JP2008302699A - 有彩1次色インクと有彩2次色インクとを用いた印刷 - Google Patents

有彩1次色インクと有彩2次色インクとを用いた印刷 Download PDF

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Abstract

【課題】有彩1次色インクと有彩2次色インクとを利用可能なときに、有彩2次色インクのドットに起因する画像の粒状性とインクの節約とを考慮して分版処理を行うことを目的とする。
【解決手段】互いに組み合わせて用いることにより無彩色を再現可能な複数の有彩1次色インクと、複数の有彩1次色インクのいずれとも色相が異なる少なくとも1つの有彩2次色インクとを含むインクセットを利用可能とし、再現される色に応じて決まる有彩2次色インクの最大インク量に対する実際のインク量を2次色インク使用率と呼ぶときに、色相が有彩2次色インクに比較的近いときの2次色インク使用率が、色相が有彩1次色インクに比較的近いときの2次色インク使用率より小さくなるように、有彩2次色インクのインク量を決定する。
【選択図】 図10

Description

この発明は、複数種類のインクを用いたカラー印刷技術に関する。
近年、画像の出力装置として、カラーインクジェットプリンタが広く普及している。通常のカラーインクジェットプリンタは、ブラック(K)インクの他に、シアンC、マゼンタM、イエロYの色相を有する複数種類のインクを使用する。カラー画像の任意の色は、これらの複数種類のインクを用いて再現することができる。
このようなプリンタでは、カラー画像の任意の色に応じて、使用可能な各インクのインク量が決定される。本明細書では、このような色再現のために印刷時に用いる各インクのインク量を決定する処理を「分版処理」又は「インク色分解処理」と呼んでいる。カラー画像の色データと各色インク量との関係は、あらかじめ色変換ルックアップテーブル(LUT:Look Up Table)として記憶されており、印刷時にはLUTに従って各画素位置における各色のインク量が決定される。(例えば、特許文献1参照。)。
特開平10−191089号公報
ところで、プリンタによる色の再現性は、プリンタが使用可能なインクの種類によって決まる。典型的には、3つの有彩1次色インク(例えば、シアンC、マゼンタM、イエロYのインク)を組み合わせることによって任意の色を再現することができる。また、このような各有彩1次色インクとは色相が異なる有彩2次色インクが用いられる場合もある。ここで「有彩2次色」とは、2つの有彩1次色成分に分解できる色を意味する。有彩2次色インクを用いると、色の再現範囲を広げることができる。しかし、従来は、このような有彩1次色インクと有彩2次色インクとが利用可能なときに、有彩2次色インクのドットに起因する画像の粒状性とインクの節約とを考慮して分版処理を行う点については工夫されていないのが実情であった。
本発明は、上述した従来の課題を解決するためのものであり、有彩1次色インクと有彩2次色インクとを利用可能なときに、有彩2次色インクのドットに起因する画像の粒状性とインクの節約とを考慮して分版処理を行うことを目的とする。
上記課題の少なくとも一部を解決するために、この発明による分版方法は、印刷媒体上で複数色のインクを用いて任意の色を再現するために、各インクのインク量を決定する分版方法であって、(a)使用可能なインクとして、互いに組み合わせて用いることにより無彩色を再現可能な複数の有彩1次色インクと、前記複数の有彩1次色インクのいずれとも色相が異なる少なくとも1つの有彩2次色インクとを含むインクセットを設定する工程と、(b)任意の1つの入力色に応じて前記印刷媒体上で再現される色を再現色と呼び、前記再現色を前記印刷媒体上で再現するための前記インクセットの各インク量の組み合わせを分版インク量セットと呼び、前記複数の有彩1次色インクの各インク量を基準ベクトルとして表される色空間を1次色色空間と呼ぶときに、前記1次色色空間内の複数の入力色に応じて前記印刷媒体上で再現される複数の再現色を決定する工程と、(c)前記複数の再現色を再現するための複数の分版インク量セットを決定する工程と、を備え、前記再現色に応じて決まる前記有彩2次色インクの最大インク量に対する前記有彩2次色インクの実際のインク量の割合を2次色インク使用率と呼び、前記再現色の色相を、1つの前記有彩1次色インクと1つの前記有彩2次色インクとの組み合わせによって再現したときの、前記1つの有彩1次色インクを1次色成分インクと呼び、前記1つの有彩2次色インクを2次色成分インクと呼ぶときに、前記工程(c)は、各再現色に関して、(c1)前記再現色の明度に相関のある明度パラメータ値を求める工程と、(c2)前記明度パラメータ値が最も明るい一部の範囲である第1の高明度範囲内にあるとともに、前記1次色成分インクと前記2次色成分インクとが同一で、前記明度パラメータ値が同じとなる2つの再現色のうちで、色相が前記1次色成分インクに比較的近い第1の再現色と、色相が前記2次色成分インクに比較的近い第2の再現色とに関して、前記第2の再現色の前記2次色インク使用率が前記第1の再現色の前記2次色インク使用率より小さくなるように、前記分版インク量セットに含まれる前記有彩2次色インクのインク量を決定する工程と、を実行する。
この分版方法によれば、明るい画像領域において、色相が比較的有彩2次色インクに近い領域の2次色インク使用率が、色相が比較的有彩1次色インクに近い領域の2次色インク使用率よりも小さくなるように、有彩2次色インクのインク量が決定される。従って、色相が比較的有彩2次色インクに近い領域においては2次色インク使用率が小さくなるので、有彩2次色インクが目立つことを抑制し、画像の粒状性の向上を図ることができる。また、色相が比較的有彩1次色インクに近い領域においては、2次色インク使用率が大きくなり、複数の有彩1次色インクのインク量が小さくなるので、インクの使用量を節約することができる。
上記分版方法において、前記有彩2次色インクの前記所定の最大インク量が、前記再現色を再現可能な範囲内で前記有彩2次色インクを最大限に使用するときのインク量であることが好ましい。
こうすることで、最大インク量の設定を再現色に応じて容易に行うことができる。
上記各分版方法において、前記複数の有彩1次色インクがシアンインクとマゼンタインクとイエロインクとを含むときに、前記工程(c2)は、前記第1と第2の再現色の共通の前記1次色成分インクが、シアンインク又はマゼンタインクであるときに、前記第2の再現色の前記2次色インク使用率が前記第1の再現色の前記2次色インク使用率よりも小さくなるように、前記分版インク量セットに含まれる前記有彩2次色インクのインク量を決定することが好ましい。
こうすることで、2次色インク使用率を小さくすることによって、シアンインクまたはマゼンタインクのインク量を大きくすることができる。シアンインクとマゼンタインクのドットが、同じインク量のイエロインクのドットと比べ、有彩2次色インクのドットを、より目立ちにくくすることができるときに、これらのインク量が大きくなることによって、有彩2次色インクのドットが目立つことを効果的に抑制することができる。
上記各分版方法において、前記工程(c2)では、前記分版インク量セットに含まれる前記有彩2次色インクのインク量が、明るくなる方向への前記明度パラメータ値の変化率より大きい変化率でインク量が減少するように、決定されることが好ましい。
こうすることで、有彩2次色インクのインク量が、明度パラメータ値の変化率より大きい変化率で減少するように調整されるので、明るい領域において有彩2次色インクが目立つことを抑制し、画像の粒状性の向上を図ることができる。
上記各分版方法において、前記工程(c2)では、前記有彩2次色インクのインク量の前記明度パラメータ値の変化に対する減り方が、前記有彩1次色インクのインク量の減り方よりも大きくなるように、前記有彩2次色インクのインク量が調整されることが好ましい。
こうすることで、明るい画像領域における有彩2次色インクのインク量を効果的に小さくすることができるので、明るい領域において有彩2次色インクが目立つことを抑制し、画像の粒状性の向上を図ることができる。
上記各分版方法において、前記工程(c2)では、前記有彩2次色インクのインク量が、前記明度パラメータ値に比例した減り方よりも大きく減少するように調整されることが好ましい。
こうすることで、有彩2次色インクのインク量を明度パラメータ値に比例した値よりも小さい値に調整することができるので、明るい領域において有彩2次色インクが目立つことを抑制し、画像の粒状性の向上を図ることができる。
上記各分版方法において、前記工程(c2)では、前記明度パラメータ値が最も明るい一部の所定の範囲にあるときに、前記有彩2次色インクの実際のインク量が、前記再現色を再現する分版インク量セットに含まれる前記有彩2次色インクの仮想インク量であって、各インクのインク量を各インク量の合計値が最小となるように調整することによって得られる分版インク量セットに含まれる前記有彩2次色インクの仮想インク量よりも小さくなるように調整されることが好ましい。
こうすることで、有彩2次色インクのインク量が、総インク量が最小となる分版インク量セットのインク量よりも小さくなるので、明るい領域において有彩2次色インクが目立つことを抑制し、画像の粒状性の向上を図ることができる。
上記各分版方法において、前記工程(c2)では、前記再現色を再現する分版インク量セットに含まれる前記有彩2次色インクの仮想インク量であって、各インクのインク量を各インク量の合計値が最小となるように調整することによって得られる分版インク量セットに含まれる前記有彩2次色インクの仮想インク量に対する前記有彩2次色インクの実際のインク量の割合が、前記明度パラメータ値の明るい方向への変化に対して単調減少するように調整されることが好ましい。
こうすることで、有彩2次色インクのインク量の、総インク量が最小となる分版インク量セットのインク量に対する割合が、明るい領域において減少し、有彩2次色インクが目立つことを抑制することができる。
上記各分版方法において、前記工程(c2)では、前記有彩2次色インクのインク量が、前記明度パラメータ値の範囲のうちで明度が最も明るい一部の範囲である第1の範囲においてゼロとなるように調整されることが好ましい。
こうすることで、有彩2次色インクのインク量が、明度パラメータ値の範囲のうちで明度が最も明るい一部の範囲である第1の範囲においてゼロとなるように調整されるので、明るい領域において有彩2次色インクが目立つことを抑制し、画像の粒状性の向上を図ることができる。
上記各分版方法において、前記明度パラメータ値は、前記再現色を再現可能な範囲内で前記有彩2次色インクを最大限に使用するときの最大インク量であることが好ましい。
こうすることで、明度パラメータ値を容易に得ることができる。
上記各分版方法において、前記工程(c2)は、(c2−1)予め設定された所定の条件に従って、前記再現色に応じて決まる前記有彩2次色インクの基準インク量を決定する工程と、(c2−2)前記有彩2次色インクの前記基準インク量とともに前記再現色を再現するために必要とされる前記インクセットの各インクの基準インク量を決定することによって、基準インク量セットを決定する工程と、(c2−3)前記基準インク量セットに含まれる複数の基準インク量のうち、前記有彩2次色インクの基準インク量を除いた複数の基準インク量の大きさに関する残余インク量パラメータ値を決定する工程と、(c2−4)前記明度パラメータ値がほぼ同じときに、前記残余インク量パラメータ値が小さいほど前記2次色インク使用率が小さくなるように、前記分版インク量セットに含まれる前記有彩2次色インクのインク量を決定する工程と、を含むことが好ましい。
こうすることで、残余インク量パラメータ値が小さいほど2次色インク使用率が小さくなるように有彩2次色インクのインク量が決定されるので、残余インク量が小さいときに、有彩2次色インクを減らすことによって、画像の粒状性の向上を図ることができる。
上記各分版方法において、前記有彩2次色インクの基準インク量として、前記再現色を再現可能な範囲内で前記有彩2次色インクを最大限に使用するときの最大インク量を用いることが好ましい。
こうすることで、2次色インクの基準インク量を容易に得ることができる。
上記各分版方法において、前記残余インク量パラメータ値として、前記有彩2次色インクの基準インク量を除いた複数の基準インク量のそれぞれに、前記インクセットの各インクに対応して予め設定されたそれぞれの係数を乗じて得られる値の合計値を用いることが好ましい。
こうすることで、各インクの特性に応じた残余インク量パラメータ値を得ることができる。
上記各分版方法において、前記係数は、対応するインクのインクドットの反射濃度が濃いほど大きく設定されていることが好ましい。
こうすることで、各インクのインクドットの反射濃度の違いを考慮した残余インク量パラメータ値を得ることができる。
上記各分版方法において、前記係数は、対応するインクの色と前記有彩2次色インクの色との色の見えの差が小さいほど大きく設定されていることが好ましい。
こうすることで、各インクの有彩2次色インクとの色の見えの違いを考慮した残余インク量パラメータ値を得ることができる。
上記各分版方法において、前記工程(c2−4)は、(c2−4−1)前記明度パラメータ値と前記残余インク量パラメータ値とに基づいて、前記有彩2次色インクの候補インク量を求める工程と、(c2−4−2)前記有彩2次色インクの前記候補インク量とともに前記再現色を再現するために必要とされる前記有彩1次色インクの候補インク量を決定することによって、候補インク量セットを決定する工程と、(c2−4−3)前記候補インク量セットが前記印刷媒体の単位面積当たりに使用可能なインク量の上限値を制限するインクデューティ制限の範囲内にある場合には、前記候補インク量セットをそのまま前記分版インク量セットとして採用し、一方、前記候補インク量セットが前記インクデューティ制限を越える場合には、前記インクデューティ制限を満たすように前記候補インク量セットを修正することによって前記分版インク量セットを決定する工程と、を含むことが好ましい。
こうすることで、有彩2次色インクのインク量の調整を容易に行うことができる。また、インクデューティ制限を満たすように分版インク量セットを決定することができるので、印刷媒体が波打ったりすることを抑制することができる。
上記各分版方法において、前記インクセットは第1と第2の有彩2次色インクを含み、前記工程(c1)において、前記第1と第2の有彩2次色インクのそれぞれに対して前記明度パラメータ値をそれぞれ独立に算出し、前記工程(c2−1)(c2−2)(c2−3)において、前記第1と第2の有彩2次色インクのそれぞれに対して前記基準インク量セットと前記残余インク量パラメータ値とをそれぞれ独立に決定し、前記工程(c2−4−1)において、前記第1と第2の有彩2次色インクのそれぞれに対する前記明度パラメータ値と前記残余インク量パラメータ値とに応じて前記第1と第2の有彩2次色インクの候補インク量をそれぞれ決定し、前記工程(c2−4−3)において前記候補インク量セットが前記インクデューティ制限を越える場合には、前記第1と第2の有彩2次色インクのインク量で規定される2次元色空間で考えたときに、前記第1と第2の有彩2次色インクの分版インク量で規定される色座標点が、前記インクデューティ制限を満たす範囲内に存在するとともに前記第1と第2の有彩2次色インクの前記候補インク量で規定される色座標点に近接した位置に存在するように前記分版インク量セットを決定することが好ましい。
こうすることで、インクデューティ制限を満たすように分版インク量セットを決定することができるので、印刷媒体が波打ったりすることを抑制することができる。
上記各分版方法において、前記工程(c2−4−3)において前記候補インク量セットが前記インクデューティ制限を越える場合には、前記第1と第2の有彩2次色インクに関する前記2次元色空間において前記第1と第2の有彩2次色インクの分版インク量で規定される色座標点が前記インクデューティ制限を満たす範囲内に存在するとともに、前記第1と第2の有彩2次色インクの分版インク量の比が前記第1と第2の有彩2次色インクの候補インク量の比と等しくなるように前記分版インク量セットを決定することが好ましい。
こうすることで、より適切に粒状性の向上を図ることができる。
上記各分版方法において、前記工程(b)は、(b1)前記1次色色空間内の最外殻位置にある有彩色を最外殻有彩色と呼ぶときに、前記最外殻有彩色に対応付けられた最外殻分版インク量セットであって、前記インクセットによって再現可能で前記最外殻有彩色よりも彩度の高い拡張有彩色を再現するための最外殻分版インク量セットを決定する工程と、(b2)前記最外殻有彩色と前記最外殻分版インク量セットとの関係に基づいて、前記1次色色空間内の前記複数の入力色にそれぞれ対応付けられた前記複数の再現色を決定する工程と、を含み、前記工程(b1)は、前記印刷媒体の単位面積当たりに使用可能なインク量の上限値をインクデューティ制限として設定する工程と、前記拡張有彩色を、前記1次色色空間において前記最外殻有彩色を表す最外殻有彩色ベクトルと同一の方向を有するより長い拡張有彩色ベクトルで表される色として決定するとともに、前記拡張有彩色を再現するための前記最外殻分版インク量セットを決定する工程と、を備え、前記拡張有彩色および前記最外殻分版インク量セットの決定は、以下の条件:(i)前記最外殻分版インク量セットが前記インクデューティ制限内である、を満足するように行われることが好ましい。
こうすることで、有彩1次色インクのみで再現可能な最も高い彩度を有する最外殻有彩色よりも、さらに彩度の高い拡張有彩色を再現するように最外殻分版インク量セットを決定するので、色再現範囲の拡張を考慮した分版処理を行うことができる。また、インクデューティ制限によってインク量を制限しているので、印刷媒体の特性に応じた分版処理を行うことが可能である。
上記各分版方法において、前記拡張有彩色および前記最外殻分版インク量セットの決定は、さらに、以下の条件:(ii)前記インクセットで再現可能な範囲で前記拡張有彩色ベクトルの長さが最も長くなる、を満足するように行われることが好ましい。
こうすることで、インクセットで再現可能な色再現範囲を有効に利用した分版処理を行うことができる。
上記各分版方法において、前記拡張有彩色および前記最外殻分版インク量セットの決定は、さらに、以下の条件:(iii)前記拡張有彩色を再現するための前記最外殻分版インク量セットのインク量の合計が最も少なくなる、を満足するように行われることが好ましい。
こうすることで、インクの使用量を節約することができる。
上記各分版方法において、前記再現色は、前記1次色色空間において前記入力色と同じベクトル方向を有する最外殻有彩色に対する最外殻分版インク量セットに、前記入力色のベクトル長と前記最外殻有彩色のベクトル長との比を乗じることによって得られる仮の分版インク量セットによって再現される色であることが好ましい。
こうすることで、入力色に対応付けられた再現色の設定を容易に行うことができる。
上記各分版方法において、前記有彩2次色インクは、前記複数の有彩1次色インクとは異なる色材を含有することが好ましい。
こうすることで、色の再現性を向上させることができる。
上記各分版方法において、前記有彩2次色インクは、前記有彩2次色インクが再現可能な色相を前記複数の有彩1次色インクの混色によって再現した場合に、前記有彩1次色インクの混色で再現することが可能な再度よりも高い彩度を再現することが可能であることが好ましい。
こうすることで、有彩1次色インクのみで再現可能な彩度以上の彩度を有する色彩を再現することができる。
