JP2008304932A - レーザ光源装置及びそのレーザ光源装置を備えたプロジェクタ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】プロジェクタユニットを構成するレーザ光源装置31は、所定波長のレーザ光を発振するレーザ光源311と、レーザ光源311から出射されたレーザ光の発振波長を変換して変換波長のレーザ光を出射する波長変換素子312を備える。波長変換素子312は、入射面にレーザ光源311から出射された発振波長のレーザ光を選択的に透過するバンドパスフィルタ多層膜312Bと、出射面に変換波長を透過し発振波長のレーザ光を反射する誘電体多層膜312Cを有する。バンドパスフィルタ多層膜312Bにおいて、発振波長のレーザ光は狭帯域化される。そして、狭帯域化されたレーザ光が波長変換素子312で変換波長のレーザ光に変換され、変換波長のレーザ光がレーザ光源装置31から出射される。
【選択図】図3
Description
一方、特許文献2に記載のような外部共振型レーザに用いられるフォトポリマ体積ホログラムは、例えば、樹脂中に屈折率の異なる干渉パターンが層状に多数形成され、発振波長のレーザ光を狭帯域化して反射する素子であり、外部共振型レーザを簡素に構成できるとはいえ、高価な素子である。これにより、製造コストが嵩むという課題を有する。
また、ミラーは発振波長のレーザ光を反射し、変換波長のレーザ光を透過する特性を有することで、レーザ光源の発振光を共振器の内部に閉じ込めながら、波長変換素子によって波長変換されたレーザ光を効率良く取り出すことができる。さらに、バンドパスフィルタ多層膜およびミラーが、波長変換素子の入射側の表面および出射側の表面に形成されていることにより、構成部品点数を低減し、低コスト化および小型化したレーザ光源装置が得られる。
さらに、ミラーは発振波長を反射し、変換波長を透過する特性を有することで、レーザ光源の発振光を共振器の内部に閉じ込めながら、波長変換素子によって波長変換されたレーザ光を効率良く取り出せるので、変換効率が向上したレーザ光源装置が得られる。
さらに、ミラーは発振波長のレーザ光を反射し、変換波長のレーザ光を透過する特性を有することで、レーザ光源の発振光を共振器の内部に閉じ込めながら、波長変換素子によって波長変換されたレーザ光を効率良く取り出せるので、変換効率が向上したレーザ光源装置が得られる。
さらに、ミラーは発振波長のレーザ光を反射し、変換波長のレーザ光を透過する特性を有することで、レーザ光源の発振光を共振器の内部に閉じ込めながら、波長変換素子によって波長変換されたレーザ光を効率良く取り出せるので、変換効率が向上したレーザ光源装置が得られる。
さらに、ミラーは発振波長のレーザ光を反射し、変換波長のレーザ光を透過する特性を有することで、レーザ光源の発振光を共振器の内部に閉じ込めながら、波長変換素子によって波長変換されたレーザ光を効率良く取り出せるので、変換効率が向上したレーザ光源装置が得られる。
この構成によれば、発振波長のレーザ光を狭帯域化するバンドパスフィルタが、レーザ光源のレーザ光出射面に対して傾斜可能に構成されていることで、レーザ光とバンドパスフィルタの中心軸との角度、すなわちバンドパスフィルタに入射するレーザ光のバンドパスフィルタの中心軸に対する入射角度を変えることにより、バンドパスフィルタを透過するレーザ光の波長を変えることができる。これにより、バンドパスフィルタの製造誤差などにより透過光の波長にズレが生じても、微調整して、波長変換素子の変換波長に合わせることが可能となり、レーザ光の発振効率および波長変換効率をさらに向上させ、レーザ光源装置から、より良好なレーザ光を出射することができる。
