JP2008504221A - HER−2/neuを模倣するヒト抗イディオタイプ抗体フラグメント - Google Patents

HER−2/neuを模倣するヒト抗イディオタイプ抗体フラグメント Download PDF

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Abstract

本発明は、Her−2/neu腫瘍関連抗原を模倣する能力により特徴づけられるヒト抗イディオタイプ抗体フラグメント、特にscFvに関する。これらの抗体フラグメントは、Her−2/neuに陽性な癌患者のための有効な免疫療法のための候補として見込まれる。

Description

本発明は、HER−2/neu腫瘍関連抗原を模倣するヒト抗イディオタイプ抗体フラグメントに関する。
腫瘍関連抗原(TAA)HER−2/neuは、いくつかのヒト癌の表面上に過剰発現されるが、正常な組織におけるその発現は制限されていることから、有効な癌の免疫療法のための癌ワクチン候補として見込まれている。これは、動物及び人において免疫原生であることが示され、そしてモノクローナル抗体の標的となりうる。当該185kDaの膜貫通型リン酸糖タンパク質は、リガンド結合及びキナーゼ活性を有する細胞内細胞質ドメインにおいて機能するシステインリッチ細胞外ドメイン(ECD)から成る。更に、HER−2/neuは、上皮成長因子レセプターファミリーのメンバーである。HER−2/neuタンパク質の過剰発現が生じる癌は、ヒト腺癌、例えば、乳癌(乳管癌の20〜40%)、又は卵巣癌(30%)を含む。過剰発現は、より活動的な疾患及び節陽性乳癌においてより乏しい予後に結びつくが、自己癌細胞に対する免疫応答を示す炎症性浸潤を含むステージIの乳房腫瘍を伴ういくらかの患者においては、好ましい予後に関することが確立されている(Rilke et al. 1991)。これらの患者においてより優れた結果である1つの仮説は、更に成長及び転移を直接的又は間接的に制限できるHER−2/neu免疫応答の発生に関連しうる。癌を伴う患者におけるHER−2/neu特異性免疫を規定する異なる研究は、高レベルのT細胞及び抗体免疫が、たとえ彼らの大半において低く又は欠乏しているとしても、いくらかの患者には存在することを示す(Disis et al. 1994-Fisk et al. 1995-Peoples et al. 1995)。これは、免疫耐性が存在し、おそらくHER−2/neuの癌胎児性起源に関係し、そしてこれが当該抗原に対する有効なワクチン接種に対する障壁を示すことが強く示唆される(Nanda et al. 1995-Disis et al. 1998)。更に、異なる研究は、抗HER−2/neuモノクローナル抗体(mAbs)が腫瘍を根絶するために有効となりうることを証明した(Baselga et al. 2001)。
これらの発見は、更に、乳癌の治療のため、又は再発性疾患の予防のためのHER−2/neuに対する免疫を誘発及び増加するためのワクチンの戦略を試験するための研究をシミュレートしてきた。有効なワクチン戦略は耐性を回避しなければならない。この理由のために、当該耐性を破壊するための方法、例えば、異なる分子環境中の決定的なエピトープを、寛容化された宿主に提示すること、が開発された。いくつかの研究は、HER−2/neuに対する耐性がペプチド型ワクチン(Disis et al. 1996-Dakappagari et al., 2000-Disis et al. 2002)、又はDNA(Concetti et al. 1996-Di Carlo et al. 2001-Pilon et al. 2001)のいずれかでの免疫化により回避することができるかを評価した。いくつかの奨励される結果は、問題の存在、例えば、ペプチドの弱い免疫原生、又は機能的な腫瘍遺伝子をコードするプラスミドDNAの有害作用の可能性を伴い得られた。
自己タンパク質に対する免疫耐性を克服するためのワクチン戦略が発展されるなか、抗イディオタイプ抗体を伴うワクチン接種は、いくつかの悪性疾患の治療のためのアプローチを約束するものとして記載された。
抗イディオタイプ抗体は、他の抗体分子の抗原結合領域又は可変領域に対する抗体(イディオタイプ又はIdと称される)である。イディオタイプ関係のJerneのネットワークモデル(Jerne 1974-Jerne etal. , 1982)に基づく理論において、与えられた抗原のためのパラトープ(抗原結合部位)を発現する抗体分子での免疫化は、抗抗体のグループを産生し、これらのいくつかはパラトープに対する相補的な構造の抗原を共有する。抗イディオタイプ抗体の亜集団での免疫化は、順番に抗体の亜集団、又は初回抗原に反応性の免疫細胞サブセットを産出するであろう。
腫瘍特異性Idワクチンでの能動免疫化は、動物において腫瘍成長を阻害することが極めて早くから示された(Kennedy et al. 1985)。
米国特許第5,766,588号は、腫瘍免疫療法、又は免疫的予防のための抗イディオタイプ抗体を利用する方法を提案する。しかしながら、当該米国特許に記載された抗イディオタイプ抗体は、ハイブリドーマにより分泌されるマウス抗体である。
機能的に抗原を模倣する抗Id抗体は、直腸結腸癌[CEA, (Foon et al. 1999) ]、B及びT細胞リンパ腫[それぞれ、gp72, (Kwak et al. 1992) 及び gp37 (Bhattacharya-Chatterjee et al. 1988)]の治療、及びディシアロガングリオシドGD2に対する能動免疫応答により誘因される黒色腫(Foon et al. 2000)の治療に使用されてきた。ヒトの高分子量の黒色腫関連抗原を模倣する抗ディオタイプmAbもまた、特異的な能動免疫療法を実行するために臨床試験において試験された(Mitttelmanet al. 1990)。
1998年において、マウスmAbから作成された抗イディオタイプ一本鎖可変性フラグメント(scFv)による癌胎児性抗原(CEA)の模倣は、マウスにおいて生じる液体応答のレベルに関する確証的な結果を伴い公表された(Tripathi et al. 1998)。より最近には、同グループの研究は、ヒトHER−2/neuの代理抗原としてマウスモノクローナル抗Id抗体の使用を記載した(Baral et al. 2001)。
しかしながら、これらの先行研究において試験された大半の抗体は、マウス抗体であり、これは、人において所望されない副作用を誘発するようである。人に「外来」抗体、例えば、マウス抗体の注射を繰り返すと、実際に有害な過敏感反応、即ち抗マウス抗体(HAMA)又は抗イディオタイプ応答を誘導するようである。当該HAMA応答は、増加した患者の血清由来のクリアランス速度、及び/又は患者によるアレルギー反応により、頻回投与の有効性を低下させる。当該問題は原則として、ヒト免疫系により、外来性として認識されない抗体を作成することにより回避することができる。
Leung et al., 2000において言及されているとおり、ヒト抗イディオタイプ抗体については未だほとんど知られていない。
従って、本発明は、Her−2/neuに陽性な癌患者のための、能動免疫療法において特に有用な、Her−2/neu腫瘍関連抗原を模倣するヒト抗イディオタイプ抗体フラグメントを供することにより必要性を満たす。
本発明は、より具体的には、ファージディスプレイにより選択され、そして既知の抗Her−2/neu抗体のF(ab’)2フラグメントに対する抗イディオタイプscFvにより特徴づけられる。異なる免疫化スケジュールを使用する生体内実験から得られたデータは、これらのヒト抗Id scFvが、有効な抗Her−2/neu体液性応答を誘発できることを示す。
これに基づき、本発明の対象は、Her−2/neu腫瘍関連抗原を模倣する能力により特徴づけられるヒト抗イディオタイプフラグメントである。
本発明の他の対象は、医薬的に受容可能な担体に結合して、このような抗体フラグメントを含んで成る医薬組成物である。
本発明の更なる対象は、Her−2/neuが過剰発現される腫瘍の予防又は治療のためのこのような抗体フラグメントの使用である。
本発明の他の対象は、Her−2/neu特異性保護抗腫瘍免疫を誘発するための抗原提示細胞(APC)、例えば、樹状細胞を調製するための生体外における方法であって、当該方法は、APCをこれらの抗体フラグメントに接触することを含んで成る。当該APCは、Her−2/neuが過剰発現される腫瘍の予防又は治療に有用である。
一般的定義:
