JP2008309461A - プラズマ式灰溶融炉の制御方法及びプラズマ式灰溶融炉 - Google Patents
プラズマ式灰溶融炉の制御方法及びプラズマ式灰溶融炉 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】耐火材の経時変化した場合にもスラグの出滓量が低下せず、安定したスラグの出滓を確保し得るプラズマ式灰溶融炉の制御方法及びプラズマ式灰溶融炉を提供する。
【解決手段】炉体及び炉蓋を流通する冷却水の流量、入口温度及び出口温度Tに基づいて、炉体冷却損失熱量を求め、これに基づいてプラズマ出力補正値を求める。また、灰の投入速度、排ガス流量、排ガス温度、トーチ電流、トーチ電圧、プラズマトーチの冷却水の流速、入口温度、出口温度の各計測値に基づいて、マスバランス式からスラグ滞留量推定値を推定するとともに、エネルギーバランス式から炉体の内部におけるスラグ温度推定値を推定して、プラズマ出力補正値を求める。上記プラズマ出力補正値及びプラズマ出力補正値をプラズマ出力基準値に加えることにより、プラズマトーチのプラズマ出力目標値を求める。
【選択図】図2
【解決手段】炉体及び炉蓋を流通する冷却水の流量、入口温度及び出口温度Tに基づいて、炉体冷却損失熱量を求め、これに基づいてプラズマ出力補正値を求める。また、灰の投入速度、排ガス流量、排ガス温度、トーチ電流、トーチ電圧、プラズマトーチの冷却水の流速、入口温度、出口温度の各計測値に基づいて、マスバランス式からスラグ滞留量推定値を推定するとともに、エネルギーバランス式から炉体の内部におけるスラグ温度推定値を推定して、プラズマ出力補正値を求める。上記プラズマ出力補正値及びプラズマ出力補正値をプラズマ出力基準値に加えることにより、プラズマトーチのプラズマ出力目標値を求める。
【選択図】図2
Description
本発明は、プラズマ式灰溶融炉の制御方法及びプラズマ式灰溶融炉に関し、より詳細には、炉体冷却損失熱量から求めたプラズマ出力補正値に基づいて、プラズマトーチのプラズマ出力の調整を行うプラズマ式灰溶融炉の制御方法、及びこの制御方法を用いたプラズマ式灰溶融炉に関する。
従来より、ゴミ焼却炉、下水汚泥焼却炉等から排出される灰は、資源化して再利用するとともに無害化するために、例えば高温で溶融することによりスラグ化されている。このようなスラグの溶融に使用される設備として、プラズマ式灰溶融炉がある。一般に、プラズマ式灰溶融炉では灰が連続投入され、プラズマを発生させた炉内で高温に加熱して溶融した後、スラグとして出滓される。このような連続溶融を安定して行うために、従来より種々の技術が検討されている。
例えば、灰の投入重量と、炉内温度と、灰の塩基度から必要な溶融熱量を求めて運転を行うプラズマ式灰溶融炉が検討されている(特許文献1)。このプラズマ式灰溶融炉では、耐火材の摩耗などの炉の経時変化により、炉体の冷却損失熱量が変化した場合を考慮した制御ができないというがある。また、測定されるのは炉内温度であってスラグ温度ではないため、正確な温度管理ができないという欠点がある。更に、この灰溶融炉ではスラグ滞留量を考慮していないため、正確な制御を期待することができないという欠点がある。
また、炉内のスラグの温度をスラグ温度計を用いて計測しながら自動運転を行うとともに、スラグ温度計が不具合を起こした場合に備えて間接パラメータを計測し、スラグ温度計の温度と間接パラメータとの対応関係から異常を検出するプラズマ式灰溶融炉が検討されている(特許文献2)。この灰溶融炉においても、耐火材の摩耗などの炉の経時変化により、炉体の冷却損失熱量が変化した場合を考慮した制御ができないという欠点がある。また、上記と同様にスラグ滞留量を考慮していないため、正確な制御を期待することもできないという欠点を抱えている。
特開2001−289427号公報(請求項1〜3)
特開2003−222310号公報(請求項1)
本発明は上記従来技術の欠点を解消するために為されたものであり、本発明の目的は、耐火材の摩耗などの炉の経時変化により、炉体の冷却損失熱量が変化した場合にも、スラグの出滓量が低下せず、しかも安定したスラグ温度及びスラグ滞留量を適切な範囲に設定することにより、安定したスラグの出滓を確保し得るプラズマ式灰溶融炉の制御方法及びプラズマ式灰溶融炉を提供することである。
本発明のプラズマ式灰溶融炉の制御方法は、炉体冷却手段を備えた炉体に連続投入される灰を、プラズマトーチにより加熱溶融してスラグとして排出するプラズマ式灰溶融炉の制御方法であって、前記炉体冷却手段によって前記炉体から除去される炉体冷却損失熱量Qlrを求めるとともに、該炉体冷却損失熱量Qlrからプラズマ出力補正値Qps1を求め、該プラズマ出力補正値Qps1に基づいて前記プラズマトーチのプラズマ出力目標値Qpss1を求めることを特徴とする。
高温で運転されるプラズマ式灰溶融炉では、炉の経時変化等により耐火材が摩耗すると、トーチにより発生する熱量のうち、スラグの溶融に使用されずに炉本体の炉壁、炉蓋、出滓口などから炉体冷却手段により炉体の外部に出て行ってしまう熱量、即ち冷却損失熱量Qlrが多くなり、スラグの出滓量が次第に小さくなってくる。上記本発明の構成では、炉体冷却手段によって炉体から除去される炉体冷却損失熱量Qlrからプラズマ出力補正値Qps1を求め、このプラズマ出力補正値Qps1に基づいてプラズマトーチのプラズマ出力目標値Qpss1が求められるので、炉内の状態が一定でさえあれば、炉の耐火材が摩耗してもスラグの出滓量が低下することはなくなる。
