JP2008303337A - 包接型蓄熱材及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 相変化物質を界面活性剤を用いて水中に乳化分散した相変化物質のエマルションと、サイクロデキストリンとを混合し、相変化物質をサイクロデキストリンで包接して固体化した蓄熱材であって、上記界面活性剤がノニオン性界面活性剤と他種の界面活性剤の混合物である包接型蓄熱材である。相変化物質をサイクロデキストリンで包接して乾燥することで、固体形態を安定にできるため、他の素材に添加しても相変化物質の漏出がなく、耐加工性が向上する。サイクロデキストリン添加時に賦型剤を加えると、包接機能が促進されて蓄熱材の耐加工性がさらに増す。
【選択図】 なし
Description
上記エマルション型はカプセル型に比べて調製が容易であるため、コスト的に有利であり、大量供給の点からも今後の主流になると考えられるが、その反面、エマルションであるが故に、蓄熱材料として使用する際には常に水を揮発させぬよう、容器等に充填し、或は密閉して使用する必要があった。また、エマルションを他の素材へ添加、或は他の素材をエマルションへ添加した場合には凝集物が発生したり、又は相変化物質が素材より漏れ出したりする問題があり、その使用方法に著しい制限があった。
一方、カプセル型においては、水の存在がなくても相変化物質が外界へ漏れ出すことはないが、他の素材へ添加、混合し、二次化加工を施す際に、カプセル壁が壊れることにより相変化物質が漏れ出して、求められる加工性を充分に満足できない問題があった。
(1)特許文献1
相変化物質を界面活性剤で水中に分散したエマルション型蓄熱材において、乳化系全体に対する相変化物質の添加率や相変化物質に対する界面活性剤の添加率を特定化し、ノニオン性界面活性剤と両性界面活性剤の組み合わせで相変化物質を水中に分散することにより、冷暖サイクルを繰り返してもエマルションの安定性を保持できることが、本出願人により開示されている。
光反応による異性化を利用して光エネルギーを熱エネルギーとして貯蔵することのできる有機蓄熱材として、7−置換ノルボルナジエン類をサイクロデキストリンに包接した化合物が開示されている。
織編物等にn−パラフィン封入マイクロカプセルを付着させて、耐久性のある蓄熱性を付与した繊維構造体が開示されており、カプセルの壁材としてサイクロデキストリン、ポリウレタン、尿素−ホルマリン樹脂など例示されている(段落9)。
ゲストを包接して包接化合物を形成し得るホスト、及び/又は、当該ホストがゲストを包接してなる包接化合物を含み、当該ホストが有機化合物である熱利用材料が開示されている。有機単分子系ホストとしてサイクロデキストリン、クラエンエーテル、カリックスアレン、シクロファンなどが例示されている(段落35)。
本発明は、蓄熱材としての形態を安定化させ、他の素材に添加した場合などに相変化物質が漏出するなどの問題を防止して、蓄熱材の耐加工性を向上させることを技術的課題とする。
また、本出願人の開示に係わる上記特許文献1には、ノニオン性界面活性剤と両性界面活性剤の組み合わせで相変化物質を水中に分散すると、エマルションの均一分散を促進できることが記載されている。
上記界面活性剤がノニオン性界面活性剤と他種の界面活性剤の混合物であることを特徴とする包接型蓄熱材である。
相変化物質と上記合計成分の重量混合率が、固形分換算で合計成分/相変化物質=3/1〜0.3/1であることを特徴とする包接型蓄熱材である。
相変化物質のエマルションにサイクロデキストリン、或はさらに賦型剤を混合・撹拌して、相変化物質をサイクロデキストリンで包接させた後、
乾燥によって当該包接物の固体を得ることを特徴とする包接型蓄熱材の製造方法である。
特に、エマルション化する際の界面活性剤として、ノニオン性界面活性剤及び両性界面活性剤の組み合わせを選択すると、より均一なエマルションが得られ、サイクロデキストリンによる包接を促進できる。
また、包接化に際して水溶性セルロース、デキストリン、二酸化ケイ素、デンプン、乳糖などの賦型剤を併用することで、乾燥後の固体形態が安定化し、相変化物質の漏出防止機能を増して、包接型蓄熱材の耐加工性をより良く向上できる。
その中でも、C8〜C40の脂肪族炭化水素類が好ましく、具体的には、ドデカン、テトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカン、オクタデカン、ノナデカン、エイコサン、ヘネイコサン、ドコサン、テトラコサン、ヘキサコサン、ヘプタコサン、オクタコサン、トリアコンタンなどのノルマルパラフィン、その各種イソ体であるイソパラフィン、分子内の一部に環構造を含む各種のシクロパラフィンである。より好ましくはC10〜C30の飽和脂肪族炭化水素類であり、特に、n−テトラデカン、n−ペンタデカン、n−ヘキサデカン、n−オクタデカン、或はこれらの混合物が好適である。
上記相変化物質は、取り出したい温度及び熱量と、相変化物質の融点とを考慮して、単用又は併用できることはいうまでもない。
上記ノニオン性界面活性剤としては、下記の(1)〜(6)の化合物、その他の公知のものが挙げられる。
(1)脂肪族アルコール類へのポリオキシアルキレンのエーテル付加生成物、又は芳香環を有するポリオキシアルキレン付加物
(2)脂肪酸類のポリオキシアルキレンのエステル付加生成物
(3)脂肪酸類のポリオキシアルキレンのエステル付加生成物への脂肪族アルコールのエーテル付加生成物
