JP2017154349A - マイクロ流路チップの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】流体試料に対して異物が混入しにくいマイクロ流路チップを歩留りよく作製する技術を提供する。
【解決手段】射出成形用金型を用いて樹脂材料を成形することにより、流体を導入するための溝が一方の面に設けられた樹脂基板を作製する工程と、前記樹脂基板における前記溝が設けられている側の前記面に接合させる樹脂フィルムを準備する工程と、前記樹脂基板と前記樹脂フィルムとを接合する工程と、を有するマイクロ流路チップの製造方法であって、前記樹脂基板を作製する工程が、前記射出成形用金型に備わるゲートから射出した前記樹脂材料からなる構造体を分断するゲートカット工程と、前記ゲートカット工程において分断された前記構造体の分断面を加熱して溶融させる工程と、を含む。
【選択図】なし

Description

本発明は、マイクロ流路チップの製造方法に関する。
近年、半導体技術や微細加工技術を応用し、サンプルの分離システムや検出システムなどを小型のチップ上に集積したLab−on−a−chip(ラボ・オン・ア・チップ)に代表されるマイクロ流路チップについて、その製造効率を向上させることに着目した製造プロセスについて、種々の報告がなされている。
従来の代表的なマイクロ流路チップの製造プロセスにおいては、射出成形により作製した樹脂基板と、かかる樹脂基板に設けられた流路用溝を覆うフィルム状の基材とを準備した後、該樹脂基板において流路用溝が形成された側の面に対して上記基材を接合することが行われていた(特許文献1〜3等)。ここで、従来の代表的なマイクロ流路チップの製造プロセスでは、射出成形して得られた樹脂成形品をそのままの状態で樹脂基板として用いることが通常であった。
特開2011−215006号公報 特開2012−95583号公報 特開2012−100580号公報
しかし、従来の製造プロセスにより得られたマイクロ流路チップにおいては、当該チップに導入した流体試料中に異物が混入してしまうコンタミネーションの問題が生じる場合があった。そこで、本発明者らは、従来のマイクロ流路チップにおいて上述した問題が生じる要因について鋭意検討した結果、射出成形品のゲートカット時に生じる樹脂破片が、異物として流体試料に混入してしまっている可能性があることを見出した。
そこで、本発明は、流体試料に対して異物が混入しにくいマイクロ流路チップを歩留りよく作製する技術を提供する。
本発明によれば、射出成形用金型を用いて樹脂材料を成形することにより、流体を導入するための溝が一方の面に設けられた樹脂基板を作製する工程と、
前記樹脂基板における前記溝が設けられている側の前記面に接合させる樹脂フィルムを準備する工程と、
前記樹脂基板と前記樹脂フィルムとを接合する工程と、
を有するマイクロ流路チップの製造方法であって、
前記樹脂基板を作製する工程が、
前記射出成形用金型に備わるゲートから射出した前記樹脂材料からなる構造体を分断するゲートカット工程と、
前記ゲートカット工程において分断された前記構造体の分断面を加熱して溶融させる工程と、
を含む、マイクロ流路チップの製造方法が提供される。
本発明によれば、流体試料に対して異物が混入しにくいマイクロ流路チップを歩留りよく作製する技術を提供できる。
本実施形態に係るマイクロ流路チップの製造方法により得られるマイクロ流路チップを、流体の流動方向に向かって垂直な方向から見た図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
まず、本実施形態に係るマイクロ流路チップの製造方法により得られるマイクロ流路チップの構成について、図1を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係るマイクロ流路チップ100を、流体の流動方向に対して垂直な方向から見た図である。なお、図1に示すマイクロ流路チップ100は、2種の流体試料を送液するための溝として2つの流路(第1の流路20および第2の流路40)を備えたものである。ただし、本実施形態に係るマイクロ流路チップ100は、1種の流体を送液可能なものとすべく1の流路を備えたものであってもよいし、2種以上の流体を送液可能なものとすべく2以上の流路を備えたものであってもよい。
