(実施形態1)
本実施形態のマイクロリレー1は、例えば、常開接点と常閉接点とを備えた所謂ラッチング型リレーであり、図2に示すように、一対の固定接点23よりなる固定接点部を一面側(図2における上面側)の長手方向両側それぞれに有したボディ2と、固定接点部の一対の固定接点23それぞれに接触した際に一対の固定接点23間を電気的に接続する可動接点35を有し当該可動接点35が固定接点部に対して接離する形にボディ2の上記一面側に揺動自在に配置されたアーマチュア3と、ボディ2の上記一面側に設けられアーマチュア3が内側に配置されたフレーム4と、フレーム4におけるボディ2側とは反対側に設けられたカバー5と、アーマチュア3を揺動させる駆動装置6とを備えている。なお、本実施形態のマイクロリレーでは、ボディ2とフレーム4とカバー5とによってアーマチュア3を内部に収納するリレー本体1a(図3参照)が構成されている。
ボディ2は、図1(a)に示すように、ベース基板20と、ベース基板20の厚み方向(図1における上下方向)における一表面側(図1(a)における上面側)に形成された接地用導体パターン21と、接地用導体パターン21におけるベース基板20側とは反対側に接地用導体パターン21を覆う形に形成された絶縁層22と、絶縁層22における接地用導体パターン21とは反対側に形成された固定接点23と、絶縁層22における接地用導体パターン21側とは反対側に形成された補助接地用導体パターン26とを有する積層板からなる。なお、接地用導体パターン21や、固定接点23、可動接点35、補助接地用導体パターン26などは、ベース基板20などに比べて厚みが非常に薄いものであるが、図1(a)では、説明を簡略化するために、厚みを実際とは異ならせて図示している。
ベース基板20は、図4(a)に示すように、例えばセラミック(セラミックスともいう)などの絶縁性材料により矩形板状に形成され、その中央部には、駆動装置6が内部に収納される矩形状の開孔部20aがベース基板20を厚み方向に貫通する形に形成されている。また、ベース基板20の長手方向(長さ方向)両側それぞれには、ベース基板20を厚み方向に貫通する貫通孔(以下、「接点用貫通孔」と称する)20b1が、ベース基板20の短手方向(幅方向)に等間隔に離間する形で2つ形成されている。また、ベース基板20の長手方向両側それぞれには、ベース基板20を厚み方向に貫通する貫通孔(以下、「接地用貫通孔」と称する)20b2が、ベース基板20の短手方向に等間隔に離間する形で3つ形成されている。これら貫通孔20b1,20b2は、ベース基板20の厚み方向に直交する面内における開口形状がベース基板20の厚み方向において一様な形(本実施形態では円形状)に形成されてなる。
これら接点用貫通孔20b1および接地用貫通孔20b2それぞれの内側には貫通配線部27が設けられている。貫通配線部27は、図1(a)に示すように、両端面それぞれが、ベース基板20の上記一表面を含む平面および厚み方向における他表面(図1(a)における下面)を含む平面それぞれと同一平面上に位置する形に形成されている。なお、以下の説明では、貫通配線部27を区別するために、必要に応じて、接点用貫通孔20b1の内側に形成された貫通配線部27を符号27Aで表し、接地用貫通孔20b2の内側に形成された貫通配線部27を符号27Bで表す。
ところで、2つの接点用貫通孔20b1および3つの接地用貫通孔20b2は、図4(a)に示すように、ベース基板20の短手方向に沿って一直線上に並ぶとともに、それぞれ等間隔に形成されている。これによって、1つの接点用貫通孔20b1の両側には2つの接地用貫通孔20b2が、接点用貫通孔20b1と接地用貫通孔20b2が互いに所定間隔を隔てて平行する形で、且つ、ベース基板20の厚み方向に直交する面内において接点用貫通孔20b1に対して点対称となる形に設けられている。
一方、ベース基板20の上記他表面側には、固定接点23を外部(例えば、マイクロリレー1を実装するプリント基板)の電気回路(図示せず)に電気的に接続する図示しない接点用電極(信号用電極)が、2つの接点用貫通孔20b1それぞれの周部およびそれぞれの内側に形成された貫通配線部27Aの端面に重なる形に形成されている。また、上記他表面側には、接地用導体パターン21を上記電気回路に電気的に接続する図示しない接地用電極が、3つの接地用貫通孔20b2それぞれの周部およびそれぞれの内側に形成された貫通配線部27Bの端面に重なる形に形成されている。
接地用導体パターン21は、例えば、長手方向がベース基板20の短手方向(幅方向)に沿う形の長尺矩形状のものであって、ベース基板20の長手方向両側それぞれに、2つの接点用貫通孔20b1および3つの接点用貫通孔20b2全てを覆う形に形成されている。また、接地用導体パターン21は、図1(a).(b)に示すように、ベース基板20の厚み方向において一対の固定接点23および当該固定接点23に接離する可動接点35と重なる形(ベース基板20の厚み方向に直交する面内において固定接点23および可動接点35が接地用導体パターン21より外側にはみ出ない形)に形成されてなる。
また、接地用導体パターン21には、2つの接点用貫通孔20b1およびその周部それぞれを露出させる2つの貫通孔部21aが接地用導体パターン21の厚み方向に貫設されている。貫通孔部21aは、内径が接点用貫通孔20b1の内径より大きい円形状の孔部であって、その中心軸が接点用貫通孔20b1と一致する形に接地用導体パターン21に形成されている。したがって、接地用導体パターン21は、3つの貫通配線部27Bに電気的に接続され、2つの貫通配線部27Aには電気的に接続されないようになっている。
