JPH0686388B2 - クコ由来細胞賦活作用剤 - Google Patents

クコ由来細胞賦活作用剤

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JPH0686388B2
JPH0686388B2 JP63271818A JP27181888A JPH0686388B2 JP H0686388 B2 JPH0686388 B2 JP H0686388B2 JP 63271818 A JP63271818 A JP 63271818A JP 27181888 A JP27181888 A JP 27181888A JP H0686388 B2 JPH0686388 B2 JP H0686388B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の目的〕 本発明は、新規な細胞賦活作用剤(因子)の開発に関す
る。
さらに詳しくは、ナス科植物(Solanaceae)のクコ(Ly
cium chinense Miller)から抽出されるある特定な理化
学的諸性質を示す水溶性の分画を有効成分とする、新規
な細胞賦活作用剤に関するものである。
「産業上の利用分野」 本発明によるクコ由来の水溶性分画は、細胞に対して優
れた賦活作用を示す。
よって本剤の利用分野としては、例えば、医薬品、医薬
部外品、あるいは化粧品(人及びその他の動物用)をは
じめとする皮膚外用剤などに配合して用いることが有用
である。
また、組織培養などにおける培地への添加剤としての利
用も可能である。
「従来の技術」 クコには、解熱作用や慈養強壮といった効果があるとさ
れ、古くから医薬品あるいは食品などに用いられてき
た。
例えば、クコの根部(地骨皮)のエタノール抽出エキス
についての解熱作用は、高木敬次郎ら:和漢薬物学 P1
15,南山堂刊(1982年)に示されている。
しかしながら、そのような生理学的に有効な成分につい
ては、未だ解明されるまでに至っておらず、また、クコ
の有用性について言及されている文献なども少ない。
「発明が解決しようとする課題」 本発明者らの課題は、植物の有効利用をはかることにあ
り、特に、ヒトや動物の美容と健康に役立つような植物
由来の有効成分の開発とその応用を提供することにあ
る。
本発明者らは、この目的のため各種植物成分のスクリー
ニングを継続してきた。
そしてその過程において、クコの油出物中に細胞に対し
て強い賦活作用を有する成分が含まれていることを見い
出し、さらにその追求を試みたところ、次に示すごとく
の理化学的データ及び生物学的データをもって特定する
ことに成功し、本発明を完成するに至った。
〔発明の構成〕
本発明は、ナス科植物のクコから抽出された、次の
(a)〜(d)の性質を有する分画を有効成分とする細
胞賦活作用剤をもってなる。
(a)分子量1,500付近 (b)ペーパークロマトグラム[展開溶媒:水・エタノ
ール混液(1:1)]のRf値が、0.64〜0.68にある。
(c)水及び60%エタノールに可溶 80%以上のエタノールには難溶 無水エタノール、n−ブタノール、酢酸エチル、クロロ
ホルム、石油エーテル、エーテルには不溶 (d)モーリッシュ反応及びニンヒドリン反応が陽性 「課題を解決するための手段」 〔A〕製造法(抽出手段) 本発明による細胞賦活成分は、ナス科植物のクコ(生薬
名:地骨皮、枸杞子、枸杞葉を用いても良い)を出発原
料となし、抽出、精製することによって製造出来る。そ
の際の出発原料は組織培養法によって得られたクコを用
いてもよい。その製造法は次のごとくである。
クコ(乾燥物)1部に対して、5〜10部の水を加え、4
℃にて時々撹拌しながら数日間浸漬を行う。
浸漬後、ろ過してろ液を採取し、これを減圧下において
10分の1〜20分の1になるまで濃縮する。次いで、その
濃縮液に対してエタノールを50%濃度になるように添加
し、さらに遠心分離して上清液を分取する。
次に、この上清液に対してさらにエタノールを80%濃度
になるように添加し、遠心分離機にかけて沈殿物を分取
して、クコ由来細胞賦活成分を得る。
「実施例1」 クコ(乾燥物)1Kgに対して、5〜10部の水を加え、4
℃にて時々撹拌しながら3日間浸漬する。その後、ろ過
してろ液をとり、減圧下において10〜20分の1量になる
まで濃縮し、この濃縮液に対してエタノールを50%濃度
になるように添加した後、遠心分離して上清液を分取す
る。
次に、この上清液に対してさらにエタノールを80%濃度
になるように添加し、遠心分離し、沈殿物を採取する。
この沈殿物を水で溶解した後、セファデックスG−25メ
ディウムを充填したカラム(25×60cm)を用いゲル濾過
を行い、Kav値で、0.3〜0.6に流出するフラクションを
得る(第1図)。
さらにこれを凍結乾燥して、本発明による細胞賦活成分
を得る。尚、上記方法によって得られたそれの収量は、
約5gである。
〔B〕理化学的特性に関するデーター (a)分子量測定 本発明による細胞賦活成分の分子量は、以下の試験法を
もって推定するとき、1,500前後であることが確認され