上記各分版方法において、前記インクセットは、互いに色相が異なる第1と第2の2つの有彩2次色インクを含み、前記有彩2次色インクを前記複数の有彩1次色インクの組み合わせに置換することによってほぼ同じ色相と彩度を再現するときの前記有彩2次色インクのインク量に対する前記複数の有彩1次色インクの各インク量を置換インク量とし、前記第1と第2の有彩2次色インクのそれぞれに関して、前記置換インク量の中で値が最も大きい2つのインクを主成分1次色インクとしたときに、前記第1の有彩2次色インクの2つの主成分1次色インクのうちの1つと、前記第2の有彩2次色インクの2つの主成分1次色インクのうちの1つが異なるインクであることが好ましい。
こうすることで、色再現範囲をさらに拡張することができる。
上記各分版方法において、前記インクセットは、ブラックインクを含み、前記工程(b)は、前記入力色に前記ブラックインクの下色除去処理を行うことによって、ブラック成分が除去されて複数の有彩1次色成分で構成された修正入力色を求める工程を含み、前記再現色は前記修正入力色に応じて決定されることが好ましい。
こうすることで、色再現範囲をさらに拡張することができる。
なお、この発明は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、上記分版方法を用いた画像データ変換方法および装置、印刷方法および印刷装置、色変換ルックアップテーブルの作成方法および装置、これらの方法または装置の機能を実現するためのコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した記録媒体、そのコンピュータプログラムを含み搬送波内に具現化されたデータ信号、等の形態で実現することができる。
次に、この発明の実施の形態を実施例に基づいて以下の順序で説明する。
A.装置の構成:
B.分版処理の第1実施例:
C.分版処理の第2実施例:
D.最終分版インク量セット算出処理の実施例:
E.分版処理の第3実施例:
F.インクセットの変形例:
G.変形例:
A.装置の構成:
図1は、本発明の一実施例として印刷システムの構成を示すブロック図である。この印刷システムは、画像データ処理装置としてのコンピュータ90と、印刷部としてのカラープリンタ20と、を備えている。なお、プリンタ20とコンピュータ90とは、広義の「印刷装置」と呼ぶことができる。
コンピュータ90では、所定のオペレーティングシステムの下で、アプリケーションプログラム95が動作している。オペレーティングシステムには、ビデオドライバ91やプリンタドライバ96が組み込まれており、アプリケーションプログラム95からは、これらのドライバを介して、プリンタ20に転送するための印刷データPDが出力されることになる。画像のレタッチなどを行うアプリケーションプログラム95は、処理対象の画像に対して所望の処理を行い、また、ビデオドライバ91を介してCRT21に画像を表示している。
アプリケーションプログラム95が印刷命令を発すると、コンピュータ90のプリンタドライバ96が、画像データをアプリケーションプログラム95から受け取り、これをプリンタ20に供給する印刷データPDに変換する。図1に示した例では、プリンタドライバ96の内部には、解像度変換モジュール97と、色変換モジュール98と、ハーフトーンモジュール99と、ラスタライザ100と、色変換ルックアップテーブルLUTと、が備えられている。
解像度変換モジュール97は、アプリケーションプログラム95で形成されたカラー画像データの解像度(即ち、単位長さ当りの画素数)を、印刷解像度に変換する役割を果たす。こうして解像度変換された画像データは、まだRGBの3つの色成分からなる画像情報である。色変換モジュール98は、色変換ルックアップテーブルLUTを参照しつつ、各画素ごとに、RGB画像データ(入力カラー画像データ)を、プリンタ20が利用可能な複数のインク色の多階調データ(第2のカラー画像データ)に変換する。
色変換された多階調データは、例えば256階調の階調値を有している。ハーフトーンモジュール99は、いわゆるハーフトーン処理を実行してハーフトーン画像データを生成する。このハーフトーン画像データは、ラスタライザ100によりプリンタ20に転送すべきデータ順に並べ替えられ、最終的な印刷データPDとして出力される。なお、印刷データPDは、各主走査時のドットの記録状態を示すラスタデータと、副走査送り量を示すデータと、を含んでいる。
なお、プリンタドライバ96は、印刷データPDを生成する機能を実現するためのプログラムに相当する。プリンタドライバ96の機能を実現するためのプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録された形態で供給される。このような記録媒体としては、フレキシブルディスクやCD−ROM、光磁気ディスク、ICカード、ROMカートリッジ、パンチカード、バーコードなどの符号が印刷された印刷物、コンピュータの内部記憶装置(RAMやROMなどのメモリ)および外部記憶装置等の、コンピュータが読み取り可能な種々の媒体を利用できる。
図2は、プリンタ20の概略構成図である。プリンタ20は、紙送りモータ22によって印刷用紙PPを副走査方向に搬送する副走査送り機構と、キャリッジモータ24によってキャリッジ30をプラテン26の軸方向(主走査方向)に往復動させる主走査送り機構と、キャリッジ30に搭載された印刷ヘッドユニット60を駆動してインクの吐出およびドット形成を制御するヘッド駆動機構と、これらの紙送りモータ22,キャリッジモータ24,印刷ヘッドユニット60および操作パネル32との信号のやり取りを司る制御回路40とを備えている。制御回路40は、コネクタ56を介してコンピュータ90に接続されている。
印刷用紙PPを搬送する副走査送り機構は、紙送りモータ22の回転をプラテン26と用紙搬送ローラ(図示せず)とに伝達するギヤトレインを備える(図示省略)。また、キャリッジ30を往復動させる主走査送り機構は、プラテン26の軸と並行に架設されキャリッジ30を摺動可能に保持する摺動軸34と、キャリッジモータ24との間に無端の駆動ベルト36を張設するプーリ38と、キャリッジ30の原点位置を検出する位置センサ39とを備えている。
図3は、制御回路40を中心としたプリンタ20の構成を示すブロック図である。制御回路40は、CPU41と、プログラマブルROM(PROM)43と、RAM44と、文字のドットマトリクスを記憶したキャラクタジェネレータ(CG)45とを備えた算術論理演算回路として構成されている。この制御回路40は、さらに、外部のモータ等とのインタフェースを専用に行なうI/F専用回路50と、このI/F専用回路50に接続され印刷ヘッドユニット60を駆動してインクを吐出させるヘッド駆動回路52と、紙送りモータ22およびキャリッジモータ24を駆動するモータ駆動回路54と、を備えている。I/F専用回路50は、パラレルインタフェース回路を内蔵しており、コネクタ56を介してコンピュータ90から供給される印刷データPDを受け取ることができる。I/F専用回路50が内蔵する回路は、パラレルインタフェース回路に限らず、ユニバーサルシリアルバスインタフェース回路などコンピュータ90との接続の容易性や通信速度等を考慮して決めることができる。プリンタ20は、この印刷データPDに従って印刷を実行する。なお、RAM44は、ラスタデータを一時的に格納するためのバッファメモリとして機能する。
印刷ヘッドユニット60は、印刷ヘッド28を有しており、また、インクカートリッジを搭載可能である。なお、印刷ヘッドユニット60は、1つの部品としてプリンタ20に着脱される。すなわち、印刷ヘッド28を交換しようとする際には、印刷ヘッドユニット60を交換することになる。
図4は、印刷ヘッド28の下面におけるノズル配列を示す説明図である。印刷ヘッド28の下面には、シアンインクCを吐出するためのノズル群と、マゼンタインクMを吐出するためのノズル群と、ブラックインクKを吐出するためのノズル群と、レッドインクRを吐出するためのノズル群と、バイオレットインクVを吐出するためのノズル群と、イエロインクYを吐出するためのノズル群とが形成されている。この実施例では、6つのインクC、M、Y、R、V、Kからなるインクセットを使用することが可能である。なお、図4の例では、1つのノズル群の複数のノズルNzは副走査方向SSに沿って一直線上に配列されているが、千鳥状に配列されていてもよい。
図5(a)は、インクセットのCMYRVK各色インクのインク成分を示す説明図である。各色のインクは、イオン交換水をベースとして、所望の色を付与するための各種染料あるいは顔料からなる色材や、粘度調整用のエチレングリコールなどが適量ずつ添加された混合溶液である。色材の種類は色材のカラーインデックス(C.I.)で示されている。
シアンインクCと、マゼンタインクMと、イエロインクYとは、互いに組み合わせて用いることによってグレー(無彩色)を再現することが可能であり、有彩1次色インクに相当する。レッドインクRとバイオレットインクVとは、その色相が有彩1次色インク(CMY)のいずれとも異なるインクであり、有彩2次色インクに相当する。レッドインクRは、イエロインクYとマゼンタインクMとの間の色相を有しており、バイオレットインクVは、マゼンタインクMとシアンインクCとの間の色相を有している。
有彩1次色インクC、M、Yの混色は、有彩2次色インクR、Vのそれぞれの色とほぼ同じ色相と彩度を再現することが可能である。ここで、有彩2次色インクのインク量に対する有彩1次色インクの混色の各インク量、すなわち、有彩2次色インクのインク量を1としたときの、有彩1次色インクの混色の各インク量を置換インク量と呼ぶ。このとき、CMY各色のインクとRV各色のインクとを、置換インク量に基づいて置換してもほぼ同じ色彩を再現することが可能である。
図5(b)(c)は、それぞれ、図5(a)に示すインクセットを利用して置換インク量を測定した実験結果を示している。この実験結果は、有彩1次色インクC、M、Yの混色によるカラーパッチと、有彩2次色インクR、Vのそれぞれのカラーパッチを測色して比較することによって得たものである。図5(b)は、レッドインクRに対する置換インク量を示しており、CMY各色の置換インク量が、順にwCR、wMR、wYRの符号を付して記されている。図5(c)は、バイオレットインクVに対する置換インク量を示しており、CMY各色の置換インク量が、順にwCV、wMV、wYVの符号を付して記されている。各表の右側の列には、各置換インク量の合計値が記されている。
このように、各有彩2次色インクR、Vの置換インク量は、3つのインク量のうちの2つのインク量がゼロより大きい値となり、1つのインク量がゼロとなる。すなわち、有彩2次色インクR、Vは、2つの有彩1次色成分に分解することができる。また、図5に示すインクセットでは、有彩1次色インクの混色を、各インク量の合計値よりも少ない量の有彩2次色インクに置換することが可能である。その結果、有彩2次色インクを積極的に用いることによって、より少ないインク量でほぼ同じ色相と彩度を再現することが可能である。また、インク量を減らすことによって、より高い明度を再現することも可能となる。さらに、有彩1次色インクの混色と同程度のインク量の有彩2次色インクを用いることによって、より高い彩度を再現することが可能である。そのため、利用するインク量の合計値に制限(インクデューティ制限)が課せられている場合(詳細は後述する)でも、有彩2次色インクを用いることによって、有彩1次色インクの混色で再現することが可能な彩度よりも高い彩度を再現することが可能である。このように、有彩1次色インクと有彩2次色インクとを利用することによって、有彩1次色インクのみで再現可能な範囲より広い範囲の色彩を再現することが可能となる。
また、2つの有彩2次色インクR、Vは互いに色相が異なるインクである。さらに、これらのインクR、Vのそれぞれの主成分1次色インク、すなわち、CMY各色の置換インク量の中で値が最も大きい2つのインクは、その1つが互いに異なっている。図5の例では、レッドインクRの主成分1次色インクはマゼンタインクMとイエロインクYである。バイオレットインクVの主成分1次色インクはシアンインクCとマゼンタインクMである。この例では、イエロインクYとシアンインクCとが異なっている。その結果、2つの有彩2次色インクR、Vは、それぞれ色相の異なる領域の色再現範囲を拡張することができる。よって、互いに色相が類似した有彩2次色インクを用いる場合と比べて、より広い色再現範囲を再現することができる。
さらに、図5(a)に示すインクセットでは、有彩2次色インクR、Vは、有彩1次色インクC、M、Yとは異なる色材を含有している。そのため、有彩1次色インクC、M、Yの混色の代わりに有彩2次色インクを用いることによって、有彩2次色インクに近い色相の再現性を向上させることができる。
以上説明したハードウェア構成を有するプリンタ20は、紙送りモータ22により用紙PPを搬送しつつ、キャリッジ30をキャリッジモータ24により往復動させ、同時に印刷ヘッド28のピエゾ素子を駆動して、各色インク滴の吐出を行い、インクドットを形成して用紙PP上に多色多階調の画像を形成する。
B.分版処理の第1実施例:
B1.色変換ルックアップテーブルの作成方法:
図6は、この実施例における色再現の処理手順を示すフローチャートである。ステップS10〜S70では、色再現を行うための色変換ルックアップテーブルLUT(図1)を作成している。
まず、ステップS10では、印刷で使用する印刷媒体とインクセットとの組合せを1つ選択する。通常のプリンタでは、複数種類の印刷媒体(普通紙、光沢紙、マット紙など)の中から、ユーザによって選択された1つの印刷媒体を使用することを想定している。また、ある種のプリンタでは、使用するインクセットを、複数種類のインクセット(例えば染料インクセットと顔料インクセット)の中から選択できる場合がある。印刷物の色の再現性は、印刷媒体とインクセットに依存する。そこで、本実施例では、印刷媒体とインクセットの組合せ毎にステップS10〜S60の処理を実行して、その組合せに適した色変換ルックアップテーブルLUTをそれぞれ作成する。なお、プリンタ20において使用が想定されている印刷媒体の種類やインクセットの種類は、プリンタドライバ96の印刷条件設定のための画面(図示せず)に表示されるのが普通である。
ステップS20では、1次色表色系で表された1次色階調値セットを、再現色表色系で表された第2の階調値セットに変換する分版処理を実行する。1次色表色系は、有彩1次色インクCMYの各色インク量で表される表色系であり、再現色表色系は、印刷時に用いる各色インクのインク量で表される表色系である。この1次色階調値セットは、複数の有彩1次色インクC、M、Yの各インク量で構成されている。各有彩1次色インクC、M、Yのインク量は、その取り得る最小値(ゼロ)から最大値(ベタ領域を再現するときのインク量)の範囲を、例えば、0〜255の256階調で表現した値である。この実施例においては、ベタ領域は全ての画素にインクを吐出することによって再現される。よって、このようなベタ領域を再現するときのインク量を100%とすることができる。
このステップS20では、まず、複数の1次色階調値セットを準備する。これらの複数の1次色階調値セットの各有彩1次色インクC、M、Yのインク量は、その取り得る範囲(0%〜100%)の全体に分布していることが好ましく、全体に均一に分布することが特に好ましい。このようなインク量の複数の値としては、例えば、「0,25,50,75,100,125,150,175,200,225,255」の11個の値を用いることができる。なお、各インク量の階調値の変化に対する再現された色彩の見た目の変化が、各インクの階調値によって異なる場合がある。このような場合には、色彩の見た目の変化が大きい階調値の範囲ほど、より細かい間隔で各インクのインク量を準備することが好ましい。こうすることによって、見た目の色彩の変化に細かく対応した色変換ルックアップテーブルLUTを作成することができる。
次に、これらの複数の1次色階調値セットを再現色表色系で表された第2の階調値セットに変換する。再現色表色系は、印刷時に用いるインクセットの各インク量、例えば、有彩1次色インクCMYと有彩2次色インクRVの各色インク量で表される表色系である。第2の階調値セットは、CMYRV各色のインク量について、その取り得る最小値(0%)から最大値(100%)の範囲を、例えば、0〜255の256階調で表現した値である。1次色表色系から再現色表色系への分版処理の詳細については後述する。
ステップS30では、複数の1次色階調値セットに対応する複数種類のカラーパッチを作成する。図7は、本実施例において作成されるカラーパッチの一例を示す説明図である。縦軸は、上述のステップS20で準備された1次色階調値セットのマゼンタインクMの階調値、横軸はイエロインクYの階調値である。各カラーパッチは、各階調値をステップS20の分版処理に従って変換して得られたインクセットの各インク量で再現される。なお、図7の例は、1次色階調値セットにおけるシアンインクCの階調値をゼロに設定した場合について示している。実際には、シアンインクCの複数の階調値に対応した複数種類のカラーパッチが作成されるが、図示を省略している。このように、ステップS30では、上述のステップS20で準備された複数の1次色階調値セットに対応する複数種類のカラーパッチが作成される。
ステップS40(図6)では、測色計を用いて、ステップ30で作成された複数のカラーパッチの測色を行う。測色の結果得られるデータは、プリンタやモニタ等のデバイスに依存しない表色系、例えば、L*a*b*表色系やXYZ表色系で表されたデータである。このように、ステップS40では、各カラーパッチの測色を行うことによって、1次色表色系と、デバイス非依存表色系との「1次色/デバイス非依存表色系の対応関係」を決定することができる。また測色の結果、デバイス非依存表色系における、プリンタ20が再現可能な色彩の範囲も確認することができる。
ステップS50では、任意の第1の表色系と1次色表色系との対応関係を、上述のステップS40で得られた「1次色/デバイス非依存表色系の対応関係」に基づいて設定する。第1の表色系は、色変換ルックアップテーブルLUTの入力カラー画像データの表色系であり、例えば、sRGB表色系を用いることができる。このような第1の表色系とデバイス非依存表色系との「第1表色系/デバイス非依存表色系の対応関係」は予め設定されている。よって、この「第1表色系/デバイス非依存表色系の対応関係」と、ステップS40で得られた「1次色/デバイス非依存表色系の対応関係」とを用いることによって、第1の表色系と1次色表色系との対応関係を設定することができる。なお、第1の表色系での色再現範囲と、プリンタの色再現範囲とには、互いに重ならない部分が存在する場合がある。このような場合には、適宜、拡大縮小させた対応関係を設定することによって、互いの色彩領域の全体を有効に利用することが好ましい。
こうして第1の表色系と1次色表色系との第1の対応関係(ステップS50)と、1次色表色系と再現色表色系との第2の対応関係(ステップS20)が設定されると、ステップS60において、設定された対応関係を再現するための色変換ルックアップテーブルLUT(図1)が作成される。本実施例における色変換ルックアップテーブルLUTは、RGB画像データを入力とし、図4に示す6つのインク色のための多階調画像データを出力とするものである。そこで、色変換ルックアップテーブルLUTを作成する際には、まず、RGB画像データの階調値に応じたCMYで表現されている1次色階調値セットが算出される。次に、この1次色階調値セットに応じた第2の階調値セット、すなわち、各インクのインク量が、後述する分版処理に従って決定される。そして、このRGB画像データの値を入力とし、各インクのインク量を出力とする対応関係がルックアップテーブルLUTに格納される。
