JP2008306888A - 電力変換装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】各相毎に3つの半導体スイッチを備え、1つの直流電圧源から2つの三相交流電圧を出力するという特有の構成および動作に起因する点で共通する問題点を解決するためになされたものであり、低コストで構成でき、また、中段スイッチのスイッチング損失が特に大きくなることがない、また、短絡防止期間を設けても電圧指令に一致した電圧出力が得られ、更に、電圧利用率を高く取れる電力変換装置を得ることを目的としている。
【解決手段】U相中段スイッチ8、V相中段スイッチ11およびW相中段スイッチ14の電流容量を、U相上段、下段スイッチ7、9、V相上段、下段スイッチ10、12およびW相上段、下段スイッチ13、15の電流容量より小さく設定した。
【選択図】図1

Description

この発明は、各相毎に3つの半導体スイッチを備え、1つの直流電圧源から2つの三相交流電圧を出力する電力変換装置に関するものである。
電動機などの三相交流負荷を2台駆動するためには、従来の方式では、2台の電力変換装置が必要であった。これに対し、例えば、特許文献1では、小型化、軽量化、低価格化等の観点から、1台の電力変換装置で2台の電動機をそれぞれ独立に制御する技術が提案されている。この電力変換装置は10個の半導体スイッチを有している。
更に、10個の半導体スイッチを9個にして、1台の電力変換装置で2台の電動機をそれぞれ独立に制御する技術が提案されている(例えば、非特許文献1)。この電力変換装置では、各相毎に3つの半導体スイッチを有し、2つの三相交流出力端子をもつ電力変換手段と、この電力変換手段の半導体スイッチのオンオフ信号を演算するスイッチ信号演算器と、前記電力変換手段の2つの三相交流端子が出力すべき電圧指令を出力する電圧指令発生手段とを備え、前記スイッチ信号演算器は三角波を出力する搬送波発生器と、この搬送波発生器から得た三角波と前記電圧指令発生手段から得た電圧指令との大小関係から前記半導体スイッチのオンオフ信号を演算するオンオフ信号発生器とによって構成するようにしている。
特開2003−339189号公報(8頁、図2参照) 平成18年電気学会産業応用部門大会講演論文集1−8(I−187〜188頁参照)
このような従来の電力変換装置では、各相毎に3つの半導体スイッチを備え、1つの直流電圧源から2つの三相交流電圧を出力するという特有の構成および動作に起因する点で共通する以下の課題が存在する。
即ち、各相毎に備えた3つの半導体スイッチの電流容量については何ら開示も示唆もされておらず、すべて同じ電流容量の半導体スイッチを用いると、電流容量に多大なマージンを持つことになり、コストが増大するという問題があった。
また、このような電力変換装置では、各相毎に備えた3つの半導体スイッチにおける中段スイッチのスイッチング周波数が上段及び下段スイッチのスイッチング周波数の2倍になってしまい、中段スイッチのスイッチングに起因する損失が大きくなるという問題があった。
また、このような電力変換装置では、上中下段の半導体スイッチが短絡しないように短絡防止期間を設けるが、この影響によって出力電圧が電圧指令よりも小さくなってしまうという問題があった。
更に、このような電力変換装置では、出力したい相電圧指令と搬送波との大小関係からオンオフ信号を演算したので電圧利用率が高く取れないという問題があった。
この発明は、前記のような、各相毎に3つの半導体スイッチを備え、1つの直流電圧源から2つの三相交流電圧を出力するという特有の構成および動作に起因する点で共通する問題点を解決するためになされたものであり、低コストで構成でき、また、中段スイッチのスイッチング損失が特に大きくなることがない、また、短絡防止期間を設けても電圧指令に一致した電圧出力が得られ、更に、電圧利用率を高く取れる電力変換装置を得ることを目的としている。
第1の発明による電力変換装置は、直流電圧源に接続される正負1組の直流端子、この直流端子間に三相各相毎に接続された上段、中段、下段のスイッチング素子の直列接続体、三相各相の上段スイッチング素子と中段スイッチング素子との接続点に接続された第1の三相交流端子および三相各相の中段スイッチング素子と下段スイッチング素子との接続点に接続された第2の三相交流端子を備えた電力変換手段と、この電力変換手段の第1および第2の三相交流端子に出力する電圧指令を作成する電圧指令発生手段と、この電圧指令発生手段からの電圧指令に基づき直流端子の直流電圧を交流電圧に変換して第1および第2の三相交流端子に出力するよう各スイッチング素子をオンオフ駆動するスイッチング信号を演算するスイッチ信号演算手段とを備えた電力変換装置において、
三相各相の中段スイッチング素子の電流容量を、三相各相の上段または下段のスイッチング素子の電流容量より小さく設定したものである。
また、第2の発明による電力変換装置におけるスイッチ信号演算手段は、所定期間における上段、中段および下段のスイッチング素子のオンオフ切替回数が互いに等しくなるようスイッチング信号を演算するものである。
また、第3の発明による電力変換装置は、第1および第2の三相交流端子に流れる電流を検出する電流検出手段を備え、スイッチ信号演算手段は、上段、中段および下段のスイッチング素子が同時にオンする短絡状態が発生しないようスイッチング信号に短絡防止期間を設定するようにし、かつ、短絡防止期間の設定による出力電圧の減少を補償するよう電流検出手段からの電流検出値に基づき電圧指令発生手段で作成した電圧指令を補正する電圧補正手段を備えたものである。
更に第4の発明による電力変換装置におけるスイッチ信号演算手段は、電圧指令発生手段からの電圧指令の各相間電圧を変化させることなく電圧指令の瞬時最高値と瞬時最低値との電圧差を低減させるよう電圧指令発生手段からの電圧指令の各相成分に所定の指数を加算する指数加算手段を備えることにより、直流端子の直流電圧に対する第1または第2の三相交流端子に出力可能な交流電圧の比率である電圧利用率を向上させるようにしたものである。
第1の発明によれば、三相各相の中段スイッチング素子の電流容量を、三相各相の上段または下段のスイッチング素子の電流容量より小さく設定するので、各スイッチング素子の通電能力に支障をもたらすことなく電力変換装置のコストの低減が実現する。
また、第2の発明によれば、上段、中段および下段のスイッチング素子のオンオフ切替回数が互いに等しくなるので、各スイッチング素子のスイッチングに起因する損失が均等となり、電力変換装置の合理的で経済的な設計が可能となる。
また、第3の発明によれば、スイッチング信号に短絡防止期間を設定するようにし、かつ、短絡防止期間の設定による出力電圧の減少を補償するよう電流検出手段からの電流検出値に基づき電圧指令発生手段で作成した電圧指令を補正する電圧補正手段を備えたので、スイッチング素子の短絡防止と正確な電圧出力特性が得られる。
更に、第4の発明によれば、電圧指令の各相成分に所定の指数を加算する指数加算手段を備えて電圧利用率を向上させるようにしたので、同じ直流電圧に対してより高い三相交流電圧を得ることが出来る。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1による電力変換装置を示す構成図である。電力変換手段1は、三相各相毎に、上段スイッチ、中段スイッチ、下段スイッチの3つのスイッチング素子である半導体スイッチを有し、正負1組の直流端子と2組の三相交流端子を有している。直流端子には、直流電圧源2が接続されている。2つの三相交流端子の一方、即ち、第1の三相交流端子には第1の回転機3が接続され、もう一方の三相交流端子、即ち、第2の三相交流端子には、第2の回転機4が接続されている。電圧指令発生手段5は、前記第1の三相交流端子が出力すべき第1の三相電圧指令vu1、vv1、vw1と、前記第2の三相交流端子が出力すべき第2の三相電圧指令vu2、vv2、vw2とを出力する。スイッチ信号演算手段6は、前記第1の三相電圧指令vu1、vv1、vw1と第2の三相電圧指令vu2、vv2、vw2とに基づいて、電力変換手段1が有する9つのスイッチに対応するスイッチング信号SU1、SU2、SU3、SV1、SV2、SV3、SW1、SW2、SW3を電力変換手段1に出力する。
