JP2010501186A - アルツハイマー病の進行に関するバイオマーカー - Google Patents

アルツハイマー病の進行に関するバイオマーカー Download PDF

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Abstract

本発明は一般的にインビトロでの組織試料の分析試験、およびさらに特に軽度認知機能障害から認知症、例えばアルツハイマー病(AD)への転換に関連する遺伝子多型の態様に関する。本発明は認知症、例えばアルツハイマー病の診断、予後診断または治療的処置に有用であるAD関連変異を提供する。

Description

本発明は一般的にインビトロでの組織試料の分析試験、およびさらに特に認知症、例えばアルツハイマー病の診断、予後診断または予防的/治療的処置に有用な遺伝子多型の態様に関する。
疾患の診断および処置に対する従来の医学的研究法は臨床データのみに基づくか、または診断試験と組み合わせて行われる。かかる伝統的な実践は、しばしば個々の対象について処方された薬物治療の有効性に関して、または副作用の可能性を最小にするために最適ではない治療的選択に至る。治療特定診断(別名テラノスティクス)は新興の医学テクノロジー分野であり、それは疾患を診断し、正確な処置計画を選択し、そして対象の応答をモニタリングするのに有用な試験を提供する。つまりテラノスティクスは個々の対象における薬物応答を予測および評価するために、すなわち個別化医療に有用である。テラノスティクス試験はまた遅延を最小限に抑えて処置を改変することができるように、特に個々の対象において処置から利益を享受するか、または処置の有効性の早期のおよび客観的な指標を提供する可能性のある、処置のための対象を選択するために有用である。
具体的な薬物に対する応答と個々の患者の遺伝子プロフィールの間の相関性を確立する薬理遺伝学の進歩は、新しいテラノスティクス研究法の開発の基本である。そのように遺伝子配列および遺伝子発現における患者間の変化を評価することが当分野では必要とされている。遺伝子プロファイリングの一般的な形態は個々の薬物応答における患者間の変化に至る遺伝子変異の一つの型である一塩基多型(「SNP」)と称されるDNA配列変化の同定に頼る。その結果SNPのような遺伝子変異を同定および特徴付けすることが当分野では必要になり、それは薬物応答性、副作用または最適用量に関連する対象の遺伝子型を同定するのに有用である。
認知症は日常の活動を実施するヒトの能力に深刻な影響を及ぼす脳障害である。高齢者の認知症の最も一般的な形態はアルツハイマー病(AD)であり、それは最初に思考、記憶および言語を制御する脳の部分に関与する。450万人ものアメリカ人がADを患うと概算される。この数字は人口の高齢化に伴い2050年までに4倍になると予期される。その疾患は通常60歳を過ぎて始まり、そして危険性は年齢と共に高まる。若齢者もまたADに罹り得るが、それはさほど一般的ではない。年齢65歳から74歳の男性および女性の約5パーセントがADを有し、そして85歳以上のほぼ半数がその疾患を有し得る。ADは加齢の正常な一面ではない。ADの原因(複数もある)は完全には分かっておらず、そして治癒しない。疾患の早期および中期段階にあるヒトではタクリン(Cognex)、ドネペジル(Aricept)、リバスチグミン(Exelon)またはガランタミン(Razadyne、以前はReminylとして公知)のような薬物の投与でAD病徴の進行は一時的に遅延し得る。
軽度認知機能障害(MCI)は正常な加齢の認知変化とアルツハイマー病により引き起こされるさらに深刻な問題との間の移行期である。MCIはADおよび正常の加齢による記憶変化の双方と異なる。MCIのヒトは進行中の記憶の問題を有するが、錯乱、注意力の問題および言語の困難のようなその他の喪失は経験しない。しかしながらMCIはアルツハイマー病に進行し得る。したがって認知症、例えばアルツハイマー病の発症および/または進行に関連する対象の遺伝子型を同定するのに有用である遺伝子変異を同定および特徴付けすることが当分野では必要である。
発明の要旨
本発明は認知症、例えばアルツハイマー病の発症および/または進行に関連する対象の遺伝子型を同定するためのバイオマーカーとして有用である新規遺伝子変異(すなわち「AD関連変異」)を提供する。本発明は選択された患者集団において毒性が低減されたか、または効果が増大した、アルツハイマー病の処置のための医薬品の製造におけるNovartis化合物、リバスチグミン(Exelon)の使用を提供し、ここで患者集団は本発明の少なくとも一個の遺伝子変異の存在に基づいて選択される。
本発明はまた対象においてアルツハイマー病を処置する方法をも提供する。対象の遺伝子型またはハプロタイプは:AK5;BAI3;BBX;C18orf20;C5orf3;CACNA2D1;CCDC2;CD47;CNTNAP5;GRIA1;LAMA3;LOC131368;LRRC19;MGC27434;NFKBIZ;PIK3C3;SLC1A3;SPAG16;ST3GAL3;TEK;およびTNFSF11からなる群から選択される少なくとも一個の遺伝子の一個または複数の遺伝子座で入手され、そのために遺伝子型および/またはハプロタイプはアルツハイマー病の薬物に応答する傾向を示す。次いで例えばタクリン;ドネペジル;リバスチグミン;ガランタミン;またはAD関連変異調節薬を含み、これに限定されない抗アルツハイマー病治療が対象に投与される。
本発明は、本発明のアルツハイマー病関連変異が予測される障害を有する対象を同定するための方法を提供する。対象の遺伝子型またはハプロタイプは:AK5;BAI3;BBX;C18orf20;C5orf3;CACNA2D1;CCDC2;CD47;CNTNAP5;GRIA1;LAMA3;LOC131368;LRRC19;MGC27434;NFKBIZ;PIK3C3;SLC1A3;SPAG16;ST3GAL3;TEK;およびTNFSF11からなる群から選択される少なくとも一個の遺伝子の一個または複数の遺伝子座で入手され、そしてアルツハイマー病関連変異が予測される障害を有する傾向を有するとして対象を同定するために本発明の変異の存在を決定するために評価される。アルツハイマー病関連変異が予測する障害はアルツハイマー病であり得る。
本発明は:AK5;BAI3;BBX;C18orf20;C5orf3;CACNA2D1;CCDC2;CD47;CNTNAP5;GRIA1;LAMA3;LOC131368;LRRC19;MGC27434;NFKBIZ;PIK3C3;SLC1A3;SPAG16;ST3GAL3;TEK;およびTNFSF11からなる群から選択される少なくとも一個の遺伝子の一個または複数の遺伝子座で対象の遺伝子型および/またはハプロタイプを調べて、そして次に(i)対象により遺伝子型がアルツハイマー病に対する傾向を示す場合、対象を研究に含めること;(ii)対象により遺伝子型がアルツハイマー病に対する傾向を示さない場合、対象を研究から排除すること;または(iii)(i)および(ii)の双方;により処置の開始の前に治療薬または治験薬の研究に対象を含めるべきであることを決定するための方法を提供する。
本発明は:AK5;BAI3;BBX;C18orf20;C5orf3;CACNA2D1;CCDC2;CD47;CNTNAP5;GRIA1;LAMA3;LOC131368;LRRC19;MGC27434;NFKBIZ;PIK3C3;SLC1A3;SPAG16;ST3GAL3;TEK;およびTNFSF11からなる群から選択される少なくとも一個の遺伝子の一個または複数の遺伝子座で対象の遺伝子型またはハプロタイプを入手し、そして次に、対象を障害の処置に応答するとして同定するために本発明の変異または多型の存在を決定するために遺伝子型および/またはハプロタイプを評価することにより、障害を有する対象の処置に対する応答性を決定するための方法を提供し、ここで変異または多型の存在は、障害の処置に応答する個体を示す。
本発明は:AK5;BAI3;BBX;C18orf20;C5orf3;CACNA2D1;CCDC2;CD47;CNTNAP5;GRIA1;LAMA3;LOC131368;LRRC19;MGC27434;NFKBIZ;PIK3C3;SLC1A3;SPAG16;ST3GAL3;TEK;およびTNFSF1からなる群から選択される少なくとも一個の遺伝子の一個または複数の遺伝子座で対象の遺伝子型またはハプロタイプ(すなわち「本発明の本発明の遺伝子型またはハプロタイプ」)を入手し;そして次に対象を処置されたときに毒性を発達させるであろう対象として同定するために、本発明の変異または多型の存在を決定するために遺伝子型および/またはハプロタイプを評価することにより化合物で処置されたときに対象が毒性を発達させるであろうことを処置の前に決定する方法を提供し、ここで変異または多型の存在は対象が処置されたときに毒性を発達させるであろうことを示す。
本発明はさらに:(a)治療薬または治験薬で処置されている個体に関して化合物を中止すべき場合の決定における使用;(b)個体が毒性を発達させるであろうことの決定における使用;(c)化合物で処置される場合に個体が毒性を発達させていることの決定における使用;および(d)化合物で処置された場合に個体が毒性を発達させるであろうし、そしてその化合物の研究に含めるべきではないことの決定における使用;のための試験キットを提供する。キットは結果を解釈するための説明書と共に、体液を接触させるのに適当な容器中に本発明の変異を含む配列を有する遺伝子によりコードされるポリヌクレオチドまたはポリペプチドを検出するための試薬を含む。
本発明は:(a)対象からの第1の被験生物学的試料を提供すること;(b)第1の被験生物学的試料よりも後に対象からの第2の被験生物学的試料を提供すること;(c)本発明の変異を含む配列を有する遺伝子によりコードされるポリヌクレオチドまたはポリペプチドを検出するための試薬と被験生物学的試料を接触させること;(d)被験生物学的試料中のポリペプチドまたはポリヌクレオチドの発現のレベルを決定すること;および(e)第1の被験生物学的試料中のポリヌクレオチドのレベルまたはポリペプチドレベルを第2の被験生物学的試料中のポリヌクレオチドまたはポリペプチドのレベルと比較すること、ここで第1の被験生物学的試料中のポリヌクレオチドまたはポリペプチドのレベルと相対して、第2の被験生物学的試料中のポリヌクレオチドまたはポリペプチドのレベルの上昇または低下は、化合物で処置されている対象における毒性の進行または発達を示す;により化合物で処置されている対象における毒性の進行または発達をモニタリングするための方法を提供する。
本発明は:(a)被験生物学的試料および標準参照試料を提供すること;(b)本発明の変異を含む配列を有する遺伝子によりコードされるポリヌクレオチドまたはポリペプチドを検出するための試薬と被験生物学的試料を接触させること;(c)被験生物学的試料中のポリペプチドまたはポリヌクレオチドの発現のレベルを決定すること;および(d)被験生物学的試料中のポリヌクレオチドまたはポリペプチドレベルを標準参照試料中のポリヌクレオチドまたはポリペプチドのレベルと比較すること、ここでポリヌクレオチドまたはポリペプチドのレベルと、標準参照試料中のポリヌクレオチドまたはポリペプチドのレベルとの間の類似性は対象における毒性の発達を示し、そして化合物を中止すべきことを決定する;により化合物での処置の間または後に毒性を有する危険性のある対象において化合物での処置を中止すべき場合を決定するための方法を提供する。
本発明は:(a)第1と第2の集団の間で本発明の遺伝子型またはハプロタイプの各々の頻度を比較すること(ここで第1の集団は医学的症状を有する個体の群であり、そして第2の集団は医学的症状を欠く個体の群である);および(b)医学的症状を処置するための化合物を続行するかどうかを決定すること(ここで第1の集団において第2の集団での頻度とは統計的に有意なレベルで異なる頻度で少なくとも一個のハプロタイプが存在するならば、化合物を続行することが決定され、そして第1と第2の集団との間で統計的に有意なレベルで異なる頻度でハプロタイプが認められないならば、化合物を続行しないことが決定される)によりアルツハイマー病またはMCIに関連すると予測される医学的症状を処置するための候補標的として化合物を検証するための方法を提供する。
本発明はまた:(a)中央処理装置(CPU);(b)通信用インターフェース;(c)ディスプレイ装置;(d)入力装置;および(e)多型データを含有するデータベース(ここで多型データは本発明のハプロタイプを含む);で遺伝子に関する多型データを保存および分析するためのコンピューターシステムをも提供する。
本発明の詳細な説明
軽度認知機能障害すなわちMCIは認知の多くの場所に影響し、そして二個の広義のサブタイプに分割され得る。一方のサブタイプは健忘性MCIであり、記憶に有意に影響する。他方の型は非健忘性MCIであり、記憶に影響しない。言語、注意力および視空間技能のようなその他の機能はいずれの型でも損なわれ得る。MCIの正確な罹患率は65歳を過ぎた非認知症集団の20パーセントにも上ると推定されている。しかしながらこれらの症例の約3分の1はアルツハイマー病に繋がっている健忘性変化を有する。健忘性(記憶関連)MCIは年間10パーセントから15パーセントの率でアルツハイマー病に転換する。
本発明は新規遺伝子変異(すなわち「AD関連変異」)を提供し、それは認知症、例えばアルツハイマー病の発症および/または進行に関連する対象の遺伝子型を同定するのに有用である。具体的には、InDDex(ENA713B IA07)臨床試験からの420個の患者試料をAffymetrix 100K遺伝子型決定プラットフォームを用いて遺伝子型を決定し、そして単点および推測されるハプロタイプブロックで、Haploviewのケースコントロール試験を用いて全ゲノム関連解析を実施した(Barrett et al., Bioinformatics 21:263−265(2005))。(一般的には実施例1を参照のこと)。結果の表現型はMCIからADへの転換または非転換であった。
本発明は25個のAD関連変異(例えばMUT−1からMUT−25)を提供し、それを以下の表1に要約する。表1のAD関連変異は以前はADに関連していなかったが、それらのうちのいくつかは本疾患に関連している経路にある。本発明のAD関連変異は認知症、例えばアルツハイマー病の診断、予後診断または治療的処置に有用である。一つの態様では、本発明のAD関連変異はADの診断/予測マーカーとして有用である。別の態様では、本発明のAD関連変異はADの予防または処置に有用な薬剤に関する標的として有用である。
Figure 2010501186
Figure 2010501186
本発明の実質的な理解を提供するために、本発明の特定の態様、様式、態様、変化および特徴を種々のレベルの細部にわたって以下に記載する。一般的にかかる開示はそれを必要とする対象の診断および処置に有用なSNPを含む新しいAD関連変異を提供する。したがって本発明の種々の態様は本発明のAD関連変異をコードするポリヌクレオチド、本発明のAD関連変異体ポリペプチドをコードする発現ベクター、ならびに本発明のAD関連変異体ポリヌクレオチドおよび/またはAD関連変異体ポリペプチドを発現する生物に関する。本発明の種々の態様はさらに疾患にかかりやすい個体を同定するため、または薬物応答性、副作用もしくは最適な薬物用量に関して個体を分類するために本発明のAD関連変異を使用する診断/テラノスティクス方法およびキットに関する。その他の態様では本発明は、本発明のAD関連変異に関係するデータを保存および分析するための化合物バリデーションおよびコンピューターシステムのための方法を提供する。したがってこれらの態様を説明する種々の特定の態様は以下のとおりである。
定義
本明細書で用いられる特定の用語の定義を以下に提供する。その他の用語の定義を米国エネルギー省科学局ヒトゲノムプロジェクト(http://www.ornl.gov/sci/techresources/Human_Genome/glossary/)により提供される用語集に見出すことができる。本発明の実施において、分子生物学、微生物学および組換えDNAにおける多くの従来技術を用いる。これらの技術は周知であり、そして各々例えばCurrent Protocols in Molecular Biology, Vols. I−III, Ausubel, ed.(1997);Sambrook et al., Molecular Cloning:A Laboratory Manual, Second Edition(Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY, 1989);DNA Cloning:A Practical Approach, Vols. I and II, Glover D, ed.(1985);Oligonucleotide Synthesis, Gait, ed.(1984);Nucleic Acid Hybridization, Hames & Higgins, Eds.(1985);Transcription and Translation, Hames & Higgins, eds.(1984);Animal Cell Culture, Freshney, ed.(1986);Immobilized Cells and Enzymes(IRL Press, 1986);Perbal, A Practical Guide to Molecular Cloning;the series, Methods in Enzymol.(Academic Press, Inc., 1984);Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells, Miller and Calos, Eds.(Cold Spring Harbor Laboratory, NY, 1987);およびMethods in Enzymology, Vols. 154 and 155, Wu and Grossman, and Wu, Eds.に記載されている。
