JP2008501308A - Egfレセプターエピトープペプチドおよびその使用 - Google Patents

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Abstract

本発明は、一般的に、増殖因子受容体エピトープペプチド、特に、EGFファミリー受容体エピトープペプチドに関する。また、本発明は、抗腫瘍または抗癌活性を有する抗体を創製するにおける、または免疫学的応答を刺激するにおける該受容体ペプチドの使用に関する。本発明はさらに、その受容体ペプチドに対して特異的に配向する抗体に関する。免疫応答を生じさせるための方法、ならびに腫瘍および癌を処置するための方法もまた、提供される。

Description

本発明は、一般には、増殖因子受容体エピトープペプチド、特に、EGFファミリー受容体エピトープペプチドに関する。また、本発明は、抗腫瘍活性または抗癌活性を有する抗体の創製、または免疫学的応答の刺激における、その受容体ペプチドの使用に関する。本発明は、さらに、その受容体ペプチドに対して特異的に配向される抗体に関する。
(治療のための標的としての表皮増殖因子受容体(EGFR)およびde2−7 EGFR)
癌の免疫治療的処置は、疾患標的に対する高度に特異的であり得る点で、外科的処置、放射線療法および化学療法のような伝統的治療よりも優れた利点を有する。腫瘍特異的mAbは、癌細胞を標的とするのに用いることができ、潜在的標的としての腫瘍−関連抗原を同定し、つきとめる必要性を作り出す。EGFR、IL−2受容体およびp185 HER2のような増殖因子受容体の過剰発現は、しばしば、肺腫瘍、乳腫瘍、頭頸部腫瘍、および卵巣腫瘍のような腫瘍に関連付けられている。
EGFRは、チロシンキナーゼ増殖因子受容体タンパク質のファミリーに属する。EGFRは長い間研究の対象であり、最近、細胞外ドメイン(非特許文献1;非特許文献2;非特許文献3)および細胞内キナーゼドメイン(非特許文献4)で行われた成功した構造決定研究がある。これは、受容体およびそのリガンドの挙動に対する重要な情報を提供した。EGFRは細胞表面会合分子であり、これはEGFおよびトランスフォーミング増殖因子アルファ(TGFα)のような高度に特異的なリガンドの結合を介して活性化される。リガンドの結合の後、受容体が二量体化し、その結果、細胞内チロシンキナーゼ領域がリン酸化される。これは下流シグナル伝達を導き、応答のカスケードを活性化し、その結果、細胞の成長および増殖がもたらされる。正常な細胞とは異なり、腫瘍細胞は機能についてEGFRに依存していることを考慮すると、そして細胞における増殖および分化のEGFRの調節制御を阻害するある程度の可能性のために、その受容体は治療のための共通の標的である。EGFRは、通常は肝臓および皮膚で発現され、頭頸部、結直腸、膵臓、神経膠腫、膀胱および肺のような固体腫瘍ではしばしば活性が増大しており、それゆえ有用な予後マーカーとなっている。EGFRの過剰発現には、しばしば、腫瘍に対してオートクリンループの増殖をもたらす、増大したTGFα生産が伴う。さらに、いくつかの腫瘍で観察されるEGFR遺伝子の増幅および再編成は、しばしばEGFRの変異体形態の発生に関連することが見出された(非特許文献5;非特許文献6;非特許文献7)。最も一般的な突然変異体の1つは、EGFR改変体(EGFRvIIIまたはde2−7EGFR)である。de2−7EGFRは、801塩基対のイン−フレーム欠失(エクソン2〜7を欠く転写体の過剰発現に対応する)、および細胞外ドメインにおけるアミノ酸残基6〜273のかなりの大きさの欠失を有し、新規なグリシンがスプライス部位に挿入されている(非特許文献6;非特許文献8;非特許文献9;非特許文献10)。EGFRのこの短縮形態はリガンド結合に依存せず、構成的に活性である。de2−7EGFRは、大きな割合(>50%)の悪性神経膠腫において発現され、de2−7EGFRを乳癌腫(27%)、卵巣癌腫、前立腺癌腫および肺癌腫(17%)に関係付ける報告もある(非特許文献6;非特許文献11;非特許文献12;非特許文献13)。
(抗EGFR抗体)
多くの研究は、EGFRの細胞外領域に対する抗体の生産に焦点を当ててきた。創生されたmAbは、主として、リガンド結合をブロックすることおよびまたシグナル伝達の破壊により、その抗腫瘍活性を媒介する。EGFRを特異的に認識するPengら、1996(非特許文献14)およびMendelsonら、1997(非特許文献15)によって最初に開発された、数個のmAbが存在した。mAb425、528 IgG2aおよび225 IgG1は、頭頸部扁平細胞癌腫を有する患者を治療するために用いられた(非特許文献16)。放射性標識を含む実験作業は、mAb 425が、神経膠腫を含む腫瘍増殖の有効な阻害剤であることを示した(非特許文献17;非特許文献18;非特許文献19)。IMC−C225 mAbはEGFRを特異的に認識し、頭頸部癌、結直腸癌、膵臓癌および肺癌のような癌の治療においてかなりの潜在能力を有する。mAb 255は、p27 K1P1をアップレギュレートし、前立腺癌細胞系におけるG1停止を誘導する。引き続いて、マウス225抗体のキメラバージョン(ERBITUXTM(Imclone Systems,NY)IMC−C225)が、その治療能力を拡大するように開発された。このIMC−C225は、EGFRに対して増大した結合親和性を有し、マウスにおける異種移植片の増殖を低下させるのにより効果的である。マウス抗体およびキメラ抗体のはいずれも、放射線(非特許文献20)または化学療法(非特許文献21)との併用療法において投与される場合、さらにより効果的である。IMC−C225の作用の治療メカニズムとしては、効果的な受容体ブロッキング機能およびADCCに対する能力が挙げられるようである。IMC−225は、患者において腫瘍のサイズを低下させることができる。高用量のIMC−C225が、肝臓および皮膚の結合部位を飽和させるのに必要とされ、副作用は主としてざ瘡発疹および掻痒である。臨床試験は、シスプラチンと組み合わせた場合に、11%と22%との間の患者における腫瘍増殖の部分寛解率を示している。この抗体の前臨床および臨床進行はBaselgaら、[49]およびMendelsohnらによるレビューに取り上げられている(非特許文献22;非特許文献23)。
mAb R3は、EGFRに対して惹起され、そして放射線免疫療法で用いるために最初に開発された(非特許文献24;非特許文献25)。R3のキメラ形態およびヒト化形態の両方が生産され、アフリカミドリザルで試験されている。R3のヒト化バージョンは、マウス抗体と同一の結合親和性を有し、キメラ抗体よりも2倍低い免疫原性であることが見出された。テクネチウム標識化マウスおよびヒト化mAbを用いるマウスにおける異種移植片の前臨床実験は、マウスよりもヒト化バージョンで、診断ツールとしてのより大きな潜在能力を示した。ラット抗EGFR mAbであるICR62はリガンド結合について効果的に競合し、マウスにおいてヒト腫瘍異種移植片(扁平細胞癌腫)を根絶する。第I相臨床試験は、該抗体が扁平細胞癌腫を有する患者に安全に投与されたことを報告しており、それは、それ以来、頭頸部扁平細胞癌腫細胞系における増殖因子受容体およびそれらのリガンドのシグナル伝達経路を調べるのに用いられてきた(非特許文献26;非特許文献27;非特許文献28)。
抗−EGFR mAb 108.4は、シスプラチンと組み合わせた場合、増強された抗腫瘍効果を示した(非特許文献29)。同一の結果がFabフラグメント単独で起こった。このことは、メカニズムが宿主補体系とFcとの相互作用に依拠しないことを示唆する。別の実施例において、併用療法の潜在能力が、抗体と受容体との間の基礎となるメカニズムの理解に関して、mAb RG 83852を用いて調べられた(非特許文献30)。mAb RG 83852によるEGFRのアップレギュレーションは、腫瘍内の受容体のチロシンキナーゼ活性を増大させ、それにより、化学療法に対するその感受性を増加させることが示唆された。モノクローナル抗体による標的化照射は、癌の治療のための別のアプローチである。神経膠腫の処置における、数個の抗EGFR抗体を放射性標識する効果に対する多数の研究が、Kalofonosによって試みられた(非特許文献31)。これらの研究は、良好な標的化および最小の毒性を報告した。EGFRにおけるリガンド結合をブロックするヒト化mAb EMD 72000は、現在臨床試験を受けている(非特許文献32)。最後に、トランスジェニックマウスに由来する全長ヒト抗体ABX−EGFもまた、EGFRを効果的に標的化する(非特許文献33)。
(抗de2−7 EGFR抗体)
野生型EGFRはほとんどの上皮細胞で発現される。従って、受容体を治療的に標的化する欠点は、正常組織だけでなく癌細胞に対する毒性の副作用である。加えて、放射性アアイソタイプまたは細胞傷害剤と結合体化させた場合のそのような抗体は、正常な組織に対して潜在的な害を引き起こし得る。理想的には、癌細胞上のEGFRを優先的に標的化するのが有利である。de2−7EGFRは魅力的な治療剤である。なぜならば、成人においては、それは癌細胞に対して高度に特異的だからである。de2−7EGFRに対する抗体で行われた実験があり、そこでは、癌細胞系における細胞成長の阻害が示されている。mAb 528(非特許文献16;非特許文献34)および425(前記)は、de2−7EGFRおよびEGFR双方に結合する。スプライス部位におけるグリシンの挿入によって生じたde2−7EGFRの独特の配列は、細胞外領域のN−末端近くに位置する新規なエピトープを作り出す(非特許文献35;非特許文献36)。融合接合に対して特異的ないくつかの抗体が生産されており、mAb Y10が挙げられる(非特許文献12;非特許文献37;非特許文献38)。マウスにおける脳腫瘍異種移植片を治療するのに効果的に用いられたこの抗体は、細胞増殖を低下させることによって機構的に機能し、また、ADCCおよびCDCに対する能力も示した。融合接合に対して特異的な配列のペプチドに対して創製された抗体は、ファージディスプレイによって生じたFvフラグメントであるMR1を含む(非特許文献39)。Fvは固体腫瘍に浸潤する能力を有し、免疫トキシンを送達するのに用いられてきた。de2−7EGFRの融合接合を標的化するいくつかの抗体が放射性標識されており:これらとしてはL8A4、DH8.3およびUa30:2が挙げられる(非特許文献40;非特許文献41;非特許文献42)。放射性標識されたDH8.3抗体は、de2−7EGFRを認識するが、正常なEGFRを認識せず、ヌードマウスにおいて腫瘍のサイズを低下させる。
(マウス抗−EGFR抗体mAb−806)
マウスモノクローナル抗体mAb−806(クラスIgG2b)は、de2−7EGFRに結合するが、正常に発現された野生型EGFRには結合しないことが示された(米国特許出願USSN;非特許文献43)。mAb−806は正常な野生型受容体と反応しないが、それは、増幅されたEGFR遺伝子を含有する腫瘍細胞上のある割合(〜10%)の野生型EGFRを認識した(非特許文献43;非特許文献44)。de2−7EGFRおよび増幅された野生型EGFRの両方(いずれも腫瘍において顕著な頻度で起こる)を標的化するmAb−806の能力は、治療剤としてmAb−806に対してさらなる有効性を与えるはずである。
mAb−806は、それがde2−7EGFRの独特の融合接合を認識しない点で、de2−7EGFRを標的とする他の抗体とは異なる(非特許文献6;非特許文献8;非特許文献9;非特許文献10)。mAb−806の結合エピトープは、野生型de2−7EGFRおよび短縮型de2−7EGFRの両方に存在する。de2−7EGFRおよび増幅されたEGFR双方に結合するmAb−806の能力、および正常に発現された野生型受容体への結合は存在しないことを考慮すると、そのエピトープは、立体配座的に依存すると推定される。臨床開発における野生型EGFRに対する多くの抗体は、リガンド結合をブロックすることによって機能する。これは、非リガンド結合性de2−7EGFRおよび増幅されたEGFR両方との結合の特徴、および正常な受容体との結合が存在しないことのため、mAb−806の作用メカニズムではないように見える。このことは、mAb−806が、リガンド結合または二量体化と干渉しないことを示す。
mAb−806抗体は、U87MG.de2−7EGFR細胞系で発現されるde2−7EGFRに結合するが、増幅されていない野生型EGFRを含有する親細胞系(U87MG)には結合しない。mAb−806とDH8.3 mAbとの有効性の比較において、mAb−806は、腫瘍標的化においてより効果的であり、DH8.3よりも強い結合を有することが立証された(EGFR(非特許文献43))。mAb−806は、増幅されたEGFR(非特許文献43)ならびにU87MG.de2−7EGFRを含有するA431細胞系を用いて、用量依存的にマウス異種移植片の増殖を阻害することが示された。再度、増殖阻害は、親U87MG異種移植片で観察されなかった。重要なことには、低下した腫瘍増殖がまた、U87MG.de2−7EGFR、LN−Z308.de2−7EGFR、およびA1207.de2−7EGFR異種移植片(全てde2−7EGFRを発現する)へのmAb−806の適用の際に、頭蓋内に異種移植した神経膠芽細胞腫に対して示されたことである(非特許文献45)。親U87MG腫瘍、U87 MG.DK腫瘍(キナーゼ不全de2−7EGFRを発現する)の異種移植片において有意な阻害は観察されず、小さな応答のみが、U87MG神経膠腫においておこるだけである。脈管形成の低下およびアポトーシスの増加が、腫瘍増殖の低下と共に起こる。
その独特の特性により、mAb−806抗体は、頭頸部癌および神経膠腫のような癌の治療のための、有望な治療剤である。ヒト化形態のmAb−806の開発は、その効率に対して多大な効果を有するであろう。そのような抗体は、HAMA応答を回避し、エフェクター機能を補充し、循環系におけるその半減期を増大させるその能力を改善させ、それゆえその臨床的な前途を大いに増強するはずである。
最初は、治療の特効薬としてのmAbの使用に対して高い期待があったが、非ヒト抗体の臨床的使用を制限するいくつかの主な障害があることが間もなく認識された。非ヒトmAbの複数用量の投与は、一般的に、望ましくない免疫応答を惹起し、それゆえこのことが、治療剤としてのそれらの使用を厳しく制限している。マウス抗体は、外来性タンパク質としてヒト免疫系によって認識され、その結果、ヒト抗−マウス抗体応答(すなわち、HAMA応答)として知られる免疫効果がもたらされる。HAMA応答は、抗体機能の中和および重篤なアレルギー様反応をもたらし得る。
HAMA応答のほとんどは、抗原結合部分(Fab)に対して向けられ、ほとんど、抗体の定常領域(Fc)には向けられない。げっ歯類のmAbの臨床適用から生じるさらなる問題は、Fc領域に関連する。ヒトFcは、特殊化されたFc受容体に結合し、このことが、循環系に抗体を維持するのを助ける。その結果、げっ歯類mAbは、ヒトIgに対する1週間以上と比較して、短縮された半減期(通常1〜3日)を有する。別の制限は、ヒトFc受容体へのFcの結合で開始される種々のエフェクター機能の補充の低下である。マクロファージ、単球および好中球のような特殊化されたエフェクター細胞のFc受容体への結合は、免疫系を誘発し、抗体依存性細胞媒介細胞溶解(ADCC)として知られる応答を導く。Fc受容体は、補体カスケード(相互作用するタンパク質の群)の誘発も担っており、補体依存性細胞溶解応答(CDC)を導く。これは、細胞溶解、および細菌感染と戦うための抗体の有効性の増大をもたらす。定常ドメインのクラスが、細胞溶解における抗体の効果を優先的に制御する。
抗体用量の迅速な注入および抗体フラグメントの使用のような、マウスmAbの免疫原性を克服するために採られ得る種々のアプローチが存在する(例えば、単鎖Fv(scFv);非特許文献46;非特許文献47およびその中の引用文献参照)。あるいは、全IgGが治療のために用いられる場合は、抗体工学の方法がHAMA応答を低下させるのに使用されてきた。このアプローチは、半減期を増大およびエフェクター機能のより効果的な補充の、付加的な潜在的利点を有する。そのようなヒト化方法は当該分野で周知であり、例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4および特許文献5(各々が、本明細書中に参考として援用される)に記載されている。
(ヒト抗体)
mAbにおける免疫原性の問題を克服する代替的なアプローチは、完全な(十分な)ヒト抗体の生産である。ファージディスプレイ技術を使用して、親和性富化(affinity enrichment)の方法を用いて、抗原に特異的に結合するある範囲のヒト抗体を選択することができる(非特許文献48;非特許文献49)。バクテリオファージは、細菌のみに感染するウイルスであり、Escherichia coliにおいて複製される。ファージディスプレイプロセスは、ヒト遺伝子物質のファージゲノムへの挿入を包含する。フィラメント状ファージ系は独特の特性を有し、ここで、ファージ表面に提示されるリガンドの構造的および機能的情報(表現型)は、ファージゲノム内のリガンドの遺伝子的情報(遺伝子型)とリンクする。従って、フィラメント状ファージの表面上でIg分子のライブラリーを創製および提示させることができ、結合親和性を示すものを選択する。この方法は、高い抗原親和性を有する多くの抗体の非常に迅速な同時スクリーニングという利点を有する。それは、抗体のヒト化においても、十分な結合活性を保存するのに必要とされる潜在的に重要な残基の組を含むコンビナトリアルライブラリーを創製することによって、首尾よく用いられている。次いで、その重要な残基の無作為な突然変異誘発によって、フレームワークが最適化され得る。
(トランスジェニックマウス)
近年、ヒトmAbを生産するファージディスプレイ方法に対する代替的なアプローチが開発されており、ここで、十分にヒトのタンパク質配列を作り出すことができるヒト遺伝子が、トランスジェニックマウスを作製するマウスDNAに挿入される。関係する方法のレビューについては、文献非特許文献50;非特許文献51;非特許文献52参照)。従って、これらのマウスは、標的抗原での免疫化に応答してヒト抗体を生産することができる。作成された抗体は事実上ヒトのものであり、宿主免疫系によって拒絶されるとは予測されない。Abgenixによって生産されたXenoMouse(登録商標)は、ヒト重鎖遺伝子のほぼ80%、および多数の軽鎖遺伝子を含有する。種々の株のマウスが生産されており、これらは、ある範囲の疾患を標的化することができる抗体の種々のクラスを含有している(非特許文献53;非特許文献54)。例えば、ABX−MA1は、MCAM/MUC18(マウスにおけるヒトメラノーマ細胞での腫瘍の密集および転移に関連する糖タンパク質)を標的化する十分にヒトの抗体であり、メラノーマの治療において有望性を示す(非特許文献55)。ABX−EGFはEGFRを標的化し、現在、頭頸部癌腫、非小細胞肺癌腫、および結腸癌の治療において第I/II相臨床試験中である。
米国特許第5,225,539号明細書 米国特許第5,530,101号明細書 米国特許第5,585,089号明細書 米国特許第5,859,205号明細書 米国特許第6,797,492号明細書 Ogiso Hら、Cell 2002,110:775−787 Garrett TPら、Cell 2002,110:763−773 Ferguson KMら、Cell 2003,11:507 Stamos Jら、J.Biol.Chem.2002,277:46265−46272 Libermann TAら、Nature 1985, 313:144−147 Wong AJ, Proc Natl Acad Sci USA 1992,89:2965−2969 Frederick Lら、Cancer Res 2000,60:1383−1387 Sugawa N.ら、Proc Natl Acad Sci USA 1990,87:8602−8606 Yamazaki H.sら、Jpn J Cancer Res 1990,81:773−779 Ekstrand AJら、Proc Natl Acad Sci USA 1992,89:4309−4313 Garcia dPら、Cancer Res 1993,53:3217−3220 Wikstrand CJら、Cancer Res 1995,55:3140−3148 Moscatello DKら、Cancer Res 1995,55:5536−5539 Peng Dら、Cancer Res 1996,56:3666−3669 Mendelsohn J Clin Cancer Res 1997,3:2703−2707 Sturgis EMら、Otolaryngol.Head Neck Surg 1994,111:633−643 Rodeck Uら、J Cell Biochem 1987,35:315−320 Brady LWら、Int J Radiat Oncol Biol Phys 1991,22:225−230 Faillot Tら、Neurosurgery 1996,39:478−483 Robert Fら、J Clin Oncol 2001,19:3234−3243 Shin DMら、Clin.Cancer Res 2001,7:1204−1213 Baselga Jら、J Clin Oncol 2000,18:904−914 Mendelsohn J J.Clin.Oncol.2002,20 補遺1:1S−13S Waterfield MD, et al.J.Cell Biochem.1982,20:149−161 Ramos−Suzarte M,et al.J.Nucl.Med.1999,40:768−775 O−charoenrat Pら、Clin.Exp.Metastasis 2000,18:155−161 O−charoenrat P et al.Int.J.Cancer 2000,86:307−317 O−charoenrat Pら、Oral Oncol.2002,38:627−640 Aboud−Pirak Eら、j Natl Cancer Inst 1988,80:1605−1611 Perez−Soler Rら、J Clin Oncol 1994,12:730−739 Kalofonos HPら、J Nucl.Med 1989,30:1636−1645 Bier Hら、Cancer Chemother.Pharmacol.2001,47:519−524 Yang XDら、Crit.Rev.Oncol.Hematol.2001,38:17−23 Masui Hら、Cancer Res 1984,44:1002−1007 Humphrey PAら、Proc Natl Acad Sci USA 1990,87:4207−4211 Lorimer IAら、Clin Cancer Res 1995,1:859−864 Okamoto S et al.Br.J Cancer 1996,73:1366−1372 Sampson JH et al.Proc Natl Acad Sci USA 2000,97:7503−7508 Lorimer IAら、Proc Natl Acad Sci USA 1996,93:14815−14820 Reist CJら、Cancer Res 1997 57:1510−1515 Hills Dら、Int J Cancer 1995,63:537−543 Ohman Lら、Tumour Biol 2002,23:61−69 Johns TGら、Int J Cancer 2002,98:398−408 Luwor RBら、Cancer Res.2001,61:5355−5361 Mishima Kら、Cancer Res.2001,61:5349−5354 Carter P Nat.Rev.Cancer 2001,1:118−129 Hudson Pら、Nature Med 2003,9:129−134 McCafferty Jら、Nature 1990,348:552−554 Azzazy HMら、Clin.Biochem.2002,35:425−445 Little Mら、Immunol.Today 2000,21:364−370 Humphreys DPら、Curr.Opin.Drug Discov.Devel.2001,4:172−185 Ishida Tら、Nippon Rinsho 2002,60:439−444 Yang XDら、Cancer Res 1999,59:1236−1243 Davis CGら、Cancer Metastasis Rev 1999,18:421−425 Mills Lら、Cancer Res 2002,62:5106−5114
従って、先行技術の方法に伴う上述の欠点、および疾患の診断、処置および予防における抗体の有用性および適用の認識に鑑みると、特にEGF受容体に関する、ヒト化抗体/十分なヒト抗体の調製および使用に対する必要性が当該分野において依然として存在するのは明らかである。ヒトにおける抗体免疫系の低下または非存在を示し、EGFRの発癌性または活性化形態ならびにEGFRの増幅形態または過剰発現形態を認識する、ヒト化抗体/十分なヒト抗体に対して特に必要性が存在する。
本明細書中における文献の引用は、それらが本発明における先行技術であるという自認として解釈されるべきではない。
本発明に従い、EGFR抗体mAb806の抗腫瘍活性のユニークな特異性および態様に導くメカニズムを解明するために、mAb806のEGFR結合エピトープが決定された。エピトープ受容体ペプチド、CGADSYEMEEDGVRKC(配列番号1)は、mAb806エピトープを含む。この受容体ペプチドは、腫瘍形成性細胞、過剰増殖細胞または異常細胞において見出され、正常細胞または野生型細胞においては検出できないかまたは移行性であるEGFRを認識することができるEGFR抗体を作成するのに適している(本明細書中で用いる用語「野生型細胞」では、内因性EGFRを発現するが、de2−7EGFRを発現しない細胞が意図され、この用語は、EGFR遺伝子を過剰発現する細胞を具体的に排除する;用語「野生型」とは、異常細胞または腫瘍形成性細胞よりはむしろ正常な細胞に存在する遺伝子型もしくは表現型または他の特徴をいう)。
それゆえ、本発明は、抗腫瘍能力および活性を有する抗体を作成する際に、または抗腫瘍応答である免疫学的応答を刺激する際に利用できる受容体エピトープ、特に、増殖因子受容体エピトープを提供する。この増殖因子受容体エピトープは、ループエピトープを含む。このループエピトープは、増殖因子受容体の移行性形態で露出され、そしてその受容体の移行性形態を認識する抗体を作成することができ、それにより、それらの活性化(不活性から活性なリガンド−結合立体配座への変化を含む)を変調(防止または阻害を含む)する。本発明は、抗腫瘍能力および活性を有する抗体を作成する際に、または抗腫瘍応答である免疫学的応答を刺激する際に利用できる受容体エピトープ、具体的にはEGFファミリー受容体エピトープ、最も具体的にはEGFRエピトープを提供する。一般的な局面において、本発明は、腫瘍形成性細胞、過剰増殖細胞または異常細胞で見出され、正常細胞または野生型細胞において検出不可能または移行性である受容体エピトープ、具体的にはEGF受容体エピトープまたはEGF受容体ファミリーエピトープを提供する。
本発明によると、抗腫瘍活性を有する抗体、特にモノクローナル抗体を作成することができる増殖因子受容体ペプチド、特にEGFRペプチドが提供される。
本発明によると、腫瘍形成性、過剰増殖または異常細胞で見出され、正常細胞または野生型細胞においては検出不可能または移行性であるEGFRを認識することができる抗体を作成することができる増殖因子受容体ペプチド、特にEGFRペプチドが提供される。
本発明の増殖因子受容体ペプチド、特にEGFファミリー受容体ペプチドは、多数の腫瘍型、例えば、頭頸部腫瘍、乳腫瘍、肺腫瘍、膀胱腫瘍、結腸腫瘍または前立腺腫瘍および神経膠腫を、既知の増殖因子受容体(EGFRを含む)抗体で観察され得る正常組織摂取に関する問題なく、同定、特徴付けおよび標的化するための、診断および治療的使用を提供する。
その最も広い局面において、本発明は、配列番号1〜14のいずれかから選択されるアミノ酸配列を有する増殖因子受容体ペプチドのアミノ酸配列を含有する、単離されたポリペプチドを含む。1以上のそれらの組み合わせを含む単離されたペプチドは、増殖因子受容体を認識し、抗腫瘍活性を有する抗体の作成、および癌または腫瘍疾患を有する動物(具体的には哺乳動物、最も具体的にはヒト)の免疫化における使用に適している。
本発明は、配列番号1〜14のいずれかに記載されたアミノ酸配列を含む単離された受容体ポリペプチド、およびその免疫原性フラグメントに関する。
本発明は、アミノ酸配列
Figure 2008501308
を有する単離されたペプチドを提供する。
本発明は、アミノ酸配列
Figure 2008501308
を有する単離されたペプチドを提供する。
本発明は、アミノ酸配列
Figure 2008501308
を有する単離されたペプチドを提供する。
本発明は、アミノ酸配列
Figure 2008501308
を有する単離されたペプチドを提供する。
本発明は、アミノ酸配列
Figure 2008501308
を有する単離されたペプチドを提供する。
本発明は、アミノ酸配列
Figure 2008501308
を有する単離されたペプチドを提供する。
本発明は、アミノ酸配列
Figure 2008501308
を有する単離されたペプチドを提供する。
本発明は、アミノ酸配列
Figure 2008501308
を有する単離されたペプチドを提供する。
本発明は、アミノ酸配列
Figure 2008501308
を有する単離されたペプチドを提供する。
本発明は、アミノ酸配列
Figure 2008501308
を有する単離されたペプチドを提供する。
本発明は、アミノ酸配列:
CX101112131415
[式中、各X残基は以下のように独立して選択でき(配列番号11):
はG、P、NまたはSであり;
はA、P、T、SまたはLであり;
はD、HまたはSであり;
はS、Y、T、NまたはKであり;
はY、QまたはMであり;
はMまたはVであり;
はE、TまたはDであり;
はAまたは無しであり;
はEまたはKであり;
10はDまたはNであり;
11はGまたはAであり;
12はV、I、LまたはTであり;
13はR、QまたはKであり;
14はR、KまたはMであり;
15はCまたは無しである]
を有する単離されたペプチドを提供する。
本発明は、アミノ酸配列:
CX101112131415
[式中、各X残基は以下のように独立して選択でき(配列番号12):
はG、P、N、Q、SまたはTであり、
はA、P、T、S、L、M、V、IまたはPであり、
はD、E、H、R、K、SまたはTであり、
はS、Y、F、W、T、N、Q、KまたはRであり、
はY、F、W、Q、N、M、V、A、L、IまたはPであり、
はM、V、A、L、IまたはPであり、
はE、D、TまたはSであり、
はA、V、L、I、P、Mまたは無しであり、
はD、E、KまたはRであり、
10はD、E、NまたはQであり、
11はG、A、M、V、L、IまたはPであり、
12はV、I、L、M、A、P、SまたはTであり、
13はR、K、H、QまたはNであり、
14はR、K、H、M、A、V、L、IまたはPであり、
15はCまたは無しである]
を有する単離されたペプチドを提供する。
本発明はアミノ酸配列:
CXEXGX101112
[式中、各Xは以下のように独立して選択でき(配列番号13):
はGまたはAであり、
はAまたはKであり、
はDまたはAであり、
はSまたはAであり、
はYまたはAであり、
はMまたはAであり、
はEまたはAであり、
はEまたはAであり、
はDまたはAであり、
10はV、AまたはKであり、
11はRまたはAであり、
12はKまたはAである]
を有する単離されたペプチドを提供する。
本発明は、アミノ酸配列:
CXEXDGVRKC
[式中、各X残基は以下のように独立して選択でき(配列番号14):
はGまたはAであり、
はAまたはKであり、
はDまたはAであり、
はSまたはAであり、
はYまたはAであり、
はMまたはAであり、
はEまたはAであり、
はEまたはAである]
を有する単離されたペプチドを提供する。
本発明はさらに、配列番号1〜14のいずれかに記載されたペプチドをコードする単離された核酸を提供する。
本発明は、特に、配列番号1〜14のいずれかから選択される免疫原性受容体ペプチド、またはその免疫原性フラグメントに拡大される。また、本発明は、免疫原性受容体ペプチドに拡大され、ここで、そのようなポリペプチドは配列番号1〜14のいずれかから選択される少なくとも1つの免疫原性受容体ペプチドの組み合わせ、またはその免疫原性ペプチドフラグメントを含む。
本発明は、増殖因子受容体エピトープまたはその免疫原性フラグメントを投与する工程を包含する、哺乳動物を免疫化する方法を提供し、それにより、野生型細胞には露出されないが、異常なまたは過剰発現された増殖因子受容体を発現する細胞に露出されるエピトープペプチドに対して免疫反応性である抗体が生産される。本発明はさらに、配列番号1〜14のいずれかから選択されるEGF受容体ペプチド、またはその免疫原性フラグメントを投与する工程を包含する哺乳動物を免疫化する方法を提供し、それにより、野生型細胞には露出されないが、異常または過剰発現されたEGFRを発現する細胞に露出されるエピトープペプチドに対して免疫反応性である抗体が生産される。本発明は、配列番号1〜14のいずれかから選択されるEGF受容体ペプチド、またはその免疫原性フラグメントを投与する工程を包含する、哺乳動物を免疫化する方法を提供し、それにより、EGF受容体エピトープペプチドに対して免疫反応性である抗体が生産される。