この構成によれば、バンドパスフィルタ多層膜が、変換波長のレーザ光を反射する特性を有することで、ミラーの誘電体多層膜で反射され、波長変換素子に帰還入射した発振波長のレーザ光から波長変換素子によって生成された変換光が、バンドパスフィルタ多層膜において反射され、波長変換素子を通りレーザ光源装置から出射される。これにより、レーザ光源に戻る帰還光から生成された変換光も有効にレーザ光源装置から取り出すことができ、変換光の出力を向上させることが出来る。
この構成によれば、バンドパスフィルタ多層膜が、変換波長のレーザ光を透過する特性を有することで、波長変換素子よって生成された変換光が、バンドパスフィルタ多層膜において透過され、レーザ光源装置から出射される。これにより、変換光を有効にレーザ光源装置から取り出すことができ、変換光の出力を向上させることが出来る。
この構成によれば、誘電体多層膜が形成されたミラーは、ミラーを構成する透明部材が、変換波長に対して80%以上の透過率を有し、発振波長に対しては20%以下の透過率を有する素材よりなることにより、ミラー部で反射し切れなかった発振光を部材内部で吸収することにより、レーザ光源装置から外部に発振光を出射することを防止できる。これにより、安全性がより向上したレーザ光源装置が得られる。
この構成によれば、波長変換素子のレーザ光源側の入射面に形成された誘電体多層膜が、変換波長のレーザ光を反射する特性を有することで、ミラーの誘電体多層膜で反射され、波長変換素子に帰還入射した変換波長のレーザ光から波長変換素子によって生成された変換光が、波長変換素子の誘電体多層膜において反射され、波長変換素子を通りレーザ光源装置から出射される。これにより、レーザ光源に戻る帰還光から生成された変換光も有効にレーザ光源装置から取り出すことができ、変換光の出力を向上させることが出来る。
この構成によれば、レーザ光源が、端面発光型半導体レーザ、面発光型半導体レーザ又は半導体励起固体レーザの内の何れかであることによって、小型で高効率なレーザ光源装置が得られる。
この構成によれば、レーザ光源装置を構成する波長変換素子が第二次高調波発生素子であることにより、レーザ光源から出射された近赤外領域のレーザ光から挟帯域化されたレーザ光(単色可視光)を生成することができる。特に、レーザダイオードでは得られ難い緑色レーザ光を容易に得ることができる。
(リアプロジェクタの主な構成)
図1は、本発明に係わるプロジェクタとしてのリアプロジェクタの側断面図である。
図1において、リアプロジェクタ1は、キャビネット2、プロジェクタユニット3、制御ユニット4、反射鏡5、透過型スクリーン9を含み構成されている。
次にプロジェクタユニット3の構成について説明する。図2は、プロジェクタユニットの内部に構成される光学系の概略を示す模式図である。
図2において、プロジェクタユニット3は、レーザ光源装置31、液晶パネル32、偏光板33、クロスダイクロイックプリズム34、投射レンズ35などを備えている。なお、液晶パネル32、偏光板33、およびクロスダイクロイックプリズム34にて光変調素子が構成される。
入射側偏光板331は、水晶またはサファイア等からなる基板に偏光膜が設けられたものであり、各レーザ光源装置31から出射された色光のうち、一定方向の偏光光のみ透過させ、その他の光束を吸収する。出射側偏光板332も、入射側偏光板331と略同様に構成され、液晶パネル32から出射された光束のうち、所定方向の偏光光のみ透過させ、その他の光束を吸収する。これらの入射側偏光板331および出射側偏光板332は、互いの偏光軸の方向が直交するように設定されている。
なお、入射側偏光板331および出射側偏光板332は、基板を用いずに、偏光膜をクロスダイクロイックプリズム34の入射面に設けてもよいし、基板をクロスダイクロイックプリズム34に貼着してもよい。
次に、レーザ光源装置31の構成について説明する。なお、レーザ光源装置31はレーザ光源装置31の赤色光用光源装置31R、青色光用光源装置31B、緑色光用光源装置31Gは、何れも同様な基本構造を有している。
図3において、レーザ光源装置31は、レーザ光を発振するレーザ光源311、波長変換素子312を備えている。
