JP2008303652A - 戸閉具 - Google Patents
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Abstract
【課題】種々の収納家具,キャビネット又は部屋の間仕切りにおける引戸を戸閉側端部側に減速させつつ強制的に引き寄せる戸閉具であって、その戸閉の勢いが強すぎるときに、引戸の動作を一旦停止(急停止)させてから再度減速状態で戸閉動作を再開することができる戸閉具を提供すること。
【解決手段】フック1がケーシング9後方位置に減速されつつ移動するように付勢されると共に、該フック1は前記ケーシングの前方位置で係止可能とした戸閉具において、揺動自由端が上方移動するレバー部材6の下方に、略水平状のガイド部7が配置されること。前記ケーシング9の急加速時には、前記ガイド部7に沿って相対移動する転動体8によって、前記レバー部材6は移動行程の略中間位置にあるフック1と当接すること。
【選択図】図1
【解決手段】フック1がケーシング9後方位置に減速されつつ移動するように付勢されると共に、該フック1は前記ケーシングの前方位置で係止可能とした戸閉具において、揺動自由端が上方移動するレバー部材6の下方に、略水平状のガイド部7が配置されること。前記ケーシング9の急加速時には、前記ガイド部7に沿って相対移動する転動体8によって、前記レバー部材6は移動行程の略中間位置にあるフック1と当接すること。
【選択図】図1
Description
本発明は、食器棚,本棚,陳列棚等の種々の収納家具,キャビネット又は部屋の間仕切りにおける引戸を戸閉側端部側に減速させつつ強制的に引き寄せる戸閉具であって、その戸閉の勢いが強すぎるときには、引戸の動作を一旦停止(急停止)させてから再度減速状態で戸閉動作を再開することができる戸閉具に関する。
従来、特許文献1等に見られるような引戸装置が存在している。そして食器棚,本棚,陳列棚等の種々の収納家具には、ガラス窓を備えた引戸が装着されることが多い。この引戸は、小さい間口の収納家具であれば間口箇所の上下にガイドレールが形成され、ガラス板の上下端部がそのガイドレールに挿入された極めて簡単な構造のものでよい。しかし、高級な家具や高級なキャビネットでは、引戸の開き及び閉めの動作にも重厚且つ上品であることが要求される。特に、大型の家具又は部屋の仕切りとして使用される引戸は、特に大型となり、それゆえに、引戸自体の重量も極めて大きくなる。また、扉レール(ガイドレール)及び戸車(ガイドローラ,ハンガーローラ等)の性能が向上し、引戸自体の移動は極めて円滑に行われるようになっている。
特開2002−138739
このような大型(或いは小型)の引戸は、戸車,扉レール等の性能が向上することによって、その引戸の移動は、極めて滑らかであり、引戸が一旦,移動し始めると慣性により、引戸は移動を継続しようとする。さらに、引戸の初動の勢いが強ければ、キャビネットの枠や、間仕切り枠に対して大きな衝撃を有して衝突状態で当接するおそれがある。そこで、引戸が戸閉動作の最終段階に達したときに、引戸の移動速度を減速させつつ、滑らかに戸閉が完了するようにしたドアクローザが引戸や枠に装着されることが多い。
ところが、人が滑りの良い引戸であることを認識することなく、引戸が滑らかに動くにもかかわらず、その引戸は重量が有りそうだと勝手に思い込んで(判断して)しまい、その引戸に余計に力をこめて開けることがある。そうなると、引戸は予想以上に勢いを付けて移動することになり、戸閉動作では、引戸の勢いが強すぎて、前記ドアクローザの減速手段がその引戸の勢いに負けてしまい、引戸の移動速度を安全な状態まで十分に減速させることができず、或いは減速能力の効き目を発揮することができず、引戸が戸閉終端部の枠等に衝突又は激突してしまうことになる。
このときに、もしも人が戸閉の終端枠に手,足などおいておくと、指を枠と引戸との間に挟んでしまうことがあり、引戸に勢いがあるため前述した引戸のドアクローザが装着されていても、その引戸の勢いが止められず、よって引戸の移動速度が落ちることなく、人の手足に大怪我をするおそれが十分にある。さらに、引戸と家具又は間仕切り枠等に衝撃がかかることになり、早期に破損してしまうことも十分にあり得る。そこで、本発明が解決しようとする課題(技術的課題又は目的等)は、人が引戸の戸閉における初動で強い勢い(引戸に急激に急加速がかかる状態)で戸閉動作を行った場合、引戸の緩衝装置が該引戸を十分に安全な速度まで減速させることができず、そのために、引戸が終端部に勢いを持って衝突し、最悪の場合に人の手の指等を挟んで怪我をさせることを防止することにある。
そこで、発明者は、上記課題を解決すべく、鋭意,研究を重ねた結果、請求項1の発明を、フックがケーシング後方位置に減速されつつ移動するように付勢されると共に、該フックは前記ケーシングの前方位置で係止可能とした戸閉具において、揺動自由端が上方移動するレバー部材の下方に略水平状のガイド部が配置され、前記ケーシングの急加速時には、前記ガイド部に沿って相対移動する転動体によって、前記レバー部材は移動行程の略中間位置にあるフックと当接してなる戸閉具としたことにより、上記課題を解決した。
請求項2の発明を、フックをケーシング後方位置に移動させる弾性部材と、該弾性部材の弾性力を減少させる緩衝部材とからなり、前記フックは、前記ケーシングの前方位置で係止可能とした戸閉具において、当接部を有すると共に該当接部が上下方向に移動するように揺動動作するレバー部材と、該レバー部材の下方に位置する略水平状のガイド部と、該傾斜ガイド部上に沿って相対移動する転動体とからなり、前記ケーシングの急加速時には、前記ガイド部に沿って相対移動する転動体によって、移動行程の略中間位置にあるフックと当接してなる戸閉具としたことにより、上記課題を解決した。請求項3の発明を、前述の構成において、前記ガイド部は、前記レバー部材の揺動自由端側に向かうに従い上方に傾斜してなる戸閉具としたことにより、上記課題を解決した。