さらなる局面において、本発明は、本明細書中に記載された受容体ペプチドに基づくワクチンおよび免疫原性組成物に拡大される。本発明は、配列番号1〜14のいずれかから選択される1以上のEGFRペプチド、および薬学的に受容可能なアジュバントを含むワクチンを提供する。本発明は、配列番号1〜14のいずれかから選択される1以上のペプチド、および薬学的に受容可能なアジュバントを含むワクチンを提供する。本発明は、配列番号1〜14のいずれかから選択される1以上のEGFRペプチド、および薬学的に受容可能なアジュバントを含む免疫原性組成物を提供する。本発明は、配列番号1〜14のいずれかから選択される1以上のペプチド、および薬学的に受容可能な免疫原性組成物を提供する。
本発明は、さらに、配列番号1〜14のいずれかから選択される1以上のEGFファミリー受容体ペプチドを含み、さらに、1以上のさらなる腫瘍抗原を含む、抗腫瘍ワクチンまたは抗癌ワクチンを提供する。本発明はさらに、配列番号1〜14のいずれかからなる群から選択される1以上のEGFファミリー受容体ペプチドを含み、さらに、1以上のさらなるEGFまたはEGFR抗原を含む、抗腫瘍ワクチンまたは抗癌ワクチンを提供する。
別の局面において、本発明は、免疫原性量の配列番号1〜14のいずれかの群から選択される1以上のEGFファミリー受容体ペプチドまたはその免疫原性フラグメントを含む、EGFR(またはEGFRファミリー受容体のいずれか)の異常発現を示す頭頸部癌、乳癌、肺、膀胱、結腸、または前立腺腫瘍および神経膠腫に罹患した哺乳動物、特にヒト被験体を処置するためのワクチンに関する。そのようなワクチンは、そのペプチドおよび薬学的に受容可能なアジュバントを含有し得る。そのようなワクチンは、さらに、キャリアに結合体化したそのペプチドを含有し得る。
本発明は、EGFファミリー受容体ループペプチドおよび薬学的に受容可能なキャリアを含む薬学的組成物を提供する。本発明は、配列番号1〜14のいずれかから選択される1以上のペプチドから選択されるEGFファミリー受容体ペプチド、および薬学的に受容可能なキャリアを含む薬学的組成物を提供する。本発明は、EGFファミリー受容体ループペプチド抗体および薬学的に受容可能なキャリアを含む薬学的組成物を提供する。本発明は、配列番号1〜14のいずれかから選択される1以上のペプチドに対して免疫反応性であるEGFファミリー受容体ペプチド抗体、および薬学的に受容可能なキャリアを含む薬学的組成物を提供する。
なおさらなる局面において、本発明は、配列番号1〜14のいずれかから選択されるEGFファミリー受容体ペプチドに対する精製された抗体を提供する。
本発明の単離されたポリペプチドに対する抗体としては、天然に惹起された抗体および組換えにより調製された抗体を含む。これらとしては、公知の遺伝子技術によって調製されたポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体の両方、ならびに二特異的抗体、および診断または治療用途用のそれらに適合する他の機能を含む抗体が挙げられ得る。そのような抗体は、腫瘍を特徴付けるか、または癌(頭頸部癌、乳癌、肺癌、卵巣癌、膀胱癌、咽頭癌、扁平細胞癌腫、または前立腺腫瘍および神経膠腫が挙げられるが、これらに限定されない)を診断するために、免疫アッセイで使用され得る。その抗体は、腫瘍を低下させ、または癌(頭頸部癌、乳癌、肺癌、卵巣癌、膀胱癌、咽頭癌、扁平細胞癌腫、または前立腺腫瘍および神経膠腫が挙げられるが、これらに限定されない)を処置するための受動的免疫化のために、使用され得る。
検出可能な標識で標識された配列番号1〜14のいずれかから選択されるEGFファミリー受容体ペプチドに対する抗体がさらに提供される。特定の実施形態において、この標識は、酵素、蛍光を発する化学物質、および放射性元素よりなる群から選択され得る。同位体H、14C、32P、35S、36Cl、51Cr、57Co、58Co、59Fe、86Y、90Y、124I、125I、131I、111I、99Tcおよび186Reのような放射性標識が使用される例においては、公知の現在利用可能なカウンティング手順が利用され得る。その標識が酵素である場合、当該分野で知られた現在利用される比色技術、分光光度技術、蛍光分光測定技術、アンペルメトリー技術またはガス定量技術のいずれかによって、検出が達成され得る。
本発明は、配列番号1〜14のいずれかから選択されるEGFファミリー受容体ペプチドに対する1以上の抗体、および薬学的に受容可能なキャリアを含む薬学的組成物を提供する。本発明は、さらに、配列番号1〜14のいずれかから選択されるEGFファミリー受容体ペプチドに対する少なくとも2つの抗体の組み合わせ、および薬学的に受容可能なキャリアを含む薬学的組成物を提供する。
さらなる実施形態において、本発明は、配列番号1〜14のいずれかから選択されるEGFファミリー受容体ペプチドに対する抗体またはその活性なフラグメントの活性に基づくか、または同一の活性を有すると決定された因子または他の薬物に基づく、特定のの治療方法に関する。第一の治療方法は、限定されるものではないが、癌(頭頸部、肺、結腸、膀胱、乳房、前立腺および神経膠腫が挙げられる)の予防または処置に関連する。
特に、本発明の抗体、またはその活性なフラグメント、およびそれに由来するキメラ抗体または合成抗体は、癌の処置のような療法が適切である場合の投与のために、適切なビヒクル、キャリアまたは希釈剤を含む薬学的組成物中で調製することができる。そのような薬学的組成物は、PEG化のような当該分野で知られた方法によって結合メンバー、抗体またはフラグメントの半減期を変調する方法もまた包含し得る。そのような薬学的組成物はさらに、さらなる抗体または治療剤を含むこともできる。それゆえ、本発明の組成物は、単独で、あるいは他の処置、治療剤または因子と組み合わせて、処置すべき疾患に応じて同時または順次に投与され得る。加えて、本発明では、本明細書中に記載された、配列番号1〜14のいずれかから選択されるEGFファミリー受容体ペプチドに対する抗体、特に抗体またはそのフラグメント、および抗癌剤または治療剤、抗−EGFR剤または抗体、または免疫モジュレーターのような他の因子または治療剤を含む組成物が企図され、それらを含む。より一般的には、これらの抗癌剤は、AG1478、ZD1839(ゲフィチニブ)またはST1571(イマチニブメシレート)リン酸化カスケード阻害剤、翻訳後モジュレーター、細胞増殖または分裂阻害剤(例えば、抗有糸分裂剤)、PDGFR阻害剤またはシグナル変換阻害剤のようなチロシンキナーゼ阻害剤であり得る。他の処置または治療剤は、非ステロイド抗炎症薬物(例えば、アスピリン、パラセタモール、イブプロフェンまたはケトプロフェン)のような苦痛救済薬物、またはモルフィンまたは抗嘔吐剤のようなオピエートの適当な用量の投与を含むことができる。それゆえ、これらの剤はAG1478またはZD1839のような抗−EGFR特異的剤であり得るか、あるいはより一般的な抗癌および新形成剤であり得、非限定的例としては、ドキソルビシン、カルボプラチンおよびシスプラチンが挙げられる。加えて、組成物は、免疫応答および癌細胞または腫瘍の低下または排除を刺激する、インターロイキン、腫瘍壊死因子(TNF)または他の増殖因子、サイトカイン、あるいはホルモン(例えば、デキサメタゾン)のような免疫モジュレーターと共に投与することができる。この組成物は、限定されるものではないが、抗−EGFR抗体528;225;SC−03;108(ATCC HB9764)米国特許第6,217,866号;14E1(米国特許第5,942,602号);DH8.3;L8A4;Y10;HuMAX−EGFr(Genmab/Medarex);ICR62;およびABX−EGF(Abgenix)を含む、他の抗−EGFR抗体との組み合わせで投与することができるか、あるいはこの組み合わせを含むことができる。
また、本発明は、治療または診断目的で用いるべき他の分子または因子に共有結合した、またはそうでなければそれらと会合した、配列番号1〜14のいずれかから選択されるEGFファミリー受容体ペプチドに対する抗体、およびそのいずれかのフラグメントも含む。これらの他の分子または因子としては、異なる特徴を有する(他の抗体または抗体フラグメントを含む)分子、トキシン、リガンド、放射性同位体および化学療法剤が挙げられる。それらの中には、治療目的で使用される抗体に共有結合された、またはそうでなければそれに会合された、多くの公知の分子または因子がある。そのような分子または因子の例としては、カリケアミシン、マイタンチノイド、デュオカルマイシン、リシン、ジフテリアトキシンおよびシウドモナスエキソトキシンのようなトキシン;腫瘍壊死因子(TNF)のようなリガンド;90Y、125I、131I、211At、225Ac、213Biおよび他のα、β、γを発する同位体のような放射性同位体;およびパクリタキセル(タキソール(登録商標))およびドキソルビシン(アドリアマイシン(登録商標))のような化学療法薬物が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明では、診断試験における本発明の受容体ペプチドおよびそれに対する抗体の使用、および頭頸部癌、乳癌、肺癌、卵巣癌、膀胱癌、咽頭癌、扁平細胞癌腫、または前立腺腫瘍および神経膠腫を含む腫瘍および癌を測定および/またはモニターする方法が企図される。
また本発明は、本発明の単離された増殖因子受容体ペプチドをコードし、またはポリペプチドの活性を競合的に阻害する、組換えDNA分子またはクローン化された遺伝子、その縮重改変体、その突然変異体、アナログまたはフラグメントのような単離された核酸に関する。本発明は、さらに、配列番号1〜14いずれかから選択されるEGFファミリー受容体ペプチドをコードする、組換えDNA分子またはクローン化された遺伝子、またはその縮重改変体、その突然変異体、アナログまたはフラグメントのような単離された核酸に関する。本発明のさらなる実施形態において、組換えDNA分子またはクローン化された遺伝子のDNA配列は、適当な宿主に導入することができる発現制御配列に操作可能に連結させることができる。本発明は、従って、配列番号1〜14のいずれかから選択されるEGFファミリー受容体ペプチドをコードするDNA配列を含む組換えDNA分子で形質転換された単細胞宿主に拡大される。
組換えDNA分子である、配列番号1〜14のいずれかから選択されるEGFファミリー受容体ペプチドをコードすることができる核酸がさらに提供される。このDNA分子が発現制御配列に操作可能に連結されたそのような組換えDNA分子もまた、本明細書中に提供される。
本発明は、特に配列番号1〜14のいずれかから選択される、免疫原性EGFファミリー受容体ペプチドをコードする核酸を含む核酸ワクチンまたはDNAワクチンに関する。本発明は、少なくとも1つの他のポリペプチド、特に腫瘍抗原または免疫変調分子ペプチドと共に、配列番号1〜14のいずれかから選択される1以上の免疫原性EGFファミリー受容体ペプチドをコードする核酸を含む、核酸ワクチンまたはDNAワクチンに関する。
本発明は、配列番号1〜14のいずれかから選択されるEGFファミリー受容体ペプチドをコードすることができる核酸、およびプロモーターを含むベクターを提供する。本発明では、そのプロモーターが、細菌、酵母、昆虫または哺乳動物プロモーターであるベクターが企図される。本発明では、そのベクターが、プラスミド、コスミド、酵母人工染色体(YAC)、バクテリオファージまたは真核生物ウイルスDNAであるベクターが企図される。
本発明は、さらに、適切な宿主細胞中の、配列番号1〜14のいずれかから選択されるEGFファミリー受容体ペプチドをコードすることができるベクターを含むポリペプチドを生産するための、宿主ベクター系を提供する。適当な宿主細胞が原核生物または真核生物細胞を含む宿主ベクター系が提供される。配列番号1〜14のいずれかから選択されるEGFファミリー受容体ペプチドをコードすることができる組換えDNA分子またはベクターで形質転換された単細胞宿主が、それにより提供される。
本発明は、配列番号1〜14のいずれかの群から選択されるEGF受容体エピトープペプチドの存在または露出を検出することによって、頭頸部癌、乳癌、または前立腺腫瘍および神経膠腫を含む腫瘍および癌を測定およびモニターする方法を包含する。特定のそのような方法において、EGF受容体エピトープペプチドは:
a.配列番号1〜14のいずれかの群から選択されるEGF受容体エピトープペプチドの存在または露出が疑われるサンプルを、ペプチドの抗体への結合が起こる条件下で該EGF受容体ペプチドに対する抗体と接触させる工程;および、
b.そのサンプル由来のEGF受容体エピトープペプチドとその抗体との間で結合が起こったか否かを検出する工程;
によって測定され、
ここで、結合の検出は、サンプル中でのEGF受容体エピトープペプチドの存在または露出を示す。
本発明は、本発明のEGF受容体エピトープペプチドの露出、またはEGFR移行性状態の安定性を変調するのに有効な潜在的化合物をスクリーニングするためのアッセイ系を包含する。1つの例において、試験化合物、またはその化合物を含有する抽出物を、特定のEGFRを発現する細胞サンプルに投与して、本発明のEGF受容体エピトープペプチドの露出、またはコントロールとの比較によるEGFR移行性状態の安定性に対する化合物の効果を測定することができる。
本発明のなおさらなる目的は、頭頸部癌、乳癌、肺癌、卵巣癌、膀胱癌、咽頭癌、扁平細胞癌腫、または前立腺腫瘍および神経膠腫を含む腫瘍または癌に罹患した哺乳動物の処置方法を提供することにある。
本発明は、免疫原性的に有効な用量の、配列番号1〜14のいずれかの群から選択されるEGF受容体エピトープペプチドを含むワクチンを被験体に投与する工程を包含し、頭頸部癌、乳癌、肺癌、卵巣癌、膀胱癌、咽頭癌、扁平細胞癌腫、または前立腺腫瘍および神経膠腫を含む腫瘍または癌に罹患した哺乳動物の処置方法を提供する。
さらなる局面において、本発明は、配列番号1〜14のいずれかの群から選択されたEGF受容体エピトープペプチドおよび薬学的に受容可能なキャリアを含むある量の薬学的組成物を被験体に投与し、それにより免疫応答を誘導する、頭頸部癌、乳癌、肺癌、卵巣癌、膀胱癌、咽頭癌、扁平細胞癌腫、または前立腺腫瘍および神経膠腫を含む腫瘍または癌を有する被験体において免疫応答を誘導する方法を提供する。
他の目的および利点は、以下の例示的な図面を参照して進める、以下の記載のレビューから当業者に明らかとなる。
(詳細な説明)
本発明に従って、当業者の技量内にある慣用的分子生物学、微生物学、および組換えDNA技術を使用することができる。そのような技術は文献において十分に説明されている。例えば、Sambrookら、“Molecular Cloning:A Laboratory Manual”(1989);“Current Protocols in Molecular Biology”Volumes I−III[Ausubel, R.M.,ed.(1994)];“Cell Biology:ALaboratory Handbook” Volumes I−III[J.E.Celis,ed.(1994)];“Curent Protocols in Immunology” Volumes I−III[Coligan,J.E.,ed.(1994)];“Oligonucleotide Synthesis”(M.J.Gait ed.1984);“Nucleic Acid Hybridization”[B.D.Hames & S.J.Higgins eds.(1985)];“Transcription and Translation”[B.D.Hames & S.J.Higgins, eds.(1984)];“Animal Cell Culture”[R.I.Freshney,ed.(1986)];“Immobilized Cells And Enzymes”[IRL Press,(1986)];B.Perbal,“A Practical Guide To Molecular Cloning”(1984)。
従って、もし本明細書中に出現するならば、以下の用語は以下に記載されている定義を有すべきである。
用語「増殖因子受容体ペプチド」、「受容体エピトープペプチド、「EGFファミリー受容体ペプチド」、「EGF受容体ペプチド」、「EGFRエピトープ」、「EGFRペプチド」、および具体的にはリストされないいずれかの改変体は本明細書中においては互換的に用いることができ、本出願および特許請求の範囲を通じて用いられる場合、単一または複数ペプチドを含むペプチド物質をいい、本明細書中に記載され、および配列番号1〜14のいずれか、および表1および2に提示されたアミノ酸配列データを有するペプチド、およびその改変体、および本明細書および特許請求の範囲に記載された活性のプロフィールまで拡大される。従って、実質的に同等のまたは改変された活性を呈するタンパク質もまた、企図される。これらの修飾は、例えば、部位特異的突然変異誘発を通じて得られた修飾のように慎重なものであってよく、あるいは複合体またはその命名されたサブユニットのプロデューサーである宿主における突然変異を通じて得られるもののように偶然のものであってよい。限定されるものではないが、部位特異的突然変異誘発またはランダム突然変異誘発を含む、その改変体を含む受容体エピトープペプチドの修飾を生じさせ、およびそれを試験する方法は当業者に良く知られており、本明細書中に記載され、例示され、およびその実施例3で供されるものを含む。また、用語「増殖因子受容体ペプチド」「受容体エピトープペプチド」、「EGFファミリー受容体ペプチド」、「EGF受容体ペプチド」、「EGFRエピトープ」、「EGFRペプチド」は、本明細書中で具体的に引用されたタンパク質およびペプチド、ならびに全ての実質的に相同なアナログおよび対立遺伝子変動をその範囲内に含めることを意図する。
本明細書中に記載されたアミノ酸残基は「L」異性体形態であるのが好ましい。しかしながら、「D」異性体形態である残基は、免疫グロブリン−結合の所望の機能的特性が当該ポリペプチドによって維持される限り、いずれのL−アミノ酸残基に代えて置換することもできる。NHとは、ポリペプチドのアミノ末端に存在する遊離アミノ基をいう。COOHとは、ポリペプチドのカルボキシ末端に存在する遊離カルボキシル基をいう。標準的なポリペプチド命名法(J.Biol.Chem.,243:3552−59(1969))と歩調を合わせるのに、アミノ酸残基に対する略語を以下の対応表に示す:
Figure 2008501308
Figure 2008501308
全てのアミノ酸残基の配列は、本明細書中においては、その右側および左側の向きが、アミノ−末端からカルボキシ−末端への慣用的方向にある式によって表されることに注意すべきである。さらに、アミノ酸残基配列の開始または終わりにおけるダッシュは、1以上のアミノ酸残基のさらなる配列に対するペプチド結合を示すことに注意すべきである。前記表は、本明細書中においては交互に出現し得る3文字および1文字表記を相関させるために掲げる。
「レプリコン」は、イン・ビボにてDNA複製の自律単位として機能する、すなわち、それ自身の制御の下で複製できるいずれの遺伝子エレメント(例えば、プラスミド、染色体およびウイルス)でもある。
「ベクター」は、もう1つのDNAセグメントを付着させて、付着されたセグメントの複製を実行できるプラスミド、ファージまたはコスミドのようなレプリコンである。
「DNA分子」とは、その一本鎖形態または二本鎖ラセンいずれかのデオキシリボヌクレオチド(アデニン、グアニン、チミンまたはシトシン)のポリマー形態をいう。この用語は分子の一次および二次構造のみをいうが、それをいずれかの特定の三次形態に制限しない。それゆえ、この用語は、とりわけ、線状DNA分子(例えば、制限フラグメント)、ウイルス、プラスミドおよび染色体において見出される二本鎖DNAを含む。特定の二本鎖DNA分子の構造を議論するにおいて、配列は、DNAの非転写ストランド(すなわち、mRNAに対して相同な配列を有するストランド)に沿った5’〜3’方向の配列のみを与える通常の約束に従って本明細書中では記載できる。
「複製起点」とは、DNA合成に参画するDNA配列をいう。DNA「コーディング配列」は、適当な調節配列の制御下に置かれた場合、イン・ビボにて転写され、ポリペプチドに翻訳される二本鎖DNA配列である。コーディング配列の境界は、5’(アミノ)末端における開始コドンおよび3’カルボキシル末端における翻訳停止コドンによって決定される。コーディング配列は、限定されるものではないが、原核生物配列、真核生物mRNAからのcDNA、真核生物(例えば、哺乳動物)DNAからのゲノムDNA配列、および合成DNA配列さえを含むことができる。ポリアデニル化およびシグナルおよび転写終止配列は、通常、コーディング配列に対して3’側に位置する。
転写および翻訳制御配列は、宿主細胞におけるコーディング配列の発現を供するプロモーター、エンハンサー、ポリアデニル化シグナル、ターミネーター等のようなDNA調節配列である。
「プロモーター配列」は、細胞中でRNAポリメラーゼに結合でき、下流(3’方向)コーディング配列の転写を開始させることができるDNA調節領域である。本発明を規定する目的では、プロモーター配列は転写開始部位によってその3’末端が境界となり、上流(5’方向)に延びて、バックグラウンドを超えて検出可能なレベルで転写を開始させるのに必要な最小数の塩基またはエレメントを含む。プロモーター配列内には、(便宜には、ヌクレアーゼS1でのマッピングによって規定される)転写開始部位、ならびにRNAポリメラーゼの結合を担うタンパク質結合ドメイン(コンセンサス配列)が見出される。真核生物プロモーターは、しばしば、「TATA」ボックスおよび「CAT」ボックスを含むが、常には含まない。原核生物プロモーターは、−10および−35コンセンサス配列に加え、シャイン−ダルガルノ配列を含む。
「発現制御配列」は、もう1つのDNA配列の転写および翻訳を制御し、調節するDNA配列である。コーディング配列は、RNAポリメラーゼがコーディング配列をmRNAに転写し、次いで、これがコーディング配列によってコードされたタンパク質に翻訳される場合に、細胞中の転写および翻訳制御配列の「制御下」にある。
「シグナル配列」はコーディング配列の前に含めることができる。この配列は、細胞表面へポリペプチドを向けるように宿主細胞に連絡する、ポリペプチドに対してN−末端側のシグナルペプチドをコードし、このシグナルペプチドはタンパク質が宿主を去る前に宿主細胞によってはずされる。シグナル配列は、原核生物および真核生物にとって天然である種々のタンパク質に会合して見出すことができる。
本発明のプロフィールをいうのに本明細書中で用いる用語「オリゴヌクレオチド」は、2以上のリボヌクレオチド、好ましくは3を超えるリボヌクレオチドよりなる分子と定義される。その正確なサイズは、オリゴヌクレオチドの最終的な機能および用途に依存する多くの因子に依存する。
本明細書中で用いる用語「プライマー」は、核酸ストランドに対して相補的であるプライマー延長産物の合成が、すなわち、ヌクレオチド、およびDNAポリメラーゼのような誘導剤の存在下で、かつ適当な温度およびpHにおいて誘導される条件下に置かれた場合に、合成の開始点として作用することができる、精製された制限消化物におけるように天然のものであるか、または合成により生じるかを問わず、オリゴヌクレオチドをいう。プライマーは一本鎖または二本鎖いずれかであって良く、誘導剤の存在下で所望の延長産物の合成の起点となるように十分長くなければならない。プライマーの正確な長さは、温度、プライマーの源、および当該方法の用途を含む多くの因子に依存する。例えば、診断適用では、標的配列の複雑性に応じて、オリゴヌクレオチドプライマーは、典型的には、15〜25以上のヌクレオチドを含有するが、それはより少数のヌクレオチドを含有しても良い。
ここに、プライマーは、特定の標的DNA配列の異なるストランドに対して「実質的に」相補的であるように選択される。これは、プライマーがそれらの各ストランドにハイブリダイズするのに十分に相補的でなければならないことを意味する。従って、プライマー配列は鋳型の正確な配列を反映する必要はない。例えば、非−相補的ヌクレオチドフラグメントをプライマーの5’末端に付着させることができ、プライマー配列の残りはストランドに相補的である。あるいは、非−相補的塩基またはより長い配列をプライマー中に入れることができるが、但し、プライマー配列はそれに対してハイブリダイズするのにストランド配列に対して十分な相補性を有し、それにより、延長産物の合成のための鋳型を形成するものとする。
本明細書中で用いるように、用語「制限エンドヌクレアーゼ」および「制限酵素」は、その各々が二本鎖DNAを特異的ヌクレオチド配列においてまたはその近くで切断する細菌酵素をいう。
DNAが細胞の内部に導入された場合に、細胞は外因性または異種DNAによって「形質転換」されている。形質転換DNAは、細胞のゲノムをなす染色体DNAに一体化(共有結合)しても、またはしなくても良い。原核生物、酵母、および哺乳動物細胞においては、例えば、形質転換DNAはプラスミドのようなエピソームエレメントに維持することができる。原核生物細胞に関しては、安定に形質転換された細胞は、形質転換DNAが、それが染色体複製を通じて娘細胞によって遺伝されるように染色体に一体化されるようになったものである。この安定性は、形質転換DNAを含む娘細胞の集団よりなる細胞系またはクローンを確立する真核生物細胞の能力によって示される。「クローン」は、有糸分裂によって対立細胞または共通の先祖に由来する細胞の集団である。「細胞系」は、多世代の間にイン・ビトロで安定な成長が可能な一次細胞のクローンである。
2つのDNA配列は、ヌクレオチドの少なくとも約75%、好ましくは少なくとも約80%、最も好ましくは少なくとも約90または95%)が、DNA配列の所望の長さにわたってマッチする場合に「実質的に相同」である。実質的に相同である配列は、配列データバングにおいて、あるいは例えば、その特定の系につき規定されたストリンジェントな条件下でのサザンハイブリダイゼーション実験において入手できる標準的なソフトウェアを用いて配列を比較することによって同定することができる。適当なハイブリダイゼーション条件の規定は、当業者の技量内のものである。例えば、Maniatis ら、.,前掲;DNA Cloning,Vols.I&II,前掲;Nucleic Acid Hybridization,前掲参照。
配列番号1〜14のいずれかと同一のアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードし、かつ相互に対して縮重できる本発明の受容体ペプチドをコードするDNA配列も本発明の範囲内にあることが認識されるべきである。「に対して縮重」とは、異なる3文字コドンを用いて特定のアミノ酸を特定することを意味する。以下のコドンを相互交換的に用いて、各特異的アミノ酸をコードできることは当該分野で良く知られている。
Figure 2008501308
前記での特定されたコドンはRNA配列のためのものであることが理解されるべきである。DNAについての対応するコドンはUの代わりに置換されたTを有する。
特定のコドンが、異なるアミノ酸をコードするコドンに変化するように、配列番号1〜14のいずれかをコードするDNA配列において突然変異をなすことができる。そのような突然変異は、一般には、最も少数のヌクレオチド変化を可能とすることによってなされる。この類の置換突然変異を行って、(すなわち、特定のサイズを有するアミノ酸のグループ分けに属するアミノ酸からの、またはもう1つのグループ分けに属するアミノ酸に特徴的なコドンを変化させることによって)非保存的に、あるいは(すなわち、特定のサイズを有するアミノ酸のグループ分けに属するアミノ酸からの、あるいは同一グループ分けに属するアミノ酸に特徴的なコドンを変化させることによって)保存的に、得られたタンパク質におけるアミノ酸を変化させることができる。そのような保存的な変化は、一般的には、得られたタンパク質の構造および機能のより少ない変化に導く。非保存的変化は、得られたタンパク質の構造、活性または機能をより変化させるようである。本発明は、得られたタンパク質の活性または結合特徴を実質的に変化させない保存的変化を含む配列を含むと考えられるべきである。
以下に示すのはアミノ酸の種々のグループ分けの1つの例である:
(非極性R基を有するアミノ酸)
アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、トリプトファン、メチオニン
(非荷電極性R基を有するアミノ酸)
グリシン、セリン、スレオニン、システイン、チロシン、アスパラギン、グルタミン
((pH6.0において負に荷電した)荷電極性R基を有するアミノ酸)
アスパラギン酸、グルタミン酸
((pH6.0において正に荷電した)塩基性アミノ酸)
リシン、アルギニン、ヒスチジン(pH6.0における)
もう1つのグループ分けはフェニル基を有するアミノ酸であり得る:
フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン
もう1つのグループ分けは分子量(すなわち、R基のサイズ)によるものであり得る:
グリシン 75
アラニン 89
セリン 105
プロリン 115
バリン 117
スレオニン 119
システイン 121
ロイシン 131
イソロイシン 131
アスパラギン 132
アスパラギン酸 133
グルタミン 146
リシン 146
グルタミン酸 147
メチオニン 149
(pH6.0における)ヒスチジン 155
フェニルアラニン165
アルギニン 174
チロシン 181
トリプトファン 204
特に好ましいのは:
−正の電荷を維持することができるようなArgに代えてのLys、およびその逆;
−負の電荷を維持することができるようなAspに代えてのGlu、およびその逆;
−遊離−OHを維持することができるようなThrに代えてのSer;および
−遊離NHを維持することができるようなAsnに代えてのGln。
アミノ酸置換は、特に好ましい特性を有するアミノ酸を置換するために導入することもできる。例えば、Cysは、もう1つのCysとのジスルフィドブリッジ用に潜在的部位に導入することができる。Hisは特に「触媒的」部位として導入することができる(すなわち、Hisは酸または塩基として作用することができ、生化学触媒における最も一般的なアミノ酸である)。Proは、タンパク質構造においてターンを含むその特に平面の構造のため導入することができる。
2つのアミノ酸は、アミノ酸残基の少なくとも約70%(好ましくは少なくとも約80%、最も好ましくは少なくとも約90または95%)が同一であるか、または保存的置換を表す場合に「実質的に相同」である。
DNA構築体の「相同」領域は、天然でのより大きな分子と会合して見出されないより大きなDNA分子内のDNAの同定可能なセグメントである。
それゆえ、異種領域が哺乳動物遺伝子をコードする場合、該遺伝子は、通常、源生物のゲノム中の哺乳動物ゲノムDNAに近接しないDNAによって近接される。異種コーディング配列のもう1つの例は、コーディング配列それ自体が天然では見出されない構築体(例えば、ゲノムコーディング配列はイントロンを含むcDNA、または天然遺伝子とは異なるコドンを有する合成配列)である。対立遺伝子変異または天然に生じる突然変異事象は、本明細書中に規定されたDNAの異種領域を生起させない。
DNA配列は、発現制御配列がそのDNA配列の転写および翻訳を制御し、調節する場合に、発現制御配列に「操作可能に」連結されている。用語「操作可能に連結した」は、発現すべきDNA配列の前に適当な開始シグナル(例えば、ATG)を有すること、および正しいリーディングフレームを維持して、発現制御配列の制御下でのDNA配列の発現、およびDNA配列によってコードされる所望の産物の生産を可能とすることを含む。もし組換えDNA分子に挿入することを望む遺伝子が適当な開始シグナルを含まないならば、そのような開始シグナルを当該遺伝子の前に挿入することができる。
用語「標準的ハイブリダイゼーション条件」とは、ハイブリダイゼーションおよび線状双方についての5×SSCおよび65℃に実質的に同等な塩および温度条件をいう。しかしながら、当業者であれば、そのような「標準的ハイブリダイゼーション条件」は、緩衝液中でのナトリウムおよびマグネシウムの濃度、ヌクレオチド配列の長さおよび濃度、パーセントミスマッチ、パーセントホルムアルデヒド等を含む特定の条件に依存することを認識する。また、「標準的ハイブリダイゼーション条件」の決定で重要なのは、ハイブリダイズする2つの配列がRNA−RNA、DNA−DNAまたはRNA−DNAであるかである。そのような標準的ハイブリダイゼーション条件は、良く知られた処方に従って当業者によって容易に決定され、ここに、ハイブリダイゼーションは典型的には、所望であれば、より高いストリンジェンシーの洗浄を伴う予測されたまたは決定されたT未満の10〜20℃である。
「抗体」は、特異的エピトープに結合する、抗体およびそのフラグメントを含むいずれかの免疫グロブリンである。該用語は、米国特許第4,816,397号および第4,816,567号にさらに詳細に記載された言及された最後のポリクローナル、モノクローナルおよびキメラ抗体を含む。
