JP2009515542A - 脊髄損傷における抗Nogo−A抗体処置のためのバイオマーカー - Google Patents
脊髄損傷における抗Nogo−A抗体処置のためのバイオマーカー Download PDFInfo
- Publication number
- JP2009515542A JP2009515542A JP2008540606A JP2008540606A JP2009515542A JP 2009515542 A JP2009515542 A JP 2009515542A JP 2008540606 A JP2008540606 A JP 2008540606A JP 2008540606 A JP2008540606 A JP 2008540606A JP 2009515542 A JP2009515542 A JP 2009515542A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- antibody
- nogo
- expression
- gene
- treatment
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Withdrawn
Links
Images
Classifications
-
- G—PHYSICS
- G01—MEASURING; TESTING
- G01N—INVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
- G01N33/00—Investigating or analysing materials by specific methods not covered by groups G01N1/00 - G01N31/00
- G01N33/48—Biological material, e.g. blood, urine; Haemocytometers
- G01N33/50—Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing
-
- G—PHYSICS
- G01—MEASURING; TESTING
- G01N—INVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
- G01N33/00—Investigating or analysing materials by specific methods not covered by groups G01N1/00 - G01N31/00
- G01N33/48—Biological material, e.g. blood, urine; Haemocytometers
- G01N33/50—Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing
- G01N33/68—Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing involving proteins, peptides or amino acids
- G01N33/6893—Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing involving proteins, peptides or amino acids related to diseases not provided for elsewhere
- G01N33/6896—Neurological disorders, e.g. Alzheimer's disease
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61K—PREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
- A61K39/00—Medicinal preparations containing antigens or antibodies
- A61K39/395—Antibodies; Immunoglobulins; Immune serum, e.g. antilymphocytic serum
- A61K39/39533—Antibodies; Immunoglobulins; Immune serum, e.g. antilymphocytic serum against materials from animals
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61P—SPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
- A61P25/00—Drugs for disorders of the nervous system
-
- G—PHYSICS
- G01—MEASURING; TESTING
- G01N—INVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
- G01N33/00—Investigating or analysing materials by specific methods not covered by groups G01N1/00 - G01N31/00
- G01N33/48—Biological material, e.g. blood, urine; Haemocytometers
-
- G—PHYSICS
- G01—MEASURING; TESTING
- G01N—INVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
- G01N33/00—Investigating or analysing materials by specific methods not covered by groups G01N1/00 - G01N31/00
- G01N33/48—Biological material, e.g. blood, urine; Haemocytometers
- G01N33/50—Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing
- G01N33/53—Immunoassay; Biospecific binding assay; Materials therefor
-
- G—PHYSICS
- G01—MEASURING; TESTING
- G01N—INVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
- G01N33/00—Investigating or analysing materials by specific methods not covered by groups G01N1/00 - G01N31/00
- G01N33/48—Biological material, e.g. blood, urine; Haemocytometers
- G01N33/50—Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing
- G01N33/68—Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing involving proteins, peptides or amino acids
-
- G—PHYSICS
- G01—MEASURING; TESTING
- G01N—INVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
- G01N2333/00—Assays involving biological materials from specific organisms or of a specific nature
- G01N2333/435—Assays involving biological materials from specific organisms or of a specific nature from animals; from humans
- G01N2333/475—Assays involving growth factors
-
- G—PHYSICS
- G01—MEASURING; TESTING
- G01N—INVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
- G01N2800/00—Detection or diagnosis of diseases
- G01N2800/10—Musculoskeletal or connective tissue disorders
-
- G—PHYSICS
- G01—MEASURING; TESTING
- G01N—INVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
- G01N2800/00—Detection or diagnosis of diseases
- G01N2800/44—Multiple drug resistance
Abstract
この発明のこの開示は、遺伝子発現のレベルで、損傷した脊髄および運動皮質を髄腔内投与による抗Nogo−A抗体処置の第一次作用部位として確認する。本開示はまた、カドヘリン2、8、11または22;エフリンA3またはB2;Eph受容体A3またはA4;セマホリン4A、4D、4h;6Aまたは6B;プレキシンB2;キャッピング・タンパク質(アクチンフィラメント、ゲルソリン様);カゼインキナーゼ1δ;セントラクチン;ゲルソリン;微小管関連タンパク質τ;ニューロフィラメント68;ミオシリン;オルファクトメジン1または3;インターフェロンγ;Rho−GDP−解離阻害剤1;ジヒドロピリミジナーゼ関連タンパク質(CRMP)1、2または5;シヌクレイン;アミロイドβ(A4)PP結合A1;アミロイドβ(A4)前駆体様タンパク質1または2−プロスタグランジンE合成酵素;ベンゾジアゼピン受容体またはビグリカン;から選択される遺伝子少なくとも1種の発現を評価することによって抗Nogo−A抗体を含む薬剤に対する対象の応答をモニタリングする方法も提供する。
Description
この発明は一般的にはインビトロにおける組織検体の分析的試験法、およびより具体的には抗Nogo−A抗体の投与によって誘発される遺伝子発現の側面に関する。
Nogo−Aは神経突起伸長の阻害に重要な役割を演じている。Nogo−Aに対する抗体は軸索再生と脊髄損傷後の機能回復をもたらすことが証明されている。
多くのマイクロアレイ遺伝子発現プロファイリング試験が、脊髄損傷後の分子的変化を扱っている。レビューのために、Bareyre FM & Schwab ME, Trends Neurosci. 26: 555-563 (2003)を参照。しかし、当技術分野では抗Nogo−A抗体処置の有効性に対する早期末梢バイオマーカーの必要性は今なお継続している。そのようなバイオマーカーは、レスポンダーをノンレスポンダーと区別するために、ならびに臨床状況における投与の規範において有用である。
発明の概要
本発明は、抗Nogo−A抗体を用いるNogo−A機能の阻害に起因する、分子的変化の記述を提供する。Nogo−Aの阻害または低下により影響を受ける遺伝子および機能的経路はインビボ系でゲノミクス手法を用いて同定されている。
本発明は、抗Nogo−A抗体を用いるNogo−A機能の阻害に起因する、分子的変化の記述を提供する。Nogo−Aの阻害または低下により影響を受ける遺伝子および機能的経路はインビボ系でゲノミクス手法を用いて同定されている。
本発明はまた、外傷または卒中を含むが、これらに限定はされない損傷、例えばアルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症、抑うつ症、および軸索または樹状突起の病理学がその疾患の過程または疾患の結果であるその他の疾患、例えば多発性硬化症を含むがこれに限定はされない脱髄疾患を含むが、これらに限定されない神経変性疾患の臨床的病状における、中枢神経系の回復強化、ニューロン結合の再生強化、およびニューロンおよびシナプスの可塑性強化のための新しい分子的標的に関する。それはまた、神経変性疾患(アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、ALS)、抑うつ症、および脱髄疾患、例えば多発性硬化症を含むが、これに限定されない軸索または樹状突起の病理が疾患の過程または疾患の結果の一部である疾患のいずれかを含むが、これらに限定されない、Nogo−Aを標的とするおよび/またはNogo−Aの阻害の結果として影響を受ける遺伝子および経路を標的とする新しい適応に関する。
特に、本発明は、抗Nogo−A抗体を含む薬剤に対する対象の応答を予測する方法、すなわち、抗Nogo−A抗体を含む薬剤の投与前および投与後に表25に記載の遺伝子の少なくとも1種の発現を評価し;さらに抗Nogo−A抗体を含む薬剤の投与後の表25に記載の遺伝子の少なくとも1種の発現と抗Nogo−A抗体を含む薬剤投与前のその遺伝子の発現とを比較する方法に関する。具体的態様の一つでは、抗Nogo−A抗体を含む薬剤の投与後の表25に記載の遺伝子の少なくとも1種の発現と抗Nogo−A抗体を含む薬剤の投与前のその遺伝子の発現とを比較して、調節不全が存在することを、抗Nogo−A抗体を含む薬剤の投与に対する陽性応答(レスポンダー)の指標とする。他の態様では、抗Nogo−A抗体を含む薬剤の投与後の表25に記載の遺伝子の少なくとも1種の発現と抗Nogo−A抗体を含む薬剤の投与前のその遺伝子の発現と比較して、調節不全が不在であることを、抗Nogo−A抗体を含む薬剤の投与に対する応答不在(ノンレスポンダー)の指標とする。好適な態様では、抗Nogo−A抗体を含む薬剤の投与後の表25に記載の遺伝子の少なくとも1種の発現と、抗Nogo−A抗体を含む薬剤を投与前の遺伝子の発現とを比較して調節不全が1.2倍に等しいかまたはそれよりも大きく、統計的に有意(p<0.05、スチューデントのt検定)な発現の変化である。最も好適な態様では、接着遺伝子、細胞骨格遺伝子およびシグナル伝達遺伝子の各群の遺伝子少なくとも1種の発現を評価する。ここに、前記接着遺伝子の群は、カドヘリン11、カドヘリン2、カドヘリン8、カドヘリン22、Eph受容体A3、Eph受容体A4、エフリンA3、エフリンB2、Eph受容体B2、セマホリン4A、セマホリン4D、セマホリン4F、セマホリン6A、セマホリン6B、セマF細胞質ドメイン関連タンパク質3およびプレキシンB2からなり;ここに、前記細胞骨格遺伝子の群は、キャッピング・タンパク質(アクチン繊維)ゲルソリン様、カゼインキナーゼ1δ、セントラクチン、ゲルソリン、微小管関連タンパク質τ、およびニューロフィラメント68からなり;さらにここにシグナル伝達遺伝子の群は、Rho−GDP−解離阻害剤1、ジヒドロピリミジナーゼ関連タンパク質2、ジヒドロピリミジナーゼ関連タンパク質1、ジヒドロピリミジナーゼ関連タンパク質5からなる。別な態様では、表25に記載の遺伝子全ての発現を評価する。
本発明の一態様では、抗Nogo−A抗体を含む薬剤の投与後の表25に記載の遺伝子の少なくとも1種の発現と抗Nogo−A抗体を含む薬剤の投与前のその遺伝子の発現とを比較して、その調節不全を、中枢神経系再生を示す指標とする。
本発明の方法は、インビトロで行うことができる。
本発明の方法は、インビトロで行うことができる。
また、本発明は、患者集団における中枢神経系損傷を処置するための薬剤の製造における抗Nogo−A抗体の使用も含み、ここでこの患者集団は本明細書に記載のようにして選択する。
好ましくは、この抗Nogo−A抗体は、アミノ酸342〜357のヒトのNogo−A断片エピトープに結合する、完全なヒトのモノクローナル抗体(IgG4/□)である。
本発明はまた、抗Nogo−A抗体を持つ対象における中枢神経系損傷を処置する方法;ならびに抗Nogo−Aの投与後の対象における中枢神経系再生を診断する方法に関する。
さらに本発明は、本明細書に記載の方法を行うためのキットも含み、そのキットは少なくとも2種のプローブを含有し、この各プローブは表25に記載の遺伝子の1種の発現を特異的に検出することができ、そして、前記の少なくとも2種のプローブは同一の遺伝子の発現を検出しない。
Nogo−Aの阻害によって影響を受ける遺伝子および分子経路は、それ自体がNogo−A抗体療法で処置できるものと同様な疾患に対する治療的標的であることができる。あるいは、Nogo−Aの阻害に影響を受ける遺伝子および経路に向けて設計された新規治療剤は、Nogo−A阻害の治療効果を強化するための追加療法として使用できる。これに加えて、Nogo−Aの阻害で影響を受ける遺伝子と経路は、ニューロンまたはシナプスの可塑性が冒される病状、例えば認知機能障害関連神経変性疾患(アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病)および精神障害を含むが、これらに限定されないNogo−Aの阻害に対する治療的指標を提供する。
図面の簡単な説明
図面は好適な態様を例示のために示すが、限定を目的とするものではない。図面中の類似の参照番号は同一または類似の要素を示す。
図面は好適な態様を例示のために示すが、限定を目的とするものではない。図面中の類似の参照番号は同一または類似の要素を示す。
図1 1週間処置後にT8のGSEA(遺伝子集合濃縮解析)で確認した11C7方向への免疫および防御関連転写物の豊富化(enrichment)。
図2 1週間処置後にT8のGSEAで確認した11C7方向へのサイトカインおよびケモカイン介在シグナル伝達経路の豊富化。
図3 1週間処置後にT8のGSEAで確認した11C7方向へのJak−statカスケード関連転写物の豊富化。
図4 2週間処置後にT8のGSEAで確認した11C7方向への酸化的リン酸化関連転写物の豊富化。
図5 2週間処置後にT8のGSEAで確認した11C7方向へのシナプスの伝達関連転写物の豊富化。
図6 1週間処置後にT1〜7のGSEAで確認したIgG方向へのECM介在シグナル伝達関連転写物の豊富化。
図7 1週間処置後にT1〜7のGSEAで確認した11C7方向への脂質代謝関連転写物の豊富化。
図8 1週間処置後にT1〜7のGSEAで確認したIgG方向への増殖因子恒常性関連転写物の豊富化。
図9 1週間処置後にL1〜5のGSEAで確認した11C7方向への免疫および防御関連転写物の豊富化。
図10 1週間処置後にL1〜5のGSEAで確認した11C7方向へのシグナル伝達関連転写物の豊富化。
図11 1週間処置後にL1〜5のGSEAで確認した11C7方向への細胞通信関連転写物の豊富化。
図12 2週間処置後にL1〜5のGSEAで確認したIgG方向への免疫および防御関連転写物の豊富化。
図13 2週間処置後にL1〜5のGSEAで確認したIgG方向への細胞通信関連転写物の豊富化。
図14 2週間処置後にL1〜5のGSEAで確認した11C7方向へのシナプス伝達関連転写物の豊富化。
図15 2週間処置後に運動−体性感覚皮質のGSEAで確認したIgG方向へのハンチントン病関連転写物の豊富化。
図16 2週間処置後に運動−体性感覚皮質のGSEAで確認したIgG方向へのEGF受容体介在シグナル伝達転写物の豊富化。
図17 2週間処置後に運動−体性感覚皮質のGSEAで確認したIgG方向へのFGF受容体介在シグナル伝達関連転写物の豊富化。
図18 2週間処置後に運動−体性感覚皮質のGSEAで確認したIgG方向へのNGF受容体介在シグナル伝達関連転写物の豊富化。
図19 1週間処置後に血液のGSEAで確認した11C7方向への受容体介在エンドサイトーシス関連転写物の豊富化。
図20 1週間処置後に血液のGSEAで確認した11C7方向へのインターフェロン介在免疫関連転写物の豊富化。
図21 1週間処置後に血液のGSEAで確認したIgG方向への神経活性リガンド受容体相互作用関連転写物の豊富化。
図22 1週間処置後に血液のGSEAで確認した11C7方向へのマクロファージ介在免疫関連転写物の豊富化。
図23 1週間処置後に血液のGSEAで確認したIgG方向へのII1bシグナル伝達関連転写物の豊富化。
図24 1週間処置後に血液のGSEAで確認した11C7方向へのB細胞活性化関連転写物の豊富化。
図25 2週間処置後に血液のGSEAで確認したIgG方向への免疫および防御関連転写物の豊富化。
図26 11C7で1週間処置後の脊髄におけるCxcr4およびCxcl12(スリット−ロボ(slit-robo))経路の上方調節。
図2 1週間処置後にT8のGSEAで確認した11C7方向へのサイトカインおよびケモカイン介在シグナル伝達経路の豊富化。
図3 1週間処置後にT8のGSEAで確認した11C7方向へのJak−statカスケード関連転写物の豊富化。
図4 2週間処置後にT8のGSEAで確認した11C7方向への酸化的リン酸化関連転写物の豊富化。
図5 2週間処置後にT8のGSEAで確認した11C7方向へのシナプスの伝達関連転写物の豊富化。
図6 1週間処置後にT1〜7のGSEAで確認したIgG方向へのECM介在シグナル伝達関連転写物の豊富化。
図7 1週間処置後にT1〜7のGSEAで確認した11C7方向への脂質代謝関連転写物の豊富化。
図8 1週間処置後にT1〜7のGSEAで確認したIgG方向への増殖因子恒常性関連転写物の豊富化。
図9 1週間処置後にL1〜5のGSEAで確認した11C7方向への免疫および防御関連転写物の豊富化。
図10 1週間処置後にL1〜5のGSEAで確認した11C7方向へのシグナル伝達関連転写物の豊富化。
図11 1週間処置後にL1〜5のGSEAで確認した11C7方向への細胞通信関連転写物の豊富化。
図12 2週間処置後にL1〜5のGSEAで確認したIgG方向への免疫および防御関連転写物の豊富化。
図13 2週間処置後にL1〜5のGSEAで確認したIgG方向への細胞通信関連転写物の豊富化。
図14 2週間処置後にL1〜5のGSEAで確認した11C7方向へのシナプス伝達関連転写物の豊富化。
図15 2週間処置後に運動−体性感覚皮質のGSEAで確認したIgG方向へのハンチントン病関連転写物の豊富化。
図16 2週間処置後に運動−体性感覚皮質のGSEAで確認したIgG方向へのEGF受容体介在シグナル伝達転写物の豊富化。
図17 2週間処置後に運動−体性感覚皮質のGSEAで確認したIgG方向へのFGF受容体介在シグナル伝達関連転写物の豊富化。
図18 2週間処置後に運動−体性感覚皮質のGSEAで確認したIgG方向へのNGF受容体介在シグナル伝達関連転写物の豊富化。
図19 1週間処置後に血液のGSEAで確認した11C7方向への受容体介在エンドサイトーシス関連転写物の豊富化。
図20 1週間処置後に血液のGSEAで確認した11C7方向へのインターフェロン介在免疫関連転写物の豊富化。
図21 1週間処置後に血液のGSEAで確認したIgG方向への神経活性リガンド受容体相互作用関連転写物の豊富化。
図22 1週間処置後に血液のGSEAで確認した11C7方向へのマクロファージ介在免疫関連転写物の豊富化。
図23 1週間処置後に血液のGSEAで確認したIgG方向へのII1bシグナル伝達関連転写物の豊富化。
図24 1週間処置後に血液のGSEAで確認した11C7方向へのB細胞活性化関連転写物の豊富化。
図25 2週間処置後に血液のGSEAで確認したIgG方向への免疫および防御関連転写物の豊富化。
図26 11C7で1週間処置後の脊髄におけるCxcr4およびCxcl12(スリット−ロボ(slit-robo))経路の上方調節。
本発明の詳細な記載
本発明のある種の側面、形態、態様、変化および特徴を、本発明の実質的理解を提供するために、以下に様々なレベルの詳細さで記載することを認識すべきである。一般に、この開示は診断および処置を必要とする対象のための有用なバイオマーカーを提供する。従って本発明の様々な側面は、診断的/セラノスティック(theranostic)な方法、および病気にかかりやすい個体を確認するためのキット、または薬剤応答性、副作用、または至適薬剤用量に関して個体を分類するためのキットに関する。この方法およびキットは、疾患の病因学の検討に、薬剤投与の有効性検討に、個体の罹患可能性の予測に、および遺伝子産物を標的とする薬剤に対する個体の応答性を予測するために有用である。従って、これらの側面を例示する様々な具体的態様を以下に記載する。
本発明のある種の側面、形態、態様、変化および特徴を、本発明の実質的理解を提供するために、以下に様々なレベルの詳細さで記載することを認識すべきである。一般に、この開示は診断および処置を必要とする対象のための有用なバイオマーカーを提供する。従って本発明の様々な側面は、診断的/セラノスティック(theranostic)な方法、および病気にかかりやすい個体を確認するためのキット、または薬剤応答性、副作用、または至適薬剤用量に関して個体を分類するためのキットに関する。この方法およびキットは、疾患の病因学の検討に、薬剤投与の有効性検討に、個体の罹患可能性の予測に、および遺伝子産物を標的とする薬剤に対する個体の応答性を予測するために有用である。従って、これらの側面を例示する様々な具体的態様を以下に記載する。
本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチド。
ラットの脊髄損傷モデルにおける遺伝子発現の探査をマウスのモノクローナル抗Nogo−A抗体での11C7処置後に行い、異なる組織での対照マウス抗植物レクチンIgGで7日間および14日間処置後の値と比較した結果、12個の異なる比較値を得た。このデータセットに次の分析を施した:(1)統計的制限(ウェルチのt検定p<0.05)および変化倍率による序列;および(2)遺伝子集合濃縮解析(GSEA)。これは、最初にMootha VK et al., Nat. Genet. 34: 267-273 (2003)が、およびSubramanian et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 102(43): 15545-50 (2005)が最近導入したデータの経路中心的な見方である。この分析で、いずれかの時点で3種以上の組織における処置により有意に影響を受ける経路24種を同定した。
ラットの脊髄損傷モデルにおける遺伝子発現の探査をマウスのモノクローナル抗Nogo−A抗体での11C7処置後に行い、異なる組織での対照マウス抗植物レクチンIgGで7日間および14日間処置後の値と比較した結果、12個の異なる比較値を得た。このデータセットに次の分析を施した:(1)統計的制限(ウェルチのt検定p<0.05)および変化倍率による序列;および(2)遺伝子集合濃縮解析(GSEA)。これは、最初にMootha VK et al., Nat. Genet. 34: 267-273 (2003)が、およびSubramanian et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 102(43): 15545-50 (2005)が最近導入したデータの経路中心的な見方である。この分析で、いずれかの時点で3種以上の組織における処置により有意に影響を受ける経路24種を同定した。
各処置群で、顕著に異なって発現される遺伝子の数に基づく処置効果サイズおよび変化倍率が100位以内と顕著に変化した転写物で順位を付けると、損傷部位から遠位の脊髄(L1〜5)、損傷部位(T8)、および血液が、1週間処置後に最も影響を受けた組織であった。L1〜5、運動−体性感覚皮質および損傷部位に近接する脊髄(T1〜7)は2週間処置後に最も影響を受けた領域であった。どちらの時点でも、前頭葉では僅かな効果のみが観察された。
GSEAは、免疫および防御、タンパク質代謝およびリン酸化、ヌクレオシド、ヌクレオチドおよび核酸の代謝、ニューロンの活性およびJak−statカスケードを全般的に最も広く影響を受ける経路として同定した。これらの経路は全て3種または4種の組織で同時に影響を受けた。
ラットにおける脊髄損傷後の髄腔内に投与する抗Nogo−A処置は、脊髄で最大の効果を示す。抗Nogo−A処置後の脊髄では遺伝子が促進する軸索誘導および神経突起伸長は上方調節され、阻害信号(cue)は下方調節された。神経突起伸長/軸索誘導関連経路について、GSEAは、スリット−ロボ介在軸索誘導経路を11C7処置によって最も頻繁に影響を受けるものとして示した。この経路の2つのメンバーであるCxcl12およびCxc4rは、研究した脊髄の全ての分節で1週間処置後には協調する様式で11C7によって上方調節された。Cxcl12およびCxc4rは最近、発生の段階では哺乳類運動軸策の最初の軌道決定に中心的な存在であることがLieberam I et al., Neuron 47: 667-679 (2005)によって同定された。この知見は、この経路が11C7処置によって影響を受け、それ故、再生の間に抗Nogo−Aの作用機序に寄与することを示唆する。
損傷の部位では、EGF受容体が介在するシグナル伝達経路は11C7によって1週間処置後には上方調節されたが、2週間処置後には下方調節された。運動皮質では、EGF受容体介在シグナル伝達経路は1週間後および2週間処置後に11C7によって下方調節された。何れの時点でも3種以上の組織において抗Nogo−A処置によって影響を受ける明確な豊富化(q<0.001)を示す全部で24経路が同定された。最も広範囲に影響を受ける経路は全般的に、免疫および防御、タンパク質代謝およびリン酸化およびニューロンの活性に関係する。シナプス伝達の上方調節は、抗Nogo−A処置2週間後の腰部脊髄におけるプローブセットに関連した。
この結果は、損傷した脊髄および運動皮質が、髄腔内に投与した抗Nogo−A抗体処置の主作用部位であることを遺伝子発現のレベルで確認する。この分析は、新規な分子的候補および経路候補を、抗Nogo−A処置、例えばミオシリンおよびスリット−ロボ経路の可能性のある標的として同定する。この結果はまた、処置効果における免疫防御関連経路の強い関与を指摘する。