本発明に従い、「抗体」又は「免疫グロブリン」は同じ意味を有し、そして本発明において等しく使用される。自然抗体中、2つの重鎖はジスルフィド結合により互いに連結し、そして各重鎖はジスルフィド結合により軽鎖と連結する。ラムダ(λ)とカッパ(κ)の2つの種類の軽鎖が存在する。抗体分子の機能活性を決定する5つの主な重鎖クラス(又はイソタイプ)が存在する:IgM、IgD、IgG、IgA、及びIgE。好ましくは、上記抗体は、IgG、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4である。各鎖は異なる配列ドメインを有する。軽鎖は、可変ドメイン(VL)と定常ドメイン(CL)の2つのドメインである。重鎖は、可変ドメイン(VH)、と3つの定常ドメイン(CH1、CH2、及びCH3、これらはまとめてCHを意味する)の4つのドメインを含む。軽鎖(VL)及び重鎖(VH)の可変領域は、抗原に対する結合認識及び特異性を決定する。軽鎖(CL)及び重鎖(CH)の定常領域は、重要な生物特性、例えば、抗体鎖の会合、分泌、経胎盤移動、相補結合、及びFcレセプターに対する結合性を与える。Fvフラグメントは、1つの軽鎖及び1つの重鎖の可変部から成る免疫グロブリンのFabフラグメントのN末端部分である。抗体の特異性は、抗体結合部位と抗原決定基の構造的相補性に帰する。抗体結合部位は、主に高頻度可変性又は相補性決定領域(CDR)由来の残基から作成される。時折、非高頻度可変性由来の残基又はフレームワーク領域(FR)が、全ドメイン構造及び結合領域に影響する。CDRは、未変性免疫グロブリン結合部位の自然Fv領域の結合親和性及び特異性を一緒に規定するアミノ酸配列を意味する。免疫グロブリンの軽鎖及び重鎖は、それぞれ、L−CDR1、L−CDR2、L−CDR3、及びH−CDR1、H−CDR2、H−CDR3と命名される各3つのCDRを有する。このように、抗原結合部位は、各重鎖及び軽鎖のV領域由来のCDRセットを含んで成る、6つのCDRを含む。FRは、CDR間に入り込むアミノ酸配列を意味する。
本発明は、Her−2/neuを模倣する、単離された機能性抗体のFab又はscFvフラグメントを供する。好ましくは、本発明の抗体フラグメントはscFvフラグメントである。
一本鎖Fv(「scFv」)ポリペプチドは、ペプチドコードリンカーにより連結されるVHとVLコード遺伝子を含む遺伝子融合から通常発現される、共有結合されたVH::VLへテロ二量体である。本発明のヒトscFvフラグメントは、特に組換え技術を使用することにより適当な高次構造をとるCDRを含む。
「精製された」又は「単離された」は、同じ種類の他の生物巨大分子の実質的な不存在下において示された分子が存在するポリペプチド(即ち、本発明の抗体フラグメント)、又はヌクレオチド配列に関しる場合を意味する。本明細書において使用される「精製された」の語は、好ましくは、少なくとも75重量%、より好ましくは少なくとも85重量%、更により好ましくは少なくとも95重量%、そして最も好ましくは少なくとも98重量%の同じ種類の生物巨大分子が存在することを意味する。特定のポリペプチドをコードする「単離された」核酸分子は、対象のポリペプチドをコードしない他の核酸分子を実質的に含まない核酸分子を意味し、しかしながら、当該分子は当該組成物の塩基特性を有害的に影響しないいくつかの追加的な塩基又は部分を含んでよい。
「機能保存変異体」は、ポリペプチドの全体の高次構造及び機能を変化することなくタンパク質中のアミノ酸残基が変化されているものであり、制限することなく、類似する特性を有するものでのアミノ酸置換(例えば、極性、水素結合能、酸性、塩基性、疎水性、芳香族性等)を含む。類似する特性を有するアミノ酸は、当業界において周知である。例えば、アルギニン、ヒスチジン、及びリジンは、親水性−塩基性アミノ酸であり、そして互換的である。同様に、疎水性アミノ酸のイソロイシンは、ロイシン、メチオニン、又はバリンで置換することができる。このような変更は、タンパク質又はポリペプチドの見かけ上の分子量又は等電点においてほとんど又は全く影響しないことが予想される。保存を示す以外のアミノ酸は、いずれか2つの類似する機能のタンパク質の間のパーセントタンパク質又はアミノ酸配列の類似性は、例えば、アライメントスキーム、例えば、クラスター法に従い測定される場合、70%〜99%で変動又は存在するようにタンパク質中で異なってもよく、ここで類似性はMEGALIGNアルゴリズムに基づく。「機能保存変異体」はまた、BLAST又はFASTAアルゴリズムにより測定した場合、少なくとも60%のアミノ酸同一性を有するポリペプチドを含み、好ましくは少なくとも75%、最も好ましくは少なくとも85%であり、更により好ましくは少なくとも90%であり、そして未変性又は親タンパク質と比較した場合、同一又は実質的に類似する特性又は機能を有する。
80%以上、好ましくは85%以上、好ましくは90%以上のアミノ酸が同一であり、あるいは約90%以上、好ましくは95%異常が類似(機能的に同一)である場合、当該アミノ酸配列は「実質的に相同」又は「実質的に類似」である。好ましくは類似又は相同配列は、例えば、GCG(Genetics Computer Group, Program Manual for the GCG Package, Version 7, Madison, Wisconsin) pileupプログラム、又はいずれかの配列比較アルゴリズム、例えば、BLAST、FASTA等を使用するアライメントにより同定される。
「医薬的」又は「医薬的に受容可能」は、哺乳類、特に人に適当に投与された場合、有害、アレルギー、又は他の都合の悪い反応を生じない分子的実体、及び組成物を意味する。
本明細書において使用される「医薬的に受容可能な担体」は、いずれか及び全ての溶媒、分散媒体、コーティング剤、抗細菌剤、及び抗真菌剤、等張剤、及び吸収遅延剤等を含む。医薬的に活性な物質のためのこのような媒体及び薬剤の使用は当業界において周知である。いずれかの慣習的な媒体又は薬剤が当該活性成分に不適合でない場合を除き、治療組成物中の使用が考慮される。補助的活性成分もまた当該組成物中に組み入れることができる。
本発明の抗イディオタイプ抗体フラグメントの産生
本発明は、Her−2/neu腫瘍関連抗原を模倣するための能力により特徴づけられる、ヒト抗イディオタイプ抗体フラグメントを供する。
ヒト抗体フラグメントは、ハイブリドーマ技術を経過することにより、ファージディスプレイライブラリーから単離することができる(Winter et al. 1994, U. S. 5,223, 409)。従って、Her−2/neu抗原を模倣することができる本発明のフラグメントは、例えば、Goletz et al, 2002 に記載された技術に従い、ファージディスプレイにより産出することが好ましい。
ファージディスプレイ技術に従い、抗原結合可変又は抗体のVドメインをコードする遺伝子セグメントは、バクテリオファージのコートタンパク質をコードする遺伝子と融合される。このような遺伝子融合を含むバクテリオファージは、細菌を感染させるために使用され、そして生じたファージ粒子は、バクテリオファージの外側に示される抗原結合ドメインを伴う抗体様融合タンパク質を発現する被膜を有する。その表面にそれぞれ異なる抗原結合領域を示す組換えファージの収集物は、ファージディスプレイライブラリーとして知られている。特定の抗原に特異的な抗体が、アフィニティークロマトグラフィーにより複合体混合物から単離することができる多くの同様の方法において、特定の抗原と特異的な抗原結合ドメインを発現するファージは、抗原に結合するためのライブラリー中のファージを選択することにより単離することができる。結合するファージ粒子を回収し、そして新鮮な細菌を感染するために使用される。当該方法により単離された各ファージは、モノクローナル抗体に類似するモノクローナル抗原結合粒子を産生する。各ファージにユニークな抗原結合部位をコードする遺伝子は、その後ファージDNAから回収することができる。抗原フラグメントをコードする遺伝子が適当な宿主細胞株、例えば、細菌に導入されると、トランスフェクトされた細胞は抗体フラグメントを分泌することができる。
以下(実施例)に記載されるETH−2合成ヒト抗体ファージライブラリーは、この点に関して極めて有用であることが判明した。
好ましい態様において、本発明に従うFab又はscfv抗体フラグメントは、ファージディスプレイにより得ることが可能である。当該方法において、起源において完全にヒトである抗体フラグメントを得ることができる。注目のフラグメントは有利に製造することができ、そしてトラスツズマブと称される(RocheによりHerceptin(登録商標)として販売されている)既知の抗Her−2/neu抗体のF(ab’)2に対して産生される。