また、本発明のプラズマ式灰溶融炉の制御方法は、前記プラズマトーチを冷却するトーチ冷却手段を更に備え、前記炉体内部におけるスラグ滞留量推定値Wsを、灰の投入速度Gash、及び所定の係数Ksにより表されるスラグ滞留量推定値Wsの変化率を表す下記の式
d(Ws)/dt=Gash−Ks・Ws …(2)
により推定するとともに、前記炉体の内部におけるスラグ温度推定値Tsを、スラグ比熱Cs、プラズマ出力Qt、前記炉体冷却損失熱量Qlr、前記トーチ冷却手段によって除去されるトーチ冷却損失熱量Qlt、前記炉体から排出されるスラグにより失われるスラグ持出熱量Qout、前記灰中に含まれる未燃分の燃焼及び前記灰とともに還元剤が前記炉体に投入される場合における該還元剤による発熱量Qc、及び前記炉体排出後の排出ガスに含まれる未燃分の燃焼による排ガス熱量Qgにより表される、前記炉体内の滞留スラグの熱量の変化率を表す下記の式
Cs・d(Ws・Ts)/dt=Qt+Qc−Qg−Qlt−Qout−Qlr …(3)
により求め、更に、前記求めた前記スラグ滞留量推定値Ws及び前記スラグ温度推定値Tsに基づいてプラズマ出力補正値Qps2を求め、該プラズマ出力補正値Qps2と前記炉体に投入される灰の投入速度目標値Gashsに基づいて求められたプラズマ出力基準値Qps0との和により、又は、該プラズマ出力補正値Qps2と前記プラズマ出力目標値Qpss1との和により、前記プラズマトーチのプラズマ出力目標値Qpss2を求めることを特徴とする。
d(Ws)/dt=Gash−Ks・Ws …(2)
により推定するとともに、前記炉体の内部におけるスラグ温度推定値Tsを、スラグ比熱Cs、プラズマ出力Qt、前記炉体冷却損失熱量Qlr、前記トーチ冷却手段によって除去されるトーチ冷却損失熱量Qlt、前記炉体から排出されるスラグにより失われるスラグ持出熱量Qout、前記灰中に含まれる未燃分の燃焼及び前記灰とともに還元剤が前記炉体に投入される場合における該還元剤による発熱量Qc、及び前記炉体排出後の排出ガスに含まれる未燃分の燃焼による排ガス熱量Qgにより表される、前記炉体内の滞留スラグの熱量の変化率を表す下記の式
Cs・d(Ws・Ts)/dt=Qt+Qc−Qg−Qlt−Qout−Qlr …(3)
により求め、更に、前記求めた前記スラグ滞留量推定値Ws及び前記スラグ温度推定値Tsに基づいてプラズマ出力補正値Qps2を求め、該プラズマ出力補正値Qps2と前記炉体に投入される灰の投入速度目標値Gashsに基づいて求められたプラズマ出力基準値Qps0との和により、又は、該プラズマ出力補正値Qps2と前記プラズマ出力目標値Qpss1との和により、前記プラズマトーチのプラズマ出力目標値Qpss2を求めることを特徴とする。
プラズマ式灰溶融炉では、安定したスラグの出滓を確保するためには、炉体内のスラグ温度及びスラグ滞留量を適切に保つことが必要であると考えられるが、これらを直接的に連続計測することが困難である。本発明の上記構成では、スラグ滞留量推定値Ws及びスラグ温度推定値Tsが求められ、これらに基づいてプラズマ式灰溶融炉の制御が行われるので、安定したスラグの出滓が確保される。
本発明のプラズマ式灰溶融炉は、連続投入される灰を貯留するとともに溶融後のスラグを排出する炉体と、前記炉体を冷却する炉体冷却手段と、灰を溶融させるためのプラズマを発生させるプラズマトーチと、該プラズマトーチの出力を調整する制御手段と、を備えたプラズマ式灰溶融炉であって、前記制御手段は、前記炉体冷却手段によって除去される炉体冷却損失熱量Qlrを求めるとともに、該炉体冷却損失熱量Qlrからプラズマ出力補正値Qps1を求め、該プラズマ出力補正値Qps1に基づいて前記プラズマトーチのプラズマ出力目標値Qpss1を求めることを特徴とする。
この構成により、炉体冷却手段によって炉体から除去される炉体冷却損失熱量Qlrからプラズマ出力補正値Qps1を求め、このプラズマ出力補正値Qps1に基づいてプラズマトーチのプラズマ出力目標値Qpss1が求められるので、炉内の状態が一定でさえあれば、炉の耐火材の摩耗によるスラグの出滓量の低下はなくなる。
また、本発明のプラズマ式灰溶融炉は、連続投入される灰を貯留するとともに溶融後のスラグを排出する炉体と、前記炉体を冷却する炉体冷却手段と、灰を溶融させるためのプラズマを発生させるプラズマトーチと、前記プラズマトーチを冷却するトーチ冷却手段と、該プラズマトーチの出力を調整する制御手段と、を備えたプラズマ式灰溶融炉であって、前記制御手段は、前記炉体内部におけるスラグ滞留量推定値Wsを、灰の投入速度Gash、及び所定の係数Ksにより表されるスラグ滞留量推定値Wsの変化率を表す下記の式
d(Ws)/dt=Gash−Ks・Ws …(2)
