JP4752364B2 - プラスチックの接合方法、及びその方法を利用して製造されたバイオチップ又はマイクロ分析チップ - Google Patents

プラスチックの接合方法、及びその方法を利用して製造されたバイオチップ又はマイクロ分析チップ Download PDF

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Description

本発明は板状プラスチック部材を良好に接合させる方法に関するものであり、その方法を利用することにより得られたプラスチック製のバイオチップまたはマイクロ分析チップに関するものである。
近年、創薬研究や臨床検査のハイスループット化を達成する手段として、生理活性物質を固層基板上に固定化したデバイスであるバイオチップが注目されている。固定化される生理活性物質としては、核酸、たんぱく質、抗体、糖鎖、糖タンパク、アプタマーなどが代表的なものであり、特に核酸を固定化したバイオチップである核酸マイクロアレイはすでに多数の商品が上市されている。チップの形態としては、平板の基板上に各種生理活性物質がスポットされ固定化されている形態であり、主に研究機関における研究分析用に活用されている。
さらに近年、マイクロ分析チップとか、μTAS(micro total analytical system)とか、ラボオンチップと呼ばれる、微細加工技術を利用した化学反応や分離、分析システムの微小化の研究が盛んになっており、マイクロチャネル(微細流路)上で各種の化学反応、特に生理学的反応を行うことが可能となっている。このシステムにおいては、微少量のサンプルを迅速分析できるため、この特長を生かした次期のバイオチップ、特に医療機関における診断用バイオチップとして商品化されることが期待されており、注目されている(これ以降、これらのシステムを、マイクロ分析チップと称する)。
このバイオチップや、マイクロ分析チップは、現在はガラス製のものが主流である。ガラス基板でマイクロ分析チップを作成するためには、たとえば、基板に金属、フォトレジスト樹脂をコートし、マイクロチャネルのパターンを焼いた後にエッチング処理を行う方法がある。しかしガラスは大量生産に向かず非常に高コストであるため、プラスチック化が望まれている。
プラスチック製のバイオチップやマイクロ分析チップは、種々のプラスチックを用いて射出成形等の各種の成形方法で製造することが可能であり、効率よく経済的なチップ製造が可能であるため、大量生産に向いている。しかしプラスチック製バイオチップもしくはマイクロ分析チップにはまだ技術上の欠点が多数あり、ガラス製に取って代わるだけの認知を得てはいない。特にマイクロフルイデックスと総称されるバイオチップもしくはマイクロ分析チップは、チップの内部に微小の流路が設けられていることを特徴とする分析用チップであるが、プラスチック製はおろかガラス製に関しても現時点では多くの欠点がありいまだ研究段階である。プラスチック製のマイクロフルイデックスにおいて、特に問題なのは、微細流路を加工したプラスチック板の上に別のプラスチックの板を貼り付けて微細流路に蓋をする必要があるのだが、その張り合わせ方法で安価・簡便・確実な方式がいまだ見つかっていないことがその実用化を妨げている大きな要因のひとつであると思われる。
プラスチック製バイオチップもしくはマイクロ分析チップにおける張り合わせ工程では、接着剤を用いるか、加熱や超音波やレーザーにより熱圧着するなどの方式で、主に張り合わせが行われている(特許文献1参照)。ところが、接着剤の使用は、基板の間より余剰分が出やすく、マイクロチャネルの封鎖や内壁の汚染が生じやすい。加熱による融着は、後述する過熱による生理活性物質の失活問題発生しやすい。超音波による熱溶着は、数ミリメートル角の面の接合は可能であるが、数センチ角の面の熱溶着には不向きであり、溶着不足が生じやすい。レーザー照射では、照射面ならともかく、2枚のプラスチックの張り合わせ面などプラスチックの中心部のみの過熱は非常に困難であり、また装置のコストも非常に高額であるなどの問題がある。