電力変換手段1は、U相、V相、W相のそれぞれに上段スイッチ、中段スイッチ、下段スイッチの3つの半導体スイッチを有する。即ち、U相は、U相上段スイッチ7とU相中段スイッチ8とU相下段スイッチ9の3つの半導体スイッチを有する。また、V相は、V相上段スイッチ10とV相中段スイッチ11とV相下段スイッチ12の3つの半導体スイッチを有する。また、W相は、W相上段スイッチ13とW相中段スイッチ14とW相下段スイッチ15の3つの半導体スイッチを有する。
電力変換手段1のU相上段スイッチ7は、スイッチ信号演算手段6が出力するスイッチング信号SU1に基づいてスイッチのオンとオフの動作を行い、U相中段スイッチ8は、スイッチ信号演算手段6が出力するスイッチング信号SU2に基づいてスイッチのオンとオフの動作を行うとともに、U相下段スイッチ9は、スイッチ信号演算手段6が出力するスイッチング信号SU3に基づいてスイッチのオンとオフの動作を行う。同様に、電力変換手段1のV相上段スイッチ10は、スイッチ信号演算手段6が出力するスイッチング信号SV1に基づいてスイッチのオンとオフの動作を行い、V相中段スイッチ11は、スイッチ信号演算手段6が出力するスイッチング信号SV2に基づいてスイッチのオンとオフの動作を行うとともに、V相下段スイッチ12は、スイッチ信号演算手段6が出力するスイッチング信号SV3に基づいてスイッチのオンとオフの動作を行う。同様に、電力変換手段1のW相上段スイッチ13は、スイッチ信号演算手段6が出力するスイッチング信号SW1に基づいてスイッチのオンとオフの動作を行い、W相中段スイッチ14は、スイッチ信号演算手段6が出力するスイッチング信号SW2に基づいてスイッチのオンとオフの動作を行うとともに、W相下段スイッチ15は、スイッチ信号演算手段6が出力するスイッチング信号SW3に基づいてスイッチのオンとオフの動作を行う。
このような構成によれば、電力変換手段1の2つの三相交流端子に取り付けられた第1の回転機3及び第2の回転機4を独立に駆動することができる。
図2は、電力変換手段1のU相上段スイッチ7がオン、U相中段スイッチ8がオン、U相下段スイッチ9がオフした時の様子を示す図であり、第1の回転機3のU相には第1のU相電流iu1が流れており、第2の回転機4のU相には第2のU相電流iu2が流れている。このとき、U相上段スイッチ7に流れる電流はiu1+iu2であり、U相中段スイッチ8に流れる電流はiu2である。U相上段スイッチ7がオン、U相中段スイッチ8がオン、U相下段スイッチ9がオフの組合せでは、iu1とiu2とが同符号で且つそれぞれが最大振幅の場合に、U相上段スイッチ7に流れる電流は最大となり、その振幅は第1の回転機3の最大電流振幅と第2の回転機4の最大電流振幅とを加算した値となる。また、U相上段スイッチ7がオン、U相中段スイッチ8がオン、U相下段スイッチ9がオフの組合せでは、iu2が最大振幅の場合に、U相中段スイッチ8に流れる電流は最大となり、その振幅は第2の回転機4の最大電流振幅値となる。また、U相上段スイッチ7がオン、U相中段スイッチ8がオン、U相下段スイッチ9がオフの組合せでは、U相下段スイッチ9に電流は流れない。
図3は、電力変換手段1のU相上段スイッチ7がオン、U相中段スイッチ8がオフ、U相下段スイッチ9がオンした時の様子を示す図であり、図2と同様に第1の回転機3のU相には第1のU相電流iu1が流れており、第2の回転機4のU相には第2のU相電流iu2が流れている。このとき、U相上段スイッチ7に流れる電流はiu1であり、U相下段スイッチ9に流れる電流は−iu2である。U相上段スイッチ7がオン、U相中段スイッチ8がオフ、U相下段スイッチ9がオンの組合せでは、iu1が最大振幅の場合に、U相上段スイッチ7に流れる電流は最大となり、その振幅は第1の回転機3の最大電流振幅値となる。また、U相上段スイッチ7がオン、U相中段スイッチ8がオフ、U相下段スイッチ9がオンの組合せでは、U相中段スイッチ8に電流は流れない。また、U相上段スイッチ7がオン、U相中段スイッチ8がオフ、U相下段スイッチ9がオンの組合せでは、iu2が最大振幅の場合に、U相下段スイッチ9に流れる電流は最大となり、その振幅は第2の回転機4の最大電流振幅値となる。
図4は、電力変換手段1のU相上段スイッチ7がオフ、U相中段スイッチ8がオン、U相下段スイッチ9がオンした時の様子を示す図であり、図2及び図3と同様に第1の回転機3のU相には第1のU相電流iu1が流れており、第2の回転機4のU相には第2のU相電流iu2が流れている。このとき、U相中段スイッチ8に流れる電流は−iu1であり、U相下段スイッチ9に流れる電流は−iu1−iu2である。U相上段スイッチ7がオフ、U相中段スイッチ8がオン、U相下段スイッチ9がオンの組合せでは、U相上段スイッチ7に電流は流れない。また、U相上段スイッチ7がオフ、U相中段スイッチ8がオン、U相下段スイッチ9がオンの組合せでは、iu1が最大振幅の場合に、U相中段スイッチ8に流れる電流は最大となり、その振幅は第1の回転機3の最大電流振幅値となる。また、U相上段スイッチ7がオフ、U相中段スイッチ8がオン、U相下段スイッチ9がオンの組合せでは、iu1とiu2とが同符号で且つそれぞれが最大振幅の場合に、U相下段スイッチ9に流れる電流は最大となり、その振幅は第1の回転機3の最大電流振幅と第2の回転機4の最大電流振幅とを加算した値となる。
以上、図2、3、4に示した関係から、次のことが判る。
〇 U相上段スイッチ7を通る電流の最大振幅値は、第1の回転機3の最大電流振幅と第2の回転機4の最大電流振幅とを加算した値である。
〇 U相中段スイッチ8を通る電流の最大振幅値は、第1の回転機3の最大電流振幅と第2の回転機4の最大電流振幅とを比較して大きい方の値である。
〇 U相下段スイッチ9を通る電流の最大振幅値は、第1の回転機3の最大電流振幅と第2の回転機4の最大電流振幅とを加算した値である。
このことは、電力変換手段1のU相だけに限らず、電力変換手段1のV相及びW相についても同様であり、換言すると次のことが成り立つ。
○ 各相上段スイッチ及び各相下段スイッチを通る電流の最大振幅値は、第1の回転機3の最大電流振幅と第2の回転機4の最大電流振幅とを加算した値である。
○ 各相中段スイッチを通る電流の最大振幅値は、第1の回転機3の最大電流振幅と第2の回転機4の最大電流振幅とを比較して大きい方の値である。
このことを勘案して、本実施の形態1では、電力変換手段1の各相毎に備えた3つの半導体スイッチにおける中段スイッチの電流容量が各相毎に備えた3つの半導体スイッチにおける少なくとも上段または下段スイッチの電流容量よりも小さくするようにする。例えば、第1の回転機3の最大電流振幅及び第2の回転機4の最大電流振幅がそれぞれ10Aであった場合、各相上段スイッチ及び各相下段スイッチを通る電流の最大振幅値は20Aであり、各相中段スイッチを通る電流の最大振幅値は10Aである。半導体スイッチは、最大電流振幅の大きさに応じて、そのコストが異なり、最大振幅値が小さい方がコスト的に有利である。この例の場合、各相の上段スイッチ、中段スイッチ、下段スイッチのすべてを20Aに耐えうる電流容量にする必要はなく、各相の上段スイッチと下段スイッチは20Aに耐えうる電流容量で構成し、各相の中段スイッチは10Aに耐えうる電流容量で構成することによって、より安価な電力変換装置を提供することが可能となる。
以上のように、本発明の実施の形態1では、電力変換手段1の各相毎に備えた3つの半導体スイッチにおける中段スイッチ8、11、14の電流容量が各相毎に備えた3つの半導体スイッチにおける少なくとも上段スイッチ7、10、13または下段スイッチ9、12、15の電流容量よりも小さくしたことにより、素子の電流容量を超えることなく、中段スイッチ8、11、14のコストを抑制することが可能となり、また、装置を安価に提供することができる。
実施の形態2.