図6のステップS70では、プリンタ20で使用が想定されている印刷媒体とインクセットのすべての組合せについてステップS10〜S60の処理が完了したか否かが判断される。すべての処理が完了していない場合には、ステップS10〜S60の処理が繰り返され、完了している場合には次のステップS80に移行する。
ステップS80では、作成された複数種類の色変換ルックアップテーブルLUTがプリンタドライバ96(図1)に組み込まれる。プリンタドライバ96は、プリンタ20に供給される印刷データPDを作成する機能をコンピュータ90に実現させるためのコンピュータプログラムである。色変換ルックアップテーブルLUTは、プリンタドライバ96が参照するデータとして、プリンタドライバ96とともにコンピュータ90にインストールされる。なお、色変換ルックアップテーブルLUTが組み込まれたプリンタドライバ96は、通常は、プリンタ20の製造元によって供給される。
図6のステップS90では、ユーザがプリンタ20を用いて印刷を実行する。この際、印刷媒体とインクセットのすべての組合せに関する色変換ルックアップテーブルLUTの中から、実際の印刷に使用する印刷媒体とインクセットの組に適したルックアップテーブルが選択されて、印刷が実行される。実際の印刷に使用する印刷媒体とインクセットの組は、プリンタドライバ96の印刷条件設定のための画面(図示せず)において、ユーザによって選択される。
B2.第1実施例における分版処理の詳細:
図8は、分版処理の処理手順を示すフローチャートである。この分版処理では、1次色表色系から再現色表色系への変換処理を実行している。図8のステップS500では、使用可能なインクとして、有彩1次色インクC,M,Yと有彩2次色インクR,Vとで構成されるインクセットを設定する。
ステップS510では、入力色I(Ci,Mi,Yi)に対応する再現色を印刷媒体上で再現するための仮の分版インク量セットI(Cp,Mp,Yp,Rp,Vp)を算出する。なお、第1実施例では、入力色I(Ci,Mi,Yi)と再現色とは一致している。任意の再現色を得る分版インク量セットとしては無数のものがあり得るので、特定の条件を設けることによって仮の分版インク量セットを決定する。例えば、本実施例では、合計インク量が最小になるように、仮の分版インク量セットP(Cp,Mp,Yp,Rp,Vp)を決定する。
なお、図5で説明したように、有彩2次色インクの色成分は、2つの有彩1次色インクの色成分に分解できる。従って、有彩2次色インクのインク量が多いほど合計インク量が小さくなる。また、本実施例の仮の分版インク量セットPは、入力色Iと同じ再現色を再現することが可能な分版インク量セットのうちで合計インク量が最小のものなので、一意に決定される。但し、後述する他の実施例から理解できるように、仮の分版インク量セットPは、他の条件に従って決定することも可能である。
ステップS520では、この仮の分版インク量セットP(Cp,Mp,Yp,Rp,Vp)に基づいて、最終的な分版インク量セットO(Co,Mo,Yo,Ro,Vo)が決定される(詳細は後述する)。ステップS530では、ルックアップテーブルを作成するために必要とされるすべての再現色についてステップS510,S520の処理が終了したか否かが判定され。そして、すべての再現色についての処理が終了するまでステップS510,S520の処理が繰り返される。
図9は、ステップS520の詳細手順を示すフローチャートである。ステップS600では、仮の分版インク量セットPから2つの有彩2次色インクR,Vにそれぞれ対応する残余インク量RES_R、RES_Vを決定する。残余インク量は、有彩2次色インク以外のインクのインク量の合計値である。次のステップS610では、残余インク量RES_R、RES_Vを用いて、2つの有彩2次色インクR,Vの候補インク量Rtmp,Vtmpを決定する。
図10(a)〜(e)は、有彩2次色インクの使用率と、他のインクのインク量との関係を説明する説明図である。図10(a)〜(e)の例では、説明を簡略化して行うために、有彩1次色インクとしてシアンインクCとマゼンタインクMの2種類が利用可能であり、有彩2次色インクとしてバイオレットインクVの1種類が利用可能であるものとしている。
図10(a)は、シアンインクCとマゼンタインクMとを用いて再現することが可能な色相の範囲を示す説明図である。バイオレットインクVは、シアンインクCとマゼンタインクMとの間の色相を有している。また、図10(a)には、2つの色ColA、ColBが示されている。2つの色ColA、ColBは、バイオレットインクVとシアンインクCとの間の色相を有している。色ColAはバイオレットインクVに近い色相を有する色である。色ColBは、色ColAの色相を、よりシアンインクCに近づくように調整した色である。
図10(b)は、色ColAを再現するための3つのインクC、M、Vのインク量の一例を示している。色ColAは、バイオレットインクVに近い色相を有しているので、バイオレットインクVを多く用いることによって再現することが可能である。また、色ColAは、バイオレットインクVとシアンインクCとの間の色相を有しているので、シアンインクCを用いることによって再現することが可能である。図10(b)の例では、シアンインクCが2、マゼンタインクMが0、バイオレットインクVが20である。ここで、CMVの各色のインク量は0〜100の範囲の値を取り得ることとしている。インク量=0はインク量がゼロであることを意味し、インク量=100はベタ領域を再現するときのインク量を意味している。
バイオレットインクVは、シアンインクC、マゼンタインクMと比べて彩度および濃度が高いという特徴がある。従って、明るい領域においては、図10(b)のようにバイオレットインクVを積極的に用いると、そのインクドットが目立ちやすく、粒状性の向上を十分に図ることができない可能性がある。
図10(c)は、色ColAを再現するための3つのインクC、M、Vのインク量の別の例を示している。図10(b)の例との差異は、バイオレットインクVのインク量が少なく、シアンインクCとマゼンタインクMのインク量が多い点である。具体的には、シアンインクCが11、マゼンタインクMが9、バイオレットインクVが11である。
ここで、シアンインクCとマゼンタインクMとの等量の混色は、等量のバイオレットインクVとほぼ同じ色相と彩度を再現することが可能であるものとする。すなわち、バイオレットインクVに対する置換インク量が、シアンインクC=1、マゼンタインクM=1である。図10(c)の例は、図10(b)のインク量を基に、インク量=9のバイオレットインクVを、インク量=9のシアンインクCとインク量=9のマゼンタインクMとに置換して得られるインク量の組み合わせである。従って、図10(c)の例は、図10(b)の例とほぼ同じ色ColAを再現することができる。なお、置換インク量に従ってインク量を置換することによって得られるインク量の組み合わせには無数のものがあり得る。これらの複数の組み合わせのなかで、図10(b)の例はバイオレットインクVのインク量が最大となる組み合わせを示している。
ところで、図10(c)のようにバイオレットインクVのインク量を減らせば、他の複数のインクC、Mのインク量が増加するので、バイオレットインクVのインクドットを目立ちにくくすることができる。ここで、他のインクC、Mのインク量の合計値がバイオレットインクVのインク量の倍以上であれば、バイオレットインクVのインクドットが目立ちにくくなるものと仮定する。すると、図10(c)に示すように、バイオレットインクVのインク量の使用率(この例では、最大値に対するインク量の割合)を55%(=11/20)に設定すれば、粒状性を向上させることが可能となる。
図10(d)は、色ColBを再現するための3つのインクC、M、Vのインク量の一例を示している。色ColBは、色ColAと比べて色相がシアンインクCに近いので、バイオレットインクVを積極的に用いる場合でも、シアンインクCが比較的多く用いられる。図(d)の例では、シアンインクCが10、マゼンタインクMが0、バイオレットインクVが15である。なお、この例は、図10(b)と同様に、バイオレットインクVのインク量が最大となる組み合わせを示している。
図10(d)の例では、バイオレットインクV以外のインクのインク量の合計値(10)が、バイオレットインクVのインク量の倍の値(30)よりも小さい。従って、明るい領域においては、バイオレットインクVのインクドットが目立ちやすく、粒状性の向上を十分に図ることができない可能性がある。
図10(e)は、色ColBを再現するための3つのインクC、M、Vのインク量の別の例を示している。図10(d)の例との差異は、バイオレットインクVのインク量が少なく、シアンインクCとマゼンタインクMのインク量が多い点である。具体的には、シアンインクCが15、マゼンタインクMが5、バイオレットインクVが10である。これらのインク量は、図10(d)のインク量を基に、インク量=5のバイオレットインクVを、インク量=5のシアンインクCとインク量=5のマゼンタインクMとに置換して得られるインク量の組み合わせである。
図10(e)の例では、バイオレットインクV以外のインクC、Mのインク量の合計値(20)がバイオレットインクVのインク量(10)のほぼ倍である。従って、色ColBに関しては、バイオレットインクVのインク量の使用率を67%(=10/15)とすれば、粒状性を向上させることができる。
このように、色相が比較的有彩2次色インクに近い色ColAに関しては、有彩2次色インクを積極的に用いて再現すると、他のインクのインク量が小さくなる。従って、粒状性の向上を図るためには、有彩2次色インクの使用率を小さくすることが好ましい。一方、色相が比較的有彩1次色インクに近い色ColBに関しては、有彩2次色インクを積極的に用いて再現しても、他のインクのインク量が比較的大きい値に維持される。従って、有彩2次色インクの使用率を比較的大きな値に設定しても、粒状性の向上を図ることができる。また、有彩2次色インクの使用率を比較的大きな値に設定すれば、小さい使用率に設定したときと比べて、全てのインク量の合計値を小さくすることができるので、インクを節約することができる。
ところで、有彩2次色インクの使用率と色相との関係は、有彩2次色インクの使用率と有彩2次色インク以外のインクのインク量との関係に置き換えて考えることができる。図10(a)〜(e)に示すとおり、色相が有彩1次色インクに比較的近いときには、有彩2次色インクのインク量を大きくしても、他のインクのインク量は比較的大きい値に維持される。一方、色相が有彩2次色インクに比較的近いときには、有彩2次色インクのインク量を大きくすると、他のインクのインク量が比較的小さくなる。そこで、他のインクのインク量が大きいときに、有彩2次色インクの使用率を大きくし、他のインクのインク量が小さいときに、有彩2次色インクの使用率を小さくすれば、色相に応じて適切に粒状性を向上させることができる。
以上説明した有彩2次色インクの使用率と他のインクのインク量との関係は、インクの種類が増えた場合にも同様に考えることができる。この場合も、他のインクのインク量が小さいときの有彩2次色インクの使用率を、他のインクのインク量が大きいときの使用率よりも小さくすることが好ましい。こうすれば、明るい領域での粒状性の向上を図るとともに、インクを節約することができる。
図9のステップS600では、各有彩2次色インクR、Vに対応する残余インク量RES_R、RES_Vを算出する。本実施例では、残余インク量RES_R、RES_Vは、図8のステップS510で算出された仮の分版インク量セットPに含まれる各インク量を用いて、以下の式で表される。
Figure 2008302699
数式中、Cp、Mp、Yp、Rp、Vpは、仮の分版インク量セットPに含まれる各インクのインク量である。レッドインクRに対応する残余インク量RES_Rは、レッドインクR以外の各インクのインク量の合計値である。バイオレットインクVに対応する残余インク量RES_Vは、バイオレットインクV以外の各インクのインク量の合計値である。
次に、ステップS610では、残余インク量RES_R、RES_Vと、仮の分版インクセットPとから有彩2次色インクR,Vの候補インク量Rtmp,Vtmpを決定する。図11(a)は、レッドインクRの仮の分版インク量Rpから候補インク量Rtmpを求めるためのグラフを示している。グラフL10は、比較的大きい残余インク量RES_R10に対応するグラフであり、グラフL20は、比較的小さい残余インク量RES_R20に対応するグラフである。例えば、グラフL10は、図10(d)(e)の場合に相当し、グラフL20は、図10(b)(c)の場合に相当する。
以下、グラフL10を例に、候補インク量Rtmpと仮の分版インク量Rpとの関係について説明する。仮の分版インク量Rpがゼロから第1の値Rs10に至るまでの第1の範囲R1では、候補インク量Rtmpはゼロに設定される。また、仮の分版インク量Rpが第1の値Rs10から第2の値Re10に至るまでの第2の範囲R2では、候補インク量Rtmpはゼロから直線的に上昇してゆく。但し、この第2の範囲R2では、候補インク量Rtmpは仮の分版インク量Rpよりも小さな値に維持されている。仮の分版インク量Rpが第2の値Re10以上である第3の範囲R3では、候補インク量Rtmpは仮の分版インク量Rpと等しい値に設定される。
比較的小さな残余インク量RES_R20に対応するグラフL20に関しても、グラフL10と同様に、第1の値Rs20、第2の値Re20に従って候補インク量Rtmpが設定される。ただし、第1の値Rs20は、グラフL10の第1の値Rs10よりも大きい値に設定され、第2の値Re20も、グラフL10の第2の値Re10よりも大きい値に設定される。従って、仮の分版インク量Rpが同じ値のときには、残余インク量RES_Rが比較的大きいときに、比較的大きな候補インク量Rtmpを得ることができる。
図11(b)は、仮の分版インク量Rpに対する候補インク量Rtmpの比率kを示すグラフである。残余インク量RES_R10に対応する比率k10を例に説明すると、このグラフから理解できるように、第1の範囲R1では比率k10はゼロであり、第2の範囲R2では比率k10はゼロから1まで単調増加している。また、第3の範囲R3では、比率k10は1で一定である。
残余インク量RES_R20に対応する比率k20に関しても、第1〜第3の範囲R201〜R203のそれぞれにおける比率k20の変化の仕方は、比率k10の変化の仕方と同様である。なお、仮の分版インク量Rpが同じ値のときには、残余インク量RES_Rが比較的大きいときに、比較的大きな比率kを得ることができる。
以下、仮の分版インク量Rpの変化に対する候補インク量Rtmpの変化の仕方が、図11(a)(b)のように設定される理由を、グラフL10を例に説明する。仮の分版インク量Rpが小さいときには、その再現色で再現される画像は、いわゆるハイライト領域(高明度領域)の画像である場合が多い。ところで、有彩2次色インクR,Vは、その彩度および濃度が有彩1次色インクに比べて高いという特徴がある。有彩2次色インクのドットは彩度および濃度が高いので、ハイライト領域において目立ち易く、画像の粒状性を悪化させる可能性がある。従って、ハイライト領域では有彩2次色インクのインク量が少ない方が好ましい。また、有彩2次色インクのインク量を減少させると、有彩1次色インクのインク量が増加するので、インクドットの合計数が増加する。この点からも、ハイライト領域において有彩2次色インクのインク量を少なくすることによって画像の粒状性を改善することができる。そこで、図11(a)の第1の範囲R1では、有彩2次色インクのインク量Rtmpをゼロに設定することによって、ハイライト領域において有彩2次色インクのドットが形成されないようにしている。こうすれば、ハイライト領域における画像の粒状性を大幅に改善することができる。
一方、仮の分版インク量Rpの値が大きい第3の範囲R3では、なるべく有彩2次色インクのインク量を多くして画像の彩度を高めることが好ましい。そこで、この範囲R3では、仮の分版インク量Rpをそのまま候補インク量Rtmpとして設定している。第2の範囲R2では、3つの範囲R1〜R3において候補インク量Rtmpがステップ状に変化すること無く滑らかに変化するように、候補インク量Rtmpを直線的に増加させている。なお、候補インク量Rtmpを直線的に変化させる代わりに曲線的に変化させても良い。一般には、候補インク量Rtmpを、連続的かつ単調増加するように変化させることが好ましい。
なお、ある再現色に関するレッドインクの仮の分版インク量Rpは、その再現色のレッドインク成分の濃度を意味しているので、このインク量Roはレッドインク成分に関する明度を示す指標と考えることができる。また、ある再現色に関するレッドインクの仮の分版インク量Rpが大きいときには、その再現色の明度も低い傾向にある。従って、仮の分版インク量Rpは、その再現色の明度に相関のある明度パラメータ値であると考えることが可能である。
一方、残余インク量RES_Rの変化に対する候補インク量Rtmpの変化の仕方が、図11(a)(b)のように設定される理由は、以下の通りである。残余インク量RES_Rが小さいときには、その再現色の色相が有彩2次色インクに近い場合が多い。このような再現色を、有彩2次色インクを積極的に使用して再現すると、複数の有彩1次色インクのインク量が減少するので、インクドットの合計数が減少する。その結果、明るい領域において有彩2次色インクのインクドットが目立ちやすくなり、画像の粒状性を悪化させる可能性がある。一方、残余インク量RES_Rが大きいときには、その再現色の色相が有彩2次色インクから遠い場合が多い。このような再現色を、有彩2次色インクを積極的に使用して再現しても、残余インク量RES_Rが小さいときと比べて、有彩1次色インクのインク量が比較的大きな値に維持される。その結果、インクドットの合計数が極端に小さな値とはならないので、画像の粒状性を悪化させることなく、インクの節約を図ることができる。そこで、図11(a)(b)では、明度パラメータ値Rpが同じときでも、残余インク量RES_Rが大きいときには、より大きな比率kを得ることを可能としている。こうすることによって、粒状性の向上を図るとともに、インクの節約を図ることができる。
なお、本実施例では、残余インク量RES_Rは、仮の分版インク量Rpに基づいて算出されている。従って、残余インク量RES_Rに基づいて決定された候補インク量Rtmpが仮の分版インク量Rpより大きくなると、有彩1次色インクのインク量が意図した値よりも小さくなり、明るい領域における粒状性を悪化させる可能性がある。そこで、図11(a)(b)の例では、候補インク量Rtmpを、仮の分版インク量Rpの大きさを越えない値に設定している。こうすることによって、粒状性の向上とインクの節約を図ることができる。なお、図11(b)に示す比率kは、本発明における2次色インク使用率に相当すると考えることができる。