た。(第2図)。
(測定法の概要) 平均分子量1,000および3,000のポリエチレングリコール
(ポリエチレングリコール1,000,ポリエチレングリコー
ル4,000)を標準として、セファデックスG−25ファイ
ン(ファルマシア社製)で分画して分子量を推定する。
(b)ペーパークロマトグラム 東洋ろ紙No.50を使用し、展開溶媒として、エタノール
・水混液(1:1)を使用した場合のクロマトグラム上のR
f値は、0.64〜0.68であることが確認された。
尚、n−ブタノールに溶解したニンヒドリンを噴霧し、
100℃に加熱すると、紫色に呈色する。
又、展開溶媒を変えて、エタノール・水混液(4:1)を
使用した場合は原点にとどまった。
(c)溶媒に対する溶解性 水及び60%エタノール水溶液には易溶であるが、80%以
上のエタノール水溶液では難溶である。
又、無水エタノール、n−ブタノール、酢酸エチル、ク
ロロホルム、石油エーテル、エーテルには不溶である。
(d)その他の反応 モーリッシュ反応:水に溶解した液に、15%α−ナフ
トールを滴下し硫酸を加える時、赤紫色を呈する。
ニンヒドリン反応:水に溶解した液に、ニンヒドリン
試液を加え、水浴中で3分間加熱する時紫色を呈する。
〔C〕発明の効果 (1)細胞生着率の促進作用 モルモットの初代線維芽細胞、さらにマウスの初代腹腔
マクロファージは、無血清のMEM中では、培養器に生着
せず死滅する。
これに対して、実施例1で得た凍結乾燥物は、無血清の
培地において、細胞の生着性(率)を促進し、死滅する
ことを防止した。
すなわち、本成分を添加することにより細胞が生着し、
1週間以上生存することがわかった。
尚、その際の添加量は、培養液1mL当り50μgである
(細胞数5×104個/mL)。
(2)コロニー形成からみた促進作用 モルモットの初代培養線維芽細胞を用いて、コロニー形
成能(率)を求めてみると形成が良好である。この促進
作用は線維芽細胞に限らず、上皮細胞等においても同様
に確認された。
第1表(次表)は、10〜1,000個のモルモットの初代培
養線維芽細胞を、直径6.0cmのペトリ皿(培養液:MEM+
5%FBS<牛胎児血清>)に播種し、本成分を培養液1mL
当り50μg添加し2週間後のコロニー数を測定した成績
結果である。
(3)安全性 <皮膚一次刺激性試験> 実施例1で得たクコの水溶液分画について、1%水溶液
を調整し、背部を除毛した兎(1群3匹,体重3.9Kg前
後)の皮膚に貼付した。判定は、貼布後24,48,72時間に
一次刺激性の評点法により紅斑および浮腫を指標として
行った。
その結果、何等、紅斑および浮腫を認めず陰性と判定さ
れた。
<急性毒性試験> 試験前4時間絶食させたddY系マウス(1群5匹,30g前
後)を使用し、実施例1で得たクコの水溶性分画を2,00
0mg/Kg量経口投与し、毒性症状の発現、程度等を経時的
に観察した。
その結果、すべてのマウスにおいて14日間何等異常を認
めず、また解剖の結果も異常がなかった。LD502,000mg/
Kg以上と判定された。
(4)用途 以上、本発明によるクコから得られた水溶性分画は、細
胞賦活作用に優れ、しかも安全な素材であることがわか
る。
よって例えば、潰瘍部あるいは外傷部などの再生治癒の
促進剤、あるいは細胞賦活剤として、医薬品あるいは化
粧品など、美容や健康に役立つ製剤などに応用すること
が有用である。
特に、皮膚や頭髪用の化粧品(スキンケア,ヘアーケア
製品)などには、常用される基剤とともに配合すればよ
く、その際、添加量については、先の有効性、安全性の
結果からみてクコ由来の有効成分が処方中の1%以下の
範囲となる量が望ましい。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明によるクコ由来細胞賦活成分(実施例
1の工程で得られたフラクションのセファデックスG−
25ファインによる分画)による溶出図である。 第2図は、本発明によるクコ由来細胞賦活成分の分子量
測定に当って、標準物質を用いて作成した、分子量とKa
v値による検量線である。 第2図中、Aはポリエチレングリコール1,000(平均分
子量1,000)、またBはポリエチレングリコール4,000
(平均分子量3,000)を示す。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ナス科植物のクコから抽出された、次の
    (a)〜(d)の性質を有する分画を有効成分とする細
    胞賦活作用剤。 (a)分子量1,500付近 (b)ペーパークロマトグラム[展開溶媒:水・エタノ
    ール混液(1:1)]のRf値が、0.64〜0.68にある。 (c)水及び60%エタノールに可溶 80%以上のエタノールには難溶 無水エタノール、n−ブタノール、酢酸エチル、クロロ
    ホルム、石油エーテル、エーテルには不溶 (d)モーリッシュ反応及びニンヒドリン反応が陽性
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