絶縁層22は、例えば、セラミックなどからなり、両接地用導体パターン21および開孔部20aを含むベース基板20の上記一表面側の全面を覆う形に形成されている。この絶縁層22において厚み方向で接地用導体パターン21と重なる部位には、接地用導体パターン21の貫通孔部21aより露出する接点用貫通孔20bそれぞれを露出させる2つの固定接点接続孔22aが厚み方向に貫設されている。固定接点接続孔22aは、内径が貫通孔部21aの内径より小さい円形状の孔部であって、その中心軸が接点用貫通孔20b1と一致する形に絶縁層22に形成され、これによって、固定接点接続孔22aより接地用導体パターン21が露出しないようにしている。また、絶縁層22には、接地用導体パターン21の長手方向両側それぞれの一部を露出させる2つの補助接地用導体接続孔22bが厚み方向に貫設されている。補助接地用導体接続孔22bは、内径が接地用貫通孔20b2の内径より大きい円形状の孔部であって、その中心軸が接地用貫通孔20b2と一致する形に絶縁層22に形成され、これによって、補助接地用導体パターン26と接地用電極との間を最短距離で接続するようにしている。
固定接点23は、例えば、金属材料(例えば、金属材料のなかでも導電性が良好な金属材料)からなる帯状の金属薄膜であって、絶縁層22におけるベース基板20(接地用導体パターン21)側とは反対側、つまり絶縁層22の上面における長手方向両側それぞれに、ベース基板20の短手方向に長さ方向を沿わせた形で一対ずつ形成されている。ここで、一対の固定接点23は、絶縁層22の長手方向の端部に設けられた一対の固定接点接続孔22a間の部位に、絶縁層22の短手方向で所定間隔を隔てて互いに対向する形に形成されている。また、各固定接点23は近傍の固定接点接続孔22aより露出する貫通配線部27Aに、円形状の接続部24によって電気的に接続されている。つまり、絶縁層22の上面側の長手方向両側それぞれには、固定接点23と接続部24とからなる接点用導体パターン25が2つずつ形成されている。
補助接地用導体パターン26は、例えば、金属材料(例えば、金属材料のなかでも透磁率が比較的低い金属材料)からなり、絶縁層22におけるベース基板20側(接地用導体パターン21側)とは反対側(つまり絶縁層22の上面側)に、両接地用導体パターン21および開孔部20aをまとめて覆う形に形成されている。補助接地用導体パターン26の長手方向両側それぞれには、厚み方向に直交する面内において固定接点23を有する一対の接点用導体パターン25および当該一対の接点用導体パターン25の固定接点23に接離する可動接点35を露出させる長孔26aが厚み方向に貫設されている。つまり、補助接地用導体パターン26は、厚み方向に直交する面内において一対の固定接点23および当該一対の固定接点23に接離する可動接点35を露出させる形に形成されている。また、一対の接点用導体パターン25と補助接地用導体パターン26との間は非接触となるようにしている(すなわち電気的に接続されないようになっている)。さらに、補助接地用導体パターン26は、一部が絶縁層22の補助接地用導体接続孔22b内に入り込む形に形成されて、補助接地用導体パターン26と接地用導体パターン21とが電気的に接続されている。つまり、補助接地用導体接続孔22b内に入り込んだ補助接地用導体パターン26の部位が、補助接地用導体パターン26と接地用導体パターン21とを電気的に接続する層間配線部となっている。
ボディ2は、例えば、耐熱性、耐湿性に優れ、高周波回路において良好な損失特性(周波数特性)が得られるセラミックを利用した積層板(多層セラミック配線板)であって、例えば、グリーンシート法を利用して形成されている。以下に、ボディ2の形成方法について図4および図5を参照して簡単に説明する。
まず、グリーンシート(生シート)を厚み方向に複数枚重ねてベース基板20の基礎となる絶縁基材を形成する。グリーンシートを重ねる枚数は、グリーンシートの厚みと設計上のベース基板20の厚みによって決定される。
ベース基板20の基礎となる絶縁基材を形成した後には、打ち抜き加工などによって、開孔部20a、接点用貫通孔20b1、および接地用貫通孔20b2それぞれを形成し、図4(a)に示す構成を得る。その後には、接点用貫通孔20b1および接地用貫通孔20b2それぞれに導電ペーストを充填し、これによって貫通配線部27を構成する。
その後には、上記絶縁基材の厚み方向における一面(すなわちベース基板20の上記一表面)に、スクリーン印刷法などにより導電ペーストを印刷することで、接地用導体パターン21を形成し、図4(b)に示す構成を得る。
接地用導体パターン21を形成した後には、上記絶縁基材の上記一面に、絶縁層22の基礎となるグリーンシートを、上記一面の全面を覆う形に重ね、加熱、加圧することで一体化し、図5(a)に示す構成を得る。
その後には、絶縁層22における接地用導体パターン21側とは反対側に、スクリーン印刷法などにより導電ペーストを印刷することで、接点用導体パターン25および補助接地用導体パターン26を形成し、図5(b)に示す構成を得る。
