JP2008118074A - レーザ光源装置及びそのレーザ光源装置を備えた画像表示装置 - Google Patents

レーザ光源装置及びそのレーザ光源装置を備えた画像表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】出力光のパワー低下を効率よく抑えて光利用効率が高く、かつ低コスト化、小型化が可能なレーザ光源装置、及びかかるレーザ光源装置の利用により、光の利用効率が向上した画像表示装置を提供する。
【解決手段】レーザ光源装置31は、第1波長の光を射出する光源311と、第1波長の光を反射して光源の方に向かわせるミラー膜312Cと、光源とミラー膜との間に形成された第1光路O1上に第1波長の光を第2波長に変換する波長変換素子312と、ミラー膜で反射されて光源の方へ向かう過程で第2の波長に変換された光を第2光路O2に取り出す偏光ビームスプリッタ313と反射ミラー314からなる折り返し手段を備え、波長変換素子は、射出側の端面に第1波長の光を反射し第2波長の光を透過する特性のミラー膜と、入射側の端面に第1の波長近傍でバンドパス特性を有し、第1の波長の光を狭帯域化するバンドパス多層膜312Bを有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、レーザ光を射出するレーザ光源装置、及びそのレーザ光源装置を備えた画像表示装置に関する。
近年、光通信、光応用測定、光表示などのオプトエレクトロニクス分野において、レーザ光源装置が広く使用されている。
こうしたレーザ光源装置としては、基本波レーザの波長をそのまま利用するものと、基本波レーザの波長を変換して利用するものとがある。後者のレーザ光源装置において、基本波レーザの波長の変換を行う素子として、第2次高調波発生(SHG:Second Harmonic Generation)素子が知られている。
ここで、SHG素子の変換効率は一般的に数%程度であるため、SHG素子によって変換された光のパワーは、基本波レーザ光源の出力光のパワーに比べてかなり小さくなってしまう。
そこで、出力光のパワー低下を抑える構成として、特許文献1のようなレーザ光源装置が提案されている。このレーザ光源装置では、内部共振タイプのレーザ光源から射出され、SHG素子を通過した光を、波長が変換された第1のSHG光と、残余基本波光とに分離する。そして、残余基本波光を、再度SHG素子に通すことによって、波長が変換された第2のSHG光を取り出す。第2のSHG光は、第1のSHG光と偏光方向が90°異なる偏光に変換された状態で、第1のSHG光とともに取り出される。特許文献1のレーザ光源装置では、このようにして、第1のSHG光と第2のSHG光の合成光を出力光として利用することにより、出力光のパワー低下を抑えている。
また、SHG素子の変換波長に対して、温度変化によりレーザ光源の発振波長が変動する。あるいは、SHG素子の変換波長の許容幅に対して、レーザ光源から射出される光の発振波長幅が広いために波長変換されない波長域の光が多く、変換効率が低いという課題が残る。
そこで、波長幅の狭いレーザ光を出力光として安定して供給するために、レーザ光源から射出されたレーザ光を共振させる外部共振器内にフォトポリマ体積ホログラムを備え、フォトポリマ体積ホログラムがレーザ光源から射出された光を回折して共振器内の光学系に入射させるとともに、所定の波長のレーザ光を選択的に透過して外部に射出する外部共振型レーザ装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開昭59−128525号公報 特開2001−284718号公報
しかしながら、特許文献1に記載のレーザ光源装置では、残余基本波光を、再度SHG素子に通すことによって波長が変換された第2のSHG光を利用することはできるものの、再度SHG素子を通過しても波長が変換されなかった残余基本波光を利用することができない。よって、光の利用効率が劇的に向上することは無い。また、このような残余基本波光を、そのまま基本波レーザ光源へ戻すと、不安定になってしまう恐れがあるため、残余基本波光を光源へ戻さないようにする構成が必須となる。よって、光学系が大型化してしまう可能性がある。また、光路の長さが大きくなったり、光学要素を通過する回数が増えてしまったりするため、光の損失が発生してしまう可能性もある。つまり、特許文献1に記載のレーザ光源装置では、出力光のパワー低下をある程度抑えつつ、安定した出力を得ることは可能であるが、光の利用効率はそれ程上がらない。
一方、特許文献2に記載の外部共振型レーザ装置に用いられるフォトポリマ体積ホログラムは、例えば、樹脂中に屈折率の異なる干渉パターンが層状に多数形成され、発振波長のレーザ光を狭帯域化して反射する素子であり、非常に高価である。よって、レーザ装置を簡素に構成できるとはいえ、製造コストが嵩むという課題を有する。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、出力光のパワー低下を効率よく抑えて光利用効率が高く、かつ低コスト化および小型化が可能なレーザ光源装置を提供することを目的とする。また、かかるレーザ光源装置の利用により、光の利用効率が向上した画像表示装置を提供することを目的とする。
本発明に係るレーザ光源装置は、第1の波長の光を射出する光源と、前記第1の波長の光を選択的に反射して前記光源の方に向かわせるミラー手段と、前記光源と前記ミラー手段との間に形成された第1光路上に設けられ、入射した第1の波長の光のうち一部の光の波長を前記第1の波長とは異なる第2の波長に変換する波長変換素子と、前記ミラー手段によって反射されて前記光源の方へ向かう過程で前記第2の波長に変換された光を、前記第1光路とは異なる第2光路に取り出す折り返し手段と、を備え、前記ミラー手段から射出される前記第2の波長の第1のレーザ光と、前記折り返し手段から射出される前記第2の波長の第2のレーザ光とを出力光として利用するレーザ光源装置であって、前記ミラー手段は、前記波長変換素子の射出側の端面に設けられた前記第1の波長の光を80%以上反射し前記第2の波長の光を80%以上透過する特性を有するミラー膜よりなり、前記波長変換素子は、入射側の端面に、前記第1の波長近傍でバンドパス特性を有するバンドパス多層膜をさらに備えたことを特徴とする。
本発明によれば、光源とミラー手段とによって構成された共振構造(第1光路)中に波長変換素子を配置し、その波長変換素子の入射側の端面に、第1の波長近傍でバンドパス特性を有するバンドパス多層膜を備えることにより、光源から射出される第1の波長の光の波長が狭帯域化される。これにより、波長変換素子での変換効率が向上し、光の利用効率を高めた出力光を得ることができる。また、バンドパス多層膜およびミラー手段(ミラー膜)が、波長変換素子の入射側の端面および出射側の端面に設けられているため、光路の長さが長くなったり、光学要素を通過する回数が増えてしまったりすることによる光の損失を低減するとともに、構成部品点数が低減し、低コスト化および小型化したレーザ光源装置が得られる。
さらに、ミラー手段は発振波長を80%以上反射し、変換波長を80%以上透過する特性を有することで、光源の発振光を共振器の内部に閉じ込めながら、波長変換素子によって波長変換された第2の波長の光を効率良く取り出すことができる。さらにまた、ミラー手段によって反射されて光源へ向かう過程で波長が変換された第2の波長の光を、折り返し手段によって第2光路に取り出して利用することにより、出力光のパワー低下を効率よく低減することが可能である。
本発明に係るレーザ光源装置は、第1の波長の光を射出する光源と、前記第1の波長の光を選択的に反射して前記光源の方に向かわせるミラー手段と、前記光源と前記ミラー手段との間に形成された第1光路上に設けられ、入射した第1の波長の光のうち一部の光の波長を前記第1の波長とは異なる第2の波長に変換する波長変換素子と、前記光源と前記ミラー手段との間に形成された第1光路上に設けられ、前記第1の波長近傍でバンドパス特性を有するバンドパス多層膜を有するバンドパスフィルタと、前記ミラー手段によって反射されて前記光源の方へ向かう過程で前記第2の波長に変換された光を、前記第1光路とは異なる第2光路に取り出す折り返し手段と、を備え、前記ミラー手段から射出される前記第2の波長の第1のレーザ光と、前記折り返し手段から射出される前記第2の波長の第2のレーザ光とを出力光として利用するレーザ光源装置であって、前記ミラー手段は、前記波長変換素子の射出側の端面に設けられた前記第1の波長の光を80%以上反射し前記第2の波長の光を80%以上透過する特性を有するミラー膜よりなり、前記バンドパスフィルタは、前記第1光路上の前記光源と前記波長変換素子との間に配置され、前記光源のレーザ光射出面に対する傾斜角度が変位可能に構成されることを特徴とする。