抗体は多数の方法で修飾できるため、用語「抗体」は、必要な特異性を有する結合ドメインを有するいずれかの特定の分子または物質を網羅すると解釈されるべきである。それゆえ、この用語は、天然または全部がまたは部分的に合成であるかを問わず、免疫グロブリン結合ドメインを含むいずれかのポリペプチドを含む、抗体フラグメント、誘導体、抗体の機能的同等体およびホモログをカバーする。もう1つのポリペプチドに融合した免疫グロブリン結合ドメインまたはその同等体を含むキメラ分子は従って含まれる。キメラ抗体のクローニングおよび発現はEP−A−0120694およびEP−A−0125023および米国特許第4,816,397号および第4,816,567号に記載されている。
全抗体のフラグメントは結合性抗原の機能を実行できることが示されている。結合性フラグメントの例は(i)VL、VH、CLおよびCH1ドメインよりなるFabフラグメント;(ii)VHおよびCH1ドメインよりなるFdフラグメント;(iii)単一抗体のVLおよびVHドメインよりなるFvフラグメント;(iv)VHドメインよりなるdAbフラグメント(Ward,E.S.ら、Nature 341,544−546(1989));(v)単離されたCDR領域;(vi)2つの連結されたFabフラグメントを含む二価フラグメントであるF(ab’)2フラグメント;(vii)単一鎖Fv分子(scFv)、ここに、VHドメインおよびVLドメインは、2つのドメインが会合して抗原結合部位を形成するペプチドリンカーによって連結されている(Birdら、Science,242,423−426,1988;Hustonら、PNAS USA,85,5879−5883,1988);(viii)多価抗体フラグメント(scFvダイマー、トリマーおよび/またはテトラマー(PowerおよびHudson,J Immunol.Methods 242:193−2049(2000);(ix)二特異的単一鎖Fvダイマー(PCT/US92/09965)および(x)「ダイヤボディー」、遺伝子融合によって構築された多価または多特異的フラグメント(WO 94/13804;P.Holligerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90 6444−6448,(1993))である。
「抗体組み合わせ部位」は、特異的に抗原に結合する重鎖および軽鎖可変および超可変領域よりなる抗体分子のその構造部分である。
本明細書中で用いるその種々の文法的形態における句「抗体分子」では、インタクトな免疫グロブリン分子、および免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な部分双方が企図される。
例示的な抗体分子は、無傷免疫グロブリン分子、実質的に無傷の免疫グロブリン分子、パラトープを含有する免疫グロブリン分子の部分であり、その部分は、Fab、Fab’、F(ab’)およびF(v)として当該分野で公知の部分を含み、その部分は本明細書中に記載する治療方法で用いるのに好ましい。抗体分子のFabおよびF(ab’)部分は、良く知られた方法による、実質的に無傷の抗体分子に対する、各々、パパインおよびペプシンのタンパク質分解反応によって調製される。例えば、Theofilopolous ら、.に対する米国特許第4,342,566号参照。Fab’抗体分子部分も良く知られており、メルカプトエタノールでのような、2つの重鎖部分を連結するジスルフィド結合の関連、続いて、ヨードアセタミドのような試薬での得られたタンパク質メルカプタンのアルキル化によって、F(ab’)部分から生産される。無傷抗体分子を含有する抗体は本明細書中において好ましい。
その種々の文法学的形態における句「モノクローナル抗体」とは、特定の抗原と免疫反応できる抗体組み合わせ部位のただ1つの種を有する抗体をいう。モノクローナル抗体は、それゆえ、典型的には、それが免疫反応するいずれかの抗原に対する単一結合親和性を呈する。モノクローナル抗体は、従って、各々が異なる抗原に対して免疫特異的である、複数の抗体組み合わせ部位を有する抗体分子、例えば、二特異的(キメラ)モノクローナル抗体を含むことができる。
句「薬学的に受容可能な」とは、生理学的に許容され、典型的には、ヒトに投与された場合に、胃の不調、眩暈などのようなアレルギー性または同様な面倒な反応を生じない分子体および組成物をいう。
句「治療上有効量」は、本明細書中においては、臨床的に有意な変化のサイズ、あるいは標的細胞塊のS相活性においては、例えば、抗体応答、T細胞またはB細胞応答、EGFR発現の低下のような病理学の他の特徴を、妨げ、好ましくは少なくとも約30パーセントだけ妨げ、より好ましくは少なくとも約50パーセントだけ、最も好ましくは少なくとも90パーセントだけ妨げるのに十分な量を意味するように用いる。
用語「アジュバント」とは、特に抗原に対する、免疫応答を増強させる化合物または混合物をいう。アジュバントは、抗原をゆっくりと放出する組織デポとして、また、免疫応答を非特異的に増強させるリンパ系アクチベータとして働くことができる(Hoodら、Immunology, Second Ed.,1984,Benjamin/Cummings:Menlo Park, California,p.384)。しばしば、アジュバントの不存在においては、抗原単独での一次挑戦は、液性または細胞性免疫応答を誘導するのに失敗する。既に知られた利用されるアジュバントは、限定されるものではないが、フロイントの完全アジュバント、フロイントの不完全アジュバント、サポニン、水酸化アルミニウムのような鉱物ゲル、リソレシチンのような界面活性物質、プルロニックポリオール、ポリアニオン、ペプチド、油または炭水化物エマルジョン、キーホールリンペットヘモシアニン、ジニトロフェノール、およびBCG(Bacille Calmette−Guerin)およびCorynebacterium parvumのような潜在的に有用なヒトアジュバントを含む。鉱物塩アジュバントは、限定されるものではないが、水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム、リン酸カルシウム、水酸化亜鉛および水酸化カルシウムを含む。好ましくは、アジュバント組成物は、さらに、約10%(重量)植物油および約1〜2%(重量)ホスホリピッドを含む脂肪エマルジョンの脂質を含む。好ましくは、アジュバント組成物は、さらに、所望により、連続水性相に分散した油性粒子を有し、約0.2%(重量)〜約49%(重量)の量のエマルジョン形成ポリオール、所望により、15%(重量)までのエマルジョン−形成量の代謝可能油および、所望により、約5%(重量)までのエマルジョン−安定化量のグリコールエーテル−ベースの界面活性剤を有するエマルジョン形態を含む。アジュバントの他の例は、モノホスホリルリピドA(MPL、SmithKline Beecham)、Salmonella Minnesota Re 595リポ多糖の精製および酸化水分解後に入れられる同族体;QS21(SmithKline Beecham)、Quilljaサポナリア抽出物から精製された純粋なQA−21サポニンを含むサポニン;PCT出願WO 96/33739(SmithKline Beecham)に記載されたDQS21;Quillaia saponariaモリナ(molina)樹木の樹皮から得られるISCOM(CSL Ltd.,Parkville,Victoria,Australia);QS−7、QS−17、QS−18、およびQS−L1(Soら、Mol.Cells 7:178−186,1997);モンタナイド;ミョウバン;CpGオリゴヌクレオチド(例えば、Kreigら、Nature 374:546−9,1995);スクアレンおよび/またはトコフェロールのような生分解性油から調製した種々の油中水型エマルジョン;およびイミキミド(3M,St.Paul,Minnesota)のような皮膚の外側部分で見出されるある種の免疫細胞について細胞上の所謂「トール−様受容体7」によって摂取される因子を含む。特に、該抗原はDQS21/MPLの組み合わせと混合して投与できる。MPLに対するDQS21の比率は、典型的には、約1:10〜10:1、好ましくは約1:5〜5:1、より好ましくは約1:1である。典型的には、ヒト投与では、DQS21およびMPLは、約1μg〜約100μgの範囲のワクチン処方にて存在させることとなろう。他のアジュバントは当該分野で公知であり、本発明で用いることができる(例えば、Goding,Monoclonal Antibodies:Principles and Practice,2nd Ed.,1986)。ポリペプチドおよびアジュバントの混合物またはエマルジョンの調製するための方法は、免疫応答を誘導しおよび/または増強させる技術、およびワクチン接種の技術の分野における当業者に良く知られている。
本明細書中で用いるように、「免疫モジュレーター」とは、免疫応答または免疫学的応答を変調することができる剤をいう。そのような変調は抗体生産の、液性応答の、細胞性免疫応答の増強を含む。免疫モジュレーターの例は、限定されるものではないが、アジュバント、サイトカイン、インターロイキン、ケモカインおよび増殖因子を含む。
用語、免疫モジュレーターの「有効量」とは、細胞−媒介、液性または抗体−媒介であれ、ワクチン−誘導免疫応答を増強するのに十分な免疫もジュレーターの量をいう。免疫モジュレーターの有効量は、もし注射されるならば、約0.1〜1,000μg、好ましくは1〜900μg、より好ましくは5〜500μgの範囲、あるいはヒト被験体では、約0.01〜10.0μg/Kg被験体動物体重の範囲とすることができる。この量は、投与の態様に応じて幾分変化させることができるが、同一の一般的範囲にある。もし1を超える免疫モジュレーターを用いるならば、各々の1つはこれらの量で存在させることができるか、合計量をこの範囲内に入るようにすることができる。有効量の抗原は、免疫モジュレーターの不存在下における示すことができる免疫応答を誘導することができる量であり得る。用いるべき抗原の適当な量は、特異的抗原に依存し、これは当該分野でよく知られている。
必要な正確な有効量は、被験体の種、年齢および一般的状態、治療すべき疾患の重症度、投与の態様などに依存して被験体間で変化する。それゆえ、正確な有効量を特定することは可能ではない。しかしながら、適当な有効量は、ルーチン的実験およびワクチン分野における先行する知識のみを用いて当業者によって決定され得る。
抗原よりなる組成物またはワクチンに対する「免疫学的応答」は、注目する組成物またはワクチンに対する細胞−および抗体−媒介免疫応答の宿主における発生である。通常、そのような応答は、注目する組成物またはワクチンに含まれる抗原または複数抗原に特異的に向けられた抗体、B細胞、ヘルパーT細胞、サプレッサーT細胞、および/または細胞傷害性T細胞を生産する被験体よりなる。
本明細書中で用いるように、「pg」はピコグラムを意味し、「ng」はナノグラムを意味し、「ug」または「μg」はマイクログラムを意味し、「mg」はミリグラムを意味し、「uL」または「μL」はマイクロリットルを意味し、「mL」はミリリットルを意味し、「L」はリットルを意味する。
種々の文法的な形態における用語「異常発現」は、非過剰発現状態とはコントロール的に、タンパク質のより多くが存在し、あるいはいずれかの時点で検出できるように、増強された発現または翻訳、タンパク質のプロモーターまたはレギュレーターの変調、タンパク質についての遺伝子の増幅、または増強された半減期または安定性を含むいずれかの手段によって引き起こされた、組織におけるタンパク質のいずれの上昇したまたは改変された発現または過剰発現も、例えば、タンパク質の量の増大を意味し、それを含むことができる。異常な発現は、細胞中のタンパク質発現または翻訳後修飾マシーナリーが、タンパク質の増大した発現または増大したレベルまたは量のため負担がかけられた、またはそうでなければ破壊されたいずれのシナリオまたは改変も含み、それが考えられ、突然変異したタンパク質または改変体におけるように、配列の改変、欠失または挿入、または改変された折畳みのため改変されたタンパク質が発現される場合を含む。
用語「異常な発現」は、本明細書中においては、その異常な量またはレベルの十分な原因にはかかわらず、異常な(通常は上昇した)タンパク質の量/レベルが存在する場合を含むように具体的に選択されていることを認識するのは重要である。それゆえ、タンパク質の異常な量は、遺伝子増幅の不存在下でのタンパク質の過剰発現に由来し得、これは、例えば、癌を有する被験体の頭頸部から採取された多くの細胞/組織サンプルで当てはまり、他方、他のサンプルは遺伝子増幅に帰せられる異常なタンパク質レベルを呈する。
この後者の関係においては、本発明を説明するためにここに掲げられる本発明者らの業績のあるものは、そのあるものが、特にEGFRを含むEGFファミリー受容体を含む、増殖因子受容体の増殖に由来する異常なタンパク質レベルを呈するサンプルの分析を含む。これは、従って、増幅に言及される実験的知見のここでの提示、および増殖因子受容体、EGFファミリー受容体、EGFRの異常なレベルを記載するにおいて、用語「増幅/増幅された」などを用いることを説明する。しかしながら、それは、本発明の結合メンバーに頼ることによる臨床的介入が考えられる環境または状況を規定するタンパク質の異常な量またはレベルの観察であり、この理由で、本明細書は、用語「異常な発現」は、増殖因子受容体、EGFファミリー受容体、EFGRレベルにおける対応する異常性を生じる原因環境をより広く捉えることを考える。
従って、それらの種々の文法的形態における用語「過剰発現」および「増幅」は区別される技術的意味を有すると理解されるが、それらが、異常な増殖因子受容体、EGFファミリー受容体、EFGRタンパク質レベルが本発明の意味で存在する状態を表す限り、それらは相互に同等と考えるべきである。その結果、用語「異常な発現」は、全ての用語が用いられる相互に対して同等であると考えることができるように、ここでの目的に対するその範囲内で用語「過剰発現」および「増幅」を包含すると考えられるように選択されている。
本発明は、抗腫瘍能力および活性を有する抗体を作成するにおいて、あるいは抗腫瘍応答である免疫学的応答を刺激するにおいて利用することができる、受容体エピトープ、特に増殖因子受容体エピトープに関する。増殖因子受容体エピトープは、増殖因子受容体の移行性形態で露出され、かつ受容体の移行性形態を認識する抗体を作り出すことができ、それにより、不活性なリガンド−結合立体配座から活性なリガンド−結合立体配座への変化を含む、それらの活性化を、防止または阻害することを含めて変調するループエピトープを含む。本発明は、抗腫瘍能力および活性を有する抗体を作成するのに、あるいは抗腫瘍応答である免疫学的応答を刺激するにおいて利用することができる、受容体エピトープ、特にEGFファミリー受容体エピトープ、最も特別にはEGFRエピトープを提供する。一般的態様において、本発明は、腫瘍形成性、過剰増殖または異常細胞で見出され、正常なまたは野生型細胞において検出できない、または移行性である受容体エピトープ、特にEGF受容体エピトープまたはEGF受容体ファミリーエピトープを提供する。
本発明は、増殖因子受容体、特にEGFRにおいて、システインによって各N−末端およびC−末端に結合し、ジスルフィドループペプチドを形成するエピトープペプチド、特にループペプチドの存在および露出を記載する。このループペプチドは未連結の移行性立体配座で露出され、その存在または量は、オートクリンリガンド生産(リガンドは活性なダイマーに向けてEGFRを駆動する)、リガンド−非依存性受容体活性化(受容体を発現する細胞にかなり制限された事象)、未連結のレベル、またはこれらの可能性のいずれかの組み合わせを改変するグリコシル化における改変を含む場合に改変または増加される。
EGFR mAb806ループ287−302エピトープの配列相同性(CGADSYEMEEDGVRKC(配列番号1))は、EGFファミリーメンバーErbB3およびErbB4において比較的低いが、システインループのサイズおよび位置は保存されている。さらに、完全に保存された2つのアミノ酸残基(E293およびG298)、および電荷が保存されたさらなる2つ(E295およびR300)がある。最後に、ErbB3(および恐らくはErbB4)の総じての構造は、それが恐らくは活性化の間に連結解除される連結された立体配座を採用する点でEGFRのそれに非常に似ている(Cho,H.S.and Leahy,D.J.(2002)Science 297:1330−1333)。それゆえ、ErbB3/B4における同等なシステインループに標的化された抗体が、mAb806と同様な特性(すなわち、腫瘍に制限される特異性、および受容体活性化をブロックする能力)を有する点で有用なものとしてここに提供される。最も広くは、増殖因子受容体の移行性形態に対する抗体の作成は、抗−シグナル伝達活性を依然として保有する正常な組織標的化を低下させる新規な方法を表す。
以下の表1は、EGFファミリーメンバーEGFR、ErbB2、ErbB3およびErbB4のループ配列の比較を掲げる。
Figure 2008501308
アミノ酸の保存された物理化学的特性を有する位置が、全て囲まれている。
加えて、EGFR mAb806ループ287〜302エピトープ(CGADSYEMEEDGVRKC(配列番号1))を利用するGenbank BLASTサーチにより、種々の哺乳動物EGFRにおける天然対立遺伝子およびこのループエピトープペプチド配列の改変体を同定する(表2)。
Figure 2008501308
本発明に従うと、増殖因子受容体ペプチド、特にEGFRペプチドが提供され、これは抗腫瘍活性を有する抗体、特にモノクローナル抗体を作成することができる。
本発明により、増殖因子受容体ペプチド、特にEGFRペプチドが提供され、これは、腫瘍形成性、過剰増殖または異常な細胞で見出され、かつ正常なまたは野生型細胞において検出できず、または移行性であるEGFRを認識することができる抗体を作成することができる。
本発明の増殖因子受容体ペプチド、特にEGFファミリー受容体ペプチドは、EGFR、抗体を含む、既に知られた増殖因子受容体で観察することができる正常な組織摂取に伴う問題なく、多数の腫瘍タイプ、例えば、頭頸部腫瘍、乳腫瘍、肺腫瘍、膀胱腫瘍、結腸腫瘍または前立腺腫瘍および神経膠腫を同定し、特徴付け、標的化する診断剤および治療剤用途を提供する。
本発明は、配列番号1〜14のいずれかから選択されるアミノ酸配列を有する増殖因子受容体ペプチドのアミノ酸配列を含む単離されたポリペプチドを含む。本発明は、さらに、配列番号1〜14のいずれかの改変体または突然変異体を含み、ここに、保存的または非保存的アミノ酸によることを含めて、1以上のアミノ酸が置換されている。mAb806抗体、またはそれから誘導される組換えまたは合成抗体によって認識でき、または結合でき、あるいはmAb806の特徴を有する抗体(類)を作成することができるいずれの改変体または突然変異体ペプチドも本発明によって含まれる。特に、いずれのそのようなペプチドも、増殖因子受容体を認識し、かつ抗腫瘍活性を有する抗体を作成することができる。その1以上の組み合わせを含む単離されたペプチドは、増殖因子受容体を認識し、かつ抗腫瘍活性を有する抗体を作成するにおいて、および癌または腫瘍疾患を有する動物、特に哺乳動物、最も特別にはヒトを免疫化するにおいて用いるのに適している。
前記したように、本発明は、配列番号1〜14のいずれかに記載されたアミノ酸配列を有する増殖因子受容体エピトープ、またはその免疫原性フラグメントをコードする、組換えDNA分子またはクローン化された遺伝子、またはその縮重改変体;好ましくは、配列番号1〜14のいずれかから選択されるEGFファミリー受容体エピトープをコードする核酸分子、特に組換えDNA分子またはクローン化された遺伝子にも関する。
先に議論したように、配列番号1〜14のいずれかのEGF受容体エピトープから特に選択された、EGFファミリー受容体エピトープまたはその免疫原性フラグメントは、その治療のために腫瘍または癌を有する患者への種々の手段による投与用に、適当なキャリアと共に、かつ十分な強度にて薬学的組成物にて調製することができる。種々の投与技術、とりわけ、皮下、静脈内および腹腔内注射、カテーテル化などのような非蛍光技術を利用することができる。ペプチド(類)またはその免疫原性フラグメントの平均的量は変化させることができ、特に、資格のある医師または獣医の推奨および処方に基づくべきである。
(抗体)
なおさらなる態様において、本発明は、配列番号1〜14のいずれかから選択されるEGFファミリー受容体ペプチドに対する精製された抗体を提供する。
本発明の単離されたポリペプチドに対する抗体は、天然で生起されたおよび組換えにより調製された抗体を含む。これらは、公知の遺伝子技術によって調製されたポリクローナルおよびモノクローナル抗体双方、ならびに二特異的抗体、およびそれらを診断用途で適したものとする他の機能を含む抗体を含むことができる。そのような抗体は、限定されるものではないが、頭頸部癌、乳癌、肺癌、卵巣癌、膀胱癌、咽頭癌、扁平細胞癌腫、または前立腺腫瘍および神経膠腫を含む、EGFRまたはそのファミリーメンバーのいずれかの異常な発現を有する腫瘍を有する患者を治療するために治療的に用いることができる。また、そのような抗体は、限定されるものではないが、頭頸部癌、乳癌、肺癌、卵巣癌、膀胱癌、咽頭癌、扁平細胞癌腫、または前立腺腫瘍および神経膠腫を含む腫瘍を特徴づけ、または癌を診断するために免疫アッセイで用いることもできる。該抗体は、頭頸部癌、乳癌、肺癌、卵巣癌、膀胱癌、咽頭癌、扁平細胞癌腫、または前立腺腫瘍および神経膠腫を含む腫瘍を低下させ、または癌を治療するために受動免疫化で用いることもできる。
また、ポリクローナルおよびモノクローナル双方の抗体を含む抗体、および受容体エピトープおよび/またはそれらのサブユニットの露出または活性を変調する薬物はある種の診断適用を保有することができ、例えば、ウイルス感染などのような疾患を検出しおよび/または測定する目的で利用することができる。例えば、受容体ペプチドまたはその免疫原性フラグメントを用いて、例えば、融合したマウス脾臓リンパ球および骨髄腫細胞を利用するハイブリドーマ技術のような公知の技術によって、種々の細胞培地中でポリクローナルおよびモノクローナル双方の抗体を生産することができる。同様に、本発明の受容体ペプチドまたはエピトープループの活性を模倣する、またはそれに拮抗する小分子を発見し、または合成することができ、および診断および/または治療プロトコルで用いることができる。
受容体ペプチドに対して生じたモノクローナル抗体のパネルは種々の特性;すなわち、アイソタイプ、エピトープ、親和性などにつきスクリーニングすることができる。特に興味があるのは、受容体の活性を中和しまたは変調するモノクローナル抗体である。そのようなモノクローナルは、受容体活性またはシグナル伝達アッセイにおいて、または腫瘍形成性圧制において容易に同定することができる。EGFR、または構成的に活性な受容体を含む突然変異体増殖因子受容体の免疫アフィニティー精製が望まれる場合には、高親和性抗体も有用である。
特に、本発明の診断方法で用いられる抗−受容体ペプチド抗体はアフィニティー精製されたポリクローナル抗体であり得る。より詳しくは、該抗体はモノクローナル抗体(mAb)である。加えて、本明細書中において用いる抗−受容体ペプチド抗体分子は、全抗体分子のFab、Fab’、F(ab’)またはF(v)部分の形態であってよい。合成、ヒト化、組換えまたは十分にヒトの抗体は特に好ましく提供される。
抗体の治療的用途は当該分野で良く知られている。公知の化学療法薬物と組み合わせた裸の抗体として、放射線免疫療法に対する放射性標識抗体として、または細胞傷害性薬物、トキシン、または他の毒性剤と結合体化させた/カップリングさせた抗体として治療目的で抗体を用いるいくつかの方法がある。
放射性標識抗体およびそのフラグメント、特に放射線免疫結合体化は、特に、癌療法のための放射性標識抗体として放射線免疫療法で有用である。なおさらなる態様において、放射性標識された抗体およびそのフラグメントはラジオイミュノ−ガイデッド外科技術で有用であり、そこでは、それらは癌細胞、前癌性細胞、腫瘍細胞、および過剰増殖細胞の存在および/または位置を、そのような細胞を除去するための外科的処置に先立って、その間にまたはそれに続いて同定し、示すことができる。
本発明の抗体およびそのフラグメントが他の分子または因子に結合体化された、または付着された本発明の免疫結合体化または抗体融合タンパク質は、さらに、限定されるものではないが、化学的切除剤、トキシン、免疫モジュレーター、サイトカイン、細胞傷害性剤、化学療法剤または薬物に結合体化された結合メンバーを含む。
本発明の抗体、または抗体フラグメントは、治療すべき疾患に応じて、単独で、あるいは他の処置、治療剤または剤と組み合わせて同時にまたは順次に投与することができる。加えて、本発明では、本明細書中に記載された抗体またはそのフラグメント、および抗癌剤または治療剤、ホルモン、抗−EGFR剤または抗体、または免疫モジュレーターのような他の剤または治療剤を含む組成物が考えられ、それを含む。より一般的には、これらの抗癌剤はチロシンキナーゼ阻害剤またはリン酸化カスケード阻害剤、翻訳後モジュレーター、細胞増殖または分裂阻害剤(例えば、抗−有糸分裂剤)、またはシグナル変換阻害剤であってよい。他の処置または治療剤は、非−ステロイド抗−炎症薬物(例えば、アスピリン、パラセタモール、イブプロフェンまたはケトプロフェン)のような苦痛軽減薬物、またはモルホリン、または抗−嘔吐剤のようなオピエートの適当な用量の投与を含むことができる。組成物は(限定されるものではないが、AG1478およびZD1839、STI571、OSI−774、SU−6668を含む)チロシンキナーゼ阻害剤、ドキソルビシン、テモゾロマイド、シスプラチン、カルボプラチン、ニトロソウレア、プロカルバジン、ビンクリスチン、ヒドロキシウレア、5−フルオロウラシル、シトシンアラビノシド、シクロホスファミド、エピポドフィロトキシン、カルムスチン、ロムスチンおよび/または他の化学療法剤と組み合わせて(順次に(すなわち前または後)または同時に)投与することができる。それゆえ、これらの剤は抗−EGFR特異的剤、あるいはAG1478、ZD1839、STI571、OSI−774またはSU−6668のようなチロシンキナーゼ阻害剤であってよく、あるいはドキソルビシン、シスプラチン、テモゾロミド、ニトロソウレア、プロカルバジン、ビンクリスチン、ヒドロキシウレア、5−フルオロウラシル、シトシンアラビノシド、シクロホスファミド、エピポドフィロトキシン、カルムスチンまたはロムスチンのようなより一般的な抗癌剤および抗−新形成剤であってよい。加えて、組成物はデキサメタゾンのようなホルモン、インターロイキン、腫瘍壊死因子(TNF)、顆粒球マクロファージ−コロニー刺激因子(GM−CSF)または他の増殖因子のような免疫モジュレーター、あるいは免疫応答、および癌細胞または腫瘍の低下または排除を刺激するサイトカインと共に投与することができる。TNFのような免疫モジュレーターは、806EGFRエピトープを認識し、ならびにTNF受容体に結合する二特異的抗体の形態で、本発明のメンバーと一緒に組み合わせることができる。また、組成物は、限定されるものではないが、抗EGFR抗体528、225、SC−03、DR8.3、L8A4、Y10、ICR62およびABX−EGFを含む他の抗−EGFR抗体と共に投与することができ、あるいはそれとの組み合わせを含むことができる。
既に、抗−EGFR抗体と組み合わせたドキソルビシンおよびシスプラチンのような薬物の使用は、抗腫瘍活性を増強させた(Fanら、1993;Baselgaら、1993)。ドキソルビシンおよびmAb528の組み合わせの結果、確立されたA431異種移植片の全体的根絶がもたらされ、他方、いずれかの剤単独での処置は一時的なイン・ビボ成長阻害を引き起こしたに過ぎなかった(Baselgaら、1993)。同様に、シスプラチンおよびmAb528または225いずれかの組み合わせもまたよく確立されたA431異種移植片の根絶に導き、これは、いずれかの剤での処置を用いた場合には観察されなかった(Fanら、1993)。
先に示唆されたように、本発明の診断方法は、抗−受容体ペプチド抗体、好ましくはアフィニティー−精製ポリクローナル抗体、より好ましくはmAbのような、受容体エピトープペプチドに対するアンタゴニストの有効量を含む、アッセイの手段によって細胞サンプルまたは培地を調べることを含む。先に議論したように、この方法から利益を受けることができる患者は腫瘍、癌、前−癌性病巣、または他の増殖因子受容体疾患に罹ったものを含む。抗−受容体ペプチド抗体を誘導する、および標的細胞、特に腫瘍または腫瘍形成性または癌細胞の調査、単離、認識または殺傷を助ける抗−受容体ペプチド抗体の能力を測定し、最適化する方法は当該分野で良く知られている。
ポリクローナル抗−受容体ペプチド抗体を生産する方法は当該分野で良く知られている。Nestor ら、に対する米国特許第4,493,795号参照。典型的には、有用な抗体分子のFabおよび/またはF(ab’)部分を含有するモノクローナル抗体は、ここに引用して援用する、Antibodies−A Laboratory Manual, Harlow and Lane,eds.,Cold Spring Harbor Laboratory,New York(1988)に記載されたハイブリドーマ技術を用いて調製することができる。簡単に述べれば、モノクローナル抗体組成物がそれから生産されるハイブリドーマを形成するために、骨髄腫または他の自己−永続性細胞系を、受容体ペプチドまたはその免疫原性フラグメントで過剰免疫化させた哺乳動物の脾臓から得られたリンパ球と融合させる。
脾臓細胞は、典型的には、ポリエチレングリコール(PEG)6000を用いて骨髄腫細胞と融合させる。融合したハイブリッドはHATに対するそれらの感受性によって選択される。本発明を実施するのに有用なモノクローナル抗体を生産するハイブリドーマは、本発明の受容体ペプチドと免疫反応するそれらの能力、および特定の受容体ペプチドまたは受容体活性を標的細胞において阻害するそれらの能力によって同定される。
本発明を実施するのに有用なモノクローナル抗体は、適当な抗原特異性の抗体分子を分泌するハイブリドーマを含有する栄養培地を含むモノクローナルハイブリドーマ培養を開始することによって生産することができる。該培養は、ハイブリドーマが抗体分子を培地に分泌するのに十分な条件下で、かつ十分な時間維持する。次いで、抗体−含有培地を収集する。次いで、抗体分子を良く知られた技術によってさらに単離することができる。
これらの組成物の調製で有用な培地は当該分野で知られており、かつ商業的に入手可能であり、合成培養培地、同系繁殖体マウスなどを含む。例示的な合成培地は、4.5gm/Lグルコース、20mmグルタミン、および20%胎仔ウシ結成を補足したダルベッコの最小必須培地(DMEM;Dulbeccoら、Virol.8:396(1959))である。例示的な同系繁殖体マウス株はBalb/cである。
ハイブリドーマによってモノクローナル抗体を作成するための一般的な方法は良く知られている。不滅の抗体−生産細胞系は、Bリンパ球の癌形成性DNAでの直接的形質転換、またはエプスタイン−バールウイルスでのトランスフェクションのような、融合以外の技術によって作成することもできる。例えば、M.Schreierら、“Hybridoma Techniques”(1980);Hammerlingら、“Monoclonal Antibodies And T−cell Hybridomas”(1981);Kennettら、“Monoclonal Antibodies”(1980)参照;また、米国特許第4,341,761号;第4,399,121号;第4,427,783号;第4,444,887号;第4,451,570号;第4,466,917号;第4,472,500号;第4,491,632号;第4,493,890号も参照。
モノクローナル抗−受容体ペプチド抗体を生産する方法も当該分野で良く知られている。Nimanら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,80:4949−4953(1983)。典型的には、本発明の受容体ペプチドまたはペプチドアナログは、抗−受容体ペプチドモノクローナル抗体を生産するための前記した手法における免疫原として、単独で用いるか、あるいは免疫原性キャリアに結合体化させる。ハイブリドーマは、受容体ペプチドと免疫反応する抗体を生産する能力につきスクリーニングさせる。
伝統的なハイブリドーマ技術とは別に、モノクローナル抗体を作成するための多数の他の良く知られた技術がある。特に好ましいのは十分にヒトの抗体を作成する方法である。1つの方法は、アフィニティー豊富化の方法を用いて抗原に特異的に結合するある範囲のヒト抗体を選択するのに用いることができるファージディスプレイ技術である。ファージディスプレイは文献に徹底的に記載されており、ファージディスプレイライブラリーの構築およびスクリーニングは当該分野で良く知られている。例えば、Hoogenboom ら、.Trends Biotechnol.,15:62−70(1997);Hoogenboomら、Immunotechnology 4:1−20(1998);McGregorら、Mol.Biotechnol,6:155−62(1996);およびBirdら、Science,242:423−426(1988)。十分にヒトの抗体は、ヒト免疫グロブリン重鎖および軽鎖の大きな部分を運ぶトランスジェニックマウスを免疫原で免疫化することによって調製することもできる。そのようなマウスの例は当該技術分野内で良く知られている。例えば、Xenomouse(登録商標)(Abgenix,Inc.)およびHuMAb−Mouse(Medarex,Inc.)参照。また、米国特許第6,207,418号、第6,150,584号、第6,111,166号、第6,075,181号、第5,922,545号、第5,545,806号および第5,569,825号も参照。次いで、抗体は、標準的な技術、例えば、標準的なハイブリドーマ技術によって、あるいはファージディスプレイによって調製することができる。