本明細書で使用される、「対立遺伝子」なる用語は具体的な染色体位置(遺伝子座)での遺伝子またはDNA配列の特定の形態を意味する。
本明細書で使用される「抗体」なる用語には、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、ヒト化またはキメラ抗体および、抗体フラグメントのタンパク質への結合に十分である生物学的に機能的な抗体フラグメントが含まれ、これに限定されない。
本明細書で使用される、「臨床応答」なる用語は以下のいずれかまたは全てを意味する:応答、無応答および有害な応答(すなわち副作用)の定量的測定値。
本明細書で使用される、「臨床試験」なる用語は特定の処置に対する応答に関する臨床データを収集するために設計された任意の調査研究を意味し、そして第I相、第II相および第III相臨床試験を含み、これに限定されない。標準的な方法を用いて患者集団を定義し、そして対象を登録する。
本明細書で使用される、化合物の「有効量」なる用語は望ましい治療的および/または予防的効果を達成するのに十分な分量であり、例えば処置されている疾患、例えば本明細書にて同定されるAD関連変異体ポリヌクレオチドおよび変異体ポリペプチドに関連する疾患に関連する症状の予防または軽減に至る量である。対象に投与される化合物の量は疾患の型および重篤度ならびに一般健康状態、年齢、性別、体重および薬物に対する耐用性のような個体の特徴に依存する。それは疾患の程度、重篤度および型にも依存する。当業者はこれらのおよびその他の因子に依存して適切な投薬量を決定することができる。典型的には治療的または予防的効果を達成するのに十分である本発明の化合物の有効量は約0.000001mg/kg体重/日から約10000mg/kg体重/日の範囲である。好ましくは、投薬量範囲は約0.0001mg/kg体重/日から約100mg/kg体重/日である。本発明の化合物を互いに、または1種以上の付加的治療用化合物と組み合わせて投与することもできる。
本明細書で使用される、「発現」には下記の一個以上が含まれるが、これに限定されない:遺伝子の前駆体mRNAへの転写;成熟mRNAを生成するための前駆体mRNAのスプライシングおよびその他のプロセシング;mRNA安定性;成熟mRNAのタンパク質への翻訳(コドン利用およびtRNA利用性を含む);ならびに適切な発現および機能に必要とされる場合、翻訳生成物のグリコシル化および/またはその他の修飾。
本明細書で使用される、「遺伝子」なる用語はプロモーター、エクソン、イントロン、および発現を制御するその他の未翻訳領域を含む、RNA生成物の調節された生合成のための情報を全て含有するDNAのセグメントを意味する。
本明細書で使用される、「遺伝子型」なる用語は個体における一対の相同染色体上の遺伝子座における一個以上の多型部位で見出されるヌクレオチド対の非位相化(unphased)5’−3’配列を意味する。本明細書で使用される、遺伝子型には完全(full−)遺伝子型および/または部分(sub−)遺伝子型が含まれる。
本明細書で使用される、「遺伝子座」なる用語は遺伝子または身体的もしくは表現型的特色に相当する染色体またはDNA分子上の位置を意味する。
本明細書で使用される、「AD関連変異調節薬」なる用語は、AD関連調節薬不在下でのAD関連変異体ポリペプチドの発現レベルまたは生物学的活性と比較して、AD関連変異体ポリペプチドの発現レベルまたは生物学的活性のレベルを改変する(例えば増大または低減させる)任意の化合物である。AD関連変異調節薬は小型分子、ポリペプチド、炭水化物、脂質、ヌクレオチドまたはその組み合わせでよい。AD関連変異調節薬は有機化合物または無機化合物であり得る。
本明細書で使用される、「変異体」なる用語は変異の結果である野生型からの任意の遺伝性変化、例えば一塩基多型(「SNP」)を意味する。「変異体」なる用語は本明細書全体にわたって「マーカー」、「バイオマーカー」および「標的」なる用語と互換的に用いられる。
本明細書で使用される、「医学的症状」なる用語には、処置が望ましい一個以上の身体的および/または心理学的病徴として現れる全ての症状または疾患を含み、これに限定されず、そして以前におよび新たに同定された疾患およびその他の障害が含まれる。
本明細書で使用される、「ヌクレオチド対」なる用語は個体からの染色体の二個のコピー上の多型部位で見出させるヌクレオチドを意味する。
本明細書で使用される、「多型部位」なる用語は集団において少なくとも二個の別の配列が見出される遺伝子座内の位置を意味し、その最も高い頻度は最大99%である。
本明細書で使用される、「位相化(phased)」なる用語は、遺伝子座における二個以上の多型部位に関するヌクレオチド対の配列に適用される場合、遺伝子座の単一のコピー上のこれらの多型部位に存在するヌクレオチドの組み合わせが公知であることを意味する。
本明細書で使用される、「多型」なる用語は個体間のDNA配列内の差異または遺伝子変化を意味する。集団で1%を超えて生じる遺伝子変化は遺伝子連鎖分析のために有用な多型と考えられる。配列バリアントは5%または10%以上のような1%より有意に大きい頻度で存在し得る。またその用語を多型部位で個体において観察される配列変化を指すために用いることもできる。多型には、ヌクレオチド置換、挿入、欠失およびマイクロサテライトが含まれ、そして必ずしもではないが、遺伝子発現またはタンパク質機能における検出可能な差異に至り得る。
本明細書で使用される、「ポリヌクレオチド」なる用語は全てのRNAまたはDNAを意味し、それは未修飾または修飾RNAまたはDNAでよい。ポリヌクレオチドには、一本および二本鎖DNA、一本および二本鎖領域の混合物であるDNA、一本および二本鎖RNA、一本および二本鎖領域の混合物であるRNA、ならびに一本鎖またはより典型的には二本鎖または一本および二本鎖領域の混合物でよいDNAおよびRNAを含むハイブリッド分子が含まれ、これに限定されない。加えて、ポリヌクレオチドはRNAまたはDNAまたはRNAおよびDNAの双方を含む三本鎖領域を指す。ポリヌクレオチドなる用語はまた安定性またはその他の理由のために修飾されたバックボーンを伴う一個以上の修飾塩基およびDNAまたはRNAを含有するDNAまたはRNAが含まれる。
本明細書で使用される、「ポリペプチド」なる用語はペプチド結合または修飾されたペプチド結合、すなわちペプチドアイソスターにより互いに結合された二個以上のアミノ酸を含む任意のポリペプチドを意味する。ポリペプチドは一般的にはペプチド、グリコペプチドまたはオリゴマーと称される短鎖、および一般的にはタンパク質と称される長鎖の双方を指す。ポリペプチドは20個の遺伝子コード化アミノ酸以外のアミノ酸を含有し得る。ポリペプチドには翻訳後プロセシングのような天然のプロセシングによるか、または当分野において周知である化学的修飾技術によるかのいずれかで修飾されたアミノ酸配列が含まれる。かかる修飾は基本的な教科書およびより詳細なモノグラフ、ならびに詳細で長大な研究文献において十分記載されている。
本明細書で使用される、「一塩基多型(SNP)」なる用語はゲノムの単一の位置でのヌクレオチド可変性を意味し、ここで二個の異なる塩基はヒト集団において測定可能な頻度(すなわち>1%)で生じる。SNPは遺伝子内またはゲノムの遺伝子間領域内で生じ得る。本発明によるSNPプローブはSNPおよびそのフランキング核酸配列(複数もある)に相補的であるオリゴヌクレオチドである。
本明細書で使用される、「対象」なる用語は好ましくは対象がヒトのような哺乳動物であるが、動物、例えば家庭用動物(例えばイヌ、ネコ等)、家畜(例えばウシ、ヒツジ、ブタ、ウマ等)および実験動物(例えばカニクイザル、ラット、マウス、モルモット等)でもよいことを意味する。
本明細書で使用される、薬剤または薬物の対象または患者への投与には、自己投与および他者による投与が含まれる。記載される医学的症状の処置または予防の種々の様式が、「実質的」であることを意味すると意図されるとも理解され、それには全体的なだけでなく、全体的に満たない処置または予防を含み、そして、ここで、いくつかの生物学的または医学的に関連する結果が達成される。
予測医学
一つの態様では本発明は、診断アッセイ、予後診断アッセイ、遺伝薬理学および臨床試験のモニタリングが予後診断(予測)目的で用いられ、それにより対象を予防的に診断および処置する予測医学の分野に関係する。したがって本発明の一つの態様は、試料(例えば血液、血清、細胞、組織)からバイオマーカータンパク質および/または核酸発現(例えばMUT−1からMUT−25タンパク質または核酸)を決定し、それにより対象がMCIからADに転換する可能性があるかどうかを決定するための診断アッセイに関する。
本発明の別の態様は以下のセクションでさらに詳細に記載されるように、臨床試験におけるバイオマーカーの発現または活性に及ぼす薬剤(例えば薬物、化合物)の影響をモニタリングすることに関係する。
試料中の本発明のバイオマーカータンパク質または遺伝子の存在または不在を検出するための方法の実例は、被験対象から試料を入手すること、およびバイオマーカータンパク質または核酸の存在が試料中で検出されるように、バイオマーカータンパク質をコードするタンパク質または核酸(例えばmRNA、ゲノムDNA)を検出できる化合物または薬剤と試料を接触させることを伴う。本発明のバイオマーカー遺伝子またはタンパク質に対応するmRNAまたはゲノムDNAを検出するための好ましい薬剤は本発明のmRNAまたはゲノムDNAにハイブリダイズできる標識された核酸プローブである。本発明の診断アッセイにおいて使用するための適当なプローブは本明細書で記載される。
バイオマーカータンパク質を検出するための好ましい薬剤はバイオマーカータンパク質に結合できる抗体、好ましくは検出可能な標識を伴う抗体である。抗体はポリクローナル、さらに好ましくはモノクローナルでよい。インタクトな抗体またはそのフラグメント(例えばFabまたはF(ab’))を用いることができる。プローブまたは抗体に関して「標識された」なる用語は、プローブまたは抗体に検出可能な物質をカップリング(すなわち物理的連結)することによるプローブまたは抗体の直接標識、および直接標識された別の試薬との反応性によるプローブまたは抗体の間接標識を包含すると意図される。間接標識の例には蛍光標識された二次抗体を用いる一次抗体、および蛍光標識されたストレプトアビジンでそれを検出できるような、DNAプローブのビオチンでの末端標識の検出が含まれる。
「試料」なる用語には対象から単離された組織、細胞および生物学的液体、ならびに対象内に存在する組織、細胞および液体が含まれると意図される。すなわち、本発明の検出方法を用いて試料中のバイオマーカーmRNA、タンパク質またはゲノムDNAをインビトロおよびインビボで検出することができる。例えばバイオマーカーmRNAの検出のためのインビトロ技術にはノーザンハイブリダイゼーションおよびインサイチュハイブリダイゼーションが含まれる。バイオマーカータンパク質の検出のためのインビトロ技術には酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、ウェスタンブロット、免疫沈殿および免疫蛍光が含まれる。バイオマーカーゲノムDNAの検出のためのインビトロ技術にはサザンハイブリダイゼーションが含まれる。さらに、バイオマーカータンパク質の検出のためのインビボ技術には対象への標識された抗バイオマーカー抗体の導入が含まれる。例えば対象におけるその存在および位置を標準的な撮像技術により検出できる放射性バイオマーカーで抗体を標識することができる。
一つの態様では、試料は被験対象からのタンパク質分子を含有する。これに代えて、試料は被験対象からのmRNA分子または被験対象からのゲノムDNA分子を含有できる。好ましい試料は従来の手段により対象から単離された血清試料である。
対照対象から対照試料(例えばADの徴候を示さない非認知症対象からの試料)を入手すること、試料中のバイオマーカータンパク質、mRNAまたはゲノムDNAの存在が検出されるように、対照試料をバイオマーカータンパク質、mRNAまたはゲノムDNAを検出できる化合物または薬剤と接触させること、および対照試料中のバイオマーカータンパク質、mRNAまたはゲノムDNAの存在を被験試料中のバイオマーカータンパク質、mRNAまたはゲノムDNAの存在と比較することを伴う。
本明細書に記載される診断方法をさらに利用してバイオマーカーの発現または活性の異常に関連する疾患または障害を有するかまたは発達させる危険性のある(すなわち本発明の一個以上のAD関連変異/遺伝子を有する)対象を同定することができる。本明細書で使用される、「異常」なる用語には野生型のバイオマーカーの発現または活性から逸脱するバイオマーカーの発現または活性が含まれる。発現または活性の異常には、発現または活性の増大または低減、および野生型の発現の発達パターンまたは細胞内発現パターンをたどらない発現または活性が含まれる。例えばバイオマーカーの発現または活性の異常には、バイオマーカー遺伝子における変異がバイオマーカー遺伝子に過少発現または過剰発現を引き起こすとき、およびかかる変異が非機能的バイオマーカータンパク質または野生型の様式で機能しないタンパク質、例えばバイオマーカーリガンドと相互作用しないタンパク質または非バイオマーカータンパク質リガンドと相互作用するものに至る状況が含まれると意図される。
さらに本明細書に記載される予後診断アッセイを用いて、認知症、例えばADの発症または進行の危険性を低減させるために、薬剤(例えばアゴニスト、アンタゴニスト、ペプチド擬似物質、タンパク質、ペプチド、核酸、小型分子またはその他の薬物候補)を対象に投与できるかどうかを決定することができる。故に本発明は、本発明の一個以上のAD関連変異/遺伝子の遺伝子発現または活性の増大または低減に関連する障害のために対象を薬剤で有効に処置できるかどうか決定するための方法を提供する。
遺伝子の発現または活性に及ぼす薬剤(例えば薬物)の影響のモニタリングを基本的な薬物スクリーニングのみならず、臨床試験にも適用することができる。例えば本明細書に記載されるようにスクリーニングアッセイによりバイオマーカー遺伝子発現、タンパク質レベルを調整する(すなわち増大または低減させる)または活性を上方調節すると決定された薬剤の有効性を、アルツハイマー病またはMCI関連病徴を呈する対象の臨床試験において、分子署名および薬剤での処置の間の分子署名における任意の変化を試験することによりモニタリングすることができる。
例えば、遺伝子活性を調整する薬剤(例えば化合物、薬物または小型分子)を含み、これに限定されない処置により、細胞において調整される遺伝子およびそのコード化タンパク質を同定することができる。臨床試験において細胞を単離し、そしてRNAを調製し、そして認知症に関連すると意味づけられた遺伝子の発現のレベルに関して分析することができる。本明細書に記載されるノーザンブロット分析またはRT−PCRにより、またはこれに代えて本明細書に記載される方法の一つにより生成されたタンパク質の量を測定することにより遺伝子発現のレベル(例えば遺伝子発現パターン)を定量することができる。このように遺伝子発現パターンを、細胞の薬剤に対する生理学的応答を示す分子署名として提供できる。したがって、薬剤での対象の処置の前、およびその間の種々の時点でこの応答状態を決定できる。
好ましい態様では、本発明は(i)薬剤の投与の前に対象から投与前試料を入手し;(ii)投与前試料中の遺伝子もしくは遺伝子の組み合わせ、遺伝子によりコードされるタンパク質、mRNA、またはゲノムDNAの発現のレベルを検出し;(iii)対象から一個以上の投与後試料を入手し;(iv)投与後試料中のバイオマーカータンパク質、mRNAまたはゲノムDNAの発現または活性のレベルを検出し;(v)投与前試料中のバイオマーカータンパク質、mRNAまたはゲノムDNAの発現または活性のレベルをその(一個または複数の)投与後試料中の遺伝子もしくは遺伝子の組み合わせ、遺伝子によりコードされるタンパク質、mRNA、またはゲノムDNAと比較し;そして(vi)それに応じて対象への薬剤の投与を改変する;工程を含む対象の薬剤(例えば本明細書に記載されるスクリーニングアッセイにより同定されるアゴニスト、アンタゴニスト、ペプチド擬似物質、タンパク質、ペプチド、核酸、小型分子またはその他の薬物候補)での処置の有効性をモニタリングするための方法を提供する。例えばより低いレベルまで遺伝子の発現または活性を低減させるために、すなわちADの発症または進行に対して保護するために、薬剤の有効性を増大させるために薬剤の投与の増加が望ましいかもしれない。これに代えて、検出されたよりも低いレベルまでバイオマーカーの発現または活性を低減させるために、すなわち例えば毒性を回避するために薬剤の有効性を低減させるために、薬剤の投与の減少が望ましいかもしれない。かかる態様にしたがって、観察可能な表現型応答の不在下でさえ遺伝子発現または活性を薬剤の有効性の指標として用いることができる。
遺伝子配列変化の同定および特徴付け
その罹患率および広汎性の性質のために、SNPはヒトの疾患症状に関与する遺伝子の位置決定のための重要な手段になる潜在能力を有する。例えばWang et al., Science 280:1077−1082(1998)を参照のこと。多くの共通する障害およびこれらの症状を処置するために用いられる薬物療法の代謝を発達させる危険性は、根元的なゲノム変化により実質的に影響を受けるが、いずれか一個のバリアントの影響は少ないかもしれないということが徐々に明らかになっている。
SNPは多型の存在のためという点で「対立遺伝子」と称され、種のいくつかのメンバーは非変異配列(すなわち元来の対立遺伝子)を有し得るが、一方その他のメンバーは変異した配列(すなわちバリアントまたは変異体対立遺伝子)を有し得る。
SNPと特定の表現型との間の関連性は必ずしも示される必要がないか、またはSNPが表現型の原因となることは要求されない。代わりに関連性は単に、SNPおよび該遺伝的因子が密接に連関するような、SNPと、所定の表現型に実際に寄与するこれらの遺伝的因子との間のゲノム近接性のためであり得る。すなわちSNPは「真の」機能的バリアントと連鎖不均衡(「LD」)にあり得る。LD(対立遺伝子関連性としても公知)は、ゲノムの異なる二個の位置の対立遺伝子が予想されるよりもさらに高度に関連する場合に存在する。故にSNPを、特定の表現型を引き起こす変異に対するその近接性のために価値があるマーカーとして提供できる。