本発明によれば、光源とミラー手段とによって構成された共振構造(第1光路)中に波長変換素子を配置し、その波長変換素子と光源との間に、第1の波長近傍でバンドパス特性を有するバンドパス多層膜を有し、光源のレーザ光射出面に対する傾斜角度が変位可能に構成されるバンドパスフィルタを配置することにより、光源から射出される第1の波長の光の波長が狭帯域化されるとともに、傾斜角度を変位して発振波長を変えることができる。これにより、温度変化などにより発振波長に変動が生じても、発振波長を調整することが可能となり、波長変換素子での変換効率が向上し、光の利用効率を高めた出力光を得ることができる。また、ミラー手段(ミラー膜)は発振波長を80%以上反射し、変換波長を80%以上透過する特性を有することで、光源の発振光を共振器の内部に閉じ込めながら、波長変換素子によって波長変換された第2の波長の光を効率良く取り出すことができる。
さらに、ミラー手段によって反射されて光源へ向かう過程で波長が変換された第2の波長の光を、折り返し手段によって第2光路に取り出して利用することにより、出力光のパワー低下を効率よく低減することが可能である。
本発明に係るレーザ光源装置は、第1の波長の光を射出する光源と、前記第1の波長の光を選択的に反射して前記光源の方に向かわせるミラー手段と、前記光源と前記ミラー手段との間に形成された第1光路上に設けられ、入射した第1の波長の光のうち一部の光の波長を前記第1の波長とは異なる第2の波長に変換する波長変換素子と、前記光源と前記ミラー手段との間に形成された第1光路上に設けられ、前記第1の波長近傍でバンドパス特性を有するバンドパス多層膜を有するバンドパスフィルタと、前記ミラー手段によって反射されて前記光源の方へ向かう過程で前記第2の波長に変換された光を、前記第1光路とは異なる第2光路に取り出す折り返し手段と、を備え、前記ミラー手段から射出される前記第2の波長のレーザ光と、前記折り返し手段から射出される前記第2の波長の第2のレーザ光とを出力光として利用するレーザ光源装置であって、前記ミラー手段は、前記第1の波長の光を80%以上反射し、前記第2の波長の光を80%以上透過する特性を有するミラー膜を備えた多層膜ミラーよりなり、前記バンドパスフィルタは、前記第1光路上の前記光源と前記波長変換素子との間、または前記多層膜ミラーと前記波長変換素子との間に配置され、前記光源のレーザ光射出面に対する傾斜角度が変位可能に構成されることを特徴とする。
本発明によれば、光源とミラー手段としての多層膜ミラーによって構成された共振構造(第1光路)中に波長変換素子を配置し、その波長変換素子と光源との間または多層膜ミラーと波長変換素子との間に、第1の波長近傍でバンドパス特性を有するバンドパス多層膜を有し、光源のレーザ光射出面に対する傾斜角度が変位可能に構成されるバンドパスフィルタを配置することにより、光源から射出される第1の波長の光の波長が狭帯域化されるとともに、傾斜角度を変位して発振波長を変えることができる。これにより、温度変化などにより発振波長に変動が生じても、発振波長を調整することが可能となり、波長変換素子での変換効率が向上し、光の利用効率を高めた出力光を得ることができる。また、ミラー手段は発振波長を80%以上反射し、変換波長を80%以上透過する特性を有することで、光源の発振光を共振器の内部に閉じ込めながら、波長変換素子によって波長変換された第2の波長の光を効率良く取り出すことができる。
さらに、ミラー手段によって反射されて光源へ向かう過程で波長が変換された第2の波長の光を、折り返し手段によって第2光路に取り出して利用することにより、出力光のパワー低下を効率よく低減することが可能である。さらにまた、波長変換素子、バンドパスフィルタ、多層膜ミラーを独立に各種特性の調整をすることが可能となり、発振効率および歩留まりの向上が期待できる。
本発明に係るレーザ光源装置において、前記バンドパス多層膜は、前記第2の波長に対して80%以上の透過率を有し、高屈折率層Hと低屈折率層Lが交互に積層され、発振波長をλとおいて、光学膜厚が前記波長変換素子側から順に、0.236λH、0.355λL、0.207λH、0.203λL、(0.25λH、0.25λL)n、0.5λH、(0.25λL、0.25λH)n、0.266λL、0.255λH、0.248λL、0.301λH、0.631λLであることが好ましい。但し、nは3から10の範囲の値であり、括弧内の層を繰り返し積層する繰り返し数を示す。
かかる構成によれば、バンドパス多層膜は、第2の波長に対して80%以上の透過率を有し、前記のように高屈折率層Hと低屈折率層Lが交互に積層されて形成されることにより、第1の波長近傍でバンドパス特性を有し、光源から射出された第1の波長の光を狭帯域化することができる。これにより、波長変換素子における波長変換の変換効率が向上するとともに、使用環境の温度変化などによってレーザ光源の発振波長に変動が生じたとしても、常に一定波長のレーザ光を、レーザ光源装置から射出することができる。
本発明に係るレーザ光源装置において、前記ミラー手段から射出される前記第2の波長の第1のレーザ光と、前記折り返し手段から射出される前記第2の波長の第2のレーザ光とは、略平行であることが好ましい。
本発明に係るレーザ光源装置は、レンズ、フィルター、ミラー、回折格子、プリズム、光変調素子など、他の光学デバイスと組み合わせて利用される可能性が高いが、このような光学デバイスの多くは、入射光の角度に依存して特性が変化したり、出力結果が変化してしまったりする。そこで、第1のレーザ光と第2のレーザ光とを略平行とすれば、レーザ光源装置の後に配置される光学デバイスの設計や配置が容易となる。したがって、かかる構成によれば、特に、本発明に係るレーザ光源装置を、画像表示装置等に応用した場合に、光学設計の自由度が非常に高まるという効果がある。
また、このとき、前記波長変換素子の、前記第1のレーザ光と前記第2のレーザ光とに直交する線と平行な方向の幅をW1とし、前記第1のレーザ光と前記第2のレーザ光との間の距離をW2としたとき、W2>W1であることが好ましい。
かかる構成により、第1光路と折り返し手段との相対位置が多少ずれたとしても、第2光路が波長変換素子によって遮られることが無い。よって、光路変換素子の位置合わせが比較的容易となる。
さらに、折り返し手段は、第1の波長の光を透過し、第2の波長の光を反射する機能を有する選択性反射膜が設けられた偏光ビームスプリッタと、偏光ビームスプリッタより入射する第2の波長の光を全反射する機能を有する反射膜が設けられた反射ミラーと、から構成されるのが好ましい。
かかる構成により、ミラー手段によって反射されて光源へ向かう過程で波長が変換された第2の波長の光を、第2光路に容易に取り出して利用することができる。
本発明に係るレーザ光源装置において、前記光源は、アレイ化された複数の発光部を備えることが好ましい。本発明では、このようにアレイ化された光源を用いたとしても、ミラー手段、波長変換素子、バンドパスフィルタ、折り返し手段の光入射端面および光射出端面の面積を、アレイに対応した面積に拡張すれば良いだけである。このように、本発明では、光源がアレイ化されたとしても、装置の過度な大型化を招くことが無く、簡単な構成で対応することが可能である。よって、本発明では、光源がアレイ化されたとしても、出力光のパワー低下を効率よく抑えて、光利用効率が高く、出力が安定したレーザ光源装置を得ることが可能となる効果をそのまま保持しつつ、アレイ化による光量の増加を、効果的に出力光のパワーアップに繋げることが可能である。
また、本発明に係るレーザ光源装置において、前記波長変換素子は、擬似位相整合型の波長変換素子であることが好ましい。擬似位相整合型の波長変換素子は、他のタイプの波長変換素子よりも変換効率が高いため、本発明の効果をより高めることが可能である。
本発明に係る画像表示装置は、上述したようなレーザ光源装置と、前記レーザ光源装置から射出されたレーザ光を画像情報に応じて変調する光変調素子とを備えたことを特徴とする。
かかる画像表示装置は、上述したようなレーザ光源装置を用いているため、光の利用効率を向上させることが可能である。
以下、本発明における実施形態を図面に基づいて説明する。
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係るレーザ光源装置の概略構成を示す模式図である。
レーザ光源装置31は、光源311と、波長変換素子312と、偏光ビームスプリッタ313と、反射ミラー314とを備えている。
光源311は、第1の波長の光を射出する。
図2は光源311の構造を模式的に示す断面図である。図2に示した光源311は、いわゆる面発光半導体レーザであり、例えば半導体ウエハより少なくともなる基板400と、基板400上に形成され、反射ミラーとしての機能を有するミラー層311Aと、ミラー層311Aの表面に積層されるレーザ媒体311Bとを有する。
