar、ただし、bar耐性マーカーを保有する植物用の5mg/L グルホシネート、、AtAHAS遺伝子の発現カセットを含む植物体用の100nM Pursuit、nptII耐性マーカーを保有する植物用の50mg/L カナマイシン、またはロドトルラ・グラシリス(Rhodotorula gracilis)由来のdao1遺伝子の発現カセットを含む植物用の0.3〜30mM D−アミノ酸(以下に記載されるとおり)が追加されている)上に表面滅菌種子を蒔くことにより、トランスジェニック種子を選択した。生存植物を土壌に移し、温室内で成長させた。GUSアッセイ溶液(Jefferson 1987)(0.4M NaHPO−HO pH 7.0、0.5M EDTA、0.01% TritonX−100、250mg/L X−グルクロニダーゼ(Fermentas))を用いて37℃で生存植物の試料を一晩染色し、GUS発現に関して観測を行った(図10)。
適切な選択剤を含む培地上で発芽したT2集団中のT−DNA偏在を統計解析することにより、単一のT−DNA挿入断片遺伝子座を含有する系列を選択する。挿入されたT−DNAの単一の遺伝子座を含む植物を成長させ、自家受精させる。次に、T3後代中のT−DNA偏在を解析することによりホモ接合T3種子ストックを特定し、導入された遺伝子を発現しているかをノーザンブロット分析により確認する。
実施例4c: ブラシカ・ナプス(Brassica napus)のアグロバクテリウム媒介形質転換
対象のプラスミド(たとえばpBPSMM192b)で形質転換された非病害性アグロバクテリウム株K599(pRi2659Δ)を50mL YEB培地(実施例4a参照)中、28℃で一晩増殖させる。0.5のOD650に達するまで、アグロバクテリウム溶液を液体共培養培地(2倍濃度 MSB5塩(Duchefa)、30g/L スクロース(Duchefa)、3.75mg/L BAP(6−ベンジルアミノプリン、Duchefa)、0.5g/L MES(Duchefa)、0.5mg/L GA3(ジベレリン酸、Duchefa);pH 5.2)と混合する。成長培地B(MSB5塩(Duchefa)、3% スクロース(Duchefa)、0.8% oxoidagar(Oxoid GmbH))の上で成長させたブラシカ・ナプス(Brassica napus)栽培品種Westarの4日齢の苗の葉柄を切り取った。葉柄をアグロバクテリウム溶液中に2〜3秒間浸漬し、その後、共培養のための固体培地(1.6% Oxoidagarが追加された共培養培地)中に入れた。共培養を3日間継続させる(24℃および約50μMol/msの光強度)。その後、適切な選択剤(nptIIマーカーを含む植物体用の18mg/L カナマイシン(Duchefa)(nptII耐性マーカーを保有する植物用のカナマイシン)、またはロドトルラ・グラシリス(Rhodotorula gracilis)由来のdao1遺伝子の発現カセットを含む植物用の0.3〜30mM D−アミノ酸(以下に記載されるとおり))および300mg/L Timentin(Duchefa)が追加された共培養培地に葉柄を移した。
選択培地上、24℃で、形質転換葉柄を4週間インキュベートする。苗条が出現するまで、このステップを反復する。適切な選択剤(nptIIマーカーを含む植物体用の18mg/L カナマイシン(nptII耐性マーカーを保有する植物用のカナマイシン)(Duchefa)または以下に記載されるような0.3〜30mM D−アミノ酸)が追加されたA6培地(MS塩(Sigma Aldrich)、20g/L スクロース、100mg/L myo−イノシトール(Duchefa)、40mg/L 硫酸アデニン(Sigma Aldrich)、500mg/L MES、0.0025mg/L BAP(Sigma)、5g/L oxoidagar(Oxoid GmbH)、150mg/L timetin(Duchefa)、0.1mg/L IBA(インドール酪酸、Duchefa);pH 5,8)に苗条を移し、伸長するまで置く。伸長した苗条を発根用のA7培地(BAPを含まないA6培地)で培養する。発根した植物体を土壌に移し、温室内で成長させる。
実施例4d: トマトのアグロバクテリウム媒介形質転換
in vitro種子発芽
0.1% Tween 20を含有する10% CloroxTM(5.25% 次亜塩素酸ナトリウム)中で、攪拌を行いながらトマト種子を15分間滅菌する。滅菌された種子を滅菌蒸留水で濯ぐ。滅菌後、25×100mmのペトリ皿中の発芽培地[0.25× MS、7.5g/L スクロース、0.7% 精製寒天(Sigma)、pH 5.8]に種子を移す。種子を含有するペトリ皿を暗所に2〜3日間配置して均一に発芽させ、そして培養室に移して培養室内の明所下に置く(25℃、16/8時間の光周期、70μE/msの光強度)。約8日齢の苗の子葉をアグロバクテリウム媒介形質転換に使用する。
