JP2008506415A - 神経変性疾患の生物マーカー - Google Patents

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Abstract

神経変性疾患のための生物マーカーが開示される。例えば、神経変性疾患を診断するため、ならびに疾患の進行および処置をモニタリングするために、このような生物マーカーを同定する方法、およびこのような生物マーカーを使用する方法が、開示される。また、これらの生物マーカーに関するアッセイ、キットおよび固体支持体が開示される。さらなる局面において、本発明は、特定の被験体における神経変性疾患(例えば、パーキンソン病およびアルツハイマー病)の診断および予後のための方法に関する。

Description

(I.通知)
この研究は、National Institute of Agingからの助成金(LEAD AG09016、RO1 AG14411、およびAG00107−15)およびAlzheimer’s Disease Centerの助成金AG08665およびthe National Science Foundationからの助成金(CCR9701911)によって支援された。連邦政府は本発明において特定の権利を有する。
(II.関連出願の相互参照)
本出願は、2004年7月19日に出願された米国仮特許出願第60/589,318号の利益を主張する。米国仮特許出願第T60/589,318号は、その全体が参考として本明細書中で援用される。
(III.背景)
神経変性疾患は、数百万人の人々に影響を与え、人々の生活の質を大いに低減し、そして多くの場合、死を引き起こす。比較的一般的な神経変性疾患はパーキンソン病であり、これは毎年50万人より多くのアメリカ人に影響を与える。パーキンソン病は、動作の緩慢(運動緩徐)、安静時の振せん、四肢および首の硬直、腰の曲がった姿勢、顔の最低限の表情、嚥下の問題(嚥下障害)、および少ない連合運動(例えば、腕の振り)によって特徴付けられる。一部の患者はまた、運動機能についてのこのような異常と関連した痴呆に直面する。パーキンソン病は加齢依存性であり、そして通常は50歳〜70歳の間に徐々に開始し、10年後〜20年後までゆっくりと進行する。
アルツハイマー病は、別の一般的な神経変性疾患である。アルツハイマー病の進行は、意識の徐々の変化、記憶、認識および見当識の喪失ならびに個性および知性の喪失と関連する。アルツハイマー病の罹患率は、年齢と共に劇的に増加する。
剖検前の神経変性疾患の正確かつ容易な診断は難題である。また、多くの神経変性疾患(例えば、パーキンソン病およびアルツハイマー病)の病因論は、完全には理解されていない。さらに、1つの神経変性疾患に関連した症状は、しばしば、他の神経変性疾患(特に初期段階の疾患)の症状に似ている。このような難しさのため、このような神経変性疾患を患う患者を診断および処置することに関する混乱および複雑さを生じ得る。例えば、アルツハイマー病の神経線維において生じる変化は,代表的に,ニューロンにおいて起こる形態上の変化の組織学的分析の際にポジティブに診断される。アルツハイマー病の脳において遺伝子発現が変化すること、およびこの遺伝子発現を使用してアルツハイマー患者の発症および進行を識別し得ることが、示されている。しかしながら、この型の分析は患者から脳サンプルを得ることを必要とし、従って死亡認定後において大いに有用である。
パーキンソン病およびアルツハイマー病のような神経変性疾患の初期診断はその処置を補助し得るので、実施するのに正確でありかつより容易である比較的小さな侵襲性手順が望ましい。従って、神経変性疾患を区別、診断およびモニタリングするための組成物および方法が当該分野で必要とされる。本明細書中に開示される対象は、これらの必要性および他の必要性を取り上げる。例えば、神経組織をサンプリングすることよりも患者の末梢血のサンプリングすることを含む、パーキンソン病、アルツハイマー病のような神経変性疾患の診断のための方法および組成物が、本明細書中に開示される。
(IV.要約)
開示される材料、化合物、組成物、物品、および方法の目的に従って、本明細書中に具体化されそして広範に記載されるように、開示される対象は、1つの局面において、化合物および組成物、ならびにこのような化合物および組成物を調製および使用するための方法に関する。さらなる局面において、開示される対象は、特定の被験体における神経変性疾患(例えば、パーキンソン病およびアルツハイマー病)の診断および予後のための方法に関する。なおさらなる局面において、開示される対象は、神経変性疾患の処置のための治療剤についてスクリーニングする方法に関する。なおさらに、被験体における神経変性疾患の進行をモニタリングする方法が本明細書中に開示される。なおさらなる局面において、開示される対象は、被験体における神経変性疾患の処置への応答をモニタリングする方法、試験被験体における神経変性疾患に対する危険性を確認する方法、および試験被験体における神経変性疾患を別々に診断する方法、に関する。また、神経変性疾患のための診断アッセイ、ならびに本明細書中に開示される方法において使用され得るチップ、ビーズおよびアレイが、開示される。多くの例において、本明細書中に開示される組成物および方法は、被験体からの血液の使用、およびその血液細胞内の遺伝子発現の分析を含む。
以下に記載される利点は、添付の特許請求の範囲において特に指摘される構成要素および組み合わせによって理解され、達成される。前述の一般的な説明および以下の詳細な説明の両方が単なる例示であり単なる解説であって、限定的ではないことが理解されるべきである。
(VI.詳細な説明)
本発明の化合物、組成物、物品、デバイスおよび/または方法を開示し説明する前に、他に特定しない限り、これらは、無論変動し得るので、特定の方法にも特定の組換えの生物工学的方法にも限定されず、他に特定しない限り特定の試薬にも限定されないことが理解されるべきである。また、本明細書中に使用される用語は、特定の実施形態を説明する目的のみのためであり、限定していることを意図されないことが理解されるべきである。
(A.定義)
本明細書および添付の特許請求の範囲において、以下の意味を有することを定義される多くの用語に対して参照がなされる。
本明細書および特許請求の範囲の全体を通して、用語「含む(comprise)」およびこの語の他の形態(例えば、「含むこと(comprising)」および「含む(comprises)」)は、例えば他の添加物、成分、整数または工程を含むがこれらに限定されないことを意味し、そしてそれらの例のものを除外しないことが意図される。
本明細書および特許請求の範囲において使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、その文脈が他を明確に示さない限り、複数の参照を含む。従って、例えば「1つの生物マーカー」に対する参照は、このような生物マーカーの2つ以上の混合物を含み、「1つの抗体」に対する参照は、2つ以上の抗体の混合物を含み、「その被験体」に対する参照は2人以上の被験体を含む、などである。
範囲は、「約」1つの特定の値から、そして/または「約」別の特定の値までとして本明細書中で表され得る。このような範囲が表される場合、別の実施形態は、この1つの特定の値から、そして/または他の特定の値までを含む。同様に、値が近似値として表される場合、先行詞「約」の使用によって、この特定の値が別の実施形態を形成することが理解される。各々の範囲の終点は、その他の終点に関して重要であり、かつその他の終点からは独立していることがさらに理解される。また、本明細書中に開示される多くの数値が存在し、各々の数値もその値自体に加えて「約」その特定の数値として本明細書中に開示されることが理解される。例えば、値「10」が開示される場合、「約10」もまた開示される。また、値が開示される場合、当業者に適切に理解されるように、その値「以下」、「その値以上」および値の間の可能性ある範囲もまた開示されることが理解される。例えば、値「10」が開示される場合、「10以下」および「10以上」もまた開示される。また、本出願全体を通して、データは多くの異なる形式で提供されること、およびこのデータは終点および始点ならびにそれらのデータ点のあらゆる組み合わせ範囲を示すことが理解される。例えば、特定のデータ点「10」および特定のデータ点「15」が開示される場合、10より大きい、10以上、10未満、10以下および10に等しい、ならびに15より大きい、15以上、15未満、15以下および15に等しいは、10と15との間と同様に開示されるとみなされることが理解される。
「任意の」および「必要に応じて」は、その後に記載される事象または状況が起こってもよいし起こらなくてもよいこと、およびこの記載はその事象または状況が起こる場合と起こらない場合とを包含することを意味する。
「プローブ」は、標的核酸、代表的には配列特異的な様式で(例えば、ハイブリダイゼーションを介して)相互作用し得る分子である。核酸のハイブリダイゼーションは、当該分野で十分に理解されており、本明細書中で考察される。代表的に、プローブは、当該分野で利用可能なヌクレオチドまたはヌクレオチド誘導体もしくはアナログのあらゆる組み合わせから作製され得る。
「プライマー」は、一部の型の酵素操作を支持し得、そしてその酵素操作が起こり得るように標的核酸とハイブリダイズし得るプローブの部分集合である。プライマーは、その酵素操作を妨害しない、当該分野で利用可能なヌクレオチドまたはヌクレオチド誘導体もしくはアナログのあらゆる組み合わせから作製され得る。
用語「増加する」、「高める」または「上昇する」とは、コントロールレベルまたは参照レベルよりも上のレベルをいう。この用語はまた、1つの事象(例えば、ゼロであるコントロールレベルまたは参照レベルよりも上のレベル)の出現または発生を含み得る。用語「減少する」、「低減する」または「下がる」は、コントロールレベルまたは参照レベルよりも下のレベルをいう。これらの用語はまた、1つの事象(例えば、コントロールレベルも参照レベルもゼロでない場合のゼロのレベル)の不在または消失を含み得る。
本明細書中で使用される場合、用語「被験体」および「患者」は、相互に交換可能に使用され、そして個人を意味する。従って、「被験体」または「患者」としては、屋内動物(例えば、猫、イヌ、など)、家畜(例えば、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギなd)、実験動物(例えば、マウス、ウサギ、ラット、モルモットなど)、およびトリが挙げられ得る。「被験体」または「患者」としてはまた、哺乳動物(例えば、霊長類)が挙げられ得る。1つの特定の局面において、「被験体」または「患者」はヒトであり得る。
本明細書中で使用される場合、用語「サンプル」は、被験体または患者から得られる任意の生物学的材料をいう。1つの局面において、サンプルは、血液、脳脊髄液、(「CSF」)、または尿を含み得る。他の局面において、サンプルは、全血、血漿、血液サンプル由来の富化されたリンパ球、および培養細胞(例えば、被験体からの白血球)を含み得る。サンプルはまた、生検サンプルまたは組織サンプル(神経組織が挙げられる)を含み得る。さらに他の局面において、サンプルは、全細胞および/またはその細胞の溶解物を含み得る。細胞の例としては、白血球(例えば、好中球)、単球、好塩基球、リンパ球、好酸球、またはその任意の組み合わせが挙げられる。別の特定の局面において、サンプルは、白血球、もしくは白血球の実質的に純粋な集団、またはその溶解物を含み得る。白血球の集団またはその溶解物に関して、用語「実質的に純粋」は、サンプル中の総細胞数に基づき、白血球の約1%未満、約7%未満、約10%未満、約12%未満、約15%未満、約20%未満、約25%未満、または約30%未満の他の細胞を含むサンプルを指すことを意図される。特定の例において、サンプルは、リンパ球、実質的に純粋なリンパ球の集団、またはリンパ球の実質的に純粋な集団の溶解物を含み得る。必要に応じて、この白血球は、選択される型に富化され得る。例えば、白血球集団はリンパ球について富化され得、そして本明細書中に開示される方法において使用される。富化は、FACSのような細胞ソーティング技術を使用して達成され得る。
「神経変性疾患」によって、脳、脊髄、中枢神経系および/または末梢神経系における神経学的機能の消失を導く、ニューロンの機能不全および/または死によって特徴付けられる任意の疾患が意味される。神経変性疾患は、慢性および急性であり得る。神経変性疾患の例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:パーキンソン病、前頭側頭性痴呆(frontal−temporal dementia)、前頭側頭骨性痴呆およびパーキンソン症候群、アルツハイマー病、軽度の認識障害、びまん性レヴィー小体病、レヴィー小体型を有する痴呆、脱髄疾患(例えば、多発性硬化症および急性横断脊髄炎)、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン病、クロイツフェルト−ヤーコブ病、AIDs痴呆複合症、錐体外路障害および小脳障害(例えば、皮質脊髄系の損傷)、脳幹神経節の障害、皮質基底核神経節変性、末梢ニューロパシー(糖尿病または化学療法の処置に続発性である)、進行性核上性麻痺、小脳の構造的損傷、脊髄小脳変性(例えば、脊髄性運動失調)、フリートライヒ運動失調、小脳皮質変性、多系統変性(Mencel、Dejerine−Thomas、Shi−Drager、およびMachado−Joseph)、多系統萎縮症、全身性障害(レフサム病、無β−リポタンパク血症、運動失調、毛細血管拡張症、およびミトコンドリア多系統障害)、運動単位の障害(例えば、神経原性筋萎縮)、中年のダウン症候群、亜急性硬化性汎脳炎、ハレルフォルデン−シュパッツ病、ボクサー性痴呆症(dementia pugilistica)、ピック病、など。急性神経変性疾患のいくつかの例としては、脳卒中、虚血、および多発性梗塞性痴呆である。ニューロンの急性消失もまた、癲癇を患う患者の脳、ならびに低血糖発作および脳、末梢神経または脊髄の外傷性損傷を被る患者の脳を特徴付け得る。
本出願全体を通して、種々の刊行物が参照される。これらの刊行物のその全体の開示は、当該分野の状態をそれが有する範囲までより完全に説明するために、本出願中に参考として援用される。開示されるこれらの参照はまた、それらに含まれる材料について本明細書中に参考として個々にかつ具体的に援用され、その材料はその参照が依存する文章において考察される。
ここで、開示される材料、化合物、組成物、物品、デバイス、および方法についての特定の局面に対する参照が詳細になされ、それらの例は付随する実施例および図面において例示される。
(B.組成物および方法)
生物マーカー、および生物マーカーを同定および使用するための方法が開示される。いくつかの特定の局面において、開示される生物マーカーは、本明細書中に開示されるように、(i)神経変性疾患(例えば、パーキンソン病およびアルツハイマー病)を診断する方法、(ii)神経変性疾患の進行を追跡する方法、(iii)神経変性疾患の処置に対する被験体の応答をモニタリングする方法、(iv)神経変性疾患のリスクを確認する方法、(v)1つの神経変性疾患を別のものと区別する方法、およびいくつかの他の方法、において使用され得る。
「生物マーカー」によって、被験体またはサンプルにおける状態(例えば、神経変性疾患またはその欠如)または状態の現状を識別するために使用され得る、任意のアッセイ可能な特徴または組成物を意味する。生物マーカーは、本明細書中に開示されるいくつかの例において、遺伝子であり得、この遺伝子の発現特徴を使用して、被験体またはサンプルにおける状態または状態の現状を識別し得る。他の例において、生物マーカーは遺伝子産物であり得る。「遺伝子産物」によって、転写物、核酸またはタンパク質が意味される。従って、生物マーカーが本明細書中に開示され、この生物マーカーの存在、不在、または相対量を使用して、被験体またはサンプルにおける状態または状態の現状を識別し得る。特定の例において、生物マーカーは遺伝子産物であり得、この遺伝子産物の被験体における存在または不在が、特定の神経変性疾患に罹っている被験体もしくは罹っていない被験体、神経変性疾患を発症する特定のリスクを有する被験体、または疾患の特定の状況にある被験体にとって特徴的である。なお別の例において、生物マーカーは遺伝子産物であり得、この遺伝子産物の増加または減少が、特定の神経変性疾患、神経変性疾患を発症する特定のリスク、または疾患の特定の状況を示す。別の例において、生物マーカーは種々の遺伝子産物の群であり得、その存在または不在が、特定の神経変性疾患に罹っている被験体もしくは罹っていない被験体、神経変性疾患を発症する特定のリスクを有する被験体、または疾患の特定の状況にある被験体を示す。さらなる例において、生物マーカーは遺伝子産物の群であり得、その増加性発現パターンまたは減少性発現パターンが、特定の神経変性疾患またはその欠如を特徴付ける。なおさらには、生物マーカーは遺伝子産物または遺伝子産物の群であり得、これらの発現パターンが、神経変性疾患の存在もしくは不在、または疾患の特定の予後もしくは結果に特徴的である。本明細書中で使用される場合、生物マーカーは、他の臨床試験のための代理物であり得る。本明細書中に同定される生物マーカーは、レベル、発現、活性を決定するか、または変異体を検出するために測定され得る。発現レベルまたは活性レベルを検出する場合の全体にわたって使用される場合、このことは、所定の生物マーカーの変異体を検出することが理解される。変異体としては、アミノ酸変異体もしくは核酸変異体、または翻訳後修飾された変異体が挙げられる。
全体を通してタンパク質が考察される場合はいつも、その反対に明記しない限り、またはその文脈において当業者により理解されるように、核酸(例えば、転写物)もまた開示される。同様に、核酸が考察される場合はいつも、そのタンパク質もまた開示される。本明細書中の遺伝子産物の考察において、その反対に明記しない限り、またはその文脈において当業者により理解されるように、タンパク質、核酸、および転写物もまた個々にかつ集約的に開示される。
また、生物マーカーは特定の遺伝子産物、または遺伝子産物の特定のレベルもしくは量であり得るが、生物マーカーはまた、そのような遺伝子産物のレベルまたは量が多変数正準分析において分析される場合に得られる、特定の変数であり得る(例えば、第一および/または第二の正準の変数)。
開示される対象のいくつかの例において、アルツハイマー病またはパーキンソン病のような神経変性疾患のための生物マーカーを使用して、被験体における疾患を診断する。そして死後のヒト脳由来の1つのニューロンまたはホモジネートにより発現されるメッセージのプロフィールを使用して神経変性疾患をコントロールサンプルから区別し得る(例えば、Cheetham JE,J.Neurosci.Methods,1997;77(1)43−48;Chow N,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,1998;95:9620−9625を参照のこと)が、1つの局面において、遺伝子プロファイリングおよび/またはタンパク質プロファイリングと、多変量の正準分析とを組み合わせて、神経変性疾患(例えば、穏やかなADまたは散発性PD)をコントロール血液サンプルから区別する方法が、開示される。
本明細書中に開示される1つの例において、ADの可能性を有するとしてAlzheimer’s Disease Centerにて診断される患者、ならびに年齢および性別を適合させたコントロールサンプルから血液が採られた。白血球をメッセンジャーRNAから抽出し、増幅した。次いで、選択されたメッセージの発現レベルを、低密度アレイを使用して定量した。多変量の正準分析は、アルツハイマー病の白血球とコントロールの白血球とを区別した。研究されるメッセージの種はまた、ADサンプルおよびコントロールサンプルからパーキンソン病の2症例を区別した。これらの結果は、複数の変異を利用する生物マーカーによって導かれ得るさらなる正確性を例示する。検査されるmRNA種のクラスのうち、コントロール白血球からADを最良に区別したものは、細胞周期および炎症プロセスに関与するものであった。これらの同じクラスのメンバーもまたコントロールの脳からADを区別することは、脳に実際に侵入することなしにアルツハイマー病における脳の選択された現象を理解することに一貫する。アルツハイマー病の診断を考察する種々の出願および特許が存在し、2001年1月25日に出願された米国特許第60/063,274号、1997年10月23日に出願された米国特許第09/178,170号、2001年1月25日に出願された米国特許第09/770,534号、および米国特許出願公開第2005−0084875(A1)号が挙げられる(これらは、アルツハイマー病の診断およびそのための方法、ならびにADの診断に関する遺伝子に少なくとも関係する材料についての参照として、本明細書中に援用される)。
同様の例は、本明細書中に示されるようにパーキンソン病に関して診断された患者について実施された。具体的には、新鮮な全血を、PD患者および年齢が適合するコントロール患者を含む患者集団から収集した。白血球タンパク質濃度は、PD患者とコントロール患者との間で濃度に差異のあるタンパク質スポットが、Progenesis Discoveryソフトウェア(Nonlinear USA,Inc.;Durham,NC)を使用して同定された。差異の測定値は統計学的試験に供された。タンパク質スポットは、コントロールと比較して、パーキンソン病において増加または減少のいずれかとして同定された。示差的に表されたスポットは、単離され、同定された。これらの結果は、末梢血由来のタンパク質分析を使用してPDのような神経変性疾患を診断し得ることを示す。
本明細書中に開示される組成物および方法は、神経変性疾患を患う被験体由来のサンプル(例えば、血液)において、特定の遺伝子の発現が変化されることの同定に基づく。開示される方法は、代表的に、被験体の血液における特定の遺伝子および遺伝子セットの発現を、コントロールサンプルにおける同じ遺伝子または遺伝子セットの発現と比較する工程を包含する。このコントロールサンプルは、同時に実施される非神経変性疾患の被験体であり得ること、またはこれは1人以上の非神経変性疾患の患者をアッセイして発現データを収集することによって作成される標準であり得ることが理解される。従って、コントロールサンプルは、連続して作成され使用される標準であり得る。例えば、標準は、本明細書中に開示される非AD症例または非PD症例の発現プロフィールによって作成され得る。この標準は、例えば、非神経変性疾患の患者または任意の他のコントロール群における1つの遺伝子または特定の遺伝子セットの平均発現レベルを含み得る。
特定の1局面において、被験体における神経変性疾患(例えば、パーキンソン病またはアルツハイマー病)を診断する方法が本明細書中に開示される。開示される方法は、診断されるべき被験体由来のサンプル(例えば、白血球またはその溶解物を含むサンプル)中の1つ以上の選択された生物マーカー(例えば、遺伝子産物)の発現レベルまたは活性レベルを評価する工程、および選択された生物マーカーの発現レベルまたは活性レベルを参照標準(これは、1人以上のコントロール被験体における選択された生物マーカーの発現レベルまたは活性レベルを示す)と比較する工程、を包含し得る。これらの方法において、選択された生物マーカーの発現レベルまたは活性レベルと、参照標準との間の差異は、特定の参照標準に依存して、その被験体が特定の神経変性疾患に罹っているかまたは罹っていないことを示し得る。生物マーカーの発現レベルまたは活性レベルを評価および比較するための方法が、本明細書中に開示される。
「診断する(diagnose)」または「診断すること(diagnozing)」および「診断(diagnosis)」のようなこの単語の他の形態は、特定の疾患を識別するために意味される。この用語はまた、1つの特定の疾患を別の疾患から区別すること、または疾患の不在から1つの特定の疾患を区別することを意味する。「診断する」はまた、疾患の特定の段階を識別すること、疾患を発症するリスクを識別すること、または疾患の予後を識別することを意味するために本明細書中で使用される。
これらの特定の方法において、被験体は、本明細書に記載されるように、例えば、任意の個体(例えば、ヒト)であり得る。1例において、被験体は特定の神経変性疾患について診断され得る。診断されるべき被験体は、特定の神経変性疾患の症状を有し得るか、または被験体は特定の神経変性疾患(例えば、パーキンソン病またはアルツハイマー病)について無症候性であり得るかまたは症状発現前(preclinical)であり得る。
コントロール被験体は、特定の神経変性疾患(例えば、パーキンソン病またはアルツハイマー病)を患う被験体、疾患の特定の段階にある被験体、疾患を発症するリスクを有する被験体、または特定の神経変性疾患を患っていない被験体であり得る。1例において、診断されるべき被験体およびコントロール被験体は、年齢適合性であり、そして/または性別適合性であり得る。従って、被験体由来の1つ以上の選択された生物マーカーの発現レベルを、コントロール被験体(例えば、参照標準)における同じ生物マーカーの発現レベルと比較することによって、神経変性疾患について被験体を診断し得る。
生物マーカーの発現レベルまたは活性レベルにおける差異または類似性は、サンプル中の1つ以上の選択された生物マーカーのレベルと、参照標準中の1つ以上の選択された生物マーカーのレベルとの間の任意の定量的または定性的な比較分析によって決定され得る。例えば、コントロール被験体が特定の神経変性疾患に罹っている場合、開示される方法を使用する場合に被験体における生物マーカーのレベルとコントロール被験体における生物マーカーのレベルとの間の類似性は、診断されるべき被験体もまた特定の神経変性疾患を有することを示し得る。別の例において、コントロール被験体が特定の神経変性疾患に罹っている場合、開示される方法を使用する場合に被験体における生物マーカーのレベルと、コントロール被験体における生物マーカーのレベルとの間の差異は、診断されべき被験体が特定の神経変性疾患に罹っていないことを示し得る。あるいは、コントロール被験体が特定の神経変性疾患にかかっていない場合、この例において、被験体における生物マーカーのレベルとコントロール被験体の生物マーカーのレベルとの間の差異は、診断されるべき被験体が特定の神経変性疾患に罹っている示し得る。なお別の例において、コントロール被験体が特定の神経変性疾患に罹っていない場合、この例において、被験体における生物マーカーのレベルとコントロール被験体における生物マーカーとの間の類似性は、診断されるべき被験体が特定の神経変性疾患に罹っていないことを示し得る。
さらなる例において、選択された遺伝子産物が神経変性疾患(例えば、パーキンソン病またはアルツハイマー病)に関して診断される被験体における遺伝子産物の生物マーカーの発現増加または活性増加を検出することによる生物マーカーとして同定される場合、被験体由来のサンプル中の生物マーカーの(参照標準と比較した)発現増加は、その被験体が神経変性疾患に罹っていることを示し得る。一方、1つ以上の選択された遺伝子産物が、神経変性疾患に関して診断される被験体における遺伝子産物の発現低下または活性低下を検出することによる生物マーカーとして同定される場合、被験体由来のサンプル中のそのタンパク質の(参照標準と比較した)発現低下は、その被験体が神経変性疾患に罹っていることを示し得る。
なおさらに、生物マーカーの組み合わせが、開示される方法において使用され得る。例えば、参照標準に対して1つ以上の生物マーカーが増加し得、他の生物マーカーは低下し得、これによって神経変性疾患の存在または不在を示し得る。
(1.発現レベルの評価)
(a)サンプルの収集)
注記したように、本明細書中に開示される方法は、代表的に、被験体からサンプルを収集する工程を包含する。このサンプルは、被験体の末梢血のものであり得るが、他のサンプルの使用も企図される。血液サンプルは、細胞の単離および続くこれらの細胞からの遺伝子産物の単離を可能とする任意の方法で収集され得る。例えば、血液はシリンジを介して収集され得、次いで4℃で保管され得る。血液サンプルは、ヘパリン、EDTAもしくはADC(黄色チューブ)または任意の他の抗凝固剤を含む(しかしこれらに限定されない)真空管に収集され得る。血液を収集および保存する別の方法は、PAXgeneTMBlood RNAチューブの使用を介して達成され得る。このことは、室温で5日まで全血の安定化および保存を可能にする。真核生物のmRNAの安定性を増強する任意の他の化合物または化学薬品の使用もまたこの手順と共に使用され得る。1つの特定の例において、ペレットは、200μLの緩衝液(20mM Tris(pH7.5)、0.5% Nonidet、1mM EDTA、1mM PMSF、0.1M NaCl、1×Sigma Protease Inhibitor、ならびに1×Sigma Protease Inhibitor1および1×Sigma Protease Inhibitor2)中で4℃にてボルテックスにかけることによって再懸濁され得る。この懸濁物は、ボルテックスを一時中断して20分間氷上に保たれ得る。4℃において5分間15,000×gにて遠心分離した後、上清のアリコートが−70℃で保存され得る。他の型のサンプル(例えば、尿、CSF、組織など)の収集は、当該分野で公知の方法によって実施され得る。
(b)細胞の収集)
代表的に、サンプルが一旦収集されると、そのサンプル中に含まれる種々の細胞が分離され得る。例えば、特定の実施形態において、サンプル中に含まれる白血球集団において遺伝子または遺伝子セットの発現パターンがアッセイされる。種々の細胞は、それら細胞から遺伝子産物が収集され得るようにそれらが最終的に維持される限り、任意の方法で単離され得る。例えば、白血球を単離する1つの方法は、例えば、その血液サンプル中に含まれる赤血球を溶解し、次いで残存する白血球を遠心分離によって収集することである。このアッセイは、白血球の部分集合(例えば、リンパ球およびそのサブクラス、単球、ならびに他の型の血液細胞)に適用され得る。さらに、非血液細胞がアッセイされ得る(例えば、皮膚、頬の擦過物、筋肉、嗅覚上皮、消化系、泌尿器系、および生殖器系由来の細胞)。溶解は任意の方法で(例えば、塩化アンモニウムの使用を介してかまたは市販の試薬(例えば、IMMUNOLYSETMおよびOPTILYSETM(Coulter International Corporation;Miami,FL))を使用するRNAseの無い条件において)起こり得る。あるいは、HISTOPAQUETM(Sigma;Milwaukee,WI)を、Ficollと共にまたはこれなしで使用して、抗凝血化血液を遠心分離し、赤血球から白血球を分離し得る。この目的を達成するための別の方法は、抗凝血化血液を室温で1〜2時間沈殿させて、白血球画分を収集する方法である。溶解の別の例としては、抗凝血化血液を5分間150g〜200gにて遠心分離する工程;次いでバフィーコートを除去する工程、が挙げられる。溶解のための類似の方法は当該分野で公知であり、これもまた使用され得る。
白血球はまた、例えば、セルソーティングのための白血球特異的マーカーを使用して収集され得る。一般的な白血球集団は、サブタイプ(例えば、B細胞、T細胞、好塩基球、好酸球、好中球、単球、および血小板ならびにこれらの一般的な分類のサブタイプ)にソーティングされ得る。マーカーとしては、MHC糖タンパク質、インテグリン、ホーミング(homing)レセプター、Fcレセプター(IgG、IgE、IgM、IgAおよびIgDに対するもの)、補体レセプター(リンホカイン、インターフェロン、コロニー刺激因子に対するもの)、インスリンに対するレセプター、神経伝達物質に対するレセプター、走化性レセプター、膜酵素、および輸送タンパク質が挙げられるが、これらに限定されない。これらは、例えば、170種を超えるCD抗原を認識する抗体によってソーティングされ得る。
代表的に、細胞(例えば、白血球)が収集されると、その白血球自体が溶解されて核酸および/またはタンパク質を収集する。これらの細胞は、任意の方法で溶解され得る。白血球の核酸はまた、4M グアニジウムイソシアネート溶解および塩化セシウム超遠心分離を使用して、または4M グアニジンチオシアネート/25mM クエン酸ナトリウム/0.5% サルコシル/0.1M β−メルカプトエタノールを使用して白血球を溶解し、次いで2M NaOAcを添加し、その後遠心分離工程およびイソプロパノール沈殿を使用して、収集され得る。さらに、核酸は、ヒドロキシアパタイトを使用して収集され得るか、または核酸は正に荷電した磁気ビーズを使用して収集され得る。核酸はまた、例えば、沈殿され得る。全RNAはまた、TRIZOLTM試薬(Gibco Life Technologies,Inc.;Rockville,MD)を使用して得られ得る。この試薬は、フェノールおよびグアニジンイソシアネートの単相の溶液である。細胞を破壊して細胞成分を溶解する間にRNAの完全性を維持する任意の他の試薬もまた使用され得る。白血球のタンパク質およびペプチドはまた、「クラック緩衝液」(50mM Tris−HCl(pH6.8)、100mM DTT、100μg/ml PMSF、2% ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、10% グリセロール、各1μg/mlのペプスタチンA、ロイペプチン、アプロチニン、および1M オルトバナジン酸ナトリウム)中で細胞を溶解し、そして22ゲージの針を用いて剪断することによって収集され得る。サンプルのタンパク質含量は、DCタンパク質アッセイ(BioRad)を使用して見積もられ得る。タンパク質(10μg〜20μg)は、10%SDSでのドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動を使用して分離され得る。
代表的に、総遺伝子産物(例えば、生物マーカー)は、最初に単離または収集される。このことは、核酸および/またはタンパク質を収集するための任意の手段を使用して行われ得る。これらの遺伝子産物が一旦収集されると、これらは洗浄され得、そして例えばアフィニティー系のうちの1つの型(例えば、磁気ビーズ)に対して結合され得る場合、溶出され得る。遺伝子産物を収集する工程は代表的に、サンプル中のmRNAおよび/またはタンパク質を獲得するために行われ、そして遺伝子産物の直接的収集が使用される場合には必要とされない。しかしながら、これらの遺伝子産物は、遺伝子発現の分析を可能にする任意の方法で調製され得る。
(c)RNAの調製)
いくつかの例において、開示される方法は、いくつかのレベルのRNA調製物を含む。RNA調製工程は、連続的な方法の一部として行われることを必要とはされないが、特定の方法において、このRNAはハイブリダイズされ得るように調製されるべきである。他の方法において、RNAを使用してcDNAを生成し得、次いでこのcDNAは、例えばPCR反応のための鋳型として使用され得るか、または例えばプローブのハイブリダイゼーションを介して直接的に分析され得る。理論上、RNA調製工程は実際の増幅工程および定量工程からは大きく離されて(例えば、別の研究室でか、またはずっと早い時間に)実施され得るが、多くの実施形態において、RNAの単離および調製、またはDNAの増幅などは、この方法のうちの増幅工程および定量工程(例えば、PCRまたはハイブリダイゼーション)と同時であり得るが、このことは必要ではない。
RNA調製工程が開示される方法に含まれる場合、RNA調製の方法は、酵素操作可能なmRNAまたは酵素分析可能なRNAを生成する、任意のRNA調製方法であり得る。例えば、RNAは、グアニジウムイソチオシアネート−超遠心分離方法、グアニジウムおよびフェノール−クロロホルム方法、塩化リチウム−SDS−尿素方法、またはオリゴ(dT)セルロース方法を使用する組織溶解物からのポリA+/mRNAを使用することによって、単離され得る。RNAを単離する場合に十分なRNAが単離されることが重要である。さらに、代表的に、得られたRNAの量が決定され得る。例えば、代表的に少なくとも0.01ngまたは0.5ngまたは1ngまたは10ngまたは100ngまたは1,000ngまたは10,000ngまたは100,000ngのRNAが単離され得る。本明細書中で考察されるように、多変量定量的PCRの増幅の間、この増幅が停止される場合に各々の標的産物の増幅が依然として約80%、または85%または90%または95%の倍化率であり続けることが重要である。PCRのサイクル数は概ねその倍化率のままであり続けるように実施され、このPCRサイクル数はcDNA生成工程において使用された総RNA量に関係する。
RNAは、任意の所望の細胞または細胞型から、そして任意の器官から単離され得る(哺乳動物、例えばマウス、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ、サル、およびヒト、ならびに非哺乳動物、例えば魚および両生類、ならびに植物、さらには細菌のような原核細胞が挙げられる)。
(d)RNA発現分析)