TAQMAN分析は、分泌されたタンパク質、Sfrp4、Mmp9およびミオシリンに関する選択された知見を確認した。
抗Nogo抗体。
公開されたPCT特許出願WO 00/31235は、Nogoタンパク質に対して作製した数種の抗体およびその誘導体を開示する。モノクローナル抗体およびその断片を含む抗Nogo抗体の例およびその使用法の例については、Bregman BS et al., Nature 378: 498-501 (1995); Brosamle C et al., J. Neurosci. 20: 8061-8068 (2000); Bareyre FM et al., J. Neurosci. 22: 7097-7110 (2002); Chen et al., Nature 403: 434-439 (2000); Fiedler M et al., Protein Eng. 15: 931-941 (2002); Merkler D et al., J. Neurosci. 21: 3665-3673 (2001); Oertle T et al., J. Neurosci. 23: 5393-5406 (2003); Papadopoulos CM et al., Ann. Neurol. (2002); and Von Meyenburg J et al., Exp. Neurol. 154: 583-594 (1998)を参照。また卒中モデルにおける抗Nogo抗体の使用についてはWiessner C et al., In Pharmacology of Cerebral Ischemia, Krieglstein J & Klumpp S, eds. (2003) pp. 343- 353; and Wiessner C et al., J. Cereb. Blood Flow & Metab. 23: 154-165 (2003)を参照。実施例で使用される抗Nogo−A抗体の投与が同モデルで機能の回復を起したことが実証されている。Liebscher et al., Ann. Neurol. 58: 706-719 (2005)。公開されたPCT特許出願WO 00/31235もNogo−A配列に対して作製した抗血清2種AS BrunaおよびAS 472を開示する。Nogoタンパク質断片に対する抗体を開示する公開されたPCT特許出願WO 2000/05364A1も参照。実施例では、抗Nogo−A抗体11C7(ラットのアミノ酸配列623〜640に対応する18aaペプチドNogo−Aに対して作製したモノクローナルマウス抗体(mAb)=11C7)をPBS中3mg/mLの濃度で使用する。対照抗体は、植物レクチンに向けたマウスのモノクローナルIgGであって、PBS中3mg/mLの濃度で使用する。両抗体の生化学的および中和性能はOertle T et al., J. Neuro- sci. 23: 5393-5406 (2003)に記載されている。本発明の一態様では、抗Nogo抗体は、マウスで作製した完全なヒト型モノクローナル抗体(IgG4/κ)であって、これはヒトのイムノグロブリン遺伝子を用いて遺伝子的に再構築されたが、ヒトのNogo−A断片aa342〜357からのエピトープに結合する。公開されたPCT特許出願WO 90/05191およびWO 00/31235を参照。
公開されたPCT特許出願WO 00/31235は、Nogoタンパク質に対して作製した数種の抗体およびその誘導体を開示する。モノクローナル抗体およびその断片を含む抗Nogo抗体の例およびその使用法の例については、Bregman BS et al., Nature 378: 498-501 (1995); Brosamle C et al., J. Neurosci. 20: 8061-8068 (2000); Bareyre FM et al., J. Neurosci. 22: 7097-7110 (2002); Chen et al., Nature 403: 434-439 (2000); Fiedler M et al., Protein Eng. 15: 931-941 (2002); Merkler D et al., J. Neurosci. 21: 3665-3673 (2001); Oertle T et al., J. Neurosci. 23: 5393-5406 (2003); Papadopoulos CM et al., Ann. Neurol. (2002); and Von Meyenburg J et al., Exp. Neurol. 154: 583-594 (1998)を参照。また卒中モデルにおける抗Nogo抗体の使用についてはWiessner C et al., In Pharmacology of Cerebral Ischemia, Krieglstein J & Klumpp S, eds. (2003) pp. 343- 353; and Wiessner C et al., J. Cereb. Blood Flow & Metab. 23: 154-165 (2003)を参照。実施例で使用される抗Nogo−A抗体の投与が同モデルで機能の回復を起したことが実証されている。Liebscher et al., Ann. Neurol. 58: 706-719 (2005)。公開されたPCT特許出願WO 00/31235もNogo−A配列に対して作製した抗血清2種AS BrunaおよびAS 472を開示する。Nogoタンパク質断片に対する抗体を開示する公開されたPCT特許出願WO 2000/05364A1も参照。実施例では、抗Nogo−A抗体11C7(ラットのアミノ酸配列623〜640に対応する18aaペプチドNogo−Aに対して作製したモノクローナルマウス抗体(mAb)=11C7)をPBS中3mg/mLの濃度で使用する。対照抗体は、植物レクチンに向けたマウスのモノクローナルIgGであって、PBS中3mg/mLの濃度で使用する。両抗体の生化学的および中和性能はOertle T et al., J. Neuro- sci. 23: 5393-5406 (2003)に記載されている。本発明の一態様では、抗Nogo抗体は、マウスで作製した完全なヒト型モノクローナル抗体(IgG4/κ)であって、これはヒトのイムノグロブリン遺伝子を用いて遺伝子的に再構築されたが、ヒトのNogo−A断片aa342〜357からのエピトープに結合する。公開されたPCT特許出願WO 90/05191およびWO 00/31235を参照。
従って、本発明は虚血性脳損傷(卒中)、外傷性脳損傷(頭部損傷)、多発性硬化症(MS)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、アルツハイマー病に関連する。本発明はまた、軸索再生および神経線維損傷後の神経発芽改善;末梢および中枢神経系の様々な疾患、神経変性病、例えばアルツハイマー病、パーキンソン病、ALS、レヴィー認知症様病理学またはその他の認知症一般、頭蓋、脳または脊髄の外傷後の疾患、卒中、または多発性硬化症、単相性脱髄、脳脊髄炎、進行性多病巣性白質脳障害、汎脳炎、マルキャファーバ−ビグナミ病、脳橋ミエリン溶解、副腎白質ジストロフィー、ペリツェウス・メルツバッハー病、海綿状変性症、アレクサンダー病、カナバン病、異染性白質萎縮症およびクラッベ病を含む脱髄疾患;虚血性網膜症、前部虚血性視神経症、視神経炎、老人性黄斑変性症、糖尿病性網膜症、類嚢胞黄斑浮腫、網膜色素変性症、スタルガルト病、ベスト卵黄様網膜変性、レーバー先天性黒内障およびその他の遺伝性網膜変性、病的近視、未熟児網膜症、レーバー遺伝性視神経症、角膜移植または屈折性角膜手術の後遺症、ヘルペス性角膜炎を含む網膜または角膜細胞の変性を含む変性眼疾患にも関連する。
定義。
この明細書で使用する用語の定義を以下に列記する。その他の用語の定義はU.S. Department of Energy, Office of Science, Human Genome Project (http://www.ornl. gov/sci/techresources/Human_Genome/glossary/)が提供する用語集に記載されている。本発明の実施に当たっては、分子生物学、微生物学および組み換えDNAにおける多くの通常の技術が使用される。これらの技術はよく知られており、次の文献:例えばCurrent Protocols in Molecular Biology, Vols. I−III, Ausubel, ed. (1997); Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Second Edition (Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New York, 1989); DNA Cloning: A Practical Approach, Vols. I and II, Glover D, ed. (1985); Oligonucleotide Synthesis, Gait, ed. (1984); Nucleic Acid Hybridization, Hames & Higgins, eds. (1985); Transcription and Translation, Hames & Higgins, eds. (1984); Animal Cell Culture, Freshney, ed. (1986); Immobilized Cells and Enzymes (IRL Press, 1986); Perbal, A Practical Guide to Molecular Cloning; the series, Methods in Enzymol. (Academic Press, Inc., 1984); Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells, Miller & Calos, eds. (Cold Spring Harbor Laboratory, New York, 1987); and Methods in Enzymology, Vols. 154 and 155, Wu & Grossman, Wu, Eds.に説明されている。
この明細書で使用する用語の定義を以下に列記する。その他の用語の定義はU.S. Department of Energy, Office of Science, Human Genome Project (http://www.ornl. gov/sci/techresources/Human_Genome/glossary/)が提供する用語集に記載されている。本発明の実施に当たっては、分子生物学、微生物学および組み換えDNAにおける多くの通常の技術が使用される。これらの技術はよく知られており、次の文献:例えばCurrent Protocols in Molecular Biology, Vols. I−III, Ausubel, ed. (1997); Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Second Edition (Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New York, 1989); DNA Cloning: A Practical Approach, Vols. I and II, Glover D, ed. (1985); Oligonucleotide Synthesis, Gait, ed. (1984); Nucleic Acid Hybridization, Hames & Higgins, eds. (1985); Transcription and Translation, Hames & Higgins, eds. (1984); Animal Cell Culture, Freshney, ed. (1986); Immobilized Cells and Enzymes (IRL Press, 1986); Perbal, A Practical Guide to Molecular Cloning; the series, Methods in Enzymol. (Academic Press, Inc., 1984); Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells, Miller & Calos, eds. (Cold Spring Harbor Laboratory, New York, 1987); and Methods in Enzymology, Vols. 154 and 155, Wu & Grossman, Wu, Eds.に説明されている。
本明細書で使用する用語「抗体」は、これに限定するものではないが次のものを含む:例えばポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、ヒト化またはキメラ抗体および生物学的に機能的な抗体断片であってその抗体断片がタンパク質に結合するに十分な機能を持つもの。本発明の態様の一つでは、抗体は抗Nogo抗体である。
用語「生物学的検体」には、これに限定するものではないが、例えば、組織、細胞、および対象から分離した生物学的体液、ならびに対象内に存在する組織、細胞、および体液を含むことが想定されている。実施例では、生物学的検体は中枢神経系の検体である。しかしながら、他の生物学的検体の使用も予想されている。適当な「生物学的検体」は、例えば血液、血清、リンパ液、内皮細胞、唾液、尿、糞または精液である。本発明の方法に特に適するものは、中枢神経系(CNS)の間質液および/または脳脊髄液(CSF)である。
本明細書で使用する用語「臨床的応答」は:応答の定量的測定、無応答、および不利な応答(すなわち、副作用)の何れかまたは全てを意味する。
本明細書で使用する用語「臨床試験」は、特定の処置に対する応答に関する臨床的データを収集するために設計された研究の何れかを意味し、これに限定するものではないが第I相、第II相、第III相の臨床試験を含む。標準的方法を用いて患者集団を定義し、各対象を登録する。
本明細書で使用する用語、化合物の「有効量」は、所望の治療的および/または予防的効果を達成するために十分な量であって、例えば、処置する疾患の予防または処置すべき疾患に伴う症状の寛解をもたらす量である。対象に投与すべき化合物の量は、疾患のタイプおよび重症度ならびに個体の特性、例えば一般的健康状態、年齢、性、体重および薬剤耐性に依存するものである。これはまた疾患の段階、重篤度およびタイプにも依存する。当業者はこれらの因子およびその他の因子に基づいて適当な用量を決定できるものである。典型的には、本発明化合物の治療的または予防的な効果を達成するために十分な有効量は、約0.000001mg/kg体重/日〜約10000mg/kg体重/日の範囲内である。好適な用量は約0.0001mg/kg体重/日〜約1000mg/kg体重/日の範囲内である。他の好適な用量は、約0.01mg/kg体重/日〜約100mg/kg体重/日の範囲内である。本発明の化合物はまた、相互に組み合わせて、または追加的な治療用化合物1種またはそれ以上と共に投与できる。実施例では、実施例で使用した抗Nogo−A抗体の用量が同モデルでの機能的回復を起こすことが証明された。Liebscher et al., Ann. Neurol. 58:706-719 (2005)。Nogoタンパク質断片に対する抗体を開示する公開されたPCT特許出願WO 2000/05364A1も参照。
本明細書で使用する用語「発現」は、これに限定するものではないが、次のもの1種またはそれ以上を含む:遺伝子の前駆体mRNAへの転写;前駆体mRNAを成熟mRNAとするスプライシング、その他のプロセッシング;mRNAの安定化;成熟mRNAのタンパク質への翻訳(コドンの使用とmRNAの利用を含む);および固有の発現と機能に必要なら転写物についてグリコシル化および/またはその他の修飾。
本明細書で使用する用語「遺伝子」は、発現を制御するプロモーター、エクソン、イントロン、およびその他の非翻訳領域を含むRNA産物の制御された生合成のための情報を全て含む、DNAの部分を意味する。
本明細書で使用する用語「遺伝子型」は、個体の相同染色体の対の座に存在する遺伝子多形部位1ヶ所またはそれ以上に見られるヌクレオチド対の非相化5’→3’配列を意味する。本明細書で使用する遺伝子型は、完全遺伝子型(フル遺伝子型)および/または副次的遺伝子型(サブ遺伝子型)を含む。
本明細書で使用する用語「座」は、遺伝子または物理的または表現型の特性に対応する染色体またはDNA分子上の位置を意味する。
本明細書で使用する用語「同形遺伝子」は、集団の中に存在するある遺伝子の様々な形を意味する。
本明細書で使用する用語「突然変異体」は、野生型とは異なる遺伝可能な変異体を意味するが、これは突然変異、例えば単一ヌクレオチドの遺伝子多形の結果である。用語「突然変異体」は、本明細書では用語「マーカー」、「バイオマーカー」、および「標的」と互換的に使用する。
本明細書で使用する用語「医学的病状」は、これに限定するものではないが、処置が必要な身体的および/または心理学的徴候の1個またはそれ以上として現れる状態または疾患の何れかを含み、さらに、以前からおよび新たに、病気およびその他の障害として確認されたものを含む。
本明細書で使用する用語「ヌクレオチド対」は、個体からの染色体のコピー2個にある多形部位に見出されるヌクレオチドを意味する。
本明細書で使用する用語「多形部位」は、集団内に少なくとも2個の択一的配列が発見される座内の位置を意味し、その最も頻度の高いものは99%より多くない頻度を有する。
本明細書で使用する用語「集団」は、個体少なくとも2個からなる群の何れかであり得る。集団は例えば、これに限定するものではないが、参照集団、集団群、家族集団、臨床集団、および同性集団を含む。
本明細書で使用する用語「相化」は、座の中の多形部位2個またはそれ以上についてヌクレオチド対の配列に応用する時には、その座の単一コピー上の多形部位に存在するヌクレオチドの組合せが知られていることを意味する。
本明細書で使用する用語「多形」は、集団内に>1%の頻度で存在する配列変異体の何れかを意味する。この配列変異体には有意に1%より大きな頻度、例えば5%または10%またはそれ以上で存在するものもある。また、この用語は個体の多形部位に観察される配列変異体を示すために使用してもよい。多形には、ヌクレオチドの置換、挿入、欠失およびマイクロサテライトを含み、また必ずしも必須ではないが、遺伝子発現またはタンパク質機能における検出可能な変化を起すこともある。
本明細書で使用する用語「ポリヌクレオチド」は、RNAまたはDNAを意味し、これは修飾されていないかまたは修飾されたRNAまたはDNAであってもよい。ポリヌクレオチドは、これに限定するものではないが一重鎖および二本鎖のDNA、一重鎖領域および二本鎖領域を混合して持つDNA、一重鎖および二本鎖のRNA、一重鎖領域および二本鎖領域を混合して持つRNA、およびDNAおよびRNAを含む混成分子であって、一重鎖またはより典型的には二本鎖または一重鎖領域および二本鎖領域を混合して持つものを含む。これに加えて、ポリヌクレオチドは、RNAまたはDNAまたはRNAとDNAとの双方を含む三重鎖領域を示す。用語ポリヌクレオチドはまた、修飾された塩基1個またはそれ以上を含むDNAおよびRNA、および安定性またはその他の理由で修飾された骨格を持つDNAおよびRNAを含む。
本明細書で使用する用語「ポリペプチド」は、相互にペプチド結合または修飾されたペプチド結合、すなわちペプチド等配電子体、で結合するアミノ酸2個またはそれ以上からなるポリペプチドを意味する。ポリペプチドは、普通はペプチド、グリコペプチドまたはオリゴマーと呼ばれる短い鎖、および一般にタンパク質と呼ばれる長い鎖の双方を示す。ポリペプチドは、遺伝子がコードするアミノ酸20種以外のアミノ酸を含むことがある。ポリペプチドは、天然のプロセス、例えば翻訳後プロセッシングによって、または当技術分野でよく知られている化学的修飾技術の何れかによって、修飾されたアミノ酸配列を含む。そのような修飾は基礎的教科書およびさらに詳細な成書ならびに多数の研究報告によく記載されている。
本明細書で使用する用語「参照基準集団」は、生物学的特性、例えば薬剤応答性、遺伝子型、ハプロタイプ、表現型などの1個またはそれ以上によって特徴付けられる集団を意味する。
本明細書で使用する用語「参照基準遺伝子発現プロファイル」は、化合物の投与前に参照基準集団または単一の対象のどちらかに観察される、遺伝子1個またはそれ以上の発現のパターンである。
本明細書で使用する用語「対象」は、好ましくは対象は、哺乳類例えばヒト、を意味するが、これに限定するものではないが、家畜動物(例えば、イヌ、ネコ、その他)、飼育動物(例えば、ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマ、その他)および実験動物(例えば、サル、例えばカニクイザル(cynmologous monkey)、ラット、マウス、モルモット、その他)を含む動物であることもできる。
本明細書で使用する用語「検体」は、目的とする対象から得た生物学的検体を意味する。例えば、検体は採取した体液(例えば血液)、細胞または組織、またはそれらから単離した核酸またはポリペプチドであることができる。
本明細書で使用する用語「調節不全」は、1.2倍に等しいか、それより大きく、対照と比較して統計的に有意な(p<0.05、スチューデントのt−検定)変化を意味する。例えば、1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、4.5倍、または5倍の変化である。
本明細書で使用する対象または患者への薬品または薬剤の投与には自己投与および他者による投与を含む。記載する医学的病状の処置または予防の様々なモードは「実質的な」ことを意味するものを意図しており、これには、完全なものばかりでなく、完全以下の処置または予防をも含み、そこでは、いくらかの生物学的にまたは医学的に関連のある結果が達成されるものもあることを認識すべきである。
本発明の態様1種またはそれ以上の詳細を下記の記述で説明する。本明細書に記載する方法および材料と類似または等価なものは何れも本発明の実践と検査に使用できるが、好適な方法および材料をここに記載する。本発明のその他の特性、目的、および利点はこの記載および請求項から明らかになる。明細書と請求項では、文脈から明らかに異なる場合を除いて単数形は複数形を含む。別段の記載がなければ、本明細書で使用する技術的および科学的な用語は全てこの発明が属する技術分野の通常の熟練者が通常理解するものと同じ意味を有する。本明細書に引用する文献は全てその全体をおよび全ての目的のために同等に参考のために本明細書に引用するが、各々の刊行物、特許または特許出願は具体的および個別的にその全体を全ての目的にために参考のために引用する形式で指定する。
標的とする遺伝子領域の増幅。
標的とする領域は、これに限定するものではないが、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)(米国特許4,965,188)、リガーゼ連鎖反応(LCR)(Barany et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 88: 189-193 (1991); 公開されたPCT特許出願WO 90/01069)、およびオリゴヌクレオチド結合検定(OLA)(Landegren et al., Science, 241: 1077-1080 (1988))を含むオリゴヌクレオチド依存性増幅方法を用いて増幅することもできる。このような方法でプライマーまたはプローブとして有用なオリゴヌクレオチドは、多形部位を含むか、それに隣接する核酸の領域に特異的にハイブリッドを形成する。標的領域を増幅するためには、転写に基づく増幅系を含むその他の公知の核酸増幅法を使用してもよい。(米国特許5,130,238; EP 0 329 822; 米国特許5,169,766, 公開されたPCT特許出願WO 89/06700)および等温増幅法(Walker et al., Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 89: 392-396 (1992)。
標的とする領域は、これに限定するものではないが、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)(米国特許4,965,188)、リガーゼ連鎖反応(LCR)(Barany et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 88: 189-193 (1991); 公開されたPCT特許出願WO 90/01069)、およびオリゴヌクレオチド結合検定(OLA)(Landegren et al., Science, 241: 1077-1080 (1988))を含むオリゴヌクレオチド依存性増幅方法を用いて増幅することもできる。このような方法でプライマーまたはプローブとして有用なオリゴヌクレオチドは、多形部位を含むか、それに隣接する核酸の領域に特異的にハイブリッドを形成する。標的領域を増幅するためには、転写に基づく増幅系を含むその他の公知の核酸増幅法を使用してもよい。(米国特許5,130,238; EP 0 329 822; 米国特許5,169,766, 公開されたPCT特許出願WO 89/06700)および等温増幅法(Walker et al., Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 89: 392-396 (1992)。
対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドの標的遺伝子へのハイブリダイゼーション。
対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドの標的ポリヌクレオチドへのハイブリダイゼーションは、両者の溶液中で行ってもよく、またはそのハイブリダイゼーションはオリゴヌクレオチドまたは標的ポリヌクレオチドの何れかを共有結合的にまたは非共有結合的に固体の支持体に付着させて行ってもよい。付着には、例えば抗体−抗原相互作用、ポリ−L−リジン、ストレプトアビジンまたはアビジン−ビオチン、塩ブリッジ、疎水性相互作用、化学結合、UV交差結合、焼付けなどを介在させてもよい。対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドは、固体支持体上で直接合成してもよく、または合成後に固体支持体に付着させてもよい。本発明の検出法での使用に適する固体支持体は、シリコン、ガラス、プラスチック、紙、その他で製造された物を含み、それらは例えばウェル(96ウェルプレートのような)、スライド、シート、膜、繊維、チップ、皿、およびビーズの形に成型してもよい。この固体支持体は処置、被覆または誘導体化して、対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドまたは標的核酸の固定化を促進してもよい。
対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドの標的ポリヌクレオチドへのハイブリダイゼーションは、両者の溶液中で行ってもよく、またはそのハイブリダイゼーションはオリゴヌクレオチドまたは標的ポリヌクレオチドの何れかを共有結合的にまたは非共有結合的に固体の支持体に付着させて行ってもよい。付着には、例えば抗体−抗原相互作用、ポリ−L−リジン、ストレプトアビジンまたはアビジン−ビオチン、塩ブリッジ、疎水性相互作用、化学結合、UV交差結合、焼付けなどを介在させてもよい。対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドは、固体支持体上で直接合成してもよく、または合成後に固体支持体に付着させてもよい。本発明の検出法での使用に適する固体支持体は、シリコン、ガラス、プラスチック、紙、その他で製造された物を含み、それらは例えばウェル(96ウェルプレートのような)、スライド、シート、膜、繊維、チップ、皿、およびビーズの形に成型してもよい。この固体支持体は処置、被覆または誘導体化して、対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドまたは標的核酸の固定化を促進してもよい。
個体の遺伝子についての遺伝子型またはハプロタイプは、また遺伝子の一方または両コピーを含む核検体の、例えばWO 95/11995に記載の核酸アレイおよびサブアレイへのハイブリダイゼーションによって決定してもよい。このアレイは、遺伝子型またはハプロタイプに含まれる一群の多形部位の各々を示す対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドを含むものとなろう。
Molecular Cloning A Laboratory Manual, Second Ed., Sambrook, Fritsch & Maniatis, ed. (Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1989); DNA Cloning, Volumes I and II, Glover DN ed. (1985); Oligonucleotide Synthesis, Gait MJ ed. (1984); Nucleic Acid Hybridization, Hames BD & Higgins SJ, eds., (1984)も参照。
遺伝子発現または多形性データを保存し、表示するコンピュータシステム。