ミラー層311Aは、基板400上に直接形成される。すなわち、ミラー層311Aは、基板400のウエハ製造段階において、CVD(Chemical Vapor Deposition)などの方法により高屈折率の誘電体層と低屈折率の誘電体層が層状に積層して形成されている。それぞれの層の厚さは、レーザ光の波長とそれぞれの層の屈折率から、反射光が干渉し強め合う条件に設定されている。
以後、レーザ媒体311Bから出射されるレーザ光の波長を、発振波長と表す。この発振波長の概状態を、図3中に二点鎖線で示し、これ以後の各実施形態における図中においても、同様に二点鎖線で示す。
この波長変換素子312は、図5に示すように、波長変換素子部312Aと、波長変換素子312(波長変換素子部312A)のレーザ光源311側の面(以後、入射面と表す)に形成されたバンドパスフィルタ多層膜312Bと、波長変換素子312(波長変換素子部312A)の入射面に対向する面(以後、出射面と表す)に形成されたミラーとしての誘電体多層膜312Cとを備えている。
図6は、このように形成されたバンドパスフィルタ多層膜312Bの分光透過率特性の一例を示すグラフである。グラフの横軸は波長(nm)を示し、縦軸は透過率(%)を示す。
また、バンドパスフィルタ多層膜312Bは、後述する波長変換素子312(波長変換素子部312A)において変換された変換波長の光を反射する特性を有する。ここで、変換光を有効にレーザ光源装置から取り出すには、バンドパスフィルタ多層膜312Bは、変換波長に対して高い反射率を有することが望ましく、80%以上の反射率が必要である。
波長変換素子部312Aは、例えばニオブ酸リチウム(LN:LiNbO3)あるいはタンタル酸リチウム(LT:LiTaO3)などの無機非線形光学材料の結晶基板内部に、レーザ光源311から出射されたレーザ光の光軸に対して略直交する方向に、相互に分極方向が反転した2つの領域312Aaおよび領域312Abを、所定間隔おきに交互に多数形成することによって、分極反転構造が形成されている。この交互に形成される2つの領域312Aaと領域312Abとの所定間隔は、レーザ光源311にて発振されるレーザ光の発振波長と波長変換素子部312Aの屈折率分散とにより適宜決定される。
第二高調波の生成は、例えば、レーザ光源311から発振される発振波長が1064nmの近赤外レーザ光から、半分の波長532nmの緑色レーザ光(可視光)を生成する。なお、波長変換素子部312Aにおいて波長変換される発振波長は、波長許容幅が0.3nm程度であり、使用環境温度の変化に対して、0.1nm/℃程度変動する。
レーザ光源装置31の動作について、図3〜図6を参照して説明する。
波長変換素子312に入射した発振波長のレーザ光は、先ず、波長変換素子部312Aの入射面に形成されたバンドパスフィルタ多層膜312Bに入射し、発振波長における半値幅が略0.5nmのレーザ光を透過するとともに、それ以外の発振波長のレーザ光を反射する。すなわち、発振波長の狭帯域化が行われる。
波長変換素子部312Aに入射した発振波長のレーザ光の一部は波長変換され、半分の波長に変換された第二高調波(変換波長)のレーザ光が生成される。
誘電体多層膜312Cでは、波長変換素子部312Aにおいて半分の波長に変換された変換波長のレーザ光が透過されるとともに、それ以外のレーザ光(波長変換素子部312Aにおいて変換されなかった発振波長のレーザ光、および一部の変換波長のレーザ光)が反射される。
誘電体多層膜312Cで反射された、波長変換素子部312Aにおいて変換されなかった発振波長のレーザ光、および一部の変換波長のレーザ光は、波長変換素子部312Aに帰還入射して波長変換される。このとき、波長変換素子部312Aに入射した発振波長のレーザ光は、既に波長が狭帯域化されているため、波長変換素子部312Aにおける変換効率が向上する。