マウスのようなヒト以外のもう1つの種からハイブリドーマ技術によって誘導されたモノクローナル抗体をヒト化することができ、これは、ヒトと融合した場合にHAMAを回避するためによりヒトとなるように遺伝子的に作成された非−ヒト抗体を意味する。抗体のヒト化方法は当該分野で良く知られており、とりわけ、より一般的な方法は相補性−決定領域(CDR)グラフティングおよびベニアリング(リサーフェイシングとしても知られている)である。これらの方法は文献および特許において広く記載されてきた。例えば、各々ここに引用して援用する、King“Applications and Engineering of Monoclonal Antibodies” Taylor & Francis,1998;米国特許第5,225,539号;第5,530,101号;第5,585,089号、第5,859,205号および第6,797,492号参照。
エピトープおよび本明細書中に記載する対応する受容体に結合し/それをブロックし/それを標的とし、あるいは他の方法にて、それと相互作用する分子を開発するにおけるもう1つの可能性は、ペプチドを作成することによる。これらのペプチドはエピトープに対する親和性を有するいずれかのランダムペプチドであってよく、それらは免疫グロブリンファミリーのものである必要は必ずしもない。これらのペプチドは、しばしば、ファージディスプレイ抗体についての同様な技術によって単離される(Szardenings,J Recept Signal Transduct Res.2003;23(4):307−49)。そのようなランダムペプチドライブラリーからのペプチドの使用は、抗体および抗体フラグメントと同様である。
また、本発明は、本発明の受容体ペプチドによって媒介される活性を誘導するそれらの能力を参照することにより、さきに参照したポリペプチドのような刺激体の存在を検出することによる方法を含む、種々の診断適用に関する。先に述べたように、受容体ペプチドを用いて、種々の公知の技術によってそれ自体に対する抗体を生産することができ、次いで、そのような抗体を単離し、疑われる標的細胞における特定の活性の存在につきその試験におけるように利用することができよう。
前記にて詳細に記載したように、受容体ペプチドに対する抗体は、良く知られたハイブリドーマ技術を含む標準的な方法によって生産し、単離することができる。便宜のために、受容体ペプチドに対する抗体は、本明細書中においては、Ab、およびAbとしてもう1つの種で生起された抗体に言及する。後記から、Abの特徴的な特性は、それがAbと反応することであることを理解する。本明細書および特許請求の範囲の目的では、Abは一次または抗−受容体ペプチド抗体といい、Abは二次または抗−Ab抗体という。
細胞における露出された受容体エピトープペプチドの存在は、そのような測定に適用できる通常の免疫学的手法によって確認することができる。多数の有用な手法が知られている。特に有用な3つのそのような手法は、検出可能な標識で標識された受容体ペプチド、検出可能な標識で標識された抗体Ab、または検出可能な標識で標識された抗体Abを利用する。該手法は以下の式によってまとめることができ、ここに、星印は該粒子が標識されることを示し、および「〜」は受容体ペプチドを示す:
Figure 2008501308
上記手順およびそれらの適用は全て、当業者が精通しており、従って、本発明の範囲内で利用できる。「競合」手法(手法A)は米国特許第3,654,090号および第3,850,752号に記載されている。手法C、「サンドイッチ」手法は米国特許第RE 31,006号および第4,016,043号に記載されている。なお他の手法は、「二重抗体」または「DASP」手法のように知られている。
各場合に、受容体ペプチドは1以上の抗体または結合パートナーとで複合体を形成し、複合体の1つのメンバーは検出可能なレベルで標識される。複合体が形成されたという事実および、所望であれば、その量は、標識の検出に適用できる公知の方法によって決定することができる。
これらの実験で最も通常に使用される標識は放射性元素、酵素、紫外光に露出された場合に蛍光を発する化学物質その他である。
多数の蛍光物質が知られており、標識として利用することができる。これらは、例えば、フルオレセイン、ローダミン、オーラミン、テキサスレッド、AMCAブルーおよびルシフェールイエローを含む。特別な検出物質は、ヤギで調製され、イソチオシアネートを通じてフルオレセインに結合体化された抗−ウサギ抗体である。
また、受容体ペプチドまたはその結合パートナーは放射性元素で、または酵素で標識することもできる。放射性標識は現在利用可能なカウンティング手法のいずれかによって検出することができる。好ましい同位体はH、14C、32P、35S、36Cl、51Cr、57Co、58Co、59Fe、90Y、125I、131I、および186Reから選択することができる。
酵素標識は同様に有用であって、現在利用される比色、分光測定、蛍光分光測定、アンペロメトリーまたはガソメトリー技術のいずれかによって検出することができる。酵素は、カルボジイミド、ジイソシアネート、グルタルアルデヒドなどのようなブリッジング分子との反応によって選択された粒子に結合体化される。これらの手法で用いることができる多くの酵素が知られており、利用することができる。好ましいのはペルオキシダーゼ、β−グルクロニダーゼ、β−D−グルコシダーゼ、β−D−ガラクトシダーゼ、ウレアーゼ、グルコースオキシダーゼ+ペルオキシダーゼおよびアルカリ性ホスファターゼである。米国特許第3,654,090号;第3,850,752号および第4,016,143号は、別の標識材料および方法のその開示のため例示的に言及する。
本発明に従って開発され、利用される特定のアッセイ系は受容体アッセイとして知られている。受容体アッセイにおいては、アッセイすべき材料を適切に標識し、次いで、ある種の細胞試験コロニーを、ある量の標識されたおよび未標識の双方の物質で接種し、しかる後に、結合実験を行って、標識された物質が細胞受容体に結合する程度を測定する。このようにして、物質間の親和性の差を確認することができる。
従って、精製された量の受容体ペプチドを放射性標識し、例えば、抗体またはそれに対する他の阻害剤と組み合わせ、しかる後に、結合実験を行う。次いで、種々の量の標識および未標識の組み合わされていない受容体ペプチドを含有する溶液を調製し、次いで、細胞サンプルを接種し、しかる後、インキュベートする。次いで、得られた細胞単層を洗浄し、可溶化し、次いで、<5%の標準誤差を生じるのに十分な時間の間ガンマカウンターでカウントする。次いで、これらのデータをScatchard分析に付し、その後、物質活性に関する観察および結論を引き出すことができる。前記したのは例であるが、それは、アッセイされた物質の細胞結合能力が識別特徴として働くことができる場合に、受容体アッセイを行い利用することができる方法を説明する。
本発明に従う、有用であり、かつ企図されるアッセイは「シス/トランス」アッセイとして知られている。簡単に述べれば、このアッセイは2つの遺伝子構築体を使用し、その1つは、典型的には、適当な細胞系にトランスフェクトされた場合に、注目する特定の受容体を継続して発現するプラスミドであり、その第二のものはプラスミドであり、これは受容体/リガンド複合体の制御下でルシフェラーゼのような受容体を発現する。それゆえ、例えば、もし特定の受容体に対するリガンドとして化合物を評価するのが望ましければ、プラスミドの1つは、選択された細胞系において受容体の発現をもたらす構築体であり、他方、第二のプラスミドはルシフェラーゼ遺伝子に連結されたプロモーターを保有し、ここに、特定の受容体に対する応答エレメントが挿入されている。もし試験中の化合物が受容体に対するアゴニストであれば、リガンドは受容体とで複合体化し、得られた複合体は受容体エレメントに結合し、ルシフェラーゼ遺伝子の転写を開始させる。得られたケミルミネセンスを、次いで、分光光度的に測定し、用量応答曲線が得られ、公知のリガンドのものと比較する。前記したプロトコルは、当業者が参照する目的の、米国特許第4,981,784号およびPCT国際公開WO 88/03168に詳細に記載されている。
本発明のさらなる実施形態において、医学専門家による使用に適した商業的試験キットを調製して、異常な増殖因子受容体または露出された受容体エピトープペプチドの疑われる標的細胞における存在または不存在を測定することができる。先に議論した試験技術に従い、そのようなキットの1つのクラスは、標識された受容体ペプチドまたはその結合パートナー、例えば、それに対して特異的な抗体、および指示書を含み、勿論、これは選択された方法、例えば、「競合」、「サンドイッチ」、「DASP」などに依存する。該キットは緩衝液、安定化剤などのような末梢試薬を含むこともできる。
従って、EGFRを含む所定の異常な増殖因子受容体の活性についての細胞存在または能力の証明のための試験キットを調製することができ、これは:
(a)検出可能な標識への、本発明の受容体ペプチドまたはそれに対する特異的な結合パートナーの直接的または間接的付着によって得られる、所定量の少なくとも1つの標識された免疫化学的に反応性の成分;
(b)他の試薬;および
(c)該キットの使用のための指示書;
を含む。
より詳細には、診断試験キットは:
(a)免疫吸収剤を形成するための一般的には固相に結合した、あるいはあるいは、適当なタグ、あるいは複数のそのような最終産物など、(またはその結合パートナー)、各々1つに結合した前記した受容体ペプチド(または結合パートナー)の既知量;
(b)必要であれば、他の試薬;および
(c)該試験キットの使用のための指示書;
を含むことができる。
さらなるバリエーションにおいて、試験キットを調製することができ、前記目的で用いることができ、これは所定のプロトコル(例えば、「競合」、「サンドイッチ」、「二重抗体」など)に従って操作され、これは:
(a)検出可能な標識に受容体ペプチドをカップリングさせることによって得られた標識された成分;
(b)そのうち少なくとも1つの試薬がリガンドまたは固定化されたリガンドである1以上のさらなる免疫化学試薬、そのリガンドが:
(i)標識された成分(a)と結合することができるリガンド;
(ii)標識された成分(a)の結合パートナーと結合することができるリガンド;
(iii)測定すべき成分の少なくとも1つと結合することができるリガンド;および
(iv)測定すべき成分の少なくとも1つの結合パートナーの少なくとも1つに結合することができるリガンド;
よりなる群から選択され;および
(c)受容体ペプチドおよびそれに対する特異的な結合パートナーの間の免疫化学反応の1以上の成分の検出および/または測定のためのプロトコルの実施についての指示書;
を含む。
前記に従い、受容体ペプチド、またはそれに対する抗体の活性を変調するのに効果的な潜在的薬物をスクリーニングするためのアッセイシステムを調製することもできる。受容体ペプチドまたは抗体を試験系に導入することができ、見込みのある薬物を得られた細胞培養に導入することもでき、しかる後、培養を調べて、見込みのある薬物単独の添加による、あるいは既知の受容体ペプチド、またはそれに対する抗体の追加された量の効果による、細胞の増殖因子受容体活性のいずれかの変化を観察する。
(組成物)
本発明では、さらに、本発明の治療方法を実行するのに有用な治療用組成物が考えられる。対象のの治療用組成物は、薬学的に受容可能な賦形剤(キャリア)および、特に、有効成分としての、本明細書中に記載された、配列番号1〜14のいずれかの配列を有するペプチドから選択される1以上の受容体ペプチド、またはその免疫原性フラグメントを混合して含む。
有効成分としてポリペプチド、アナログまたは活性フラグメントを含有する治療用組成物の調製は当該分野で良く理解されている。典型的には、そのような組成物は液体溶液または懸濁液いずれかとしての注射剤として調製されるが、注射に先立って液体中の溶液、または液体中の懸濁液に適した固体形態を調製することもできる。その調製物はまた、乳化することもできる。活性な治療成分は、しばしば、薬学的に受容可能であり、かつ有効成分と適合する賦形剤と混合される。適当な賦形剤は、例えば、水、生理食塩水、デキストロース、グリセロール、エタノールなど、およびその組み合わせである。加えて、所望であれば、組成物は、少量の、有効成分の有効性を増強させる湿潤または乳化剤、pH緩衝剤のような補助物質を含有することができる。
ポリペプチド、アナログまたは活性フラグメントは、中和された薬学的に受容可能な塩形態として治療用組成物に処方することができる。薬学的に受容可能な塩は(ポリペプチドまたは抗体分子の遊離アミノ基とで形成された)酸付加塩を含み、これは、例えば、塩酸またはリン酸のような無機酸、あるいは酢酸、シュウ酸、酒石酸、マンデル酸のような有機酸とで形成される。遊離カルボキシル基から形成された塩もまた、例えば、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、または水酸化第二鉄のような無機塩基、およびイソプロピルアミン、トリメチルアミン、2−エチルアミノエタノール、ヒスチジン、プロカインなどのような有機塩基に由来することもできる。
治療用受容体ペプチドまたは免疫原性フラグメント含有組成物は、例えば、注射または単位用量の投与などによって、経口的に、筋肉内に、腹腔内に、または静脈内に投与することができる。用語「単位用量」は、本発明の治療用組成物に言及して用いる場合には、ヒトのための単位用量として適した物理的に別個の単位をいい、各単位は、必要な希釈剤、すなわち、キャリアまたはビヒクルと一緒になって所望の治療効果を生じることが計算された所定量の活性物質を含有する。治療用受容体ペプチドまたは免疫原性フラグメント含有組成物は、免疫化スケジュールにおけるように、一連に複数に投与することができる。
組成物は、投薬の処方に適合し、かつ治療的に有効な量にて投与される。投与すべき量は治療すべき被験体、有効成分を利用する被験体の免疫系の能力、および増殖因子受容体結合および所望のシグナル伝達能力の阻害または中和の程度に依存する。投与するのに必要な有効成分の正確な量は、実施者の調整に依存し、各個人に特有なものである。しかしながら、適当な用量は、1日当たり個人の体重1kg当たり約0.1ミリグラム〜20ミリグラム、好ましくは約0.5ミリグラム〜約10ミリグラム、より好ましくは1ミリグラム〜数ミリグラムの有効成分の範囲であり、これは投与の経路に依存する。最初の投与および追加抗原注射のための適当なレジメンもまた変わり得るが、最初の投与、引き続いて注射または他の投与による1時間以上の間隔を空けた反復投薬が典型的である。あるいは、血液中に10ナノモル濃度〜10マイクロモル濃度を維持するのに十分な連続静脈内注射が企図される。
治療用組成物は、さらに、有効量の受容体ペプチド、またはそれに対する抗体、および以下の有効成分:抗有糸分裂剤、化学療法剤、免疫モジュレーターの1以上を含むことができる。
(核酸)
本発明の別の特徴は、本明細書中に開示された受容体ペプチドをコードするDNA配列の発現である。当該分野で周知なように、DNA配列は、適当な発現ベクター中で発現制御配列に操作可能に連結され、その発現ベクターを用いて適切な単細胞宿主を形質転換する。本発明のDNA配列の発現制御配列へのそのような操作可能な連結は、当然、そのDNA配列のすでに存在する部分でない場合は、DNA配列の上流の正しいリーディングフレーム内の開始コドンATGの配置を包含する。
広範に種々の宿主/発現ベクターの組み合わせが、本発明のDNA配列を発現させるために使用され得る。有用な発現ベクターは、例えば、染色体、非染色体および合成DNA配列のセグメントから構成される。適したベクターとしては、SV40の誘導体および公知の細菌プラスミド、例えば、E.coliプラスミド col E1、pCR1、pBR322、pMB9およびそれらの誘導体、RP4のようなプラスミド;ファージDNA(例えば、ファージλの多数の誘導体、例えば、NM989、および他のファージDNA、例えば、M13、およびフィラメント状一本鎖ファージDNA);2μプラスミドのような酵母プラスミドまたはその誘導体;昆虫または哺乳動物細胞において有用なベクターのような真核生物で有用なベクター;プラスミドとファージDNAとの組み合わせに由来するベクター(例えば、ファージDNAまたは他の発現制御配列を用いるように改変されているプラスミド)が挙げられる。
広範に種々の発現制御配列(その発現制御配列に操作可能に連結したDNA配列の発現を制御する配列)のいずれも、これらのベクターで使用され、本発明のDNA配列を発現させる得る。そのような有用な発現制御配列としては、例えば、SV40の初期プロモーターまたは後期プロモーター、CMV、ワクシニア、ポリオーマまたはアデノウイルス、lac系、trp系、TAC系、TRC系、LTR系、ファージλの主要オペレーターおよびプロモーター領域、fdコートタンパク質の制御領域、3−ホスホグリセレートキナーゼまたは他の解糖酵素のためのプロモーター、酸性ホスファターゼのプロモーター(例えば、Pho5)、酵母のα接合型因子のプロモーター、および原核生物または真核生物細胞またはそれらのウイルスの遺伝子の発現を制御することが既知である他の配列、およびそれらの種々の組み合わせを含む。
広範に種々の単細胞宿主細胞もまた、本発明のDNA配列を発現させるのに有用である。これらの宿主としては、E.coli株、Pseudomonas株、Bacillus株、Streptomyces株、酵母のような真菌、ならびにCHO、R1.1、B−WおよびL−M細胞、アフリカミドリザル腎臓細胞(例えば、COS1、COS7、BSC1、BSC40、およびBMT10)のような動物細胞、昆虫細胞(例えば、Sf9)、および組織培養におけるヒト細胞および植物細胞のような良く知られた真核生物および原核生物が挙げられ得る。
全てのベクター、発現制御配列および宿主が同等に良く機能して、本発明のDNA配列を発現するのではないことが理解される。全ての宿主が同一の発現系において同等によく機能するというのでもない。しかしながら、当業者であれば、本発明の範囲を逸脱することなく所望の発現を達成するために、過度の実験をせずに、適切なベクター、発現制御配列、および宿主を選択し得る。例えば、ベクターの選択においては、宿主が考慮されなければならない。なぜなら、ベクターはその宿主内で機能しなければならないからである。ベクターのコピー数、そのコピー数を制御する能力、およびそのベクターによってコードされるいずれかの他のタンパク質(例えば、抗生物質マーカー)の発現も考慮される。
発現制御配列の選択において、通常は種々の因子が考慮される。これらは、例えば、系の相対的強度、その制御可能性、および特に潜在的二次構造に関して、特定のDNA配列または発現させるべき遺伝子に対するその適合性を含む。適当な単細胞宿主は、例えば、選択されたベクターとのそれらの適合性、それらの分泌特徴、タンパク質を正しく折り畳むそれらの能力、およびそれらの発酵要件、ならびに発現されるべきDNA配列によってコードされる産物の宿主に対する毒性、および発現産物の精製の容易性によって選択される。
これらおよび他の因子を考慮して、当業者であれば、発酵、または大規模な動物培養について本発明のDNA配列を発現する種々のベクター/発現制御配列/宿主の組み合わせを構築することができる。
ペプチドアナログは、本発明の範囲内で誘導されたタンパク質複合体/サブユニットのヌクレオチド配列から調製され得ることが、さらに企図される。フラグメントのようなアナログは、例えば、ペプチドのペプシン消化を含むタンパク質分解消化によって生じさせることができる。ムテインのような他のアナログは、受容体ペプチドコーディング配列の標準的な部位特異的突然変異誘発によって生じさせることができる。小分子のような「受容体エピトープペプチド活性」を呈するアナログは、プロモーターまたは阻害剤として機能するか否かに関わらず、公知のインビボおよび/またはインビトロアッセイによって同定され得る。
前記したように、受容体ペプチドをコードするDNA配列は、クローン化されるよりもむしろ合成によって調製することができる。そのDNA配列は、受容体ペプチドアミノ酸配列についての適切なコドンを用いて設計され得る。一般に、その配列が発現に使用される場合、意図した宿主についての適切なコドンを選択する。完全な配列は、標準的な方法によって調製されたオーバーラップするオリゴヌクレオチドから組み立てられ、完全なコーディング配列に組み立てられる。例えば、Edge,Nature,292:756(1981);Nambairら、Science,223:1299(1984);Jayら、J.Biol.Chem.,259:6311(1984)。
合成DNA配列は、受容体ペプチドアナログまたは「ムテイン」を発現する遺伝子の簡便な構築を可能にする。あるいは、ムテインをコードするDNAは、天然増殖因子受容体遺伝子またはcDNAの部位特異的突然変異誘発によって作成され得、ムテインは従来のポリペプチド合成を用いて直接作成することができる。
非天然アミノ酸のタンパク質への部位特異的取り込みのための一般的方法は、Christopher J.Noren,Spencer J.Anthony−Cahill,Michael C.Griffith,Peter G.Schultz,Science,244:182−188(1989年4月)に記載されている。この方法を用いて、非天然アミノ酸を有するアナログを作成することができる。
(抗原およびワクチン)
T細胞によって認識される腫瘍抗原の特徴付けは、癌ワクチンアプローチを進化させ、よく規定された抗原を用いることによって、癌に対して患者を免疫化する機会を最初に提供した。メラノーマはプロトタイプの免疫原性腫瘍の1つであるため、多数の初期相臨床試験がメラノーマについて行われてきた。いくつかの腫瘍後退が、主として、転移性疾患を有する患者で報告されてきた。最近の進歩は、抗癌免疫応答のモニタリング、および頑強な抗メラノーマ免疫系を誘導すること目的とする、アジュバントの開発のための新しいツールを包含する。
前立腺癌は、合衆国における男性での癌の死亡の第二の主要な原因である。ワクチンストラテジーは、新規の治療アプローチを代表する。前立腺癌ワクチンに対する1つの潜在的標的は、前立腺癌および正常な前立腺上皮細胞におけるその制限された発現に起因して、前立腺特異的抗原(PSA)である。細胞傷害性Tリンパ球(CTL)を発現させることができ、次いで、ペプチド特異的CTLによって腫瘍標的の殺傷に至る、多数のPSA−特異的エピトープが同定されている。今日、RNA−パルス樹状細胞ワクチン、組換えタンパク質ワクチン、およびワクチンの組換えウイルスベクター送達を用いる戦略が臨床試験で使用されてきた。T細胞活性化を増強する共刺激性分子を取り込む、より新しいアプローチもまた調査されている。
樹状細胞(DC)は、動物およびヒトにおいて一次T細胞抗腫瘍免疫応答を刺激する能力を有する、強力な抗原提示細胞である。1995年における樹状細胞ワクチン接種の最初に公表された臨床試験以来、1000を超えるワクチンを記載する98の研究が、査読されたメディカルジャーナルで発表されるか、あるいはAmerican Society for Clinical Oncology、American Association of Cancer Research、またはAmerican Society of Hematologyの年次集会で提示されてきた。試験は、115カ国で実施されている。試験は、24個(2ダース)を超える腫瘍タイプを有する患者を含み;ほとんどの試験は、悪性メラノーマ、前立腺癌、結直腸癌腫、または多発性ミエローマを有する患者を、合成抗原またはイディオタイプ抗体でパルスした自己DCを用いて研究した。DCを、腫瘍溶解物またはRNAでパルスすることによって、腫瘍DNAでのトランスフェクションによって、または腫瘍細胞/DC融合物を作製することによって、DCワクチンもまた調製された。ワクチン細胞数、ワクチンプログラムの長さ、ワクチン接種の部位、ワクチンの凍結保存、およびDCのための成熟段階の使用に対する種々のアプローチが用いられた。DCワクチン接種に関連する副作用は共通ではなく;ほとんどは軽度かつ自己限定的であり、深刻なものはなかった。臨床的応答が試験のほぼ半分で観察された。DCワクチン接種は、ペプチドワクチンの限定された範囲および免疫原性を克服し得る、癌免疫療法に対する安全なアプローチを提供し得る。
マウスおよびサルにおける任意の成功した研究の後、Gonzalesら、(Gonzales,G ら、(2003)Annals Oncol 14:461−466)は、進行した段階の非小細胞肺癌(NSCLC)を有する患者における、キャリアタンパク質、P64K Neisseria meningitides外膜組換えタンパク質に結合体化された、EGFRリガンドであるEGFでのワクチン接種のヒトでの研究を報告した。良好な生存時間が、良好な抗EGF抗体応答を有する患者において観察された。
ワクチンを含む合成抗原は、必要に応じて他の腫瘍抗原を含む、本発明の受容体ペプチドを化学的に合成することによって調製され得る。これらのペプチド、ペプチドキャリアの組み合わせ、そのようなペプチドの脂質誘導体ならびに腫瘍抗原は、個々に使用されてもカクテルとして組み合わされてもよく、アジュバントと共に処方され、免疫原性組成物を提供し得る。本明細書中で企図されるように、抗原を糖脂質アナログに共有結合させて、別個の分子を提供し得る。この分子は、そのような共有結合の非存在下で達成可能なアジュバント化効果よりも大きな、抗原に対する増強されたアジュバント化効果を示す。これらの組成物を使用して、例えば、筋肉内経路または非経口経路によって、あるいはトキシンおよび抗体のような、ミクロ粒子、カプセル、リポソームおよび標的化分子を用いる粘膜表面への送達によって、哺乳動物を免疫化することができる。
ペプチドを含むワクチンは、米国特許第4,601,903号;第4,599,231号;第4,599,230号;および第4,596,792号(これらの全てを、本明細書中に参考として援用する)によって例示されるように、当該分野で一般的に周知である。インビボでのペプチドの使用は、まず、それらの化学的修飾を必要とし得る。なぜなら、そのペプチド自体は、十分に長い血清半減期および/または組織半減期および/または十分な免疫原性を有さないかもしれないからである。加えて、立体配座的拘束をそれらに課すために、ペプチドを修飾するのが有利である。これは、例えば、誘導されるエフェクター免疫応答を最適化するために、天然タンパク質の関係でペプチドの天然に生じる立体配座を模倣するのに有用であり得る。
本発明は、一定量の受容体ペプチド、またはその免疫原性フラグメント、およびそれらの組み合わせを含む免疫原性組成物を提供する。1つの実施形態において、その受容体ペプチドは、配列番号1〜14から選択される。
本発明は、一定量の受容体ペプチド、またはその免疫原性フラグメント、および適切なアジュバントを被験体に投与する工程を包含する、抗原特異的細胞媒介免疫応答を刺激または増強する方法を提供する。
本発明は、腫瘍または癌を有する患者を処置する方法を提供し、この方法は、一定量の受容体ペプチド、および免疫モジュレーターとしての本発明のアジュバント組成物、および適切なキャリアまたは希釈剤を被験体に投与する工程を包含する。特に、癌を有する被験体が、受容体ペプチド−アジュバント組成物で処置され得る。そのような癌としては、頭頸部癌、乳癌、肺癌、卵巣癌、膀胱癌、咽頭癌、扁平細胞癌腫、または前立腺腫瘍および神経膠腫が挙げられるが、これらに限定されない。
さらに、被験体は、化学療法剤、化学予防剤、または放射線療法と組み合わせて、受容体ペプチドまたはその免疫原性組成物で処置され得る。その受容体ペプチド組成物は、化学療法の介入または放射線療法の介入と組み合わせて使用され得ることが、本発明により企図される。別の実施形態において、受容体ペプチド組成物での処置は、数分〜数週間の範囲の間隔で、DNA損傷剤の処置に先行または追随し得る。プロトコルおよび方法は、当業者に公知である。DNA損傷剤またはDNA損傷因子は、当業者に公知であり、細胞に適用した場合にDNA損傷を誘発する任意の化学化合物または処置方法を意味する。そのような薬剤および因子としては、DNA損傷を誘導する放射線および波(例えば、ガンマ照射、X線、UV照射、マイクロ波、電子発光など)が挙げられる。「化学治療剤」とも記載される種々の化学化合物は、DNA損傷を誘導するように機能し、その全てが本明細書中に開示される併用療法で使用されることが企図される。使用されると考えられる化学療法剤としては、例えば、アドリアマイシン、5−フルオロウラシル(5FU)、エトポシド(VP−16)、カンプトテシン、アクチノマイシン−D、マイトマイシンC、シスプラチン(CDDP)および過酸化水素でさえもが挙げられる。X線とシスプラチンとの使用、またはシスプラチンとエトポシドとの使用のような、1以上のDNA損傷剤の組み合わせを、放射線ベースまたは現実の化合物であるか否かに関わらず、EHAと一緒に使用され得る。他の腫瘍性薬剤または毒性剤としては、各々の場合に、例えば、セファラスポリン(WO−A94 01 137およびEP−A−0 382 411参照)またはセファラスポリンマスタード(EP−A−O 484 870参照)に連結させ得る、5−フルオロウラシル、メトトレキセートおよびアドリアマイシンが挙げられるが、これらに限定されない。
受容体ペプチドまたは免疫原性組成物は、液体溶液またはエマルジョンとして、注射剤として調製され得る。抗原および免疫原性組成物は、それらと適合性の生理学的に受容可能なキャリアと混合され得る。これらとしては、水、生理食塩水、デキストロース、グリセロール、エタノールおよびそれらの組み合わせが挙げられ得る。ワクチンは、さらに、それらの有効性をさらに増強するために、湿潤剤または乳化剤またはpH緩衝剤のような補助的物質を含み得る。ワクチンは、注射によって皮下または筋肉内に投与され得る。
あるいは、本発明に従って形成された免疫原性組成物は、粘膜表面における免疫応答を誘導する様式で、処方および送達され得る。それゆえ、免疫原性組成物は、例えば、鼻腔または経口(胃内)経路によって、粘膜表面に投与され得る。あるいは、坐薬を含む他の投与形態が望ましいかもしれない。坐薬については、結合剤およびキャリアとしては、例えば、ポリアルキレングリコールおよびトリグリセリドが挙げられ得る。経口処方物は、通常使用される賦形剤(例えば、医薬グレードのサッカリン、セルロースおよび炭酸マグネシウム)を含み得る。
投与の様式は、宿主動物の肉体の部位にアジュバントまたはアジュバント含有ワクチンを送達するための、任意の適切な手段および/または方法の使用を包含する。ここで、そのアジュバントおよび結合された抗原は、効率的に免疫を刺激する。送達態様としては、癌近傍、経粘膜、経皮、筋肉内、静脈内、皮内、皮下、腹腔内、心室内、頭蓋内および腫瘍内のような非経口投与方法が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明は、本発明の例として提供される、以下の非限定的実施例を参照して良好に理解され得る。以下の実施例は、本発明の好ましい実施形態をより十分に示すために提示するものであって、本発明の広範な範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
(実施例1)
上皮増殖因子受容体(EGFR)は多くの上皮癌で過剰発現され、観察はしばしば臨床結果の乏しいことに関連付けられている。EGFRの過剰発現は通常はEGFR遺伝子増幅によって引き起こされ、時々、その細胞外ドメインに内部欠失を保有する変異EGFR(de2−7 EGFRまたはEGFRvIII)の発現に関連付けられている。MAb 806は、過剰発現されると、de2−7 EGFRおよび野生型(wt)EGFRのサブセットを共に認識するが、正常な組織で発現されたwt EGFRに結合しない有意な抗腫瘍活性を持つ新規なEGFR抗体である。A431腫瘍細胞で発現されたwt EGFRのうちの小さな割合(約10%)に結合するのみにもかかわらず、mAb 806はヌードマウスで増殖したA431異種移植片に対して、強い抗腫瘍活性を呈する。そのユニークな特異性および抗腫瘍活性の態様に導くメカニズムを解明するために、本発明者らは、mAb 806のEGFR結合エピトープを決定した。酵母の表面に発現されたEGFR断片、またはイムノブロット様式でのEGFR断片のいずれかへのmAb 806結合の分析から、mAb 806のエピトープを含むようであるジスルフィド結合ループ(アミノ酸287−302)を同定した。実際に、mAb 806は、これらのアミノ酸に対応する合成EGFRペプチドに対して、見かけの高親和性(約30nM)で結合した。EGFR構造の分析から、このジスルフィド結合ループは、EGFRが不活性な係留された立体配座からリガンド結合した活性な立体配座へ変化する場合に起こる、遷移形態の受容体の場合にのみ、mAb 806が結合するために利用可能であることを示す。mAb 806は、小さな割合の一時の受容体に結合してその活性化を妨げ、次いで強力な抗腫瘍効果を生じるようである。最後に、発明者らの所見は、増殖因子受容体の遷移形態に対する抗体の作製が、正常組織の標的化を低下させ、依然として抗腫瘍活性を保持する、新規な方法を表し得ることを示唆する。