アグロバクテリウムの調製
バイナリーベクターpBPSEW008[p-NOS::c-bar::t-NOS p-PcUBI::c-gusINT::t-NOS](配列番号15)またはpBPSMM192b[p-AtAhas::c-csr1-2::t-AtAHASpA t-NOS::c-gusINT::p-SUPER](配列番号16)を保有する非病害性アグロバクテリウム株K599(SHA001)を固体YEP[10g/L バクトペプトン(Difco; Becton, Dickinson, and Co., Cockeysville, MD, USA)、5g/L 酵母抽出物(Difco)、5g/L NaCl、50mg/L カナマイシン、1.2% 顆粒化寒天(Difco)固体のみ;pH 7.0]上に塗り、そして25℃で2日間インキュベートした。単一コロニーを滅菌楊枝で採取し、抗生物質を含む50mLの液体YEP中に配置し、そして25℃で16時間振盪した(175rpm)。0.8〜1.0のOD650に達した後、15%のグリセロールストック液を作製し、−80℃で貯蔵した。外植片接種の1日前、アグロバクテリウム+50mg/L カナマイシンの処理用ストック液(アグロバクテリウムの増殖およびストック液濃度に応じて5μL〜50μLの間の任意の量)をエルレンマイヤーフラスコ中のYEP液体培地に添加した。OD650が0.8に達するまで、フラスコを25℃で一晩振盪した。トマト外植片を作製する前、20℃および5,500×gで10分間遠心することにより、アグロバクテリウムをペレット化し、所望の濃度(たとえば、OD650 0.5)になるように液体共培養培地[1/10× B5主要塩、1/10× B5副次塩、1/10× MSIII鉄、1×B5ビタミン、3% スクロース、20mM MES、200μM アセトシリンゴン、0.72μM GA、7.5μM BAP;pH5.4]中に再懸濁し、そして室温で30分間インキュベートした。
外植片の作製
約8日齢の苗から子葉を切り離し、滅菌ペトリ皿上に配置する。子葉の両端を除去し、横方向に半分に切断し、向軸面を下に向けて滅菌濾紙上に移し、そして22℃の暗所で前培養培地[MS塩およびビタミン、16g/L グルコース、0.1mg/L NAA、1mg/L BAP、0.7%精製寒天、pH5.8]上に2日間配置した。
共培養
外植片と共に濾紙を共培養培地[MS塩およびビタミン、16g/L グルコース、0.1mg/L NAA、1mg/L BAP、0.7% 精製寒天、150μM アセトシリンゴン、pH 5.8]上に配置し、そしてアグロバクテリウム懸濁液(0.3〜0.5のOD650)を接種して22℃の暗所に2〜3日間置いた。
選択および植物再生
3日目の終わり、背軸面を下に向けて外植片を回復培地(1× MS塩およびビタミン、16g/L グルコース、2mg/L ゼアチン、0.7% 精製寒天、200mg/L timentin)上に配置し、25℃の培養室内(70μE/ms)に一週間入れた。回復後、外植片を選択/再生培地(1× MS塩およびビタミン、30g/L スクロース、2mg/L ゼアチン、0.7% 精製寒天、200mg/L timentin、50〜100nM Pursuit、pH 5.8)に移して2.5週間置く。カルスの苗条芽を子葉から切り出し、伸長培地(1× MS塩およびビタミン、20g/L スクロース、0.5mg/L ゼアチンまたは0.25mg/L IBA、0.7% 精製寒天、200mg/L timentin、および50〜100nM Pursuit)に移して2〜3週間置く。伸長苗条をカルスから切り出し、幼植物体が土壌に移植可能な状態になるまで、発根培地(1× MS塩およびビタミン、20g/L スクロース、0.25mg/L IBA、0.7% 精製寒天、100mg/L timentin、50nM Pursuit、pH 5.8)上に2〜3週間配置する。
GUS組織化学的アッセイ
GUS組織化学的染色液[80mM NaHPO(pH 8.0)、8mM NaEDTA、0.8%(v/v) Triton−X、1.6%(v/v) ジメチルスルホキシド、20%(v/v) メタノール、0.38mM KFe(CN),1mM X−glucuro CHA塩(Inalco, Milan, Italy)]中に37℃で1日配置することにより、GUS活性に関して葉外植片を評価し、その後、葉組織を70%(v/v)エタノール中で洗浄し、そして95%エタノール中で透明化した(Jefferson et al. 1987, Kosugi et al. 1990)。