細胞または細胞型(例えば、白血球)が一旦収集されると、それらの細胞内に含まれる発現されたメッセンジャーRNAがアッセイされ得る。このことは、任意の多くの手段(例えば、ハイブリダイゼーション、ノーザンブロット、RT−PCR、実時間RT−PCR、1チャネル定量的多重RT−PCR、オリゴアレイおよび/もしくはcDNAアレイ、またはヌクレオチドの定量を導き得る任意の技術)を使用して行われ得る。このようなアプローチの例は、DNAチップ技術の使用に基づく自動化装置から誘導され得、この例は、Integrated Nano−Technology LLC,http://www.integratednano.com/に見出され得る。例えば、総mRNAをアッセイする1つの方法は、細胞内に含まれる全ての核酸を、例えば細胞を溶解して核酸を沈殿することによって、収集することである。メッセンジャーRNAは、任意の方法(例えば、ポリTオリゴヌクレオチド(これはメッセンジャーRNA転写物上に含まれるポリAテールと特異的にハイブリダイズする)を使用すること)で収集され得る。しかしながら、この方法は3’−ポリAテールの存在に依存するが、特定の条件下において、このテールは分解され得る。従って、全メッセンジャーRNA(フラグメントを含む)を直接分析する別の方法は、メッセンジャー特異的プライマーを逆転写酵素と共に使用してcDNAを作製することであり得る。次いで、このcDNAは、直接的にアッセイされ得るか、または例えば、本明細書中に考察される定量的PCRを使用して増幅およびアッセイされ得る。最終的な目的は、遺伝子発現の分析であり、この分析は、遺伝子の発現を分析しそしてそれらの発現を比較する任意の方法において達成され得ることが理解される。直接的ハイブリダイゼーションまたはmRNA同定の他の手段、およびmRNAが操作されて例えばcDNAを形成する手段が考慮され、このcDNAは、例えば、ハイブリダイゼーションまたは他の同定を介して直接分析されるか、またはこのcDNA自体が増幅されて例えばPCR産物を生成し、この産物自体が例えばハイブリダイゼーションによって直接分析され得るか、またはそれ以外に同定もしくは操作され得ることが、理解される。遺伝子発現の同定の最終目的が実現される限り、これは本明細書中で企図される。
発現分析は、例えば、プローブのハイブリダイゼーションを介し得る。例えば、分析されるべき特定の遺伝子に対するプローブは、例えば、チップ上に備えられ得、そしてmRNAがそのチップへの結合について分析され得る。これらのチップは代表的にアレイ(例えば、マイクロアレイまたはマクロアレイ)といわれる。
((1)マイクロアレイ)
アレイはサンプルの順番の配置であり、塩基対のルールに基づき既知DNAサンプルと未知DNAサンプルとを適合するための媒体を提供する。代表的に、未知のものを同定するプロセスが自動化される。アレイ実験は、一般的なアッセイ系を利用し得る(例えば、マイクロプレートまたは標準的なブロッティング膜)そしてサンプルを配置するために手動でなされ得るかまたはロボット工学を利用し得る。一般的に、アレイはマイクロアレイまたはマクロアレイと記載され、この差異はサンプルスポットの寸法である。マクロアレイは、約300μm以上の寸法のサンプルスポットを備え、そして現行のゲルスキャナまたはブロットスキャナによって容易に画像化され得る。マイクロアレイにおけるサンプルスポットの寸法は300μm以下であり得るが、代表的に直径200μm未満であり得、そしてこれらのアレイは通常、1000個のスポットを備える。マイクロアレイは代表的に、特化されたロボット工学設備および/または画像化設備を必要とし、これら設備は一般的にマイクロアレイの各々固有の適用のために構成される。この技術を記載するために文献で使用されている用語としては、バイオチップ、DNAチップ、DNAマイクロアレイ、GENECHIPTM(Affymetrixの高密度オリゴヌクレオチドベースのDNAアレイ製品(Affymetrix,Inc.;Santa Clara,CA))および遺伝子アレイが挙げられるが、これらに限定されない。
DNAマクロアレイは、代表的に、一般的にはガラス基材上またはナイロン基材上に高速ロボット工学によって製造され、このアレイに対して既知の同一性を有するプローブを使用して相補的結合を測定し、これによって大量に並列の遺伝子発現研究および遺伝子発見研究を可能にする。1つのDNAチップを用いた実験は、同時に数千種の遺伝子についての情報を提供し得る。開示されるマイクロアレイは、任意の目的(遺伝子発現のモニタリング、疾病の診断、遺伝子発見、薬物発見(薬理ゲノム学)、および毒性学的研究または毒性ゲノム学(toxicogenomics)が挙げられる)のために使用され得ることが、本明細書中に企図される。
既知の同一性を有するアレイ化されたDNA配列の特性という点で、DNAマクロアレイ技術の2つの変法がある。I型アレイとII型アレイとの間の主要な差異は、I型アレイにおいては代表的に1つの配列または関連する配列のセット(例えば、対立遺伝子配列のセット)が存在し、II型アレイにおいてはその表面上に結合された多くの異なる配列が存在する。
I型マイクロアレイはプローブを備え、代表的にはcDNA(500〜5,000塩基長)であり、これは、ガラスのような固体表面にロボットのスポット付けを使用して固定され、そして個別にかまたは混合物においてのいずれかで標的のセットに曝される。この方法は伝統的に、DNAマイクロアレイといわれる。I型マイクロアレイを用いて、位置決めされた複数コピーの1種以上のポリヌクレオチド配列、好ましくは数コピーの1種のポリヌクレオチド配列が、基材表面の複数の規定領域上に固定される。ポリヌクレオチドは、代表的に5ヌクレオチド〜10,000ヌクレオチドの範囲のヌクレオチドの鎖をいう。これらの固定された数コピーのポリヌクレオチド配列は、ハイブリダイゼーション実験においてプローブとしての使用に適切である。次いで、固定された配列は、多くの異なるサンプル(代表的には、チップの異なる領域)とプローブ付けされ、その結果、固定されたサンプルにハイブリダイズするヌクレオチドを含むサンプルが同定され得る。
固定されたプローブでコーティングされたビーズを調製するため、ビーズは所望のプローブを含む溶液中に浸漬され、次いで共有結合手段または非共有結合手段によってビーズ上に固定される。あるいは、プローブがロッド上に固定される場合、所定のプローブはロッドの規定の領域にスポットされ得る。代表的なディスペンサーは、基材に対してマイクロピペットの位置を制御するためのロボット工学系を用いて基材に溶液を送達する、マイクロピペットを備える。試薬が同時に反応領域に送達されるように、多数のディスペンサーが存在し得る。1つの実施形態において、マイクロアレイは圧電作用に基づくインクジェット技術を使用することによって形成され、これによって目的の液体(例えば、オリゴヌクレオチド合成試薬)を収容する細いチューブがアダプタにより取り囲まれる。アダプタを横切って送られる電位変化は、このアダプタがチューブよりも異なる率で拡大して基材上に液体の小さな液滴に力を加えることを引き起こす(Baldeschweilerら、PCT公開WO95/251116を参照のこと)。
サンプルは、目的のポリヌクレオチド(ポリヌクレオチド標的)を含む任意のサンプルであり得、そして任意の体液(例えば、血液、尿、唾液、粘液、胃液など)、培養細胞、生検材料、または他の組織調製物から得られ得る。DNAまたはRNAは、当業者に周知の多くの方法のうちの任意の方法に従って、サンプルから単離され得る。例えば、核酸の精製方法は、Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology:Hybridization with Nucleic Acid Probes.PartI.Theory and Nucleic Acid Preparation,P.Tijssen編 Elsevier(1993)に記載される。1つの実施形態において、総RNAはTRIZOLTM総RNA単離試薬(Gibco Life Technologies,Inc.,Rockville,MD)を使用して単離され、そしてmRNAはオリゴd(T)カラムクロマトグラフィーまたはガラスビーズを使用して単離される。ハイブリダイゼーションおよびプロセッシングの後、得られたハイブリダイゼーションシグナルは、サンプルに添加されたコントロールの標的ポリヌクレオチドの正確な量を反映するはずである。
基材上の複数の規定の領域(固定されたポリヌクレオチド)は、種々の形式で配列され得る。例えば、これらの領域は、枠の長さに垂直または平行に配列され得る。さらに、標的はその基材に直接結合される必要はなく、むしろリンカー基を介してその基材に結合されてもよい。リンカー基は、代表的に、約6原子〜50原子の長さまで変動し得る。適切なリンカー基としては、エチレングリコールオリゴマー、ジアミン、二価酸などが挙げられる。基材表面上の反応基は、リンカーの一方の末端部分と反応してリンカーを基材に結合させる。次いで、リンカーの他方の末端がプローブに結合するために機能化される。
サンプルのポリヌクレオチドは、1つ以上の標識部分により標識されて、ハイブリダイズしたプローブ/標的ポリヌクレオチド複合体の検出を可能にし得る。この標識部分は、分光学的手段、光化学的手段、生化学的手段、生物電子工学的手段、免疫化学的手段、電気的手段、光学的手段、または化学的手段により検出され得る組成物を含み得る。標識部分としては、放射性同位体(例えば、32P、33Pまたは35S)、化学発光化合物、標識化結合性タンパク質、重金属原子、分光学的マーカー(例えば、蛍光マーカーおよび色素)、磁気標識、連結化酵素、質量分析タグ、スピン標識、電子輸送のドナーおよびアクセプター、ビオチンなどが挙げられる。
標識化は、増幅反応(例えば、ポリメラーゼ連鎖反応およびインビトロ転写反応およびインビボ転写反応)の間に実行され得る。あるいは、標識部分は、プローブ−標的複合体が一旦形成される場合のハイブリダイゼーション後に組み込まれ得る。好ましい1実施形態において、ビオチンは、上記のように、増幅工程の間に最初に組み込まれる。ハイブリダイゼーション反応後、未結合の核酸はリンス除去されて、その結果、基材に結合したまま残るビオチンのみが、ポリヌクレオチドプローブにハイブリダイズされた標的ポリヌクレオチドに結合したものである。次いで、ビオチンに高い親和性で結合するアビジン結合体化フルオロフォア(例えば、アビジン−フィコエリトリン)が添加される。
ハイブリダイゼーションは、ポリヌクレオチドプローブと相補的な標的とが塩基対合を介して安定な二重鎖を形成することを引き起こす。ハイブリダイゼーション方法は当業者に周知であり、そしてハイブリダイゼーションについてストリンジェントな条件は、本明細書中で考察されるように、塩濃度、温度ならびに他の化学薬品および条件によって規定され得る。さらなるパラメータ(例えば、ハイブリダイゼーションの時間、界面活性剤(ドデシル硫酸ナトリウム(SDS))または溶媒(ホルムアミド)の濃度、およびキャリアDNAの組み込みまたは除外)を変化させることは、当業者に周知である。これらの条件についてのさらなる変化は、当業者にすぐに明らかである(Wahl GMおよびBerger SL,Methods Enzymol.,1987;152:399−407;Kimmel AR,Methods Enzymol.,1987;152:507−511;Ausubel FMら,Short Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,New York,N.Y.,1997;ならびにSambrook Jら,Molecular Cloning,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Press,Plainview,N.Y.,1989)。
複合体の形成を検出するための方法は、当業者に周知である。1つの例において、ポリヌクレオチドプローブは蛍光標識により標識化されて、複合体生成のレベルおよび様式の測定が蛍光顕微鏡(例えば、共焦点蛍光顕微鏡)によって達成される。アルゴンイオンレーザーは蛍光標識を励起し、光電子増倍管へと放射が指向され、そして放射光の量が決定され定量化される。この検出されるシグナルは、マイクロアレイの各々の位置におけるプローブ/標的ポリヌクレオチドの量に比例するはずである。蛍光顕微鏡は、コンピューター駆動されるスキャナデバイスと組み合わせて、ハイブリダイゼーション強度の定量的二次元画像を作成し得る。スキャンされた画像を検査して、ハイブリダイズした標的ポリヌクレオチド各々の量/発現レベルを決定する。
示差的ハイブリダイゼーション実験において、2つ以上の異なる生物学的サンプル由来のポリヌクレオチド標的は、異なる放射波長を有する2つ以上の異なる蛍光標識により標識化される。傾向シグナルは、特定の波長を検出するための異なる光電子増倍管の組により別々に検出される。2つ以上のサンプル中の標的ポリヌクレオチドの相対量/相対発現レベルが得られる。代表的に、1つより多くのマイクロアレイが同じ試験条件下で使用される場合、マイクロアレイの蛍光強度を正規化して、ハイブリダイゼーション強度の変化量を検討し得る。1つの例において、個々のポリヌクレオチドのプローブ/標的複合体のハイブリダイゼーション強度は、各々のマイクロアレイ上に備えられる内部の正規化コントロール由来の強度を使用して正規化される。
II型マイクロアレイは、オリゴヌクレオチド(例えば、約20マー〜約80マーのオリゴ)、またはペプチド核酸(PNA)プローブのアレイを備え、このアレイはインサイチュ(チップ上)または従来の合成によって合成され、その後チップ上に固定化される。アレイは、標識されたサンプルDNAに曝され、ハイブリダイズされ、そして相補的配列の同一性/量が決定される。この方法は、Affymetrix,Inc.,(Santa Clara,CA)にて開発され、この企業は、DNAチップと「伝統的に」称され、GENECHIPの商標の下で写真平板術により製造された製品を販売する。
遺伝子発現に対するII型アレイの使用の裏にある基本的概念は単純である:実験サンプルのmRNA由来の標識されたcDNAまたはcRNAは、固体支持体に結合された核酸プローブにハイブリダイズする。各々のDNA位置と関連した量をモニタリングすることによって、示される各々のmRNA種の量を推測することが可能である。ハイブリダイゼーションは核酸を検出および定量するために10年間使用されてきたが、この技術の縮小化と拡大との組み合わせ、ならびに配列情報量を増加することは、遺伝子発現が研究される規模を大いに広げた。
マイクロアレイを製造することは、5インチ平方の石英ウエハを用いて開始し得る。最初に、石英は洗浄されてその表面全体に均一なヒドロキシル化を確立する。石英は天然で水和されるので、化学薬品(例えば、リンカー分子)の結合にこれは素晴らしい基材を提供し、この化学薬品は後でアレイ上でプローブを配置するために使用される。
このウエハはシランのバスに入れられ、これは石英のヒドロキシル基と反応して、共有結合した分子のマトリクスを形成する。これらシラン分子の間の距離はプローブのパッケージング密度を決定し、アレイに500,000を超えるプローブ位置または特徴をわずか1.28平方センチメートル以内に保持させる。これらの特徴の各々は、数百万の同一のDNA分子を係留する。シランフィルムは均一なヒドロキシル密度を提供してプローブの組立を開始する。リンカー分子は、シランマトリクスに結合され、光によって空間的に活性化され得る表面を提供する。
プローブの合成は並行して起こり、結果としてA、C、TおよびGのヌクレオチドを付加して鎖を同時に多重増幅する。オリゴヌクレオチド鎖が各々の工程においてヌクレオチドを受容することを規定するため、個々の特徴の寸法に対応する18〜20平方μmのウインドウを有するフォトリソグラフィーマスクが、コーティングされるウェハ上に置かれる。このウインドウは各々のプローブの所望の配列に基づいてマスク上に分散される。合成の第一工程においてマスク上に紫外線が照らされ、曝されたリンカーは脱保護されてヌクレオチドのカップリングに利用可能になる。
所望の特徴が一旦活性化された場合、除去可能な保護基を有する1つの型のデオキシヌクレオチドは、ウェハ表面上でフラッシング(flush)される。ヌクレオチドは、活性化されたリンカーに結合し、合成プロセスを開始する。
オリゴヌクレオチドの配列における各々の位置は、4種のヌクレオチドのうちの1種に占められ得、結果としてウェハあたり25×4(すなわち100)の異なるマスクを明らかに必要とするが、合成プロセスはこの必要性を有意に低減するように設計され得る。マスクの使用を最小にするのを助けるアルゴリズムは、同じマスクが複数回使用され得る場合、個々のプローブの合成速度を調節して状況を確認することによって、プローブの成長を最適に調和させる方法を計算する。
選択および設計の重要な要素のいくつかは、意図される用途に関係なく、全てのマイクロアレイの製造に共通である。プローブのハイブリダイゼーションを最適化するストラテジーは、例えば、プローブ選択のプロセスにおいて一定に含まれる。特定のpH条件、塩条件および温度条件の下でのハイブリダイゼーションは、融解温度を考慮し、そして所望のハイブリダイゼーション挙動と相関する経験則を使用することによって、最適化され得る。
遺伝子活性の完全な像(picture)を得るため、いくつかのプローブは複数のスプライシング改変体またはポリアデニル化改変体により共有される領域から選択される。他の場合、改変体間を区別する固有のプローブが好ましい。プローブ間の距離はまた、選択プロセスに算入される(factor)。
ストラテジーの異なる組を使用して、複数のプローブを基にするアレイを遺伝子型決定するためのプローブを選択して、配列中の個々のヌクレオチドを問い合わせる。標的塩基の同一性は、標的位置においてのみ変化する4つの同一のプローブ(各々が4つの可能性ある塩基のうちの1つを含む)を使用して推測され得る。
あるいは、コンセンサス配列の存在が、特異的対立遺伝子を表す1種または2種のプローブを使用して試験され得る。ヘテロ接合性に混合したサンプルまたは遺伝的に混合したサンプルを遺伝子型決定するため、多くのプローブを有するアレイが作製されて冗長な情報を提供し得、結果として不明瞭な遺伝子型決定を生じる。さらに、包括的なプローブをいくつかの適用において使用して、自由度を最大にし得る。例えば、いくつかのプローブアレイは、複数の混合物(例えば、いくつかのプロトコルにおいて使用されて一ヌクレオチド多形(SNP)を同定し得る混合物)からの個々の反応産物の分離および分析を可能する。
特定の例において、その発現がサンプル(例えば、末梢血)中で特定の神経変性疾患(例えば、アルツハイマー病またはパーキンソン病)の診断に関係する開示される遺伝子または遺伝子セットは、マイクロアレイに結合され得る。特定の実施形態において、例えば、チップはセクションに分けられ得、そのセクションの各々は、診断セットにおける遺伝子のうちの1つに対する種々の領域および対立遺伝子を備え、そしてそのチップの別の領域はその診断セットにおける遺伝子のうちの別のものに対する種々の領域および対立遺伝子を備え得る。なお別の例において、チップの各々の領域は、そのセットにおける全ての遺伝子の全ての対立遺伝子および領域を備え得る。この型の例について多くの変形が存在し、これらは、開示される神経変性疾患の診断用遺伝子の全てまたは任意の部分集合についての全ての対立遺伝子および領域を備え、そしてこれらの開示される遺伝子の任意の領域(3塩基から全長の配列)は、固定化のためのプローブ領域として使用され得ることが理解される。さらに任意の対立遺伝子または変異体もまた使用され得る。
((2)多価の1チャネル定量的RT−PCR)
発現レベルをアッセイするための1つの特定の有用な手段は、多変量単一チャネルの定量的RT−PCRの使用を介する。これらの方法は、2001年11月30日に出願された米国特許出願第60/336,095号、2002年7月19日に出願された同第60/397,475号、2002年12月2日に出願された同第10/496,626号、2001年3月12日に出願された第60/275,229号、および2002年3月12日に出願された米国特許出願第10/096,710号において開示され、これらは、多変量単一チャネルの定量的RT−PCRに関する方法および組成物に関する少なくとも材料について、本明細書中で参考として援用される。簡潔に述べると、複数の遺伝子の発現を同時に解析するために、PCRベースの抗スループット方法を利用する。この方法は、微小量の出発材料を使用し得、そして例えば1つのみの標的が利用可能である場合、有効性について単一コピーレベル(例えば、単一の標的細胞由来の1コピーの転写物)に達し得る。例えば、4被験体に対して3連にて20の転写物の分析のため、被験体あたり1μg未満の総RNAが必要とされる。開示される方法は、複数の遺伝子を同時に分析し得る。開示される方法は、単一のシグナル試薬(例えば、蛍光プローブ)を使用して複数の遺伝子を定量化し得る。
一般的に、本方法は、1つの細胞程度を含み得るサンプル中の多くの異なる遺伝子の発現についての定量的情報を得るのに有用である。開示される方法は定量的であるので、種々の異なる細胞状態または細胞型の間の定量レベルにおける発現パターンの比較が達成され得る。一般的に、総RNAは、任意の単離手順を使用して標的サンプルから単離され得る。次いで、このRNAを使用して、任意の手順(例えば、ランダムプライマー、オリゴ−dt−プライマー、またはランダムオリゴ−dt−プライマーを使用することであり、これらのプライマーは、特定の配列の短いストレッチの3’末端に繋がって、可能性ある組み合わせ全てを変換して、これによりこのプライマーはメッセンジャーRNA(mRNA)と結合するポリA区域および非ポリA区域の間に連結してプライムする)を使用して第一の鎖コピーDNA(cDNA)を生成し得る。次いで、このcDNAはPCR反応における鋳型として使用される。このPCR反応は、発現される遺伝子に対して特異的であるプライマーセット(順方向プライマーおよび逆方法プライマー)を用いて実施され、これらプライマーセットが追跡され得る。この反応は、所望されるだけ多くの異なるプライマーセットを含み得るが、代表的に、5〜100の間の異なるプライマーセットを含み、この各々は単一遺伝子または単一アイソフォーム(5〜100の間の任意の特定の数が挙げられる)に特異的である。代表的に、全てのプライマーはおよそ等モル濃度である。複数回のPCRサイクル(例えば、15サイクルであり、DNAは依然として約80%超または約85%超または約90%超または約95%超の倍化率で増幅している)を実施した後、このPCRが停止される。代表的に、PCRの第一ラウンドにおいて、定量的PCR(実時間PCR)が実施される場合、増幅の閾値サイクルまでは到達されない。しかしながら、閾値サイクルの後、約9サイクル未満、約8サイクル未満、約7サイクル未満、約6サイクル未満、約5サイクル未満、約4サイクル未満、約3サイクル未満、約2サイクル未満、約1サイクル未満の間に増幅が進行する場合、特定の実施形態における開示される方法は、依然として機能する。第一ラウンドのサイクル数は、出発材料の量に依存する。例えば、1つの細胞実験のために20サイクルが使用され得る。次いで、PCR反応は、(新規の)第二ラウンドのために新規の反応チューブに分配される。各々の反応チューブは、第一のPCR混合物中に存在する特定のプライマー全てから生成される全ての産物を含む、先のPCR反応混合物の1分画を収容する。第二のPCR混合物中に、第一のPCR混合物の画分を含み、代表的には、分子ビーコンを結合されるユニバーサルプライマーに加えて、1セットの特定のプライマーまたは1セットの新規プライマーが添加され、そしてPCRが実施される。代表的に、この第二ラウンドのPCRは、定量的実時間PCRプロトコルを使用して実施され、これらプロトコルは例えば、ユニプライマー(ユニバーサルプライマー)がDNA配列に結合する間のクエンチャー配列からの蛍光の放出(例えば、増幅プローブのうちの1部分にハイブリダイズするプローブ)を介して、各PCRサイクルにおける蛍光の増加に依存する。実時間PCRにおいて使用される蛍光アプローチは、代表的に、蛍光レポーター色素(例えば、SYBRグリーン、FAM、フルオレセイン、HEX、TET、TAMRAなど)およびクエンチャー(例えば、DABSYL、Black Holeなど)に基づく。PCRの伸長期の間にクエンチャーがプローブから離れる場合、レポーターの蛍光が測定され得る。Molecular Beacon、Taqman Probe、Scorpion PrimerまたはSunrise Primerなどのようなシステムは、このアプローチを使用して実時間PCRを実施する。実時間プローブに関する方法および試薬の例は、米国特許第5,925,517号;同6,103,476号;同6,150,097号および同6,037,130号に開示され、れらは、核酸の検出方法およびPCR方法に関する少なくとも材料について、本明細書中で参考として援用される。上記の工程を実施することに加え、プライマーセットについての標準曲線および代表的に各々個別のプライマーセットについての標準曲線の作成は、第二ラウンドのPCRから得られたデータが標的サンプル(例えば、これは標的細胞を含む)中の元の出発材料の絶対的なコピー数と正確に相関し得るようになされるべきである。一般的な方法のこれら工程の各々ならびに試薬および方法の変法は、本明細書中に詳細に考察される。開示される方法を理解するための重要な局面は、バッチのPCR混合物中に複数の異なるプライマーセットを含む第一のPCRの組み合わせであり、ここで全ての標的遺伝子産物または遺伝子産物のフラグメントが第二のPCRパネルを用いて増幅され、ここでバッチPCR混合物の一部は特定のプライマーセットを用いて増幅される特異的な増幅反応が起こる。定量は、代表的に、完全なプライマーセットまたは各々個別のプライマーセットについて作成されてる標準曲線を参照して達成される。
(e)タンパク質の調製)
いくつかの例において、開示される方法は、いくらかのレベルのタンパク質調製物またはペプチド調製物を含み得る。このタンパク質またはペプチドの調製工程は、一部の連続した方法として実施される必要はなく、特定の方法においてこのタンパク質またはペプチドは、例えば、本明細書中に開示されるように、それが分析され得るように調製されるべきである。この理論において、タンパク質またはペプチドの調製工程は、実際の分析工程から距離をおいて(例えば、別の研究室において、またはずっと早い時間において)離れて実施され得る。多くの実施形態において、タンパク質またはペプチドの分離および調整(例えば、電気泳動)は、この方法の定量工程と組み合わせて起こるが、このことは必須ではない。
タンパク質またはペプチドの調製工程が開示される方法に包含される場合、タンパク質またはペプチドの調製方法は、分析可能なペプチドを生成する、タンパク質またはペプチドの任意の調製方法であり得る。例えば、サンプル細胞は、「クラック緩衝液」(50mM Tris−HCl(pH6.8)、100mM DTT、100μg/ml PMSF、2% SDS、10% グリセロール、各1μg/mlのペプスタチンA、ロイペプチンおよびアプロチニン、ならびに1m オルトバナジン酸ナトリウム)中で溶解され得、そして22ゲージの針を用いて剪断され得る。サンプルのタンパク質含量は、DCタンパク質アッセイ(BioRad)を使用して見積もられ得る。タンパク質(10μg〜20μg)が10% SDSでのドデシル硫酸ナトリウム−ポリヌクレオチドアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)を使用して分離され得る。代表的に、得られるタンパク質またはペプチドの量が決定され得る。
タンパク質またはペプチドは、任意の所望の細胞または細胞型(マウス、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ、サルおよびヒトのような哺乳動物、ならびに魚または両生類のような他の非哺乳動物、ならびに植物そして細菌のような原核細胞でさえも、挙げられる)、および任意の器官から単離され得る。
(f)タンパク質発現分析)
開示される方法の特定の実施形態において、1つ以上のタンパク質またはペプチドの発現レベルを評価することが実施され得る。タンパク質またはペプチドの発現レベルは、本明細書中に開示される核酸分析方法に加えて、または核酸分析の代替法として、評価され得る。サンプル中の1つ以上のタンパク質の発現レベルを評価することは、当該分野で公知の種々の技術によって実施され得る。例えば、発現レベルを評価することは、二次元電気泳動、質量分析(MS)、マトリクス支援レーザー脱離/イオン化−飛行時間型−MS(MALDI−TOF)、表面増強レーザー脱離イオン化−飛行時間型(SELDI−TOF)、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、高速タンパク質液体クロマトグラフィー(FPLC)、多次元液体クロマトグラフィー(LC)と引き続くタンデム質量分析(MS/MS)、タンパク質チップ発現分析、遺伝子チップ発現分析、およびレーザーデンシトメトリー(これらの技術の組み合わせを含む)によって、1つ以上のタンパク質を分析する工程を包含し得る。タンパク質発現レベルを分析するための技術の別の例において、特定のタンパク質をコードするmRNA量がアッセイされ得る。
いくつかの他の技術において、タンパク質に選択的に結合する抗体または他の因子を使用して、サンプル中に発現されるタンパク質の量を検出し得る。例えば、タンパク質の発現レベルは、ウエスタンブロット、免疫沈降、酵素結合免疫測定法(ELISA)、ジオイムノアッセイ(RIA)、および蛍光活性化細胞ソーティング(FACS)、またはそれらの組み合わせが挙げられる(しかしこれらに限定されない)方法を使用して測定され得る。また、抗体、アプタマー、またはタンパク質に特異的に結合する他のリガンドは、いわゆる「タンパク質チップ」(タンパク質マイクロアレイ)に固定化され得、そしてサンプル中のタンパク質の発現レベルを測定するための使用され得る。他の方法において、免疫蛍光技術を使用して、サンプル中のタンパク質の発現レベルを視覚的に評価し得る。免疫蛍光技術において、タンパク質に特異的に結合する抗体が視認されて、インタクトな白血球の細胞表面上および/または透化された白血球全体を通じたタンパク質の存在を間接的に検出する。
用語「抗体」が広範な意味で本明細書中で使用され、そしてポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体の両方が挙げられる。また、完全な免疫グロブリン分子に加え、用語「抗体」にはそれら免疫グロブリン分子のフラグメントまたはポリマー(重合体)、および免疫グロブリン分子のヒト化バージョンまたはそのフラグメントが挙げられる。モノクローナル抗体としては、所望のアンタゴニスト活性を示す限り、「キメラ」抗体およびそのような抗体のフラグメントが挙げられ、この抗体において、重鎖および/または軽鎖の一部が、特定の種由来の抗体中または特定の抗体のクラスもしくはサブクラスに属する抗体中の対応配列と同一であるか、またはその対応配列に相同であり、残りの鎖が、別の種由来の抗体中または別の抗体のクラスもしくはサブクラスに属する抗体中の対応配列と同一であるかまたはその対応配列に相同である(米国特許第4,816,567号およびMorrisonら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.1984;81:6851−6855を参照のこと)。
1実施形態において、αシヌクレインまたはその配座異性体に対する抗体を使用して、α−シヌクレインまたはその種々の配座異性体のレベルを同定し得る。具体的には、天然のαシヌクレインに対する抗体、ドーパミン付加されたα−シヌクレインに対する抗体およびオリゴマー性α−シヌクレインに対する抗体または凝集したα−シヌクレインに対する抗体が、使用され得る。これらの抗体ならびびこれらの調製および単離のための方法は、Federoffらに対する、2005年7月19日に出願された米国特許出願(表題「Alpha−Synclein and Methods Related Thereto」)に開示される。
タンパク質に選択的に結合する非抗体リガンドはまた、タンパク質の存在、非存在を検出するため、そして/またはタンパク質の発現を定量化するために使用され得る。例えば、リガンドは、(例えば、緑色蛍光タンパク質(GFP)のような蛍光分子に結合体化されて)蛍光標識され得るか、またはリガンドは、放射標識され得る。標識されたリガンドは、サンプルと接触され得、そしてタンパク質に対するリガンドの結合が評価され得る。サンプル中のタンパク質に結合する標識されたリガンドの量は、そのサンプル中に存在する特定のタンパク質の量の指標である。タンパク質が細胞表面分子である場合、タンパク質リガンドは、インタクトな細胞のサンプルに接触されて、その細胞表面においてそのタンパク質の発現レベルが検出され得る。あるいは、サンプル中の白血球の完全性は、細胞を透過処理するかまたは溶解し、次いで溶解された白血球サンプル中のタンパク質に結合する標識されたリガンドの量を評価することによって、解決され得る。
標識は、抗体または非抗体リガンドに、直接的または間接的に結合され得る。直接的に標識する工程は、例えば、抗体または非抗体リガンドに標識を直接結合する工程を包含する。間接的に標識する工程は、例えば、二次抗体もしくは三次抗体または非抗体リガンドに標識を結合する工程を包含する。
タンパク質の発現のレベルが遺伝子レベルで調節される場合において、そのタンパク質の発現レベルは、そのタンパク質をコードする遺伝子発現レベルを検出することによって間接的にモニタリングされ得る。使用され得る遺伝子発現を検出し、そして/または定量化するのに適した方法としては、ノーザンブロット、RNAse保護分析、逆転写−ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)、および遺伝子チップ(例えば、ヌクレオチド発現マイクロアレイ)技術が挙げられるが、これらに限定されない。
必要に応じて、複数のタンパク質の発現のレベルは、同時か、またはほぼ同時に決定され得る。例えば、二次元(2D)ゲル電気泳動は、サンプル中の数千ものタンパク質の発現レベルを、同時またはほぼ同時に評価するために使用され得る。(例えば、VietorおよびHuber、Biochim.Biophys.Acta.、1997;1359:187−99(これは、少なくともタンパク質発現のレベルを評価する方法の教示について本明細書中に参考として援用される)を参照のこと)。1つの局面において、開示される方法は、2Dゲル電気泳動を包含し得、ここで、タンパク質混合物が、例えば、白血球を溶解し、そしてこのタンパク質溶解物とサンプル緩衝液とを混合することによって、そのサンプルから調製される。このタンパク質混合物はゲルスラブ(gel slab)上にロードされ、二次元で電気泳動され、次いでこのゲルスラブは乾燥され得る。2D電気泳動による分解後、個々のタンパク質またはタンパク質の群の発現レベルが評価され得る。タンパク質レベルは、銀染色またはCoomassie染色によって評価され得る。サンプル中のタンパク質が標識される場合、標識量を測定する工程は、タンパク質の量を評価するために使用され得る。
((g)遺伝子産物 発現のレベルおよび正準変量)
標的遺伝子、特定の神経変性性疾患(例えば、パーキンソン病およびアルツハイマー病)に関連して本明細書中に開示される遺伝子、および特に、疾患を有する被験体のサンプル(例えば、血液)中の神経変性性疾患の存在に関連する遺伝子(すなわち、生物マーカー)の発現のレベルの検出は、本明細書中で開示されるような任意の方法において生じ得る。いくつかの例において、代表的に必要とされることは、核酸(例えば、転写物)の検出である。他の例において、代表的に必要とされることは、タンパク質の検出である。遺伝子産物の検出のための多くの手段(例えば、放射能または蛍光または本明細書中に開示されるような任意の他の方法)が存在する。任意の手段が使用され得る。
代表的に、収集される任意のデータは、細胞中の一般的な発現レベルに対して正規化され得る。これは、種々の方法(例えば、β−アクチン(これは全ての細胞中に存在する)発現の転写物に対して全ての転写物を比較すること)で行われ得る。正規化の他の方法は、任意の単一の遺伝子の発現以外のアプローチに基づき得る。定量的PCRに関して、アッセイされる各メッセージに対して標準曲線が得られるべきである。次いでこれらの標準曲線は、絶対的なコピー数を導くための基礎となる。内部コントロールとしては、β−アクチン、GAPDH、チューブリンなどが挙げられるが、これらに限定されず、または外部コントロールは、例えば、細胞質もしくは核のLacZ(非配偶子性(agamous))、または各ハイブリダイゼーション中にスパイクされた公知の標識されたcRNAであるが、これらに限定されない。バイオチップアプローチを使用することで、データの正規化はまた、アレイのバックグラウンド全体に対して目的のサンプルを加算平均することによって得られ得る。
ハイブリダイゼーションに関連した特定の実施例において、ストリップする工程および再プローブする工程が存在し得、これらの工程は、読みの特異性を上昇させる。例えば、サンプルは、T7プロモーターに対してストリップされ得、そして再プローブされ得る。
代表的に、一旦遺伝子産物または遺伝子産物のセットの発現パターンが得られると、その発現パターンは、分析されなければならない。代表的に、この分析は、遺伝子(単数または複数)間または遺伝子セット自体の間の相対的発現レベルの統計分析のいくつかの型、およびコントロールもしくは標準遺伝子(単数または複数)または遺伝子セットに対する比較を実施する工程を含む。分析のこのような方法は、本明細書中に開示される。
1つの例において、生物マーカー(例えば、核酸またはタンパク質遺伝子産物)の発現のレベルは、単変量(univariant)正準分析および/または多変量正準分析(multivariant canonical analysis)に供されて、第1および/または第2の正準変量をもたらし得る。単変量試験は、周知のT−検定またはN−検定であり得る。本明細書中で使用するのに適した1つのN−検定は、http://www.urmc.rochester.edu/smd/biostat/people/techreports.htmlのTechnical Report 04/01(これは、N−検定を介する統計分析の少なくとも教示について本明細書中に参考として援用される)に開示される。
