JP2008308104A - 空気入りタイヤ及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ユニフォミティに優れるタイヤ2及びその製造方法の提供。
【解決手段】本発明に係る空気入りタイヤ2は、一対のビード8と、両ビード8の間に架け渡されたカーカス10とを備えている。このカーカス10は、カーカスプライ26を備えている。このカーカスプライ26は、多数のコード32を備えている。これらのコード32は、周方向に並んで配列されている。一のコード32と、この一のコード32に隣り合う他のコード32との間の間隔36は、交互に幅広と幅狭とにされている。この幅広の間隔36(幅狭部38の幅)の、この幅狭の間隔36(幅狭部40の幅)に対する比は、1.1以上1.8以下である。好ましくは、このタイヤ2では、上記幅狭の間隔36(幅狭部40の幅)の、上記コード32の外径に対する比は、0.2以上1.0以下である。
【選択図】図2

Description

本発明は、空気入りタイヤ及びその製造方法に関する。
タイヤは、グリーンタイヤから得られる。このグリーンタイヤは、多数のゴム部材が積層されて得られる。この工程は、成形工程と称される。ゴム部材の具体例としては、インナーライナー、カーカスプライ、サイドウォール用ゴムシート、ベルトプライ、トレッド用ゴムシート等が挙げられる。このグリーンタイヤは、モールド内で加圧及び加熱される。加圧及び加熱により、グリーンタイヤのゴム組成物は流動する。加熱により、ゴム組成物において架橋反応が起こる。この工程は、加硫工程と称される。
ラジアル構造のカーカスを備えたタイヤでは、カーカスプライは、多数のコードとトッピングゴムとからなる。このカーカスプライは、通常これらのコードが簾状に織られた簾織物に、トッピングゴムが貼り付けられた後、適切な長さに裁断されて得られる。次に、このカーカスプライは、トレッド用ゴムシート、サイドウォール用ゴムシート、ベルトプライ等のような他のゴム部材と共にフォーマーに供給されて、これらのゴム部材がアッセンブリーされてグリーンタイヤが得られる。この工程は、成形工程と称される。この成形工程において、このカーカスプライは、その幅方向と周方向とが一致するように巻かれて、両端が繋がれる。
生産コストが考慮されて、短冊状の、多数のコードとトッピングゴムとからなるシートが、その幅方向とタイヤの周方向とが一致するように繋がれて、カーカスプライが形成されうる工程を含んだタイヤの製造方法が採用されつつある。この製造方法の一例が、特開平4−66302号公報に開示されている。
特開平4−66302号公報
前述したように、成形工程において、多数のコードからなる簾織物にトッピングゴムが貼り付けられたカーカスプライが用いられるタイヤの製造方法では、カーカスプライがその幅方向とタイヤの周方向とが一致するように巻かれてその両端が繋がれる。このタイヤには、このカーカスプライの両端が繋がれて形成された1の連結部が存在する。このカーカスプライに配列されるコードは通常、等間隔で配列される。このため、この連結部は、この連結部以外のコード密度に比べて大きなコード密度を有する。この連結部は、周方向において特異である。このような連結部を有するタイヤは、ユニフォミティに劣る。このカーカスプライの幅は、タイヤにおけるカーカスプライの周長と一致する。タイヤのサイズに合わせて、このカーカスプライの幅は調整される。量産工場では、様々なサイズを有するタイヤが製造される。量産工場では、様々な幅を有するカーカスプライが準備されなければならない。この製造方法では、このカーカスプライは、材料の準備、簾織物の形成、簾織物とトッピングゴムとの貼り付け等のような工程を経て得られる。このため、各工程間において多数の中間在庫が生じてしまう。タイヤの量産工場では、これらの中間在庫の管理をする必要がある。この管理には、コストがかかる。このようなタイヤの製造方法は、タイヤの生産性に劣る。