pBPSMM192b(配列番号16)を含有する非病害性アグロバクテリウム株K599(SHA001)を用いて、トランスジェニックトマト幼植物体を得た(図5参照)。
実施例4e: トウモロコシ(Zea mays)のアグロバクテリウム媒介形質転換
特定のトウモロコシ近交系またはトウモロコシ雑種系の種子を発芽させ、発根させ、そして温室内で成長させる。授粉の8〜14(平均10)日後(DAP)、トウモロコシ植物体の穂を採取し、それから未成熟胚を単離する。採取の時期は、成長状態およびトウモロコシ品種に依存して異なる。形質転換のための未成熟胚の最適長さは、胚盤の長さを含めて約1〜1.5mmである。胚は、不透明ではなく半透明でなければならない。切り出された胚をMS系液体培地(1.5mg/Lの2,4−Dを含む)中に収集する。アグロバクテリウムの接種と同時またはアグロバクテリウム感染への使用直前のいずれかで、アセトシリンゴン(50〜100μM)を培地に添加する。
アグロバクテリウムの調製: 対象のプラスミド(pSB1/pBPSMM232;このプラスミドは、pBPSMM232(配列番号17[p-ZmUbi1 ::c-ZmAHASL/Xi12::t-ZmAHAS t-NOS::c-gusINT::p-ZmUbi1])とpSB1(Komari 1996)との融合から生じるキメラプラスミドである)で形質転換されたアグロバクテリウム株SHA017(K599[pRi2659Δ])をYEP培地上で増殖させる。アグロバクテリウム懸濁液を上記の培地中でボルテックスする(100μMアセトシリンゴンを含む培地、好ましくは感染前1〜2時間)。
接種/共培養: 前浸漬された未成熟胚の入ったマイクロチューブ(プレート)に細菌懸濁液を添加し、室温(20〜25℃)で5〜30分間放置する。過剰の細菌懸濁液を除去し、残留培地中の未成熟胚および細菌をペトリ皿に移す。平らな面を下に向けて(胚盤を上に向けて)未成熟胚を共培養培地上に配置する。プレートを密閉し、22℃の暗所で2〜3日間インキュベートする。(共培養培地:MS基本培地、1.5mg/L 2,4−D、15μM AgNO、100μM アセトシリンゴン)。他の選択肢として、平らな面を下に向けて(胚盤を上に向けて)、切り出された未成熟胚を共培養培地上に直接配置する。希釈されたアグロバクテリウム細胞懸濁液を各未成熟胚に添加する。プレートを密閉し、22℃の暗所で2〜3日間インキュベートする。
回復: 共培養の後、胚を回復培地(1.5mg/L 2,4−D、150mg/L Timentinを含むMS基本培地)に移し、胚盤側を上に向けてプレートを27℃の暗所で約5〜7日間インキュベートする。
形質転換カルスの選択: 未成熟胚を選択培地(選択剤、たとえば、0.3〜30mMの濃度のD−アラニンをさらに含む回復培地)に移し(胚盤を上に向けて)、27℃の暗所で10〜14日間インキュベートする(第1の選択)。さまざまなカルスを生成する未成熟胚をすべて、第2〜第3の選択培地に移して継代培養する。この段階で、形成された根があればすべて除去する。第1の選択のときと同一の条件下でインキュベーションを2週間行う(第2の選択)。再生可能なカルスを胚盤から切り出し(再生可能なカルスは、白味を帯びた色を有し、緻密であり、粘液性はなく、いくつかの胚様構造体を有しうる)、新たな第2〜第3の選択培地に移す。プレートに覆いをかけ、27℃の暗所で2週間インキュベートする(第3の選択は、ほとんどの遺伝子型に必要でないこともあり、再生可能なカルスを、再生培地に移すことが可能である)。
形質転換植物体の再生: 増殖したカルス(白味を帯び、胚構造体を形成している)を第2/第3の選択のときと同じように切り出し、再生培地(選択培地と同様であるが2,4−Dを含まない)に移す。プレートに覆いをかけ、2週間にわたりまたは苗条様構造体が見えるようになるまで、25℃または27℃の明所(約2,000ルクス)に置く。必要であれば新たな再生培地に移す。再生苗条または再生苗条様構造体を有するカルス断片を発根培地の入ったPhytatrayに移し、上記の工程と同一の条件下で2週間にわたりまたは発根した幼植物体が出現するまで、インキュベートする。発根培地(1/2濃度 MS培地、2,4−Dなし、選択剤なし)上に2〜4週間置いた後、依然として緑色領域を有する(ただし、再生苗を有していない)カルスを新たな発根用Phytatraysに移す。発根した苗を温室内のMetromix土壌に移し、苗立ちするまで少なくとも1週間にわたりそれぞれプラスチックドームで覆う。植物体が三葉期〜四葉期に達したとき、Osmocoteで施肥し、次に、選択剤(たとえば、D−アラニンまたはD−セリン)をスプレーし、そしてさらに2週間にわたり温室内で成長させる。非トランスジェニック植物は、この時点で除草性症状を示すかまたは死滅するはずである。MetroMixおよび茶匙1杯のOsmocoteの入った10インチポットに生存植物を移植する。