次に、請求項4の発明を、前述の構成において、前記フックは、フック部と、該フック部が揺動自在に装着される摺動部とからなり、該摺動部がケーシング内にて前記レバー部材の当接部に当接可能としてなる戸閉具としたことにより、上記課題を解決した。請求項5の発明を、前述の構成において、前記レバー部材には、前記フックと当接する箇所に弾性受け部が具備されてなる戸閉具としたことにより、上記課題を解決した。請求項6の発明を、前述の構成において、前記傾斜ガイド部は傾斜角度を可変としてなる戸閉具としたことにより、上記課題を解決した。請求項7の発明を、前述の構成において、前記転動体は球体としてなることを特徴とする戸閉具としたことにより、上記課題を解決した。請求項8の発明を、前述の構成において、前記ケーシングの内部後方側には前記フック部材が水平面上を揺動且つ傾斜可能となると共に、傾斜されたフック部材を復帰させる復帰弾性部材が具備されてなる戸閉具としたことにより、上記課題を解決した。
請求項1の発明は、通常の引戸の戸閉動作では、戸閉完了の直前付近にて、引戸が減速されつつ移動して、緩やかな引戸の戸閉にすることができる。そして、引戸にあやまって勢いを付けすぎて、引戸に急加速が付いてしまったときには、ケーシング内部のレバー部材が転動体によって上方に移動し、前記フックはケーシング内の移動行程の略中央の位置で前記レバー部材に当接して、前記フックの移動が強制停止されることになる。これによって、ケーシングが装着された引戸は、戸閉方向の終端付近にて強制的に急停止され、引戸は引戸枠に衝突することがなく、引戸と枠との間に人の手や足の指を挟んでけがをすることを防止できるし、引戸自体にも、引戸枠との衝突がなく、衝撃による損傷を防止することができるものである。
したがって、引戸の開閉時のスライドが極めて滑らかで、勢いが付きやすい高価な引戸には特に好適なものといえる。また、普通の戸閉め動作では、引戸を勢いを付けないで静かに戸閉め方向に移動させる場合には、転動体は、回転動作することがなく、よってレバー部材は上方に移動することがないので、前記フックはケーシング内の移動行程で前記レバー部材に当接することなく、緩衝機構のみが作用して、着通常の減速による静粛な戸閉め動作にすることができる。請求項2の発明は、請求項1と略同等の効果を有する。
請求項3の発明では、前記ガイド部は、前記レバー部材の揺動自由端側に向かうに従い上方に傾斜しているので、転動体が元の位置に復帰しやすく、ケーシングが停止した後、即座に移動を再開することができる。請求項4の発明は、前記フックは、フック部と、該フック部が揺動自在に装着される摺動部とからなり、該摺動部がケーシング内にて前記レバー部材の当接部に当接可能としたことにより、レバー部材の上下動が確実で、円滑な動作を得ることができ、動作機構が極めて安定したものにできる。
請求項5の発明は、前記レバー部材には、前記フックと当接する箇所に弾性受け部が具備されたことにより、該弾性受け部によって、衝突の衝撃を緩和して、相互の機器における損傷を防止することができる。請求項6の発明は、前記傾斜ガイド部は傾斜角度を可変可能としたことで、傾斜角度を微調整することにより、転動体の初動作の回転が生じる衝撃の度合いを適宜に調整することができる。そしてこれによって、引戸の重量に応じた転動体の初動作を調整することができるものである。請求項7は、転動体を球体としたので、転動体が反応をし易くすることができ、特に開閉スライドの滑らかな引戸装置には好適である。
請求項8の発明によって、戸閉動作において、扉レールと扉の厚さ寸法との間の隙間が大きすぎて扉に厚さ方向におけるガタが生じて、フック部と固定ガイドとの係止が浅くなり、これに戸閉時の衝撃が強すぎた時などに、フック部と固定ガイドとの係止が外れてしまった場合に、そのフック部材を極めて簡単にケーシング前方に移動させ係止の状態に復帰させることができる。これは、前記引戸と共にケーシングを固定ガイド側に移動させて、該固定ガイドをフック部に押し付けるのみで、前記フック部は前記切除部箇所にて揺動可能となり、且つ前記フック部は復帰弾性部材によって押圧された状態のために、前記固定ガイドとフック部とを強制的に係止させることができる。そして、引戸を開き方向に移動させることによって、ケーシングが引戸と共に移動し、固定ガイドと係止したフック部材がケーシングの前方側に移動することになり、その前方側にてフック部を仮係止状態に復帰させることができるものである。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。本発明の戸閉具は、種々のタイプの引戸200に装着することができるものであって、主にケーシング9,戸閉機構部及び急停止機構部とから構成されている。まず戸閉機構部は、フック1 ,弾性部材2、無端可撓部材3、主案内輪41,従案内部42及び緩衝部材5等から構成される。また、前記引戸200を案内するガイドレール300側には、固定ガイド400が装着される(図15乃至図22参照)。
前記フック1は、図1(B),図2乃至図5等に示すように、摺動部材11とフック部材12とから構成され、前記摺動部材11に対して前記フック部材12が枢支連結され、前記フック部材12が水平面状を揺動することができるようになっている。前記摺動部材11には、図1(B),図3(A)に示すように、弾性部材2が連結され、該弾性部材2によって、前記ケーシング9の内部において、前方側から後方側に向かって、前記摺動部材11が移動するように弾性的に付勢されている。前記ケーシング9内には、図1(B),(C)に示すように、その前後方向両側箇所に亘って、無端可撓部材3が配置されている。