短冊状のシートからカーカスプライが得られるタイヤの製造方法では、タイヤのサイズに合わせて、繋がれるシートの枚数が調整されうる。この製造方法が用いられることにより、中間在庫が削減されうる。この製造方法は、タイヤの生産性に優れる。一方、この製造方法では多数のシートが繋がれてカーカスプライが得られるので、このカーカスプライにはシート同士を繋げて形成された連結部が多数存在する。この連結部が、コードを重ねることなくシート同士を繋げて形成される場合がある。この場合、この連結部の強度は、プライを構成するトッピングゴムのグリーン強度のみに依存する。この連結部は、不安定である。このような連結部を備えたタイヤには、バルジが発生する。この連結部が、その安定性が考慮されて、それぞれのシートの端にあるコードを厚み方向に重ねつつシート同士が繋げられて形成される場合がある。シートには、通常等間隔でコードが配列されているので、この連結部にある2本のコードの間隔は狭い。この連結部のコード密度は、この連結部以外のコード密度に比べて大きい。この連結部は、特異である。このような連結部を有するタイヤは、ユニフォミティに劣る。この製造方法では、連結部の安定性を保持しつつ、ユニフォミティに優れるタイヤを得ることは難しい。
本発明の目的は、ユニフォミティに優れるタイヤ及びその製造方法の提供にある。
本発明に係る空気入りタイヤは、一対のビードと、両ビードの間に架け渡されたカーカスとを備えている。このカーカスは、カーカスプライを備えている。このカーカスプライは、多数のコードを備えている。これらのコードは、周方向に並んで配列されている。一のコードと、この一のコードに隣り合う他のコードとの間の間隔は、交互に幅広と幅狭とにされている。この幅広の間隔の、この幅狭の間隔に対する比は、1.1以上1.8以下である。
好ましくは、このタイヤでは、上記幅狭の間隔の、上記コードの外径に対する比は、0.2以上1.0以下である。
本発明に係る空気入りタイヤの製造方法は、
(1)多数のコードとトッピングゴムとからなり、これらのコードが幅方向に並んで配列されており、一のコードと、この一のコードに隣り合う他のコードとの間隔が交互に幅広と幅狭とにされており、その端に位置するコードと、このコードの幅方向内側に位置するコードとの間の間隔が幅広とされており、この幅広の間隔のこの幅狭の間隔に対する比が1.1以上1.8以下であるシートが押し出されて成形される工程と、
(2)多数のシートがその幅方向とタイヤの周方向とが一致するように順次繋がれてカーカスプライを形成して、グリーンタイヤが得られる工程と
を含んでいる。一のシートと他のシートとが繋がれている領域において、それぞれのシートの、厚み方向に重複しているコードの本数は、1本以下である。
好ましくは、この製造方法では、上記シートの幅は、10mm以上50mm以下である。
好ましくは、この製造方法では、上記シートの厚みの中心と、このシートに配置される上記コードの中心との厚み方向の距離は、0mm以上0.8mm以下である。
このタイヤでは、カーカスプライが、多数のシートがこのシートの幅方向とタイヤの周方向とが一致するように順次繋げられて得られる。このタイヤでは、タイヤ製造時に発生する中間在庫は少ない。このタイヤでは、この中間在庫を管理するためのコストが削減されうる。このタイヤは、生産性に優れる。このタイヤの、2枚のシートが繋げられて得られる連結部が、カーカスプライの特異な部分とならないように、シートに含まれるコードが予め配列されている。このタイヤは、ユニフォミティに優れる。このタイヤでは、この連結部に起因するバルジの発生が防止される。この連結部が安定に保持されうるので、このタイヤの良品率は高い。このタイヤの製造方法は、ユニフォミティに優れるタイヤを安定に製造しうる。
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
図1は、本発明の一実施形態に係る空気入りタイヤ2の一部が示された断面図である。この図1において、上下方向が半径方向であり、左右方向が軸方向であり、紙面との垂直方向が周方向である。このタイヤ2は、図1中の一点鎖線CLを中心としたほぼ左右対称の形状を呈する。この一点鎖線CLは、タイヤ2の赤道面を表す。このタイヤ2は、トレッド4、サイドウォール6、ビード8、カーカス10、ベルト12、インナーライナー14及びチェーファー16を備えている。このタイヤ2は、チューブレスタイプである。このタイヤ2は、乗用車に装着される。
トレッド4は、耐摩耗性に優れた架橋ゴムからなる。トレッド4は、半径方向外向きに凸な形状を呈している。トレッド4は、トレッド面18を備えている。このトレッド面18は、路面と接地する。トレッド面18には、溝20が刻まれている。この溝20により、トレッドパターンが形成されている。トレッド4に溝20が刻まれなくてもよい。