(4)グリセリン等の多価アルコールへのポリオキシアルキレンのエーテル付加生成物
(5)グリセリン等の多価アルコールのポリオキシアルキレンのエーテル付加生成物への脂肪酸類のエステル付加生成物
(6)ヒマシ油又は硬化ヒマシ油へのポリオキシアルキレン付加生成物
(a)FINESURF D系(ポリオキシエチレンデシルエーテル)、BLAUNON EL系(ポリオキシエチレンラウリルエーテル)(いずれも青木油脂工業(株)製)
(b)エマルゲン 200系(ポリオキシエチレンセチルエーテル:花王(株)製)
(c)オイムルギン B系(ポリオキシエチレンセトステアリルエーテル:コグニスジャパン(株)製)
(d)EMALEX 600系(ポリオキシエチレンステアリルエーテル:日本エマルジョン(株)製)
(a)エマノーン 1112(ポリオキシエチレンモノラウレート:花王(株)製)
(b)BLAUNON S(ポリオキシエチレンモノステアレート:青木油脂工業(株)製)
(c)EMALEX 200 di−Lなど(ジラウリン酸ポリエチレングリコール:日本エマルジョン(株)製)
当該エーテル付加生成物の市販品には、EMALEX SWS系(ステアリン酸ポリオキシエチレンステアリルエーテル)、EMALEX LWS系(ステアリン酸ポリオキシエチレンラウリルエーテル)(いずれも日本エマルジョン(株)製)などがある。
(a)BLAUNON BR系(ポリオキシエチレンヒマシ油:青木油脂工業(株)製)
(b)エマノーン CH系(ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油:花王(株)製)
(c)EMALEX RWIS−100系(イソステアリン酸ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油:日本エマルジョン(株)製)
(1)アルキルアリールスルホン酸塩類
(2)アルキル(又はアルケニル)硫酸エステル塩類
(3)ポリオキシエチレンアルキル(又はアルケニル)エーテル硫酸エステル塩類
(4)ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸エステル塩類
(5)アルキルスルホコハク酸エステル塩並びにその誘導体類
(6)アルキルジアリールエーテルジスルホン酸塩並びにその誘導体類
その他公知のものが挙げられる。
(a)テイカパワーB120(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム:テイカ(株)製)
(b)テイカパワーB150(ペンタデシルベンゼンスルホン酸:テイカ(株)製)
(c)ネオペレックスG−15(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム:花王(株)製)
アルキルアリールスルホン酸塩の市販品としては、エマールO(ラウリル硫酸ナトリウム)、エマールTD(ラウリル硫酸トリエタノールアミン)(いずれも花王(株)製)などがある。
アルキル(又はアルケニル)硫酸エステル類の市販品としては、エマール20C(ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム)、ハイテノール330T(ポリオキシエチレントリデシルエーテル硫酸ナトリウム)(いずれも第一工業製薬(株)製)などがある。
ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸エステル塩類の市販品としては、スパミンW(POEノニルフェニルエーテル硫酸アンモニウム:ミヨシ油脂(株)製)などがある。
アルキルスルホコハク酸エステル塩並びにその誘導体類の市販品としては、ソフタノールMES−9(ポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸半エステル塩:(株)日本触媒製)、ペルゾールKMN−1(ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム:ミヨシ油脂(株)製)などがある。
アルキルスルホコハク酸エステル塩並びにその誘導体類の市販品としては、ニューコール271−A(アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム塩:日本乳化剤(株)製)などがある。
上記アルキルアミン塩型には、アルキルアミン塩型では、モノアルキルアミン塩、ジアルキルアミン塩、トリアルキルアミン塩などが具体例に挙げられ、その市販品には下記の(a)〜(c)などがある。
(a)アセタミン86(ステアリルアミンアセテート:花王株式会社製)
(b)アーマックC(アルキル(C8〜C18)アミン酢酸塩:ライオン・アクゾ株式会社製)
(c)デヒコートAU56/G(ジパルミトイルエチルヒドロキシエチルアンモニウムメトサルフェート:コグニスジャパン株式会社製)
(a)コータミン24P(塩化ラウリルトリメチルアンモニウム:花王(株)製)
(b)コータミンD86P(塩化ジステアリルジメチルアンモニウム:花王(株)製)
(c)エソカードO/12(塩化オレイルビス(2−ヒドロキシエチル)メチルアンモニウム:ライオン・アクゾ(株)製)
(d)デヒコートBT(塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム:コグニスジャパン(株)製)