ミラー層311Aは、基板400上に、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)により形成された、高屈折率の誘電体と低屈折率の誘電体の積層体によって構成されている。ミラー層311Aを構成する各層の厚さ、各層の材料、層の数は、光源311から射出される光の波長(第1の波長)に対して最適化され、反射光が干渉し強め合う条件に設定されている。
レーザ媒体311Bは、ミラー層311Aの面上に形成されている。このレーザ媒体311Bは、図示しない電通手段が接続されており、電通手段から所定量の電流が流されると、所定波長(第1の波長)の光を射出する。また、レーザ媒体311Bは、ミラー層311Aと、図1に示した波長変換素子312のバンドパス多層膜312Bとの間で、第1の波長の光が共振することにより、特定の波長(第1の波長)の光を増幅させる。すなわち、ミラー層311Aや、波長変換素子312のバンドパス多層膜312Bにより反射された光は、レーザ媒体311Bにより新たに射出される光と共振して増幅され、レーザ媒体311Bの光射出端面からミラー層311Aや基板400に略直交する方向に射出される。
波長変換素子312は、光源311から入射された第1の波長の光を狭帯域化するとともに、第1の波長の光を略半分の波長(第2の波長)の光に変換する。波長変換素子312は、図1に示すように、光源311と、後述するミラー手段としてのミラー膜312Cとの間に形成された第1光路O1上に設けられている。
図3は波長変換素子312の構造を模式的に示す断面図である。
波長変換素子312は、例えば四角柱形状を成し、波長変換部312Aと、波長変換部312Aの光源311側の端面(入射側の端面)に形成されたバンドパス多層膜312Bと、波長変換部312Aの射出側の端面に形成されたミラー手段としてのミラー膜312Cと、を備えている。
波長変換部312Aは、入射した光の第2次高調波を生成する第2次高調波発生(SHG:Second Harmonic Generation)素子である。波長変換部312Aは、周期的な分極反転構造を備えており、擬似位相整合(QPM:Quasi Phase Matching)による波長変換によって、入射した光の波長を略半分の波長(第2の波長)の光に変換する。例えば、光源311から射出される光の波長(第1の波長)が1064nm(近赤外)である場合、波長変換部312Aは、これを半分の波長(第2の波長)532nmに変換して、緑色の光を生成する。但し、背景技術でも述べたように、波長変換部312Aの波長変換効率は、一般的に30〜40%程度である。つまり、光源311から射出された光のすべてが、第2の波長の光に変換されるわけではない。
周期的な分極反転構造は、例えばニオブ酸リチウム(LN:LiNbO3)やタンタル酸リチウム(LT:LiTaO3)などの無機非線形光学材料の結晶基板内部に形成されている。具体的には、周期的な分極反転構造は、このような結晶基板内部に、光源311から射出された光に対して略直交する方向に、相互に分極方向が反転した2つの領域312AA,312ABを、所定の間隔で交互に多数形成した構成となっている。これら2つの領域312AA,312ABのピッチは、入射光の波長と結晶基板の屈折率分散とを考慮して、適宜決定される。
なお、一般に半導体レーザから射出される光は、利得帯域の中で複数の縦モードが発振し、温度の変動などの影響によりそれらの波長が変化する。また、波長変換素子312において変換される光の波長の許容幅は0.3nm程度であり、使用環境温度の変化に対して、0.1nm/℃程度変動する。
バンドパス多層膜312Bは、第1の波長近傍でバンドパス特性を有する。それは、光源311から射出される光の内、設定された特定波長の光のみを選択的に透過し、それ以外の光を反射する。すなわち、光源311より射出される光を狭帯域化する機能を有する。なお、バンドパス多層膜312Bを選択的に透過する光の特定波長は、第1の波長における半値幅が略0.5nmの光である。
バンドパス多層膜312Bの膜構成は、高屈折率層Hと低屈折率層Lが交互に積層され、発振波長をλとおいて、光学膜厚が前記波長変換素子側から順に、0.236λH、0.355λL、0.207λH、0.203λL、(0.25λH、0.25λL)n、0.5λH、(0.25λL、0.25λH)n、0.266λL、0.255λH、0.248λL、0.301λH、0.631λLとしたものである。但し、nは3から10の範囲の値であり、括弧内の層を繰り返し積層する繰り返し数を示す。
高屈折率層Hの材料としては、使用波長領域において透明で、環境にやさしいTa25、Nb25、Ti02、Zr02などの物質の内から1種類が選択され、低屈折率層Lの材料としては、同様に、環境にやさしいSiO2、MgF2などの物質の内から1種類が選択される。
図4は、このように形成されたバンドパス多層膜312Bの分光透過率特性の一例を示すグラフである。グラフの横軸は波長(nm)を示し、縦軸は透過率(%)を示す。なお、この分光透過率特性は、光源311から射出される光の波長(第1の波長)が1064nm近傍である場合を示す。
図4に示すように、バンドパス多層膜312Bは、波長変換部312Aにおいて変換された第2の波長の光に対して略80%以上の透過率を有する。特に、波長532nmの緑色光近傍の第2の波長の光に対して100%に近い透過率を有する。
ミラー膜312Cは、第1の波長の光を選択的に反射して光源311の方に向かわせ、それ以外の波長(第2の波長を含む)の光を透過する機能を有する。ミラー膜312Cは、第1の波長の光を選択的に反射することで、増幅する光の波長を狭帯域化する機能も担っている。
ミラー膜312Cは、誘電体多層膜によって構成される。このような誘電体多層膜は、例えばCVDによって形成することが可能であり、多層膜を構成する各層の厚さ、各層の材料、層の数は、求められる特性に応じて最適化される。このミラー膜312Cの第2の波長の光に対する透過率、および第1の波長の光に対する反射率は、高ければ高いほど良く、80%以上が望ましい。
偏光ビームスプリッタ313は、ガラス基板313Aの一方の面に選択性反射膜313Bが形成され、他方の面に光の反射を防止するための反射防止(AR:anti-reflective)膜313Cが形成されている。この偏光ビームスプリッタ313は、第1の波長の光を透過し、波長変換素子312によって変換された第2の波長の光を反射ミラー314の方に向かって反射する機能を有する。
偏光ビームスプリッタ313は、第1光路O1上の光源311と波長変換素子312との間に、第1光路O1に対して略45°傾斜する角度に配置されている。
なお、選択性反射膜313Bは、反射効率を考慮すると、ガラス基板313Aよりも入射光に近い側、つまり、ガラス基板313Aの波長変換素子312側の面に設けた方が良いが、ガラス基板313Aの光源311側の面に形成するようにしても良い。また、AR膜313Cは、偏光ビームスプリッタ313の機能を達成する上で必須の構成ではないため、省略することも可能である。
反射ミラー314は、ガラス基板314Aの一方の面に反射膜314Bを備え、他方の面にAR膜314Cを備えている。この反射ミラー314は、偏光ビームスプリッタ313から入射した第2の波長の光ILを反射する機能を有し、第1光路O1に対して偏光ビームスプリッタ313と面対称となる位置に配置されている。
反射膜314Bは、選択性反射膜313Bと同様、誘電体多層膜によって構成することが可能である。このとき、反射膜314Bを構成する誘電体多層膜は、選択性反射膜313Bと異なる誘電体多層膜でも良いが、同じ誘電体多層膜でも良い。また、反射膜314Bはアルミニウム、クロム、銀などの金属膜によって構成しても良い。
一般的に、誘電体多層膜の方が、金属膜に比べて耐熱性に優れている。また、誘電体多層膜は、これを構成する各層の厚さ、各層の材料、層の数の最適化により、特定波長の光に対する反射率を高めることが可能であり、レーザ光のように波長帯域が狭く、指向性の高い光を効率よく反射するにも適している。一方、金属膜は、コスト面において誘電体多層膜よりも有利である。
なお、反射膜314Bは、反射効率を考慮すると、ガラス基板314Aよりも入射光に近い側、つまり、ガラス基板314Aの偏光ビームスプリッタ313側の面に設けた方が良いが、その反対側の面に形成するようにしても良い。また、AR膜314Cは、反射ミラー314の機能を達成する上で必須の構成ではないため、省略することも可能である。
次に、レーザ光源装置31から出力光が得られるまでの過程について、図1〜図3を参照して説明する。
光源311は、レーザ媒体311Bに電流が流されると、第1の波長の光を射出する。光源311から射出された第1の波長の光は、偏光ビームスプリッタ313を通過して、波長変換素子312に入射する。