本発明の好ましいフラグメントは、VHドメインのCDR3領域中の配列番号3(NYQIHP)、及びVLドメインのCDR3領域中の配列番号4(DPDQLL)を含んで成る。
本発明の他の好ましいフラグメントは、VHドメインのCDR3領域中の配列番号5(NYHIQP)、及びVLドメインのCDR3領域中の配列番号6(EPTPPR)を含んで成る。
機能保存変異体、又は類似配列を伴う抗体フラグメントもまた包含される。
好ましくは、scFvフラグメントが供される。
このようなscFvフラグメントは、好ましくはVHドメインのCDR3領域中の配列番号3、及びVLドメインのCDR3領域中の配列番号4を含んで成る。
他の好ましいscFvフラグメントは、VHドメインのCDR3領域中の配列番号5、及びVLドメインのCDR3領域中の配列番号6を含んで成る。
配列番号1及び配列番号2のアミノ酸配列をそれぞれ含んで成る、scFv40及びscFv69と命名されるフラグメントは、図9に示されるとおり、最も好ましい。
機能保存変異体、又は相同配列を有する抗体フラグメントもまた包含される。
所望のフラグメントのアミノ酸配列を知ることにより、当業者は、ポリペプチドの産生のための標準的な技術により、scFv40及びscFv69フラグメントを容易に産生することができる。例えば、彼らは周知の固相法(Merrifield et al. , 1962 and 1963; Tam et al. 1983)を使用して、好ましくは商業的に入手可能なペプチド合成措置(例えば、Applied Biosystems, Foster City, California製)を使用して、当該業者の説明書に従い合成することができる。
あるいは、抗体scFvフラグメントは、当業界に周知な組換えDNA技術により合成することができる(Maniatis et al. , 1982)。例えば、これらのフラグメントは所望のポリ(ペプチド)をコードするDNA配列の発現ベクターへの組み入れ、及びこのようなベクターの所望のポリペプチドを発現する適当な真核細胞又は原核細胞宿主に導入後にDNA発現産出物として得ることができ、これらは後に周知技術を使用して単離することができる。
フラグメントの多量体化:
本発明の他の態様において、上述の抗イディオタイプ抗体フラグメントの多量体、特には二量体又は三量体が供される。
多量体は、上述のFabとscFv配列間のリンカー配列を使用して、遺伝子工学により得ることができる。
上記リンカー配列は、例えば、deKruif and Logtenberg, 1996 or Pack et al. , 1993に記載されるようなロイシンジッパーを含んでよい。
抗体フラグメントの他の架橋結合多量体は、直線的多量体、特に直線頭−尾手段において所望することができる(Miller et al., 2003)。
多量体は、腎臓を介する除去を減少するため、そして注目のフラグメントの安定性及び半減期を増大させるために特に有利である。
従って、本発明の全記載において、Fab又はscFvフラグメントに関して記載されている全ての製剤(即ち医薬組成物)、使用、又は方法がこれらのフラグメントの多量体に適用されることが理解されるべきである。
医薬組成物:
本発明は、更に、Her−2/neuを過剰発現する腫瘍の予防又は治療のために有用な医薬組成物を調製することを包含する。医薬製剤の例は、以下に供する。
医薬組成物の形態、投与経路、剤形、及び投与計画は、治療される状態、疾病の重篤度、患者の年齢、体重、及び性別等に依存する。
本発明の医薬組成物は、局所、経口、非経口、鼻腔内、筋肉内、皮下、又は眼内投与等のために処方することができる。
好ましくは、上記医薬組成物は、注射することが可能な製剤のために医薬的に受容可能である媒体を含む。これらは、特に、等張性、無菌性、生理食塩溶液(リン酸一ナトリウム又は二ナトリウム、塩化ナトリウム、カリウム、カルシウム、又はマグネシウム等、又はこれらの塩の混合物)、又は乾燥、特に凍結乾燥組成物におけるものでよく、更に無菌水、又は生理食塩水の場合には、注射溶液の構成を許容する。
投与に使用される用量は、多様なパラメーターの作用として、特に使用される投与の方法、関連病理、あるいは治療の所望の期間における作用として、適応することができる。
医薬組成物を調製するために、有効量の抗イディオタイプ抗体フラグメント又はその多量体は、医薬的に受容可能な担体又は水性媒体に溶解又は分散させることができる。
注射用に適当な医薬形態は、無菌水溶液又は分散液;ゴマ油、ピーナツ油、又は水性プロピレングリコールを含む製剤;及び無菌注射溶液又は分散液の即時調製のための無菌粉末を含む。全ての場合において、上記形態は無菌でなくてはならず、且つ容易なシリンジ能が存在する液体でなければならない。これは製造及び貯蔵条件下で安定でなければならず、且つ微生物、例えば、細菌及び真菌の汚染作用に対して保存されなければならない。
遊離塩基、又は医薬的に受容可能な塩としての活性化合物の溶液は、界面活性剤、例えば、ヒドロキシプロピルセルロースと適当に混合された水中で調製することができる。分散剤もまた、グリセロール、液体ポリエチレングリコール、及びこれらの混合物中、並びに油中で調製することができる。通常の貯蔵及び使用条件下において、これらの調製物は微生物の成長を防止する防腐剤を含む。
抗イディオタイプ抗体フラグメント又はその多量体は、中性又は塩形態における組成物中に処方することができる。医薬的に受容可能な塩は、酸付加塩(タンパク質の遊離アミノ基と形成される)を含む、そして無機酸、例えば、塩酸、又はリン酸、あるいは有機酸、例えば、酢酸、シュウ酸、マンデル酸等と形成される。遊離カルボキシル基と形成される塩はまた、無機塩基、例えば、水酸化ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、又は三価鉄、及び有機塩基、例えば、イソプロピルアミン、トリエチルアミン、ヒスチジン、プロカイン等に由来してよい。
上記担体はまた、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、及び液体ポリエチレングリコール等)、これらの適当な混合物、及び植物性油脂を含む溶媒又は分散媒体であってよい。当該適当な流動性は、例えば、コーティング剤、例えば、レクチンの使用により、分散の場合における必要な粒子サイズの維持により、そして界面活性剤の使用により維持することができる。微生物の作用の予防は、多様な抗細菌及び抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサール等によりもたらすことができる。多くのケースにおいて、等張剤、例えば、糖又は塩化ナトリウムを含むことが好ましい。注射用組成物の持続的な吸収は、吸収を遅延する薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンの組成物における使用によりもたらすことができる。
無菌の注射溶液は、活性化合物を、上に列挙された多様な他の成分を伴う必要量の適当な溶媒に組み込むことにより、必要である場合には、その後のろ過滅菌により調製することができる。一般的には、分散剤は、多様な無菌活性成分を、塩基性分散媒体、及び上の列挙から必要とされる他の成分を含む無菌媒体に組み込むことにより調製することができる。無菌注射溶液の調製のための無菌粉末の場合、好ましい調製方法は、活性成分と、前もって滅菌ろ過されたその溶液由来のいずれかの追加的な所望の成分の粉末を産出する真空乾燥、及び凍結乾燥技術である。
直接注射のために、より高く濃縮された溶液の調製もまた考慮され、その場合、極めて速い浸透をもたらし、高濃度の当該活性成分を小さな腫瘍面積に対して送達する溶媒としてDMSOの使用が考慮される。
製剤において、溶液は、剤形及び治療的有効量と適合できる方法において投与される。当該剤形は、多様な剤形、例えば、上述された注射溶液のタイプにおいて容易に投与されるが、薬剤放出カプセル等もまた利用することができる。