また、この種の電力変換装置では、各相毎に備えた3つの半導体スイッチにおける中段スイッチのスイッチング周波数が上段及び下段スイッチのスイッチング周波数の2倍になってしまい、中段スイッチのスイッチングに起因する損失が大きくなるという問題があった。
図5は、従来の電力変換装置におけるスイッチ信号演算手段6が演算する電力変換手段1における半導体スイッチのオンオフ信号の様子を示したものであり、この図5を用いて、中段スイッチのスイッチング周波数が他のスイッチの2倍になってしまうという問題を説明する。
図において、1段目は、電圧指令発生手段5が出力する第1の三相電圧指令のU相指令vu1(図中の□印)及び第2の三相電圧指令のU相指令vu2(図中の○印)とスイッチ信号演算手段6内部のキャリア信号(図中の△印)を示している。2段目は、スイッチ信号演算手段6が電力変換手段1へ出力するスイッチング信号SU1であり、1段目のキャリア信号と第1の三相電圧指令のU相指令vu1との大小関係に基づき計算したSU1のオン・オフに従って電力変換手段1のU相上段スイッチ7をオン・オフする。3段目は、スイッチ信号演算手段6が電力変換手段1へ出力するスイッチング信号SU2であり、1段目のキャリア信号が第1の三相電圧指令のU相指令vu1よりも大きい場合か第2の三相電圧指令のU相指令vu2よりも小さい場合はオン、それ以外の場合はオフとなるように計算したSU2のオン・オフに従って電力変換手段1のU相中段スイッチ8をオン・オフする。4段目は、スイッチ信号演算手段6が電力変換手段1へ出力するスイッチング信号SU3であり、1段目のキャリア信号と第2の三相電圧指令のU相指令vu2との大小関係に基づき計算したSU3のオン・オフに従って電力変換手段1のU相下段スイッチ9をオン・オフする。
ところで、スイッチ信号演算手段6内部のキャリア信号は、傾きが正負を繰り返す三角波と呼ばれる信号を利用している。なお、交流端子を一つしか持たない公知の電力変換装置では、キャリア信号と比較する三相電圧指令のU相指令も一つしかないので特別な制約はないが、交流端子を二つもつこの電力変換装置では、電圧指令発生手段5が出力する第1の三相電圧指令及び第2の三相電圧指令の間には、「vu1>vu2」という制約条件を設けている。
図において、状態Aとは、電力変換手段1のU相上段スイッチ7がオン、U相中段スイッチ8がオン、U相下段スイッチ9がオフした状態であり、状態Bとは、電力変換手段1のU相上段スイッチ7がオン、U相中段スイッチ8がオフ、U相下段スイッチ9がオンした状態である。また、状態Cとは、電力変換手段1のU相上段スイッチ7がオフ、U相中段スイッチ8がオン、U相下段スイッチ9がオンした状態である。
ここで、図5を見て判るように、従来の電力変換装置は、キャリア信号に三角波を用いていたので、キャリア1周期(状態A→状態B→状態C→状態B→状態A)の間に、状態Bが2回現れる。状態Aも2回現れているが、次のキャリア周期も状態Aから開始するので状態Bの発生回数が状態A及び状態Cの発生回数の2倍となっている。換言すると、U相上段スイッチとU相下段スイッチとは、三角波の1周期間に2回のスイッチングを行うのに対して、U相中段スイッチは三角波の1周期間に4回のスイッチングを行う。このことは、V相、W相についても同じである。このような従来の電力変換装置では、各相毎に備えた3つの半導体スイッチにおける中段スイッチのスイッチング周波数が上段及び下段スイッチのスイッチング周波数の2倍になってしまい、中段スイッチのスイッチングに起因する損失が大きくなるという問題があった。
そこで、本実施の形態2では、キャリア信号として、図5の三角波を利用する代わりにノコギリ波を利用する。図6は、本実施の形態2の電力変換装置におけるスイッチ信号演算手段6が演算する電力変換手段1における半導体スイッチのオンオフ信号の様子を示したものであり、図5のキャリア信号が三角波であったのに対し、ノコギリ波(図6、1段目△印)になっている点が異なる。
図6のように、本実施の形態2の場合、キャリア信号をノコギリ波にしたのでキャリア1周期の間に、状態A→状態B→状態Cを繰り返すことによって、状態A、状態B、状態Cの現れる回数が等しくなる。換言すると、U相上段スイッチとU相下段スイッチとはノコギリ波の1周期間に2回のスイッチングを行うとともに、U相中段スイッチもノコギリ波の1周期間に2回のスイッチングを行う。図6はノコギリ波2周期分について示しているので、スイッチング回数はそれぞれ4回となっている。このことは、V相、W相についても同じである。図5と図6を単純に比較すると、図6の方が上段スイッチと下段スイッチとのスイッチング回数が増したように見える。これはノコギリ波で与えたキャリア周波数を変更することで、図6の上段スイッチと下段スイッチとのスイッチング回数を図5の上段スイッチと下段スイッチとのスイッチング回数と同じようにすることができる。換言すると、本実施の形態2における上段スイッチと下段スイッチとのスイッチング回数を図5の上段スイッチと下段スイッチのスイッチング回数と同じようにすると、中段スイッチのスイッチング回数を図5の半分にすることが可能となる。
以上のように、本発明の実施の形態2に記載した電力変換装置では、各相毎に備えた3つの半導体スイッチにおける中段スイッチのスイッチング周波数が上段及び下段スイッチのスイッチング周波数と同じになるようにしたので、上段スイッチ、下段スイッチと中段スイッチとのスイッチング周波数が等しくなり、中段スイッチのスイッチングに起因する損失を低減できる効果がある。
実施の形態3.
また、図6においては、ノコギリ波で与えたキャリア1周期の期間で、状態Aである期間がTa秒、状態Bである期間がTb秒、状態Cである期間がTc秒である。パルス幅変調(PWM)を行う場合のキャリア1周期の期間で考えると、状態Aである期間がTa秒、状態Bである期間がTb秒、状態Cである期間がTc秒となることを保てば、その順番は状態A→状態B→状態C以外の順番であっても、電力変換手段1が出力する実質的な電圧に変化はない。この実施の形態3は、この原理を利用することで、各半導体スイッチのスイッチング回数を均等にかつ更に低減することを可能としたものである。
図7は、本実施の形態3の電力変換装置におけるスイッチ信号演算手段6a(図示せず)が演算する電力変換手段1における半導体スイッチの状態の遷移を示した図である。図において、状態Aである期間がTa秒、状態Bである期間がTb秒、状態Cである期間がTc秒という条件は、前記実施の形態2と同じである。あるキャリア1周期が終了すると、次のキャリア1周期は、直前のキャリア1周期における最後の状態から開始するようにする。図7の場合、状態A→状態B→状態Cというキャリア1周期の終了後、次のキャリア1周期を、状態C→状態A→状態Bとすることで、直前のキャリア1周期の最後の状態が状態Cであるとともに、直後のキャリア1周期の最初の状態も状態Cであるので、キャリア周期の継ぎ目(キャリア周期に境界前後)でスイッチングは発生しない。
図7では、キャリア周期毎に状態変化を「状態A→状態B→状態C」、「状態C→状態A→状態B」、「状態B→状態C→状態A」のように繰り返すことで、スイッチ信号演算手段6は、所定期間における上段スイッチ、中段スイッチ、下段スイッチのオンオフ切替回数が等しく、かつ、図6の場合より低減するようにしたので、上段スイッチ、下段スイッチと、中段スイッチとのスイッチング周波数が等しくなり、中段スイッチのスイッチングに起因する損失を低減できる効果がある。
実施の形態4.
前記実施の形態3では、キャリア周期毎に状態変化を「状態A→状態B→状態C」、「状態C→状態A→状態B」、「状態B→状態C→状態A」のように繰り返すようにしたが、状態A、状態B、状態Cの並べ方は6通り(3の順列組み合わせ)存在するので、実施の形態3の繰り返し以外でも同様の効果を得ることができる。
図8は、本実施の形態4の電力変換装置におけるスイッチ信号演算手段6b(図示せず)が演算する電力変換手段1における半導体スイッチの状態の遷移を示した図である。状態Aである期間がTa秒、状態Bである期間がTb秒、状態Cである期間がTc秒という条件は、前記実施の形態2及び3と同じである。前記実施の形態3ではキャリア周期毎に状態変化を「状態A→状態B→状態C」、「状態C→状態A→状態B」、「状態B→状態C→状態A」のように繰り返すことで、スイッチ信号演算手段6aは、所定期間における上段スイッチ、中段スイッチ、下段スイッチのオンオフ切替回数が等しくなるように半導体スイッチのオンオフ信号を演算したが、図8に記すように、パターン1からパターン6までを繰り返すようにすることで所定期間における上段スイッチ、中段スイッチ、下段スイッチのオンオフ切替回数が等しく、かつ、図6の場合より低減するように半導体スイッチのオンオフ信号を演算することができる。換言すると、状態Aである期間がTa秒、状態Bである期間がTb秒、状態Cである期間がTc秒という条件を満たすようなパターンを選択すれば、その組合せは任意であり、このとき、上段スイッチ、下段スイッチと、中段スイッチとのスイッチング周波数が等しくなり、中段スイッチのスイッチングに起因する損失を低減できる効果を得ることができる。
実施の形態5.