(緒言)
上皮増殖因子受容体(EGFR)は、多くの異なる細胞型の増殖および分化を指令することを担う170kDaの膜結合型チロシンキナーゼである(1,2)。EGFRの過剰発現は多くの上皮腫瘍で観察されており、EGFR発現レベルの増大は、通常は、臨床結果の乏しいことと関連付けられている(3−5)。受容体の過剰発現は、しばしば、EGFR遺伝子の増幅によって引き起こされ、この増幅はEGFR突然変異とリンクもされる事象である(6)。最も一般的なEGFR突然変異は、神経膠腫で頻繁に発現される、de2−7 EGFR(またはEGFRvIII)として公知のEGFRの細胞外切断である(6−8)。この切断の結果、EGFRの細胞外ドメインからの267アミノ酸の除去を生じ、そして新規なグリシンの挿入がもたらされ、このことは、de2−7 EGFRのN末端近くでのユニークな接合ペプチドを生じさせる(6−8)。de2−7 EGFRは公知のリガンドのいずれにも結合することができないが、低レベルの構成的活性化を呈しており、ヌードマウスにおいて異種移植片として成長させた場合に神経膠腫および乳房細胞の腫瘍形成性を増強させる(9−11)。
EGFRの阻害は、新しい癌治療剤の開発のための合理的な戦略である(12)。潜在的な治療剤は抗EGFR抗体(13)およびEGFRの小分子量チロシンキナーゼ阻害剤(14)を含む。EGFRの細胞外ドメインに向けられた多数の抗体が、今日、EMD55900(15)、ABX−EGF(16)およびC225(セツキシマブ)(17)を含めて臨床試験されており、その全ては患者においていくらかの抗腫瘍活性を呈している。これらの最も臨床上に進んだものはC225であり、これは、頭部および頸部、結直腸および非小細胞肺癌腫の処置に関して、現在第II/III相臨床試験でテストされており、最近、欧州で使用が認可された(18)。これらの抗体の抗腫瘍活性は、主として、リガンド結合をブロックするそれらの能力に関連すると推定されているが、免疫エフェクター機能、受容体ダウンレギュレーション、不適切なシグナル伝達の誘導、ならびに受容体二量体化および/またはオリゴマー化の妨害のような、他の抗腫瘍メカニズムも役割を果たし得る。野生型(wt)EGFRを標的とする抗体の1つの制限は、それらが肝臓および皮膚のような正常な組織において有意な取り込みを示す点である(19,20)。現在、正常なEGFRの標的化は皮膚発疹のような管理可能な副作用を引き起こすようであるが、これらの抗EGFR抗体が細胞傷害剤または放射性同位体と連関する場合、有意な肝臓損傷が予測されるであろう。
mAb 806はde2−7 EGFRを発現するマウス線維芽細胞に対して惹起され、wt EGFRを発現する正常組織に結合しない。これは、その抗体を癌療法に対して魅力的な候補とする(21)。ユニークなde2−7 EGFR接合部ペプチドに対して全て特異的である(24−26)他のde2−7 EGFR特異的抗体とは異なり、mAb 806は異なる未知のエピトープを認識する(27)。実際に、mAb 806は、EGFRの変性後のイムノブロッティングによって、またはさらにELISAプレートの表面でのコーティングすることによって、wt EGFRに頑強に結合し得る。mAb 806は大部分のde2−7 EGFRを認識し、一方、この抗体は受容体を過剰発現する細胞においていくらかのwt EGFRにも結合する(27)。Scatchard分析は、mAb 806が、de2−7 EGFR接合部ペプチドに対して特異的な抗体であるmAb DH8.3によって認識されるde2−7 EGFRのうちの約50%に結合することを明らかとした(27)。対照的に、mAb 806は、wt EGFR特異的mAb 528と比較した場合、A431細胞で過剰発現されたwt EGFRのうちの10%未満に結合した。重要なことには、mAb 806はwt EGFRを発現する正常な組織に結合しない。興味深いことに、mAb 806はまた、小胞体内に通常配置するEGFRの高マンノース形態を優先的に認識する。単一剤として用いた場合、mAb 806は、de2−7または増幅されたEGFRいずれかを発現するヒト異種移植片に対して有意な抗腫瘍活性を示した。mAb 806結合エピトープの測定はその作用メカニズムを理解するのに、ならびに腫瘍特異的抗体を開発するための一般的戦略を提供するために重要であろう。2つの独立したアプローチを用い、本発明者らは、今回、mAb 806によって認識されるエピトープを同定する。最近記載されたEGFRについての結晶構造を利用し、本発明者らは、mAb 806のユニークな特異性、およびどのようにしてそれがその抗腫瘍活性を媒介するかを説明することもできた。
(実験手順)
(抗体)
EGFRに対して特異的なIgG2bモノクローナル抗体806およびIgG2a mAb528を以前に記載されているように(27,28)Biological Production Facility(Ludwig Institute for Cancer Research,Melbourne)で生産し、精製した。
(発現ベクター)
発現ベクターpEE14/sEGFR501およびpEE14/sEGFR513は従前に記載されており(29)、EGFRエクトドメインの、それぞれ、シグナルペプチド、ならびに最初の501アミノ酸および513アミノ酸、続いてc−mycエピトープタグをコードし、全てヒトサイトメガロウイルス前初期プロモーターの制御下で転写される。発現ベクターpEE14/sEGFR310−501は、エクトドメインのアミノ酸残基310−501とインフレームで融合したEGFRのシグナルペプチドをコードし、エピトープタグで終結するcDNAを、含有する。
残基274、残基282、残基290および残基298で開始し、全てアミノ酸501において終結する、一連の重複するEGFR c−mycタグ付きドエクトドメイン断片をPCRによって作製した。配列決定に続き、その断片を、哺乳動物発現ベクターpSGHVOから発現されるヒト成長ホルモン(GH)遺伝子の3’末端にインフレームでクローニングした(30)。残基278−286および残基285−293にわたる二本鎖オリゴヌクレオチドを、GHおよびc−mycタグの間にて同一ベクターにインフレームでクローニングした。
(トランスフェクション)
ヒト293T胚性腎臓線維芽細胞を、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)+10%胎児ウシ血清(FCS)中に維持した。トランスフェクションの前日、細胞を、2mLの培地を入れた6−ウェル組織培養プレート中にウェル当たり8×10にて播種した。製造業者の指示に従い、細胞に、リポフェクタミン2000(Invitrogen)と複合体化させた3−4μgのプラスミドDNAをトランスフェクトした。トランスフェクションから24時間−48時間後、細胞培養を吸引し、細胞単層を250μlの溶解緩衝液(1% TritonX−100、10%グリセロール、150mM NaCl、50mM HEPES pH7.4、1mM EGTAおよび完全プロテアーゼ阻害剤ミックス(Roche))に溶解させた。
CR1−ループ(二量体化アーム)欠失は、アミノ酸244−259を除去し、それらを記載されるように単一のアラニン残基で置き換えることによって作製した。293T細胞にこの構築物をトランスフェクトし、ゲネティシンの存在下で安定なトランスフェクタントを選択した。
(ウェスタンブロッティング)
細胞溶解物(10−15μL)のアリコートを、1.5%β−メルカプトエタノールを含有するSDS試料緩衝液と混合し、100℃にて5分間加熱することによって変性し、10%NuPAGE ビス−トリスポリアクリルアミドゲル(Invitrogen)で電気泳動した。次いで、試料をニトロセルロース膜に電気移動させ、これをTBST緩衝液(10mMトリス−HCl、pH8.0、100mM NaClおよび0.1%Tween−20)中で濯ぎ、2.5%スキムミルクを含有するTBST中で室温にて30分間ブロックした。膜をブロッキング緩衝液中の0.5μg/mLのmAb 806と共に4℃にて一晩インキュベートした。平行膜をmAb 9B11(1:5000,Cell Signalling Technology)で一晩プローブして、c−mycエピトープを検出した。フィルターをTBST中で洗浄し、1:5000希釈のホースラディッシュペルオキシダーゼ結合体化ウサギ抗マウス免疫グロブリン(Biorad)を含有するブロッキング緩衝液中で室温にて2時間インキュベートした。次いで、ブロットをTBST中で洗浄し、Western Pico Chemilumicent Substrate(Pierce)とのインキュベーションに続いてオートラジオグラフィーフィルムを用いて現像した。ペプチド競合実験では、100倍モル過剰の競合ペプチドの存在下で、ブロットをMab 806で室温にて1時間プローブした。化学発光の検出に続いて、ブロットを9B11で再度プローブした。
(EGFR断片の酵母表面ディスプレイ)
EGFR断片をコードする適当な遺伝子を含有するように修飾されたpCT酵母ディスプレイプラスミドを、Bio−Rad(Richmond,CA)Gene Pulser Transfection Apparatusを用いるエレクトロポレーション(33)によって酵母株EBY100(32)に形質転換した。プラスミドは、DNAをそれらのゲノムに組み込んだ酵母につき選択するのに用いることができるtrpマーカーを含有する。酵母細胞表面でのEGFRタンパク質の発現は、従前に記載されているように行った(BoderおよびWittrup,2000)。簡単に述べれば、形質転換されたコロニーを、酵母窒素塩基、カザミノ酸、デキストロース、およびリン酸化緩衝液pH7.4を含有する最小培地中で、5〜6のOD600に到達するまで、ほぼ1日間の振盪プラットフォームにて30℃で増殖させた。次いで、ガラクトースを含有する最小培地へ移すことによって、酵母細胞をタンパク質ディスプレイにつき誘導し、振盪しつつ、30℃にて24時間インキュベートした。次いで、分析まで培養を4℃にて保存した。
(酵母細胞表面での抗体標識実験)
c−mycモノクローナル抗体9E10を含有する生腹水液はCovance(Richmond,CA)から入手した。1×10個の酵母細胞をFACS緩衝液(1mg/ml BSAを含有するPBS)で洗浄し、抗c−myc腹水液(1:50希釈)、または50μlの最終容量中のヒトEGFRモノクローナル抗体(10μg/mL)と共に4℃にて1時間インキュベートした。次いで、細胞を氷冷FACS緩衝液で洗浄し、光から保護された、50μlの最終容量中にてフィコエリスリン標識抗マウスIgG(1:25希釈)と共に4℃にて1時間インキュベートした。酵母細胞を氷冷FACS緩衝液で洗浄した後、Coulter Epics XLフローサイトメーター(Beckman−Coulter)で蛍光データを得、WinMDIサイトメトリーソフトウェア(J. Trotter,Scripps University)で分析した。直線状エピトープ 対 立体配座エピトープの測定では、酵母細胞を80℃にて30分間加熱し、次いで、20分間氷上で冷却し、その後抗体での標識した。
(EGFR由来ペプチド)
推定mAb 806エピトープを含有するペプチド(287CGADSYEMEEDGVRKC302(配列番号:1)、287CGADSYEMEEDGVRK301(配列番号:2)および287CGADSYEMEEDG298(配列番号:15))を、標準Fmoc化学を用いて合成し、マススペクトル分析によって確認した。アルカリ性条件での希薄ペプチド溶液の一晩の空気酸化によって環化ペプチドを調製した。線状(還元された)ペプチドは、合成ペプチドを10mM塩酸に溶解させることによって調製した。287〜302ペプチドの試料を嫌気性下で70%ギ酸中の臭化シアンと反応させて、N末端ペプチドおよびC末端ペプチドに対応する断片を生じさせた。0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)の存在下で、アセトニトリルグラジエントを用い、ペプチドをC18 VydacカラムでのHPLCによって分離した。ペプチドの確実性は、引き続いて、マススペクトロメトリーおよびN末端配列決定によって特徴付けた。このペプチドを0.5M炭酸水素ナトリウムpH8.6と反応させ、続いて、ヨードアセトアミドを添加することによって、S−カルボキシメチル化ペプチド(SCM−ペプチド)の試料を生じさせた。SCM−ペプチドを、引き続いて、前記したように、RP−HPLCによって精製した。
(ELISAアッセイ)
白色ポリスチレン96−ウェルプレート(Greiner Lumitrac 600)のウェルを、10mMクエン酸ナトリウム(pH5.9)中、ヒトFc定常領域と融合した変異型sEGFR501である、501−Fc(T.Adams,未発表結果)の2μg/mlでコーティングし、次いで、TBS中の0.5%ニワトリオボアルブミンでブロックした。TBSTでの洗浄の後、0.5μg/mLのmAb806および種々の濃度のペプチド溶液(100μl/ウェル)をウェルに加えた。プレートに結合したmAb806を、ヤギ抗マウス免疫グロブリン−HRP(BioRad)およびWestern Pico Chemilumicent Substrate (Pierce)を用いて検出し、Wallac Victor 1420カウンター(Perkin Elmer)を用いて定量した。いくつかのアッセイにおいては、1−501 EGFRで96ウェルプレートをコーティングし、これを用いて、mAb 806の結合を従前に記載されているように分析した(Johnsら、Intl.J.Cancer 98:398−408,2002)。
(表面プラズモン共鳴(BIAcore))
BIAcore3000を全ての実験で用いた。mAb806の推定エピトープを含有するペプチドを、5μl/分の流速にて、アミンカップリングまたはチオール−ジスルフィド交換カップリングを用いて、CM5センサーチップに固定化した(34)。この806抗体を25℃にて5μl/分の流速でセンサー表面上を通過させた。実行の間、10μl/分の流速で10mM HClを注入することによって、そのセンサー表面を調製した。
(フローサイトメトリー分析)
異なるEGFR構築物を発現する培養した293細胞を、mAb528およびmAb806を用いてEGFR発現について分析した。1%HSAを含有するPBS中、1×10細胞を5μg/mlの一次抗体と共に4℃にて30分間インキュベートした。PBS/1%HSAで洗浄した後、FITC−結合化ヤギ抗マウス抗体と共に、細胞をさらに4℃にて30分間インキュベートした(1:100希釈;Calbiochem,San Diego,CA)。次いで、最小5,000事象を観察することによって、Epics Elite ESP(Beckman Coulter、Hialeah、FL)で細胞を観察し、Windows(登録商標)用のEXPO(バージョン2)を用いて分析した。
(結果)
(EGFR断片のイムノブロッティングによるmAb 806エピトープの同定)
mAb 806エピトープの広範な位置を決定するために、1−513のc−mycタグ付きEGFR断片および310−501のc−mycタグ付きEGFR断片をSDS−PAGEによって分離し、そしてmAb 806を用いてイムノブロットした。mAb 806は1−513断片と強い反応性を示したが、この抗体はEGFRの310−501セグメントには全く結合しなかった(図1、左側パネル)。310−501断片は膜上に存在した。というのは、この断片は、c−mycタグに対して特異的なmAb 9B11を用いて検出できたからである(図1、右側パネル)。他の実験において、本発明者らは、mAb 806もまたウェスタンブロットにおいてsEGFR501断片に結合することを確立した(データは示さず)。mAb 806は、アミノ酸6−273が欠失されたde2−7 EGFR(27)に結合すると仮定し、本発明者らは、mAb 806エピトープが残基274−310または残基510−513内に含まれるはずであると結論した。mAb 806のエピトープを表わすため、本発明者らは、全てアミノ酸501で終結する、一連のc−mycタグ付きEGFR断片を発現させた。mAb 806は274−501EGFR断片および282−501のEGFR断片の両方と反応したが、アミノ酸290またはアミノ酸298において開始するセグメントには結合しなかった(図1、左側パネル)。全てのEGFR構築物の存在を、c−myc抗体を用いて確認した(図1、右側パネル)。従って、mAb 806エピトープはアミノ酸282−310内に含まれるはずである。さらに、エピトープはアミノ酸290を超えて延びることができるだろうが、282−290の領域は、この特定のイムノブロッティングアッセイにおいてmAb 806反応性に対して決定的なアミノ酸残基のいくつかを含有するはずである。
(酵母表面上でEGFR断片の提示によるmAb 806エピトープの同定)
本発明者らは、第二の独立したアプローチを用いて、mAb 806エピトープを決定した。EGFRの異なるドメインを含む断片を酵母の表面で発現させ、FACSによってmAb 806結合についてテストした。mAb 806は酵母の表面で発現された1−621および1−501断片を共に認識した(図2A)。mAb 806は、de2−7 EGFRの細胞外ドメインに対応する273−621 EGFR断片にも結合した(図2A)。対照的に、mAb 806は294−543EGFR断片または475−621EGFR断片を認識することができ(図2A)、これは、mAb 806エピトープの少なくともいくつかがアミノ酸274−294の間の領域内に含まれるはずであることを明瞭に示す(比較;上記で同定したアミノ酸282−290)。これらの2つの全く異なるアプローチがmAb 806結合に対して重要である同一の領域を同定すると、本発明者らは、EGFRのこのセクションがmAb 806エピトープのエネルギー的に重要な部分を含有するはずであると確信した。興味深いことには、1−501エピトープの80℃における熱変性はmAb 806結合に対して効果を有さず、このことは、該エピトープが立体配座的というよりはむしろ直線状であることを示唆する(図2B)。この結果は、一旦受容体がSDS−PAGEによって変性されるとmAb 806が「pan」EGFR抗体となることを示す本発明者らのデータと完全に一致する(27)。
(推定エピトープを含有するEGFRペプチドへのmAb 806の結合)
mAb 806推定エピトープを含む可能性のあるシステインループに対応するペプチド(287CGADSYEMEEDGVRKC302)を合成した。このペプチドは、イムノブロットにおいて、1−501 EGFR断片および274−501 EGFR断片へのmAb 806の結合を阻害できた(図3A、上側パネル)。イムノブロットの双方の部分でのEGFR断片の存在は、ストリッピング、および抗mycでの再プロービングによって確認した(図3A、下側パネル)。溶液中の287−302 EGFRペプチドもまた、ELISAフォーマットを用いて、固定された1−501断片へのmAb 806の結合を阻害することができた(図3B)。興味深いことには、より短いペプチド(アミノ酸287−298)は、テストした濃度においてはmAb 806の結合を阻害しなかった(図3B)。従って、mAb 806エピトープは、EGFRにおいてジスルフィドにより拘束されるループを形成する残基287−302の中に含まれるようである。
また、本発明者らは、287−302 EGFRペプチドが、ヒトIgG1のFc領域と融合した1−501 EGFR断片の二量体バージョンである固定された501−FcへのmAb 806の結合を阻害する能力をテストした。酸化され、還元されおよびエージングされた(すなわち、中程度に凝集された)ペプチドは、全て、用量依存的にmAb 806が501−Fcに結合するのを阻害した(図4A)。還元されたシステイン残基およびS−カルボキシメチル化されたシステイン残基を含有するペプチドは、mAb 806の結合を阻害できず、これは、1または双方のシステイン残基がmAb 806エピトープに寄与することを示す(図4B)。臭化シアン切断によって生じたN末端(CGADSYEM)(配列番号:16)ペプチド断片またはC末端(EEGVRKC)(配列番号:17)ペプチド断片は、mAb 806結合を阻害できず(図4B)、このことは、このエピトープが内側メチオニン残基にまたがることを示唆する。このデータは、mAb 806エピトープがEGFR由来ペプチド287−302内に含まれるというさらなる確信を提供した。
287−302 EGFRペプチドを、末端システイン残基におけるチオール−ジスルフィド交換カップリングによってCM5センサーチップにカップリングさせ、表面プラズモン共鳴(BIAcore)によってmAb 806結合を分析した。mAb 806は、30nMの見掛けの親和性(図5A)でもって用量依存的に(図5A)固定化されたペプチドに結合し、これは、生きた細胞でのScatchard分析を用いて得られた親和性と合致する(27)。ブランクチャネル、システイン−ブロックドチャネルまたは無関係なペプチドに対するMab 806の結合は、全て、287−302 EGFRペプチドへの結合の1%未満であった(データは示さず)。このペプチドに対するmAb 806の親和性はde2−7 EGFRに対して示された親和性と同様であるため、このペプチドは、エピトープに寄与する主な決定基を全て含有するようである。このペプチドはチオール−カップリングを用いて固定化され、これにより分子内ジスルフィド結合を形成することができないため、この観察は、さらに、上記ループがmAb 806結合のために環化される必要のないことを示す。また、本発明者らは、アミンカップリングを介して287−302 EGFRペプチドを固定化し、mAb 806が依然として結合したことを示した(図5B)。
次いで、本発明者らは、溶液中のいくつかのEGFRペプチドが、固定化された287−302 EGFRペプチドへのmAb 806の結合をブロックする能力をテストした。予測されるように、可溶性287−302 EGFRペプチドは用量依存的にmAb 806結合を阻害した(図5B、上側パネル)。本発明者らのELISAデータ(図3B)と合致して、287−298 EGFRペプチドは、大過剰で用いた場合でさえ、mAb 806の結合を妨げることができなかった(図5B、中央パネル)。C302(すなわち、アミノ酸287−301)を単純に欠失するさらなるペプチドは、用量依存的にmAb 806結合を弱くにしか阻害できなかった(図5B、下側パネル)。これらの観察は、アミノ酸残基C302が高親和性のmAb 806結合に対して必要であることを確認する。
(mAb 806エピトープの構造分析およびEGFR活性化に対するその関係)
いくつかの最近の結晶学的研究は、EGFR細胞外ドメインの構造を記載している。従って、本発明者らは、その構造位置についてmAb 806エピトープを分析して、このことがそのエピトープのユニークな特異性を説明するのを助けることができるかどうかを判断した。mAb 806エピトープを含有するシステインループ(図6A)は、システインリッチなCR1ドメインのC末端部分に位置する(図6B、マゼンタ)。興味深いことには、EGFRのこの領域は、構造中で特徴付けに最も乏しい領域の1つであり、相当な度合いの柔軟性を示唆する。287−302 EGFRループのかなりの部分がEGFR内に埋もれているが、2つの領域はより露出され、抗体によって潜在的に接近可能である。これらの第一のものはD290を中心とし(図6C、左側面図においてマゼンタで強調)、これらの第二のものはD297に焦点を当て、これは、当該分子が180°回転した場合に観察できる(図6C、右側面図においてはマジェンタで強調)。
図6Cに描かれたEGFRの連結された(tethered)形態は、レセプターの不活性な立体配座である。この状態において、EGFR CR2ドメインは、二量体化アーム(CR1ドメイン内に含まれる小さなループ)が、他のEGFR分子の二量体化アームと相互作用するのを妨げるように、CR1ドメインと相互作用する。EGFRの非連結(untethering)は受容体の延びた形態へと導き、そこでは、二量体化アームが暴露され(図6D、左側パネル)、受容体の二量体化が起こるのを可能とする(図6B)。本発明者らの現在の理解は、細胞表面での平衡状態の場合、EGFRの95%が連結された立体配座にあることを示唆する(37)。残りのEGFRは活性なダイマーまたは延びた連結されない立体配座である。リガンドの添加は、この受容体のより多くをダイマー形態に駆動するであろう(図6B)。
可能性のあるmAb 806結合部位に関して、受容体の連結された形態においてのみ接近可能な残基は、D297を中心とするものである。しかしながら、受容体を過剰発現する細胞株において、mAb 806がEGFRの5〜10%にのみ結合するとすれば、mAb 806は、細胞表面のEGFRの95%を形成するEGFRの連結された形態に結合する可能性が非常に少ない。図6に掲げた構造情報に基づき、EGFRの二量体化は、mAb 806エピトープ内のいずれのアミノ酸残基もさらに暴露することなく、従って、mAb 806結合に対する標的にはならない。抗体のサイズを仮定すれば、D290を中心とする露出されたアミノ酸のいずれも、連結された立体配座にもダイマー立体配座にもいずれにおいても、mAb 806に対して接近可能ではない。EGFRは連結された立体配座から活性なダイマー状態に移動する場合、そのEGFRは遷移中の延びた状態を経過しなければならない。EGFRのこの遷移形態(図6D)はモノマーであるか、あるいは恐らくは不活性なダイマーであり得、細胞表面では比較的稀であり、mAb m806結合のレベルと合致する。重要なことには、受容体のこの遷移形態においては、D290の周りの残基ならびに多数の通常は埋もれたアミノ酸(例えば、Y292およびM294)は抗体の結合に対して接近可能であろう。空間的に考慮すると、D290近くの領域へのmAb 806の結合は、システインループの外側のアミノ酸との相互作用を必要とすることが強く示され、mAb 806エピトープ全体がシステインループ内に含まれることを示唆する本発明者らの親和性のデータと恐らくは合致しない。本発明者らが結合領域としてD290を除外する場合、エピトープはD297を含むようにさらに拡大できるが、mAb 806はY292/M294の周りの領域と相互作用しなければならない。一緒に併わせると、唯一の合致する結論は、EGFRが二量体化を受ける前に、mAb 806はEGFRの延びた形態においてのみ露出されるアミノ酸に結合することである。
(構成的に未連結にされた形態のEGFRへのmAb 806の結合)
mAb 806が非二量体化/未連結にされたEGFRに優先的に結合するのを確認するために、本発明者らは、293細胞においてCR1二量体化アームを欠失する(deCR1−ループ)EGFRの突然変異を安定に発現させた(31)。この領域は、活性なEGFRダイマーを形成するにおけるその役割のため、およびCR1二量体化アームが連結に関連するCR1:CR2相互作用に総体的に関与するので、選択された。従って、deCR1は、de2−7 EGFRのように、構成的に未連結であるべきである。親293細胞は、FACSによるmAb 528の結合によって明らかなように、低レベルの野生型EGFR(ほぼ1×10EGFR/細胞)を発現する(図7)。予測されるように、mAb 806はこれらの細胞で発現された内因性EGFRに結合しない。de2−7 EGFRは、deCR1−ループのように、連結できなかったはずであり、かつ二量体化を減少したはずである。293細胞のde2−7 EGFRでのトランスフェクションは、他の細胞株において従前に示されたように、mAb 806の強力な結合を導いた(図7)。高度に立体配座依存性のmAb 528がdeCR1−ループEGFRに結合することにより、その立体配座への全体の変化がないことを確認する(図7)。実際に、本発明者らは、deCR1−ループEGFRがリガンドに結合できることを先に示しており、これは、さらに、その全体的構造が無傷なままであるという考えを支持する(31)。2つの独立したdeCR1−ループEGFRを発現するクローンのフローサイトメトリー分析は、mAb 806の結合を明瞭に示した(図7)。従って、本発明者らの仮説と合致して、mAb 806は、EGFRが活性なダイマーを形成する前に、遷移中の連結されていないEGFRに結合するようである。mAb 806はまた、連結に対して能力を下げられたEGFR点突然変異体への結合の増大を示す(以下の実施例2参照)。
(考察)
de2−7 EGFRを発現するマウス線維芽細胞を用いた免疫化に続いて、mAb 806を作製し、そしてde2−7 EGFRに対する高い反応性、および野生型EGFRに対する無視できる活性について、混合したヘム吸着アッセイによって選択した(21)。さらなる特徴付けにより、mAb 806は、野生型EGFRが過剰発現された場合、特に、EGFR遺伝子が増幅されたが、正常な組織はそうでなかった場合の細胞株および神経膠腫検体を認識できたことが、すぐに明らかとされた(21)。最近、本発明者らは、mAb 806が、小胞体内に位置するde2−7 EGFRおよび野生型EGFR双方の高マンノース形態に優先的に結合することを示した。さらに、本発明者らは、高マンノース型wt EGFRのいくつかが、細胞が受容体を過剰発現する場合に、細胞表面に誤って向けられることを示した。しかしながら、この仕事は、mAb 806エピトープを同定せず、またmAb 806によって媒介される強力な抗腫瘍活性を適切に説明もしなかった。2つの独立した方法を用い、本発明者らは、mAb 806 エピトープを含有するシステインループ(アミノ酸287−302)を同定した。残基287−302を含む合成ペプチドに対するmAb 806の親和性は、本発明者らが、de2−7 EGFR発現細胞株を用いたScatchard分析によって従前に測定した親和性と同様であるので(27)、本発明者らは、それが完全なエピトープ配列を含むと確信する。明らかに、該ペプチドは、抗体結合のためのジスルフィド結合したループ内で限定される必要はない。というのは、mAb 806は溶液中の還元されたペプチド、チオール不動化ペプチドを認識し、そしてC302が欠失した可溶性ペプチドに弱く結合したためである。
免疫沈澱およびScatchard分析は共に、mAb 806が、EGFR遺伝子の増幅のため受容体を過剰発現する細胞株である、A431細胞(27)の表面に発現された野生型EGFRの5−10%の間を認識することを示した。低い割合の受容体に結合するにもかかわらず、mAb 806はヌードマウスで増殖させたA431異種移植片に対して強力な抗腫瘍活性を呈する(22,23)。mAb 806は非連結の(untether)EGFRに優先的に結合するという本発明者らの観察が、この抗腫瘍活性についての可能性あるメカニズムを示唆する。EGFR分子が非連結にされる場合、このEGFR分子は不活性な連結された状態と活性なダイマーとの間の遷移状態に入る(37)。mAb 806によって結合されるのは、EGFRのこの遷移中の非連結の形態である。次いで、mAb 806の結合は、シグナル伝達可能なEGFRダイマーの形成を妨げる(図8)。従って、所定のいずれの場合であっても、mAb 806はEGFRの小さなパーセンテージに結合するに過ぎないが、延長された時間にわたって、それは、EGFRシグナル伝達の実質的な割合を阻害し得、これは次いでインビボで抗腫瘍効果を生じる。mAb 806が結合したEGFRの運命は未知であるが、本発明者らは、従前に、mAb 806/de2−7 EGFR複合体が内部に移行されることを示している(27)。あるいは、EGFRに特異的な低分子量チロシンキナーゼ阻害剤を用いた細胞の処理に続く場合、mAb 806/EGFRは不活性な形態で表面上に捕獲されたままであろう(28,38)。野生型EGFRとは対照的に、mAb 806は、DH8.3(突然変異体受容体に対して特異的な抗体)と比較した場合、細胞表面に発現されるde2−7 EGFR分子のほぼ半分を認識する(27)。de2−7 EGFRに対する、mAb 806の増大した反応性は、この突然変異体受容体がCR1二量体化ループを欠き、従って、連結された立体配座を取ることができないという事実と合致する。
mAb 806が正常であるが比較的低量のEGFRの遷移中の立体配座を認識するならば、なぜ、それは「平均」レベルのEGFRを発現する正常組織または細胞株に結合しないのであろうか。この観察は、ヨウ素化mAb 806が1×10細胞を含有するU87MG神経膠腫(1×10EGFR/細胞)の細胞ペレットに結合しないことを本発明者らが示した以前の研究(これは、より小さなA431細胞ペレットに基づいて、低レベルの結合を測定するのに十分に感受性であった)におけるように、検出の感度には関係しないようである。本発明者らは、グリコシル化がmAb 806の反応性に影響すること、およびmAb 806が、小胞体内に通常は存在するEGFRの高マンノース形態を優先的に認識することを、決定した。さらに、EGFRを過剰発現する細胞においては、この高マンノース型受容体のいくらかは細胞膜に誤って向けられる。
