JP2008047775A - Shgレーザ - Google Patents

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Abstract

【課題】基本波を共振器内にほぼ完全に閉じ込めて、第2高調波の発生効率を高めることができるSHGレーザを提供する。
【解決手段】反射ミラー6、半導体レーザ1、固体レーザ2、非線形光学結晶3、多層膜反射鏡45を光軸上に順に配設させることにより構成されている。多層膜反射鏡45は、非線形光学結晶3の出力側端面に形成されており、第1反射膜4と第2反射膜5とが交互に積層された構成となっている。多層膜反射鏡45により、レーザ共振器内の基本波を反射させ、第2高調波を出射させる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、非線形光学結晶を用いたSHGレーザに関する。
青色レーザ光源は、光計測に広く用いられているが、光計測以外の分野でも光ディスク用の光源として高密度化が可能となるので、近年その需要が高まっている。光ディスクに応用する場合には小型化が必須であるが、小型であってしかも高い効率で発振する半導体レーザでは、現在のところ緑青色発振が得られていない。そこでGaAs/AlGaAs半導体レーザからの0.8μm帯の発振光を非線形光学素子に入力し、緑青色の第2高調波(SHG)を得る研究が活発となっている。
図2は、従来の第2高調波を利用した緑青色レーザの構成例である(特許文献1参照)。半導体レーザ21、結合光学系22、Nd:YAGロッド23、非線形光学素子のKTP24、出力反射鏡25でSHG(Second Harmonic Generation)レーザが構成されており、Nd:YAGロッド23、非線形光学素子のKTP24、出力反射鏡25で共振器を構成している。
半導体レーザ21から発せられた0.81μmの発振光は、結合光学系22を経て、共振器内に設置したNd:YAGロッド23に入力される。半導体レーザ21からの励起光により反転分布状態となったNd:YAGは、1.064μmの発振光を出射するが、このNd:YAG固体レーザからの基本波は、非線形光学素子のKTP24により、第2高調波である0.532μmの緑色レーザ光に変換され、出力反射鏡25から出射される。
上記SHGレーザの変換効率はNd:YAGロッド23からの基本波の光密度に比例するが、共振器は、1.064μmの基本波を閉じ込める構造となっているため、共振器内に設置されているKTP24は、共振器内の高い光密度を利用でき、高い効率で緑色の出力光が得られる。このように、固体レーザ基本波を用いた第2高調波発生は固体レーザ基本波の良好なビーム特性を損なわず波長のみを半分に変換できることから、緑青色レーザ等に良く用いられている。
特許第3146505号公報
しかし、上記従来技術では、基本波を閉じ込めるための共振器構造として、基本波に対しては高反射となり、第2高調波に対しては低反射となる誘電体膜等による波長フィルターを出力反射鏡25に形成しているが、このような波長フィルターでは、第2高調波は出力反射鏡25から十分出射されるものの、基本波が完全に反射されるわけではなく、一部が第2高調波とともに出力反射鏡25を透過していくので、基本波を有効利用できず、変換効率が低下するという問題があった。
本発明は、上述した課題を解決するために創案されたものであり、基本波を共振器内にほぼ完全に閉じ込めて、第2高調波の発生効率を高めることができるSHGレーザを提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、入力された基本波から第2高調波を発生させる非線形光学結晶を、レーザ共振器内に備えたSHGレーザであって、前記非線形光学結晶の出力端面に第2高調波を出射させ、基本波を反射させる多層膜反射鏡を形成したことを特徴とするSHGレーザである。
また、請求項2記載の発明は、前記多層膜反射鏡の各膜厚は、多層膜材料の屈折率をn、前記基本波の波長をλとした場合、λ/nに相当するように形成されていることを特徴とする請求項1記載のSHGレーザである。
本発明によれば、第2高調波を発生させる非線形光学結晶の出力端面に多層膜反射鏡を形成しているので、レーザ共振器内の基本波レーザ光は、多層膜反射鏡で完全に反射されるとともに、第2高調波レーザ光は透過する。多層膜反射鏡で反射した基本波レーザ光は再度非線形光学結晶に入射するので、基本波レーザ光を完全に有効利用することができ、第2高調波レーザ光の発生効率を高めることができる。
以下、図面を参照して本発明の一実施形態を説明する。図1は本発明のSHGレーザの全体構成を示す。本発明のSHGレーザは、反射ミラー6、半導体レーザ1、固体レーザ2、非線形光学結晶3、多層膜反射鏡45を光軸上に順に配設させることにより構成されている。多層膜反射鏡45は、非線形光学結晶3の出力側端面に形成されており、第1反射膜4と第2反射膜5とが交互に積層された構成となっている。図では、固体レーザ2は、非線形光学結晶3に接して形成されているが、隙間を空けて、配置するようにしても良い。
反射ミラー6と多層膜反射鏡45との間でレーザ共振器が形成されており、レーザ共振器の基本波を閉じ込める構造となっている。