前記実施の形態3、4では、スイッチ信号演算手段6は、所定の複数キャリア周期経過毎にパルス幅変調制御を実行して当該キャリア周期における複数のスイッチング状態、各パルス幅、制御順序を決定し、次にパルス幅変調制御を実行するまでの各キャリア周期では、各キャリア周期の境界前後におけるスイッチング状態が同一となるよう既に決定されたキャリア周期におけるスイッチング状態の制御順序のみを入れ替えることにより、1キャリア周期当たりのスイッチング素子のオンオフ切替回数を低減するようにしたが、「状態Aである期間がTa秒、状態Bである期間がTb秒、状態Cである期間がTc秒という条件」はキャリア周期毎に更新しても良い。
このためには、前記実施の形態3、4のように、キャリア信号を用いるのではなく、各スイッチング状態におけるパルス幅を以下に示す要領で演算により求める必要がある。従って、この実施の形態5では、キャリア周期に替わって演算周期と呼ぶことにする。
例えば、直流電圧源2の電圧がVdc[V]であり、演算周期がTc[秒]、第1の三相電圧指令のU相指令vu1がvu1a[V]、第2の三相電圧指令のU相指令vu2がvu2a[V]で、「vu1>vu2」あったとき、状態Aである期間Ta秒、状態Bである期間Tb秒、状態Cである期間Tc秒は次式から算出できる。
Ta=vu2a÷Vdc×Tc[秒]
Tb=(vu1a−vu2a)÷Vdc×Tc[秒]
Tb=(Vdc−vu1a)÷Vdc×Tc[秒]
この計算を利用すれば、演算周期毎に「状態Aである期間がTa秒、状態Bである期間がTb秒、状態Cである期間がTc秒という条件」を算出することが可能であり、状態A、状態B、状態Cの順番を前記実施の形態3または4で記載した順番で逐次「状態Aである期間がTa秒、状態Bである期間がTb秒、状態Cである期間がTc秒という条件」を更新しても良い。このように本実施の形態5では、状態Aである期間がTa秒、状態Bである期間がTb秒、状態Cである期間がTc秒という条件を、演算周期毎に設定し直し、1演算周期が経過した後、更新した電圧指令に基づいてTa秒、Tb秒、Tc秒も更新するとともに、直前の演算周期で出力した状態A、B、Cの出力順番を勘案し、直後の演算周期における出力順番を決定することで、上段スイッチ、下段スイッチと、中段スイッチとのスイッチング周波数が等しくなり、中段スイッチのスイッチングに起因する損失を低減できるという効果を確保し、かつ、逐次、電圧指令に追随して電圧出力を更新することができる。電圧指令の更新周期は出力できる周波数と反比例する関係にあり、電圧指令の更新周期を短くすることで、本実施の形態5の電力変換装置は、前記実施の形態よりも高い周波数まで出力することが可能となる。
実施の形態6.
この実施の形態6は、この種の電力変換装置において、電力変換手段1の上段、中段、下段スイッチが短絡しないように短絡防止期間を設けて半導体スイッチをオンオフするスイッチング信号を演算するとともに、この短絡防止期間を設けたことに起因して発生する出力電圧振幅の減少を、別途設けた電流検出手段から得た電流に基づいて補正するようにした場合について説明する。
図9は、本実施の形態6による電力変換装置を示す構成図である。図において、電流検出手段20は、第1の三相交流端子を流れるU相電流iu1及びV相電流iv1を検出し、電流検出手段21は、第2の三相交流端子を流れるU相電流iu2及びV相電流iv2を検出する。スイッチ信号演算手段6cは、電力変換手段1の上段、中段、下段スイッチが短絡しないように短絡防止期間を設けて、電力変換手段1の半導体スイッチをオンオフするスイッチング信号を演算するとともに、この短絡防止期間に起因する出力電圧振幅の減少を電流検出手段20及び21から得た電流に基づいてスイッチング信号の演算を補正する。
図10は、スイッチ信号演算手段6cの内部構成を示す図である。図において、減算器30は、電流検出手段20から得たiu1とiv1とに基づいて−iu1−iv1の演算を行い、第1の三相交流端子を流れるW相電流iw1として出力する。減算器31は、電流検出手段21から得たiu2とiv2とに基づいて−iu2−iv2の演算を行い、第2の三相交流端子を流れるW相電流iw2として出力する。
U相電圧補正器32は、後段で詳述するが、短絡防止期間を設定することに起因してU相電圧振幅が減少した分を、電流検出手段20及び21から得た電流iu1及びiu2に基づいて、第1の三相電圧指令のU相成分vu1及び第2の三相電圧指令のU相成分vu2を補正し、それぞれU相補正電圧vu10、vu20として出力する。同様に、V相電圧補正器33は、電流検出手段20及び21から得た電流iv1及びiv2に基づいて、第1の三相電圧指令のV相成分vv1及び第2の三相電圧指令のV相成分vv2を補正し、それぞれV相補正電圧vv10、vv20として出力する。同様に、W相電圧補正器34は、減算器30及び31から得た電流iw1及びiw2に基づいて、第1の三相電圧指令のW相成分vw1及び第2の三相電圧指令のW相成分vw2を補正し、それぞれW相補正電圧vw10、vw20として出力する。
U相PWM変調器35は、U相補正電圧vu10、vu20に基づいて、電力変換手段1の半導体スイッチのスイッチング信号を演算し、短絡防止期間を含むようにスイッチング信号SU1、SU2、SU3を電力変換手段1に出力する。同様に、V相PWM変調器36は、U相補正電圧vv10、vv20に基づいて、電力変換手段1の半導体スイッチのスイッチング信号を演算し、短絡防止期間を含むようにスイッチング信号SV1、SV2、SV3を電力変換手段1に出力する。同様に、V相PWM変調器37は、W相補正電圧vw10、vw20に基づいて、電力変換手段1の半導体スイッチのスイッチング信号を演算し、短絡防止期間を含むようにスイッチング信号SW1、SW2、SW3を電力変換手段1に出力する。
図11は、U相PWM変調器35の内部構成を示す図である。図において、キャリア信号発生器40は、三角波キャリア信号を発生し、この三角波キャリア信号を比較器41及び比較器42へ出力する。比較器41は、U相電圧補正器32から得たU相補正電圧vu10とキャリア信号発生器40から得た三角波キャリア信号との大小関係を比較し、TRUEまたはFALSEの論理信号を出力する。同様に、比較器42は、U相電圧補正器32から得たU相補正電圧vu20とキャリア信号発生器40から得た三角波キャリア信号との大小関係を比較し、TRUEまたはFALSEの論理信号を出力する。NAND演算器43は、比較器41の出力と比較器42の出力との論理積の否定を演算する。U相上段スイッチ短絡防止期間設定器44は、比較器41の出力がTRUEからFALSEに変化する場合、スイッチング信号SU1をオンからオフに遅延なく変更するとともに、比較器41の出力がFALSEからTRUEに変化する場合、スイッチ短絡防止期間だけ遅延させてスイッチング信号SU1をオフからオンに変更する。U相中段スイッチ短絡防止期間設定器45は、NAND演算器43の出力がTRUEからFALSEに変化する場合、スイッチング信号SU2をオンからオフに遅延なく変更するとともに、NAND演算器43の出力がFALSEからTRUEに変化する場合、スイッチ短絡防止期間だけ遅延させてスイッチング信号SU2をオフからオンに変更する。U相下段スイッチ短絡防止期間設定器46は、比較器42の出力がTRUEからFALSEに変化する場合、スイッチング信号SU3をオンからオフに遅延なく変更するとともに、比較器42の出力がFALSEからTRUEに変化する場合、スイッチ短絡防止期間だけ遅延させてスイッチング信号SU3をオフからオンに変更する。以上、U相PWM変調器35について説明したが、V相PWM変調器36、W相PWM変調器37についても同様の構成で実現できる。
スイッチ短絡防止期間の影響について図12を用いて説明する。図12においても、前記実施の形態と同様に状態A、状態B、状態Cを定義する。即ち、状態Aとは、電力変換手段1のU相上段スイッチ7がオン、U相中段スイッチ8がオン、U相下段スイッチ9がオフした状態であり、状態Bとは、電力変換手段1のU相上段スイッチ7がオン、U相中段スイッチ8がオフ、U相下段スイッチ9がオンした状態である。また、状態Cとは、電力変換手段1のU相上段スイッチ7がオフ、U相中段スイッチ8がオン、U相下段スイッチ9がオンした状態である。ここで、状態Aから状態Bに切り替わる場合について考える。この場合、U相上段スイッチ7はオンした状態を保つので、直流負端子から見た第1のU相端子の電位vu1aは変化せず、vdcを保持する。一方、直流負端子から見た第2のU相端子の電位vu2aは、U相中段スイッチ8がオンからオフになるとともに、U相下段スイッチ9がオフからオンになるが、短絡防止期間中はU相中段スイッチ8およびU相下段スイッチ9ともにオフとなる。短絡防止期間中における第2のU相端子の電位vu2aは、第2のU相電流iu2の符号に依存する。