さらに、該無端可撓部材3の回転方向に対して抵抗力Tを発生する緩衝部材5が設けられている〔図1(A),(B)参照〕。前記摺動部材11は前記無端可撓部材3の一部に連結され、前記摺動部材11の移動と共に、前記無端可撓部材3も回転する。前記フック部材12は、図1(E),図6(A),(C)等に示すように、前記ケーシング9の前方側に位置するときのみ傾斜状態で係止状態が維持され、該係止状態が解除されると前記フック1(フック部材12及び摺動部材11)は、前記ケーシング9の後方側〔図1(A)乃至(E)の右側〕に前記弾性部材2によって弾性的に引っ張られて移動するものである。
前記摺動部材11は、図4(A)乃至(D)及び図5に示すように、主に摺動本体部111,フック支持部112,弾性部材連結部114及び被当接部115から構成されている。前記摺動本体部111は、略長方形の板形状に形成され、その上面部にフック支持部112が形成されている。該フック支持部112は貫通孔として形成されたもので、後述するフック部材12を水平面上に揺動自在となるように枢支連結する役目をなす部位である。また、前記摺動本体部111の幅方向の一端側には、摺動側弾性部材連結部114が形成されている。該摺動側弾性部材連結部114は、図3に示すように、弾性部材2を連結する役目をなす部位である。
さらに、前記摺動本体部111の下面側には、被当接部115が形成されている。該被当接部115は、前記摺動本体部111の下面側から略台形状の突起として形成されたものであって、その被当接部115の被当接面115aは、前記摺動本体部111に対して略直角状の面である。該被当接部115は、図13(C)に示すように、後述するレバー本体部61と当接する部位であって、該レバー本体部61と共にフック1の移動を一時的に急停止させる役目をなすものである。
さらに、前記摺動本体部111の幅方向の一端側で且つ前記摺動側弾性部材連結部114の下方の位置には、図4(C)に示すように、案内部116が形成されている。該案内部116は、溝形状であり、後述するケーシング9内に形成された案内凸条95に係合され、ケーシング9内において前後方向に適正且つ安定した状態で直線状に往復移動することができるようになっている。前記摺動部材11には、後述する無端可撓部材3の一部と連結固着する無端可撓部材連結部117が形成されている〔図2,図3(B)参照〕。該無端可撓部材連結部117は、前記無端可撓部材3をビス等の螺子部材によって連結固着するものである。
次に、フック部材12は、図1,図4(E)乃至(G)及び図5等に示すように、主に揺動本体部121,揺動支持部122,係合部123,ガイド突起部124とから構成される。前記揺動本体部121は適宜の厚さを有する板状材であり、該揺動本体部121に前記揺動支持部122,係合部123,ガイド突起部124が形成されることになる。前記揺動支持部122は、前記揺動本体部121の下面側に軸形状に形成されたものであり、前記摺動部材11の貫通孔として形成されたフック支持部112に挿入される〔図5(A)参照〕。これによって、前記摺動部材11と前記フック部材12とが連結され、該フック部材12は前記摺動部材11に対して水平面上を揺動自在な構成となる〔図4(H),図5(B)参照〕。
前記係合部123は、被係合片123aと被当接片123b及び凹部123cから構成され、前記被係合片123aは被当接片123bよりも延出方向において短く形成され、且つ前記被係合片123aは、前記ケーシング9にフック1が装着された状態で、ケーシング9の前方側寄りに形成されている〔図1(E),図6参照〕。すなわち、前記被係合片123aは、被当接片123bよりもその高さ方向の寸法が低く形成されている。また、前記被係合片123aと被当接片123bとは、略平行状態となるように突出形成されている。
また、被係合片123aと被当接片123bとの間には、略U字形状の凹部123cが形成されている。該凹部123cには、後述する固定ガイド400が出入自在に挿入するものである(図14,図17乃至図21参照)。さらに、前記係合部123には、斜面部123dが形成されている。該斜面部123dは、前記被係合片123aよりも前方側(ケーシング9の前方側寄り)に位置して形成されている。そして、前記斜面部123dは、前記被係合片123aの位置に向かうに従い外方に広がるような斜面である。該斜面部123dは、後述するように、固定ガイド400がフック部材12に当接するときに、固定ガイド400とフック部材12との接触摩擦を小さくし、抵抗を少なくするものである。しかし、固定ガイド400がフック部材12の被当接片123bに最初に当接する場合には、前記斜面部123dは形成されなくてもかまわない。
フック部材12は、後述するように固定ガイド400と係合するものであるが、その係合するときに、前記斜面部123dに固定ガイド400が当接する部位となる。該固定ガイド400が最初に斜面部123dに当接することで、固定ガイド400によってフック部材12は揺動し易くなる。前記ガイド突起部124は、図1(A),(B),図6等に示すように、後述するケーシング9内に形成されたフック案内溝98に挿入されて、前記フック部材12をケーシング9の長手方向に沿って安定した状態で往復移動させると共に、前記フック部材12の揺動動作を正確に行わせるように案内する役目をなす。