波長変換素子312では、バンドパス多層膜312Bにおいて、第1の波長の光のうち波長幅が略0.5nm程度の光が透過され、それ以外の波長幅の光が反射される。すなわち、入射する第1の波長の光の狭帯域化が行われる。
バンドパス多層膜312Bにおいて反射された第1の波長の光は、光源311に向けて射出される。
光源311に向けて射出された第1の波長の光は、光源311に戻り、ミラー層311Aによって反射され、再び光源311から射出される。このように、バンドパス多層膜312Bにおいて反射された第1の波長の光は、光源311とバンドパス多層膜312Bとの間を往復することにより、レーザ媒体311Bにて新たに発振される光と共振して増幅される。
一方、バンドパス多層膜312Bを透過した第1の波長の光は、波長変換部312Aに入射し、第1の波長の光のうち一部の光の波長が、半分の波長(第2の波長)に変換されてミラー膜312Cに入射する。
ミラー膜312Cでは、波長変換部312Aから入射した光のうち第2の波長に変換された光を透過し、第2の波長に変換されなかった光(第1波長の光)を反射する。
ミラー膜312Cを透過した第2の波長の光は、第1のレーザ光LS1(出力光)として波長変換素子312から射出される。
一方、ミラー膜312Cによって反射された第2の波長に変換されなかった光(第1の波長の光)は、光源311の方に向かう。
ミラー膜312Cによって反射された第1の波長の光は、光源311の方へ向かう過程で再び波長変換部312Aを通過する。そして、そのうちの一部の光が、第2の波長に変換されて、波長変換素子312から光源311の方へ射出される。
そして波長変換素子312から光源311の方へ射出された光は、偏光ビームスプリッタ313に入射する。
偏光ビームスプリッタ313では、選択性反射膜313Bに入射した光のうち、第1の波長の光は、選択性反射膜313Bを透過する。そして、選択性反射膜313Bを透過した第1の波長の光は、光源311に向けて射出される。
さらに、この光は光源311に戻り、ミラー層311Aによって反射され、再び光源311から射出される。このように、第1の波長の光は、光源311と波長変換素子312のミラー膜312Cとの間に形成された第1光路O1を往復することにより、レーザ媒体311Bにて新たに発振される光と共振して増幅される。すなわち、レーザ光源装置31は、光源311のミラー層311Aと波長変換素子312のミラー膜312Cとの間に形成された共振構造を備えている。
一方、波長変換素子312のミラー膜312Cによって反射されて光源311の方へ向かう過程で波長変換素子312によって第2の波長に変換された光は、偏光ビームスプリッタ313の選択性反射膜313Bによって反射され、反射ミラー314の方に向かう。
そして、反射ミラー314に入射して、反射膜314Bによって第1のレーザ光LS1の進行方向と略平行な方向へ向けて反射され、第2のレーザ光LS2(出力光)として、レーザ光源装置31から射出される。
つまり、偏光ビームスプリッタ313および反射ミラー314は、波長変換素子312のミラー膜312Cによって反射されて光源311の方へ向かう過程で第2の波長に変換された光を、第1光路O1とは異なる第2光路O2へ取り出す機能を備えている。なお、偏光ビームスプリッタ313と、反射ミラー314とで折り返し手段が構成されている。
なお、図1において、L1は、光源311から射出され、波長変換素子312によって第2の波長の光に変換され、波長変換素子312から第1のレーザ光LS1として射出される光を示している。L2は、波長変換素子312の波長変換部312Aにおいて第2の波長に変換されること無く射出され、ミラー膜312Cによって反射されて光源311に向かう過程において波長変換部312Aにおいて第2の波長に変換された光を示している。
また、図1では、第1光路O1、L1およびL2を異なる位置に示しているが、これらは説明の便宜上、異なる位置に示されているだけであり、本来は同じ位置に存在する。このことについては、以後の各実施形態において説明するレーザ光源装置の概略構成を示す模式図においても同様である。
最後に、第一のレーザ光LS1と第二のレーザ光LS2との間の距離と、波長変換素子312の幅との関係について、図1を参照しながら説明する。図1において、W1は、波長変換素子312の第一のレーザ光LS1と第二のレーザ光LS2とに直交する線(図示せず)と平行な方向の幅を示している。W2は、第一のレーザ光LS1と第二のレーザ光LS2との間の距離を示している。本実施形態のレーザ光源装置31は、W2>W1の関係となるように構成されている。
本実施形態に係るレーザ光源装置31は、以下の効果を奏する。
(1)光源311とミラー手段としてのミラー膜312Cとによって構成された共振構造(第1光路O1)の内部に波長変換素子312を配置し、その波長変換素子312の入射側の端面に、第1の波長近傍でバンドパス特性を有するバンドパス多層膜312Bを備えることにより、光源311から射出される第1の波長の光の波長が狭帯域化される。これにより、波長変換素子312での変換効率が向上し、光の利用効率を高めた出力光を得ることができる。
(2)バンドパス多層膜312Bおよびミラー膜312Cが、波長変換素子312の入射側の端面および出射側の端面に設けられているため、光路の長さが長くなったり、光学要素を通過する回数が増えてしまったりすることによる光の損失を低減するとともに、構成部品点数が低減し、低コスト化および小型化したレーザ光源装置31が得られる。
(3)ミラー膜312C(ミラー手段)によって反射されて光源311へ向かう過程で波長が変換された第2の波長の光を、偏光ビームスプリッタ313と反射ミラー314とで構成される折り返し手段によって第2光路O2に取り出して利用することにより、出力光のパワー低下を効率よく低減することが可能である。
(4)ミラー膜312C(ミラー手段)は第1の波長のレーザ光を80%以上反射し、第2の波長のレーザ光を80%以上透過する特性を有することで、光源311の発振光を共振構造の内部に閉じ込めながら、波長変換素子312によって変換された第2の波長のレーザ光を効率良く取り出すことができる。
(5)バンドパス多層膜312Bが前述のように高屈折率層Hと低屈折率層Lが交互に積層されて形成されることにより、第1の波長近傍でバンドパス特性を有し、光源311から射出された第1の波長のレーザ光を狭帯域化することができる。よって、波長変換素子312における波長変換の変換効率を向上することができる。
(6)波長変換素子312が、擬似位相整合型の波長変換素子であり、他のタイプの波長変換素子よりも変換効率が高いため、(1)の効果をより高めることが可能である。
[第2実施形態]
図5は、第2実施形態に係るレーザ光源装置41の概略構成を示す模式図である。
第2実施形態のレーザ光源装置41は、第1実施形態のレーザ光源装置31において、波長変換素子312の入射面に設けられたバンドパス多層膜312Bに代えて、バンドパスフィルタ412を配設したことだけが第1実施形態のレーザ光源装置31と異なっており、それ以外は、前記第1実施形態と同様である。したがって、図5において、第1実施形態と同一部材には同一符号を付して、その説明は省略または簡略化する。また、レーザ光源装置41から出力光(第一のレーザ光LS1および第二のレーザ光LS2)が得られるまでの過程についても同様であり、その詳細な説明も省略または簡略化する。
図5において、レーザ光源装置41は、レーザ光を発振する光源311と、バンドパスフィルタ412と、偏光ビームスプリッタ313と、波長変換素子414と、反射ミラー314とを備えている。
バンドパスフィルタ412は、第1の波長近傍でバンドパス特性を有する。それは、光源311から射出される光の内、設定された特定波長の光のみを選択的に透過し、それ以外の光を反射する。すなわち、光源311より射出される光を狭帯域化する機能を有する。また、バンドパスフィルタ412は、光源311のレーザ光射出面に対する傾斜角度θが変位可能な構造(図示せず)を備え、傾斜角度θを変位することでバンドパスフィルタ412を透過する第1の波長の光の波長を調整することができる。この波長調整については後述する。
なお、バンドパスフィルタ412を選択的に透過する光の特定波長は、第1の波長における半値幅が略0.5nmの光である。
バンドパスフィルタ412は、ガラス基板412Aの一方の面にバンドパス多層膜412Bを有し、他方の面に光の反射を防止するためのAR膜412Cが設けられている。バンドパスフィルタ412は、光源311と、後述するミラー膜414Cとの間に形成された第1光路O1上の光源311と偏光ビームスプリッタ313との間に、バンドパス多層膜412Bが形成された面を光源311側にして、光源311のレーザ光射出面(光源311から射出されるレーザ光の光軸に略直行する面)に対する傾斜角度θが、例えば、略5°に配置されている。