実施例5: pRi2569Δプラスミドの精製、配列決定、および注釈付け
5リットルのLBブロス中、28℃で、アグロバクテリウム株SHA017(非病害性アグロバクテリウムK599[pRi2659Δ])を一晩増殖させた。標準的アルカリ溶解プロトコルおよびそれに続くフェノール−クロロホルム抽出(Sambrook et al. 1989)に基づいて、全DNAを抽出した。CHEF−DRIIIシステム(Bio-Rad Cat.#: 170-3695)を用いてパルスフィールドゲル電気泳動(PFGE)により、pRi2659ΔプラスミドDNAを全DNAから単離した。全DNAを0.5×TBE緩衝液(45mM Tris−ホウ酸、1mM EDTA)中の1%パルスフィールド用アガロース(Bio-Rad Cat #: 162-0137)ゲルにロードし、続いて、6V/cm、1秒間の初期スイッチ時間および25秒間の最終スイッチ時間、14℃、24時間の条件でPFGEにかけた。電気泳動後、分子マーカーレーンを含むゲルストリップおよびゲルの両側のサンプルレーン縁部を含むゲルストリップを切り出し、エチジウムブロミド(Sigma)で染色し、そして画像化した。1つの分解可視バンドがゲルストリップ中に存在し、DNAの残りの部分はウェル中に残存した。単一のバンドを切り出し、Fu and Dooner (2000)に基づいて電気泳動溶出により回収した。
回収されたDNAをpRi特異的プライマーによるPCR増幅用の鋳型として使用し、pRi DNAの回収を確認した。プライマーは、pRi1724(GenBank登録番号AP002086)の保存されたvir遺伝子領域内に設計した。
virGフォワードプライマー: 5’−TACTTCCTCC TCACGCACTC−3’ (配列番号27)
virBリバースプライマー: 5’−GCCAGCAATG ATCAAGAATT TGTTT−3’ (配列番号28)。
ショットガンクローニングのような当業者に公知の方法により、pRiの断片を作製することが可能である。BamHI、SphI、EcoRI、HindIII(New England Biolabs, Beverly, MAからすべて入手可能)のような種々の市販の制限酵素を用いてRiプラスミド調製物を個別的に消化させて、同様に消化されたpBlueScript(Stratagene, La Jolla, CA)のようなpUC型ベクター中にサブクローニングすることが可能である。次に、個々のクローンの配列決定を行って、個々の配列をコンティグの形態にアセンブルし、以下に記載されるように全配列地図を作製することが可能である。
Margulies et al. (2005)およびSanger (1977)に基づいて、精製pRi2659Δの配列決定を行った。cross_match(Green(著作権) 1994-1999)を用いてベクター配列をマスキングし、Margulies et al. (2005)およびCAP3(Huang and Madan 1999)に基づいて浄化原配列データをアセンブルする。以下のプライマーを用いるPCR増幅およびそれに続く配列決定により、残存する配列ギャップを埋めた:
PCR G109フォワードプライマー: 5’−TTGGTGCGAC AACTCCTCGG CG−3’ (配列番号29)
PCR G112リバースプライマー: 5’−GGTGAGCTCG ATCAGCTTCG GC−3’ (配列番号30)。
Sanger (1977)に基づいてPCR産物の配列決定反応を行った。最終ポリッシングのために、各断片がそれに連結される断片まで続く50塩基のオーバーラップを有するように、ドラフト配列を100個の断片に分割し;各断片にきわめてよく一致する配列を有する原配列をプールし、CAP3を用いて高ストリンジェンシーで再アセンブルする。各断片からアセンブルされたこれらのコンセンサス配列をCAP3により再アセンブルし、pRi2659Δ(配列番号24)、pRi2659Δtet(配列番号25)、およびpRi2659(配列番号26)の配列地図をVector NTI(Invitrogen, Carlsbad CA)により作製した。BLASTx(e−10にて)(Altschul et al. 1997)およびGenBank Genpeptタンパク質データリリースバージョン148を用いて、新しいpRi2659配列に注釈を付けた。