上述したようにグリーンシートおよび導体の積層が終了した後には、必要があればこれらを所定の形状(所望のボディ2の外形サイズ)に打ち抜き、その後に、酸化雰囲気中で加熱して樹脂成分を抜いてから、加湿還元雰囲気中(水素炉中)にて焼成する。
本実施形態では、グリーンシートとしては、低温での焼成が可能なセラミック材料、例えば、アルミナとホウケイ酸ガラスの複合材料からなる結晶化ガラスなどのLTCC(Low Temperature Co-fired Ceramics)を用い、グリーンシートに形成する導体、すなわち各導体パターン21,25,26などの材料としては、銀を利用した導電ペースト、つまり銀ペーストを利用しているため、従来1500℃〜1800℃で行っていた焼成を、900℃程度(あるいは900℃以下)と従来に比べて低温で行っている。
上記焼成の後には、電解めっき法や、無電解めっき法、その他の方法により、少なくとも固定接点23の表面に金属薄膜(図示せず)を形成する。なお、当該金属薄膜に用いる導体としては、金などの溶着性、耐環境性、および耐熱性の高い金属材料を用いることが好ましい。
さらに、ベース基板20の上記他表面側に、上記接点用電極および接点用電極を、電解めっき法や、無電解めっき法、その他の方法により形成する。
上述したボディ2の形成方法はあくまでも一例であって、これに限定する趣旨ではなく、適宜変更するようにしてもよい。また、グリーンシートの材料としては、上記のような結晶化ガラスではなく、CaOや、MgOなどを添加したアルミナを利用してもよく、この場合、導電ペーストとしては、高融点材料であるモリブデン(Mo)や、タングステン(W)などを用いればよい。さらに、ボディ2を形成する方法としては、グリーンシート法、厚膜法、若しくは薄膜法、またはこれらの混成法であってもよい。ところで、本実施形態におけるボディ2は、セラミックを利用した積層板であるが、この他、フッ素樹脂を利用した積層板や、ガラスエポキシ積層板(ガラス布基材エポキシ樹脂銅張積層板)であってもよく、これら積層板の形成方法は周知であるから説明を省略する。
フレーム4は、図2に示すように、アーマチュア3が内側に配置される矩形状の開口4aを有する矩形枠状に形成され、フレーム4の短手方向で対向する開口4aの内側面それぞれの長手方向中央部には、フレーム4の長手方向に沿った方向におけるアーマチュア3の移動を規制する一対の規制突起4bがフレーム4の長手方向に離間する形に形成されている。なお、フレーム4の外形サイズはボディ2の外形サイズと同サイズに形成されている(フレーム4とボディ2とは長手方向の寸法および短手方向の寸法それぞれが等しく形成されている)。
アーマチュア3は、図2および図6に示すように、フレーム4の開口4a内に配置されるものであって、フレーム4の長手方向に沿った方向を長手方向とする長方形状に形成され、ボディ2との対向面側(図6における下面側)に接極子板32が接合されたアーマチュア本体30と、アーマチュア本体30の長手方向両端側それぞれに配置された接点基台31とを備えている。なお、ボディ2の各導体パターン21,25,26、および可動接点35は厚みが非常に薄いものであるから、図6では、図示を省略している。
ここで、接極子板32は、駆動装置6で発生させる磁力によりアーマチュア3を揺動させるためのものであり、電磁軟鉄、電磁ステンレス、パーマロイなどの磁性材料を機械加工して形成され、接着、溶接、熱着、ロウ付けなどの方法で、アーマチュア本体30におけるボディ2との対向面に接合されている。
アーマチュア本体30の厚みは、アーマチュア3におけるボディ2との対向面(すなわち、アーマチュア本体30に接合された接極子板32におけるアーマチュア本体30側とは反対側の面)よりも、フレーム4におけるボディ2との対向面が、ボディ2側に位置するような厚みに設定されている。したがって、フレーム4をボディ2に接合した際には、アーマチュア3におけるボディ2との対向面とボディ2の上記一面との間に、アーマチュア3を揺動自在とするための空間部が形成される。
アーマチュア本体30の短手方向両側面それぞれにおける長手方向中央部には、延設片33が互いの中心線を一致させた形で一体に延設されている。延設片33それぞれは、図2に示すように、フレーム4の一対の規制突起4b間に配置され、延設片33が一対の規制突起4bのいずれかとフレーム4の長手方向において当接することで、フレーム4の長手方向に沿った方向へのアーマチュア3の移動が規制される。各延設片33におけるボディ2との対向面には、ボディ2に当接してアーマチュア3の揺動動作(シーソ動作)の支点となる支点突起33aが一体に突設されている。
さらに、アーマチュア本体30の四隅それぞれには、短手方向側に突出する矩形板状の突設片34が一体に形成されている。各突設片34におけるボディ2との対向面側(図6(a)における下面側)には、ボディ2と当接することでアーマチュア3の揺動範囲を規制する角柱状の規制突起34aが一体に突設されている。つまり、アーマチュア3の長手方向両端側それぞれには、2つの規制突起34aがアーマチュア3の揺動軸方向(アーマチュア本体30の短手方向)において接点基台31の両側に位置する形で設けられている。各規制突起34aの突出寸法は、アーマチュア3の長手方向とボディ2の上記一面の長手方向とを沿わせた平衡状態では、各規制突起34aがボディ2の上記一面と当接しないような大きさで、かつ可動接点35が所定の接圧で固定接点23に接触するような大きさに設定されている。