多変量分析の多くの方法が存在する。これらの全てが適用され得る。1つの例において、多変量分析は、市販のソフトウェア、例えば、SAS Institute,Inc.(Cary,NC)より利用可能なSAS/STAT(登録商標)ソフトウェア)を使用して実施され得る。例えば、正準分析および主要成分分析が使用され得る。これらは共に、データ行列を分析する方法を取り扱う。代表的に、正準変数は、第一の正準変数および第二の正準変数からなる。多変量分析は、複数の試験インターフェースに対する必須の非パラメトリック試験であり得る。このような多変量統計試験は、正準判別分析に依存する。この分析は、群を最良に区別する変数(メッセージ)を決定し、かつ各々の変数に対して重みを割り当てる。第一の正準変数は、正準変数1によっては計算されないままである残差分散に対して作用する。さらなる逐次代入(反復)は、縮小効果を用いて可能である。
正準判別分析は、階級(クラス)変数からコード化される量的変数とダミー変数のセットとの間の正準の相関分析に等価である。以下の注釈において、ダミー変数はyと記され得、量的変数はxと記され得る。xとyの変数についての全サンプルの共分散行列は、以下である:
Figure 2008506415
cがグループ数である場合、nはグループtにおける観察数であり、Sはグループtにおけるx変数についてのサンプル共分散行列であり、x変数についてのクラス内にプールされる共分散は、以下である:
Figure 2008506415
正準相関pは、以下の行列の固有値λの平方根である。対応する固有値はvである。
pi −1/2xyyy −1yx −1/2
Vを固有ベクトルv(これは、列として0でない固有値に対応する)を有する行列にすると、未加工の(raw)正準係数は、以下のように計算される:
R=S −1/2V。
プールされたクラス内標準化した正準係数は、以下である:
P=diag(S1/2R。
そして全サンプルで標準化した正準係数は、以下である:
T=diag(Sxx1/2R。
これは、以下の任意によって計算され得る:

diag(S1/2
diag(Sxx1/2T。
−1Hに基づく多変数試験について、nは観察の全数である
E=(n−1)(Syy−Syxxx −1xy
H=(n−1)Syxxx −1xy
上記の多変量分析は、先に注記したように、市販のソフトウェア、例えば、SAS Institute,Inc.(Cary,NC)より利用可能なSAS/STAT(登録商標)ソフトウェア)を使用して実施され得る。本明細書中に開示される方法において、遺伝子産物セット由来の発現レベルがこのようなプログラムに入力され得る。この遺伝産物のセットは、遺伝子の任意のセットであり得、例えば、本明細書中に開示されるものである。いくつかの例において、遺伝子産物のあるセットは、コントロールサンプルまたはコントロール群に対応し得、そして遺伝子産物の別のセットは、疾患に罹っているサンプルまたはサンプル群に対応し得る。遺伝子産物のレベルは、絶対的または相対的な量または濃度として入力され得る。このレベルはまた、シグナル強度(例えば、遺伝子産物の放射線分析または蛍光分析)であり得る。注記したように、多変量分析の結果は、第一正準変数および/または第二正準変数であり得る。
多変量分析から生成したこの第一正準変数および/または第二正準変数は、本明細書中に開示されるように、生物マーカーに対する発現レベルの代わりに、または生物マーカーに対する発現レベルに加えて、開示される方法において使用され得る。すなわち、本明細書中に開示されるいくつかの方法において、被験体由来の1つ以上の生物マーカーの発現レベルを分析することから得られる第一正準変数および/または第二正準変数は、コントロール被験体またはコントロール被験体群由来の生物マーカーの発現レベルの多変量正準分析から得られる第一正準変数および/または第二正準変数を含む参照と比較され得る。
例えば、本明細書中に示されるように、多変量正準分析は、アルツハイマー病の診断として本明細書中で使用され得る。例えば、炎症関連遺伝子を使用する場合、正準変数1についてのコントロール変数の範囲は、約−0.5〜約−3.1の間であり得、ADについての範囲は約0〜約+4.4であり得る。細胞ストレスに関係する遺伝子に対して、正準変数1に対するコントロール値の範囲は約−4.8〜約−0.1であり得、ADについての範囲は約+0.1〜約+4.1であり得る。細胞周期/細胞死に関係する遺伝子に対して、正準変数1についてのコントロール値の範囲は約+2.6〜約−3.1であり得、そしてADについての範囲は約+3.0〜約−2.3であり得る。これらの3つのクラスの遺伝子産物の各々は、たとえ一部が重なり合うにせよ、Wald−Wolfowitzの実行テストにより統計上有意である程度にADとコントロールとの間で区別される。ADとコントロールとの間の重なり合いに関して、細胞周期/細胞死は最大を有し、炎症は1症例の重なり合いを有し、そして細胞ストレスは重なり合いを示さなかった。
多変量分析の結果は無論、特定の入力(例えば、特定の遺伝子産物、それら遺伝子産物の特定のレベル、および特定のサンプルセット)に依存することが注記される。従って、他の遺伝子の追加もしくは置き換え、または異なる疾患の使用は、正準変数の範囲を変化させ得る。このことは、図4と図5とを比較することによって例示され、ここで細胞ストレスに対する正準変数1は、コントロール中に2つのPD患者が含まれることに起因して、図5のものと異なる。正準変数1および/または正準変数2の特定の値における変動性にもかかわらず、当業者によって認識されるとおり、疾患の識別は依然として可能である(例えば、図5において例示されるとおり)。
(2.メッセージクラス)
開示される組成物および方法の中心において、神経変性疾患(例えば、パーキンソン病およびアルツハイマー病)と相関する特定のメッセージの解析がある。特定の実施形態において、これらのメッセージは1つのメッセージであり得るが、代表的に、複数クラスのメッセージおよび複数セットのメッセージが分析される。なぜなら、これらは、そのクラスまたはセット単独内に含まれる遺伝子のうちの任意の1つについての評価よりも正確な評価を提供するからである。表4は、分析され得る例示的な標的を示す。複数の遺伝子産物は、同時に解析されるのがmRNAにせよタンパク質にせよ、神経変性疾患(例えば、パーキンソン病またはアルツハイマー病)が診断されることを可能にする。
例えば、神経変性疾患(例えば、アルツハイマー病)を診断するのに有用である遺伝子の1クラスは、細胞周期転写物のクラスである。これらとしては、例えば、サイクリンD1、サイクリンB、サイクリンG1、wee1、hTR2、CDC25b、GSK3β、およびプロテインキナーゼCαが挙げられ得る。
別の例において、神経変性疾患(例えば、アルツハイマー病)を診断するのに有用である遺伝子の1クラスは、炎症応答転写物のクラスである。これらとしては、C5、C1インヒビター、IL−17r、IL−8、LIF、TNF−αおよびIL−10rが挙げられ得る。
さらに別の例において、神経変性疾患(例えば、アルツハイマー病)を診断するのに有用である遺伝子の1クラスは、細胞ストレス転写物のクラスである。これらとしては、例えば、α−1抗キモトリプシン、HSP27、HSP90、クリスタリン、GAPDH、フェリチンH、フェリチンL、cox1、cox2、およびトランスフェリンが挙げられ得る。
なお別の例において、サイクリンD1、サイクリンB、サイクリンG1、wee1、hTR2、CDC25b、GSK3β、プロテインキナーゼCα、C5、C1インヒビター、IL−17r、IL−8、LIF、TNF−α、IL−10r、α−1抗キモトリプシン、HSP27、HSP90、クリスタリン、GAPDH、フェリチンH、フェリチンL、cox1、cox2、およびトランスフェリンが使用され得る。
さらに他の例において、当業者に公知であるような細胞周期/細胞死、炎症およびストレスに関係する他の遺伝子が使用され得る。
別の例において、神経変性疾患(例えば、パーキンソン病)を診断するのに有用である遺伝子のクラスとしては、例えば、HSP60、ジヒドロリポアミドデヒドロゲナーゼ、ER−60プロテアーゼ、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ、ATP−合成酵素β鎖、アネキシンI、14−3−3ε、プロヒビチン(Prohibitin)、ホスホグリセリン酸ムターゼ1、アポリポタンパク質AI、スーパーオキシドジムスターゼ、RNA結合タンパク質調節サブユニット、チェーンAチオレドキシンペルオキシダーゼB、RAS関連タンパク質RAP1B、腫瘍拒絶抗原、ハプトグロビン、フィブリンβ、アクチン作用性タンパク質1(AIP1)、マイトジェン活性化プロテインキナーゼI(MAPKI)、アクチンまたはそのフラグメント、グルタルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)、形質転換タンパク質RhoA、酸性ロイシンリッチ核ホスホプロテイン32ファミリーメンバーB(ANP32BまたはAPRIL)、ペルオキシレドキシンII、アミロイド前駆体タンパク質(APP)、α−セクレターゼ、β−セクレターゼ、γ−セクレターゼ、Aβペプチド、Fe65、Tip60、SERCA、PS1/2、ネクチン−1a、および老人斑の非アミロイドβ成分(NACP/a−シヌクレイン)が挙げられる。
セットまたはクラスにおいて多数の遺伝子クラスが存在し得る。例えば、1つのセット内または1つのクラス内に、少なくとも2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種、10種、11種、12種、13種、14種、15種、16種、17種、18種、19種、20種、21種、22種、23種、24種、25種、26種、27種、28種、29種、30種、35種、40種、45種、50種、75種、100種の異なる遺伝子または遺伝子産物が存在し得る。さらに、また1つのセットを形成し得る特定の遺伝子の複数の対立遺伝子が存在し得ることが理解される。特定の実施形態において、分析に使用され得る1つのセットの転写物内に7種または8種の遺伝子が存在する。
特定の実施形態において、1つの遺伝子(例えば、α−1抗キモトリプシン、クリスタリンおよびシクロオキシゲナーゼIIに関係する遺伝子産物)が分析に使用され得る。
表4:分析され得る神経変性疾患(例えば、アルツハイマー病およびパーキンソン病)に対する例示的な標的。これらの標的の一般的なクラスも提供されるが、標的は、同定されるプロセスとは他の種々のプロセスに影響する機能を有し得る。
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生物マーカーのいくつかのさらなる例は、この発現レベルが例えば参照標準に対して評価および比較され得、そして、ヒトトランスフォーマー(transformer)2−β、hTra2−β、ヒトSAF−b、Mainclone、pht6、MIF、mainclone相互作用因子、pp17、ESAF、hnRNPG、cd2様キナーゼclk1〜4が挙げられる。生物マーカーのさらなる例としては、表5に列挙されるものが挙げられる。これらのマーカーの具体例としては、HSP60、ジヒドロリポアミドデヒドロゲナーゼ、ER−60プロテアーゼ、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ、ATP−合成酵素β鎖、アネキシンI、14−3−3ε、プロヒビチン、ホスホグリセリン酸ムターゼ1、アポリポタンパク質AI、スーパーオキシドジムスターゼ、RNA結合タンパク質調節サブユニット、チェーンAチオレドキシンペルオキシダーゼB、RAS関連タンパク質RAP1B、腫瘍拒絶抗原、ハプトグロビン、フィブリンβ、アクチン作用性タンパク質1、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。他の例において、適切な生物マーカーとしては、分子量(MW)27,100および等電点(pI)7.58を有するタンパク質、MW25,400およびpI6.2を有するタンパク質、ならびに分子量27,600およびpI5.92を有するタンパク質が挙げられるが、これらに限定されない。
(表5.パーキンソン病患者とコントロールの被験体との間で異なる同定タンパク質)
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生物マーカーの他の具体例は、本明細書中に記載されるように、その発現レベルが参照標準に対して評価および比較され得、そして、アクチン作用性タンパク質1(AIP1)、マイトジェン活性化プロテインキナーゼI(MAPKI)、アクチンまたはそのフラグメント、アネキシンAI、14−3−3タンパク質ε、グルタルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)、形質転換タンパク質RhoA、酸性ロイシンリッチ核ホスホプロテイン32ファミリーメンバーB(ANP32BまたはAPRIL)、ペルオキシレドキシンII、アミロイド前駆体タンパク質(APP)、α−セクレターゼ、β−セクレターゼ、γ−セクレターゼ、Aβペプチド、Fe65、Tip60、SERCA、PS1/2、ネクチン−1a、および老人斑の非アミロイドβ成分(NACP/a−シヌクレイン)が挙げられる
(3.発現レベルの比較)
開示される方法のいくつかの実施形態において、生物マーカーの発現レベルが評価され(そして必要に応じて第一正準変数および/または第二正準変数が得られ)る場合、そのレベル(または正準変数)は、参照標準における生物マーカーの発現レベル(またはそれから得られた正準変数)と比較され得る。「参照標準」によって、神経変性疾患のない被験体もしくはサンプル、異なる疾患段階の被験体もしくはサンプル、または治療剤のような特定の変化の不在下での被験体もしくはサンプルからの特定の生物マーカーの発現レベルが意味される。あるいは、参照標準は、既知量の生物マーカーを含み得る。このような既知量は、神経変性疾患のない被験体、異なる疾患段階の被験体、または治療剤のような特定の変化の不在下での被験体の平均レベルと相関し得る。参照標準はまた、本明細書中に記載されるような1つ以上の異なるサンプルまたは被験体由来の1つ以上の生物マーカーの発現レベルを含み得る。例えば、参照標準は、神経変性疾患に罹っていない被験体由来のサンプル、神経変性疾患の異なる進行段階にあるサンプル、または神経変性疾患に対する処置を受けていないサンプル中の、1種以上の生物マーカーの発現レベルの評価を含み得る。別の例示的な参照標準は、神経変性疾患に罹っていない複数の被験体、神経変性疾患の異なる進行段階にある複数の被験体、または神経変性疾患に対する処置を受けていない被験体から採取されたサンプル中の1種以上の生物マーカーの発現レベルの評価を含み得る。
参照標準が治療剤の不在下でのサンプルまたは被験体における1種以上の生物マーカーの発現レベルを含む場合、コントロールサンプルまたはコントロール被験体は、治療剤を用いた処置前またはその後に試験される同じサンプルまたは被験体であり得るか、あるいは治療剤の不在下での異なるサンプルまたは被験体であり得る。あるいは、参照サンプルは、特定の神経変性疾患に罹っていない複数の被験体から計算された平均発現レベルであり得る。参照標準はまた、当該分野で既知のコントロールレベルまたはコントロール値を含み得る。開示される方法の1つの局面において、神経変性疾患に関して診断される被験体の参照標準に年齢で適合することが所望され得る。参照サンプルはまた、コントロールまたはコントロール被験体群からの生物マーカーの発現レベルについての多変量正準分析から得られる第一正準変数または第二正準変数であり得る。
2つの異なるサンプル(例えば、神経変性疾患に関して診断される被験体由来のサンプルおよび参照標準)からの遺伝子産物の発現レベルを比較するための1つの技術において、各々のサンプルは、2Dゲル電気泳動に別々に供され得る。あるいは、各々のサンプルは、別々に標識され得、そして両方のサンプルは同じ2Dゲル電気泳動にロードされ得る。例えば、Unluら、Electrophoresis,1997;18:2071−2077を参照のこと。これは、遺伝子産物の発現レベルを評価および比較するための方法の少なくとも教示のために、本明細書中に参考として援用される。各々のサンプル中の同じ遺伝子産物または同じ遺伝子産物群は、2Dゲル電気泳動によって分離される遺伝産物のパターン内の相対位置によって同定され得る。次いで、第一のサンプル中の1つ以上の遺伝子産物の発現レベルが、第二のサンプル中の同じ遺伝子サンプルの発現レベルと比較され得、これによって2つのサンプル間で示差的に発現される遺伝子産物または遺伝子産物群(例えば、生物マーカー)の同定を可能にする。この比較は、被験体が神経変性疾患に罹っていることが疑われる前またはその後の被験体、被験体が処置レジメンを開始する前またはその後の被験体、およびその処置レジメンの過程の経過中の被験体について、なされ得る。
別の技術において、1つ以上の遺伝子産物の発現レベルは、1つのサンプル中の、発現される全遺伝子産物のうちの割合としてであり得る。この評価される発現レベルは、予め存在する参照標準と比較され得、これによって参照標準に対してそのサンプル中に示差的に発現される遺伝子産物を同定し得る
遺伝子発現レベルが参照標準から変化する遺伝子産物は、例えば、2Dゲルからそれら遺伝子産物を抽出し、そして同定技術(例えば、質量分析(MS))を使用することによって同定され得、その同定技術としては、マトリクス支援レーザー脱離/イオン化−飛行時間型−MS(MALDI−TOF)のような技術が挙げられる。従って、1つの局面において、サンプル(例えば、白血球を含むサンプルまたはその溶解物)中の遺伝子産物の発現を検査することによって、神経変性疾患の種々の段階(例えば、その発症および進行)に関係する生物マーカーを同定する方法が本明細書中に開示される。
2D電気泳動の代わりに他の方法が、サンプル中の遺伝子発現レベルを確認して参照標準に対してそのレベルを比較するために使用され得、そして本明細書中に開示される方法において使用され得る。これらの方法のいくつかは、表面増強レーザー脱離イオン化−飛行時間型(SELDI−TOF)のようなスペクトル技術を利用する。他の技術は、クロマトグラフィー技術(例えば、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、または高速タンパク質液体クロマトグラフィー(FPLC))に依存する。多次元液体クロマトグラフィー(LC)およびタンデム質量分析(MS/MS)は、複数のペプチドを分離および同定し得る。Linkら、Nat.Biotechnol.,1999;17:676−82を参照のこと。複数のタンパク質を同定するためのクロマトグラフィー方法は、米国特許第6,908,740号に記載される。さらに他の方法において、チップ(例えば、タンパク質結合性の抗体、リガンド、またはアプタマーのアレイ)を使用して、参照標準中よりもサンプル中に示差的に発現される遺伝子産物を同定し得る。例えば、GlockerおよびAngenedt,J.Chromatogr.B Analyt.Technol.Biomed.Life Sci.,2003;797:229−240を参照のこと。これらの参照は、遺伝子産物の発現レベルを評価および比較するための方法の少なくとも教示のために、本明細書中で参考として援用される。
異なる遺伝子発現がサンプルと参照標準とで異なる1つ以上の遺伝子産物の発現を引き起こす場合、これらの1つ以上の遺伝子産物は、さらに、示差的に発現される遺伝子転写物を同定する方法(例えば、遺伝子チップ(ヌクレオチド発現アレイ)または示差発現技術(例えば、Clonetech,Palo Alto,CAまたはGenHunter,Nashville,TNからの示差表示キット)を使用して同定され得る。これらの参照は、タンパク質発現レベルを評価および比較するための方法の少なくとも教示のために、本明細書中で参考として援用される。
遺伝子産物の発現レベルを参照標準と比較する場合、参照標準と比較した場合の遺伝子産物の発現レベルの増加は、神経変性疾患(例えば、パーキンソン病およびアルツハイマー病)を診断するための生物マーカーとしての遺伝子産物を同定し得る。あるいは、参照標準と比較した場合の遺伝子産物の発現レベルはまた、神経変性疾患を診断するための生物マーカーとしての遺伝子産物を同定し得る。最後に、参照標準と比較した場合に増加した遺伝子産物および減少した遺伝子産物の組み合わせは、神経変性疾患を診断するための生物マーカーとしての遺伝子産物を同定し得る。
開示される方法によって同定される生物マーカーは、種々の他の方法において使用され得る。例えば、生物マーカーを使用して特定の神経変性疾患を診断し得る。別の例において、生物マーカーを使用して疾患の進行をモニタリングし得る。なぜなら、いくつかの生物マーカーの発現レベルは、特定の神経変性疾患が進行するにつれてより明確になり得るからである。なお別の例において、生物マーカーを使用して、疾患の処置に対する被験体の応答をモニタリングし得る。これらの使用または他の使用は、本明細書中に開示される。
(4.特異的方法)
神経変性疾患(例えば、アルツハイマー病またはパーキンソン病)を診断する方法が開示され、この方法は、被験体からサンプル(例えば、血液または白血球)を収集する工程、サンプル中の遺伝子セットの発現をアッセイする工程、およびこの発現をコントロールと比較する工程、を包含する。
また、神経変性疾患を診断する方法が開示され、この方法は、被験体から血液サンプルを収集する工程、そのサンプル中の遺伝子セットの発現をアッセイする工程、およびこの発現をコントロールと比較する工程、を包含する。
また、神経変性疾患を診断する方法が開示され、この方法は、被験体から白血球サンプルを収集する工程、その白血球中の遺伝子セットの発現をアッセイする工程、およびこの発現をコントロールと比較する工程、を包含する。
また被験体が臨床的痴呆試験を用いて診断されており、この臨床的痴呆試験がNINCDS試験またはDSM−IV試験である方法が、開示される。
ミニ精神状態試験(Mini−Mental Status Examination(MMSE))において、コントロールが27を超えるスコアを有し、そしてAD患者が22未満のスコアを有する方法が、開示される。
臨床痴呆評価尺度(Clinical Dementia Rating scale(CDR))においてAD被験体が1.2または1.5を超えるスコアを有する方法が開示される。
生活痴呆評価尺度(Blessed Dementia Rating Scale(BDRS))を使用してコントロールが決定される方法が開示される。
神経変性疾患を診断する方法が開示され、この方法は、被験体から末梢血サンプルを収集する工程、このサンプル内に含まれる赤血球を溶解する工程、残存する白血球を収集する工程、この白血球を溶解して溶解されたサンプルを生成する工程、この溶解されたサンプル中の全核酸を収集して核酸サンプルを形成する工程、この核酸サンプル中のRNAを単離する工程、この核酸サンプル中のRNAを抽出する工程、ポリA RNAを収集する工程、およびRNA転写物のセットの存在を同定する工程、を包含する。
また、神経変性疾患を診断する方法が開示され、この方法は、被験体からサンプル(例えば、白血球サンプル)を収集する工程、このサンプル内のmRNAを収集する工程、このmRNAを核酸のコレクションとハイブリダイズさせる工程を包含し、ここで、核酸のコレクションは、表4に見出される1つ以上の遺伝子、例えば、サイクリンD1、サイクリンB、サイクリンG1、wee1、hTR2、CDC25b、GSK3β、およびプロテインキナーゼCα(これらは細胞周期に関する)、C5、C1インヒビター、IL−17r、IL−8、LIF、TNF−αおよびIL−10r(これらは炎症系に関連する)、ならびにα−1抗キモトリプシン、HSP27、HSP90、クリスタリン、GAPDH、フェリチンH、フェリチンL、cox1、cox2、およびトランスフェリン(これらは細胞ストレスに関する)、ならびにこれらの任意の組み合わせを含む。
神経変性疾患を診断する方法が開示され、この方法は、被験体から末梢血サンプルを収集する工程、このサンプル内に含まれる赤血球を溶解する工程、残存する白血球を収集する工程、この白血球を溶解して溶解サンプルを生成する工程、この溶解サンプル中の全核酸を収集して核酸サンプルを形成する工程、この核酸サンプル中のRNAを単離する工程、その核酸サンプル中のRNAを抽出する工程、ポリA RNAを収集する工程、およびRNA転写物のセットの存在を同定する工程、を包含する。
また、神経変性疾患を診断する方法が開示され、この方法は、被験体から末梢血サンプルを収集する工程、この末梢血サンプルから白血球を収集する工程(ここで、白血球を収集する工程は末梢血サンプル中の白血球を溶解して遠心分離する工程を包含する)、この白血球を溶解する工程、この溶解された白血球から全核酸サンプルを収集する工程(ここで、核酸の収集は磁気ビーズ上での核酸の吸着を含む)、その核酸サンプルから全RNAサンプルを収集する工程、ポリA mRNAサンプルを全RNAサンプルから収集する工程、全mRNAを診断遺伝子のセットとハイブリダイズさせる工程(ここで、診断遺伝子のセットは表4由来の1つ以上を含み、例えば、サイクリンD1、サイクリンB、サイクリンG1、wee1、hTR2、CDC25b、GSK3β、およびプロテインキナーゼCα(これらは細胞周期に関する)、C5、C1インヒビター、IL−17r、IL−8、LIF、TNF−αおよびIL−10r(これらは炎症系に関連する)、ならびにα−1抗キモトリプシン、HSP27、HSP90、クリスタリン、GAPDH、フェリチンH、フェリチンL、cox1、cox2、およびトランスフェリン(これらは細胞ストレスに関する)、ならびにこれらの任意の組み合わせを含む)、どの診断遺伝子がmRNAサンプル中でmRNAにハイブリダイズされるかを分析する工程、を包含する。
アレイのデータが使用される場合、これらのデータはハウスキーピング遺伝子(例えば、GapDH、シクロフィリン、またはアクチンを規格化され得る。他の方法としては、鎖プルをスパイク付け(spiking)する工程、アレイ全体にわたってシグナル強度の平均または合計に対して規格化する工程、を包含する。
(a)治療剤についてスクリーニングする方法)
なお別の局面において、神経変性疾患(例えば、パーキンソン病またはアルツハイマー病)の処置のための治療剤についてスクリーニングするための方法が開示される。開示される方法は、白血球または白血球集団とスクリーニングされるべき薬剤とを接触させて、神経変性疾患のための生物マーカーの発現レベルまたは活性レベルを検出する工程、を包含する。あるいは、白血球の代わりに、ニューロン細胞またはその集団が使用され得る。これらの方法において、生物マーカーの発現レベルの増加または減少は、神経変性疾患の処置のための治療剤を示し得る。
1つの局面において、開示される方法は、核酸、抗体、ポリペプチドまたは低分子(任意の治療剤混合物またはその組み合わせを含む)である因子をスクリーニングするために利用され得る。
白血球またはその溶解物を接触させる工程は、任意の技術によって達成され得る。例えば、細胞または溶解物は、因子またはその因子を含む溶液中にに浸漬され得るかまたは沈められ得る。別の例において、細胞または溶解物は、因子またはその因子を含む溶液によりコーティングされ得るかまたは噴霧され得る。さらに別の例において、細胞または細胞溶解物は、因子またはその因を含む溶液を含む媒体(例えば、培養培地)と接触され得る。さらなる例において、細胞または溶解物は、因子またはその因子を含む溶液を注入される。白血球またはその溶解物をスクリーニングされるべき因子と接触させる工程の特定の方法は、当業者にすぐに明らかであり、サンプルのサイズ、スクリーニングされるべき特定の因子、利便性、性能などのような要因に依存する。
発現レベルまたは活性レベルが検出される生物マーカーは、神経変性疾患においてダウンレギュレートされる1つ以上の遺伝子またはタンパク質であり得る。この例において、因子が遺伝子生物マーカーまたはタンパク質生物マーカーの発現レベルまたは活性レベルを増加させる場合、この因子は特定の神経変性疾患の処置のための治療剤を示し得る。あるいは、生物マーカーは、神経変性疾患においてアップレギュレートされ得る1つ以上の遺伝子またはタンパク質であり得る。この例において、特定の神経変性疾患の処置のための治療剤は、その薬剤が遺伝子マーカーまたはタンパク質マーカーの発現レベルまたは活性レベルを減少させる場合に示され得る。なおさらには、神経変性疾患において、ある生物マーカーはアップレギュレートされ得、一方別の生物マーカーはダウンレギュレートされ得る。この例において、この因子は、神経変性疾患においてアップレギュレートされる遺伝子生物マーカーもしくはタンパク質生物マーカーの発現レベルもしくは活性レベルを減少させ、そして/または神経変性疾患においてダウンレギュレートされる遺伝子生物マーカーもしくはタンパク質生物マーカーの発現レベルもしくは活性レベルを増加させる場合、この因子は、特定の神経変性疾患の処置のための治療剤を示し得る。
開示される方法のさらなる局面において、治療剤がニューロンにおける生物マーカーの発現レベルまたは活性レベルを変化させるかどうかがさらに決定され得る。1つの局面において、ニューロンはドーパミン作用性ニューロンであり得る。
なお別の局面において、開示される方法は、治療剤が神経変性疾患の発症を予防するかまたはその進行を遅滞させるかどうかを、その疾患の動物モデルにおいて決定する工程をさらに包含し得る。例えば、神経変性疾患がパーキンソン病である場合、適切な動物モデルとしては、MPTPモデル、6−OHDAモデル、パラコート(paraquat)モデル、またはロテノンモデルが挙げられるが、これらに限定されない。
(b)神経変性疾患の進行をモニタリングする方法)
さらに別の局面において、被験体における神経変性疾患(例えば、パーキンソン病またはアルツハイマー病)の進行をモニタリングする方法が本明細書中に開示される。開示される方法は、複数の時点における被験体から得られた白血球またはその溶解物を含むサンプル中の、神経変性疾患についての生物マーカーの発現レベルまたは活性レベルを比較する工程を、包含する。
また、被験体における神経変性疾患(例えば、パーキンソン病)の処置に対する応答をモニタリングする方法が開示される。開示される方法は、被験体の処置の間の複数の時点における被験体から得られた白血球またはその溶解物を含むサンプル中の、神経変性疾患についての生物マーカーの発現レベルまたは活性レベルを比較する工程を、包含し得る。
これらの方法において、被験体は上記に開示されるとおり(例えば、ヒト)である。被験体はまた、複数の時点のうちの1つ以上において、神経変性疾患について無症候性であり得るかまたは病状発現前(preclinical)であり得る。別の例において、被験体は、複数の時点のうちの1つ以上において、神経変性疾患のための処置を受けていない。
「処置」によって、その疾患を治癒、予防または緩和する目的のため、被験体が受け入れたかまたは受ける任意の医学的介入が意味される。処置としては、薬理学的治療(例えば、薬剤の投与)、栄養治療(例えば、ビタミン、ホルモン、栄養補助食品もしくはサプリメントの投与、または食事の変更)、生理学的治療、外科手術処置、非薬理学的治療、行動修正などが挙げられるが、これらに限定されない。必要に応じて、被験体は、1以上の複数の時点において神経変性疾患のための処置を受ける。必要に応じて、被験体は、1以上の複数の時点においてドーパミンアゴニスト(例えば、レボドパ)により処置される。別の特定の例において、被験体は、1以上の複数の時点において、神経保護因子により処置される。
被験体を処置するために使用され得る神経保護因子の例としては、制限されるわけではないが、アセチルコリンエステラーゼインヒビター、グルタミン酸作用性レセプターアンタゴニスト、キナーゼインヒビター、HDACインヒビター、抗炎症剤、ジバルプロックスナトリウムまたは任意のそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。他の神経保護の例としては、以下が挙げられ得るが、これらに制限されない:塩化オビドキシム、塩化プラリドキシム、ヨウ化プラリドキシム、メシル酸プラリドキシム;クエン酸アルベリン(Alverinc Citrate);臭化メチルアニソトロピン、アトロピン;アトロピンオキシド塩酸塩;硫酸アトロピン;ベラドンナ;ベナプリジン(Benapryzine)塩酸塩;塩酸ベンゼチミド;臭化ベンジロニウム;ペリデン;ビペリデン塩酸塩;乳酸ビペリデン;臭化クリジニウム;塩酸シクロペントレート;デキセチミド;塩酸ジサイクロミン;塩酸ジヘキシベリン;フマル酸ドマゾリン(Domazoline Fumarate);エラントリン;オイカイン;エチルベンザトロピン;塩酸オイカトロピン;グリコピロレート;臭化ヘテロニウム;臭化水素酸ホマトロピン;臭化メチルホマトロピン;ヒヨスチアミン;臭化水素酸ヒヨスチアミン;硫酸ヒヨスチアミン;ヨウ化イソプロパミド;臭化メペンゾラート;硝酸メチルアトロピン;メトキジン;塩化オキシブチニン;臭化パラペンゾラート;メチル硫酸ペンタピペリウム;フェンカルバミド;メチル硫酸ポルジン;プログルミド;臭化プロパンテリン;塩酸プロペンゾレート(Propenzolate Hydrochloride);臭化水素酸スコポラミン;メチル硫酸テマトロピウム(Tematropium Methylsulfate);塩酸チキナミド;塩酸トフェナシン;トキジン;硫酸トリアムピジン;塩酸トリヘキシフェニジル;トロピカミド。更なる例としては以下が挙げられるが、これらに限定されない:アルブトイン;アメルトリド(Ameltolide);アトリド;ブラメート;カルバマゼピン;シンロミド;シテナミド;クロナゼパム;シヘプタミド;デジナミド(Dezinamide);ジメタジオン;ジバルプロエックス(Divalproex)ナトリウム;エンテロバーブ(Eterobarb);エトスクシミド;エトトイン;塩酸フルラゼパム;フルジナミド;ホスフェニトイン(Fosphenytoin)ナトリウム;ギャバペンチン;イレプシミド(Ilepcimide);ラモトリジン;硫酸マグネシウム;メフェニトイン;メフォバルビタール;メテントイン(Methetoin);メトスクシミド;塩酸ミラセミド;ナバゼニル;塩酸ナフィミドン;ニトラゼパム;フェナセミド;フェノバルビタール;フェノバルビタールナトリウム;フェンスクシミド;フェニトイン;フェニトインナトリウム;プリミドン;プロガビド;ラリトリン;塩酸レマセミド(Remacemide Hydrochloride);ロピジン;サベルゾール;スチリペントール;スルチアム;チオペンタールナトリウム;塩酸チレタミン;トピラマート;トリメタジオン;バルプロ酸ナトリウム;バルプロ酸;ビガバトリン;塩酸ゾニクルゾール(Zoniclezole Hydrochloride)塩、ゾニサミド。抗炎症剤のさらに他の例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:アルクロフェナック;ジプロピオン酸アルクロメタゾン;アルゲストンアセtノニド;αアミラーゼ;アムシナファル;アムシナフィド;アンフェナクナトリウム;塩酸アミプリロース;アナキンラ(Anakinra);アニロラク;アニトラザフェン;アパゾン;バルサラジド二ナトリウム;ベンダザック;ベノキサプロフェン;塩酸ベンジダミン;ブロメライン;ブロペラモール;ブデソニド;カルプロフェン;シクロプロフェン;シンタゾン(Cintazone);クリプロフェン;プロピオン酸クロベタソール;酪酸クロベタゾン;クロピラク;プロピオン酸クロチカゾン;酢酸コルメタゾン;コルトドキソン;デフラザコルト;デソニド;デスオキシメタゾン;ジプロピオン酸デキサメサゾン;ジクロフェナクカリウム;ジクロフェナクナトリウム;二酢酸ジフロラゾン;ジフルミドンナトリウム;ジフルニサル;ジフルプレドナート;ジフタロン;ジメチルスルホキシド;ドロシノニド;エンドリゾン(Endrysone);エンリモマブ;エノリカムナトリウム;エピリゾール;エトドラク;エトフェナマート;フェルビナク;フェナモール;フェンブフェン;フェンクロフェナック;フェンクロナク(Fenclorac);フェンドサール;フェンピパロン;フェンチアザク;フラザロン;フルアザコルト;フルフェナム酸;フルミゾール;酢酸フルニソリド;フルニキシン;フルニキシンメグルミン;フルオコルチンブチル;酢酸フルオロメトロン;フルカゾン;フルルビプロフェン;フルレトフェン;プロピオン酸フルチカゾン;フラプロフェン;フロブフェン;ハルシノニド;プロピオン酸ハロベタストール(Halobetasol Propionate);酢酸ハロプレドン;イブフェナック;イブプロフェン;イブプロフェンアルミニウム;イブプロフェンピコノール;イロニダプ(Ilonidap);インドメタシン;インドメタシンナトリウム;インドプロフェン;インドキソール;イントラゾール;酢酸イソフルプレドン;イソキセパック;イソキシカム;ケトプロフェン;塩酸ロフェミゾール;ロルノキシカム;ロテプレノールエタボネート(Loteprednol Etabonate);メクロフェナム酸ナトリウム;メクロフェナム酸;二酪酸メクロリゾン;メフェナム酸;メサラミン;メセクラゾン;メチルプレドニゾロンスルペンタネート(Methylprednisolone Suleptanate);モミフルメート(Momiflumate);ナブメトン;ナプロキセン;プロキセンナトリウム;ナプロキソール;ニマゾン;オルサラジンナトリウム;オルゴテイン;オルパノキシン;オキサプロジン;オキシフェンブタゾン;塩酸パラニリン(Paranyline Hydrochloride);ペントサンポリスルホン酸ナトリウム;フェンブタゾン(Phenbutazone)グリセリン酸ナトリウム;ピルフェニドン;ピロキシカム;桂皮酸ピロキシカム;ピロキシカムオルアミン(Piroxicam Olamine);ピルプロフェン;プレドナザート;プリフェロン;プロドール酸;プロカゾン;プロキサゾール;クエン酸プロキサゾール;リメキソロン;ロマザリット(Romazarit);サルコレックス;サルナセジン(Salnacedin);サルサラート;塩化サンギナリウム(Sanguinarium Chloride);セクラゾン;セルメタシン;スドキシカム;スリンダク;スプロフェン;タルメタシン;タルニフルマート;タロサラート;テブフェロン(Tebufelone);テニダプ;テニダプナトリウム;テノキシカム;テシカム;テシミド;テトリダミン;チオピナク;ピバリン酸チキソコルトール;トルメチン;トルメチンナトリウム;トリクロニド;トリフルミダート;ジドメタシン;またはゾメピラクナトリウム。