バンドパス多層膜412Bの膜構成は、前述の第1実施形態における波長変換素子312の入射端面に形成されたバンドパス多層膜312Bと同一の構成である。
なお、バンドパスフィルタ412は、バンドパス多層膜412Bが形成された面を、偏光ビームスプリッタ313側に向けて配置する場合であってもよい。また、AR膜412Cは、バンドパスフィルタ412の機能を達成する上で必須の構成ではないため、省略することもできる。
波長変換素子414は、四角柱形状を成し、波長変換部414Aと、波長変換部414Aの光源311側の面(入射側の端面)に形成されたAR膜414Bと、波長変換部414Aの射出側の端面に形成されたミラー手段としてのミラー膜414Cとを備えている。
波長変換部414Aおよびミラー膜414Cは、前述の第1実施形態における波長変換部312Aおよびミラー膜312Cと同一の構成および機能を有する。
偏光ビームスプリッタ313は、前述の第1実施形態と同一の構成および機能を有し、第1光路O1上のバンドパスフィルタ412と波長変換素子414との間に、第1光路O1に対して略45°傾斜する角度に配置されている。
反射ミラー314は、前述の第1実施形態と同一の構成および機能を有し、第1光路O1に対して偏光ビームスプリッタ313と面対称となる位置に配置されている。
次に、レーザ光源装置41から出力光が得られるまでの過程について、図5を参照して説明する。
光源311は、第1の波長の光を射出する。光源311から射出された第1の波長の光は、バンドパスフィルタ412に入射する。
バンドパスフィルタ412では、バンドパス多層膜412Bにおいて、第1の波長の光のうち波長幅が略0.5nm程度の光が透過され、それ以外の波長幅の光が反射される。すなわち、入射する第1の波長の光の狭帯域化が行われる。
バンドパス多層膜412Bを透過した第1の波長の光は、偏光ビームスプリッタ313を通過して、波長変換素子414に向けて射出される。
一方、バンドパス多層膜412Bにおいて反射された第1の波長の光は、光源311に向けて射出される。光源311に向けて射出された第1の波長の光は、光源311に戻り、ミラー層311Aによって反射され、再び光源311から射出される。このように、バンドパス多層膜412Bにおいて反射された第1の波長の光は、光源311とバンドパス多層膜412Bとの間を往復することにより、レーザ媒体311Bにて新たに発振される光と共振して増幅される。
そして、偏光ビームスプリッタ313から射出された第1の波長の光は、波長変換素子414に入射する。波長変換素子414では、波長変換部414Aに入射した第1の波長の光のうち一部の光の波長が、半分の波長(第2の波長)に変換されてミラー膜414Cに入射する。
ミラー膜414Cでは、波長変換部414Aから入射した光のうち第2の波長に変換された光を透過し、第2の波長に変換されなかった光(第1波長の光)を反射する。
ミラー膜414Cを透過した第2の波長の光は、第1のレーザ光LS1(出力光)として波長変換素子412から射出される。
一方、ミラー膜414Cによって反射された第2の波長に変換されなかった光(第1の波長の光)は、光源311の方に向かう。
ミラー膜414Cによって反射された第1の波長の光は、光源311の方へ向かう過程で再び波長変換部414Aを通過する。そして、そのうちの一部の光が、第2の波長に変換されて、波長変換素子414から光源311の方へ射出される。
そして波長変換素子414から光源311の方へ射出された光は、偏光ビームスプリッタ313に入射する。
偏光ビームスプリッタ313では、選択性反射膜313Bに入射した光のうち、第1の波長の光は、選択性反射膜313Bを透過する。そして、選択性反射膜313Bを透過した第1の波長の光は、光源311に向けて射出される。
さらに、この光は光源311に戻り、ミラー層311Aによって反射され、再び光源311から射出される。このように、第1の波長の光は、光源311と波長変換素子414のミラー膜414Cとの間に形成された第1光路O1を往復することにより、レーザ媒体311Bにて新たに発振される光と共振して増幅される。すなわち、レーザ光源装置41は、光源311のミラー層311Aと波長変換素子414のミラー膜414Cとの間に形成された共振構造を備えている。
一方、波長変換素子414のミラー膜414Cによって反射されて光源311の方へ向かう過程で波長変換素子414によって第2の波長に変換された光は、偏光ビームスプリッタ313の選択性反射膜313Bによって反射され、反射ミラー314の方に向かう。
そして、反射ミラー314に入射して、反射膜314Bによって第1のレーザ光LS1の進行方向と略平行な方向へ向けて反射され、第2のレーザ光LS2(出力光)として、レーザ光源装置41から射出される。
次にバンドパスフィルタ412を透過する第1の波長の光の波長調整について説明する。
バンドパスフィルタ412を透過する第1の波長の光の波長調整は、バンドパスフィルタ412の光源311のレーザ光射出面に対する傾斜角度θを変位することで行われる。
一般に半導体レーザ(光源311)から発振される光は、利得帯域の中で複数の縦モードが発振し、温度の変動などの影響によりそれらの波長が変化する。また、波長変換素子414においても波長変換される光の波長は、温度の変動に対して、0.1nm/℃程度変化する。
バンドパスフィルタ412の傾斜角度θを変位する角度調節は、こうした温度の変動などに対応し、安定したレーザ光を得る目的で行われる。
図6は、傾斜角度θの変位による透過波長のシフト特性を表すグラフである。グラフの横軸は波長(nm)を示し、縦軸に透過率(%)を示す。なお、図6に示すシフト特性は、光源311から射出される光の設定波長が1064nmの場合を示す。
図6中に示す曲線aは、バンドパスフィルタ412の傾斜角度θが0°における透過率曲線であり、同様に曲線bは傾斜角度θが1°、曲線cは2°、曲線dは3°、曲線eは4°、曲線fは5°における透過率曲線である。
図6において、バンドパスフィルタ412の傾斜角度θが0°から5°に向かって大きくなるに従って、バンドパスフィルタ412を透過する光のピーク波長が小さく(周波数を大きく)なる方向にシフト(移行)する。
したがって、バンドパスフィルタ412は、光源311のレーザ光射出面に対して略5°傾いた傾斜角度θを、5°よりも大きく調節(変位)することで、バンドパスフィルタ412を透過する第1の波長の光の波長を小さく調整することができる。また、バンドパスフィルタ412が、予め傾いて配設されていることから、傾斜角度θが略0°〜略5°の範囲において、透過する第1の波長を大きくする調整も可能である。
なお、バンドパスフィルタ412の傾斜角度θの角度調節は、光源311のレーザ光射出面に対して右傾斜あるいは左傾斜のどちらの方向であってもよい。
以上の第2実施形態のレーザ光源装置41によれば、第1実施形態の上記効果(3)から(6)に加え、以下の効果を奏することができる。
光源311とミラー手段としてのミラー膜414Cによって構成された共振構造(第1光路O1)の内部に波長変換素子414を配置し、その波長変換素子414と光源311との間に、第1の波長近傍でバンドパス特性を有するバンドパス多層膜412Bを有し、光源311のレーザ光射出面に対する傾斜角度θが変位可能に構成されるバンドパスフィルタ412を配置することにより、光源311から射出される第1の波長の光の波長が狭帯域化されるとともに、傾斜角度θを変位して発振波長を変えることができる。これにより、温度変化などにより発振波長に変動が生じても、発振波長を調整することが可能となり、波長変換素子414での変換効率が向上し、光の利用効率を高めた出力光を得ることができる。
また、波長変換素子414とバンドパスフィルタ412とを個別に各種特性の調整をすることが可能となり、発振効率および歩留りの向上が期待できる。
こうした第2実施形態のレーザ光源装置41は、レーザ光源装置41を構成する構成要素を次のように配置することができる。
図7は、第2実施形態のレーザ光源装置における変形構成を示す模式図である。
図7に示すレーザ光源装置51は、光源311と波長変換素子414のミラー膜414Cとの間に形成された第1光路O1上に、光源311側から順に、偏光ビームスプリッタ313、バンドパスフィルタ412、波長変換素子414が配設されている。
すなわち、上記レーザ光源装置41におけるバンドパスフィルタ412が、光源311と偏光ビームスプリッタ313との間に配置されているのに対して、偏光ビームスプリッタ313と波長変換素子414との間に配置されている。