により推定するスラグ滞留量推定手段と、前記炉体の内部におけるスラグ温度推定値Tsを、スラグ比熱Cs、プラズマ出力Qt、前記炉体冷却手段によって除去される炉体冷却損失熱量Qlr、前記トーチ冷却手段によって除去されるトーチ冷却損失熱量Qlt、前記炉体から排出されるスラグにより失われるスラグ持出熱量Qout、前記灰中に含まれる未燃分の燃焼及び前記灰とともに還元剤が前記炉体に投入される場合における該還元剤による発熱量Qc、及び前記炉体排出後の排出ガスに含まれる未燃分の燃焼による排ガス熱量Qgにより表される、前記炉体内の滞留スラグの熱量の変化率を表す下記の式
Cs・d(Ws・Ts)/dt=Qt+Qc−Qg−Qlt−Qout−Qlr …(3)
により推定するスラグ温度推定手段と、前記推定した前記スラグ滞留量推定値Ws及び前記スラグ温度推定値Tsに基づいてプラズマ出力補正値Qps2を求める第2プラズマ出力補正値演算手段と、を更に備え、前記制御手段は、該求められたプラズマ出力補正値Qps2と前記炉体に投入される灰の投入速度目標値Gashsに基づいて求められたプラズマ出力基準値Qps0との和により、又は、該求められたプラズマ出力補正値Qps2と前記プラズマ出力目標値Qpss1との和により、前記プラズマトーチのプラズマ出力目標値Qpss2を求めることを特徴とする。
d(Ws)/dt=Gash−Ks・Ws …(2)
により推定するスラグ滞留量推定手段と、前記炉体の内部におけるスラグ温度推定値Tsを、スラグ比熱Cs、プラズマ出力Qt、前記炉体冷却手段によって除去される炉体冷却損失熱量Qlr、前記トーチ冷却手段によって除去されるトーチ冷却損失熱量Qlt、前記炉体から排出されるスラグにより失われるスラグ持出熱量Qout、前記灰中に含まれる未燃分の燃焼及び前記灰とともに還元剤が前記炉体に投入される場合における該還元剤による発熱量Qc、及び前記炉体排出後の排出ガスに含まれる未燃分の燃焼による排ガス熱量Qgにより表される、前記炉体内の滞留スラグの熱量の変化率を表す下記の式
Cs・d(Ws・Ts)/dt=Qt+Qc−Qg−Qlt−Qout−Qlr …(3)
により推定するスラグ温度推定手段と、前記推定した前記スラグ滞留量推定値Ws及び前記スラグ温度推定値Tsに基づいてプラズマ出力補正値Qps2を求める第2プラズマ出力補正値演算手段と、を更に備え、前記制御手段は、該求められたプラズマ出力補正値Qps2と前記炉体に投入される灰の投入速度目標値Gashsに基づいて求められたプラズマ出力基準値Qps0との和により、又は、該求められたプラズマ出力補正値Qps2と前記プラズマ出力目標値Qpss1との和により、前記プラズマトーチのプラズマ出力目標値Qpss2を求めることを特徴とする。
この構成により、一般的には直接的に連続計測することが困難なスラグ滞留量及びスラグ温度の推定値が求められ、これらに基づいてプラズマ式灰溶融炉の制御が行われるので、安定したスラグの出滓が確保される。
本発明のプラズマ式灰溶融炉の制御方法及びプラズマ式灰溶融炉では、耐火材の損耗による炉体冷却損失熱量の増加が検知され、これに基づいてプラズマトーチのプラズマ出力が調整されるので、耐火材の経時変化によるスラグ出滓量の低下を抑制することができる。また、直接的に連続計測することが困難なスラグ滞留量及びスラグ温度が、それぞれスラグ滞留量推定値Ws及びスラグ温度推定値Tsとして求められ、これらに基づいてプラズマ式灰溶融炉の制御が行われるので、安定したスラグの出滓が確保される。
本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
図1は本発明の一実施形態に係るプラズマ式灰溶融炉の概略構成を示す模式図であり、このプラズマ式灰溶融炉では、本発明のプラズマ式灰溶融炉の制御方法が実施される。同図に示すように、本実施形態のプラズマ式灰溶融炉は炉体10を備え、この炉体10は、炉本体12と、炉蓋14と、出滓口16とを有している。また、炉体10は灰供給機18を備え、この灰供給機18はスクリュウ20の回転により、処理対象である灰を炉本体12に連続的に供給する。更に、本実施形態では、炉蓋14の略中央部にプラズマトーチ22が設置されており、このプラズマトーチ22は、プラズマトーチ保持昇降装置24によって上下に移動することが可能となっている。プラズマトーチ22にはプラズマ電源装置41が接続され、このプラズマ電源装置41は炉本体12の底部に設けられた炉底電極25にも接続されている。プラズマトーチ22は、制御装置40の制御の下にプラズマ電源装置41から供給される電力により、炉底電極25との間でプラズマを発生させ、灰供給機18により供給される灰を溶融させる。また、本実施形態では、プラズマトーチの後方からは、緩やかに空気(プラズマ作動ガス)を送り込むことにより、発生したプラズマが炉本体12内のスラグに向けられるように構成されている。
プラズマにより溶融した灰は、炉本体12内の底部に滞留する溶融金属層28と、その上に滞留する溶融スラグ層26とに分離する。溶融スラグ層26の溶融スラグは、矢印31に示すように、炉本体12から溢れて出滓口16から排出される。また、炉体10から排出されるガスは、矢印30に示すように流れ、更に炉体10の外部で燃焼用空気が加えられることにより完全に燃焼した後、溶融炉から排出される。この燃焼後の排ガスの流量Gg及び温度Tgは、流量計及び温度計(図示せず)によって計測される。
更に、本実施形態では、炉蓋14に炉内の温度を計測する炉蓋温度計32が設けられている。また、炉本体12内の溶融スラグの様子を撮影するための炉内ITV34と、出滓口16付近の様子を撮影するための出滓口ITV36とが設けられている。