図1に示すように、本実施形態に係るマイクロ流路チップ100は、樹脂組成物により形成され、かつ一方の面に、2種以上の流体をそれぞれ送液するための溝として、複数の流路(第1の流路20および第2の流路40)が設けられた樹脂基板60と、樹脂基板60における溝が設けられている側の面に接合された樹脂フィルム(図示せず)と、を備えたものである。具体的には、本実施形態に係るマイクロ流路チップ100における上記複数の流路は、樹脂基板60に設けられた各溝の表面を上記樹脂フィルムで覆われた状態となっている。そして、かかるマイクロ流路チップ100は、樹脂基板60に設けられた複数の流路が、1の流体を送液するための第1の流路20と、上記1の流体とは異なる他の流体を送液するための第2の流路40とを含む。
また、本実施形態に係るマイクロ流路チップ100における樹脂基板60に設けられた各流路(第1の流路20および第2の流路40)の最上流部には、流体試料を供給するための供給孔10および30が設けられている。さらに、かかる樹脂基板60に設けられた各流路(第1の流路20および第2の流路40)の最下流部には、流体試料を回収するための排出孔70が設けられている。そして、本実施形態に係るマイクロ流路チップ100においては、第1の流路20と第2の流路40とが、第1の流路20および第2の流路40のそれぞれに設けられている供給孔10および30よりも下流側の位置において、互いに連通する交差部50を形成している。
ここで、上記樹脂基板60の平面形状は、分析手法や分析装置に適した形状であれば、どのような形状であってもよいが、たとえば、正方形状、矩形状、円形状などの形状とすることができる。また、その大きさは、ハンドリング性や分析容易性の観点から、好ましくは、10mm×10mm以上200mm×200mm以下であり、より好ましくは、10mm×10mm以上100mm×100mm以下である。
そして、樹脂基板60の表面に形成されている溝(流路)の断面形状は、どのような形状であってもよいが、流体を効率よく送液する観点から、半円形状であることが好ましい。
樹脂基板60の表面に形成されている溝(流路)の幅は、たとえば、1μm以上1mm以下であり、5μm以上800μm以下であることが好ましく、5μm以上500μm以下であるとさらに好ましい。
また、樹脂基板60の表面に形成されている溝(流路)の深さは、たとえば、1μm以上1mm以下であり、5μm以上800μm以下であることが好ましく、5μm以上500μm以下であるとさらに好ましい。
また、本実施形態に係るマイクロ流路チップ100において、樹脂基板60に設けられた複数の流路(第1の流路20および第2の流路40)の表面、すなわち、樹脂基板に設けられた溝を覆うように配された樹脂フィルムにおける、流体試料と接触する側の面の、水に対する接触角は、好ましくは、20°以上60°以下であり、さらに好ましくは、25°以上50°以下である。こうすることで、流路内に気泡が残留してしまうことや、流体が接触する流路表面の構成部材の親水性(濡れ性)により、流体と上記流路表面の構成部材との間に発生する表面張力が増大することを効果的に抑制することができる。そのため、結果として、スムーズな流体試料の送液が可能になる。
また、本実施形態に係るマイクロ流路チップ100は、流体試料の処理又は分析に用いられる。ここで流体試料としては、液体等の流体であれば特に限定されないが、たとえば汗、血液、浸出液、間質液、尿、組織抽出液、液状試薬等が挙げられる。また、流体試料の処理としては、たとえば流体試料内の特定物質の検出、定量や、流体試料の分離、混合等が挙げられる。
また、本実施形態に係るマイクロ流路チップ100は、具体的には、微細な流路、反応層、電気誘導カラム、膜分離機構などの構造が形成された構造体である。具体的には、マイクロ流路チップ100としては、化学、生化学等に広く利用される微細反応デバイス(マイクロリアクター);集積型DNA分析デバイス、微小電気泳動デバイス、微小クロマトグラフィーデバイス等の微小分析デバイス;質量スペクトルや液体クロマトグラフィーなどの分析試料調整用微小デバイス;抽出、膜分離、透析などの物理化学的処理デバイス等が挙げられる。
本実施形態に係るマイクロ流路チップ100を用いる利点としては、(1)化学反応や抗原抗体反応で使用するサンプルや試薬の使用量、排気量を低減できること、(2)プロセスに必要な動力の低減ができること、(3)流路の体積流量が向上することにより、熱移動・物質移動の高速化が実現でき、その結果、反応や分離の精密な制御、高速・高効率化、副反応の抑制ができること、(4)同一基板上で多くのサンプルを同時に取り扱うことができること、(5)サンプリングから検出までを同一基板上で実施できること、(6)省スペースで持ち運び可能な安価な分析システムが実現できること等が挙げられる。本実施形態に係るマイクロ流路チップ100は、これらの利点を更に増強すべく、より微細な構造を形成してもよい。一方、流体の流れや動きは流路構造に強く依存することから、所望の微細構造を高い精度で形成することが重要となっている。