接点基台31は、フレーム4の短手方向に沿った方向を長手方向とする直方体状に形成され、ボディ2との対向面(図6における下面)には、可動接点35(図1(a)参照)が形成されている。なお、可動接点35は、例えば、電解めっき法や、無電解めっき法、その他の方法により形成されている。また、可動接点35に用いる導体としては、金などの溶着性、耐環境性、および耐熱性の高い金属材料を用いることが好ましい。
各接点基台31は、図2に示すように、一対の連結片36によりアーマチュア本体30と一体に連結されている。連結片36は、厚み方向に直交する面内で少なくとも一部が接点基台31の長手方向に沿った方向に進む形に蛇行した形状に形成され、接点基台31の可動接点35が固定接点23に接触した際に、所定の接圧を付与できるようにしている。
以上述べたアーマチュア本体30は、図2に示すように、支持片37によりフレーム4と一体に連結されている。支持片37は、フレーム4の開口4aの短手方向における内側面と、当該内側面に対向するアーマチュア本体30の短手方向の外側面とを一体に連結するものであって、アーマチュア3の揺動軸に対して線対称となるように4つ形成されている。このような支持片37は、厚み方向に直交する面内で少なくとも一部がアーマチュア本体30の長手方向に沿った方向に進むように蛇行した形状に形成されているから、アーマチュア3がフレーム4に揺動自在に支持されることになる。また、支持片37を蛇行した形状に形成することで、支持片37の長さを長くでき、アーマチュア3が揺動動作する際に支持片37がねじられることで生じるばね力のばね定数を適切に小さくできるとともに、支持片37に加えられる応力も分散できる。なお、支持片37は、フレーム4よりも厚みが薄く形成され、幅方向の寸法が厚み寸法よりも小さく形成されている。
ところで、本実施形態のマイクロリレー1では、接極子板32を除くアーマチュア3の部位とフレーム4とが同じ基板から形成されている。すなわち、アーマチュア本体30、接点基台31、連結片36、および支持片37と、フレーム4とは、例えば、50μm〜300μm程度、好ましくは200μm程度の厚みのシリコン基板をフォトリソグラフィ技術およびエッチング技術などを利用してパターニングすることにより形成されている。
カバー5は、例えば、耐熱ガラスなどの耐熱性に優れる材料によりボディ2と同サイズの矩形板状に形成され、フレーム4との対向面側(図6における下面側)には、アーマチュア3との接触を防止してアーマチュア3をリレー本体1a内に揺動自在に収納するための逃げ凹部5aが形成されている。
駆動装置6は、図2に示すように、ヨーク60と、永久磁石63と、一対のコイル64とを備えた電磁石装置である。ヨーク60は、電磁軟鉄などの鉄板を曲げ加工あるいは鍛造加工してなり、長尺矩形板状の中央片61と、中央片61の表面側(図2における上面側)の長手方向両端部それぞれに突設された矩形板状の脚片62とを一体に備えている。永久磁石63は、脚片62の中央片61からの突出寸法と略同寸法の厚みの直方体状に形成され、厚み方向の一面側と他面側とが互いに異極となるように着磁されている。この永久磁石63は、前記他面をヨーク60の中央片61の前記表面における長手方向中央部に当接させた状態でヨーク60に取着される。各コイル64は、各脚片62と永久磁石63との間の中央片61の部位それぞれに巻回されている。
そして、本実施形態のマイクロリレー1は、上述したボディ2の上記一面側に、図1(b)に示すように、アーマチュア3の可動接点35が一対の固定接点23の両方に対向する形で、フレーム4を接合(例えば、熱圧着や超音波接合)し、フレーム4におけるボディ2側とは反対側にカバー5を接合(例えば、陽極接合)し、ボディ2の開孔部20aにボディ2の上記他面側から駆動装置6を収納することにより構成されている。
このマイクロリレー1では、アーマチュア3は、可動接点35が一対の固定接点23に接触して一対の固定接点23間を電気的に接続する閉位置と、可動接点35が一対の固定接点23から離間して一対の固定接点23間を電気的に接続しない開位置との間で移動するようにリレー本体1aに揺動自在に収納され、可動接点35と一対の固定接点23によってリレー本体1aの長手方向両端側それぞれに接点機構部が構成される。なお、リレー本体1a内には不活性ガスを充填してもよい。
次に、本実施形態のマイクロリレーの動作について説明する。なお、以下の説明では、必要に応じて、リレー本体1aの長手方向一端側(図1(b)における右側)の一対の固定接点23と他端側(図1(b)における左側)の一対の固定接点23とを区別するために、一端側の固定接点23を符号23Aで表し、他端側の固定接点23を符号23Bで表す。また、同様の理由から、可動接点35を符号35A,35Bで、接点基台31を符号31A,31Bで、脚片62を符号62A,62Bで、コイル64を符号64A,64Bでそれぞれ表す。また、初期状態(上述の平衡状態)では、可動接点35がいずれの固定接点23とも接触していないとする。
初期状態から駆動装置6の両コイル64それぞれに所定方向に電流が流れるように通電すると、コイル64で発生する磁束は、例えば、脚片62Aでは永久磁石63が発生する磁束と同方向となり、脚片64Bでは永久磁石63が発生する磁束と逆方向となるから、脚片62Aの先端面とアーマチュア3の接極子板32との間に吸引力が生じ、アーマチュア3は、支点突起33aの先端部を支点として揺動動作する。アーマチュア3が上記初期状態から傾いた状態では、接点基台31Aの可動接点35Aが、一対の固定接点23Aそれぞれと所定の接圧で接触して、一対の固定接点23A間を電気的に接続する閉位置に位置する。一方、接点基台31Bの可動接点35Bは、一対の固定接点23Bそれぞれから離間して、一対の固定接点23B間を電気的に接続しない開位置に位置する。