次に、ケーシング9は、2つに分割された2部材から構成されたものであって、第1ケーシング部9A及び第2ケーシング部9Bとから構成される〔図1(C),(E),図2(B)及び図6(A)参照〕。前記第1ケーシング部9Aと第2ケーシング部9Bとを組み合わせて、筐体が構成される。そのケーシング9の筐体内部に前記フック1(摺動部材11,フック部材12),弾性部材2,無端可撓部材3,主案内輪41,従案内部42及び緩衝部材5が装着されるものである。前記第1ケーシング部9Aは、皿形筐体状に形成され、筐体部91の頂部911には、導入部92が形成されている。該導入部92の構成は、図1(A),(D)及び図12に示すように、前記ケーシング9の前方正面側で且つその上部箇所に位置して導入口部922が形成され、さらに前記ケーシング9の上面の前方側からその後方側に亘って略長孔状に導入溝部921が形成される。前記導入口部922と導入溝部921は、連通している。
その導入部92の導入口部922から固定ガイド400の係止ピンが案内導入され、前記フック部材12に係止すると共に、該フック部材12によって、前記固定ガイド400は、前記導入溝部921に沿ってケーシング9の後方側に相対的に移動することができる (図15乃至図22参照)。また前記筐体部91の幅方向両側には、フランジ部93,93が形成され、引戸200への取付の役目をなす。ここで、前記ケーシング9の長手方向の前方とは、前記導入口部922が形成されている側であり、長手方向の後方側とは、該導入口部922が形成されている側とは反対側のことである。さらに、換言すると前記ケーシング9の長手方向の前方側とは、ケーシング9に対して、固定ガイド400が導入されて入り込む側のことであり、又は引戸200の戸閉終端側に面する部位である。
前記第2ケーシング部9Bは、板状本体部96にフック支持板部97が形成されている。該フック支持板部97にはフック案内溝98が形成されている。そして、前記第1ケーシング部9Aと第2ケーシング部9Bとを接合してケーシング9を構成することにより、前記第2ケーシング部9Bのフック支持板部97が前記第1ケーシング部9Aに入り込んで、該第1ケーシング部9Aの上方位置に配置され、ケーシング9の内部上方位置と頂部911との間に、前記フック部材12が収納されるフック収容室9cが形成される〔図1(A),(B)及び(E)及び図6参照〕。前記フック収容室9cには、前記フック1のフック部材12が収容される。前記フック案内溝98は、前記ケーシング9(第2ケーシング部9B)の前方から後方に亘って形成されたものであり、後述するフック部材12の係合部123がフック収容室9c(すなわち、ケーシング9内上方で且つ前記導入部92の略直下の位置)にて水平面上を揺動且つケーシング9の前後方向に往復移動することができる構成である。
前記フック案内溝98は、前述したように、前記フック部材12のガイド突起部124が挿入し、前記フック部材12が安定した状態でケーシング9の前後方向の往復移動及び揺動動作を案内する部位である。そのフック案内溝98は、図1(E),図6(A),(C),(D)等に示すように、直線スリット状に形成された直線摺動案内部981と、且つ前記フック部材12を揺動させる揺動案内部982とから構成されている。前記直線摺動案内部981は、前記フック部材12が前記フック収容室9cの前後方向を移動するときにフック部材12の移動を安定且つ適正な直線移動動作となるように支持する役目をなしている。また、前記揺動案内部982は、前記フック部材12が水平面上を揺動するときに安定した状態で揺動することができるように構成されている〔図6(C),(D)参照〕。
そして、前記フック部材12は、ガイド突起部124が前記揺動案内部982によって案内されることにより、そのフック部材12に装着された弾性部材2の弾性力に抗して前記ケーシング9の前方位置にて係止状態となる。この係止状態は、前記ケーシング9のフック案内溝98の前方側で、前記フック部材12が水平面上で傾斜した状態で留まるものである〔図6(C),図15及び図16参照〕。その係止状態では、前記フック部材12は、多少の振動等では動作しないように設定されている。
前記係合部123に固定ガイド400が係合して、係合部123がケーシング9の後方に移動する行程については、前記フック部材12の被当接片123bに固定ガイド400が当接して、フック部材12は揺動し、水平面上にて傾斜状態から起立状態〔図6(C),(D)参照〕となる。このとき、前記ガイド突起部124が前記揺動案内部982から直線摺動案内部981に移動する。このようにしてフック1は、係止状態が解除され、前記摺動部材11に連結された弾性部材2の弾性力にて、フック部材12は、ケーシング9の前方側から後方側に移動する。
前記第2ケーシング部9Bには、弾性部材ガイド部961が形成されている〔図1(B),図6(B)参照〕。また、該弾性部材ガイド部961は、前記板状本体部96に対して略直角に形成された壁板状で且つ略C字形状の路面が形成されるようにしたものである。該弾性部材ガイド部961には、前記弾性部材2のコイルスプリング状の弾性部21が略横倒し状としたU字形状に折り曲げられて収納される〔図1(B),図6(B)参照〕。そして、前記第2ケーシング部9Bの下方位置で、且つ前記弾性部材ガイド部961の終端箇所には、弾性部材連結部962が形成されている。特に、前記弾性部材ガイド部961において前記弾性部材2がカーブする部分は、円弧状或いはC字形状に形成されることにより、その弾性部21が前記カーブ箇所においても均一に伸縮可能となるように収納される。