他の例において、被験体は、非薬理学的処置(すなわち、主に薬物を含まない処置)により処置され得る。このような非薬理学的薬物の例としては、脳刺激(これは代表的にPDにおいて使用される)、心室シャントおよび網の転移(ADにおいて使用されている)が挙げられるが、これらに限定されない。さらに他の例において、被験体は行動修正により処置され得る。さらにさらなる処置の例は、遺伝子治療、移植および幹細胞を含む。
開示される方法において、ある時点において評価された生物マーカーの発現レベルまたは活性レベルは、別の時点において評価されたレベルと同じであり得る。このことは、特定の神経変性疾患が変化しなかった(例えば、その疾患がより悪くもより良くもならなかった)ことを示す。別の例において、初期の時点における生物マーカーの発現レベルまたは活性レベルは、後期の時点におけるレベルよりも大きくてもより小さくても良い。このことは、神経変性疾患が進行していることを示す。1つの生物マーカーの発現レベルが初期の時点から後期の時点へと増加すること、かつ疾患症状の(a)悪化または(b)改善と相関することが以前に示されている場合、後期のサンプルと比較して初期のサンプルにおいて存在する生物マーカーの量がより低いことは、その被験体の状態がそれぞれ(a)悪化していること、または(b)改善していることを示すとみなされ得る。一方では、1つの生物マーカーの発現レベルが初期の時点から後期の時点へと減少すること、かつ疾患症状の(a)悪化または(b)改善と相関することが以前に示されている場合、後期のサンプルと比較して初期のサンプルにおいて存在する生物マーカーの量がより高いことは、その被験体の状態がそれぞれ(a)悪化していること、または(b)改善していることの指標であり得る。別の例において、生物マーカーの組み合わせが使用され得、ここで、その組み合わせたいくつかの生物マーカーは、疾患の進行の間に初期の時点から後期の時点へと増加し、かつ他の生物マーカーが減少する。
また、生物マーカーのレベルは、治療に応答して神経変性疾患の1つ以上の症状の悪化または改善と相関し得る。処置前または処置の間の初期の時点に採取されたサンプルと、処置の間の後期の時点または処置後に採取されたサンプルとの間で遺伝発現レベルが異なっている遺伝子産物は、神経変性疾患のための処置に対する被験体の応答についての生物マーカーを識別し得る。
これらの方法において、種々のサンプル間での生物マーカーの発現レベルまたは活性レベルの差異は、新家変性疾患のために施された処置に対する被験体の応答を示し得る。1つの生物マーカーの発現が神経変性疾患のための処置に対して(a)応答するかまたは(b)応答しない被験体において、増加することが以前に示されている場合、初期サンプルと比較して後期サンプル中のより多量の生物マーカーは、その被験体がその処置に対してそれぞれ(a)応答するかまたは(b)応答しないことの指標であり得る。あるいは、生物マーカーの発現が、神経変性疾患のための処置に対して(a)応答するまたは(b)応答しない被験体において、減少することが以前に示されている場合、初期サンプルと比較して後期サンプル中の少量の生物マーカーは、その被験体がその処置に対してそれぞれ(a)応答するかまたは(b)応答しないことの表示であるとみなされ得る。あるいは、生物マーカーの1つの組み合わせが、神経変性疾患のための処置に対して(a)応答するかまたは(b)応答しない被験体において減少することが以前に示されており、かつ1つ以上の他の生物マーカーが増加することが以前に示されているいる場合、初期サンプルと比較した、後期サンプル由来のその生物マーカーの組み合わせにおける生物マーカーの量の変化は、その被験体がその処置に対してそれぞれ(a)応答しているかまたは(b)応答していないことの表示であるとみなされ得る。
(c)被験体における神経変性疾患に対するリスクを確認する方法)
なおさらなる局面において、試験被験体において神経変性疾患(例えば、パーキンソン病またはアルツハイマー病)に対するリスクを確認するための方法が、本明細書中に開示される。開示される方法は、試験被験体から得られたサンプルから、神経変性疾患についての生物マーカーの発現レベルまたは活性レベルを決定する工程(ここで、このサンプルは白血球またはその溶解物を含む);およびその試験被験体に対して決定されたその生物マーカーの発現レベルまたは活性レベルを、参照被験体についてのレベルと相関させる工程、を包含する。この方法はさらに、神経変性疾患に関して診断される参照被験体の集団からの生物マーカーのレベル、および/または神経変性疾患に罹っていない参照被験体の集団からの生物マーカーのレベルを決定する工程をさらに包含し得る。開示される方法において、神経変性疾患に罹っていない参照集団についてのレベルと、試験被験体についてのレベルとの間の相関は、試験被験体において特定の神経変性疾患に対するリスクが低いことを確認し得る。また、神経変性疾患に罹っている参照集団について決定されたレベルと、試験被験体についてのレベルとの間の相関は、その試験被験体においてその神経変性疾患に対するリスクが高いことを確認し得る。
「相関」によって、データ間の任意の関係が意味される。例えば、生物マーカーの発現レベルまたは活性レベルの統計学的分析を介して、相関(例えば、標準偏差、信頼度、など)が決定され得る。相関はまた、生物マーカーの発現レベルまたか活性レベルに基づき実験的に決定され得る。
遺伝子産物データ(例えば、転写物および/またはプロテオームデータ)は、後の統計学的分析に供される。技術的な変動を考慮して、各々の被験体サンプルは2Dゲル上で3連で泳動(run)され得る(例えば、52被験体×3ゲル=156ゲル)。次いで、平均化したスポット強度をさらなる分析に使用し得る。性別、基本的な医療診断、および医療指標は、プロテオームデータと共に含まれ得る。単純な単変量の統計学的方法(例えば、2サンプルtテスト)を使用する初期の比較は、疾患の被験体とコントロール群との間で白血球における発現が異なっているタンパク質を同定することを進め得る。2Dゲル電気泳動およびMALDI−TOF質量分析からのプロテオームデータは、統計学的ツール(tテストおよびANOVAが挙げられる)を使用して最初に分析され得る。これらツールは、Progenesis Workstation Image Analysis and Informaticsソフトウェアプログラム(Nonlinear USA,Inc.;Durham,NC)に含まれる。これらのデータにおいて大きな依存性の場合、ステップダウン多変量再サンプリングアルゴリズム(step−down multivariate resampling algorithm)を使用して、Troendle,「A permutational step−up method of testing multiple outcomes」,Biometrics,1996;52:846−859(これは、統計学的方法についての少なくとも教示のために本明細書中に参考として援用される)に開示されるように、試験の多様性に取り組み得る。
いくつかの局面において、多変量の統計学的方法は、このような研究において考慮される全ての分類および関連においてより適切であり得、かつより強力であり得る。正準識別分析は、開示される方法について全ての遺伝子産物を一緒にプロファイリングすることを使用するために実施され得る。多変量の観察に基づく群の間のロジスティック識別が使用され得る。なぜなら、これは、通常の理論に基づく線形識別分析(normal−theory−based linear discriminant analysis)を一般的に外部で行う(out−perform)からである(McLachlan,「Discriminant analysis and statistical pattern recognition」,Wiley,New York,1992を参照のこと。これは、統計学的方法についての少なくとも教示のために本明細書中に参考として援用される)。行動指標、線形モデルおよび一般化した線形モデル()例えば、NelderおよびMcCullagh,「Generalized Linear Models」,CRC Press,Boca Raton,FL,1999(これは、線形モデルの少なくとも教示のために本明細書中に参考として援用される)に開示されるもの)に関連したタンパク質を同定することは、神経変性疾患の白血球と神経変性疾患でない白血球とにおいて示差的に発現されるタンパク質をプロファイリングするために適合されて、発現の変化が疾患の重篤度に関係しているタンパク質を同定し得る。これらのモデルはまた、一部の臨床的要因の混乱した問題を考慮に入れ得る。欠けている値は、LittleおよびLittle(Applications of Modern Missing Data Methods,CRC Press,Boca Raton,FL,2002(これは、統計学的方法についての少なくとも教示のために本明細書中で参考として援用される))によって提案されているように取り扱われ得る。データ分析について未知の複雑性の場合、当業者は、適切な統計学的方法を求め得、さらにはこれらの特別な目的に役立つように統計学的方法を開発およびプログラミングし得る(EfronおよびTibshirani,「Empirical bayes methods and false discovery rates for microarrays」,Genet Epidemiol.2002;23:70−86(これは、統計学的方法のついての少なくとも教示のため、本明細書中で参考として援用される))。
(d)1つの神経変性疾患を別の疾患から区別する方法)
別の局面において、試験被験体において神経変性疾患(例えば、パーキンソン病およびアルツハイマー病)を示差的に診断する方法が、本明細書中に開示される。開示される方法は、試験被験体から白血球またはその溶解物を含むサンプル中の1つ以上の選択された生物マーカーの発現レベルまたは活性レベルを評価する工程、および1つ以上の神経病理学的なコントロール疾患に罹っている神経病理学的コントロール被験体の1つ以上の集団における選択された生物マーカーの発現レベルまたは活性レベルを示す参照標準に対して、選択された生物マーカーの発現レベルまたは活性レベルを比較する工程、を包含する。開示される方法において、選択された生物マーカーの発現レベルまたは活性レベルと参照標準との差異は、神経病理学的コントロール疾患と比較される場合の1つの神経変性疾患の示差的な診断を示し得る。
「示差的に診断する」によって、被験体における1つの特定の疾患の存在を確認すること、および/または被験体における別の疾患の不在を確認することが意味される。この語句はまた、1つの特定の疾患を、別の疾患からまたはその疾患の不在から区別することを意味する。「示差的に診断する」はまた、1つの疾患の特定の段階を識別すること、特定の疾患を発症するリスクを確認すること、または特定の疾患の予後を確認することを意味するため、本明細書中で使用され得る。
「神経病理学的コントロール被験体」によって、本明細書中に記載されるように、1つ以上の神経変性疾患に罹っている被験体(例えば、ヒト)または被験体群が意味される。例えば、神経病理学的コントロール被験体は、アルツハイマー病、前頭側頭性痴呆、軽度の認識障害、およびパーキンソン病、ならびにさらなる症状を含む障害(例えば、多系統萎縮症、皮質基底核神経節変性、パーキンソン病およびアルツハイマー病)に罹っている1人以上の被験体であり得る。神経病理学的コントロール被験体はまた、特定の疾患に罹っていない被験体またはその被験体群であり得る。なおさらには、神経病理学的コントロール被験体はまた、疾患を発症する特定のリスクまたは素因を有する被験体またはその被験体群であり得る。
これらの方法において、試験被験体または参照集団は、年齢もしくは性別が適合され得るか、またはその両方であり得る。
(e)生物マーカーを同定する方法)
神経変性疾患(例えば、パーキンソン病またはアルツハイマー病)についての生物マーカーが、本明細書中に開示される方法において同定され得る。1つの局面において、特定の神経変性疾患についての生物マーカーを同定するための方法は、神経変性疾患に関して診断される少なくとも1人の被験体(例えば、ヒト)由来の白血球またはその溶解物を含むサンプル中に、1つ以上の産物の発現レベルを評価する工程、およびその遺伝子産物の発現レベルを参照標準と比較する工程、を包含する。この方法において、参照標準と比較した場合の遺伝子産物の発現レベルの増加または減少が、特定の神経変性疾患についての生物マーカーとしての遺伝子産物を同定し得る。
いくつかの場合において、同じ生物マーカーが、疾患の進行を診断すること、モニタリングすること、および/または疾患のための治療法に対する被験体の応答をモニタリングすることのために使用され得る。生物マーカーの発現の変化(2つ以上の異なる使用の条件下で)は、特定の神経変性疾患の病理学の根底にある、同じ基礎的経路、生化学的経路および代謝経路を反映し得る。例えば、同じ生化学的経路は、1つの遺伝子産物が神経変性疾患に罹っていない健常な被験体において特定のレベルで発現され、かつ同じ遺伝子産物がその疾患に対する処置に応答する被験体において同様のレベルで発現されることを引き起こし得る。
さらに、特定の生物マーカーの発現の変化は、疾患の病理学の根底にある生化学的/代謝的経路の変化に起因し得るので、これらの生物マーカーはまた、治療標的を表す。生物マーカーの発現変化は、神経変性疾患のうちの1つ以上の症状を引き起こす場合、この生物マーカーは治療標的になり得る。治療標的は、1つ以上の候補生物マーカーの発現もしくは活性を調節する化合物、および/または神経変性疾患の1つ以上の症状を改善する化合物(すなわち、候補治療薬)を開発するための方法において使用され得る。
(5.アルツハイマー病の臨床的特徴)
100年前、Alois Alzheimerは、彼の名前を有する神経変性疾患の主要な行動および神経病理学的特徴を記載した。ADは、記憶および認識の進行性障害によって臨床的/行動的に特徴付けられる。臨床的症状のこの緩徐な進行と関係する神経病理学的変化および神経生物学的変化としては、以下が挙げられる:アミロイドプラークの蓄積および神経原線維変化(NFT)(Gearing Mら,「The Consortium to Establish a Registry for Alzheimer’s Disease(CERAD).Part X.Neuropathology confirmation of the clinical diagnosis of Alzheimer’s disease.」Neurology.1995;45(3パート1):461−466)、グリオーシス(Unger JW,Microscopy Res.Technique,1998;43:24−28)、正常に加齢した細胞と比較した、樹状突起の柔軟性の低減(BuellおよびColeman,Science,1979;206(4420):854−856;Flood DGら,Brain Research,1985;345(2):366−368;Flood DGら,Brain Research,1987;402(2):205−216)、およびニューロン密度の低減(Coleman PDら,Neurobiology of Aging,1987;8(6):521−545;Terry RDら,Annals of Neurology,1987;21:530−539;West MJら,Lancet,1994;344:769−772)およびシナプス密度の低減(Scheff SWら, Neurobiology of Aging,1990;11(1):29−37)。
(6.アルツハイマーにおける遺伝子発現)
アルツハイマー病の脳組織における発現変化の研究は、約35%と見積もられるメッセージレベルの全体的な低減を示している(Doebler JAら,J.Neuropathology & Experimental Neurology,1987;46(1):28−39)、(Griffin WSら,Alzheimer Disease & Associated Disorders,1990;4(2):69−78)、(Harrison PJら,Psychological Medicine,1991;21:855−866)。mRNAの全体的な低減についてのこの背景に対して、選択される研究は、広範な種々の遺伝子の発現の増加および減少を実証している。アルツハイマー病において影響を受ける一部の遺伝子クラスは、ニューロン特異的様式で発現される。これらとしては、特に、シナプスの構築および機能ならびにニューロン細胞骨格と関係する選択される遺伝子の発現の減少が挙げられる(Ginsberg SDら,Annals of Neurology,2000;48(1):77−87;Yao Pら,J.Neuroscience,1998;18(7):2399−2411)。ADにおいて発現が変化される他のクラスの遺伝子としては、以下が挙げられる:細胞周期に関係する遺伝子(Arendt T,Neurobiology of Aging,2000;21(6):783−796;Husseman JWら,Neurobiology of Aging,2000;21(6):815−828;Nagy Zら,Neurobiology of Aging,2000;21(6):761−769;Vincent Iら,J.Neuroscience,1997;17:3588−3598)および炎症応答/ストレス応答に関係する遺伝子(概説について、Akiyama Hら,Neurobiology of Aging,2000;21(3):383−421を参照のこと)。これらの遺伝子クラスは、神経系の外側に位置する種々の細胞型において発現され、その細胞型としては、白血球(Wakutani Yら,Dementia,1995;6(6):301−305)、単球(Jung SSら,Neurobiology of Aging,1999;20(3):249−257)、および上皮細胞(Schmitz Aら,Histochemistry & Cell Biology,2002;117(2):171−180)、ならびに他の細胞型が挙げられる。
単一のニューロンまたは死後のヒトの脳由来のホモジネートによる複数の遺伝子産物(メッセージ)の発現プロフィールについての多変量分析を使用して、神経変性疾患(例えば、パーキンソン病およびアルツハイマー病)をコントロールサンプルから区別し得る(Cheetham JEら,J.Neuroscience Methods,1997;77(1),:43−48、Chow Nら,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,1998;95:9620−9625)。
本明細書中に開示されるように、複数の遺伝子を使用して神経変性疾患(例えば、パーキンソン病およびアルツハイマー病)を診断することに関係するデータは、サンプル(例えば、末梢血および血中の白血球)から得られる。例えば、遺伝子セットを変化させることが使用され、そして炎症応答および細胞周期に関係する遺伝子は断定的である。本発明者らのAlzheimer’s Disease Centerにおいて(軽度の)ADに罹る可能性があるとして診断された患者ならびに年齢および性別が適合するコントロールサンプルから血液が採られた。メッセージは、末梢血白血球から抽出されて、増幅された(Eberwine Jら,PNAS U.S.A.1992;89(7):3010−3014)。次いで、選択されたメッセージの発現レベルが定量された。多変量の統計学的分析は、アルツハイマーの白血球とコントロールの白血球とを区別した。細胞周期および炎症応答に関係する遺伝子の発現レベルは、AD症例の血液サンプルを、痴呆になっていないコントロール症例由来のサンプルから区別することが見出された。これらの特異的遺伝子セットおよび遺伝子クラスはまた、ADの脳においても示差的に発現される遺伝子のクラスであることを示された。この研究は、3つの異なるセットの症例に関して3回繰り返された。
本明細書中に開示されるように、AD症例由来の末梢血白血球における細胞周期および炎症応答に関係する遺伝子発現が影響され、ADの脳においてこれらの遺伝子クラスの発現変化に匹敵するという知見であった。本明細書に提示されるデータに注目して到達される2つの主要な結論が存在する:(1)複数の遺伝子の発現プロフィールは、痴呆でないコントロール症例から軽度のAD(平均でCDR1.2〜1.5)を区別するのに効果的であり、そして(2)コントロール末梢血サンプル由来からADを区別するとして説明される遺伝子クラスは、ADの脳において変化されることを示された発現の遺伝子クラスと同様である。このことは、全身性疾患または主要な全身性の結果を有する疾患としてのADの概念と一致する。
(C.組成物)
開示される組成物を調製するために使用されるべき成分および本明細書中に開示される方法において使用されるべき組成物自体が開示される。これらの材料および他の材料は本明細書中に開示され、そしてこれらの材料の組み合わせ、部分集合、相互作用、群などが開示される場合に、これらの成分の各々多様な個々の組み合わせおよび順列、ならびに集約的な組み合わせおよび順列についての具体的な参照が明確には開示されないかもしれないが、各々が具体的に企図されて本明細書中に開示されることが理解される。例えば、神経変性疾患を診断する特定の方法が開示され考察され、そして多くの分子に対してなされ得る多くの改変が考察される(神経変性疾患を診断する方法を含む)場合、特に反対に示されない限り、神経変性疾患を診断する方法および可能性ある改変についての、各々および全ての組み合わせおよび順列が具体敵に企図される。従って、分子A、BおよびCのクラスならびに分子D、EおよびFのクラスが開示され、そして組み合わせ分子A〜Dの例が開示される場合、各々が個々に記載されていなくても、各々は個々にかつ集約的に企図されて、組み合わせA−E、A−F、B−D、B−E、B−F、C−D、C−EおよびC−Fが開示されるとみなされるを意味する。同様に、これらの任意の部分集合または組み合わせもまた開示される。従って、例えば、A−E、B−F、およびC−Eの部分集合が開示されるとみなされる。この概念は、本出願の全ての局面において適用され、開示される組成物を作製および使用する方法における工程が挙げられるが、これに限定されない。従って、実施され得る種々のさらなる工程が存在する場合、これらのさらなる工程の各々は、開示される方法の任意の特定の実施形態またはその実施形態の組み合わせを用いて実施され得ることが理解される。
(1.配列類似性)
本明細書中に考察されるように、用語「相同性」および「同一性」の使用は、類似性として同じことを意味することが理解される。従って、例えば、語「相同性」の使用が2つの非天然配列の間で使用される場合、このことは、これら2つの配列の間の進化上の関連を必ずしも示しておらず、むしろそれらの核酸配列間の類似性または関係に着目していることが理解される。進化上関係する2つの分子間の相同性を決定するための多くの方法は、それらが進化上関係するか関係しないかに関わらず配列類似性を意味する目的のため、任意の2つ以上の核酸またはタンパク質が日常的に利用される。
一般的に、本明細書中に開示される遺伝子およびタンパク質についての任意の公知の改変体および誘導体または生じ得るものを定義するための1つの方法は、特定の公知配列に対する相同性に関してその変異体または誘導体を定義することによる。本明細書中に開示される特定の配列のこの同定はまた、本明細書中の他所において考察される。一般的に、本明細書中に開示される遺伝子およびタンパク質の変異体は、代表的に、少なくとも約70%、約71%、約72%、約73%、約74%、約75%、約76%、約77%、約78%、約79%、約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、または約99%の相同性を定められた配列またはその天然配列に対して有する。当業者は、2つのタンパク質または核酸(例えば、遺伝子)の相同性を決定する方法を容易に理解する。例えば、相同性は、その相同性が最も高いレベルであるように2つの配列を整列させた後に計算され得る。
相同性を計算する別の方法は、開示されたアルゴリズムにより実施され得る。比較のための配列の最適な整列は、SmithおよびWaterman(Adv.Appl.Math,1981;2:482)のアルゴリズム、NeedlemanおよびWunsch(J.Mol.Biol.,1970;48:443)の相同性整列アルゴリズム、PearsonおよびLipman(Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,1988;85:2444)の相同性検索方法、これらのアルゴリズムのコンピューター処理される実行(GAP、BESTFIT、FASTA、およびTFASTA、Wisconsin Genetics Software Package、Genetics Computer Group,575 Science Dr.,Madison, WI)、または目視検査(inspection)によって、実行され得る。
同じ型の相同性は、例えば、Zuker M,Science,1989;244:48−52;Jaegerら,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,1989;86:7706−7710;Jaegerら,Methods Enzymol.,1989;183:281−306(これらは、核酸の整列に関係する少なくとも材料のために、本明細書中で参考として援用される)に開示されるアルゴリズムによって核酸について得られ得る。任意の方法は代表的に使用され得ること、および特定の例においてこれらの種々の方法の結果が異なり得ることが理解されるが、しかしこれらの方法のうちの少なくとも1つを用いて同一性が見出される場合に、それら配列は定められた同一性を有するといわれ、そして本明細書中に開示されることを、当業者は理解する。
例えば、本明細書中で使用される場合、別の配列に対して特定の相同性パーセントを有するとして記載される配列は、上記の計算方法のうちの任意の1つによって計算される場合に記載される相同性を有する配列をいう。例えば、第一の配列がZukerの計算方法を使用して計算されて80%の相同性を有する場合、たとえこの第一の配列が任意の他の計算方法によって計算される場合に第二の配列に対して80%の相同性を有さない場合であっても、この第一の配列は、本明細書中で定義されるように、第二の配列に対して80%の相同性を有する。別の例として、第一の配列がZukerの計算方法とPearsonおよびLipmanの計算方法との両方を使用して計算されて第二の配列に対して80%の相同性を有する場合、たとえこの第一の配列がSmithおよびWatermanの計算方法によって計算される場合でもNeedlemanおよびWunschの計算方法によって計算される場合でもJaegerの計算方法によって計算される場合でも任意の他の計算方法によって計算される場合でも、第二の配列に対して80%の相同性を有さない場合であっても、この第一の配列は、本明細書中に定義されるように、第二の配列に対して80%の相同性を有する。なお別の例として、第一の配列が各々の計算方法を使用して計算されて第二の配列に対して80%の相同性を有する場合、この第一の配列は、本明細書中に定義されるように、その第二の配列に対して80%の相同性を有する(しかし、実際には、別々の計算方法は、しばしば、別々に計算された相同性パーセントを生じる)。
(2.ハイブリダイゼーション/選択的ハイブリダイゼーション)
用語「ハイブリダイゼーション」とは、代表的に、少なくとも2つの核酸(例えば、プライマーまたはプローブおよび遺伝子)の間の配列駆動性の相互作用を意味する。配列駆動性の相互作用は、2つのヌクレオチド間または2つのヌクレオチドアナログ間または2つのヌクレオチド誘導体間にヌクレオチド特異的に起こる相互作用を意味する。例えば、Cと相互作用するGまたはTと相互作用するAは、配列駆動性の相互作用である。代表的に、配列駆動性の相互作用は、ヌクレオチドのWatson−Click面またはHoogsteen面において起こる。2つのヌクレオチドのハイブリダイゼーションは、当業者に公知の多くの条件およびパラメータにより影響される。例えば、塩濃度、pHおよび反応温度は全て、2つの核酸分子がハイブリダイズするかどうかに影響する。
2つの核酸の間の選択的ハイブリダイゼーションについてのパラメータは、当業者に周知である。例えば、いくつかの実施形態において、選択的ハイブリダイゼーションの条件は、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件として定義され得る。例えば、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーは、ハイブリダイゼーション工程と洗浄工程とのいずれかまたはその両方の温度および塩濃度の両方によって制御され得る。例えば、選択的ハイブリダイゼーションを達成するためのハイブリダイゼーション条件は、イオン強度の高い溶液(6×SSCまたは6×SSPE)中でのT(分子のうちの半分がそれらのハイブリダイゼーションのパートナーから解離する融解温度)より約12℃〜25℃低い温度でのハイブリダイゼーション、その後の、洗浄温度がTよりも約5℃〜約20℃低いように選択される温度および塩濃度の組み合わせでの洗浄工程、を包含し得る。温度条件および塩条件は、予備実験において実験的に容易に決定され、この実験において、フィルター上に固定された参照DNAのサンプルが目的の標識された核酸配列にハイブリダイズされ、次いで異なるストリンジェンシーの条件下で洗浄される。ハイブリダイゼーション温度は、代表的に、DNA−RNAハイブリダイゼーションおよびRNA−RNAハイブリダイゼーションに対してより高い。これらの条件は、ストリンジェンシーを達成するために上記のように、または当該分野で公知のように、使用され得る(Sambrookら,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,第2版,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,N.Y.,1989;Kunkelら,Methods Enzymol.,1987;154:367(これらは、核酸のハイブリダイゼーションに少なくとも関係する材料について、本明細書中で参考として援用される)。DNA:DNAハイブリダイゼーションのための好ましいストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、6×SSCまたは6×SSPE中での約68℃(水溶液中)においてであり得、その後の68℃での洗浄であり得る。所望の場合、ハイブリダイゼーションおよび洗浄のストリンジェンシーは、所望される相補性の程度が減少されるに従って低減され得、そしてさらに、変異性が調べられる任意の領域のG−CまたはA−Tの豊富さに依存する。同様に、所望の場合、ハイブリダイゼーションおよび洗浄のストリンジェンシーは、所望される相同性が増加されるに従って増加され得、そしてさらに、高い相同性が所望される任意の領域のG−CまたはA−Tの豊富さに依存する。全ては当該分野で公知であるとおりである。
選択的ハイブリダイゼーションを定義するための別の方法は、他の核酸に結合した核酸のうちの1つの量(割合)を調べることによる。例えば、いくつかの実施形態において、選択的ハイブリダイゼーション条件は、限定した核酸のうちの少なくとも約60%、約65%、約70%、約71%、約72%、約73%、約74%、約75%、約76%、約77%、約78%、約79%、約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、約100%が限定されない核酸に結合される場合である。代表的に、非限定プライマーは、例えば、10倍過剰、または100倍過剰、または1000倍過剰で存在する。この型のアッセイは、限定プライマーと非限定プライマーとの両方が、例えば、それらのkの1/10倍、または1/100倍、または1/1000倍であるか、核酸分子のうちの一方のみが1/10倍、または1/100倍、または1/1000倍であるか、または核酸分子の一方または両方がそれらのkを超える。
選択的ハイブリダイゼーションを定義する別の方法は、所望される酵素操作を促進するためにハイブリダイゼーションが必要とされる条件下で酵素操作されるプライマーの割合を調べることによる。例えば、いくつかの実施形態において、選択的ハイブリダイゼーション条件は、プライマーのうちの少なくとも約60%、約65%、約70%、約71%、約72%、約73%、約74%、約75%、約76%、約77%、約78%、約79%、約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、約100%が、酵素操作を促進する条件下で酵素操作される場合であって、例えば、この酵素操作がDNA伸長である場合、選択的ハイブリダイゼーション条件は、プライマー分子のうちの少なくとも約60%、約65%、約70%、約71%、約72%、約73%、約74%、約75%、約76%、約77%、約78%、約79%、約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、約100%が伸長される場合である。好ましい条件としてはまた、酵素がこの操作を実施するのに適切であるように、製造業者により提案される条件または当該分野で示される条件が挙げられる。
相同性とちょうど同様に、2つの核酸分子間のハイブリダイゼーションレベルを決定するために、本明細書中に開示される種々の方法が存在することが理解される。これらの方法および条件は、2つの核酸分子間の異なる割合のハイブリダイゼーションを提供し得るが、他に示されない限り、任意の方法のパラメーターに合致することが十分であることが理解される。例えば、80%のハイブリダイゼーションが必要とされる場合であって、そしてこれらの方法の任意の1つにおいて必要とされるパラメータ内でハイブリダイゼーションが起こる限り、これは本明細書中に開示されるとみなされる。
組成物または方法が、集合的または単独のいずれかでハイブリダイゼーションを決定するためのこれらの判断基準のうちの任意の1つに合致する場合に、これが本明細書中に開示される組成物または方法であることを当業者は理解することが、理解される。
(3.核酸)
核酸ベースである、本明細書中に開示される種々の分子があり、例えば核酸が挙げられ、この核酸は例えば、神経変性疾患(例えば、パーキンソン病およびアルツハイマー病)の発症または進行と関係するような本明細書中に開示される任意の遺伝子、ならびに本明細書中に開示される任意のほかのタンパク質、ならびに種々の機能性核酸が挙げられる。これらの開示される核酸は、例えば、ヌクレオチド、ヌクレオチドアナログ、またはヌクレオチド置換物から構成される。これらの分子および他の分子の非限定的な例は、本明細書中に考察される。例えば、ベクターが細胞中で発現される場合、発現されるmRNAは代表的に、A、C、GおよびUから構成される。同様に、例えば、アンチセンス分子が、例えば外来性送達を介して細胞または細胞環境中に導入される場合、このアンチセンス分子は、細胞内環境においてこのアンチセンス分子の分解を低減するヌクレオチドアナログから構成されることが有利であることが、理解される。
(a)ヌクレオチドおよび関連分子)
ヌクレオチドは、塩基部分、糖部分およびリン酸エステル部分を含む分子である。ヌクレオチドは、ヌクレオシド間の結合を形成するそれらのリン酸エステル部を介して、互いと連結され得る。ヌクレオチドの塩基部分は、アデニン−9−イル(A)、シトシン−1−イル(C)、グアニン−9−イル(G)、ウラシル−1−イル(U)およびチミン−1−イル(T)であり得る。ヌクレオチドの糖部分は、リボースまたはデオキシリボースである。ヌクレオチドのリン酸エステル部分は5価のリン酸である。ヌクレオチドの非限定的な例は、3’−AMP(3’−アデノシン一リン酸)または5’−GMP(5’−グアノシン一リン酸)である。
ヌクレオチドアナログは、塩基部分、糖部分またはリン酸エステル部分のいずれかに対していくつかの型の改変を含むヌクレオチドである。ヌクレオチドに対する改変は、当該分野で周知であり、そして例えば、5−メチルシトシン(5−me−C)、5−ヒロドキシメチルシトシン、キサンチン、ヒポキサンチン、および2−アミノアデニンならびに筒部分またはリン酸エステル部分における改変が挙げられる。
