JP2008304352A - 流路デバイス用基板の接合方法および流路デバイス - Google Patents

流路デバイス用基板の接合方法および流路デバイス Download PDF

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Abstract

【課題】プラスチック材料により製造され、表面に流路を有する流路デバイス用基板の接合方法において、熱プレス、超音波による熱融着や接着剤を用いる接合方法では接合できない材料に対して、より効果的な流路デバイス用基板を接合する方法を提供すること。
【解決手段】表面に流路を有する第1の流路デバイス用基板と、第1の流路デバイス用基板の流路を有する面に密着する面を有する第2の流路デバイス用基板とを接合する方法であって、第1の流路デバイス用基板及び/又は第2の流路デバイス用基板がプラスチック材料からなり、第1の流路デバイス用基板と第2の流路デバイス用基板との間に、プラスチックフィルムを介在させて、熱融着にて接合する工程を有する流路デバイス用基板の接合方法。
【選択図】 図1

Description

本発明は、流路を有する流路デバイス用基板の接合方法および流路デバイスに関するものである。
最近、マイクロリアクターやマイクロアナリシスシステムと呼ばれる微細加工技術を利用した化学反応や分離システムの微小化の研究が盛んになっており、マイクロチャネルを持つマイクロチップ上で行なう核酸、タンパク質、糖鎖などの分析や合成、微量化学物質の迅速分析、医薬品・薬物のハイスループットスクリーニングへの応用が期待されている。このようなシステムのマイクロ化の利点としては、サンプルや試薬の使用量あるいは廃液の排出量が軽減され、省スペースで持ち運び可能な安価なシステムの実現が考えられている。また体積に対する表面積の比率が向上することにより、熱移動・物質移動の高速化が実現でき、その結果、反応や分離の精密な制御、高速・高効率化、副反応の抑制が期待される。
マイクロチャネルは一般的に少なくとも一方の部材に微細加工を有するマイクロチップ基板の部材の2つを張り合わせることにより製造されている。また、これまではマイクロチップの基板材料として、主にガラスが用いられてきた。ガラス基板でマイクロチャネルをつくるためには、例えば、基板に金属、フォトレジスト樹脂をコーティングしマイクロチャネルのパターンを露光、現像した後にエッチング処理を行う方法がある。その後、陽極接合などでガラス基板を接合する(非特許文献1参照)。しかし、ガラスのエッチングにはフッ酸などの非常に危険な薬品を用いたり1枚ごとに露光、現像、エッチング処理を行なうため非常に効率が悪く、高コストである。
これらのマイクロチップは、種々のプラスチックを使用することができ、射出成形によって製造することが可能である。射出成形では型キャビティ内へ溶融した熱可塑性プラスチック材料を導入し、キャビティを冷却させて樹脂を硬化させることで、効率よく経済的にマイクロチップ基板を製造でき、大量生産に適している。基板の接合方法として熱プレス、超音波による熱融着や接着剤を用いる方法等が主に行われている(特許文献1)。
しかしながら、これらの接合方法で基板を接合しようとすると、接着が全くできていない、または接合力が弱くマイクロチャネル内に液体を流すことの出来ない場合がある。例えば、ポリプロピレンを素材とする基板どうしを熱プレスにより接合しようとした場合、接着が弱く、接合できずに流路内に液体を通すことができない。高温にて接合することができるが、高温であると流路が溶けてしまい、流路が変形した状態で接合されるため、送液できない。このように流路を有するポリプロピレンの接合については、貼り合わせおよび送液ができない状況にあった。
本田宣昭、化学工学、第66巻、第2号、P71−74(2002) 特開2002−139419号公報
本発明の目的は、プラスチック材料により製造され、表面に流路を有する流路デバイス用基板の接合方法において、熱プレス、超音波による熱融着や接着剤を用いる接合方法では接合できない材料に対して、より効果的な流路デバイス用基板を接合する方法を提供することである。
本発明は、以下の通りである。
(1)表面に流路を有する第1の流路デバイス用基板と、第1の流路デバイス用基板の流路を有する面に密着する面を有する第2の流路デバイス用基板とを接合する方法であって、第1の流路デバイス用基板及び/又は第2の流路デバイス用基板がプラスチック材料からなり、第1の流路デバイス用基板と第2の流路デバイス用基板との間に、プラスチックフィルムを介在させて、熱融着にて接合する工程を有することを特徴とする流路デバイス用基板の接合方法。
(2)熱融着にて接合する工程が、第2の流路デバイス用基板と前記プラスチックフィルムとを熱融着によって接合した後に、前記プラスチックフィルム面と、第1の流路デバイス用基板の流路を有する面とを熱融着にて接合する工程を有する(1)記載の流路デバイス用基板の接合方法。