本発明の多型部位を記載するときに、便宜的に遺伝子のセンス鎖に言及する。しかしながら当業者に認識されるように、遺伝子を含有する核酸分子は相補的な二本鎖分子でよく、そして故にセンス鎖上の特定の部位に対する言及は相補的なアンチセンス鎖上の対応する部位に対しても同様に言及される。すなわちいずれかの鎖での同一の多型部位に言及でき、そして表現型部位を含有する標的領域でいずれかの鎖に特異的にハイブリダイズするようにオリゴヌクレオチドを設計できる。故に本発明はまた本明細書に記載されるゲノムバリアントのセンス鎖に相補的である一本鎖ポリヌクレオチドをも含む。
SNPの同定および特徴付け
一本鎖高次構造多型(SSCP)分析、変性高速液体クロマトグラフィー(DHPLC)によるヘテロ二重鎖分析および直接DNAシークエンシングならびにコンピューターによる方法を含む多くの様々な技術を用いてSNPを同定および特徴付けすることができる。Shi et al., Clin. Chem. 47:164-172(2001)。公のデータベースに多くの配列情報がある。
現在最も一般的なSNP分類方法にはハイブリダイゼーション、プライマー伸長および切断法が含まれる。これらの方法の各々を適切な検出系と連結させなければならない。検出テクノロジーには蛍光偏光法(Chan et al., Genome Res. 9:492-499(1999))、ピロリン酸放出の発光検出(ピロシークエンシング)(Ahmadiian et al., Anal. Biochem. 280:103−10(2000))、蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)ベースの切断アッセイ、DHPLCおよび質量分析(Shi, Clin. Chem. 47:164-172(2001);米国特許第6300076(B1))が含まれる。SNPを検出および特徴付けするその他の方法は米国特許第6297018号および第6300063号に記載されるものである。
INVADER(商標)テクノロジー(Third Wave Technologies Inc. Madison, Wisconsin, USAから入手可能)のような市販により入手可能である生成物を用いて多型を検出することもできる。このアッセイでは特異的な上流「インベーダー」オリゴヌクレオチドおよび部分的重複下流プローブが相補的DNA鋳型に結合する場合、一緒に特異的な構造を形成する。この構造が認識され、そしてCleavase酵素により特異的部位で切断され、結果的にプローブオリゴヌクレオチドの5’フラップの放出に至る。次いでこのフラグメントは反応混合物中に含まれる合成二次標識および二次蛍光標識されたシグナルプローブに関して「インベーダー」オリゴヌクレオチドとして提供される。Ryan D et al., Molecular Diagnosis 4(2):135-144(1999)およびLyamichev V et al., Nature Biotechnology 17:292-296(1999)もまた参照し、米国特許第5846717号および第6001567号もまた参照されたい。
リボプローブを用いるRNase保護(Winter et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82:7575(1985);Meyers et al., Science 230:1242(1985))および大腸菌mutSタンパク質のようなヌクレオチド誤対合を認識するタンパク質(Modrich P, Ann Rev Genet 25:229-253(1991))を含み、これに限定されない誤対合検出技術を用いて多型の同一性を検出することもできる。あるいは、一本鎖高次構造多型(SSCP)分析(Orita et al., Genomics 5:874-879(1989);Humphries et al., in Molecular Diagnosis of Genetic Diseases, R. Elles, ed., pp. 321-340(1996))または変性グラジエントゲル電気泳動(DGGE)(Wartell et al., Nucl. Acids. Res. 18:2699-2706(1990);Sheffield et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:232-236(1989))によりバリアント対立遺伝子を同定することができる。ポリメラーゼ媒介プライマー伸長法を用いて多型を同定することもできる。いくつかのかかる方法は特許および科学文献に記載されており、そして「遺伝子ビット分析」法(第WO92/15712号)およびリガーゼ/ポリメラーゼ媒介遺伝子ビット分析(米国特許第5679524号)を含む。関連する方法は第WO91/02087号、第WO90/09455号、第WO95/17676号ならびに米国特許第5302509号および第5945283号に開示される。多型を含有する伸長されたプライマーを米国特許第5605798号に記載される質量分析により検出することができる。別のプライマー伸長法は対立遺伝子特異的PCR(Ruafio et al., Nucl. Acids. Res. 17:8392(1989);Ruafio et al., Nucl. Acids. Res. 19:6877-6882(1991);第WO93/22456号;Turki et al., J. Clin. Invest. 95:1635-1641(1995))である。加えてPCT特許出願第WO89/10414号に記載される対立遺伝子特異的プライマーの組を用いて核酸の複数の領域を同時に増幅することにより複数の多型部位を調査することができる。
オリゴヌクレオチドのハプロタイプ決定および遺伝子型決定
本発明は個体の遺伝子をハプロタイプ決定および遺伝子型決定するための方法および組成物を提供する。本明細書で使用される、「遺伝子型」および「ハプロタイプ」なる用語は各々本明細書に記載される一個以上の多型部位に存在するヌクレオチド対またはヌクレオチドを含有する遺伝子型またはハプロタイプを意味し、そして場合によっては遺伝子の一個以上のさらなる多型部位に存在するヌクレオチド対またはヌクレオチドをも含み得る。さらなる多型部位は現在公知の多型部位または今後見出される部位でよい。
本発明の組成物は多型部位を含有するか、またはそれに隣接する一個以上の標的領域に特異的にハイブリダイズするように設計されたオリゴヌクレオチドプローブおよびプライマーを含有する。本発明のオリゴヌクレオチド組成物は個体における遺伝子を遺伝子型決定および/またはハプロタイプ決定する方法において有用である。本明細書で記載される多型部位で個体の遺伝子型またはハプロタイプを確立するための方法および組成物は、タンパク質の発現および機能により影響を受ける疾患の病因における多型の影響を研究するため、薬物ターゲティングの有効性を研究するため、タンパク質の発現および機能により影響を受ける疾患に対する個体の感受性を予測するため、および遺伝子生成物をターゲティングする薬物に対する個体の応答を予測するために有用である。
本発明の遺伝子型決定オリゴヌクレオチドをマイクロチップ、ビーズまたはガラススライドのような固体表面上に固定または合成することができる。例えば第WO98/20020号および第WO98/20019号を参照のこと。
遺伝子型決定オリゴヌクレオチドは本明細書にて同定された多型部位の一個の1〜数ヌクレオチド下流に位置する標的領域にハイブリダイズできる。かかるオリゴヌクレオチドは本明細書に記載される多型の一個を検出するためのポリメラーゼ媒介プライマー伸長法において有用であり、そしてしたがってかかる遺伝子型決定オリゴヌクレオチドは本明細書では「プライマー伸長オリゴヌクレオチド」と称される。
本発明の直接遺伝子型決定法
本発明の遺伝子型決定法は個体から目的の遺伝子またはそのフラグメントの二個のコピーを含む核酸混合物を単離すること、および二個のコピーにおける一個以上の多型部位でヌクレオチド対の同一性を決定することを伴い得る。当業者に容易に理解される通り、個体における遺伝子の二個の「コピー」は同一の対立遺伝子でよいか、または異なる対立遺伝子でよい。特に好ましい態様では、遺伝子型決定法は各多型部位でヌクレオチド対の同一性を決定することを含む。典型的には、核酸混合物は個体から取られた、血液試料または組織試料のような生物学的試料から単離される。適当な組織試料には全血、精液、唾液、涙液、尿、糞便材料、汗、頬側塗抹、皮膚および毛髪が含まれる。
本発明の直接ハプロタイプ決定法
本発明のハプロタイプ決定法には個体から目的の遺伝子またはそのフラグメントの二個のコピーのうちの一個のみを含有する核酸分子を単離すること、およびそのコピーにおける一個以上の多型部位でヌクレオチドの同一性を決定することを含み得る。直接標識ハプロタイプ決定法には、例えばCLASPER System(商標)テクノロジー(米国特許第5866404号)または対立遺伝子特異的ロングレンジPCR(Michalotos-Beloin et al., Nucl. Acids. Res. 24:4841-4843(1996))が含まれる。遺伝子またはフラグメントの二個のコピーを分離できる任意の方法を用いて核酸を単離できる。当業者には容易に理解されるように、任意の個体のクローンは個体に存在する二個の遺伝子コピーの一個に関するハプロタイプ情報を提供するのみであろう。一つの態様では、個体に存在する遺伝子の各コピーにおける一個以上の多型部位でヌクレオチドの位相化配列を同定することにより個体に関してハプロタイプ対を決定する。好ましい態様では、ハプロタイプ決定法は遺伝子の各コピーにおける各多型部位でヌクレオチドの位相化配列を同定することを含む。
遺伝子型決定法およびハプロタイプ決定法の双方では、遺伝子またはそのフラグメントの一個または双方のコピーから直接多型部位を含有する標的領域を増幅すること、および従来の方法により増幅された領域をシークエンシングすることにより、多型部位でのヌクレオチド(またはヌクレオチド対)の同一性を決定できる。遺伝子の一個または双方のコピーを含有する核酸試料を、第WO95/11995号に記載される核酸アレイおよびサブアレイにハイブリダイズさせることにより、個体の遺伝子に関する遺伝子型またはハプロタイプを決定することもできる。
標的多型と連鎖不均衡にある多型部位を用いる間接遺伝子型決定法
加えて、本発明のいずれかの多型部位に存在する対立遺伝子の同一性を、目的のこれらの部位と連鎖不均衡にあるその他の多型部位を遺伝子型決定することにより間接的に決定できる。前記されたように、一個の部位での特定のバリアントの存在が第二の部位での別のバリアントの存在を示す場合、二個の部位は連鎖不均衡にあると称される。Stevens JC, Mol. Diag. 4:309-317(1999)。本発明の多型部位と連鎖不均衡にある多型部位は、同一遺伝子の領域またはその他のゲノム領域に位置し得る。
標的遺伝子領域の増幅
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)(米国特許第4965188号)、リガーゼ連鎖反応(LCR)(Barany et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:189-193(1991);公開PCT特許出願第WO90/01069号)およびオリゴヌクレオチドライゲーションアッセイ(OLA)(Landegren et al., Science 241:1077-1080(1988))を含み、これに限定されない任意のオリゴヌクレオチド指向性増幅方法を用いて標的領域を増幅することができる。かかる方法においてプライマーまたはプローブとして有用なオリゴヌクレオチドは多型部位を含有するかまたはそれに隣接する核酸の領域に特異的にハイブリダイズすべきである。典型的には、オリゴヌクレオチドは10ヌクレオチドと35ヌクレオチドの間の長さであり、そして好ましくは15ヌクレオチドと30ヌクレオチドの間の長さである。最も好ましくは、オリゴヌクレオチドは20ヌクレオチドから25ヌクレオチド長である。オリゴヌクレオチドの正確な長さは当業者により日常的に考えられ、そして実施される多くの因子に依存するであろう。
転写ベースの増幅系(米国特許第5130238号;欧州特許第329822号;米国特許第5169766号、公開PCT特許出願第WO89/06700号)および等温法(Walker et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:392-396(1992))を含むその他の公知の核酸増幅手順を用いて標的領域を増幅することができる。
標的遺伝子への対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーション
当分野において公知のいくつかのハイブリダイゼーションベースの方法のうちの一つを用いて増幅の前および後に標的領域における多型を検定することができる。典型的には、対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドをかかる方法の実施に利用する。対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドを差次的に標識されたプローブ対として使用することができ、対の一方のメンバーは標的配列の一個のバリアントへの完全な対合を示し、そして他方のメンバーは異なるバリアントへの完全な対合を示す。いくつかの態様では、一組の対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチド対を用いて一を超える多型部位を一度に検出することができる。好ましくはその組のメンバーは、検出されている多型部位の各々にハイブリダイズする場合、互いに5℃内、およびさらに好ましくは2℃内の融点を有する。
対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドの標的ポリヌクレオチドへのハイブリダイゼーションを溶液中の双方の存在物と共に実施できるか、またはオリゴヌクレオチドもしくは標的ポリヌクレオチドのいずれかが固体支持体に共有結合または非共有結合により取り付けられている場合にかかるハイブリダイゼーションを実施できる。付着を例えば抗体−抗原相互作用、ポリ−L−Lys、ストレプトアビジンまたはアビジン−ビオチン、塩橋、疎水性相互作用、化学的連結、UV架橋、ベーキング等により媒介することができる。対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドを固体支持体上で直接合成するか、または合成に続いて固体支持体に付着させることができる。本発明の検出方法において使用するのに適当な固体支持体には、シリコン、ガラス、プラスチック、紙等から作られた基質が含まれ、それを例えばウェル(96ウェルプレートにおけるような)、スライド、シート、膜、ファイバー、チップ、皿およびビーズに形成することができる。固体支持体を処理、コーティングまたは誘導体化して対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドまたは標的核酸の固定を促すことができる。
集団遺伝子型およびハプロタイプの決定およびそれらと形質との相関化
本発明は集団において遺伝子型またはハプロタイプの頻度を決定するための方法を提供する。その方法は集団の各メンバーに存在する遺伝子に関する遺伝子型またはハプロタイプを決定すること(ここで遺伝子型またはハプロタイプは遺伝子における一個以上の多型部位で検出されるヌクレオチド対またはヌクレオチドを含む)、および集団において遺伝子型またはハプロタイプが見出される頻度を計算することを含む。集団は参照集団、家族集団、同性集団、集団群、または形質集団(例えば医学的症状または治療的処置に対する応答のような目的の形質を呈する個体の群)でよい。
本発明の別の態様では、参照集団において見出される遺伝子型および/またはハプロタイプに関する頻度データは、形質と遺伝子型またはハプロタイプとの間の関連性を同定するための方法において使用される。形質は、疾患に対する感受性または処置に対する応答性を含み、これに限定されない全ての検出可能な表現型でよい。その方法は参照集団において目的の遺伝子型またはハプロタイプの頻度に関するデータを入手すること、および形質を呈する集団における遺伝子型またはハプロタイプの頻度とデータを比較することを伴う。前記された方法の一つを用いて集団における各個体を遺伝子型決定またはハプロタイプ決定することにより、参照および形質集団の一個または双方に関する頻度データを入手できる。形質集団に関するハプロタイプを直接的に、またはこれに代えて前記された遺伝子型からハプロタイプの予測研究法により決定することができる。
以前に決定された頻度データを評価することにより参照および/または形質集団に関する頻度データを入手し、それは文書または電子的形態でよい。例えば頻度データはコンピューターによりアクセス可能であるデータベースに存在し得る。一度頻度データが得られると、参照および形質集団における目的の遺伝子型またはハプロタイプの頻度を比較する。
多型を分析する場合、偶然に見出され得る有意な関連性を補正するために計算を実施できる。本発明の方法に有用な統計方法に関しては、Statistical Methods in Biology, 3rd edition, Bailey NTJ,(Cambridge Univ. Press, 1997);Waterman MS, Introduction to Computational Biology(CRC Press, 2000)およびBioinformatics, Baxevanis AD & Ouellette BFF editors(John Wiley & Sons, Inc., 2001)を参照のこと。