本実施形態のプラズマ式灰溶融炉は、炉体冷却手段として、炉本体12と炉蓋14とに冷却水を流通させるための冷却管15が設けられ、この冷却管15には、冷却水の流量Gwを計測する流量計(図示せず)と、炉体10に入る冷却水の温度(入口温度Twi)を計測する温度計(図示せず)と、炉体10から出てくる冷却水の温度(出口温度Two)を計測する温度計(図示せず)とが設けられている。また、本実施形態のプラズマ式灰溶融炉では、トーチ冷却手段として、プラズマトーチ22を冷却する冷却水を流通させる冷却管(図示せず)が設けられており、この冷却管には、冷却水の流量Gwtを計測する流量計(図示せず)と、冷却水の入口温度Twitを計測する温度計(図示せず)と、冷却水の出口温度Twotを計測する温度計(図示せず)とが設けられている。なお、図1では、炉蓋14に設けられた冷却管15のみが画かれ、炉本体12の冷却管、及びプラズマトーチ22の冷却管は省略されている。また、上記では、炉体冷却手段としての冷却管15は、炉本体12及び炉蓋14に設けられている構成を示したが、冷却管15は、炉本体12及び炉蓋14に加えて出滓口16をも冷却するように構成してもよい。
図2は図1のプラズマ式灰溶融炉の制御装置40における制御系統を表している。本実施形態のプラズマ式灰溶融炉では、まず、予め決められた許容処理量に基づいて炉体10に投入される灰の投入速度目標値Gashsが決定される。この灰の投入速度目標値Gashsに基づき、灰の嵩比重を考慮して灰供給機18のスクリュウ20の回転数が決められる。この灰の投入速度目標値Gashsはプラズマ出力基準値演算器42に入力され、これに基づいてプラズマ出力基準値Qps0が求められる。
また、本実施形態では、炉本体12及び炉蓋14をに設けられた冷却管15における冷却水の流速Gw(kg/h)と、炉体10への冷却水の入口温度Twi(℃)及び出口温度Two(℃)とが計測信号として炉体冷却損失熱量演算器44に入力される。次に、これらの計測信号に基づいて、炉体冷却損失熱量Qlr(kcal/h)が求められる。具体的には、冷却水の比熱Cw(kcal/kg℃)として、下記の式(1)から求められる。
Qlr=Cw・Gw・(Two−Twi) …(1)
炉体冷却損失熱量演算器44で求められた炉体冷却損失熱量Qlrは、次に第1プラズマ出力補正値演算器46に入力される。第1プラズマ出力補正値演算器46では、所定の計算式、予め作成された参照テーブル等に基づいてプラズマ出力補正値Qps1が求められる。第1プラズマ出力補正値演算器46で求められたプラズマ出力補正値Qps1は、プラズマ出力基準値演算器42から出力されるプラズマ出力基準値Qps0に加算され、プラズマ出力目標値Qpss1が求められる。
炉体冷却損失熱量演算器44で求められた炉体冷却損失熱量Qlrは、次に第1プラズマ出力補正値演算器46に入力される。第1プラズマ出力補正値演算器46では、所定の計算式、予め作成された参照テーブル等に基づいてプラズマ出力補正値Qps1が求められる。第1プラズマ出力補正値演算器46で求められたプラズマ出力補正値Qps1は、プラズマ出力基準値演算器42から出力されるプラズマ出力基準値Qps0に加算され、プラズマ出力目標値Qpss1が求められる。
本実施形態では、前述の炉体冷却損失熱量演算器44から出力される炉体冷却損失熱量Qlrは、スラグ温度・スラグ滞留量推定器48にも入力される。また、スラグ温度・スラグ滞留量推定器48には、灰供給機18における実際の灰の投入速度Gash(kg/h)、排ガス流量Gg(Nm3/h)、排ガス温度Tg(℃)、プラズマトーチ22におけるトーチ電流At(A)及びトーチ電圧Vt(V)、プラズマトーチ22の冷却水の流速Gwt(kg/h)、入口温度Twit(℃)及び出口温度Twot(℃)の各計測値が入力される。また、スラグ温度・スラグ滞留量推定器48には、所定の係数Ks(l/h)及びKt(kcal/h/W)、スラグ比熱Cs(kcal/kg℃)、排ガス比熱Cpg(kcal/Nm3℃)が記憶されている。そして、スラグ温度・スラグ滞留量推定器48は、これらの計測値及び定数に基づいて、炉体10内部におけるスラグ滞留量推定値Wsを推定する。なお、上記の係数Ks、Kt、スラグ比熱Cs、排ガス比熱Cpgは、ほぼ一定値なので定数として扱うことができる。しかし、場合によっては変数として取り扱うことを否定するものではない。
スラグ滞留量推定値Wsは、具体的にはスラグ滞留量推定値Wsの変化率を表す下記の式
d(Ws)/dt=Gash−Ks・Ws …(2)
により求められる。また、スラグ温度・スラグ滞留量推定器48は、炉体10の内部におけるスラグ温度推定値Tsを、炉体10内の滞留スラグの熱量の変化率を表す下記の式
Cs・d(Ws・Ts)/dt=Qt+Qc−Qg−Qlt−Qout−Qlr …(3)
により推定する。
d(Ws)/dt=Gash−Ks・Ws …(2)
により求められる。また、スラグ温度・スラグ滞留量推定器48は、炉体10の内部におけるスラグ温度推定値Tsを、炉体10内の滞留スラグの熱量の変化率を表す下記の式
Cs・d(Ws・Ts)/dt=Qt+Qc−Qg−Qlt−Qout−Qlr …(3)