ヌクレオチド置換物は、ヌクレオチドと同様な機能特性を有するが、リン酸エステル部分を含まない分子(例えば、ペプチド核酸(PNA))である。ヌクレオチド置換物は、Watson−Click様式またはHoogsteen様式で核酸を認識するが、リン酸エステル部分以外の部分を介して互いに連結される分子である。ヌクレオチド置換物は、適切な標的核酸と相互作用する場合、二重鎖らせん型構造をなし得る。
ヌクレオチドまたはヌクレオチドアナログに別の型の分子を結合して(結合体)、例えば細胞の取り込みを増強することもまた可能である。結合体は、ヌクレオチドまたはヌクレオチドアナログに対して化学的に結合され得る。このような結合体としては、例えばコレステロール部分のような脂質分子が挙げられるが、これらに限定されない(Letsingerら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,1989,86,6553−6556)。
Watson−Crick相互作用は、ヌクレオチド、ヌクレオチドアナログまたはヌクレオチド置換物のWatson−Crick面との少なくとも1つの相互作用である。ヌクレオチド、ヌクレオチドアナログまたはヌクレオチド置換物のWatson−Crick面は、プリンベースのヌクレオチド、ヌクレオチドアナログまたはヌクレオチド置換物のC2位、N1位およびC6位、ならびにピリミジンベースのヌクレオチド、ヌクレオチドアナログまたはヌクレオチド置換物のC2位、N3位およびC4位を含む。
Hoogsteen相互作用は、ヌクレオチドまたはヌクレオチドアナログのHoogsteen面上で起こる相互作用であり、この相互作用は、二重鎖DNAの主溝において露出される。このHoogsteen面は、プリンヌクレオチドのN7位、およびC6位における反応基(NH2またはO)を含む。
((1)プライマーおよびプローブ)
プライマーおよびプローブを含む組成物が開示され、これらは、本明細書中に開示される遺伝子と相互作用し得る。特定の実施形態において、プライマーは、DNA増幅反応を支持するために使用される。代表的に、プライマーは、配列特異的様式で伸長され得る。配列特異的様式でのプライマーの伸長としては、そのプライマーがハイブリダイズされるかまたはそれ以外に会合される配列および/または核酸分子の組成が、そのプライマーの伸長によって生成される産物の組成または配列を指向するかまたはそれに影響する、任意の方法が挙げられる。従って、配列特異的様式でのプライマーの伸長としては、PCR、DNA配列決定、DNA伸長、DNA重合、RNA転写、または逆転写が挙げられるが、これらに限定されない。配列特異的様式でプライマーを増幅する技術または条件が好ましい。特定の実施形態において、プライマーはDNA増幅反応(例えば、PCRまたは直接の配列決定)のために使用される。特定の実施形態において、プライマーはまた、非酵素技術を使用して伸長され得ることが理解され、この場合、例えば、プライマーを伸長するために使用されるヌクレオチドまたはヌクレオチドアナログは、それらが化学的に反応して配列特異的様式でプライマーを伸長するように改変される。代表的に、開示されるプライマーは、その核酸またはその核酸のうちの領域とハイブリダイズするか、またはそれらプライマーは、その核酸の相補体またはその核酸のうちの領域の相補体とハイブリダイズする。
プライマーまたはプローブのサイズは、表4に列挙される転写物(例えば、サイクリンD1、サイクリンB、サイクリンG1、wee1、hTR2、CDC25b、GSK3βおよびプロテインキナーゼCαのような細胞周期に関係する転写物、C5、C1インヒビター、IL−17r、IL−8、LIF、TNF−αおよびIL−10rのような炎症系に関係する転写物、ならびにα−1抗キモトリプシン、HSP27、HSP90、クリスタリン、GAPDH、フェリチンH、フェリチンL、cox1、cox2およびトランスフェリンのような細胞ストレスに関係する転写物、ならびに表5および表6に列挙されるタンパク質の転写物)との相互作用のためである。特定の実施形態において、プライマーまたはプローブは、そのプライマーの所望される酵素操作(例えば、DNA増幅またはプローブもしくはプライマーの単純なハイブリダイゼーション)を支持する任意のサイズであり得る。表4に列挙された遺伝子(例えば、サイクリンD1、サイクリンB、サイクリンG1、wee1、hTR2、CDC25b、GSK3βおよびプロテインキナーゼCα(これらは細胞周期に関係する)、C5、C1インヒビター、IL−17r、IL−8、LIF、TNF−αおよびIL−10r(これらは炎症系に関係する)、ならびにα−1抗キモトリプシン、HSP27、HSP90、クリスタリン、GAPDH、フェリチンH、フェリチンL、cox1、cox2およびトランスフェリン(これらは細胞ストレスに関係する)、ならびに表5および表6に列挙されるタンパク質の遺伝子)に対する代表的なプライマーまたはプローブは、少なくとも6ヌクレオチド長、7ヌクレオチド長、8ヌクレオチド長、9ヌクレオチド長、10ヌクレオチド長、11ヌクレオチド長、12ヌクレオチド長、13ヌクレオチド長、14ヌクレオチド長、15ヌクレオチド長、16ヌクレオチド長、17ヌクレオチド長、18ヌクレオチド長、19ヌクレオチド長、20ヌクレオチド長、21ヌクレオチド長、22ヌクレオチド長、23ヌクレオチド長、24ヌクレオチド長、25ヌクレオチド長、26ヌクレオチド長、27ヌクレオチド長、28ヌクレオチド長、29ヌクレオチド長、30ヌクレオチド長、31ヌクレオチド長、32ヌクレオチド長、33ヌクレオチド長、34ヌクレオチド長、35ヌクレオチド長、36ヌクレオチド長、37ヌクレオチド長、38ヌクレオチド長、39ヌクレオチド長、40ヌクレオチド長、41ヌクレオチド長、42ヌクレオチド長、43ヌクレオチド長、44ヌクレオチド長、45ヌクレオチド長、46ヌクレオチド長、47ヌクレオチド長、48ヌクレオチド長、49ヌクレオチド長、50ヌクレオチド長、51ヌクレオチド長、52ヌクレオチド長、53ヌクレオチド長、54ヌクレオチド長、55ヌクレオチド長、56ヌクレオチド長、57ヌクレオチド長、58ヌクレオチド長、59ヌクレオチド長、60ヌクレオチド長、61ヌクレオチド長、62ヌクレオチド長、63ヌクレオチド長、64ヌクレオチド長、65ヌクレオチド長、66ヌクレオチド長、67ヌクレオチド長、68ヌクレオチド長、69ヌクレオチド長、70ヌクレオチド長、71ヌクレオチド長、72ヌクレオチド長、73ヌクレオチド長、74ヌクレオチド長、75ヌクレオチド長、76ヌクレオチド長、77ヌクレオチド長、78ヌクレオチド長、79ヌクレオチド長、80ヌクレオチド長、81ヌクレオチド長、82ヌクレオチド長、83ヌクレオチド長、84ヌクレオチド長、85ヌクレオチド長、86ヌクレオチド長、87ヌクレオチド長、88ヌクレオチド長、89ヌクレオチド長、90ヌクレオチド長、91ヌクレオチド長、92ヌクレオチド長、93ヌクレオチド長、94ヌクレオチド長、95ヌクレオチド長、96ヌクレオチド長、97ヌクレオチド長、98ヌクレオチド長、99ヌクレオチド長、100ヌクレオチド長、125ヌクレオチド長、150ヌクレオチド長、175ヌクレオチド長、200ヌクレオチド長、225ヌクレオチド長、250ヌクレオチド長、275ヌクレオチド長、300ヌクレオチド長、325ヌクレオチド長、350ヌクレオチド長、375ヌクレオチド長、400ヌクレオチド長、425ヌクレオチド長、450ヌクレオチド長、475ヌクレオチド長、500ヌクレオチド長、550ヌクレオチド長、600ヌクレオチド長、650ヌクレオチド長、700ヌクレオチド長、750ヌクレオチド長、800ヌクレオチド長、850ヌクレオチド長、900ヌクレオチド長、950ヌクレオチド長、1000ヌクレオチド長、1250ヌクレオチド長、1500ヌクレオチド長、1750ヌクレオチド長、2000ヌクレオチド長、2250ヌクレオチド長、2500ヌクレオチド長、2750ヌクレオチド長、3000ヌクレオチド長、3500ヌクレオチド長、または4000ヌクレオチド長である。
他の実施形態において、表4に列挙される遺伝子(例えば、サイクリンD1、サイクリンB、サイクリンG1、wee1、hTR2、CDC25b、GSK3βおよびプロテインキナーゼCα(これらは、細胞周期に関係する)、C5、C1インヒビター、IL−17r、IL−8、LIF、TNF−αおよびIL−10r(これらは、炎症系に関係する)、ならびにα−1抗キモトリプシン、HSP27、HSP90、クリスタリン、GAPDH、フェリチンH、フェリチンL、cox1、cox2およびトランスフェリン(これらは細胞ストレスに関係する))に対するプライマーまたはプローブ、ならびに表5および表6に列挙されるタンパク質の遺伝子は、6ヌクレオチド長以下、7ヌクレオチド長以下、8ヌクレオチド長以下、9ヌクレオチド長以下、10ヌクレオチド長以下、11ヌクレオチド長以下、12ヌクレオチド長以下、13ヌクレオチド長以下、14ヌクレオチド長以下、15ヌクレオチド長以下、16ヌクレオチド長以下、17ヌクレオチド長以下、18ヌクレオチド長以下、19ヌクレオチド長以下、20ヌクレオチド長以下、21ヌクレオチド長以下、22ヌクレオチド長以下、23ヌクレオチド長以下、24ヌクレオチド長以下、25ヌクレオチド長以下、26ヌクレオチド長以下、27ヌクレオチド長以下、28ヌクレオチド長以下、29ヌクレオチド長以下、30ヌクレオチド長以下、31ヌクレオチド長以下、32ヌクレオチド長以下、33ヌクレオチド長以下、34ヌクレオチド長以下、35ヌクレオチド長以下、36ヌクレオチド長以下、37ヌクレオチド長以下、38ヌクレオチド長以下、39ヌクレオチド長以下、40ヌクレオチド長以下、41ヌクレオチド長以下、42ヌクレオチド長以下、43ヌクレオチド長以下、44ヌクレオチド長以下、45ヌクレオチド長以下、46ヌクレオチド長以下、47ヌクレオチド長以下、48ヌクレオチド長以下、49ヌクレオチド長以下、50ヌクレオチド長以下、51ヌクレオチド長以下、52ヌクレオチド長以下、53ヌクレオチド長以下、54ヌクレオチド長以下、55ヌクレオチド長以下、56ヌクレオチド長以下、57ヌクレオチド長以下、58ヌクレオチド長以下、59ヌクレオチド長以下、60ヌクレオチド長以下、61ヌクレオチド長以下、62ヌクレオチド長以下、63ヌクレオチド長以下、64ヌクレオチド長以下、65ヌクレオチド長以下、66ヌクレオチド長以下、67ヌクレオチド長以下、68ヌクレオチド長以下、69ヌクレオチド長以下、70ヌクレオチド長以下、71ヌクレオチド長以下、72ヌクレオチド長以下、73ヌクレオチド長以下、74ヌクレオチド長以下、75ヌクレオチド長以下、76ヌクレオチド長以下、77ヌクレオチド長以下、78ヌクレオチド長以下、79ヌクレオチド長以下、80ヌクレオチド長以下、81ヌクレオチド長以下、82ヌクレオチド長以下、83ヌクレオチド長以下、84ヌクレオチド長以下、85ヌクレオチド長以下、86ヌクレオチド長以下、87ヌクレオチド長以下、88ヌクレオチド長以下、89ヌクレオチド長以下、90ヌクレオチド長以下、91ヌクレオチド長以下、92ヌクレオチド長以下、93ヌクレオチド長以下、94ヌクレオチド長以下、95ヌクレオチド長以下、96ヌクレオチド長以下、97ヌクレオチド長以下、98ヌクレオチド長以下、99ヌクレオチド長以下、100ヌクレオチド長以下、125ヌクレオチド長以下、150ヌクレオチド長以下、175ヌクレオチド長以下、200ヌクレオチド長以下、225ヌクレオチド長以下、250ヌクレオチド長以下、275ヌクレオチド長以下、300ヌクレオチド長以下、325ヌクレオチド長以下、350ヌクレオチド長以下、375ヌクレオチド長以下、400ヌクレオチド長以下、425ヌクレオチド長以下、450ヌクレオチド長以下、475ヌクレオチド長以下、500ヌクレオチド長以下、550ヌクレオチド長以下、600ヌクレオチド長以下、650ヌクレオチド長以下、700ヌクレオチド長以下、750ヌクレオチド長以下、800ヌクレオチド長以下、850ヌクレオチド長以下、900ヌクレオチド長以下、950ヌクレオチド長以下、1000ヌクレオチド長以下、1250ヌクレオチド長以下、1500ヌクレオチド長以下、1750ヌクレオチド長以下、2000ヌクレオチド長以下、2250ヌクレオチド長以下、2500ヌクレオチド長以下、2750ヌクレオチド長以下、3000ヌクレオチド長以下、3500ヌクレオチド長以下、または4000ヌクレオチド長以下であり得る。
特定の実施形態において、プライマーおよびプローブは、外側のプライマーであるように設計され、それらのプライマーが表4に見出される遺伝子(例えば、サイクリンD1、サイクリンB、サイクリンG1、wee1、hTR2、CDC25b、GSK3βおよびプロテインキナーゼCα(これらは、細胞周期に関係する)、C5、C1インヒビター、IL−17r、IL−8、LIF、TNF−αおよびIL−10r(これらは、炎症系に関係する)、ならびにα−1抗キモトリプシン、HSP27、HSP90、クリスタリン、GAPDH、フェリチンH、フェリチンL、cox1、cox2およびトランスフェリン(これらは細胞ストレスに関係する))ならびに表5および表6に列挙されるタンパク質の遺伝子と相互作用する最も近接する点が、表4に列挙される遺伝子(例えば、サイクリンD1、サイクリンB、サイクリンG1、wee1、hTR2、CDC25b、GSK3β、プロテインキナーゼCα、C5、C1インヒビター、IL−17r、IL−8、LIF、TNF−α、IL−10r、α−1抗キモトリプシン、HSP27、HSP90、クリスタリン、GAPDH、フェリチンH、フェリチンL、cox1、cox2、およびトランスフェリン)ならびに表5および表6に列挙されるタンパク質の遺伝子の最も外側を規定するヌクレオチドから、0ヌクレオチド以内、1ヌクレオチド以内、2ヌクレオチド以内、3ヌクレオチド以内、4ヌクレオチド以内、5ヌクレオチド以内、6ヌクレオチド以内、7ヌクレオチド以内、8ヌクレオチド以内、9ヌクレオチド以内、10ヌクレオチド以内、11ヌクレオチド以内、12ヌクレオチド以内、13ヌクレオチド以内、14ヌクレオチド以内、15ヌクレオチド以内、16ヌクレオチド以内、17ヌクレオチド以内、18ヌクレオチド以内、19ヌクレオチド以内、20ヌクレオチド以内、21ヌクレオチド以内、22ヌクレオチド以内、23ヌクレオチド以内、24ヌクレオチド以内、25ヌクレオチド以内、26ヌクレオチド以内、27ヌクレオチド以内、28ヌクレオチド以内、29ヌクレオチド以内、30ヌクレオチド以内、31ヌクレオチド以内、32ヌクレオチド以内、33ヌクレオチド以内、34ヌクレオチド以内、35ヌクレオチド以内、36ヌクレオチド以内、37ヌクレオチド以内、38ヌクレオチド以内、39ヌクレオチド以内、40ヌクレオチド以内、41ヌクレオチド以内、42ヌクレオチド以内、43ヌクレオチド以内、44ヌクレオチド以内、45ヌクレオチド以内、46ヌクレオチド以内、47ヌクレオチド以内、48ヌクレオチド以内、49ヌクレオチド以内、50ヌクレオチド以内、51ヌクレオチド以内、52ヌクレオチド以内、53ヌクレオチド以内、54ヌクレオチド以内、55ヌクレオチド以内、56ヌクレオチド以内、57ヌクレオチド以内、58ヌクレオチド以内、59ヌクレオチド以内、60ヌクレオチド以内、61ヌクレオチド以内、62ヌクレオチド以内、63ヌクレオチド以内、64ヌクレオチド以内、65ヌクレオチド以内、66ヌクレオチド以内、67ヌクレオチド以内、68ヌクレオチド以内、69ヌクレオチド以内、70ヌクレオチド以内、71ヌクレオチド以内、72ヌクレオチド以内、73ヌクレオチド以内、74ヌクレオチド以内、75ヌクレオチド以内、76ヌクレオチド以内、77ヌクレオチド以内、78ヌクレオチド以内、79ヌクレオチド以内、80ヌクレオチド以内、81ヌクレオチド以内、82ヌクレオチド以内、83ヌクレオチド以内、84ヌクレオチド以内、85ヌクレオチド以内、86ヌクレオチド以内、87ヌクレオチド以内、88ヌクレオチド以内、89ヌクレオチド以内、90ヌクレオチド以内、91ヌクレオチド以内、92ヌクレオチド以内、93ヌクレオチド以内、94ヌクレオチド以内、95ヌクレオチド以内、96ヌクレオチド以内、97ヌクレオチド以内、98ヌクレオチド以内、99ヌクレオチド以内、100ヌクレオチド以内、125ヌクレオチド以内、150ヌクレオチド以内、175ヌクレオチド以内、または200ヌクレオチド以内に存在する。
特定の実施形態において、プライマーおよびプローブは、それらが外側のプライマーであるように設計され、それらのプライマーが表4に列挙される遺伝子((例えば、サイクリンD1、サイクリンB、サイクリンG1、wee1、hTR2、CDC25b、GSK3β、プロテインキナーゼCα、C5、C1インヒビター、IL−17r、IL−8、LIF、TNF−α、IL−10r、α−1抗キモトリプシン、HSP27、HSP90、クリスタリン、GAPDH、フェリチンH、フェリチンL、cox1、cox2、およびトランスフェリン)と相互作用する最も近接する点が、表4に列挙された遺伝子(例えば、サイクリンD1、サイクリンB、サイクリンG1、wee1、hTR2、CDC25b、GSK3β、プロテインキナーゼCα、C5、C1インヒビター、IL−17r、IL−8、LIF、TNF−α、IL−10r、α−1抗キモトリプシン、HSP27、HSP90、クリスタリン、GAPDH、フェリチンH、フェリチンL、cox1、cox2、およびトランスフェリン)ならびに表5および表6に列挙されたタンパク質の遺伝子の最も外側を規定するヌクレオチドから、少なくとも0ヌクレオチド、1ヌクレオチド、2ヌクレオチド、3ヌクレオチド、4ヌクレオチド、5ヌクレオチド、6ヌクレオチド、7ヌクレオチド、8ヌクレオチド、9ヌクレオチド、10ヌクレオチド、11ヌクレオチド、12ヌクレオチド、13ヌクレオチド、14ヌクレオチド、15ヌクレオチド、16ヌクレオチド、17ヌクレオチド、18ヌクレオチド、19ヌクレオチド、20ヌクレオチド、21ヌクレオチド、22ヌクレオチド、23ヌクレオチド、24ヌクレオチド、25ヌクレオチド、26ヌクレオチド、27ヌクレオチド、28ヌクレオチド、29ヌクレオチド、30ヌクレオチド、31ヌクレオチド、32ヌクレオチド、33ヌクレオチド、34ヌクレオチド、35ヌクレオチド、36ヌクレオチド、37ヌクレオチド、38ヌクレオチド、39ヌクレオチド、40ヌクレオチド、41ヌクレオチド、42ヌクレオチド、43ヌクレオチド、44ヌクレオチド、45ヌクレオチド、46ヌクレオチド、47ヌクレオチド、48ヌクレオチド、49ヌクレオチド、50ヌクレオチド、51ヌクレオチド、52ヌクレオチド、53ヌクレオチド、54ヌクレオチド、55ヌクレオチド、56ヌクレオチド、57ヌクレオチド、58ヌクレオチド、59ヌクレオチド、60ヌクレオチド、61ヌクレオチド、62ヌクレオチド、63ヌクレオチド、64ヌクレオチド、65ヌクレオチド、66ヌクレオチド、67ヌクレオチド、68ヌクレオチド、69ヌクレオチド、70ヌクレオチド、71ヌクレオチド、72ヌクレオチド、73ヌクレオチド、74ヌクレオチド、75ヌクレオチド、76ヌクレオチド、77ヌクレオチド、78ヌクレオチド、79ヌクレオチド、80ヌクレオチド、81ヌクレオチド、82ヌクレオチド、83ヌクレオチド、84ヌクレオチド、85ヌクレオチド、86ヌクレオチド、87ヌクレオチド、88ヌクレオチド、89ヌクレオチド、90ヌクレオチド、91ヌクレオチド、92ヌクレオチド、93ヌクレオチド、94ヌクレオチド、95ヌクレオチド、96ヌクレオチド、97ヌクレオチド、98ヌクレオチド、99ヌクレオチド、100ヌクレオチド、125ヌクレオチド、150ヌクレオチド、175ヌクレオチド、または200ヌクレオチド離れている。
表4に列挙される遺伝子(例えば、サイクリンD1、サイクリンB、サイクリンG1、wee1、hTR2、CDC25b、GSK3β、プロテインキナーゼCα、C5、C1インヒビター、IL−17r、IL−8、LIF、TNF−α、IL−10r、α−1抗キモトリプシン、HSP27、HSP90、クリスタリン、GAPDH、フェリチンH、フェリチンL、cox1、cox2、およびトランスフェリン)ならびに表5および表6に列挙されるタンパク質の遺伝子に対するプライマーは、代表的に、それらの遺伝子の特定の領域を含む増幅DNA産物を生成するために使用される。一般的に、その産物のサイズは、そのサイズが1ヌクレオチド以内、2ヌクレオチド以内または3ヌクレオチド以内まで正確に決定され得るようなサイズである。
特定の実施形態において、この産物は、少なくとも20ヌクレオチド長、21ヌクレオチド長、22ヌクレオチド長、23ヌクレオチド長、24ヌクレオチド長、25ヌクレオチド長、26ヌクレオチド長、27ヌクレオチド長、28ヌクレオチド長、29ヌクレオチド長、30ヌクレオチド長、31ヌクレオチド長、32ヌクレオチド長、33ヌクレオチド長、34ヌクレオチド長、35ヌクレオチド長、36ヌクレオチド長、37ヌクレオチド長、38ヌクレオチド長、39ヌクレオチド長、40ヌクレオチド長、41ヌクレオチド長、42ヌクレオチド長、43ヌクレオチド長、44ヌクレオチド長、45ヌクレオチド長、46ヌクレオチド長、47ヌクレオチド長、48ヌクレオチド長、49ヌクレオチド長、50ヌクレオチド長、51ヌクレオチド長、52ヌクレオチド長、53ヌクレオチド長、54ヌクレオチド長、55ヌクレオチド長、56ヌクレオチド長、57ヌクレオチド長、58ヌクレオチド長、59ヌクレオチド長、60ヌクレオチド長、61ヌクレオチド長、62ヌクレオチド長、63ヌクレオチド長、64ヌクレオチド長、65ヌクレオチド長、66ヌクレオチド長、67ヌクレオチド長、68ヌクレオチド長、69ヌクレオチド長、70ヌクレオチド長、71ヌクレオチド長、72ヌクレオチド長、73ヌクレオチド長、74ヌクレオチド長、75ヌクレオチド長、76ヌクレオチド長、77ヌクレオチド長、78ヌクレオチド長、79ヌクレオチド長、80ヌクレオチド長、81ヌクレオチド長、82ヌクレオチド長、83ヌクレオチド長、84ヌクレオチド長、85ヌクレオチド長、86ヌクレオチド長、87ヌクレオチド長、88ヌクレオチド長、89ヌクレオチド長、90ヌクレオチド長、91ヌクレオチド長、92ヌクレオチド長、93ヌクレオチド長、94ヌクレオチド長、95ヌクレオチド長、96ヌクレオチド長、97ヌクレオチド長、98ヌクレオチド長、99ヌクレオチド長、100ヌクレオチド長、125ヌクレオチド長、150ヌクレオチド長、175ヌクレオチド長、200ヌクレオチド長、225ヌクレオチド長、250ヌクレオチド長、275ヌクレオチド長、300ヌクレオチド長、325ヌクレオチド長、350ヌクレオチド長、375ヌクレオチド長、400ヌクレオチド長、425ヌクレオチド長、450ヌクレオチド長、475ヌクレオチド長、500ヌクレオチド長、550ヌクレオチド長、600ヌクレオチド長、650ヌクレオチド長、700ヌクレオチド長、750ヌクレオチド長、800ヌクレオチド長、850ヌクレオチド長、900ヌクレオチド長、950ヌクレオチド長、1000ヌクレオチド長、1250ヌクレオチド長、1500ヌクレオチド長、1750ヌクレオチド長、2000ヌクレオチド長、2250ヌクレオチド長、2500ヌクレオチド長、2750ヌクレオチド長、3000ヌクレオチド長、3500ヌクレオチド長、または4000ヌクレオチド長である。
他の実施形態において、この産物は、20ヌクレオチド長以下、21ヌクレオチド長以下、22ヌクレオチド長以下、23ヌクレオチド長以下、24ヌクレオチド長以下、25ヌクレオチド長以下、26ヌクレオチド長以下、27ヌクレオチド長以下、28ヌクレオチド長以下、29ヌクレオチド長以下、30ヌクレオチド長以下、31ヌクレオチド長以下、32ヌクレオチド長以下、33ヌクレオチド長以下、34ヌクレオチド長以下、35ヌクレオチド長以下、36ヌクレオチド長以下、37ヌクレオチド長以下、38ヌクレオチド長以下、39ヌクレオチド長以下、40ヌクレオチド長以下、41ヌクレオチド長以下、42ヌクレオチド長以下、43ヌクレオチド長以下、44ヌクレオチド長以下、45ヌクレオチド長以下、46ヌクレオチド長以下、47ヌクレオチド長以下、48ヌクレオチド長以下、49ヌクレオチド長以下、50ヌクレオチド長以下、51ヌクレオチド長以下、52ヌクレオチド長以下、53ヌクレオチド長以下、54ヌクレオチド長以下、55ヌクレオチド長以下、56ヌクレオチド長以下、57ヌクレオチド長以下、58ヌクレオチド長以下、59ヌクレオチド長以下、60ヌクレオチド長以下、61ヌクレオチド長以下、62ヌクレオチド長以下、63ヌクレオチド長以下、64ヌクレオチド長以下、65ヌクレオチド長以下、66ヌクレオチド長以下、67ヌクレオチド長以下、68ヌクレオチド長以下、69ヌクレオチド長以下、70ヌクレオチド長以下、71ヌクレオチド長以下、72ヌクレオチド長以下、73ヌクレオチド長以下、74ヌクレオチド長以下、75ヌクレオチド長以下、76ヌクレオチド長以下、77ヌクレオチド長以下、78ヌクレオチド長以下、79ヌクレオチド長以下、80ヌクレオチド長以下、81ヌクレオチド長以下、82ヌクレオチド長以下、83ヌクレオチド長以下、84ヌクレオチド長以下、85ヌクレオチド長以下、86ヌクレオチド長以下、87ヌクレオチド長以下、88ヌクレオチド長以下、89ヌクレオチド長以下、90ヌクレオチド長以下、91ヌクレオチド長以下、92ヌクレオチド長以下、93ヌクレオチド長以下、94ヌクレオチド長以下、95ヌクレオチド長以下、96ヌクレオチド長以下、97ヌクレオチド長以下、98ヌクレオチド長以下、99ヌクレオチド長以下、100ヌクレオチド長以下、125ヌクレオチド長以下、150ヌクレオチド長以下、175ヌクレオチド長以下、200ヌクレオチド長以下、225ヌクレオチド長以下、250ヌクレオチド長以下、275ヌクレオチド長以下、300ヌクレオチド長以下、325ヌクレオチド長以下、350ヌクレオチド長以下、375ヌクレオチド長以下、400ヌクレオチド長以下、425ヌクレオチド長以下、450ヌクレオチド長以下、475ヌクレオチド長以下、500ヌクレオチド長以下、550ヌクレオチド長以下、600ヌクレオチド長以下、650ヌクレオチド長以下、700ヌクレオチド長以下、750ヌクレオチド長以下、800ヌクレオチド長以下、850ヌクレオチド長以下、900ヌクレオチド長以下、950ヌクレオチド長以下、1000ヌクレオチド長以下、1250ヌクレオチド長以下、1500ヌクレオチド長以下、1750ヌクレオチド長以下、2000ヌクレオチド長以下、2250ヌクレオチド長以下、2500ヌクレオチド長以下、2750ヌクレオチド長以下、3000ヌクレオチド長以下、3500ヌクレオチド長以下、または4000ヌクレオチド長以下である。
((2)機能性核酸)
機能性核酸は、特定の機能(例えば、標的分子に結合すること、または特定の反応を触媒すること)を有する核酸である。機能性核酸分子は、以下のカテゴリーに分けられ得、これらのカテゴリーは限定していることを意味されない。例えば、機能性核酸分子としては、アンチセンス分子、アプタマー、リボザイム、三重鎖形成分子、および外部誘導配列が挙げられる。これらの機能性核酸分子は、標的分子に有される特定の活性の影響因子、阻害因子(インヒビター)、調節因子、および刺激因子として作用し得か、またはこれらの機能性核酸分子は、任意の他の分子とは無関係にデノボでの活性を有し得る。
機能性核酸分子は、任意の分子(例えば、DNA、RNA、ポリペプチド、または炭水化物鎖)と相互作用し得る。従って、機能性核酸分子は、表4に列挙される遺伝子(例えば、サイクリンD1、サイクリンB、サイクリンG1、wee1、hTR2、CDC25b、GSK3β、プロテインキナーゼCα、C5、C1インヒビター、IL−17r、IL−8、LIF、TNF−α、IL−10r、α−1抗キモトリプシン、HSP27、HSP90、クリスタリン、GAPDH、フェリチンH、フェリチンL、cox1、cox2、およびトランスフェリン)ならびに表5および表6に列挙されるタンパク質の遺伝子のmRNAと相互作用し得るか、または表4に列挙される遺伝子(例えば、サイクリンD1、サイクリンB、サイクリンG1、wee1、hTR2、CDC25b、GSK3β、プロテインキナーゼCα、C5、C1インヒビター、IL−17r、IL−8、LIF、TNF−α、IL−10r、α−1抗キモトリプシン、HSP27、HSP90、クリスタリン、GAPDH、フェリチンH、フェリチンL、cox1、cox2、およびトランスフェリン)ならびに表5および表6に列挙されるタンパク質の遺伝子のゲノムDNAと相互作用し得るか、またはそれら機能性核酸分子は、表4に列挙される遺伝子(例えば、サイクリンD1、サイクリンB、サイクリンG1、wee1、hTR2、CDC25b、GSK3β、プロテインキナーゼCα、C5、C1インヒビター、IL−17r、IL−8、LIF、TNF−α、IL−10r、α−1抗キモトリプシン、HSP27、HSP90、クリスタリン、GAPDH、フェリチンH、フェリチンL、cox1、cox2、およびトランスフェリン)のポリペプチド産物、ならびに表5および表6に列挙されるタンパク質と相互作用し得る。しばしば機能性核酸は、標的分子と機能性核酸分子との間の配列相同性に基づいて他の核酸と相互作用するように設計され得る。他の状況において、機能性核酸分子と標的分子との間の特異的認識はその機能性核酸分子とその標的分子との間の配列相同性には基づかなく、むしろ特異的認識を起こさせる三次構造の形成に基づく。
アンチセンス分子は、標準的な塩基対合または標準的でない塩基対合のいずれかを介して標的核酸分子と相互作用し得る。アンチセンス分子と標的分子との相互作用は、例えば、RNAseH媒介性のRNA−DNAハイブリッド消化を介して標的分子の破壊を促進するように設計される。あるいは、アンチセンス分子は、標的分子上で正常に起こるプロセッシング機能(例えば、転写または複製)を妨害するように設計される。アンチセンス分子は、標的分子の配列に基づき設計され得る。標的分子のうちの最もアクセス可能な領域を見出すことによってアンチセンスの有効性を最適化するための多くの方法が存在する。例示的な方法は、インビトロでの選択実験およびDMSおよびDEPCを使用するDNA改変研究である。アンチセンス分子は、10−6以下、10−8以下、10−10以下または10−12以下の解離定数(k)で標的分子に結合することが好ましい。アンチセンス分子の設計および使用を助ける方法および技術の代表例は、以下の非限定的な米国特許のリストに見出され得る:第5,135,917号、第5,294,533号、第5,627,158号、第5,641,754号、第5,691,317号、第5,780,607号、第5,786,138号、第5,849,903号、第5,856,103号、第5,919,772号、第5,955,590号、第5,990,088号、第5,994,320号、第5,998,602号、第6,005,095号、第6,007,995号、第6,013,522号、第6,017,898号、第6,018,042号、第6,025,198号、第6,033,910号、第6,040,296号、第6,046,004号、第6,046,319号、および第6,057,437号。
アプタマーは、好ましくは特定の様式で、標的分子と相互作用する分子である。代表的に、アプタマーは、規定の二次構造および三次構造(例えば、ステムループまたはGカルテット)へとフォールディングされる、長さ15〜50塩基の範囲である小さな核酸である。アプタマーは、低分子(例えば、ATP(米国特許第5,631,146号)、およびテオフィリン(米国特許第5,580,737号)、ならびに高分子(例えば、逆転写酵素(米国特許第5,786,462号)およびトロンビン(米国特許第5,543,293号)に結合し得る。アプタマーは、10−12Mより低い標的分子からのkで非常に強固に結合し得る。アプタマーは、10−6M未満、10−8M未満、10−10M未満または10−12M未満のkで標的分子に結合することが好ましい。例えば、標的分子と、その分子上でただ1つの位置のみ異なる別の分子との間の結合親和性が1000倍より大きな差異を有するアプタマーが単離された(米国特許第5,543,293号)。アプタマーは、バックグラウンドの結合性分子とのkよりも1/10以下、1/100以下、1/1000以下、1/10,000以下または1/100,000以下の標的分子とのkを有することが好ましい。例えばポリペプチドに対する比較を行う場合に、バックグラウンド分子は異なるポリペプチドであることが好ましい。例えば、表4に列挙された遺伝子(例えば、サイクリンD1、サイクリンB、サイクリンG1、wee1、hTR2、CDC25b、GSK3β、プロテインキナーゼCα、C5、C1インヒビター、IL−17r、IL−8、LIF、TNF−α、IL−10r、α−1抗キモトリプシン、HSP27、HSP90、クリスタリン、GAPDH、フェリチンH、フェリチンL、cox1、cox2、およびトランスフェリン)または表5および表6に列挙されたタンパク質の遺伝子の特異的アプタマーを決定する場合、バックグラウンドタンパク質は、血清アルブミンであり得る。種々の標的分子に結合するアプタマーを作製および使用する方法の代表例は、以下の米国特許の非限定的な列挙において見出され得る:第5,476,766号、第5,503,978号、第5,631,146号、第5,731,424号、第5,780,228号、第5,792,613号、第5,795,721号、第5,846,713号、第5,858,660号、第5,861,254号、第5,864,026号、第5,869,641号、第5,958,691号、第6,001,988号、第6,011,020号、第6,013,443号、第6,020,130号、第6,028,186号、第6,030,776号、第6,051,698号。
リボザイムは、分子内または分子間のいずれかで化学反応を触媒し得る。従って、リボザイムは、触媒性核酸分子である。リボザイムは、分子間反応を触媒することが好ましい。天然の系において見い出されるリボザイムに基づいて、ヌクレアーゼ反応または核酸ポリメラーゼ型反応を触媒する、多くの異なる型のリボザイムが存在し、例えば、ハンマーヘッドリボザイム(例えば、以下の米国特許第5,334,711号、同第5,436,330号、同第5,616,466号、同第5,633,133号、同第5,646,020号、同第5,652,094号、同第5,712,384号、同第5,770,715号、同第5,856,463号、同第5,861,288号、同第5,891,683号、同第5,891,684号、同第5,985,621号、同第5,989,908号、同第5,998,193号、同第5,998,203号、LudwigおよびSproatによるWO9858058、LudwigおよびSproatによるWO9858057、ならびにLudwigおよびSproatによるWO9718312であるが、これらに限定されない)、ヘパリンリボザイム(例えば、以下の米国特許第5,631,115号、同第5,646,031号、同第5,683,902号、同第5,712,384号、同第5,856,188号、同第5,866,701号、同第5,869,339号、および同第6,022,962号であるが、これらに限定されない)、およびテトラヒメナリボザイム(例えば、以下の米国特許第5,595,873号および同第5,652,107であるが、これらに限定されない))である。また、天然では見い出されないがデノボで特異的反応を触媒するように操作された、多くのリボザイムが存在する。(例えば、以下の米国特許第5,580,967号、同第5,688,670号、同第5,807,718号、同第5,910,408号であるが、これらに限定されない)。好ましいリボザイムはRNA基質またはDNA基質を切断し、より好ましくはRNA基質を切断する。リボザイムは代表的に、標的基質を認識してそれに結合し、続いて切断することを介して核酸を切断する。この認識は、しばしば、標準的な塩基対相互作用または標準でない塩基対相互作用にほとんど基づく。この特性は、リボザイムを、核酸の標的特異的切断のための特に良好な候補にさせる。なぜなら、標的基質の認識は、その表記基質の配列に基づくからである。種々の異なる反応を触媒するようにリボザイムを作製および使用する方法の代表例は、以下の非限定的な米国特許のリストに見い出され得る:第5,646,042号、同第5,693,535号、同第5,731,295号、同第5,811,300号、同第5,837,855号、同第5,869,253号、同第5,877,021号、同第5,877,022号、同第5,972,699号、同第5,972,704号、同第5,989,906号、および同第6,017,756号。
三重鎖形成機能性核酸分子は、二重鎖核酸または一本鎖核酸のいずれかと相互作用し得る分子である。三重鎖分子が標的領域と相互作用する場合、三重鎖と称される構造が形成され、ここで、Watson−Crickの塩基対合およびHoogsteenの塩基対合の両方に依存する複合体を形成する3本のDNAが存在する。三重鎖分子は高い親和性および特異性で標的領域に結合し得るので、この三重鎖分子が好ましい。三重鎖形成分子は、10−6未満、10−8未満、10−10未満または10−12未満のkで標的分子に結合することが好ましい。種々の異なる標的分子に結合する三重鎖形成分子を作製および使用する方法の代表例は、以下の非限定的な米国特許第5,176,996号、同第5,645,985号、同第5,650,316号、同第5,683,874号、同第5,693,773号、同第5,834,185号、同第5,869,246号、同第5,874,566号、および同第5,962,426号に見い出され得る。
外部ガイド配列(EGS)は、標的核酸分子に結合して複合体を形成する分子であり、そしてこの複合体はRNAseP(これは、標的分子を切断する)によって認識される。EGSは、RNA分子を選択して特異的に標的化するように設計され得る。RNasePは、細胞内で転移RNA(tRNA)をプロセッシングするのを助ける。細菌性RNAsePは、標的RNA:EGS複合体に天然のtRNA基質を模倣させるEGSを使用することによって、実質上あらゆるRNA配列を切断するように強化(recruit)され得る。(YaleによるWO92/03566、ならびにForsterおよびAltman,Science,1990;238:407−409)。
