JP2008508869A - 成長促進活性を有する薬用植物及びその抽出物の動物薬及び畜産における使用 - Google Patents

Abstract

本発明は、クコ属の、特にクコの植物体又は実の抽出物を、家畜に使用する成長促進剤の製造に使用することに関する。

Description

本発明は、家畜に使用する成長促進剤の製造のための、クコ（Lycium）属の、特にクコ（Lycium barbarum）の植物体又は実の抽出物の使用に関する。

細菌の抗生物質耐性は、畜産分野を含む公衆衛生に影響を与える問題として増大している。

ヒト用医薬に使用されるものと殆ど同じか極めて類縁した抗生物質を動物薬においての使用、ならびに成長促進剤や集団用予防薬（mass metaphylactic agent）として準治療用量で抗生物質を使用する慣習は、家畜及びしばしばヒトの病変に関係する多くの細菌種が獲得する抗生物質耐性を拡散させる主な原因である。食肉中の残留抗生物質の存在、及び間接的には、ヒトに対して病気をもたらす細菌に耐性遺伝子を転移できる抗生物質耐性の細菌の選抜は、ヒトの健康にとって害にある。

全抗生物質生成物の約２５％は、家畜に使用するためのものであり、そのうちの９０％は疾病予防及び成長促進のために準治療用量で使用されている。抗菌剤は、生産性を向上させるために飼料に添加され、５０年代以来、畜産において広く使用されてきた。養豚においては、例えば、子豚の離乳が最も注意を有する段階である。というのは、異なる動物群の移動と混合及び飼料の変更に伴うつらい出来事は、動物の腸内微生物叢に変化を誘発し、感染症をより受けやすくさせるからである。離乳中に発症する種特有の病気の予防への抗生物質の使用が、抗生物質の汎用につながっている。その抗生物質は動物がちょうど７０〜８０日齢になるまで延ばされている期間中飼料に配されている。

抗生物質耐性の危機のゆえに、欧州連合は、食餌及び水を通じて、成長促進剤、抗菌性予防、多重治療（multi-therapies）、集団投薬として抗生物質を使用することに関して、限定的な姿勢をとってきた。特に、ＥＵは、２００６年までに、抗生物質の成長促進剤としての使用に関して、あらゆる承認を撤回している。しかし、抗生物質の成長促進剤及び予防薬としての使用の差し止めは、下痢、体重減少及び死亡率の増大と共に、動物の健康の悪化となる。

畜産の、より具体的には養豚の、抗生物質使用への依存を減らすために様々な手法がある。その選択肢の１つは、細菌を制御することを通して作用し、動物の自然な活性を促進し、それにより健康の増進ならびに能力の最大化を達成する、代替物質を開発することである。このような代替案に必須の特性は、使用に対する安全性及び生産者にとり、ひいては消費者にとり安価であることである。

クコ属は中国原産の低木で、ナス科（Solanaceae class）に属し、秋に橙色／赤色になる長円形の小さい実をつける。

クコ属の植物の実は、水抽出物の形態で、腎臓及び肝臓障害、貧血、眩暈及び耳鳴を含む様々な症状の治療に、伝統的漢方薬において長い間使用されてきた。

今、クコ属の、特にクコの植物体の部分、特に実、又はその植物の実の抽出物の家畜への投与は、少なくとも成長促進用抗生物質の投与と同程度に活性であることが判明した。

したがって、本発明は、有効成分として、クコ属の、好ましくはクコの粉砕した実又は実の抽出物を、適切な担体と混合し又は補助飼料の形態で含む、獣医や畜産で使用するための組成物に関する。

前記組成物は、成長促進性抗生物質の欠点や副作用なしに、家畜の、特に豚、牛、羊及び馬の、より具体的には豚の成長を促進できることが証明された。

用量は、動物の種、サイズ、重量及び年齢のような幾つかの要因に依存する。原則として、一般的な用量は、動物１体につき１日あたり抽出物／実０．１ｇ〜１０ｇの範囲である。

本発明の使用可能な抽出物は、クコの実を水で繰り返し抽出することを含む方法によって製造することができる。抽出温度は、５℃〜水の沸点、好ましくは９０℃である。得られた抽出液は合わされ、真空下で小容量に濃縮され、次いで静置乾燥機中、真空下６０℃で乾燥される。

以下の実施例は、本発明をさらに詳細に示すものである。

実施例１：畜産で使用するためのクコの実の抽出物の製造
乾燥クコの実１ｋｇを、ジャケット付きパーコレータに入れ、９０℃の温度で３時間、水１．９Ｌで覆う。最初の抽出液を回収し、合計７．１Ｌの水を使用して、さらに４回の抽出を実施する。濾過し混合した抽出液（６．２Ｌ）を、真空下で小容量に濃縮し、次いで静置乾燥器中、真空下６０℃で乾燥する。得られた生成物を粉砕し、それによって全乾燥抽出物６５０ｇを得る。

実施例２：Ｉｎ ｖｉｖｏ試験
実験は、各３０匹の４つのグループに分けられた１２０匹の子豚で実施された。

グループ１（対照）は、添加剤のない標準飼料を用いて飼育された。グループ２（抗生物質）は、飼料１ｋｇあたりアプラマイシン２ｇ及びコリスチン１ｇが配された薬を含む飼料で飼育された。グループ３は、クコ属抽出物２ｇ／Ｋｇを添加した標準飼料で飼育された。グループ４は、微細粉砕クコ属の実５ｇ／ｋｇを添加した標準飼料で飼育された。

全ての動物は、２２日齢から４１日齢の離乳期中飼育された。

健康な動物は、全体重増加、１日の飼料摂取量及び下痢症状の動物のパーセンテージによって評価された。さらに４１日目から、糞便サンプルが、総中生植物蓄積（mesophyte charge）、全大腸菌群及び全乳酸杆菌の細菌数について微生物学的に分析された。全パラメータは、当分野の技術者に周知の標準法で評価された。

以下の表で報告された結果は、微細粉砕した根及び水−エタノール抽出物の両方の形態でクコ属を標準飼料に添加することは、それ自体ｉｎ ｖｉｔｒｏ抗菌活性がないものの、離乳飼料における抗生物質系成長促進剤の有益な代替物となり得ることを示している。

Claims (7)

1. 飼料用成長促進剤の製造のためのクコ属の植物体の部分又は抽出物の使用。
2. クコ属植物がクコである、請求項１に記載の使用。
3. クコ属の部分が実である、請求項１又は２に記載の使用。
4. 抽出物が実の水抽出物である、請求項１又は２に記載の使用。
5. 適切な担体と混合して、クコ属の植物体の部分又は抽出物を含む、獣医用又は畜産用組成物。
6. クコの実又はその水抽出物を含む、請求項５に記載の組成物。
7. クコ属、特にクコの植物体の実又はその抽出物を添加した飼料。