サイドウォール6は、トレッド4の端から半径方向略内向きに延びている。このサイドウォール6は、架橋ゴムからなる。サイドウォール6は、撓みによって路面からの衝撃を吸収する。さらにサイドウォール6は、カーカス10の外傷を防止する。
ビード8は、サイドウォール6よりも半径方向略内側に位置している。ビード8は、コア22と、このコア22から半径方向外向きに延びるエイペックス24とを備えている。コア22は、リング状である。コア22は、複数本の非伸縮性ワイヤー(典型的にはスチール製ワイヤー)を含む。エイペックス24は、半径方向外向きに先細りである。エイペックス24は、高硬度な架橋ゴムからなる。
カーカス10は、カーカスプライ26からなる。このカーカスプライ26は、両側のビード8の間に架け渡されており、トレッド4及びサイドウォール6の内側に沿っている。このカーカスプライ26は、コア22の周りを、軸方向内側から外側に向かって折り返されている。
ベルト12は、カーカス10の半径方向外側に位置している。ベルト12は、カーカス10と積層されている。ベルト12は、カーカス10を補強する。ベルト12は、内側プライ28及び外側プライ30からなる。図示されていないが、内側プライ28及び外側プライ30のそれぞれは、並列された多数のコードとトッピングゴムとからなる。各コードは、赤道面に対して傾斜している。傾斜角度の絶対値は、10°以上35°以下である。内側プライ28のコードの傾斜方向は、外側プライ30のコードの傾斜方向とは逆である。内側プライ28と外側プライ30とは、いわゆるクロスプライ構造を構成する。コードの好ましい材質は、スチールである。コードに、有機繊維が用いられてもよい。
インナーライナー14は、カーカス10の内周面に接合されている。インナーライナー14は、架橋ゴムからなる。インナーライナー14には、空気遮蔽性に優れたゴムが用いられている。インナーライナー14は、タイヤ2の内圧を保持する役割を果たす。
チェーファー16は、ビード8の近傍に位置している。タイヤ2がリムに組み込まれると、このチェーファー16がリムと当接する。この当接により、ビード8の近傍が保護される。このチェーファー16は、ゴム単体からなる。なお、布とこの布に含浸したゴムとからなるチェーファー16が用いられてもよい。
図2は、図1のタイヤ2の赤道面CLに沿った一部拡大断面図である。この図2には、カーカス10と、ベルト12と、インナーライナー14とが示されている。矢印線Aは、タイヤ2の周方向を表す。このカーカス10のカーカスプライ26は、多数のコード32とトッピングゴム34とからなる。各コード32が赤道面に対してなす角度の絶対値は、通常は70°から90°である。換言すれば、このカーカス10はラジアル構造を有する。このタイヤ2では、この角度の絶対値は、90°である。
図2に示されているように、これらのコード32は周方向に並んで配列されている。一のコード32と、この一のコード32に隣り合う他のコード32との間の間隔36は、交互に幅広と幅狭とにされている。このタイヤ2では、この幅広の間隔36は幅広部38と称される。この幅狭の間隔36は、幅狭部40と称される。
図3は、加硫工程前のカーカスプライ26の一部が示された部分拡大斜視図である。この図3において、矢印線Aはタイヤ2の周方向である。このタイヤ2では、カーカスプライ26は多数の短冊状のシート42から形成される。図示されているように、このシート42の幅方向がタイヤ2の周方向に一致するように、これらのシート42は周方向に並べられる。
図示されているように、シート42は、多数のコード32とトッピングゴム34とからなる。これらのコード32は、シート42の幅方向に並んで配列される。このシート42において、一のコード32と、この一のコード32に隣り合う他のコード32のとの間の間隔36は、交互に幅広と幅狭とにされている。このシート42の端に位置するコード32aと、このコード32aの幅方向内側に位置する別のコード32bとの間の間隔36は、幅広とされる。このタイヤ2のシート42において、この幅広の間隔36は、幅広部38bと称される。この幅狭の間隔36は、幅狭部40bと称される。なお、このタイヤ2のカーカスプライ26はこれらのシート42からなるので、この幅広部38bは前述したタイヤ2のカーカス10に設けられる幅広部38aに一致する。この幅狭部40も、前述したタイヤ2のカーカス10に設けられる幅狭部40aに一致する。この明細書では、幅狭部40とこの幅狭部40の幅方向外側に位置する2本のコード32とを含む領域は、コード群44と称される。従って、このコード群44では、2本のコード32が一対とされている。