同様に、真核生物性EGS/RNAse Pに指向されるRNA切断は、真核細胞内で所望の標的を切断するために利用され得る。(Yuanら,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,1992;89:8006−8010;YaleによるWO93/22434;YaleによるWO95/24489;YuanおよびAltman,EMBO J.,1995;14:159−168、ならびにCarraraら,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,1995;92:2627−2631)。種々の標的分子の切断を促進するためにEGSを作製および使用するための方法の代表例は、以下の非限定的な米国特許第5,168,053号、同第5,624,824号、同第5,683,873号、同第5,728,521号、同第5,869,248号、および同第5,877,162号のリストに開示される。
(4.ペプチド)
また、アミノ酸ベースである組成物(例えば、タンパク質、ペプチドおよびポリペプチド)が本明細書中に開示される。「タンパク質」、「ペプチド」または「ポリペプチド」によって、アミノ酸ベースのポリマーが意味され、これには、本明細書中に記載され、そして当業者によく理解されているような変異体、誘導体および改変体が挙げられる。アミノ酸配列の改変は、代表的に、3つのクラス:置換変異、挿入変異および欠失変異のうちの1つ以上に帰結する。挿入としては、アミノ末端融合および/またはカルボキシル末端融合、ならびに1アミノ酸残基または複数のアミノ酸残基の配列内挿入が挙げられる。挿入物は通常、アミノ末端融合またはカルボキシル末端融合よりも小さなの挿入物であり、例えば、1残基〜4残基の次数である。欠失は、タンパク質配列からの1以上のアミノ酸残基の除去により特徴付けられる。代表的に、約2残基〜約6残基以下がそのタンパク質分子内の任意の1つの部位から欠失される。アミノ酸置換は代表的に1残基のものであるが、一度に複数の異なる位置において起こってもよい;挿入は通常、およそ1アミノ酸残基〜10アミノ酸残基の次数である;そして欠失は、およそ1残基〜30残基の次数の範囲である。置換、欠失、挿入またはこれらの任意の組み合わせは、本明細書中に開示されるタンパク質において存在し得る。用語「タンパク質」、「ペプチド」および「ポリペプチド」は、相互に交換可能に使用される。
本明細書中に開示される方法において使用される例示的なタンパク質としては、以下が挙げられる:HSP60、ジヒドロリポアミンデヒドロゲナーゼ、ER−60プロテアーゼ、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ、ATP合成酵素β鎖、アネキシンI、14−3−3タンパク質ε、プロヒビチン、ホスホグリセリン酸ムターゼ1、アポリポタンパク質AI、スーパーオキシドジムスターゼ、RNA結合タンパク質調節サブユニット、チェーンAチオレドキシンペルオキシダーゼB、RAS関連タンパク質RAP1B、腫瘍拒絶抗原、ハプトグロビン、フィブリンβ、アクチン作用性タンパク質1(AIP1)、マイトジェン活性化プロテインキナーゼI(MAPKI)、アクチンまたはそのフラグメント、グルタルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)、形質転換タンパク質RhoA、酸性ロイシンリッチ核ホスホプロテイン32ファミリーメンバーB(ANP32BまたはAPRIL)、ペルオキシレドキシンII、アミロイド前駆体タンパク質(APP)、α−セクレターゼ、β−セクレターゼ、γ−セクレターゼ、Aβペプチド、Fe65、Tip60、SERCA、PS1/2、ネクチン−1a、および老人斑の非アミロイドβ成分(NACP/a−シヌクレイン)。
(5.変異体)
神経変性疾患のため本明細書中で使用される遺伝子(例えば、表4に列挙される遺伝子(例えば、サイクリンD1、サイクリンB、サイクリンG1、wee1、hTR2、CDC25b、GSK3β、プロテインキナーゼCα、C5、C1インヒビター、IL−17r、IL−8、LIF、TNF−α、IL−10r、α−1抗キモトリプシン、HSP27、HSP90、クリスタリン、GAPDH、フェリチンH、フェリチンL、cox1、cox2、およびトランスフェリン))の、多くの変異体および対立遺伝子が存在することが理解される。これらの変異体および対立遺伝子は、本明細書中に開示されるように、神経変性疾患(例えば、パーキンソン病およびアルツハイマー病)を検出するために使用され得る。本明細書中に考察されるように、表4に列挙される遺伝子(例えば、サイクリンD1、サイクリンB、サイクリンG1、wee1、hTR2、CDC25b、GSK3β、プロテインキナーゼCα、C5、C1インヒビター、IL−17r、IL−8、LIF、TNF−α、IL−10r、α−1抗キモトリプシン、HSP27、HSP90、クリスタリン、GAPDH、フェリチンH、フェリチンL、cox1、cox2、およびトランスフェリン)からの遺伝子産物の多くの変異体が存在し、これらは公知でありそして本明細書中で企図される。代表的に、これらの変異体は、関連する核酸または遺伝子において変化したそれら変異体自身を表し、従って、例えば、対立遺伝子または系統の相違によって生じる、開示される診断遺伝子または予後の遺伝子(例えば、表4に列挙される遺伝子(例えば、サイクリンD1、サイクリンB、サイクリンG1、wee1、hTR2、CDC25b、GSK3β、プロテインキナーゼCα、C5、C1インヒビター、IL−17r、IL−8、LIF、TNF−α、IL−10r、α−1抗キモトリプシン、HSP27、HSP90、クリスタリン、GAPDH、フェリチンH、フェリチンL、cox1、cox2、およびトランスフェリン))の変異体が、開示される。タンパク質または核酸の変異体および誘導体および対立遺伝子は、当業者に十分理解されており、そしてアミノ酸配列の改変を含み得る。本方法または本組成物における改変は、例えば特定の対立遺伝子を処理することによって達成され得ることが理解される。
(6.配列)
例えば、表4に列挙される遺伝子(例えば、サイクリンD1、サイクリンB、サイクリンG1、wee1、hTR2、CDC25b、GSK3β、プロテインキナーゼCα、C5、C1インヒビター、IL−17r、IL−8、LIF、TNF−α、IL−10r、α−1抗キモトリプシン、HSP27、HSP90、クリスタリン、GAPDH、フェリチンH、フェリチンL、cox1、cox2、およびトランスフェリン)ならびに表5および表6に列挙される遺伝子(例えば、HSP60、ジヒドロリポアミドデヒドロゲナーゼ、ER−60プロテアーゼ、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ、ATP−合成酵素β鎖、アネキシンI、14−3−3タンパク質ε、プロヒビチン、ホスホグリセリン酸ムターゼ1、アポリポタンパク質AI、スーパーオキシドジムスターゼ、RNA結合タンパク質調節サブユニット、チェーンAチオレドキシンペルオキシダーゼB、RAS関連タンパク質RAP1B、腫瘍拒絶抗原、ハプトグロビン、フィブリンβ、アクチン作用性タンパク質1(AIP1)、マイトジェン活性化プロテインキナーゼI(MAPKI)、アクチンまたはそのフラグメント、グルタルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)、形質転換タンパク質RhoA、酸性ロイシンリッチ核ホスホプロテイン32ファミリーメンバーB(ANP32BまたはAPRIL)、ペルオキシレドキシンII、アミロイド前駆体タンパク質(APP)、α−セクレターゼ、β−セクレターゼ、γ−セクレターゼ、Aβペプチド、Fe65、Tip60、SERCA、PS1/2、ネクチン−1a、および老人斑の非アミロイドβ成分(NACP/a−シヌクレイン)およびGenBankにおいて開示されている本明細書中で開示される任意の他のタンパク質)に関係する種々の配列が存在する。そしてこれらの配列および他の配列は、その全体において、そして本明細書中に含まれるここの配列に対して、参考として本明細書中で援用される。
種々の配列は、本明細書中に提供され、そしてこれらのものおよび他のものは、GenBank(www.pubmed.gov)に見い出され得る。当業者は、配列の食い違いおよび差異を解決する方法、ならびに特定の配列に関係する組成物および方法を他の関係する配列に適応させる方法を理解する。プライマーおよび/またはプローブは、本明細書中に開示され、そして当業者に公知の情報を与えられて、任意の配列に対して設計され得る。
(7.代替の実施形態)
転写後のプロセスおよび翻訳後のプロセスは、本明細書中に提供される任意の変異体に関して起こり得ることが理解される。このような転写後プロセスまたは翻訳後プロセス(例えば、転写後の沈静化(しかしこれに限定されない))を測定し得る技術が開示される。
(8.生物マーカーを確認する方法)
神経変性疾患に対する生物マーカーは、種々の方法で確認され得る。例えば、生物マーカーの発現は、神経変性疾患に関して診断される1人以上の被験体、およびその神経変性疾患に罹っていない1人以上の被験体において、検査され得る。これら2つの群の間で発現が変化する生物マーカーは、有効な生物マーカーであり得る。被験体の2つの群がより巨大になると、確認はより信頼性のあるものとなる。生物マーカーの発現レベルはまた、神経変性疾患に対するモデル系において評価され得る。例えば、神経変性疾患についての動物モデルの白血球含有サンプルにおいて、発現レベルが試験され得る。生物マーカー(またはそのホモログ)の発現は、神経変性疾患の動物モデルとコントロール群とにおいて評価され得る。モデル動物とコントロール動物との間で発現が変化する生物マーカーまたはそのホモログは、有効な生物マーカーであり得る。
(9.固体支持体)
固体支持体(安定形態および可動形態が挙げられる)が本明細書中に開示され、ここで、少なくとも1つのアドレスが本明細書中に開示される生物マーカーまたはリガンドである。また、固体支持体が開示され、ここで、少なくとも1つのアドレスは、本明細書中に開示される任意の核酸配列もしくはペプチド配列に記載される配列、配列の一部、または配列の変異体、あるいはそれら配列に対するリガンドである。少なくとも1つのアドレスが、本明細書中に開示される任意の核酸配列に記載される配列もしくはその配列の一部、またはそれにハイブリダイズする核酸である、チップが開示される。また、少なくとも1つのアドレスが、本明細書中に開示される任意のペプチド配列に記載される配列もしくはその配列の一部、またはその配列に対するリガンドである、チップが開示される。
また、少なくとも1つのアドレスが、本明細書中に開示される任意の核酸配列中に記載される配列もしくはその配列の一部についての変異体、またはその核酸変異体にハイブリダイズする核酸である、チップが開示される。また、少なくとも1つのアドレスが、本明細書中に開示される任意のペプチド配列に記載される配列またはその配列の一部についての変異体、またはその変異体ペプチドに結合するリガンドである、チップが開示される。
固体支持体としては、スライド、チップ、マイクロアレイ、およびナノアレイのような安定な支持体が挙げられ、生物マーカーまたは本明細書中に開示される生物マーカーに対する抗体もしくは非抗体リガンドのうちの任意のものを備える。固体支持体としてはまた、ビーズのような可動性支持体が挙げられ、生物マーカーまたは本明細書中に開示される生物マーカーに対する抗体もしくは非抗体リガンドのうちの任意のものを備える。
(10.コンピューター読み取り可能な媒体)
開示される核酸およびタンパク質は、ヌクレオチドまたはアミノ酸からなる配列として示され得ることが理解される。これらの配列を表す種々の方法が存在し、例えばヌクレオチドグアニンはGまたはgにより表され得る。動揺に、アミノ酸バリンはValまたはVにより表され得る。当業者は、存在する種々の方法のうちの任意のもので任意の核酸配列またはタンパク質配列(それらのいずれかが本明細書中に開示されるとみなされる)を示しそして表すための方法を理解する。コンピューター読み取り可能な媒体(例えば、市販のフロッピー(登録商標)ディスク、テープ、チップ、ハードドライブ、コンパクトディスク、およびビデオディスク、または他のコンピューター読み取り可能な媒体)上でのこれら配列の提示が、本明細書中で具体的に企図される。また、開示される配列の二進コード表記が開示される。当業者は、どのコンピューター読み取り可能な媒体が有用であるかを理解する。従って、核酸配列またはタンパク質配列は、コンピューター読み取り可能な媒体に記録、記憶、または保存される。
本明細書中に記載される配列に関する配列および情報を含むコンピューター読み取り可能な媒体が、開示される。
(11.キット)
本明細書中に開示される方法を実施するのに使用され得る試薬に対して描かれるキットが本明細書中に開示される。これらのキットは、本明細書中に考察される任意の試薬または試薬の任意の組み合わせ、または開示される方法の実施に必要とされるかもしくは有益である任意の試薬または試薬の任意の組み合わせを備え得る。例えば、キットは、方法の特定の実施形態において考察される増幅反応を実施するためのプライマー、ならびに目的とされるプライマーの使用に必要とされる緩衝剤および酵素を備え得る。他の例において、キットは、本明細書中に開示される1つ以上の生物マーカーならびに目的とされる生物マーカーまたはリガンドを使用するために必要とされる緩衝剤、標識,酵素、二次抗体または三次抗体などを備え得る。さらなる例において、神経変性疾患(例えば、パーキンソン病またはアルツハイマー病)について被験体を診断するためのキットが開示され、このキットは表4に記載される1つ以上のオリゴヌクレオチドを備える。
(12.診断アッセイ)
また、神経変性疾患のついての診断アッセイが開示される。開示されるアッセイは、白血球またはその溶解物を含むサンプルと、神経変性疾患についての生物マーカーに対する1つ以上の抗体またはそのフラグメントとを接触させる工程を包含する。開示される生物マーカーに対する抗体は、当該分野で公知でありそして本明細書中に開示されるように本発明者の方法に従って作製され得る。
(D.組成物を作製する方法)
本明細書中に開示される方法および加持される方法を実施するのに必要とされる組成物は、特に注記されない限り、特定の試薬または組成物に対して当業者に公知の任意の方法を使用して作製され得る。
(1.核酸の合成)
例えば、核酸(例えば、プライマーとして使用されるべきオリゴヌクレオチド)は、標準的な化学合成方法を使用して作製され得るか、または酵素的方法もしくは他の任意の公知の方法を使用して生成され得る。このような方法は、標準的な酵素消化、その後のフラグメントの単離(例えば、Sambrookら,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,第2版(Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.,1989)の第5章および第6章を参照のこと)から、純粋な合成方法(例えば、MilligenまたはBeckman System 1Plus DNA合成機(例えば、Milligen−Biosearch,Burlington,MAのModel 8700自動化合成機、またはABI Model 380B)を使用するシアノエチルホスホロアミダイト方法による方法)までの範囲であり得る。オリゴヌクレオチドを作製するために有用な合成方法はまた、Ikutaら,Ann.Rev.Biochem.,1984;53:323−356,(ホスホトリエステル方法および亜リン酸トリエステル方法)およびNarangら,Methods Enzymol.,1980;65:610−620,(リン酸トリエステル方法)によって記載される。タンパク質核酸分子は、Nielsenら,Bioconjug.Chem.,1994;5:3−7によって記載される方法のような公知の方法を使用して作製され得る。
(2.ペプチドの合成)
開示されるタンパク質を生成する1つの方法は、タンパク質化学方法によって2つ以上のペプチドまたはポリペプチドを一緒に連結することである。例えば、ペプチドまたはポリペプチドは、Fmoc(9−フルオロレニルメチルオキシカルボニル)化学またはBoc(tert−ブチルオキシカルボニル)化学(Applied Biosystems,Inc.,Foster City,CA)のいずれかを使用して、現在利用可能な研究室設備を使用して化学合成され得る。当業者は、例えば開示されるタンパク質に対応するペプチドまたはポリペプチドが、標準的な化学反応によって合成され得ることを容易に認識し得る。例えば、ペプチドまたはポリペプチドは、合成され得、そしてその合成樹脂からは切断されなくても良いが、一方、ペプチドまたはポリペプチドの他のフラグメントが合成され得、その後樹脂から切断され得、これによって他のフラグメントに対して機能的にブロックされる末端基を曝し得る。ペプチド縮合方法によって、これらの2つのフラグメントは、それぞれそれらのカルボキシル末端とアミノ末端とにおけるペプチド結合を介して共有結合されて、抗体またはそのフラグメントを形成し得る(Grant,Synthetic Peptides:A User Guide.WH Freeman and Co.,N.Y.,1992;BodanskyおよびTrost編,Principles of Peptide Synthesis.Springer−Verlag Inc.,N.Y.,1993、これらは、ペプチド合成に関する少なくとも材料について、参考として本明細書中に援用され得る)。
あるいは、ペプチドまたはポリペプチドは、本明細書中に開示されるように、インビボで独立して合成される。例えば、組み換え糖タンパク質生成方法における利点が使用され得、これらの方法は、トランスジェニックウサギ(www.bioprotein.com)のコロニー、またはヒトN−グリコシル化系酵素を有する酵母の株(Hamiltonら,Science,2003;301:1244−6;Gerngross,Nature Biotechnology,2004;22:1409)によって、ヒト糖タンパク質のコスト上効率的な生成を可能にする。
一旦単離されると、独立したペプチドまたはポリペプチドは、必要とされる場合、連結されて、同様のペプチド縮合反応を介してペプチドまたはそのフラグメントを形成し得る。例えば、クローニングされたペプチドセグメントまたは合成ペプチドセグメントの酵素的ライゲーションは、比較的短いペプチドフラグメントが結合されてより大きなペプチドフラグメント、ポリペプチドまたはタンパク質ドメイン全体を生成することを可能にする(Abrahmsenら,Biochemistry,1991;30:4151)。あるいは、合成ペプチドの本来の化学的結合を利用して、より短いペプチドからより長いペプチドまたはポリペプチドを合成して構築し得る。この方法は、2工程の化学反応からなる(Dawsonら,Science,1994;266:776−9)。第一の工程は、未保護の合成ペプチドチオエステルと、アミノ末端にCys残基を含む別の未保護のペプチドセグメントとの化学選択的反応であり、最初の共有結合産物としてチオエステルで連結された中間体を得る。反応条件の変更なしに、この中間体は、自発的な迅速な分子内反応を受けて、ライゲーション部位において本来のペプチド結合を形成する(Baggioliniら,FEBS Lett.1992;307:97−101;Clark−Lewisら,J.Biol.Chem.,1994;269:16075;Clark−Lewisら,Biochemistry,1991;30:3128;Rajarathnamら,Biochemistry,1994;33:6623−30)。
あるいは、未保護のペプチドセグメントが化学的に連結され、ここで、化学的ライゲーションの結果としてのペプチドセグメント間に形成される結合は、非天然の結合(非ペプチド結合)である(Schnolzerら,Science,1992;256:221)。この技術は、タンパク質ドメインのアナログおよび完全な生物学的活性を有する比較的純粋な多量のタンパク質を合成するために使用されている(deLisle Miltonら,Techniques in Protein Chemistry IV.Academic Press,New York,N.Y.,257−67頁,1992)。
(3.抗体)
開示される抗体は、抗体を生成する任意の方法を使用して作製され得る。例えば、開示されるモノクローナル抗体は、ハイブリドーマ方法(例えば、KohlerおよびMilstein,Nature,1975;256:495により記載される方法)を使用して調製され得る。ハイブリドーマ方法において、マウスまたは他の適切な宿主動物は、代表的に、免疫化因子を用いて免疫されて、その免疫化因子に特異的に結合する抗体を産生するかまたは産生し得るリンパ球を惹起する。あるいは、リンパ球は、例えば、本明細書中に記載されるHIV Env−CD4−コレセプター複合体を使用して、インビトロで免疫され得る。
モノクローナル抗体はまた、組換えDNA方法(例えば、米国特許第4,816,567号に記載される方法)によって作製され得る。開示されるモノクローナル抗体をコードするDNAは、従来の手順を使用して(例えば、マウス抗体の重鎖および軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合し得るオリゴヌクレオチドプローブを使用することによって)、容易に単離され得、配列決定され得る。抗体または活性のある抗体フラグメントはまた、ファージディスプレイ技術(例えば、米国特許第5,804,440号および同第6,096,441号(これらは、抗体の調製についての少なくとも教示のために本明細書中に参考として援用される)に記載されるとおり)を使用して生成され得、スクリーニングされ得る。
インビトロ方法はまた、1価の抗体を調製するのに適切である。そのフラグメント(具体的には、Fabフラグメント)を生成するための抗体の消化は、当該分野で公知の日常的な技術を使用して達成され得る。例えば、消化はパパインを使用して実施され得る。パパイン消化の例は、WO 94/29348および米国特許第4,342,566号(これらは、抗体の調製についての少なくとも教示のために本明細書中に参考として援用される)に記載される。抗体のパパイン消化は、代表的に、2つの同一な抗原結合フラグメント(Fabフラグメントと称される)を生成し、その各々は1つの抗原結合部位およびFcフラグメントの残余を有する。ペプシン処置は、2つの抗原結合部位を有し、依然として抗原に架橋可能であるフラグメントを生じる。
これらのフラグメントはまた、他の配列に結合されるにせよされないにせよ、特定の領域または特異的なアミノ酸残基の挿入、欠失、置換または他の選択される改変を含み得る。但し、その抗体または抗体フラグメントの活性が改変されていない抗体または抗体フラグメントと比較して大きく変化されることもなく損われることもない。これらの改変は、さらにいくつかの特性(例えば、ジスルフィド結合可能であるアミノ酸を除去/追加すること、その生物寿命(bio−longevity)を増加させること、その分泌特性を変更すること、など)を提供し得る。いずれの場合においても、抗体または抗体フラグメントは、生物活性な特性(例えば、その同族抗原に対する特異的な結合)を有さなければならない。抗体または抗体フラグメントの機能領域または活性領域は、そのタンパク質の特異的領域の変異誘発、その後の発現および発現されるポリペプチドの試験によって、同定され得る。このような方法は、当業者に直ちに明らかであり、そして抗体または抗体フラグメントをコードする核酸の部位特異的変異誘発を含み得る。(Zoller,Curr.Opin.Biotechnol.,1992;3:348−354、これは、抗体の調製についての少なくとも教示のために、本明細書中に参考として援用される)。
開示されるヒト抗体は、任意の技術を使用して調製され得る。ヒトモノクローナル抗体の生成のための技術の例としては、Coleら(Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy,Alan R.Liss,77頁,1985)により記載されるもの、およびBoernerら(J.Immunol.,1991;147(1):86 95)により記載されるものが挙げられる(これらは、抗体の調製についての少なくとも教示のために、本明細書中に参考として援用される)。ヒト抗体(およびそのフラグメント)はまた、ファージディスプレイライブラリーを使用して生成され得る(Hoogenboomら,J.Mol.Biol.,1991;227:381;Marksら,J.Mol.Biol.1991;222:581,これらは、抗体の調製についての少なくとも教示のために、本明細書中に参考として援用される)。開示されるヒト抗体はまた、トランスジェニック動物から得られ得る。例えば、トランスジェニックの変異マウスは、免疫化に応答してヒト抗体の完全なレパートリーを産生し得、記載されている(例えば、Jakobovitsら,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,1993;90:2551−5;Jakobovitsら,Nature,1993;362:255−8;Bruggermannら,Year in Immunol.,1993;7:33を参照のこと。これらは、抗体の調製についての少なくとも教示のために、本明細書中に参考として援用される)。
非ヒト抗体をヒト化するための方法は、当該分野で周知である。例えば、ヒト化抗体は、Winterおよび共同研究者らの方法(Jonesら,Nature,1986;321:522−5、Riechmannら,Nature,1988;332:323−7、Verhoeyenら,Science 1988;239:1534−6)に従って、げっ歯類CDR配列をヒト抗体の対応する配列に置き換えることによって、生成され得る。ヒト化抗体を産生するために使用され得る方法はまた、米国特許第4,816,567号、同第565,332号、同第5,721,367号、同第5,837,243号、同第5,939,598号、同第6,130,364号、および同第6,180,377号に記載される。これらは、抗体の調製についての少なくとも教示のために、本明細書中に参考として援用される。
(4.組成物を作製するために求められるプロセス)
組成物を作製するためのプロセスおよびその組成物を導く中間体を作製するためのプロセスが開示される。例えば、配列番号1〜257の核酸およびタンパク質が開示される。これらの組成物を作製するために使用され得る種々の方法(例えば、合成化学方法および標準的な分子生物学的方法)が存在する。これらの開示される組成物および他の開示される組成物を作製する方法が具体的に開示されることが理解される。
表4に記載された配列(例えば、サイクリンD1、サイクリンB、サイクリンG1、wee1、hTR2、CDC25b、GSK3β、プロテインキナーゼCα、C5、C1インヒビター、IL−17r、IL−8、LIF、TNF−α、IL−10r、α−1抗キモトリプシン、HSP27、HSP90、クリスタリン、GAPDH、フェリチンH、フェリチンL、cox1、cox2、およびトランスフェリン)ならびに表5および表6に列挙されたタンパク質の遺伝子を含む核酸と、核酸の発現を制御する配列とを、作動可能な様式で連結する工程を含むプロセスによって作製される核酸分子が、開示される。
また、表4に記載された配列に対して80%の相同性を有する配列を含む核酸分子と、核酸の発現を制御する配列とを、作動可能な様式で連結する工程を含むプロセスによって生成される核酸分子が、開示される。
表4に記載された配列に対してストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズする配列を含む核酸分子と、核酸の発現を制御する配列とを、作動可能な様式で連結する工程を含むプロセスによって生成される核酸分子が、開示される。
タンパク質(例えば、HSP60、ジヒドロリポアミドデヒドロゲナーゼ、ER−60プロテアーゼ、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ、ATP−合成酵素β鎖、アネキシンI、14−3−3ε、プロヒビチン、ホスホグリセリン酸ムターゼ1、アポリポタンパク質AI、スーパーオキシドジムスターゼ、RNA結合タンパク質調節サブユニット、チェーンAチオレドキシンペルオキシダーゼB、RAS関連タンパク質RAP1B、腫瘍拒絶抗原、ハプトグロビン、フィブリンβ、アクチン作用性タンパク質1(AIP1)、マイトジェン活性化プロテインキナーゼI(MAPKI)、アクチンまたはそのフラグメント、グルタルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)、形質転換タンパク質RhoA、酸性ロイシンリッチ核ホスホプロテイン32ファミリーメンバーB(ANP32BまたはAPRIL)、ペルオキシレドキシンII、アミロイド前駆体タンパク質(APP)、α−セクレターゼ、β−セクレターゼ、γ−セクレターゼ、Aβペプチド、Fe65、Tip60、SERCA、PS1/2、ネクチン−1a、および老人斑の非アミロイドβ成分(NACP/a−シヌクレイン))または表5もしくは表6に記載されたタンパク質、または遺伝子のタンパク質をコードする配列を含む核酸分子と、核酸の発現を制御する配列とを、作動可能な様式で連結する工程を含むプロセスによって生成される核酸分子が、開示される。
タンパク質(例えば、HSP60、ジヒドロリポアミドデヒドロゲナーゼ、ER−60プロテアーゼ、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ、ATP−合成酵素β鎖、アネキシンI、14−3−3ε、プロヒビチン、ホスホグリセリン酸ムターゼ1、アポリポタンパク質AI、スーパーオキシドジムスターゼ、RNA結合タンパク質調節サブユニット、チェーンAチオレドキシンペルオキシダーゼB、RAS関連タンパク質RAP1B、腫瘍拒絶抗原、ハプトグロビン、フィブリンβ、アクチン作用性タンパク質1(AIP1)、マイトジェン活性化プロテインキナーゼI(MAPKI)、アクチンまたはそのフラグメント、グルタルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)、形質転換タンパク質RhoA、酸性ロイシンリッチ核ホスホプロテイン32ファミリーメンバーB(ANP32BまたはAPRIL)、ペルオキシレドキシンII、アミロイド前駆体タンパク質(APP)、α−セクレターゼ、β−セクレターゼ、γ−セクレターゼ、Aβペプチド、Fe65、Tip60、SERCA、PS1/2、ネクチン−1a、および老人斑の非アミロイドβ成分(NACP/a−シヌクレイン))に対して80%の同一性を有するタンパク質または表5もしくは表6に記載されたタンパク質をコードする配列を含む核酸分子と、核酸の発現を制御する配列とを、作動可能な様式で連結する工程を含むプロセスによって生成される核酸分子が、開示される。
表5もしくは表6に記載されたタンパク質に対して80%の同一性を有するペプチド(ここで、表5または表6からのあらゆる変化が保存的変化である)をコードする配列を含む核酸分子と、核酸の発現を制御する配列とを、作動可能な様式で連結する工程を含むプロセスによって生成される核酸分子が、開示される。
任意の開示される核酸分子を用いて細胞を形質転換するプロセスによって生成された細胞が、開示される。天然には存在しない開示される任意の核酸分子を用いて細胞を形質転換するプロセスによって生成された細胞が、開示される。
開示される任意の核酸分子を発現するプロセスによって生成される、開示される任意のペプチドが開示される。開示される任意の核酸分子を発現するプロセスによって生成される、天然には存在しない開示される任意のペプチドが開示される。非天然の開示される任意の核酸を発現するプロセスによって生成される、開示される任意のペプチドが開示される。
本明細書中に開示される任意の核酸分子を動物内の細胞にトランスフェクションするプロセスによって生成される動物が開示される。本明細書中に開示される任意の核酸分子を動物内の細胞にトランスフェクションするプロセスによって生成される動物が開示され、ここで、この動物が哺乳動物である。また、本明細書中に開示される任意の核酸分子を動物内の細胞にトランスフェクションするプロセスによって生成される動物が開示され、ここで、その哺乳動物がマウス、ラット、ウサギ、ウシ、ヒツジ、ブタまたは霊長類である。
また、本明細書中に開示される任意の細胞を動物に加えるプロセスによって生成される動物が開示される。
(E.組成物を使用する方法)
(1.研究ツールとして組成物を使用する方法)
開示される組成物は、種々の方法において研究ツールとして使用され得る。例えば、加持される組成物(例えば、配列番号1−257)を使用して、神経変性疾患に対する種々の治療法の効果を研究し得る。
本組成物は、例えば、コンビナトリアル化学プロトコルまたは他のスクリーニングプロトコルにおける標的として使用して、神経変性疾患(例えば、アルツハイマー病およびパーキンソン病)に関係する所望の機能特性を有する分子を単離し得る。
開示される組成物はまた、神経変性疾患(例えば、アルツハイマー病およびパーキンソン病)に関係する診断ツールとして使用され得る。
開示される組成物は、本明細書中に考察されるように、マイクロアレイにおける試薬、または存在するマイクロアレイを検査する(probe)かもしくは分析するための試薬のいずれかとして、使用され得る。開示される組成物は、1ヌクレオチド多形を単離または同定するための任意の公知の方法において使用され得る。本組成物はまた、チップ/マイクロアレイに関係するスクリーニングアッセイのうちの任意の公知の方法において使用され得る。本組成物はまた、例えば、関係性を研究するため、または開示される組成物に関する分子モデル化分析を実施するために、開示される組成物のコンピューター読み取り可能な実施形態を使用する、任意の公知の方法において使用され得る。
(7.実施例)
以下の実施例は、当業者に完全な開示ならびに本明細書中で主張される化合物、組成物、物品、デバイスおよび/または方法を構成し、そして評価する手段の説明を提供し、そしてこれらの実施例は、本開示を制限することを意図しない。試みは、数(例えば、量、温度など)に関する正確さを確保するために行われたが、ある程度の誤差および偏差は、認められるべきである。特に明記されない限り、部は、重量部であり、温度は、℃または外界温度であり、そして圧力は、大気圧またはそれに近いものである。
(A.実施例1:白血球RNAの分析によるアルツハイマー病の分子的な区別)
(1.方法)
(a.患者の募集)
患者を、Geriatric Neurology and Psychiatry Clinic at Monroe Community Hospitalを介して募集した。インフォームドコンセントを行って以下の研究を開始した後、一連の痴呆の臨床試験についての情報を、患者から得た。血液サンプルを、RNA単離のために処理するまで(12時間未満)、4℃に保存した。
本明細書に示されるデータを、被験体の3つの異なる群由来の3つの独立したサンプルから得た。これらのサンプルの各々からのRNAを、抽出し、ハイブリダイズし、そして異なる時間において分析した。サンプル1は、8つのAD症例および7つのコントロール症例から構成された。サンプル2は、8つのAD症例および8つのコントロール症例から構成された。サンプル3は、5つのAD症例、4つのコントロール症例および2つのPD症例から構成された。サンプルの特徴を表1〜3において要約する。
(2.被験体)
本研究に含まれるAD被験体を、NINCDS(McKhann Gら、Neurology、1984;34(7):939−944)およびADについてのDSM IV診断基準に基づいて、ADであり得る(probable)か、またはADであると見込まれる(possible)と診断した。神経学者による実験を実施して、診断を確認し、そして疾患の重症度を測定した。疾患の重症度を、Mini−Mental Status Examination(MMSE)(Folstein MFら、J.Psychiatric Res.、1975;12(3):189−198)、Clinical Dementia Rating尺度(CDR)(Hughes CPら、British J.Psychiatry、1982;140:566−572)、およびBlessed Dementia Rating Scale(BDRS)(Blessed Gら、British J.Psychiatry、1968;114(512):797−811)を使用して評価した。本研究に含まれるコントロール被験体は、MMSEにおいて27を上回って得点した一方で、AD症例は、22を下回って得点した。AD症例の平均CDRは、1.2〜1.5の範囲であった。出血素因または凝固障害の履歴を有する任意の被験体を、除外した。
(3.全血サンプルからのRNAの単離)