また、2次色インク使用率kは、残余インク量RES_Rの値を取り得る範囲の一部においては、残余インク量RES_Rの変化に係わらず一定値となる場合がある。例えば、図11(b)の例では、明度パラメータ値Rp=Re10のときには、残余インク量RES_RがRES_R10より大きくなっても2次色インク使用率kは一定値1である。このとき、再現色の色相は、明るい領域においては、残余インク量RES_Rに応じて決まる有彩1次色インクに近い一部の範囲内にある。また、明度パラメータ値Rp=RS20のときには、残余インク量RES_RがRES_R20より小さくなっても2次色インク使用率は一定値0である。このとき、再現色の色相は、明るい領域においては、残余インク量RES_Rに応じて決まる有彩2次色インクに近い一部の範囲内にある。以上のように、粒状性の向上とインクの節約とを図ることによって2次色インク使用率kを決定した結果、明度パラメータ値Rpの値によっては、2次色インク使用率kが再現色の色相の範囲の一部において一定値となる場合がある。このように、色相の範囲のうちの少なくとも一部の範囲において、2次色インク使用率kが色相、すなわち、残余インク量RES_Rに基づいた可変値となっていれば、粒状性の改善とインクの節約とを図ることができる。
また、本実施例では、明度パラメータ値Rpが、残余インク量RES_Rに応じて決まる第1の値(図11(a)(b)のR1やR201)以下であるときには、2次色インク使用率kがゼロに設定される。ここで、残余インク量RES_Rが値を取り得る範囲の最大値のときの第1の値を、ゼロ以上の値(以下、第1の高明度基準値と呼ぶ)することが好ましい。こうすることによって、明度パラメータ値Rpが第1の高明度基準値より小さい最も明るい一部の範囲にあるときに、残余インク量RES_R、すなわち、再現色の色相に係わらず、2次色インク使用率kがゼロに設定される。その結果、明るい領域において有彩2次色インクが目立つことを抑制し、画像の粒状性の向上を図ることができる。このような第1の高明度基準値は、明度パラメータ値が値を取り得る範囲を0%(明)〜100%(暗)としたときに、5%以下の明るい範囲であることが好ましく、10%以下の明るい範囲であることが特に好ましく、15%以下の明るい範囲であることが最も好ましい。
また、本実施例では、明度パラメータ値Rpが第2の高明度基準値よりも小さい明るい範囲にあるときに、2次色インク使用率kが色相、すなわち、残余インク量RES_Rに基づいた可変値となることができる。ここで、第2の高明度基準値は、残余インク量RES_Rがゼロであるときの第2の値である(図示省略)。ただし、上述のとおり、明度パラメータ値Rpが第1の高明度基準値よりも小さい範囲においては、2次色インク使用率kは、残余インク量RES_Rに係わらずゼロに設定される。このように、明度パラメータ値Rpの最も明るい範囲(本実施例では、第2の高明度基準値よりも小さい範囲)のうちの少なくとも一部の範囲において、2次色インク使用率kが残余インク量RES_Rに基づいた可変値となっていれば、粒状性の改善とインクの節約とを図ることができる。
バイオレットインクVに関しても、レッドインクRと同じ方法に従って、仮の分版インク量Vpから候補インク量Vtmpが決定される。
図9のステップS610では、候補インク量ペアRtmp,Vtmpから、最終的な分版インク量ペアRo、Voが決定される。この最終分版インク量ペアRo、Voは、インクデューティ制限を満足するように、必要に応じて候補インク量ペアRtmp,Vtmpを修正することによって決定される。ここで、インクデューティ制限とは、印刷媒体の単位面積当たりに使用可能なインク量に関する制限である。インクデューティ制限としては、各インク毎の制限と、2種類のインクのインク量の合計値に対する制限と、全インクのインク量の合計値に対する制限などが含まれている。
ステップS610を実行する際には、まず、候補インク量ペアRtmp,Vtmpとともに所望の再現色を再現するために必要とされる有彩1次色インクC,M,Yの候補インク量が算出される。そして、この候補インク量セットがインクデューティ制限を満たすか否かが判断される。
図12(a)は、インクデューティ制限の許容範囲RAの例を有彩2次色インクR,Vで規定される2次元色空間上で描いたものである。この図には、仮の分版インク量ペアの座標点P(Rp,Vp)と、候補インク量ペアの座標点Prv(Rtmp,Vtmp)の例も示されている。許容範囲RAの外縁は、有彩2次色インク単独のデューティ制限で決まる境界線だけでなく、他のインクのデューティ制限から決まる境界線によっても規定されている。例えば、許容範囲RAの左下の境界線LRVM1は、マゼンタインクのインクデューティ制限に対応している。図5で説明したように、2つの有彩2次色インクR,Vはいずれもマゼンタ成分を含んでいるので、有彩2次色インクR,Vのインク量が減少すると、マゼンタインクMのインク量が増加してしまう。そこで、マゼンタインクMのデューティー制限を満たすためには、2つの有彩2次色インクR,Vのインク量が、境界線LRVM1の右上にあることが要求される。この説明から理解できるように、インクデューティ制限を満たすか否かは、インクセットを構成するすべてのインクのインク量を考慮して決定される。但し、以下では説明の便宜上、候補インク量ペアRtmp,Vtmpが許容範囲RA内にあるときには、すべてのインクデューティ制限が満たされるものとして説明する。
図12(a)のように候補インク量ペアの色座標点Prvが許容範囲RA内にある場合には、候補インク量ペアRtmp,Vtmpがそのまま最終分版インク量ペアRo、Voとして採用される。一方、図12(b)のように、候補インク量ペアの色座標点Prvが許容範囲RAの外にある場合には、インクデューティ制限を満たすように候補インク量ペアRtmp,Vtmpを修正することによって最終分版インク量ペアRo.Voを決定する。このとき、最終分版インク量ペアRo、Voの色座標点としては、2次元色空間の許容範囲RA内に存在し、かつ、候補インク量ペアの色座標点Prvに近接した点が選択される。図12(b)の例では、このような最終分版インク量ペアの色座標点として選択し得る3つの点Oa,Ob,Ocが描かれている。第1の点Oa(Ro,Vo)は、候補インク量ペアの比Rtmp:Vtmpと最終分版インク量ペアの比Ro:Voとが等しくなる点である。第2の点Obは、仮の分版インク量ペアの色座標点P(Rp、Vp)と候補インク量ペアの色座標点Prvとを結ぶ直線が、許容範囲RAの境界線と交差する点である。第3の点Ocは、許容範囲RA内において、候補インク量ペアの色座標点Prvに最も近い点である。
最終分版インク量ペアの色座標点としては、これらの3つの点Oa,Ob,Ocのいずれを選択しても良いが、特に、第1の点Oaを選択することが好ましい。この理由は、候補インク量ペアRtmp,Vtmpは、画像の粒状性を改善するための好ましいインク量として図11の関係に従って決定されているので、その比Rtmp:Vtmpを維持すれば、2つの有彩2次色インクのドットがいずれも目立ち難いという良好なバランスを保つことができ、画像の粒状性を改善できる可能性が高いからである。
なお、インクデューティ制限は画像を形成するインク量が多いときにのみ制限として機能するので、主に明度の低い画像領域(すなわち濃度の高い画像領域)において問題となる。従って、明度の高いハイライト領域ではインクデューティ制限は問題とならず、図11に示した関係で設定された候補インク量Rtmp,Vtmpがそのまま最終分版インク量Ro,Voとして採用される。従って、ハイライト領域においては有彩2次色インクR,Vのインクドットの数が少なくなるので、画像の粒状性を改善することが可能である。
図9のステップS630では、こうして得られた最終分版インク量ペアRo,Voとともに所望の再現色を再現するために必要な他のインクのインク量Co,Mo,Yoが決定される。この結果、所望の再現色を再現するための分版インク量セット(Co,Mo,Yo,Ro,Vo)が決定される。
このように、第1実施例では、有彩2次色インクR,Vのそれぞれについて、その明度パラメータ値(仮の分版インク量)Rp,Vpが小さいほど最終的な分版インク量Ro,Voが少なくなるように設定されるので、ハイライト領域において有彩2次色インクのインクドットの数が減少し、有彩1次色インクのインクドットの数が増加する。この結果、ハイライト領域における画像の粒状性が改善されるという利点がある。特に、仮の分版インク量Rp,Vpが比較的小さな値をとる第1の範囲(図11(a)の例では、範囲R1や範囲R201)では、候補インク量Rtmp,Vtmpがゼロに設定されるので、ハイライト領域では最終的な分版インク量Ro,Voもゼロに設定されて画像の粒状性が大幅に改善される。但し、この第1の範囲R1、R201において、候補インク量Rtmp,Vtmpをゼロでない比較的小さな値に設定することも可能である。
さらに、有彩2次色インクR,Vのそれぞれについて、残余インク量RES_R、RES_Vが大きいほど最終的な分版インク量Ro,Voの2次色インク使用率k(図11(b))が大きな値に設定されるので、ハイライト領域における画像の粒状性を改善するとともに、インクの節約を図ることが可能となる。
なお、インクドットの目立ち易さ(粒状性に対する影響力)は、インクの種類に応じて異なる場合がある。従って、図11(a)(b)に示すような、残余インク量RES_R、RES_Vに応じた有彩2次色インクの使用率の調整は、同一の1つの有彩1次色インクと同一の1つの有彩2次色インクとの組み合わせで色相を再現可能な色相範囲のそれぞれについて独立に行うことが好ましい。例えば、シアンインクCとバイオレットインクVとの間の色相は、シアンインクCとバイオレットインクVとの組み合わせで再現することが可能である。この色相範囲内の色は、明るいときには主にシアンインクCとバイオレットインクVとを用いて再現される。また、マゼンタインクMとレッドインクRとの間の色相は、マゼンタインクMとレッドインクRとの組み合わせで再現することができる。この色相範囲内の色は、明るいときには主にマゼンタインクMとレッドインクRとを用いて再現される。このように主に用いられるインクの種類の組み合わせに応じて独立に有彩2次色インクの使用率を設定することによって、各インクの特性に応じた粒状性の向上とインクの節約とを図ることができる。
C.分版処理の第2実施例:
図13は、第2実施例の処理手順を示すフローチャートである。前述した第1実施例では1次色表色系の入力色をそのまま再現色(再現色表色系での色)として用いていたが、第2実施例では、再現色として入力色よりも彩度の高い色を割り当てる。これが可能な理由は、再現色表色系に含まれる有彩2次色インクR,Vが、レッド色,バイオレット色に関して有彩1次色インクの混色よりも高い彩度を達成できるからである。
図13のステップS100では、使用可能なインクセットとして有彩1次色インクC、M、Yと有彩2次色インクR、Vからなるインクセットを設定している。
次に、ステップS110では、インクセットの各色のインク量の制限であるインクデューティ制限を設定する。このインクデューティ制限はインクや印刷媒体の種類に応じて設定される(詳細は後述)。
ところで、1次色表色系で表された入力色は、CMY各色のインク量の取り得る範囲(0%〜100%)を0〜255の256階調で表現した階調値(1次色階調値セット)を用いて表現されている。また、再現色表色系で表された分版インク量セットは、CMYRV各色のインク量の取り得る範囲(0%〜100%)を0〜255の256階調で表現した階調値を用いて表現されている。
図14(a)(b)は、CMY各色のインク量を基準ベクトルとして表される1次色色空間を示す説明図である。1次色表色系で表された色は1次色色空間においてCMYの階調値0〜255で表される立方体中の一点として表現される。また、この立方体は、有彩1次色インクのCMY各色のインク量が値を取り得る領域である。以下、この立方体を色立体と呼び、色立体の6つの表面のうちで、原点Wに対向する3つの表面(K(C=M=Y=100%)を取り囲む3つの表面)、を第1種の外殻面と呼ぶ。換言すれば、第1種の外殻面は、少なくとも1つの有彩1次色のインク量が100%であり、かつ、少なくとも1つの有彩1次色インクのインク量が100%よりも小さい値を有する色の点で構成されている。なお、原点Wと点Kとを結ぶ直線を無彩色線と呼ぶときに、1次色色空間中の一点と無彩色線との距離は、彩度の指標として用いることができる。また、1次色色空間中の一点を無彩色線上に垂直に投影して得られる点を投影点と呼ぶときに、原点Wと投影点との距離は、明度の指標として用いることができる。また、投影点から1次色色空間中の一点へと向かう方向は色相の指標として用いることができる。
図14(a)(b)には、Yが最大(Y=255)となる第1種の外殻面にハッチングが付されている。さらに、ハッチングが付された第1種の外殻面上に1つの色mが記されている。この色mは、図12のステップS120において最外殻有彩色mとして設定される。図14(a)(b)の例では、最外殻有彩色mはY成分が最大となる外殻面上に設定されており、そのCMY各色の階調値は、CMYの順にCm、Mm、Ymとなっている(この例では、Ym=255)。
本実施例の分版処理においては、後述するステップS130〜S150の処理を順次実行することによって、原点Wと最外殻有彩色mとを結ぶ線分上の入力色Iに対応付けられる分版インク量セット(本実施例ではCMYRV各色の階調値)を得ることができる。また、本実施例では、複数の入力色Iに対する分版処理を実行するために、複数の最外殻有彩色が準備され、各最外殻有彩色に対して一連の処理(S130〜S150)が実行される。
図13のステップS130では、さらに、インクセットのCMYRV各色のインクを利用することによって再現可能な色彩領域の外殻に位置する拡張有彩色emを求めている(図14(b))。
図15は、拡張有彩色emを算出する様子の概略を示す説明図である。図15の例では、説明を簡略化して行うために、有彩1次色インクとしてシアンインクCとマゼンタインクMの2種類が利用可能であり、有彩2次色インクとしてバイオレットインクVの1種類が利用可能であるものとしている。
図15(a)は、1次色色空間を示す説明図である。この例では、CMV各色の階調値は0〜100の範囲の値を取り得ることとしている。よって、1次色表色系で表された入力色は一辺の長さが100の正方形内の一点として表現される。この正方形は上述の色立体に相当する。また、図中には、正方形の第1種の外殻線OL1が太線で記されている。この第1種の外殻線OL1は上述の第1種の外殻面に相当する。この第1種の外殻線OL1のCが最大(C=100)となる線上には、最外殻有彩色mが設定されている。
図15(b)は、有彩1次色インクCMに加えて、有彩2次色インクVを用いることによって再現することが可能な色を1次色表色系で表現したときの各色の仮想的なインク量が値を取り得る範囲を示している。ここで、シアンインクCとマゼンタインクMの1:1の混色は、同じインク量のバイオレットインクVと、ほぼ同じ色相と彩度を再現することが可能であるものとする。すなわち、バイオレットインクVに対する置換インク量が、シアンインクC、マゼンタインクMともに1である。例えば、図15(b)の色P1は、CMの各色の階調値を100とすることによって再現することが可能な色である。また、CMの各色の階調値をVの階調値に置換してもほぼ同じ色を再現することが可能である。例えば、Vの階調値のみを100としても、すなわち、CMの各色の階調値の全てをVの階調値に置換してもほぼ同じ色を再現することが可能である。ここで、有彩2次色インクVの階調値の全てを有彩1次色インクCMの階調値に置換して得られる階調値(この例では、C=100、M=100)は、CMV各色を用いて再現される色を1次色色空間で表現するための仮想的な階調値として用いることができる。
さらに、この例では、各インクの階調値について、以下の制限が課せられている。
(条件a)各インクの階調値が80以下である。
(条件b)各インクの階調値の合計値が200以下である。
条件a、bによる階調値の制限は、以下のように説明することができる。すなわち、印刷媒体には単位面積当たりのインク吸収量に制限がある。この制限を越えた量のインクを吐出すると、吸収しきれなかったインクによって滲みが生じたり、印刷媒体が波打ったりする場合がある。そのため、利用するインク量に制限を設けるのが好ましい。このようなインク量の上限値、すなわち、階調値の上限値は、インクデューティ制限と呼ばれる。また、インクデューティ制限の適切な値は、インクの種類に応じて異なる場合がある。このような場合には、各色ごとに異なる制限値を設定することによって、印刷画像の画質をさらに向上させることができる。また、条件bのように、各色の階調値の合計値(すなわちインク量の合計値)に制限値を設けることによって、印刷媒体のインク吸収量の制限を越えた量のインクを吐出することを抑制することができる。さらに、2色の混色で再現する領域のために、任意の2つの種類のインク量の合計値に制限値を設けることも好ましく、さらに、多くの種類のインク量の合計値に制限値を設定することも好ましい。また、これらの制限値を、印刷媒体の種類に応じて変えれば、印刷画像の画質を印刷媒体の種類に応じて向上させることもできる。
このようなインクデューティ制限は、使用可能なインクCMVの各色の階調値で表現されるが、置換インク量を用いて得られるCM各色の仮想的な階調値を用いることによって1次色色空間に表現することができる。また、図15の例では、インクデューティ制限においてCMV各色の関係は線形で表されるため、1次色色空間においては、直線で表される。そのため、インクデューティ制限を満たす範囲でCMV各色のインクを用いて再現することが可能な色の領域は、各インクデューティ制限に対応する直線で囲まれた領域で表される。図15(b)において、直線LCは、C=80となる直線を示している。C軸に対して傾いているのは、バイオレットインクVを用いることによって、CM各色の仮想的な階調値をさらに大きくすることができるからである。よって、C≦80を満たす領域はこの直線LCの内側となる。また、直線LCVは、C+V=160となる直線である。この直線は、C≦80、V≦80の2つの制限から導かれるC+V≦160という制限に対応している。C+V≦160を満たす領域はこの直線LCVの内側となる。
直線LC、LCVの交点P2は、Cの階調値が160であり、Mの階調値が80である。この色P2は、Cの階調値がインクデューティ制限(条件a)を満たしていないため、CMの2色インクのみを用いる場合には再現することができない。ここで、CM各色の階調値のうちの80をVの階調値に置換する。すると、CMVの各色の階調値、すなわち、分版インク量は順に80、0、80となり、インクデューティ制限を満たすようになる。すなわち、色P2は、有彩1次色インクCMと、有彩2次色インクVとを用いることによって再現することが可能となる。
さらに、図15(b)には、インクデューティ制限に対応する以下の直線が示されている。すなわち、直線LCMVは、C+M+V=200となる直線であり、直線LMVは、M+V=160となる直線であり、直線LMは、M=80となる直線である。その結果、これらの直線で囲まれた領域A内の色が、インクデューティ制限を満たす色であり、有彩2次色インクVを用いることによって再現可能となる。すなわち、有彩2次色インクの階調値を有彩1次色インクの階調値に置換して得られる仮想的な階調値が、領域A内にあれば、有彩1次色インクと有彩2次色インクを利用して再現可能である。