mAb 806エピトープの配列相同性はErbB3/B4においては比較的低いにもかかわらず、システインループのサイズおよび位置は保存されている。さらに、完全に保存された2つのアミノ酸残基(E293およびG298)があり、電荷が保存されるさらに2つのアミノ酸(E295およびR300)がある。最後に、ErbB3(および恐らくはErbB4)の全体的構造は、連結された立体配座をとる点でEGFRの全体構造と非常に似ており、この連結された構造は、恐らくは活性化の間に非連結にされる(41)。併わせると、このことは、ErbB3/B4における同等なシステインループに標的化された抗体が、mAb 806と同様な特性(すなわち、腫瘍に限定される特異性および受容体活性化をブロックする能力)を有することを示唆する。より広義には、本発明者らのデータは、増殖因子受容体の遷移形態に対する抗体の作製は、正常な組織の標的化を低下させるが依然として抗シグナル伝達活性を保有する、新規な方法を表す。従って、活性な(リガンドが結合した)受容体の構造と、それらの不活性な対照物の構造との間の比較は、受容体の立体配座の変化の間に、一時的に露出されるアミノ酸を同定するはずである。最後に、mAb 806は、EGFRの構成的に活性な突然変異を発現する細胞を用いて免疫し、そしてこの突然変異した受容体に対して特異的な抗体について選択することによって、作製された。従って、構成的に活性な受容体を用いた免疫化は、受容体の遷移形態を認識する抗体を同定する可能性を増大させる、一般化されたストラテジーを提供し得る。
(参考文献)
Figure 2008501308
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(実施例2)
(細胞表面の上皮増殖因子受容体の機能におけるCR1/CR2ドメイン相互作用の分析)
上皮増殖因子受容体(EGFR)の単離された細胞外ドメインについての最近の結晶学的データは、リガンドによるその活性化についてのモデルを提案した。本発明者らは、受容体活性化の調節に決定的であると考えられている細胞外ドメインの2つの領域(CR1およびCR2)へ突然変異を導入することによって、細胞表面に提示される全長EGFRに関して、このモデルをテストした。CR1およびCR2ドメインにおける突然変異は、リガンド結合親和性、受容体二量体化、チロシンキナーゼ活性化およびシグナル伝達能力に対して拮抗作用を有する。Tyr246はCR1ループにおける決定的な残基であり、これは、リガンド結合後における受容体ダイマー接合面の位置決定および安定化に関係し:Tyr246の突然変異は受容体の機能を損なうか、または廃止する。連結された状態に受容体を制限する相互作用を弱めるCR2における突然変異は、リガンドに対する親和性を増大させることによって、EGFに対する応答性を増強させる。しかしながら、CR1/CR2相互作用の弱めた結果、受容体のキナーゼの自然発生的な活性化を生じない。本発明者らは、負に抑制された連結された状態と、十分に活性な背中合わせの(back−to−back)ダイマー立体配座との間のEGF受容体の遷移状態を認識する、抗体(mAb806)を用いて、リガンド結合後の野生型EGF受容体および突然変異EGF受容体における立体配座変化を追跡する。本発明者らの結果は、細胞表面上のEGFRは非連結にされ得るが、この形態は不活性であることを示唆し;従って、受容体の非連結にされることは活性化のためには十分ではなく、そしてリガンド結合は、キナーゼ活性化を達成するための2つのサブユニットの正しい位置決定のために必須である。
(緒言)
過去20年以上にわたり、EGF受容体は、受容体関連細胞内チロシンキナーゼのリガンド活性化を研究するための重要な機会を提供してきた(1−3)。最近、いくつかのEGF受容体ファミリーメンバー(EGFR、ErbB−2およびErbB−3)についての細胞外ドメイン(ECD)の三次元構造が報告されている(4−9)。これらの構造は、EGF受容体ECDについての2つの有意に異なる立体配座を明らかとした(4;5;9)。TGF−αと複合体化したEGFRの可溶性切断型ECDの結晶構造(4)またはEGFと複合体化したEGFRの可溶性切断型ECDの結晶構造(5)において、リガンドはL1ドメインとL2ドメイン(リガンド結合ドメイン)との間でサンドイッチとなっており、ECDは、2つのインターロックされたCR1(システインリッチ)ドメインを主に介して、背中合わせのダイマーを形成し;対照的に、EGFとの複合体における自動阻害型EGFRの結晶構造においては、リガンドはL1ドメインに結合しているに過ぎず、ダイマーは存在せず、そしてモノマー受容体の主な分子内相互作用はCR1ループおよびCR2ドメインの間で起こる(9)。この構造においては、L1とL2との間の距離が1分子のEGFへの同時結合を可能とするには大き過ぎるのみならず、またL2がL1に結合したEGFから離れて回転されてもいる。従って、2つの決定的特徴は、非連結の形態(ダイマーの不存在、および高親和性でリガンドに結合する能力無し)のEGF受容体のECDから、自動阻害された(連結された)形態を区別する。興味深いことには、切断されたErbB−2 ECDの立体配座(8)および全長ErbB−2 ECDの立体配座(7)は、背中合わせのEGFRダイマーと似ており(4)、他方、リガンドの不存在におけるErbB−3 ECD(6)は、連結されたEGFR−ECD(9)と同様の立体配座を有する。
全長細胞EGFRについての業績は、EGFR二量体化、高親和性結合および受容体キナーゼ活性化の間で強力な連携を確立しており;他方、単離されたECDの結晶構造は、キナーゼおよびEGFRの膜貫通ドメインもまた二量体化に寄与する細胞環境における、これらの観察の理解のための改善されたフレームワークを提供する(すなわち、リガンドはより高い親和性で受容体の「非連結の」形態に結合し、これによって、モノマーの自動阻害された受容体から離れるように平衡をシフトさせて、活性なダイマーの形成(9)を支持する)。事実、細胞表面ダイマー(またはオリゴマー)はリガンドの不在下で検出され得るが、連結されていないダイマーはチロシンキナーゼ活性を有しない(10−16)。従って、全長の細胞表面EGF受容体において、リガンドの結合は二量体化を駆動するためのみならず、キナーゼ活性立体配座の形成のために必要である。
断片またはさらに全長EGF受容体のECDの構造およびリガンド結合特性は、細胞表面に提示された受容体からのシグナル伝達の複雑性を解決できない。この報告において、リガンド結合、受容体立体配座変化、受容体オリゴマー化およびキナーゼ活性の調節を決定するプロセスにおける、CR1−CR2相互作用の本発明者らの理解を向上させるために、本発明者らは、無処置の哺乳動物(Baf/3)細胞において、全長EGF受容体突然変異体を発現した(17;18)。BaF/3細胞は内因性EGF受容体も、検出可能なレベルのリガンド(これは、組換え(突然変異体)受容体を混乱させ得、そして/または活性化し得る)も発現しない。CR1ループ突然変異体およびCR2 EGFR突然変異体のアベイラビリティー、ならびに立体配座特異的な抗体mAb528(19)およびmAb806(20−23)のアベイラビリティーにより、本発明者らが、連結の決定基をプローブするのを可能にし、そしてリガンドが受容体に結合する場合の主要な立体配座の遷移を検出することを可能にした。
(実験手法)
(試薬)
EGFRに対する抗体であるmAb528(19)およびmAb806(20;21)を、MelbourneのLudwig Institute for Cancer ResearchのGMP施設において生産し、精製した。抗flag抗体M2をSigma−Aldrichから購入し、抗ホスホチロシン(クローン4G10)および抗EGFR(ヒツジポリクローナル)は、Upstate(Lake Placid,NY)から購入し;抗ホスホp44/p42 MAPK抗体および抗MAPK抗体をCell Signaling(Beverly,MA)から購入した。HRP結合化ウサギ抗マウスIgおよびHRP結合化ウサギ抗ヒツジIgを、各々、BioRad(Hercules,CA)およびDako(Fort Collins,CO)から得た。Alexa 488標識化抗マウス免疫グロブリンを、Molecular Probes,Eugene,ORから購入した。フェニルアルシンオキシド(PAO)をSigma−Aldrichから購入した。水溶性ホモ二官能性架橋剤BS(スペーサーアーム長:11.4Å)およびSulpho−EGS(スペーサーアーム長:16.1Å)をPierce(Rockford,IL)から得た。
(EGFR突然変異構築物の作製)
野生型EGFRの単一点突然変異を、部位特異的突然変異誘発キット(Stratagene,La Jolla,CA)を用いて作製した。各突然変異誘発のための鋳型は、記載されているように(4)、哺乳動物発現ベクターpcDNA3(Invitrogen,Carlsbad,CA)中に、リーダー配列、続いて、FLAGタグコード配列を含有するヒトEGFR cDNA(24)であった。各構築物の自動ヌクレオチド配列決定を行って、各EGF受容体突然変異の完全性を確認した。EGFR発現構築物を293細胞(American Type Culture Collection,Manassas,VA)で一過性に発現させ、528抗体およびM2抗体で染色することによって、受容体タンパク質の存在を測定し、細胞表面における発現を確認し、タンパク質のフォールディングが適切に起こったことを確認した(データは示さず)。
(EGFR構築物のトランスフェクションおよび安定な細胞株の作製)
従前に記載されているように(25)、野生型EGFR構築物および突然変異体EGFR構築物をIL−3依存性のネズミ造血細胞株BaF/3にトランスフェクトした。トランスフェクトされた細胞をG418において10日間選択した。flagタグに対する抗体(M2;PBS/5%FCS/5mM EDTA中10μg/ml)、および/またはEGFR細胞外ドメインに対する抗体(mAb528:PBS/5%FCS/5mM EDTA中10μg/ml)、続いてAlexa488標識化抗マウスIg(1:400最終希釈)を用いた、FACStar(Beckton and Dickinson,Franklin Lakes,NJ)でのFACS分析によって、生細胞をEGFR発現についてスクリーニングした。バックグラウンド蛍光を、細胞を無関係でクラスのマッチした一次抗体と共にインキュベートすることによって測定した。陽性プールを、FACS−DIVA(Becton and Dickinson)にて、適切なレベルのEGFR発現に対して区分した。最終的な選択の後、mRNAを各細胞株から単離し、そしてEGFRにおける全ての突然変異をPCR分析によって確認した。全ての細胞を、ルーチン的に、RPMI/10%FCS/10%WEHI3B馴化培地(26)および1.5mg/mlのG418において、継代した。
(リガンド結合)
マウス下顎腺(27)から精製されたネズミEGFを、Iodogen(28)を用いて5〜8×10cpm/ピコモルの特定の放射能(activity)までヨウ素化した。コールドの飽和実験によって、内部移行阻害剤のフェニルアルシンオキサイド(PAO)(29)の存在下で、野生型EGFRまたは突然変異体EGFRを発現する細胞に結合するリガンドを室温で測定した。簡単に述べると、漸増量の未標識EGF(20pM〜5.12nM)の有りまたは無しにて、一定量(300pM)の125I EGFと共に、PBS/1%BSA/30μM PAO中で、細胞をインキュベートした。125I−EGFよりも500倍過剰の未標識EGFを用い、非特異的結合を測定した。全ての実験点は三連で調製した。インキュベーションの最後に、細胞をペレット化し、氷冷PBS中で2回洗浄し、その後、Wallac WIZARDγ−カウンター(Perkin Elmer,Boston,MA)での計数のために新鮮なチューブに移した。リガンド結合親和性および受容体の数についてのScatchardプロットおよび見積もりは、Radligプログラム(BioSoft,Cambride,UK)を用いて得られた。
(受容体の架橋、チロシンリン酸化、MAPK活性化)
野生型EGFRまたは突然変異EGFRを発現するBaF/3細胞を、IL−3およびFCSを含まない培地中で3時間インキュベートした。細胞を遠心分離によって収集し、PBS中で2回洗浄し、EGF(100ng/ml)の有りまたは無しにて、室温にてPBS中で10分間インキュベートした。架橋実験において、PBS処理またはEGF処理の後に、細胞を1.3mM BSまたはスルホ−EGS(Pierce Biotechnologies, Rockford,IL)中で室温にて20分間インキュベートした。細胞を、還元剤(100mM β−メルカプトエタノール)の有りまたは無しにて、細胞をSDS/PAGE試料緩衝液中で溶解させた。全細胞溶解物を、3〜8%トリス/アセテートゲルまたは4〜12%ビス/トリス勾配ゲル(In Vitrogen,Carlsbad,CA)でのSDS−PAGEによって直接分析し、そしてPVDF膜に移し、その後、抗ホスホチロシン抗体(4G10、UBI、1:1000最終希釈)、抗EGFR抗体(ヒツジ抗EGFR、UBI、1:1000の最終希釈)または抗ホスホMAPK抗体(1:1000の最終希釈)、続いて、各々、HRP結合化抗マウスIg、HRP結合化抗ヒツジIg、またはHRP結合化抗ウサギIg(全て1:3000の最終希釈)を用いて免疫検出した。反応性バンドをECL試薬(Amersham)を用いて可視化した。EGFRの特異的チロシンリン酸化を測定するために、抗ホスホチロシン抗体でプローブした膜を0.1Mグリシンの溶液(pH2.1)でストリップし、抗EGFRまたは抗ホスホMAPK抗体で再度プローブした。フィルムをMolecular Dynamics走査デンシトメーター(Molecular Dynamics,Sunnyvale,CA)で走査し、幅広線ピーク積分(wide−line peak integration)を用いてバンド定量をImageQuantで行った。
(EGFに対するマイトジェニック応答)
対数相において増殖する細胞を収集し、3回洗浄して残存するIL−3を除去した。細胞をRPMI 1640+10%FCSに再度懸濁し、200μl当たり2×10細胞にてBiomek 2000(Beckman)を用いて96ウェルプレートに播種し、10%CO中で37℃にて4時間インキュベートした。EGFを最初の力価測定点まで加え、96ウェルプレートにわたって2倍希釈とした二連で力価測定した。コントロールのウェルには、5%(v/v)の最終濃度のWEHI−3B馴化培地を与えた。H−チミジン(0.5μCi/ウェル)を加え、プレートを5%CO中で37℃にて20時間インキュベートし、その後、自動ハーベスター(Tomtec,Connecticut,USA)を用いてニトロセルロースフィルターに収集した。そのマットをマイクロ波で乾燥し、プラスチックの計数バックに入れ、シンチラント(10mL)を加えた。β線カウンター(1205 Betaplate,Wallac,Finland)を用いて取り込まれたH−チミジンを測定した。
(立体配座特異的抗体との反応性)
抗体染色およびFACS分析に先立って、細胞を抗体、EGFまたはコントロール培地と共にプレインキュベートした。抗体(mAb528、mAb806またはクラス適合性の無関係な抗体、全て10μg/ml)でのプレインキュベーションは、RPMI/10%FCS中で37℃にて30分〜16時間の範囲の時間で行った。EGF(氷冷FACS緩衝液中100ng/ml)とのプレインキュベーションを氷上で20分間行った。プレインキュベーションの後に、細胞を遠心分離によって収集し、コントロール抗体またはテスト抗体(全て、氷上でFACS緩衝液中10μg/mlで20分間、その後FACS緩衝液中で洗浄)、続いて、Alexa488−抗マウスIg(1:400の最終希釈、氷上で20分)で染色して、一次抗体を検出した。細胞を氷冷FACS緩衝液で洗浄し、遠心分離によって収集し、FACScanで分析し;ピーク蛍光チャネルおよびメジアン蛍光を、CellQuest(Becton and Dickinson)での統計学的ツールを用いて各試料につき測定した。バックグラウンド(ネガティブコントロール)蛍光を全ての測定から差し引いた。メジアン蛍光値を最も代表的なピーク形状および蛍光強度として選択し、これを用いて、mAb806の結合 対 mAb528の結合の比率を導いた。
(結果および考察)
この研究の目的は、細胞表面に発現した全長EGFRの立体配座の優先度、活性化のメカニズムおよびシグナル伝達能力についてのCR1−ループ/CR2相互作用の役割を決定することである。本発明者らは、CR1/CR1相互作用および/またはCR1/CR2相互作用を乱すと予測され、その結果、EGFRの連結された状態、非連結の状態、不活性状態および/または活性状態の間のバランスを変更すると予測される点突然変異を、CR1ドメインおよびCR2ドメインに導入した。これらの構築物は、内因性ErbBファミリーメンバーを欠いた、造血細胞株であるBaF/3で発現させた。本発明者らは、結合動力学、二量体化、リガンド依存性チロシンリン酸化およびシグナル伝達、ならびにEGF依存的にDNA合成を誘導する能力を測定することによって、EGFRの機能に対する突然変異の効果を分析した。しかしながら、これらのパラメーターは受容体オリゴマー化、立体配置変化または立体配座変化の間接的尺度であり;したがって、本発明者らは、EGFRの「休止」立体配座に対し、かつリガンド誘導性の立体配座変化および立体配置変化のダイナミクスに対する、突然変異の効果を評価するツールとして、2つの立体配座的に特異的な抗EGFR抗体、mAb528(19)およびmAb806(20;23;30)の結合も用いた。
(受容体発現および予備的特徴付け)
6つの点突然変異を詳細に分析した(図9A、9B参照):Tyr246における3つのCR1突然変異(Phe、TrpおよびAsp)および3つのAsp563(Hisへ)、Glu578(Cysへ)およびVal538(Aspへ)におけるCR2置換。CR1/CR2相互作用をジスルフィド連結させる試みにおいて、本発明者らは、CR1およびCR2の各々において置換を持つ突然変異体を調製した(CysへのLeu245、およびCysへのGlu578)。組換えEGFRを造血細胞株BaF/3において発現させ、これは、EGFRの生化学的特徴付けで理想的である(18;25)。トランスフェクションおよびG418における選択後、抗flag抗体M2ならびにモノクローナル抗体528(EGFRの細胞外ドメインに向けられて、リガンド結合をブロックし(19)、かつ受容体の天然形態のみを認識すると報告されている)を用いて、受容体発現をモニターした。これらの抗体との反応性に基づいて、全ての突然変異体受容体は正しくフォールディングされ、細胞表面で発現されるようである。多数ラウンドのFACSソーティングの後、本発明者らは、同様なレベル(20〜40,000R/細胞)の突然変異体EGFRまたは野生型EGFRを発現する細胞系を得た(図10)。受容体の発現が100,000受容体/細胞未満であるのは必須であり:一過性発現実験は、通常、高レベルの細胞表面EGFR(>10/細胞)を生じるが、これらのレベルの発現においては、しばしば、EGFRの自然発生的な活性化(すなわち、リガンド非依存性チロシンリン酸化)が存在する。活性化に対する理由は明らかではないが、受容体のオリゴマー化、不正確なプロセッシングまたは誤ったフォールディングのためであろう;本発明者らは、<50,000R/細胞を発現する細胞株を作製することによって、この複雑性を回避しようとした。
(EGFR突然変異体によるリガンド結合)
EGFRの連結されたECDの結晶構造(9)および非連結のECDの結晶構造(4;5)から、2つの形態に対するリガンド親和性はかなり異なるであろうと仮定された。非連結の立体配座においては、リガンドはL1ドメインおよびL2ドメイン双方と接触を行うことができ、他方、連結された立体配座では、リガンドはL1ドメインまたはL2ドメインに結合できるに過ぎない。Fergusonら(9)は、CR1ループおよびCR2ループの間の相互作用の弱化はEGFに対するEGFR−ECDの見掛けの親和性を増大させると報告している;しかしながら、CR1ループおよびCR2ドメインの連結と、リガンド結合親和性との間の関連は、単離されたEGFR−ECDのBIAcore分析によって得られたデータに基づく(9;31)。細胞表面における全長EGFRについての動力学的結合データは、EGFR−ECDについての20〜350nMと比較して、少なくとも2オーダーの大きさより低い20pM−2nMである親和性定数を生じる。細胞関連におけるそのリガンドへのEGFRの結合動力学は、局所的受容体密度、オリゴマー化状態、およびサイトゾル要素または細胞骨格要素との相互作用のような、構造非依存性因子によって複雑化される(32−34)。全長受容体の関係では、キナーゼ、膜貫通ドメインおよび/またはC末端ドメインにおける修飾もまたそのリガンドに対するEGFRの親和性に影響する(35−39)。従って、無処理の細胞における受容体のリガンド結合親和性、オリゴマー化状態およびシグナル伝達(後記参照)に対するCR1突然変異およびCR2突然変異の効果を測定するのは重要である。生理学的温度におけるリガンド結合を評価しつつ内部移行を妨げるためには、30μMのフェニルアルシンオキシドの存在下で親和性測定を行った(29):これらのアッセイ条件下で、EGFRの内部移行は1%未満まで低下した(データは示さず)。野生型EGFRおよび突然変異体EGFRに対するEGF結合のScatchard分析の結果を表3および図11に示し、以下にまとめる。
Figure 2008501308
125I−EGF結合は「材料および方法」に記載されたように行った。データは、「Kell for Windows(登録商標)」RadLigプログラムを用いて分析した。
(a):細胞当たりの受容体の数は、各リガンド結合実験におけるBmaxおよびチューブ当たりの細胞数から計算した。結果は少なくとも3つの別々の実験の平均および標準誤差である。
(b)Scatchard分析によって測定された受容体数(Bmax)はFACSによって、またはイムノブロッティングによって見積もられた受容体数の10%未満である。
CR2突然変異:V583D突然変異およびD563H突然変異は、CR2/CR1ループ相互作用を破壊するように設計された。連結された立体配座において、V587側鎖のγ−メチル基はY246との密なファンデルワールス力で接触している:Asp γ−カルボキシルの置換はCR1/CR2接合面を破壊するはずである。同様に、D563のγ−カルボキシルは連結された立体配座においてY246に水素結合し、アスパラギン酸のカルボキシル基をHisのイミダゾールで置換することは相互作用を弱化させるであろう。V583Dを発現する細胞においては、野生型EGFRを発現する細胞と比較して、高親和性EGF結合部位の割合について有利な増加が存在する(各々、12.6% 対 2.6%)。この傾向はまた、D563H突然変異体で観察されるが、この場合には、野生型からの差異は統計学的に有意ではなかった(表3)。高親和性部位の割合の増加は、受容体の未連結状態に向かう平衡シフトの指標であり、これは、V583D突然変異体およびD563H突然変異体がCR1/CR2相互作用を弱化させるという推定を支持する。CR1およびCR2を共有結合により結合させるジスルフィド結合を創製する可能性を調べるために、本発明者らは、連結された立体配座において適切な距離および側鎖の向きを有する2つの残基:Leu245およびGlu578を同定した。最初に、本発明者らは単一突然変異E578Cを作製し、次いで、二重突然変異L245C/E578Cを作製した。興味深いことには、E578側鎖はL245およびP248の側鎖に近く、従って、E578C置換は、これらの残基との疎水性相互作用を増加させることによって、CR1ループ/CR2接合面のパッキングを改良すると予測され得る。実験的には、E578C突然変異は、低親和性部位の数に影響することなく高親和性EGF結合を完全に消去する(表3)。この位置におけるシステインの導入は、いずれかまたは双方のシステインに富んだドメインのフォールディングに影響しないようである:立体配座依存性抗体mAb528は突然変異体受容体に結合し、そのリン酸化およびシグナル伝達は依然としてEGFに依存する(後記参照)。
CR1ループ突然変異:本発明者らは、Tyr246に代わる3つの異なるアミノ酸置換(Phe、TrpおよびAsp)を導入した。結晶構造は、Y246がCR1/CR1相互作用およびCR1/CR2相互作用双方につき決定的であることを示唆する(図9B、9C)。連結された立体配置において、CR1ループはCR2ドメインと密接に相互作用し;Tyr246はAsp563のカルボキシル側鎖と水素結合する。Asp563はLys585のε−アミノとの弱い架橋によって所定の場所に保持される。Tyr246のPhe突然変異はH結合を除去し、従って、その連結はより弱くなる。Trp246突然変異体はCR2結合部位に嵌合するには大き過ぎ、事実、それはLys585−Asp563の塩橋を破壊するであろう。Tyr246のAspでの置き換えは、疎水性パッキングの喪失、ならびにAsp246およびAsp563の間の強い反発を導く。従って、全ての突然変異は連結された立体配座を余り好都合でなくさせるはずである。EGFRキナーゼを活性化させるため、Tyr246のヒドロキシルが対向鎖に水素結合するように、背中合わせのダイマーが形成されなければならない(図9)。事実、リガンドの存在下では、このヒドロキシルはSer262残基、Gly264残基およびC283残基における骨格にH結合する。これらの3つの水素結合はPhe246突然変異体およびAsp246突然変異体においては失われる。Tyr246および対向鎖の間のパッキングは密であり、Trp残基に対する余地は無い:Trp246ダイマーは、密にパッキングされないと予測される。実験的には、全ての3つの突然変異は高親和性EGF結合の喪失をもたらし(表3および図11)、これは、CR1/CR2結合の連結解除によって代償されないCR1/CR1相互作用の著しい障害を示唆する。
一緒に併わせると、これらの観察は、EGFRの「連結された」形態へのリガンド結合が低い親和性で起こることを確認し;低親和性EGF結合はL1ドメインおよびL2ドメインの相対的位置決定とは無関係であるようである。結晶構造の精査は、双方のドメインのリガンド結合表面が連結された立体配座および連結されていない立体配座双方において利用でき、従って、低親和性結合は、恐らくは、いずれかの部位、または双方の部位への結合を独立して反映することを示す。明らかに、未連結であることは、高親和性で結合するために利用できる受容体の割合を増加させ得る。高親和性立体配座は、恐らくは、ダイマー複合体におけるL1およびL2の近接配置に影響することによって、CR1ループを必要とすることに注意するのは興味深い。
受容体二量体化:受容体の細胞外ドメインへのEGF結合は、キナーゼ活性なEGFRの形成または安定化に導く。リガンド誘導性CR1/CR1相互作用は、活性なEGFR複合体の形成に必要であり:CR1ループの欠失は、全長EGFRの関係においてさえ、EGFR−ECDが二量体化する能力を消去する(4)。明らかに、CR1ループおよびCR2ループにおける突然変異は、EGF結合親和性に対して有意な効果を有し;(図11および表3):本発明者らは、基底の二量体化およびリガンド媒介性二量体化、ならびに基底のキナーゼ活性化およびリガンド媒介性キナーゼ活性化に対するこれらの突然変異の効果を測定することに興味を抱いた。EGFおよびホモ二官能性の細胞非浸透性の架橋剤BSを用いて、細胞を室温にて30分間処理した。細胞溶解物をSDS−PAGEによって分離し、抗EGFR抗体または抗ホスホチロシン抗体いずれかでイムノブロットした。結果を図4に示し、以下にまとめる。
「CR1ループ突然変異体」はリガンド依存性二量体化を低下させ;特に、Y246D突然変異はリガンド依存性二量体化を完全に無くした。しかしながら、基底の二量体化はわずかに影響されたのみであった:これは自然発生二量体化およびリガンド媒介性二量体化の接合面におけるY246の立体配座における異なる役割を示す。CR1ループの全体が欠失されるΔ−CR1ル−プ受容体(4)における検出可能なダイマーの完全の欠如を仮定すれば、このループにおける他の領域は連結無しの(unligated)ダイマーの形成に寄与する可能性がある。Y246突然変異体受容体モノマーおよびY246突然変異体受容体ダイマー双方のホスホチロシン含有量も低下され、これは、ダイマーが形成される場合でさえ、ECD立体配座がキナーゼ活性化を可能としないことを示唆し:Y246W突然変異体においていくらかの自然発生的ダイマーが検出できるが、リガンドの不存在下では、実質的にダイマーのリン酸化はない。明らかに、ECD架橋可能なダイマーの形成は、全てのY246突然変異体において低下する。EGF刺激後におけるY246突然変異体モノマーのホスホチロシン含有量が特に影響されること(図12C)に注意するのは、興味深い;これらのモノマーは、おそらくは、架橋できなかったダイマーから生じるため、それらモノマーはダイマー複合体における改変された(より弱い)相互作用を持つ分子の部分集団を反映し得る。Y246突然変異がダイマーの安定性に全体的に影響し、キナーゼ活性化に必要なダイマーサブユニットの再配向またはより高次のオリゴマーの形成を妨げるか否かは、本発明者らの実験系では直接取り組むことができない。
「CR2突然変異体」は、正常レベルの基底の二量体化およびリガンド依存性二量体化を有した。本発明者らは、CR1/CR2連結が弱化された突然変異体EGFRについてのダイマーの割合の有意な増加を検出せず、これは、突然変異が未連結を導く場合でさえ、BSで架橋可能なダイマー複合体の形成が、リガンドの結合に依存することを示唆する。E578のCへの突然変異は未対合システインを導入し、概念的にはジスルフィド結合ダイマーの形成に導くことができた。本発明者らは、異なるスペーサー−アームの長さ(BS;11.3Åおよびスルホ−EGS、16.1Å)の架橋剤を用い、ならびに還元条件下および天然条件下で非架橋ダイマーを分析して(データは示さず)、この可能性を調べた:本発明者らは、E578C突然変異体の自然発生二量体化の証拠を見出さず、Cys578は鎖間ジスルフィド結合の形成に導かないと結論する。
(リガンド依存性チロシンリン酸化およびMAPKシグナル伝達)
CR1−ループ/CR2相互作用はEGFRのキナーゼ不活性な立体配座を安定させ、自然発生な活性化を妨げるようである(9)。本発明者らは、突然変異体受容体を発現する細胞において、基底時およびEGF依存性のチロシンリン酸化、ならびにMAPK活性化をモニターした。結果を図13に示す。リガンド結合は、ほとんどの突然変異体受容体分子のホスホチロシン含有量におけるいくらかの増加を引き起こす;しかしながら、個々の突然変異体の特異的活性化は有意に変化した(チロシンリン酸化 対 受容体タンパク質の比率によって、およびMAPKの特異的活性化によって測定した:図13B、および13C)。全てのCR2突然変異体は、リガンドによって、野生型受容体と同様なレベルに活性化される。低い親和性の部位のみを有し、よって、連結された(不活性な)形態で優勢に存在するE578Cでさえ、高濃度のEGF(16nM)において完全に刺激され得る。本発明者らは、細胞を漸増性濃度のEGF(30pM〜100nM)に細胞を暴露し、チロシンリン酸化およびMAPK活性化の誘導をモニターすることによって、リガンド結合親和性およびCR2突然変異体受容体のシグナル伝達の間の相関をテストした(図14)。E578C−EGFR発現細胞において、EGFRおよびシグナルトランスジューサーShcおよびMAPKのリン酸化のピークは、野生型と比較して有意により高い濃度のEGFにおいてのみ達成された。対照的に、V583D−EGFR発現細胞およびD563H−EGFR発現細胞についての受容体活性化は、野生型EGFRよりもより低い濃度のEGFにおいて起こった(図14B、14C)。これらの結果は、CR2ドメインにおける突然変異が結合親和性に影響するが、受容体機能を惹起する後発事象に影響しないという考えを支持する。飽和量のEGFにおいてさえ、全てのTyr246突然変異は受容体チロシンリン酸化およびMAPK活性化を著しく低下させ(図13):増殖性のCR1/CR1ループ相互作用を形成する能力は、キナーゼ活性化のために決定的である。CR1ループまたはそのドッキング領域への他の点突然変異(Y251A、F263A)は、EGFRシグナル伝達に対して最小効果を有したように見える(5)。しかしながら、CR1ループおよびそのドッキング部位が共に破壊される場合(例えば、Y251A/R285S二重突然変異体:(5))、シグナル伝達は完全に破壊される。これらの著者は、リガンド結合のレベルの低下も報告しており、これは、二量体化ドッキング部位の結合が、L1ドメインおよびL2ドメインがEGFに応答して再度配向する能力に影響し得ることを示唆する。