即ち、図13に、各スイッチに適用される、例えば、パワートランジスタやIGBT、MOS−FET等の具体的構成を示すように、現実のスイッチング素子には逆方向極性に接続されたダイオードが存在する。従って、iu2が正(図中の矢印方向)の場合は、iu2はU相下段スイッチ9(の逆方向ダイオード)を通るので第2のU相端子の電位vu2aは0となり、iu2が負(図中の矢印と反対方向)の場合は、iu2はU相中段スイッチ8(の逆方向ダイオード)を通るので第2のU相端子の電位vu2aはvdcとなる。即ち、状態Aから状態Bに変化する場合は、第1のU相端子の電位vu1aは短絡防止期間の影響がなく所望の電位を保つが、第2のU相端子の電位vu2aは、短絡防止期間中は所望の電位と関係なく第2のU相電流iu2の符号に依存した電位となる。このことは、状態Bから状態Aに変化する場合も全く同じである。
同様に考えると、状態Bから状態Cに変化する場合及び状態Cから状態Bに変化する場合は、第2のU相端子の電位vu2aは短絡防止期間の影響がなく所望の電位を保つが、第1のU相端子の電位vu1aは、短絡防止期間中は所望の電位と関係なく第1のU相電流iu1の符号に依存した電位となる。
また、状態Aから状態Cに変化する場合及び状態Cから状態Aに変化する場合について考えると、第1のU相端子の電位vu1a及び第2のU相端子の電位vu2aは、短絡防止期間中は所望の電位と関係なく「第1のU相電流iu1と第2のU相電流iu2の和」の符号に依存した電位となる。
以上の関係から、スイッチング周期における短絡防止期間が第1のU相端子の電位vu1aに及ぼす影響(電圧)Δv1および第2のU相端子の電位vu2aに及ぼす影響(電圧)Δv2について整理すると、図14のようになる。ここで、Td[秒]は短絡防止期間であり、To[秒]はスイッチング周期、Vdc[V]は直流電圧源2の電位、sign(x)は符号関数であり、xが0より大きければ1、0の場合0、0未満の場合−1となる。
本実施の形態6においては、U相PWM変調器35ではキャリア信号発生器40が出力する三角波キャリア信号に基づいてスイッチングを行うので、前記実施の形態で示した図5のように「状態A→状態B→状態C→状態B→・・・」を繰り返す。即ち、状態Aから状態B及び状態Bから状態Aへの切替回数と、状態Bから状態C及び状態Cから状態Bへの切替回数は等しく、また、状態Aから状態C及び状態Cから状態Aへの切替は発生しない。このことと図14との関係から、U相電圧補正器32は、図15のよう構成にすれば良い。
図15は、本実施の形態6におけるU相電圧補正器32の内部構成図を示すものである。図において、符号関数演算器47は、第1のU相電流iu1に基づいて符号関数sign(iu1)の演算を行い、その結果を第1の電圧補正値として増幅器48に出力する。増幅器48は、符号関数演算器47の出力に対して所定値を乗算する。例えば、該所定値は(Td÷To)×Vdcとしても良い。増幅器48の出力である第1の電圧補正値は、短絡防止期間に起因する第1のU相電圧の振幅減少分に相当し、加算器49は、第1の三相電圧指令のU相成分vu1に増幅器48の出力を加算することで、電圧振幅の減少を補正した第1のU相補正電圧vu10として出力する。
同様に、符号関数演算器50は、第2のU相電流iu2に基づいて符号関数sign(iu2)の演算を行い、その結果を第2の電圧補正値として増幅器51に出力する。増幅器51は、符号関数演算器50の出力に対して所定値を乗算する。増幅器51の出力である第2の電圧補正値は、短絡防止期間に起因する第2のU相電圧の振幅減少分に相当し、加算器52は、第2の三相電圧指令のU相成分vu2に増幅器51の出力を加算することで、電圧振幅の減少を補正した第2のU相補正電圧vu20として出力する。V相電圧、W相電圧についても同じであり、V相電圧補正器33、W相電圧補正器34もU相電圧補正器32と同様の構成にすれば良い。
以上のように、実施の形態6のスイッチ信号演算手段6cは、第1の三相交流端子の電圧指令に加算すべき第1の電圧補正値を演算し、この第1の電圧補正値を第1の三相交流端子の電圧指令に加算するとともに、第2の三相交流端子の電圧指令に加算すべき第2の電圧補正値を演算し、第2の電圧補正値を第2の三相交流端子の電圧指令に加算し、電力変換手段1の半導体スイッチのスイッチング信号を演算する構成とすることにより、短絡防止期間を設けたことに起因して発生する電圧精度の低下を補償することが可能となり、電力変換手段1の三相交流端子が出力する電圧を電圧指令発生手段5が出力する電圧指令に一致させることができる効果がある。この結果、電力変換手段1は第1の回転機3及び第2の回転機4を駆動するための電圧を精度良く出力できるので、第1の回転機3及び第2の回転機4の駆動性能が向上するという効果を得ることができる。
特に、第1の回転機3または第2の回転機4のいずれか一方、または両方を低速で駆動する場合、電力変換手段1の三相交流端子が出力する電圧振幅は小さくなり、短絡防止期間を設けたことに起因して発生する電圧精度の低下が顕著になるが、本実施の形態6の構成によって回転機の低速域の駆動性能を向上させることができる。
実施の形態7.
前記実施の形態6では、スイッチ信号演算手段6cにおいて、U相PWM変調器35、V相PWM変調器36およびW相PWM変調器37は、キャリア信号発生器40が出力する三角波キャリア信号に基づいてスイッチングを行っていたが、スイッチ信号演算手段6cをスイッチ信号演算手段6dに置換することで、キャリア信号発生器40が出力するキャリア信号がノコギリ波キャリア信号である場合においても、電力変換手段1の上段、中段、下段スイッチが短絡しないように短絡防止期間を設けた半導体スイッチのスイッチング信号を演算するとともに、この短絡防止期間を設けたことに起因して発生する電圧振幅の減少を電流検出手段20、21から得た電流に基づいて補正することができる。
図16は、本実施の形態7によるスイッチ信号演算手段6dの内部構成を示す図である。図において、U相電圧補正器32dは、後段で詳述するが、短絡防止期間を設定することに起因してU相電圧振幅が減少した分を電流検出手段20及び21から得た電流iu1及びiu2に基づいて、第1の三相電圧指令のU相成分vu1及び第2の三相電圧指令のU相成分vu2を補正し、それぞれU相補正電圧vu10、vu20として出力する。同様に、V相電圧補正器33dは、電流検出手段20及び21から得た電流iv1及びiv2に基づいて、第1の三相電圧指令のV相成分vv1及び第2の三相電圧指令のV相成分vv2を補正し、それぞれV相補正電圧vv10、vv20として出力する。同様に、W相電圧補正器34dは、減算器30及び31から得た電流iw1及びiw2に基づいて、第1の三相電圧指令のW相成分vw1及び第2の三相電圧指令のW相成分vw2を補正し、それぞれW相補正電圧vw10、vw20として出力する。
U相PWM変調器35dは、U相補正電圧vu10、vu20に基づいて、電力変換手段1の半導体スイッチのスイッチング信号を演算し、短絡防止期間を含むように出力するスイッチ信号SU1、SU2、SU3を電力変換手段1に出力する。同様に、V相PWM変調器36dは、V相補正電圧vv10、vv20に基づいて、電力変換手段1の半導体スイッチのスイッチング信号を演算し、短絡防止期間を含むようにスイッチ信号SV1、SV2、SV3を電力変換手段1に出力する。同様に、W相PWM変調器37dは、W相補正電圧vw10、vw20に基づいて、電力変換手段1の半導体スイッチのスイッチング信号を演算し、短絡防止期間を含むようにスイッチ信号SW1、SW2、SW3を電力変換手段1出力する。
図17は、U相PWM変調器35dの内部構成を示す図である。図17において、図11と同一の符号を付したものは、同一またはこれに相当するものである。キャリア信号発生器40dは、三角波キャリア信号の代わりにノコギリ波キャリア信号を発生する点が、図11記載のU相PWM変調器35と異なる。このような構成とすることにより前記実施の形態2と同様に、キャリア信号をノコギリ波にしたので、キャリア1周期の間に、状態A→状態B→状態Cを繰り返すことによって、状態Aから状態Bと、状態Bから状態Cと、状態Cから状態Aへの切替回数が等しくなる。