実施例6: pRi2659Δによりコードされるタンパク質
以下の表(表4)は、プラスミドpRi2659Δ(配列番号24)のオープンリーディングフレームによりコードされている可能性のあるタンパク質を列挙したものである。タンパク質の配列番号(SINo)およびコードされたアミノ酸の詳細事項が列挙されている。
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参照文献
以下に列挙する参照文献および本明細書中に引用したすべての参照文献は、それらが補充し、説明し、背景を提示し、または教示する、本明細書中で利用する方法論、技術、および/もしくは構成の程度で、参照により本明細書中に組み入れられるものとする。
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RAPD(ランダム増幅多型DNA)により決定したときのアグロバクテリア株の関係を示す樹状図である。 16S rRNA比較により決定したときのアグロバクテリウム株の関係を示す樹状図である。 virD2アミノ酸配列比較により決定したときのアグロバクテリウム株の関係を示す樹状図である。 アグロバクテリウムプラスミドpRi2659のT−DNA領域の物理的制限地図である。 AGL1(pBPSMM192b)(I)またはSHA016(pBPSMM192b)(II)のいずれかと2日間共培養した後の葉腋成長点外植片のダイズにおける一過的GUS発現(5日間)を示す。 アグロバクテリウムSHA001(pBPSEW008)を感染させた葉腋成長点外植片を用いたときの感染後35日目のダイズにおける安定なGUS発現を示す。 pBPSMM192bを含有する組換えSHA001を用いたときのトランスジェニックトマト幼植物(A)およびトランスジェニック葉におけるGUS発現(B)を示す。 非病害性テトラサイクリンマーカー付きK599(pRi2659Δtet)のサザンハイブリダイゼーションを示す。 ダイズ子葉を用いた毛状根アッセイを示す。 植物細胞における一過的GUS発現を示す。 AHASで選択された安定なT1トランスジェニックシロイヌナズナを示す。 安定なT1トランスジェニックシロイヌナズナのGUS染色を示す。 右隣接領域および左隣接領域を含むプラスミドpRi2659 T−DNA領域の地図である。 菌株K599を非病害化するために使用した欠失カセットを構築するために使用したステップを詳述したフローチャートである。 ベクターpBPSMM192bおよびpBPSMM232のプラスミド地図である。 ベクターpBPSEW008のプラスミド地図である。 土壌細菌の種々の16S−23S rRNA遺伝子間配列領域のアライメントを示す。 土壌細菌の種々の16S−23S rRNA遺伝子間配列領域のアライメントを示す。 土壌細菌の種々の16S−23S rRNA遺伝子間配列領域のアライメントを示す。 土壌細菌の種々の16S−23S rRNA遺伝子間配列領域のアライメントを示す。 土壌細菌の種々の16S−23S rRNA遺伝子間配列領域のアライメントを示す。 非病害性アグロバクテリウム株K599(pRi2659Δ)で形質転換されたダイズT1およびT0植物体のサザンハイブリダイゼーションを示す。 アグロバクテリウム種の種々のvirD2アミノ酸配列のアライメントを示す。

Claims (35)

  1. 以下のステップ:
    a) アグロバクテリウム株K599(NCPPB 2659)または該菌株の誘導体のトランスジェニック非病原性変異株の細菌を準備するステップ、ここで、該変異株は植物細胞に感染可能であるが、毛状根表現型誘発性を欠損し、かつ該変異株はさらにトランスジェニックT−DNAを含むものである、および
    b) 植物細胞を前記細菌と共培養するステップ、および
    c) 安定的にゲノムに組み込まれた前記トランスジェニックT−DNAを含んでなる植物細胞を単離または選択するステップ
    を含む、トランスジェニック植物細胞の作製方法。
  2. 以下のステップ:
    a) アグロバクテリウム株K599(NCPPB 2659)または該菌株の誘導体のトランスジェニック非病原性変異株の細菌を準備するステップ、ここで、該変異株は植物細胞に感染可能であるが、毛状根表現型誘発性を欠損し、かつ該変異株はさらにトランスジェニックT−DNAを含むものである、および