図示されているように、シート42には、その両端に1本のコード32と、このコード32の内側に、複数のコード群44とが配置される。従って、このシート42に含まれるコード32の本数は、偶数で示される。
図4は、シート42同士が連結されている状況が示された拡大断面図である。この図4において、矢印線Aはシート42の幅方向を表している。前述したように、このシート42の幅方向は、タイヤ2の周方向と一致する。
このタイヤ2では、一のシート42の端と、他のシート42の端とが重ねられて、これらのシート42は繋げられる。換言すれば、このタイヤ2では、カーカスプライ26は、多数のシート42が順次繋がれて形成されている。この明細書では、このシート42同士が繋げられている領域は連結部46と称される。なお、この一のシート42の端と、他のシート42の端とがつきあわされて、これらのシート42が繋げられてもよい。
図示されているように、連結部46では、一のシート42の端に位置するコード32と、他のシート42の端に位置するコード32とが、シート42の厚み方向に重ねられている。この連結部46は、安定である。このようにして連結部46が形成されることにより、この連結部46にある2本のコード32の間の間隔36が幅狭とされたタイヤ2が得られる。図示されていないが、このタイヤ2におけるこの連結部46に相当する箇所の構成は、前述したコード群44の構成と略一致する。図2に示されているように、タイヤ2のカーカスプライ26におけるコード32の配列に、特異な配列は形成されない。換言すれば、このタイヤ2では、連結部46がカーカスプライ26の特異な部分とならないように、シート42に含まれるコード32が予め配列されている。このタイヤ2は、ユニフォミティに優れる。このタイヤ2では、この連結部46に起因するバルジの発生が防止される。
このタイヤ2では、連結部46におけるシート42同士の重なり合いが充分に確保されうる。従って、この連結部46は、安定に保持されうる。このようにして製造されるタイヤ2の良品率は、高い。
このタイヤ2では、カーカスプライ26が、多数のシート42がこのシート42の幅方向とタイヤ2の周方向とが一致するように順次繋げられて得られる。このタイヤ2では、タイヤ製造時に発生する中間在庫は少ない。このタイヤ2では、この中間在庫を管理するためのコストが削減されうる。このタイヤ2は、生産性に優れる。このタイヤ2の製造方法は、ユニフォミティに優れるタイヤ2を安定に製造しうる。
このタイヤ2では、連結部46において、一のシート42の端がコード32を含んでおり、他のシート42の端がコード32を含んでいない場合、この連結部46のコード密度は低下する。低いコード密度は、タイヤ2にバルジを招来する。この観点から、連結部46にある一のシート42及び他のシート42に配置されるコード32の本数は、それぞれ1本以上であるのが好ましい。
このタイヤ2では、連結部46において、一のシート42の、他のシート42のコード32と厚み方向に重複しているコード32の本数は、ジョイント本数と称される。このジョイント本数が2本以上とされると、高いコード密度を有する連結部46が形成される。このような連結部46は、タイヤ2のユニフォミティに影響を与える。この観点から、このタイヤ2では、このジョイント本数は1本以下である。なお、連結部46が、一方のシート42の端と他方のシート42の端とがつきあわされて形成されている場合、このジョイント本数は0本である。