次に、前記ケーシング9の内面側において、その前後方向両側箇所には主案内輪41と従案内部42とが配置され、前記主案内輪41と従案内部42に無端可撓部材3が巻掛けられている〔図1(B),図6(B)参照〕。該無端可撓部材3は、前述したように、前記摺動部材11の無端可撓部材連結部117にビス等の螺子部材によって連結固着される。そして、前記無端可撓部材3と摺動部材11は、前記ケーシング9の幅方向において並列配置されると共に、前記無端可撓部材3は摺動部材11の移動方向と略平行となるように掛け渡されている。また、前記無端可撓部材3は、前記弾性部材2とも並列するように配置される〔図1(B),図6(B)等参照〕。さらに、その主案内輪41は、緩衝部材5の軸部51に装着されている。前記主案内輪41と従案内部42は、具体的にはスプロケットが使用され、無端可撓部材3は、前記スプロケットとした主案内輪41及び従案内部42に噛み合うチェーンが使用されている。
そして、前記無端可撓部材3は、前記緩衝部材5の軸部51に装着された前記主案内輪41によって、前記弾性部材2に対する抵抗力Tを発生する〔図1(B)参照〕。前記従案内部42の別の実施形態としては、前記スプロケットとした無端可撓部材3が滑動可能な円弧状の案内面としてもかまわない。また、特に図示しないが、前記無端可撓部材3は、歯付きベルトが使用され、前記主案内輪41及び従案内部42は、歯付きベルトに対応する歯車状のベルト車が使用される実施形態も存在する。
前記緩衝部材5は、軸部51 が緩衝容器52に装着され、該緩衝容器52にフランジ53,53が形成された構造のものである。そのフランジ53,53を介して緩衝容器52がケーシング9(第1ケーシング部9A)に装着される。その緩衝容器52は、たとえば、内部にグリース等の高粘度の材質があり、軸部51に掻き混ぜ専用の板片が装着され、軸部51 によって伝達された外力に対する抵抗力Tを生じるというものである。本発明においては、前記軸部51に連結された主案内輪41を介して抵抗力Tを生じる機構となっている。しかし、この抵抗発生構造は、上記構造に限定されるものではなく、同様に抵抗力Tを発生するものであれば、どのような構造のものでも適用される。その緩衝部材5の抵抗力Tは、前記弾性部材2の弾性力Fを減少させる役目をなすものである。前記弾性部材2の弾性力Fは、緩衝部材5が発生する抵抗力Tよりも大きいことが条件であるが、その弾性力Fと抵抗力Tとの差は適宜に設定される。
前記緩衝部材5によって、前記主案内輪41を介して前記無端可撓部材3は、摺動部材11をケーシング9の後方側に移動させる弾性力Fに対する抵抗力Tを生じて、弾性力Fから抵抗力Tを差し引いた戸閉力Pにより、摺動部材11及びフック部材12をケーシング9の後方側に移動させるものである(図3,図6参照)。すなわち、引戸200を支持する引戸案内具は、F−T=Pによる力にて移動するものであり、また引戸200の初速Vnを、固定ガイド400がフック部材12と係止した状態から戸閉が完了するまでの戸閉力Pによる低速な速度Vmとすることができるものである(図24参照)。
前記摺動部材11は、前述したように、前記弾性部材2と、前記無端可撓部材3の一部とそれぞれ連結している。そして、前記フック1(摺動部材11とフック部材12)は、弾性部材2からの弾性力Fと、前記無端可撓部材3に間接的に連結される緩衝部材5からの抵抗力Tとの相反する力を受ける〔図3(A)参照〕。
次に、前記弾性部材2は、弾性部21の長手方向の両側に連結部22,22が形成される。前記弾性部21は、コイルスプリングであり連結部22,22は、先端に大径頭部が形成されたピン部材である。そして、前記弾性部材2の長手方向の一方の連結部22が第2ケーシング部9B側の弾性部材連結部962に連結され、またその他端の連結部22が摺動部材11の摺動側弾性部材連結部114に連結される〔図1(B),図6(B)参照〕。この弾性部材2は、前述したように、ケーシング9内において、前記フック1(摺動部材11とフック部材12)を常時,ケーシング9の後方側(前記導入部92側とは反対側)に向かうように弾性的に付勢している。
次に、急停止機構部について説明する。該急停止機構部は、図1(A),図7及び図13等に示すように、主にレバー部材6、ガイド部7及び転動体8とから構成される。そして、これらの急停止機構部の部材は、仕切りプレート9Cによって、前記ケーシング9内に装着された戸閉機構部の配置スペースと仕切られる構成となっている〔図1(A),図2,図13参照〕。前記レバー部材6は、図1(A),図7乃至図9等に示すように、レバー本体部61の長手方向一端側に揺動中心部62が形成されている。前記レバー本体部61は、略アーム形状に形成されたものである。前記レバー本体部61には、当接部63が形成されている。該当接部63は、レバー本体部61の長手方向に対して略直角状に立上り形成された壁面状部であり、前記摺動部材11の被当接部115が当接する部位である〔図13(C),図18参照〕。
前記当接部63には、図8,図9に示すように、弾性体64が装着されることもある。該弾性体64は、レバー部材6の当接部63と、フック1の被当接部115とが略激突状に当接したときの衝撃を緩衝して和らげる役目をなすものである。このような弾性体64としては、ゴム材或いは弾性のある合成樹脂が適当である。前記レバー部材6は、前記揺動中心部62を中心として、図13に示すように、レバー本体部61が揺動動作を行い、該レバー本体部61の揺動自由端側612が上下方向(垂直面上)を揺動する。前記揺動中心部62は、貫通孔621が形成され、前記第2ケーシング部9Bに形成された揺動支持軸部99が挿通されて、レバー部材6が揺動する構造となっている。また前記揺動支持軸部99は、前記仕切りプレート9Cに形成されても構わない。