    b) 植物体、植物細胞または植物組織を前記細菌と共培養するステップ、および
    c) 安定的にゲノムに組み込まれた前記トランスジェニックT−DNAを含んでなる植物を単離または選択し、かつ任意により再生するステップ
    を含む、トランスジェニック植物の作製方法。
  3. 前記非病原性変異株が、植物細胞に感染可能であり、植物細胞へのT−DNAの移入を媒介することが可能であり、かつ植物ゲノムへのT−DNAの挿入を媒介することが可能であるが、毛状根表現型誘発性は欠損している、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記アグロバクテリウム株K599(NCPPB2659)の誘導体が、土壌の植物病原性細菌であって、配列番号5、6、7、8、9、10、11、12、13、および14により示される配列モチーフからなる群より選択される少なくとも1つの配列モチーフを含む16S−23S rRNA遺伝子間配列により特徴付けられる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記非病原性変異株が、RiプラスミドpRi2659または該プラスミドの誘導体の非病原性プラスミド変異体を含んでなる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記非病原性プラスミド変異体が、以下のもの:
    a) 配列番号24により示される配列または配列番号24により示される配列のうち少なくとも100個の連続したヌクレオチドからなる配列を含む配列
    b) 配列番号24により示される配列または配列番号24により示される配列のうち少なくとも1000個の連続したヌクレオチドからなる配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有する配列
    c) 5×SSPE、1%SDS、5×デンハルト試薬および100μg/mLの変性サケ精子DNAからなる溶液中、68℃での結合またはハイブリダイゼーションと、それに続く、0.1×SSPEおよび0.1%SDSを含む溶液中、68℃での洗浄と等価の条件下で、配列番号24により示される配列もしくはその相補配列のうち少なくとも100個の連続したヌクレオチドからなるプローブにハイブリダイズする配列
    により示される配列の群より選択される少なくとも1つの配列を含む、請求項5に記載の方法。
  7. 前記植物細胞、植物組織、または植物体が、単子葉植物、双子葉植物、および裸子植物からなる群より選択される植物に由来する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記植物が、ウマゴヤシ属(Medicago)、トマト属(Lycopersicon)、アブラナ属(Brassica)、キュウリ属(Cucumis)、ナス属(Solanum)、クルミ属(Juglans)、ワタ属(Gossypium)、リンゴ属(Malus)、ブドウ属(Vitis)、キンギョソウ属(Antirrhinum)、ハコヤナギ属(Populus)、イチゴ属(Fragaria)、シロイヌナズナ属(Arabidopsis)、トウヒ属(Picea)、トウガラシ属(Capsicum)、アカザ属(Chenopodium)、キク属(Dendranthema)、アサガオ属(Pharbitis)、マツ属(Pinus)、エンドウ属(Pisum)、イネ属(Oryza)、トウモロコシ属(Zea)、コムギ属(Triticum)、ライコムギ(Triticale)、ライムギ属(Secale)、ドクムギ属(Lolium)、オオムギ属(Hordeum)、ダイズ属(Glycine)、トガサワラ属(Pseudotsuga)、リュウキュウベンケイ属(Kalanchoe)、フダンソウ属(Beta)、ヒマワリ属(Helianthus)およびタバコ属(Nicotiana)からなる群より選択される属に由来する、請求項7に記載の方法。
  9. 前記トランスジェニックT−DNAが、植物で発現可能な選択マーカー遺伝子を少なくとも1つ含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 以下のもの:
    a) 配列番号24により示される配列または配列番号24により示される配列のうち少なくとも100個の連続したヌクレオチドからなる配列を含む配列