バンドパスフィルタ多層膜312Bでは、誘電体多層膜312Cで反射され、波長変換素子部312Aに帰還入射したレーザ光のうち、変換波長のレーザ光が反射され、それ以外のレーザ光が透過される。バンドパスフィルタ多層膜312Bで反射された変換波長のレーザ光は、再び波長変換素子部312Aに入射し、誘電体多層膜312C(レーザ光源装置31)から出射される。
図7は、第2実施形態に係わるレーザ光源装置の概略構成を示す模式図である。
第2実施形態は、第1実施形態におけるレーザ光源装置31の構成が異なり、波長変換素子312の入射面に形成されたバンドパスフィルタ多層膜312Bに代えて、バンドパスフィルタ412を配設したことを除いては、前記第1実施形態と同様の基本構成を有する。したがって、第1実施形態と同一部材には同一符号を付して、その説明は省略または簡略化する。また、各構成要素の動作についても同様であり、その詳細説明も省略または簡略化する。
図7において、レーザ光源装置41は、レーザ光を発振するレーザ光源311と、バンドパスフィルタ412と、波長変換素子414を備えている。これらの構成要素は、レーザ光源311から出射されるレーザ光の光路上に、レーザ光源311側から順に、バンドパスフィルタ412、波長変換素子414が配設されている。
波長変換素子部414Aは、波長変換素子414に入射した発振波長のレーザ光を波長変換し、半分の波長の第二高調波を生成する。誘電体多層膜414Cは、波長変換素子部414Aにおいて半分の波長に変換された変換波長のレーザ光(第二高調波)を選択的に透過するとともに、それ以外の変換波長のレーザ光を反射する。
以上のように構成されたレーザ光源装置41の動作を、図7を参照して説明する。
そして、レーザ光源311から出射された発振波長のレーザ光は、バンドパスフィルタ412に入射する。バンドパスフィルタ412に入射した発振波長のレーザ光は、バンドパスフィルタ多層膜412Bで発振波長の狭帯域化が行われ、発振波長の波長幅が略0.5nm程度のレーザ光が透過されるとともに、それ以外の発振波長のレーザ光が反射される。
ここで、バンドパスフィルタ412が、レーザ光源311のレーザ光出射面に対して傾斜し、かつバンドパスフィルタ多層膜412Bが形成された面をレーザ光源311側にして配設されている場合、バンドパスフィルタ多層膜412Bで反射されたレーザ光はレーザ光源311には入射しない。これにより、バンドパスフィルタ412とレーザ光源311との間で不要な共振構造が生ずるのを防ぐことが可能となる。
波長変換素子414に入射した発振波長のレーザ光は、反射防止膜414Bを透過した後、波長変換素子部414Aにおいて一部が波長変換され、半分の波長に変換された第二高調波(変換波長)のレーザ光が生成される。
誘電体多層膜414Cでは、発振波長の半分の波長に変換された変換波長のレーザ光(第二高調波)が選択的に透過されるとともに、それ以外の変換波長のレーザ光が反射される。
誘電体多層膜414Cで反射された、波長変換素子部414Aにおいて変換されなかった発振波長のレーザ光は、波長変換素子部414Aに帰還入射して波長変換される。
そして、波長変換素子部414Aで波長変換されたレーザ光は、バンドパスフィルタ412に入射する。
バンドパスフィルタ412を透過するレーザ光の波長は、レーザ光の光路上に配設され、レーザ光源311のレーザ光出射面に対して傾斜可能に構成されたバンドパスフィルタ412の傾斜角度を調節する、すなわちバンドパスフィルタ412に入射するレーザ光のバンドパスフィルタ412に対する入射角度を変えることで微調整することができる。
図8中に示す曲線aは、レーザ光源311のレーザ光出射面に対するバンドパスフィルタ412の傾斜角度が0°における透過率曲線であり、同様に曲線bは傾斜角度が1°、曲線cは傾斜角度が2°、曲線dは傾斜角度が3°、曲線eは傾斜角度が4°、曲線fは傾斜角度が5°における透過率曲線である。