(a)アンヒトール 20BS及び24B(ラウリルベタイン:花王(株)製)
(b)ソフタゾリン CPB(ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン液:川研ファインケミカル(株)製)
(c)ソフタゾリン PKPB(パーム核油脂肪酸アミドプロピルベタイン液:川研ファインケミカル(株)製)
上記アミノ酸型の市販品には、ソフタゾリン NS(N−ヤシ油脂肪酸アシル−N′−カルボキシエチル−N′−ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウム:川研ファインケミカル(株)製)などがある。
例えば、ノニオン性界面活性剤と両性界面活性剤の混合比率(重量比)は、両性/ノニオン性=1/9〜1/1が適当であり、好ましくは1/4〜1/2であり、より好ましくは1/3前後である。
両性とノニオン性界面活性剤の比率は、両性/ノニオン性=1/9より少なくても、1/1を越えても温度変化に伴うエマルション安定性を損ない易く、また、後にサイクロデキストリンを添加、撹拌することにより包接させる際のエマルション安定性を確保するには、両性とノニオン性界面活性剤を適正な範囲で混合することが重要である。
ノニオン性界面活性剤と他種の界面活性剤は予め混合して乳化系に添加しても良いし、別々に乳化系に添加しても差し支えない。
また、本発明8に示すように、相変化物質100重量部に対する上記界面活性剤の添加率は0.1〜50重量部が適当であり、3〜20重量部が好ましい。0.1重量部より少ないと水性エマルションの生成に支障を来し、50重量部を越えるとコストが増大し、また、熱量に寄与しない物質割合が増して熱量不足になる。
上記過冷却防止剤には、公知のアミン類、アルコール類、カルボン酸類、及び飽和炭化水素類などが使用できるが、相変化物質よりも融点が高く(即ち、早い段階から凝固を起こすことができ)、相変化物質との相溶性も良い飽和脂肪族炭化水素類が好ましい。
飽和脂肪族炭化水素類の中では、複数種の飽和脂肪族炭化水素の混合物であるパラフィンワックスがより好ましい。
パラフィンワックスは融点の違いにより各種の製品が市販されているが、使用する相変化物質の融点と相溶性を考慮した上で、特殊精製品を含む各種のパラフィンワックスを単用又は併用できる。代表的な商品としては、日本精蝋、エクソンモービル化学、エッソ石油等が市販している精製パラフィンワックス、高純度精製パラフィンワックス、イソパラフィンが主成分の特殊精製パラフィンワックスなどが挙げられる。
尚、上記パラフィンワックスは、公知のアミン類、アルコール類、カルボン酸類などとは異なり、それ自体が蓄熱材適性を有し、相変化物質と相俟って熱量の増大に寄与するという利点がある。
この乳化分散の方法は、高圧乳化法、転相乳化法などの公知の方法を任意に選択できる。
上記高圧乳化法は、先ず、上記相変化物質、過冷却防止剤などの混合物に対して、乳化剤を水に溶解させた乳化水を加え、予備混合して粗い粒子を形成した後、各種ミキサー、高圧乳化機、高圧吐出型乳化機、高剪断型乳化分散機などを用いて微細乳化する方法である。
上記転相乳化法は、上記相変化物質、過冷却防止剤などの混合物に対し、使用する乳化剤を充分混練した後、攪拌しながら徐々に水を加えて、油中水型エマルションを水中油型エマルションに相反転させる方法である。
相変化物質エマルションには、さらに必要に応じて、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、各種無機塩類などの凍結防止剤、防腐剤、分散剤、消泡剤などの各種添加剤を添加することができる。
本発明に用いられるサイクロデキストリン(以下、CDと記載する)としては、α−CD、β−CD、γ−CD等の非分岐CD、又は、これらCDにグルコース、マルトース、マルトトリオース等の小糖類が1分子、或は2分子α−1,6結合したもの、又は、これらCDに酸化プロピレンの付加によりヒドロキシプロピル基が3〜8分子結合した分岐CDなどが挙げられる。
これらCDのうち、グルコース分子が1個結合したものをグルコシルCD(以下、G1−CDという)、2個結合したものをジグルコシルCD(以下、G1−G1−CDという)、同様にマルトース分子が1個結合したものをマルトシルCD(以下、G2−CDという)、2個結合したものをジマルトシルCD(以下、G2−G2−CDという)、ヒドロキシプロピル基が3〜8分子結合したものをヒドロキシプロピルCD(以下、HP−CDという)と称する。
上記CDにおいては、β−CD、G1−β−CD、G2−β−CD等のβ−CD誘導体、又はγ−CDが好ましい。
上記CDは単用又は併用でき、或はこのCDの単用物又は混合物にさらにデキストリンを併用することもできる。
サイクロデキストリンの代表的な商品としては、塩水港精糖社や独ワッカー社等が市販しているサイクロデキストリン(シクロデキストリン、環状オリゴ糖)などが挙げられる。
上記賦型剤としては、(C6H10O5)nで表される多糖類である水溶性セルロース(cellulose;例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなど)、デンプン(Starch)、C12H22O11で表される乳糖、及びこれらの変性物、ケイ素の酸化物である二酸化ケイ素(SiO2)(シリカ、無水ケイ酸とも呼ばれる)、数個のα−グルコースがグリコシド結合によって重合したデキストリン(dextrin)、デンプン、乳糖などが有効である。尚、当該デンプンは酸化デンプン、デンプンエーテル、デンプンエステルなどの化工デンプンを含む概念である。