このタイヤ2が得られるには、まず、多数のコード32とトッピングゴム34とからなるシート42が押し出されつつ成形される。多数のシート42が得られると、これらのシート42の端が順次繋がれて1枚のカーカスプライ26が形成される。次に、このカーカスプライ26がフォーマーへ供給される。このフォーマーには、他の部材も供給される。この他の部材としては、インナーライナー14、ベルト12プライ、サイドウォール6、トレッド4用ゴムシート等が挙げられる。フォーマーにおいてこれらのゴム部材がアッセンブリーされて、グリーンタイヤが得られる。このグリーンタイヤが得られる工程は、成形工程と称される。なお、このフォーマーにおいて、多数のシート42が周方向に並べられつつ、これらのシート42が繋げられてカーカスプライ26が形成されてもよい。
次に、グリーンタイヤは加硫工程に供される。加硫工程では、まずこのグリーンタイヤが、開かれたモールドに投入される。投入のとき、ブラダーは収縮している。投入により、ブラダーはグリーンタイヤの内側に位置する。次に、ガスの充填によりブラダーが膨張する。この膨張により、グリーンタイヤは変形する。この変形は、シェーピングと称されている。次に、モールドが締められる。次に、ブラダーの内圧が高められる。グリーンタイヤは、モールドのキャビティ面とブラダーの外面とに挟まれて、加圧される。グリーンタイヤは、ブラダー及びモールドからの熱伝導により、加熱される。加圧と加熱とにより、グリーンタイヤのゴム組成物が流動する。加熱によりゴム組成物が架橋反応を起こし、タイヤ2が得られる。
図2において、両矢印線DAはコード32の外径を表している。両矢印線WAは、幅広の間隔36(幅広部38aの幅)を表している。両矢印線WBは、幅狭の間隔36(幅狭部40aの幅)を表している。この外径DA、幅WA及び幅WBは、コード32の長手方向に対して垂直な断面において計測される。このタイヤ2では、この外径DAは0.96mmである。
このタイヤ2では、幅WAの、幅WBに対する比は、1.1以上1.8以下である。この比が1.1以上に設定されることにより、カーカスプライ26のコード32の配列に特異な部分は形成されない。このタイヤ2は、ユニフォミティに優れる。この観点から、この比は1.2以上がより好ましく、1.4以上が特に好ましい。この比が1.8以下に設定されることにより、カーカスプライ26のコード密度が適切に維持されうる。このタイヤ2では、バルジは生じない。この観点から、この比は1.7以下がより好ましく、1.6以下が特に好ましい。
このタイヤ2では、幅WBの、外径DAに対する比は、0.2以上1.0以下である。この比が0.2以上に設定されることにより、幅狭の間隔36にトッピングゴム34が適切に充填されて、カーカスプライ26の剛性が維持されうる。このタイヤ2は、耐久性に優れる。この観点から、この比は0.3以上がより好ましく、0.4以上が特に好ましい。この比が1.0以下に設定されることにより、幅WAが適切に維持されうる。カーカスプライ26のコード密度が適切に維持されうるので、このタイヤ2にバルジは生じない。この観点から、この比は0.9以下がより好ましく、0.8以下が特に好ましい。
図4において、両矢印線DAはコード32の外径を表している。両矢印線WCは、幅広の間隔36(幅広部38bの幅)を表している。両矢印線WDは、幅狭の間隔36(幅狭部40bの幅)を表している。両矢印線LAは、シート42の厚みの中心と、このシート42に配置されるコード32の中心との厚み方向の距離を表している。この外径DA、幅WC、幅WD及び距離LAは、コード32の長手方向に対して垂直な断面において計測される。なお、図4中、一点鎖線L1はシート42の厚み中心を通る直線である。一点鎖線L2は、コード32の中心を通る直線である。
このタイヤ2では、幅WCの、幅WDに対する比は、1.1以上1.8以下である。この比が1.1以上に設定されることにより、カーカスプライ26のコード32の配列に特異な部分は形成されない。このタイヤ2は、ユニフォミティに優れる。この観点から、この比は1.2以上がより好ましく、1.4以上が特に好ましい。この比が1.8以下に設定されることにより、カーカスプライ26のコード密度が適切に維持されうる。このタイヤ2では、バルジは生じない。この観点から、この比は1.7以下がより好ましく、1.6以下が特に好ましい。
このタイヤ2では、幅WDの、外径DAに対する比は、0.2以上1.0以下である。この比が0.2以上に設定されることにより、幅狭の間隔36にトッピングゴム34が適切に充填されて、カーカスプライ26の剛性が維持されうる。このタイヤ2は、耐久性に優れる。この観点から、この比は0.3以上がより好ましく、0.4以上が特に好ましい。この比が1.0以下に設定されることにより、幅WAが適切に維持されうる。カーカスプライ26のコード密度が適切に維持されうるので、このタイヤ2にバルジは生じない。この観点から、この比は0.9以下がより好ましく、0.8以下が特に好ましい。