別の態様では、様々な群に関するハプロタイプ頻度データを試験して、それらがハーディワインベルグ平衡と一致するかどうかを決定する。D.L. Hartl et al., Principles of Population Genomics, 3rd Ed.(Sinauer Associates, Sunderland, MA, 1997)。
別の態様では、ボンフェローニ補正した標準的なANOVA検定または遺伝子型表現型相関性を何度もシミュレートして有意値を計算するブートストラップ法の使用により統計分析を実施する。ANOVAを用いて、応答変数が測定され得る一個以上の形質または変数により引き起こされるかまたはそれと相関するかどうかについての仮説を検定する。LD Fisher & G vanBelle, Biostatistics:A Methodology for the Health Sciences, Ch. 10(Wiley-Interscience, New York, 1993)。
ハプロタイプ対を予測するための一つの態様では、分析には以下のような割り当ての工程が含まれる:最初に可能なハプロタイプ対の各々を参照集団におけるハプロタイプ対と比較する。一般的に参照集団におけるハプロタイプ対の一個のみが個体に関する可能なハプロタイプ対と対合し、そしてその対は個体に割り当てられる。時には参照ハプロタイプ対で示された一個のハプロタイプのみが個体に関する可能なハプロタイプと一致し、そしてそのような場合、個体はこの公知のハプロタイプおよび、可能なハプロタイプ対から公知のハプロタイプを差し引くことにより誘導された新しいハプロタイプを含有するハプロタイプ対に割り当てられる。
別の態様では、目的の遺伝子型またはハプロタイプと連鎖不均衡にある検出可能な遺伝子型またはハプロタイプをサロゲートマーカーとして使用することができる。所定の遺伝子に関する特定の遺伝子型またはハプロタイプが集団においてさらに高頻度である場合、別の遺伝子型と連鎖不均衡にある遺伝子型が示され、それはまた参照集団におけるよりも潜在能力のあるサロゲートマーカー遺伝子型をも実証する。頻度が統計的に有意である場合、次いでマーカー遺伝子型はその遺伝子型またはハプロタイプを予測し、そしてサロゲートマーカーとして使用され得る。
ハプロタイプの内容と臨床応答との間の相関性を見出すための別の方法は誤差最小化最適化アルゴリズムに基づく予測モデルを用い、その一つは遺伝的アルゴリズムである。R Judson, “Genetic Algorithms and Their Uses in Chemistry” in Reviews in Computational Chemistry, Ch. 10, KB Lipkowitz & DB Boyd, eds.(VCH Publishers, New York, 1997)pp. 1-73を参照のこと。シミュレーテッドアニーリング(Press et al., Numerical Recipes in C:The Art of Scientific Computing, Ch. 10(Cambridge University Press, Cambridge, 1992)、ニューラルネットワーク(E Rich & K Knight, Artificial Intelligence, 2nd Edition, Ch. 10(McGraw-Hill, New York, 1991)、標準的な勾配降下法(Press et al., supra Ch. 10)またはその他の全体的または部分的最適化研究法(Judson, supraの考察を参照)を用いることもできる。
対象遺伝子型またはハプロタイプと処置応答との相関化
好ましい態様では、形質は疾患に対する感受性、疾患の重篤度、疾患の段階分けまたは薬物に対する応答である。かかる方法は、遺伝子型と、有効性測定値、薬物動態測定値および副作用測定値を含む処置結果との間の関連性に関して潜在能力がある全ての薬理遺伝学的適用に関する診断試験および治療的処置の開発において適用性がある。
別の好ましい態様では、目的の形質は患者が呈するいくつかの治療的処置に対する臨床応答、例えば薬物ターゲティングに対する、または医学的症状のための治療的処置に対する応答である。
処置に対する臨床応答と遺伝子型またはハプロタイプとの間の相関性を推論するために、処置を受けた個体の集団(以後「臨床集団」)が呈する臨床応答に関する遺伝子型またはハプロタイプデータを入手する。既に行われている臨床試験の結果を分析することにより、ならびに/または一個以上の新たな臨床試験を設計および実施することによりこの臨床データを入手することができる。
臨床集団に含められる個体は通常目的の医学的症状の存在に関して等級分けされる。この潜在的な患者の等級分けには標準的な身体検査または一個以上の臨床検査を用いることができる。これに代えて、ハプロタイプ対と疾患感受性もしくは重篤度との間に強い相関性がある状況に関しては患者の等級分けにハプロタイプ決定を使用できる。
目的の治療的処置は被験集団の各個体に投与され、そして各個体の処置に対する応答を一個以上の予め決定された基準を用いて測定する。多くの場合に被験集団は一定の範囲の応答を呈し、そして研究者は種々の応答により為された応答者群(例えば低、中、高)の数を選択するであろうことが企図される。加えて、被験集団の各個体に関する遺伝子を遺伝子型決定および/またはハプロタイプ決定し、それは処置を投与する前および後に行われ得る。
次いでこれらの結果を分析して、多型群間で臨床応答において観察された任意の変化は統計的に有意であるかどうかを決定する。用いることができる統計分析方法はL.D. Fisher & G. vanBelle, Biostatistics:A Methodology for the Health Sciences(Wiley-Interscience, New York, 1993)に記載されている。この分析にはまた遺伝子におけるどの多型部位が表現型における差異に最も有意に寄与するかの回帰計算も含まれ得る。
臨床および多型双方のデータが得られた後、個体応答と遺伝子型またはハプロタイプ内容との間の相関性が創成される。いくつかの方式で相関性を生み出すことができる。一つの方法では、個体は遺伝子型またはハプロタイプ(またはハプロタイプ対)により群分けされ(多型群とも称される)、そして次に各多型群のメンバーにより呈される臨床応答の代表値および標準偏差を計算する。
前記された分析から、遺伝子型またはハプロタイプ内容の関数として臨床応答を予測する当業者は数学的モデルを容易に構築できる。臨床応答と遺伝子に関する遺伝子型またはハプロタイプ(またはハプロタイプ対)との間の関連性の同定は、処置に応答するかもしくは応答しない、またはこれに代えて低レベルで応答し、そして故にさらなる処置、すなわちより多い薬物用量を必要とし得るこれらの個体を決定するための診断方法を設計するための基礎であり得る。診断方法はいくつかの形態の一つを取り得る:例えば直接DNA試験(すなわち遺伝子における一個以上の多型部位を遺伝子型決定またはハプロタイプ決定する)、血清学的試験または身体検査測定値。要件は診断試験結果と根元的な遺伝子型またはハプロタイプとの間に良好な相関性があるということだけである。好ましい態様では、この診断方法は前記された予測ハプロタイプ決定法を用いる。
対象の遺伝子型群への割り当て
当業者には理解される通り、この決定を行うことに関与するある程度の不確実性が存在する。したがって対照群レベルの標準偏差を用いて確率論的決定を行い、そして本発明の方法を広範な確率論に基づく遺伝子型群決定に適用できる。故に例えば、一つの態様では、遺伝子発現生成物の測定レベルがいずれかの対照群の平均の標準偏差2.5内に入るならば、その個体をその遺伝子型群に割り当てることができるが、これに限定されない。別の態様では、遺伝子発現生成物の測定レベルがいずれかの対照群の平均の標準偏差2.0内に入るならば、その個体をその遺伝子型群に割り当てることができる。さらに別の態様では、遺伝子発現生成物の測定レベルがいずれかの対照群の平均の標準偏差1.5内に入るならば、その個体をその遺伝子型群に割り当てることができる。また別の態様では、遺伝子発現生成物の測定レベルがいずれかの対照群の平均の標準偏差1.0以下であるならば、その個体をその遺伝子型群に割り当てることができる。
故にこの過程により種々の程度の確立で、どの群に具体的な対象を置くべきなのかを決定することが可能になり、そしてかかる遺伝子型群への割り当てにより次いで個体を置くべき危険性カテゴリーが決定される。
臨床応答と遺伝子型またはハプロタイプとの間の相関性
処置に対する臨床応答と遺伝子型またはハプロタイプとの間の相関性を推論するために、処置を受けた個体の集団(以後「臨床集団」)が呈する臨床応答に関するデータを入手することが必要である。既に行われている臨床試験の結果を分析することにより、および/または一個以上の新たな臨床試験を設計および実施することによりこの臨床データを入手することができる。
異なる遺伝子型またはハプロタイプ群でこのように決定された遺伝子発現生成物の標準的な対照レベルを次いで所定の患者における遺伝子発現生成物の測定レベルと比較する。この遺伝子発現生成物はその特定の遺伝子型群に関連する特徴的なmRNAまたはその遺伝子型もしくはハプロタイプ群のポリペプチド遺伝子発現生成物でよい。次いで所定の群に関する対照レベルと比較して測定レベルがどれほど類似しているかに基づいて患者を特定の遺伝子型またはハプロタイプ群に分類または割り当てることができる。
多型データを保存または表示するためのコンピューターシステム
本発明はまた遺伝子に関して決定された多型データを保存または表示するためのコンピューターシステムをも提供する。コンピューターシステムはコンピューター処理装置、ディスプレイおよび多型データを含有するデータベースを含む。多型データには参照集団における所定の遺伝子に関して同定された多型、遺伝子型およびハプロタイプが含まれる。好ましい態様では、コンピューターシステムはその進化的関係にしたがって編成されたハプロタイプを示すディスプレイを生み出すことができる。コンピューターは本発明の方法の実施に関与するいずれかのまたは全ての分析的および数学的操作を実行することができる。加えてコンピューターはディスプレイ装置で表示されるビュー(またはスクリーン)を作成するプログラムを実行でき、そしてユーザーはそれと情報をやりとりして、染色体位置、遺伝子構造および遺伝子ファミリー、遺伝子発現データ、多型データ、遺伝子配列データならびに臨床集団データ(例えば一個以上の集団に関する民族地理学的起源、臨床応答、遺伝子型およびハプロタイプに関するデータ)を含む遺伝子およびそのゲノム変化に関係する多量の情報を見て、そして分析することができる。本明細書に記載される多型データをリレーショナルデータベース(例えばOracleデータベースの一例または一組のASCIIフラットファイル)の一部として保存できる。これらの多型データをコンピューターのハードドライブに保存できるか、または例えばCD−ROMもしくはコンピューターによりアクセス可能な一種以上のその他の保存装置に保存できる。例えばネットワークを介してコンピューターに接続された一個以上のデータベースにデータを保存できる。
核酸ベースの診断法
別の態様では、本発明はその遺伝子変化の型にしたがって対象を分類するのに有用であるSNPプローブを提供する。本発明によるSNPプローブはオリゴヌクレオチドであり、それは従来の対立遺伝子識別アッセイにおいてSNPを識別する。特定の好ましい態様では、本発明のこの態様によるオリゴヌクレオチドはSNPの一個の対立遺伝子およびそのフランキング核酸配列(複数もある)に相補的であるが、その他のいずれのSNPの対立遺伝子およびそのフランキング核酸配列(複数もある)とも相補的ではない。本発明のこの態様によるオリゴヌクレオチドは種々の方式でSNP間で識別できる。例えばストリンジェント条件下で適切な長さのオリゴヌクレオチドは一個のSNPとハイブリダイズするが、その他のいずれともハイブリダイズしない。放射性標識または蛍光分子タグを用いてオリゴヌクレオチドを標識できる。あるいは、適切な長さのオリゴヌクレオチドをPCRのためのプライマーとして使用することができ、ここで3’末端ヌクレオチドはSNPを含有する一個の対立遺伝子と相補的であるが、その他のいずれの対立遺伝子とも相補的でない。この態様では、PCRによる増幅の存在または不在がSNPのハプロタイプを決定する。
本発明のゲノムおよびcDNAフラグメントは本明細書にて同定される少なくとも一個の多型部位を含み、少なくとも10ヌクレオチド長を有し、そして遺伝子の全長までの範囲にわたってよい。好ましくは本発明によるフラグメントは100ヌクレオチド〜3000ヌクレオチド長であり、そしてさらに好ましくは200ヌクレオチド〜2000ヌクレオチド長であり、そして最も好ましくは500ヌクレオチド〜1000ヌクレオチド長である。
本発明のキット
本発明は個体においてハプロタイプ決定および/または遺伝子型決定するのに有用な核酸およびポリペプチド検出キットを提供する。かかるキットは個体を分類する目的のために個体を分類するのに有用である。特に本発明は、例えば血清、血漿、リンパ液、嚢胞液、尿、糞便、脳脊髄液、腹水または血液を含む体液、および身体組織の生検試料を含み、これに限定されない生物学的試料中の本発明のマーカーに対応するポリペプチドまたは核酸の存在を検出するためのキットを包含する。例えばキットは、生物学的試料中の本発明のマーカーに対応するポリペプチドまたはポリヌクレオチドをコードするmRNA、および試料中のポリペプチドまたはmRNAの量を決定するための手段、例えばポリペプチドに結合する抗体またはポリヌクレオチドをコードするDNAまたはmRNAに結合するオリゴヌクレオチドプローブを検出できる標識された化合物または薬剤を含み得る。キットはまたキットを用いて得られた結果を解釈するための説明書をも含み得る。
別の態様では、本発明は別個の容器に包装された少なくとも二個の遺伝子型決定オリゴヌクレオチドを含むキットを提供する。キットはまた別個の容器に包装されたハイブリダイゼーションバッファー(ここでオリゴヌクレオチドはプローブとして用いられる)のようなその他の構成成分を含有することもできる。これに代えて、オリゴヌクレオチドが標的領域を増幅するために用いられることになっている場合、キットは別個の容器に包装されたポリメラーゼおよびPCRの場合のようなポリメラーゼにより媒介されるプライマー伸長を最適化するための反応バッファーを含有できる。好ましい態様では、かかるキットはさらにDNA試料収集手段を含み得る。
抗体ベースのキットに関しては、キットは例えば(1)例えば個体支持体に付着した本発明のマーカーに対応するポリペプチドに結合する第1抗体;および場合によっては(2)ポリペプチドまたは第1抗体のいずれかに結合し、そして検出可能な標識にコンジュゲーションされた第2の異なる抗体;を含み得る。
オリゴヌクレオチドベースのキットに関しては、キットは例えば(1)本発明のマーカーに対応するポリペプチドをコードする核酸配列にハイブリダイズするオリゴヌクレオチド、例えば検出可能に標識されたオリゴヌクレオチド;または(2)本発明のマーカーに対応する核酸を増幅するのに有用な一対のプライマー;を含み得る。
キットはまた例えば緩衝剤、保存剤またはタンパク質安定剤をも含み得る。キットはさらに検出可能な標識、例えば酵素または基質を検出するのに必要な構成成分を含み得る。キットはまた対照試料または一連の対照試料を含有することもでき、それを検定し、そして被験試料と比較することができる。キットの各構成成分を個々の容器内に封入でき、そして種々の容器の全てを、キットを用いて実施されるアッセイの結果を解釈するための説明書と一緒に単一の包装にすることができる。
本発明の核酸配列
一つの態様では、本発明は一個以上の単離されたポリヌクレオチドを含む。本発明はまた同一物の対立遺伝子バリアント、すなわちポリヌクレオチドによりコードされるものと同一、相同または関連する変異体ポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドの天然発生の代替え形態をも包含する。これに代えて、非天然発生バリアントを当分野において周知の変異誘発技術または直接合成技術により生成することができる。
したがって、本発明の変異体ポリペプチドをコードする任意の核酸配列と低ストリンジェンシーでハイブリダイズできる核酸配列は本発明の範囲内であると考えられる。標準的なストリンジェンシー条件は標準的な分子生物学的クローニングの手引き書において十分に特徴付けされている。例えばMolecular Cloning:A Laboratory Manual, 2nd Ed., ed., Sambrook, Fritsch, & Maniatis(Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1989);DNA Cloning, Volumes I and II, D.N. Glover, ed.(1985);Oligonucleotide Synthesis, M.J. Gait, ed.(1984);Nucleic Acid Hybridization, B.D. Hames & S.J. Higgins, eds(1984)を参照のこと。
組換え体発現ベクター