水溶液における非経口投与のために、例えば、上記溶液は、必要であれば十分な生理食塩水又はグルコースで、適当に緩衝し、そして等張性を与えるべきである。これらの特定の水溶液は、静脈内、筋肉内、皮下、及び腹腔内投与に特に適当である。当該関係において、利用可能な無菌水性媒体は本明細書の開示に明るい当業者に既知であろう。例えば、1つの製剤は、1mlの等張性NaCl溶液に溶解でき、そして、1000mlの皮下注入液に添加、又は注入の予定部位において注射できる(例えば、"Remington's Pharmaceutical Sciences"15th Edition, pages 1035-1038 and 1570-1580を参照のこと)。用量におけるいくらかの変動は、治療される対象の状態に依存して必要的に生じるであろう。投与に関与する人は、如何なる場合も、個々の対象に適当な用量を決定するであろう。
抗イディオタイプ抗体フラグメントは、用量あたり約0.0001〜1.0ミリグラム、又は約0.001〜0.1ミリグラム、又は約0.1〜1.0、さらには約10ミリグラム程度を含んで成るように治療混合物中に処方することができる。複数回用量もまた投与することができる。
非経口投与、例えば、静脈内、又は筋肉内注射のために処方される化合物に追加して、他の医薬的に受容可能な形態は、例えば、錠剤、又は他の経口投与用固形物;時間放出カプセル;及び現在使用されるいずれかの他の形態を含む。
ある態様において、抗体フラグメントの宿主細胞への導入のためのリポソーム及び/又はナノ粒子の使用が考慮される。リポソーム及び/又はナノ粒子の処方及び使用は、当業界において既知である。
ナノカプセルは、一般的に、安定且つ再現性のある方法において化合物を包括することができる。細胞内における重合体の過負荷による副作用を回避するため、生体内で分解できる超微粒子(約0.1μmの大きさ)が一般的にデザインされる。これらの必要性に合う生分解ポリアルキル−シアノアクリル酸塩ナノ粒子が、本発明の使用に考慮され、そしてこのような粒子は容易に作成することができる。
リポソームは、水性媒体中に分散されるリン脂質から形成され、そして自発的に多層同心性二重ベシクル(多重膜ベシクル(MLV)とも称される)を形成する。MLVは、一般的に、25nm〜4μmの直径を有する。MLVの超音波処理は、核中に水溶液を含む、200〜500Åの直径を有する小単層ベシクル(SUV)の形成をもたらす。リポソームの物性は、pH、イオン強度、及び二価カチオンの存在に依存する。
免疫療法:
腫瘍を有する患者は、本発明の抗イディオタイプ抗体フラグメントでの免疫化により治療的に処置することができ、一方腫瘍の処置を有する患者は、このような免疫化により免疫予防的に処置することができる。当該抗イディオタイプ抗体フラグメントは、免疫学的応答を増強するために適当なアジュバントとともに形成することができる。これらのアジュバントは制限することなく、ミネラルゲル、例えば、水酸化アルミニウム;界面活性剤、例えば、リゾレシチン、プロトン性ポリオール;ポリアニオン;ペプチド;油乳濁液;及び潜在的に有用なヒトアジュバント、例えば、BCG(カルメット・グラン桿菌)、及びコリネバクテリウムを含んでよい。他の改善されたアジュバント系、例えば、Me Cluskie and Weeratan,2001においてレビューされるものも使用することができる。
本発明の対象は、従って、上述のとおり、Her−2/neuが過剰発現される腫瘍の予防又は治療のための医薬の調製のための、抗イディオタイプ抗体フラグメント、又はその多量体の使用である。
本発明の他の対象は、患者においてHer−2/neuが過剰発現される腫瘍の予防又は治療のための医薬の調製のための方法であり、当該方法は、上記患者に対して治療的に有効量の抗イディオタイプ抗体フラグメント、又はその多量体を投与することを含んで成る。
治療的有効量は、少なくとも10%、好ましくは少なくとも30%、好ましくは少なくとも50%、好ましくは少なくとも80%の有意な腫瘍の減少を示すために十分な量であり、あるいはこのような腫瘍の発達の危険を有意に減少するために十分な量である。
Her−2/neuの過剰発現が観察される腫瘍は、腺癌、例えば、乳癌、卵巣癌、子宮癌、胃癌、及び肺癌を含む。
Her−2/neuを模倣するヒト抗イディオタイプ抗体フラグメントを含む医薬組成物は、従って、Her−2/neuを過剰発現する腫瘍に影響される患者において保護的免疫応答を生じ、又は増強するためのワクチンとしての候補が見込まれる。
抗原提示細胞治療:
本発明の他の態様において、Her−2/neu特異性保護抗腫瘍免疫を誘発するための方法であって、当該方法が:
a)抗原提示細胞(APC)を上述の抗イディオタイプ抗体フラグメントと生体外において接触させる工程;
b)このように処理したAPCを、このような治療が必要な患者に投与する工程、
を含んで成る方法、を供する。
工程a)はまた、抗体フラグメントによる細胞の「パルシング(pulsing)」と呼ばれる(Sahaet al. , 2003)。
本発明の他の対象は、Her−2/neu特異性保護抗腫瘍免疫を含むために有用なAPCを調製するための生体外における方法であり、当該方法は、抗原提示細胞を上述の抗イディオタイプ抗体フラグメントと接触すること、又はパルスすることを含んで成る。
好ましくは上記APCは、樹状細胞、特には骨髄由来の樹状細胞である。有利には、当該APCは、投薬を意図される患者由来のものである。
このように処理した単離APCもまた、本発明の一部である。
本発明は更に、Her−2/neuが過剰発現される腫瘍の予防又は治療のための医薬の調製のためのこのようなAPCの使用を供する。
Fab又はscFvフラグメントに関して上述した、製剤(医薬組成物)、使用、又は方法もまた、このようなAPCに適用される。
以下の図及び例は、その範囲を制限することなく本発明を説明する。
代用腫瘍抗原として使用されるヒト抗イディオタイプscFvフラグメントの単離及び性質決定。
材料及び方法:
材料
Her−2/neuを過剰発現する、ヒト卵巣SK−OV−3細胞株、及びハムスター卵巣CHO細胞株は、American Type Culture Collection (Manassas, VA)から得られた。全ての生体内における実験は、実験動物研究のためのフランスのガイドラインを遵守して行った(協定番号A34220)。7週齢の雌のBALB/cマウスは Iffa Credo(L'arbresle, France)から得た。scFvフォーマットにおけるETH−2合成ヒト抗体ファージライブラリーはスイスのチューリッヒのETHから得た。当該ライブラリーは、5×108以上の異なるクローンを含む。ETH−2ライブラリーは、Pini et alの合成抗体ライブラリー(Pini et al. 1998)の改良バージョンである。抗−HER−2/neuモノクローナル抗体FRP5は、スイスのバーゼルのFMIにより供された。トラスツズマブは、Roche 社から購入した(F. Hoffmann-La Roche Ltd, Bazel, Switzerland)。コントロールとして使用したヒトIgG1は、Mabgene(Ales, France)より供された。ヒトFcフラグメントにより連結されるレセプターの2つの細胞外ドメインから構成されるHER−2/neu ECD−Fc融合タンパク質は、スイスのローザンヌ大学の生化学研究所により供された。ヒトIgG1コントロール及びトラスツズマブ F(ab’)2フラグメントは、0.2Mの酢酸ナトリウムバッファー(pH4.0)中の3%(wt/wt)比のペプシン/IgGにおける、37℃で4時間のペプシン消化により得られた(Sigma, St. Louis, MO)。当該抗体フラグメントは、セファクリル100カラム(Amersham Biosciences, Buckinghamshire, UK)でのゲルろ過クロマトグラフィーにより精製した。ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)(8.5%)は、沈着したタンパク質の95%以上の純度を明らかにした。
抗トラスツズマブF(ab’)2フラグメント 抗Id scFv抗体(Ab2)のファージディスプレイ選択