代表的な商品としては、信越化学社が市販しているセルロース、富士シリシア化学社が市販しているシリカ、松谷化学社が市販しているデキストリンなどが挙げられる。
上述の通り、賦型剤の選定が適正でないと、サイクロデキストリンへの相変化物質の包接量が少なくなって熱量不足になったり、サイクロデキストリンに包接させた相変化物質が外部に除放され(不適正の度合が大きいと、包接工程で相変化物質が析出してしまう)、経時的に蓄熱材の熱量が減少してしまう。
上記賦型剤としては、水溶性セルロース、二酸化ケイ素が好ましい。
即ち、相変化物質と、サイクロデキストリン及び賦型剤を併せた合計成分とにおいて、相変化物質と上記合計成分の重量混合率は、本発明4に示すように、固形分換算で合計成分/相変化物質=3/1〜0.3/1が適当であり、好ましくは2/1〜0.8/1である。相変化物質が適正混合率より少ないと熱量に寄与しない物質割合が増加して熱量不足になり、適正混合率より多いと包接作用が損なわれ、相変化物質が漏出する恐れがある。
また、本発明5に示すように、サイクロデキストリン(CD)と賦型剤の重量配合率はCD/賦型剤=6/1〜1/1であり、好ましくは5/1〜2/1である。サイクロデキストリンの配合率が適正範囲より多過ぎても又は少な過ぎても、乾燥後の固体が乾燥機内に付着し易くなり、或は、固体から相変化物質が漏出し易くなるなどの問題が出る。
上記撹拌による包接には、各種ミキサー、高圧乳化機、高圧吐出型乳化機、高剪断型乳化分散機などを用いる。
また、包接後の乾燥は、熱風乾燥、真空乾燥、スプレードライなどの方法により系中の水分を除去し、固体状の蓄熱材を得る。固体としては粉体が基本であるが、顆粒状などであっても良い。
このようにして得られる本発明のサイクロデキストリン包接型の潜熱蓄熱材は、他の素材へ添加しても相変化物質の漏れがなく、容易に添加、混合できることより実用上必要な耐加工性を有しており、容易に蓄熱性を有する素材を製造することのできる材料を提供することができる。
尚、本発明は下記の実施例、試験例に拘束されることはなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意の変形をなし得ることは勿論である。
下記の実施例1〜8のうち、実施例1〜4は界面活性剤にノニオン性界面活性剤と両性界面活性剤を組み合わせた例であり、この中で、実施例2〜4はセルロース系賦型剤及び/又は二酸化ケイ素系賦型剤を添加した例、実施例1は賦型剤を添加しない例である。実施例5〜6は同じくノニオン性界面活性剤とアニオン性界面活性剤を組み合わせた例であり、このうち、実施例6はセルロース系賦型剤を添加した例、実施例5は賦型剤を添加しない例である。実施例7〜8は同じノニオン性界面活性剤とカチオン性カチオン性を組み合わせた例であり、このうち、実施例8はセルロース系賦型剤を添加した例、実施例7は賦型剤を添加しない例である。
また、比較例1は相変化物質をエマルション化しないでサイクロデキストリンで包接化した例である。
尚、図1の下2欄を除く上寄り欄には、実施例1〜8及び比較例1についての相変化物質、界面活性剤、賦型剤、過冷却防止剤などの添加量、或は種類などをまとめた。
相変化物質として融点約25℃のn−パラフィン混合物((株)ジャパンエナジー製:カクタスノルマルパラフィンTS−897)45.4部、過冷却防止剤として融点69℃のパラフィンワックス(日本精蝋(株)製:パラフィンワックス−155)11.3部、ノニオン性界面活性としてポリオキシエチレンステアリルエーテル(20E.O.)(日本エマルジョン(株)製:EMALEX620)1.7部を溶解させ、均一に混合した。
また、両性界面活性剤として含量30%のラウリン酸アミドプロピルベタイン液(川研ファインケミカル(株)製:ソフタゾリンLPB)1.9部をイオン交換水39.7部に溶解させて、界面活性剤水溶液を調製した。
そして、上記相変化物質、過冷却防止剤とノニオン性界面活性剤の混合溶液に、この界面活性剤水溶液を投入、撹拌混合し、予備乳化を行った。得られた予備乳化物をマントンガウリン社製の高圧乳化機により300kg/cm2の圧力で高圧乳化し、相変化物質エマルションを得た。
次いで、得られたエマルション100部に対し、サイクロデキストリン(塩水港精糖(株)製:β−100)を42.9部、溶媒として温水を428.6部加え、80℃の温度下でホモジナイナー(日本精機(株)製:ED−7)を用い、4000rpmの撹拌速度で15分間、2000rpmの撹拌速度で15分間撹拌することにより、相変化物質エマルションをサイクロデキストリンに包接させた。
そして、スプレードライヤ(大河原化工機(株)製:L−8)を用い、アトマイザ回転数25000rpm、入口温度170℃、出口温度80℃の条件下にて乾燥させることにより、サイクロデキストリン包接型蓄熱材を得た。
相変化物質として融点約25℃のn−パラフィン混合物((株)ジャパンエナジー製:カクタスノルマルパラフィンTS−897)45.4部、過冷却防止剤として融点69℃のパラフィンワックス(日本精蝋(株)製:パラフィンワックス−155)11.3部、ノニオン性界面活性としてポリオキシエチレンステアリルエーテル(20E.O.)(日本エマルジョン(株)製:EMALEX620)1.7部を溶解させ、均一に混合した。