これらの直線LCV、LCMV、LMVと原点Wとの距離は有彩2次色インクの置換インク量に応じて変わる値である。すなわち、置換インク量が多いほど、各インクデューティ制限に対応する直線と原点Wとの距離が大きくなる。その結果、置換インク量が多いほど、有彩1次色インクと有彩2次色インクを利用することによって再現可能となる領域が広くなる。そのため、再現可能な領域拡張の点からは、置換インク量の合計値は、1より大きいことが好ましく、1.5以上であることが特に好ましい。図15の例では、バイオレットインクVの置換インク量はCM各色ともに1としたので、置換インク量の合計値は2となる。また、図5のインクセットの例では、レッドインクRの置換インク量はCMYの順に0.0、0.71、2.86であり、合計値は3.57となる。またバイオレットインクVの置換インク量はCMYの順に0.68、2.89、0.0であり、合計値は3.57となる。2つのインクRVの置換インク量の合計値はいずれも1.5以上であるので、これらのインクR、Vを用いることによって、より広い色再現範囲を得ることができる。また、各有彩1次色インクの置換インク量の合計値が1よりも大きい場合には、有彩2次色インクは、有彩1次色インクの混色と同程度のインク量を用いることによって、より高い彩度を再現することが可能である。こうすれば、有彩1次色インクと有彩2次色インクとを利用することによって、有彩1次色インクのみで再現可能な領域よりも広い範囲の色彩を再現することが可能となる。
本明細書では、このような、インクデューティ制限を満たす領域の外殻を再現色外殻面と呼ぶ。再現色外殻面はインクセットの各インク量のための再現色表色系で表されるものであるが、有彩2次色インクの各インク量を置換インク量に従って有彩1次色インクのインク量に置換することによって、1次色表色系内に写像することができる。図15(b)の例では、領域Aの外殻を構成する外殻線OL2が、1次色色空間に写像された再現色外殻面に相当する(以後、外殻線OL2を再現色外殻線OL2と呼ぶ)。なお、V≦80の条件については、この領域A内であれば満たされているので、対応する直線の図示を省略している。
図15において、領域Aにはハッチングが付され、再現色外殻線OL2が太く表示されている。再現色外殻線OL2上には、拡張有彩色emが設定されている。拡張有彩色emは、原点Wと最外殻有彩色mとを通る線分と、再現色外殻線OL2との交点に位置する色である。すなわち、拡張有彩色emは、1次色色空間において最外殻有彩色mを表す最外殻有彩色ベクトルと同一の方向を有する最も長い拡張有彩色ベクトルで表される色であるとともに、拡張有彩色emを再現するための最外殻分版インク量セットがインクデューティ制限内である色である。
以上、説明した拡張有彩色は、インクの種類が増えた場合にも同様に設定することができる。図14(b)には、CMY各色のインク量に基づく1次色色空間に、拡張有彩色emが示されている。拡張有彩色emは、有彩1次色インクC、M、Yと有彩2次色インクR、Vを用いて得られる色である。
ここで、拡張有彩色emを1次色色空間で表現するための仮想的な階調値を、CMY各色の順にCDem、MDem、YDemとする。また、拡張有彩色emに対応する分版インク量セット(最外殻分版インク量セットに相当する)の各インク量をCMYRVの順にCem、Mem、Yem、Rem、Vemとする。すると、仮想的なCMY各色の階調値CDem、MDem、YDemは、図5(b)(c)に示す置換インク量を用いて、以下の式で表される。
Figure 2008302699
また、本実施例では、これらの最外殻分版インク量Cem、Mem、Yem、Rem、Vemが、以下に示す条件を満たすように拡張有彩色emが算出される。
(条件1)CMYRV各色の分版インク量セットがインクデューティ制限を満たす。
インクデューティ制限としては、例えば、全種類のインク量の合計値の制限や、各色単独のインク量の制限、2色を混色するためのインク量の制限等を設定することができる。
全種類のインク量の合計値の制限については、例えば、次式で表される。
Figure 2008302699
数式中、C、M、Y、R、Vは、それぞれ、CMYRV各色のインク量である(後述する他の数式でも同様である)。また、Duty_Tは、インクや印刷媒体の種類に応じて予め設定された制限値である。
各色単独のインク量の制限については、例えば、次式で表される。
Figure 2008302699
Duty_C〜Duty_Vは、インクや印刷媒体の種類に応じて各色のために予め設定された制限値である。
2色を混色する際のインク量の制限については、例えば、次式で表される。
Figure 2008302699
なお、この制限においては、任意の2つのインクの組み合わせについて制限が課せられるが、その中の6つの組み合わせについて例示している。Duty_CM〜Duty_MRは、インクや印刷媒体の種類に応じて各インクの組み合わせのために予め設定された制限値である。
なお、インクデューティ制限としては、3色の混色、4色の混色等、任意の種類のインクの組み合わせに対する制限を設定しても良い。
以上のような各インクデューティ制限(条件1)は、置換インク量を用いて得られるCMY各色の仮想的な階調値を用いて、図14に示す1次色色空間において面で表現することができる(図示せず)。これらの面で囲まれた領域は、インクデューティ制限を満たす領域である。よって、CMYRV各色のインク量で表された色のCMY各色の仮想的な階調値がこれらの面で囲まれた領域内にあれば、各インク量がインクデューティ制限を満たすことができるので、有彩1次色インクC、M、Yと有彩2次色インクR、Vを用いて再現することが可能である。また、本実施例では、有彩1次色インクC、M、Yの混色を、図5(b)(c)に示す置換インク量に基づいて、各インク量の合計値よりも少ない量の有彩2次色インクR、Vに置換することが可能である。すなわち、有彩2次色インクR、Vは、有彩1次色インクC、M、Yの混色と同程度のインク量を用いることによって、より高い彩度を再現することが可能である。その結果、有彩1次色インクCMYと有彩2次色インクRVとを利用することによって、有彩1次色インクCMYのみで再現可能な領域よりも広い範囲の色彩を再現することが可能となる。
図14(b)には、拡張有彩色emが示されている。拡張有彩色emは、インクデューティ制限(条件1)を満たす領域の外殻面、すなわち、再現色外殻面(図示せず)に位置している。また、拡張有彩色emは、原点Wと最外殻有彩色mとを通る線分上に位置する。すなわち、拡張有彩色emは、原点Wと最外殻有彩色mとを通る線分と、再現色外殻面とが交わる位置にある色である。換言すれば、拡張有彩色emは、1次色色空間において最外殻有彩色mを表す最外殻有彩色ベクトルと同一の方向を有する最も長い拡張有彩色ベクトルで表される色であるとともに、拡張有彩色emを再現するための最外殻分版インク量セットがインクデューティ制限内である色である。
このような拡張有彩色emは種々の方法を用いて算出することが可能である。例えば、1次色色空間における色を選択し、有彩1次色インクから有彩2次色インクへの置換を行って分版インク量セットを算出し、分版インク量セットがインクデューティ制限(条件1)を満足するか否かを判定する、という一連の処理を繰り返し実行することによって、逐次近似的に算出することができる。また、置換インク量やインクデューティ制限(条件1)の各式等に基づき、いわゆる線形計画法を用いて算出することもできる。この場合には、一連のステップS120〜S130(図13)が一度に実行されることとなる。
以上のように、最外殻分版インク量セットがインクデューティ制限(条件1)を満たす拡張有彩色emを算出することによって、その色を印刷したときの画質が良好な範囲内で、最外殻有彩色mと同じ方向に位置する最も階調値の大きい拡張有彩色emを得ることができる。
図13のステップS140では、入力色I(図14)に対応する仮の分版インク量セットPの算出を行う。このステップS140では、まず、拡張有彩色emに対する最外殻分版インク量セットempの算出を行う。最外殻分版インク量セットempは、上述のステップS130において拡張有彩色emを算出する際に、インクデューティ制限(条件1)を満たすか否かの判断のために既に算出されている値である。ただし、利用可能なインクの種類が多い場合には、有彩1次色インクと有彩2次色インクとの置換の自由度が高くなる。そのため、拡張有彩色emに対応する最外殻分版インク量セットempとして、インクデューティ制限(条件1)を満たす範囲において複数種類のインク量の組み合わせを選択することができる場合がある。このような場合には、本実施例では、複数の組み合わせの中から、各インク量の合計値が最も小さい組み合わせを選択して最外殻分版インク量セットempとして用いている。
次に、最外殻分版インク量セットに基づいて仮の分版インク量セットPの算出を行う。図14(c)は、入力色Iと仮の分版インク量セットPとの関係の概略を示す説明図である。本実施例では、入力色Iが示すベクトルの長さLLIと、最外殻有彩色mが示すベクトルの長さLLmの比を、最外殻分版インク量セットempに乗じることによって算出した値を、仮の分版インク量セットPとして用いる。このとき、最外殻有彩色mに対応する分版インク量セットは最外殻分版インク量セットempとなる。原点Wと最外殻分版インク量セットempとの間の色は、印刷媒体とインクセットの特定の組み合わせで再現可能である。よって、印刷媒体とインクセットの特定の組み合わせで再現可能な色の範囲を有効に利用することができる。また、このように長さLLIに比例するように仮の分版インク量セットPを算出することによって、入力色Iに対する仮の分版インク量セットPを容易に算出することができる。また、仮の分版インク量セットPは、入力色Iや長さLLI、LLmとの関係に加えて、置換インク量やインクデューティ制限(条件1)の各式等に基づき、線形計画法を用いて直接算出することもできる。この場合には、一連のステップS120〜S140(図13)が一度に実行されることとなる。なお、仮の分版インク量セットPで再現される色が、入力色Iに対応付けられた再現色(印刷媒体上に再現される色)に相当する。
図13のステップS150では、仮の分版インク量セットPに基づいて最終分版インク量セットOの算出を行う。最終分版インク量セットOは、仮の分版インク量セットPを基に、置換インク量に従って有彩1次色インクと有彩2次色インクの置換を行うことによって得られる分版インク量セットである。従って、最終分版インク量セットOで再現される色は、仮の分版インク量セットPで再現される色とほぼ一致する。ここで、有彩1次色インクと有彩2次色インクの置換は粒状性の向上とインクの節約とを考慮して実行される。最終分版インク量セット算出処理としては、上述の処理方法(図9〜図12)や、後述する種々の方法を用いることができる。
こうして、ステップS100〜S150の処理を順次実行することによって、1次色表色系で表された入力色Iに対応する再現色表色系で表された最終分版インク量セットOが算出される。このようにして得られた最終分版インク量セットOは、図6のステップS20における第2の階調値セットとして用いることができる。
図13のステップS160では、全ての入力色に対する最終分版インク量セットが算出されたか否かの判断がされる。すべての最終分版インク量セット算出が完了していない場合には、ステップS120〜S150の処理が繰り返され、完了している場合には処理を終了する。
なお、分版処理に必要な時間をより短くするためには、一連の処理を実行するための最外殻有彩色の数を制限するのが好ましい。このとき、分版処理を行いたい入力色に対応する最外殻有彩色が無い場合には、その入力色に近い複数の色の最終分版インク量セットを補間して、対応する最終分版インク量セットを求めることができる。また、このとき、最外殻有彩色を、最外殻有彩色と原点Wとを結ぶ直線が色立体中の全範囲に分布するように、予め複数準備するのが好ましい。こうすることによって、色立体中の特定の領域において、分版インク量セットの補間誤差が大きくなることを抑制することができる。
以上のように、本実施例では、拡張有彩色emおよび最外殻分版インク量セットの決定が、以下の3つの条件、
(i)最外殻分版インク量セットがインクデューティ制限内である、
(ii)インクセットで再現可能な範囲で拡張有彩色ベクトルの長さが最も長くなる、
(iii)拡張有彩色emを再現するための最外殻分版インク量セットのインク量の合計が最も少なくなる、
を満たすように実行されている。なお、これら全ての条件を満たしていなくても、拡張有彩色emが最外殻有彩色mよりも彩度が高い色であれば、色再現範囲を拡張することができる。例えば、条件(ii)を満たしておらず、拡張有彩色ベクトルが最長でない場合でも、最外殻有彩色ベクトルよりも長くなるように構成されていれば、色再現範囲を拡張することができる。
また、色再現範囲をより広い色相範囲において拡張するためには、より広い色相範囲において、拡張有彩色ベクトルが最外殻有彩色ベクトルよりも長くなるようにすることが好ましい。ここで、拡張有彩色ベクトルを延長することができる色相の範囲は、使用可能な有彩2次色インクの色相に応じて変わる範囲である。有彩2次色インクは、そのインクの色相に近い色相を有する領域の色再現範囲を拡張することができる。そのため、互いに色相の異なるより多くの種類の有彩2次色インクを使用可能とすることによって、より広い色相範囲において、拡張有彩色ベクトルが最外殻有彩色ベクトルよりも長くなるようにすることができる。
以上説明したように、本実施例では、有彩1次色インクと有彩2次色インクとを用いて再現することが可能な色彩の範囲を有効に利用した分版処理を行っている。そのため、色再現範囲を拡張させた印刷を行うことができる。また、原点と最外殻有彩色とを結ぶ直線と再現色外殻面との交点に位置する拡張有彩色に基づいた分版処理を行っているので、使用可能なインクの種類が増えた場合でも、容易に分版処理結果を得ることができる。
D.最終分版インク量セット算出処理の実施例:
D1.最終分版インク量セット算出処理の第1実施例:
この最終分版インク量セット算出処理では、最終分版インク量セットOを、入力色Iに対する仮の分版インク量セットPを用いて算出する。最終分版インク量セットOは、インクデューティ制限(条件1)を満たす範囲において、仮の分版インク量セットPとほぼ同じ色を再現するように算出される。仮の分版インク量セットPとほぼ同じ色を再現するために、仮の分版インク量セットPの各インク量を、置換インク量に従って置換することによって得られるインク量の組み合わせが、最終分版インク量セットOとして用いられる。ここで、インク置換の自由度は、使用可能なインクの種類が多いほど高くなる。よって、最終分版インク量セットOとして用いることが可能なインク量の組み合わせが複数存在する場合がある。このような場合には、画像の粒状性の向上とインクの節約を考慮して最終分版インク量セットOの算出が行われる。
図16は、本実施例の最終分版インク量セット算出の処理手順を示すフローチャートである。図9に示す処理との差異は、残余インク量RES_R2、RES_V2と、候補インク量Rtmp、Vtmpとを、有彩2次色インクR、Vを最大限に使用したときの最大インク量Rmax、Vmaxに基づいて決定している点である。
最初のステップS300では、2つの有彩2次色インクR、Vのそれぞれに対応する2次色最大分版インク量セットPrmax(Crmax,Mrmax,Yrmax,Rmax,0)、Pvmax(Cvmax,Mvmax,Yvmax,0,Vmax)を算出している。これらの2次色最大分版インク量セットPrmax、Pvmaxは、仮の分版インク量セットPの各インク量を、置換インク量に従って置換することによって得られる分版インク量セットである。
レッドインクRに対応する2次色最大分版インク量セットPrmaxに含まれるレッドインクRのインク量Rmaxは、仮の分版インク量セットPの各インク量を置換インク量に基づいてレッドインクRのインク量に置換したときの、レッドインクRのインク量が取り得る最大値である。なお、本実施例においては、最大インク量Rmaxはインクデューティ制限を考慮しない場合の最大値である。よって、レッドインクRの最終分版インク量が実際に取り得る値の最大値は、最大インク量Rmaxよりも小さくなる場合もある。この代わりに、インクデューティ制限を考慮した最大値を用いることもできる。
このように、レッドインクRのインク量を最大値Rmaxとしたときでも、バイオレットインクVと有彩1次色インクC、M、Yとのインク量の組み合わせが複数存在する場合がある。このような場合には、本実施例では、複数の組み合わせの中から、他の有彩2次色インク(本実施例ではバイオレットインクV)のインク量をゼロとする組み合わせを選択して、2次色最大分版インク量セットPrmaxとして用いている。
バイオレットインクVに対応する2次色最大分版インク量セットPvmaxに関しても、レッドインクRの2次色最大分版インク量セットPrmaxと同様に算出される。
次のステップS310では、2次色最大分版インク量セットPrmax、Pvmaxのそれぞれから、有彩2次色インクR,Vにそれぞれ対応する残余インク量RES_R2、RES_V2を決定している。本実施例では、残余インク量RES_R2、RES_V2は、ステップS300で得られた2次色最大分版インク量セットPrmax、Pvmaxに含まれる各インク量を用いて、以下の式で表される。
Figure 2008302699
数式中、Crmax、Mrmax、Yrmaxは、2次色最大分版インク量セットPrmaxに含まれるCMY各色のインク量であり、Cvmax、Mvmax、Yvmaxは、2次色最大分版インク量セットPvmaxに含まれるCMY各色のインク量である。係数krc、krm、kry、とkvc、kvm、kvy、とは、CMYRV各色に対応して予め設定された係数である。このように、残余インク量RES_R2は、レッドインクR以外の各インク量の重み付き合計値であり、残余インク量RES_V2は、バイオレットインクV以外の各インク量の重み付き合計値である。前述した数式1は、各インクの係数を全て1にしたものである。ただし、残余インク量としては、対応する有彩2次色インク以外のインクのインク量に関する他の関数で表すことができる。一般には、残余インク量は、対応する有彩2次色インク以外のインクのインク量の大きさに関するパラメータ値であればよい。
これらの係数krc〜kry、kvc〜kvyは、有彩2次色インクのドットの目立ち易さに対する影響力に応じて決定される。インクドットの反射濃度が大きいインクは、少ないインク量で有彩2次色インクのドットを目立ちにくくすることができる。従って、反射濃度が大きいインクほど、大きい係数が設定されることが好ましい。また、有彩2次色インクとの色の見えの差が小さいインクほど、少ないインク量で有彩2次色インクのドットを目立ちにくくすることができるので、大きい係数が設定されることが好ましい。
ここで、複数種類のインクのインクドットの反射濃度を比較する場合には、同一の印刷媒体に等量ずつインクを吐出し、それぞれについて濃度計を用いて濃度を測定するという方法を用いることができる。また、色の見えを比較する場合には、同一の印刷媒体に等量ずつインクを吐出し、それぞれについて測色計を用いて測色し、得られた測色結果から色差(例えば、L*a*b*表色系における色差ΔE)を求めるという方法を用いることができる。なお、後述するように、これらの係数krc〜kry、kvc〜kvyは、官能評価に基づいて決定することもできる。
次のステップS320では、有彩2次色インクR、Vの候補インク量Rtmp、Vtmpを設定している。図17(a)は、候補インク量Rtmpと最大インク量Rmaxとの関係を示すグラフである。図17(b)は、最大インク量Rmaxに対する候補インク量Rtmpの割合k(本発明における2次色インク使用率に相当する)と、最大インク量Rmaxとの関係を示すグラフである。