本発明の別の態様は変異体ポリペプチドをコードする一個以上の核酸配列を含有するベクターを含む。本発明の実施において、分子生物学、微生物学および組換えDNAにおける多くの従来の技術が用いられる。これらの技術は周知であり、そして例えばCurrent Protocols in Molecular Biology, Vols. I-III, Ausubel, ed.(1997);Sambrook et al., Molecular Cloning:A Laboratory Manual, 2nd Ed.(Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY, 1989);DNA Cloning:A Practical Approach, Vols. I and II, Glover, Ed.(1985);Oligonucleotide Synthesis, Gait, Ed.(1984);Nucleic Acid Hybridization, Hames & Higgins, Eds.(1985);Transcription and Translation, Hames & Higgins, Eds.(1984);Animal Cell Culture, Freshney, ed.(1986);Immobilized Cells and Enzymes(IRL Press, 1986);Perbal, A Practical Guide to Molecular Cloning;the series Methods in Enzymology,(Academic Press, Inc., 1984);Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells, Miller & Calos, Eds.(Cold Spring Harbor Laboratory, New York, 1987);およびMethods in Enzymology, Vols. 154 and 155, Wu & Grossman, and Wu, Eds.において各々説明されている。
本発明の一個以上のポリペプチドの組換え発現に関して、当分野において周知の組換えDNA技術によりポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の全てまたは一部を含有する核酸を適切なクローニングベクターまたは発現ベクター(すなわち挿入されたポリペプチドコード化配列の転写および翻訳に必要なエレメントを含有するベクター)に挿入する。
プラスミドはベクターの最も一般的に用いられる形態であるので、本明細書では「プラスミド」および「ベクター」を互換的に用いることができる。しかしながら、本発明はウイルスベクター(複製欠損レトロウイルス、アデノウイルスおよびアデノ随伴ウイルス)のような専門的に言えばプラスミドではなく、均等な機能を提供する発現ベクターのかかるその他の形態を含むと意図される。かかるウイルスベクターは対象の感染およびその対象における化合物の発現を許容する。Becker et al., Meth. Cell Biol. 43:161-89(1994)。組換え発現ベクター内で「作動可能なように連結された」とは目的のヌクレオチド配列がヌクレオチド配列の発現を可能にする様式で(例えばインビトロ転写/翻訳系において、またはベクターが宿主細胞に導入されている場合、宿主細胞において)調節配列に連結されていることを意味すると意図される。「調節配列」なる用語はプロモーター、エンハンサーおよびその他の発現制御エレメント(例えばポリアデニル化シグナル)を含むと意図される。かかる調節配列は例えばGoeddel, Gene Expression Technology:Methods In Enzymology(Academic Press, San Diego, Calif., 1990)に記載されている。調節配列には多くの型の宿主細胞におけるヌクレオチド配列の構成的発現を指向するもの、および特定の宿主細胞においてのみヌクレオチド配列の発現を指向するもの(例えば組織特異的調節配列)が含まれる。発現ベクターの設計は形質転換される宿主細胞の選択、望ましいポリペプチドの発現のレベル等のような因子に依存し得ることは当業者には理解されよう。本発明の発現ベクターを宿主細胞に導入し、それにより本明細書に記載される核酸によりコードされる、融合ポリペプチドを含むポリペプチドまたはペプチドを生成することができる(例えば変異体ポリペプチドおよび変異体由来の融合ポリペプチド等)。
ポリペプチド発現宿主細胞
本発明の別の態様はポリペプチド発現宿主細胞に関係し、それは本発明の一個以上の変異体ポリペプチドをコードする核酸を含有する。「宿主細胞」および「組換え宿主細胞」なる用語は本明細書では互換的に用いられる。かかる用語は特定の対象細胞のみならず、かかる細胞の子孫または潜在的子孫をも指すと解釈される。変異または環境的影響のいずれかのために特定の修飾が後の世代で生じ得るので、かかる子孫は実際には親細胞と同一でないかもしれないが、本明細書で用いられるような用語の範囲内に依然含められる。宿主細胞は任意の原核または真核細胞でよい。Sambrook et al. Molecular Cloning:A Laboratory Manual, 2nd ed.(Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New York, 1989)。
従来の形質転換またはトランスフェクション技術を介して原核または真核細胞にベクターDNAを導入することができる。本明細書で使用される、「形質転換」および「トランスフェクション」なる用語はリン酸カルシウムまたは塩化カルシウム同時沈殿、DEAEデキストラン媒介トランスフェクション、リポフェクションまたはエレクトロポレーションを含む、外来核酸(例えばDNA)を宿主細胞に導入するための技術分野で認識される種々の技術を指すと意図される。宿主細胞を形質転換またはトランスフェクションするための適当な方法をSambrook et al. Molecular Cloning:A Laboratory Manual, 2nd ed.(Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New York, 1989)、およびその他の実験マニュアルに見出すことができる。DNAを細胞に導入するためのエレクトロポレーション、粒子ボンバードメント、リン酸カルシウム同時沈殿およびウイルス形質導入のような方法は当分野において公知であり;したがって方法の選択は当業者の能力および好みに依ってよい。
本発明の組換え細胞を調製するために、望ましい同質遺伝子を、同質遺伝子が染色体外に残るようにベクター中で宿主細胞に導入できる。かかる状況では、遺伝子は細胞により染色体外位置から発現される。好ましい態様では、同質遺伝子が細胞に存在する内在性遺伝子と組換えされるような様式で、同質遺伝子を細胞に導入する。組換えおよび染色体外維持の双方のための遺伝子の導入のためのベクターは当分野において公知であり、そして任意の適当なベクターまたはベクター構築物を本発明で用いることができる。
原核または真核細胞における変異体ポリペプチドの発現のために本発明の組換え発現ベクターを設計することができる。例えば大腸菌(E. coli)のような細菌細胞、昆虫細胞(バキュロウイルス発現ベクターを用いる)、真菌細胞、例えば酵母、または哺乳動物細胞において変異体ポリペプチドを発現させることができる。適当な宿主細胞はGoeddel, Gene Expression Technology:Methods In Enzymology(Academic Press, San Diego, Calif., 1990)においてさらに論じられている。
原核細胞におけるポリペプチドの発現は、大腸菌において融合または非融合のいずれのポリペプチドの発現を指向する構成または誘導プロモーターを含有するベクターで実施されることが最も頻繁である。典型的な融合発現ベクターにはpGEX(Pharmacia Biotech Inc;Smith & Johnson, Gene 67:31-40(1988))、pMAL(New England Biolabs, Beverly, Mass., USA)およびグルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)、マルトースE結合ポリペプチドまたはポリペプチドAの各々と融合して組換えポリペプチドを標的とするpRIT5(Pharmacia, Piscataway, N.J., USA)が含まれる。適当な誘導非融合大腸菌発現ベクターの実例にはpTrc(Amrann et al., Gene 69:301-315(1988))およびpET 11d(Studier et al., Gene Expression Technology:Methods In Enzymology(Academic Press, San Diego, Calif., 1990)pp. 60-89)が含まれる。その他の計画はGottesman, Gene Expression Technology:Methods In Enzymology(Academic Press, San Diego, Calif., 1990)pp. 119-128およびWada, et al., Nucl. Acids Res. 20:2111-2118(1992))により記載されている。
ポリペプチド発現ベクターは酵母発現ベクターでよい。出芽酵母における発現のためのベクターの実例にはpYepSec1(Baldari et al., EMBO J. 6:229-234(1987)), pMFa(Kurjan & Herskowitz, Cell 30:933-943(1982)), pJRY88(Schultz et al., Gene 54:113-123(1987))、pYES2(InVitrogen Corporation, San Diego, Calif. USA)およびpicZ(InVitrogen Corp, San Diego, Calif., USA)が含まれる。これに代えてバキュロウイルス発現ベクターを用いて変異体ポリペプチドを昆虫細胞において発現させることができる。培養された昆虫細胞(例えばSF9細胞)におけるポリペプチドの発現に利用可能なバキュロウイルスベクターには、pAcシリーズ(Smith et al., Mol. Cell. Biol. 3:2156-2165(1983))およびpVLシリーズ(Lucklow & Summers, Virology 170:31-39(1989))が含まれる。pCDM8(Seed, Nature 329:842-846(1987))またはpMT2PC(Kaufman et al., EMBO J. 6:187-195(1987))のような哺乳動物発現ベクターを用いて本発明の核酸を哺乳動物細胞において発現させることができる。原核および真核細胞の双方に適当なその他の発現系に関しては、例えばSambrook et al., Molecular Cloning:A Laboratory Manual, 2nd ed., Chapters 16 and 17(Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New York, 1989)を参照のこと。組織特異的および発達調節される調節エレメントが当分野において公知である。アンチセンス遺伝子を用いる遺伝子発現の調節の論考に関しては、例えばWeintraub et al., “Antisense RNA as a molecular tool for genetic analysis,” Trends in Genetics 1(1)(1986)を参照のこと。
本発明の化合物を含む培養中の原核または真核宿主細胞のような宿主細胞を用いて組換え変異体ポリペプチドを生成(すなわち発現)することができる。組換えポリペプチドの精製は当分野において周知であり、そしてイオン交換精製技術または例えば化合物に対する抗体を伴うアフィニティー精製技術が含まれる。
トランスジェニック動物
本発明のバリアント遺伝子を発現する組換え生物、すなわちトランスジェニック動物を当分野において公知の標準的な手順を用いて調製する。本発明の構築物を担持するトランスジェニック動物を当業者に公知のいくつかの方法により作成することができる。例えば米国特許第5610053号ならびに:Recombinant DNA, Eds. J.D. Watson, M. Gilman, J. Witkowski & M. Zoller(W.H. Freeman and Company, New York)pp. 254-272の「外来遺伝子のマウスへの導入」およびそこに引用された参照文献を参照のこと。ヒト同質遺伝子を安定して発現し、そしてヒトタンパク質を生成するトランスジェニック動物を、発現および/または活性異常に関係する疾患を研究するため、ならびにこれらの疾患の症状または影響を軽減させるための種々の候補薬物、化合物および処置計画をスクリーニングおよび検定するための生物学モデルとして使用することができる。
遺伝子発現レベルの特徴付け
mRNAレベル(すなわち遺伝子転写レベル)およびポリペプチド遺伝子発現生成物のレベル(すなわち遺伝子翻訳レベル)を検出および測定する方法は当分野において周知であり、そしてヌクレオチドマイクロアッセイおよび質量分析を伴うポリペプチド検出方法ならびに/または抗体検出および定量技術の使用を含む。Tom Strachan & Andrew Read, Human Molecular Genetics, 2nd Edition.(John Wiley and Sons, Inc. Publication, New York, 1999))もまた参照のこと。
標的遺伝子転写の決定
生物学的試料、例えば個体の組織または体液中の遺伝子の発現生成物のレベルの決定を種々の方式で実施することができる。「生物学的試料」なる用語は対象から単離された組織、細胞、生物学的液体およびその単離物、ならびに対象内に存在する組織、細胞、液体が含まれると意図される。多くの発現検出方法は単離されたRNAを用いる。インビトロ法に関しては、mRNAの単離に対して選ばない任意のRNA単離技術を、細胞からのRNAの精製に利用できる。例えばAusubel et al., Ed., Curr. Prot. Mol. Biol.(John Wiley & Sons, New York, 1987-1999)を参照のこと。
一つの態様では、標的遺伝子のmRNA発現生成物のレベルを決定する。特異的mRNAのレベルの測定のための方法は当分野において周知であり、そしてノーザンブロット分析、逆転写PCRおよびリアルタイム定量的PCRを含むか、またはオリゴヌクレオチドアレイもしくはマイクロアレイへのハイブリダイゼーションによる。その他のさらに好ましい態様では、血液または血清を含み、これに限定されない体液または組織試料中の遺伝子のタンパク質またはポリペプチド発現生成物のレベルを決定することにより発現レベルの決定を実施することができる。例えば米国特許第4843155号の一段階RNA単離方法のような当業者に周知の技術を用いて多数の組織試料を容易に処理することができる。
サザンまたはノーザン分析、PCR分析およびプローブアッセイを含み、これに限定されない、ハイブリダイゼーションまたは増幅アッセイにおいて単離されたmRNAを使用することができる。mRNAレベルの検出のための一つの好ましい診断方法は、単離されたmRNAを、検出される遺伝子によりコードされるmRNAにハイブリダイズできる核酸分子(プローブ)と接触させることを伴う。核酸プローブは例えば全長cDNA、または少なくとも7、15、30、50、100、250または500ヌクレオチド長で、そして本発明のマーカーをコードするmRNAまたはゲノムDNAにストリンジェント条件下で特異的にハイブリダイズするのに十分であるオリゴヌクレオチドのようなその一部でよい。本発明の診断アッセイにおいて使用するためのその他の適当なプローブは本明細書にて記載される。mRNAのプローブとのハイブリダイゼーションは、問題のマーカーが発現されていることを示す。
一つの形式では、プローブを固体表面に固定し、そして例えばAffymetrix遺伝子チップアレイ(Affymetrix, Calif. USA)でmRNAをプローブと接触させる。本発明のマーカーによりコードされるmRNAのレベルの検出において使用するために当業者は公知のmRNA検出を容易に適合させることができる。
試料中の本発明のマーカーに対応するmRNAのレベルを決定するための代替えの方法は、例えばRT−PCR(実験的な態様は米国特許第4683202号に示される);リガーゼ連鎖反応(Barany et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:189-193(1991))、自家持続配列複製法(Guatelli et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:1874-1878(1990));転写増幅系(Kwoh et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:1173-1177(1989));Q−ベータレプリカーゼ(Lizardi et al., Biol. Technology 6:1197(1988));ローリングサークル複製法(米国特許第5854033号);または任意のその他の核酸増幅方法による核酸増幅の過程、続いて当業者に周知の技術を用いる増幅された分子の検出を伴う。これらの検出スキームは、かかる分子が非常に少数で存在する場合、核酸分子の検出に特に有用である。本明細書で使用される、「増幅プライマー」は遺伝子の5’または3’領域(各々プラスおよびマイナス鎖、逆も同様)にアニーリングできる一対の核酸分子であると定義され、そして間に短い領域を含有する。一般的に、増幅プライマーは約10−30ヌクレオチド長であり、そして約50−200ヌクレオチド長の領域が隣接する。