さらにバイオチップやマイクロ分析チップにこだわらず、プラスチック製品の貼り付けについて見てみるならば、上記以外の接合方式として、接合させようと考えている部品の接合面の一部に突起をつけ、それを接合すべき別の面にはめ込んで、なおかつ超音波振動によりその部分を熱融着して接合させる方式の提案がある(特許文献2参照)。しかしこの方式が利用できるのは、あまり微細でない、比較的大きな成形品に対してのみであり、微細な構造を有するバイオチップやマイクロ分析チップについてはその方式は対象となっていない。
さらに、分析用のチップ、特にバイオチップへの応用を考える場合、検出用の部位に各種の物質、特に核酸、たんぱく質、抗体、糖鎖、糖タンパク、アプタマーをコーティングもしくは固定化する場合が多く、これらの生理活性物質は加熱に弱く化学的に失活する可能性があるため、高温にさらされる接合プロセスは、バイオチップ及びマイクロ分析チップの製造には不向きである。以上より、比較的低温で、接触面同士を完全に接着でき、プラスチック製バイオチップやマイクロ分析チップの張り合わせに使用できる技術は、いまだ見出されていない。プラスチック製バイオチップやマイクロ分析チップの実用化のために、低温接合技術はより重要になると考えられている。
特開2002−139419号公報 特開平5−16241号公報
本発明は、板状プラスチック部材を、比較的低温で、安価簡便に、かつ強固確実に接合させるためのプロセスを提供し、さらにはそれに接合されたプラスチック製バイオチップやマイクロ分析チップを提供することを目的とするものである。
本発明者らは、上記課題を達成すべく鋭意検討した結果、プラスチック部材の接合を想定される部位の一部に突起を設け、接合の際にそれを変形させるプロセスを経ることにより、比較的低温で、迅速に、十分な結合強度で張り合わせられることができることを見出した。またそれを利用して加工したプラスチック製バイオチップやプラスチック製マイクロ分析チップが実現可能であることを確認し、本発明に至った。
すなわち本発明は、
(1)2枚以上の板状プラスチック部材の接合方法であって、少なくとも1枚の板状プラススチック部材の接合面側に微細流路が形成されており、少なくとも1枚の板状プラススチック部材の接合面の微細流路の縁に平行かつ線状に、断面形状が矩形、台形または三角形の突起形状の部位が形成されており、更に少なくとも1枚の板状プラススチック部材の接合面の一部に接着剤の空気抜き用の溝が形成されている接合面の一部又は全部を接着剤によって接合し、かつ接合後に前記微細流路部分に300kPaの圧力の水を流しても接合部が破損しないことを特徴とするプラスチック部材の接合方法、
(2)前記接着剤を硬化させる方法が、紫外線硬化、熱硬化のいずれかの方法もしくはそれらの複合方法であることを特徴とする(1)記載のプラスチック部材の接合方法、
(3)前記接着剤の硬化による接合に加えて、レーザー照射、赤外線照射、スポットもしくは全体の加熱、超音波照射のいずれかもしくはそれらの複合を行うことにより、前記突起形状の部位の一部もしくは全部を溶融することにより接合することを特徴とする(1)又は(2)記載のプラスチック部材の接合方法、
(4)前記突起形状の部位の材質が他の部位の材質と異なることを特徴とする(1)〜(3)いずれか記載のプラスチック部材の接合方法、
)(1)〜()いずれか記載のプラスチック部材の接合方法で接合されたプラスチック製品、
)()記載のプラスチック製品から構成されるプラスチック製のバイオチップまたはマイクロ分析チップ、
)核酸チップ、プロテインチップ、抗体チップ、アプタマーチップ、及び糖タンパクチップから選ばれる少なくとも1つである()記載のプラスチック製のバイオチップ、
である、