白血球からポリA−RNAを抽出するために、血液のためのmRNA単離キット(Roche)を、利用した。簡単にいうと、赤血球を、選択的に溶解し、そして白血球を、遠心分離によって回収した。次いでこの白血球を、溶解し、そしてその全核酸を、磁性ガラスビーズへの非特異的な吸着および磁気分離によって回収した。一連の磁性ガラスビーズを洗浄し、そしてその磁性ガラスビーズから核酸を溶出させた後、mRNAを、ビオチン標識したオリゴ(dT)およびストレプトアビジンでコーティングした磁性粒子を使用して特異的に捕捉した。洗浄によって他の核酸(DNA、rRNA、tRNA)を除去した後、mRNAサンプルを、回収し、そして後に使用するまで−80℃に保存した。サンプルの濃度および純度を、OD260/280によって確認した。任意のRNA単離手順を使用し得ることが、理解される。
(4.cDNAアレイの構築およびハイブリダイゼーション)
使用したcDNAクローンを、表4に網羅する。National Center for Biotechnology InformationのdbESTデータベースを、関連する3’−cDNAクローンについて検索し、そしてそのクローンを、配給業者から購入したか、またはそのクローンは、種々の研究室からの寄贈品であった。この研究に使用したcDNAクローンは、多くの研究者からの惜しみのない寄贈品であった:Jim EberwineからのCREB、ツベリン、ネスチン、サイクリンD1およびGAD;Denise FiglewiczからのBDNF、bcl−2、bcl−xs、bcl−xl、カルビンジン、およびSOD−1;Chawnshang ChangからのhTR2、Rachel NeveからのGAP−43、APP、およびPS1;Bert VogelsteinからのPI9;T.SudhofからのシナプトタグミンI;Dr.DaviからのGTH、pGTH4、およびpHMGST;Dr.Roharakerからのユビキチン;Inez Vincentからのcdc2;ならびにStefan StammからのSF2flag、Pht6、およびtra2−C2。残りのcDNAクローンは、I.M.A.G.E.Consortium cDNAクローンの配給業者からのdbESTクローンであった。
cDNAクローンの全てを、それの同一性を確認するために配列決定した。それぞれの直鎖状cDNAの1マイクログラムを、0.2N NaOH/0.2mM EDTA中で37℃にて30分間変性させた。このサンプル容量を、0.3M NaOAc(pH4.5)によって中和した。これらのcDNAを、先に記載される通り、96ピンレプリケーター(Nalge Nunc)を使用し、各cDNAを4回スポットしてナイロンメンブレン(Micron Separations)上に直ちにプリントした(Chow Nら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.1998;95:9620−9625)。このメンブレンを、RNAプローブを添加する前に、ハイブリダイゼーション溶液(50%ホルムアミド/5×SSPE/5×Denhardt溶液/0.1% SDS/10%デキストラン硫酸/50μg/mlの変性サケ精子DNA/100μg/mlのtRNA)中で42℃にて3時間プレハイブリダイズした。42℃で一晩インキュベートした後、ブロットを、2×SSC/0.1% SDS中で55℃にて1時間洗浄し、2×SSC/0.1% SDS/10μg/mlのRNAse A中で37℃にて1時間洗浄し、そして2×SSC/0.1% SDS中で37℃にて1時間洗浄した。次いでメンブレンを、ストレージホスファスクリーン(storage phosphor screen)に露出した。
(5.データ取得および分析)
各ドットのハイブリダイゼーション強度を、レーザーデンシトメトリースキャン(laser densitometric scanning)(Phosphoimager、Molecular Dynamics)によって検出した。ホスホイメージャー(phosphoimager)分析によって得た各スポットについての値(計数)を、局所のバックグラウンドを使用して補正した。アレイ中の各スポットに沈着したcDNAの量を、全ベクター中に存在するT7プロモーターに特異的なオリゴヌクレオチドを用いてこのメンブレンをストリップし、そして再プローブすることによって定量化した。これらのデータは、このメンブレン上のcDNAの沈着における潜在的なスポット間の相違に対する補正を提供した。アレイにわたる正確な比較を確保するために、シグナルを、各RNAサンプルに対してアレイ中の全てのマーカー(cDNA)の平均を使用して正規化した。得られた標準化したデータを、正準分析によって分析した。この分析は、群を最もよく区別する変量(メッセージ)を決定し、そして各変量に対して重みを割り当てる。多変量解析に関して真実である通り、変量の数は、症例の数を越えてはならない(Kshirsager AM、Multivariate Analysis、Dekker M、New York、N.Y.、1972)。第1の正準変量は、群の間の最良の区別を提供する。第2の正準変量は、正準変量1によっては不明なままである残りの分散に対して効果がある。さらなる繰り返しが、漸減する効果を伴って可能である。正準分析から得られるAD症例とコントロール症例との間の分別の統計的有意性を、Wald−Wolfowitzの連の検定(Siegel S、Nonparametric Statistics、McGraw−Hill、New York、N.Y.、1−312、1956)によって評価した。
(B.結果)
(1.AD血液サンプルとコントロール血液サンプルとを区別するメッセージの分類)
多変量の正準分析からの妥当な結果は、変量(この場合においてはメッセージ)の数が、使用した症例(被験体)の数より小さいことが必要である(Kshirsager AM、Multivariate Analysis、Dekker M、New York、N.Y.、1972)ので、メッセージを、合計64個の研究したメッセージから、7つまたは8つのメッセージのサブセットへと形成した。3つのサンプル全てにわたって調べたメッセージの5つのサブセットのうちの2つだけが、AD症例とコントロール症例との一貫した分離をもたらした。これらの2つのサブセットは、細胞周期に関連するメッセージおよび炎症応答に関連するメッセージであった。図2A、図2B、および図2Cは、細胞周期に関連するこれらのメッセージについて、正準変量1対正準変量2をプロットする。図2A、図2B、および図2Cは、炎症応答に関連するこれらのメッセージについて、正準変量1対正準変量2をプロットする。
これらの6つのプロットは、疾患のカテゴリーの区別が、一般に、群の間にほとんど重複を含まずに達成され得ることを示す。細胞周期メッセージの白血球発現に基づく、41(2つのパーキンソン病症例を含む43の症例)の症例のカテゴリー化が、AD領域中に3つのコントロール症例を含み、かつコントロール領域中にAD症例を含まない症例からなる38/41(PDを数に入れて40/43)と一致したことに留意すべきである。炎症系に関連する遺伝子は、AD領域中にコントロール症例を位置付けず、そしてコントロール領域中に1つのAD症例を位置付けた。炎症の遺伝子は、2つのPD症例と、コントロール領域およびAD領域の両方とを正確に区別した。
非常に小さい数の、本発明者らが標本抽出した個々のメッセージが、AD症例とコントロール症例との間の統計的に有意(またはほぼ有意)な相違を生じたことに、注目すべきである。これらは、α−1抗キモトリプシン、クリスタリンおよびシクロオキシゲナーゼIIであった。しかし、これらは、有意な重複を伴わずにADとコントロールとを区別するために、それ自体で十分なものではない。
メッセージの他のセットに対する正準変量の類似するプロットは、ADメッセージのプロフィールとコントロール白血球メッセージのプロフィールとを首尾よく区別するものではなかった(データ示さず)。このことは、図1および図2に示したポジティブな結果が図1および図2に提示した2つの遺伝子セットに対して特異的であることの証拠を提供する。
ここで提示したデータに関して、以下の2つの主要な結論が存在する:(1)複数の遺伝子の発現プロフィールは、軽度のAD症例(平均でCDR 1.2〜1.5)と痴呆ではないコントロール症例との区別において有効であり、そして(2)本発明者らがAD末梢血サンプルとコントロール末梢血サンプルとの区別として記載する遺伝子分類は、発現がADの脳において変化することを示した遺伝子分類と同様である。血液細胞は、ADの分子機構における基礎調査を行うために使用され得る。このような研究から得られるデータは、治療分子の設計をもたらす。さらに、血液細胞は、治療剤の臨床試験において治療上の有効性をモニタリングし、そして個々の患者の処置の有効性をモニタリングするために使用され得る。
(2.複数の遺伝子の発現プロフィールは、アルツハイマー病の区別において有効である)
ADの大部分の包括的な臨床診断は、多くの評価を含む複雑で高価なプロセスである(McKhann Gら、Clinical diagnosis of Alzheimer’s disease:NINCDS−ADRDA Work Group under the auspices of Department of Health and Human Services Task Force on Alzheimer’s Diseaseの報告.Neurology、1984;34(7):939−944)。専門家によってでさえ、診断は、暫定的と見なされ、剖検における神経病理学的な確認に左右される。ADの中心において、臨床診断は、85〜90%の割合で、剖検による確認に至る(Gearing Mら、Neurology、1995;45(3 Pt l):461−466)。専門家によらない場合、剖検によって確認される診断の割合は、より低い。ADの診断の費用および困難性は、容易に試料採取され、かつ上首尾の、疾患の生物マーカーに対する調査をもたらした。記載されてきたいくつかの生物マーカーは、侵襲性(例えば、脊椎穿刺(Davidson Pら、J.Neural Transmission−General Section、1997;104(6−7):711−720))であるものを含むか、または高価な設備および専門知識を必要とする(Killiany RJら、Neurology、2002;58(8):1188−1196)。これらの手順は、調査研究において非常に有用であるが、これらは、慣習的で、大規模な診断上の使用に対する保障を提供しない。例えば、血液細胞(Nagy Zら、Neuroscience Letters、2002;317(2):81−84)、皮膚(Ikeda Kら、Dementia & Geriatric Cognitive Disorders、2000;ll(5):245−250)および尿(Pratico Dら、Archives of Neurology、2002;59:972−976)から容易に得られる末梢サンプル利用する他の試験が、記載されている(Padovani Aら、Archives of Neurology、2002;59:71−75)。さらなる研究は、薬理学的介入に対する応答を利用する、ADについての試験を記載した(Scinto LFら、Neurology、1999;52(3):673−674)。末梢組織に基づいたADサンプルとコントロールサンプルとの区別を指向したこれらの研究の多くは、ADサンプルとコントロールサンプルとの間の統計的に有意な相違を生じることに成功した。しかし、これらの研究において記載される試験の臨床上の有用性は、ADサンプルとコントロールサンプルとの間の有意な重複によって制限されている。本開示のデータは、この重複が、複数の変量の使用を行うことによって減少し得ることを示す。
脳における発現のプロファイリングは、複数のメッセージの発現の多変量解析がADの脳とコントロールの脳とを区別し得ることを示した(Chow Nら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA.、1998;95:9620−9625)。つい最近、複数の遺伝子の発現の多変量解析は、脳以外の組織の悪性サンプルと非悪性サンプルとを区別することに成功した(Welsh JBら、Proc.Nat.Acad.Sci.U.S.A.、2001;98(3):1176−1181)。本明細書中に提示されるデータにおいて、末梢血白血球から抽出した複数のメッセージ種の発現レベルにおける定量的データに分析を適用する工程は、ADサンプルとコントロールサンプルとの分別の促進をもたらした。さらに、PD症例由来の2つのサンプルは、ADサンプルおよびコントロールサンプルの両方と区別され、このことは、ADサンプルとコントロールサンプルとの間にもたらされる区別が、一般的な神経変性の特性以外の特性を区別していることを示唆した。
しかし、データは、非常に少数の症例の「分類を誤る」。誤分類の性質は、痴呆でないと臨床的に定義された19症例のうちの3症例が、AD症例の間に収まる値を生じたことである。本明細書中のデータは、ある程度のAD病理が存在する「症状発現前」の症例であるこれらの症例と合致する。このような示唆は、20%もの20歳代の者の脳がAD病理を示したことを実証するBraaksのデータ(Braak Hら、Neurobiology of Aging、1997;18(4):351−357)と一致する。これらのデータは、ADの拡大した症状発現前の段階の存在についての、従わざるを得ない議論を提供し、この段階の間には、明らかなADの病理が存在する。
ADに合致する値を与えたこれらのコントロール症例に加えて、コントロール症例の間に収まった、臨床的に定義された1つのAD症例(21のうち)が存在した。この症例についての存在する臨床的かつ病理学的なデータの検索は、本発明者らのサンプルにおいてこの症例と他のAD症例とを合理的に分別する特徴の区別を示さなかった。
無作為か、または他の特性(例えば、増殖因子)に基づいてかのいずれかで選択された遺伝子の他のセットは、細胞周期に関連する遺伝子セットおよび炎症系に関連する遺伝子セットによって可能である範囲ほど、ADサンプルとコントロールサンプルとを区別しない(データ示さず)。このことは、選択した遺伝子セットに基づく分離の本開示の知見が、本発明者らが利用した分析方法の人工産物でないことを示唆する。
ここで示したデータは、本明細書中に開示される遺伝子セットが臨床的に有用であり得ることを示唆し、そしてまた、本明細書中で考察される通り、脳と末梢血液細胞との間における分子的な事象の関連性を示唆する。
(3.ADの脳を区別し、また、AD血液サンプルを区別する遺伝子分類)
AD末梢血白血球とコントロール末梢血白血球とを区別することが本明細書中に示される遺伝子産物の分類がまた、ADの脳において変化した発現を有する遺伝子産物の分類に共通することに注目すべきである。確かに、ADの脳において影響を受ける選択したニューロン特異的な遺伝子産物(例えば、ニューロンに関連する遺伝子産物)(Callahan LMら、J.Neuropathology & Experimental Neurology、2002;61(5):384−395;Yao Pら、Neurobiology of Disease、2003;12:97−109)は、白血球に関与することが予期されない。しかし、ニューロン特異的でなく、ADの脳において変化した発現を有することが示された遺伝子産物が、存在する。ここで、特に注目される分子は、細胞周期に関連する分子(Arendt T、Neurobiology of Aging、2000;21(6):783−796;Vincent Iら、J.Neurosci.、1997;17:3588−3598;Nagy Zら、Neuroscience Letters、2002;317(2):81−84;Harris PLら、Neurobiology of Aging、2000;21(6):837−841;Wu Qら、Neurobiology of Aging、2000;21(6):797−806;Zhuら、Neurobiology of Aging、2000;21(6):837−841)および炎症系に関連する分子(Akiyama Hら、Neurobiology of Aging、2000;21(3):383−421ならびにBamberger MEおよびLandreth GE、Microscopy Research & Technique、2001;54(2):59−70)である。実際に、ADの脳における炎症系の最近の概要は、「炎症メディエーターの実質的な教科書は、最近15年わたり、アルツハイマー病の脳において観察された。」と記載する(Akiyama Hら、Neurobiology of Aging、2000;21(3):383−421)。実際に、脳以外のAD組織の研究は、血液細胞(Nagy Zら、Neuroscience Letters、2002;317(2):81−84;Scali Cら、Neurobiology of Aging、2002;23(4):523−530)および上皮細胞(Schmitz Aら、Histochemistry & Cell Biology、2002;117(2):171−180)を含む数種の組織における、細胞周期の遺伝子(Nagy Zら、Neuroscience Letters、2002;317(2):81−84;Stieler JTら、NeuroReport、2001;12(18):3969−3972)、ならびに炎症系遺伝子(Scali Cら、Neurobiology of Aging、2002;23(4):523−530;De Luigi Aら、Mechanisms of Ageing & Development、2001;122(16):1985−1995;Kusdra L.ら、Immunobiology、2000;202(l):26−33;Lombardi VRら、J.Neuroimmunology、1999;97(1−2):163−171;Remarque EJら、Experimental Gerontology、2001;36:171−176)の変化した発現を示した。
上記の研究は、末梢細胞および脳細胞の両方における遺伝子発現の選択した共通の変化が、一般的な全身性疾患の機構または血液と脳との間の一般的な関連の概念と一致し得ることを証明しなかった(Webster Sら、Biochemical & Biophysical Research Communications、1995;217:869−875;Kimberly WTら、J.Biol.Chem.、2001;276(43):40288−40292;Cao Xら、Science、2001 ;293(5527):115−120)。
上記データは、細胞周期の遺伝子および炎症の遺伝子の障害された発現が、神経系の内部および外部の両方で、多くの細胞型におけるADの病態生理において主要な役割を果たし得ることを示唆する。ADのさらなる神経病態生理学的な局面は、細胞周期(Busciglio Jら、Neuron、1995;14(4):879−888;Ferreira Aら、Molecular & Cellular Neurosciences、1997、9(3):220−234;Greenberg SMら、Proc.Nat.Acad.Sci.U.S.A.、1994;91(15):7l04−7108)および結果的な細胞骨格の破壊、細胞周期を首尾良く完了する有糸分裂後ニューロン(post mitotic neuron)の不能に対する応答のようなプログラムされた細胞死の変種、ならびに起炎性の負荷(challenge)に対する応答のような細胞死にも関連するキナーゼによるタウのリン酸化を含むこれらの中心的な事象の結果であり得る。
末梢白血球による複数の遺伝子の発現のRNAプロファイリング後の正準判別分析は、疾患における分子変化の分析のための生物学的手段およびアルツハイマー患者とコントロール患者との間の鑑別のための手段の両方に使用され得る。これらの方法はまた、多くの他の疾患を識別する可能性を示唆する。それは、特定の疾患を有する患者と他の疾患を有する患者との間の明確な判別を提供する個々の遺伝子(しかし、有意な相関を有する少数の遺伝子)の間の有意な相違ではなく、正しくは、多くの遺伝子の加重合計に基づく分析である。
末梢血白血球による遺伝子発現がADにおいて影響を受けるという知見は、全身性疾患としてのADの概念を補強する。さらに、末梢白血球において影響を受ける細胞周期および炎症の遺伝子分類が、ADの脳において影響を受ける遺伝子分類と類似することは、おそらくAPPペプチドによって惹起される脳および血液細胞におけるADの対応する分子機構を示唆し、そしてその分子機構と一致する共通点である。
(C.実施例2:炎症、細胞周期、およびストレスの転写物、ならびに末梢血白血球によるアルツハイマー病の分子的な区別)
(1.方法)
(a.患者の募集)
患者を、Geriatric Neurology and Psychiatry Clinic at Monroe Community Hospitalを介して募集した。インフォームドコンセントを行って以下の研究を開始した後、一連の痴呆の臨床試験についての情報を、患者から得た。
本明細書に示されるデータを、被験体の3つの異なる群由来の3つの独立したサンプルのセットから得た。これらのサンプルの各々からの白血球RNAを、抽出し、特注のcDNAアレイにハイブリダイズしそして異なる時間において分析した。サンプル1は、8つの初期AD症例および7つのコントロール症例から構成された。サンプル2は、8つの新たな初期AD症例および8つの新たなコントロール症例から構成された。サンプル3は、5つの新たな初期AD症例、4つの新たなコントロール症例および2つ(新規)の(痴呆を有さない)パーキンソン病症例から構成された。サンプルの特徴を表1〜3において要約する。合計で21の初期AD症例、19のコントロール症例、および2つのPD症例を、調査した。
(2.被験体)
本研究に含まれるAD被験体を、NINCDS(McKhann Gら、Neurology、1984;34(7):939−944)およびADについてのDSM IV診断基準に基づいて、ADであり得る(probable)か、またはADであると見込まれる(possible)と診断した。神経学者による実験を実施して、診断を確認し、そして疾患の重症度を測定した。疾患の重症度を、Mini−Mental Status Examination(MMSE)(Folstein MFら、J.Psychiatric Res.、1975;12(3):189−198)、Clinical Dementia Rating尺度(CDR;Hughesら、British J.Psychiatry、1982;140:566−572)、およびBlessed Dementia Rating Scale(BDRS;Blessedら、British J.Psychiatry、1968;114(512):797−811)を使用して評価した。本研究に含まれるコントロール被験体は、MMSEにおいて27を上回って得点した一方で、AD症例は、22を下回って得点した。3つのサンプルの各々におけるAD症例の平均CDRは、1.2〜1.5の範囲であった。これらは、剖検によって確認した症例ではなかったので、各症例の特定した疾患のカテゴリーへの割り当ては、臨床診断の正確度に依存する。出血素因または凝固障害の履歴を有する任意の被験体を、除外した。血液サンプルを、瀉血士によって引き出し、そしてRNA単離のために処理するまで(8時間未満)、4℃に保存した。
(3.全血サンプルからのRNAの単離)
白血球からポリA−RNAを抽出するために、血液のためのmRNA単離キット(Roche)を、利用した。簡単にいうと、赤血球を、選択的に溶解し、そして白血球を、遠心分離によって回収した。次いでこの白血球を、溶解し、そしてその全核酸を、磁性ガラスビーズへの非特異的な吸着および磁気分離によって回収した。一連の磁性ガラスビーズを洗浄し、そしてその磁性ガラスビーズから核酸を溶出させた後、mRNAを、ビオチン標識したオリゴ(dT)およびストレプトアビジンでコーティングした磁性粒子を使用して特異的に捕捉した。洗浄によって他の核酸(DNA、rRNA、tRNA)を除去した後、mRNAサンプルを、回収し、そして後に使用するまで−80℃に保存した。サンプルの濃度および純度を、OD260/280によって確認した。任意のRNA単離手順を使用し得ることが、理解される。
(4.cDNAアレイの構築)
アレイ中に示されるcDNAクローンを、先のマイクロアレイ研究(例えば、Chowら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA.1998;95:9620−9625) およびAD調査の分野における目的のcDNAのサブセットに基づいて選択した。National Center for Biotechnology Information のdbESTデータベースを、関連する3’cDNAクローンについて検索した。この研究に使用したcDNAクローンは、多くの研究者からの寄贈品であったか、またはI.M.A.G.E.Consortium cDNAクローンの配給業者からのcDNAクローンであった。172個の転写物が、アレイ中に示された。
cDNAクローンの全てを、それの同一性を確認するために独自に配列決定した。それぞれの直鎖状cDNAの1マイクログラムを、0.2N NaOH/0.2mM EDTA中で37℃にて30分間変性させた。このサンプル容量を、0.3M NaOAc(pH4.5)によって中和した。これらのcDNAを、先に記載される通り、96ピンレプリケーター(Nalge Nunc)を使用し、各cDNAを4回スポットしてナイロンメンブレン(Micron Separations)上に直ちにプリントした(Chow Nら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.1998;95:9620−9625)。このメンブレンを、RNAプローブを添加する前に、ハイブリダイゼーション溶液(50%ホルムアミド/5×SSPE/5×Denhardt溶液/0.1% SDS/10%デキストラン硫酸/50μg/mlの変性サケ精子DNA/100μg/mlのtRNA)中で42℃にて3時間プレハイブリダイズした。42℃で一晩インキュベートした後、ブロットを、2×SSC/0.1% SDS中で55℃にて1時間洗浄し、2×SSC/0.1% SDS/10μg/mlのRNAse A中で37℃にて1時間洗浄し、そして2×SSC/0.1% SDS中で37℃にて1時間洗浄した。次いでメンブレンを、ストレージホスファスクリーンに露出した。
(5.データ取得および分析)
各ドットのハイブリダイゼーション強度を、レーザーデンシトメトリースキャン(Phosphoimager、Molecular Dynamics)によって検出した。ホスホイメージャー分析によって得た各スポットについての値(計数)を、局所のバックグラウンドを使用して補正した。アレイ中の各スポットに沈着したcDNAの量を、全ベクター中に存在するT7プロモーターに特異的なオリゴヌクレオチドを用いてこのメンブレンをストリップし、そして再プローブすることによって定量化した。これらのデータは、このメンブレン上のcDNAの沈着における潜在的なスポット間の相違に対する補正を提供した。アレイにわたる正確な比較を確保するために、シグナルを、各RNAサンプルに対してアレイ中の全てのマーカー(cDNA)の平均を使用して正規化した。得られた標準化したデータを、2つの単変量試験および1つの多変量試験よって分析した。この単変量試験は、t検定およびN検定であった。後者のN検定は、複数の検定の推論ための、新たに考案された本質的にノンパラメトリックな検定である(ht1p://www.urmc.rochester.edu/smd/biostat/people/techreports.htmlのTechnical Report 04/01)。多変量の統計学的検定は、正準判別分析に依存する。この多変量解析を、SAS Institute,Inc.(Cary,NC)製のSAS/STATTMソフトウェア上で行った。この分析は、群を最もよく区別する変量(メッセージ)を決定し、そして各変量に対して重みを割り当てる。第1の正準変量は、群の間の最良の区別を提供する。第2の正準変量は、正準変量1によっては不明なままである残りの分散に効果がある。さらなる繰り返しが、漸減する効果を伴って可能である。
(D.結果)
多変量の正準分析からの妥当な結果は、分析した変量(この場合においてはメッセージ)の数が、使用した症例(被験体)の数より小さいことが必要である(Kshirsager,AM.Multivariate Analysis.New York:Dekker,M.、1972)ので、メッセージを、合計172個の研究した転写物から、7個または8個のメッセージのサブセットへと形成した。形成したサブセットの3つは、ADの脳において影響を受け、AD白血球においても影響を受けることが公知である系を特定した仮説に基づいた。転写物のこれらの3つのセットは、細胞ストレス(特に、酸化的ストレス)、炎症系、または細胞周期/アポトーシスのいずれかに関連するものであった。2つの他のサブセットを、形成した。一方は、t検定における有意性に匹敵した転写物から構成され、そして一方は、使用した分析法に由来する誤った結果に対するコントロールとして無作為に選択した転写物から構成された。次いでこれらの転写物セットを利用して、初期AD被験体およびコントロール被験体の3つの独立したサンプルから得たデータを分析した。正準分析から得られるAD症例とコントロール症例との間の分別の統計的有意性を、Wald−Wolfowitzの連の検定(Siegel S、Nonparametric Statistics、McGraw−Hill、New York、N.Y.1956:1−312)によって評価した。
t検定による単変量解析は、ADサンプルとコントロールサンプルとの間で統計学的に有意に相違する3つの転写物を示した。これらは、以下であった:α−1抗キモトリプシン、クリスタリンおよびシクロオキシゲナーゼII。N検定分析による単変量解析は、ADとコントロールとの間の統計学的に有意な相違に匹敵する1つの転写物を示した。これは、ERCC6であった。これらの単変量の統計のいずれかによって示された転写物の全ては、有意な重複を伴わずにADとコントロールとを区別するために、それ自体で十分なものではない。
しかし、多変量の正準判別分析は、初期アルツハイマー病被験体の末梢血白血球とコントロール被験体の末梢血白血球との間の優れた区別を供給し得た。第1の研究は、細胞ストレス、炎症系および細胞周期/アポトーシスに関連する転写物のセットの正準判別分析が最小限の重複を伴ってADとコントロールサンプルとを区別し得たことを証明した。各プロットのそれぞれの点は、1個体についての集成「値(score)」[正準変量1]を表す。この値を、選択した8〜10個の転写物多変量の正準判別分析によって決定して、細胞ストレス(例えば、α−1抗キモトリプシン、HSP 27、HSP 90、クリスタリン、GAPDH、フェリチンH、フェリチンL、cox 1、cox 2、およびトランスフェリン)(図3Aを参照のこと)、炎症(例えば、C5、C1インヒビター、IL−17r、IL−8、LIF、TNF−α、およびIL−10r)(図3Bを参照のこと)、または細胞周期(例えば、サイクリンD1、サイクリンB、サイクリンG1、weel、hTR2、CDC25b、GSK3β、およびタンパク質キナーゼCα)(図3Cを参照のこと)を表した。t検定の有意性に基づいて選んだか、または無作為に選択した2つの転写物セットは、初期AD症例とコントロール症例とを、はっきりと区別しなかった(データ示さず)。
新規の重複しない被験体のセットによる再現は、細胞ストレス、炎症系および細胞周期/アポトーシスに関連する転写物セットが、再び初期AD症例とコントロール症例とを区別し得たことを裏付けた(図4)。その後、新規のさらなる被験体のセットを募集し、白血球を回収し、mRNAを抽出し、そして新たなアレイにハイブリダイズした。再び、この再現は、細胞ストレス、炎症系および細胞周期/アポトーシスに関連する転写物サブセットが初期AD症例とコントロール症例とを区別し得たことを裏付けた(図5)。
それぞれの再現研究において、t検定の有意性に基づいて選んだか、または無作為に選択した他の2つの転写物セットは、初期AD症例とコントロール症例とを、はっきりと区別しなかった。図3〜図5のこれらの9つのプロットは、疾患のカテゴリーの一般的に優れた区別が、群間でほとんど重複を伴わずに達成され得ることを示す(初期ADとコントロールとの区別がp<0.01のレベルを超えて有意である(Wald−Wolfowitzの連の検定))。この分析が、2つのパーキンソン病症例と、初期AD症例およびコントロール症例とを区別したことに留意すべきである。
(1.脳におけるADを区別し、また、AD血液サンプルを区別する遺伝子分類)
実施例1と同様に、AD末梢血白血球とコントロール末梢血白血球とを区別することが本明細書中に示される遺伝子産物の分類はまた、ADの脳において変化した発現を有することが公知である遺伝子産物の分類に共通するものである。調査した転写物の3つの分類は、同様に良好に機能しなかったようである。細胞ストレスおよび炎症系に関連する転写物は、疾患状態の転写物の区別と完全に一致したが、細胞周期の転写物は、あまり一致しなかった。それでもなお、このデータは、末梢細胞の発現プロフィールの多変量解析がアルツハイマー病の分子現象の研究に使用され得ることを示唆する。
選択したADの神経病理学的/神経生物学的な局面は、細胞周期の事象、細胞ストレスの事象、および炎症の事象の変化した発現の結果であり得、これらの全ては、細胞の寿命において中心的である。1つの例として、Aβによる細胞周期のキナーゼの活性化は、細胞分裂に必要とされる細胞骨格の分解をもたらす、タウのリン酸化を生じる(Busciglioら、Neuron.1995;14(4):879−888;Greenbergら、Proc.Nat.Acad.Sci.U.S.A.、1994;91(15):7104−7108)。次いで、細胞骨格分解は、神経突起の維持、輸送およびシナプスの支持に対する結果をもたらす。
ここで示したデータは、使用した遺伝子分類が、診断(おそらく、初期、症状発現前または前駆の(antecedent)診断でさえ)および治療上の有効性のモニタリングを含む種々の方法において、臨床的に有用になり得ることを示唆する。さらに、遺伝子産物の同様の分類が脳および血液の両方において影響を受けることの証拠は、末梢血細胞が、一般に、アルツハイマー病または神経変性性疾患の、選択される基本的な分子および細胞の生物学的機構の研究において、脳細胞の代理として機能し得ること許容する。ここで提示したデータは、ADおよびPDにおいて、類似する系が脳および血液の両方において影響を受け、それらが細胞の両方の分類において完全に等しく挙動することを必要としないことを示す。
(2.アレイデータの分析)
アレイデータから抽出され得る意義は、アレイの仕様および使用する分析方法に依存する。標的とされるアレイと使用する分析法との組み合わせを、ADの脳において影響を受けることが公知である基本的な細胞生物学に関連する選択した分子系がまた、末梢血白血球において影響を受けることが見出されるという仮説を検証するために設計した。特に、炎症系、細胞のストレス、および細胞周期/アポトーシスに関連する転写物に集中した。従って、本明細書中で使用した標的とされるアレイを、これらの3つの系の各々に関連する複数のプローブを含むように設計した。個々の転写物のAD/コントロールの相違を試験するために設計した分析法を重視するよりもむしろ、複数の転写物の同時使用を行うことによって、ADとコントロールとの間の遺伝子発現のプロフィールの相違を試験し得る分析の方法を使用した。正準判別分析の伝統的な方法を、選択した。この方法は、これらの群を最も良く識別する変量(転写物)のセットを見出すために、2つ(またはそれ以上)の群の存在の知識の使用を行う。この分析は、各転写物に重みを割り当て、そしてこれらの重みは、各被験体についての「スコア」(例えば、正準変量)を計算するために使用される。この分析は、上に記載したような分析であり、そしてこの分析を、SAS/STATTMソフトウェアを用いて行った。それは、図3〜図5に示すこの値である。
遺伝子発現のプロフィールによって疾患を区別する効果における多変量の統計的方法の値は、脳ではない疾患(卵巣癌、Welshら、Proc.Nat.Acad.Sci.U.S.A.、2001;98(3):1176−1181)、および脳の疾患(Tangら、2004)の両方の区別を含む種々の研究において示されている。この後者の研究は、血液サンプルに由来する転写物の発現プロフィールに基づいて、3つの神経学的状態(結節硬化症複合体2、神経線維腫症1型、およびダウン症候群)を識別した。それらは、「それぞれの疾患は、分類器によって正確に区別され得る血液における独特な遺伝子発現パターンに関連していた。」と記載する。提示するデータは、個々の遺伝子異なる発現レベルが、多くの場合、疾患状態の区別において、多くの遺伝子産物の加重合計に基づく分析ほど強力ではないことを強調する。アレイデータの解釈は、発展中の活動であり続ける。
(3.血液細胞および脳細胞に対する共通の効果の機構)