    b) 配列番号24により示される配列または配列番号24により示される配列のうち少なくとも1000個の連続したヌクレオチドからなる配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有する配列
    c) 5×SSPE、1%SDS、5×デンハルト試薬および100μg/mLの変性サケ精子DNAからなる溶液中、68℃での結合またはハイブリダイゼーションと、それに続く、0.1×SSPEおよび0.1%SDSを含む溶液中、68℃での洗浄と等価の条件下で、配列番号24により示される配列もしくはその相補配列のうち少なくとも100個の連続したヌクレオチドからなるプローブにハイブリダイズする配列
    により示される配列の群より選択される、単離されたヌクレオチド配列。
  11. 植物細胞感染および形質転換に必要な機能をもたらすが、毛状根表現型を引き起こす配列は欠損している、pRi2659または該Riプラスミドの誘導体の非病原性プラスミド変異体。
  12. 請求項10に記載のヌクレオチド配列により示される、請求項11に記載の非病原性プラスミド変異体。
  13. 前記誘導体が、配列番号112により示される配列に対して少なくとも85%のアミノ酸配列同一性を有するvirD2タンパク質をコードする、請求項11または12に記載の非病原性プラスミド変異体。
  14. 植物細胞感染および形質転換に必要な生来型の病原性pRi2659またはその誘導体の配列を含むが、毛状根表現型を媒介するT−DNAの配列は欠損している、請求項11または13に記載の非病原性プラスミド変異体。
  15. 境界領域を含むT−DNA全体が生来型のプラスミドから欠失している、請求項11〜14のいずれか1項に記載の非病原性プラスミド変異体。
  16. 前記欠失したT−DNAが、配列番号4の塩基538付近から塩基15519付近までの配列または配列番号26の塩基3644付近から塩基18577付近までの配列により示される配列に対応する、請求項11〜15のいずれか1項に記載の非病原性プラスミド変異体。
  17. 5×SSPE、1%SDS、5×デンハルト試薬および100μg/mLの変性サケ精子DNAからなる溶液中、68℃での結合またはハイブリダイゼーションと、それに続く、0.1×SSPEおよび0.1%SDSを含む溶液中、68℃での洗浄と等価の高ストリンジェンシーの条件下で、病原性アグロバクテリウム株K599(NCPPB 2659)の生来型の病原性RiプラスミドpRi2659の全体とハイブリダイズするが、該高ストリンジェンシーの条件下で、配列番号4により示される配列の塩基538付近から塩基15519付近までの配列または配列番号26により示される配列の塩基3644付近から塩基18577付近までの配列とはハイブリダイズしない、請求項11〜16のいずれか1項に記載の非病原性プラスミド変異体。
  18. 前記pRi2659の誘導体が、植物細胞への土壌細菌からのT−DNAの移入を媒介することができ、
    a) 生来型pRi2659プラスミド(アグロバクテリウム株K599(NCPPB 2659に含まれるものと同様)をコードするDNAに対して少なくとも90%の配列同一性を有すること、または
    b) 5×SSPE、1%SDS、5×デンハルト試薬および100μg/mLの変性サケ精子DNAからなる溶液中、68℃での結合またはハイブリダイゼーションと、それに続く、0.1×SSPEおよび0.1%SDSを含む溶液中、68℃での洗浄と等価の高ストリンジェンシーの条件下で、生来型pRi2659プラスミドとハイブリダイズすること
    によりさらに特徴付けられるプラスミドである、請求項11〜17のいずれか1項に記載の非病原性プラスミド変異体。
  19. アグロバクテリウム・リゾゲネス(Agrobacterium rhizogenes)pRi2659プラスミド由来の少なくとも1つのT−DNA境界領域がつなげられ、毛状根表現型を引き起こす配列を含まない、トランスジェニックT−DNA。
  20. 前記境界配列が配列番号18または19により示されるものである、請求項19に記載のトランスジェニックT−DNA。
  21. 前記トランスジェニックT−DNAが、前記植物に、農学上有益な形質または少なくとも1つのマーカー遺伝子を付与するための少なくとも1つの発現カセットを含み、該マーカー遺伝子は、形質転換された植物体、植物細胞もしくは組織の選択および/または特定を可能にするものである、請求項19または20に記載のトランスジェニックT−DNA。