上述したように、本実施の形態7ではキャリア信号をノコギリ波にしたので、電力変換手段1の各相のスイッチングの状態は、状態Aから状態Bと、状態Bから状態Cの切り替えに加え、状態Cから状態Aへの切り替えが発生する。前記実施の形態の図14で説明したように、状態Cから状態Aへの切替がある場合は、第1のU相端子の電位vu1a及び第2のU相端子の電位vu2aは、短絡防止期間中は所望の電位と関係なく「第1のU相電流iu1と第2のU相電流iu2との和」の符号に依存した電位となる。
図18は、本実施の形態7におけるU相電圧補正器32dの内部構成図を示すものである。図において、図15と同一の符号を付したものは、同一またはこれに相当するものである。
加算器53は、第1のU相電流iu1と第2のU相電流iu2との和を算出し、符号関数演算器54へ出力する。符号関数演算器54は、「第1のU相電流と第2のU相電流iu2との和」に基づいて符号関数sign(iu1+iu2)の演算を行い、増幅器55は、符号関数演算器54の出力に対して所定値を乗算して出力する。例えば、該所定値は(Td÷To)×Vdcとしても良い。加算器56は、増幅器48の出力と増幅器55の出力とを加算し、これを第1の電圧補正値として出力する。加算器56の出力である第1の電圧補正値は、短絡防止期間を設けたことに起因する第1のU相電圧の振幅減少分に相当し、加算器49は、第1の三相電圧指令のU相成分vu1に加算器56の出力を加算することで、電圧振幅の減少を補正した第1のU相補正電圧vu10として出力する。
同様に、加算器57は、増幅器51の出力と増幅器55の出力とを加算し、これを第2の電圧補正値として出力する。加算器57の出力である第2の電圧補正値は、短絡防止期間を設けたことに起因する第2のU相電圧の振幅減少分に相当し、加算器52は、第2の三相電圧指令のU相成分vu2に加算器57の出力を加算することで、電圧振幅の減少を補正した第2のU相補正電圧vu20として出力する。V相電圧、W相電圧についても同じであり、V相電圧補正器33d、W相電圧補正器34dもU相電圧補正器32dと同様の構成にすれば良い。
本実施の形態7では、キャリア信号としてノコギリ波キャリア信号を用いた場合について説明したが、前記実施の形態3または4に記載のように、キャリア周期毎に予め定めた手順で状態変化のパターンを繰り返すような電力変換装置についても同様の手法で電力変換手段1の三相交流端子が出力する電圧を電圧指令発生手段5が出力する電圧指令に一致させられることは言うまでもない。
以上のように、実施の形態7のスイッチ信号演算手段6dは、第1の三相交流端子の電圧指令に加算すべき第1の電圧補正値を演算し、この第1の電圧補正値を第1の三相交流端子の電圧指令に加算するとともに、第2の三相交流端子の電圧指令に加算すべき第2の電圧補正値を演算し、第2の電圧補正値を第2の三相交流端子の電圧指令に加算し、電力変換手段1の半導体スイッチのスイッチング信号を演算する構成とすることにより、短絡防止期間を設けたことに起因する電圧精度の低下を補償することが可能となり、電力変換手段1の三相交流端子が出力する電圧を電圧指令発生手段5が出力する電圧指令に一致させることができる効果がある。この結果、電力変換手段1は第1の回転機3及び第2の回転機4を駆動するための電圧を精度良く出力できるので、第1の回転機3及び第2の回転機4の駆動性能が向上するという効果を得ることができる。
また、第1の回転機3または第2の回転機4のいずれか一方、または両方を低速で駆動する場合、電力変換手段1の三相交流端子が出力する電圧振幅は小さくなり、短絡防止期間を設けたことに起因する電圧精度の低下が顕著になるが、本実施の形態7の構成によって回転機の低速域の駆動性能を向上させることができる。
特に、「第1の三相電流と第2の三相電流との和」の符号も勘案して短絡防止期間を設けたことに起因する電圧精度の低下を補正するようにしたので、ノコギリ波キャリア信号などを利用するスイッチ信号演算手段6dを用い、状態Aから状態C及び状態Cから状態Aへの切替が発生するような場合でも、電力変換手段1の三相交流端子が出力する電圧を電圧指令発生手段5が出力する電圧指令に一致させることができるという効果がある。
実施の形態8.
この実施の形態8は、この種の電力変換装置において、その電圧利用率、即ち、直流電圧源2の直流電圧に対して出力可能な三相交流電圧の比率を向上させることを目的とするものである。
図19は、本実施の形態8におけるスイッチ信号演算手段6eの内部構成を示す図であり、図10と同一の符号を付したものは、同一またはこれに相当するものである。
図において、第1の指数演算器60は、電圧指令発生手段5から得た第1の三相交流端子の電圧指令vu1、vv1、vw1に基づいて第1の電圧利用率向上指数を出力し、加算器61は、第1のU相電圧指令vu1に第1の指数演算器60が出力した第1の電圧利用率向上指数を加算してvu11としてU相電圧補正器32へ出力する。同様に、加算器62は、第1のV相電圧指令vv1に第1の指数演算器60が出力した第1の電圧利用率向上指数を加算してvv11としてV相電圧補正器33へ出力する。同様に、加算器63は、第1のW相電圧指令vw1に第1の指数演算器60が出力した第1の電圧利用率向上指数を加算してvw11としてW相電圧補正器34へ出力する。
また、第2の指数演算器64は、電圧指令発生手段5から得た第2の三相交流端子の電圧指令vu2、vv2、vw2に基づいて第2の電圧利用率向上指数を出力し、加算器65は、第2のU相電圧指令vu2に第2の指数演算器64が出力した第2の電圧利用率向上指数を加算してvu21としてV相電圧補正器32へ出力する。同様に、加算器66は、第2のV相電圧指令vv2に第2の指数演算器64が出力した第2の電圧利用率向上指数を加算してvv21としてV相電圧補正器33へ出力する。同様に、加算器67は、第1のW相電圧指令vw2に第2の指数演算器64が出力した第2の電圧利用率向上指数を加算してvw21としてW相電圧補正器34へ出力する。
図20は、電圧指令発生手段5から得た第1の三相交流端子の電圧指令vu1、vv1、vw1及び第2の三相交流端子の電圧指令vu2、vv2、vw2の一例であり、Caは三角波キャリア信号である。この例では、第1の三相交流端子の電圧指令と第2の三相交流端子の電圧指令とは、周波数と振幅はそれぞれ同じで位相差が180度という関係となっている。この場合、図の破線円で囲んだように第1のU相電圧指令vu1が最小となるときと第2のU相電圧指令vu2が最大になるときが重なってしまい、これ以上電圧指令の振幅を上げることができない。同様に、図の破線円で囲んだように第1のV相電圧指令vv1が最小となるときと第2のV相電圧指令vv2が最大になるときが重なってしまい、これ以上電圧指令の振幅を上げることができない。同様に、図の破線円で囲んだように第1のW相電圧指令vw1が最小となるときと第2のW相電圧指令vw2が最大になるときが重なってしまい、これ以上電圧指令の振幅を上げることができない。
しかしながら、第1の回転機3と第2の回転機4とに電圧を印加するという機能を考えた場合、直流電圧源2の負側端子からの電位とは関係なく、第1の三相交流端子及び第2の三相交流端子のそれぞれについて、線間電圧の電位差が所望の値になれば良い。換言すると、第1の三相交流端子の電圧指令vu1、vv1、vw1の各電位に同じ値を加算しても、UV間、VW間、WU間の線間電圧は変化しない。そこで、第1の指数演算器60は、第1の三相交流端子の電圧指令vu1、vv1、vw1に基づいて第1の電圧利用率向上指数を出力し、加算器61〜63によってこの第1の電圧利用率向上指数を第1の三相交流端子の電圧指令vu1、vv1、vw1のそれぞれに加算しても、第1の三相交流端子の線間電圧に変化はないので、このことを利用して電力変換手段1の電圧利用率を向上させることができる。同様に、第2の三相交流端子の電圧指令vu2、vv2、vw2の各電位に同じ値を加算しても、UV間、VW間、WU間の線間電圧は変化しない。そこで、第2の指数演算器64は、第2の三相交流端子の電圧指令vu2、vv2、vw2に基づいて第2の電圧利用率向上指数を出力し、加算器65〜67によってこの第2の電圧利用率向上指数を第2の三相交流端子の電圧指令vu2、vv2、vw2のそれぞれに加算しても、第2の三相交流端子の線間電圧に変化はないので、このことを利用して電力変換手段1の電圧利用率を向上させることができる。
具体的には、第1の指数演算器60は、(1)式に基づいた計算を行い、第1の電圧利用率向上指数vx1を出力する。
vx1=−MAX(vu1、vv1、vw1)+Vdc ・・・(1)
ここで、MAX(a、b、c)は、a、b、cのうち最も大きい値である。同様に、第2の指数演算器64は、(2)式に基づいた計算を行い、第2の電圧利用率向上指数vx2を出力する。
vx2=−MIN(vu2、vv2、vw2) ・・・(2)