により推定する。
ここで、プラズマ出力Qtは、以下の式
Qt=At・Vt・Kt …(4)
により求められる。
Qt=At・Vt・Kt …(4)
により求められる。
また、Qcは、灰中に含まれる未燃分の燃焼による発熱量であり、灰とともに還元剤が炉体に投入される場合には、この還元剤による発熱量を含む量である。この発熱量Qcはプラズマ出力Qtに比較して十分に小さいので一定値として扱うことができるが、灰の供給量、還元剤供給量、炉蓋温度、プラズマトーチ22の後方から炉体10内への供給空気量(プラズマ作動ガス量)などの計測信号から求めてもよい。
Qltは、トーチ冷却損失熱量であり、このトーチ冷却損失熱量Qltは、下記の式
Qlt=Cw・Gwt(Twot−Twit) …(5)
により求めることができる。
Qlt=Cw・Gwt(Twot−Twit) …(5)
により求めることができる。
Qoutは、スラグ持出熱量であり、このスラグ持出熱量Qoutは、下記の式
Qout=Cs・Ks・Ws・Ts …(6)
により求められる。
Qout=Cs・Ks・Ws・Ts …(6)
により求められる。
Qgは、炉体からの排出ガスによる排ガス熱量であり、この排ガス熱量Qgは、以下の式
Qg=Cpg・Gg・Tg …(7)
により求められる。なお、上記の式は、更に詳細な熱収支の式に置き換えてもよい。
Qg=Cpg・Gg・Tg …(7)
により求められる。なお、上記の式は、更に詳細な熱収支の式に置き換えてもよい。
以上のようにしてスラグ温度・スラグ滞留量推定器48で求められたスラグ滞留量推定値Wsとスラグ温度推定値Tsは、次に第2プラズマ出力補正値演算器50に入力される。第2プラズマ出力補正値演算器50は、スラグ温度推定値Tsの想定される変化域を3つのレベルに区分する閾値を記憶し、また、スラグ滞留量推定値Wsについても、想定される変化域を3つのレベルに区分する閾値を記憶している。これらの閾値は、実際のプラズマ式灰溶融炉の運転実績に基づいて決められる。そして、これらの閾値に基づいて、それぞれ3つのレベルの区分を縦横に配して構成したマトリックス52を備えている。マトリックス52の要素のそれぞれ対応して、採るべき動作が記憶されており、第2プラズマ出力補正値演算器50は、スラグ温度・スラグ滞留量推定器48から入力されたスラグ滞留量推定値Wsとスラグ温度推定値Tsとが、マトリックス52上においてどの位置にあるかを判断し、その位置に応じてプラズマ出力補正値Qps2を出力する。
表1は、マトリックス52に記憶されている動作を示している。同表に示すように、スラグ温度推定値Tsのレベルとスラグ滞留量推定値Wsのレベルとが等しい場合(表1において左上から右下への対角線上の場合)には、プラズマ出力補正値Qps2をゼロに設定する。また、スラグ温度推定値Tsのレベルがスラグ滞留量推定値Wsのレベルより低い場合には、そのレベル差に応じた大きさの正の値にプラズマ出力補正値Qps2を設定する。更に、スラグ温度推定値Tsのレベルがスラグ滞留量推定値Wsのレベルより高い場合には、そのレベル差に応じた大きさの絶対値を有する負の値にプラズマ出力補正値Qps2を設定する。
以上のようにしてプラズマ出力補正値Qps2が求められると、前述のプラズマ出力目標値Qpss1に加算されて、プラズマ出力目標値Qpss2が求められる。次に、このプラズマ出力目標値Qpss2は、除算器54に入力される。除算器54では、プラズマ出力目標値Qpss2をプラズマトーチの電圧Vtで除することにより、プラズマトーチ電流目標値Ipssが求められる。次に、このプラズマトーチ電流目標値Ipssはスイッチ56を介してプラズマ電源装置41に入力され、プラズマ電源装置41からはプラズマトーチ電流目標値Ipssを電流値とする電流が出力されてプラズマトーチ22(図1)に供給されることになる。
なお、スイッチ56は、本実施形態のプラズマ式灰溶融炉が動作している場合には「REMOTE」で使用されるが、「LOCAL」とすると、マニュアルで設定したプラズマトーチ電流目標値Ipssがプラズマ電源装置41に入力されるように構成されている。
以上の構成を有する本実施形態のプラズマ式灰溶融炉について、シミュレーションを行い、その結果を図3及び図4に示した。図3は、図1のプラズマ式灰溶融炉において、プラズマ出力を一定とし、本発明の制御を行わないで運転した場合のシミュレーションの結果を表している。また、図4は、図1のプラズマ式灰溶融炉において、本発明の制御を行い、プラズマ出力を補正しながら運転した場合のシミュレーションの結果を表している。図3及び図4におけるシミュレーションの初期値は、表2に示したとおりである。
本発明の制御を行わない図3の場合、プラズマ出力が一定なので時間とともに炉体冷却損失熱量Qlrが増加し、スラグ温度が低下してくることが分かる。これに対して、図4の本発明の制御を行ってプラズマ出力を補正した場合、炉体冷却損失熱量Qlrが徐々に増加するとプラズマ出力もこれに伴って徐々に増加し、スラグ温度の低下が抑制されることが分かる。