このタイヤ2では、その厚みの中心にコード32が位置するシート42が用いられると、タイヤ2のカーカスプライ26におけるコード32の配列に乱れは生じない。このタイヤ2は、ユニフォミティに優れる。この観点から、この距離LAは0mmが特に好ましい。オープンスレッドの発生が防止されるという観点から、この距離LAは、0.8mm以下であるのが好ましい。従って、この距離LAは0mm以上0.8mm以下であるのが好ましい。
このタイヤ2では、カーカスプライ26のコード32は、通常は有機繊維からなる。好ましい有機繊維としては、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。
本発明では、タイヤ2の各部材の寸法及び角度は、タイヤ2が正規リムに組み込まれ、正規内圧となるようにタイヤ2に空気が充填された状態で測定される。測定時には、タイヤ2には荷重がかけられない。本明細書において正規リムとは、タイヤ2が依拠する規格において定められたリムを意味する。JATMA規格における「標準リム」、TRA規格における「Design Rim」、及びETRTO規格における「Measuring Rim」は、正規リムである。本明細書において正規内圧とは、タイヤ2が依拠する規格において定められた内圧を意味する。JATMA規格における「最高空気圧」、TRA規格における「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に掲載された「最大値」、及びETRTO規格における「INFLATION PRESSURE」は、正規内圧である。便宜上、乗用車用タイヤ2の内圧は180kPaに設定される。
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
[実施例1]
多数のシートを繋げて、図3及び図4に示された基本構成を備えており下記表1に示された仕様のカーカスプライを形成して、図1及び図2に示された基本構成を備えた実施例1のタイヤを得た。このタイヤのサイズは、215/45R17である。このカーカスプライにおいて、幅広の間隔(幅広部の幅)WCの、コード外径DAに対する比(WC/DA)は、1.5である。幅狭の間隔(幅狭部の幅)WDの、コード外径DAに対する比(WD/DA)は、1.0である。従って、幅WCの、幅WDに対する比(WC/WD)は、1.5である。シートの厚みの中心と、このシートに配置されるコードの中心との厚み方向の距離LAは、0mmである。ジョイント本数は、1本である。このシートの幅は、41mmである。このシートの厚みは、1.20mmである。このシートは、40本のコードを備えている。このコードの外径は、0.96mmである。このコードは、ナイロン繊維からなる。このコードの繊度は、1670dtex/2である。なお、このカーカスプライを備えたグリーンタイヤからこのタイヤが得られるので、このタイヤのカーカスプライにおいて、幅広の間隔(幅広部の幅)WAの、コード外径DAに対する比(WA/DA)は、1.5である。幅狭の間隔(幅狭部の幅)WBの、コード外径DAに対する比(WB/DA)は、1.0である。従って、幅WAの、幅WBに対する比(WA/WB)は、1.5である。
[比較例1及び3並びに実施例2、8及び9]
比(WC/DA)及び比(WD/DA)を調節して比(WC/WD)を下記表1及び表2の通りとした他は、実施例1のタイヤと同様にして、タイヤを得た。なお、比較例1は、従来の製造方法で製造された従来のタイヤである。
[実施例5及び6]
距離LAを下記表2の通りとした他は、実施例1のタイヤと同様にして、タイヤを得た。
[実施例4]
ジョイント本数を下記表1の通りとした他は、実施例1のタイヤと同様にして、タイヤを得た。なお、このタイヤのカーカスプライは、一のシートの端と他のシートの端とがつきあわされてシート同士が繋がれて形成されている。
[実施例3及び実施例7]
比(WC/WD)及び距離LAを下記表1及び表2の通りとした他は、実施例1のタイヤと同様にして、タイヤを得た。