また、両性界面活性剤として含量30%のラウリン酸アミドプロピルベタイン液(川研ファインケミカル(株)製:ソフタゾリンLPB)1.9部をイオン交換水39.7部に溶解させて、界面活性剤水溶液を調製した。
そして、上記相変化物質、過冷却防止剤とノニオン性界面活性剤の混合溶液に、この界面活性剤水溶液を投入、撹拌混合し、予備乳化を行った。得られた予備乳化物をマントンガウリン社製の高圧乳化機により300kg/cm2の圧力で高圧乳化し、相変化物質エマルションを得た。
次いで、得られたエマルション100部に対し、サイクロデキストリン(塩水港精糖(株)製:β−100)を35.7部、賦型剤としてメチルセルロース(信越化学工業(株)製:メトローズSM−400)を7.1部、溶媒として温水を428.6部加え、80℃の温度下でホモジナイナー(日本精機(株)製:ED−7)を用い、4000rpmの撹拌速度で15分間、2000rpmの撹拌速度で15分間撹拌することにより、相変化物質エマルションをサイクロデキストリンに包接させた。
そして、スプレードライヤ(大河原化工機(株)製:L−8)を用い、アトマイザ回転数25000rpm、入口温度170℃、出口温度80℃の条件下にて乾燥させることにより、サイクロデキストリン包接型蓄熱材を得た。
相変化物質として融点約25℃のn−パラフィン混合物((株)ジャパンエナジー製:カクタスノルマルパラフィンTS−897)45.4部、過冷却防止剤として融点69℃のパラフィンワックス(日本精蝋(株)製:パラフィンワックス−155)11.3部、ノニオン性界面活性としてポリオキシエチレンステアリルエーテル(20E.O.)(日本エマルジョン(株)製:EMALEX620)1.7部を溶解させ、均一に混合した。
また、両性界面活性剤として含量30%のラウリン酸アミドプロピルベタイン液(川研ファインケミカル(株)製:ソフタゾリンLPB)1.9部をイオン交換水39.7部に溶解させて、界面活性剤水溶液を調製した。
そして、上記相変化物質、過冷却防止剤とノニオン性界面活性剤の混合溶液に、この界面活性剤水溶液を投入、撹拌混合し、予備乳化を行った。得られた予備乳化物をマントンガウリン社製の高圧乳化機により300kg/cm2の圧力で高圧乳化し、相変化物質エマルションを得た。
次いで、得られたエマルション100部に対し、サイクロデキストリン(塩水港精糖(株)製:β−100)を35.7部、賦型剤として微粉末二酸化ケイ素(富士シリシア化学(株)製:サイロページ720)を7.1部、溶媒として温水を428.6部加え、80℃の温度下でホモジナイナー(日本精機(株)製:ED−7)を用い、4000rpmの撹拌速度で15分間、2000rpmの撹拌速度で15分間撹拌することにより、相変化物質エマルションをサイクロデキストリンに包接させた。
そして、スプレードライヤ(大河原化工機(株)製:L−8)を用い、アトマイザ回転数25000rpm、入口温度170℃、出口温度80℃の条件下にて乾燥させることにより、サイクロデキストリン包接型蓄熱材を得た。
相変化物質として融点約25℃のn−パラフィン混合物((株)ジャパンエナジー製:カクタスノルマルパラフィンTS−897)45.4部、過冷却防止剤として融点69℃のパラフィンワックス(日本精蝋(株)製:パラフィンワックス−155)11.3部、ノニオン性界面活性としてポリオキシエチレンステアリルエーテル(20E.O.)(日本エマルジョン(株)製:EMALEX620)1.7部を溶解させ、均一に混合した。
また、両性界面活性剤として含量30%のラウリン酸アミドプロピルベタイン液(川研ファインケミカル(株)製:ソフタゾリンLPB)1.9部をイオン交換水39.7部に溶解させて、界面活性剤水溶液を調製した。
そして、上記相変化物質、過冷却防止剤とノニオン性界面活性剤の混合溶液に、この界面活性剤水溶液を投入、撹拌混合し、予備乳化を行った。得られた予備乳化物をマントンガウリン社製の高圧乳化機により300kg/cm2の圧力で高圧乳化し、相変化物質エマルションを得た。
次いで、得られたエマルション100部に対し、サイクロデキストリン(塩水港精糖(株)製:β−100)を28.6部、賦型剤としてメチルセルロース(信越化学工業(株)製:メトローズSM−400)を7.1部、微粉末二酸化ケイ素(富士シリシア化学(株)製:サイロページ720)7.1部、溶媒として温水を428.6部加え、80℃の温度下でホモジナイナー(日本精機(株)製:ED−7)を用い、4000rpmの撹拌速度で15分間、2000rpmの撹拌速度で15分間撹拌することにより、相変化物質エマルションをサイクロデキストリンに包接させた。
そして、スプレードライヤ(大河原化工機(株)製:L−8)を用い、アトマイザ回転数25000rpm、入口温度170℃、出口温度80℃の条件下にて乾燥させることにより、サイクロデキストリン包接型蓄熱材を得た。
相変化物質として融点約25℃のn−パラフィン混合物((株)ジャパンエナジー製:カクタスノルマルパラフィンTS−897)45.4部、過冷却防止剤として融点69℃のパラフィンワックス(日本精蝋(株)製:パラフィンワックス−155)11.3部、ノニオン性界面活性としてポリオキシエチレンステアリルエーテル(20E.O.)(日本エマルジョン(株)製:EMALEX620)1.7部を溶解させ、均一に混合した。