本発明はまた遺伝子について決定されたデータを保存し、および表示するコンピュータシステムも提供する。多形性のデータは、これに限定するものではないが、例えば、多形部位の位置;その部位での配列変化;集団一つまたはそれ以上における多形の頻度;その遺伝子について決定された異なる遺伝子型および/またはハプロタイプ;集団一つまたはそれ以上における遺伝子型および/またはハプロタイプ1個またはそれ以上の頻度;その遺伝子について形質と遺伝子型またはハプロタイプとの間の公知の相関関係を含む情報である。このコンピュータシステムは、コンピュータ処理ユニット、ディスプレー、および多形性データを含むデータベースを含む。多形性データには、参照集団中の所与の遺伝子について確認されている多形性、遺伝子型およびハプロタイプを含む。好適な態様では、このコンピュータシステムは、旋回運動の関連性に従って構築される遺伝子発現パターンを示す表示を行うことができる。
本発明はまた遺伝子について決定されたデータを保存し、および表示するコンピュータシステムも提供する。多形性のデータは、これに限定するものではないが、例えば、多形部位の位置;その部位での配列変化;集団一つまたはそれ以上における多形の頻度;その遺伝子について決定された異なる遺伝子型および/またはハプロタイプ;集団一つまたはそれ以上における遺伝子型および/またはハプロタイプ1個またはそれ以上の頻度;その遺伝子について形質と遺伝子型またはハプロタイプとの間の公知の相関関係を含む情報である。このコンピュータシステムは、コンピュータ処理ユニット、ディスプレー、および多形性データを含むデータベースを含む。多形性データには、参照集団中の所与の遺伝子について確認されている多形性、遺伝子型およびハプロタイプを含む。好適な態様では、このコンピュータシステムは、旋回運動の関連性に従って構築される遺伝子発現パターンを示す表示を行うことができる。
これに加えて、このコンピュータは、映像(またはスクリーン)を作成して表示装置上に表すプログラムを実行してもよく、それを使って使用者が操作すれば、その遺伝子とそのゲノム変化に関する、染色体の位置、遺伝子構造、および遺伝子ファミリー、遺伝子発現データ、多形性データ、遺伝子配列データ、および臨床データの集団データ(例えば、一つまたはそれ以上の集団について民族地理学的出自のデータ、臨床的応答、および遺伝子発現パターン)を含む、多量の情報を目視し、分析できる。本明細書に記載する多形性データは関係データベース(例えば、オラクルデータベースの一例またはASCIIフラットファイルのセット)の一部として保存できる。これらの多形性データはコンピュータのハードドライブ上に保存してもよくまたは、例えばCD−ROMまたはその他のコンピュータで操作できる保存用デバイスに保存してもよい。例えば、このデータは、ネットワーク経由でコンピュータと通信できるデータベース一つまたはそれ以上に保存してもよい。
下記実施例では、データの標準化は次のように行った:0以下の値を0.1に設定した。各測定値をその検体の全測定の50.0番百分位数で割算した。最後に未処置検体の中央値の値式に標準化することによって遺伝子の標準化を行った。
実施例1では、対照と処置との間で異なって発現する遺伝子は、次の限定に基づいて各実験内で確認した:
(1)前選別的限定:その後の分析を行うプローブセットは、如何なる条件下にも複写物(replicate)の4/6に標識がなければならない。未加工データのシグナル強度は、その処置群の少なくとも一つで最低50でなければならない。
(2)統計的限定:p<0.05(ウェルチT−検定(パラメトリック))。同様な統計的限定は比較すべき異なる群に常に適用され、各々の比較に付記する。
(1)前選別的限定:その後の分析を行うプローブセットは、如何なる条件下にも複写物(replicate)の4/6に標識がなければならない。未加工データのシグナル強度は、その処置群の少なくとも一つで最低50でなければならない。
(2)統計的限定:p<0.05(ウェルチT−検定(パラメトリック))。同様な統計的限定は比較すべき異なる群に常に適用され、各々の比較に付記する。
実施例1では、遺伝子集合濃縮解析(GSEA)を用いてマイクロアレイデータを分析した。チップの75%以上で100以下のレベルを示す遺伝子は低発現または非発現として放棄する。次にマイクロアレイの結果を条件の組合せ(例えば処置群と対照群)の間について一連の組合せ比較によって分析する。条件1と条件2における各遺伝子の相対的発現レベルを、発現比riとして算出する:
ここに、μi,jは条件jにおける遺伝子iの平均発現値である。次に遺伝子を発現比率に従って条件2よりも条件1で高い発現を示す遺伝子がリストの上側に来るように並べ替える。次に、並べ替えリストに入手できる遺伝子セットのコレクションを反映させる。この段階は本質的に調和的様式で発現される機能的に関連する遺伝子を確認するために実験データに推測的な生物学的知識を適用するものである。遺伝子セットは一時に一つ宛処置する。遺伝子セットGでは、各発現比riを遺伝子iが
であれば「遺伝子セット内」;また遺伝子jが
であれば「遺伝子セット外」と標識する。両側Wilcoxon順位和検定を計算して、遺伝子セットG内と標識した遺伝子が並べ替えリストの最上または最低部に濃縮(enrich)されているかどうかを決定する。Storey JD & Tibshirani R, Proc Natl Acad Sci USA 100: 9440-9445 (2003) のfalse discovery rate(FDR)法を適用してp値を多重検定修正q値に変換する。GSEAからの出力は、入手した遺伝子セットN個に対応するq値(q1、q2、…、qN)とラベル(l1、l2、...、lN)、li∈(上限,下限)のリストである。小さなq値qiは、遺伝子セットGiの遺伝子が発現比率のリストの上端または下端のどちらかで有意に濃縮されていることを示す。
実施例2もGSEA分析の記載を提供する。
実施例2もGSEA分析の記載を提供する。
本発明のキット。
本明細書に一般的に記載する本発明の方法は、さらに本発明のキットの使用も含むことを理解すべきである。本発明は、個体の遺伝子のハプロタイプおよび/または遺伝子型を決めるために有用な核酸およびポリペプチド検出キットを提供する。このキットは対象を分類するために有用である。一般に、本発明の方法は体外で行ってもよいが、この体外法は本発明が特に意図するものである。また、本発明の方法が人体または動物体内で行うかもしれない段階を含む場合には、人体または動物体内で行わない段階のみを含む方法は、本発明が特に意図するものである。
本明細書に一般的に記載する本発明の方法は、さらに本発明のキットの使用も含むことを理解すべきである。本発明は、個体の遺伝子のハプロタイプおよび/または遺伝子型を決めるために有用な核酸およびポリペプチド検出キットを提供する。このキットは対象を分類するために有用である。一般に、本発明の方法は体外で行ってもよいが、この体外法は本発明が特に意図するものである。また、本発明の方法が人体または動物体内で行うかもしれない段階を含む場合には、人体または動物体内で行わない段階のみを含む方法は、本発明が特に意図するものである。
本発明のキットは、例えば体液、これに限定するものではないが、例えば血清、血漿、リンパ液、嚢胞液、尿、糞便、脳脊髄液、腹水(acitic fluid)または血液を含み、また生体組織の生検検体も含む生物学的検体中にある本発明のマーカーに対応するポリペプチドまたは核酸の存在を検出するために有用である。例えば、このキットは生物学的検体中の標識化合物またはポリペプチドを検出できる薬剤または本発明のマーカーに対応するポリペプチドをコードするmRNA、および検体中のポリペプチドまたはmRNAの量を決定する手段、例えばそのポリペプチドをコードするDNAまたはmRNAに結合するポリペプチドまたはオリゴヌクレオチドプローブに結合する抗体を含むことができる。
抗体に基づくキットについて、そのキットは次のもの:例えば、
(1)本発明のマーカーに対応するポリペプチドに結合するものであって、例えば固体支持体に結合している第一の抗体を含み、また所望により
(2)ポリペプチドまたは第一の抗体の何れかに結合するものであって、検出可能な標識に結合している第二の異なる抗体を含んでいてもよい。
(1)本発明のマーカーに対応するポリペプチドに結合するものであって、例えば固体支持体に結合している第一の抗体を含み、また所望により
(2)ポリペプチドまたは第一の抗体の何れかに結合するものであって、検出可能な標識に結合している第二の異なる抗体を含んでいてもよい。
オリゴヌクレオチドに基づくキットについて、そのキットは次のもの:例えば、
(1)本発明のマーカーに対応するポリペプチドをコードする核酸配列にハイブリッドを形成するオリゴヌクレオチド、例えば検出可能に標識されたオリゴヌクレオチド;または
(2)本発明のマーカーに対応する核酸分子を増幅するために有用である一対のプライマーを含むことができる。
(1)本発明のマーカーに対応するポリペプチドをコードする核酸配列にハイブリッドを形成するオリゴヌクレオチド、例えば検出可能に標識されたオリゴヌクレオチド;または
(2)本発明のマーカーに対応する核酸分子を増幅するために有用である一対のプライマーを含むことができる。
このキットはまた、例えば緩衝剤、保存剤またはタンパク質安定化剤を含むことができる。このキットはさらに、検出可能な標識を検出するために必要な成分、例えば酵素または基質を含むことができる。このキットはまた、検定して試験検体と比較できる単数の対照検体または一連の複数の対照検体を含むことができる。このキットの各成分は、個々の容器内に封入でき、また様々な容器全てはこのキットを使用して行った検定の結果を解釈するための指示書とともに1個の包装内に入れることができる。好適な態様では、このキットにはさらにDNA検体を収集する手段を含んでいてもよい。本発明のキットは、キットの容器上にまたは容器内に印刷物を含んでいてもよい。この印刷物には、キットに含まれる試薬の使用法、例えば対象の病状を予防または処置する方針決定における本発明のバイオマーカーの使用法が記載されている。数種の態様では、本試薬の使用は本発明の方法に従って行うことができる。態様の一つでは、試薬は関連遺伝子の遺伝子発現を測定するための遺伝子チップである。
対象と標準対照集団との関連付け。
処置に対する臨床的応答と遺伝子発現パターンとの間の相関を演繹するためには、処置を受けた個体の集団、すなわち臨床集団が示す臨床的応答についてのデータを得る必要がある。この臨床データは、恐らく臨床試験結果のレトロスペクティブ分析により得られる。あるいは、この臨床的データは新たな臨床試験を1回またはそれ以上を設計し、実施して得てもよい。臨床集団データの分析は標準対照集団を定義付けるために有用であり、これは翻って臨床試験の登録または治療的処置の選択について対象を分類するために有用である。好適な態様では、その臨床集団に含まれる対象は目的とする病状の存在について類別する。予想される対象の類別化には、例えば標準的な身体検査または臨床試験1種またはそれ以上を含むことができる。あるいは、対象の類別化は遺伝子発現パターンの使用を含むことができる。例えば、遺伝子発現パターンは、遺伝子発現パターンと疾患の罹患性または重篤度との間に強い相関性がある時には、類別化の基準として有用である。そのような標準対照集団は遺伝子発現パターンのプロファイル特性を共有する対象からなる。例えば、バイオマーカー遺伝子発現特性は、本発明の方法では所与の対象における遺伝子発現産物1種またはそれ以上の濃度を比較するために有用である。本発明の方法で有用なこの遺伝子発現産物には、これに限定するものではないが、例えば、ある特定の遺伝子型群と結合する独特のmRNAまたはその遺伝子型群のポリペプチド遺伝子発現産物を含む。態様の一つでは、対象を対象体内のバイオマーカー1種またはそれ以上の測定された濃度と標準対照集団で観察されるバイオマーカー1種またはそれ以上の濃度との間の類似性に基づいて特定の遺伝子型群またはクラスに分類するか、または割付ける。
処置に対する臨床的応答と遺伝子発現パターンとの間の相関を演繹するためには、処置を受けた個体の集団、すなわち臨床集団が示す臨床的応答についてのデータを得る必要がある。この臨床データは、恐らく臨床試験結果のレトロスペクティブ分析により得られる。あるいは、この臨床的データは新たな臨床試験を1回またはそれ以上を設計し、実施して得てもよい。臨床集団データの分析は標準対照集団を定義付けるために有用であり、これは翻って臨床試験の登録または治療的処置の選択について対象を分類するために有用である。好適な態様では、その臨床集団に含まれる対象は目的とする病状の存在について類別する。予想される対象の類別化には、例えば標準的な身体検査または臨床試験1種またはそれ以上を含むことができる。あるいは、対象の類別化は遺伝子発現パターンの使用を含むことができる。例えば、遺伝子発現パターンは、遺伝子発現パターンと疾患の罹患性または重篤度との間に強い相関性がある時には、類別化の基準として有用である。そのような標準対照集団は遺伝子発現パターンのプロファイル特性を共有する対象からなる。例えば、バイオマーカー遺伝子発現特性は、本発明の方法では所与の対象における遺伝子発現産物1種またはそれ以上の濃度を比較するために有用である。本発明の方法で有用なこの遺伝子発現産物には、これに限定するものではないが、例えば、ある特定の遺伝子型群と結合する独特のmRNAまたはその遺伝子型群のポリペプチド遺伝子発現産物を含む。態様の一つでは、対象を対象体内のバイオマーカー1種またはそれ以上の測定された濃度と標準対照集団で観察されるバイオマーカー1種またはそれ以上の濃度との間の類似性に基づいて特定の遺伝子型群またはクラスに分類するか、または割付ける。
本発明の一態様では、目的とする治療的処置を治験集団内の各対照に施し、その処置に対する各対象の応答を所定の基準一つまたはそれ以上を用いて測定する。多くの場合、治験集団は一定範囲内の応答を示し、研究者は様々な応答による特徴を持つレスポンダー群の数(例えば、低、中、高)を選択することになることが意図されている。これに加えて、治験集団内の各個体の遺伝子は、処置を施す前または後に遺伝子型および/またはハプロタイプを決定する。
ここに使用できる統計分析の方法は、Fisher LD & vanBelle G, Biostatistics: A Methodology for the Health Sciences (Wiley-lnterscience, New York, 1993)に記載がある。この分析は、また遺伝子内の多形部位が最も顕著に表現型の差に寄与する回帰計算を含んでいてもよい。
ハプロタイプ含量と臨床的応答との間の相関関係を見出す別な方法は誤差最小化最適化アルゴリズムに基づく予測モデルを利用するが、その一つは遺伝的アルゴリズムである(Judson R, “Genetic Algorithms and Their Uses in Chemistry” in Reviews in Computational Chemistry, Vol. 10, pp 1-73, Lipkowitz KB and Boyd DB, eds, (VCH Publishers, New York, 1997)。模擬アニーリング(Press et al., Numerical Recipes in C: The Art of Scientific Computing, Ch. 10 (Cambridge University Press, Cambridge, 1992)、神経回路網(Rich E & Knight K, Artificial Intelligence, 2nd Edition, Ch.10 (McGraw-Hill, New York, 1991)、標準傾斜降下法(Press et al., supra Ch. 10)、またはその他の広範囲または局所的な最適化手法も使用できる。
相関関係は、臨床データのどの程度の変動がその遺伝子の多形部位の異なるサブセットによって説明されるかを算定する分散分析(ANOVA)技術を用いて分析してもよい。ANOVAを用いて、応答の変動が測定可能な形質または変数の一つまたはそれ以上によって起き、またはそれと関連するという仮説を検証する。Fisher LD & vanBelle G, Biostatistics: A Methodology for the Health Sciences (Wiley-lnterscience, New York, 1993)の第10章を参照。
臨床データおよび多形データの双方を得た後、個々の応答と遺伝子型またはハプロタイプ含量との間の関連付けを行う。この関連付けは数種の方法で行ってもよい。方法の一つでは、個体をその遺伝子型またはハプロタイプ(またはハプロタイプ対)(多形群とも称する)によって分類し、次に各多形群のメンバーが示した臨床的応答の平均値および標準偏差を算出する。
当業者は、前記分析から得た遺伝子型またはハプロタイプの関数として臨床的応答を予測する数学的モデルを構築できる。遺伝子について臨床的応答と遺伝子型またはハプロタイプ(またはハプロタイプ対)との間の関連性の確認は、その個体がその処置に応答するか応答しないかを決めるための、あるいは、応答が低くてそれ以上の処置、すなわち薬剤の増量が必要になるかどうかを決めるための、診断法設計の基礎となろう。この診断法は数種の形の一つ:例えば、直接的DNA検査(すなわち、遺伝子中の多形部位一ヶ所またはそれ以上での遺伝子型またはハプロタイプ決定)、血清学検査、または健康診断測定であってもよい。唯一の要件は診断検査結果とその元となる遺伝子型またはハプロタイプとの間に良好な相関関係があることである。好適な態様では、この診断法は前記の予測的ハプロタイプ決定法を使用する。
予測的医学。
本発明はまた予測的医学の分野に関し、そこでは診断的検査、予後的検定、および臨床試験のモニタリングを用いて、予後的(予測的)目的のために対象を予防的に処置する。従って、本発明の一側面は、生物学的検体(例えば血液、血清、細胞、組織)に関連してバイオマーカー分子発現ならびにバイオマーカー分子活性を決定するための診断的検定に関し、それによってある個体がバイオマーカー分子の異常な発現または活性に伴う疾患または傷害を受けているかどうか、またはそのおそれがあるかどうかを決定する。
本発明はまた予測的医学の分野に関し、そこでは診断的検査、予後的検定、および臨床試験のモニタリングを用いて、予後的(予測的)目的のために対象を予防的に処置する。従って、本発明の一側面は、生物学的検体(例えば血液、血清、細胞、組織)に関連してバイオマーカー分子発現ならびにバイオマーカー分子活性を決定するための診断的検定に関し、それによってある個体がバイオマーカー分子の異常な発現または活性に伴う疾患または傷害を受けているかどうか、またはそのおそれがあるかどうかを決定する。
本発明はまた個体がバイオマーカー分子の発現または活性に関連する疾患を発症するおそれがあるかどうかを決定するための予後の(または予測的)検定を提供する。この検定は、予後的または予測的目的のために使用でき、ある個体をバイオマーカーポリペプチドに特徴付けられるかまたはそれに関連する疾患の発症前に予防的に処置することができる。
対象の特定組織(または血液)中のある種のポリペプチドの濃度は、所与の薬剤を対象に投与したときの毒性、有効性、排泄速度または代謝速度の指標であろう。本明細書に記載する方法は、その対象が各薬剤に示す応答を予想する目的で対象のそのようなポリペプチド濃度を決定するために使用できる。本発明の別な側面は個体の突然変異ポリペプチド活性を決定し、それによってその個体のための治療用または予防用に適する化合物を選択する方法を提供する。本発明の方法はその個体の遺伝子型に基づいて個体を治療的または予防的に処置するための化合物(例えば薬剤)の選択を可能にする(例えば特定化合物に対する個体の応答性を調べるために個体の遺伝子型を調査)。
予後的検定。
予後的化合物とバイオマーカー分子、例えばバイオマーカーポリペプチドまたはバイオマーカーポリペプチドをコードする核酸との結合を利用して、バイオマーカーポリペプチドの発現または活性に関連する疾患に罹患しているか、罹患のおそれがある対象を確認できる(前記参照)。予後的化合物はバイオマーカー分子に結合または会合する分子であって、これに限定するものではないが、例えば抗バイオマーカーポリペプチド抗体、低分子、核酸、ポリペプチド、オリゴ糖類、脂質、またはそれらの組合せを含む。あるいは、予後的検定は、その疾患または障害を起す恐れがある個体を確認するために利用できる。そこで、本発明は、試験検体を対象から得て、予後的化合物の結合または活性を検出してバイオマーカーの発現または活性に関連する疾患または障害を確認する方法を提供するが、ここに、予後的化合物の結合または活性の変化が存在すれば、対象が罹患しているか、罹患のおそれがあるバイオマーカーの発現または活性に関連する疾患または障害を診断する。本明細書で使用する「試験検体」は、目的とする対象から採取した生物学的検体を示す。例えば、試験検体は、生物学的体液(例えば、血清)、細胞検体、または組織、またはそれから誘導した単離した核酸またはポリペプチドであり得る。
予後的化合物とバイオマーカー分子、例えばバイオマーカーポリペプチドまたはバイオマーカーポリペプチドをコードする核酸との結合を利用して、バイオマーカーポリペプチドの発現または活性に関連する疾患に罹患しているか、罹患のおそれがある対象を確認できる(前記参照)。予後的化合物はバイオマーカー分子に結合または会合する分子であって、これに限定するものではないが、例えば抗バイオマーカーポリペプチド抗体、低分子、核酸、ポリペプチド、オリゴ糖類、脂質、またはそれらの組合せを含む。あるいは、予後的検定は、その疾患または障害を起す恐れがある個体を確認するために利用できる。そこで、本発明は、試験検体を対象から得て、予後的化合物の結合または活性を検出してバイオマーカーの発現または活性に関連する疾患または障害を確認する方法を提供するが、ここに、予後的化合物の結合または活性の変化が存在すれば、対象が罹患しているか、罹患のおそれがあるバイオマーカーの発現または活性に関連する疾患または障害を診断する。本明細書で使用する「試験検体」は、目的とする対象から採取した生物学的検体を示す。例えば、試験検体は、生物学的体液(例えば、血清)、細胞検体、または組織、またはそれから誘導した単離した核酸またはポリペプチドであり得る。
さらに、本明細書に記述する予後的検定は、バイオマーカー関連疾患または障害を処置するために対象に化合物(例えば、アゴニスト、拮抗剤、ペプチド類似体、ポリペプチド、ペプチド、核酸、低分子、またはその他の薬剤候補)を投与できるかどうかを決定するために使用できる。本明細書で使用する対象または患者への化合物の投与には自己投与および他者による投与を含む。一つの態様では、本明細書に記述する予後的検定を使用して対象がその化合物に応答するかどうかを決定する。例えばこの方法は、対象のバイオマーカー関連疾患(すなわちバイオマーカー関連病状)を治療用化合物で有効に処置できるかどうかを決定するために使用できる。そこで、本発明は、対象をバイオマーカーの発現または活性に関連する疾患のための化合物を用いて有効に処置できるかどうかを決定する方法を提供するが、ここでは試験検体を採取し、予後的化合物を用いてバイオマーカー分子を検出する(例えば、ここにバイオマーカー分子の存在または発現レベルが対照におけるバイオマーカーの発現レベルと比較して変化していれば、対象にバイオマーカー関連疾患を処置するためにその化合物を投与できると診断できる)。
あるバイオマーカー分子の過剰発現(または過小発現)の程度、すなわちバイオマーカー関連疾患または病状が、その対象の疾患が発症するかどうかの指標であることが知られている多数の疾患がある。そこで、検体中のバイオマーカーの検出法を対象が疾患を発症するかどうかを予測する方法として使用できる。発症の恐れがある対象から採取した適当な組織または血液検体中のバイオマーカー1種またはそれ以上の濃度を測定し、適当な対照、例えばその疾患が発症するおそれがない対象の濃度と比較する。検体中のバイオマーカー1種またはそれ以上が対照と比較して過剰発現(または過小発現)される程度は対象がその疾患を発症する蓋然性の指標である。対照と比較して過剰発現(または過小発現)が大きいほど、対象がその疾患を発症することが予見される。
本明細書に記載の方法は、例えば、プローブ試薬、例えば本明細書に記述する使用しやすい抗バイオマーカーポリペプチド抗体少なくとも1種を含む包装済診断用キットを利用して、例えば本発明のバイオマーカーが関連する疾患または疾病の症状を示すか家族歴のある患者を診断する臨床的設定において実施できる。さらに、本発明のバイオマーカーが発現するどの細胞型または組織でも本明細書に記載する予後的検定に利用できる。
臨床的有効性のモニタリング。
薬品(例えば薬剤、化合物)のバイオマーカーの発現または活性に対する影響(例えば、異常な細胞増殖および/または分化を変調する性能)のモニタリングは、基礎的な薬剤検定および臨床試験で応用できる。例えば、本明細書に記載するバイオマーカー遺伝子発現、タンパク質濃度、またはバイオマーカー活性の上方調節を増加するスクリーニング検定で決定する薬品の有効性は、バイオマーカー遺伝子発現減少、タンパク質濃度、またはバイオマーカー活性の下方調節を示す対象の臨床試験でモニタリングできる。あるいは、バイオマーカー遺伝子の発現低下、タンパク質濃度、またはバイオマーカー活性の下方調節、を起すスクリーニング検定によって決定した薬品の有効性は、バイオマーカー遺伝子発現の増加、タンパク質濃度、またはバイオマーカー活性の上方調節を示す対象の臨床試験でモニタリングできる。そのような臨床試験では、バイオマーカーの発現または活性および望ましくは、例えば増殖性疾患および癌に関連付けられてきた他の遺伝子を用いて、特定細胞の応答性の「読取」またはマーカーに使用できる。
薬品(例えば薬剤、化合物)のバイオマーカーの発現または活性に対する影響(例えば、異常な細胞増殖および/または分化を変調する性能)のモニタリングは、基礎的な薬剤検定および臨床試験で応用できる。例えば、本明細書に記載するバイオマーカー遺伝子発現、タンパク質濃度、またはバイオマーカー活性の上方調節を増加するスクリーニング検定で決定する薬品の有効性は、バイオマーカー遺伝子発現減少、タンパク質濃度、またはバイオマーカー活性の下方調節を示す対象の臨床試験でモニタリングできる。あるいは、バイオマーカー遺伝子の発現低下、タンパク質濃度、またはバイオマーカー活性の下方調節、を起すスクリーニング検定によって決定した薬品の有効性は、バイオマーカー遺伝子発現の増加、タンパク質濃度、またはバイオマーカー活性の上方調節を示す対象の臨床試験でモニタリングできる。そのような臨床試験では、バイオマーカーの発現または活性および望ましくは、例えば増殖性疾患および癌に関連付けられてきた他の遺伝子を用いて、特定細胞の応答性の「読取」またはマーカーに使用できる。
例えば、本発明のバイオマーカーをコードする遺伝子を含み、細胞内で薬品(例えば、化合物、薬剤または低分子)を用いる処置によって変調され、バイオマーカー活性(例えば、本明細書に記載のようなスクリーニングで確認される)を変調する遺伝子を確認できる。そこで、細胞増殖疾患に対する薬品の効果を研究するために、例えば、臨床試験では細胞を分離し、RNAを作製し、バイオマーカーおよびこの疾患への関与が疑われる他の遺伝子の発現濃度を分析する。遺伝子発現(すなわち、遺伝子発現パターン)のレベルは、本明細書に記載するノーザンブロット分析またはRT−PCRによって、あるいは産生されるタンパク質の量の測定によって、本明細書に記載する方法の一つによって、またはある遺伝子または他の複数の遺伝子の活性の濃度を測定することによって定量化できる。このようにして遺伝子発現パターンを、その薬品に対する細胞の生理学的応答の指標であるマーカーとして役立てることができる。従って、この応答の状態は、事前におよび個体の薬剤を用いる処置の様々な時点で測定してもよい。
遺伝子発現および対象の分類。
遺伝子発現産物の標準対照レベルは、様々な対照群における遺伝子発現を測定して決定する。そこで、対照群の遺伝子発現レベルを所定の対象における遺伝子発現産物の測定値と比較する。この遺伝子発現産物は特定の遺伝子型群と関連する特徴的なmRNAであるか、またはその遺伝子型群のポリペプチド遺伝子発現産物であることができる。この対象は、所定の群に対する対照レベルとの比較でレベル測定値の類似性に基づいて、特定の遺伝子型群に分類し、または割付けることができる。
遺伝子発現産物の標準対照レベルは、様々な対照群における遺伝子発現を測定して決定する。そこで、対照群の遺伝子発現レベルを所定の対象における遺伝子発現産物の測定値と比較する。この遺伝子発現産物は特定の遺伝子型群と関連する特徴的なmRNAであるか、またはその遺伝子型群のポリペプチド遺伝子発現産物であることができる。この対象は、所定の群に対する対照レベルとの比較でレベル測定値の類似性に基づいて、特定の遺伝子型群に分類し、または割付けることができる。
当業者には理解される通り、この決定を行うに当たってある程度の不確実性が存在する。それ故、確率論的な決定を行うために対照群レベルの標準偏差を使用でき、また、この発明の方法は広範な蓋然性に基づく遺伝子型群の決定に応用可能である。そこで、限定ではなく、例として、一つの態様では、遺伝子発現産物レベルの測定値が何れかの対照群平均値の2.5標準偏差以内であれば、その個体はその遺伝子型群に割り付けてもよい。他の態様では、遺伝子発現産物の測定値が何れかの対照群平均値の2.0標準偏差以内であれば、その個体はその遺伝子型群に割付けてもよい。なお別な態様では、遺伝子発現産物の測定レベルが何れかの対照群平均値の1.5標準偏差以内であれば、その個体はその遺伝子型群に割付けてもよい。なお別な他の態様では、遺伝子発現産物の測定レベルが何れかの対照群レベル平均値の1.0標準偏差以下であれば、その個体はその遺伝子型群に割付けてもよい。
そこで、このプロセスは様々な程度の蓋然性で、どの群に特定の対象を入れるかの決定を可能にし、および例えば遺伝子型群への割付がその個体を入れるリスクの群を決定する。
バイオマーカー遺伝子発現の検出。