EGFR突然変異体からの分裂促進的シグナル伝達。最終的に、EGFRの機能性は、生物学的応答を刺激するその能力によって測定される。これらの応答は、リガンド結合の親和性、キナーゼ活性化の強度、キナーゼ活性化の大きさ、シグナル伝達の持続時間を含めた、多くのパラメーターに依存する。本発明者らは、[H]チミジン取り込みアッセイを用い、漸増性濃度のEGFへの暴露に続いて、「デノボ」DNA合成を誘導するそれらの能力について、EGFR突然変異体をテストした。結果を図15および表4に示す。まず、細胞系のいずれもリガンド非依存性[H]チミジン取り込みを呈しなかった:CR1ループおよびCR2の間の連結体が弱化された場合においてさえ、分裂促進シグナル伝達は受容体の活性化のためにEGF結合を必要とすることは明らかである。一般的には、EGFについてのEC50は高親和性な受容体の占有率と相関するが(表3および表4参照)、E578Cの場合には、最大[H]チミジン取込みの半分のために必要とされるEGFの濃度と、受容体の最大占有の半分のために必要とされるEGFの濃度との間には、10倍の差がある。本発明者らは、野生型EGFRを発現するBaF/3細胞系において、細胞当たり500RほどがEGFに対する最大応答の半分を達成するのに活性化されなければならないことを確立し(方法については、Walkerら、1998参照):この閾値は、野生型EGFRについては約15pMのEGFで到達し、E578C細胞については約80pMのEGFで到達する(表4)。(細胞当たりの受容体の合計数および各EGF濃度における占有割合に基づく)同一計算を用い、本発明者らは、Y246W突然変異体が約60pMのEGF濃度において最大応答の半分に到達し、Y246D突然変異体は、約400pMの濃度において到達すると見積もった。分裂促進アッセイにおけるこれらの突然変異体のEGFに対する応答の完全な欠如は、リガンド結合親和性の単純な喪失よりはむしろ増殖性シグナル伝達ユニットを形成するこれらのEGFRの能力の無いことを反映する。
Figure 2008501308
野生型EGFRまたは突然変異体EGFRを発現するBaF/3細胞を、実験手法に詳細に記載されたように、漸増性濃度のEGF(0〜10ng/ml、0〜1.7nM)に暴露し、DNA合成を[H]チミジン取込みによって測定した。
a)1nM EGFにおける野生型EGFR−BaF/3細胞の応答は最大として取られた。b)EC50は図7に示される用量応答曲線から決定された。c)細胞当たり500Rを占有するのに必要なEGFの濃度は、受容体占有率 対 EGF濃度のプロットを用いてScatchard分析から得られたKおよびBmaxデータから計算した。EGFの各濃度における占有されたEGFRの数は、式:
([L]/[L]+Kdl)×R+([L]/[L]+Kd2)×R
(式中、[L]=EGF濃度;Kd1およびKd2=平衡結合定数;RおよびR=高親和性受容体および低親和性受容体の数)
から計算した。
データは、少なくとも3つの別々の実験の代表である。
EGFR立体配座の抗体モニタリング。示された結果は、これまで、CR1ループおよびCR2ドメインの間の相互作用がEGFRを低親和性に連結し(キナーゼ不活性状態(9))、そしてCR1/CR1ループ相互作用がEGFRのリガンド誘導性キナーゼ活性化に必要であるモデルを支持する(4;5)。「中間」状態もまた(Fergusonらによって提案されているとおり(9))存在するかどうか、およびその特性は何であり得るかは依然として不明確である。本発明者らは、受容体のこの形態が未連結、より高い親和性、ダイマーおよびキナーゼ不活性であると予測する。リガンドの不存在において、正しいCR1−CR1相互作用は形成されないようであるか、あるいはキナーゼ活性化を行うには余りにも一時的である。
モノクローナル抗体528(19)は、ヒトEGF受容体へのEGF結合についての競合的抗体として用いられてきた。mAb528についての正確なエピトープは依然としてマッピングされていないが、mAb528はΔ2−7EGFR(L1およびほとんどのCR1ドメインを欠く:(40))と反応し、野生型EGFRへのリガンド結合を妨害し、従って、本発明者らは、このエピトープがL2ドメインに存在すると推定する。抗体はヒトEGFRに対して特異的であって、正しくフォールディングされた受容体のみを認識する(すなわち、それはウェスタンブロットにおいてhEGFRの還元された形態と反応しない)。この実験で用いた全ての突然変異体とmAb528との反応性は損なわれず、mAb528を用いるFACS分析、または125I−EGFを用いるScatchard分析によって測定された受容体の数は通常合致する。先に述べたように、L245C/E578C突然変異体は、十分にmAb528と反応性であるが、予測された数の低親和性EGF結合部位の10%のみを有する。
モノクローナル抗体806はΔ2−7切断形EGFRならびに受容体を過剰発現する細胞における野生型EGFRの部分集団を認識する(23;30)。mAb806は、Δ2−7EGFRを発現する神経膠芽腫異種移植片または野生型EGFRを過剰発現する癌腫において抗腫瘍剤として活性である(22;41;42)。この抗体は、受容体の活性化形態を選択的に認識すると仮定された(43)。EGFRの単離されたECDについての研究は、mAb806がCR2ドメインを欠く、ECDの表面固定化されるC末端切断形態(aa1−501)と反応するが、N末端切断形態(aa303−621)とは反応しないことを示した。これは、このエピトープがCR1ドメインのC末端部分に向かって位置することを示唆する(Johnsら、原稿投稿中)。mAb806は、細胞当たり約40,000個の野生型EGFRを発現するBaF/3細胞の表面と弱く反応するが、しかしながら(L1ドメインおよびほとんどのCR1ドメインを欠く)同等数のΔ2−7受容体を発現するBaF/3細胞はmAb806に強く結合する(図16)。興味深いことには、ΔCR1ループ突然変異体(これは、aa244−259を欠く:(4))は強いmAb806反応性を有する。mAb528が細胞表面の正しくフォールディングされたEGFRを全て認識できると仮定し、FACS分析を用い、mAb806 対 mAb528の中央値の蛍光の比率を計算することによって、mAb806に反応性のEGFRの割合を計算することが可能である:直接的比較は可能である。なぜならば、本発明者らは、飽和濃度において双方の抗体を用い、結合は同一の二次抗体(Alexa488結合化抗マウスIg)によって検出され、FACS検出は使用範囲において線形であるからである。この分析を用い、mAb806と反応性の受容体の割合は、野生型EGFRについての6〜8%から、Δ2−7およびΔCR1ループEGFRについての70〜90%まで変化する(0.06〜0.08および0.069〜0.98のmAb528結合に対するmAb806結合の比率:図14、データは示さず)。一緒に考え併せると、単離されたECDおよび細胞受容体についてのデータは、エピトープがCR1ドメインのほとんどのC末端部分に存在し、野生型受容体の本来の立体配座によってマスクされ得るが、CR1ループの欠失によって露出され得ることを示唆する。事実、EGFR−ECDの結晶構造へのmAb806エピトープのマッピングは、それがCR1ループのC末端からすぐのところに位置することを示し(図9B、9C参照):従って、mAb806エピトープは、背中合わせの二量体形態におけるCR1/CR1接合面に埋もれている可能性がある。また、mAb806エピトープは、受容体の連結形態において、部分的に埋もれている。推定の「中間体」においてのみ、CR1ループ/CR2またはCR1/CR1ループ相互作用によってそれがマスクされない場合の、受容体の未連結形態は、利用できる可能性のあるmAb806エピトープである。この抗体は、従って、連結されたEGFR複合体、未連結のEGFR複合体、および十分に活性なEGFR複合体を分析するための感受性のある立体配座プローブを提供し得る。この仮説を検定するために、本発明者らは、mAb806またはEGFとのプレインキュベーションの前および後における、野生型EGFRを発現する細胞とmAb806との反応性をモニターした。mAb806が受容体の中間体形態を認識し、中間体形態が連結された(CR1ループ/CR2)およびCR1/CR1未連結状態と動的な平衡にあり、抗体とのプレインキュベーションが平衡をこの種に向けてシフトするはずであり、よって、反応性を増大させるはずである。CR1/CR1接合面の形成を支持することによって、EGFとのインキュベーションは感受性を減少させるはずである。野生型EGFR/Baf細胞を、37℃(系のエネルギーを最大化させるため)において内部移行阻害剤フェニルアルシンオキサイド(29)の存在下でmAb806に暴露させて、または4℃でEGFに暴露させて、キナーゼ活性状態の形成を可能とするが、内部移行を完全に排除した。mAb806処理は(125I−EGF結合によって測定されるように)EGFRの合計数を変化させず、双方の条件下で、95%を超えるEGFRが、細胞表面に存在した(データは示さず)。mAb806、EGFまたはコントロール緩衝液での予備処理後に、mAb528、mAb806またはコントロール抗体との野生型EGFR反応性を、FACS分析によって測定した。表5は、mAb806またはEGFでの予備処理によって引き起こされた中央値の蛍光チャネルの変化、ならびにmAb806反応性とmAb528反応性との間の比率を示す。データを提示するこの方法を選択して、絶対中央蛍光値(これは、レーザー電流および検出器の設定の小さな変化に対して非常に感受性である)において、実験の間の変動を克服し、実験データのプーリングを可能とした。10ug/mlのmAb806との37℃における1時間の細胞のプレインキュベーションは、mAb528の反応性に影響することなくmAb806との反応性を2倍より大きくし;従って、2つの抗体の間の比率は有意に上昇した。同一条件下でのmAb528とのプレインキュベーションは、引き続いてのmAb528の結合にもmAb806の結合にも効果を有しなかった(データは示さず)。別の実験において、本発明者らは、第二のインキュベーションの間のmAb806の濃度の増加(10μg/mlから50μg/ml)または暴露の時間の増加(20分から1時間)は、無視できる効果を有した(データは示さず)ため、増強されたmAb806結合は飽和の欠如に起因しないことを証明した。mAb806とのプレインキュベーションの効果は、時間依存性および温度依存性であり、37℃でのプレインキュベーションから3時間後に最大に到達した(データは示さず)。これらの結果は、mAb806による一時的な未連結形態のEGFR受容体のトラッピングに適合する。逆に、EGFにおける細胞のプレインキュベーションは、mAb806との反応性を劇的に減少させる。これらの条件下での受容体の内部移行化は5%未満であり、よって、mAb806結合の減少に有意に寄与することができない。これらの実験において、立体障害またはエピトープのマスキングいずれかを介するEGFの結合後に、mAb528との反応性は約20%低下した。考え併わせると、これらの結果は、未連結の未結合形態の受容体についての、mAb806による選択的認識を指摘する。
Figure 2008501308
野生型EGFRを発現するBaF/3細胞を、対照緩衝液、mAb806(37℃における1時間の10μg/mL:(a))、またはEGF(4℃における15分間の10ng/mL(b))と、プレインキュベートした。次いで、実験手法に記載したように、細胞を(共に10μg/mLにおいて)mAb806またはmAb528のいずれかでプローブし、続いて、Alex488標識抗マウスIgでプローブした。細胞をFACScanで分析し、CellQuestにおける統計学的分析プログラムを用いてメジアン蛍光値を得た。モックプレインキュベーション後におけるメジアン蛍光値はmAb528については112+/−21、mAb806については7+/−1.9、そしてコントロールの(クラスがマッチした)無関係な抗体については0.5+/−0.3であった。ネガティブコントロール値は全てのデータから差し引いた。結果を、モック試料と比較したテスト試料についてのメジアン蛍光のプラスまたはマイナスへのパーセント変化として表す。mAb806およびmAb528についてのメジアン蛍光の間の比率も提示される。データは3つの別々の実験の平均および標準誤差である。
CR1−ループまたはCR2突然変異体へのmAb806結合の分析(表4)は、以下:mAb806反応性は、弱化されたCR1−ループ/CR2相互作用を持つ突然変異体(V538BおよびD563H)における野生型EGFRの少なくとも2倍であり、CR1/CR1相互作用を形成できない受容体(Y246突然変異体)についての野生型EGFRよりも3倍程度高かったこと、を支持する。EGFとのインキュベーションは、2つのクラスの突然変異体に対して反対の効果を有し:EGFは活性ダイマーを形成できる受容体(野生型およびCR2突然変異体の全て)のmAb806との反応性を低下させ、他方、mAb806との反応性は、CR1−ループ突然変異体について変化しないか、または増強された。これらの突然変異体に対するEGFの効果は、CR1/CR1ループ相互作用を形成できないことに伴う、弱いCR1−ループ/CR2ループ相互作用のEGF媒介性非連結と合致する。EGFによるmAb806反応性の変調は、チロシンリン酸化およびDNA取り込みによって測定された場合(図15および表6参照)、EGFRキナーゼを活性化する突然変異体EGFRの能力、またはそれができないことによく相関する。本発明者らのデータは、mAb806が、未だバックツーバック(back−to−back)ダイマー立体配座に配置されるべき、EGFRの非連結形態を優先的に認識するモデルと合致する。従って、mAb806をツールとして用いて、リガンド結合の際の受容体内の立体配座変化をモニターすることができる。EGFRの一過性、非連結性および非結合性の立体配座は、いずれの時点においても、全EGFRの小さな割合が、文献に報告されているように、受容体を過剰発現する細胞に検出可能な量で存在する(22;23;30)。また、我々のデータは、腫瘍形成を抑制するmAb806の能力を説明するのを助けることもできる:Δ2−7EGFRを発現する細胞において、抗体の結合は受容体複合体キナーゼの活性立体配座の形成を立体的に妨げ、他方、野生型EGFRを過剰発現する細胞においては、それは非連結EGFR形態を捕獲し、CR1−ループ間の相互作用およびその後の活性化を妨げることができる。この仮説は、mAb806での処理後の、Δ2−7EGFRのキナーゼ活性化における、報告された減少と合致する(42)。
Figure 2008501308
野生型または突然変異体EGFRを発現するBaF/3細胞を、表3に記載されたように処理した。メジアン蛍光値およびmAb806およびmAb528反応性の間の比率を、表3に記載したように計算した。別々の実験の各々における緩衝液処理された野生型EGFRについてのmAb806/mAb528の比率を1とし、全ての他の比率を野生型EGFR値で割って、突然変異体間および別々の実験間の直接的比較を可能とした。データは、少なくとも4つの別々の実験の平均および標準誤差である。
(結論)
全長の細胞EGFRにおける受容体内および受容体間連結の役割を試験するために設計された突然変異(4;6;9)は、以下を示す。1)高親和性EGF結合部位の数は、CR1−ループ/CR2連結によって強く影響され、恐らくは、L1およびL2ドメインの相対的な配置を反映する。CR1/CR2連結の弱化は、高親和性部位の割合を増大させ、CR1−ループ/CR2連結の強化は、高親和性結合を根絶する(表3)。全長細胞受容体と単離されたECDとの間のリガンド結合親和性における有意な差にもかかわらず、CR1およびCR2相互作用は、2つの分子において同一の相対的変化を起こす(Ferguson et al.,(9)および本発明者らのデータ参照)。EGFRの近接膜またはキナーゼドメインの修飾に寄与する細胞内成分によるEGFR親和性の変調(36;44−46)は、従って、連結状態と非連結状態の間の改変されたバランスを反映するはずである。EGFRの細胞内部分の修飾がどのようにして細胞外ドメインの立体配座の改変に導くかは明らかでなく、これは、将来の興味深い挑戦であろう。2)EGFRのリガンド独立性二量体化(またはオリゴマー化)は、CR1−ループまたはCR2ドメインにおける突然変異によって有意には影響されない。CR1−ループ/CR2連結の弱化は構成的な二量体化を導かないし、連結の強化がそれを減少させもしない(図12):従って、CR1−ループが(表4中のmAb806結果によって示唆されるように)受容体間相互作用に利用できる場合でさえ、(ホスホチロシン含有量によって間接的に評価された)生産的二量体化および活性化は、リガンド結合なしでは起こらない。しかしながら、リガンド媒介性EGFR二量体化および活性化はCR1ループにおける突然変異によって影響されない。これらの結果は、構成的およびリガンド誘導ダイマーは同等ではなく、リガンド結合は、受容体サブユニットおよび結果としてのキナーゼ活性化の正しい配置に厳格に必要であることを示す(16)。CR1−ループにおけるTyr246は、活性化された複合体の形成のために非常に重要なようである。Tyr246の全ての突然変異が、連結された立体配座における受容体をロックするのは名目上可能ではあったが、立体配座特異的mAb806を用いて得られた本発明者らの結果(表6)は、Tyr246突然変異体がダイマー複合体を正しく配位させることができないことを代わりに示した。3)本発明者らは、抗体であるmAb806(こでは、EGFRの非連結形態を選択的に認識するが、不活性形態を認識しないようである)を用いて、EGFRの立体配座の有意な変化をモニターすることができた。CR1/CR2相互作用の破壊は、mAb806反応性を増加させ、他方、リガンド結合はそれを減少させる(表6)。興味深いことには、D563HおよびV583D突然変異ならびにY246突然変異は共に、CR1/CR2相互作用を弱化させ、mAb806との高い反応性に導く。さらに、Tyr246の突然変異を有する突然変異体は、(トリトファンおよびアスパラギン酸に対する)CR1/CR1相互作用を最も破壊するようであり、EGF結合後のmAb806反応性の有意な増加を示し、このことにより、活性化されたCR1/CR1配位が妥協される(compromise)ことを確認する。4)活性ダイマーを形成する能力が維持される場合は常に、EGFに対する応答は、親和性および受容体数の間のバランスによってのみ決定される。本発明者らは、リガンドを活性化可能なEGFRを発現するBaF/3細胞において、500個ほどの受容体/細胞が最大の半分の(half−maximal)DNA合成を刺激するのに占有される必要があり(表4)、そしてこれは、ShcおよびMAPKのような下流シグナル伝達エフェクターの閾値刺激に相関する(図13)ことを示した。従って、EGFRリン酸化それ自体は、受容体の占有(従って、リガンド依存性二量体化および活性化)に伴って継続的に増加するが、シグナル伝達経路はずっと低いリガンド濃度において十分に活性化され;実際に、マイトジェンの刺激がEGFの複数濃度において起こり、ここで、ShcおよびMAPKのリン酸化は容易に検出可能であるが、EGFRリン酸化は容易には検出可能ではない。
EGFRは複数の状態で存在することができ、各々は異なるリガンド結合特徴およびリガンドによる活性化についての潜在能力を持ち:特に、どれくらい少ない受容体が下流シグナル伝達カスケードを十分に誘発するために活性化される必要があるのかを考慮すると、これらの形態間の平衡における些細なシフトが、EGFR生物学についての有意な提示を有することができることが明らかになりつつある。本発明者らは、図17において、EGFRの代替の立体配座、および受容体活性化におけるそれらの役割についての、本発明者らの理解をまとめた。
(参考文献)
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(実施例3)
(ランダム突然変異誘発および酵母表面ディスプレイによる抗上皮増殖因子受容体抗体の詳細なエピトープマッピング)
上皮増殖因子受容体(EGFR)に対する治療的に関連するモノクローナル抗体(mAb)の詳細なエピトープマッピングを、ランダム突然変異誘発および酵母表面ディスプレイによって達成した。EGFR外部ドメイン断片(残基273−621)の単一点突然変異体が酵母表面にディスプレイされたライブラリーをランダム突然変異誘発によって構築し、そのライブラリーを目的のmAbに対する結合を減少させることについて分類した。EGFR突然変異体がmAbへの結合の喪失を示す場合、これは、突然変異した残基が潜在的に接触残基であることを示唆する。この方法を用い、本発明者らは、EGFRへのmAb806の結合でエネルギー的に重要な鍵となる残基を同定した。mAb806エピトープは、Cys287−Cys302からなるループの一表面に突き止められ、ジスルフィド結合および2つの塩橋によって連結される。本明細書中で同定されるように、mAb806エピトープは自己抑制性EGFRモノマー立体配座において十分に接近可能ではなく、これは、EGFRが自己抑制性モノマーから拡大されたモノマーへ変化するように、EGFRの移行型形態へのmAb806結合に一致する。
(緒言)
エピトープマッピングは、抗体−抗原相互作用を媒介することに関与する抗原残基の決定である。エピトープマッピングの以前の方法は、その後の抗体結合分析と共に、バクテリオファージ(1)、Escherichia coli(2)、または酵母(3)の表面でのペプチド断片の発現を伴っていた。抗体結合のマッピングもまたSPOT合成を通じて達成され、ここで、合成ペプチドがセルロース膜にスポットされ、抗体結合についてアッセイされる(4)。ファージディスプレイおよびSPOT技術は、ErbB受容体ファミリーメンバーに対する種々の抗体のエピトープを決定するのに利用されてきた(5,6,7)。しかしながら、ペプチドベースの方法は連続した非立体配座エピトープを同定できるに過ぎない。不連続エピトープを同定するために、H/D−交換質量分析法を用いて、エピトープが不連続なタンパク質分解断片に限局されている(8)。
タンパク質−タンパク質相互作用を分析するのに有用なツールはアラニンスキャニングであり、これは、目的の残基をアラニンに突然変異させ、その後の結合における変化を測定する方法である(9)。これは、可溶性タンパク質の発現、および適切な折畳みを確実にするための各突然変異体の特徴づけを必要とする。ショットガンスキャニング突然変異誘発は、ファージディスプレイライブラリーを用いるアラニンスキャニングのハイスループットな方法であり、パラトープマッピングおよびタンパク質−タンパク質相互作用をマッピングするために用いられてきた(10,11)。しかしながら、この方法の非真核生物発現系は、25個のジスルフィド結合および10個のN−結合グリコシル化部位を含有する、上皮増殖因子受容体(EGFR)外部ドメインのような複雑な真核生物糖タンパク質のエピトープマッピングに従わない可能性がある(12)。
EGFRは、細胞の増殖および分化の調節に関与する170kDaの膜貫通糖タンパク質および受容体チロシンキナーゼである(13,14)。EGFR(ErbB1,HER1)は、ErbB2(HER2,Neu)、ErbB3(HER3)、およびErbB4(HER4)も含むErbB受容体ファミリーのメンバーである。上皮増殖因子(EGF)およびトランスフォーミング増殖因子−α(TGF−α)を含む多数のリガンドが、細胞外領域のドメインIおよびIIIに結合して、二量体化を通じてEGFRを活性化する。細胞外領域のドメインIIは二量体化接触の媒介に関与し、また、モノマー状態におけるドメインIVとの自己抑制性接触を形成する((15)でレビューされた構造)。EGFR過剰発現は、頭部および頸部、乳房、膀胱、前立腺、腎臓、および非小細胞肺癌を含む広範な悪性疾患で観察されてきた(16)。この過剰発現は、しばしば、低下した生存率および腫瘍再発に相関し、それゆえ、患者の予後指標としての役割を果たす(17)。加えて、アミノ酸残基6−273が欠失され、かつ新規なグリシンが接合部に挿入される、EGFR vIIIとして公知のEGFRの突然変異体形態は、神経膠芽細胞腫多形のような癌で観察されてきた(18)。従って、EGFRは癌治療のための重要な標的として出現し、EGFR細胞外ドメインに結合する種々の抗体がその機能を阻害するために開発されてきた。
MAb806は前臨床開発段階であり、野生型EGFRよりもvIIIおよび増幅されたEGFRを優先的に認識することが示されている(19;22)。mAb806は、vIIIまたは増幅されたEGFRのいずれかを発現する腫瘍異種移植片の成長を阻害することが示されている(23)。
最近、J.R.Cochranらは、EGFRの酵母表面にディスプレイされた断片を用いるドメインレベルエピトープマッピングのための方法を報告した(27)。大きな断片(いくらかはEGFRの複数ドメインを含む)は酵母の表面で発現し、適切に折り畳まれる。これらの断片は、連続および不連続エピトープの両方についてのEGFRの特定のドメインへの抗体結合を突き止めるのに用いられた。酵母表面ディスプレイは、それにより、目的のタンパク質が酵母Aga2タンパク質への融合として酵母の表面に発現される方法である。真核生物宿主は、酵母分泌経路を介するタンパク質のトランジットがもたらし、これは、十分なジスルフィド異性化および小胞体質制御を可能とする(28)。酵母表面ディスプレイは、単鎖抗体断片を親和性成熟させ(29,30)、タンパク質安定性および発現を操作し(31,32)、種々の抗原およびハプテンに対してスクリーニングするための非免疫ヒト抗体ライブラリーをディスプレイするのに用いられてきた(33)。
最近の研究において、本発明者らは、ドメインレベルエピトープマッピングから発展させ、抗体−抗原結合相互作用のより詳細な残基レベルの分解能について酵母表面ディスプレイを利用する。また、以前の研究は、mAb806が、EGFR残基273−621につきとめられたエピトープに結合することを示した(34)。この断片で出発し、EGFR273−621の単一点突然変異体の酵母表面でディスプレイされたライブラリーを、ランダム突然変異誘発を用いて作成した。そのライブラリーを、mAb806への結合の喪失について分類し、それらのクローンを配列決定し、分析した。EGFR突然変異体がmAb806への結合の喪失をディスプレイする場合、これは、抗原−抗体接触が突然変異において失われたことを示唆する。従って、突然変異した残基が恐らくは接触残基である。このドメイン方法を用い、本発明者らは、治療的に関連するmAb806のEGFRへの結合についてエネルギー的に重要な鍵となる残基を同定した。
(結果)
(エピトープマッピングライブラリーの構築および分類)
EGFR断片273−621の低突然変異率エラープローンPCRランダム突然変異誘発を用いて、優れたエピトープマッピングライブラリーを構築した。この断片は、酵母表面における成功したEGFR突然変異体ディスプレイの検出用のC末端c−mycタグを含有した。最初のライブラリーのサイズは5×10クローンであり、100の未選択クローンの配列決定は、72%が野生型EGFRであり、17%が単一アミノ酸突然変異体であり、そして11%が複数突然変異またはフレームシフトであることを示した。これは関連ライブラリーサイズ8.5×10を与え、これは、この349残基断片の単一アミノ酸突然変異体の最大理論的多様性よりも大きいオーダー(6.6×10)であり、1.0×10の可能な単一ヌクレオチド突然変異よりもほぼ2倍のオーダーである。このライブラリーサイズを考えると、単一ヌクレオチド突然変異による遺伝コードでアクセスできる各アミノ酸はライブラリーにおいて十分に表されるはずである。このライブラリーを酵母に形質転換し、酵母Aga2タンパク質への融合として細胞表面にEGFR突然変異体をディスプレイするように誘導した。ライブラリーを高い濃度(野生型の見掛けの解離定数よりも少なくとも大きいオーダー)のmAbで標識し、野生型結合と親和性の喪失との間の識別を可能とする。細胞をニワトリ抗c−myc IgYで標識して、EGFR 273−621発現を検出した。酵母の表面にディスプレイされたが、mAbへの親和性の喪失を示した突然変異体を単離した(図18A−図18B)。著しく誤って折り畳まれた突然変異体は分泌質制御装置によって認識され保持されると予測され(31;35)、その結果、有意に低下されたこれらの突然変異体の細胞表面c−myc免疫蛍光をもたらした。十分な集団の富化が観察された後、単一EGFR突然変異体クローンを配列決定し、特徴付けた。
(mAb806エピトープの同定)
mAb806のエピトープマッピングのために、ライブラリーを、分類1では10nM 806で分類し、分類2および3では75nM 806で分類し、個々のクローンを分類2および3の後に配列決定する。100の配列決定されたクローンのうち、ほぼ20%が複数の突然変異を含み、その後の分析から除外された。mAb806への結合の喪失についてライブラリーから単離された単一突然変異体を、表7の左欄に示す。全ての突然変異は、以前に測定されているように(34)、システイン287と302との間のジスルフィド結合ループに突き止められる。しかしながら、残基レベルの分解能およびmAb806エピトープについてのさらなる情報が、本発明の方法を用いて得られている。mAb806への結合の喪失を伴う突然変異体は、75nM 806における野生型(図18D)と比較した場合、結合の完全または部分的のいずれかの喪失を示す(図18B−図18C)。突然変異体を75nM 806における結合の程度に従ってスコア付けし、++は野生型結合を示し、+は結合の部分的喪失、そして結合の完全な喪失を示す(表7、左欄)。優れたエピトープマッピングライブラリーからの結果を確認するために、部位特異的突然変異誘発(SDM)を介するアラニンスキャニングを全ループ287−302で行った(表7、右欄)。アラニンスキャニングによる結合の喪失を持つ全ての部位(287、293、298、および302)は、ライブラリーから単離された突然変異体に対応する。逆に、アラニン以外の残基の置換の際にのみmAb結合の喪失を持つ部位(D297Y、R300C、R300P、およびK301E)は、アラニンスキャニングによって同定可能ではなく、未だ明瞭ではないが、mAb 806エピトープのエネルギー的に重要な成分を形成する。平均6〜7のアミノ酸置換が単一ヌクレオチド突然変異誘発によって利用可能であるため、より大きな範囲の物理化学的多様性が、アラニンスキャニングと比較してサンプリングできる。しかしながら、75nMにおける低下したmAb 806標識を除いて、未変化c−myc免疫蛍光標識強度を持つ突然変異体は、抗体に対する低下した親和性を有すると推定することができる。75nMにおけるmAb806標識を特定の親和定数と定量的に相関させるために、酵母の表面の力価測定を3つのEGFR断片で行って、野生型273−621(++)、C287R(+)、およびE293K(−)についてmAb806の見掛けの解離定数を測定した。結果を図19に示す。酵母表面にディスプレイされた野生型273−621についてのmAb806の解離定数は2.13nM(1.83nM〜2.50nMの68%信頼区間)であり、これは、EGFR vIIIを発現する細胞へのmAb 806結合のScatchard分析によって見出された親和性と一致する(19)。C287R置換はこの解離定数を127nMまで上昇させ(103nM〜160nMの68%信頼区間)、これは、野生型と比較した場合に+2.4kcal/molのΔΔG値を与え、アラニンスキャニング項目においては、結合の中間的な喪失である(36)。E293K置換は、+5.7kcal/molのΔΔGに対応する少なくとも30mMのKd値に導き、これは、結合に対する「ホットスポット」を示す。前記ΔΔG値は、これらの突然変異の相対的エネルギー的重要性を用いて、75nM 806におけるそれらの結合スコア(++、+、または−)に基づいて他の突然変異体のエネルギー的重要性を大まかに見積もることができる。
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(mAb 806エピトープは連結される)
mAb 806結合についてエネルギー的に重要なものとして同定された残基を図20に示す。これらの残基は、ループ287−302の1つの面でクラスターを形成し、これは、これらの残基がmAb 806エピトープであることを示す。興味深いことには、Val299はこれらの残基の中央に位置するが、ライブラリーまたはアラニンスキャンにおいて同定されなかった。それゆえ、V299KおよびV299D部位特異的突然変異体を作成し、エピトープは影響無くリシン残基を収容できるが、アスパラギン酸置換は検出可能な結合を除去する(表7)。これはさらに、mAb 806がループ287−302のこの面に接触するようであることを示す。mAb 806は熱およびSDS変性EGFRに結合し(34)、これは直線状エピトープを意味し;しかしながら、そのエピトープはライブラリー分析によって示されるように配列中で全部が連続的ではない。これは、Glu293の側鎖が他の推定接触面に対してループの一方側から突出することを示す、ループ287−302の構造の調査によって説明される。mAb 806エピトープはジスルフィド結合および2つの塩橋、Glu293−Arg300およびAsp297−Lys301によって連結される(図20C)。これらの連結に関与する全ての6つの残基を、mAb 806への結合の喪失のためにライブラリーから単離し、エピトープの連結された性質の重要性を強調する。位置287におけるシステインは、結合の中間的喪失をもたらす広範な置換を許容し(表7)、これは、エピトープに対するそのエネルギー的寄与が、抗体に接触することよりもループを連結することから生じ得ることを示す。しかしながら、位置302におけるシステインは接触残基である可能性が高く、なぜならば、そのシステインは芳香族性質を持つより大きな残基への置換を許容するのみだからである。自己抑制性EGFRモノマー構造の文脈におけるmAb 806エピトープを図20Dに示す。抗体結合部位は、この立体配座におけるエピトープから部分的にブロックされるようであり、これは、mAb 806が可溶性EGFRに結合しないが、自己抑制性の立体配座から乱された「非連結」EGFR突然変異体に結合するという観察と一致する(34)。