また、アニオン性界面活性剤としてポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸エステル
ナトリウム塩(3E.O.)(花王(株)製:エマール20C)2.3部をイオン交換水39.3部に溶解させて、界面活性剤水溶液を調製した。
そして、上記相変化物質、過冷却防止剤とノニオン性界面活性剤の混合溶液に、この界面活性剤水溶液を投入、撹拌混合し、予備乳化を行った。得られた予備乳化物をマントンガウリン社製の高圧乳化機により300kg/cm2の圧力で高圧乳化し、相変化物質エマルションを得た。
次いで、得られたエマルション100部に対し、サイクロデキストリン(塩水港精糖(株)製:β−100)を42.9部、溶媒として温水を428.6部加え、80℃の温度下でホモジナイナー(日本精機(株)製:ED−7)を用い、4000rpmの撹拌速度で15分間、2000rpmの撹拌速度で15分間撹拌することにより、相変化物質エマルションをサイクロデキストリンに包接させた。
そして、スプレードライヤ(大河原化工機(株)製:L−8)を用い、アトマイザ回転数25000rpm、入口温度170℃、出口温度80℃の条件下にて乾燥させることにより、サイクロデキストリン包接型蓄熱材を得た。
相変化物質として融点約25℃のn−パラフィン混合物((株)ジャパンエナジー製:カクタスノルマルパラフィンTS−897)45.4部、過冷却防止剤として融点69℃のパラフィンワックス(日本精蝋(株)製:パラフィンワックス−155)11.3部、ノニオン性界面活性としてポリオキシエチレンステアリルエーテル(20E.O.)(日本エマルジョン(株)製:EMALEX620)1.7部を溶解させ、均一に混合した。
また、アニオン性界面活性剤としてポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸エステルナトリウム塩(3E.O.)(花王(株)製:エマール20C)2.3部をイオン交換水39.3部に溶解させて、界面活性剤水溶液を調製した。
そして、上記相変化物質、過冷却防止剤とノニオン性界面活性剤の混合溶液に、この界面活性剤水溶液を投入、撹拌混合し、予備乳化を行った。得られた予備乳化物をマントンガウリン社製の高圧乳化機により300kg/cm2の圧力で高圧乳化し、相変化物質エマルションを得た。
次いで、得られたエマルション100部に対し、サイクロデキストリン(塩水港精糖(株)製:β−100)を35.7部、賦型剤としてメチルセルロース(信越化学工業(株)製:メトローズSM−400)を7.1部、溶媒として温水を428.6部加え、80℃の温度下でホモジナイナー(日本精機(株)製:ED−7)を用い、4000rpmの撹拌速度で15分間、2000rpmの撹拌速度で15分間撹拌することにより、相変化物質エマルションをサイクロデキストリンに包接させた。
そして、スプレードライヤ(大河原化工機(株)製:L−8)を用い、アトマイザ回転数25000rpm、入口温度170℃、出口温度80℃の条件下にて乾燥させることにより、サイクロデキストリン包接型蓄熱材を得た。
相変化物質として融点約25℃のn−パラフィン混合物((株)ジャパンエナジー製:カクタスノルマルパラフィンTS−897)45.4部、過冷却防止剤として融点69℃のパラフィンワックス(日本精蝋(株)製:パラフィンワックス−155)11.3部、ノニオン性界面活性としてポリオキシエチレンステアリルエーテル(20E.O.)(日本エマルジョン(株)製:EMALEX620)1.7部を溶解させ、均一に混合した。
また、カチオン性界面活性剤としてラウリルトリメチルアンモニウムクロライド(花王
(株)製:コータミン24P)2.1部をイオン交換水39.5部に溶解させて、界面活性剤水溶液を調製した。
そして、上記相変化物質、過冷却防止剤とノニオン性界面活性剤の混合溶液に、この界面活性剤水溶液を投入、撹拌混合し、予備乳化を行った。得られた予備乳化物をマントンガウリン社製の高圧乳化機により300kg/cm2の圧力で高圧乳化し、相変化物質エマルションを得た。
次いで、得られたエマルション100部に対し、サイクロデキストリン(塩水港精糖(株)製:β−100)を42.9部、溶媒として温水を428.6部加え、80℃の温度下でホモジナイナー(日本精機(株)製:ED−7)を用い、4000rpmの撹拌速度で15分間、2000rpmの撹拌速度で15分間撹拌することにより、相変化物質エマルションをサイクロデキストリンに包接させた。
そして、スプレードライヤ(大河原化工機(株)製:L−8)を用い、アトマイザ回転数25000rpm、入口温度170℃、出口温度80℃の条件下にて乾燥させることにより、サイクロデキストリン包接型蓄熱材を得た。
相変化物質として融点約25℃のn−パラフィン混合物((株)ジャパンエナジー製:カクタスノルマルパラフィンTS−897)45.4部、過冷却防止剤として融点69℃のパラフィンワックス(日本精蝋(株)製:パラフィンワックス−155)11.3部、ノニオン性界面活性としてポリオキシエチレンステアリルエーテル(20E.O.)(日本エマルジョン(株)製:EMALEX620)1.7部を溶解させ、均一に混合した。
また、カチオン性界面活性剤としてラウリルトリメチルアンモニウムクロライド(花王
( 株)製コータミン24P)2.1部をイオン交換水39.5部に溶解させて、界面活性剤水溶液を調製した。