微細流路を有するプラスチック製バイオチップやマイクロ分析チップを張り合わせる場合、加熱による樹脂の張り合わせを行うと、たんぱく質や抗体などは加熱によりその生理活性を失活するため、加熱を伴う接合処理は利用できなかったが、本発明の方法は従来方式と比較して、100℃以下の比較的低温で貼り付け処理が可能である。さらに接着剤による接着などの方式をとると、微細流路が接着剤により閉塞される可能性が高く精度良く接合することが困難であったが、本発明の方法を利用することでその問題もなくなり、特にプラスチック製バイオチップやマイクロ分析チップの製造技術として有効な技術である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本発明は、微細流路を有し、かつ2枚以上の板状のプラスチックを接合するプラスチック部材の接合方法において、接合面の一部又は全部を接着剤によって接合することを特徴とし、さらに接合面の一部に接合用の突起形状をあらかじめ設けておくことを特徴とし、さらに微細流路に設計外の閉塞が無くかつ微細流路に300kPaの圧力の水を流しても接合部がまったく破損しないことを特徴とする、接合方法ならびに、その方式で接合されたプラスチック製のバイオチップまたはマイクロ分析チップである。
本発明に使用されるプラスチックとは、たとえば高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、各種環状ポリオレフィン、ポリメチルメタクリレート、ポリノルボルネン、ポリフェニレンオキサイド、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリエステル、半硬化状態のフェノール樹脂、半硬化状態のエポキシ樹脂、その他各種の熱可塑性プラスチックの様に、融点とTgを有する高分子物質のことを示すが、その種類や重合度、融点やTgや弾性率などの物性に関して特に限定するものではない。
なお本発明は、主に2枚以上のプラスチック部材を接合させることを前提としたものであるが、部分的にはプラスチック同士のみならず、プラスチックと非プラスチックに関してもこの手法で接合が可能であると考えられる。なおここでいう非プラスチックとは、銅、アルミ、鉄、シリコン、ニッケルおよびその他の各種金属やその合金や、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニア等の金属酸化物やその混合物やそのガラス製物質や、炭化珪素、窒化ホウ素などの各種セラミックや、さらにはそれらを材料とした線状の配線や箔状の配線や各種センサ、さらにはその他紙、木など、プラスチックに該当しないものが対象である。あるいは完全硬化したフェノール樹脂や完全硬化したエポキシ樹脂もその範疇に入る。
本発明は、微細流路を有するプラスチック製のバイオチップまたはマイクロ分析チップを主な対象としているが、微細流路とは、流路の幅が500μm以下でかつ流路の深さが500μm以下であることが好ましく、水や有機溶剤等の液状物質を流すことを前提に形成された蓋をされた溝、すなわち流路を示す。微細流路の長さや全面に対する割合に関しては限定しない。また微細流路の内壁の表面粗さや表面エネルギーに関しても限定はしない。
本発明における接着剤は、対象となるプラスチックを良好に接合せしめるものであれば特に限定はしない。エポキシ系接着剤、アクリル系接着剤、ウレタン系接着剤などの接着剤の組成や、熱硬化性接着剤、紫外線硬化性接着剤、電子線硬化性接着剤などの硬化システムに関してもいっさい限定しない。さらには接着前の接着面の表面処理、例えばプラズマ処理、紫外線処理、コロナ放電処理、エキシマー処理、各種プライマー処理、例えばカップリング剤処理、等に関しても特に限定しない。ただし硬化システムに関しては、紫外線硬化系か熱硬化系の接着剤が好適に使用され、それに対応した硬化条件が選択される。また接着剤の塗布の方法に関しても特に限定しないが、バーコーター、スピンコーター、スプレーコーター、ロールコーター、グラビアコーター、ナイフコーター、その他の各種のコーティング装置の使用が可能である。微細流路に接着剤を詰めない方式についても、微細流路部のみをマスクで覆った後にコーティングする方法や、微細流路を加工しないプラスチック板(いわゆる蓋の部分)にのみ均一にコーティングする方法や、他の支持体に接着剤をコーティングした後に微細流路加工を施した構造体をそれに押し付けて必要な部分にのみに接着剤を転写させる方法などが挙げられるが、特に限定しない。