なお、上記実施形態では、補正値としてプラズマ出力補正値Qps1とプラズマ出力補正値Qps2との両方を求める場合について説明したが、本発明は、補正値としてプラズマ出力補正値Qps1のみを求める構成、即ち、図2において、スラグ温度・スラグ滞留量推定器48及び第2プラズマ出力補正値演算器50が存在しない構成とすることができる。この場合には、プラズマ出力基準値Qps0とプラズマ出力補正値Qps1との和であるプラズマ出力目標値Qpss1が除算器54に入力されてプラズマトーチ電流目標値Ipssが求められる。
また、本発明は、補正値としてプラズマ出力補正値Qps2のみを求める構成、即ち、図2において、第1プラズマ出力補正値演算器46が存在しない構成とすることができる。この場合には、プラズマ出力基準値Qps0とプラズマ出力補正値Qps2との和であるプラズマ出力目標値Qpss2が除算器54に入力されてプラズマトーチ電流目標値Ipssが求められる。
更に、本実施形態では、マトリックス52において、スラグ温度推定値Tsとスラグ滞留量推定値Wsとをそれぞれ3つのレベルに区分した場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、スラグ温度推定値Tsとスラグ滞留量推定値Wsとをそれぞれ2以上の複数に区分した構成とすることもできる。
本発明のプラズマ式灰溶融炉の制御方法及びプラズマ式灰溶融炉によれば、耐火材が経時変化してもスラグの出滓量が低下せず、しかも安定したスラグの出滓を確保し得るので、産業廃棄物の再利用の分野で利用することができる。
10 炉体
12 炉本体
14 炉蓋
15 冷却管
16 出滓口
18 灰供給機
22 プラズマトーチ
24 プラズマトーチ保持昇降装置
25 炉底電極
26 溶融スラグ層
28 溶融金属層
32 炉蓋温度計
34 炉内ITV
36 出滓口ITV
40 制御装置
41 プラズマ電源装置
42 プラズマ出力基準値演算器
44 炉体冷却損失熱量演算器
46 第1プラズマ出力補正値演算器
48 スラグ温度・スラグ滞留量推定器
50 第2プラズマ出力補正値演算器
52 マトリックス
54 除算器
56 スイッチ
12 炉本体
14 炉蓋
15 冷却管
16 出滓口
18 灰供給機
22 プラズマトーチ
24 プラズマトーチ保持昇降装置
25 炉底電極
26 溶融スラグ層
28 溶融金属層
32 炉蓋温度計
34 炉内ITV
36 出滓口ITV
40 制御装置
41 プラズマ電源装置
42 プラズマ出力基準値演算器
44 炉体冷却損失熱量演算器
46 第1プラズマ出力補正値演算器
48 スラグ温度・スラグ滞留量推定器
50 第2プラズマ出力補正値演算器
52 マトリックス
54 除算器
56 スイッチ
Claims (22)
- 炉体冷却手段を備えた炉体に連続投入される灰を、プラズマトーチにより加熱溶融してスラグとして排出するプラズマ式灰溶融炉の制御方法であって、
前記炉体冷却手段は、前記炉体の炉本体、炉蓋及び出滓口の冷却を行い、前記炉体冷却手段によって前記炉体から除去される炉体冷却損失熱量Qlrを前記炉本体、前記炉蓋及び前記出滓口における冷却損失熱量から求めるとともに、該炉体冷却損失熱量Qlrからプラズマ出力補正値Qps1を求め、該プラズマ出力補正値Qps1に基づいて前記プラズマトーチのプラズマ出力目標値Qpss1を求めることを特徴とするプラズマ式灰溶融炉の制御方法。 - 前記炉体冷却損失熱量Qlrは、前記炉体冷却手段の冷媒の比熱Cw、該冷媒の流量Gw、並びに該冷媒の前記炉体における入口温度Twi及び出口温度Twoに基づいて、下記の式
Qlr=Cw・Gw・(Two−Twi) …(1)
により求められることを特徴とする請求項1に記載のプラズマ式灰溶融炉の制御方法。 - 前記炉体に投入される灰の投入速度目標値Gashsに基づいてプラズマ出力基準値Qps0を求め、前記プラズマ出力基準値Qps0と前記プラズマ出力補正値Qps1との和を、前記プラズマトーチのプラズマ出力目標値Qpss1とすることを特徴とするプラズマ式灰溶融炉の制御方法。
- 炉体冷却手段を備えた炉体に連続投入される灰を、トーチ冷却手段を備えたプラズマトーチにより加熱溶融してスラグとして排出するプラズマ式灰溶融炉の制御方法であって、
前記炉体の内部におけるスラグ滞留量推定値Wsを、灰の投入速度Gash、及び所定の係数Ksにより表されるスラグ滞留量推定値Wsの変化率を表す下記の式
d(Ws)/dt=Gash−Ks・Ws …(2)
により推定するとともに、
前記炉体の内部におけるスラグ温度推定値Tsを、スラグ比熱Cs、プラズマトーチのプラズマ出力Qt、前記炉体冷却手段によって前記炉体から除去される炉体冷却損失熱量Qlr、前記トーチ冷却手段によって除去されるトーチ冷却損失熱量Qlt、前記炉体から排出されるスラグにより失われるスラグ持出熱量Qout、前記灰中に含まれる未燃分の燃焼及び前記灰とともに還元剤が前記炉体に投入される場合における該還元剤による発熱量Qc、及び前記炉体排出後の排出ガスに含まれる未燃分の燃焼による排ガス熱量Qgにより表される、前記炉体内の滞留スラグの熱量の変化率を表す下記の式
Cs・d(Ws・Ts)/dt=Qt+Qc−Qg−Qlt−Qout−Qlr …(3)
により求め、更に、