前記ガイド部7は、図8,図10に示すように、前記レバー部材6の下方に位置して設置されたもので、ガイド面部71を有している。該ガイド面部71は、前記レバー部材6の揺動中心部62からレバー本体部61の揺動自由端611側に向かって形成されたものであって、略水平状に設置されている。ガイド面部71は、後述する転動体8を前記レバー部材6の揺動中心部62から揺動自由端611側に向かって移動するための路面としての役目をなすものである。さらに、前記レバー部材6の揺動自由端611側に向かうに従い上方に傾斜するように設定されることがより好ましいものである(図10参照)。
また、前記ガイド面部71の傾斜角度が適宜変更することができるように調整可能とした実施形態も存在する〔図13(D)参照〕。この実施形態は、前記ガイド面部71と、角度調整中心部72とから形成されたものである。そして、前記ガイド面部71は、略帯板形状に形成されている。後述する転動体8が転動方向を案内するものである。前記角度調整中心部72は、前記ガイド面部71の長手方向一端側に一体形成されたものである。前記角度調整中心部72は、貫通孔721が形成され、該貫通孔721に前記仕切りプレート9Cに形成された調整軸73が挿通されて、前記ガイド面部71が上下方向に回動する構成である。
さらに、前記ケーシング9の底面部には、調整螺子部材74が装着されている。該調整螺子部材74は、その螺子軸部741が前記ガイド面部71の自由端側下面に当接しており、前記調整螺子部材74を回転させることによって、螺子軸部741が上下動し、前記ガイド面部71の自由端側の上下高さ位置を微調整し、前記ガイド面部71の傾斜角度を調整することができる。また、ガイド部7は、前記ケーシング9の第1ケーシング部9A,第2ケーシング部9B或いは仕切りプレート9Cのいずれかに一体形成されることもある。この場合でも、前記ガイド面部71は、水平状又は傾斜状に形成されるものである。転動体8は、前記ガイド部7のガイド面部71の長手方向に沿って相対移動し、前記レバー部材6の揺動自由端611側を上方に移動させると共に、前記当接部63を上方に持ち上げる役目をなすものである。転動体8は、球体に形成されている。或いは円筒状に形成されることもある。該転動体8は、後述するように、慣性の法則によって、作動するものであり、主に鋼球が使用されるが、適度の重量を有するものであれば合成樹脂でも構わない。
次に、固定ガイド400は、前記戸閉具に装着されたフック1のフック部材12と係止するものである。本発明における戸閉具は、図15乃至図24に示すように、引戸200に装着され、前記固定ガイド400は引戸200が装着されるガイドレール300又は該ガイドレール300が装着される引戸用の枠体の戸閉側端部箇所付近に設けられる。その引戸装置の構成は、前記引戸200の上方且つ幅方向の端部箇所に切除部が形成され、その切除部内に前記ケーシング9のフランジ部93を利用してビス等の固着具にて装着される。そして、前記固定ガイド400は、前記ガイドレール300の端部で、且つ前記ケーシング9のフック部材12と当接可能となる位置に設置される。
前記引戸200の戸閉側とは、その引戸200を閉めたときに、キャビネット又は部屋の間仕切りにおける引戸用の枠体に当たる側のことである。引戸200には引戸案内具500が装着されている。該引戸案内具500は、ハングローラタイプで、走行本体部500Aとローラ部500Bとから構成されている。そのガイドレール300のレール部300Aに前記引戸案内具500のローラ部500Bが移動可能に載置されている。
次に、本発明における戸閉装置による引戸200の戸閉動作を説明する。まず通常の初速度によって引戸200の戸閉を行う場合で、戸閉具には戸閉機構部による減速戸閉動作のみ作用する場合について説明し、次いで、急停止機構部の急停止動作が作用する場合について説明する。引戸200の戸閉動作について、前記フック1は、摺動部材11とフック部材12とが枢支連結されたものであり、その初期状態では、フック部材12がケーシング9のフック案内溝98の揺動案内部982に係止され、フック部材12は、前記ケーシング9の前方側にて水平面上にて傾斜し、係止状態で留まっている〔図14(A),図23(A)参照〕。そして、開き状態の引戸200が戸閉方向に移動して、前記固定ガイド400の位置に到達し、該固定ガイド400がケーシング9の導入部92の導入口部922からケーシング9内部に入り込む〔図14(B)参照〕。固定ガイド400は、ケーシング9内部の前方側で係止状態で留まっているフック部材12の位置に案内されると、前記固定ガイド400の先端がまず最初に前記フック部材12の被当接片123bに当接する。
さらに、前記引戸200が戸閉方向に移動すると、前記固定ガイド400が被当接片123bを押し付けるように作用し、前記フック部材12が摺動部材11に対して水平面上を揺動しつつ前記ガイド突起部124が前記揺動案内部982から離脱しつつ直線摺動案内部981に移動して、前記フック部材12の係止状態が解除される。具体的には、前記固定ガイド400が前記被当接片123bを押圧することによって、前記フック部材12は反時計方向に揺動しながら、前記ガイド突起部124が前記揺動案内部982から離脱し、前記フック部材12の係止状態を解除すると共に、前記固定ガイド400が前記被係合片123aと被当接片123bとの間の略U字形状の凹部123c内に挿入する〔図14(C),図23(B)参照〕。
前記フック1の摺動部材11は、前記弾性部材2の弾性力Fによってケーシング9の前方側から後方側に向かって弾性的に付勢されており、前記弾性部材2の弾性力Fによって、前記フック1(摺動部材11及びフック部材12)は、前記導入溝部921に沿って、(不動状態の)固定ガイド400と共に、前記ケーシング9に対して後方側へ相対的移動する〔図14(D),図23(C)参照〕。