(3)第1及び第2の流路デバイス用基板の少なくとも一方の母材がポリプロピレン、ポリエチレン、ナイロン、及びポリスチレンのうち少なくとも一つから選ばれる材質からなる(1)又は(2)記載の流路デバイス用基板の接合方法。
(4) 前記プラスチックフィルムの材質がポリプロピレン、ポリエチレン、ナイロン、ポリスチレンのいずれかから選ばれるものである(1)〜(3)いずれか記載の流路デバイス用基板の接合方法。
(5)前記プラスチックフィルムがポリプロピレンのコポリマーまたはブロックコポリマーからなるフィルムである(1)〜(3)いずれか記載の流路デバイス用基板の接合方法。
(6)(1)〜(5)いずれか記載の流路デバイス用基板の接合方法にて接合された流路デバイス。
(7)前記流路内の一部に無機酸、無機アルカリ、芳香族系炭化水素、脂肪族系炭化水素、複素環式化合物、ハロゲン化炭化水素、アルコール、エーテル、アルデヒド、エステル、カルボン酸、カルボン酸誘導体、ケトン、強酸、強塩基の少なくとも一つから選ばれる液体を送液することを特徴とする(6)記載の流路デバイス。
本発明の接合方法を用いることで、プラスチック材料により製造され、表面に流路を有する流路デバイス用基板の接合方法において、熱プレス、超音波による熱融着や接着剤を用いる接合方法では接合できない材料に対して、より効果的な流路デバイス用基板を接合する方法を提供できる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明は、表面に流路を有する第1の流路デバイス用基板と、第1の流路デバイス用基板の流路を有する面に密着する面を有する第2の流路デバイス用基板とを接合する方法であって、第1の流路デバイス用基板及び/又は第2の流路デバイス用基板がプラスチック材料からなり、第1の流路デバイス用基板と第2の流路デバイス用基板との間に、プラスチックフィルムを介在させて、熱融着にて接合する工程を有する流路デバイス用基板の接合方法である。
図1は、表面に少なくとも一つの生理活性物質が固定化された流路3を有する第1の流路デバイス用基板1と、第1の流路デバイス用基板の流路を有する面に対し密着可能な面を少なくとも一つ有する第2の流路デバイス用基板2を最終的に接合した状態の流路デバイス用基板の断面の概略を示している。
本発明に使用する第1及び第2の流路デバイス用基板の材質は、少なくとも1方は、プラスチック材料であり、種々のプラスチック材料を用いることが可能であるが、作製される流路デバイスの用途、処理、使用する溶媒、生理活性物質、検出方法の特性に合わせて、成形性、耐熱性、耐薬品性、吸着性等を考慮し適宜に選択される。
例えば、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルアセテート、ビニル−アセテート共重合体、スチレン−メチルメタアクリレート共重合体、アクリルニトリル−スチレン共重合体、アクリルニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ナイロン、ポリメチルペンテン、シリコン樹脂、アミノ樹脂、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、ポリエーテルイミド、フッ素樹脂、飽和環状ポリオレフィン、ポリイミド等が挙げられる。
その中で、成形性、加工性、経済性も含めポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、又はナイロンを好適に用いることができる。ポリプロピレン、ポリエチレン、ナイロンは耐薬品性、耐候性も良く、有機溶剤使用時にも好適に用いることができる。また、これらのプラスチック材料に、顔料、染料、酸化防止剤、難燃剤等の添加物を適宜混合してもよい。
もう一方の流路デバイス用基板の材質は、ガラス、シリコンウェハー、プラスチックなど特に限定は無いが、熱融着する際に同じ材料の方が密着しやすく他方のマイクロチップ基板と同じ材料を用いることが好ましく、流路デバイスの特性はもちろんのこと、融着の相性を考慮して材料の選定を実施する。
また、基板を熱融着の前に表面処理することにより融着の相性が改善するため、接合面に対して表面改質、例えば官能基の導入、機能材料の固定化、親水性の付与、および疎水性の付与等を実施したりすることも可能である。
本発明に使用するプラスチックフィルムとして、延伸フィルム、未延伸フィルムなど好適に用いることができる。また、ポリエチレン/ポリプロピレンからなる複合フィルムなど数種の材料からなる多層の複合フィルムも用いることもできる。フィルムの厚みとしては、どのような厚みのものであってもよいが、10〜300μmのものを適宜用いることができる。
本発明に使用するプラスチックフィルムの材質としては、特に限定はないが、熱融着する際に同じ材料の方が密着しやすく流路デバイス用基板と同じ材料を用いることが好まく、流路デバイスの特性、及び融着の相性を考慮して材料の選定を実施する。例えば、基板がポリプロピレンであるとき、プラスチックフィルムがポリプロピレンであれば良好に接着でき、また、基板がポリスチレンであるときは、プラスチックフィルムがポリスチレンであれば接着が良好に行なわれる。