生物学的検体中にある本発明の突然変異ポリペプチドまたは核酸の存否を検出する例示的方法には、試験対象から生物学的検体を採取すること、およびその生物学的検体を生物学的検体中にある突然変異遺伝子の存在が検出されるように化合物または本発明の突然変異ポリペプチドをコードする突然変異ポリペプチドまたは核酸を検出できる化合物(例えば、mRNA、ゲノムDNA)と接触させて、生物学的検体中の突然変異遺伝子の存在を検出することを含む。突然変異mRNAまたは突然変異ゲノムDNAを検出するための化合物は、突然変異mRNAまたは突然変異ゲノムDNAとハイブリッドを形成できる標識核酸プローブである。この核酸プローブは、例えば全長突然変異核酸またはその一部分、例えば長さが少なくとも5、15、30、50、100、250または500ヌクレオチドのオリゴヌクレオチドであって、ストリンジェント条件下に突然変異mRNAまたは突然変異ゲノムDNAとハイブリッドを十分特異的に形成することができる。本発明の診断的検定に使用するための他の適当なプローブは本明細書に記載する。本発明の突然変異ポリペプチドを検出するための化合物の例は本発明の突然変異ポリペプチドに対して作製された抗体であって、突然変異ポリペプチドに結合でき、好ましくは検出可能な標識を持つ抗体である。抗体はポリクローナルであるか、またはより好ましくはモノクローナルであることができる。完全な抗体またはその断片(例えば、FabまたはF(ab’)2)を使用できる。用語「標識」は、このプローブまたは抗体に関しては、プローブまたは抗体への標識可能な物質を結合(すなわち、物理的結合)することによるプローブまたは抗体の直接的標識、ならびに直接的に標識した他の化合物との反応性によるプローブまたは抗体の間接的標識を含むことが意図されている。間接的標識の例は、蛍光標識二次抗体を用いる一次抗体の標識、およびビオチンを用いるDNAプローブの末端標識で、蛍光標識ストレプトアビジンを用いて検出できるものを含む。すなわち、本発明の検出方法は、生物学的検体中で、インビトロでならびにインビボで本発明の突然変異mRNA、ポリペプチド、またはゲノムDNAを検出するために使用できる。例えば、突然変異mRNA検出のためのインビトロ技法にはノーザンハイブリダイゼーションおよびインサイチュ・ハイブリダイゼーションを含む。本発明の突然変異ポリペプチドを検出するためのインビトロ技法には、酵素免疫吸着測定法(ELISA)、ウェスタンブロット法、免疫沈降法、および免疫蛍光法を含む。突然変異ゲノムDNAを検出するためのインビトロ技法にはサザンハイブリダイゼーション法を含む。さらに、突然変異ポリペプチドを検出するためのインビボ技法には、標識抗突然変異ポリペプチド抗体の対象への導入を含む。例えば、この抗体は、対象内におけるその存在と位置を標準的撮像技術によって検出できる、放射性マーカーを用いて標識できる。態様の一つでは、生物学的検体は試験対象から得たポリペプチド分子を含む。あるいは、生物学的検体は、試験対象から得たmRNA分子または試験対象から得たゲノムDNA分子を含むことができる。好適な生物学的検体は、対象から常法によって採取した末梢血白血球検体である。
生物学的検体中にある本発明の突然変異ポリペプチドまたは核酸の存否を検出する例示的方法には、試験対象から生物学的検体を採取すること、およびその生物学的検体を生物学的検体中にある突然変異遺伝子の存在が検出されるように化合物または本発明の突然変異ポリペプチドをコードする突然変異ポリペプチドまたは核酸を検出できる化合物(例えば、mRNA、ゲノムDNA)と接触させて、生物学的検体中の突然変異遺伝子の存在を検出することを含む。突然変異mRNAまたは突然変異ゲノムDNAを検出するための化合物は、突然変異mRNAまたは突然変異ゲノムDNAとハイブリッドを形成できる標識核酸プローブである。この核酸プローブは、例えば全長突然変異核酸またはその一部分、例えば長さが少なくとも5、15、30、50、100、250または500ヌクレオチドのオリゴヌクレオチドであって、ストリンジェント条件下に突然変異mRNAまたは突然変異ゲノムDNAとハイブリッドを十分特異的に形成することができる。本発明の診断的検定に使用するための他の適当なプローブは本明細書に記載する。本発明の突然変異ポリペプチドを検出するための化合物の例は本発明の突然変異ポリペプチドに対して作製された抗体であって、突然変異ポリペプチドに結合でき、好ましくは検出可能な標識を持つ抗体である。抗体はポリクローナルであるか、またはより好ましくはモノクローナルであることができる。完全な抗体またはその断片(例えば、FabまたはF(ab’)2)を使用できる。用語「標識」は、このプローブまたは抗体に関しては、プローブまたは抗体への標識可能な物質を結合(すなわち、物理的結合)することによるプローブまたは抗体の直接的標識、ならびに直接的に標識した他の化合物との反応性によるプローブまたは抗体の間接的標識を含むことが意図されている。間接的標識の例は、蛍光標識二次抗体を用いる一次抗体の標識、およびビオチンを用いるDNAプローブの末端標識で、蛍光標識ストレプトアビジンを用いて検出できるものを含む。すなわち、本発明の検出方法は、生物学的検体中で、インビトロでならびにインビボで本発明の突然変異mRNA、ポリペプチド、またはゲノムDNAを検出するために使用できる。例えば、突然変異mRNA検出のためのインビトロ技法にはノーザンハイブリダイゼーションおよびインサイチュ・ハイブリダイゼーションを含む。本発明の突然変異ポリペプチドを検出するためのインビトロ技法には、酵素免疫吸着測定法(ELISA)、ウェスタンブロット法、免疫沈降法、および免疫蛍光法を含む。突然変異ゲノムDNAを検出するためのインビトロ技法にはサザンハイブリダイゼーション法を含む。さらに、突然変異ポリペプチドを検出するためのインビボ技法には、標識抗突然変異ポリペプチド抗体の対象への導入を含む。例えば、この抗体は、対象内におけるその存在と位置を標準的撮像技術によって検出できる、放射性マーカーを用いて標識できる。態様の一つでは、生物学的検体は試験対象から得たポリペプチド分子を含む。あるいは、生物学的検体は、試験対象から得たmRNA分子または試験対象から得たゲノムDNA分子を含むことができる。好適な生物学的検体は、対象から常法によって採取した末梢血白血球検体である。
本発明の実施に当っては、分子生物学、タンパク質生化学、細胞生物学、免疫学、微生物学および組み換えDNAにおける通常の技術多数が使用される。これらの技術はよく知られており、例えばCurrent Protocols in Molecular Biology, Vols. I-III, Ausubel, Ed. (1997); Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Second Edition (Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY, 1989); DNA Cloning: A Practical Approach, Vols. I and II, Glover, Ed. (1985); Oligonucleotide Synthesis, Gait, Ed. (1984); Nucleic Acid Hybridization, Hames & Higgins, Eds. (1985); Transcription and Translation, Hames & Higgins, Eds. (1984); Animal Cell Culture, Freshney, ed. (1986); Immobilized Cells and Enzymes (IRL Press, 1986); Perbal, A Practical Guide to Molecular Cloning; the series, Meth. Enzymol., (Academic Press, Inc., 1984); Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells, Miller & Calos, Eds. (Cold Spring Harbor Laboratory, New York, 1987); and Meth. Enzymol., Vols. 154 and 155, Wu & Grossman, and Wu, eds.に説明されている。mRNAレベル(すなわち、遺伝子転写レベル)およびポリペプチド遺伝子発現産物のレベル(すなわち、遺伝子翻訳レベル)を検出し、測定する方法は当技術分野でよく知られており、ヌクレオチドのマイクロアレイの使用および質量分光計を含むポリペプチド検出法および/または抗体の検出および定量化技術を含む。Strachan & Read, Human Molecular Genetics, Second Edition. (John Wiley and Sons, Inc., New York, 1999)も参照。
この発明が記載する遺伝子の遺伝子発現を検出する技術には、これに限定するものではないがノーザンブロット、RT−PCT、即時PCR、プライマー伸長法、RNase保護、RNA発現プロファイリング、および関連技術を含む。この発明が記載する遺伝子によってコードされるタンパク質産物の検出による遺伝子発現検出の技術には、これに限定するものではないが、例えばタンパク質産物を認識する抗体、ウェスタンブロット、免疫蛍光法、免疫沈降法、ELISA、および関連技術を含む。これらの技術は当技術分野でよく知られている。Sambrook J. et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Third Edition (Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor, New York, 2000)。態様の一つでは、遺伝子発現を検出する技術には、遺伝子チップの使用を含む。遺伝子チップの構築および使用は当技術分野でよく知られている。U.S. Pat Nos. 5,202,231; 5,445,934; 5,525,464; 5,695,940; 5,744,305; 5,795,716 and 5,800,992を参照。Johnston M, Curr. Biol., 8:R171-174 (1998); Iyer VR et al., Science, 283: 83-87 (1999) and Elias P, “New human genome ‘chip’ is a revolution in the offing” Los Angeles Daily News (October 3, 2003)も参照。
下記実施例1では、マイクロアレイハイブリダイゼーションは、マイクロアレイ系の製造会社(Affymetrix, Santa Clara, California; Expression Analysis technical manual)が推奨するようにして行った。各処置群から得た6検体を、プローブセット31 000以上を含むラットゲノムRAE230 2.0遺伝子発現プローブアレイセット(Affymetrix, Inc., Santa Clara, California, USA)上でハイブリッドを形成させた(プーリングなし)。
二本鎖cDNAは、約5μgの全長全RNAから出発してSuperscript Choice System(Invitrogen Life Technologies)を使用して、T7−(dT)24DNAオリゴヌクレオチドプライマーの存在下に合成した。合成後、このcDNAをフェノール/クロロホルム/イソアミルアルコール抽出およびエタノール沈殿によって精製した。精製したcDNAを次にBioArray (商標) High Yield RNA Transcript Labelling Kit(ENZO)を使用してビオチン化リボヌクレオチド形ビオチン標識cRNAの存在下にインビトロで転写した。標識したcRNAを次に親和性樹脂(RNeasy, Qiagen)で精製し、定量化し、断片化した。約10μg量の標識cRNAは、45℃で約16時間発現プローブアレイとハイブリッドを形成させた。次にアレイを洗浄し、GeneChip Fluidics Work- station 400(Affymetrix)を用いてストレプトアビジン−フィコエリトリン(Molecular Probes)で2回ステインした。次にアレイを共焦点レーザースキャナー(Gene Array Scanner, Agilent)を使用して2回走査して一つの走査像を得た。得られた「.dat-file」をMAS5 program(Affymetrix)を使用して処置して「.cel-file」を得た。生データを「標的強度」150を使用して発現レベルに変換した。
マーカー遺伝子転写の測定。
生物学的検体、例えば個体の組織または体液の中にあるマーカー遺伝子の発現産物のレベル測定は、様々な方法で行ってもよい。多くの発現検出法は分離されたRNAを使用する。インビトロ法では、mRNA分離を選択しないRNA分離技術を細胞からのRNAの精製に利用できる。例えば、Ausubel et al., ed., Curr. Prot. Mol. Biol.(John Wiley & Sons, NY, 1987-1999)を参照。
生物学的検体、例えば個体の組織または体液の中にあるマーカー遺伝子の発現産物のレベル測定は、様々な方法で行ってもよい。多くの発現検出法は分離されたRNAを使用する。インビトロ法では、mRNA分離を選択しないRNA分離技術を細胞からのRNAの精製に利用できる。例えば、Ausubel et al., ed., Curr. Prot. Mol. Biol.(John Wiley & Sons, NY, 1987-1999)を参照。
態様の一つでは、マーカー遺伝子のmRNA発現産物のレベルを測定する。具体的なmRNAのレベルを測定する方法は当技術分野でよく知られており、ノーザンブロット分析、逆転写PCRおよびリアルタイム定量的PCRまたはオリゴヌクレオチドアレイまたはマイクロアレイとのハイブリダイゼーションを含む。他のさらに好適な態様では、発現レベルの測定は、これに限定するものではないが、血液または血清を含む体液または組織検体にある遺伝子のタンパク質またはポリペプチド発現産物のレベルの測定によって行ってもよい。
特定の態様では、マーカーに対応するmRNAのレベルは、生物学的検体でインサイチュ・フォーマットによっておよびインビトロフォーマットによって当技術分野で知られている方法を使用して測定できる。これに加えて、例えば、米国特許4,843,155の一段階RNA分離法など当業者によく知られている技術を使用して多数の組織検体を容易に処置できる。
分離したmRNAは、これに限定するものではないがサザンまたはノーザン分析、PCR分析およびプローブアレイを含む、ハイブリダイゼーションまたは増幅検定に使用できる。mRNAレベルを検出するための好適な診断法の一つは、分離したmRNAを検出されるべき遺伝子がコードするmRNAとハイブリッドを形成できる核酸分子(プローブ)と接触させることを含む。この核酸プローブは例えば、全長cDNAまたはその一部、例えば長さが少なくとも7、15、30、50、100、250または500ヌクレオチドであって、ストリンジェント条件下に本発明のマーカーをコードするmRNAまたはゲノムDNA特異的にハイブリッドを形成するに十分なオリゴヌクレオチドであることができる。本発明の診断用検定に使用できる他の適当なプローブは、本明細書に記載する。mRNAとプローブとのハイブリダイゼーションは、問題のマーカーが発現されていることを示す。
一つの形式では、mRNAを固体表面に固定化し、例えば、分離したmRNAをアガロースゲルの上を移動させ、mRNAをゲルから膜、例えばニトロセルロースに移して、プローブと接触させる。別の形式では、プローブを固体表面に固定化し、mRNAをそのプローブと、例えば、Affymetrixの遺伝子チップアレイで、接触させる。当業者は、公知のmRNA検出方法を本発明のマーカーがコードするmRNAのレベルを検出するための使用に、容易に適応させることができる。
検体中の本発明のマーカーに対応するmRNAのレベルを測定する別な方法は、核酸増幅の段階、例えばRT−PCR(実験的態様はMullis, 米国特許4,683,232に記載);リガーゼ連鎖反応、Barany (1991), supra;自動継続配列複写、Guatelli et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 87: 1874-1878 (1990);転写増幅系、Kwoh et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 86: 1173-1177 (1989);Q−ベータレプリカーゼ、Lizardi et al., Biol. Technolog. 6: 1197 (1988);ローリングサークル複製、米国特許5,854,033;またはその他の核酸増幅法、およびそれに続く当技術分野の熟練者によく知られた技術を使用する増幅された分子の検出法を含む。これらの検出スキームは核酸分子の検出に、その分子が非常に少数存在するときには特に有用である。本明細書で使用する増幅用プライマーは、遺伝子の5’または3’領域(プラス鎖およびマイナス鎖、またはその逆)にアニーリングでき、両領域の間に短い領域を含む一対の核酸分子であると定義される。一般に増幅用プライマーは、長さ約10〜30ヌクレオチドで、長さ約50〜200ヌクレオチドの側面に配置される。適当な条件下におよび適当な試薬を用いれば、このプライマーはプライマーの側面に配置されるヌクレオチド配列を含む核酸分子の増幅を可能になる。
前記のように、RT−PCR(即時定量的PCR)は、例えば本発明の遺伝子(例えば、SNPおよび目的とする多形を含むもの)の遺伝子発現レベルを評価するための一方法である。RT−PCR検定はRNA逆転写酵素を利用して、mRNA鎖を含むRNA鎖からのDNA鎖の合成を触媒する。得られるDNAは特異的に検出され、定量化されるが、このプロセスを特定種のmRNAレベルを測定するために使用できる。これを行う方法の一つは商標TAQMAN(PE Applied Biosystems, Foster City, CA)で知られており、PCR反応の間に、プローブの特定の型を切断するためにAMPLITAQ GOLD(商標)DNAポリメラーゼの5’−ヌクレアーゼ活性を利用する。これはTAQMAN(商標)プローブと称される。Luthra et al., Am. J. Pathol., 153: 63-68 (1998)を参照。このプローブは5’−レポーター色素および3’−消光ダイ(quencher dye)を持つオリゴヌクレオチド(通常≒20量体)から構成される。蛍光レポーター色素、例えばFAM(6−カルボキシフルオレッセイン)は、オリゴヌクレオチドの5’端に共有結合する。このレポーターは、3’−末端に存在するリンカー腕を経て付着するTAMRA(6−カルボキシ−N,N,N’,N’−テトラメチルロダミン)によって消える。Kuimelis et al., Nucl. Acids Symp. Ser., 37: 255-256 (1997) and Mullah et al., Nucl. Acids Res., 26(4): 1026- 1031 (1998)を参照。反応中、プローブの切断がレポーター色素と消光色素とを分離する結果、レポーターの蛍光が増強する。
PCR産物の蓄積はレポーター色素の蛍光増強をモニタリングすることによって直接的に検出される。Heid et al., Genome Res., 6(6): 986-994 (1996)を参照。反応は、所定数のサイクル経過後に蓄積されたPCR産物の量ではなく、PCR産物の増幅が最初に検出されたサイクル経過の時点によって特徴付けられる。核酸標的の最初のコピー数が多ければ多いほど、蛍光の顕著な増加が速く早期に観察される(Gibson et al., Genome Res., 6: 995-1001 (1996))。
プローブが無傷である時には、レポーター色素と消光ダイとの近接の結果、一次的にFoerster型エネルギー遷移によるレポーターの蛍光が抑圧される(Lakowicz et al., J. Biol. Chem., 258: 4794-4801(1983)を参照)。PCRの間に、目的とする標的が存在すれば、プローブは正方向および逆方向の両プライマー部位の間に特異的にアニーリングする。AMPLITAQ GOLD(商標)DNAポリメラーゼの5’−3’核酸分解作用は、プローブが標的とハイブリッドを形成する時にのみ、プローブをレポーターと消光構造との間で切断する。次にプローブ断片が標的から離れ、鎖の重合が持続する。このプロセスがサイクル毎に起き、産物の幾何級数的蓄積は妨害されない。プローブの3’末端は閉鎖されてPCRの間のプローブの伸長を防ぐ。
受動的(passive)対照は、TAQMAN(商標)緩衝液に含まれる色素であって、5’−ヌクレアーゼ検定には関与しない。受動的対照は、レポーター色素のシグナルをデータ分析の間に正規化できる内部基準を提供する。正規化は濃度または容積の変化に基づく蛍光の変動を補正するために必要である。
正規化は、所与の反応管についてレポーター色素の放射強度を受動的対象の放射強度で割算して、Rn(正規化レポータ)で定義される比率を得ることによって達成される。
閾値サイクルまたはCt値は、δRnで表される統計的に有意な増加が最初に検出されたサイクルである。Rn対サイクル数のグラフでは、配列検出装置がPCR産物の幾何級数的成長に関連するシグナルの増加を検出し始める時に閾値サイクルが起きる。
定量的測定を行うために、cRNA(標準)の連続希釈を各実験に含めて、正確で迅速なmRNA定量化に必要な標準曲線を構築する。この技術の再現性を評価するために、同じcRNA検体の増幅を何回か行ってもよい。
細胞の転写状態を測定するための他の技術は、電気泳動分析のために例えば相化プライマーで二重制限酵素消化を組合せる方法(例えば、EP 0534858 A1を参照)または定義されたmRNA末端に最近接位置を持つ制限断片を選択する方法のための限定された複雑さを持つ制限断片の貯留を作製する。例えばPrashar et al., Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 93(2): 659-663 (1996)を参照。
他の方法は、例えば各cDNAを確認するために多重のcDNAの各々で十分な塩基、例えば20〜50塩基を配列決定することによって、または確定されたmRNA末端酵素反応パターンについて既知の位置に作成される短いタグ、例えば9〜10塩基、を配列決定することによって、cDNAプールを統計的にサンプル抽出する。例えばVelculescu, Science, 270: 484-487 (1995)を参照。検体中のcDNAレベルを定量化し、当業者によく知られている標準的な統計的方法を用いて各cDNAの平均および標準偏差を算出する。Bailey NTJ, Statistical Method In Biology, Third Edition(Cambridge University Press, 1995)。
あるいは、発現レベルは相対的発現レベルとして提供することもできる。マーカー遺伝子の相対的発現レベルを決定するために、目的とする検体の発現レベルを決定する前に正常者対患者の生物学的検体10個またはそれ以上、好ましくは50個またはそれ以上でマーカーの発現レベルを決定する。多数の検体で試験して各遺伝子の平均発現レベルを決定し、これをマーカーのベースライン発現レベルとして使用する。試験検体について測定したマーカーの発現レベル(絶対的発現レベル)を次にそのマーカーについて得られた平均発現値で割算する。これは相対的発現レベルを提供する。好ましくは、ベースライン測定に用いた検体は、多形を持たない対象からのものとする。細胞源の選択は相対的発現レベルの使用に依存する。正常組織での発現を平均発現スコアに用いることで、検定したマーカーが特異的(正常細胞に対して)かどうかの評価できる。これに加えて、データが蓄積されるに従って、蓄積されたデータに基づいて改良された相対発現値が提供され、平均発現値を補正できる。
バイオマーカー遺伝子翻訳の検出。
本発明の別な態様では、マーカーに対応するポリペプチドを検出する。体液または組織中のバイオマーカーポリペプチド(別名バイオマーカー、マーカー、マーカータンパク質またはマーカーポリペプチド)のバイオマーカー遺伝子の発現産物の検出は多形の存否を決定するために使用でき、またバイオマーカーポリペプチド発現産物の相対的レベルは、多形が同型接合または異型接合状態(それ故、個体のリスクカテゴリー)にあるかどうかを決定するために使用できる。すなわち、本発明の別な態様では、マーカーに対応するポリペプチド(すなわち、バイオマーカーポリペプチド)を検出する。体液または組織検体中のこのバイオマーカーポリペプチド遺伝子発現産物のレベルは、当技術分野で公知の何れの方法で決定してもよい。
本発明の別な態様では、マーカーに対応するポリペプチドを検出する。体液または組織中のバイオマーカーポリペプチド(別名バイオマーカー、マーカー、マーカータンパク質またはマーカーポリペプチド)のバイオマーカー遺伝子の発現産物の検出は多形の存否を決定するために使用でき、またバイオマーカーポリペプチド発現産物の相対的レベルは、多形が同型接合または異型接合状態(それ故、個体のリスクカテゴリー)にあるかどうかを決定するために使用できる。すなわち、本発明の別な態様では、マーカーに対応するポリペプチド(すなわち、バイオマーカーポリペプチド)を検出する。体液または組織検体中のこのバイオマーカーポリペプチド遺伝子発現産物のレベルは、当技術分野で公知の何れの方法で決定してもよい。
免疫学的検出法。
本発明の遺伝子によってコードされるタンパク質の発現は、プローブによって検出できこれは、検出可能に標識されているか、後で標識できる。一般に、このプローブは発現されたタンパク質を認識する抗体である。ある検体が所与の抗体に結合するバイオマーカータンパク質を含むかどうかを決定するためには様々な手法を採用できる。本発明のバイオマーカーポリペプチドの検出に有用な免疫検定法には、これに限定するものではないが、例えばドットブロット法、ウェスタンブロット法、タンパク質チップ、競合的および非競合的タンパク質結合検定、酵素免疫吸着法(ELISA)、免疫組織化学、蛍光活性化細胞選別(FACS)、およびその他の通常使用され、科学的文献および特許文献に広範に記載されているもの、および多数の購入可能なものを含む。当業者は容易に公知のタンパク質/抗体検出法を血中またはその他の組織内にある細胞が本発明のマーカーを発現するかどうかおよびその特異的ポリペプチド発現産物の相対濃度を決定するための使用に適合させることができる。個体からのタンパク質は当技術分野の者に良く知られている技術を使用して分離できる。使用されるタンパク質分離法には、例えばHarlow & Lane, Antibodies: A Laboratory Manual(Cold Spring Harbor, New York, 1988))に記載されているものを使用できる。
本発明の遺伝子によってコードされるタンパク質の発現は、プローブによって検出できこれは、検出可能に標識されているか、後で標識できる。一般に、このプローブは発現されたタンパク質を認識する抗体である。ある検体が所与の抗体に結合するバイオマーカータンパク質を含むかどうかを決定するためには様々な手法を採用できる。本発明のバイオマーカーポリペプチドの検出に有用な免疫検定法には、これに限定するものではないが、例えばドットブロット法、ウェスタンブロット法、タンパク質チップ、競合的および非競合的タンパク質結合検定、酵素免疫吸着法(ELISA)、免疫組織化学、蛍光活性化細胞選別(FACS)、およびその他の通常使用され、科学的文献および特許文献に広範に記載されているもの、および多数の購入可能なものを含む。当業者は容易に公知のタンパク質/抗体検出法を血中またはその他の組織内にある細胞が本発明のマーカーを発現するかどうかおよびその特異的ポリペプチド発現産物の相対濃度を決定するための使用に適合させることができる。個体からのタンパク質は当技術分野の者に良く知られている技術を使用して分離できる。使用されるタンパク質分離法には、例えばHarlow & Lane, Antibodies: A Laboratory Manual(Cold Spring Harbor, New York, 1988))に記載されているものを使用できる。
未処置の抗体またはその断片、例えばFabまたはF(ab’)2は使用できる。特異的エピトープを認識する抗体断片は、公知の技術で作製してもよい。例えば、そのような断片には、これに限定するものではないが、抗体分子のペプシン消化によって製造できるF(ab’)2断片およびそのF(ab’)2断片のジスルフィド橋を還元して作製できるFab断片を含む。あるいは、所望の特異性を持つモノクローナルFab断片の迅速で容易な確認を可能にするFab発現ライブラリーを構築してもよい(Huse et al., Science, 246: 1275-1281 (1989)を参照)。
プローブまたは抗体に関する用語「標識」には、結合、すなわちプローブまたは抗体への検出可能な物質の物理的連結によるプローブまたは抗体の直接的標識、ならびに直接的に標識した別な試薬との反応性によるプローブまたは抗体の間接的標識を含むことが意図されている。間接的標識の例には、蛍光標識二次抗体を用いる一次抗体の検出および蛍光標識したストレプトアビジンで検出できるビオチンを持つDNAプローブの最終標識を含む。