リアルタイム定量的(RT−PCR)は例えば本発明の遺伝子、例えば目的のSNPおよび多型を含有するものの遺伝子発現レベルを評価するための一つの方式である。RT−PCRアッセイはRNA逆転写酵素を利用してmRNA鎖を含むRNA鎖からのDNA鎖の合成を触媒する。得られたDNAを特異的に検出および定量でき、そしてこの過程を用いてmRNAの特異的な種のレベルを決定することができる。これを行うための一つの方法はTAQMAN(登録商標)(PE Applied Biosystems, Foster City, Calif., USA)であり、そしてAMPLITAQ GOLD(商標)DNAポリメラーゼの5’ヌクレアーゼ活性を活用してPCR反応の間にプローブの特異的な形態を切断する。これはTAQMAN(商標)プローブと称される。Luthra et al., Am. J. Pathol. 153:63-68(1998);Kuimelis et al., Nucl. Acids Symp. Ser. 37:255-256(1997);およびMullah et al., Nucl. Acids Res. 26(4):1026-1031(1998))を参照のこと。反応の間、プローブの切断がレポーター色素およびクエンチャー色素を分離し、結果的にレポーターの蛍光が増加する。レポーター色素の蛍光の増加をモニタリングすることによりPCR生成物の蓄積を直接検出する。Heid et al., Genome Res. 6(6):986-994(1996))。核酸標的の出発コピー数が多いほど、蛍光のより迅速な有意な増加が観察される。Gibson, Heid & Williams et al., Genome Res. 6:995-1001(1996)を参照のこと。
細胞の転写状態を測定するためのその他のテクノロジーにより、二重制限酵素消化を位相化(phasing)プライマーと組み合わせる方法(例えば欧州特許第0534858(A1)号参照)または定義されたmRNA末端に最も近い部位の制限フラグメントを選択する方法(例えばPrashar & Weissman, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93(2)659-663(1996)参照)のような電気泳動分析のための複雑さが限定された制限フラグメントのプールを生じる。
その他の方法は各cDNAを同定するために複数のcDNAの各々で十分な塩基、例えば20−50塩基をシークエンシングすることによるか、または定義されたmRNA末端経路パターンに相対して公知の位置で作成された短いタグ、例えば9−10塩基をシークエンシングすることによるように、cDNAプールを統計的にサンプリングする。例えばVelculescu, Science 270:484-487(1995)を参照のこと。試料中のcDNAレベルを定量し、そして当業者に周知の標準的な統計手段を用いることにより、各cDNAの平均、代表値および標準偏差を決定する。Norman T.J. Bailey, Statistical Methods In Biology, 3rd Edition(Cambridge University Press, 1995)。
ポリペプチドの検出、免疫学的検出法
本発明の遺伝子によりコードされるタンパク質の発現を、検出可能なように標識された、または続いて標識され得るプローブにより検出することができる。プローブまたは抗体に関して「標識された」なる用語は、プローブまたは抗体に検出可能な物質をカップリング、すなわち物理的連結することによるプローブまたは抗体の直接標識、および直接標識された別の試薬との反応性によるプローブまたは抗体の間接標識を包含すると意図される。間接標識の実例には蛍光標識された二次抗体を用いる一次抗体の検出および蛍光標識されたストレプトアビジンでそれを検出できるような、DNAプローブのビオチンでの末端標識が含まれる。一般的にプローブは発現されたタンパク質を認識する抗体である。種々の様式を用いて試料が所定の抗体に結合する標的タンパク質を含有するかどうかを決定することができる。本発明の標的ポリペプチドの検出に有用なイムノアッセイ法には、例えばドットブロッティング、ウェスタンブロッティング、タンパク質チップ、競合および非競合タンパク質結合アッセイ、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、免疫組織化学、蛍光活性化細胞分取(FACS)ならびにその他の一般的に用いられ、そして科学的および特許文献において広く記載されているものが含まれ、これに限定されず、そして多くは市販により用いられる。当業者は細胞が本発明のマーカーを発現するかどうか、および血液またはその他の身体組織中のその特異的ポリペプチド発現生成物の相対濃度を決定するのに使用するために公知のタンパク質/抗体検出法を容易に適合させることができる。当業者に周知である技術を用いて個体からのタンパク質を単離することができる。用いられるタンパク質単離方法は、例えばHarlow & Lane, Antibodies:A Laboratory Manual(Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY, 1988))に記載されるものでよい。
開示される遺伝子の一個によりコードされるタンパク質に対する抗体を生成するために、ポリペプチドまたはその一部の注射により種々の宿主動物を免疫することができる。かかる宿主動物は、ウサギ、マウスおよびラットを含んでよく、これに限定されない。宿主の種に依存して、フロイント(完全および不完全)、水酸化アルミニウムのようなミネラルゲル;リゾレシチン、プルロニックポリオール、ポリアニオン、ペプチド、オイルエマルジョン、キーホールリンペットヘモシアニンおよびジニトロフェノールのような界面活性剤;ならびにカルメットゲラン桿菌(BCG)およびコリネバクテリウム・パルバムのような有用な可能性のあるヒトアジュバントを含み、これに限定されない種々のアジュバントを用いて免疫学的応答を増大させることができる。
培養物中の連続細胞系による抗体分子の生成を提供する任意の技術により、特定の抗原に対する抗体の均一な集団であるモノクローナル抗体(mAb)を入手できる。これらは、Kohler & Milstein, Nature 256:495-497(1975)のハイブリドーマ技術;および米国特許第4376110号;Kosbor et al., Immunol. Today 4:72(1983)のヒトB細胞ハイブリドーマ技術;Cole et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 80:2026-2030(1983);ならびにCole et al., Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy(Alan R. Liss, Inc., 1985)pp. 77-96のEBVハイブリドーマ技術を含み、これに限定されない。
加えて、適切な生物学的活性のヒト抗体分子からの遺伝子と一緒に適切な抗原特異性のマウス抗体分子からの遺伝子をスプライシングすることによる「キメラ抗体」の生成のために開発された技術(Morrison et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81:6851-6855(1984);Neuberger et al., Nature 312:604-608(1984);およびTakeda et al., Nature 314:452-454(1985)参照)を用いることができる。キメラ抗体は、マウスmAbに由来する可変または超可変領域およびヒト免疫グロブリン定常領域を有するもののような、異なる部分が異なる動物種に由来する分子である。
あるいは、一本鎖抗体の生成のために記載された技術(米国特許第4946778号;Bird, Science 242:423-426(1988);Huston et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:5879-5883(1988);およびWard et al., Nature 334:544-546(1989))を差次的に発現された遺伝子一本鎖抗体を生成するために適合させることができる。
「ヒト化抗体」の生成に有用な技術をタンパク質、そのフラグメントまたは誘導体に対する抗体を生成するために適合させることができる。かかる技術は米国特許第5932448号;第5693762号;第5693761号;第5585089号;第5530101号;第5569825号;第5625126号;第5633425号;第5789650号;第5661016号;および第5770429号に開示されている。
ウェスタンブロットまたは免疫蛍光技術のような方法において抗体または抗体フラグメントを使用して、発現されたタンパク質を検出することができる。かかる使用において、抗体またはタンパク質のいずれかを固体支持体上に固定するのが一般的に好ましい。適当な固相支持体またはキャリアには、抗原または抗体に結合できる任意の支持体が含まれる。周知の支持体またはキャリアには、ガラス、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、デキストラン、ナイロン、アミラーゼ、天然および修飾セルロース、ポリアクリルアミド、ハンレイ岩(gabbros)ならびに磁鉄鉱が含まれる。
検出の容易さのために有用な方法はサンドイッチELISAであり、その多くの変法が存在し、その全てが本発明の方法およびアッセイで使用されると意図される。本明細書で使用される、「サンドイッチアッセイ」は基本の2部位技術に関する全ての変法を包含すると意図される。免疫蛍光およびEIA技術は双方共に当分野において非常に十分に確立されている。しかしながら、放射性同位元素、化学発光または生物発光分子のようなその他のレポーター分子を用いることもできる。必要とされる使用に適合させるために手順をどのように変えるかは当業者に容易に明らかとなろう。
結合部位が細胞ゲノムによりコードされる複数のタンパク質種に特異的な固定された、好ましくはモノクローナルの抗体を含むマイクロアレイを構築することにより、タンパク質をモニタリングする全ゲノム、すなわち「プロテオーム」を実施することができる。好ましくは、抗体はコードされるタンパク質の実質的な分画に関して、または少なくとも目的の生物学的ネットワークモデルを試験または確認するのに適当なこれらのタンパク質に関して存在する。前記のとおり、モノクローナル抗体を作成するための方法は周知である。例えばHarlow & Lane, Antibodies:A Laboratory Manual”(Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New York, 1988)を参照のこと。好ましい態様では、細胞のゲノム配列に基づいて設計された合成ペプチドフラグメントに対してモノクローナル抗体を上昇させる。かかる抗体アレイを用いて細胞からのタンパク質をアレイに接触させ、そして当分野において公知のアッセイを用いてその結合を測定する。
ポリペプチドの検出、二次元ゲル電気泳動
二次元ゲル電気泳動は当分野において周知であり、そして典型的には一次元に沿って等電点電気泳動、続いて二次元に沿ってSDS−PAGE電気泳動を伴う。例えばHames et al., Gel Electrophoresis of Proteins:A Practical Approach(IRL Press, New York, 1990);Shevchenko et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93:14440-14445(1996);Sagliocco et al., Yeast 12:1519-1533(1996);およびLander, Science 274:536-539(1996)を参照のこと。
ポリペプチドの検出。質量分析
標的ポリペプチドの同一性および発現レベルを、質量分析技術(MS)を用いて決定することができる。MSベースの分析方法論は単離された標的ポリペプチドの分析および生物学的試料中の標的ポリペプチドの分析に有用である。標的ポリペプチドの分析において使用するためのMS形式には、マトリックス支援レーザー脱離(MALDI)のようなイオン化(I)技術、イオンスプレーまたはサーモスプレー、およびマッシブクラスター衝撃(MCI)技術のような連続またはパルスエレクトロスプレーイオン化(ESI)および関連する方法が含まれ、これに限定されない。かかるイオン供給源を、直線または非直線リフレクトロン飛行時間(TOF)、単一または複数の四重極、単一または複数の磁場型、フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴(FTICR)、イオントラップおよびイオン−トラップ/TOFのようなその組み合わせを含む検出形式と結びつけることができる。イオン化のために、非常に多くのマトリックス/波長の組み合わせ(例えばマトリックス支援レーザー脱離(MALDI))または溶媒の組み合わせ(例えばESI)を用いることができる。
質量分析(MS)のために、適切な溶液または試薬系中で標的ポリペプチドを可溶化することができる。溶液または試薬系、例えば有機または無機溶媒の選択は標的ポリペプチドの特性および実施されるMSの型に依存し、そして当分野において周知の方法に基づく。例えばMALDIに関してVorm et al., Anal. Chem. 61:3281(1994);およびESIに関してValaskovic et al., Anal. Chem. 67:3802(1995)を参照のこと。ペプチドのMSはまた、例えば国際PCT出願第WO93/24834号および米国特許第5792664号にも記載されている。標的ポリペプチドが蒸発過程のために導入されたエネルギーにより分解される危険性を最小にする溶媒が選択される。例えば試料のマトリックスへの包埋により、標的ポリペプチド分解の危険性の低減を達成することができる。適当なマトリックスは糖、例えばペントースもしくはヘキソース、またはセルロースのような多糖類のような有機化合物でよい。かかる化合物を化学的反応に至り得る残留物が形成されないように熱分解によりCOおよびHOに分解する。マトリックスはまたアンモニウムの硝酸塩のような無機化合物でもよく、それは何ら残留物を残さずに本質的に分解される。これらのおよびその他の溶媒の使用は当業者に公知である。例えば米国特許第5062935号を参照のこと。エレクトロスプレーMSはFenn et al., J. Phys. Chem. 88:4451-4459(1984);およびPCT出願第WO90/14148号に記載されており;そして本出願は概説に要約されている。Smith et al., Anal. Chem. 62:882-89(1990);およびArdrey, Spectroscopy 4:10-18(1992)を参照のこと。
MSにより決定された標的ポリペプチドの質量を対応する公知のポリペプチドの質量と比較することができる。例えば標的ポリペプチドが変異体タンパク質である場合、対応する公知のポリペプチドは対応する非変異体タンパク質、例えば野生型タンパク質でよい。複数のイオンピークの存在のためにESIを用いる試料のフェムトモル量での分子量の決定は非常に正確であり、その全てを質量計算に用いることができる。例えばESI MS(Valaskovic et al., Science 273:1199-1202(1996))およびMALDI MS(Li et al., J. Am. Chem. Soc. 118:1662-1663(1996))を用いてタンパク質のサブアトモルレベルが検出されている。
マトリックス支援レーザー脱離(MALDI)
生物学的試料、例えば体液または組織試料中の標的タンパク質のレベルを、さらに以下で詳記されるマトリックス支援レーザー脱離/イオン化飛行時間質量分析(MALDI−TOF−MS)および表面増強レーザー脱離/イオン化飛行時間質量分析(SELDI−TOF−MS)のような、しかし、これに限定されない当分野において公知のこれらの技術を含む質量分析(MS)法により測定することができる。MALDIを実施するための方法は当分野において周知のである。例えばJuhasz et al., Analysis, Anal. Chem. 68:941-946(1996)参照、ならびにまたMALDIおよび遅延引き出しプロトコールの記載に関して例えば米国特許第5777325号;第5742049号;第5654545号;第5641959号;第5654545号および第5760393号もまた参照のこと。分解能を改善するための非常に多くの方法もまた公知である。MALDI−TOF−MSはHillenkamp et al., Biological Mass Spectrometry, Burlingame & McCloskey, eds.(Elsevier Science Publ., Amsterdam, 1990)pp. 49-60により記載されている。
質量分析を用いるマーカー検出のための種々の技術を用いることができる。Bordeaux Mass Spectrometry Conference Report, Hillenkamp, Ed., pp. 354-362(1988);Bordeaux Mass Spectrometry Conference Report, Karas & Hillenkamp, Eds., pp. 416-417(1988);Karas & Hillenkamp, Anal. Chem. 60:2299-2301(1988);およびKaras et al., Biomed. Environ. Mass Spectrum 18:841-843(1989)を参照のこと。TOF−MSにおけるレーザービームの使用は、例えば米国特許第4694167号;第4686366号、第4295046号および第5045694号(その全てを出典明示により本明細書の一部とする)にて示される。その他のMS技術により、フラグメント化することなく高分子量バイオポリマーの揮発を成功させることが可能になり、そして広範な生物学的マクロ分子を質量分析により分析することが可能になっている。
表面増強レーザー脱離/イオン化(SELDI)