ファージディスプレイパニングのプロトコル、及び分析は、明確に記載されている(Pini et al. 1998)。当該ファージディスプレイライブラリーは、イムノチューブ上で3ラウンドのパニングにおいて、トラスツズマブ F(ab’)2フラグメントでパニングした。チューブは、3ラウンド全てのために、PBS中、それぞれ100、50、及び10μg/mlの濃度において、トラスツズマブ F(ab’)2フラグメントでコーティングした。端的には、5×1012のファージをトラスツズマブ F(ab’)2フラグメントに添加し、30分間、持続回転下でインキュベートし、続いて室温で更に1.5時間、垂直に設置した。チューブをよく洗浄し、結合ファージを、1mlの100mMトリエチルアミンの添加により溶出させ、それから大腸菌(E.coli)TG1菌株を再感染するために使用した。一昼夜での成長後、ポリエチレングリコール沈殿によりファージを単離し、そして上記サイクルを繰り返した。ファージプールをELISA法により評価した。66ウェルマイクロタイタープレートを、PBS中のトラスツズマブ又はヒトIgG1F(ab’)2フラグメント、又は抗−fdファージIg(Sigma)のいずれかで、0.5μgのタンパク質/ウェルと成るように4℃で一昼夜コーティングした。それから当該プレートを、PBS/2%(w/v)脱脂粉乳で、37℃で2時間ブロックした。PBS中の100μlのポリクローナルファージ溶液の連続希釈を各ウェルに添加した。プレートを室温で1.5時間インキュベートした。結合ファージ−scFvは、室温で1時間30分間、西洋わさびペルオキシダーゼ(HRP)−結合抗M13mAb(Amersham Biosciences)と反応させることにより検出した。当該プレートは、業者の指示(Sigma)に従いo−フェニレンジアミン基質(OPD)を使用して展開した。
抗トラスツズマブ F(ab’)2フラグメント可溶性抗Id scFvの産生及び精製
3ラウンドの選択後、ファージ結合抗体よりも可溶性抗体を産生するために、大腸菌(E.coli)HB2151細胞をファージで感染させた。単一のアンピシリン耐性感染大腸菌(E.coli) HB2151のコロニーを96ウェル組織培養プレートに採取し、そして2×TY/100μg/mlのアンピシリン/0.1%(w/v)グルコース中において37℃で3時間成長させた。scFv発現は、イソプロピルβ−D−チオガラクトピラノシド(IPTG)で、1mMの最終濃度に30℃で16時間誘発させた。細菌の上清をELISA法により、トラスツズマブ、又はヒトIgG1 F(ab’)2フラグメントとの反応性を評価した。当該ELISA法は、大腸菌(E.coli) HB2151上清のインキュベーション後に、HRP結合抗FLAG−タグM2 Ab(Sigma)を使用して結合可溶性scFvを1.5時間検出したことを除き、上述のとおり行った。
ウェスタンブロット分析のために、タンパク質抽出物を、SDSーPAGE(12.5%)によりサイズ分画し、そしてニトロセルロース上でエレクトロブロットした。当該ブロットは、室温において振動させながら1時間、TBS/1%(w/v)脱脂粉乳中でブロックし、そして室温で2時間、TBS/5%(w/v)脱脂粉乳中の検出Ab(HRP−結合抗−FLAG−タグM2)で探索した。当該ブロットを3回洗浄して、そして基質として4−クロロ−1−ナフトール(Sigma)を使用して展開した。
各陽性クローンのために、NucleoSpins (登録商標)プラスミドキット(Macherey-Nagel, Dren, Germany)を使用して、15μgのプラスミドDNAを精製した。反応のシークエンシングは、ABI PRISM 377(Applied Biosystems, Foster City, CA)での配列の自動検出のためにダイターミネーターシークエンシングキット(Dye Terminator Sequencing kit)を使用して行った。アニーリングのために、5’−TACTACGCAGACTCCGTGAAG−3’(配列番号13)、及び5’−GAATTTTCTGTATGAGG−3’(配列番号14)を使用した。
高スケールの細菌発現、及びscFv39、40、及び69の精製のために、大腸菌(E.coli)HB2151単コロニーの一昼夜培養液を使用し、1lの2×YT/100μg/mlのアンピシリン/0.1%(w/v)グルコースを播種し、そしてOD600が0.6に達するまで37℃で成長させた。scFvの発現は、1mMのIPTGを添加することにより誘発させ、そして30℃で16時間インキュベートした。細菌ペレットを、1%PMSFを伴う溶解バッファー(30mMトリス−HCl(pH7.0)、20%(w/v)スクロース、1mM EDTA)中に再懸濁させ、そして氷上で30分間冷却した。遠心分離後、上清(ぺリプラズム画分)を0.45μmのフィルターに通してろ過した。各培養液由来の透明な上清を金属キレートアフィニティークロマトグラフィー(IMAC)(30)を使用して精製した。5mlのHiTrap Ni活性化キレートHPカラム(Amersham Biosciences)上に結合したscFvを、0〜0.5Mイミダゾールの直線勾配を使用して25ml[0.02M リン酸ナトリウム、0.5M NaCl(pH7.4)]で溶出させ、そして500μlの画分を収集した。A280濃度の測定によりモニターしたタンパク質含有画分をプールし、そしてAmicon Ultra 30,000MWCO(Millipore, Bedford, Massachusetts)において1ml未満の容量に濃縮した。追加的な精製は、ゲルろ過 Superdex 75 カラム(Amersham Biosciences)における高速タンパク質液体クロマトグラフィーにより達成した。最終調製物の純度は、SDS−PAGE(12.5%)において評価した。タンパク質のバンドは、銀染色により検出した。
ELISA法及びBiacoreによる抗Id scFvの試験管内特性決定
抗Id scFvを特徴づけるために、可溶性scFvのトラスツズマブF(ab’)2フラグメントに対する結合を阻害するためのHer−2/neu ECD−Fc融合タンパク質、又はHer−2/neu ECD−Fc融合タンパク質のAb1に対する結合をブロックするための精製scFvのいずれかを使用して、競合的なELISA実験を行った。各可溶性scFvは、ELISAにおいて1〜1.5のA490を与える希釈において使用した。T1と名づけられた、無関係の可溶性scFvを、ETH−2ライブラリーから単離し、そしてこれはトラスツズマブF(ab’)2フラグメントと結合せず、コントロールとして使用された(データは示していない)。最初のフォーマットにおいて、50〜0μg/mlの濃度範囲におけるHER−2/neu ECD−Fc融合タンパク質の連続希釈を阻害溶液として使用し;結合可溶性scFvは前述の通り検出した。組換えヒト癌胎児性抗原(rhCEA)は、無関係な阻害剤として使用した。阻害の当該フォーマットはまた、HER−2/neu ECD−Fc融合タンパク質によるトラスツズマブF(ab’)2フラグメント上の個々のペリプラズム画分の結合の阻害をチェックするために3ラウンドの選択後直ぐに使用した。第二フォーマットにおいて、250〜0μg/mlの範囲の溶液の多様な濃度の精製した可溶性scFv、及びELISAにおいて1〜1.5のA490を与える希釈におけるHER−2/neu ECD−Fc融合タンパク質を使用して競合を行った。結合HER−2/neu ECD−Fc融合タンパク質は、続いて、HRP−結合抗HER−2/neu FRP5 mAbで検出した。
トラスツズマブF(ab’)2フラグメント上の抗トラスツズマブF(ab’)2フラグメント scFv及びHER−2/neu ECD−Fc融合タンパク質の結合実験を、BIACORE 2000機器(Biacore AB, Uppsala, Sweden)を使用して、表面プラズモン共鳴分析(SPR)により25℃で行った。トラスツズマブ F(ab’)2フラグメントは、製造業者の指示(Biacore AB)に従うアミンカップリング法を使用して、CM5センサーチップ表面上に共有結合的に固定化された。コントロールリファレンス表面は、トラスツズマブ F(ab’)2フラグメントの注射無しに、フローセル表面の同じ化学処理を使用して調製した。HBS−EPバッファー[10mM HEPES(pH7.4)、3mM EDTA、150mM NaCI、0.005%(w/v) P20]中の、HER−2/neu ECD−Fc融合タンパク質(15μg/ml)及び可溶性scFv(50μg/ml)をフローセルに注射し、そして解離段階は再生工程(10μlの100mM HCl)に続いた。当該流速は50μl/分であった。全てのセンサーグラム(sensorgram)は、コントロールリファレンス表面の低シグナルを減算ことにより補正した。1:1Langmuir グローバルモデルを使用して、当該データを一致させるために、BIA評価3.2ソフトウェアを使用した。阻害実験のために、抗Id scFv69の第一注射(2μMにおいて50μl)は、HER−2/neu ECD−Fc融合タンパク質の第二注射(0.06μMにおいて50μl)に続いた。10μlの100mM HClでの再生工程後、scFvの代わりにバッファーによる第一注射で類似実験を行った。当該流速は10μl/分であった。パーセント阻害を評価するために、我々は、抗IdscFv69を注射し、長い解離工程が続いた。それから当該解離曲線はHer−2/neu関連曲線から減算した。