また、ポリプロピレンとしては、ホモポリマー(単独重合体)、共重合体であるランダムコポリマー、又はブロックコポリマー等に分類されるが、剛性、衝撃強度、透明性など使用用途によって適宜用いることができる。特に融点が低く、ヒートシール性に優れるランダムコポリマーまたはブロックコポリマーを好適に用いることができる。
本発明の接合方法において、熱融着にて接合する工程は、第2の流路デバイス用基板とプラスチックフィルムを熱融着によって接合した後に、該プラスチックフィルム面と、第1の流路デバイス用基板の流路を有する面とを熱融着にて接合することが好ましい。
第1の流路デバイス用基板と第2の流路デバイス用基板の間にプラスチックフィルムを直接挟んだ状態で熱融着した場合、第1の流路デバイス用基板の流路部に面するプラスチックフィルムが浮いてしまい、流路の深さが変わってしまう恐れがある。また、流路部底面にプラスチックフィルムが密着してしまう可能性がある。
このようなプラスチックフィルムの浮き、流路底面への密着を防ぐために、予め第2の流路デバイス用基板とプラスチックフィルムを熱融着によって接合する方法が好ましい。
本発明に使用する表面に流路を有する第1の流路デバイス用基板は、プラスチック材料からなることが流路の加工のしやすさの面から好ましい。流路を加工する方法としては、流路加工した型キャビティを使用した射出成形が大量生産には好ましいが、ドリル等の機械加工、ホットエンボスによる加工、レーザーによる加工、ドライエッチングパターン加工、ウェットエッチングパターン加工等の加工方法が選択できる。
流路としては、用途によって適宜設計することができ、幅はマイクロ単位でもミリ単位でもよい。また、マイクロチャネルを有するマイクロ流路デバイスの場合は、サンプルや試薬の使用量あるいは廃液の排出量、かつ、熱移動・物質移動の高速化の観点から、幅は1μm以上1000μm以下が好ましいが、これらマイクロ流路の設計は検出対象物、利便性を考慮に適宜設計されるため上記に限定はしない。また、流路基板の機能として、膜、ポンプ、バルブ、センサー、モーター、ミキサー、ギア、クラッチ、マイクロレンズ、電気回路等を装備したり、複数本のマイクロチャネルを同一基板上に加工することにより複合化することが可能である。
本発明の流路デバイスでは、流路内の一部に無機酸、無機アルカリ、芳香族系炭化水素、脂肪族系炭化水素、複素環式化合物、ハロゲン化炭化水素、アルコール、エーテル、アルデヒド、エステル、カルボン酸、カルボン酸誘導体、ケトン、強酸、及び強塩基の少なくとも一つから選ばれる液体を送液することができる。この場合、使用する溶液に耐えうるような材料を用いる必要があるが、例えば、流路デバイスの流路内でリグロイン、テトラヒドロフラン、ピリジンを送液する場合は、これらの液体に対して、耐性のあるポリプロピレンまたはポリエチレンを好適に用いることができる。
以下に実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
(実施例1)
ポリプロピレンを用いて、25mm×75mm、厚さ1.2mmで、表面に流路を図2に示すように配置した基板を射出成形により成形し、本体基板とした。ここで、図2における流路3は幅200μm深さ200μmの流路であり、ポート4および5は、1mmφの貫通孔であった。また、同じ大きさでマイクロチャネルを有していない基板をポリプロピレンにて成形し、蓋基板とした。蓋基板に厚み50μmの未延伸ポリプロピレンフィルムを熱圧着により接合させた。これにより得られた蓋基板とフィルムの接合体のフィルム面と本体基板のマイクロチャネル面を熱圧着により接合させた。
以上により作製したマイクロチップの注入ポート4よりマイクロシリンジを用いて、テトラヒドロフランを100μl/minの速度にて注入した。このときのマイクロチャネルの状態を目視により観察した。その結果を表1に示す。
(比較例1)
ポリプロピレンを用いて、25mm×75mm、厚さ1.2mmで、表面に流路を図2に示すように配置した基板を射出成形により成形し、本体基板とした。ここで、図2における流路3は幅200μm深さ200μmの流路であり、ポート4および5は、1mmφの貫通孔であった。また、同じ大きさでマイクロチャネルを有していない基板をポリプロピレンにて成形し、蓋基板とした。蓋基板と本体基板のマイクロチャネル面を熱圧着により接合させた。
以上により作製したマイクロチップのポート4よりマイクロシリンジを用いて、テトラヒドロフランを100μl/minの速度にて注入した。このときのマイクロチャネルの状態を目視により観察した。その結果を表1に示す。
Figure 2008304352
本発明の流路デバイスの一実施例の断面概略図である。 本発明に使用する表面に流路を有する流路デバイス用基板の一実施例となる平面概略図である
符号の説明
1 第1の流路デバイス用基板
2 第2の流路デバイス用基板
3 流路
4 注入ポート
5 排出ポート