レーザ光源装置51から出力光(第一のレーザ光LS1および第二のレーザ光LS2)が得られるまでの過程および動作については、光源311から射出された第1の波長の光のバンドパスフィルタ412および偏光ビームスプリッタ313への入射順序と、波長変換部414Aのミラー膜414Cによって反射された第1の波長の光が光源311の方へ向かう過程でのバンドパスフィルタ412および偏光ビームスプリッタ313への入射順序とが異なるが、上記レーザ光源装置41と同じである。
[第3実施形態]
図8は、第3実施形態に係るレーザ光源装置61の概略構成を示す模式図である。
第3実施形態のレーザ光源装置61は、前述の第2実施形態のレーザ光源装置41における波長変換素子414の射出面に設けられたミラー膜414Cに代えて、多層膜ミラー515を配設したことだけが第2実施形態のレーザ光源装置41と異なっており、それ以外は、前記第2実施形態と同じである。したがって、図8において、第2実施形態と同一部材には同一符号を付して、その説明は省略または簡略化する。また、出力光(第一のレーザ光LS1および第二のレーザ光LS2)が得られるまでの過程についても同様であり、その詳細な説明も省略または簡略化する。
図8において、レーザ光源装置61は、レーザ光を発振する光源311と、バンドパスフィルタ412と、偏光ビームスプリッタ313と、波長変換素子514と、多層膜ミラー515と、反射ミラー314とを備えている。
これらの構成要素は、光源311と後述するミラー手段としてのミラー膜515Bとの間に形成された第1光路O1上に、光源311側から順に、バンドパスフィルタ412、偏光ビームスプリッタ313、波長変換素子514、多層膜ミラー515が配設され、光源311のミラー層311A(図2参照)と多層膜ミラー515のミラー膜515Bとの間に形成された共振構造を備えている。
多層膜ミラー515は、ガラス基板515Aの一方の面にミラー手段としてのミラー膜515Bを有し、他方の面に光の反射を防止するためのAR膜515Cが設けられている。
ミラー膜515Bは、第2実施形態のレーザ光源装置41における波長変換素子414の射出面に設けられたミラー膜414Cと同じ多層膜によって構成され、第1の波長の光を選択的に反射して光源311の方に向かわせ、それ以外の波長(第2の波長を含む)の光を透過する機能を有する。
なお、多層膜ミラー515は、ミラー膜515Bが形成された面を、波長変換素子514側または第1のレーザ光LS1の射出側のどちらに向けて配置した場合であってもよいが、変換効率の面からは、波長変換素子514側に向けるのが好ましい。
波長変換素子514は、四角柱形状を成し、波長変換部514Aと、波長変換部514Aの光源311側の面(入射側の端面)および射出側の端面に、AR膜514B,514Cを備えている。
波長変換部514Aは、前述の第2実施形態における波長変換部414Aと同一の構成および機能を有する。なお、AR膜514B,514Cは、波長変換素子514に光が入射したり、光が射出されたりする際の光の損失を低減することが可能となるが、波長変換素子514の機能を達成する上で必須の構成ではないため、省略することもできる。
このレーザ光源装置61は、多層膜ミラー515および波長変換素子514以外の各構成要素の構成および機能は、前述の第2実施形態におけるレーザ光源装置41と同じである。また、レーザ光源装置41から出力光が得られるまでの過程および動作についても、レーザ光源装置41の波長変換素子414の射出面に設けられたミラー膜414Cに代えて、多層膜ミラー515が機能すること以外は同じである。
以上の第3実施形態のレーザ光源装置61によれば、第1実施形態の上記効果(3)から(6)に加え、以下の効果を奏することができる。
光源311とミラー手段としての多層膜ミラー515のミラー膜515Bとによって構成された共振構造(第1光路O1)の内部に波長変換素子514を配置し、その波長変換素子514と光源311との間に、第1の波長近傍でバンドパス特性を有するバンドパス多層膜412Bを有し、光源311のレーザ光射出面に対する傾斜角度θが変位可能に構成されるバンドパスフィルタ412を配置することにより、光源311から射出される第1の波長の光の波長が狭帯域化されるとともに、傾斜角度θを変位して発振波長を変えることができる。これにより、温度変化などにより発振波長に変動が生じても、発振波長を調整することが可能となり、波長変換素子514での変換効率が向上し、光の利用効率を高めた出力光を得ることができる。
また、波長変換素子514、バンドパスフィルタ412、多層膜ミラー515を個別に各種特性の調整をすることが可能となり、発振効率および歩留りの向上が期待できる。
以上の第3実施形態のレーザ光源装置61は、レーザ光源装置61を構成する構成要素を次のように配設することができる。
図9は、第3実施形態のレーザ光源装置における変形構成を示す模式図であり、図10は、第3実施形態のレーザ光源装置のさらに別の変形構成を示す模式図である。
図9に示すレーザ光源装置71は、レーザ光を発振する光源311と、偏光ビームスプリッタ313と、バンドパスフィルタ412と、波長変換素子514と、多層膜ミラー515と、反射ミラー314とを備えている。
これらの構成要素は、光源311と多層膜ミラー515のミラー膜515Bとの間に形成された第1光路O1上に、光源311側から順に、偏光ビームスプリッタ313、バンドパスフィルタ412、波長変換素子514、多層膜ミラー515が配設され、光源311のミラー層311A(図2参照)と多層膜ミラー515のミラー膜515Bとの間に形成された共振構造を備えている。すなわち、上記レーザ光源装置61におけるバンドパスフィルタ412が、光源311と偏光ビームスプリッタ313との間に配置されているのに対して、偏光ビームスプリッタ313と波長変換素子514との間に配置されている。
レーザ光源装置71は、出力光(第一のレーザ光LS1および第二のレーザ光LS2)が得られるまでの過程および動作については、光源311から射出された第1の波長の光のバンドパスフィルタ412および偏光ビームスプリッタ313への入射順序と、多層膜ミラー515のミラー膜515Bによって反射された第1の波長の光が光源311の方へ向かう過程でのバンドパスフィルタ412および偏光ビームスプリッタ313への入射順序とが異なるが、上記レーザ光源装置61と同じである。
図10に示すレーザ光源装置81は、レーザ光を発振する光源311と、偏光ビームスプリッタ313と、波長変換素子514と、バンドパスフィルタ412と、多層膜ミラー515と、反射ミラー314とを備えている。
これらの構成要素は、光源311と多層膜ミラー515のミラー膜515Bとの間に形成された第1光路O1上に、光源311側から順に、偏光ビームスプリッタ313、波長変換素子514、バンドパスフィルタ412、多層膜ミラー515が配設され、光源311のミラー層311A(図2参照)と多層膜ミラー515のミラー膜515Bとの間に形成された共振構造を備えている。すなわち、上記レーザ光源装置61におけるバンドパスフィルタ412が、光源311と偏光ビームスプリッタ313との間に配置されているのに対して、波長変換素子514と多層膜ミラー515との間に配置されている。
次に、レーザ光源装置81から第一のレーザ光LS1が得られるまでの概略過程について説明する。
光源311から射出された第1の波長の光は、偏光ビームスプリッタ313を通過して、波長変換素子514に入射する。
波長変換素子514では、波長変換部514Aにおいて、入射した第1の波長の光のうち一部の光の波長が、半分の波長(第2の波長)に変換され、バンドパスフィルタ412に向けて射出される。
波長変換素子514から射出された第1の波長の光、および第2の波長の光は、バンドパスフィルタ412に入射する。
バンドパスフィルタ412では、バンドパス多層膜412Bにおいて、入射する光のうち波長幅が略0.5nm程度の光が選択的に透過され、それ以外の波長幅の光が反射される。すなわち、入射する光の狭帯域化が行われる。
バンドパスフィルタ412を透過した光は、多層膜ミラー515に入射する。
多層膜ミラー515では、ミラー膜515Bにおいて、第2の波長の光が透過され、波長変換素子514にて第2の波長に変換されなかった光(第1の波長の光)が反射される。この時、ミラー膜515Bは、第1の波長の光に対して80%以上の反射率で反射し、第2の波長の光に対して80%以上の透過率で透過する。
そして、多層膜ミラー515のミラー膜515Bを透過した第2の波長の光は、第1のレーザ光LS1として多層膜ミラー515から射出される。
一方、バンドパスフィルタ412のバンドパス多層膜412Bにおいて反射された光、および多層膜ミラー515のミラー膜515Bにおいて反射された光は、光源311の方に向かう。
そして、バンドパスフィルタ412のバンドパス多層膜412Bにおいて反射された光、および多層膜ミラー515のミラー膜515Bにおいて反射された光は、光源311の方へ向かう過程で再び波長変換素子514を通過する。そして、そのうちの一部の光が、第2の波長に変換されて、波長変換素子514から偏光ビームスプリッタ313の方へ射出され、偏光ビームスプリッタ313に入射する。