親和性質量分析(AMS)として記載される、プローブエレメントが特異的な分析対象の捕捉およびドッキングに積極的に参加することを可能にする表面を伴う新しいMSプローブエレメント組成物を用いるその他の技術が用いられる。SELDI特許米国特許第5719060号;第5894063号;第6020208号;第6027942号;第6124137号;および米国特許出願第2003/0003465号を参照のこと。表面増強親和性捕捉(SEAC)を伴ういくつかの型の新しいMSプローブエレメントが設計されている。Hutchens & Yip, Rapid Commun. Mass Spectrom.7:576-580(1993)参照。SEACプローブエレメントを用いて、タンパク質表面構造および生体特異的分子認識について分かっていることを活用することにより、様々なクラスのバイオポリマー、特にタンパク質を取り出し、そして繋留することに成功している。MSプローブエレメント表面上に固定された親和性捕捉装置、すなわちSEACはプローブ表面に関して分析対象の位置および親和性(特異性)を決定し、したがって続く分析用MS過程が効率的である。
SELDIの一般的なカテゴリー内に三つの別個のサブカテゴリーがある:(1)プローブエレメント表面、すなわち試料提示手段が、表面に直接(無溶媒で)加えられた分析対象の脱離/イオン化を促すために「マトリックス」の代わりにエネルギー吸収分子(EAM)を含有するように設計された表面増強ニート脱離(SEND)。(2)種々のメカニズム(たいていは非共有結合)により、プローブエレメント表面、すなわち試料提示手段が、分析対象のプローブ表面への特異的または非特異的のいずれかの付着または吸収(いわゆるドッキングまたは繋留)を促すために化学的に定義されたおよび/または生物学的に定義された親和性捕捉装置を含有するように設計されたSEAC。(3)プローブエレメント表面、すなわち試料提示手段が共有結合ドッキング装置として提供されるために一個以上の型の化学的に定義された架橋分子を含有するように設計または修飾された表面増強光解離性付着および放出(SEPAR)。SEPAR試料提示手段(すなわちプローブエレメント表面)と分析対象(例えばタンパク質)との間の光解離性分子付着点の型および数を決定する化学的特異性は、分析対象中の多くの様々な残基および化学構造(例えばタンパク質およびペプチドの場合、His、Lys、Arg、Tyr、PheおよびCys残基)のいずれか一個以上を伴うことができる。
ポリペプチドの機能化
目的のポリペプチドを修飾して固体支持体へのコンジュゲーションを促すことができる。化学的または物理学的部分を適切な位置でポリペプチドに組み込むことができる。例えばポリペプチドのカルボキシル末端もしくはアミノ末端に、またはペプチドのアミノ酸に(例えば反応性側鎖に、またはペプチドバックボーンに)適切な官能基を加えることにより目的のポリペプチドを修飾することができる。しかしながら当業者は、かかる修飾、例えばビオチン部分の組み込みが、特定の試薬のポリペプチドと特異的に相互作用する能力に影響を及ぼし得ることを認識し、そしてしたがって関係する場合、目的のポリペプチドをいかに最良に修飾するかを選択するのにこの因子を考慮する。通常ポリペプチドに存在する天然発生アミノ酸はまたポリペプチドの固体支持体へのコンジュゲーションに適当な官能基を含有し得る。例えばポリペプチドに存在するシステイン残基を用いてスルフヒドリル基を含有する支持体、例えばそこにシステイン残基が付着している支持体にポリペプチドをジスルフィド結合を介してコンジュゲーションさせることができる。二個のアミノ酸の間で形成され得るその他の結合は、例えば、二個のランチオニン残基(ポリペプチドに組み込むことができる非天然発生アミノ酸)の間のモノスルフィド結合;Gluのy−カルボキシル基(またはAspのアルファカルボキシル基)とLysのアミノ基の間のような、酸性アミノ酸と塩基性アミノ酸の側鎖の間のアミド基転移反応により形成されるラクタム結合;または例えばSerのヒドロキシ基とGluのカルボキシル基(またはAspのアルファカルボキシル基)の間の架橋により生成されるラクトン結合を含み、これに限定されない。故に、固体支持体を修飾して望ましいアミノ酸残基、例えばGlu残基を含有することができ、そしてSer残基、特にN末端またはC末端でSer残基を有するポリペプチドをラクトン結合の形成を介して固体支持体にコンジュゲーションさせることができる。ポリペプチドのSerとラクトン様結合を形成するのが望ましい場合、特定のアミノ酸、例えばGluを含有するように支持体を修飾する必要はないが、その代わりに接近可能なカルボキシル基を含有するように修飾することができ、故にGluのアルファカルボキシル基に対応する機能を提供する。
チオール反応性官能基
チオール反応性官能基はポリペプチドを固体支持体にコンジュゲーションさせるのに特に有用である。チオール反応機能性は共有結合、例えばジスルフィド結合またはチオエーテル結合を生み出すために求核性チオール部分と容易に反応できる化学的基である。種々のチオール反応性官能基は当分野において公知であり、例えばヨードアセチルのようなハロアセチル;ジアゾケトン;エポキシケトン、アルファエノンおよびベータエノンのようなアルファおよびベータ不飽和カルボニル;ならびにマレイミドのようなその他の反応性マイケルアクセプター;酸ハロゲン化物;ベンジルハロゲン化物;等が含まれる。Greene & Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis, 2nd Edition(John Wiley & Sons, 1991)を参照のこと。
所望により、チオール基を光切断可能な保護基で遮断することができ、それを次いで例えばフォトリソグラフィーにより選択的に切断して、目的のポリペプチドの固定のために活性化された表面の部分を提供することができる。光切断可能な保護基は当分野において公知であり(例えば公開国際PCT出願第WO92/10092号;およびMcCray et al., Ann. Rev. Biophys. Biophys. Chem. 18:239−270(1989)参照)、そして例えばフォトリソグラフィーマスクを用いて表面の選択された場所の照射により選択的に脱遮断され得る。
リンカー
リンカーを介して目的のポリペプチドを支持体に直接付着させることができる。ペプチドまたはアミノ酸を支持体に、直接またはスペーサーを介してのいずれかで連結するのに適当な当業者に公知の任意のリンカーを使用できる。例えばポリペプチドを種々のスペーサーの手段を介してビーズのような支持体にコンジュゲーションさせることができる。リンカーにはRinkアミドリンカー(例えばRink, Tetrahedron Lett. 28:3787(1976)参照);塩化トリチルリンカー(例えばLeznoff, Ace Chem. Res. 11:327(1978)参照);およびMerrifieldリンカー(例えばBodansky et al., Peptide Synthesis, 2nd Edition(Academic Press, New York, 1976)参照)が含まれる。例えばトリチルリンカーが公知である。例えば米国特許第5410068号および第5612474号を参照のこと。アミノトリチルリンカーもまた公知である。例えば米国特許第5198531号を参照のこと。その他のリンカーには、融合タンパク質に組み込まれ、そして宿主細胞において発現され得るものが含まれる。かかるリンカーは選択されたアミノ酸、酵素基質または任意の適当なペプチドでよい。核酸を単離する場合にプライマーを適切に選択することによりリンカーを作成することができる。これに代えて目的のタンパク質の翻訳後修飾によりそれらを付加することができる。ペプチドを支持体に化学的に連結するのに適当であるリンカーには、アミンおよびチオール基のような遊離反応基間のジスルフィド結合、チオエーテル結合、ヒンダードジスルフィド結合および共有結合が含まれる。
切断可能なリンカー
リンカーは、選択条件下で切断されるように可逆的な連結を提供できる。とりわけ選択的に切断可能なリンカーには、光切断可能なリンカー(米国特許第5643722号参照)、酸切断可能なリンカー(Fattom et al., Infect. Immun. 60:584-589(1992)参照)、酸不安定性リンカー(Welhoner et al., J. Biol. Chem. 266:4309-4314(1991)参照)および熱感受性リンカーが有用である。連結は例えばメルカプトエタノールもしくはジチオエリスロールにより化学的に切断可能であるジスルフィド結合;光切断可能であり得るビオチン/ストレプトアビジン連結;酸性条件への暴露により、もしくはMSの条件下で切断できるトリチルエーテル基のヘテロ二価誘導体(Koester et al, Tetrahedron Lett. 31:7095(1990)参照);ほぼ中性条件下でヒドラジニウム/酢酸塩バッファーで切断できるレブリニル媒介連結;そのいずれかがトリプシンのようなエンドペプチダーゼにより切断できるアルギニン−アルギニンもしくはリジン−リジン結合;ピロホスファターゼにより切断できるピロリン酸結合;またはリボヌクレアーゼを用いてもしくはアルカリ性条件への暴露により切断できるリボヌクレオチド結合でよい。3−アミノ−(2−ニトロフェニル)プロピオン酸のような光解離性架橋を固体支持体からのポリペプチドの切断のための手段として用いることができる。Brown et al., Mol Divers, pp. 4-12(1995);Rothschild et al., Nucl. Acids. Res. 24:351-66(1996);および米国特許第5643722号。その他のリンカーにはリボザイムおよびその他のRNA酵素により切断可能であるRNAリンカー、およびヒトIgG1の定常領域からのCH、CHおよびCHのような種々のドメインのようなリンカーが含まれる。Batra et al., Mol Immunol 30:379-396(1993)参照。
任意のリンカーの組み合わせもまた本明細書で企図される。例えばシリル連結または光切断可能な連結のようなMS条件下で切断可能であるリンカーを、これらの条件下で切断されないが、その他の条件下で切断できるアビジンビオチン連結のようなリンカーと組み合わせることができる。3−HPAマトリックス溶液の添加時の標的ポリペプチドの調整の間に酸不安定性結合が切断されるので、酸不安定性リンカーはとりわけ質量分析、特にMALDI−TOFのための有用な化学的に切断可能なリンカーである。酸不安定性結合を別個のリンカー基、例えば酸不安定性トリチル基として導入することができるか、またはジイソプロピルシリルを用いて一個以上のシリル橋を導入することにより、合成リンカーに組み込み、それによりポリペプチドと固体支持体との間にジイソプロピルシリル連結を形成することができる。1.5%トリフルオロ酢酸(TFA)または3−HPA/1%TFA MALDI−TOFマトリックス溶液のような穏やかな酸性条件を用いてジイソプロピルシリル連結を切断することができる。ジイソプロピルシリル連結およびその類似体の調製のための方法は当分野において周知である。例えばSaha et al., J. Org. Chem. 58:7827-7831(1993)を参照のこと。
ポリペプチドを固定するためのピンツールの使用
ピンツールを用いて目的のポリペプチドを固体支持体に固定するのが特に有利である。ピンツールには本明細書に開示されるか、またはそうでなければ当分野において公知のものが含まれる。例えば米国特許出願第08/786988号および第08/787639号;ならびに国際PCT出願WO98/20166を参照のこと。
アレイ、例えば4×4アレイのピンツールを目的のポリペプチドが入ったウェルに適用することができる。ピンツールが各ピンチップまたは固体支持体に付着した官能基を有する、例えば機能化ビーズまたは常磁性ビーズが各ピンに付着している場合、ウェル中のポリペプチドを捕捉できる(収容能力1ピコモル)。捕捉工程の間、ピンを動かし続けて(垂直に1−2mm動かす)捕捉の効率を高める。インビトロ転写のような反応がウェル中で実施される場合、ピンの動きは反応の効率を高めることができる。ピンツールに電場を適用することにより、結果的にさらなる固定化に至る。ピンツールに電位を適用すると、ポリペプチドはその正味の電荷に依存して陽極または陰極に結合する。
さらなる特異性に関して、目的のポリペプチドのみがピンに結合するように、そこに目的のポリペプチドに特異的な試薬がコンジュゲーションされているようにピンツール(電位を伴うかまたは伴わない)を修飾することができる。例えばポリヒスチジン配列を含有するポリペプチドのみが結合するように、ピンはニッケルイオンを付着させることができる。同様に抗体により認識されるエピトープを含有する標的ポリペプチドのみがピンにより結合するように、ピンはそこに、または同じくピンに付着したビーズに付着した標的ポリペプチドに特異的な抗体を有することができる。
例えばUV/VIS、IR、蛍光、化学発光、NMR分光学、MSもしくは当分野において公知のその他の方法のような分光技術、またはその組み合わせを含む種々の手段により捕捉されたポリペプチドを分析することができる。条件が捕捉されたポリペプチドの直接分析を排除する場合、試料濃度の利点が喪失されないような条件下でポリペプチドをピンから放出するかまたは移すことができる。したがって最低容量の溶離液を用いて試料を何ら喪失することなく、ピンからポリペプチドを除去することができる。ポリペプチドがピンに付着したビーズに結合している場合、ポリペプチドを含有するビーズをピンから除去し、そしてビーズから直接測定を行うことができる。
ピンツールはアレイ上で、空間的に場所指定できる様式で目的のポリペプチドを固定するのに有用であり得る。かかる空間的に場所指定できる、または予め場所指定されたアレイは例えば品質管理およびアミノ酸シークエンシング診断を含む種々の方法において有用である。米国特許出願第08/786988号および第08/787639号ならびに国際PCT出願第WO98/20166号に記載されるピンツールは固体支持体の表面上でポリペプチドのマルチエレメントアレイを作成するために用いることができる連続および並行分注道具である。アレイ表面は平坦で、ビーズを伴うかまたは、ビーズを含有できるウェルを含めるために幾何学的に改変されてよい。加えて、MS幾何学はピンツール装置を収容するために適合させることができる。
生物学的状態のその他の態様
本発明の種々の態様では、薬物および経路応答を得るために、生物学的活動状態の態様または混合された態様を測定することができる。細胞機能の特徴付けに関係するタンパク質の活性を測定することができ、そして本発明の態様はかかる測定値に基づいてよい。特徴付けされている特定の活性に適切な任意の機能的、生化学的または物理的手段により活性測定を実施することができる。活性が化学的形質転換を伴う場合、細胞性タンパク質を天然基質と接触させ、そして形質転換の率を測定することができる。活性が多量体ユニットの会合、例えば活性化されたDNA結合複合体とDNAとの会合を伴う場合、会合したタンパク質の量または、転写されたmRNAの量のような会合の二次的結果を測定することができる。また例えば細胞サイクル制御のような機能的活性のみが公知である場合、機能の性能を観察することができる。しかしながら、公知のおよび測定されたタンパク質活性の変化は本発明の方法により分析される応答データを形成する。別のおよび非限定的な態様では、応答データは細胞の生物学的状態の混合された態様の形を為す。例えば特定のmRNA存在量における変化、特定のタンパク質存在量における変化、および特定のタンパク質活性における変化から応答データを構築することができる。
本発明の好ましい態様をさらに十分に説明するために以下の実施例を提示する。この実施例は決して添付の請求の範囲により定義されるように本発明の範囲を限定するものではない。
InDDEx試験からの患者におけるAffymetrix 100Kゲノムスキャン
序論および要旨
この実施例の目的は本発明の25個のAD関連変異を同定する遺伝子関連性研究を記載することである。遺伝子関連性研究のためのゲノム規模での分析はわずか過去2年の内に可能になってきている。Exelon(InDDex;ENA713B IA07)臨床試験でのアルツハイマー病の診断への遅れに対する調査は、MCIを患い、そして種々の用量のExelon(リバスチグミン)またはプラセボを与えられた患者を追跡し、そしてADへのその転換を追跡した。試験は選択的DNA収集構成要素を有し、ここで442個の試料を収集した。
Affymetrix 100K遺伝子型決定プラットフォームを用いてMCIからADへの転換に寄与する遺伝子変化を同定するために、InDDex(ENA713B IA07)臨床試験からの420人の患者の試料を遺伝子型決定し、そしてHaploviewのケースコントロール試験を用いて単点および推定されたハプロタイプブロックに関して全ゲノム関連分析を実施した。結果の表現型はMCIからADへの転換または非転換であった。本研究の不偏のゲノム規模の研究法により以前にはADと連関されていなかった変異および遺伝子領域の同定に至った。
健忘性MCIの診断のために一般的に用いられる基準には、例えば記憶欠陥;本質的に正常な判断、認知および推理する技能;主に正常な日常生活の活動性;類似の年齢および教育背景のその他のヒトと比較して記憶試験での成績の低下;ならびに認知症の不在;が含まれ、これに限定されない。健忘性(記憶関連)MCIに関する危険因子はアルツハイマー病に関するものと同一であり、そして家族歴;遺伝学および年齢を含む。MCIは日常の機能を妨げるのに十分重篤な知的および社会的能力の喪失であるADとは対照的である。認知症はアルツハイマー病を有するヒトにおいて生じるが、それは健常な脳組織が変性し、記憶および精神的能力の定常的な低下を引き起こすためである。
方法
収集された血液試料からDNAを抽出した。標的調製、マイクロアレイへのハイブリダイゼーション、スキャニングおよびデータ捕捉を全て100KプラットフォームのためのAffymetrixプロトコールに記載されるように実施した。最終的に442個のDNA試料のうちの420個の遺伝子型決定に成功し、その他の22個はDNAの質および量の理由で除外した。