マウス血清中のAb3応答の分析
2つの免疫化スケジュールを行った。最初に、グループあたり5匹の6〜8週齢の雌のBALB/cマウスを、3ヶ月間、月々、完全フロイントアジュバント(CFA)で乳化後、100μlのPBS又は溶出バッファー(ネガティブコントロールグループ)中の50μgの精製した可溶性抗Id scFv40又は69、又は20μgのHER−2/neu ECD−Fc融合タンパク質のいずれかにより腹腔内において免疫化した。続いて不完全フロイントアジュバント(IFA)で腹腔内において免疫化を行った(プロトコル1)。各免疫化前に血清を尾静脈から採血し、そしてアッセイのために−20℃で保管した。Magliani et al., 1998の研究により着想された二番目のものにおいて、6〜8週齢の雌のBALB/cマウスを4回免疫化した。先ず、CFAでの乳化後、1014TU/mlの力価における50μlの新鮮に調製したファージscFv40又は69、20μgのHER−2/neu ECD−Fc融合タンパク質、又はPBSのいずれかの皮下注射を行った。当該注射の2週間後、同じ用量のIFAで二回目の皮下投与を行った。2回の更なる注射は、腹腔内における最初の免疫化(プロトコル2)の後21日目及び35日目に腹腔内にて与えられた。血清抗体測定のために、マウスは、開始免疫化後21日及び42日目に採血され、そして血清を−20℃で保管した。当該血清は、上述のとおり、HER−2/neu ECD−Fc融合抗原においてフローサイトメトリー及びELISAにより抗抗Id(Ab3)応答のために確認した。得られた結果の分析はまた、Magliani et al. , 1998により記載された方法に従い行った。HER−2/neu ECD−Fc融合タンパク質で免疫化されたマウス由来のプールされた血清から成るポジティブコントロールを各測定に含んだ。結果は、1000倍にしたポジティブコントロール血清の70%の吸光度に対する検査血清の吸光度の割合として任意の単位において表した。ポジティブコントロール血清吸光度から減算された30%が抗Fc応答によるものであった(結果のセクションを参照のこと)。
マウス血清中の抗抗Id scFvを検出するために、96ウェルプレートを5μg/mlの可溶性抗Id scFvでコーティングすることにより、それから洗浄し、そしてPBS/1%(w/v)BSAにより37℃で2時間ブロックすることにより、ELISAを行った。免疫化マウス由来の血清の連続希釈[PBS/0.5%(w/v)BSA中、1〜1:3200]を、室温で1.5時間インキュベートした。HRP結合ヤギ抗マウスIgG(Sigma)の1.5時間のインキュベーション後、結合IgGを検出した。
抗抗Id scFvの存在を更に確認するために、可溶性scFvでの免疫化マウス由来の血清の連続希釈[PBS/0.5%(w/v)BSA中、1〜1:640]を前もって37℃で2時間インキュベーションすることにより、阻害(inhibition)ELISA法を行った。次に100μlの各混合物を当該ウェル中に添加し、可溶性抗Id Fvでコーティングした。当該プレートを室温で1.5時間インキュベートした。前述のとおり、結合scFvを検出した。
マウス血清中の抗Her−2/neu抗体(Ab1’)のELISA及びFACS分析
96ウェルプレートを2μg/mlのHER−2/neu ECD−Fc融合タンパク質で、4℃で一昼夜コーティングすること、その後PBS/1%(w/v)BSAでブロックすることにより、間接ELISA法を行った。100μlのマウス由来の希釈血清[PBS/0.5%(w/v)BSA中、1:100]を各ウェルに添加し、そして室温で1.5時間インキュベートした。それから、100μlのヤギ抗マウスIgG(全分子)−HRP接合体、ヤギ抗マウスIgG(γ鎖特異性)−HRP接合体、又はヤギ抗マウスIgM(μ鎖特異性)−HRP接合体のいずれかを添加し、1.5時間インキュベートし、そして上述のとおり検出した。
FACS分析のために、PBS/1%(w/v)BSA中で1:100に希釈した100μlの各マウス血清、1mg/mlのアジドとともにHer−2/neu−陽性SK−OV−3、及びHer−2/neu−陰性CHO細胞株を1時間、又は100μlの20μg/mlにおけるトラスツズマブとともに4℃で1.5時間インキュベートした。洗浄後、当該細胞を、血清のために100μlの希釈ヒツジ抗マウスIgG−FITC−標識化抗体、又はトラスツズマブのために抗ヒト−FITC−標識化抗体(Sigma)のいずれかとともに4℃で更に45分間インキュベートした。染色された細胞を500μlのPBS中に懸濁し、フローサイトメトリーによるFACS分析(Becton Dickinson, Franklin Lakes, MD)前に4℃で保管した。
結果:
能動免疫療法のために標的抗原としてHer−2/neu腫瘍性タンパク質を使用する場合の主な問題は、自己抗原に対する免疫耐性である。Ab1療法、並びにペプチド又はタンパク質型ワクチンが報告されている(Disis et al. 2002-Pegram et al. 1998)。全ての実験は、有効な治療方法の研究を進めるための必要性を指摘してきた。
本実験は、抗HER−2/neu免疫応答を生じるための抗イディオタイプ(Ab2)戦略の有効性を調査するために実施した。HER−2/neu陽性転移性乳癌を伴う女性において、単独における、及び多様な化学療法剤との組み合わせにおける有効性が示されたHER−2/neuに特異的なヒト化mAbであるトラスツズマブ(Cobleigh et al. 1999-Slamon et al. 2001) がAb1として選択された。
ヒトIgG1のFc部に特異性のscFvの選択を回避するためにトラスツズマブのタンパク質分解性の切断F(ab’)2フラグメントを使用してアフィニティー選択を行った。
抗イディオタイプscFvの単離
免疫化トラスツズマブ F(ab’)2フラグメント(Ab1)における合成ETH−2 scFvライブラリーにおける3ラウンドのパニングにより行われた、抗Id scFvの選択は、組換えポリクローナルファージ上清を使用してELISAにより確認される場合、トラスツズマブ又はヒトIgG1 F(ab’)2フラグメント(コントロールとして使用した)におけるライブラリーの実質的な親和性の向上をもたらした。また、1〜3ラウンドの選択において、2×104倍に増加したファージ力価が観察された。クローニング後、3ラウンドの個々のクローンが誘発された96ウェルプレート由来の抗体上清は、それから可溶性scFv抗体を産生するために、大腸菌(E.coli)HB2151を感染させるように使用した。ELISAにより、これらのヒトIgG又はトラスツズマブ F(ab’)2フラグメントとの反応性のために、96のペリプラズム画分を試験した。ポジティブなペリプラズム画分のウェスタンブロット分析は、我々を、約30kDaの適当な分子量を伴う単一の単量体から成るscFv抗体の選択、及び低分子量を示すこれらのものを除外することに導いた(図1)。選択されたペリプラズム画分は、HER−2/neu ECD−Fc融合タンパク質又はrhCEA(無関係な阻害剤として使用される組換えヒトCEA)により、トラスツズマブ F(ab’)2フラグメントにおけるこれらの結合の阻害のために、ELISAにより確認した。顕著な阻害(>50%)を示すクローンのみを更に分析した。上記抗体のVH及びVL領域のDNA配列決定後、本発明者は、Ab1の結合部位を認識するが、VH及びVLドメインのCDR3中に5つ又は6つのアミノ酸の異なるランダムループを示すscFv39、40、及び69と称される3つのユニークなscFvフラグメントを選択した(95位、表1を参照のこと)。
表1:3つのユニークなscFv39、40、及び69aのVH及びVLドメインのCDR3領域の予想されたアミノ酸配列
Figure 2008504221
aアミノ酸配列は1字のコードにおいて与えられる。VH及びVLの95位において導入される5又は6つのアミノ酸のランダムなループは、顕著な特徴を有する。