偏光ビームスプリッタ313では、選択性反射膜313Bに入射した光のうち、第1の波長の光は、選択性反射膜313Bを透過して光源311に向けて射出される。
さらに、この光は光源311に戻り、ミラー層311Aによって反射され、再び光源311から射出される。
一方、選択性反射膜313Bに入射した光のうち、光源311の方へ向かう過程で波長変換素子514によって第2の波長に変換された光は、偏光ビームスプリッタ313の選択性反射膜313Bによって反射され、反射ミラー314の方に向かう。
そして、反射ミラー314に入射して、反射膜314Bによって第1のレーザ光LS1の進行方向と略平行な方向へ向けて反射され、第2のレーザ光LS2として、レーザ光源装置81から射出される。
これらレーザ光源装置61の変形構成のレーザ光源装置71,81は、構成要素の配置位置がそれぞれ異なるが、レーザ光源装置61と同様の効果を得ることができる。
[実施形態の変形例]
本発明は前述の第1実施形態から第3実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。以下に変形例として挙げられているような形態であっても、前述の実施形態と同様な効果を得ることができる。
(A)偏光ビームスプリッタ313は、第1光路O1上に、第1光路O1に対して略45°傾斜する角度に配置された場合で説明したが、45°に限定されない。
その場合には、偏光ビームスプリッタ313の傾斜角度に対応して、偏光ビームスプリッタ313から入射した第2の波長の光ILを全反射する反射ミラー314を、第1のレーザ光LS1の進行方向と略平行な方向へ向けて反射するように配置すればよい。
(B)光源311としては、面発光型半導体レーザ以外に、いわゆる端面発光型半導体レーザまたは半導体励起固体レーザを用いることができる。なお、端面発光型半導体レーザを用いる場合には、光源311と偏光ビームスプリッタ313との間、または光源311とバンドパスフィルタ412との間に、光源311から射出された光を平行化するためのレンズを設けることが好ましい。
(C)光源311は、アレイ化された複数の発光部を備えたものとすることができる。図11(A)および図11(B)は、いずれも発光部がアレイ化された光源を示す模式図である。図11(A)の光源321では、複数の発光部322が一列に並んでいる。また、図11(B)の光源323では、複数の発光部322が2列に並んでいる。なお、発光部の数や、列の数は、図11(A)や(B)に示したものには限らない。上述したレーザ光源装置31,41,51,61,71,81では、このように発光部がアレイ化された光源を用いたとしても、各構成要素(偏光ビームスプリッタ、波長選択素子、バンドパスフィルタ、反射ミラー、多層膜ミラー)の光入射出面の面積を、アレイに対応した面積に拡張すれば良いだけである。
このように、上述したレーザ光源装置31,41,51,61,71,81では、光源がアレイ化されたとしても、装置の過度な大型化を招くことが無く、簡単な構成で対応することが可能である。よって、上述したレーザ光源装置31,41,51,61,71,81では、光源がアレイ化されたとしても、出力光のパワー低下を効率よく抑えて、光利用効率が高く、出力が安定したレーザ光源装置を得ることが可能となる効果をそのまま保持しつつ、アレイ化による光量の増加を、効果的に出力光のパワーアップに繋げることが可能である。
(D)波長変換素子312を構成する非線形光学材料としては、先にLN(LiNbO3)や、LT(LiTaO3)を例示したが、これ以外にもKNbO3、BNN(Ba2NaNb515)、KTP(KTiOPO4)、KTA(KTiOAsO4)、BBO(β―BaB24)、LBO(LiB37)などの無機非線形光学材料を利用してもよい。また、メタニトロアニリン、2−メチル−4−ニトロアニリン、カルコン、ジシアノビニルアニソール、3,5−ジメチル−1−(4−ニトロフェニル)ピラゾール、N−メトキシメチル−4−ニトロアニリンなどの低分子有機材料や、ポールドポリマなどの有機非線形光学材料を用いてもよい。
(E)波長変換素子312,414,514として、上述したSHG素子に変えて、第3次高調波発生素子を用いても良い。
[レーザ光源装置の応用例]
以上に述べたようなレーザ光源装置31,41,51,61,71,81を画像表示装置やモニター装置に応用することにより、これらの装置における光の利用効率を向上させることが可能である。以下画像表示装置とモニター装置への応用例について説明する。
次に、第1の実施形態に係るレーザ光源装置31を応用した画像表示装置の一例として、プロジェクタ3の構成について説明する。図12は、プロジェクタ3の光学系の概略を示す模式図である。
図12において、プロジェクタ3は、レーザ光源装置31、光変調装置としての液晶パネル32、偏光板331,332、クロスダイクロイックプリズム34、投射レンズ35などを備えている。なお、液晶パネル32と、その光入射側に設けられた偏光板331および光射出側に設けられた偏光板332によって液晶ライトバルブ33が構成される。
レーザ光源装置31は、赤色レーザ光を射出する赤色光用光源装置31Rと、青色レーザ光を射出する青色光用光源装置31Bと、緑色レーザ光を射出する緑色光用光源装置31Gを備えている。これらのレーザ光源装置31(31R,31G,31B)は、それぞれクロスダイクロイックプリズム34の側面三方にそれぞれ対向するように配置されている。図12では、クロスダイクロイックプリズム34を挟んで、赤色光用光源装置31Rと青色光用光源装置31Bとが互いに対向し、投射レンズ35と緑色光用光源装置31Gが互いに対向しているが、これらの位置は、適宜入れ替えることが可能である。
液晶パネル32は、例えば、ポリシリコンTFT(Thin Film Transistor)をスイッチング素子として用いたものである。各レーザ光源装置31から射出された色光は、入射側の偏光板331を介して液晶パネル32に入射する。液晶パネル32に入射した光は、画像情報に応じて変調されて、液晶パネル32から射出される。液晶パネル32によって変調された光のうち、特定の直線偏光だけが、射出側の偏光板332を透過して、クロスダイクロイックプリズム34に向かう。
なお、レーザ光源装置31から射出される光は、偏光方向が良く揃った光であるため、原理上は、入射側の偏光板331を省略することも可能である。しかしながら、実際は、レーザ光源装置31から射出された光をそのまま照明光として利用する場合は少なく、レーザ光源装置31から射出された光を照明光に適した光に加工するための光学要素(例えば、回折格子、レンズ、ロッドインテグレータ等)が、レーザ光源装置31と液晶パネル32との間に設けられることが多い。そして、このような光学要素を通過することにより、偏光に多少の乱れが生じる可能性もある。偏光が乱れた光を液晶パネル32にそのまま入射させると、投射画像のコントラストが低下したり、投射画像に色むらが生じたりする可能性もある。そこで、液晶パネル32の入射側に偏光板331を設けて、液晶パネル32に入射する偏光の方向を揃えるようにすれば、投射画像のコントラストの低下や、色むらの発生を低減することができ、より質の高い画像を得ることが可能となる。
クロスダイクロイックプリズム34は、各液晶パネル32によって変調された各色光を合成して、カラー画像を形成する光学素子である。このクロスダイクロイックプリズム34は、4つの直角プリズムを貼り合わせた平面視略正方形状をなしている。そして、これら4つの直角プリズムの界面には、2種類の誘電体多層膜がX字状に設けられている。これら誘電体多層膜は、互いに対向する各液晶パネル32から射出された各色光を反射し、投射レンズ35に対向する液晶パネル32から射出された色光を透過する。このようにして、各液晶パネル32にて変調された各色光が合成されて、カラー画像が形成される。
投射レンズ35は、複数のレンズが組み合わされた組レンズとして構成される。この投射レンズ35は、カラー画像を拡大投射する。
なお、この応用例では、第1実施形態に係るレーザ光源装置31(31R,G,B)を用いているが、これらのうち一部もしくは全部を、他の実施形態に係るレーザ光源装置41,51,61,71,81に置き換えても良い。
さらに、レーザ光源装置31(31R,31G,31B)のうち、一部を基本波レーザの波長をそのまま利用するレーザ光源装置に置き換えても良い。
この応用例では、光変調素子を3つ用いたプロジェクタの例について説明したが、第1〜第3実施形態のレーザ光源装置31,41,51,61,71,81は、光変調装置を1つ、2つ、あるいは4つ以上用いたプロジェクタにも適用することができる。