本発明で使用される、接合面の一部にあらかじめ設けられた接合用の突起形状の部位とは、接合面の表面から好ましくは200μm以下の高さで飛び出した、プラスチックを素材とした突起形状の部位を指す。ただし、あくまで接合目的の突起を指し、いわゆるマイクロピラー等の各種の機能を期待する突起形状とは別のものである。配置場所に関しても微細流路の中央ではなく流路の縁か、さらにはそこから少し離れた周辺にあり接着に対して何らかの機能を期待される位置関係であることが好ましい。
本発明における接合用突起において最も期待される機能としては、接着するために塗布される接着剤が微細流路に誤って流し込まれる事を防ぐ、いわゆるダムのような機能を発揮することにある。接合用突起の断面形状は矩形でも台形でも三角形でもよく、特に限定しない。突起物を上から見たときの全体の形状は、点(円、四角形、三角形、他)、線(直線、曲線、破線、一点鎖線、他)、面(円、四角形、三角形、他)、等があげられるが、特に限定しないが、線か面が望ましい。マイクロフルイデックスへの適用の場合、微細流路の近傍に平行かつ線状に、突起を配置することにより、突起部がシールの代わりとなり流路内を通る液体がもれにくくなり、最も望ましい。なお接合面の表面に微細流路が加工されたり複雑な凹凸形状があったりすることにより、全体として複雑な形状になっている場合、対象となる部分が突起なのか、それとも他の部分が凹んでいるだけなのかの判断がつきにくい場合がある。この場合は、接合対象面の過半数の面積を占める高さを標準とし、それより凸になっている部分を突起と判断することとする。
本発明における接合用突起部は、接合の際にある程度潰れることが好ましい。何らかの方法で突起部にのみ外部からエネルギーを与えることにより、突起のごく先端部もしくは全体が溶融もしくは溶解することで変形・接合し、その結果としてプラスチック接着力が向上する傾向にあるため、接合用突起がある程度潰れることは実用上は非常に望ましい。ただし突起部は変形しても、その他の部位、特に微細流路は加熱もされず大きな変形も無いことが必要である。突起部が潰れる度合いに関しては特に限定はしないが、もとの突起の高さを100%とした場合、接合完了時に変形した突起の高さが5〜100%になることが望ましい。なお突起部の材質は、他の部位の材質と異なっていても問題は無い。
本発明における接合は主には接着剤接合であるが、予備的に別の方式の接合を併用することに問題は無い。例としては、レーザー照射、外部加熱、超音波印加、振動印加、赤外線照射等もしくはそれら複数の併用による接合用突起の溶融とそれによる接合を併用することは、非常に有益である。特にレーザー印加、赤外線照射、スポット加熱、超音波照射は非常に好適に使用される。なお超音波の印加は、塗布された接着剤を均一厚みに広げる効果や、接着剤内部に内包された気泡成分を除去する機能が期待されるため、超音波の印加はきわめて有益である。
本発明で使用される、接合面の一部にあらかじめ設けられた空気抜き用の溝とは、微細流路以外の窪み形状であり、接着剤を塗布・接着する際に巻き込まれた空気を好適に排除することができる溝のことを示す。プラスチック板を接着するための接着剤は、比較的高い粘度を有する場合が多く、それゆえ気泡の巻き込みなどが生じやすいことから、気泡の巻き込みによる流路近傍の接着強度の不均一や審美性の低下などの問題を起こしやすい。接合面に気泡を除去するための空気抜きの溝を設けておくことで、これらの問題に対してかなりの改善が可能である。溝の深さや幅、形状など特には限定しないが、例えばより好適には、深さ200μm以下の溝であり、微細流路に交差せず、いわゆる格子状に配置されており、バイオチップ又はマイクロ分析チップの基板端までその溝がつながっている形状であることが望ましい。また溝は微細流路と同じく接着剤による閉塞は望ましくないが、微細流路の閉塞とは異なり溝の閉塞は致命的欠陥ではない。