遺伝子型データをチップハイブリダイゼーション設備のGCOSからBMDサーバーにアップロードし、そしてHaploview.ped入力フォーマットでmatching.infoフォーマット注釈ファイルと一緒にLinuxサーバーにエクスポートした。(コール率<90%または重複HindIIIおよびXbaIアッセイ間で一を超える誤対合を有する試料をデータベースから排除した)。ENA713B IA07臨床データベースからの結果(転換または非転換)データを遺伝子型データにマージし、そして以下のパラメーターを用いてHaploviewでケースコントロール分析を染色体毎に実施した:「−nogui−check−assocCC−blockoutput GAB−hwcutoff 0.00001−maxDistance 200」。そうでなければ、デフォルト設定を使用した。染色体毎の出力ファイルを単一のゲノム規模のファイルにアセンブルし、Windowsサーバーにインポートし、そしてSASにマージした。
最高結果、単点およびハプロタイプブロックの双方を提供されたHaploviewカイ二乗値によりランク付けし、単点の結果もまたフィッシャーの直接確率検定によりランク付けし、そしてAffymetrixデータベースからのアッセイデータで注釈付けした。複数の試験(有益な試験n=109780)に関するボンフェローニペナルティーの後、研究規模の有意性(p=0.05)に合致する単点の結果はなく、Haploviewの並べ替え検定においても研究規模の有意性の閾値(p=0.05)に合致する組み合わされた単点およびハプロタイプ試験は全くない。
結果
単一マーカーおよびハプロタイプ分析をゲノムにわたって実施し、対立遺伝子またはハプロタイプはAD転換と関連した。結果を性別、APOE E4状態および処置群により階層化した。本研究で利用されるAffymetrix 100K遺伝子型決定チップは発現プロファイリングに関して用いられるマイクロアレイとメカニズムが類似する。これらの研究で用いられる二個のチップの組はゲノムにわたって一様に分配された>100000個のSNPに関する遺伝子型データを提供した。Exelon InDDex試験からの442個の試料のうちの420個が本研究において用いられる遺伝子型決定チップへのハイブリダイゼーションに成功した。制限酵素での消化によりゲノムの複雑さは低減し、そして増幅され、チップにハイブリダイズされ、そしてスキャンされた。480万個ほどの遺伝子型が作成された。
遺伝子型QC工程
30個の重複SNPの比較およびXbaIとHindIII対との間の性の比較によりAffymetrix 100Kアレイを評価した。一を超える誤対合が存在した場合、チップを排除した。喪失チップが>1の場合、試料を排除した。「試料あたりのコール率」が≧90%であるチップを分析に含めた。Affymetrix 100Kアレイの性能の要旨を以下の表2Aにて提供する。
Figure 2010501186
2個の好結果のチップを有する患者試料の数は420個(95%)であった。一個失敗のアッセイ/チップを有する患者試料の数は17個(3.9%)であった。2個失敗のアッセイ/チップを有する患者試料の数は5個(1.1%)であった。本発明の研究のためのアッセイ性能の観察された再現性は99.9%であった。Affymetrixにより提供された陽性対照のうちの8個の試料もまたコールされた遺伝子型に関して99.9%の精度を示す。
表2Bに示される通り、全臨床研究と、人口統計学的特徴、ベースラインMMSEおよびAD転換率に関するゲノムスキャン研究との間に有意な差異はなかった。
Figure 2010501186
ハプロタイプ分析
各ハプロタイプに関して、症例および対照に関する全てのハプロタイプ頻度を推定した。各ハプロタイプをAD転換との関連性に関して試験した。追跡調査のための優先順位を付けるために、全ての関連性をp値(カイ二乗)によりランク付けした。ハプロタイプブロック評価のために、(Gabriel et al., Science 296:2225-2229(2002))の方法を利用して、ゲノムにわたって16858個のハプロタイプブロックを同定した。
ハプロタイプブロック評価(すなわち本発明のハプロタイプ)により観察された15個の上位関連性を以下の表3に要約する。
Figure 2010501186
Figure 2010501186
Figure 2010501186
Figure 2010501186
Figure 2010501186
Figure 2010501186
Figure 2010501186
Figure 2010501186
カイ二乗結果によりランク付けされた単点およびハプロタイプ評価により観察された遺伝子関連性の組み合わされた結果を以下の表4に要約する。
Figure 2010501186
Figure 2010501186
Figure 2010501186
Figure 2010501186
表5で示されるように、上位遺伝子関連性はGRIA1(グルタミン酸受容体、イオンチャネル型、AMPA 1)、AK5(アデニル酸キナーゼ5)、SLC1A3(溶質キャリアファミリー1(グリア高親和性グルタミン酸トランスポーター)メンバー3)、BAI3(脳特異的血管形成阻害剤3)およびCACNA2D1(カルシウムチャネル、電位依存性、アルファ2/デルタサブユニット1)の、またはその近くのSNPを伴った。
Figure 2010501186
単一マーカー関連性
MCIからADへの転換に関する単一の遺伝子マーカー関連性の評価を109768個のマーカーに関して実施した。対立遺伝子頻度を72の症例と347の対照との間で比較した。MCIからADへの転換に関連すると同定された上位25個の単点遺伝子変異(本発明のバイオマーカー)を表6に要約する。
Figure 2010501186
均等物
本発明の一つ以上の態様の詳細を前記に添えた記載に示す。本明細書に記載されたものに類似するかまたは均等な任意の方法および材料を本発明の実施または試験に用いることができるが、好ましい方法および材料をここで記載する。本発明のその他の特色、目的および利点は記載および請求の範囲から明らかであろう。明細書および添付の請求の範囲では、明らかにそうではないと規定される局面以外は、単数形態は複数の言及を含む。特記しない場合、本明細書で使用される全ての技術的および科学的用語は本発明が属する分野の当業者により一般的に理解されるものと同一の意味を有する。本明細書に引用された全ての参照は、あたかも各個々の出版物、特許または特許出願が具体的におよび個々にその全てを全目的に関して出典明示により本明細書の一部とされると示されるかのように、同程度にその全てを全目的に関して出典明示により本明細書の一部とされる。
本発明は本出願に記載される特定の態様に関して限定されるものではなく、それは本発明の個々の態様の単なる説明として意図される。当業者には明らかであろうように、本発明の多くの修飾および変化を、その精神および範囲から逸脱することなく行うことができる。本発明の範囲内の機能的に均等な方法および装置は、本明細書にて列挙されたものに加えて、前記の記載から当業者には明らかであろう。かかる修飾および変化は添付の請求の範囲の範囲内に入ると意図される。本発明はかかる請求の範囲により与えられた均等物の全範囲と共に、添付の請求の範囲の用語によってのみ限定されるものである。

Claims (13)

  1. MUT−1;MUT−2;MUT−3;MUT−4;MUT−5;MUT−6;MUT−7;MUT−8;MUT−9;MUT−10;MUT−11;MUT−12;MUT−13;MUT−14;MUT−15;MUT−16;MUT−17;MUT−18;MUT−19;MUT−20;MUT−21;MUT−22;MUT−23;MUT−24;MUT−25;からなる群から選択される少なくとも一個の遺伝子変異の存在に基づいて選択された対象集団における毒性の低下または効果の増大を伴うアルツハイマー病処置用医薬品の製造におけるリバスチグミン(Exelon)の使用。
  2. (a)AK5;BAI3;BBX;C18orf20;C5orf3;CACNA2D1;CCDC2;CD47;CNTNAP5;GRIA1;LAMA3;LOC131368;LRRC19;MGC27434;NFKBIZ;PIK3C3;SLC1A3;SPAG16;ST3GAL3;TEK;およびTNFSF11:からなる群から選択される少なくとも一個の遺伝子の一個または複数の遺伝子座で対象の遺伝子型またはハプロタイプを入手し(ここで遺伝子型および/またはハプロタイプはアルツハイマー病を有する傾向を示す);そして
    (b)該対象に抗アルツハイマー病治療を投与する;
    工程を含む、対象におけるアルツハイマー病を処置するための方法。
  3. 抗アルツハイマー病治療が:タクリン;ドネペジル;リバスチグミン;ガランタミン;およびメマンチンからなる群から選択される、請求項2に記載の方法。
  4. 遺伝子型が:MUT−1;MUT−2;MUT−3;MUT−4;MUT−5;MUT−6;MUT−7;MUT−8;MUT−9;MUT−10;MUT−11;MUT−12;MUT−13;MUT−14;MUT−15;MUT−16;MUT−17;MUT−18;MUT−19;MUT−20;MUT−21;MUT−22;MUT−23;MUT−24;MUT−25;からなる群から選択される遺伝子多型および/または変異を含有する少なくとも一個の対立遺伝子とヘテロ接合性である請求項2に記載の方法。
  5. 遺伝子型が:MUT−1;MUT−2;MUT−3;MUT−4;MUT−5;MUT−6;MUT−7;MUT−8;MUT−9;MUT−10;MUT−11;MUT−12;MUT−13;MUT−14;MUT−15;MUT−16;MUT−17;MUT−18;MUT−19;MUT−20;MUT−21;MUT−22;MUT−23;MUT−24;およびMUT−25;の変異および/または多型を含有する少なくとも一個の対立遺伝子とホモ接合性である、請求項2に記載の方法。
  6. 抗アルツハイマー病治療が:MUT−1;MUT−2;MUT−3;MUT−4;MUT−5;MUT−6;MUT−7;MUT−8;MUT−9;MUT−10;MUT−11;MUT−12;MUT−13;MUT−14;MUT−15;MUT−16;MUT−17;MUT−18;MUT−19;MUT−20;MUT−21;MUT−22;MUT−23;MUT−24;およびMUT−25;からなる群から選択される遺伝子変異または多型を含む遺伝子の発現レベルを上昇または低下させる薬剤の治療上有効な量の投与である、請求項2に記載の方法。
  7. (a)AK5;BAI3;BBX;C18orf20;C5orf3;CACNA2D1;CCDC2;CD47;CNTNAP5;GRIA1;LAMA3;LOC131368;LRRC19;MGC27434;NFKBIZ;PIK3C3;SLC1A3;SPAG16;ST3GAL3;TEK;およびTNFSF11;からなる群から選択される少なくとも一個の遺伝子の一個または複数の遺伝子座で対象の遺伝子型またはハプロタイプを入手し;
    (b)MUT−1;MUT−2;MUT−3;MUT−4;MUT−5;MUT−6;MUT−7;MUT−8;MUT−9;MUT−10;MUT−11;MUT−12;MUT−13;MUT−14;MUT−15;MUT−16;MUT−17;MUT−18;MUT−19;MUT−20;MUT−21;MUT−22;MUT−23;MUT−24;およびMUT−25;からなる群から選択される変異または多型の存在を決定するために遺伝子型および/またはハプロタイプを評価し(ここで変異または多型の存在は対象が表1で同定されるアルツハイマー病関連変異が予測される障害を有する傾向を示す);そして
    (c)表1で同定されるアルツハイマー病関連変異が予測される障害を有する傾向を有する対象を同定する;
    工程を含む、表1で同定されるアルツハイマー病関連変異が予測する障害を有する対象を同定するための方法。
  8. 表1で同定されるアルツハイマー病関連変異が予測する障害がアルツハイマー病である、請求項7に記載の方法。
  9. (a)AK5;BAI3;BBX;C18orf20;C5orf3;CACNA2D1;CCDC2;CD47;CNTNAP5;GRIA1;LAMA3;LOC131368;LRRC19;MGC27434;NFKBIZ;PIK3C3;SLC1A3;SPAG16;ST3GAL3;TEK;およびTNFSF11;からなる群から選択される少なくとも一個の遺伝子の一個または複数の遺伝子座で対象の遺伝子型および/またはハプロタイプを問い合わせ;
    (b)次いで:
    (i)遺伝子型が対象によるアルツハイマー病に対する傾向を示すときに対象を研究に含める;
    (ii)遺伝子型が対象によるアルツハイマー病に対する傾向を示さないときに対象を研究から排除する;または
    (iii)(i)および(ii)の双方;
    を含む、治療薬または治験薬の研究に対象を含めるべきかどうかを処置の開始の前に決定するための方法。
  10. (a)AK5;BAI3;BBX;C18orf20;C5orf3;CACNA2D1;CCDC2;CD47;CNTNAP5;GRIA1;LAMA3;LOC131368;LRRC19;MGC27434;NFKBIZ;PIK3C3;SLC1A3;SPAG16;ST3GAL3;TEK;およびTNFSF11;からなる群から選択される少なくとも一個の遺伝子の一個または複数の遺伝子座で対象の遺伝子型またはハプロタイプを入手し;
    (b)MUT−1;MUT−2;MUT−3;MUT−4;MUT−5;MUT−6;MUT−7;MUT−8;MUT−9;MUT−10;MUT−11;MUT−12;MUT−13;MUT−14;MUT−15;MUT−16;MUT−17;MUT−18;MUT−19;MUT−20;MUT−21;MUT−22;MUT−23;MUT−24;およびMUT−25;からなる群から選択される変異または多型の存在を決定するために遺伝子型および/またはハプロタイプを評価し(ここで変異または多型の存在は障害の処置に応答する対象を示す);そして
    (c)対象を障害の処置に応答すると同定する;
    工程を含む、障害を有する対象の処置に対する応答性を決定するための方法。
  11. (a)AK5;BAI3;BBX;C18orf20;C5orf3;CACNA2D1;CCDC2;CD47;CNTNAP5;GRIA1;LAMA3;LOC131368;LRRC19;MGC27434;NFKBIZ;PIK3C3;SLC1A3;SPAG16;ST3GAL3;TEK;およびTNFSF11;からなる群から選択される少なくとも一個の遺伝子の一個または複数の遺伝子座で対象の遺伝子型またはハプロタイプを入手し;
    (b)MUT−1;MUT−2;MUT−3;MUT−4;MUT−5;MUT−6;MUT−7;MUT−8;MUT−9;MUT−10;MUT−11;MUT−12;MUT−13;MUT−14;MUT−15;MUT−16;MUT−17;MUT−18;MUT−19;MUT−20;MUT−21;MUT−22;MUT−23;MUT−24;およびMUT−25;からなる群から選択される変異または多型の存在を決定するために遺伝子型および/またはハプロタイプを評価し(ここで変異または多型の存在は化合物で処置された場合に毒性を発達させるであろう対象を示す);そして
    (c)対象を化合物で処置された場合に毒性を発達させるであろう対象として同定すること;
    を含む、化合物で処置された場合に毒性を発達させるであろう対象を処置の前に決定するための方法。
  12. (a)対象からの第1の被験生物学的試料を提供し;
    (b)第1の被験生物学的試料よりも後に第2の対象からの被験生物学的試料を提供し;
    (c)MUT−1;MUT−2;MUT−3;MUT−4;MUT−5;MUT−6;MUT−7;MUT−8;MUT−9;MUT−10;MUT−11;MUT−12;MUT−13;MUT−14;MUT−15;MUT−16;MUT−17;MUT−18;MUT−19;MUT−20;MUT−21;MUT−22;MUT−23;MUT−24;およびMUT−25;からなる群から選択される変異を含む配列を有する遺伝子によりコードされるポリヌクレオチドまたはポリペプチドを検出するための試薬と被験生物学的試料を接触させ;
    (d)被験生物学的試料中のポリペプチドまたはポリヌクレオチドの発現のレベルを決定し;そして
    (e)第1の被験生物学的試料中のポリヌクレオチドのレベルまたはポリペプチドレベルを第2の被験生物学的試料中のポリヌクレオチドまたはポリペプチドのレベルと比較すること(ここで第1の被験生物学的試料中のポリヌクレオチドまたはポリペプチドのレベルと相対して、第2の被験生物学的試料中のポリヌクレオチドまたはポリペプチドのレベルの上昇または低下は化合物で処置されている対象における毒性の進行または発達を示す);
    を含む化合物で処置されている対象における毒性の進行または発達をモニタリングするための方法。
  13. (a)被験生物学的試料を提供し;
    (b)MUT−1;MUT−2;MUT−3;MUT−4;MUT−5;MUT−6;MUT−7;MUT−8;MUT−9;MUT−10;MUT−11;MUT−12;MUT−13;MUT−14;MUT−15;MUT−16;MUT−17;MUT−18;MUT−19;MUT−20;MUT−21;MUT−22;MUT−23;MUT−24;およびMUT−25;からなる群から選択される変異を含む配列を有する遺伝子によりコードされるポリヌクレオチドまたはポリペプチドを検出するための試薬と被験生物学的試料を接触させ;
    (c)被験生物学的試料中のポリペプチドまたはポリヌクレオチドの発現のレベルを決定し;そして
    (d)被験生物学的試料中のポリヌクレオチドまたはポリペプチドレベルを標準参照試料中のポリヌクレオチドまたはポリペプチドのレベルと比較する(ここでポリヌクレオチドまたはポリペプチドのレベルと、標準参照試料中のポリヌクレオチドまたはポリペプチドのレベルとの間の類似性は対象における毒性の発達を示し、そして化合物を中止すべきであることを決定する);
    工程を含む、化合物での処置の間または後に毒性を有する危険性のある対象において化合物での処置を中止すべきである場合を決定するための方法を提供する。
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