半導体レーザ1は、例えば、AlGaAs半導体レーザ等で構成される。固体レーザ2は、Nd:YAG(Yl512)、Nd:YVO(YVO)、Nd:YLF(YLiF)等の固体媒質が用いられる。非線形光学結晶3には、LBO(LiB)、BBO(β−BaB)、LNO(LiNbO)、LTO(LiTaO)、KTP(KTiOPO)、KDP(KHPO)、AgGaS、AgGaSe等を用いることができる。
励起光源素子としての半導体レーザ1から、励起光としてのレーザ光(波長λ)が出射される。この励起レーザ光は、固体レーザ2に入射される。固体レーザ2は、上記励起光の入射に応じて基本波レーザ光(波長λ)を発生し、この基本波レーザ光が、非線形光学結晶結晶3を通って多層膜反射鏡45に達し、多層膜反射鏡45で反射される。
非線形光学結晶3は、上記基本波レーザ光(波長λ)が入射すると、これを変換して、基本波レーザ光の2倍の周波数の第2高調波レーザ光(波長λ/2)を発生させる。例えば、基本波レーザ光の波長λを1064nmとすると、第2高調波レーザ光の波長はλ/2の532nmとなる。多層膜反射鏡45は、基本波レーザ光(波長λ)を反射し、第2高調波レーザ光(波長λ/2)を透過するような特性を有している。
多層膜反射鏡45で反射された基本波レーザ光(波長λ)は、非線形光学結晶結晶3を逆方向に進行し、反射ミラー6に到達するが、反射ミラー6によって再度反射されて、非線形光学結晶3に入射する。非線形光学結晶3では入射した基本波レーザ光を第2高調波レーザ光に変換し、変換されない基本波レーザ光は、多層膜反射鏡45に達した後反射され、上記の動作が繰り返される。
このように、固体レーザ2で発生した基本波レーザ光は、反射ミラー6の反射面と多層膜反射鏡45との間を往復進行し、レーザ光の発振が行われる。
ここで、多層膜反射鏡45は、ブラッグ反射鏡とも言われるもので、特定の波長に対しある入射角においてブラッグ反射の条件を満足するように反射面を一定間隔で蓄積し、反射光の干渉を利用して反射光強度を強め、高反射率の実現を目指したものである。
実際の多層膜反射鏡では反射しようとする光の波長において高屈折率かつ低吸収である材料を反射層として用い、一定間隔で蓄積するため反射層との屈折率の差が大きくとれ、かつ、低吸収である材料をスペーサー層として用いる。つまり、多層膜反射鏡45は、この反射層とスペーサー層を屈折率と波長により決められた周期長に交互に蓄積した多層構造を持つ。
多層膜反射鏡45は、第1反射膜4と第2反射膜5とで構成される複数の界面からの反射光同士の干渉現象を利用するもので、異なる界面から反射されてくる光の位相を360度ずらせるようにして、互いに強め合うようにし、反射光の強度をきわめて高くするものである。このように動作させるためには、第1反射膜4の屈折率をn1、第2反射膜5の屈折率をn2とし、レーザ共振器内の基本波レーザ光の波長をλとすると、第1反射膜4の膜厚は、λ/n1で決定され、第2反射膜5の膜厚は、λ/n2で決定される。また、n2>n1となる。
第2高調波の波長λ/2との関係で表すと、第1反射膜4の膜厚は、λ/(2×n1)で決定され、第2反射膜5の膜厚は、λ/(2×n2)で決定される。多層膜の材料として、例えば、第1反射膜4にSiO、第2反射膜5にZrOを用いることができ、そのようにした場合には、基本波の波長λ=1064nmとすると、SiOの屈折率は約1.5、ZrOの屈折率は、約2.2であるので、第1反射膜4の膜厚は約709nm、第2反射膜5の膜厚は約443nmで構成することができる。
多層膜反射鏡45の多層構造は、図では4層の重ね合わせとしているが、これよりも多くしても良い。しかしながら、4層程度で十分であり、基本波を100%反射し、第2高調波は100%透過する。
また、反射ミラー6の反射面は、波長λの基本波レーザ光が反射されるように鏡面となっているが、この反射面に、非線形光学結晶3の出力端面に用いた多層膜反射鏡45と同じ多層膜を形成するようにしても良い。
多層膜反射鏡45の形成方法としては、非線形光学結晶3に、まずSiOターゲットを用いて、スパッタリングを行って、第1反射膜4としてSiO膜を積層し、次に、ZrOターゲットを用いて、スパッタリングを行って第2反射膜5としてZrO膜を積層し、これを交互に繰り返す。
多層膜反射鏡45の多層膜には、上記のSiO、ZrOの他に、ルチル(TiO)、Al、Ta、AlN、Si等を適切に組み合わせて、第1反射膜4及び第2反射膜5として用いることができる。
本発明のSHGレーザの全体構成を示す図である。 従来のSHGレーザの全体構成を示す図である。
符号の説明
1 半導体レーザ
2 固体レーザ
3 非線形光学結晶
4 第1反射膜
5 第2反射膜
6 反射ミラー
45 多層膜反射鏡

Claims (2)

  1. 入力された基本波から第2高調波を発生させる非線形光学結晶を、レーザ共振器内に備えたSHGレーザであって、
    前記非線形光学結晶の出力端面に第2高調波を出射させ、基本波を反射させる多層膜反射鏡を形成したことを特徴とするSHGレーザ。
  2. 前記多層膜反射鏡の各膜厚は、多層膜材料の屈折率をn、前記基本波の波長をλとした場合、λ/nに相当するように形成されていることを特徴とする請求項1記載のSHGレーザ。
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