これらの配列の分析は、5/6つの同一のアミノ酸を供する抗Id scFv40及び69のために、ランダムループがH−CDR3(抗体の抗原認識部位の最も大きく且つ最も多様なループ)中に付加し、一方当該抗Id scFv39のH−CDR3は配列中で極めて相違し、そしてより陽性に帯電することを示した。L−CDR3に関して、3つのscFvはDPL−16生殖系列遺伝子セグメントを使用し、抗Id scFv39のL−CDR3は、全体的な陽電荷により、他のもの、特にscFv40と異なる。scFv69のL−CDR3は、ループ中の3つのプロリン残基により極めて高く束縛されるようである。
抗Id scFv39、40、及び69は、金属アフィニティークロマトグラフィー(IMAC)、続いて抗Id scFv69のために図2に示されるとおり、Superdex 75におけるゲルろ過を使用して90%の均一性に精製された。抗Id scFv39と40は同じレベルの純度を伴い得られた。また、これらの3つのscFvは、大腸菌(E.coli)TG1の感染後ファージ上で発現、表示され、そして各ファージ溶液の免疫反応性は、トラスツズマブ F(ab’)2フラグメントにおけるELISAにより調節された。
Ab2抗イディオタイプscFvの試験管内特性決定
抗Id scFvの結合特性を特徴づけるために、本発明者は、先ず、これらのscFvが、HER−2/neuエピトープのために、トラスツズマブ F(ab’)2フラグメント(Ab1)と競合的な結合性を示すか否かを確認した。HER−2/neu ECD−Fc融合タンパク質が阻害因子として使用される場合、トラスツズマブ F(ab’)2フラグメントにおける抗Id scFv40及び69の結合はともに、約90%阻害される(図3A)。抗Id scFv39の結合は23%のみが阻害され;従って抗Id scFv39は続く実験には使用しなかった。rhCEA(185kDa)を使用して同様の競合実験を行った(図3B)。阻害曲線は、高濃度のrhCEAでさえ、当該抗原(この分子量はHER−2/neu ECD−Fc融合タンパク質とほぼ同じである)がトラスツズマブ F(ab’)2フラグメントにおける結合のための抗Id scFvと競合できないことを示した。抗Id scFv40及び69は、トラスツズマブ F(ab’)2フラグメントにおける2つの異なる濃度においてHER−2/neu ECD−Fc融合タンパク質の結合を阻害するために引き続き使用した。当該フォーマットにおいて、観察された最大阻害は、250μg/mlのId scFv69では40%近くであった(図4)。Id scFv40でも同様の結果が得られた。
固定化されたトラスツズマブ F(ab’)2フラグメント上の抗Id scFv40及び69の結合速度パラメーターは、SPR技術を使用して測定した(図5A)。両scFvの親和定数は、同じ程度(5×10-6M)である一方、抗Id scFv40は、scFv69のものよりも高い結合性及び解離速度を示した(図5A)。同じ条件下において、HER−2/neu ECD−Fc融合タンパク質の親和定数は、ナノモル範囲であった[KD=(2.9±0.1)×10-9M]。また、抗Id scFv69による、固定化されたトラスツズマブ F(ab’)2フラグメント上のHER−2/neu ECD−Fc融合タンパク質の結合の阻害は、当該技術を使用して評価した。抗Id scFv69の先の注射は、トラスツズマブ F(ab’)2フラグメント上のHER−2/neu ECD−Fc融合タンパク質の結合を83%阻害した(図5B)。これらの結果は、競合的ELISAにより得られたデータを確認し、そしてより高パーセントの阻害を与え、抗Id scFv40及び69が、真のAb2βと成りうることを示唆した。そうであるとすれば、これらのscFvをマウスに注射すると、ポリクローナル抗抗Id応答(Ab1’)を誘発できるはずであり、更に試験した。
抗Id scFv40及び抗Id scFv69の免疫化特性
6〜8週齢の雌のBALB/cマウスを、腹腔内において可溶性の精製された抗Id scFv40及び69(プロトコル1)、又は皮下においてファージ上で示されたscFv(プロトコル2)のいずれかで免疫化した。各グループの5匹のマウスの血清を、3〜4回の注射後、Ab2免疫原(抗Id scFv40又は69)に対するこれらの反応性のためにELISAにより個々を試験した。全てのマウスは、抗Idに対して有意な免疫を生じ、そして当該力価は、両プロトコルにおける更なる免疫化により更に増加した。免疫前の血清又は希釈バッファー(PBS又は溶出バッファー)で免疫化したマウスのコントロール血清は、抗Id scFv40及び抗Id scFv69に対して陰性であることが検査された。野生型ファージで注射されたマウスの血清において、非特異的な応答が観察された。抗Id scFvに対するAb3の特異性を示すために、免疫化マウス由来の血清の連続希釈により阻害ELISAはトラスツズマブ F(ab’)2フラグメントにおける各抗Id scFvの結合を阻害することにより行った。ファージ粒子上に示された抗Id scFv69で免疫化したマウス由来の免疫血清の1:20の希釈は、Ab1[トラスツズマブ F(ab’)2フラグメント]に対して結合するAb2(抗Id scFv69)を100%近く阻害し、当該血清を含む抗体は、事実上、真の抗抗Idであったことを示唆した(図6)。抗Id scFv40も同様の結果を示した。反対に、HER−2/neu ECD−Fc融合タンパク質又はPBSで免疫化したマウス由来の免疫血清においては阻害が観察されなかった。
抗Id scFvでの免疫化により誘発されたAb3(Ab1’)のイディオタイプ分析
標的抗原と結合することができる、Ab1’と称される抗体のサブセットの検出のために、1:100に希釈したマウス血清を使用して、HER−2/neu ECD−Fc融合タンパク質においてELISAを行った。異なるHRP−結合Igの使用は、我々に、抗Id scFv及びコントロール免疫原での免疫化によりマウス血清中に誘発されるIgG、IgM、及び全Igレベルを測定することを許容した(図7)。各時間においてプロットした吸光度の値は、各グループの5匹のマウスの平均値±標準偏差(SD)に相当する。これらの結果は、(i)IgG又はIgM 抗HER−2/neu抗体の誘発パターンが、2つの免疫化プロトコルと類似したこと(図7A及びB);(ii)ポリクローナルAb3の有意な部分が、抗原と反応し(図7A及びB)、3〜4回の免疫原の注射後、Ab1’のレベルがプラトーに達したこと;(iii )図7Cに示されるとおり、IgM並びにIgG HER−2/neu ECD−Fc融合タンパク質応答の力価が、予想どおり、HER−2/neu ECD−Fc融合タンパク質で免疫化したマウスの血清において極めて高く、一方、ネガティブコントロールにおいては反応性が存在しなかったことを示した。LICRにより供される(Lausanne Branch)、他の組換えFc融合タンパク質、いわゆるMICA−Fcに対して陽性のHER−2/neu ECD−Fc融合タンパク質血清の反応性がELISAにより確認される場合に示されるとおり、HER−2/neu ECD−Fc融合タンパク質で免疫化したマウスの血清において、吸収されたタンパク質に対する極めて高い力価の部分は、抗ヒトFc応答によるものであった。得られたデータは、抗Fc応答が、HER−2/neu ECD−Fc融合タンパク質におけるELISAにより観察された全応答の約30%であるという結論に本発明者を導いた。
Ab1’のフローサイトメトリー分析
抗Id scFv40及び69での注射により誘発されたAb1’の性質を更に確認するために、HER−2/neu陽性SK−OV−3細胞、及びHER−2/neu陰性CHO細胞のフローサイトメトリー分析を、免疫化されたBLAB/cマウス由来の血清(1:100)で行った。トラスツズマブmAbを使用して、SK−OV−3細胞の表面におけるHER−2/neuの過剰発現、及びCHO細胞表面におけるレセプターの発現の欠如を最初に確認した(図8A及びB)。それから本発明者は、HER−2/neu ECD−Fc融合タンパク質で免疫化したマウス由来の血清中だけでなく、抗Id scFv40又は抗Id scFv69のいずれかで免疫化したマウス由来の血清中の抗体もまた、SK−OV−3細胞を特異的に染色したことを示した。CHO細胞株においては、弱い反応性のみが観察された。2つの免疫化スケジュールの最後に得られた代表的な結果は、図8A及びBにも供される。CHO細胞と比較した場合、SK−OV−3細胞上の蛍光強度の増加は、HER−2/neu ECD−Fc融合タンパク質、抗Id scFv40又は69、及びPBSで免疫化したマウス由来の血清で、それぞれ約100、25、及び2であった。希釈バッファーで注射したマウス由来の血清を使用することにより得られた細胞の染色は、免疫前の血清のものと同程度であり、従って、バックグランドシグナルと一致した。これらの実験に基づいて、本発明者は、HER−2/neuレセプターに特異的に誘導されるAbl’抗体が、抗Id scFv40又は69で免疫化したマウスの血清中に存在することを結論づけた。