モノクローナル抗体(mAb)は、特定抗原に対する抗体の均一な集団であり、培養液中での連続的細胞系統によって抗体分子の製造を提供する如何なる技術で得てもよい。この技術は、これに限定するものではないが、ハイブリドーマ技術、Kohler & Milstein, Nature, 256: 495-497 (1975);および米国特許4,376,110;ヒトB細胞ハイブリドーマ技術、Kosbor et al., Immunol. Today, 4: 72(1983); Cole et al., Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 80: 2026-2030 (1983);およびEBV−ハイブリドーマ技術、Cole et al., Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy, pp. 77-96 (Alan R. Liss, Inc., 1985)を含む。その抗体は、IgG、IgM、IgE、IgA、IgGおよびそのサブクラスを含むイムノグロブリン類の何れでもよい。この発明のmAbを産生するハイブリドーマはインビトロまたはインビボで培養してもよい。インビボでのmAbの高力価での産生は、これを現在の好適な生産方法にしている。
これに加えて、「キメラ抗体」を産生するために開発された、適当な抗原特異性を持つマウス抗体分子から得た遺伝子を適当な生物学的活性を持つヒト抗体分子からの遺伝子と共にスプライシングすることによる技術(Morrison et al., Proc. Natl Acad. Sci. USA, 81: 6851-6855 (1984); Neuberger et al., Nature, 312: 604-608 (1984); and Takeda et al., Nature, 314: 452-454 (1985)を参照)が使用できる。キメラ抗体は、異なる部分が異なる動物種から誘導される分子、例えばマウスmAbから誘導された可変領域または超可変領域およびヒトのイムノグロブリンの定常領域を持つ分子である。
あるいは、一本鎖抗体を生産するための文献、米国特許4,946,778; Bird, Science, 242: 423-426 (1988); Huston et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 85: 5879- 5883 (1988);およびWard et al., Nature, 334: 544-546 (1989) の公知技術は、異なって発現される遺伝子の一本鎖抗体を産生するように適合できる。一本鎖抗体は、Fv領域の重鎖断片および軽鎖断片をアミノ酸橋で連結することによって形成され、一本鎖ポリペプチドを得る。
より好ましくは、「ヒト化抗体」を産生するために有用な技術は、タンパク質またはその断片または誘導体への抗体の産生に適応させることができる。このような技術はU.S. Pat, Nos. 5,932,448; 5,693,762; 5,693,761; 5,585,089; 5,530,101; 5,569,825; 5,625,126; 5,633,425; 5,789,650; 5,661,016; and 5,770,429に開示されている。特異的エピトープを認識する抗体断片は、公知技術によって作製してもよい。例えば、このような断片には、これに限定するものではないが、抗体分子のペプシン消化によって産生できるF(ab’)2断片およびF(ab’)2断片のジスルフィド橋を還元することによって作製できるFab断片を含む。あるいは、所望の特異性を持つモノクローナルFab断片の迅速で容易な確認を可能にするFab発現ライブラリーを構築(Huse et al., Science, 246: 1275-1281 (1989)を参照)してもよい。
一つの形式では、抗体または抗体断片は、発現されたタンパク質を検出するための方法、例えばウェスタンブロット法または免疫蛍光技術に使用できる。このような使用では、一般に抗体またはタンパク質のどちらかを固体支持体上に固定化することが好ましい。適当な固相支持体または担体は、抗原または抗体を結合できる何れの支持体も含む。良く知られた支持体または担体には、ガラス、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、デキストラン、ナイロン、アミラーゼ、天然および修飾セルロース、ポリアクリルアミド、斑レイ岩および磁鉄鉱を含む。
生物学的検体内に既知のタンパク質が発現される範囲は、前記抗体を利用する免疫学的検定法によって決定される。容易な検出のために特に好適なものは、サンドウィッチELISAであって、これには多数の変法があるが、その全てを本発明の方法で使用することが意図されている。例えば、典型的な進歩した検定法では、未標識抗体を固体表面に固定化し、試験検体を結合した分子と接触させ、適当な時間インキュベーションした後に、抗体−抗原の二成分複合体の形成を可能にする。この時点で、検出可能なシグナルを誘導できるレポーター分子で標識した第二の抗体を加えて抗体−抗原−標識抗体の三成分複合体の形成を可能にするに十分な時間インキュベーションする。未反応材料を洗浄除去し、抗原の存在をシグナルの観察によって決定するか、または既知量の抗原を含む対照検体と比較することによって定量してもよい。進歩した検定の変種には同時的検定法を含み、そこでは検体と抗体とを同時に結合した抗体に加えるか、またはそこでは標識抗体と試験検体をまず混合し、インキュベーションし、非標識表面結合抗体に加える逆検定法がある。これらの技術は当業者によく知られており、より小さい変種の可能性は容易に明白となる。本明細書で使用する「サンドウィッチ検定」には、基本的な2サイト技術への変種全てを含むことが意図されている。本発明の免疫学的検定について、唯一の限定因子は標識抗体が目的とする遺伝子が発現するタンパク質に特異的でなければならないことである。
二次元ゲル電気泳動。
タンパク質は二次元ゲル電気泳動系によって分離でき、次に同定および/または定量できる。二次元ゲル電気泳動は当技術分野で良く知られており、典型的には等電点電気泳動を第一の次元に向けて行い、続いてSDS/PAGE電気泳動を第二の次元に向けて行う。(例えば、Hames et al., Gel Electrophoresis of Protein: A Practical Approach (IRL Press, NY, 1990); Shevchenko et al., Proc Natl. Acad. Sci. USA, 93: 14440-14445 (1996); Sagliocco et al., Yeast, 12: 1519- 1533 (1996); and Lander, Science 274: 536-539 (1996)を参照)。得られる電気泳動図は質量スペクトル技術、ウェスタンブロット法およびポリクローナルおよびモノクローナル抗体を用いる免疫ブロット分析、および内部およびN末端マイクロシークエンシングを含む多数の技術によって分析できる。これらの技術を使用すれば、薬剤と接触した細胞、例えば酵母における、または特定の遺伝子の発現欠失または過剰によって修正された細胞における、所与の生理学的条件下に産生されるタンパク質全てのかなりの部分を同定することが可能である。
タンパク質は二次元ゲル電気泳動系によって分離でき、次に同定および/または定量できる。二次元ゲル電気泳動は当技術分野で良く知られており、典型的には等電点電気泳動を第一の次元に向けて行い、続いてSDS/PAGE電気泳動を第二の次元に向けて行う。(例えば、Hames et al., Gel Electrophoresis of Protein: A Practical Approach (IRL Press, NY, 1990); Shevchenko et al., Proc Natl. Acad. Sci. USA, 93: 14440-14445 (1996); Sagliocco et al., Yeast, 12: 1519- 1533 (1996); and Lander, Science 274: 536-539 (1996)を参照)。得られる電気泳動図は質量スペクトル技術、ウェスタンブロット法およびポリクローナルおよびモノクローナル抗体を用いる免疫ブロット分析、および内部およびN末端マイクロシークエンシングを含む多数の技術によって分析できる。これらの技術を使用すれば、薬剤と接触した細胞、例えば酵母における、または特定の遺伝子の発現欠失または過剰によって修正された細胞における、所与の生理学的条件下に産生されるタンパク質全てのかなりの部分を同定することが可能である。
質量スペクトル。
バイオマーカーポリペプチドの同一性および発現レベルはどちらも質量スペクトル術(MS)を用いて決定できる。MSに基づく分析の方法論は、分離したバイオマーカーポリペプチドの分析ならびに生物学的検体中のバイオマーカーポリペプチドの分析のための使用である。バイオマーカーポリペプチドの分析に使用するMSの方式はイオン化技術(I)、例えばこれに限定するものではないが、MALDI、連続またはパルスESIおよび関連する方法、例えばイオンスプレー法またはサーモスプレー法、およびマッシブクラスター衝撃法(MCI)を含む。このようなイオン源は、線形または非線形リフレクトロンTOF、一重または多重の四重極解析、一重または多重の磁場型質量分析計、フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴(FTICR)、イオントラップおよびそれらの結合、例えばイオントラップ/TOFを含む検出形式に適合できる。イオン化には、多数のマトリックス/波長の組合せ(MALDI)または溶媒の組合せ(ESI)を採用できる。例えばESI−MS(Valaskovic et al., Science, 273: 1199-1202 (1996))およびMALDI−MS(Li et al., J. Am. Chem. Soc., 118: 1662-1663 (1996))を使用してアトモル以下のレベルのタンパク質も検出されている。
バイオマーカーポリペプチドの同一性および発現レベルはどちらも質量スペクトル術(MS)を用いて決定できる。MSに基づく分析の方法論は、分離したバイオマーカーポリペプチドの分析ならびに生物学的検体中のバイオマーカーポリペプチドの分析のための使用である。バイオマーカーポリペプチドの分析に使用するMSの方式はイオン化技術(I)、例えばこれに限定するものではないが、MALDI、連続またはパルスESIおよび関連する方法、例えばイオンスプレー法またはサーモスプレー法、およびマッシブクラスター衝撃法(MCI)を含む。このようなイオン源は、線形または非線形リフレクトロンTOF、一重または多重の四重極解析、一重または多重の磁場型質量分析計、フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴(FTICR)、イオントラップおよびそれらの結合、例えばイオントラップ/TOFを含む検出形式に適合できる。イオン化には、多数のマトリックス/波長の組合せ(MALDI)または溶媒の組合せ(ESI)を採用できる。例えばESI−MS(Valaskovic et al., Science, 273: 1199-1202 (1996))およびMALDI−MS(Li et al., J. Am. Chem. Soc., 118: 1662-1663 (1996))を使用してアトモル以下のレベルのタンパク質も検出されている。
MS分析のためには、バイオマーカーポリペプチドを適当な溶液または試薬系に溶解できる。溶液または試薬系、例えば有機または無機溶媒の選択はバイオマーカーポリペプチドの性質および実施するMSの型に依存し、当技術分野で良く知られている方法に基づく。MALDIについては例えばVorm et al., Anal. Chem., 61: 3281 (1994)を;ESIについてはValaskovic et al., Anal. Chem., 67: 3802 (1995)を参照。ペプチドのMSは例えば国際PCT出願番号WO 93/24834および米国特許5,792,664に記載がある。溶媒は、バイオマーカーポリペプチドが蒸発の段階で導入されるエネルギーによって分解する危険性を最小化するように選択する。バイオマーカーポリペプチド分解のリスク低下は、例えば検体をマトリックスに埋込むことによって達成できる。適当なマトリックスは有機化合物、例えば糖類、例えばペントースまたはヘキソース、または多糖類、例えばセルロースであることができる。このような化合物は熱分解されてCO2とH2Oになって、化学反応を起こせる残渣が残らない。このマトリックスは、分解して残渣を残さない無機化合物、例えば硝酸アンモニウムであり得る。これらのおよびその他の溶媒の使用は当技術分野の熟練者に知られている。例えば、US. Pat. No. 5,062,935を参照。
エレクトロスプレーMSはFenn et al., J. Phys. Chem., 88: 4451-4459 (1984);およびPCT Application No. WO 90/14148に記載され;最近の応用は総説に要約されている。Smith et al., Anal. Chem., 62: 882-89 (1990); Ardrey, Spectroscopy, 4: 10-18 (1992)を参照。ESIを用いれば、多数のイオンピークが存在し、その全てを質量計算に使用できるのでフェムトモル量の検体の分子量決定が非常に正確になる。
マトリックス支援レーザー脱離法(MALDI)は、本明細書に記載するMS法の中で好適な方法の一つである。MALDIを行う方法は当業者にはよく知られている。分解能を改善するための多数の方法も知られている。例えば、MALDI−TOF−MSの分解能はイオン抽出の間の高エネルギー衝突数の減少によって改善できる。例えばJuhasz et al., Analysis, Anal. Chem., 68: 941-946 (1996)を参照;また、MALDIおよびディレイド・エクストラクション法については、例えば米国特許5,777,325; 5,742,049; 5,654,545; 5,641,959; 5,654,545および5,760,393を参照。MALDI−TOF−MSは、Hillenkamp et al., Burlingame & McCloskey, eds., pp. 49-60 (Elsevier Science Publ., 1990)が記載している。
好適な態様では、生物学的検体例えば、体液または組織検体の中のバイオマーカータンパク質のレベルは、質量スペクトル法(MS)によって測定してもよく、以下に詳記するように、これに限定するものではないが、当技術分野でマトリックス支援レーザー脱離/イオン化、マトリクス支援レーザー脱離飛行時間型質量分析法(MALDI−TOF−MS)および表面増強レーザー脱離/イオン化、飛行時間型質量分析法(SELDI−TOF−MS)として知られている技術を含む。
MASLDI−TOF−MSタンパク質検出技術。
ある好適な態様では、生物学的検体、例えば体液または組織検体の中の具体的タンパク質またはポリペプチド遺伝子発現産物の検出は、MS、特にマトリックス支援レーザー脱離/イオン化、飛行時間型質量分析法(MASLDI−TOF−MS)を用いて行う。これらの技術は、高分子、例えばタンパク質または生体分子を分析するために使用されており、検体プローブの表面化学を利用して、直接プローブ表面からガス(気相)への未処置の高分子を含む検体の選択的捕捉および脱離を可能にするが、最も好適な態様では、化学的マトリックスを加えない。
ある好適な態様では、生物学的検体、例えば体液または組織検体の中の具体的タンパク質またはポリペプチド遺伝子発現産物の検出は、MS、特にマトリックス支援レーザー脱離/イオン化、飛行時間型質量分析法(MASLDI−TOF−MS)を用いて行う。これらの技術は、高分子、例えばタンパク質または生体分子を分析するために使用されており、検体プローブの表面化学を利用して、直接プローブ表面からガス(気相)への未処置の高分子を含む検体の選択的捕捉および脱離を可能にするが、最も好適な態様では、化学的マトリックスを加えない。
他の態様では、質量スペクトルを用いてマーカー検出のために様々な他の技術を使用できる。Bordeaux Mass Spectrometry Conference Report, Hillenkamp, ed., pp. 354- 362 (1988); Bordeaux Mass Spectrometry Conference Report, Karas & Hillenkamp, Eds., pp. 416-417 (1988); Karas & Hillenkamp, Anal. Chem., 60: 2299-2301 (1988); and Karas et al., Biomed Environ Mass Spectrum, 18: 841-843 (1989)を参照。飛行時間型質量分析法でのレーザー光線の使用は、例えば米国特許4,694,167; 4,686,366; 4,295,046; 5,045,694に示されており、これらの全体を参考のために本明細書に引用する。他のMS技術は高分子量生体ポリマーの、断片化のない成功裡の蒸発を可能にし、広範な種類の生物学的高分子についての質量スペクトルによる分析を可能にした。
表面増強レーザー脱離/イオン化(SELDI)。
本発明の好適な態様では、プローブエレメントを具体的検体の捕捉および結合係留に能動的に関与させる表面を持つ新しいMSプローブエレメント構造を採用する他の技術が使用され、親和性質量スペクトル分析(AMS)と呼ばれる。数種の新しいMSプローブエレメントが表面強調親和性捕捉(SEAC)について設計されている。Hutchens & Yip, Rapid Commun. Mass Spectrom., 7: 576-580 (1993)を参照。SEACプローブエレメントの使用はタンパク質の表面構造および生物特異的分子認識の知識を利用して様々な種類の生体高分子、殊にタンパク質の回収および係留に成功した。
本発明の好適な態様では、プローブエレメントを具体的検体の捕捉および結合係留に能動的に関与させる表面を持つ新しいMSプローブエレメント構造を採用する他の技術が使用され、親和性質量スペクトル分析(AMS)と呼ばれる。数種の新しいMSプローブエレメントが表面強調親和性捕捉(SEAC)について設計されている。Hutchens & Yip, Rapid Commun. Mass Spectrom., 7: 576-580 (1993)を参照。SEACプローブエレメントの使用はタンパク質の表面構造および生物特異的分子認識の知識を利用して様々な種類の生体高分子、殊にタンパク質の回収および係留に成功した。
本発明の好適な他の態様では、この発明の方法で使用される検出方法はプローブエレメントの一般的カテゴリー、すなわち表面増強レーザー脱離/イオン化(SELDI)による検体提示手段を用いる。SELDI特許米国特許5,719,060; 5,894,063; 6,020,208; 6,027,942; 6,124,137; US. Patent Application No. 2003/0003465を参照。
目的とするポリペプチドはリンカーを介して直接支持体に結合できる。ペプチドまたはアミノ酸を支持体に直接的にまたはスペーサーを介して結合するのに適することが当業者に知られているいかなるリンカーを使用してもよい。例えば、ポリペプチドは支持体、例えばビーズ、に各種のスペーサーで結合できる。リンカーには、Rinkアミドリンカー(例えばRink, Tetrahedron Lett., 28: 3787 (1976)を参照);塩化トリチルリンカー(例えばLeznoff, Ace Chem. Res. 11: 327 (1978)を参照);およびMerrifieldリンカーを含む。(例えばBodansky et al., Peptide Synthesis, Second Edition (Academic Press, New York, 1976)を参照)。例えば、トリチルリンカーが知られている。(例えばU.S. Pat. Nos. 5,410,068 and 5,612,474を参照)。アミノトリチルリンカーも知られている(例えば米国特許5,198,531を参照)。他のリンカーの中には、融合タンパク質に組み込むことができ、宿主細胞内に発現されるものを含む。そのようなリンカーは、選択されたアミノ酸、酵素基質または適当なペプチドであってもよい。このリンカーは、例えば核酸を分離する時にプライマーを適当に選択することによって作製してもよい。あるいはそれらは目的とするタンパク質の翻訳後修飾によって加えてもよい。
ピン・ツールを使用するポリペプチド固定化。
目的とするポリペプチドの、ピン・ツール(pin tool)を使用する固体支持体への固定化は、殊に有利であることができる。ピン・ツールには本明細書に開示するものまたは当技術分野で知られているものを含む。例えば、米国出願番号08/786,988; 08/787,639; 国際PCT出願番号WO 98/20166を参照。アレイ、例えば4×4アレイ中のピン・ツールは、目的とするポリペプチドが入っているウェルに適用できる。ピン・ツールが各ピン・チップに結合する官能基を持つ時は、または固体支持体、例えば官能化されたビーズまたは常磁性ビーズが各ピンに付着している時は、ウェル中のポリペプチドは捕捉できる(1ピコモル量)。目的とするポリペプチド、殊にバイオマーカーポリペプチドは、ピン・ツールとの接触で固定化できる。他の固定化は、ピン・ツールに電場を適用して起すことができる。例えば、Juhasz et al., Analysis, Anal. Chem., 68: 941-946 (1996)を参照、および例えば米国特許5,777,325; 5,742,049; 5,654,545; 5,641,959;およびMALDIおよび遅延抽出法については5,760,393を参照。ピン・ツールは目的とするポリペプチドをアレイ上に空間的にアドレス指定できる様式で固定化するために有用であることができる。そのような空間的にアドレス指定できるか、または予めアドレス指定できるアレイは、例えば品質管理およびアミノ酸配列診断を含む様々な処理において有用である。米国出願番号08/786,988; 08/787,639; 国際PCT出願番号WO 98/20166に記載されているピン・ツールは、固体支持体表面上のポリペプチドの多要素アレイの作製に採用できる直列および並列の分配装置である。
目的とするポリペプチドの、ピン・ツール(pin tool)を使用する固体支持体への固定化は、殊に有利であることができる。ピン・ツールには本明細書に開示するものまたは当技術分野で知られているものを含む。例えば、米国出願番号08/786,988; 08/787,639; 国際PCT出願番号WO 98/20166を参照。アレイ、例えば4×4アレイ中のピン・ツールは、目的とするポリペプチドが入っているウェルに適用できる。ピン・ツールが各ピン・チップに結合する官能基を持つ時は、または固体支持体、例えば官能化されたビーズまたは常磁性ビーズが各ピンに付着している時は、ウェル中のポリペプチドは捕捉できる(1ピコモル量)。目的とするポリペプチド、殊にバイオマーカーポリペプチドは、ピン・ツールとの接触で固定化できる。他の固定化は、ピン・ツールに電場を適用して起すことができる。例えば、Juhasz et al., Analysis, Anal. Chem., 68: 941-946 (1996)を参照、および例えば米国特許5,777,325; 5,742,049; 5,654,545; 5,641,959;およびMALDIおよび遅延抽出法については5,760,393を参照。ピン・ツールは目的とするポリペプチドをアレイ上に空間的にアドレス指定できる様式で固定化するために有用であることができる。そのような空間的にアドレス指定できるか、または予めアドレス指定できるアレイは、例えば品質管理およびアミノ酸配列診断を含む様々な処理において有用である。米国出願番号08/786,988; 08/787,639; 国際PCT出願番号WO 98/20166に記載されているピン・ツールは、固体支持体表面上のポリペプチドの多要素アレイの作製に採用できる直列および並列の分配装置である。
生物学的状態のその他の側面。
本発明の様々な態様では、薬剤および酵素反応の応答性を得るために生物学的活性状態の側面または混合された側面を測定できる。細胞機能の特徴付けに関連するタンパク質の活性は測定することができ、また、この発明の態様は、そのような測定に基づくことができる。活性の測定は、特徴付けるべき特定の活性に適する機能的、生化学的または物理的手段の何れかによって行うことができる。その活性が化学変換を含む時には、細胞のタンパク質を天然の基質と接触させて、変換の速度を測定することができる。活性が多重体単位での会合、例えば活性化DNA結合複合体とDNAとの会合を含む時には、会合したタンパク質の量または会合の二次的な結果、例えば転写されたmRNAの量を測定できる。また、機能的活性、例えば細胞周期制御のみが知られている場合には機能の成果を観察できる。しかしながら公知のおよび測定されたタンパク質活性の変化は、この発明の方法によって分析される応答データを形成する。択一的で非限定的な態様では、応答データは細胞の生物学的状態の混合的な側面から形成されるかもしれない。応答データは、例えばあるmRNAの量の変化、あるタンパク質量の変化およびあるタンパク質活性の変化から構築されることができる。
本発明の様々な態様では、薬剤および酵素反応の応答性を得るために生物学的活性状態の側面または混合された側面を測定できる。細胞機能の特徴付けに関連するタンパク質の活性は測定することができ、また、この発明の態様は、そのような測定に基づくことができる。活性の測定は、特徴付けるべき特定の活性に適する機能的、生化学的または物理的手段の何れかによって行うことができる。その活性が化学変換を含む時には、細胞のタンパク質を天然の基質と接触させて、変換の速度を測定することができる。活性が多重体単位での会合、例えば活性化DNA結合複合体とDNAとの会合を含む時には、会合したタンパク質の量または会合の二次的な結果、例えば転写されたmRNAの量を測定できる。また、機能的活性、例えば細胞周期制御のみが知られている場合には機能の成果を観察できる。しかしながら公知のおよび測定されたタンパク質活性の変化は、この発明の方法によって分析される応答データを形成する。択一的で非限定的な態様では、応答データは細胞の生物学的状態の混合的な側面から形成されるかもしれない。応答データは、例えばあるmRNAの量の変化、あるタンパク質量の変化およびあるタンパク質活性の変化から構築されることができる。
本発明の好適な態様をさらに完全に例証するために以下の実施例を提供する。この実施例をここに添付する請求項が定義する本発明の範囲を限定するものと解釈すべきではない。
ラット脊髄損傷モデルを抗Nogo−A抗体11C7で処置後のゲノミクス開発研究;マイクロアレイによる遺伝子発現の分析
目的。
この実施例の目的は、処置の有効性、作用機序、または潜在的副作用についてのバイオマーカーの候補を確認するために、ラットにおける脊髄損傷後の抗Nogo−A抗体処置の結果として起きる遺伝子発現の変化を示すことである。
目的。
この実施例の目的は、処置の有効性、作用機序、または潜在的副作用についてのバイオマーカーの候補を確認するために、ラットにおける脊髄損傷後の抗Nogo−A抗体処置の結果として起きる遺伝子発現の変化を示すことである。
研究計画。
実施例の生存中の部分は次の通り行った:全部で40匹の成熟雌性ルイスラット(ドブネズミ、160〜190g)を特定病原体未感染(SPF)繁殖コロニー(R. Janvier, Le Genest- St-Isle, France)から入手し、動物4〜6匹の群として標準的ケージ(type 4, Macrolon, Indulab, Hanstedt, Germany)内で、12時間の明/暗周期で、食餌および水自由摂取の標準的レジメ下に飼育した。
実施例の生存中の部分は次の通り行った:全部で40匹の成熟雌性ルイスラット(ドブネズミ、160〜190g)を特定病原体未感染(SPF)繁殖コロニー(R. Janvier, Le Genest- St-Isle, France)から入手し、動物4〜6匹の群として標準的ケージ(type 4, Macrolon, Indulab, Hanstedt, Germany)内で、12時間の明/暗周期で、食餌および水自由摂取の標準的レジメ下に飼育した。
ラットを5群に無作為化した:16匹中2匹を脊髄半切し、IgGまたは抗Nogo−A抗体(11C7)を投与した。第3の群は8匹の未処置群で、外科手術を行わず、以下のような処置を何ら施さなかった:
処置群:
1)IgG処置7日間
2)Nogo−A処置7日間
3)IgG処置14日間
4)Nogo−A処置14日間
5)未処置
処置群:
1)IgG処置7日間
2)Nogo−A処置7日間
3)IgG処置14日間
4)Nogo−A処置14日間
5)未処置
動物を無作為の番号でコードし、実験は処置に関してその各工程および相を通して全て盲検とした。全ての処置、外科手術、屠殺および初期データ分析は盲検様式で行った。抗体は「橙色」および「黄色」とコードした。
抗体。
抗Nogo−A抗体11C7:ラット配列aa623〜640に対応する18aaペプチドNogo−Aに対して作製したモノクローナルマウス抗体(mAb)11C7;PBS中濃度3mg/mLで使用。
対照抗体:モノクローナルマウスIgG;植物レクチンに指向;PBS中濃度3mg/mLで使用。
両抗体の生化学および中和特性は、Oertle T et al., J. Neurosci. 23: 5393-5406 (2003) に記載。
抗Nogo−A抗体11C7:ラット配列aa623〜640に対応する18aaペプチドNogo−Aに対して作製したモノクローナルマウス抗体(mAb)11C7;PBS中濃度3mg/mLで使用。
対照抗体:モノクローナルマウスIgG;植物レクチンに指向;PBS中濃度3mg/mLで使用。
両抗体の生化学および中和特性は、Oertle T et al., J. Neurosci. 23: 5393-5406 (2003) に記載。
外科手術。