そして、上記相変化物質、過冷却防止剤とノニオン性界面活性剤の混合溶液に、この界面活性剤水溶液を投入、撹拌混合し、予備乳化を行った。得られた予備乳化物をマントンガウリン社製の高圧乳化機により300kg/cm2の圧力で高圧乳化し、相変化物質エマルションを得た。
次いで、得られたエマルション100部に対し、サイクロデキストリン(塩水港精糖(株)製:β−100)を35.7部、賦型剤としてメチルセルロース(信越化学工業(株)製:メトローズSM−400)を7.1部、溶媒として温水を428.6部加え、80℃の温度下でホモジナイナー(日本精機(株)製:ED−7)を用い、4000rpmの撹拌速度で15分間、2000rpmの撹拌速度で15分間撹拌することにより、相変化物質エマルションをサイクロデキストリンに包接させた。
そして、スプレードライヤ(大河原化工機(株)製:L−8)を用い、アトマイザ回転数25000rpm、入口温度170℃、出口温度80℃の条件下にて乾燥させることにより、サイクロデキストリン包接型蓄熱材を得た。
相変化物質として融点約25℃のn−パラフィン混合物((株)ジャパンエナジー製:カクタスノルマルパラフィンTS−897)43.1部、過冷却防止剤として融点69℃のパラフィンワックス(日本精蝋(株)製:パラフィンワックス−155)10.8部を溶解させ、均一に混合した。
そして、上記相変化物質、過冷却防止剤との混合溶液に、サイクロデキストリン(塩水港精糖(株)製:β−100)を42.9部部加え、80℃の温度下でホモジナイナー(日本精機(株)製:ED−7)を用い、4000rpmの撹拌速度で15分間、2000rpmの撹拌速度で15分間撹拌することにより、相変化物質を直接サイクロデキストリンに包接させた。
そこで、上記実施例1〜8及び比較例1で得られた各包接型蓄熱材について、下記の要領でブリードアウト及び熱量の評価試験に供した。
示差走査熱量計(DSC)を使用して、昇温速度5℃/分で−13℃から65℃へ昇温させて、潜熱量を測定した。
あぶらとり紙((株)泊一製)1枚の上へ蓄熱材1.0gを載せ、60℃に設定した恒温槽にて2時間保温した。その間、30分毎にあぶらとり紙上で蓄熱材をかき混ぜ、あぶらとり紙と蓄熱材料とが均一に接触するようにした。
2時間後、あぶらとり紙より蓄熱材を取り除き、蓄熱材からの相変化物質のブリードアウト状態を目視観察して、固体形態の安定性の優劣を評価した。
評価基準は次の通りである。
○:試験後、あぶらとり紙への相変化物質の染み込みが認められず、蓄熱材から相変化物質のブリードがなかった。
△:試験後、あぶらとり紙への相変化物質の染み込みが僅かに確認された(上記ブリードが少なかった)。
×:試験後、あぶらとり紙への相変化物質の染み込みが多く確認された(上記ブリードが多かった)。
相変化物質をエマルション化しないで直接サイクロデキストリンに包接化した比較例1では、ブリードアウト評価が×であって固体の安定性がなく、蓄熱材としての実用性がないものと判断した。このため、熱量試験には供さなかった(「−」は試験不適を意味する)。
これに対して、実施例1〜8ではすべてブリードアウト評価は○〜△であり、熱量も実用レベル以上を示した。
即ち、実施例1〜4は界面活性剤にノニオン性界面活性剤と両性界面活性剤を組み合わせたものであり、このうち、実施例2は実施例1を基本として、サイクロデキストリンの一部をセルロース系賦型剤で置き換えた例であるが、ブリードアウト評価は実施例1から改善しており、熱量も増加していることが認められた。実施例3は同じく二酸化ケイ素系賦型剤でサイクロデキストリンの一部を置き換えた例であり、実施例4は同じくセルロース系賦型剤と二酸化ケイ素系賦型剤で置き換えた例であるが、共にブリードアウト評価は○であり、熱量も実施例1より増加していた。但し、実施例1は熱量とブリードアウトの評価で実用水準は保持していた。
これにより、相変化物質をエマルション化しないで、単にサイクロデキストリンに包接しただけでは、相変化物質が良好に包接されずに固体形態の安定性がなく、ブリードアウトを起こすこと、また、包接時に賦型剤を添加すると相変化物質の水中への分散がより均一になり、相変化物質のサイクロデキストリンへの包接機能が増して、蓄熱効率が増大することが分かった。
次いで、ノニオン性界面活性剤とカチオン性界面活性剤の組み合わせで相変化物質をエマルション化してサイクロデキストリンに包接させた実施例7は、ブリードアウト評価及び熱量評価が共に実施例5より後退するが、実施例8に示す通り、包接に際して賦型剤を添加すると、やはり蓄熱効率が実施例7より改善することが確認できた(58.3→68.9)。
《包接型蓄熱材を添加した蓄熱性ポリウレタンシートの実施例》
下記の実施例9〜10は前記実施例2の蓄熱材をポリウレタン塗料との混合比率を変えて添加した例である。また、下記の比較例2は本発明の蓄熱材を添加せずに作成したポリウレタンシートに、サイクロデキストリンを添加せずに作成した相変化物質のエマルションを直接塗布した例である。
尚、図2の上寄り欄には、実施例9〜10及び比較例2についての蓄熱材(又は相変化物質)とポリウレタン塗料の混合重量比率をまとめた。
前記実施例2で得られたサイクロデキストリン型潜熱蓄熱材を用いて、湿式法にてポリウレタンシートを作成した。
先ず、実施例2の包接型蓄熱材を過剰量のジメチルホルムアミドへ分散させた後、この分散液をポリウレタン塗料(大日本インキ化学工業(株):SMP−60)に、蓄熱材/ポリウレタン塗料(固形分換算)=0.5/1の重量比率で添加・混合した。