[比較例2]
比(WC/DA)、距離LA及びジョイント本数を下記表1の通りとした他は、実施例1のタイヤと同様にして、タイヤを得た。
[ユニフォミティ評価]
上記仕様のタイヤを各100本ずつ試作し、これらのタイヤのユニフォミティを計測した。ユニフォミティはドラム試験機を用い、JASO C607:2000のユニフォミティ試験条件に準拠して、ラジアルフォースバリエーション(RFV)及びトラクティブフォースバリエーション(TFV)を計測した。結果は、比較例1の結果を100とした指数値で示されている。この数値が小さいほど、良好であることが示される。この結果が、下記の表1及び表2に示されている。
[量産試作評価]
上記仕様のタイヤを各100本ずつ試作したときの、バルジ及びオープンスレッドの発生状況並びにグリーンタイヤのスクラップ本数が調査された。バルジについては5点が満点とされた指数値で、その評価結果が表されている。この指数値が5点に近い程、良好であることが示される。オープンスレッドについては発生の有無で、その評価結果が示されている。これらの結果が、表1及び表2に示されている。
Figure 2008308104
Figure 2008308104
表1及び表2に示されるように、実施例のタイヤはユニフォミティに優れている。このタイヤでは、バルジの発生が抑えられている。この評価結果から、本発明の優位性は明らかである。
本発明に係る空気入りタイヤは、種々の車両に装着されうる。
図1は、本発明の一実施形態に係る空気入りタイヤの一部が示された断面図である。 図2は、図1のタイヤの赤道面に沿った断面図である。 図3は、加硫工程前のカーカスプライの一部が示された部分拡大斜視図である。 図4は、シート同士が連結されている状況が示された拡大断面図である。
符号の説明
2・・・タイヤ
4・・・トレッド
6・・・サイドウォール
8・・・ビード
10・・・カーカス
12・・・ベルト
14・・・インナーライナー
16・・・チェーファー
18・・・トレッド面
20・・・溝
22・・・コア
24・・・エイペックス
26・・・カーカスプライ
28・・・内側プライ
30・・・外側プライ
32、32a、32b・・・コード
34・・・トッピングゴム
36・・・間隔
38、38a、38b・・・幅広部
40、40a、40b・・・幅狭部
42・・・シート
44・・・コード群
46・・・連結部

Claims (5)

  1. 一対のビードと、両ビードの間に架け渡されたカーカスとを備えており、
    このカーカスが、カーカスプライを備えており、
    このカーカスプライが、多数のコードを備えており、
    これらのコードが、周方向に並んで配列されており、
    一のコードと、この一のコードに隣り合う他のコードとの間の間隔が、交互に幅広と幅狭とにされており、
    この幅広の間隔の、この幅狭の間隔に対する比が、1.1以上1.8以下である空気入りタイヤ。
  2. 上記幅狭の間隔の、上記コードの外径に対する比が、0.2以上1.0以下である請求項1に記載のタイヤ。
  3. 多数のコードとトッピングゴムとからなり、これらのコードが幅方向に並んで配列されており、一のコードと、この一のコードに隣り合う他のコードとの間隔が交互に幅広と幅狭とにされており、その端に位置するコードと、このコードの幅方向内側に位置するコードとの間の間隔が幅広とされており、この幅広の間隔のこの幅狭の間隔に対する比が1.1以上1.8以下であるシートが押し出されて成形される工程と、
    多数のシートがその幅方向とタイヤの周方向とが一致するように順次繋がれてカーカスプライを形成して、グリーンタイヤが得られる工程とを含んでおり、
    一のシートと他のシートとが繋がれている領域において、それぞれのシートの、厚み方向に重複しているコードの本数が、1本以下である空気入りタイヤの製造方法。
  4. 上記シートの幅が、10mm以上50mm以下である請求項3に記載の製造方法。
  5. 上記シートの厚みの中心と、このシートに配置される上記コードの中心との厚み方向の距離が、0mm以上0.8mm以下である請求項3又は4に記載の製造方法。
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