前記求めた前記スラグ滞留量推定値Ws及び前記スラグ温度推定値Tsに基づいてプラズマ出力補正値Qps2を求め、該プラズマ出力補正値Qps2と、前記炉体に投入される灰の投入速度目標値Gashsに基づいて求められたプラズマ出力基準値Qps0との和により、前記プラズマトーチのプラズマ出力目標値Qpss2を求めることを特徴とするプラズマ式灰溶融炉の制御方法。 - 前記炉体冷却損失熱量Qlrは、前記炉体冷却手段の冷媒の比熱Cw、該冷媒の流量Gw、並びに該冷媒の前記炉体における入口温度Twi及び出口温度Twoに基づいて、下記の式
Qlr=Cw・Gw・(Two−Twi) …(1)
により求められることを特徴とする請求項4に記載のプラズマ式灰溶融炉の制御方法。 - 前記スラグ温度推定値Ts及び前記スラグ滞留量推定値Wsの変化域をそれぞれ複数のレベルに区分する閾値を記憶し、前記スラグ温度推定値Ts及び前記スラグ滞留量推定値Wsと前記各閾値とを比較することにより、前記プラズマ出力補正値Qps2を求めることを特徴とする請求項4又は5記載のプラズマ式灰溶融炉の制御方法。
- 前記スラグ温度推定値Ts及び前記スラグ滞留量推定値Wsの変化域をそれぞれ複数のレベルに区分し縦横に配してマトリックスを構成し、該マトリックス上において、
前記スラグ温度推定値Tsのレベルと前記スラグ滞留量推定値Wsのレベルとが等しい場合には、前記プラズマ出力補正値Qps2をゼロに設定し、
前記スラグ温度推定値Tsのレベルが前記スラグ滞留量推定値Wsのレベルより低い場合にはそのレベル差に応じた大きさの正の値に前記プラズマ出力補正値Qps2を設定し、
前記スラグ温度推定値Tsのレベルが前記スラグ滞留量推定値Wsのレベルより高い場合にはそのレベル差に応じた大きさの絶対値を有する負の値に前記プラズマ出力補正値Qps2を設定する
ことを特徴とする請求項4又は5記載のプラズマ式灰溶融炉の制御方法。 - 前記プラズマ出力Qtは、前記プラズマトーチのトーチ電流At及びトーチ電圧Vt、並びに所定の係数Ktから、下記の式
Qt=At・Vt・Kt …(4)
により求められることを特徴とする請求項4乃至7の何れかに記載のプラズマ式灰溶融炉の制御方法。 - 前記トーチ冷却損失熱量Qltは、前記トーチ冷却手段の冷媒の比熱Cw、該冷媒の流量Gwt、該冷媒の前記トーチにおける入口温度Twit及び出口温度Twotに基づいて、下記の式
Qlt=Cw・Gwt(Twot−Twit) …(5)
により求められることを特徴とする請求項4乃至8の何れかに記載のプラズマ式灰溶融炉の制御方法。 - 前記スラグ持出熱量Qoutは、前記スラグ比熱Cs、及び所定の係数Ksとして、下記の式
Qout=Cs・Ks・Ws・Ts …(6)
により求められることを特徴とする請求項4乃至9の何れかに記載のプラズマ式灰溶融炉の制御方法。 - 前記排ガス熱量Qgは、排ガス比熱Cpg、排ガス流量Gg、及び排ガス温度Tgとして、以下の式
Qg=Cpg・Gg・Tg …(7)
により求められることを特徴とする請求項4乃至10の何れかに記載のプラズマ式灰溶融炉の制御方法。 - 連続投入される灰を貯留するとともに溶融後のスラグを排出する炉体と、
前記炉体炉本体、炉蓋及び出滓口を冷却する炉体冷却手段と、
灰を溶融させるためのプラズマを発生させるプラズマトーチと、
該プラズマトーチの出力を調整する制御手段と、
を備えたプラズマ式灰溶融炉であって、
前記制御手段は、前記炉体冷却手段によって除去される炉体冷却損失熱量Qlrを前記炉本体、前記炉蓋及び前記出滓口における冷却損失熱量から求めるとともに、該炉体冷却損失熱量Qlrからプラズマ出力補正値Qps1を求め、該プラズマ出力補正値Qps1に基づいて前記プラズマトーチのプラズマ出力目標値Qpss1を求めることを特徴とするプラズマ式灰溶融炉。 - 前記制御手段は、前記炉体冷却手段の前記冷媒の比熱Cw、該冷媒の流量Gw、並びに前記炉体冷却手段の冷媒の前記炉体における入口温度Twi及び出口温度Twoに基づいて、下記の式
Qlr=Cw・Gw・(Two−Twi) …(1)
により前記炉体冷却損失熱量Qlrを求める炉体冷却損失熱量演算手段と、
該炉体冷却損失熱量演算手段により求められた前記炉体冷却損失熱量Qlrから前記プラズマ出力補正値Qps1を求める第1プラズマ出力補正値演算手段と、
を備えていることを特徴とする請求項12記載のプラズマ式灰溶融炉。 - 前記制御手段は、前記炉体に投入される灰の投入速度目標値Gashsからプラズマ出力基準値Qps0を求めるプラズマ出力基準値演算手段を更に備え、該プラズマ出力基準値演算手段により求められたプラズマ出力基準値Qps0と前記プラズマ出力補正値Qps1との和を、前記プラズマトーチのプラズマ出力目標値Qpss1とすることを特徴とする請求項12又は13記載のプラズマ式灰溶融炉。
- 連続投入される灰を貯留するとともに溶融後のスラグを排出する炉体と、
前記炉体を冷却する炉体冷却手段と、
灰を溶融させるためのプラズマを発生させるプラズマトーチと、
前記プラズマトーチを冷却するトーチ冷却手段と、
該プラズマトーチの出力を調整する制御手段と、
を備えたプラズマ式灰溶融炉であって、
前記制御手段は、
前記炉体内部におけるスラグ滞留量推定値Wsを、灰の投入速度Gash、及び所定の係数Ksにより表されるスラグ滞留量推定値Wsの変化率を表す下記の式
d(Ws)/dt=Gash−Ks・Ws …(2)
により推定するスラグ滞留量推定手段と、