また、この応用例では、透過型のプロジェクタについて説明したが、第1〜第3実施形態のレーザ光源装置31,41,51,61,71,81は、反射型プロジェクタにも適用することが可能である。ここで、「透過型」とは、光変調素子が光を透過するタイプであることを意味しており、「反射型」とは、光変調素子が光を反射するタイプであることを意味している。
また、光変調素子は液晶パネル32に限られず、例えばマイクロミラーを用いたデバイスであっても良い。
さらに、プロジェクタとしては、投射面を観察する方向から画像投射を行うフロントタイプと、投射面を観察する方向とは反対側から画像投射を行うリアタイプとがあるが、第1〜第3実施形態のレーザ光源装置31,41,51,61,71,81は、いずれのタイプにも適用可能である。
さらにまた、この応用例では、レーザ光源装置31を応用した画像表示装置の一例として、画像を拡大投射する投射レンズ35を備えたプロジェクタを紹介しているが、第1〜第3実施形態のレーザ光源装置31,41,51,61,71,81は、投射レンズ35を用いない画像表示装置にも応用可能である。
第1実施形態に係るレーザ光源装置の概略構成を示す模式図。 光源の構造を模式的に示す断面図。 波長変換素子の構造を模式的に示す断面図。 バンドパス多層膜の分光透過率特性の一例を示すグラフ。 第2実施形態に係るレーザ光源装置の概略構成を示す模式図。 バンドパスフィルタの傾斜角度による透過波長のシフト特性を表すグラフ。 第2実施形態のレーザ光源装置の変形構成を示す模式図。 第3実施形態に係るレーザ光源装置の概略構成を示す模式図。 第3実施形態のレーザ光源装置の変形構成を示す模式図。 第3実施形態のレーザ光源装置のさらに別の変形構成を示す模式図。 発光部がアレイ化された光源を示す模式図。 プロジェクタの光学系の概略を示す模式図。
符号の説明
3…プロジェクタ、31,41,51,61,71,81…レーザ光源装置、32…液晶パネル、33…液晶ライトバルブ、34…クロスダイクロイックプリズム、35…投射レンズ、311…光源、311A…ミラー層、311B…レーザ媒体、312,414,514…波長変換素子、312A,414A,514A…波長変換部、312B,412B…バンドパス多層膜、312C,414C,515B…ミラー膜、313…偏光ビームスプリッタ、313B…選択性反射膜、314…反射ミラー、314B…反射膜、321,323…光源、322…発光部、331…偏光板、332…偏光板、400…基板、412…バンドパスフィルタ、515…多層膜ミラー。

Claims (10)

  1. 第1の波長の光を射出する光源と、
    前記第1の波長の光を選択的に反射して前記光源の方に向かわせるミラー手段と、
    前記光源と前記ミラー手段との間に形成された第1光路上に設けられ、入射した第1の波長の光のうち一部の光の波長を前記第1の波長とは異なる第2の波長に変換する波長変換素子と、
    前記ミラー手段によって反射されて前記光源の方へ向かう過程で前記第2の波長に変換された光を、前記第1光路とは異なる第2光路に取り出す折り返し手段と、
    を備え、
    前記ミラー手段から射出される前記第2の波長の第1のレーザ光と、前記折り返し手段から射出される前記第2の波長の第2のレーザ光とを出力光として利用するレーザ光源装置であって、
    前記ミラー手段は、前記波長変換素子の射出側の端面に設けられた前記第1の波長の光を80%以上反射し前記第2の波長の光を80%以上透過する特性を有するミラー膜よりなり、
    前記波長変換素子は、入射側の端面に、前記第1の波長近傍でバンドパス特性を有するバンドパス多層膜をさらに備えることを特徴とするレーザ光源装置。
  2. 第1の波長の光を射出する光源と、
    前記第1の波長の光を選択的に反射して前記光源の方に向かわせるミラー手段と、
    前記光源と前記ミラー手段との間に形成された第1光路上に設けられ、入射した第1の波長の光のうち一部の光の波長を前記第1の波長とは異なる第2の波長に変換する波長変換素子と、
    前記光源と前記ミラー手段との間に形成された第1光路上に設けられ、前記第1の波長近傍でバンドパス特性を有するバンドパス多層膜を有するバンドパスフィルタと、
    前記ミラー手段によって反射されて前記光源の方へ向かう過程で前記第2の波長に変換された光を、前記第1光路とは異なる第2光路に取り出す折り返し手段と、
    を備え、
    前記ミラー手段から射出される前記第2の波長の第1のレーザ光と、前記折り返し手段から射出される前記第2の波長の第2のレーザ光とを出力光として利用するレーザ光源装置であって、
    前記ミラー手段は、前記波長変換素子の射出側の端面に設けられた前記第1の波長の光を80%以上反射し前記第2の波長の光を80%以上透過する特性を有するミラー膜よりなり、
    前記バンドパスフィルタは、前記第1光路上の前記光源と前記波長変換素子との間に配置され、前記光源のレーザ光射出面に対する傾斜角度が変位可能に構成されることを特徴とするレーザ光源装置。
  3. 第1の波長の光を射出する光源と、
    前記第1の波長の光を選択的に反射して前記光源の方に向かわせるミラー手段と、
    前記光源と前記ミラー手段との間に形成された第1光路上に設けられ、入射した第1の波長の光のうち一部の光の波長を前記第1の波長とは異なる第2の波長に変換する波長変換素子と、
    前記光源と前記ミラー手段との間に形成された第1光路上に設けられ、前記第1の波長近傍でバンドパス特性を有するバンドパス多層膜を有するバンドパスフィルタと、
    前記ミラー手段によって反射されて前記光源の方へ向かう過程で前記第2の波長に変換された光を、前記第1光路とは異なる第2光路に取り出す折り返し手段と、
    を備え、
    前記ミラー手段から射出される前記第2の波長の第1のレーザ光と、前記折り返し手段から射出される前記第2の波長の第2のレーザ光とを出力光として利用するレーザ光源装置であって、
    前記ミラー手段は、前記第1の波長の光を80%以上反射し、前記第2の波長の光を80%以上透過する特性を有するミラー膜を備えた多層膜ミラーよりなり、
    前記バンドパスフィルタは、前記第1光路上の前記光源と前記波長変換素子との間、または前記多層膜ミラーと前記波長変換素子との間に配置され、前記光源のレーザ光射出面に対する傾斜角度が変位可能に構成されることを特徴とするレーザ光源装置。
  4. 請求項1乃至3の何れか一項に記載のレーザ光源装置において、
    前記バンドパス多層膜は、前記第2の波長に対して80%以上の透過率を有し、高屈折率層Hと低屈折率層Lが交互に積層され、発振波長をλとおいて、光学膜厚が前記波長変換素子側から順に、0.236λH、0.355λL、0.207λH、0.203λL、(0.25λH、0.25λL)n、0.5λH、(0.25λL、0.25λH)n、0.266λL、0.255λH、0.248λL、0.301λH、0.631λLであることを特徴とするレーザ光源装置。
    但し、nは3から10の範囲の値であり、括弧内の層を繰り返し積層する繰り返し数を示す。
  5. 請求項1乃至4の何れか一項に記載のレーザ光源装置において、
    前記ミラー手段から射出される前記第2の波長の第1のレーザ光と、前記折り返し手段から射出される前記第2の波長の第2のレーザ光とは、略平行であることを特徴とするレーザ光源装置。
  6. 請求項5に記載のレーザ光源装置において、
    前記波長変換素子の、前記第1のレーザ光と前記第2のレーザ光とに直交する線と平行な方向の幅をW1とし、
    前記第1のレーザ光と前記第2のレーザ光との間の距離をW2としたとき、
    W2>W1であることを特徴とするレーザ光源装置。
  7. 請求項5または6に記載のレーザ光源装置において、
    前記折り返し手段は、
    前記第1の波長の光を透過し、前記第2の波長の光を反射する機能を有する選択性反射膜が設けられた偏光ビームスプリッタと、
    前記偏光ビームスプリッタより入射する前記第2の波長の光を反射する機能を有する反射膜が設けられた反射ミラーと、
    から構成されたことを特徴とするレーザ光源装置。
  8. 請求項1乃至7の何れか一項に記載のレーザ光源装置において、
    前記光源は、アレイ化された複数の発光部を備えることを特徴とするレーザ光源装置。
  9. 請求項1乃至8の何れか一項に記載のレーザ光源装置において、
    前記波長変換素子は、擬似位相整合型の波長変換素子であることを特徴とするレーザ光源装置。
  10. 請求項1乃至9の何れか一項に記載のレーザ光源装置と、
    前記レーザ光源装置から射出されたレーザ光を画像情報に応じて変調する光変調素子と、
    を備える画像表示装置。
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