ここで、MIN(a、b、c)は、a、b、cのうち最も小さい値である。
(1)式の第1の電圧利用率向上指数vx1は、vu1、vv1、vw1の最大値をVdcから減算した値である。このvx1を、vu1、vv1、vw1のそれぞれに加算すると、vu1、vv1、vw1のうち最大の相がVdcとなり、残りの2相は最大相との電位差を保ちながら所定の値となる。換言すると、このvx1をvu1、vv1、vw1のそれぞれに加算することで、常時、vu1、vv1、vw1のうちの最大電圧がVdcとなる。同様に、(2)式の第2の電圧利用率向上指数vx2は、vu2、vv2、vw2の最小値をゼロから減算した値である。このvx2をvu2、vv2、vw2のそれぞれに加算すると、vu2、vv2、vw2のうち最小の相がゼロとなり、残りの2相は最小相との電位差を保ちながら所定の値となる。換言すると、このvx2をvu2、vv2、vw2のそれぞれに加算することで、常時、vu2、vv2、vw2のうちの最小電圧がゼロとなる。
図21は、図20に示した第1の三相交流端子の電圧指令vu1、vv1、vw1のそれぞれに第1の電圧利用率向上指数vx1を加算するとともに、第2の三相交流端子の電圧指令vu2、vv2、vw2のそれぞれに第2の電圧利用率向上指数vx2を加算したときの様子であり、第1の三相交流端子の線間電圧には変化がなく、また、第2の三相交流端子の線間電圧にも変化はない。図20と図21を比較して判るように、図20では破線円で囲んだように第1の三相電圧指令が最小となるときと第2の三相電圧指令が最大になるときが重なってしまい、これ以上電圧指令の振幅を上げることができなかったが、第1の電圧利用率向上指数及び第1の電圧利用率向上指数をそれぞれ、第1の三相交流端子の電圧指令及び第2の三相交流端子の電圧指令に加算することで、図21の破線円で囲んだように第1の三相電圧指令が最小となるときと第2の三相電圧指令が最大になるときの重なりが解消でき、より大きな電圧振幅を与えることが可能である。即ち、電圧利用率が向上する。
以上のように、実施の形態8のスイッチ信号演算手段6eは、第1の三相交流端子の電圧指令に加算すべき第1の電圧利用率向上指数を演算し、この第1の電圧利用率向上指数を第1の三相交流端子の電圧指令に加算するとともに、第2の三相交流端子の電圧指令に加算すべき第2の電圧利用率向上指数を演算し、第2の電圧利用率向上指数を第2の三相交流端子の電圧指令に加算し、電力変換手段1の半導体スイッチのスイッチング信号を演算するようにしたので、電力変換手段1の電圧利用率を高く取ることができ、直流電圧源2の電圧が変わらなくても電力変換手段1が従来よりも高い電圧を出力できるという効果がある。
実施の形態9.
この実施の形態9は、前記実施の形態8の変形例で、第1の電圧利用率向上指数vx1および第2の電圧利用率向上指数vx2を、先の(1)式および(2)式に替わって、下記(3)式および(4)式に基づいて演算する。
vx1=−{MAX(vu1、vv1、vw1)+MIN(vu1、vv1、vw1)}×0.5+Vdc×0.75 ・・・(3)
vx2=−{MAX(vu2、vv2、vw2)+MIN(vu2、vv2、vw2)}×0.5+Vdc×0.25 ・・・(4)
ここで、(3)式の第1の電圧利用率向上指数vx1は、vu1、vv1、vw1の最大値と最小値の平均値をVdcの0.75倍から減算した値である。このvx1をvu1、vv1、vw1のそれぞれに加算すると、vu1、vv1、vw1のうち最大の相と最小の相の平均値がVdc×0.75となり、残りの1相は最大相と最小相の間となる。換言すると、このvx1をvu1、vv1、vw1のそれぞれに加算することで、常時、vu1、vv1、vw1のうちの最大電圧と最小電圧の平均値がVdc×0.75となる。vx1を加算する前は最大電圧と最小電圧の平均値はVdc×0.75よりも高くなることがあったので、最大電圧がVdcを超えてしまうことがあったが、vx1を加算することで最大電圧と最小電圧の平均値を一定にすることができ、変調率をより高くすることが可能となる。(4)式についても同様の考え方で、常時、vu2、vv2、vw2のうちの最大電圧と最小電圧の平均値がVdc×0.25となる。
図22は、図20に示した第1の三相交流端子の電圧指令vu1、vv1、vw1のそれぞれに(3)式で算出した第1の電圧利用率向上指数vx1を加算するとともに、第2の三相交流端子の電圧指令vu2、vv2、vw2のそれぞれに(4)式で算出した第2の電圧利用率向上指数vx2を加算したときの様子であり、第1の三相交流端子の線間電圧には変化がなく、また、第2の三相交流端子の線間電圧にも変化はない。図22は、図21と同様に、破線円で囲んだように第1の三相電圧指令が最小となるときと第2の三相電圧指令が最大になるときの重なりが解消でき、より大きな電圧振幅を与えることが可能である。即ち、電圧利用率が向上する。
本発明の実施の形態1による電力変換装置を示す構成図である。 本発明の実施の形態1による電力変換手段のU相上段スイッチがオン、U相中段スイッチがオン、U相下段スイッチがオフした時の様子を示す図である。 本発明の実施の形態1による電力変換手段のU相上段スイッチがオン、U相中段スイッチがオフ、U相下段スイッチがオンした時の様子を示す図である。 本発明の実施の形態1による電力変換手段のU相上段スイッチがオフ、U相中段スイッチがオン、U相下段スイッチがオンした時の様子を示す図である。 従来の電力変換装置におけるスイッチ信号演算手段が演算する電力変換手段の半導体スイッチのスイッチング信号の様子を示す図である。 本発明の実施の形態2によるスイッチ信号演算手段6が演算する電力変換手段1における半導体スイッチのスイッチング信号の様子を示す図である。 本発明の実施の形態3によるスイッチ信号演算手段6aが演算する電力変換手段における半導体スイッチの状態の遷移を示す図である。 本発明の実施の形態4によるスイッチ信号演算手段6bが演算する電力変換手段1における半導体スイッチの状態の遷移を示す図である。 本発明の実施の形態6による電力変換装置を示す構成図である。 本発明の実施の形態6によるスイッチ信号演算手段6cの内部構成を示す図である。 本発明の実施の形態6によるU相PWM変調器35の内部構成を示す図である。 本発明の実施の形態6によるスイッチ短絡防止期間の影響を説明するための図である。 各スイッチの具体的構成を示す図である。 本発明の実施の形態6によるスイッチング周期における短絡防止期間が第1のU相端子の電位vu1aに及ぼす影響(電圧)Δv1および第2のU相端子の電位vu2aに及ぼす影響(電圧)Δv2について示す図である。 本発明の実施の形態6によるU相電圧補正器32の内部構成を示す図である。 本発明の実施の形態7によるスイッチ信号演算手段6dの内部構成を示す図である。 本発明の実施の形態7によるU相PWM変調器35dの内部構成を示す図である。 本発明の実施の形態7によるU相電圧補正器32dの内部構成を示す図である。 本発明の実施の形態8によるスイッチ信号演算手段6eの内部構成を示す図である。 本発明の実施の形態8による電圧指令発生手段5から出力される第1の三相交流端子の電圧指令vu1、vv1、vw1及び第2の三相交流端子の電圧指令vu2、vv2、vw2を示す図である。 本発明の実施の形態8において、第1の三相交流端子の電圧指令vu1、vv1、vw1のそれぞれに第1の電圧利用率向上指数vx1を加算するとともに、第2の三相交流端子の電圧指令vu2、vv2、vw2のそれぞれに第2の電圧利用率向上指数vx2を加算したときの様子を示す図である。 本発明の実施の形態9において、第1の三相交流端子の電圧指令vu1、vv1、vw1のそれぞれに第1の電圧利用率向上指数vx1を加算するとともに、第2の三相交流端子の電圧指令vu2、vv2、vw2のそれぞれに第2の電圧利用率向上指数vx2を加算したときの様子を示す図である。
符号の説明
1 電力変換手段、2 直流電圧源、3 第1の回転機、4 第2の回転機、
5 電圧指令発生手段、6,6a,6b,6c,6d,6e スイッチ信号演算手段、
7 U相上段スイッチ、8 U相中段スイッチ、9 U相下段スイッチ、
10 V相上段スイッチ、11 V相中段スイッチ、12 V相下段スイッチ、
13 W相上段スイッチ、14 W相中段スイッチ、15 W相下段スイッチ、
20,21 電流検出手段、32,33,34 電圧補正器、
35,36,37 PWM変調器、40,40d キャリア信号発生器、
44,45,46 短絡防止期間設定器、47,50,54 符号関数演算器、
60,64 指数演算器。

Claims (9)