くわえて、本実施形態にかかるマイクロ流路チップ100には、流体試料の送液特性を向上させたり、分析に用いる流体試料の反応特性などを向上させる観点から、膜、バルブ、センサー、モーター、ミキサー、ギア、クラッチ、マイクロレンズ、電気回路等を装備させたり、複数本のマイクロチャネルを同一基板上に加工することにより複合化して用いてもよい。
本実施形態に係るマイクロ流路チップの製造方法は、上述した構成を備えたマイクロ流路チップ100を作製するものであり、射出成形用金型を用いて樹脂材料を成形することにより、流体を導入するための溝が一方の面に設けられた樹脂基板60を作製する工程と、樹脂基板60における上記溝が設けられている側の面に接合させる樹脂フィルムを準備する工程と、樹脂基板60と樹脂フィルムとを接合する工程と、を有する。そして、上述した樹脂基板60を作製する工程が、射出成形用金型に備わるゲートから射出した樹脂材料からなる構造体を分断するゲートカット工程と、上記ゲートカット工程において分断された構造体の分断面を加熱して溶融させる工程と、を含んでいる。こうすることで、当該マイクロ流路チップ100の使用時に、マイクロ流路チップ100に導入する流体試料中に異物が混入しにくい構成を実現することができる。なお、本実施形態に係るマイクロ流路チップ100に導入する流体試料の主となる推進力は、重力に起因した応力である。
従来の製造プロセスにおいても、たとえば、特許文献2および3のように、ゲートカット工程において分断された構造体の分断面における樹脂残りに着目した技術はある。しかし、このような技術においても、ゲートカット時に生じる上記樹脂残りが樹脂破片(異物)として流体に混入する問題を抑制することは困難であった。なお、従来の製造プロセスでは、上記背景技術の項で述べたように、射出成形して得られた樹脂成形品をそのままの状態で樹脂基板として用いることが通常であった。以上を踏まえ、本発明者らは、従来のマイクロ流路チップにおいて、上述した問題が生じる要因について鋭意検討した結果、ゲートカット時に生じる樹脂残りの形状は、実際には、特許文献2および3等に図示されているような滑らかな形状ではなく、バリのように不均一な突起形状となっていることを知見した。また、本発明者らは、従来のマイクロ流路チップにおいては、当該チップに対して加わる微妙な衝撃や応力によりゲートカット時に生じる樹脂残りの一部が、かかるチップから剥離し、異物として流体試料中に混入してしまっている可能性があることを見出した。
そこで、本発明者は、従来のマイクロ流路チップを使用する際に混入する異物、すなわち、ゲートカット時に生じる樹脂残り自体を取り除くことができれば、上述した異物混入の問題が生じることを抑制できると考え、本実施形態に係るマイクロ流路チップの製造方法(以下、本製造方法とも示す。)を見出した。
以下、本製造方法における各工程について、詳細に説明する。
まず、本製造方法においては、射出成形用金型を用いて樹脂材料を成形することにより、流体を導入するための溝が一方の面に設けられた樹脂基板60を作製する。具体的には、本製造方法においては、射出成形用金型に備わるゲートから、準備した樹脂材料からなる構造体を射出する。次いで、該構造体を射出成形用金型に備わるゲート部にて分断する(ゲートカット工程)。具体的には、射出成形用金型に備わるゲート部において、該構造体をランナーから切り離す。
次に、上記ゲートカット工程において分断された構造体の分断面を加熱して溶融させる。こうすることで、ゲートカット時に生じる樹脂残りを溶融させて消失させることができるため、マイクロ流路チップ100の使用時に流体試料中に異物が混入する可能性を大幅に低減することができる。
上述したゲートカット工程において使用する射出成形用金型は、射出成形品自体を加工することなく樹脂基板60として使用するために、該樹脂基板60に設ける溝に対応する箇所に凸部加工が施されたものであってもよいし、かかる凸部加工が施されていないものであってもよい。ただし、凸部加工が施されていない射出成形用金型を用いる場合には、射出成形品に対して切削加工などの加工処理を施して、第1の流路20および第2の流路40を形成する。
また、上述した樹脂基板60を作製する工程において、ゲートから樹脂材料を射出する際の射出圧力は、流体試料を流動させる溝の形状を制御する観点から、好ましくは、20MPa以上120MPa以下であり、さらに好ましくは、30MPa以上100MPa以下である。