次いで、この混合液をフェルト生地へ塗布し、湿式成膜させた。その後、マングルにて余剰の水溶液を搾り取り、乾燥させて、蓄熱性のポリウレタンシートを得た。
上記実施例9を基本として、実施例2の包接型蓄熱材とポリウレタン塗料の混合重量比率を、蓄熱材/ポリウレタン塗料(固形分換算)=1/1に変更し、その他の条件を実施例9と同様に操作して、蓄熱性のポリウレタンシートを作成した。
先ず、前記実施例1を基本として、サイクロデキストリンを添加せず、その他の条件は実施例1と同様に操作して相変化物質のエマルションを作成した。
次いで、前記実施例9を基本として、本発明の包接型蓄熱材を添加せず、その他の条件は実施例9と同様に操作してポリウレタンシートを作成した。
そして、このポリウレタンシートに、サイクロデキストリンを添加せずに作成した上記相変化物質のエマルションを直接塗布し、乾燥させて、蓄熱性のポリウレタンシートを作成した。
そこで、上記実施例9〜10及び比較例2で得られた各蓄熱性ポリウレタンシートについて、下記の要領でブリードアウト及び熱量の評価試験に供した。
示差走査熱量計(DSC)を使用して、昇温速度5℃/分で−13℃から65℃へ昇温させて、潜熱量を測定した。
但し、測定に際しては、湿式成膜するときに用いたフェルト生地をポリウレタンシートより剥離し、ポリウレタンシートとしての熱量を測定した。
あぶらとり紙((株)泊一製)1枚の上へポリウレタンシート1.0gを載せ、60℃に設定した恒温槽にて2時間保温した。その間、30分毎にあぶらとり紙上でポリウレタンシートの表裏を返し、あぶらとり紙とポリウレタンシートとが均一に接触するようにした。
2時間経過後にあぶらとり紙よりポリウレタンシートを取り除き、ポリウレタンシートからの相変化物質のブリードアウト状態を目視観察して、本発明の包接型蓄熱材の耐加工性を評価した。
評価基準は次の通りである。
○:試験後、あぶらとり紙への相変化物質の染み込みが認められず、ポリウレタンシートから相変化物質のブリードがなかった。
△:試験後、あぶらとり紙への相変化物質の染み込みが僅かに確認された(上記ブリードが少なかった)。
×:試験後、あぶらとり紙への相変化物質の染み込みが多く確認された(上記ブリードが多かった)。
比較例2では、サイクロデキストリンで包接処理をしていない相変化物質のエマルションを直接ポリウレタンシートに塗布したため、ポリウレタンシートから相変化物質が多くブリードアウトした。尚、このため、熱量試験は行わなかった。
これに対して、実施例9〜10はブリードアウト評価に優れることが分かった。これにより、本発明の包接型蓄熱材はポリウレタン塗料に配合したうえで塗布しても、蓄熱材としての形態が安定でブリードアウトすることはなく、耐加工性に優れることが確認できた。
また、実施例10と実施例9の対比から、塗料に対する蓄熱材の配合率を上げると、蓄熱効率も増すことが確認できた。尚、蓄熱材の使用量が少ないため、実施例9〜10の熱量のレベルは前記実施例1〜8から後退していた。
Claims (9)
- 相変化物質を界面活性剤を用いて水中に乳化分散した相変化物質のエマルションと、サイクロデキストリンとを混合し、相変化物質をサイクロデキストリンで包接して固体化した蓄熱材であって、
上記界面活性剤がノニオン性界面活性剤と他種の界面活性剤の混合物であることを特徴とする包接型蓄熱材。 - さらに、賦型剤を混合することを特徴とする請求項1に記載の包接型蓄熱材。
- 賦型剤が、二酸化ケイ素、水溶性セルロース、デキストリン、デンプン、乳糖よりなる群から選ばれた少なくとも一種であることを特徴とする請求項2に記載の包接型蓄熱材。
- 相変化物質と、サイクロデキストリン及び賦型剤を併せた合計成分とにおいて、
相変化物質と上記合計成分の重量混合率が、固形分換算で合計成分/相変化物質=3/1〜0.3/1であることを特徴とする請求項2又は3に記載の包接型蓄熱材。 - サイクロデキストリン(CD)と賦型剤の重量配合率が、CD/賦型剤=6/1〜1/1であることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の包接型蓄熱材。
- 相変化物質が、C8〜C40のノルマルパラフィン、イソパラフィン、シクロパラフィンよりなる群から選ばれた脂肪族炭化水素類の少なくとも一種であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の包接型蓄熱材。
- 界面活性剤がノニオン性界面活性剤及び両性界面活性剤の混合物であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の包接型蓄熱材。
- 相変化物質100重量部に対する界面活性剤の添加量が0.1〜50重量部であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の包接型蓄熱材。
- 相変化物質をノニオン性界面活性剤及び他種の界面活性剤を用いて水中に乳化分散してエマルション化し、
相変化物質のエマルションにサイクロデキストリン、或はさらに賦型剤を混合・撹拌して、相変化物質をサイクロデキストリンで包接させた後、
乾燥により当該包接物の固体を得ることを特徴とする包接型蓄熱材の製造方法。
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