一方、前記摺動部材11は、無端可撓部材連結部117を介して前記無端可撓部材3の一部と連結固着されており、前記緩衝部材5の軸部51に固着されている主案内輪41に巻き付けられた前記無端可撓部材3が前記摺動部材11をケーシング9の後方側に移動させる弾性力Fに対して、抵抗力Tを生じる。そして、前記弾性力Fから抵抗力Tを差し引いた戸閉力Pにより、摺動部材11及びフック部材12をケーシング9後方側に移動させる〔図14(E),図23(D)参照〕。
このようにして、前記引戸200は、F−T=Pによる力にて移動するものであり、手動によって、前記引戸200を戸閉方向に移動させるときの初速Vnは、前記フック部材12が固定ガイド400に係止した状態から戸閉が完了するまでの動作を前記戸閉力Pによって緩やかな低速とした速度Vmとし、戸閉完了直前の動作を極めて静粛なものにすることができる。
次に、急停止機構部の急停止動作が作用する場合について説明する。まず静止状態にある引戸200では、戸閉具の内部において、レバー部材6の揺動自由端611側は下方に位置し、当接部63も下方に位置している(図15参照)。この状態における当接部63の位置は、前記摺動本体部111の被当接部115よりも低い位置に存在しており、前記フック1の係止が解除されて、摺動部材11がケーシング9の前方側から後方側に移動する行程において、摺動部材11の被当接部115が前記レバー部材6の当接部63とは当接することはない。これは、通常速度で戸閉方向に移動する引戸200の場合でも同様である。
その引戸200に大きな初速度がかけられて、該引戸200が戸閉方向に急加速で発進する場合には、引戸200と同等の加速度がケーシング9に発生する。そして、ガイド部7上に配置されている転動体8は、慣性の第1法則に基づいて静止しようとし、ケーシング9の移動方向とは反対方向に相対的に移動することになる。その結果、転動体8はレバー部材6の揺動自由端611側に位置することになる。図16は、引戸200の急加速移動開始直後の状態である。前記転動体8は、レバー部材6の揺動自由端611の下面側に入り込む状態となり、レバー部材6は揺動自由端611側が上方に持ち上げられる。このとき、同時に当接部63も上方に持ち上げられることになる。この状態で前記当接部63は、前記摺動部材11の被当接部115と当接可能な高さ位置となる(図17参照)。
前述したように、引戸200の戸閉方向の移動によって、前記固定ガイド400がフック1のフック部材12に係合され、固定ガイド400と共にフック1がケーシング9の前方側から後方側に相対移動することになる。そして、フック1が前記ケーシング9の前方側から後方側に移動する行程の略中央の位置にて、摺動部材11の被当接部115がレバー部材6の当接部63と当接する。図18は、引戸200の移動急停止時瞬間の状態を示す。この当接は、略衝突又は略激突状態である。前記当接部63に弾性体64が装着されている場合には、その激突の衝撃が緩和されることになる。
前記フック1の摺動部材11の被当接部115と、レバー部材6の当接部63とが当接すると、前記フック1は固定ガイド400に係合しているので、ケーシング9と共に移動するレバー部材6が急停止し、ひいては該レバー部材6と共にケーシング9が急停止することになる。該ケーシング9が急停止することによって、該ケーシング9が装着固定された引戸200は、戸閉側終端部の直前で急停止することになる。該引戸200は、戸閉側終端部の直前で急停止するので、引戸200と戸閉側終端部との間には、間隔が有り、人の手足が戸閉側終端部と引戸200との間に入っていたとしても、手足を引戸200と戸閉側終端部との間に挟むことなく、人体の安全を十分に確保することができる。
次に、引戸200は急停止することによって、該引戸200と共に移動しているケーシング9内の転動体8は、慣性の第2法則によって、戸閉方向への移動状態を維持しようとする。そのために、引戸200が急停止すると、転動体8は戸閉方向(ケーシング9の前方側)に移動することになり、直前まで上方に持ち上げられていたレバー部材6の揺動自由端611は下方位置に下がることになる。図19は、引戸200の移動急停止直後の状態を示す。該揺動自由端611が下方に下がると、前記当接部63も下がり、該当接部63と、前記摺動部材11の被当接部115との当接状態が解除されることになる(図20参照)。この当接状態が解除されることによって、弾性部材2によってケーシング9の後方側に引っ張られている摺動部材11が、移動を開始する。この移動は前記緩衝部材5によって減速移動となり、この減速移動によって静かに戸閉が完了するものである(図21参照)。
図26は、本発明にフック部材12を強制復帰させる機構が具備された実施形態である。すなわち、図26(B)に示すように、ガイドレール300の幅Hbと、前記引戸200の厚さ寸法Haとの間の隙間が大きすぎて、引戸200に厚さ方向にガタが生じて、フック部材12と固定ガイド400との係止が浅くなり、このような状態で戸閉時に衝撃が強すぎた時に、フック部材12と固定ガイド400との係止が外れてしまうことがある〔図26(C)参照〕。
そして、前記ケーシング9の後方側に移動してしまった前記フック部材12を、ケーシング9の前方側に強制移動させて、フック部材12をケーシング前方に仮係止させ、正常な初期状態に復帰させるものである〔図27(A)参照〕。或いは引戸200が閉じるときに、単に大きな衝撃にてフック部材12に固定ガイド400が引掛かることができなかった場合、さらに引掛かることができたとしても、フック部材12との引掛かりが浅くて、ケーシング9内で前記フック部材12と固定ガイド400との引掛かりが外れてしまうようになった場合等にも前記強制復帰機構が使用される。