動物をHypnorm(120μL/200g体重、Janssen Pharmaceutics, Beerse, Belgium)およびDormicum(0.75mg=150μL/200g体重、Roche Pharmaceuticals, Basle, Switzerland)の皮下注射で麻酔した。ビタミンA含有眼軟膏(Blache, Chauvin Novopharm AG, Switzerland)を適用して、比較的長時間におよぶ手術の間、目を脱水から保護した。
動物をHypnorm(120μL/200g体重、Janssen Pharmaceutics, Beerse, Belgium)およびDormicum(0.75mg=150μL/200g体重、Roche Pharmaceuticals, Basle, Switzerland)の皮下注射で麻酔した。ビタミンA含有眼軟膏(Blache, Chauvin Novopharm AG, Switzerland)を適用して、比較的長時間におよぶ手術の間、目を脱水から保護した。
胸部の高さT8に脊髄の背面半分、CSTの主ならびに背部側部および腹側正中方向を含むT字形の損傷を、鋭い、尖端歯を持つ虹彩切除用鋏で作製した。
微細な髄腔内カテーテル(32ゲージ;RECATHCO, Allison Park, Pennsylvania, USA)を腰の高さL2/L3から挿入し、T9まで押上げ、損傷部位に浸透圧ミニポンプ(5μL/時、3.1μg/μL、Alzet(著作権)2ML2, Charles River Laboratories, Les Oncins, France)で抗体を2週間にわたって放出した。外科手術後、完全に覚醒するまで動物をサーモスタットで制御された加温パッド上に保持した。結果に影響がないように、鎮痛剤も抗生物質も投与しなかった。動物に脱水の兆候が現れれば、リンゲル液(Fresenius Kabi AG, Stans, Switzerland)を皮下投与した。
屠殺。
各1週間後および2週間後、ラットをIsofluraneで僅かに麻酔し、断頭した。未処置動物は1週群と共に屠殺した。
各1週間後および2週間後、ラットをIsofluraneで僅かに麻酔し、断頭した。未処置動物は1週群と共に屠殺した。
全血1mLをEDTA管に採取し、混合し、1mLの0.9%NaClで希釈し、Fas含有管に移した。混合物をドライアイスで凍結した。全血約1mLをLith/Hep管に採取し、混合し、氷上に保存した後、2000×gで10分間(冷却)遠心分離した。上清液(血漿)は、ドライアイスで凍結した。
脳と脊髄を露出、特定組織ドメインの標本を採取、直ちにドライアイスで凍結した。
脳と脊髄を露出、特定組織ドメインの標本を採取、直ちにドライアイスで凍結した。
組織標本の採取。
次の組織標本を採取した:
1)胸部脊髄−損傷部の高さ(T8);
2)胸部脊髄−損傷部より上側(T1〜T7);
3)頚部脊髄;
4)腰部脊髄;
5)脳−前頭皮質;
6)脳−運動および体性感覚皮質;
7)脳−後頭皮質;
8)脳−線条体;
9)脳−海馬;
10)脳幹;
12)腰部DRG(後根神経節);
13)血球;
14)血清;
15)CSF(脳脊髄液)。
次の組織標本を採取した:
1)胸部脊髄−損傷部の高さ(T8);
2)胸部脊髄−損傷部より上側(T1〜T7);
3)頚部脊髄;
4)腰部脊髄;
5)脳−前頭皮質;
6)脳−運動および体性感覚皮質;
7)脳−後頭皮質;
8)脳−線条体;
9)脳−海馬;
10)脳幹;
12)腰部DRG(後根神経節);
13)血球;
14)血清;
15)CSF(脳脊髄液)。
検体はドライアイス上、続いて使用まで低温冷蔵庫中に、−80℃で保存する。次の組織標本は遺伝子発現プロファイリングを行い、分析した:
1)胸部脊髄−損傷部の高さ(T8);
2)胸部脊髄−損傷部より上側(T1〜T7);
3)腰部脊髄;
4)脳−前頭皮質;
5)脳−運動および体性感覚皮質;
6)血球。
1)胸部脊髄−損傷部の高さ(T8);
2)胸部脊髄−損傷部より上側(T1〜T7);
3)腰部脊髄;
4)脳−前頭皮質;
5)脳−運動および体性感覚皮質;
6)血球。
脳を二つの半球に別け、左側をインサイチュ・ハイブリダイゼーション/免疫組織化学を用いるマイクロアレイ研究の確認について未処置とし、一方では右側を詳細な調査に用いた。
RNAの抽出および精製。
略述すれば、全RNAは各種凍結組織切片から酸性チオシアン酸グアニジウム−フェノール−クロロホルム抽出(Trizol, Invitrogen Life Technologies)によって採取し、次に全RNAを親和性樹脂(Rneasy, Qiagen)で製造社の指示書に従って精製し、定量した。全RNAをλ=260nm(A260nm)の吸光度によって定量し、純度をA260nm/A280nmの比率で推測した。RNA分子の完全性は、Agilent 2100 Bioanalyzer (Agilent Technologies, Palo Alto, California, USA)を用いる非変性アガロースゲル電気泳動によって確認した。各RNA標本の一定量を保存後、リアルタイム蛍光ベースPCR(TAQMAN; Applera)によるマイクロアレイ実験で確認した。RNAは、分析まで−80℃で保存した。
略述すれば、全RNAは各種凍結組織切片から酸性チオシアン酸グアニジウム−フェノール−クロロホルム抽出(Trizol, Invitrogen Life Technologies)によって採取し、次に全RNAを親和性樹脂(Rneasy, Qiagen)で製造社の指示書に従って精製し、定量した。全RNAをλ=260nm(A260nm)の吸光度によって定量し、純度をA260nm/A280nmの比率で推測した。RNA分子の完全性は、Agilent 2100 Bioanalyzer (Agilent Technologies, Palo Alto, California, USA)を用いる非変性アガロースゲル電気泳動によって確認した。各RNA標本の一定量を保存後、リアルタイム蛍光ベースPCR(TAQMAN; Applera)によるマイクロアレイ実験で確認した。RNAは、分析まで−80℃で保存した。
マイクロアレイ実験。
マイクロアレイハイブリダイゼーション実験は全てマイクロアレイシステム(Affymetrix, Santa Clara, California; Expression Analysis technical manual)で、製造業者の推奨に従って行った。各処置群からの6検体を、各々>31 000プローブセットを含むラットゲノムRAE230 2.0遺伝子発現プローブアレイセット(Affymetrix, Inc., Santa Clara, California, USA)とハイブリダイズさせた(プーリングなし)。
マイクロアレイハイブリダイゼーション実験は全てマイクロアレイシステム(Affymetrix, Santa Clara, California; Expression Analysis technical manual)で、製造業者の推奨に従って行った。各処置群からの6検体を、各々>31 000プローブセットを含むラットゲノムRAE230 2.0遺伝子発現プローブアレイセット(Affymetrix, Inc., Santa Clara, California, USA)とハイブリダイズさせた(プーリングなし)。
二本鎖cDNAを、全長約5μgの全RNAから出発してSuperscript Choice System (Invitrogen Life Technologies)を用いてT7−(dT)24DNAオリゴヌクレオチドプライマーの存在下に合成した。合成に続いて、このcDNAをフェノール/クロロホルム/イソアミルアルコール抽出およびエタノール沈殿によって精製した。次に、精製したcDNAをビオチン化リボヌクレオチド形ビオチン標識cRNAの存在下にインビトロでBioarray(登録商標)High Yield RNA Transcript Labelling Kit (ENZO)を用いて転写した。標識したcRNAを次に親和性樹脂(RNeasy, Qiagen)上で精製し、定量し、断片化した。標識cRNA約10μg量を発現プローブアレイに約16時間45℃でハイブリダイズさせた。次にアレイを洗浄し、GeneChip Fluidics Workstation 400(Affymetrix)を用いてストレプトアビジン−フィコエリトリン(Molecular Probes)で2回染色した。次にアレイを共焦点レーザースキャナー(GeneArray Scanner, Agilent)を用いて2回走査した結果、走査画像1個を得た。得られた「.dat-file」は、MAS5プログラム(Affymetrix)を用いて処理して「.cel-file」とした。生データは「標的強度」150を用いて発現レベルに変換した。
データの分析。
脊髄組織T8(損傷部位の高さ)および損傷部位隣接部T1〜7におけるデータセットの初期データ分析は盲検で行った。分析の結果、「橙色」とコードした検体が11C7処置群であることを同定した。その後はコードを破棄し、検体の同一性を確認した。その他の分析は盲検にしなかった。
脊髄組織T8(損傷部位の高さ)および損傷部位隣接部T1〜7におけるデータセットの初期データ分析は盲検で行った。分析の結果、「橙色」とコードした検体が11C7処置群であることを同定した。その後はコードを破棄し、検体の同一性を確認した。その他の分析は盲検にしなかった。
品質管理。
次の数値を各検体について検討した:倍率、バックグラウンド、プレゼントコールの百分率、AFFX−GAPDH3’:AFFX−GAPDH5’−比、AFFX−GAPDH3’変動、AFFX−ベータアクチン3’:AFFX−ベータアクチン5’比。データの均一性に注目した。バックグラウンドのノイズのレベルの平均および標準偏差は合理的な分析で使う原データ制限値を決定した。GAPDH3’の変動は個々の検体の間の変動の基準であり、信頼性の高い変化倍率の指標として使用できる。
次の数値を各検体について検討した:倍率、バックグラウンド、プレゼントコールの百分率、AFFX−GAPDH3’:AFFX−GAPDH5’−比、AFFX−GAPDH3’変動、AFFX−ベータアクチン3’:AFFX−ベータアクチン5’比。データの均一性に注目した。バックグラウンドのノイズのレベルの平均および標準偏差は合理的な分析で使う原データ制限値を決定した。GAPDH3’の変動は個々の検体の間の変動の基準であり、信頼性の高い変化倍率の指標として使用できる。
主成分分析。
変数としてのラットのゲノム2.0(n=15866)上の全プローブセットを含めた主成分分析(PCA)を行い、Simca-P10.0 software (Umetrics, Umea, Sweden)を用いるデータのログ変換とセントラリゼーションとの後に異常なマイクロアレイを同定した。技術的な異常値の排除後、GeneSpring (Silicon Genetics, Redwood City, California, USA)第7.0版を用いてPCAを反復した。
変数としてのラットのゲノム2.0(n=15866)上の全プローブセットを含めた主成分分析(PCA)を行い、Simca-P10.0 software (Umetrics, Umea, Sweden)を用いるデータのログ変換とセントラリゼーションとの後に異常なマイクロアレイを同定した。技術的な異常値の排除後、GeneSpring (Silicon Genetics, Redwood City, California, USA)第7.0版を用いてPCAを反復した。
データの標準化。
品質管理の後、MAS5標準化マイクロアレイデータをGeneSpring version 7.0 (Silicon Genetics)にインポートした。個々の実験は各組織で別々に作製した。各実験は次のようにして標準化した:0以下の値は0.1にセットした。各測定値を、その検体における全測定の50.0番百分位数で割算した。最後に、遺伝子ごとの標準化は未処置検体の中央値の発現値に対して標準化することによって行った。
品質管理の後、MAS5標準化マイクロアレイデータをGeneSpring version 7.0 (Silicon Genetics)にインポートした。個々の実験は各組織で別々に作製した。各実験は次のようにして標準化した:0以下の値は0.1にセットした。各測定値を、その検体における全測定の50.0番百分位数で割算した。最後に、遺伝子ごとの標準化は未処置検体の中央値の発現値に対して標準化することによって行った。
異なって発現される遺伝子の確認。
対照と処置との間で異なって発現される遺伝子を、次の限定に基づいて各実験内で同定した:
(1)前選別的限定:その後の分析を行うプローブセットは、如何なる条件下にも複写物の4/6で標識されて存在(flagged present)しなければならない。生データのシグナル強度は、その処置群の少なくとも一つで最低50でなければならない。
(2)統計的限定:p<0.05(ウェルチt検定(パラメトリック))。同様な統計的限定は比較すべき異なる群に常に適用され、各々の比較に付記する。
対照と処置との間で異なって発現される遺伝子を、次の限定に基づいて各実験内で同定した:
(1)前選別的限定:その後の分析を行うプローブセットは、如何なる条件下にも複写物の4/6で標識されて存在(flagged present)しなければならない。生データのシグナル強度は、その処置群の少なくとも一つで最低50でなければならない。
(2)統計的限定:p<0.05(ウェルチt検定(パラメトリック))。同様な統計的限定は比較すべき異なる群に常に適用され、各々の比較に付記する。
遺伝子集合濃縮解析(GSEA)。
遺伝子集合濃縮解析(GSEA)の社内修正法を用いてマイクロアレイデータを分析した。チップの75%以上で100以下のレベルを示す遺伝子は低発現または非発現として放棄した。次にマイクロアレイの結果を、条件の組合せ(例えば処置群と対照群)の間について一連の組合せ比較によって分析した。条件1と条件2における各遺伝子の相対的発現レベルを、発現比riとして算出する:
ここに、μi,jは条件jにおける遺伝子iの平均発現値である。次に遺伝子を発現比率に従って、条件2よりも条件1で高い発現を示す遺伝子がリストの上側に来るように並べ替える。次に、並べ替えリストに入手した遺伝子セットのコレクションを反映させる。この段階は本質的に調和的様式で発現される機能的に関連する遺伝子を確認するために実験データに推測的な生物学的知識を適用するものである。遺伝子セットは一時に一つ宛処置する。遺伝子セットGでは、各発現比riを遺伝子iが
であれば「遺伝子セット内」;また遺伝子jが
であれば「遺伝子セット外」と標識する。両側Wilcoxon順位和検定を計算して、遺伝子セットG内と標識した遺伝子が並べ替えリストの最上部または最低部に濃縮されているかどうかを決定する。Storey JD & Tibshirani R, Proc Natl Acad Sci USA 100: 9440-9445 (2003)のfalse discovery rate(FDR)法を適用してp値を多重検査補正q値に変換する。GSEAからの出力は、入手した遺伝子セットN個に対応するq値(q1、q2、…、qN)とラベル(l1、l2、...、lN)、li∈(上限,下限)のリストである。小さなq値qiは、遺伝子セットGiの遺伝子が発現比率のリストの上端部または下端部のどちらかに有意に濃縮されていることを示す。
遺伝子集合濃縮解析(GSEA)の社内修正法を用いてマイクロアレイデータを分析した。チップの75%以上で100以下のレベルを示す遺伝子は低発現または非発現として放棄した。次にマイクロアレイの結果を、条件の組合せ(例えば処置群と対照群)の間について一連の組合せ比較によって分析した。条件1と条件2における各遺伝子の相対的発現レベルを、発現比riとして算出する:
結果。
脊髄組織T8(損傷部位の高さ)および損傷部位隣接部T1〜7におけるデータセットの初期データ分析は盲検で行った。分析の結果、「橙色」とコードした検体が11C7処置群であることを同定した。その後はコードを破棄し、標本の同一性を確認した。その後の分析は盲検化しなかった。
脊髄組織T8(損傷部位の高さ)および損傷部位隣接部T1〜7におけるデータセットの初期データ分析は盲検で行った。分析の結果、「橙色」とコードした検体が11C7処置群であることを同定した。その後はコードを破棄し、標本の同一性を確認した。その後の分析は盲検化しなかった。
脊髄T8(損傷部位の高さ)。
IgG処置群と11C7処置群とを比較するウェルチのT検定の結果、1週間および2週間の処置後、異なって発現する遺伝子各々643個および449個を確認した。変化倍率が最も大きかった100個までの平均変化倍率は、1週間処置後に1.93±1.06および2週間処置後に1.31±0.07であった。1週間処置後の遺伝子発現変化トップ100を表4に、および2週間処置後の遺伝子発現変化トップ100を実施例2の表5に示す。転写トップ20の90%は11C7処置の1週間後に下方調節された(一方、発現変動全体で見ると、41%が下方調節された)。興味深いことに、この中に細胞外マトリックス(ECM)および外傷治癒および/または瘢痕化(アスポリン前駆体、デルマトポンチン、コラーゲン)に関連のあるタンパク質をコードする転写物7個、分泌フリズル様タンパク質2個(Sfrl2および4)、IGF結合タンパク質2個(Igfbp5および6、IGFのンガティブ調整剤)およびミオシリン(瘢痕化)/TIGRがあった。これらは神経突起伸長を阻害し、CNS損傷後に慢性グリア性瘢痕を上方調節することが最近報告された。Jurynec MJ et al., Mol. Cell. Neurosci. 23: 69-80 (2003)。
IgG処置群と11C7処置群とを比較するウェルチのT検定の結果、1週間および2週間の処置後、異なって発現する遺伝子各々643個および449個を確認した。変化倍率が最も大きかった100個までの平均変化倍率は、1週間処置後に1.93±1.06および2週間処置後に1.31±0.07であった。1週間処置後の遺伝子発現変化トップ100を表4に、および2週間処置後の遺伝子発現変化トップ100を実施例2の表5に示す。転写トップ20の90%は11C7処置の1週間後に下方調節された(一方、発現変動全体で見ると、41%が下方調節された)。興味深いことに、この中に細胞外マトリックス(ECM)および外傷治癒および/または瘢痕化(アスポリン前駆体、デルマトポンチン、コラーゲン)に関連のあるタンパク質をコードする転写物7個、分泌フリズル様タンパク質2個(Sfrl2および4)、IGF結合タンパク質2個(Igfbp5および6、IGFのンガティブ調整剤)およびミオシリン(瘢痕化)/TIGRがあった。これらは神経突起伸長を阻害し、CNS損傷後に慢性グリア性瘢痕を上方調節することが最近報告された。Jurynec MJ et al., Mol. Cell. Neurosci. 23: 69-80 (2003)。
遺伝子集合濃縮解析(GSEA)で、処置の1週後に変動豊富化転写物の有意な豊富化を示す酵素反応系を全部で30個確認した(実施例3の表16)。最も明確な豊富化は、免疫および防御関連転写物(図1)、サイトカインおよびケモカイン介在シグナル伝達経路(図2)およびJak−statカスケード(図3)で観察されたが、全て11C7の方向であった。神経系関連酵素反応系については、11C7処置動物ではニューロンの活性、神経組織発生、および神経−神経シナプスの伝達は下方調節(q<0.001)され、スリット−ロボ介在軸索誘導は上方調節(q=0.018)された。
2週間処置後、変化倍率は1週間処置後よりも有意に小さかった。転写物1個のみが1.5倍以上有意に制御が変化した(p53−応答遺伝子3は、11C7後に1.6倍上方調節)。GSEAで、発現変動転写物の有意な豊富化が観察される19個の経路を確認した。酸化的リン酸化(図4)、電子/イオン/カチオン輸送、血液凝固、前mRNAプロセッシングおよびシナプス伝達(図5)は最も有意な影響を受けた経路(実施例3、表21)であった。
脊髄T1〜7(損傷部位に近接)。
IgG−処置群を11C7−処置群と比較するウェルチのT−検定の結果、1週間処置後および2週間処置後に、異なって発現する遺伝子を各々566個および579個見出した。変化倍率トップ100の平均変化倍率は、1週処置後に1.43±0.17および2週処置後に1.56±0.98であった。処置後1週間での遺伝子発現変化のトップ100を表18に示す。処置後2週間での遺伝子発現変化のトップ100を実施例3の表19に示す。
IgG−処置群を11C7−処置群と比較するウェルチのT−検定の結果、1週間処置後および2週間処置後に、異なって発現する遺伝子を各々566個および579個見出した。変化倍率トップ100の平均変化倍率は、1週処置後に1.43±0.17および2週処置後に1.56±0.98であった。処置後1週間での遺伝子発現変化のトップ100を表18に示す。処置後2週間での遺伝子発現変化のトップ100を実施例3の表19に示す。
1週間11C7で処置後の最大の変化は損傷部位で観察された主題を反復した。変化のトップ20中、8個はECM関連(ルミカン、コラーゲン1a1−2および5a1、フィブリン2、テトラネクチン、マトリックス糖タンパク質SC1/ECM2)で、11C7処置後に下方調節された。2週間処置後、変化倍率は1週間後よりも僅かに増加した。最大変化のいくつかは、リンパ球に発現されるタンパク質をコードする転写物の下方調節に関連していた。
遺伝子集合濃縮解析(GSEA)で、1週間処置後には経路5個で有意な豊富化(実施例3の表18)を確認した。2週間処置後には有意に影響を受けた経路はなかった(q<0.001)。1週間後に最も有意に影響を受けた経路は、ECM介在シグナル伝達、脂質、脂肪酸およびステロール代謝および成長因子恒常性(図6〜8)であった。
脊髄L1〜5(損傷部位から遠位)。
IgG処置群と11C7処置群とを比較するウェルチT−検定の結果、1週間および2週間処置後に、異なって発現する遺伝子を各々1303個および1301個が見出された。変化倍率トップ100の平均変化倍率は1週間処置後に1.72±0.5および2週間処置後に1.91±2.0であった。1週間処置後の遺伝子発現変化トップ100を表1〜5に、2週間処置後を実施例3の表21に示す。
IgG処置群と11C7処置群とを比較するウェルチT−検定の結果、1週間および2週間処置後に、異なって発現する遺伝子を各々1303個および1301個が見出された。変化倍率トップ100の平均変化倍率は1週間処置後に1.72±0.5および2週間処置後に1.91±2.0であった。1週間処置後の遺伝子発現変化トップ100を表1〜5に、2週間処置後を実施例3の表21に示す。
11C7処置1週間後の最大の変化は、リンパ球によって発現される転写物に関連していた(Igγ2C鎖C領域(LOC362795)に類似、mRNA、分泌性白血球プロテアーゼ阻害剤、リンパ球セレクチン、リポカリン2、トロンボモジュリン、ケモカイン(C−X−Cモチーフ)リガンド12)および、上方調節されれば11C7処置後組織内へのリンパ球移動の増加を示唆する。また、11C7後にはSfrp4およびエフリンB1が上方調節された。2週間処置後、有意に変化した転写物のトップは、核受容体MrgA10RF−アミドGタンパク質結合受容体(Mrga10)および核受容体コアクティベータ3ならびに免疫関連転写物を含み、これらは11C7後に下方調節された。有意な変化の最大数はシナプスの伝達またはシナプスの小胞循環(シナプス形成関連mRNA配列6、シナプスの小胞糖タンパク質2b、シナプトポリン(synaptoporin))に関連し、11C7後に上方調節された。
遺伝子集合濃縮解析(GSEA)は、有意な豊富化を、1週間処置後に経路58個(表19、実施例3)、および2週間処置後に経路48個(表20、実施例3)を確認した。最も有意に影響を受けた経路は、1週間処置後には免疫および防御、シグナル伝達、および細胞通信(11C7では全て上方調節;図8〜10)であり、2週間処置後には免疫および防御、細胞通信およびシナプス伝達(図11〜13)であった。興味深いことに、免疫および防御関連経路は、2週間処置後にIgG処置の方向に高度に有意に豊富化された(11C7処置後下方調節)。シナプスの伝達、ニューロンの活性および神経伝達物質放出関連経路は、11C7で2週間処置後に、有意に豊富化(上方調節)された。
運動/体性感覚皮質。
IgG処置群と11C7処置群とを比較するウェルチT検定の結果、1週間処置後および2週間処置後に異なって発現する遺伝子をそれぞれ574個および910個見出した。変化倍率トップ100の平均変化倍率は、1週間処置後に1.42±0.19;2週間処置後に1.46±0.09であった。1週間処置後の遺伝子発現変化のトップ100を表20に;2週間処置後のトップ100を実施例3の表21に示す。
IgG処置群と11C7処置群とを比較するウェルチT検定の結果、1週間処置後および2週間処置後に異なって発現する遺伝子をそれぞれ574個および910個見出した。変化倍率トップ100の平均変化倍率は、1週間処置後に1.42±0.19;2週間処置後に1.46±0.09であった。1週間処置後の遺伝子発現変化のトップ100を表20に;2週間処置後のトップ100を実施例3の表21に示す。
1週間処置後の運動/体性感覚皮質における変化のトップ100の70%がESTであったため、データの解釈が錯綜した。最大に変化した公知転写物の中には、しかしながらS100カルシウム結合タンパク質A9(カルグラヌリンB、マクロファージが発現、11C7後に3倍上方調節)およびCrmp5(コラプシン応答メディエータタンパク質5、11C7後に上方調節)があった。コラプシン応答メディエータタンパク質(CRMP)は発達中の脳では高度に発現されて、ニューロン分化のいくつかの側面に寄与している。成人では、このタンパク質は永続性神経組織発生の領域に発現されるVeyrac A et al., Eur. J. Neurosci. 21: 2635-2648 (2005)。2週間処置後、変化のトップ100の中で80%がESTであった。
多重試験修正分析に基づいて、GSEAは処置後1週間に異なって発現する転写物の有意な豊富化を示す経路を確認しなかった。処置後2週間に、酸化的リン酸化経路は異なって発現する遺伝子の有意な豊富化(q<0.001;実施例3の表21)を示した。興味深いことに、ハンチントン病、EGF−、FGF−、およびNGF−シグナル伝達経路は、全て影響を受けたが、優位性の推奨レベルに達しなかった(q<0.04対q<0.001)。全ては11C7処置後に下方調節された(図14〜17)。少数の影響を受けた経路は、このデータセットで異なって発現する多数のESTを反映しているようであるが、どの経路にも割付けできなかった。
前頭皮質。
IgG処置群と11C7処置群とを比較するウェルチt検定の結果、1週間および2週間処置後に各々異なって発現する遺伝子を657個および275個見出した。変化倍率トップ100の平均変化倍率は、1週間処置後に1.3±0.3;および2週間処置後に1.2±0.05であった。遺伝子発現変化のトップ100は、1週間処置後の変化を表1〜9に;および2週間処置後の変化をアネックス1の表1〜10に記載する。1週間処置後では転写物13個のみ;および2週間処置後では転写物10個のみ;発現が>1.3倍異なって発現され、この処置に対する遺伝子発現応答が非常に弱いことを示す。
IgG処置群と11C7処置群とを比較するウェルチt検定の結果、1週間および2週間処置後に各々異なって発現する遺伝子を657個および275個見出した。変化倍率トップ100の平均変化倍率は、1週間処置後に1.3±0.3;および2週間処置後に1.2±0.05であった。遺伝子発現変化のトップ100は、1週間処置後の変化を表1〜9に;および2週間処置後の変化をアネックス1の表1〜10に記載する。1週間処置後では転写物13個のみ;および2週間処置後では転写物10個のみ;発現が>1.3倍異なって発現され、この処置に対する遺伝子発現応答が非常に弱いことを示す。
変化>1.3倍の中には、処置から1週間後にはマクロファージが発現するS100カルシウム結合タンパク質A9(カルグラヌリンB)、c−fosオンコジーン、細胞分化に関係するDusp6およびEgr−1が発現し;処置から2週間後にスタスミン1、Nr2f2、Gタンパク質結合受容体27およびミエリン関連オリゴデンドロサイト塩基性タンパク質(Mobp;11C7後1.28倍上方調節)があった。
前頭皮質のデータセットでは有意な変化の数が少なかったのでGSEAを実施しなかった。
前頭皮質のデータセットでは有意な変化の数が少なかったのでGSEAを実施しなかった。
血液。
IgG処置群と11C7処置群とを比較するウェルチt検定の結果、処置から1週間後および2週間後に、異なって発現する遺伝子がそれぞれ389個および427個見出された。変化倍率のトップ100の平均変化倍率は、1週間処置後に2.1±0.56;および2週間処置後に1.80±0.40であった。遺伝子発現変化のトップ100は、1週間処置後を表1〜11に;2週間処置後をアネックス1の表1〜12に示す。
IgG処置群と11C7処置群とを比較するウェルチt検定の結果、処置から1週間後および2週間後に、異なって発現する遺伝子がそれぞれ389個および427個見出された。変化倍率のトップ100の平均変化倍率は、1週間処置後に2.1±0.56;および2週間処置後に1.80±0.40であった。遺伝子発現変化のトップ100は、1週間処置後を表1〜11に;2週間処置後をアネックス1の表1〜12に示す。
11C7処置から1週間後の最大変化の中には、マトリックスメタロプロテイナーゼMmp8およびMmp9、Hipk3、分泌白血球プロテアーゼ阻害剤(また1週後にL1〜5で上方調節)およびカルグラヌリンAの上方調節があった。処置から2週間後、ベータ−アミロイド結合タンパク質(LOC362545)と同様に、mRNAおよびCreb−結合タンパク質は11C7後に下方調節され;神経保護mGluR8およびアポトーシス関連Sfrp4は11C7後に上方調節された。