参考文献
Figure 2008504221
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単一のアンピシリン耐性感染大腸菌(E.coli)HB2151コロニーの1mMのIPTGでの誘発後の、抗体を含むいくつかのペリプラスム画分の免疫ブロット分析を示す。レーン1:クローン39;レーン2:クローン40;レーン3:クローン92;レーン4:クローン69。12.5% SDS−PAGEにおけるサイズ分画後、タンパク質抽出物をニトロセルロース上でブロットした。当該免疫ブロットは、HRP−結合M2抗FLAGmAb(1:2000)で発色させ、続いて4−クロロ−1−ナフトール基質を添加した。
SDS−PAGEゲルを示す。精製の各工程における抗Id scFv69の純度は、12.5% SDS−PAGE、続く銀染色において調節された。レーン1:非精製ペリプラスミック画分。レーン2:Hitrap Ni活性キレートカラムにおける精製ペリプラスミック画分。レーン3:Hitrap Ni活性キレートカラム、続いてSupredex 75カラムにおけるゲルろ過精製による精製ペリプラスミック画分。レーン4:標準分子量マーカー。
競合的ELISAを使用する、(A)HER−2/neu ECD−Fc融合タンパク質、及び(B)rhCEAによる、トラスツズマブ F(ab’)2フラグメント上に結合する精製された可溶性scFv39、40、及び69の阻害を示すグラフである。増加量の阻害因子は、ELISA中1〜1.5の範囲のA490を与える希釈において使用された抗Id scFv39、40、又は69のいずれかと混合した。トラスツズマブ F(ab’)2フラグメントにおいて1.5時間インキュベートし、続いてHRP結合M2抗FLAGmAb(1:2000)と結合するscFvを検出した。得られた結果は、各濃度の阻害因子におけるパーセント阻害として表す。
競合的ELISAにより、精製scFv69によるトラスツズマブ F(ab’)2フラグメント上に結合するHER−2/neu ECD−Fc融合タンパク質の阻害を示すグラフである。増加量の阻害因子は、2.5〜5μg/mlにおけるHER−2/neu ECD−Fc融合タンパク質と混合し、そしてトラスツズマブ F(ab’)2フラグメントとともに1.5時間インキュベートした。それから、ペルオキシダーゼ結合抗HER−2/neu FRP5 mAb(1:3000)で、HER−2/neu ECD−Fc融合タンパク質結合を検出した。得られた結果は、各濃度の阻害因子におけるパーセント阻害として表す。
BIACORE実験の分析を示す:(A)CM5センサーチップにおけるトラスツズマブ F(ab’)2フラグメント上のId scFv40、69、及び無関係なscFvの結合速度、及び平衡親和定数(表に挿入されている)、(B)Id scFv69による、CM5センサーチップに固定化されたトラスツズマブ F(ab’)2フラグメント上に結合するHER−2/neu ECD−Fc融合タンパク質の阻害。
阻害ELISAによる、固定化されたトラスツズマブ F(ab’)2フラグメントにおける抗Id scFv69(Ab2)の結合の阻害による、BALB/cマウス(免疫化プロトコル1)の血清中のAb3抗抗Id scFv69の分析を示すグラフである。免疫前の血清又は各3グループ:HER−2/neu ECD−Fc融合タンパク質、又はPBS、又は抗Id scFv69で刺激した、マウス由来の血清の連続希釈は、可溶性抗Id scFv69とともにプレインキュベートした。続いて当該溶液をトラスツズマブ F(ab’)2フラグメントにおいて2時間インキュベートし、続いてHRP−結合M2抗FLAGmAbにより結合scFvを検出した。
マウスの血清中のAb1’応答の分析を示すグラフである。(A)可溶性の精製された抗Id scFv、プロトコル1;(B)ファージディスプレイscFv、プロトコル2;(C)HER−2/neu ECD−Fc融合タンパク質で免疫化後の多様な時間において採取された血清中のHER−2/neu IgG、又はIgM、又は全Igレベルの検出。マウスは示された時間(矢印)において、これらの抗原で免疫化された。1:100で希釈された血清中の結合抗体は、HRP−結合抗−全Ig、又はμ−若しくはγ−鎖特異性抗マウスIgで検出した。データは、各グループの5匹のマウスに対応する5つの測定値の平均値±SD A490値として表す。曲線は、PBSで免疫化したマウス由来の血清(◇)、抗Id scFv40で免疫化したマウス由来の血清(□)、抗Id scFv69で免疫化したマウス由来の血清(△)、及びHER−2/neu ECD−Fc融合タンパク質で免疫化したマウス由来の血清(○)を表す。
2つの免疫化スケジュール:可溶性抗Id scFv40及び69でのプロトコル1、及びファージディスプレイscFvでのプロトコル2後の細胞に対するマウス血清の結合性の分析を示すグラフである。結合性実験は、(A)HER−2/neuレセプターを発現しないCHO細胞、又は(B)HER−2/neuレセプターを過剰発現するSK−OV−細胞においておこなった。抗体の結合性は、FITCラベル化ヤギ抗マウス抗体を使用して、FACS分析により検出した。全ての抗体結合実験は、FITCラベル化抗ヒト抗体を使用して検出されるトラスツズマブ、及びFITCラベル化二次抗体単独の細胞における結合により測定されるバックグランド蛍光との比較において行った。曲線は、バックグランド蛍光(実線)、コントロールmAbトラスツズマブ(黒塗り□)、PBSで免疫化したマウス由来の血清(黒塗り△)、抗Id scFv40で免疫化したマウス由来の血清(○)、抗Id scFv69で免疫化したマウス由来の血清(●)、及びHER−2/neu ECD−Fcで免疫化したマウス由来の血清(★)を表す。
scFv40及びscFv69の完全配列を示す。

Claims (15)

  1. Her−2/neu腫瘍関連抗原を模倣する能力により特徴づけられる、ヒト抗イディオタイプFab又はscFvフラグメント。
  2. HドメインのCDR3領域中の配列番号3、及びVLドメインのCDR3領域中の配列番号4を含んで成る、請求項1に記載のフラグメント。
  3. HドメインのCDR3領域中の配列番号5、及びVLドメインのCDR3領域中の配列番号6を含んで成る、請求項1に記載のフラグメント。
  4. トラスツズマブF(ab’)2に対して産生される、請求項1〜3のいずれか一項に記載のフラグメント。
  5. アミノ酸配列番号1を含んで成る、請求項2に記載のフラグメントであって、当該フラグメントがscFv40と命名されているフラグメント。
  6. アミノ酸配列番号2を含んで成る、請求項3に記載のフラグメントであって、当該フラグメントがscFv69と命名されているフラグメント。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の抗体フラグメントの多量体。
  8. 医薬的に受容可能な担体との結合において、請求項1〜6のいずれか一項に記載の抗体フラグメント、又は請求項7に記載のその多量体を含んで成る医薬組成物。
  9. Her−2/neu−特異性保護抗腫瘍免疫を誘発するために有用な抗原提示細胞(APC)の調製のための生体外における方法であって、当該方法が、当該抗原細胞を請求項1〜6のいずれか一項に記載の抗イディオタイプ抗体フラグメントと接触させることを含んで成る方法。
  10. 前記APCが樹状細胞である、請求項9に記載の方法。
  11. 請求項9又は10に記載の方法に従い調製される単離APC。
  12. Her−2/neuが過剰発現される腫瘍の予防又は治療のための医薬の調製のための、請求項1〜6のいずれか一項に記載の抗体フラグメント、又は請求項7に記載のその多量体の使用。
  13. Her−2/neuが過剰発現される腫瘍の予防又は治療のための、請求項11に記載のAPCの使用。
  14. 前記腫瘍が腺癌である、請求項12又は13に記載の使用。
  15. 前記腫瘍が、乳癌、卵巣癌、子宮癌、胃癌、及び肺癌から選択される、請求項14に記載の使用。
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