  22. 請求項19〜21のいずれか1項に記載のトランスジェニックT−DNAを含んでなるトランスジェニックベクター。
  23. 請求項10に記載のヌクレオチド配列、請求項11〜18のいずれか1項に記載の非病原性プラスミド変異体、請求項19〜21のいずれか1項に記載のトランスジェニックT−DNA、もしくは請求項22に記載のトランスジェニックベクターを含んでなる細胞または非ヒト生物。
  24. 細菌、酵母、植物、哺乳動物、および昆虫からなる群より選択される、請求項23に記載の細胞または非ヒト生物。
  25. リゾビウム科(genes Rhizobiaceae)の土壌細菌である、請求項23または24に記載の細胞または非ヒト生物。
  26. 植物細胞に感染可能であるが、毛状根表現型誘発性を欠損している、アグロバクテリウム株K599(NCPPB 2659)またはその誘導体の非病原性変異株。
  27. 植物細胞に感染可能であるが、毛状根表現型誘発性を欠損しており、さらにトランスジェニックT−DNAを含んでなる、アグロバクテリウム株K599(NCPPB 2659)またはその誘導体のトランスジェニック非病原性変異株。
  28. 植物細胞に感染可能であり、植物細胞へのT−DNAの移入を媒介することが可能であり、かつ植物ゲノムへのT−DNAの挿入を媒介することが可能であるが、毛状根表現型誘発性を欠損している、請求項26または27に記載の非病原性変異株。
  29. 前記アグロバクテリウム株K599(NCPPB 2659)の誘導体が、土壌の植物病原性細菌であって、配列番号5、6、7、8、9、10、11、12、13、および14により示される配列モチーフからなる群より選択される少なくとも1つの配列モチーフを含む16S−23S rRNA遺伝子間配列により特徴付けられる、請求項26〜28のいずれか1項に記載の非病原性変異株。
  30. RiプラスミドpRi2659またはその誘導体の非病原性プラスミド変異体を含んでなる、請求項26〜29のいずれか1項に記載の非病原性変異株。
  31. 前記非病原性プラスミド変異体が請求項11〜18のいずれか1項に記載のものである、請求項30に記載の非病原性変異株。
  32. 突然変異型もしくはキメラ型virAまたはvirG遺伝子の存在あるいは強毒性プラスミドの存在からなる群より選択される1以上の特徴をさらに含む、請求項25〜31のいずれか1項に記載の非病原性変異株。
  33. 以下のもの:
    a) 配列番号112により示される配列またはそのうちの少なくとも200個の連続したアミノ酸からなる配列、
    b) 配列番号112により示される配列に対して少なくとも85%の配列同一性を有する配列
    からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチド。
  34. 以下のもの:
    a) 配列番号25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、126、128、129、130、131、132、133、134、136、137、139、140、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、154、155、156、158、159、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、もしくは187のいずれか1つにより示される配列またはそのうちの少なくとも200個の連続したアミノ酸からなる配列、
    b) 配列番号25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、126、128、129、130、131、132、133、134、136、137、139、140、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、154、155、156、158、159、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、または187のいずれか1つにより示される配列に対して少なくとも85%の配列同一性を有する配列
    からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチド。
  35. 請求項33または34に記載のポリペプチドをコードする配列を含むヌクレオチド配列。
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