また、バンドパスフィルタ412は、予め傾斜角度が5°程度傾いて配設されていることから、傾斜角度が略0°〜略5°の範囲において、透過するレーザ光の波長を大きくする調整が可能である。
バンドパスフィルタ多層膜412Bが形成されたバンドパスフィルタ412が、レーザ光源311のレーザ光出射面に対して傾斜可能に構成されていることにより、レーザ光源311から出射されるレーザ光とバンドパスフィルタ412の中心軸との角度を変えることで、バンドパスフィルタ多層膜412Bを透過するレーザ光の波長を変えることができる。
さらに、波長変換素子414とバンドパスフィルタ412とを独立に各種特性の調整をすることが可能となり、発振効率及び歩留まりの向上が期待できる。
図9は、第3実施形態に係わるレーザ光源装置の概略構成を示す模式図である。
第3実施形態のレーザ光源装置51は、第2実施形態におけるレーザ光源装置41と構成が異なり、波長変換素子414に形成された誘電体多層膜414Cに代えて多層膜ミラー515を配設したことを除いては、前記第1実施形態および第2実施形態と同様の基本構成を有する。したがって、第1実施形態および第2実施形態と同一部材には同一符号を付して、その説明は省略または簡略化する。また、各構成要素の動作についても同様であり、その詳細説明も省略または簡略化する。
波長変換素子514は、波長変換素子部514Aと、波長変換素子部514Aの入射面および出射面に形成された反射防止膜514B,514Cを備え、レーザ光源311から出射された発振波長のレーザ光を波長変換し、半分の波長の第二高調波を生成する機能を有する。
波長変換素子部514Aは、前記第1実施形態における波長変換素子部312A、および第2実施形態における波長変換素子部414Aと同一の構成および機能を有する。
以上のように構成されたレーザ光源装置51の動作は、第2実施形態における波長変換素子414に形成された誘電体多層膜414Cに代えて、波長変換素子414の出射側に配設された多層膜ミラー515の誘電体多層膜515Bが同様に機能することを除いては、第2実施形態と同じであり、説明を省略する。
レーザ光源装置51は、誘電体多層膜515Bが形成された多層膜ミラー515を配設することにより、波長変換素子514、バンドパスフィルタ412および多層膜ミラー515を独立に各種特性の調整をすることが可能となり、発振効率及び歩留まりの向上がより期待できる。
図10は、第4実施形態に係わるレーザ光源装置の概略構成を示す模式図である。
第4実施形態のレーザ光源装置61は、第3実施形態におけるレーザ光源装置51と一部の構成が異なり、レーザ光源装置51のレーザ光源311と波長変換素子514との間に配設されたバンドパスフィルタ412に代えて、発振波長近傍でバンドパス特性を有するバンドパスフィルタ多層膜614Bが入射面に形成された波長変換素子614を配設したことを除いては、第3実施形態と同様の基本構成を有する。
したがって、レーザ光源装置61の動作については、第3実施形態におけるレーザ光源装置51と同様であり、その説明を省略する。
図11は、第5実施形態に係わるレーザ光源装置の概略構成を示す模式図である。
第5実施形態のレーザ光源装置71は、第3実施形態におけるレーザ光源装置51と構成が異なり、レーザ光源311と波長変換素子514との間に配設されたバンドパスフィルタ512が、波長変換素子514と多層膜ミラー515との間に配設されたことを除いては、第3実施形態と同様の基本構成を有する。したがって、第3実施形態と同一部材には同一符号を付して、その説明は省略または簡略化する。また、各構成要素の動作についても同様であり、その詳細説明も省略または簡略化する。
レーザ光源装置71のレーザ光源311から出射された発振波長のレーザ光は、波長変換素子514に入射する。
波長変換素子514に入射した発振波長のレーザ光は、先ず、波長変換素子部514Aにおいて一部が波長変換され、発振波長の半分の波長に変換された第二高調波(変換波長)のレーザ光が生成される。