Claims (7)

  1. 表面に流路を有する第1の流路デバイス用基板と、第1の流路デバイス用基板の流路を有する面に密着する面を有する第2の流路デバイス用基板とを接合する方法であって、第1の流路デバイス用基板及び/又は第2の流路デバイス用基板がプラスチック材料からなり、第1の流路デバイス用基板と第2の流路デバイス用基板との間に、プラスチックフィルムを介在させて、熱融着にて接合する工程を有することを特徴とする流路デバイス用基板の接合方法。
  2. 熱融着にて接合する工程が、第2の流路デバイス用基板と前記プラスチックフィルムとを熱融着によって接合した後に、前記プラスチックフィルム面と、第1の流路デバイス用基板の流路を有する面とを熱融着にて接合する工程を有する請求項1記載の流路デバイス用基板の接合方法。
  3. 第1及び第2の流路デバイス用基板の少なくとも一方の母材がポリプロピレン、ポリエチレン、ナイロン、及びポリスチレンのうち少なくとも一つから選ばれる材質からなる請求項1又は2記載の流路デバイス用基板の接合方法。
  4. 前記プラスチックフィルムの材質がポリプロピレン、ポリエチレン、ナイロン、ポリスチレンのいずれかから選ばれるものである請求項1〜3いずれか記載の流路デバイス用基板の接合方法。
  5. 前記プラスチックフィルムがポリプロピレンのコポリマーまたはブロックコポリマーからなるフィルムである請求項1〜3いずれか記載の流路デバイス用基板の接合方法。
  6. 請求項1〜5いずれか記載の流路デバイス用基板の接合方法にて接合された流路デバイス。
  7. 前記流路内の一部に無機酸、無機アルカリ、芳香族系炭化水素、脂肪族系炭化水素、複素環式化合物、ハロゲン化炭化水素、アルコール、エーテル、アルデヒド、エステル、カルボン酸、カルボン酸誘導体、ケトン、強酸、強塩基の少なくとも一つから選ばれる液体を送液することを特徴とする請求項6記載の流路デバイス。
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