多重試験補正分析に基づいて、GSEAは処置から1週間後に異なって発現される転写物の有意な豊富化を示す経路(q<0.001;アネックス2、表1〜7)6個を同定した。エンドサイトーシス、細胞内タンパク質輸送、受容体介在エンドサイトーシス(図18)、一般小胞輸送、インターフェロン介在免疫(図19)、神経刺激性リガンド受容体相互作用(図20)、mapkシグナル伝達経路、マクロファージ介在免疫(図21)、続いてIl−1bおよびB細胞活性化(各々図22および23)は最も影響を受けた経路であった。興味深いことに、神経刺激性リガンド−受容体相互作用を除いて、前記の全てでの豊富化の方向は11C7の方向であった。これは11C7処置後にこれらの経路に関係する転写物が上方調節されることを示す。処置から2週間後、8個の経路が異なって発現する遺伝子の有意な(q<0.001;アネックス2の表1〜8)豊富化を示した。タンパク質代謝および修飾、免疫および防御(図24)およびタンパク質修飾は上位の影響を受けた経路の中にある。血液では、処置から2週間後の経路一つを除いて全てIgGの方向に豊富化された。
検討。
この実施例の目的は、脊髄半側切断後にモノクローナルマウス抗Nogo−A抗体11C7で1週間および2週間処置後のラットと;植物レクチンに対するマウスのIgG抗体で対照処置したラットと;を比較して、この処置に関連する変化を確認することにある。
この実施例の目的は、脊髄半側切断後にモノクローナルマウス抗Nogo−A抗体11C7で1週間および2週間処置後のラットと;植物レクチンに対するマウスのIgG抗体で対照処置したラットと;を比較して、この処置に関連する変化を確認することにある。
1週間処置後、数と大きさの点から最も有意な遺伝子発現変化が損傷部位から遠位(L1〜5)に、続いて損傷部位(T8)および血液に、観察された一方で、前頭皮質、運動−体性感覚皮質および創傷部位に近い脊髄(T1〜7)は明らかに影響が少なかった(表2)。2週間処置後、遺伝子発現の観点から最大規模の効果がL1〜5で観察され;続いて相対的に類似の効果が運動-体性感覚皮質、損傷部位に近い(T1〜7)および血液で観察された。2週間処置後、この処置による明らかに弱い効果がT8および前頭皮質で観察された(表2)。
効果サイズ順位とは、有意な遺伝子発現変化および組織の遺伝子発現変化トップ100の平均変化倍率の数に基づいて決定された、目的とする組織の順位である。
損傷部位に11C7による細胞外マトリックスおよび創傷治癒に関する転写物を下方調節する非常に強い効果が1週間処置後に観察された。アスポリン前駆体、デルマトポンチン、ミクロフィブリル関連糖タンパク質−2および数種のコラーゲン、ならびにその発現がアポトーシスと関連することが発見されている2種の分泌フリズル関連タンパク質Sfrp2およびSfrp4は最高に下方調節される変化に含まれる。CNS損傷後に慢性グリア性瘢痕における上方調節発現を示し;そしてインビボで後根神経節ニューロンに神経突起伸長阻害効果を示す;分泌糖タンパク質、ミオシリン/TIGR(Jurynec MJ et al., Mol. Cell. Neurosci. 23: 69-80 (2003))は、1週間の11C7処置後には2.67倍下方調節されることが見出された。ミオシリンは抗Nogo−A処置によって阻害される新規な神経突起伸長阻害性分子であることが示唆される。
その他の神経突起伸長/軸索誘導に関連する変化は、ケモカイン(C−X−Cモチーフ)リガンド12をコードするスリット−ロボ介在軸索誘導経路に関連する転写体およびGSEAで確認(q<0.02)されるケモカイン(C−X−Cモチーフ)受容体4を含む。Cxcl12およびCXCR4は、研究した全ての脊髄断片で1週間11C7処置後に協調して上方調節を示した(図25)。Cxcr4の、可溶性リガンドCxcl12(Sdf1)による活性化は成長円錐の運動性および神経突起の伸長に影響することがインビトロで証明されている(Arakawa Y et al., J. Cell. Biol. 161: 381-391 (2003); Pujol F et al., J. Cell Sci. 118: 1071-1080 (2005); Xiang Y et al., Nat. Neurosci. 5: 843-848 (2002))。興味深いことに、この作用にはRho/ROCK経路が介在し、そこで低濃度のCxcl12が軸索伸長の促進に介在するRho依存性経路を刺激できることが示唆された。Arakawa Y et al., J. Cell. Biol. 161: 381-391 (2003)。最近、Cxcl12−CXCR4ケモカインシグナル伝達経路が、発育中に哺乳類運動軸索の初期軌道を決定することが証明された。Lieberam I et al., Neuron 47: 667-679 (2005)。我々の発見は、この経路が11C7処置の結果として上方調節されるであろうこと、および再生の間に抗Nogo−Aの作用機序に寄与するかもしれないことを示唆する。
1週処置後、GSEAが確認するレベルでなく個々の遺伝子のレベルではセマホリン−コラプシン介在経路に関連する変化があり:T8および運動−体性感覚皮質では、セマA/セマホリン3Aおよび崩壊反応タンパク質4および5、Crmp4/5介在の移動成長円錐への反発キューに下方調節が見られた。
GSEAは、マイクロアレイデータ中の機能的に関連する遺伝子群の中から強調的転写の変化を確認する方法としてMootha VK et al., Nat. Genet. 34: 267-273 (2003)が最初に記載した。この遺伝子集合濃縮解析法は、原型の方法論[RD−2005−50762]に社内で精緻化を数回追加したものである。マイクロアレイデータでは時々1個の転写物のレベルでの変化は変化倍率が小さくて有意になれないが、そのような変化が多ければ経路全体に与える影響は有意になる。一般に神経系で観察される変化倍率は小さく(おそらく、不均質細胞集団の大きな遺伝子希釈効果のために)、GSEA手法は神経組織から得たデータを解釈する時には特に興味深いものとなろう。本研究でGSEAに導入される経路情報は、公開されたデータベース(KEGG)および私有のデータベース(Celera, Pathart)を含む様々な情報源から蒐集した。3種またはそれ以上の組織での有意な(q<0.001)遺伝子セット豊富化を示す24経路の概要を表3に示す。
全体的に見て最も広範に影響を受ける経路は、免疫および防御(4組織)、タンパク質代謝およびリン酸化(4)、ヌクレオシド、ヌクレオチドおよび核酸代謝(4)ニューロンの活性(4)およびJak−statカスケード(4)であった。
本研究で、GSEAはB細胞およびT細胞介在シグナル伝達、B細胞活性化、マクロファージ介在、NK細胞介在ならびに好中球介在の免疫、トール様受容体経路、およびサイトカインおよびケモカイン介在シグナル伝達経路を含む免疫防御経路における非常に明白な効果を解明した。興味深いことに、この免疫および防御に介在する経路は1週間処置後には11C7の方向に豊富化されたが、2週間処置後にはIgGの方向に豊富化された。同じパターンはその他の免疫機序関連経路全て、例えばB細胞、T細胞、マクロファージおよびNK細胞が介在する免疫経路でも観察された。免疫関連経路に対する有意な効果は、最も普通に豊富化の方向が脊髄組織の方向に平行する脊髄の損傷部位(T8)およびその遠位(L1〜5)および血液で観察された。顕微鏡的に詳細な研究はしてないが、これはIgG処置動物と比較して11C7処置1週間後には血液および損傷脊髄の双方でリンパ球、マクロファージおよびNK細胞の増加と可能性としてはリンパ球の損傷脊髄への通行の増加を示唆する。Nogo−A(Nogo-66)の細胞外部分を標的とする抗体として多発性硬化症の動物モデルでの治療的可能性が示唆され(Karnezis T et al., Nat. Neurosci. 7: 736-744 (2004); Fontoura P et al., J. Immunol. 173: 6981-6992 (2004))、この化合物の作用における免疫関連機序の関与の可能性は特に興味がある。
研究した組織3種またはそれ以上で影響を受けた他の有意に豊富化される経路には、アポトーシスおよびアポトーシスシグナル伝達経路、凝血/凝固、細胞付着介在シグナル伝達、細胞外マトリックスタンパク質介在シグナル伝達、成長因子恒常性、オンコジーン、酸化性リン酸化およびシナプスの伝達を含む。殆どの経路での豊富化の方向は免疫関連経路で観察されたものと類似であって、1週間処置後には11C7の方向であり、2週間処置後にはIgGの方向である。興味深い例外はシナプスの伝達経路であって、1週間11C7処置後にはその経路は下方調節されるが、2週間処置後には上方調節される。ニューロンの活性経路および神経−神経シナプス伝達経路は同じパターンであって、T8およびL1〜5レベルの脊髄で有意な影響を受ける。
抗Nogo−A抗体の作用における、EGF、FGF、NGF、PDGFおよびTGFベータ−シグナル伝達経路を含む数種の成長因子経路の確認は、次の数点で興味深い:EGF受容体の活性化は最近、軸索再生におけるミエリンおよび硫酸コンドロイチンからの阻害性シグナルおよび損傷後の視神経再生での再生を起すEGF受容体シグナル伝達の阻害のメディエータであると報告された。He Z & Koprivica V, Annu. Rev. Neurosci. 27: 341-368 (2004); Koprivica V et al., Science 310: 106-110 (2005)。今回のデータセットでは、EGF受容体介在シグナル伝達経路は1週間11C7処置後、血液およびL1〜5で上方調節されたが、興味深いことには、2週間11C7処置後、運動−体性感覚皮質では下方調節された。PDGFシグナル伝達経路は、1週間11C7処置後に脊髄の3ヶ所全部(T8、T1〜7、L1〜5)のレベルが同時に上方調節された。
結論。
この結果は、損傷された脊髄および運動皮質を、髄腔内投与した抗Nogo−A抗体処置の第一次作用部位として遺伝子発現のレベルで確認する。この分析は、新規な分子および経路の候補、例えばミオシリンおよびスリット−ロボ経路が抗Nogo−A処置の標的となる可能性を持つことを確認した。この結果はまた処置効果への免疫防御関連経路の強い関与を提示した。
この結果は、損傷された脊髄および運動皮質を、髄腔内投与した抗Nogo−A抗体処置の第一次作用部位として遺伝子発現のレベルで確認する。この分析は、新規な分子および経路の候補、例えばミオシリンおよびスリット−ロボ経路が抗Nogo−A処置の標的となる可能性を持つことを確認した。この結果はまた処置効果への免疫防御関連経路の強い関与を提示した。
分泌タンパク質;Sfrp4、Mmp9およびミオシリンを処置効果のマーカー候補としてさらに研究することを選択した。
選択した知見をTAQMANで確認した。選択した転写物(Sfrp2、Sfrp4、ミオシリン、アスポリン前駆体、デルマトポンチン、Mmp9)は全て確認された。
選択した知見をTAQMANで確認した。選択した転写物(Sfrp2、Sfrp4、ミオシリン、アスポリン前駆体、デルマトポンチン、Mmp9)は全て確認された。
ラット脊髄損傷モデルを抗Nogo−A抗体11C7で処置後のゲノミクス開発研究;マイクロアレイによる遺伝子発現の分析(続き)
遺伝子集合濃縮解析(GSEA)。
遺伝子集合濃縮解析(GSEA)はMootha VK et al., Nat. Genet. 34: 267-273 (2003)が記載した方法で行った。略述すれば、GSEAは所与の遺伝子セットの各メンバーが二つのクラスの間で発現が最も変動する遺伝子の中で豊富化されるかどうかを決定する。最初に、遺伝子を差分の基準に基づいて並べる。それは2つのクラスの平均値の差を診断クラス2個の標準偏差の和で割算したものであることができるが、その他の差分基準も使用できる。
遺伝子集合濃縮解析(GSEA)。
遺伝子集合濃縮解析(GSEA)はMootha VK et al., Nat. Genet. 34: 267-273 (2003)が記載した方法で行った。略述すれば、GSEAは所与の遺伝子セットの各メンバーが二つのクラスの間で発現が最も変動する遺伝子の中で豊富化されるかどうかを決定する。最初に、遺伝子を差分の基準に基づいて並べる。それは2つのクラスの平均値の差を診断クラス2個の標準偏差の和で割算したものであることができるが、その他の差分基準も使用できる。
各遺伝子セットに、ESと呼ばれる豊富化処置を行う。これは正規化Kolmogorov- Smirnov統計学である。2つのクラスおよびメンバーG個を含む遺伝子セットSの間の差分基準に基づいて並べた遺伝子R1、・・・、RNを考える。RiがSのメンバーでなければ
と定義し、またはRiがSのメンバーであれば
と定義する。N遺伝子全てにわたる合計(running sum)を算出する。ESは
と定義するか、または合計の観測された最大のプラス偏差である。ESは考慮する各遺伝子セットについて測定する。遺伝子セットはCelera、PathartおよびKEGGの各社から得た経路情報に基づく。所与の遺伝子セットの何れかがクラスの表現型特質と関わりがあるかどうかを決定するために、クラスのラベルを1000回並べ替えて、毎回最大ESを全遺伝子セットについて記録する。この関連で、一つの仮説を検証する。この帰無仮説はどの遺伝子セットもクラスの特質とは関わりがないというものとなる。
結果。
脊髄組織T8(損傷のレベル)および損傷部位に近位のT1〜7に対するデータセットの初期データ分析を盲検で行った。分析の結果、「橙色」とコードした検体が11C7処置群と同定され、その後はコードを破棄して検体の同一性を確かめた。その後の分析は盲検化しなかった。
脊髄組織T8(損傷のレベル)および損傷部位に近位のT1〜7に対するデータセットの初期データ分析を盲検で行った。分析の結果、「橙色」とコードした検体が11C7処置群と同定され、その後はコードを破棄して検体の同一性を確かめた。その後の分析は盲検化しなかった。
脊髄T8(損傷部位)。
IgG処置群と11C7処置群とを比較するウェルチt検定の結果、各々1週間および2週間処置後に異なって発現される遺伝子643個および449個を得た。変化倍率トップ100の平均変化倍率は、1週間処置後に1.93±1.06および2週間処置後に1.31±0.07であった。遺伝子発現変化のトップ20は、1週間処置後を表4に;2週間処置後を表5に示す。転写体のトップ20の中で90%では11C7処置1週間後に下方調節された(一方、異なって発現される遺伝子全体では41%が下方調節)。興味深いことに、中には次のものがあった:7つの細胞外マトリックス(ECM)および創傷治癒および/または瘢痕化に関連するタンパク質(アスポリン前駆体、デルマトポンチン、コラーゲン)をコードする転写物、2つの分泌フリズル様タンパク質(Sfrl2および4)、2つのIgf結合タンパク質(Igfbp5および6、Igfのネガティブ制御剤)およびミオシリン/TIGR、これについては神経突起伸長を阻害することおよびCNS損傷後の慢性グリア瘢痕化中では上方調節されることが最近報告された。Jurynec MJ et al., Mol. Cell. Neurosci. 23: 69-80 (2003)。
IgG処置群と11C7処置群とを比較するウェルチt検定の結果、各々1週間および2週間処置後に異なって発現される遺伝子643個および449個を得た。変化倍率トップ100の平均変化倍率は、1週間処置後に1.93±1.06および2週間処置後に1.31±0.07であった。遺伝子発現変化のトップ20は、1週間処置後を表4に;2週間処置後を表5に示す。転写体のトップ20の中で90%では11C7処置1週間後に下方調節された(一方、異なって発現される遺伝子全体では41%が下方調節)。興味深いことに、中には次のものがあった:7つの細胞外マトリックス(ECM)および創傷治癒および/または瘢痕化に関連するタンパク質(アスポリン前駆体、デルマトポンチン、コラーゲン)をコードする転写物、2つの分泌フリズル様タンパク質(Sfrl2および4)、2つのIgf結合タンパク質(Igfbp5および6、Igfのネガティブ制御剤)およびミオシリン/TIGR、これについては神経突起伸長を阻害することおよびCNS損傷後の慢性グリア瘢痕化中では上方調節されることが最近報告された。Jurynec MJ et al., Mol. Cell. Neurosci. 23: 69-80 (2003)。
遺伝子集合濃縮解析(GSEA)は1週間11C7処置後に、免疫および防御関連転写物、サイトカインおよびケモカイン介在シグナル伝達経路、Jak−statカスケード、アポトーシスの阻害および他の90経路における有意な豊富化を確認した(表4)。11C7処置動物では、神経系関連経路については、ニューロンの活性、神経細胞新生および神経−神経シナプス伝達は下方調節され、スリット−ロボ介軸索誘導は上方調節された。
2週間処置後には、変化倍率は1週間処置後よりも有意に小さかった。転写物1つのみが>1.5倍有意に制御が変動した(11C7後、p53応答性遺伝子3は1.6倍上方調節)。GSEAは異なって発現する転写体の有意な豊富化が観察される45経路を同定した。酸化的リン酸化、電子/イオン/カチオン輸送、mRNAのプロセッシングおよびシナプスの伝達は、最も有意に影響を受ける経路に含まれていた(表6)。
脊髄T1〜7(損傷部位に近接)。
IgG処置群と11C7処置群とを比較するウェルチT−検定の結果、各々1週間および2週間の処置後に異なって発現する遺伝子各々566個および579個を見出した。変化倍率トップ100の平均変化倍率は、1週間処置後に1.43±0.17;2週間処置後に1.56±0.98であった。遺伝子発現変化のトップ20は1週間処置後を表8に;および2週間処置後を表9に示す。
IgG処置群と11C7処置群とを比較するウェルチT−検定の結果、各々1週間および2週間の処置後に異なって発現する遺伝子各々566個および579個を見出した。変化倍率トップ100の平均変化倍率は、1週間処置後に1.43±0.17;2週間処置後に1.56±0.98であった。遺伝子発現変化のトップ20は1週間処置後を表8に;および2週間処置後を表9に示す。
11C7処置後1週間における最大の変化は、損傷部位で観察された主題を反復した:変化がトップ20であった中の8個はECMに関連しており(ルミカン、コラーゲン1a1〜2および5a1、フィブリン2、テトラネクチン、マトリックス糖タンパク質SC1/ECM2)、11C7で処置後に下方調節された。2週間処置後の変化倍率は1週間処置後よりも僅かに大きかった。最大に変化したもののいくつかは、リンパ球で発現されるタンパク質をコードする転写物の下方調節に関連していた。
遺伝子集合濃縮解析(GSEA)で有意な豊富化を、1週間処置後には35経路(表10);2週間処置後には3経路(表11;q<0.05;32p<0.05)で確認した。最も有意に影響を受けた経路は、1週間処置後はECM介在シグナル伝達、脂質代謝および成長因子恒常性であり;2週間処置後はイオン輸送、成長因子恒常性およびmRNA転写終結であった。
脊髄L1〜5(損傷部位から遠位)。
IgG処置群と11C7処置群とを比較するウェルチT−検定は、各々1週間および2週間処置後に異なって発現する遺伝子1303個および1301個を得た。変化倍率トップ100の平均変化倍率は、1週間処置後に1.72±0.5;2週間処置後に1.91±2.0であった。遺伝子発現変化トップ20の1週間処置後を表12に、2週間処置後を表13に示す。
IgG処置群と11C7処置群とを比較するウェルチT−検定は、各々1週間および2週間処置後に異なって発現する遺伝子1303個および1301個を得た。変化倍率トップ100の平均変化倍率は、1週間処置後に1.72±0.5;2週間処置後に1.91±2.0であった。遺伝子発現変化トップ20の1週間処置後を表12に、2週間処置後を表13に示す。
1週間11C7処置後の最大変化は損傷部位で観察された主題を反復した:変化がトップ20の中の8個はECM関連であって(ルミカン、コラーゲン1a1〜2および5a1、フィブリン2、テトラネクチン、マトリックス糖タンパク質SC1/ECM2)、11C7処置後に下方調節された。2週間処置後には、変化倍率は1週間処置後よりも僅かに大きかった。最大変化のいくつかは、リンパ球に発現されるタンパク質をコードする転写物の下方調節に関連していた。
遺伝子集合濃縮解析(GSEA)は、有意な豊富化を、1週間処置後には151経路(表14);2週間処置後には116経路(表15);で確認した。非常に興味深いことに、免疫および防御関連経路は2週間処置後には、高度に有意にIgG処置の方向に豊富化され(11C7処置後下方調節)されたが;一方、11C7処置後には、シナプス伝達の転写物、ニューロンの活性およびニューロトランスミッターの放出関連経路は有意に豊富化(上方調節)された。
運動−体性感覚皮質。
IgG処置群と11C7処置群とを比較するウェルチt検定の結果、1週間処置後および2週間処置後に異なって発現する遺伝子をそれぞれ1303個および1301個見出した。変化倍率トップ100の平均変化倍率は、1週間処置後に1.72±0.5;2週間処置後に1.91±2.0であった。遺伝子発現変化トップ20の1週間処置後は表12に;および2週間処置後は表13に示す。
IgG処置群と11C7処置群とを比較するウェルチt検定の結果、1週間処置後および2週間処置後に異なって発現する遺伝子をそれぞれ1303個および1301個見出した。変化倍率トップ100の平均変化倍率は、1週間処置後に1.72±0.5;2週間処置後に1.91±2.0であった。遺伝子発現変化トップ20の1週間処置後は表12に;および2週間処置後は表13に示す。
11C7処置後1週間の最大変化は損傷部位に観察される主題を複製した:変化のトップ20の8個はECM関連(ルミカン、コラーゲン1a1〜2および5a1、フィブリン2、テトラネクチン、マトリックス糖タンパク質SC1/ECM2)であって、11C7処置後に下方調節された。2週間処置後には、変化倍率は1週間処置後よりも僅かに大きかった。最大変化の幾つかはリンパ球に発現するタンパク質をコードする転写物の下方調節に関するものであった。
遺伝子集合濃縮解析(GSEA)は、有意な豊富化を、1週間処置後に151経路で(表14);2週間処置後に116経路で(表15);確認した。最も有意に影響を受けた経路は、1週間後にはECM介在シグナル伝達、脂質代謝および成長因子恒常性であり;2週間処置後には、イオン輸送、成長因子恒常性およびmRNA転写終結であった。
純SV129マウス系統およびBL6マウス系統でのNogo−Aノックアウトと抗Nogo−A抗体処置とによって調和的に影響を受けるラット脊髄損傷モデルの経路および遺伝子群
Nogo−A(200kDa、1163aa)とNogoB(55kDa、357aa)とは、大きな787aaエクソン(エクソン3)が挿入されている点が異なっている。Nogo−Aノックアウトマウスは、Simonen et al. (2003)が記載する相同的組み換えによって作製した。キメラNogo−Aノックアウトマウスは、Sv129マウスまたはBL/6マウスのどちらかに少なくとも10世代にわたって戻し交配した。戻し交配の間はスピード共通遺伝子系統マーカー分析(Markel et al., 1997)を使用した。スピード共通遺伝子増殖またはマーカー支援共通遺伝子繁殖には、マイクロサテライトマーカーを用いて各株の染色体区分の遺伝的形質を追跡する。最適な増殖マウスは各株についてマーカーの最高レベルによって選択する。今回の研究に使用したマウスは、マーカープロファイルによれば100%純のC57BL/6バックグラウンドおよび>99%純の129×1/SvJ株のバックグラウンドを持つ。
Nogo−A(200kDa、1163aa)とNogoB(55kDa、357aa)とは、大きな787aaエクソン(エクソン3)が挿入されている点が異なっている。Nogo−Aノックアウトマウスは、Simonen et al. (2003)が記載する相同的組み換えによって作製した。キメラNogo−Aノックアウトマウスは、Sv129マウスまたはBL/6マウスのどちらかに少なくとも10世代にわたって戻し交配した。戻し交配の間はスピード共通遺伝子系統マーカー分析(Markel et al., 1997)を使用した。スピード共通遺伝子増殖またはマーカー支援共通遺伝子繁殖には、マイクロサテライトマーカーを用いて各株の染色体区分の遺伝的形質を追跡する。最適な増殖マウスは各株についてマーカーの最高レベルによって選択する。今回の研究に使用したマウスは、マーカープロファイルによれば100%純のC57BL/6バックグラウンドおよび>99%純の129×1/SvJ株のバックグラウンドを持つ。
株型および遺伝子型当り3匹の未処置、非損傷、野生型、ノックアウト雄性マウス(3月齢)から腰部脊髄を採取し、直ちに液体窒素で凍結した。損傷マイクロアレイ実験のために、各遺伝子型および株型の雌性マウス(6〜7週齢)5匹の脊髄を虹彩手術用の小型の鋏で損傷させ、背面および背部側部後索および背角に両側性損傷を作製した。損傷の6日後、オープンフィールド運動のためのバッソマウススケール運動分析を行い、各カテゴリー当り5匹中最も類似するスコアを持つ4匹のマウスを選択してマイクロアレイ分析を行った。損傷の1週間後、損傷部位を中央に持つ脊髄1cmを採取し、直ちに液体窒素で凍結した。プローブ製作はAffymetrix(Santa Clara, CA)GeneChip分析マニュアルに記載の操作に従った。ビオチン化したcRNAをAffymetrix fluidics station 450を用いてプローブセット>45000を示すAffymetrix Mouse Genome 430 2.0アレイとハイブリッドを形成させ、そのチップをAffymetrix Scanner 3000でスキャンした。各チップを用いて単一の動物から採取した脊髄検体1個から分離したcRNA合計28検体とハイブリダイゼーションさせた。次に結果をAffymetrix Microarray Suite 5およびそれに続いてGenespring 7.2(Silicon Genetics, Redwood City, CA)を用いて分析した。
脊髄損傷後1週間の損傷動物および非損傷動物の未処置およびノックアウト脊髄を持つSv129およびBL/6マウスの脊髄で異なって発現する遺伝子を確認するために、プレゼントコールのために前置限定をした後に統計的フィルター(ANOVA、p<0.05)および変化倍率の閾値(>1.2/<0.66または>2/<0.5)を適用した。
ノックアウトしたSv129マウスおよびBL/6マウスおよびラットSCIモデルでの脊髄損傷後1週間に共通な影響を受ける経路および遺伝子群を、ノックアウト動物と未処置動物との間;およびラットSCIモデルでは対照(IgG)処置動物と11C7抗Nogo−A抗体処置動物との間での双方向比較で確認した異なって発現する遺伝子を比較して確認した。
共通に影響を受けた遺伝子群を113群確認した。これを表24に示す。
ノックアウトしたSv129マウスおよびBL/6マウスおよびラットSCIモデルでの脊髄損傷後1週間に共通な影響を受ける経路および遺伝子群を、ノックアウト動物と未処置動物との間;およびラットSCIモデルでは対照(IgG)処置動物と11C7抗Nogo−A抗体処置動物との間での双方向比較で確認した異なって発現する遺伝子を比較して確認した。
共通に影響を受けた遺伝子群を113群確認した。これを表24に示す。
データの統合。
前記のデータはさらに、2Dゲルおよび/または同位元素でコードした親和性タグ(ICAT)によって確認した。
Nogo−Aの阻害または下方調節の後に起きる調節の変動に最も重要と考えられる遺伝子のリストを表25に示す。
前記のデータはさらに、2Dゲルおよび/または同位元素でコードした親和性タグ(ICAT)によって確認した。
Nogo−Aの阻害または下方調節の後に起きる調節の変動に最も重要と考えられる遺伝子のリストを表25に示す。
均等
本発明は、本発明の各側面の一例示であることが意図されている本明細書に記載の特定態様の語句によっては、限定されるものではない。本発明の多数の修飾および変化は、当業者に明白になる筈の本発明の趣旨および範囲から離脱せずに施すことができる。本明細書に列挙したものに加えて、本発明の範囲内の機能的に均等な方法および装置は、前記の記載から当業者には明らかになる。そのような修飾および変化は付記する請求項の範囲内とすることが意図されている。本発明は、付記する請求項の語句に加えて、各請求項が権利を与えられる均等範囲の全てによってのみ限定されるべきものである。
本発明は、本発明の各側面の一例示であることが意図されている本明細書に記載の特定態様の語句によっては、限定されるものではない。本発明の多数の修飾および変化は、当業者に明白になる筈の本発明の趣旨および範囲から離脱せずに施すことができる。本明細書に列挙したものに加えて、本発明の範囲内の機能的に均等な方法および装置は、前記の記載から当業者には明らかになる。そのような修飾および変化は付記する請求項の範囲内とすることが意図されている。本発明は、付記する請求項の語句に加えて、各請求項が権利を与えられる均等範囲の全てによってのみ限定されるべきものである。
Claims (13)
- 抗Nogo−A抗体を含む薬剤に対する対象の応答を予測する方法であって、抗Nogo−A抗体を含む該薬剤の投与前および後に表25に記載の遺伝子の少なくとも1種の発現を評価し、そして抗Nogo−A抗体を含む該薬剤の投与後の表25に記載の遺伝子の少なくとも1種の発現と抗Nogo−A抗体を含む該薬剤の投与前のその遺伝子の発現とを比較することを含む、方法。
- 抗Nogo−A抗体を含む薬剤の投与後の表25に記載の遺伝子の少なくとも1種の発現と抗Nogo−A抗体を含む薬剤の投与前のその遺伝子の発現とを比較して、調節不全が存在することが、抗Nogo−A抗体を含む薬剤の投与に対する陽性応答者(レスポンダー)の指標である、請求項1に記載の方法。
- 抗Nogo−A抗体を含む薬剤の投与後の表25に記載の遺伝子の少なくとも1種の発現と抗Nogo−A抗体を含む薬剤の投与前のその遺伝子の発現を比較して、調節不全が存在しないことが、抗Nogo−A抗体を含む薬剤の投与に対する不応答者(ノンレスポンダー)の指標である、請求項1に記載の方法。