したがって、駆動装置6の両コイル64それぞれに上記所定方向に電流を流すと、一対の固定接点23A間のみが電気的に接続される。この状態で、両コイル64への通電を停止した場合には、永久磁石63が発生する磁束が、永久磁石63→接触子板32→脚片62A→永久磁石63という閉磁路を通るため、上記状態(一対の固定接点23A間が短絡された状態)が保持される。
その後に、両コイル64それぞれに、上記所定方向とは逆方向に電流が流れるように通電すると、コイル64が発生する磁束は、脚片62Bでは永久磁石63が発生する磁束と同方向となり、脚片64Aでは永久磁石63が発生する磁束と逆方向となるから、脚片62Bの先端面とアーマチュア3の接極子板32との間に吸引力が生じ、アーマチュア3は、支点突起33aの先端部を支点として揺動動作する。
このようにアーマチュア3が傾いた状態では、接点基台31Bの可動接点35Bが、一対の固定接点23Bそれぞれに所定の接圧で接触して、一対の固定接点23B間を電気的に接続する閉位置に位置する。一方、接点基台31Aの可動接点35Aは、一対の固定接点23Aそれぞれから離間して、一対の固定接点23A間を電気的に接続しない開位置に位置する。
したがって、駆動装置6の両コイル64それぞれに上記所定方向とは逆方向に電流を流すと、一対の固定接点23B間のみが電気的に接続される。この状態で、両コイル64への通電を停止した場合には、永久磁石63が発生する磁束が、永久磁石63→接触子板32→脚片62B→永久磁石63という閉磁路を通るため、上記状態(一対の固定接点23B間が短絡された状態)が保持される。
その後に、一対の固定接点23A間を電気的に接続したい場合には、両コイル64に上記所定方向に電流が流れるように通電すればよい。
以上述べたように本実施形態のマイクロリレー1は、両コイル64への通電方向によって、常開接点と常閉接点とが切り換えられるラッチング型リレーとなっている。
ところで、本実施形態のマイクロリレー1では、可動接点35が一対の固定接点23の両方に接触した状態では、図8(a)に矢印Fで示すように、一方の固定接点23、可動接点35、他方の固定接点23の経路で電流が流れる。そのため、絶縁層22の一面側(図8(a)における上面側)に形成された一対の固定接点23および一対の固定接点23間を電気的に接続する可動接点35によってシグナルライン7(図7(a)参照)が構成されている。また、絶縁層22の他面側(図1(a)における下面側)には、シグナルライン7に対応するグラウンドラインとなる接地用導体パターン21が設けられている。
つまり、本実施形態のマイクロリレー1では、シグナルライン7および接地用導体パターン21により、マイクロストリップライン(マイクロストリップ線路)を構成している。
以上述べたように、本実施形態のマイクロリレー1によれば、ボディ2には、厚み方向において一対の固定接点23および当該固定接点23に接離する可動接点35と重なる形に形成された接地用導体パターン21が設けられているので、固定接点23および可動接点35と接地用導体パターン21とによってマイクロストリップラインが構成され、マイクロストリップラインでは、厚み方向における固定接点23または可動接点35と接地用導体パターン21との距離がその特性インピーダンスを決定する一因となっており、可動接点35が固定接点23に接触したときの可動接点35と接地用導体パターン21との距離は、固定接点23に対する可動接点35の接触位置の違いによる影響が少ないため、安定した特性インピーダンスが得られ、高周波特性の改善が図れる。
しかもボディ2が積層板からなるので、上記のようなマイクロストリップラインを容易に形成することができ、マイクロリレー1の製造が容易に行えるようになる。その上、図15に示す従来例のマイクロリレー100のようにガラス基板からなるベース基板210にシリコン板やガラス板などからなる絶縁性薄膜220を接合して駆動装置6を収納する開孔部(図示せず)を閉塞する場合に比べれば、ベース基板20とベース基板20の開孔部20aを閉塞する絶縁層22との接合が強固に行われ、ボディ2の強度の向上が図れる。
ところで、固定接点23および接地用導体パターン21からなるマイクロストリップライン(以下、「固定側マイクロストリップライン」と称する)の特性インピーダンスと、可動接点35および接地用導体パターン21からなるマイクロストリップライン(以下、「可動側マイクロストリップライン」と称する)の特性インピーダンスとは等しくすることが好ましい。
ここで、図7(a)に示すように、シグナルライン7の幅をW、シグナルライン7と接地用導体パターン21との距離をh、絶縁層22の誘電率をεとすると、これらW、h、εと、マイクロストリップラインの特性インピーダンスとの間には、例えば、図7(b)に示すような関係があることが試験により確かめられている。したがって、マイクロストリップラインの特性インピーダンスを所望の値(例えば50Ωや75Ω)に設定するにあたっては、絶縁層22の誘電率εに応じて、シグナルライン7の幅Wおよびシグナルライン7と接地用導体パターン21との距離hを設定すればよい。