バンドパスフィルタ512では、ガラス基板の一方の面に形成されたバンドパスフィルタ多層膜512Bにおいて、入射した発振波長のレーザ光のうち、波長幅が略0.5nm程度のレーザ光が透過され、発振波長のレーザ光の狭帯域化が行われる。ここで、本実施形態のバンドパスフィルタ多層膜512Bは、変換波長の光を透過する特性を有している。変換光を有効にレーザ光源装置から取り出すには、バンドパスフィルタ多層膜512Bは、変換波長に対して高い反射率を有することが望ましく、80%以上の反射率が必要である。
以上の第5実施形態のレーザ光源装置によれば、第3実施形態と同様の効果を奏することができる。
本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。以下に変形例として挙げられているような形態であっても、前述の実施形態と同様な効果を得ることができる。
第1実施形態から第5実施形態において、プロジェクタユニット3内部に収納されるレーザ光源装置31,41,51,61,71として、面発光型半導体レーザのレーザ光源311を用いた場合で説明したが、面発光型半導体レーザに代えて、いわゆる端面発光型半導体レーザまたは半導体励起固体レーザを用いることができる。
図11は、変形例として別のレーザ光源装置の部分構成を示す模式図であり、レーザ光源として端面発光型半導体レーザを用いたレーザ光源装置の部分構成を示す。なお、図11中に示す構成部分は、第1実施形態から第5実施形態におけるレーザ光源311に代えて配設される。
レーザ媒体811Aの長手方向の両端面には、反射ミラーとしての機能を有するミラー層811Cが形成されている。このレーザ媒体811Aには、図示しない電通手段が設けられており、制御ユニット4の制御により電通手段から所定量の電流が通電されると、所定の発振波長のレーザ光が発振される。そして、発振されたレーザ光は、レーザ媒体811Aの両端面に形成されたミラー層811C間で反射させることで、レーザ光を共振させて出力を増幅させている。
そして、平行レンズ812において平行光束に変換された発振波長のレーザ光は、波長変換素子側に向かって進み、各構成部品を介した後に、変換波長のレーザ光が、レーザ光源装置81から液晶パネル32に向かって出射される。
第1実施形態から第5実施形態において、プロジェクタユニット3を構成するレーザ光源装置31は、赤色光用光源装置31R、青色光用光源装置31Bおよび緑色光用光源装置31Gが、ともに同様な基本構造を有している場合で説明したが、これに限らない。すなわち、赤色レーザ光および青色レーザ光は、レーザ媒体である半導体レーザ素子として適切なものを選択することにより、レーザ光源から直接、発振させることができる。したがって、赤色光用光源装置31Rおよび青色光用光源装置31Bには、従来の面発光型半導体レーザ発振器または端面発光型半導体レーザ発振器を配設し、緑色光用光源装置31Gのみに、各実施形態に示すレーザ光源装置を利用する構成としてもよい。
第1実施形態から第5実施形態において、波長変換素子312,414,514,614を構成する非線形光学材料として、LN(LiNbO3)や、LT(LiTaO3)を例示したが、これ以外にもKNbO3、BNN(Ba2NaNb5O15)、KTP(KTiOPO4)、KTA(KTiOAsO4)、BBO(β−BaB2O4)、LBO(LiB3O7)などの無機非線形光学材料を利用してもよい。また、メタニトロアニリン、2−メチル−4−ニトロアニリン、カルコン、ジシアノビニルアニソール、3,5−ジメチル−1−(4−ニトロフェニル)ピラゾール、N−メトキシメチル−4−ニトロアニリンなどの低分子有機材料や、ポールドポリマなどの有機非線形光学材料を用いてもよい。