この機構は、図26(A)に示すように、前記ケーシング9のフック支持板部97の後方側で且つ前記フック案内溝98に連通する切除部971が形成されている。さらに該切除部971の形成箇所には、復帰弾性部材972が装着されている。前記切除部971は、略長方形状の貫通孔として形成されたものであり、前記フック部材12のガイド突起部124が前記フック案内溝98から外れて、フック部材12は、揺動支持部122を揺動中心として、前記フック支持板部97の水平面上を揺動可能な状態にすることができる。また、前記復帰弾性部材972は、揺動により前記フック支持板部97の水平面上で傾斜したフック部材12を元の位置に戻すように作動するバネ材である。該復帰弾性部材972は、略L字形状に形成されたものであり、合成樹脂製又は金属製である。
まず、前記フック部材12が何らかの原因にて、固定ガイド400と引掛かることができず(或いは係止することができず)に、係合部123のみフック案内溝98に沿ってケーシング9の後方側に移動してしまった場合において、前記フック部材12は、前記切除部971の付近に位置することになる〔図27(A)参照〕。そして、前記ケーシング9内で前記固定ガイド400をフック部材12に強制的に押し当てることにより、該フック部材12は、切除部971箇所で水平面上を揺動することができ、フック部材12と固定ガイド400とが引掛かる(係止する)〔図27(B),(C)参照〕。
そして前記復帰弾性部材972によって、前記フック部材12は、揺動傾斜した状態からすぐに元の位置に戻り、そのまま、引戸200を開き方向に移動させれば、前記固定ガイド400と共に、フック部材12がケーシング9の前方に移動し、前記フック部材12は仮係止状態となり、通常の状態に復帰されることになる〔図27(D)参照〕。図28(A)乃至(C)は、固定ガイド400の位置を基準にして強制復帰行程を時系列的に示した図である。
1…フック、11…摺動部材、12…フック部材、2…弾性部材、5…緩衝部材、
6…レバー部材、64…弾性体、7…ガイド部、8…転動体、9…ケーシング。
6…レバー部材、64…弾性体、7…ガイド部、8…転動体、9…ケーシング。
Claims (8)
- フックがケーシング後方位置に減速されつつ移動するように付勢されると共に、該フックは前記ケーシングの前方位置で係止可能とした戸閉具において、揺動自由端が上方移動するレバー部材の下方に、略水平状のガイド部が配置され、前記ケーシングの急加速時には、前記ガイド部に沿って相対移動する転動体によって、前記レバー部材は移動行程の略中間位置にあるフックと当接してなることを特徴とする戸閉具。
- フックをケーシング後方位置に移動させる弾性部材と、該弾性部材の弾性力を減少させる緩衝部材とからなり、前記フックは、前記ケーシングの前方位置で係止可能とした戸閉具において、当接部を有すると共に該当接部が上下方向に移動するように揺動動作するレバー部材と、該レバー部材の下方に位置する略水平状のガイド部と、該傾斜ガイド部上に沿って相対移動する転動体とからなり、前記ケーシングの急加速時には、前記ガイド部に沿って相対移動する転動体によって、移動行程の略中間位置にあるフックと当接してなることを特徴とする戸閉具。
- 請求項1又は2において、前記ガイド部は、前記レバー部材の揺動自由端側に向かうに従い上方に傾斜してなることを特徴とする戸閉具。
- 請求項1,2又は3のいずれか1項の記載において、前記フックは、フック部材と、該フック部材が揺動自在に装着される摺動部とからなり、該摺動部がケーシング内にて前記レバー部材の当接部に当接可能としてなることを特徴とする戸閉具。
- 請求項1乃至4のいずれか1項の記載において、前記レバー部材には、前記当接部には弾性体が装着されてなることを特徴とする戸閉具。
- 請求項1乃至5のいずれか1項の記載において、前記傾斜ガイド部は傾斜角度を可変としてなることを特徴とする戸閉具。
- 請求項1乃至6のいずれか1項の記載において、前記転動体は球体としてなることを特徴とする戸閉具。
- 請求項1乃至7のいずれか1項の記載において、前記ケーシングの内部後方側には前記フック部材が水平面上を揺動且つ傾斜可能となると共に、傾斜されたフック部材を復帰させる復帰弾性部材が具備されてなることを特徴とする戸閉具。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2007153357A JP2008303652A (ja) | 2007-06-08 | 2007-06-08 | 戸閉具 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2020050789A3 (en) * | 2018-09-03 | 2020-08-20 | Celikform Gestamp Otomotiv Anonim Sirketi | Locking mechanism with additional damping mechanism |
-
2007
- 2007-06-08 JP JP2007153357A patent/JP2008303652A/ja active Pending
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WO2020050789A3 (en) * | 2018-09-03 | 2020-08-20 | Celikform Gestamp Otomotiv Anonim Sirketi | Locking mechanism with additional damping mechanism |
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