次に、上述したゲートカット工程により得られた樹脂構造体における分断面を加熱して溶融させる。こうすることで、溶融させてから固化した状態における該分断面の表面形状を滑らかなものとすることが可能となる。具体的には、得られた樹脂構造体に残存する樹脂残り量を低減して、異物混入の問題が生じることを抑制する観点から、溶融させた後に、固化した状態における上記分断面の算術平均粗さRaが、3.5μm以下となるように該分断面を加熱して溶融させることが好ましく、3.0μm以下となるように該分断面を加熱して溶融させるとさらに好ましい。
なお、算術平均粗さ(Ra)は、JIS−B0601−1994に準じて測定することができる。
また、上述した樹脂構造体の分断面の加熱温度は、ゲートカット時に生じる樹脂残りを確実に溶融し、かつ射出成形品における該樹脂残り以外の箇所を溶融してしまうことを抑制する観点から、好ましくは、樹脂基板60を構成するために用いる樹脂材料のガラス転移温度よりも10℃以上50℃以下高い温度であり、さらに好ましくは、樹脂材料のガラス転移温度よりも15℃以上45℃以下高い温度であり、最も好ましくは、樹脂材料のガラス転移温度よりも20℃以上40℃以下高い温度である。
ここで、樹脂基板60を作製するために用いる樹脂材料のガラス転移温度は、樹脂基板60の成形性を向上させる観点から、好ましくは、80℃以上160℃以下であり、さらに好ましくは、90℃以上140℃以下である。
本実施形態に係る樹脂基板60は、上述したように樹脂材料により形成されている。かかる樹脂材料の具体例としては、熱可塑性樹脂を含むものが挙げられる。かかる熱可塑性樹脂としては、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、各種環状ポリオレフィン、ポリメチルメタアクリレート、ポリノルボルネン、ポリフェニレンオキサイド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリメチルペンテン、シクロオレフィンコポリマー、シクロオレフィンポリマー、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、テトラフルオロエチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル等が挙げられる。中でも、ポリカーボネート、ポリメチルペンテン、ポリスチレン、ポリメチルメタアクリレート、シクロオレフィンコポリマーやシクロオレフィンポリマー等のポリオレフィンおよびポリエチレンテレフタレート等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
中でも、本実施形態に係る樹脂基板60を形成するために用いる樹脂材料としては、樹脂基板60の成形性や耐薬液性を向上させる観点から、上記熱可塑性樹脂として、ポリカーボネート、ポリメチルペンテン、ポリスチレン、ポリメチルメタアクリレート、シクロオレフィンポリマーおよびシクロオレフィンコポリマー等のポリオレフィンおよびポリエチレンテレフタレートからなる群より選択されるいずれか1種以上を含むものが好ましく、上記成形性と上記耐薬液性とをバランスよく両立する観点から、上記熱可塑性樹脂として、シクロオレフィンポリマーおよびシクロオレフィンコポリマー等のポリオレフィンを含むものが特に好ましい。また、上述した樹脂組成物は、必要に応じて、本発明の目的を損なわない範囲であれば、顔料、染料、酸化防止剤、難燃剤等の添加物をさらに含んでいてもよい。
次に、本製造方法においては、上述した手法で作製した樹脂基板60における溝(第1の流路20および第2の流路40)が設けられている側の面に対して、予め準備した樹脂フィルムを接合させる。樹脂フィルムの接合手法としては、接着剤を用いる手法、熱圧着法、超音波接合法等が挙げられるが、流路の形状安定性を保持する観点から、熱圧着法が好ましい。
また、樹脂フィルムと樹脂基板60との接合温度は、樹脂基板60における溝の形状が変形してしまうことを抑制する観点から、好ましくは、樹脂基板60を構成するために用いる樹脂材料のガラス転移温度よりも10℃以上50℃以下高い温度であり、さらに好ましくは、樹脂材料のガラス転移温度よりも15℃以上45℃以下高い温度であり、最も好ましくは、樹脂材料のガラス転移温度よりも20℃以上40℃以下高い温度である。