本発明において、微細流路部分に設計外の閉塞が無く、かつ微細流路部分に300kPaの圧力の水を流しても接合部がまったく破損しないことが好ましい。バイオチップもしくはマイクロ分析チップにおいては、微細流路部分に液体や気体を流すが、それらの流体がチップの接合のときに設計した意図とは異なり接着剤による微細流路の閉塞がおきてはいけないことは当然であり、さらに微細流路部分から液体や気体成分が漏れたりしないように実用上十分にシールされている必要があるためである。プランジャポンプ等でバイオチップもしくはマイクロ化学チップの流路に300kPaの水を流し、微細流路部分に設計どおり水が通るか、また微細流路部分が破損して水が漏れないかを顕微鏡観察で観測することにより、確認できる。
本発明のプラスチック接合方法を利用すると、比較的低温のプロセスで、強固に、汚染なく、比較的大面積を接合でき、性能良好なプラスチック製バイオチップもしくはマイクロ分析チップを安価に製造できるという特徴がある。特にマイクロフルイデックス等の微細加工を施した製品に好適に使用できる。特にそのなかで核酸チップ、プロテインチップ、抗体チップ、アプタマーチップ、糖タンパクチップ等の生理活性物質をチップ表面又は内部に固定化している製品群が挙げられる。
以下に実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
(実施例1)
アクリル樹脂を素材にし、成形加工及び切削加工により、図1に示す成形品を得た。本成形品は、貫通孔1(直径1mm)、マイクロ流路2(長さ25mm、断面形状は矩形、深さ100μm、幅200μm)及び突起部3(材質は他の部分と同じくアクリル樹脂、高さ20μm、幅200μm、断面形状は矩形、マイクロ流路及び貫通孔より20μm離れた場所に設置)を有する。またアクリル樹脂を素材とし、図2に示す樹脂板を、成形加工により得た。図1の成形品の加工面Aの上に、紫外線硬化型接着剤のスリーボンド(株)製3042を一面に塗布する。ただし貫通孔1や、微細流路2には、マスキングテープをその形状にあらかじめ切り取ったものを貼り付けてマスキングをすることにより、接着剤が付着しないようにした。塗布厚みは20μmとし、接合用突起の上面と塗布された接着剤の上面の高さが同じになるようにスキージなどにより制御する。貫通孔と微細流路のマスキングテープを除去した後、図2の成形品をその上に乗せ、真空プレスを利用して真空雰囲気で加圧する。真空プレスから取り出した後に、紫外線硬化装置により接着剤を硬化させる。紫外線照射量は2000mJ/cm2であった。評価結果については表1に示した。
(実施例2)
実施例1と同様にしてアクリル樹脂を素材とする図1と図2の成形品の接合を行った。ただし真空プレスは使用せず以下に示すようにして作業した。図2の成形品をその上に乗せ、超音波ウェルダーのホーンを図2の成形品の上に乗せて10kg重の加重をかけた状態で、周波数20kHz、振幅10μm、振動方向は面に平行方向の超音波振動を1秒間かける事で接合した。なお20μmの高さの接合用の突起は、わずかに潰れて19μmの高さとなることが接合後の断面観察により観測された。その後、紫外線硬化装置により実施例1と同様の条件で接着剤を硬化させた。評価結果については表1に示した。
(実施例3)
実施例2と同様にしてアクリル樹脂を素材とする図3と図2の形状の成形品を接合した。図3の成形品は、貫通孔21(直径1mm)、マイクロ流路22(長さ25mm、断面形状は矩形、深さ100μm、幅200μm)、突起部23(材質は他の部分と同じくアクリル樹脂、高さ5μm、幅300μm、断面形状は矩形、マイクロ流路及び貫通孔より0μm離れた場所に設置、すなわち離さないで設置)、及び接着剤の空気抜き用の溝24(断面形状は矩形、深さ100μm、幅200μm)を有する。ただし接着剤の塗布厚みは5μmとし、超音波ウェルダー荷重は5kg重とし、超音波の印加時間は5秒とした。また5μmの高さの接合用の突起は、ほとんど潰れず5μmの高さのままであることが接合後の断面観察により観測された。その後、紫外線硬化装置により実施例1と同様の条件で接着剤を硬化させた。評価結果については表1に示した。