(考察)
本研究は、酵母細胞表面でディスプレイされたランダムに突然変異誘発された抗原のスクリーニングを用いる、優れたエピトープマッピングの新規な方法を記載する。この方法は、潜在的な接触残基に関する事前の知識なしに複雑な真核生物タンパク質への抗体結合の非直線状エピトープを同定することができる。これらは、ペプチドエピトープマッピング法およびアラニンスキャニングに対するいくつかの利点がある。酵母表面ディスプレイプラットフォームは、各個々の突然変異体を可溶性発現し、精製する必要性を有さずにタンパク質発現を容易にする。突然変異体の特徴付けおよび力価測定もまた酵母の表面で効果的に行われる。この方法は、そのエピトープが三次構造依存性でないmAb 806についてのエピトープを明確に同定することができた。このため、mAb 806への結合の喪失のためのライブラリーから単離された全ての単一突然変異は、単一の可能な抗体接触表面につきとめられた。
このエピトープマッピング方法を用いて、mAb 806は、接触残基として作用するAsp297−Cys302、Glu293、および恐らくはCys287を持つ連結されたジスルフィドループ287−302の1つの面に突き止められた。そのような構造的モチーフは、以前、システインヌースとして記載され、これは、結合特異性において重要なジスルフィド連結された表面露出ループである(37)。システインヌースは、ウシ呼吸器系シンシチウムウイルスのプロテインGおよび麻疹ウイルスヘマグルチニンタンパク質を含めた種々のタンパク質についての主な抗原性エピトープとしても同定されている(38;39)。これは、ジスルフィド連結ループが好都合な抗原性構造であることを示唆する;それは既に連結されているので、抗原結合の際により小さなエントロピーコストがある。それゆえ、EGFRにおける多数の他のジスルフィドループは抗体結合のための潜在的エピトープ標的である。mAb 806は、ドメインII二量体化アームを欠く細胞でのEGFRへの増大した結合をディスプレイすることが示されている。従って、mAb 806は、それが自己抑制性の立体配座から延長されたモノマー立体配座に変化するので受容体の移行性形態に結合すると仮定された(先の実施例および(34)参照)。mAb 806結合の際に、EGFRモノマーはもはや二量体化し、受容体を活性化できないと考えられ、これは、その抗腫瘍活性を説明する。ここに示されたmAb 806エピトープはこの仮説と一致する。そのエピトープは、隣接ドメインII残基によって不明瞭とされた残基Glu293およびCys302を持つ、自己抑制性のモノマー構造において部分的に接近可能であるに過ぎない(図19D)。これらの残基は、立体配座遷移に際して暴露されるようになり得、mAb 806の結合を可能にする。1つのEGFRモノマーのmAb 806エピトープは、EGFRダイマー構造における他のモノマーに隣接しており、このエピトープへの抗体結合は立体的にEGFR二量体化を妨げることができた。
(材料および方法)
(エピトープマッピングライブラリーの構築および発現)
Stratagene GeneMorph(登録商標)ランダム突然変異誘発キットを用いてエピトープマッピングライブラリーを構築して、低突然変異誘発率を得た。ライブラリー構築で用いた鋳型は、酵母ディスプレイのために挿入された、ジスルフィド誤対合を妨げるためのC283A突然変異を持つ、EGFR断片273−621を含有するpCT302骨格であった(27)。Qiagen Qiaquickゲル抽出キットを用い、PCR産物をゲル精製し、抽出した。ライブラリーを、Bio−Rad(Richmond,CA)遺伝子Pulserトランスフェクション装置を用いるエレクトロポレーション(40)および相同組換え(41)によってSaccharomyces Cerevisiae株EBY100(28)に形質転換した。最終的なライブラリーは、ZymoprepTM(Zymo Research)を用いるプラスミド回収および100ライブラリークローンの配列決定(MIT Biopolymers Laboratory)によって示されるように、EGFR断片に対するアミノ酸変化の大まかなポアソン分布を含んだ。酵母表面を用いるライブラリーの成長および発現は以前に記載されているように行った(28)。
(ライブラリーの標識および分類)
抗ヒトEGFRマウスモノクローナル抗体806は、一般に、Ludwig Institute for Cancer Researchによって提供された。抗c−mycニワトリIgY画分を、Molecular Probes(Eugene,OR)から購入した。適当な数の酵母細胞(少なくとも10×ライブラリーサイズ)をFACS緩衝液(1mg/mLウシ血清アルブミンを含有するリン酸緩衝化生理食塩水)で処理した。細胞を4μg/mLの抗c−mycニワトリIgYおよび適当な濃度のmAbと共に25℃にて30分間インキュベートした。次いで、細胞をFACS緩衝液で洗浄し、1:25希釈フィコエリスリン標識したヤギ抗マウスIgG(Sigma)および1:100希釈Alexa Fluor(登録商標)488ヤギ抗ニワトリIgG(Molecular Probes)と共に4℃にて30分間インキュベートした。標識された細胞を濯ぎ、MITフローサイトメトリーコア施設においてMoFlo FACSマシーンを用いて細胞ライブラリーを分類した。
(単一クローンの同定および試験)
分類されたライブラリー集団からのプラスミドを、ZymoprepTMを用いて回収し、MIT Biopolymers Laboratoryにおいて配列決定した。QuickChange(登録商標)部位特異的突然変異誘発(Stratagene)を用いて部位特異的突然変異体を作成した。EZ酵母形質転換(Zymo Research)を用いて単一クローンを酵母に形質転換し、最小培地(酵母窒素塩基、カゼイン加水分解物、デキストロース、およびリン酸緩衝液pH7.4)中で一晩増殖させた。酵母表面タンパク質の発現を、ガラクトースを含む最小培地に移し、一晩インキュベートすることによって誘導した。各クローンについては、抗c−mycニワトリIgY、適当なmAbおよび二次蛍光抗体で、上記のように、1×10細胞を標識した。蛍光データは、Coulter Epics XLフローサイトメーター(Beckman−Coulter)を用いて得られ、DakoCytomation SummitTMソフトウェアを用いて分析した。
(mAb806に対するEGFR断片の力価測定)
細胞を上記のように増殖させ、誘導した。1×10細胞は、上記のように、適当な濃度のmAb 806、抗c−mycニワトリIgY、および二次蛍光抗体を用いて標識した。c−myc陽性酵母の蛍光データはCoulter Epics XLフローサイトメーターを用いて得られ、最大および最小平均蛍光強度によって正規化した。結合相互作用は、リガンド欠失のない単一部位結合モデルであると推定された。力価測定データは方程式:
Figure 2008501308
(式中、fmAbは酵母表面でディスプレイされたEGFR273−621へのmAb 806の部分的結合であり、[mAb]はmAb 806の濃度であり、Kdは見掛けの解離定数である)
にフィットさせた。これらのデータセットの全体的フィットはMicrosoft Excelを用いて行い、68%信頼区間は(42)に従って計算した。
(タンパク質イメージおよび表面積の計算)
全てのEGFRタンパク質イメージは、PyMOLソフトウェア(pymol.orgにおけるDeLano Scientific LLC)を用いて作成した。EGFR(PDB ID 1NQL)の各残基の溶媒接近可能表面積はGetarea 1.1(scsb.utmb.edu/cgi−bin/get form.tclにおけるSealy Center for Structural Biology, University of Texas Medical Branch)を用いて計算した。1.0のウォータープローブサイズを用いて、表面にあるEGF接触残基の正しい同定を可能とした。20以上の値を持つ残基を表面残基とみなした。
(参考文献)
Figure 2008501308
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Figure 2008501308
本発明は、その精神または本質的特徴を逸脱することなく、他の形式で具体化でき、他の方法で実施することができる。従って、本開示は、全ての態様において例示的であると考えられ、限定するものではなく、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によって示され、等価物の意味および範囲内にある全ての変更は、そこに含まれることを意図する。種々の文献が本明細書全体にわたって引用されるが、その各々はその全体が参考として本明細書中に援用される。
mAb806とEGFRのフラグメントとの反応性。EGFRの可溶性フラグメント(1〜513および310〜501)、または増殖ホルモン/EGFRフラグメント融合タンパク質(GH−274−501、GH−282−501、GH−290−501およびGH−298−501)を含有する細胞溶解物を、SDS−PAGEによって分離し、膜に移動し、mAb806(左側パネル)または抗−myc抗体9B11(右側パネル)で免疫ブロットした。 mAb806と、酵母上にディスプレイされたEGFRのフラグメントとの反応性。A、酵母ディスプレイEGFRフラグメントのmAb806標識の平均蛍光シグナルを示す代表的なフローサイトメトリーヒストグラム。酵母ディスプレイでは、あるパーセンテージの細胞はそれらの表面にタンパク質を発現せず、その結果、2つのヒストグラムピークがもたらされる。mAb806は、誘導されないネガティブコントロールに結合しない。 mAb806と、酵母でディスプレイされたEGFRのフラグメントとの反応性。B、1〜501EGFRフラグメントは、酵母ペレットを30分間で80℃まで加熱することによって変性した。1〜501フラグメント上の直線c−myc C−末端は依然として9E10抗体によって認識され、これは、加熱処理が酵母表面ディスプレイフラグメントを含まないことを示す。立体配座感受性mAb225を用いて、変性を確認した。 EGFR誘導ペプチドとのmAb806結合の阻害。A、1〜501およびGH−274−501EGFRフラグメントを、287−302EGFRペプチドの存在下または非存在下において、図1に記載したようにmAb806で免疫ブロットした(上方パネル)。EGFRフラグメントの存在は、膜をストリップし、抗−mycで再度プローブすることによって、mAb806免疫ブロッティング後に確認した。 EGFR誘導ペプチドとのmAb806結合の阻害。B、ELISAプレートを1〜501EGFRフラグメントでコートし、次いで、増大させる濃度の287〜302または287〜298EGFRペプチドの存在下でmAb806と共にインキュベートした。データは平均A405±SDとして表す。 化学修飾された287〜302EGFRペプチドとのmAb806結合の阻害。A、ELISAプレートを501−Fcでコーティングし、次いで、増大させる濃度の酸化された、還元されたおよびエージングした(実験手法に記載したように調製)287〜302EGFRペプチドの存在下でmAb806と共にインキュベートした。データは平均パーセンテージ阻害±SDとして表す(誤差棒は非常に小さいので見えない)。B、ELISAプレートを501−Fcでコーティングし、次いで、増大させる濃度のS−カルボキシメチル化287〜302EGFRペプチド、または287〜302EGFRペプチドのCNBr切断から生じたN−末端(CGADSYEM)(配列番号:)およびC−末端(EEGVRKC)(配列番号:)ペプチドの存在下でmAb806と共にインキュベートした。データは平均パーセンテージ阻害±SDとして表す(誤差棒は余りにも小さいので目で見えない)。 BIAcoreによるペプチドへのmAb806結合の分析。A、287〜302EGFRペプチドをチオールカップリングによって表面に固定化し、mAb806抗体を濃度を増大させつつ通過させた(31.25、62.5、125、250、500および1000nM)。次いで、Scatchard分析によって結合親和性を測定した(インサート)。B、287〜302EGFRペプチドをアミンカップリングによって表面に固定化し、500nMの濃度のmAb806抗体を、287〜302(上方パネル)、287〜298(中央パネル)または287〜301(下方パネル)EGFRペプチド(5および10μM)の存在下で表面を通過させた。 EGFR構造内でのmAb806エピトープのつきとめ。A、mAb806エピトープを含有するシステインループの構造を示す炭素追跡。B、EGFRのリガンド−結合ダイマー形態の空間充填モデル。ダイマーは、各EGFR分子のCR1−ループでつきとめられた2つの二量体化アームによって圧倒的に安定化される。C、二量体化を妨げる、ドメインCR1およびCR2の間の自動阻害相互作用を示すEGFRの連結された形態。D、毒され、隣接分子上の第二のループとの相互作用の準備ができたCR1−ループの二量体化アーム(左側図面)を明瞭に示すEGFRの拡張された(移行性)形態。色:EGFリガンドはオレンジ色で示され;アミノ酸579におけるグリコシル化部位は赤色で示され、mAb806エピトープは紫色で示される。EGFR構造(31、35、36)および可能な受容体活性化メカニズムは既に詳細に記載されている。 EGFRのCR1−ループ欠失を発現する293T細胞のフローサイトメトリー分析。少量の内因性野生型EGFRを発現する親293細胞をde2−7EGFRまたはdeCR1−ループEGFR(2つの独立したクローン)でトランスフェクトし、無関係IgG2b抗体(塗り潰ぶしていないヒストグラム)、mAb528(黒色ヒストグラム)、またはmAb806(灰色ヒストグラム)いずれかで染色した。 A、mAb806の可能な抗腫瘍メカニズム。mAb806は不活性なEGFRに結合できないが、受容体が連結解除されるにつれ、mAb806エピトープは露出されるようになり、抗体に結合できる。受容体へのmAb806の結合はほとんど確実に二量体化を妨げ、よって、EGFRシグナル伝達を妨げ、EGFR内在化を誘導することができる。 B、ErbB3およびErbB4においてシステインループを含有するmAb806のホモロジー。ErbB1に保存されたアミノ酸は赤色で示され、電荷の保存を呈する残基は緑色で示される。 C、CR1−CR2ダイマー界面。N579に付着した第一の炭水化物部位は結晶構造中に明瞭に目に見え、CR1−CR2ダイマー界面に位置する。EGFRを過剰発現する細胞においては、この部位は経時的に80%グリコシル化されるに過ぎない。グリコシル化の差は連結のダイナミックス、よって、mAb806の反応性に影響し得る。 A)hEGFRドメイン構造の、および本発明研究のために構築された突然変異の模式図。略語:L、リガンド結合ドメイン;CR、システイン−リッチのドメイン;JM、膜近接ドメイン;C−T、カルボキシ−末端ドメイン。B)上方パネル:(Garrett ら、.,2002からの)TGFαを有する複合体におけるEGFR ECD(1〜501)の未連結ダイマー形態のリボンダイヤグラム。EGFR分子は、青色および緑色に着色され;結合したTGFα分子は紫色に着色される。(後に記載する)mAb806に対するエピトープはピンク色に着色される。下方パネル:(Fergosonら、2003からの)EGFR ECD(1〜621)の連結形態のリボンダイヤグラム。CR2ドメイン(aa501〜621)は黄色で示される。双方のパネルにおいて、インサートは未連結立体配座のCR1−ループの間、または未連結立体配座におけるCR1−ループおよびCR2ドメインの間の相互作用を強調する。構築体において突然変異したアミノ酸はインサートにおいて示される。密接したファンデルワールス接触した原子は点線によって結合され、H−結合はダッシュ線によって表される。 野生型または突然変異体EGFRを安定に発現するBaF/3細胞系のFACS分析。実験手法に詳細に記載したように、細胞をmAb528と共にインキュベートし、続いて、Alexa48 8標識抗マウスIgと共にインキュベートした。プロットは横軸の蛍光強度、および縦軸の蛍光チャネル当たりの細胞数を表す。ネガティブコントロール(無関係抗体)蛍光は明るい茶色の重なりとして各パネルでプロットされる。 野生型および突然変異体受容体に対するEGF結合のScatchard分析。リガンド結合親和性は、未標識EGFとの競合によって固定した濃度の125I−EGFにおいて測定した(実験手法参照)。プロットは、RadLigプログラム(BioSoft)の「Kell for Windows(登録商標)」バージョンを用いて生データから作成した。 野生型および突然変異体EGFRの二量体化、および受容体複合体の特異的ホスホチロシン含有量。休止細胞をEGF(100ng/mL,16nM)またはコントロール緩衝液で処理した。ホモ二機能的細胞−不浸透性架橋剤BSを直ちに加え、室温にてインキュベーションを30分間継続した。反応をクエンチした後、細胞を溶解させ、細胞タンパク質をSDS/PAGEによって分離し、免疫ブロッティング用のPVDF幕に移した。A)EGFRタンパク質(頂部)およびホスホチロシン(底部)の免疫検出。PVDF膜をホスホチロシン抗体への露出の後にストリップし、抗−EGFR抗体で再度プローブした。B)実験手法に記載した定量的走査デンシトメトリーによって測定された、EGF刺激の有りおよび無しでの合計EGFR(ダイマー+モノマー)に対するダイマーの比率。C)前記した定量的走査デンシトメトリーによって決定された、EGFRモノマーおよびダイマータンパク質に対するホスホチロシン含有量の比率。 リガンド−依存性チロシンリン酸化およびMAPK活性化。A)休止細胞を室温にてEGF(100ng/mL)に10分間露出し、次いで、SDS−PAGEサンプル緩衝液中で直接溶解させた。タンパク質を4〜12%ゲルで分離し、PVDF膜に移し、ホスホチロシン(頂部)またはホスホ−MAPK(底部)に対する抗体でプローブした。ブロットをストリップし、各々抗−EGFR抗体(抗MAPK抗体で再度プローブして(示さず)、実験手法に記載した特異的タンパク質リン酸化の測定を可能とした。B)野生型および突然変異体受容体についてのEGFRタンパク質に対するホスホチロシンの比率。C)合計MAPKタンパク質に対するホスホ−MAPKの比率。 CR2突然変異体におけるEGFR活性化の用量応答。野生型またはCR2−突然変異体受容体を発現させる細胞を増殖因子血清回収によって静止させ、次いで、コントロール緩衝液、または増大させる濃度のEGF(0.03〜100nM)に露出した。A):合計細胞溶解物は4〜12%グラジエントゲルでのSDS/PAGE、続いて、抗−ホスホチロシン、抗−EGFRまたは抗−ホスホ−MAPK抗体での免疫ブロッティングによって分析した。B)およびC):フィルムを反応性バンドのデンシトメーター定量につき走査し、ホスホ−Shcおよびホスホ−MAPKデータはEGF濃度に対する%最大バンド強度としてプロットした。記号は:塗り潰ぶした丸、野生型EGFR;暗い三角、D563H−EGFR;明るい三角形、V538D−EGFR;塗り潰ぶしていない四角形、E578C−EGFR。 野生型または突然変異体EGFRを発現するBaF/3細胞のEGFに対するマイトジェニック応答。コントロール緩衝液(白丸)または増大させる濃度のEGF(黒丸)で処理した細胞への[H]チミジン取り込みは実験手法に記載したように測定した。 CR1−ループを欠くEGFRを発現するBaF/3細胞へのmAb528およびmAb806抗体結合の比較。野生型、Δ2−7またはΔ−CR1−ループEGFRを発現する細胞を、図2に記載したようにmAb528(暗い線)またはmAb806(塗り潰ぶした灰色)いずれかで染色し、FACScanで分析した。各ピークについてのメジアン蛍光チャネルは、CellQuestにおいて統計学的分析ソフトウェアを用いて決定し、これを用いて、2つの抗体の間の比率を計算した。無関係のクラスがマッチした抗体のコントロール蛍光は、点線の重なりとして表す。 EGFRの立体配座および活性化。EGFRは低親和性から高親和性状態への転移の間における主な立体配座変化を受ける。低親和性立体配座(A)は、2つのシステイン−リッチのドメインCR1およびCR2の間の分子内相互作用によって連結される。連結されたモノマー(A)は連結されたダイマー(B)または高親和性未連結モノマー(F)いずれかと平衡している。膜貫通(TM)および/またはキナーゼドメインは、連結されたダイマー(B)および未連結ダイマー(C)の形成を駆動するようである。連結されたダイマー(B)はECDおよびキナーゼドメインの間の分子間接触を有するイラストで示す。受容体の連結された形態は低親和性である。未連結モノマーおよびダイマーはより高い親和性を示す。未連結ダイマーの細胞内キナーゼドメインは、リガンド(例えば、EGFまたはTGF−α結合がダイマー−リガンド複合体(D)におけるさらなる再配位を誘導するまで活性化されない。受容体−リガンド複合体は、より高次のオリゴマー(例えば、テトラマーE)を形成できる。リガンド結合親和性は内から外へのシグナル伝達(例えば、ATP)によってさらに変調される。リガンド結合および二量体化/オリゴマー化は、キナーゼ活性化および基質のリン酸化に導くが、受容体のシグナル伝達もまた内在化、分解および脱リン酸化によってやはり調節される。 図18A〜18Dは、酵母表面にディスプレイされたEGFRフラグメント273〜621へのmAb806結合についてのフローサイトメトリーデータを示す。c−mycタグによって検出されるEGFRディスプレイ蛍光は縦軸に示され、mAb806結合は横軸に示される。(A)ソート1(10nM nAb806)およびソート2(75nM)であり、ソートゲートは実線で示される。(B)〜(D)75nMにおける(B)、+(C)および++(D)結合、および陽性およびネガティブコントロールの代表的突然変異体。WT=野生型EGFR273〜621。 図19は、酵母表面にディスプレイされたEGFR273〜621および突然変異体に対するmAB806の力価測定を示す。黒色、野生型(++);暗い灰色、C287R(+);明るい灰色、E293K(−)。単一部位結合モデルへの全体的フィットは、データの3つの独立した組で行った(四角形、三角形および菱形は別々の組を表す)。 mAb806エピトープ。(A〜B)EGFR−EGFダイマー構造の鎖におけるエピトープの前面図および逆面図(PDB ID 1IVO)。ダイマー構造が用いられる。なぜならば、Glu293はモノマー構造では分解されないからである。(PDB ID 1NQL)。色で示した残基は、結合の喪失のためにライブラリーから単離された突然変異体である。赤色、アラニン置換に際して結合の喪失をやはり引き起こす残基;オレンジ色、引き起こさない残基;灰色、ライブラリーから単離されず、アラニン置換に際して結合の喪失を呈しない残基。(C)エピトープはジスルフィド結合および2つの塩ブリッジによって拘束される(Glu293−Arg300およびAsp297−Lys301)。負に荷電した残基、赤色;正、青色;システイン、黄色。イメージは、ダイマー構造における双方のEGFR分子上の残基287〜302を含む(PDB ID 1IVO)。(D)(A)におけるように着色した自動阻害されたEGFRモノマーにおけるmAB806エピトープ、EGFRの残りは青色である。

Claims (39)

  1. 配列番号1〜14のいずれかに記載されたアミノ酸配列を含む、単離された受容体ポリペプチドおよびその免疫原性フラグメント。
  2. アミノ酸配列
    Figure 2008501308
    を有する、単離されたポリペプチド。
  3. アミノ酸配列
    Figure 2008501308
    を有する、単離されたポリペプチド。
  4. アミノ酸配列
    Figure 2008501308
    を有する、単離されたポリペプチド。
  5. アミノ酸配列
    Figure 2008501308
    を有する、単離されたポリペプチド。
  6. アミノ酸配列
    Figure 2008501308
    を有する、単離されたポリペプチド。
  7. アミノ酸配列
    Figure 2008501308
    を有する、単離されたポリペプチド。
  8. アミノ酸配列
    Figure 2008501308
    を有する、単離されたポリペプチド。
  9. アミノ酸配列
    Figure 2008501308
    を有する、単離されたポリペプチド。
  10. アミノ酸配列
    Figure 2008501308
    を有する、単離されたポリペプチド。
  11. アミノ酸配列
    Figure 2008501308
    を有する、単離されたポリペプチド。
  12. アミノ酸配列:
    CX101112131415(配列番号11)
    を有し、ここで各残基は、独立して以下:
    はG、P、NまたはSであり;
    はA、P、T、SまたはLであり;
    はD、HまたはSであり;
    はS、Y、T、NまたはKであり;
    はY、QまたはMであり;
    はMまたはVであり;
    はE、TまたはDであり;
    はAまたは無しであり;
    はEまたはKであり;
    10はDまたはNであり;
    11はGまたはAであり;
    12はV、I、LまたはTであり;
    13はR、QまたはKであり;
    14はR、KまたはMであり;
    15はCまたは無しである、
    のように選択され得る、単離されたペプチド。
  13. アミノ酸配列:
    CX101112131415(配列番号12)
    を有し、ここで、各残基は独立して以下:
    はG、P、N、Q、SまたはTであり;
    はA、P、T、S、L、M、V、IまたはPであり;
    はD、E、H、R、K、SまたはTであり;
    はS、Y、F、W、T、N、Q、KまたはRであり;
    はY、F、W、Q、N、M、V、A、L、IまたはPであり;
    はM、V、A、L、IまたはPであり;
    はE、D、TまたはSであり;
    はA、V、L、I、P、Mまたは無しであり;
    はD、E、KまたはRであり;
    10はD、E、NまたはQであり;
    11はG、A、M、V、L、IまたはPであり;
    12はV、I、L、M、A、P、SまたはTであり;
    13はR、K、H、QまたはNであり;
    14はR、K、H、M、A、V、L、IまたはPであり;
    15はCまたは無しである、
    のように選択され得る、単離されたペプチド。
  14. アミノ酸配列:
    CXEXGX101112C(配列番号13)
    を有し、ここで各X残基は、独立して以下:
    はGまたはAであり;
    はAまたはKであり;
    はDまたはAであり;
    はSまたはAであり;
    はYまたはAであり;
    はMまたはAであり;
    はEまたはAであり;
    はEまたはAであり;
    はDまたはAであり;
    10はV、AまたはKであり;
    11はRまたはAであり;
    12はKまたはAである、
    のように選択され得る、単離されたペプチド。
  15. アミノ酸配列:
    CXEXDGVRKC(配列番号14)
    を有し、ここで各X残基は独立して以下:
    はGまたはAであり;
    はAまたはKであり;
    はDまたはAであり;
    はSまたはAであり;
    はYまたはAであり;
    はMまたはAであり;
    はEまたはAであり;
    はEまたはAである、
    のように選択され得る、単離されたペプチド。
  16. 配列番号1〜14のいずれかに記載されたペプチドをコードする、単離された核酸。
  17. 該ペプチドは配列番号1〜14のいずれかの1以上から選択される、免疫原性受容体ペプチドまたはその免疫原性フラグメント。
  18. 哺乳動物を免疫化する方法であって、該方法は、増殖因子受容体エピトープペプチドまたはその免疫原性フラグメントを投与する工程を包含し、それにより、異常発現または過剰発現された増殖因子受容体を発現する細胞上には露出されるが、野生型細胞には露出されないエピトープペプチドと免疫反応性の抗体が生産される、方法。
  19. 哺乳動物を免疫化する方法であって、該方法は、配列番号1〜14のいずれかから選択されるEGF受容体ペプチド、またはその免疫原性フラグメントを投与する工程を包含し、それにより、異常発現または過剰発現されたEGFRを発現する細胞上には露出されるが、野生型細胞では露出されないエピトープペプチドと免疫反応性である抗体が生産される、方法。
  20. 配列番号1〜14のいずれかから選択された1以上のEGFRペプチド、および薬学的に受容可能なアジュバントを含む、ワクチン。
  21. 配列番号1〜14のいずれかから選択された1以上のEGFRペプチド、および薬学的に受容可能なアジュバントを含む、免疫原性組成物。
  22. 配列番号1〜14のいずれかの群から選択された1以上のEGFファミリー受容体ペプチド、および薬学的に受容可能なアジュバントを含み、さらに、1以上のさらなる腫瘍抗原を含む、腫瘍ワクチンまたは抗癌ワクチン。
  23. 前記腫瘍抗原がEGF抗原またはEGFR抗原である、請求項22に記載のワクチン。
  24. 哺乳動物の治療用ワクチンであって、被験体は頭頸部癌、乳癌、または前立腺腫瘍および神経膠腫に罹患しており、該ワクチンは、配列番号1〜14のいずれかの群から選択される1以上のEGFファミリー受容体ペプチド、またはその免疫原性フラグメント、および薬学的に受容可能なアジュバントを含む、ワクチン。
  25. 前記ペプチドがキャリアに結合体化された、請求項に24記載のワクチン。
  26. 配列番号1〜14のいずれかから選択される1以上のペプチドから選択されるEGFファミリー受容体ペプチド、および薬学的に受容可能なキャリアを含む、薬学的組成物。
  27. 配列番号1〜14のいずれかから選択される1以上のペプチドと免疫反応性であるEGFファミリー受容体ペプチド抗体、および薬学的に受容可能なキャリアを含む、薬学的組成物。
  28. 配列番号1〜14のいずれかから選択されるEGFファミリー受容体ペプチドに対する、精製された抗体。
  29. モノクローナル抗体である、請求項28に記載の抗体。
  30. 検出可能な標識で標識された、請求項28に記載の抗体。
  31. 前記抗体が、治療または診断目的を有する1以上の他の分子または因子に共有結合されているかまたはそうでなければ会合している、請求項28に記載の抗体。
  32. 前記他の分子または因子が、異なる特徴を有する他の抗体または抗体フラグメント、トキシン、リガンド、放射性同位体および化学療法剤から選択される、請求項31に記載の抗体。
  33. 異常発現または過剰発現されたEGFRを発現する細胞に露出されるが、野生型細胞では露出されないエピトープに免疫反応性である抗体を創製する方法であって、該方法は、配列番号1〜14のいずれかからから選択されるEGF受容体ペプチドまたはそのフラグメントで動物を免疫化する工程、およびペプチド結合抗体を単離する工程を包含する、方法。
  34. 異常発現または過剰発現されたEGFRを発現する細胞で露出されるが、野生型細胞では露出されないエピトープと免疫反応性である抗体を選択する方法であって、該方法は、配列番号1〜14のいずれかから選択されるEGF受容体ペプチドまたはそのフラグメントで、候補抗体、または抗体もしくは活性な抗体フラグメントを発現する細胞をスクリーニングする工程を包含する、方法。
  35. 特に配列番号1〜14のいずれかから選択される免疫原性EGFファミリー受容体ペプチドをコードする核酸を含む、核酸ワクチンまたはDNAワクチン。
  36. 腫瘍抗原または免疫調節分子ペプチドをコードする核酸をさらに含む、請求項33に記載のワクチン。
  37. 配列番号1〜14のいずれかの群から選択されるEGF受容体エピトープペプチドの存在または露出を検出することによって、頭頸部癌、乳癌、または前立腺腫瘍および神経膠腫を含む腫瘍および癌を測定およびモニターする方法。
  38. 前記EGF受容体エピトープペプチドが:
    a.配列番号1〜14のいずれかからなる群より選択されるEGF受容体エピトープペプチドの存在または露出が疑われるサンプルと、該EGF受容体ペプチドに対する抗体とを、該ペプチドの該抗体に対する結合を起こさせる条件下で接触させる工程;および
    b.該サンプル由来の該EGF受容体エピトープペプチドと該抗体との間で結合が起こっているか否かを検出する工程、
    によって測定され、
    ここで、該結合の検出は、該サンプル中の該EGF受容体エピトープペプチドの存在または露出を示す、請求項35に記載の方法。
  39. 被験体において免疫応答を誘導する方法であって、該被験体は、頭頸部癌、乳癌、肺癌、卵巣癌、膀胱癌、咽頭癌、扁平細胞癌腫、または前立腺腫瘍および神経膠腫を含む腫瘍または癌を有し、該方法は、配列番号1〜14のいずれかの群から選択されるEGF受容体エピトープペプチド、および薬学的に受容可能なキャリアを含む薬学的組成物の一定量を被験体に投与し、それにより免疫応答を誘導する工程を包含する、方法。
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