本実施形態に係る樹脂フィルムは、当該樹脂フィルムと樹脂基板60との密着性を良好なものとする観点から、上記樹脂基板60を形成する樹脂組成物と同じ材料で形成したものであることが好ましい。そのため、樹脂フィルムを形成する材料としては、熱可塑性樹脂を含むものが挙げられる。かかる熱可塑性樹脂としては、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、各種環状ポリオレフィン、ポリメチルメタアクリレート、ポリノルボルネン、ポリフェニレンオキサイド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリメチルペンテン、シクロオレフィンコポリマー、シクロオレフィンポリマー、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、テトラフルオロエチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル等が挙げられる。中でも、ポリカーボネート、ポリメチルペンテン、ポリスチレン、ポリメチルメタアクリレート、シクロオレフィンコポリマーやシクロオレフィンポリマー等のポリオレフィンおよびポリエチレンテレフタレート等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。中でも、本実施形態に係る樹脂フィルムを形成する材料としては、マイクロ流路チップ100の成形性や耐薬液性を向上させる観点から、上記熱可塑性樹脂として、ポリカーボネート、ポリメチルペンテン、ポリスチレン、ポリメチルメタアクリレート、シクロオレフィンポリマーおよびシクロオレフィンコポリマー等のポリオレフィンおよびポリエチレンテレフタレートからなる群より選択されるいずれか1種以上を含むものが好ましく、上記成形性と上記耐薬液性とをバランスよく両立する観点から、上記熱可塑性樹脂として、シクロオレフィンポリマーおよびシクロオレフィンコポリマー等のポリオレフィンを含むものが特に好ましい。また、上述した樹脂組成物は、必要に応じて、本発明の目的を損なわない範囲であれば、顔料、染料、酸化防止剤、難燃剤等の添加物をさらに含んでいてもよい。
また、樹脂フィルムの厚さは、好ましくは、0.01mm以上1mm以下であり、さらに好ましくは、0.02mm以上0.8mm以下である。樹脂フィルムの厚さを上記上限値以下とすることで、光透過性や熱伝導性を良好なものに保持することができる。一方、樹脂フィルムの厚さを上記下限値以上とすることで、本マイクロ流路チップ100に分流体試料を供給した際に、かかる流体試料中に含まれる成分による影響で当該樹脂フィルムが腐食されることを抑制することができる。また、樹脂基板60に対して樹脂フィルムを貼り合わせる際に、当該樹脂フィルムにシワが発生することを抑制し、流路を十分に密閉することが可能となる。
ここで、本実施形態にかかるマイクロ流路デバイス100に備わる樹脂基板60に設けられた溝を覆う樹脂フィルムにおいて、流体試料と接触する側の表面は、親水化処理や表面処置官能基の形成処理等の表面処理が施されていることが好ましい。こうすることで、流体試料が接触する流路表面の構成部材の親水性が向上するため、流体試料と上記流路表面の構成部材との間に発生する表面張力が増大することを効果的に抑制することができる。そのため、結果として、スムーズな流体試料の送液が可能になる。このような観点から、本製造方法においては、樹脂基板60に対して樹脂フィルムを接合した後、樹脂基板60における溝を覆う樹脂フィルムに対して、含酸素官能基を導入するために、プラズマ処理、コロナ放電処理、エキシマレーザー処理、フレーム処理または親水性ポリマーによる表面コート処理を行うことが好ましい。中でも、安定的な送液を実現する観点から、プラズマ処理、コロナ放電処理、または親水性ポリマーによる表面コート処理が好ましい。また、上述した含酸素官能基としては、アルデヒド基やケトン基などのカルボニル基、カルボキシル基、水酸基、エーテル基、パーオキサイト基、エポキシ基などの極性を有した官能基群が挙げられる。
本製造方法においては、上述した方法により所望のマイクロ流路チップを作製することができる。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
以下、本発明を実施例および比較例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[実施例1]
<マイクロ流路用溝付き基板の作製>
ポリオレフィン樹脂(日本ゼオン社製、ガラス転移温度:138℃)を樹脂材料として用い、金型温度60℃、溶融樹脂温度220℃、射出速度100mm/sec、射出圧力700bar(約70MPa)の製造条件で射出成形することにより元基板を射出成形品として作製した。ここで、上記射出成形品をランナーから切り離す際には、ニッパーを用いて、射出成形用金型に備わるゲート部にて分断した。次いで、得られた射出成形品におけるニッパーにより切断された分断面に対して、外部ヒーターを用いて170℃の熱を10秒間印加し、かかる分断面を構成する樹脂材料を溶融させた。なお、加熱後の射出成形品における分断面については、JIS−B0601−1994に準じてレーザー顕微鏡を用いて測定した算術平均粗さRaが3.0μmとなっていることを確認した。