(比較例1)
アクリル樹脂を素材とし、図4に示す形状の成形品、成形加工と切削加工により得た。本成形品は、貫通孔31(直径1mm)、マイクロ流路32(長さ25mm、断面形状は矩形、深さ100μm、幅200μm)を有する。実施例1と同様にして図4と図2の成形品を接合する実験を行った。評価結果については表1に示した。
(比較例2)
アクリル樹脂を素材とし、図4に示す形状の成形品、成形加工と切削加工により得た。実施例3と同様にして図4と図2の成形品を接合する実験を行った。ただし接着剤としてはより高粘度の協立化学製の紫外線硬化型接着剤の8838を利用した。評価結果については表1に示した。
Figure 0004752364
評価方法
(1)接着剤層の観察
接合後の接着剤層を目視もしくは光学顕微鏡観察を行い、100μm径以上の径を有 する気泡の数を数えた。気泡の数が5個を超えたものを不適、超えないものを適すると 判断した。
(2)微細流路の強度実験
プランジャーポンプを利用し、微細流路部分を光学顕微鏡で観察しながら、水圧を3 00kPaに設定した状態で微細流路部分に水を流す。流路からの水の漏れや、流路の 閉塞が無いことを、観測により確認する。
実施例1、2に使用した微細加工成形品を示す平面及び断面の模式図である。 実施例1〜3、比較例1、2に使用した成形品を示す平面及び断面の模式図である。 実施例3に使用した微細加工成形品を示す平面及び断面の模式図である。 比較例1、2に使用した微細加工成形品を示す平面及び断面の模式図である。
符号の説明
1 貫通孔
2 マイクロ流路
3 突起部
21 貫通孔
22 マイクロ流路
23 突起部
24 接着剤の空気抜き用の溝
31 貫通孔
32 マイクロ流路

Claims (7)

  1. 2枚以上の板状プラスチック部材の接合方法であって、少なくとも1枚の板状プラススチック部材の接合面側に微細流路が形成されており、少なくとも1枚の板状プラススチック部材の接合面の微細流路の縁に平行かつ線状に、断面形状が矩形、台形または三角形の突起形状の部位が形成されており、更に少なくとも1枚の板状プラススチック部材の接合面の一部に接着剤の空気抜き用の溝が形成されている接合面の一部又は全部を接着剤によって接合し、かつ接合後に前記微細流路部分に300kPaの圧力の水を流しても接合部が破損しないことを特徴とするプラスチック部材の接合方法。
  2. 前記接着剤を硬化させる方法が、紫外線硬化、熱硬化のいずれかの方法もしくはそれらの複合方法であることを特徴とする請求項1記載のプラスチック部材の接合方法。
  3. 前記接着剤の硬化による接合に加えて、レーザー照射、赤外線照射、スポットもしくは全体の加熱、超音波照射のいずれかもしくはそれらの複合を行うことにより、前記突起形状の部位の一部もしくは全部を溶融することにより接合することを特徴とする請求項1又は2記載のプラスチック部材の接合方法。
  4. 前記突起形状の部位の材質が他の部位の材質と異なることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載のプラスチック部材の接合方法。
  5. 請求項1〜いずれか記載のプラスチック部材の接合方法で接合されたプラスチック製品。
  6. 請求項記載のプラスチック製品から構成されるプラスチック製のバイオチップまたはマイクロ分析チップ。
  7. 核酸チップ、プロテインチップ、抗体チップ、アプタマーチップ、及び糖タンパクチップから選ばれる少なくとも1つである請求項記載のプラスチック製のバイオチップ。
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