- 抗Nogo−A抗体を含む薬剤を投与後の表25に記載の遺伝子の少なくとも1種の発現の調節不全が、抗Nogo−A抗体を含む該薬剤を投与前の該遺伝子の発現と比較して1.2倍に等しいかそれよりも大きく、統計的に有意な(p<0.05、スチューデントのt検定)発現の変化である、請求項2または3に記載の方法。
- 接着遺伝子群、細胞骨格遺伝子群、およびシグナル伝達遺伝子群の各群の遺伝子の少なくとも1種の発現を評価し、ここで、該接着遺伝子の群がカドヘリン11、カドヘリン2、カドヘリン8、カドヘリン22、Eph受容体A3、Eph受容体A4、エフリンA3、エフリンB2、Eph受容体B2、セマホリン4A、セマホリン4D、セマホリン4F、セマホリン6A、セマホリン6B、セマF細胞質ドメイン関連タンパク質3およびプレキシンB2からなり;該細胞骨格遺伝子の群がキャッピング・タンパク質(アクチン繊維)ゲルソリン様、カゼインキナーゼ1δ、セントラクチン、ゲルソリン、微小管関連タンパク質τ、およびニューロフィラメント68からなり;そして該シグナル伝達遺伝子がRho−GDP−解離阻害剤1、ジヒドロピリミジナーゼ関連タンパク質2、ジヒドロピリミジナーゼ関連タンパク質1、ジヒドロピリミジナーゼ関連タンパク質5からなる、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
- 表25に記載の遺伝子全ての発現を評価する、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
- 抗Nogo−A抗体を含む薬剤の投与後の表25に記載の遺伝子の少なくとも1種の発現と抗Nogo−A抗体を含む薬剤の投与前のその遺伝子の発現とを比較して、その調節不全が、中枢神経系再生を示す指標である、請求項1に記載の方法。
- インビトロで行う、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
- 患者集団を請求項1〜8のいずれかに記載の方法で選択する、患者集団の中枢神経系損傷を処置するための薬剤の製造における抗Nogo−A抗体の使用。
- 抗Nogo−A抗体がアミノ酸342〜357のヒトNogo−A断片のエピトープに結合する完全なヒトのモノクローナル抗体(IgG4/κ)である、請求項9に記載の使用。
- 対象の中枢神経系損傷を処置する方法であって:
(a)中枢神経系損傷の対象に抗Nogo−A抗体を投与する工程;
(b)請求項1〜8のいずれかに記載の方法に従って対象の遺伝子発現パターンを決定する工程;および
(c)次のいずれかの工程:
(i)バイオマーカーの遺伝子発現が中枢神経系再生を示すとき、抗Nogo−A抗体療法を継続する工程;または
(ii)バイオマーカーの遺伝子発現が中枢神経系再生を示さないとき、抗Nogo−A抗体療法を中止するか、または低減する工程;
を含む、方法。 - 対象の中枢神経系再生を診断する方法であって:
(a)抗Nogo−A抗体を対象に投与する工程;
(b)請求項1〜8のいずれかに記載の方法に従って対象の遺伝子発現パターンを決定する工程;および
(c)バイオマーカーの遺伝子発現が中枢神経系再生を示すかどうかを決定する工程;
を含む、方法。 - 各々表25の遺伝子の1種の発現を特異的に検出することができる少なくとも2種のプローブを含有し、その少なくとも2種のプローブは同じ遺伝子の発現を検出しないものである、請求項1〜12のいずれかに記載の方法を行うためのキット。
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
US73741005P | 2005-11-16 | 2005-11-16 | |
PCT/EP2006/068457 WO2007057395A2 (en) | 2005-11-16 | 2006-11-14 | Biomarkers for anti-nogo-a antibody treatment in spinal cord injury |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2009515542A true JP2009515542A (ja) | 2009-04-16 |
Family
ID=37671369
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2008540606A Withdrawn JP2009515542A (ja) | 2005-11-16 | 2006-11-14 | 脊髄損傷における抗Nogo−A抗体処置のためのバイオマーカー |
Country Status (12)
Country | Link |
---|---|
US (1) | US20080317741A1 (ja) |
EP (2) | EP2299267A3 (ja) |
JP (1) | JP2009515542A (ja) |
KR (1) | KR20080073748A (ja) |
CN (1) | CN101310183A (ja) |
AU (1) | AU2006314528A1 (ja) |
BR (1) | BRPI0618609A2 (ja) |
CA (1) | CA2627966A1 (ja) |
MX (1) | MX2008006355A (ja) |
NO (1) | NO20082410L (ja) |
RU (1) | RU2008123384A (ja) |
WO (1) | WO2007057395A2 (ja) |
Families Citing this family (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP3320920A1 (en) * | 2009-05-08 | 2018-05-16 | Vaccinex, Inc. | Anti-cd100 antibodies and methods for using the same |
WO2012004773A1 (en) * | 2010-07-09 | 2012-01-12 | Universite De Geneve | New uses of nogo-a inhibitors and related methods |
US10208349B2 (en) | 2011-01-07 | 2019-02-19 | Ucb Biopharma Sprl | Lipocalin 2 as a biomarker for IL-17 inhibitor therapy efficacy |
ES2669209T3 (es) | 2011-10-11 | 2018-05-24 | Vaccinex, Inc. | Uso de moléculas de unión a semaforina-4D para la modulación de la permeabilidad de la barrera hematoencefálica |
KR101446514B1 (ko) * | 2012-12-07 | 2014-10-06 | 한국과학기술연구원 | 생체 이식형 신경교상흔 감지 센서 |
CN112798698B (zh) * | 2020-11-30 | 2022-08-23 | 潍坊学院 | 一种基于主成分差异度挑选生物标志物的油指纹识别方法 |
CN114409779B (zh) * | 2022-01-27 | 2023-06-09 | 天津长和生物技术有限公司 | NogoA抗体及其在脊髓损伤中的应用 |
Family Cites Families (51)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE2540505A1 (de) | 1975-09-11 | 1977-03-24 | Leybold Heraeus Gmbh & Co Kg | Flugzeit-massenspektrometer fuer ionen mit unterschiedlichen energien |
US4376110A (en) | 1980-08-04 | 1983-03-08 | Hybritech, Incorporated | Immunometric assays using monoclonal antibodies |
DE3172252D1 (en) | 1980-11-14 | 1985-10-17 | Ici Plc | Heterocyclic compounds |
US4965188A (en) | 1986-08-22 | 1990-10-23 | Cetus Corporation | Process for amplifying, detecting, and/or cloning nucleic acid sequences using a thermostable enzyme |
DE3517667A1 (de) | 1985-05-15 | 1986-11-20 | Max-Planck-Gesellschaft zur Förderung der Wissenschaften e.V., 3400 Göttingen | Laser-massenspektrometer |
US4694167A (en) | 1985-11-27 | 1987-09-15 | Atom Sciences, Inc. | Double pulsed time-of-flight mass spectrometer |
US4946778A (en) | 1987-09-21 | 1990-08-07 | Genex Corporation | Single polypeptide chain binding molecules |
US5202231A (en) | 1987-04-01 | 1993-04-13 | Drmanac Radoje T | Method of sequencing of genomes by hybridization of oligonucleotide probes |
US5525464A (en) | 1987-04-01 | 1996-06-11 | Hyseq, Inc. | Method of sequencing by hybridization of oligonucleotide probes |
US4843155A (en) | 1987-11-19 | 1989-06-27 | Piotr Chomczynski | Product and process for isolating RNA |
DE68908054T2 (de) | 1988-01-21 | 1994-03-10 | Genentech Inc | Verstärkung und nachweis von nukleinsäuresequenzen. |
CA1340807C (en) | 1988-02-24 | 1999-11-02 | Lawrence T. Malek | Nucleic acid amplification process |
DE3809504C1 (ja) | 1988-03-22 | 1989-09-21 | Bruker - Franzen Analytik Gmbh, 2800 Bremen, De | |
US5130238A (en) | 1988-06-24 | 1992-07-14 | Cangene Corporation | Enhanced nucleic acid amplification process |
WO1990001069A1 (en) | 1988-07-20 | 1990-02-08 | Segev Diagnostics, Inc. | Process for amplifying and detecting nucleic acid sequences |
KR100196540B1 (ko) * | 1988-11-04 | 1999-06-15 | 마틴 이. 샤브 | 축색성장 조절인자 |
US5530101A (en) | 1988-12-28 | 1996-06-25 | Protein Design Labs, Inc. | Humanized immunoglobulins |
WO1990014148A1 (en) | 1989-05-19 | 1990-11-29 | Fenn John B | Multiply charged ions and a method for determining the molecular weight of large molecules |
US5800992A (en) | 1989-06-07 | 1998-09-01 | Fodor; Stephen P.A. | Method of detecting nucleic acids |
US5744101A (en) | 1989-06-07 | 1998-04-28 | Affymax Technologies N.V. | Photolabile nucleoside protecting groups |
US5143854A (en) | 1989-06-07 | 1992-09-01 | Affymax Technologies N.V. | Large scale photolithographic solid phase synthesis of polypeptides and receptor binding screening thereof |
US5045694A (en) | 1989-09-27 | 1991-09-03 | The Rockefeller University | Instrument and method for the laser desorption of ions in mass spectrometry |
US5410068A (en) | 1989-10-23 | 1995-04-25 | Perseptive Biosystems, Inc. | Succinimidyl trityl compounds and a process for preparing same |
US5770429A (en) | 1990-08-29 | 1998-06-23 | Genpharm International, Inc. | Transgenic non-human animals capable of producing heterologous antibodies |
US5633425A (en) | 1990-08-29 | 1997-05-27 | Genpharm International, Inc. | Transgenic non-human animals capable of producing heterologous antibodies |
US5625126A (en) | 1990-08-29 | 1997-04-29 | Genpharm International, Inc. | Transgenic non-human animals for producing heterologous antibodies |
US5661016A (en) | 1990-08-29 | 1997-08-26 | Genpharm International Inc. | Transgenic non-human animals capable of producing heterologous antibodies of various isotypes |
US5789650A (en) | 1990-08-29 | 1998-08-04 | Genpharm International, Inc. | Transgenic non-human animals for producing heterologous antibodies |
ATE158021T1 (de) | 1990-08-29 | 1997-09-15 | Genpharm Int | Produktion und nützung nicht-menschliche transgentiere zur produktion heterologe antikörper |
US5198531A (en) | 1991-06-14 | 1993-03-30 | Research Diagnostic Antibodies | Polymeric resin for peptide synthesis |
US5169766A (en) | 1991-06-14 | 1992-12-08 | Life Technologies, Inc. | Amplification of nucleic acid molecules |
EP0969102B1 (en) | 1991-09-24 | 2007-12-26 | Keygene N.V. | Primers, kits and sets of restriction fragments used in selective restriction fragment amplification |
US5932448A (en) | 1991-11-29 | 1999-08-03 | Protein Design Labs., Inc. | Bispecific antibody heterodimers |
US5792664A (en) | 1992-05-29 | 1998-08-11 | The Rockefeller University | Methods for producing and analyzing biopolymer ladders |
WO1993024834A1 (en) | 1992-05-29 | 1993-12-09 | The Rockefeller University | Method and product for the sequence determination of peptides using a mass spectrometer |
PT700521E (pt) | 1993-05-28 | 2003-10-31 | Baylor College Medicine | Metodo e espectrometro de massa para dessorcao e ionizacao de analitos |
US6020208A (en) | 1994-05-27 | 2000-02-01 | Baylor College Of Medicine | Systems for surface-enhanced affinity capture for desorption and detection of analytes |
EP0730663B1 (en) | 1993-10-26 | 2003-09-24 | Affymetrix, Inc. | Arrays of nucleic acid probes on biological chips |
US5612474A (en) | 1994-06-30 | 1997-03-18 | Eli Lilly And Company | Acid labile immunoconjugate intermediates |
US5795716A (en) | 1994-10-21 | 1998-08-18 | Chee; Mark S. | Computer-aided visualization and analysis system for sequence evaluation |
US5625184A (en) | 1995-05-19 | 1997-04-29 | Perseptive Biosystems, Inc. | Time-of-flight mass spectrometry analysis of biomolecules |
US5654545A (en) | 1995-09-19 | 1997-08-05 | Bruker-Franzen Analytik Gmbh | Mass resolution in time-of-flight mass spectrometers with reflectors |
US5854033A (en) | 1995-11-21 | 1998-12-29 | Yale University | Rolling circle replication reporter systems |
US5742049A (en) | 1995-12-21 | 1998-04-21 | Bruker-Franzen Analytik Gmbh | Method of improving mass resolution in time-of-flight mass spectrometry |
US5641959A (en) | 1995-12-21 | 1997-06-24 | Bruker-Franzen Analytik Gmbh | Method for improved mass resolution with a TOF-LD source |
US5777325A (en) | 1996-05-06 | 1998-07-07 | Hewlett-Packard Company | Device for time lag focusing time-of-flight mass spectrometry |
DE19782095T1 (de) | 1996-11-06 | 2000-03-23 | Sequenom Inc | DNA-Diagnose auf der Basis von Massenspektrometrie |
US6207370B1 (en) | 1997-09-02 | 2001-03-27 | Sequenom, Inc. | Diagnostics based on mass spectrometric detection of translated target polypeptides |
JP2002522016A (ja) | 1998-07-22 | 2002-07-23 | スミスクライン・ビーチャム・パブリック・リミテッド・カンパニー | 神経内分泌特異的タンパク質に類似したタンパク質、およびそれをコードするcDNA |
IL142989A0 (en) | 1998-11-06 | 2002-04-21 | Nucleotide and protein sequences of nogo genes and methods based thereon | |
AU2002329570A1 (en) * | 2001-10-12 | 2003-01-30 | Pfizer Products Inc. | Method of monitoring neuroprotective treatment |
-
2006
- 2006-11-14 AU AU2006314528A patent/AU2006314528A1/en not_active Abandoned
- 2006-11-14 CA CA002627966A patent/CA2627966A1/en not_active Abandoned
- 2006-11-14 EP EP10176130A patent/EP2299267A3/en not_active Withdrawn
- 2006-11-14 MX MX2008006355A patent/MX2008006355A/es not_active Application Discontinuation
- 2006-11-14 BR BRPI0618609-2A patent/BRPI0618609A2/pt not_active IP Right Cessation
- 2006-11-14 KR KR1020087014422A patent/KR20080073748A/ko not_active Application Discontinuation
- 2006-11-14 EP EP06829992A patent/EP1952147A2/en not_active Withdrawn
- 2006-11-14 RU RU2008123384/15A patent/RU2008123384A/ru not_active Application Discontinuation
- 2006-11-14 JP JP2008540606A patent/JP2009515542A/ja not_active Withdrawn
- 2006-11-14 CN CNA2006800426084A patent/CN101310183A/zh active Pending
- 2006-11-14 US US12/093,668 patent/US20080317741A1/en not_active Abandoned
- 2006-11-14 WO PCT/EP2006/068457 patent/WO2007057395A2/en active Application Filing
-
2008
- 2008-05-28 NO NO20082410A patent/NO20082410L/no not_active Application Discontinuation
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
MX2008006355A (es) | 2008-10-17 |
RU2008123384A (ru) | 2009-12-27 |
WO2007057395A3 (en) | 2007-11-08 |
NO20082410L (no) | 2008-07-22 |
CN101310183A (zh) | 2008-11-19 |
WO2007057395A2 (en) | 2007-05-24 |
US20080317741A1 (en) | 2008-12-25 |
EP1952147A2 (en) | 2008-08-06 |
BRPI0618609A2 (pt) | 2011-09-06 |
CA2627966A1 (en) | 2007-05-24 |
KR20080073748A (ko) | 2008-08-11 |
EP2299267A3 (en) | 2011-05-04 |
AU2006314528A1 (en) | 2007-05-24 |
EP2299267A2 (en) | 2011-03-23 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
EP2260301B1 (en) | Gene signatures | |
US20100255485A1 (en) | Biomarkers for the onset of neurodegenerative diseases | |
KR20090019848A (ko) | 알쯔하이머 병의 진행에 대한 생체마커 | |
JP2011521630A (ja) | ゲノミクスまたはプロテオミクス発現プロファイリングを用いて腎同種移植の拒絶反応を診断する方法 | |
Kreft et al. | Abundant kif21b is associated with accelerated progression in neurodegenerative diseases | |
JP2009515542A (ja) | 脊髄損傷における抗Nogo−A抗体処置のためのバイオマーカー | |
JP2008538177A (ja) | 2型糖尿病の遺伝薬理学的診断のためのバイオマーカー | |
JP2010501186A (ja) | アルツハイマー病の進行に関するバイオマーカー | |
US20200399703A1 (en) | Diagnostic and therapeutic methods for the treatment of rheumatoid arthritis (ra) | |
US20240110927A1 (en) | End stage renal disease biomarker panel | |
US20090286238A1 (en) | Methods to Monitor, Diagnose and Identify Biomarkers for Psychotic Disorders | |
Vélez et al. | Mutations modifying sporadic Alzheimer's disease age of onset | |
EP4306657A1 (en) | Composition for diagnosing pancreatic cancer | |
EP2006687A1 (en) | Method of testing a subject thought to have or be predisposed to having asthma, allergie, atopic disease or atopic sensitization | |
KR20080005926A (ko) | 항고혈압제로서 알리스키렌의 효능에 대한 바이오마커 | |
US20240142456A1 (en) | Composition for diagnosing pancreatic cancer | |
US20150218242A1 (en) | TIF1-Gamma for Treating and Diagnosing Inflammatory Diseases | |
Lopera Restrepo et al. | Mutations modifying sporadic Alzheimer's disease age of onset | |
WO2021119504A2 (en) | Materials and methods for monitoring inflammation |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20091112 |
|
A761 | Written withdrawal of application |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761 Effective date: 20110727 |