  1. 直流電圧源に接続される正負1組の直流端子、この直流端子間に三相各相毎に接続された上段、中段、下段のスイッチング素子の直列接続体、前記三相各相の前記上段スイッチング素子と中段スイッチング素子との接続点に接続された第1の三相交流端子および前記三相各相の前記中段スイッチング素子と下段スイッチング素子との接続点に接続された第2の三相交流端子を備えた電力変換手段と、この電力変換手段の前記第1および第2の三相交流端子に出力する電圧指令を作成する電圧指令発生手段と、この電圧指令発生手段からの前記電圧指令に基づき前記直流端子の直流電圧を交流電圧に変換して前記第1および第2の三相交流端子に出力するよう前記各スイッチング素子をオンオフ駆動するスイッチング信号を演算するスイッチ信号演算手段とを備えた電力変換装置において、
    前記三相各相の中段スイッチング素子の電流容量を、前記三相各相の上段または下段のスイッチング素子の電流容量より小さく設定したことを特徴とする電力変換装置。
  2. 直流電圧源に接続される正負1組の直流端子、この直流端子間に三相各相毎に接続された上段、中段、下段のスイッチング素子の直列接続体、前記三相各相の前記上段スイッチング素子と中段スイッチング素子との接続点に接続された第1の三相交流端子および前記三相各相の前記中段スイッチング素子と下段スイッチング素子との接続点に接続された第2の三相交流端子を備えた電力変換手段と、この電力変換手段の前記第1および第2の三相交流端子に出力する電圧指令を作成する電圧指令発生手段と、この電圧指令発生手段からの前記電圧指令に基づき前記直流端子の直流電圧を交流電圧に変換して前記第1および第2の三相交流端子に出力するよう前記各スイッチング素子をオンオフ駆動するスイッチング信号を演算するスイッチ信号演算手段とを備えた電力変換装置において、
    前記スイッチ信号演算手段は、所定期間における前記上段、中段および下段のスイッチング素子のオンオフ切替回数が互いに等しくなるよう前記スイッチング信号を演算することを特徴とする電力変換装置。
  3. 前記電圧指令発生手段は、前記第1の三相交流端子に出力する第1の電圧指令と前記第2の三相交流端子に出力する前記第1の電圧指令より小さい第2の電圧指令を作成するものとし、
    前記スイッチ信号演算手段は、ノコギリ波状のキャリア信号と前記第1および第2の電圧指令とに基づくパルス幅変調制御で前記スイッチング信号を演算することを特徴とする請求項2記載の電力変換装置。
  4. 前記スイッチ信号演算手段は、所定の複数キャリア周期経過毎に前記パルス幅変調制御を実行して当該キャリア周期における複数のスイッチング状態、各パルス幅、制御順序を決定し、次に前記パルス幅変調制御を実行するまでの各キャリア周期では、前記各キャリア周期の境界前後における前記スイッチング状態が同一となるよう既に決定されたキャリア周期における前記スイッチング状態の制御順序のみを入れ替えることにより、1キャリア周期当たりの前記スイッチング素子のオンオフ切替回数を低減するようにしたことを特徴とする請求項3記載の電力変換装置。
  5. 前記電圧指令発生手段は、前記第1の三相交流端子に出力する第1の電圧指令と前記第2の三相交流端子に出力する前記第1の電圧指令より小さい第2の電圧指令を作成するものとし、
    前記スイッチ信号演算手段は、前記直流電圧源の電圧と前記第1および第2の電圧指令とに基づき演算によりパルス幅を求めるパルス幅変調制御で前記スイッチング信号を作成するようにし、
    前記スイッチ信号演算手段は、所定の演算周期毎に前記パルス幅変調制御を実行して当該演算周期における複数のスイッチング状態、各パルス幅を求め、前記各演算周期内での前記スイッチング状態の制御順序は前記各演算周期の境界前後における前記スイッチング状態が同一となるよう設定することにより、1演算周期当たりの前記スイッチング素子のオンオフ切替回数を低減するようにしたことを特徴とする請求項2記載の電力変換装置。
  6. 直流電圧源に接続される正負1組の直流端子、この直流端子間に三相各相毎に接続された上段、中段、下段のスイッチング素子の直列接続体、前記三相各相の前記上段スイッチング素子と中段スイッチング素子との接続点に接続された第1の三相交流端子および前記三相各相の前記中段スイッチング素子と下段スイッチング素子との接続点に接続された第2の三相交流端子を備えた電力変換手段と、この電力変換手段の前記第1および第2の三相交流端子に出力する電圧指令を作成する電圧指令発生手段と、この電圧指令発生手段からの前記電圧指令に基づき前記直流端子の直流電圧を交流電圧に変換して前記第1および第2の三相交流端子に出力するよう前記各スイッチング素子をオンオフ駆動するスイッチング信号を演算するスイッチ信号演算手段とを備えた電力変換装置において、
    前記第1および第2の三相交流端子に流れる電流を検出する電流検出手段を備え、
    前記スイッチ信号演算手段は、前記上段、中段および下段のスイッチング素子が同時にオンする短絡状態が発生しないよう前記スイッチング信号に短絡防止期間を設定するようにし、かつ、前記短絡防止期間の設定による出力電圧の減少を補償するよう前記電流検出手段からの電流検出値に基づき前記電圧指令発生手段で作成した電圧指令を補正する電圧補正手段を備えたことを特徴とする電力変換装置。
  7. 直流電圧源に接続される正負1組の直流端子、この直流端子間に三相各相毎に接続された上段、中段、下段のスイッチング素子の直列接続体、前記三相各相の前記上段スイッチング素子と中段スイッチング素子との接続点に接続された第1の三相交流端子および前記三相各相の前記中段スイッチング素子と下段スイッチング素子との接続点に接続された第2の三相交流端子を備えた電力変換手段と、この電力変換手段の前記第1および第2の三相交流端子に出力する電圧指令を作成する電圧指令発生手段と、この電圧指令発生手段からの前記電圧指令に基づき前記直流端子の直流電圧を交流電圧に変換して前記第1および第2の三相交流端子に出力するよう前記各スイッチング素子をオンオフ駆動するスイッチング信号を演算するスイッチ信号演算手段とを備えた電力変換装置において、
    前記スイッチ信号演算手段は、前記電圧指令発生手段からの電圧指令の各相間電圧を変化させることなく前記電圧指令の瞬時最高値と瞬時最低値との電圧差を低減させるよう前記電圧指令発生手段からの電圧指令の各相成分に所定の指数を加算する指数加算手段を備えることにより、前記直流端子の直流電圧に対する前記第1または第2の三相交流端子に出力可能な交流電圧の比率である電圧利用率を向上させるようにしたことを特徴とする電力変換装置。
  8. 前記電圧指令発生手段は、前記第1の三相交流端子に出力する第1の電圧指令と前記第2の三相交流端子に出力する前記第1の電圧指令より小さい第2の電圧指令を作成するものとし、前記直流端子の直流電圧をVdc、前記第1の電圧指令瞬時値をvu1、vv1、vw1、前記第2の電圧指令瞬時値をvu2、vv2、vw2としたとき、
    前記指数加算手段は、下式で表される第1の電圧利用率向上指数vx1および第2の電圧利用率向上指数vx2を、それぞれ前記第1の電圧指令および前記第2の電圧指令に加算するようにしたことを特徴とする請求項7記載の電力変換装置。
    vx1=−MAX(vu1,vv1、vw1)+Vdc
    vx2=−MIN(vu2、vv2、vw2)
    但し、MAX(a,b,c)は、a,b,cの内の最大値、MIN(a,b,c)は、a,b,cの内の最小値を示す。
  9. 前記電圧指令発生手段は、前記第1の三相交流端子に出力する第1の電圧指令と前記第2の三相交流端子に出力する前記第1の電圧指令より小さい第2の電圧指令を作成するものとし、前記直流端子の直流電圧をVdc、前記第1の電圧指令瞬時値をvu1、vv1、vw1、前記第2の電圧指令瞬時値をvu2、vv2、vw2としたとき、
    前記指数加算手段は、下式で表される第1の電圧利用率向上指数vx1および第2の電圧利用率向上指数vx2を、それぞれ前記第1の電圧指令および前記第2の電圧指令に加算するようにしたことを特徴とする請求項7記載の電力変換装置。
    vx1=−{MAX(vu1,vv1、vw1)+MIN(vu1,vv1、vw1)}×0.5+Vdc×0.75
    vx2=−{MAX(vu2、vv2、vw2)+MIN(vu2、vv2、vw2)}×0.5+Vdc×0.25
    但し、MAX(a,b,c)は、a,b,cの内の最大値、MIN(a,b,c)は、a,b,cの内の最小値を示す。
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