上述の点を考慮すれば、固定接点23の幅Wsは、図8(a),(b)に示すように、目標とする(設計上の)マイクロストリップラインの特性インピーダンスの値と、絶縁層22の誘電率εと、固定接点23と接地用導体パターン21との距離(絶縁層22の厚み)hsとによって決定される。また、可動接点35の幅Wmは、目標とするマイクロストリップラインの特性インピーダンスの値と、絶縁層22の誘電率εと、可動接点35と接地用導体パターン21との距離hmとによって決定される。図8(a)に示す例では、可動接点35と絶縁層22との間の距離だけ、距離hmが距離hsよりも大きくなっている。
ここで、固定側マイクロストリップラインの特性インピーダンスと可動側マイクロストリップラインの特性インピーダンスとを等しくするためには、絶縁層22の誘電率εは共通の値であるから、固定接点23と接地用導体パターン21との距離hsに対する可動接点35と接地用導体パターン21との距離hmの大きさに応じて、可動接点35の幅Wmを固定接点23の幅Wsより大きくすればよく、具体的には、Wm=hm/hs・Wsとすればよい。
このようにすれば、固定側マイクロストリップラインと可動側マイクロストリップラインとにおいて、特性インピーダンスを一致させることが可能になるから、高周波特性の改善が図れる。
ところで、図8(b)に示すように、固定接点23の幅Wsに対して可動接点35の幅Wmが大きくなっていると、高周波電流が固定接点23から可動接点35または可動接点35から固定接点23に流れる際に反射が生じやすくなってしまうおそれがある。そこで、可動接点35の幅Wmを固定接点23の幅Wsより大きくした場合には、図9に示すように、可動接点35における長さ方向両端部(図9における左右方向両端部)それぞれは、長さ方向における端面側にいくにつれて幅Wmが固定接点23の幅Wsに等しくなる形(長さ方向両端部が中央部に比べて狭幅となる形)に形成することが好ましい。このようにすれば、固定接点23の幅Wsに対して可動接点35の幅Wmが大きくなっていることに起因する高周波電流の反射(固定接点23と可動接点35との間における反射)などを抑制できるから、リターンロスが低減され、高周波特性の改善が図れる。
上述の例では、固定側マイクロストリップラインの特性インピーダンスと可動側マイクロストリップラインの特性インピーダンスとを等しくするために、固定接点23と接地用導体パターン21との距離hsに対する可動接点35と接地用導体パターン21との距離hmの大きさに応じて、可動接点35の幅Wmを固定接点23の幅Wsより大きくしているが(図8参照)、可動接点35と接地用導体パターン21との距離hmを、固定接点23と接地用導体パターン21との距離hsに等しくなるようにしてもよい。
例えば、図10(a)に示す例では、接地用導体パターン21は、厚み方向において固定接点23と重ならず可動接点35と重なる部位21Aの厚みが、厚み方向において固定接点と重なる部位21Bの厚みよりも厚く形成されている。図10(a)に示す例では、接地用導体パターン21の部位21Aの厚みを、部位21Bの厚みよりも、可動接点35と絶縁層22との距離の分だけ厚くしてあり、この場合、可動接点35は、図10(b)に示すように、幅Wmが固定接点23の幅Wsと同じ大きさに形成されてなる。
このようにすれば、固定側マイクロストリップラインと可動側マイクロストリップラインとにおいて、両者の特性インピーダンスを一致させることが可能になるから、高周波特性の改善が図れる。また、固定接点23の幅Wsと可動接点35の幅Wmとを等しくしているから、これらの幅が異なっていることに起因する高周波電流の反射(固定接点23と可動接点35との間における反射)などを防止でき、高周波特性の改善が図れる。
また、本実施形態におけるボディ2には、絶縁層22における接地用導体パターン21側とは反対側には、厚み方向に直交する面内において一対の固定接点23および当該一対の固定接点23に接離する可動接点35を囲う形の補助接地用導体パターン26を形成しており、この補助接地用導体パターン26と一対の固定接点23および当該一対の固定接点23に接離する可動接点35とによってコプレーナ導波路を構成しているから、高周波特性の改善が図れる。さらに、補助接地用導体パターン26は、厚み方向においてベース基板20の開孔部20aと重なる形に形成されているので、ベース基板20の長手方向両側それぞれ(長手方向において開孔部20aを挟む形)に補助接地用導体パターン26を形成する場合に比べれば、補助接地用導体パターン26の表面積(ベース基板20の厚み方向に直交する面内における表面積)を広くできて、高周波特性の改善が図れる。また、絶縁層22において開孔部20aを覆う部位に補助接地用導体パターン26を形成することによって、絶縁層22のみで開孔部20aを覆う場合に比べれば、ボディ2において開孔部20aを覆う部分の強度の向上が図れる。つまり、補助接地用導体パターン26によって絶縁層22の補強を行なっている。なお、補助接地用導体パターン26は、上述したように銀などの透磁率が低い導体により形成しているので、補助接地用導体パターン26によって駆動装置6が発生する磁界が遮蔽されてしまうことはない。