第2、第3、第5の各実施形態において、波長変換素子の入射側表面の反射防止膜414B,514Bを、発振波長のレーザ光は透過し、変換波長のレーザ光は反射する特性を有する誘電体多層膜に置き換えてもよい。その場合は、多層膜ミラーで反射された変換波長のレーザ光および多層膜ミラーで反射された発振波長のレーザ光が波長変換素子で変換されて生成した変換波長のレーザ光は、波長変換素子の入射側表面の誘電体多層膜で反射されて、多層膜ミラーから液晶パネルに向かって出射される。なお、この誘電体多層膜は、発振波長のレーザ光に対して高い透過率を有することが望ましく、80%以上の透過率が望ましい。一方、この誘電体多層膜は、変換波長のレーザ光に対して高い反射率を有することが望ましく、80%以上の反射率が望ましい。
第1実施形態から第5実施形態において、波長変換素子(312,414,514)は、レーザ光源311で発振するレーザ光の発振波長の半分の波長の第二高調波を生成する第二次高調波発生素子を用いた場合で説明したが、第二次高調波発生素子に代えて、第三次高調波発生素子を用いる場合であってもよい。
第1実施形態から第5実施形態、および変形例1において、プロジェクタユニット3を構成するレーザ光源装置31,41,51,61,71,81がリアプロジェクタ1に搭載される場合を例示したが、これに限定されず、フロントプロジェクタなど、その他のタイプのプロジェクタに利用することができる。また、プロジェクタユニット3を構成する光変調素子としては、例えば、透過型の液晶ライトバルブや反射型の液晶ライトバルブの他、ディジタル・マイクロミラー・デバイスを採用してもよい。
Claims (14)
- 所定の波長のレーザ光を発振するレーザ光源と、
前記レーザ光源から出射されたレーザ光を反射して共振器を形成するミラーと、
前記レーザ光源と前記ミラーとの間に配設され、前記レーザ光源から出射された発振波長のレーザ光を変換して変換波長のレーザ光を出射する波長変換素子と、を備えるレーザ光源装置であって、
前記ミラーは、前記波長変換素子の出射側の表面に形成された、前記発振波長のレーザ光を反射し、前記変換波長のレーザ光を透過する特性を有する誘電体多層膜よりなり、
前記波長変換素子の入射側の表面に、少なくとも前記発振波長近傍でバンドパス特性を有するバンドパスフィルタ多層膜が形成されていることを特徴とするレーザ光源装置。 - 所定の波長のレーザ光を発振するレーザ光源と、
前記レーザ光源から出射されたレーザ光を反射して共振器を形成するミラーと、
前記レーザ光源と前記ミラーとの間に配設され、前記レーザ光源から出射された発振波長のレーザ光を変換して変換波長のレーザ光を出射する波長変換素子と、を備えるレーザ光源装置であって、
前記レーザ光源と前記波長変換素子との間に、少なくとも前記発振波長近傍でバンドパス特性を有するバンドパスフィルタ多層膜が形成されたバンドパスフィルタを、さらに備え、
前記ミラーは、前記波長変換素子の出射側の表面に形成された、前記発振波長のレーザ光を反射し、前記変換波長のレーザ光を透過する特性を有する誘電体多層膜よりなることを特徴とするレーザ光源装置。 - 所定の波長のレーザ光を発振するレーザ光源と、
前記レーザ光源から出射されたレーザ光を反射して共振器を形成するミラーと、
前記レーザ光源と前記ミラーとの間に配設され、前記レーザ光源から出射された発振波長のレーザ光を変換して変換波長のレーザ光を出射する波長変換素子と、を備えるレーザ光源装置であって、
前記ミラーは、前記発振波長のレーザ光を反射し、前記変換波長のレーザ光を透過する特性を有する誘電体多層膜が形成された透明部材よりなり、前記波長変換素子の出射側に配設され、
前記波長変換素子の入射側の表面に、少なくとも前記発振波長近傍でバンドパス特性を有するバンドパスフィルタ多層膜が形成されていることを特徴とするレーザ光源装置。 - 所定の波長のレーザ光を発振するレーザ光源と、
前記レーザ光源から出射されたレーザ光を反射して共振器を形成するミラーと、
前記レーザ光源と前記ミラーとの間に配設され、前記レーザ光源から出射された発振波長のレーザ光を変換して変換波長のレーザ光を出射する波長変換素子と、を備えるレーザ光源装置であって、