本実施例では、図17(a)に示すように、最大インク量Rmaxが小さいほど候補インク量Rtmpが小さくなるように構成されている。また、図17(b)に示すように、最大インク量Rmaxに対する候補インク量Rtmpの割合kが、最大インク量Rmaxが小さいほど小さくなるように構成されている。また、この例では、最大インク量Rmaxの大きさを判断するための2つの値Rstart、Rendが設定されている。Rmax≦Rstartとなる第1の範囲R11においては、Rtmp=0(k=0)に設定されている。Rend≦Rmaxとなる第3の範囲R13においては、Rtmp=Rmax(k=1)に設定されている。Rstart<Rmax<Rendとなる第2の範囲R12においては、候補インク量Rtmpが直線的に変化するように設定されている。
候補インク量Rtmpに関するこのような設定は以下のように理解することができる。有彩2次色インクは複数の有彩1次色インクと置換可能である。よって、有彩2次色インクを積極的に用いると、置換インク量に従って複数の有彩1次色インクのインク量が減るため、印刷媒体に記録されるインクドット数の合計が少なくなる。一方、有彩1次色インクの混色を積極的に用いると、インクドット数の合計が多くなる。このような、インク量の組み合わせによって異なるインクドット数の差異は、特に、有彩1次色インクの混色を、各インク量の合計値よりも少ない量の有彩2次色インクに置換することが可能な場合に顕著となる。また、再現する領域の粒状性(画像のざらつき)はインクドットの数が少ないほど目立ちやすい。そのため、インク量、すなわち、インクドット数が少ない領域ほど、有彩2次色インクの代わりに有彩1次色インクの混色を用いてインクドット数を増やすことが、粒状性の向上の点で好ましい。図17の例では、割合kが、最大インク量Rmaxが小さいほど小さくなるように構成されている。よって、レッドインクRのインク量を候補インク量Rtmpと同程度の小さい値とすることによって、再現する領域の粒状性の向上を図ることができる。
また、図17の例では、第1の範囲R11において、Rtmp=0に設定されている。すなわち、特に明るい領域においては、候補インク量Rtmpは、有彩2次色インクを用いずにインクドット数を最大限に増やすような値(すなわちゼロ)に設定されている。このように、レッドインクRのインク量をゼロにすることによって、レッドインクRのインクドットが目立つことを抑制することができる。
ここで、第1の値Rstartは、この値以上のインク量であれば、レッドインクRを用いてもインクドットが目立ちにくくなるインク量を意味する。レッドインクRのドットの目立ちにくさは、残余インク量RES_R2に応じて変化する。残余インク量RES_R2が大きいほど、レッドインクRのドットが目立ちにくくなるので、レッドインクRのインク量を増やすことが可能となる。そこで、本実施例では、Rstartを以下の式に基づいて設定することによって、RES_R2が大きいほど、Rstartを小さくしている。
Figure 2008302699
数式中、Crsは、予め設定された定数である。このような定数Crsと、残余インク量RES_R2のための係数krc〜kry(数式6)は、例えば、以下のような官能評価に基づいて設定することができる。まず、単位面積当たりのレッドインクRのインク量(以下、指標レッドインク量と呼ぶ)が0〜100%に変化するグラデーションパターンを、マゼンタインクMとイエロインクYの混色によって再現する。さらに、そのパターン中に、レッドインクRのインクドットを適当な間隔で印字する。指標レッドインク量の少ない範囲においては、レッドインクRのドットが目立ちやすいが、指標レッドインク量の多い範囲においては、レッドインクRのドットが目立ちにくくなる。このような、ドットが目立ちにくくなり始める指標レッドインク量(以下、第1の境界レッドインク量と呼ぶ)を定数Crsとして用いることができる。
さらに、係数krc〜kryに関しては、以下のように設定することができる。指標レッドインク量に基づくマゼンタインクMとイエロインクYとの混色に、シアンインクCを一定量追加して得られるグラデーションパターンを再現する。このとき、シアンインクCのインク量を大きくするほど、第1の境界レッドインク量が小さくなる。このときの、シアンインクCのインク量の変化に対する第1の境界レッドインク量の変化を、係数krcとして用いることができる。他の係数krm、kryに関しても、各インクのインク量を一定量追加して得られるグラデーションパターンを用いて、同様に求めることができる。
また、図17の例では、第3の範囲R13において、Rtmp=Rmaxに設定されている。すなわち、特にインク量が多い範囲においては、候補インク量Rtmpは、レッドインクRを積極的に用いる値(すなわち最大インク量Rmax)に設定されている。このように、レッドインクRのインク量を大きい値とすることによって、使用するインク量の合計を少なくすることができる。その結果、インクの使用量を節約し、さらに、印刷媒体が波打ったりすることを抑制することができる。
ここで、第2の値Rendは、この値以上のインク量であれば、レッドインクRによる粒状性と、他のインクの混色による粒状性とが変わらなくなり始めるインク量を意味する。暗い領域や彩度が高い領域においては、レッドインクRのインク量を大きい値に設定しても、レッドインクのドットの数が多くなるので、各ドットが目立ちにくい。また、残余インク量RES_Rが大きければ、さらにレッドインクRのドットが目立ちにくくなるので、レッドインクRのインク量をさらに増やすことが可能となる。そこで、本実施例では、Rendを以下の式に基づいて設定することによって、RES_R2が大きいほど、Rendを小さくしている。
Figure 2008302699
数式中、Creは、予め設定された定数である。このような定数Creは、例えば、以下のような官能評価に基づいて設定することができる。まず、単位面積当たりのレッドインクRのインク量(指標レッドインク量)が0〜100%に変化するグラデーションパターンを、マゼンタインクMとイエロインクYの混色によって再現する。同様に、指標レッドインク量が0〜100%に変化するグラデーションパターンを、レッドインクRを用いて再現する。指標レッドインク量が少ない範囲においては、混色によるグラデーションパターンの方が、インクドット数が多いので粒状性が良い。指標レッドインク量が大きい範囲においては、2つのグラデーションパターンともにインクドット数が多くなるので、粒状性の差が目立たなくなる。このような、2つのグラデーションパターンを比較し、両者の粒状性が変わらなくなり始める指標レッドインク量(以下、第2の境界レッドインク量と呼ぶ)を、定数Creとして用いることができる。
さらに、残余インク量RES_R2のための係数krc〜kryに関しては、以下のように設定することができる。例えば、係数krcを決定するときには、指標レッドインク量に基づくマゼンタインクMとイエロインクYの混色と、指標レッドインク量に基づくレッドインクRとのそれぞれに、シアンインクCを一定量追加して得られる2つのグラデーションパターンを再現する。これらのパターンを比較したときの第2の境界レッドインク量は、追加したインク量が大きいほど小さくなる。このときの追加したインク量の変化に対する第2の境界レッドインク量の変化を係数krcとして用いることができる。他の係数krm、kryに関しても、同様に決定することができる。
なお、本実施例では、係数krc〜kry、すなわち、残余インク量RES_R2は、第1と第2の値Rstart,Rendに対して共通に用いられる。各インクC、M、Yの第1と第2の値Rstart、Rendに対する影響力が異なる場合には、第1と第2の値Rstart、Rendに対して、独立して残余インク量RES_R2を設定することが好ましい。
また、第1と第2の値Rstart、Rendに対する影響力が小さいインク、すなわち、インク量を増やしても有彩2次色インクのドットの目立ちやすさを抑制することができないインクを用いる場合には、そのインクの係数をゼロとすることが好ましい。例えば、イエロインクYのインクドットの反射濃度が薄く、インク量を増やしてもレッドインクRのドットの目立ち易さが変わらないときには、イエロインクYの係数kryをゼロに設定することが好ましい。こうすることによって、再現色の色相がイエロインクYに近いときでも、レッドインクRの使用率(割合k)が大きくならないので、レッドインクRのドットが目立ってしまうことを抑制することができる。また、再現色の色相がマゼンタインクMに比較的近いときには、レッドインクRの使用率(割合k)が比較的大きな値に設定されるので、インクを節約することができる。また、イエロインクYのインク量を増やしても、バイオレットインクVのドットの目立ち易さが変わらないときにも、同様に、係数kvyをゼロに設定することができる。このとき、再現色の色相がシアンインクCやマゼンタインクMに比較的近いときには、バイオレットインクVの使用率が比較的大きな値に設定されるので、インクを節約することができる。但し、係数kry、kvyをゼロでない比較的小さな値に設定することも可能である。
以上のように、第1と第2の値Rstart、Rendを設定することによって、最大インク量Rmaxが同じ値のときには、残余インク量RES_R2が比較的大きいときに、比較的大きな使用率kを得ることができる。さらに、残余インク量RES_R2は、インクの特性を考慮して決定される値である。従って、インクの特性に応じて適切に粒状性の向上を図ることができる。また、残余インク量RES_R2が比較的大きいときには、使用率kが比較的大きくなるので、有彩2次色インクのインク量を大きくし、複数の有彩1次色インクのインク量を小さくすることができる。従って、インクの特性に応じて適切にインクの節約を図ることができる。また、本実施例では、使用率kは、有彩2次色インクを最大限に使用したときの最大インク量に基づいて算出される値である。従って、有彩2次色インクのインク量が値を取り得る範囲を有効に利用して有彩2次色インクのインク量を決定することができる。
なお、最大インク量Rmaxは、入力色Iの明るさを意味する指標値、すなわち、再現色の明度に相関のある明度パラメータ値と考えることもできる。明るい領域においては、その色を再現する各色のインク量が少なくなる。よって、レッドインクRの最大インク量Rmaxも小さくなる。一方、暗い領域においては、その色を再現する各色のインク量が多くなる。よって、レッドインクRを用いている領域においては、その最大インク量Rmaxも大きくなる。すなわち、最大インク量Rmaxは、小さいほどその領域の明るさが明るく、大きいほどその領域が暗いことを示している。よって、図16に示す候補インク量Rtmpと割合kは、入力色Iの明るさが明るい程小さくなるように設定されていると考えることもできる。
また、候補インク量Rtmpは、最大インク量Rmaxの全範囲において連続的に変化するように構成されている。こうすることによって、インク量が連続的に変化するグラデーション領域において、各色成分のインク量が急激に変化し、その境界が目立つことを抑制することができる。なお、候補インク量Rtmpは、最大インク量Rmaxに対して直線的に変化する構成に限定されることなく、例えば、曲線を用いて滑らかに変化する構成としてもよい。
図17の例ではレッドインクRの候補インク量Rtmpを算出しているが、他の種類の有彩2次色インクについても同様に候補インク量を算出することができる。いずれの場合も、最大インク量が少ないほど、最大インク量に対する候補インク量の割合が小さくなるように構成されることが好ましい。こうすることによって、有彩2次色インクの代わりに有彩1次色インクを積極的に用いてインクドットの数を増加させることができるので、粒状性の向上を図ることができる。
このとき、残余インク量が比較的小さいときに、2次色インク使用率が小さくなるように構成することが好ましい。こうすることによって、粒状性の向上を図るとともに、インクの節約を図ることができる。
図16のステップS330では、上述のステップS320で設定した有彩2次色インクR、Vの候補インク量Rtmp、Vtmpに基づいて、有彩2次色インクR、Vの最終分版インク量Ro、Voの算出を行う。上述したように、候補インク量Rtmp、Vtmpは、主として粒状性とインクの節約を考慮して算出されたインク量である。よって、Rtmp、Vtmpを用いるインク量の組み合わせは、インクデューティ制限(条件1)を満たしていない場合がある。また、候補インク量Rtmp、Vtmpを用いると、図13のステップS140で得られた仮の分版インク量セットPで再現される色を再現できない場合もある。この場合には、この再現色が達成できるように、インク量を修正する必要が生じる。ステップS330では、これらの制限を満たす範囲において、候補インク量Rtmp、Vtmpに近いインク量を、最終分版インク量Ro、Voとして用いる。
図18は、最終分版インク量ペアの色座標点Prv(Ro、Vo)を算出する様子の概略を示す説明図である。図18(a)〜(d)は、RV各色のインク量を基準ベクトルとして表される2次元色空間を示している。横軸はレッドインクRのインク量を示し、縦軸はバイオレットインクVのインク量を示している。レッドインクRとバイオレットインクVとのインク量の組み合わせは、図中の一点として表現される。
図18(a)は、最終分版インク量Ro、Voが値を取り得る範囲を示す説明図である。最終分版インク量Ro、Voは以下の条件を満たす許容範囲内において設定される。
(条件1b)CMYRV各色の最終分版インク量が、インクデューティ制限を満たす。
(条件2b)CMYRV各色の最終分版インク量が、仮の分版インク量セットPから置換インク量(図5)に基づいてインクを置換することによって得ることができるインク量の組み合わせである。
(条件3b)候補インク量が仮の分版インク量よりも小さい色成分については、最終分版インク量を仮の分版インク量以下とする。
「条件1b」は、上述の「条件1」と同じである。また、これらの条件は、図17(a)において線で表すことができる。よって、許容範囲はこれらの各条件に対応する線で囲まれた領域で表すことができる。図18(a)の例では、説明を簡略化して行うために、以下に説明する5つの直線LR〜LRVM2で囲まれた領域が許容範囲RAであるものとしている。
直線LRは、レッドインクRの上限値に対応する直線である。レッドインクRのインク量は、置換インク量(図5)に応じて各インクを置換することによって増やすことが可能である。ただし、その上限値は、レッドインクRのインクデューティ制限と、仮の分版インク量セットPと置換インク量とで決まるレッドインクRの最大インク量との制限を受ける。直線LRは、これらの制限を共に満たす上限値に対応している。
直線LVは、バイオレットインクVの上限値に対応する直線である。この直線の意味は、上述の直線LRと同様である。
直線LVCは、バイオレットインクVの下限値に対応する直線である。バイオレットインクVのインク量は、2つの有彩1次色インクC、Mに置換することによって減らすことが可能であるが、その代わり、有彩1次色インクのインク量が増加する。従って、バイオレットインクVの下限値は、有彩1次色インクのインクデューティ制限によって制限を受ける。直線LVCは、この制限を満たす下限値に対応している。
直線LRVM1は、2つのインクR、Vに共通の下限値に対応する直線である。レッドインクRとバイオレットインクVのインク量は、ともに、2つの有彩1次色インクに置換することによって減らすことが可能である。その代わり、これらのインクR、Vに共通する主成分1次色インク(図5(b)(c)、この例ではマゼンタインクM)のインク量が増加することになる。マゼンタインクMのインク量は、マゼンタインクMのインクデューティ制限と、仮の分版インク量セットPと置換インク量とで決まるマゼンタインクMの最大インク量との制限を受ける。よって、2つのインクR、Vのインク量の下限値は、マゼンタインクMのインク量の上限値を、互いに分け合うことが可能な範囲に制限される。この制限においては、2つのインクR、Vの下限値は互いに反比例する。直線LRVM1は、このようにして決まる2つのインクR、Vの下限値に対応している。
直線LRVM2は、2つのインクR、Vに共通の上限値に対応する直線である。レッドインクRとバイオレットインクVのインク量は、ともに、2つの有彩1次色インクを置換することによって増やすことが可能である。その代わり、これらのインクR、Vに共通する主成分1次色インク(マゼンタインクM)のインク量が減少することになる。よって、2つのインクR、Vのインク量の上限値は、マゼンタインクMの最大インク量を、互いに分け合うことが可能な範囲に制限される。この制限においては、2つのインクR、Vの上限値は互いに反比例する。直線LRVM2は、このようにして決まる2つのインクR、Vの上限値に対応している。
さらに、本実施例では、有彩2次色インクの各色成分のうち、候補インク量が仮の分版インク量よりも小さい色成分については、最終分版インク量を仮の分版インク量以下とする制限(条件3b)を課している。例えば、レッドインクRの候補インク量Rtmpが、仮の分版インク量Rpよりも小さい場合には、最終分版インク量Roが仮の分版インク量Rp以下の値となるように制限する。候補インク量が小さいということは、その色成分のインク量を小さく調整することが粒状性向上の点で好ましいことを意味している。また、仮の分版インク量セットに基づき置換インク量に従って各色のインク量を置換して得られる複数の分版インク量セットの中では、有彩2次色インクのインク量が少ない分版インク量セットほど、インクドット数の合計が多くなるので、粒状性が目立ちにくくなる。従って、候補インク量が仮の分版インク量よりも小さい色成分については、最終分版インク量を仮の分版インク量よりも大きくすることを抑制している。
図16のステップS330では、このようにして得られる許容範囲RA内において、候補インク量ペアの色座標点Prv(Rtmp、Vtmp)に近いインク量の組み合わせを、最終分版インク量Ro、Voとして用いる。以下、許容範囲RAと候補インク量ペアの色座標点Prv(Rtmp、Vtmp)との関係を3つの場合に分けて、最終分版インク量Ro、Voの算出の説明を行う。
(場合1):候補インク量ペアの色座標点Prvが許容範囲RA内にある。
(場合2):候補インク量ペアの色座標点Prvが許容範囲RA外にあり、かつ、原点Wと候補インク量ペアの色座標点Prvを結ぶ直線が許容範囲RA内を通る。
(場合3):候補インク量ペアの色座標点Prvが許容範囲RA外にあり、かつ、原点Wと候補インク量ペアの色座標点Prvを結ぶ直線が許容範囲RA内を通らない。
(場合1):
図18(b)は、候補インク量ペアの色座標点Prvが、許容範囲RA内にある場合を示している。この場合には、候補インク量Rtmp、Vtmpを、そのまま、最終分版インク量Ro、Voとして用いる。こうすることによって、粒状性の向上の点で好ましい最終分版インク量Ro、Voを算出することができる。なお、図18(b)の例では、バイオレットインクVの候補インク量Vtmpが、仮の分版インク量Vpよりも小さいので、Vo≦Vpの範囲が許容範囲RAとなる。
(場合2):
図18(c)は、候補インク量ペアの色座標点Prvが、許容範囲RA外にあり、かつ、原点Wと候補インク量ペアの色座標点Prvとを結ぶ直線LPが、許容範囲RA内を通る場合を示している。この場合には、直線LPと許容範囲RAの境界との交点のうち、候補インク量ペアの色座標点Prvに近い方の点Oaで表現されるインク量の組み合わせを、最終分版インク量Ro、Voとして用いる。直線LPは、候補インク量Rtmp、Vtmpの比率が一定に保たれる直線である。このような直線LP上の点を用いることによって、有彩2次色インクR、Vのうちの1つのインク量を過度に小さくし、他のインク量が十分に小さくならないことを抑制することができる。換言すれば、直線LP上の点を用いることによって、各有彩2次色インクの粒状性に対する影響力のバランスを考慮して最終分版インク量Ro、Voを求めることができる。