末梢血白血球による遺伝子発現が、脳における事象について連想させる様式でアルツハイマー病において変化するという事実は、末梢血エレメントと脳との間の連絡によって説明され得る(例えば、Hickey WFら、1991;概説については、Hickey、1999を参照のこと)。さらに、このような交流に対する血液脳関門の透過性は、Aβペプチドを含む種々の因子によって増強されることが示されており(例えば、Farkas IGら、2003)、そして選択されたAβペプチドは、ADにおける末梢循環において増加することが示されている(概説については、Irizarry MC、2004を参照のこと)。それは、血液中のAβペプチドの供給源として血液と脳との間の連絡のみに依存する必要はない。なぜなら、血液細胞それ自体(特に、血小板)が、ADにおいてAPP、BACEおよび他の成分を異なって発現する(例えば、Colciaghiら、2004;Baskinら、2000;Liら、1999;Rosenbergら、1997)からである。これは、血液と脳との間の連絡以外(またはそれに加えて)の機構が末梢細胞に対するADの効果の調節において重要な役割を果たし得ることを示唆する。循環系におけるAβペプチドの存在は、妥当であり得るが、血管系の外の他の末梢細胞(線維芽細胞が挙げられる)が、APP系の成分を発現し、そしてADサンプルとコントロールサンプルとの間の相違を示す(Emilianiら、2003;Ikedaら、2000;Zhaoら、2002;Scaliら、2002;概説についてはEtcheberrigarayら、1996;Gibsonら、1996ならびにGibsonおよびHuang、2002を参照のこと)。これらのデータは、その主要な臨床上の発現が脳に対するADの効果から生じる全身性疾患としてのADの概念と一致する。
本明細書中に開示されるように、末梢血白血球によって発現される、炎症、細胞ストレスおよび細胞周期/アポトーシスに関連する転写物の多変量解析は、初期AD症例とコントロール症例とを区別し得る。数種の他の結論が、導かれる:(1)AD白血球とコントロール白血球とを区別し得ることが本明細書中で示される転写物の分類は、ADの脳において影響を受けることが公知である転写物の分類に類似する;(2)これらのデータは、ADの初期(おそらく、症状発現前、前駆)の診断についての可能性、ならびに疾患の進行および治療上の有効性についてのモニタリング可能性を有し得る。
(E.実施例3:末梢血白血球による、パーキンソン病の分子的な区別)
パーキンソン病のタンパク質分析は、13人のパーキンソン病(PD)患者および9人の歳が同じのコントロール患者を含む患者集団を同定した。新鮮な全血を引き出し、赤血球を溶解し、そして白血球を収集した。白血球のタンパク質濃度を測定し、そしてタンパク質の完全性を、SDS−PAGE電気泳動を行い、次いでCoomassieブルー染色を行うことによって決定した。当量の白血球タンパク質溶解物を、2Dゲル電気泳動に供した。ゲルを、銀染色し、乾燥し、そしてレーザーデンシトメーターによってスキャンし、次いで限定したコンピューターによる比較(limited computerized comparison)を行った(図6)。PD患者とコントロール患者との間の強度が異なるタンパク質スポットを、Progenesis Discoveryソフトウェア(Nonlinear USA,Inc.;Durham,NC)を使用して同定した。差の測定値は、統計学的検定に従った。17個のスポットを、コントロールと比較して、パーキンソン病の増進または減少のいずれかとして同定した。異なって発現したスポットを、二重のCoomassieブルー染色したゲルから穿孔し、そしてゲル内でのトリプシン消化に供した。単離したタンパク質を、MALDI−TOF質量分析を行い、次いで公然のタンパク質データベースとの比較を行った後に同定した(表6および図6)。
(表6:パーキンソン病患者とコントロール被験体との間で異なる、先に同定されたタンパク質)
Figure 2008506415
(F.実施例4:アルツハイマー病についての処置を受ける患者において異なって発現した生物マーカーの同定)
研究を、バルプロ酸反応性タンパク質を同定するために行った。軽度から中程度のアルツハイマー病を有する15人の患者を、ジバルプロックスナトリウム処置の前(ベースライン)およびその4週間後に調べた。図9は、この研究に参加した患者のいくつかの特徴を示す。末梢血サンプルを、ベースラインおよび処置の開始の4週間後において、標準的な静脈穿刺を使用して、10mlのラベンダートップチューブ(lavender top tube)に回収した。サンプルを、赤血球細胞を選択的に溶解し、次いでこのサンプルの遠心分離を行い、白血球ペレットを保持し、そして−80℃に保存することによって、白血球タンパク質について処理した。
二次元(2D)ゲル分析の前に、サンプルを、氷上で素早く解凍し、そして標準的な可溶化緩衝液を使用して溶解した。タンパク質濃度を測定し、そしてタンパク質の完全性を、SDS−PAGE電気泳動を行い、次いでCoomassieブルー染色を行うことによってアッセイした。等量の白血球タンパク質溶解物を、2Dゲル電気泳動に供し、そしてゲルを、銀染色し、乾燥し、そしてレーザーデンシトメーターによってスキャンし、次いで限定したコンピューターによる比較を行った。図10を参照のこと。異なって発現したタンパク質スポットを、Progenesis Discoveryソフトウェア(Nonlinear Dynamics,Durham,NC製)および統計学的検定を使用して同定した。9個のスポットを、バルプロ酸療法における患者中の増加または減少のいずれかとして同定した。異なって発現したスポットを、二重のCoomassieブルー染色したゲルから穿孔し、そしてゲル内でのトリプシン消化に供し、そしてMALDI−TOF質量分析(図11を参照のこと)および公然のタンパク質データベースとの比較を使用して同定した。同定した9つの生物マーカーを、図12に列挙し、そして記載する。これらの9つの生物マーカーは、アクチン相互作用タンパク質1(AIP1)、マイトジェン活性化タンパク質キナーゼI(MAPKI)、アクチンもしくはそれらのフラグメント、アネキシンA1、14−3−3タンパク質ε、グルタルアルデヒド−3−ホスフェートデヒドロゲナーゼ(GAPDH)、トランスフォーミングタンパク質RhoA、ロイシンが豊富な酸性の核リンタンパク質32ファミリーのメンバーB(ANP32BまたはAPRIL)、またはペルオキシレドキシンIIを含む。
これらの結果は、生物学的な白血球を含有する生物学的サンプルが、アルツハイマー病についての治療に対する患者の応答をモニタリングするのに有用である生物マーカーを同定するために使用され得ることを示す。
(G.実施例5:インビトロの白血球を使用する、異なって発現したタンパク質の確認)
9つの標的のうちの3つを、バルプロ酸の存在下において2日間インビトロで培養したヒト白血球を使用して確証した。簡単にいうと、ヒト白血球を、痴呆ではない(コントロール)被験体から培養し、そして培養の開始と同時に種々の濃度(0〜5mM)のバルプロ酸に供した。白血球タンパク質を、SPS−PAGE電気泳動および上記標的に対する抗体を使用したウェスタンブロッティングに供した。上記タンパク質のうちの3つに対して、バルプロ酸処置は、最初の2Dゲル研究において観察された変化を繰り返した(図12)。
培養した白血球におけるアネキシンA1およびAPRILの発現レベルは、バルプロ酸処置に対する応答において用量依存性の様式で減少した。これらの結果は、バルプロ酸(VPA)によって処置した患者におけるアネキシンA1およびAPRILの発現の観察された減少と一致する。再び、実施例4の結果と一致して、ペルオキシレドキシンIIの発現レベルは、培養した白血球中で、VPA処置に対する応答において用量依存性の様式で増加し、この増加は、約1.0mMのVPAに対する応答において発現のピークを有した。試験した生物マーカーのうち、培養した白血球におけるアクチンの発現のみが、VPA処置患者において観察された発現パターンの変化を追跡できなかった。
これらの結果は、VPA処置したアルツハイマー病患者において同定した候補生物マーカーの(少なくともいくつか、そしておそらく、ほとんどの)発現パターンは、人工産物ではなかったことを示す(use indicate)。それらの結果は、異なる定量技術を使用して評価したところ、培養した細胞における生物マーカーの発現パターンと相関したからである。
種々の改変および変形が本発明の範囲または精神から逸脱することなく本発明においてなされ得ることは、当業者に明らかである。本発明の他の実施形態は、本明細書の検討および本明細書中に開示された発明の実施によって、当業者に明らかである。本明細書および実施例は、添付の特許請求の範囲によって示される発明の真の範囲および精神を含む単なる例示として見なされることが意図される。
Figure 2008506415
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添付の図面は、本明細書に組み込まれ、そして本明細書の一部を構成し、いくつかの実施形態を例示し、そして開示される組成物および方法を説明と一緒に例示する。
図1Aは、第1の研究についての標準変量1および標準変量2のプロットである。このプロットの標準変量ならびに図1Bおよび図1Cの標準変量は、細胞周期関連のメッセージ(サイクリンD1、サイクリンB、サイクリンG1、wee1、hTR2、CDC25b、GSK3β、およびプロテインキナーゼCα)に対するデータから導かれた。アルツハイマー疾患(「AD」)症例とコントロール(「Con」)症例との間の差異についてのWald−Wolfowitz実行テストは、p<0.05。包含されるこれらの症例は、表1に示される。
Figure 2008506415

図1Bは、第2の研究についての標準変量1および標準変量2のプロットである。このプロットの標準変量は、図1Aと同じ細胞周期関連のメッセージに対するデータから導かれた。AD症例とCon症例との間の差異についてのWald−Wolfowitz実行テストは、p<0.05。包含されるこれらの症例は、表2に示される。
Figure 2008506415

図1Cは、第3の研究についての標準変量1および標準変量2のプロットである。このプロットの標準変量は、図1Aと同じ細胞周期関連のメッセージに対するデータから導かれた。AD症例とCon症例との間の差異についてのWald−Wolfowitz実行テストは、p<0.05。包含されるこれらの症例は、表3に示される。
Figure 2008506415

図2Aは、第1の研究についての標準変量1および標準変量2のプロットである。このプロットの標準変量は、炎症系関連のメッセージ(C5、C1インヒビター、C5a、補体C3、シクロオキシゲナーゼ、IL17、IL8、LIF、TNFαおよびIL10r)に対するデータから導かれた。AD症例とCon症例との間の差異についてのWald−Wolfowitz実行テストは、p<0.05。包含されるこれらの症例は、図1Aと同じであった。 図2Bは、第2の研究についての標準変量1および標準変量2のプロットである。このプロットの標準変量は、図2Aと同じ炎症系関連のメッセージに対するデータから導かれた。AD症例とCon症例との間の差異についてのWald−Wolfowitz実行テストは、p<0.05。包含されるこれらの症例は、図1Bと同じであった。 図2Cは、第3の研究についての標準変量1および標準変量2のプロットである。このプロットの標準変量は、図2Aと同じ炎症系関連のメッセージに対するデータから導かれた。AD症例とCon症例との間の差異についてのWald−Wolfowitz実行テストは、p<0.05。包含されるAD症例およびコントロール症例は、図1Cと同じであった。これには2つのパーキンソン病(「PD」)症例が追加された。 図3は、8人のAD被験体および7人のコントロール被験体の最初の組(表1を参照のこと)についての第1の標準変量のプロット群である。多変量分析における細胞周期に関連の転写物は:サイクリンD1、サイクリンB、サイクリンG1、wee1、hTR2、CDC25b、GSK3β、およびプロテインキナーゼCαであった。多変量分析における炎症系関連の転写物は:C5、C1インヒビター、IL−17r、IL−8、LIF、TNF−αおよびIL−10rであった。多変量分析における細胞ストレス関連の転写物は:α−1抗キモトリプシン、HSP27、HSP90、クリスタリン、GAPDH、フェリチンH、フェリチンL、cox1、cox2、およびトランスフェリンであった。3つ全てのプロットにおいて、初期AD症例とコントロール症例との間の差異についてのWald−Wolfowitz実行テストは、p<0.05。 図4は、第2の組の被験体(8人のADおよび8人のコントロール;表2を参照のこと)についての第1の標準変量のプロット群である。転写物は図3と同じものである。3つ全てのプロットにおいて、初期AD症例とコントロール症例との間の差異についてのWald−Wolfowitz実行テストは、p<0.05。 図5は、第3の組の被験体(5人のAD、5人のコントロールおよび2人のPD)についての第1の標準変量のプロット群である。転写物は図3と同じものである。3つ全てのプロットにおいて、初期AD症例とコントロール症例との間の差異についてのWald−Wolfowitz実行テストは、p<0.05。 図6は、銀染色した2D電気泳動ゲルである。2つの独立したヒト白血球細胞サンプルの異なるイメージは、一方のサンプル中にのみ存在するが他方には存在しないスポットを示す。 図7は、示差的に発現された単離されたタンパク質のMALDI−TOF質量分析である。 図8は、コントロール(「CTL」)被験体およびパーキンソン病被験体の全集団由来の末梢白血球タンパク質スポットの示差的な発現を示す1連のグラフである。コントロール被験体(n=12)およびPD(n=12)の全集団由来のスポットの部分集合は、白血球プロテオームの示差的に発現されてたスポットを同定する能力を実証する。 図8は、コントロール(「CTL」)被験体およびパーキンソン病被験体の全集団由来の末梢白血球タンパク質スポットの示差的な発現を示す1連のグラフである。コントロール被験体(n=12)およびPD(n=12)の全集団由来のスポットの部分集合は、白血球プロテオームの示差的に発現されてたスポットを同定する能力を実証する。 図9は、実施例4に記載される実験における研究参加者の平均の基底の特徴を示すチャートの一部である。 図10A、10B、10Cおよび10Dは、銀染色されて乾燥された二次元(2D)タンパク質ゲルの4枚のスキャンした画像である。図10Aは、バルプロエート(VPA)による処置の前にアルツハイマー患者から得た白血球に発現されるタンパク質のレベルを示す画像である。図10Bは、VPA処置を開始した4週間後の同じ患者からの白血球に発現されるタンパク質を示す画像である。図10Cおよび図10Dは、タンパク質スポット検出ソフトウェアを使用して画像が処理された後の図10Aおよび図10Bそれぞれの画像の拡大版である。図10Cおよび図10Dにおいて#278と標識したスポットは、VPA処置前およびVPA処置後の示差的に発現されるタンパク質のスポットである。 図11は、本明細書中に開示される方法を使用して同定されてた生物マーカーの例を列挙するチャートである。 図12は、培養された白血球における4種の候補生物マーカーの発現に対する指示されるVPA濃度の効果を定量する4つのヒストグラムの組である。VPA処置患者における生物マーカーとして同定される4種のタンパク質のうちの3種はまた、VPAの用量を増加させながらの処置に応答した発現の変化を実証する。

Claims (74)

  1. 被験体において神経変性性疾患を診断する方法であって、該方法が、以下:
    a.該診断される被験体由来の白血球もしくはその溶解物を含むサンプルにおける1種以上の選択した生物マーカーの発現または活性のレベルを評価する工程;および
    b.該選択した生物マーカーの発現または活性のレベルを、参照基準と比較する工程であって、該参照基準は、1個体以上のコントロール被験体中の該選択した生物マーカーの発現または活性のレベルを示す、工程
    を包含し、ここで該コントロール被験体が神経変性性疾患を有する場合、該選択した生物マーカーの発現のレベルと、該参照基準との間の類似性は、該診断される被験体が該神経変性性疾患を有することを示し、そして該コントロール被験体が該神経変性性疾患を有さない場合、該選択した生物マーカーの発現のレベルと、該参照基準との間の相違は、該診断される被験体が該神経変性性疾患を有することを示す、方法。
  2. 前記診断される被験体が、ヒトである、請求項1に記載の方法。
  3. 前記サンプルが、血液サンプルである、請求項1に記載の方法。
  4. 前記サンプルが、白血球の実質的に純粋な集団またはその溶解物を含む、請求項3に記載の方法。
  5. 前記白血球が、好中球、単球、好塩基球、リンパ球、好酸球、またはそれらの任意の組み合わせである、請求項4に記載の方法。
  6. 前記選択した生物マーカーが、HSP60、ジヒドロリポアミドデヒドロゲナーゼ、ER−60プロテアーゼ、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ、ATPシンターゼβ鎖、アネキシンI、14−3−3ε、プロヒビチン、ホスホグリセレートムターゼ1、アポリポタンパク質AI、スーパーオキシドジスムターゼ、RNA結合タンパク質調節サブユニット、チェーンAチオレドキシンペルオキシダーゼB、RAS関連タンパク質RAP 1B、腫瘍拒絶抗原、ハプトグロビン、フィブリンβ、またはそれらの組み合わせを含む1種以上のタンパク質である、請求項1に記載の方法。
  7. 前記選択した生物マーカーが、サイクリンD1、サイクリンB、サイクリンG1、wee1、hTR2、CDC25b、GSK3β、プロテインキナーゼCα、C5、C1インヒビター、IL−17r、IL−8、LIF、TNF−α、IL−10r、α−1抗キモトリプシン、HSP 27、HSP 90、クリスタリン、GAPDH、フェリチンH、フェリチンL、cox 1、cox 2、トランスフェリン、またはそれらの組み合わせを含む1種以上の転写物である、請求項1に記載の方法。
  8. 前記選択した生物マーカーが、27,100の分子量および7.58の等電点、25,400の分子量および6.2の等電点、27,600の分子量および5.92の等電点、またはそれらの組み合わせを有するタンパク質を含む1種以上のタンパク質である、請求項1に記載の方法。
  9. 前記発現または活性のレベルを評価する工程が、ウェスタンブロット、免疫沈降、酵素結合免疫測定法(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、蛍光細胞分析分離(FACS)、二次元ゲル電気泳動、質量分析(MS)、マトリックス支援レーザー脱離/イオン化飛行時間型MS(MALDI−TOF)、表面増強レーザー脱離イオン化飛行時間(SELDI−TOF)、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、高速タンパク液体クロマトグラフィー(FPLC)、多次元液体クロマトグラフィー(LC)後のタンデム型質量分析(MS/MS)、タンパク質チップ発現分析、遺伝子チップ発現分析、またはレーザーデンシトメトリーを含む1つ以上の技術によって1種以上の選択した生物マーカーを分析する工程を包含する、請求項1に記載の方法。
  10. 前記発現または活性のレベルを評価する工程が、多変量正準分析を行う工程を包含する、請求項1に記載の方法。
  11. 前記診断される被験体と前記コントロール被験体とが、同じ歳である、請求項1に記載の方法。
  12. 神経変性性疾患の処置のための治療剤についてスクリーニングする方法であって、該方法が、以下:
    a.白血球または白血球の集団と、スクリーニングされる該薬剤とを接触させる工程;および
    b.該神経変性性疾患についての生物マーカーの発現または活性のレベル、該神経変性性疾患の処置のための治療剤を示す該生物マーカーの発現もしくは活性のレベルの増加または減少を検出する工程、
    を包含する、方法。
  13. 前記生物マーカーが、前記神経変性性疾患においてダウンレギュレートされる1種以上の遺伝子またはタンパク質であり、そして前記薬剤が、遺伝子もしくはタンパク質の発現または活性のレベルを増加させる、請求項12に記載の方法。
  14. 前記生物マーカーが、前記神経変性性疾患においてアップレギュレートされる1種以上の遺伝子またはタンパク質であり、そして前記薬剤が、前記遺伝子もしくはタンパク質の発現または活性のレベルを減少させる、請求項12に記載の方法。
  15. 請求項12に記載の方法であって、前記治療剤が、ニューロン中の前記生物マーカーの発現または活性のレベルを変化させるか否かを決定する工程をさらに包含する、方法。
  16. 前記ニューロンが、ドパミン作動性ニューロンである、請求項12に記載の方法。
  17. 請求項12に記載の方法であって、前記治療剤が、前記神経変性性疾患の動物モデルにおいて、該神経変性性疾患の発症を予防するか否か、または該神経変性性疾患の進行を遅らせるか否かを決定する工程をさらに包含する、方法。
  18. 前記動物モデルが、MPTPモデルである、請求項12に記載の方法。
  19. 前記動物モデルが、6−OHDAモデルである、請求項12に記載の方法。
  20. 前記白血球が、好中球、単球、好塩基球、リンパ球、好酸球、またはそれらの任意の組み合わせである、請求項12に記載の方法。
  21. 前記生物マーカーが、HSP60、ジヒドロリポアミドデヒドロゲナーゼ、ER−60プロテアーゼ、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ、ATPシンターゼβ鎖、アネキシンI、14−3−3ε、プロヒビチン、ホスホグリセレートムターゼ1、アポリポタンパク質AI、スーパーオキシドジスムターゼ、RNA結合タンパク質調節サブユニット、チェーンAチオレドキシンペルオキシダーゼB、RAS関連タンパク質RAP 1B、腫瘍拒絶抗原、ハプトグロビン、フィブリンβ、またはそれらの組み合わせを含む1種以上のタンパク質である、請求項12に記載の方法。
  22. 前記生物マーカーが、サイクリンD1、サイクリンB、サイクリンG1、wee1、hTR2、CDC25b、GSK3β、プロテインキナーゼCα、C5、C1インヒビター、IL−17r、IL−8、LIF、TNF−α、IL−10r、α−1抗キモトリプシン、HSP 27、HSP 90、クリスタリン、GAPDH、フェリチンH、フェリチンL、cox 1、cox 2、トランスフェリン、またはそれらの組み合わせを含む1種以上の転写物である、請求項12に記載の方法。
  23. 前記生物マーカーが、27,100の分子量および7.58の等電点、25,400の分子量および6.2の等電点、27,600の分子量および5.92の等電点、またはそれらの組み合わせを有するタンパク質を含む1種以上のタンパク質である、請求項12に記載の方法。
  24. 前記薬剤が、核酸、抗体、ポリペプチド、または低分子である、請求項12に記載の方法。
  25. 被験体における神経変性性疾患の進行をモニタリングする方法であって、該方法が、複数の時点において該被験体から得られた白血球またはその溶解物を含むサンプル中の該神経変性性疾患についての生物マーカーの発現または活性のレベルを比較する工程を包含する、方法。
  26. 前記被験体が、ヒトである、請求項25に記載の方法。
  27. 前記被験体が、前記複数の時点の1つ以上において前記神経変性性疾患について無症候性であるか、または症状発現前である、請求項25に記載の方法。
  28. 前記被験体が、前記複数の時点の1つ以上においてか、または該複数の時点の1つ以上の前に、前記神経変性性疾患に対する処置を受けなかった、請求項25に記載の方法。
  29. 前記被験体が、前記複数の時点の1つ以上においてか、または該複数の時点の1つ以上の前に、前記神経変性性疾患に対する処置を受けた、請求項25に記載の方法。
  30. 前記被験体が、ドーパミンアゴニストによって処置された、請求項25に記載の方法。
  31. 前記被験体が、前記複数の時点の1つ以上においてか、または該複数の時点の1つ以上の前に、レボドパによって処置された、請求項29に記載の方法。
  32. 前記被験体が、前記複数の時点の1つ以上においてか、または該複数の時点の1つ以上の前に、神経保護剤によって処置された、請求項29に記載の方法。
  33. 前記神経保護剤が、アセチルコリンエステラーゼインヒビター、グルタミン酸作動性レセプターアンタゴニスト、HDACインヒビター、抗炎症剤、またはジバルプロックスナトリウムである、請求項32に記載の方法。
  34. 前記生物マーカーが、HSP60、ジヒドロリポアミドデヒドロゲナーゼ、ER−60プロテアーゼ、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ、ATPシンターゼβ鎖、アネキシンI、14−3−3ε、プロヒビチン、ホスホグリセレートムターゼ1、アポリポタンパク質AI、スーパーオキシドジスムターゼ、RNA結合タンパク質調節サブユニット、チェーンAチオレドキシンペルオキシダーゼB、RAS関連タンパク質RAP 1B、腫瘍拒絶抗原、ハプトグロビン、フィブリンβ、またはそれらの組み合わせを含む1種以上のタンパク質である、請求項25に記載の方法。
  35. 前記生物マーカーが、サイクリンD1、サイクリンB、サイクリンG1、wee1、hTR2、CDC25b、GSK3β、プロテインキナーゼCα、C5、C1インヒビター、IL−17r、IL−8、LIF、TNF−α、IL−10r、α−1抗キモトリプシン、HSP 27、HSP 90、クリスタリン、GAPDH、フェリチンH、フェリチンL、cox 1、cox 2、トランスフェリン、またはそれらの組み合わせを含む1種以上の転写物である、請求項25に記載の方法。
  36. 前記生物マーカーが、27,100の分子量および7.58の等電点、25,400の分子量および6.2の等電点、27,600の分子量および5.92の等電点、またはそれらの組み合わせを有するタンパク質を含む1種以上のタンパク質である、請求項25に記載の方法。
  37. 前記サンプルが、血液サンプルである、請求項25に記載の方法。
  38. 前記白血球が、好中球、単球、好塩基球、リンパ球、好酸球、またはそれらの任意の組み合わせである、請求項25に記載の方法。
  39. 被験体における神経変性性疾患の処置に対する応答をモニタリングする方法であって、該方法が、該被験体の処置の間の複数の時点において該被験体から得られた白血球またはその溶解物を含むサンプル中の該神経変性性疾患についての生物マーカーの発現または活性のレベルを比較する工程を包含する、方法。
  40. 前記被験体が、ヒトである、請求項39に記載の方法。
  41. 前記被験体が、前記複数の時点の1つ以上において、パーキンソン病について無症候性であるか、または症状発現前である、請求項39に記載の方法。
  42. 前記被験体が、前記複数の時点の1つ以上においてか、または該複数の時点の1つ以上の前に、神経保護剤によって処置される、請求項39に記載の方法。
  43. 前記神経保護剤が、アセチルコリンエステラーゼインヒビター、グルタミン酸作動性レセプターアンタゴニスト、抗炎症剤、キナーゼインヒビターまたはジバルプロックスナトリウムである、請求項39に記載の方法。
  44. 前記生物マーカーが、HSP60、ジヒドロリポアミドデヒドロゲナーゼ、ER−60プロテアーゼ、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ、ATPシンターゼβ鎖、アネキシンI、14−3−3ε、プロヒビチン、ホスホグリセレートムターゼ1、アポリポタンパク質AI、スーパーオキシドジスムターゼ、RNA結合タンパク質調節サブユニット、チェーンAチオレドキシンペルオキシダーゼB、RAS関連タンパク質RAP 1B、腫瘍拒絶抗原、ハプトグロビン、フィブリンβ、またはそれらの組み合わせを含む1種以上のタンパク質である、請求項39に記載の方法。
  45. 前記生物マーカーが、サイクリンD1、サイクリンB、サイクリンG1、wee1、hTR2、CDC25b、GSK3β、プロテインキナーゼCα、C5、C1インヒビター、IL−17r、IL−8、LIF、TNF−α、IL−10r、α−1抗キモトリプシン、HSP 27、HSP 90、クリスタリン、GAPDH、フェリチンH、フェリチンL、cox 1、cox 2、トランスフェリン、またはそれらの組み合わせを含む1種以上の転写物である、請求項39に記載の方法。
  46. 前記生物マーカーが、27,100の分子量および7.58の等電点、25,400の分子量および6.2の等電点、27,600の分子量および5.92の等電点、またはそれらの組み合わせを有するタンパク質を含む1種以上のタンパク質である、請求項39に記載の方法。
  47. 前記サンプルが、血液サンプルである、請求項39に記載の方法。
  48. 前記白血球が、好中球、単球、好塩基球、リンパ球、好酸球、またはそれらの任意の組み合わせである、請求項39に記載の方法。
  49. 試験被験体における神経変性性疾患についての危険を同定する方法であって、該方法が、以下:
    a.該試験被験体から得られたサンプルから、該神経変性性疾患についての生物マーカーの発現または活性のレベルを決定する工程であって、ここで該サンプルが、白血球またはその溶解物を含む、工程;および
    b.該試験被験体について決定された該生物マーカーの発現のレベルまたは活性レベルと、参照被験体についての該レベルとを相関させる工程、
    を包含し、該神経変性性疾患を有さない該参照被験体について決定されたレベルと、該試験被験体についての該レベルとの間の相関が、該試験被験体における該神経変性性疾患についての低い危険を同定し、そして該神経変性性疾患を有する該参照被験体について決定された該レベルと、該試験被験体についての該レベルとの間の相関が、該試験被験体における該神経変性性疾患についての高い危険を同定する、方法。
  50. 請求項49に記載の方法であって、前記神経変性性疾患と診断された参照被験体の集団からの前記生物マーカーの前記レベル、または該神経変性性疾患を有さない参照被験体の集団からの該生物マーカーの該レベルを決定する工程をさらに包含する、方法。
  51. 前記試験被験体が、ヒトである、請求項49に記載の方法。
  52. 前記試験被験体が、前記神経変性性疾患ついて無症候性であるか、または症状発現前である、請求項49に記載の方法。
  53. 前記試験被験体と前記参照集団とが、同じ歳である、請求項49に記載の方法。
  54. 前記生物マーカーが、HSP60、ジヒドロリポアミドデヒドロゲナーゼ、ER−60プロテアーゼ、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ、ATPシンターゼβ鎖、アネキシンI、14−3−3ε、プロヒビチン、ホスホグリセレートムターゼ1、アポリポタンパク質AI、スーパーオキシドジスムターゼ、RNA結合タンパク質調節サブユニット、チェーンAチオレドキシンペルオキシダーゼB、RAS関連タンパク質RAP 1B、腫瘍拒絶抗原、ハプトグロビン、フィブリンβ、またはそれらの組み合わせを含む1種以上のタンパク質である、請求項49に記載の方法。
  55. 前記生物マーカーが、サイクリンD1、サイクリンB、サイクリンG1、wee1、hTR2、CDC25b、GSK3β、プロテインキナーゼCα、C5、C1インヒビター、IL−17r、IL−8、LIF、TNF−α、IL−10r、α−1抗キモトリプシン、HSP 27、HSP 90、クリスタリン、GAPDH、フェリチンH、フェリチンL、cox 1、cox 2、トランスフェリン、またはそれらの組み合わせを含む1種以上の転写物である、請求項49に記載の方法。
  56. 前記生物マーカーが、27,100の分子量および7.58の等電点、25,400の分子量および6.2の等電点、27,600の分子量および5.92の等電点、またはそれらの組み合わせを有するタンパク質を含む1種以上のタンパク質である、請求項49に記載の方法。
  57. 前記サンプルが、血液サンプルである、請求項49に記載の方法。
  58. 前記白血球が、好中球、単球、好塩基球、リンパ球、好酸球、またはそれらの任意の組み合わせである、請求項49に記載の方法。
  59. 試験被験体において神経変性性疾患を示差的に診断する方法であって、該方法が、以下:
    a.該試験被験体由来の白血球もしくはその溶解物を含むサンプルにおける1種以上の選択した生物マーカーの発現または活性のレベルを評価する工程;および
    b.該選択した生物マーカーの発現または活性のレベルを参照基準と比較する工程であって、該参照基準が、1つ以上の神経病理学的なコントロール疾患を有する神経病理学的なコントロール被験体の1つ以上の集団中の該選択した生物マーカーの発現または活性のレベルを示す、工程、
    を包含し、ここで該選択した生物マーカーの発現または活性のレベルと、該参照基準との間の相違または類似性が、該神経病理学的なコントロール疾患と比較した場合に該変性性疾患の示差的な診断を示す、方法。
  60. 前記被験体が、ヒトである、請求項59に記載の方法。
  61. 前記被験体が、前記神経変性性疾患ついて無症候性であるか、または症状発現前である、請求項59に記載の方法。
  62. 前記神経病理学的なコントロール被験体の集団が、アルツハイマー病、前頭側頭型痴呆、軽度の認識障害、およびパーキンソン病を有する1個体以上の被験体からなる群より選択される、請求項59に記載の方法。
  63. 前記被験体と前記コントロール被験体とが、同じ歳である、請求項59に記載の方法。
  64. 前記サンプルが、血液サンプルである、請求項59に記載の方法。
  65. 前記サンプルが、白血球の実質的に純粋な集団またはその溶解物を含む、請求項59に記載の方法。
  66. 前記白血球が、好中球、単球、好塩基球、リンパ球、好酸球、またはその任意の組み合わせである、請求項65に記載の方法。
  67. 前記選択した生物マーカーが、HSP60、ジヒドロリポアミドデヒドロゲナーゼ、ER−60プロテアーゼ、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ、ATPシンターゼβ鎖、アネキシンI、14−3−3ε、プロヒビチン、ホスホグリセレートムターゼ1、アポリポタンパク質AI、スーパーオキシドジスムターゼ、RNA結合タンパク質調節サブユニット、チェーンAチオレドキシンペルオキシダーゼB、RAS関連タンパク質RAP 1B、腫瘍拒絶抗原、ハプトグロビン、フィブリンβ、またはそれらの組み合わせを含む1種以上のタンパク質である、請求項59に記載の方法。
  68. 前記生物マーカーが、サイクリンD1、サイクリンB、サイクリンG1、wee1、hTR2、CDC25b、GSK3β、プロテインキナーゼCα、C5、C1インヒビター、IL−17r、IL−8、LIF、TNF−α、IL−10r、α−1抗キモトリプシン、HSP 27、HSP 90、クリスタリン、GAPDH、フェリチンH、フェリチンL、cox 1、cox 2、トランスフェリン、またはそれらの組み合わせを含む1種以上の転写物である、請求項59に記載の方法。
  69. 前記生物マーカーが、27,100の分子量および7.58の等電点、25,400の分子量および6.2の等電点、27,600の分子量および5.92の等電点、またはそれらの組み合わせを有するタンパク質を含む1種以上のタンパク質である、請求項59に記載の方法。
  70. 前記発現または活性のレベルを評価する工程が、ウェスタンブロット、免疫沈降、酵素結合免疫測定法(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、蛍光細胞分析分離(FACS)、二次元ゲル電気泳動、質量分析(MS)、マトリックス支援レーザー脱離/イオン化飛行時間型MS(MALDI−TOF)、表面増強レーザー脱離イオン化飛行時間型(SELDI−TOF)、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、高速タンパク質液体クロマトグラフィー(FPLC)、多次元液体クロマトグラフィー(LC)後のタンデム型質量分析(MS/MS)、タンパク質チップ発現分析、遺伝子チップ発現分析、またはレーザーデンシトメトリーを含む1つ以上の技術によって1種以上の選択した生物マーカーを分析する工程を包含する、請求項59に記載の方法。
  71. 1種以上の生物マーカーを備える固体支持体であって、ここで該生物マーカーが、HSP60、ジヒドロリポアミドデヒドロゲナーゼ、ER−60プロテアーゼ、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ、ATPシンターゼβ鎖、アネキシンI、14−3−3ε、プロヒビチン、ホスホグリセレートムターゼ1、アポリポタンパク質AI、スーパーオキシドジスムターゼ、RNA結合タンパク質調節サブユニット、チェーンAチオレドキシンペルオキシダーゼB、RAS関連タンパク質RAP 1B、腫瘍拒絶抗原、ハプトグロビン、フィブリンβ、またはそれらの組み合わせを含む1種以上のタンパク質である、固体支持体。
  72. 前記生物マーカーが、27,100の分子量および7.58の等電点、25,400の分子量および6.2の等電点、27,600の分子量および5.92の等電点、またはそれらの組み合わせを有するタンパク質から選択される1種以上のタンパク質である、請求項71に記載の固体支持体。
  73. 1種以上の生物マーカーを備える固体支持体であって、ここで該生物マーカーが、サイクリンD1、サイクリンB、サイクリンG1、wee1、hTR2、CDC25b、GSK3β、プロテインキナーゼCα、C5、C1インヒビター、IL−17r、IL−8、LIF、TNF−α、IL−10r、α−1抗キモトリプシン、HSP 27、HSP 90、クリスタリン、GAPDH、フェリチンH、フェリチンL、cox 1、cox 2、トランスフェリン、またはそれらの組み合わせを含む1種以上の転写物である、固体支持体。
  74. 前記固体支持体が、チップ、マイクロアレイ、ナノアレイ、またはビーズから選択される、請求項71に記載の固体支持体。
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