本実施形態におけるボディ2には、図1(a)に示すように、接点用貫通孔20b1および接地用貫通孔20b2が厚み方向に貫設されている。本実施形態では、これら接点用貫通孔20b1および接地用貫通孔20b2を、厚み方向に直交する面内における開口形状が厚み方向において一様な形となるようにボディ2に形成しているから、例えば、ガラス基板にブラスト加工などにより形成した貫通孔(例えば、図15に符号220で示す貫通孔)のように、厚み方向に直交する面内における開口形状が厚み方向における一方から他方に向かって拡開する形のものと比較すれば、貫通孔内の貫通配線部27を通る電流の経路を短くできる。
また、接点用貫通孔20b1と接地用貫通孔20b2が互いに所定間隔を隔てて平行するとともに、2つの接地用貫通孔20b2が、厚み方向に直交する面内において接点用貫通孔20b1に対して点対称となる位置に設けられているから、接点用貫通孔20b1内の貫通配線部27Aと接地用貫通孔20b2内の貫通配線部27Bとによって高周波の伝送に適した伝送路が構成されて、高周波特性の改善が図れる。例えば、図1(a)に示す例では、1つの貫通配線部27Aの両側それぞれに、貫通配線部27Bが等間隔で配置されているため、1つの貫通配線部27Aを内部導体、2つの貫通配線部27Bを外部導体とするような同軸ケーブルと機能的に等しい伝送路が構成されている。この場合、接地用貫通孔20b2内の貫通配線部27Bが、接点用貫通孔20b1内の貫通配線部27Aに対する電界シールドとしての効果を発揮し、高周波特性の改善が図れる。
図1(a)に示す例では、2つの接地用貫通孔20b2が、厚み方向に直交する面内において接点用貫通孔20b1に対して点対称となる位置に設けられているが、例えば、図11(a)に示すように、単に1つの接点用貫通孔20b1と1つの接地用貫通孔20b2が互いに所定間隔を隔てて平行する形であってもよく、この場合においても、貫通配線部27Aと貫通配線部27Bとによって、スロットラインと同様の作用を奏する伝送路が構成されて、高周波特性の改善が図れる。
また、図1(a)に示す例では、1つの接点用貫通孔20b1の両側に、1つずつ接地用貫通孔20b2が等間隔で配置されているが、例えば、図11(b)に示すように、1つの接点用貫通孔20b1の周囲に、6つの接地用貫通孔20b2を等間隔に配置した形にしてもよい。なお、図11(b)では、6つの接地用貫通孔20b2は、接点用貫通孔20b1を中心とする正六角形の頂点位置に形成されており、この場合においても、接地用貫通孔20b2は厚み方向に直交する面内において接点用貫通孔20b1に対して点対称となる位置に設けられている。そのため、接地用貫通孔20b2内の貫通配線部27Bが、接点用貫通孔20b1内の貫通配線部27Aに対する電界シールドとしての効果を発揮し、高周波特性の改善が図れる。
図11(b)に示すような、1つの接点用貫通孔20b1と、6つの接地用貫通孔20b2とからなる伝送路は、1つの貫通配線部27Aを内部導体、6つの貫通配線部27Bを外部導体とするような同軸ケーブルと機能的に等しい伝送路となっており、その特性インピーダンスZは、誘電体となるベース基板20の比透磁率をμr、比誘電率をεr、貫通配線部27Aの半径をa、6つの貫通配線部27Bに内接する円の半径をbとすれば、次式(1)で表される。
つまり、貫通配線部27Aおよび貫通配線部27Bよりなる伝送路では、その特性インピーダンスを、ベース基板20の比透磁率μrおよび比誘電率εr、貫通配線部27Aの半径a、および貫通配線部27Bに内接する円の半径bによって、所望の値に設定できる。
ところで、本実施形態のマイクロリレー1では、図4(b)に示すように、ベース基板2の長手方向両側それぞれに接地用導体パターン21を形成しているが、例えば、図12に示すように、2つの接地用導体パターン21同士を電気的に接続するようにしてもよく、このようにすれば、2つの接地用導体パターン21同士が電気的に接続されていない場合よりも、高周波特性の改善が図れる。なお、図12に示すように接地用導体パターン21が開孔部20aを覆う形に形成されている場合には、接地用導体パターン21を形成する金属材料としては、駆動装置6が発生する磁場を遮蔽してしまうことがないように、補助接地用導体パターン21と同様に銀などの透磁率が低い材料を用いることが好ましい。当然ながら、接地用導体パターン21を図1(b)に示す形に形成する場合は、透磁率を考慮する必要がないから、比較的透磁率の高い導体を利用してもよい。
なお、本実施形態におけるボディ2の構成はあくまで一例であって、これに限定する趣旨ではなく、本発明の趣旨を逸脱しない程度に変形してもよい。また、本実施形態のマイクロリレー1では、一対の固定接点23と一対の固定接点23の両方に接離する可動接点35とによって接点機構部を構成しているが、3以上の固定接点23よりなる固定接点部と当該固定接点部に接離する可動接点35とによって接点機構部を構成するようにしてもよい。また、本実施形態のマイクロリレー1では、アーマチュア3を揺動させる駆動装置6として、永久磁石63を用いた有極型の電磁石装置を用いているが、永久磁石63を用いない無極型の電磁石装置を用いてもよい。さらに、本実施形態のマイクロリレー1では、ラッチング型のリレーを例示しているが、これに限定する趣旨ではない。これらの点は後述する実施形態2においても同様である。
(実施形態2)
本実施形態のマイクロリレー1は、主としてアーマチュア3、フレーム4、カバー5の構成が実施形態1と異なっており、ボディ2および駆動装置6の構成は実施形態1と同様であるから説明を省略する。