なお、最終分版インク量セットとして用いるインクの組み合わせは、上述の点Oaで表現される組み合わせに限定されるものではない。許容範囲RA内であって候補インク量ペアの色座標点Prvの近くに位置する点で表現される組み合わせであれば、粒状性の向上を図ることができる。例えば、仮の分版インク量セットPと候補インク量ペアの色座標点Prvとを結ぶ直線と、許容範囲RAの境界との交点Obで表現されるインク量の組み合わせを用いることもできる。また、許容範囲RA内の点であって、候補インク量ペアの色座標点Prvに最も近い点Ocで表現されるインク量の組み合わせを用いることもできる。いずれの場合も、許容範囲RA内であって、候補インク量ペアの色座標点Prvに近い点で表現されるインク量の組み合わせを用いることによって、粒状性の向上を考慮した最終分版インク量Ro、Voの算出を行うことができる。
(場合3):
図18(d)は、候補インク量ペアの色座標点Prvが、許容範囲RA外にあり、かつ、原点Wと候補インク量ペアの色座標点Prvとを結ぶ直線LPが、許容範囲RA内を通らない場合を示している。この場合には、許容範囲RA内の点であって、候補インク量Rtmp、Vtmpのうちで、より小さい値Rtmpを有するレッドインクRに関する最終分版インク量Roが最小となる点Odで表現されるインク量の組み合わせを、最終分版インク量Ro、Voとして用いる。候補インク量が最も小さいインクは、粒状性に対する影響力が最も大きいインクである。従って、そのインクのインク量が最小になる点Odを用いることによって、再現した画像領域の粒状性をより向上させることができる。
最終分版インク量セットとして用いるインクの組み合わせは、上述の点Odで表現される組み合わせに限定されるものではない。許容範囲RA内であって候補インク量ペアの色座標点Prvの近くに位置する点で表現される組み合わせであれば、粒状性の向上を図ることができる。
なお、有彩2次色インクの全ての候補インク量Rtmp、Vtmpがゼロである場合には、許容範囲RA内の点であって、原点Wの近くに位置する点で表現される組み合わせであれば、粒状性の向上を図ることができる。このような点として、例えば、仮の分版インク量セットの色座標点Pと原点Wとを結ぶ直線と、許容範囲RAの境界との交点(図示せず)を用いることができる。また、原点Wとの距離が最小となる点を用いることもできる。
図16のステップS340では、インクセットを構成する全てのインクの最終分版インク量セットの算出を行う。有彩2次色インクの最終分版インク量Ro、Voは、ステップS330で算出されたインク量を用いる。有彩1次色インクの最終分版インク量Co、Mo、Yoは、仮の分版インク量セットPと置換インク量に基づいて算出される。
以上説明したように、本実施例の最終分版インク量セット算出処理は、粒状性の向上を考慮して行われる。再現したい画像領域が明るい場合には、各色のインク量が小さくなる。このとき、有彩2次色インクの使用量を少なくし、有彩1次色インクを積極的に使用してインクドット数を多くするので、粒状性を向上させることができる。
特に明度の高い領域においては、インクセットの各インク量の大きさはインクデューティ制限に対して小さくなる。よって、より多くのインク量の組み合わせがインクデューティ制限を満たすようになる。その結果、有彩2次色インクの候補インク量Rtmp、Vtmpがゼロとなる場合に、最終分版インク量Ro、Voをゼロとすることができる。すなわち、特に明度の高い領域においては、有彩2次色インクを用いずに色を再現するので、このような特に明るい領域において、有彩2次色インクのインクドットが目立つことを抑制することができる。
また、残余インク量RES_R2、RES_V2の大きさが比較的小さいときには、有彩2次色インクR、Vのインク量が大きさが比較的小さくなり、残余インク量RES_R2、RES_V2の大きさが比較的大きいときに有彩2次色インクR、Vのインク量の大きさが比較的大きくなる。よって、粒状性を向上させるとともに、インクを節約し、さらに、印刷媒体が波打つことを抑制することができる。
また、本実施例においては、最終分版インク量セットの算出処理は、有彩2次色インクのそれぞれについて独立に設定される候補インク量Rtmp、Vtmp、すなわち、各インクの粒状性に対する影響力に応じて行われる。その結果、各有彩2次色インクの影響力を考慮して適切に粒状性の向上を図ることができる。
このような最終分版インク量セットの算出処理は、さらに多くの種類の有彩2次色インクを用いる場合にも、同様に実行することができる。例えば、3つの有彩2次色インクを用いる場合には、まず、各インクの候補インク量を算出する。次に、許容範囲(3つのインク量を基準ベクトルとして表される色空間において立体で表現される)内の点であって、候補インク量セットで表される点に近い点で表現されるインク量の組み合わせを、有彩2次色インクの最終分版インク量セットとして用いる。この場合も、候補インク量セットで表される点を通る直線と許容範囲との位置関係に応じて最終分版インク量セットを算出すれば、各有彩2次色インクの粒状性に対する影響力のバランスを考慮して最終分版インク量セットを算出することができる。
以上説明したように、本実施例では、最終分版インク量セット算出処理を、粒状性の向上を考慮して行っているので、明るい領域において画像がざらつくことを抑制することができる。
D2.最終分版インク量セット算出処理の第2実施例:
上述の第1実施例との差異は、候補インク量Rtmpを再現色の明度Lに応じて設定する点である。図19は、最大インク量Rmaxに対する候補インク量Rtmpの割合kと、明度Lとの関係を示すグラフである。
再現色の明度Lとしては、例えば、仮の分版インク量セットPを1次色色空間(図14)で表現した場合に、点Pを無彩色軸(原点Wと点Kとを結ぶ直線)上に投影した点と、原点Wとの距離を用いることができる。このとき原点Wとの距離が大きいほど明度が低いことを示している。また、最大インク量Rmaxとしては、仮の分版インク量セットPで再現される色とほぼ同じ色を再現することが可能なインク量の組み合わせの中の、レッドインクRのインク量が値を取り得る最大値を用いることができる。
本実施例では、図19に示すように、最大インク量Rmaxに対する候補インク量Rtmpの割合kは、再現色の明度Lが高いほど、すなわち、明るいほど小さくなるように設定されている。他の有彩2次色インクの候補インク量も同様に設定される。よって、明度Lが高く、各色のインク量が少ない画像領域においては、有彩2次色インクの使用量を少なくし、有彩1次色インクを積極的に使用してインクドット数を多くするので、粒状性を向上させることができる。
また、Lstart≦Lである最も明るい範囲R21においては、Rtmp=0となるように設定されている。その結果、特に明度の高い領域においては、有彩2次色インクを用いずに色を再現するので、有彩2次色インクのインクドットが目立つことを抑制することができる。また、L≦Lendである最も暗い範囲R23においてはRtmp=Rmaxとなるように設定されている。その結果、特に明度の低い範囲においては、有彩2次色インクを積極的に用いて色を再現するので、インクの使用量を節約し、さらに、印刷媒体が波打ったりすることを抑制することができる。
このような明度Lの大きさを判断する値Lstart、Lendは、上述した図17のRstart、Rendと同様に設定することができる。例えば、明度Lが最小値から最大値まで変化するように再現された有彩2次色インクのグラデーションパターンと、有彩1次色インクの混色によるグラデーションパターンとを比較する感応評価に基づいて、設定することができる。
このとき、残余インク量RES_R2が大きいほど、第1と第2の値Lstart、Lendが大きな値に設定されることが好ましい。こうすることによって、粒状性の向上を図るとともに、インクの節約を図ることができる。また、Lstart、Lendの大きさは、同一の1つの有彩1次色インクと同一の1つの有彩2次色インクとの組み合わせで色相を再現可能な色相範囲のそれぞれについて独立に設定することが好ましい。こうすることによって、色相に応じて適切に、粒状性の向上とインクの節約とを図ることができる。
なお、本実施例においては、バイオレットインクVに関しても、レッドインクRと同じ方法に従って、明度Lに応じて候補インク量Vtmpが設定される。さらに、多くの種類の有彩2次色インクを用いる場合にも、同様に候補インク量の設定を行うことができる。
また、本実施例の分版処理(図13)の最終分版インク量セットの算出処理S150としては、図16〜18、図19に示した種々の方法の代わりに、図8に示す分版処理の最終分版インク量セットの算出処理S520に適用される方法(図9〜図12)を用いても良い。同様に、図8に示す分版処理の最終分版インク量セットの算出処理S520としては、図9〜図12に示した方法の代わりに、本実施例の分版処理(図13)の最終分版インク量セットの算出処理S150に適用される種々の方法(図16〜18、図19)のいずれかを用いても良い。
E.分版処理の第3実施例:
図20は、分版処理の第3実施例の処理手順を示すフローチャートである。上述の図13の分版処理実施例との差異は、ブラックインクKを用いた下色除去(UCR:Under Color Removal)処理S220を実行している点である。本実施例のUCR処理は、有彩1次色インクC、M、Yの階調値の一部をブラックインクKの階調値に置換する処理である。UCR処理は、周知の種々の方法によって実現可能であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
ステップS200では、使用可能なインクセットとして、有彩1次色インクC、M、Yと有彩2次色インクR、VとブラックインクKからなるインクセットを設定している。
次に、ステップS210では、インクセットの各色のインク量の制限であるインクデューティ制限を設定する。上述の図12に示す実施例におけるインクデューティ制限との差異は、ブラックインクKのインク量を考慮して設定されている点である(詳細は後述)。
次に、ステップS220では、分版処理の対象となる入力色(例えば、図6のステップS20では1次色階調値セットで表現されている)に対し、UCR処理を実行する。その結果、CMYK各色の階調値Ci、Mi、Yi、Kiで表現された入力色Iが得られる。本実施例では、これらの階調値のうちのCMY各色の階調値Ci、Mi、Yiに対して、拡張有彩色emを用いた分版処理を実行する。一連の処理S230〜S270は、図12に示す実施例の処理S120〜S160と同じ処理である。その結果、CMY各色の階調値Ci、Mi、Yiに対する分版インク量Co、Mo、Yo、Ro、Voが得られる。ブラックインクKについては、UCR処理S220の結果得られる階調値Kiが分版インク量Koとして用いられる。
このように、第3実施例の分版処理では、有彩1次色インクCMYと有彩2次色インクRVに加えて、ブラックインクKを用いて再現することが可能な色彩の範囲を有効に利用した分版処理を行っている。そのため、色再現範囲をさらに拡張させた印刷を行うことが可能である。
また、この実施例においては、上述のインクデューティ制限(条件1)において、ブラックインクKのインク量を考慮した制限を設けるのが好ましい。例えば、数式3に示す全種類のインク量の合計値の制限については、CMYRV各色のインク量に、ステップS220で得られたブラックインクKのインク量Kiを合わせた合計値が、Duty_T以下となるように設定することができる。こうすることによって、印刷媒体のインク吸収量の制限を越えた量のインクを吐出することを抑制することができる。また、複数色を混色する場合のインク量の制限についても、ブラックインクKのインク量Kiを用いて制限を設定することができる。ブラックインクK単独のインク量の制限についてはUCR処理S220においてインク量Kiを算出する際に考慮するのが好ましい。
また、残余インク量にもブラックインクKのインク量を追加することが好ましい。例えば、上述の数式6に示す残余インク量RES_R2、RES_V2に関して、有彩1次色インクC、M、Yと同様に、ブラックインクKのインク量に係数を乗じた値を加える方法を用いることができる。このとき、ブラックインクKのための係数も、他のインクの係数と同様に決定することができる。このようにブラックインクKのインク量も考慮して有彩2次色インクR、Vのインク量を決定すれば、画像の粒状性を向上させるとともに、さらに、インクを節約することができる。
なお、本実施例の分版処理を図6に示す色変換ルックアップテーブルの作成処理のステップS20に適用したときには、第2の階調値セットは、有彩1次色インクCMYと有彩2次色インクRVとブラックインクKの各色インク量で表された階調値となる。よって、ステップS30では、CMYRVK各色を用いて再現されたカラーパッチが作成される。
F.インクセットの変形例:
上述の各実施例には、図5に示すインクセット以外にも様々な種類のインクセットを適用することができる。図21〜28は、いずれも、適用可能なインクセットの実施例の各インク成分を示す説明図である。ブラックインクKの成分と色材以外の成分については、図5と同様であるので、図示を省略している。図5に示すインクセットとの差異は、色材の種類と濃度が一部異なる点である。その結果、これらのインクセットは、互いに少しずつ異なる色彩の再現性を向上させることが可能である。よって、印刷したい画像に適したインクセットを選択して用いることによって、より高画質な印刷結果を得ることができる。
図21〜26のインクセットには、カラーパッチを測色して得られた、レッドインクRとバイオレットインクVのそれぞれの置換インク量が示されている。このように、これらのインクセットでは、置換インク量の合計値がいずれも1.7以上である。その結果、有彩2次色インクは、有彩1次色インクの混色と同程度のインク量を用いることによって、より高い彩度を再現することが可能である。その結果、有彩1次色インクと有彩2次色インクとを利用することによって、有彩1次色インクのみで再現可能な領域よりも広い範囲の色彩を再現することが可能となる。
また、各インクとしては、上述の図5、図21〜28に示す組成に限定されることなく、その他の組成に従った適切なインクを用いても良い。さらに、用いるインクの色や数についても、この組み合わせに限定されることなく、例えば、有彩2次色インクとしてレッドインクRのみを利用可能な構成としても良く、また、有彩2次色インクとして、グリーンインクやブルーインクを用いる構成としてもよい。但し、互いに組み合わせて無彩色を再現可能なインクを有彩1次色インクとして用い、有彩1次色インクのいずれとも色相が異なるインクを有彩2次色インクとして用いることが好ましい。このようなインクで構成されたインクセットを用いることによって、色再現範囲の拡張を考慮した分版処理を実行することができる。
以上、説明したように、上述の各実施例では、最終分版インク量セット算出処理を、粒状性の向上を考慮して行っているので、明るい領域において画像がざらつくことを抑制することができる。さらに、残余インク量に基づいて有彩2次色インクのインク量を決定しているので、明るい領域において画像がざらつくことを抑制するとともに、インクの節約を図ることができる。また、有彩1次色インクと有彩2次色インクとを用いることによって、階調値の大きい拡張有彩色に基づいた分版処理を行うことができる。よって、色再現範囲の拡張を考慮した分版処理を容易に実行することができる。
なお、最終分版インク量セット算出処理(例えば、図8のS520や図13のS150、図20のS260)としては、上述の処理(図9〜図12、図16〜18、図19)に限定されるものではなく、一般に、再現色を再現する分版インク量セットであって、明度パラメータ値の明るくなる方向への変化率より大きい変化率で有彩2次色インクのインク量が減少するように各インク量を調整する処理であれば良い。
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
G.変形例:
G1.変形例1:
上述の各実施例では、使用可能なインクセットの各インクの色相が互いに異なっているが、色相がほぼ同じで濃度の異なる複数種類のインクを使用可能な構成としても良い。この場合、各色相の階調値に応じて濃度の異なるインクを使い分けることによって、インクドットの数が少ないほど目立ちやすい粒状性(画像のざらつき)を向上し、インクドットの数が多い場合に目立ちやすいバンディング(筋状の模様)を抑制することができる。このとき、各インクのインク量は、上述のインクデューティ制限や置換インク量等の条件設定を、全てのインクのインク量を考慮した設定とし、いわゆる線形計画法を用いて算出することができる。また、各色相ごとに分版インク量を算出し、得られた分版インク量を、ほぼ同じ色相を有し濃度の異なる複数のインクに再分配する方法を用いても良い。この場合も、インクデューティ制限において全てのインクのインク量を考慮した制限を設け、最終的な各インクのインク量がインクデューティ制限を満たすようにすることが好ましい。
なお、上記各実施例においては、「インク量」は、ベタ領域を再現するときのインク量を100%としたときの、0%〜100%の範囲を表す各インクの階調値であり、色変換ルックアップテーブルLUTの出力を意味している。色相がほぼ同じで濃度の異なる複数種類のインクを使用可能な場合には、同じ色相を有する濃淡インクの色材の合計値を「インク量」に対応させることによって、分版処理を行うことができる。このとき、得られた「インク量」を、濃淡インクのそれぞれに分配することによって、適切な色彩を再現することができる。
G2.変形例2:
この発明は熱転写プリンタやドラムスキャンプリンタにも適用可能である。この発明は、いわゆるインクジェットプリンタのみではなく、一般に、複数色のインク色の混色によって色を再現する印刷装置に適用することができる。このような印刷装置としては、例えばファクシミリ装置や、コピー装置がある。
G3.変形例3:
明度パラメータ値としては種々の値を用いることができる。図11に示す分版処理の第1実施例においては、有彩2次色インクの仮の分版インク量を、明度パラメータ値として用いている。この実施例では、入力色と再現色とは一致しており、さらに、インク量の合計が最小となる条件の下に、再現色を再現する仮の分版インク量セットが決定されている。また、図17に示す最終分版インク量セット算出処理の第1実施例においては、有彩2次色インクの最大インク量を明度パラメータ値として用いている。この最大インク量は、入力色に対応付けられた再現色から決定されるインク量の最大値であり、再現色を再現するための仮の分版インク量セットとほぼ同じ色を再現するインク量の組み合わせの中の、有彩2次色インクのインク量の最大値である。一般的には、入力色または再現色から所定の条件に従って決定される有彩2次色インクのインク量を表す値であれば、明度パラメータ値として用いることができる。なお、明度パラメータ値としては、このような有彩2次色インクのインク量を表す値に限定されるものではなく、再現色の明度に相関のある値であれば良い。例えば、図19に示す、最終分版インク量セット算出処理の第2実施例のように、入力色に対応付けられた再現色の明度を、明度パラメータ値として用いても良い。