前記炉体の内部におけるスラグ温度推定値Tsを、スラグ比熱Cs、プラズマ出力Qt、前記炉体冷却手段によって除去される炉体冷却損失熱量Qlr、前記トーチ冷却手段によって除去されるトーチ冷却損失熱量Qlt、前記炉体から排出されるスラグにより失われるスラグ持出熱量Qout、前記灰中に含まれる未燃分の燃焼及び前記灰とともに還元剤が前記炉体に投入される場合における該還元剤による発熱量Qc、及び前記炉体排出後の排出ガスに含まれる未燃分の燃焼による排ガス熱量Qgにより表される、前記炉体内の滞留スラグの熱量の変化率を表す下記の式
Cs・d(Ws・Ts)/dt=Qt+Qc−Qg−Qlt−Qout−Qlr …(3)
により推定するスラグ温度推定手段と、
前記推定した前記スラグ滞留量推定値Ws及び前記スラグ温度推定値Tsに基づいてプラズマ出力補正値Qps2を求める第2プラズマ出力補正値演算手段と、を更に備え、
前記制御手段は、該求められたプラズマ出力補正値Qps2と、前記炉体に投入される灰の投入速度目標値Gashsに基づいて求められたプラズマ出力基準値Qps0との和により、前記プラズマトーチのプラズマ出力目標値Qpss2を求めることを特徴とするプラズマ式灰溶融炉。 - 前記炉体冷却損失熱量Qlrは、前記炉体冷却手段の冷媒の比熱Cw、該冷媒の流量Gw、並びに前記炉体冷却手段の冷媒の前記炉体における入口温度Twi及び出口温度Twoに基づいて、下記の式
Qlr=Cw・Gw・(Two−Twi) …(1)
により求められることを特徴とする請求項15記載のプラズマ式灰溶融炉。 - 前記第2プラズマ出力補正値演算手段は、前記スラグ温度推定値Ts及び前記スラグ滞留量推定値Wsの変化域をそれぞれ複数のレベルに区分する閾値を記憶し、前記スラグ温度推定値Ts及び前記スラグ滞留量推定値Wsと前記各閾値とを比較することにより、前記プラズマ出力補正値Qps2を求めることを特徴とする請求項15又は16記載のプラズマ式灰溶融炉。
- 前記第2プラズマ出力補正値演算手段は、前記スラグ温度推定値Ts及び前記スラグ滞留量推定値Wsの変化域をそれぞれ複数のレベルに区分し縦横に配して構成したマトリックスを備え、該マトリックス上において、
前記スラグ温度推定値Tsのレベルと前記スラグ滞留量推定値Wsのレベルとが等しい場合には、前記プラズマ出力補正値Qps2をゼロに設定し、
前記スラグ温度推定値Tsのレベルが前記スラグ滞留量推定値Wsのレベルより低い場合にはそのレベル差に応じた大きさの正の値に前記プラズマ出力補正値Qps2を設定し、
前記スラグ温度推定値Tsのレベルが前記スラグ滞留量推定値Wsのレベルより高い場合にはそのレベル差に応じた大きさの絶対値を有する負の値に前記プラズマ出力補正値Qps2を設定する
ことを特徴とする請求項15又は16記載のプラズマ式灰溶融炉。 - 前記スラグ温度推定手段は、前記プラズマ出力Qtを、前記プラズマトーチのトーチ電流At及びトーチ電圧Vt、並びに所定の係数Ktから、下記の式
Qt=At・Vt・Kt …(4)
により求めることを特徴とする請求項15乃至18の何れかに記載のプラズマ式灰溶融炉。 - 前記スラグ温度推定手段は、前記トーチ冷却損失熱量Qltを、前記トーチ冷却手段の冷媒の比熱Cw、該冷媒の流量Gwt、該冷媒の前記トーチにおける入口温度Twit及び出口温度Twotに基づいて、下記の式
Qlt=Cw・Gwt(Twot−Twit) …(5)
により求めることを特徴とする請求項15乃至19の何れかに記載のプラズマ式灰溶融炉。 - 前記スラグ温度推定手段は、前記スラグ比熱Cs、及び所定の係数Ksとし、下記の式
Qout=Cs・Ks・Ws・Ts …(6)
により表わされる前記スラグ持出熱量Qoutを用いることを特徴とする請求項15乃至20の何れかに記載のプラズマ式灰溶融炉。 - 前記排ガス熱量Qgは、排ガス比熱Cpg、排ガス流量Gg、及び排ガス温度Tgとして、以下の式
Qg=Cpg・Gg・Tg …(7)
により求められることを特徴とする請求項15乃至21の何れかに記載のプラズマ式灰溶融炉。
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JP2007229066A JP2008309461A (ja) | 2007-09-04 | 2007-09-04 | プラズマ式灰溶融炉の制御方法及びプラズマ式灰溶融炉 |
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---|---|---|---|---|
KR20150006886A (ko) * | 2012-05-09 | 2015-01-19 | 오토텍 (핀랜드) 오와이 | 현탁물 용융로에서 부산물을 제거하는 방법과 장치 |
CZ306344B6 (cs) * | 2011-11-16 | 2016-12-14 | Vysoká Škola Báňská Technická - Univerzita Ostrava | Plazmová pec s horizontálním krystalizátorem |
-
2007
- 2007-09-04 JP JP2007229066A patent/JP2008309461A/ja active Pending
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