前記ミラーは、前記発振波長のレーザ光を反射し、前記変換波長のレーザ光を透過する特性を有する誘電体多層膜が形成された透明部材よりなり、前記波長変換素子の出射側に配設され、
前記レーザ光源と前記波長変換素子との間に、少なくとも前記発振波長近傍でバンドパス特性を有するバンドパスフィルタ多層膜が形成されたバンドパスフィルタを、さらに備えたことを特徴とするレーザ光源装置。 - 所定の波長のレーザ光を発振するレーザ光源と、
前記レーザ光源から出射されたレーザ光を反射して共振器を形成するミラーと、
前記レーザ光源と前記ミラーとの間に配設され、前記レーザ光源から出射された発振波長のレーザ光を変換して変換波長のレーザ光を出射する波長変換素子と、を備えるレーザ光源装置であって、
前記ミラーは、前記発振波長のレーザ光を反射し、前記変換波長のレーザ光を透過する特性を有する誘電体多層膜が形成された透明部材よりなり、前記波長変換素子の出射側に配設され、
前記ミラーと前記波長変換素子との間に、少なくとも前記発振波長近傍でバンドパス特性を有するバンドパスフィルタ多層膜が形成されたバンドパスフィルタを、さらに備えたことを特徴とするレーザ光源装置。 - 請求項2、請求項4、請求項5の何れか一項に記載のレーザ光源装置において、
バンドパスフィルタは、前記レーザ光源から出射されたレーザ光に対して傾斜可能であることを特徴とするレーザ光源装置。 - 請求項1乃至4の何れか一項に記載のレーザ光源装置において、
前記バンドパスフィルタ多層膜は、前記変換波長のレーザ光を反射する特性をさらに有することを特徴とするレーザ光源装置。 - 請求項5に記載のレーザ光源装置において、
前記バンドパスフィルタ多層膜は、前記変換波長のレーザ光を透過する特性をさらに有することを特徴とするレーザ光源装置。 - 請求項1乃至8の何れか一項に記載のレーザ光源装置において、
前記バンドパスフィルタ多層膜は、高屈折率層Hと低屈折率層Lが交互に積層され、前記発振波長をλとおいて、光学膜厚が前記波長変換素子側から順に、0.236λH、0.355λL、0.207λH、0.203λL、(0.25λH、0.25λL)n、0.5λH、(0.25λL、0.25λH)n、0.266λL、0.255λH、0.248λL、0.301λH、0.631λLであることを特徴とするレーザ光源装置。
但し、nは3から10の範囲の値であり、括弧内の層を繰り返し積層する繰り返し数を示す。 - 請求項3、請求項4、請求項5の何れか一項に記載のレーザ光源装置において、
前記透明部材は、前記変換波長に対して80%以上の透過率を有し、前記発振波長に対しては20%以下の透過率を有する素材よりなることを特徴とするレーザ光源装置。 - 請求項2、請求項4、請求項5の何れか一項に記載のレーザ光源装置において、前記波長変換素子の入射側表面に、前記発振波長のレーザ光を透過し、前記変換波長のレーザ光を反射する特性の誘電体多層膜を有することを特徴とするレーザ光源装置。
- 請求項1乃至11の何れか一項に記載の光源装置において、
前記レーザ光源が、端面発光型半導体レーザ、面発光型半導体レーザ又は半導体励起固体レーザの内の何れかであることを特徴とするレーザ光源装置。 - 請求項1乃至12の何れか一項に記載の光源装置において、
前記波長変換素子が、周期的分極反転構造を有する第二次高調波発生素子であることを特徴とするレーザ光源装置。 - レーザ光を出射するレーザ光源装置と、
前記レーザ光源装置から出射されたレーザ光を画像情報に応じて変調する光変調素子と、
前記変調されたレーザ光を出射する投射光学系と、を備えたプロジェクタであって、
前記レーザ光源装置は、請求項1乃至13の何れか一項に記載のレーザ光源装置であることを特徴とするプロジェクタ。
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