その後、射出成形品である元基板の表面を切削加工により加工することでマイクロ流路用溝付き基板を得た。得られた基板に設けられた流路(溝)の深さは、いずれも、50μmであった。
<マイクロ流路チップの作製>
上述した方法により得られたマイクロ流路用溝付き基板において流路溝が設けられている側の面に対し、ポリオレフィン樹脂(日本ゼオン社製)を射出成形して得られた樹脂フィルムを積層し、ヒーターを用いて170℃の温度で加熱圧着して接合することにより、図1に示す構造の実施例1に係るマイクロ流路チップを120個作製した。
[比較例1]
得られた射出成形品におけるニッパーにより切断された分断面に対して、熱を印加しなかった点以外は、実施例1と同様の方法で、比較例1に係るマイクロ流路チップを120個作製した。
実施例1及び比較例1で得られたマイクロ流路チップを用いて、以下の評価を行った。結果を表1に示す。
<評価項目>
・流体試料に対する異物混入頻度:実施例1及び比較例1で得られた各120個のマイクロ流路チップそれぞれに対して、2つの供給孔から50μLずつ合計100μLの水を流体試料として導入して、50倍の実体顕微鏡で流路部を観察し、流路内に異物が観察されるかどうかを確認した。一つでも確認された場合は、「異物が混入」と評価した。その結果を、下記表1に示す。
Figure 2017154349
上記表1に示す通り、実施例1のマイクロ流路チップは、比較例1のマイクロ流路チップと比べて、流体試料に対して異物が混入しにくいものであった。
10 供給孔
20 第1の流路
30 供給孔
40 第2の流路
50 交差部
60 樹脂基板
70 排出孔
100 マイクロ流路チップ

Claims (6)

  1. 射出成形用金型を用いて樹脂材料を成形することにより、流体を導入するための溝が一方の面に設けられた樹脂基板を作製する工程と、
    前記樹脂基板における前記溝が設けられている側の前記面に接合させる樹脂フィルムを準備する工程と、
    前記樹脂基板と前記樹脂フィルムとを接合する工程と、
    を有するマイクロ流路チップの製造方法であって、
    前記樹脂基板を作製する工程が、
    前記射出成形用金型に備わるゲートから射出した前記樹脂材料からなる構造体を分断するゲートカット工程と、
    前記ゲートカット工程において分断された前記構造体の分断面を加熱して溶融させる工程と、
    を含む、マイクロ流路チップの製造方法。
  2. 分断面を加熱して溶融させる前記工程の後、固化した状態における前記分断面の算術平均粗さRaが、3.5μm以下となるように、前記溶融させる工程において前記構造体の分断面を加熱して溶融させる、請求項1に記載のマイクロ流路チップの製造方法。
  3. 前記樹脂材料が熱可塑性樹脂を含む、請求項1または2に記載のマイクロ流路チップの製造方法。
  4. 前記熱可塑性樹脂が、ポリカーボネート、ポリメチルペンテン、ポリスチレン、ポリメチルメタアクリレート、ポリオレフィンおよびポリエチレンテレフタレートからなる群より選択されるいずれか1種以上を含む、請求項3に記載のマイクロ流路チップの製造方法。
  5. 前記樹脂基板を作製する工程において、前記ゲートから前記樹脂材料を射出する際の射出圧力が20MPa以上120MPa以下である、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のマイクロ流路チップの製造方法。
  6. 前記溶融させる工程における前記構造体の前記分断面の加熱温度が、前記樹脂材料のガラス転移温度よりも10℃以上50℃以下高い温度である、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のマイクロ流路チップの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2023163225A1 (ja) * 2022-02-28 2023-08-31 藤森工業株式会社 液体試料分析用マイクロチップおよびその製造方法
CN117067466A (zh) * 2023-10-12 2023-11-17 微纳动力(北京)科技有限责任公司 一种光电微流控装置制作方法及装置

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