本実施形態におけるアーマチュア3は、例えば、フェライト系ステンレス鋼(JIS鋼種でSUS430)などの磁性を有する金属材料により板状に形成され、短手方向両側面それぞれの長手方向中央部には、フレーム4に対してアーマチュア3が相対的に長手方向に移動することを規制する規制突片3aが一体に突設されている。また、アーマチュア3におけるボディ2との対向面には、ボディ2に対するアーマチュア3の揺動支点となる支点突起(図示せず)が形成されている。このアーマチュア3は、金属材料よりなるために導電性を有しており、したがって、アーマチュア3の上記対向面における長手方向端縁部が一対の固定接点23と接離する可動接点35として作用する。勿論、アーマチュア3における長手方向端縁部にアーマチュア3よりも導電性が良好な金属材料よりなる金属薄膜をめっきなどにより形成して、これを可動接点35とするようにしてもよい。
本実施形態におけるフレーム4は、例えば、絶縁性材料により、アーマチュア3が内側に配置される矩形状の開口4aを有する矩形枠状に形成されている。フレーム4におけるボディ2側とは反対側の面(図13における上面)には、アーマチュア3の規制突片3aそれぞれが内側に配置される切欠部4cが開口4aに連通する形に形成されている。また、フレーム4においてボディ2の補助接地用導体パターン26の四隅と対応する部位には、貫通孔4dがフレーム4の厚み方向に貫設され、貫通孔4dの内部には、貫通配線部40が設けられている。なお、本実施形態におけるフレーム4の厚みは、開口4a内でアーマチュア3が所定の揺動動作(実施形態1で述べた動作)を行えるように、実施形態1におけるフレーム4よりも厚みが厚く設定されている。
本実施形態におけるカバー5は、例えば、耐熱ガラスやセラミックなどの耐熱性に優れる絶縁性材料によりボディ2と同サイズの矩形板状に形成された主部50と、主部50におけるフレーム4との対向面側(図14における下面側)の全面に形成された金属膜からなるシールド部51とを有している。このシールド部51は、例えば、銅や金などの導電性が良好な金属材料からなり、スパッタ法や、電気めっき法、真空蒸着法などを用いて形成されている。ここで、本実施形態におけるカバー5には、実施形態1とは異なり、逃げ凹部5aが形成されておらず、その代わりに、上述したように本実施形態におけるフレーム4の厚みを実施形態1のフレーム4よりも厚くしている。なお、接地用導体パターン21や、固定接点23、可動接点35、補助接地用導体パターン26、シールド部51などは、ベース基板20などに比べて厚みが非常に薄いものであるが、図14では、説明を簡略化するために、厚みを実際とは異ならせて図示している。また、図14では、アーマチュア3を省略している。
そして、本実施形態のマイクロリレー1は、上述したボディ2の上記一面側に、フレーム4を接合(例えば、熱圧着や超音波接合)し、その後に、アーマチュア3をフレーム4の開口4aの内側に、規制突起3aを切欠部4c内に位置する形に配置し、さらにその後に、フレーム4におけるボディ2側とは反対側にカバー5を接合(例えば、熱圧着や超音波接合)し、ボディ2の開孔部20aにボディ2の上記他面側から駆動装置6を収納して得られる。なお、本実施形態のマイクロリレー1は、実施形態1と同様に、常開接点と常閉接点とを備えたラッチング型リレーであって、その動作は実施形態1と同様であるから、説明は省略する。
このマイクロリレー1では、図14に示すように、ボディ2の上記一面側にアーマチュア3を覆う形に設けられたカバー5におけるボディ2との対向面に、シールド部51が形成されており、当該シールド部51は、フレーム4に設けられた貫通配線部40によって、ボディ2の補助接地用導体パターン26に電気的に接続される。この補助接地用導体パターン26は接地用導体パターン21と電気的に接続されているから、シールド部51は接地用導体パターン21と電気的に接続される、つまり接地されることになる。
したがって、本実施形態のマイクロリレー1によれば、固定接点23および可動接点35における接地用導体パターン21側とは反対側に接地されたシールド部51が設けられているので、シールド部51が電界シールドとして作用するから、高周波特性の改善が図れる。また、シールド部51をカバー5とフレーム4との接合用の部材としても利用できるから、製造が容易に行えるようになる。
ところで、本実施形態におけるフレーム4は、例えば、ボディ2と一体的に形成することができる。つまり、フレーム4とボディ2とを有する積層板を形成するようにしてもよい。例えば、実施形態1と同様にグリーンシートを利用してフレーム4を形成するにあたっては、グリーンシートを厚み方向に複数枚重ねて所望の厚みのフレーム4の基礎となる絶縁基材を形成し、この絶縁基材に開口4a、切欠部4c、および貫通孔4dそれぞれを形成する。そして、フレーム4の基礎となる絶縁基材を、図5(b)に示す焼成前のボディ2の上記一面側に重ね、これらを加圧、加熱することで一体化し、その後に、貫通孔4d内に貫通配線部40用の導電ペーストを充填し、さらにその後に、必要があればこれらを所定の形状(所望のボディ2の外形サイズ)に打ち抜いてから、上述したように焼成する。これによって、ボディ2とフレーム4とを有する積層板が得られる。このようにすれば、フレーム4とボディ2との接合強度の向上が図れる。その上、フレーム4およびボディ2の形成が容易になる。