なお、明度パラメータ値の範囲のうちで、有彩2次色インクのインク量をゼロとなるように調整する最も明るい第1の範囲は、明度パラメータ値が値を取り得る範囲を0%(明)〜100%(暗)としたときに、5%以下の明るい範囲であることが好ましく、10%以下の明るい範囲であることが特に好ましく、15%以下の明るい範囲であることが最も好ましい。
G4.変形例4:
上述の各実施例では、有彩2次色インクのインク量を残余インク量に基づいて決定する場合について説明したが、再現色の色相に相関のあるパラメータ値に基づいて決定することもできる。このとき、色相が有彩2次色インクに比較的近いときに、有彩2次色インクの使用率が比較的大きくなるようにインク量を決定し、色相が有彩1次色インクに比較的近いときに、有彩2次色インクの使用率が比較的小さくなるようにインク量を決定することが好ましい。こうすることによって、色相に応じて適切に粒状性を向上させるとともに、インクの節約を図ることができる。なお、再現色の色相に相関のあるパラメータ値としては種々の値を用いることができる。例えば、図14に示す1次色色空間において原点Wと点Kとを結ぶ直線を無彩色線と呼び、1次色色空間中の一点を無彩色線上に垂直に投影して得られる点を投影点と呼ぶときに、投影点から1次色色空間中の一点へと向かう方向を色相に相関のあるパラメータ値として用いることができる。
G5.変形例5:
上記実施例において、ハードウェアによって実現されていた構成の一部をソフトウェアに置き換えるようにしてもよく、逆に、ソフトウェアによって実現されていた構成の一部をハードウェアに置き換えるようにしてもよい。例えば、プリンタドライバ96(図1)の機能の一部を、プリンタ20内の制御回路40(図3)が実行するようにすることも可能である。
印刷システムの構成を示すブロック図 プリンタ20の概略構成図 プリンタ20の構成を示すブロック図 印刷ヘッド28の下面におけるノズル配列を示す説明図 インクセットを示す説明図 色再現の処理手順を示すフローチャート カラーパッチを示す説明図 分版処理の処理手順を示すフローチャート 最終分版インク量セット算出の処理手順を示すフローチャート 2次色インク使用率と他のインクのインク量との関係を説明する説明図 候補インク量を示す説明図 有彩2次色インクの最終分版インク量を算出する様子の概略を示す説明図 分版処理の処理手順を示すフローチャート 1次色色空間を示す説明図 拡張有彩色を算出する様子の概略を示す説明図 最終分版インク量セット算出の処理手順を示すフローチャート 候補インク量を示す説明図 有彩2次色インクの最終分版インク量を算出する様子の概略を示す説明図 最大インク量に対する候補インク量の割合と、明度との関係を示すグラフ 分版処理の処理手順を示すフローチャート インク成分の別の例を示した説明図 インク成分の別の例を示した説明図 インク成分の別の例を示した説明図 インク成分の別の例を示した説明図 インク成分の別の例を示した説明図 インク成分の別の例を示した説明図 インク成分の別の例を示した説明図 インク成分の別の例を示した説明図
符号の説明
20…プリンタ
21…CRT
22…紙送りモータ
24…キャリッジモータ
26…プラテン
28…印刷ヘッド
30…キャリッジ
32…操作パネル
34…摺動軸
36…駆動ベルト
38…プーリ
39…位置センサ
40…制御回路
41…CPU
43…P−ROM
44…RAM
45…CG
50…I/F専用回路
52…ヘッド駆動回路
54…モータ駆動回路
56…コネクタ
60…印刷ヘッドユニット
90…コンピュータ
91…ビデオドライバ
95…アプリケーションプログラム
96…プリンタドライバ
97…解像度変換モジュール
98…色変換モジュール
99…ハーフトーンモジュール
100…ラスタライザ
LUT…色変換ルックアップテーブル
PP…印刷用紙
PD…印刷データ

Claims (28)

  1. 印刷媒体上で複数色のインクを用いて任意の色を再現するために、各インクのインク量を決定する分版方法であって、
    (a)使用可能なインクとして、互いに組み合わせて用いることにより無彩色を再現可能な複数の有彩1次色インクと、前記複数の有彩1次色インクのいずれとも色相が異なる少なくとも1つの有彩2次色インクとを含むインクセットを設定する工程と、
    (b)任意の1つの入力色に応じて前記印刷媒体上で再現される色を再現色と呼び、前記再現色を前記印刷媒体上で再現するための前記インクセットの各インク量の組み合わせを分版インク量セットと呼び、前記複数の有彩1次色インクの各インク量を基準ベクトルとして表される色空間を1次色色空間と呼ぶときに、前記1次色色空間内の複数の入力色に応じて前記印刷媒体上で再現される複数の再現色を決定する工程と、
    (c)前記複数の再現色を再現するための複数の分版インク量セットを決定する工程と、を備え、
    前記再現色に応じて決まる前記有彩2次色インクの最大インク量に対する前記有彩2次色インクの実際のインク量の割合を2次色インク使用率と呼び、前記再現色の色相を、1つの前記有彩1次色インクと1つの前記有彩2次色インクとの組み合わせによって再現したときの、前記1つの有彩1次色インクを1次色成分インクと呼び、前記1つの有彩2次色インクを2次色成分インクと呼ぶときに、
    前記工程(c)は、各再現色に関して、
    (c1)前記再現色の明度に相関のある明度パラメータ値を求める工程と、
    (c2)前記明度パラメータ値が最も明るい一部の範囲である第1の高明度範囲内にあるとともに、前記1次色成分インクと前記2次色成分インクとが同一で、前記明度パラメータ値が同じとなる2つの再現色のうちで、色相が前記1次色成分インクに比較的近い第1の再現色と、色相が前記2次色成分インクに比較的近い第2の再現色とに関して、前記第2の再現色の前記2次色インク使用率が前記第1の再現色の前記2次色インク使用率より小さくなるように、前記分版インク量セットに含まれる前記有彩2次色インクのインク量を決定する工程と、
    を実行する、分版方法。
  2. 請求項1に記載の分版方法であって、
    前記有彩2次色インクの前記所定の最大インク量が、前記再現色を再現可能な範囲内で前記有彩2次色インクを最大限に使用するときのインク量である、分版方法。
  3. 請求項1または請求項2に記載の分版方法であって、
    前記複数の有彩1次色インクがシアンインクとマゼンタインクとイエロインクとを含むときに、
    前記工程(c2)は、
    前記第1と第2の再現色の共通の前記1次色成分インクが、シアンインク又はマゼンタインクであるときに、前記第2の再現色の前記2次色インク使用率が前記第1の再現色の前記2次色インク使用率よりも小さくなるように、前記分版インク量セットに含まれる前記有彩2次色インクのインク量を決定する、
    分版方法。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の分版方法であって、
    前記工程(c2)では、
    前記分版インク量セットに含まれる前記有彩2次色インクのインク量が、明るくなる方向への前記明度パラメータ値の変化率より大きい変化率でインク量が減少するように、
    決定される、分版方法。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の分版方法であって、
    前記工程(c2)では、
    前記有彩2次色インクのインク量の前記明度パラメータ値の変化に対する減り方が、前記有彩1次色インクのインク量の減り方よりも大きくなるように、前記有彩2次色インクのインク量が調整される、
    分版方法。
  6. 請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の分版方法であって、
    前記工程(c2)では、
    前記有彩2次色インクのインク量が、前記明度パラメータ値に比例した減り方よりも大きく減少するように調整される、分版方法。
  7. 請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の分版方法であって、
    前記工程(c2)では、
    前記明度パラメータ値が最も明るい一部の所定の範囲にあるときに、前記有彩2次色インクの実際のインク量が、前記再現色を再現する分版インク量セットに含まれる前記有彩2次色インクの仮想インク量であって、各インクのインク量を各インク量の合計値が最小となるように調整することによって得られる分版インク量セットに含まれる前記有彩2次色インクの仮想インク量よりも小さくなるように調整される、
    分版方法。
  8. 請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の分版方法であって、
    前記工程(c2)では、
    前記再現色を再現する分版インク量セットに含まれる前記有彩2次色インクの仮想インク量であって、各インクのインク量を各インク量の合計値が最小となるように調整することによって得られる分版インク量セットに含まれる前記有彩2次色インクの仮想インク量に対する前記有彩2次色インクの実際のインク量の割合が、前記明度パラメータ値の明るい方向への変化に対して単調減少するように調整される、
    分版方法。
  9. 請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の分版方法であって、
    前記工程(c2)では、
    前記有彩2次色インクのインク量が、前記明度パラメータ値の範囲のうちで明度が最も明るい一部の範囲である第1の範囲においてゼロとなるように調整される、
    分版方法。
  10. 請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の分版方法であって、
    前記明度パラメータ値は、前記再現色を再現可能な範囲内で前記有彩2次色インクを最大限に使用するときの最大インク量である、分版方法。
  11. 請求項1ないし請求項10のいずれかに記載の分版方法であって、
    前記工程(c2)は、
    (c2−1)予め設定された所定の条件に従って、前記再現色に応じて決まる前記有彩2次色インクの基準インク量を決定する工程と、
    (c2−2)前記有彩2次色インクの前記基準インク量とともに前記再現色を再現するために必要とされる前記インクセットの各インクの基準インク量を決定することによって、基準インク量セットを決定する工程と、
    (c2−3)前記基準インク量セットに含まれる複数の基準インク量のうち、前記有彩2次色インクの基準インク量を除いた複数の基準インク量の大きさに関する残余インク量パラメータ値を決定する工程と、
    (c2−4)前記明度パラメータ値がほぼ同じときに、前記残余インク量パラメータ値が小さいほど前記2次色インク使用率が小さくなるように、前記分版インク量セットに含まれる前記有彩2次色インクのインク量を決定する工程と、
    を含む、
    分版方法。
  12. 請求項11に記載の分版方法であって、
    前記有彩2次色インクの基準インク量として、前記再現色を再現可能な範囲内で前記有彩2次色インクを最大限に使用するときの最大インク量を用いる、分版方法。
  13. 請求項11または請求項12のいずれかに記載の分版方法であって、
    前記残余インク量パラメータ値として、前記有彩2次色インクの基準インク量を除いた複数の基準インク量のそれぞれに、前記インクセットの各インクに対応して予め設定されたそれぞれの係数を乗じて得られる値の合計値を用いる、分版方法。
  14. 請求項13に記載の分版方法であって、
    前記係数は、対応するインクのインクドットの反射濃度が濃いほど大きく設定されている、分版方法。
  15. 請求項13または請求項14に記載の分版方法であって、
    前記係数は、対応するインクの色と前記有彩2次色インクの色との色の見えの差が小さいほど大きく設定されている、分版方法。
  16. 請求項11または請求項15に記載の分版方法であって、
    前記工程(c2−4)は、
    (c2−4−1)前記明度パラメータ値と前記残余インク量パラメータ値とに基づいて、前記有彩2次色インクの候補インク量を求める工程と、
    (c2−4−2)前記有彩2次色インクの前記候補インク量とともに前記再現色を再現するために必要とされる前記有彩1次色インクの候補インク量を決定することによって、候補インク量セットを決定する工程と、
    (c2−4−3)前記候補インク量セットが前記印刷媒体の単位面積当たりに使用可能なインク量の上限値を制限するインクデューティ制限の範囲内にある場合には、前記候補インク量セットをそのまま前記分版インク量セットとして採用し、一方、前記候補インク量セットが前記インクデューティ制限を越える場合には、前記インクデューティ制限を満たすように前記候補インク量セットを修正することによって前記分版インク量セットを決定する工程と、を含む、分版方法。
  17. 請求項16に記載の分版方法であって、
    前記インクセットは第1と第2の有彩2次色インクを含み、
    前記工程(c1)において、前記第1と第2の有彩2次色インクのそれぞれに対して前記明度パラメータ値をそれぞれ独立に算出し、
    前記工程(c2−1)(c2−2)(c2−3)において、前記第1と第2の有彩2次色インクのそれぞれに対して前記基準インク量セットと前記残余インク量パラメータ値とをそれぞれ独立に決定し、
    前記工程(c2−4−1)において、前記第1と第2の有彩2次色インクのそれぞれに対する前記明度パラメータ値と前記残余インク量パラメータ値とに応じて前記第1と第2の有彩2次色インクの候補インク量をそれぞれ決定し、
    前記工程(c2−4−3)において前記候補インク量セットが前記インクデューティ制限を越える場合には、前記第1と第2の有彩2次色インクのインク量で規定される2次元色空間で考えたときに、前記第1と第2の有彩2次色インクの分版インク量で規定される色座標点が、前記インクデューティ制限を満たす範囲内に存在するとともに前記第1と第2の有彩2次色インクの前記候補インク量で規定される色座標点に近接した位置に存在するように前記分版インク量セットを決定する、分版方法。
  18. 請求項17に記載の分版方法であって、
    前記工程(c2−4−3)において前記候補インク量セットが前記インクデューティ制限を越える場合には、前記第1と第2の有彩2次色インクに関する前記2次元色空間において前記第1と第2の有彩2次色インクの分版インク量で規定される色座標点が前記インクデューティ制限を満たす範囲内に存在するとともに、前記第1と第2の有彩2次色インクの分版インク量の比が前記第1と第2の有彩2次色インクの候補インク量の比と等しくなるように前記分版インク量セットを決定する、分版方法。
  19. 請求項1ないし請求項18のいずれかに記載の分版方法であって
    前記工程(b)は、
    (b1)前記1次色色空間内の最外殻位置にある有彩色を最外殻有彩色と呼ぶときに、前記最外殻有彩色に対応付けられた最外殻分版インク量セットであって、前記インクセットによって再現可能で前記最外殻有彩色よりも彩度の高い拡張有彩色を再現するための最外殻分版インク量セットを決定する工程と、
    (b2)前記最外殻有彩色と前記最外殻分版インク量セットとの関係に基づいて、前記1次色色空間内の前記複数の入力色にそれぞれ対応付けられた前記複数の再現色を決定する工程と、
    を含み、
    前記工程(b1)は、
    前記印刷媒体の単位面積当たりに使用可能なインク量の上限値をインクデューティ制限として設定する工程と、
    前記拡張有彩色を、前記1次色色空間において前記最外殻有彩色を表す最外殻有彩色ベクトルと同一の方向を有するより長い拡張有彩色ベクトルで表される色として決定するとともに、前記拡張有彩色を再現するための前記最外殻分版インク量セットを決定する工程と、
    を備え、
    前記拡張有彩色および前記最外殻分版インク量セットの決定は、以下の条件:
    (i)前記最外殻分版インク量セットが前記インクデューティ制限内である、
    を満足するように行われる、
    分版方法。
  20. 請求項19に記載の分版方法であって、
    前記拡張有彩色および前記最外殻分版インク量セットの決定は、さらに、以下の条件:
    (ii)前記インクセットで再現可能な範囲で前記拡張有彩色ベクトルの長さが最も長くなる、
    を満足するように行われる、分版方法。
  21. 請求項19または請求項20に記載の分版方法であって、
    前記拡張有彩色および前記最外殻分版インク量セットの決定は、さらに、以下の条件:
    (iii)前記拡張有彩色を再現するための前記最外殻分版インク量セットのインク量の合計が最も少なくなる、
    を満足するように行われる、分版方法。
  22. 請求項19ないし請求項21のいずれかに記載の分版方法であって、
    前記再現色は、前記1次色色空間において前記入力色と同じベクトル方向を有する最外殻有彩色に対する最外殻分版インク量セットに、前記入力色のベクトル長と前記最外殻有彩色のベクトル長との比を乗じることによって得られる仮の分版インク量セットによって再現される色である、分版方法。
  23. 請求項1ないし請求項22のいずれかに記載の分版方法であって、
    前記有彩2次色インクは、前記複数の有彩1次色インクとは異なる色材を含有する、分版方法。
  24. 請求項1ないし請求項23のいずれかに記載の分版方法であって、
    前記有彩2次色インクは、前記有彩2次色インクが再現可能な色相を前記複数の有彩1次色インクの混色によって再現した場合に、前記有彩1次色インクの混色で再現することが可能な再度よりも高い彩度を再現することが可能である、分版方法。
  25. 請求項1ないし請求項24のいずれかに記載の分版方法であって、
    前記インクセットは、互いに色相が異なる第1と第2の2つの有彩2次色インクを含み、
    前記有彩2次色インクを前記複数の有彩1次色インクの組み合わせに置換することによってほぼ同じ色相と彩度を再現するときの前記有彩2次色インクのインク量に対する前記複数の有彩1次色インクの各インク量を置換インク量とし、
    前記第1と第2の有彩2次色インクのそれぞれに関して、前記置換インク量の中で値が最も大きい2つのインクを主成分1次色インクとしたときに、
    前記第1の有彩2次色インクの2つの主成分1次色インクのうちの1つと、前記第2の有彩2次色インクの2つの主成分1次色インクのうちの1つが異なるインクである、分版方法。
  26. 請求項1ないし請求項25のいずれかに記載の分版方法であって、
    前記インクセットは、ブラックインクを含み、
    前記工程(b)は、
    前記入力色に前記ブラックインクの下色除去処理を行うことによって、ブラック成分が除去されて複数の有彩1次色成分で構成された修正入力色を求める工程を含み、前記再現色は前記修正入力色に応じて決定される、
    分版方法。
  27. 第1の表色系で表された入力カラー画像データを、再現色表色系で表された第2のカラー画像データに変換するための色変換ルックアップテーブルを作成する方法であって、
    前記再現色表色系は、互いに組み合わせて用いることにより無彩色を再現可能な複数の有彩1次色インクと、前記複数の有彩1次色インクのいずれとも色相が異なる少なくとも1つの有彩2次色インクを含むインクセットを用いて色を再現するための表色系であり、
    前記色変換ルックアップテーブルの作成方法は、
    前記第1の表色系で表された第1の階調値セットを、前記複数の有彩1次色インクの各インク量のための1次色表色系で表された1次色階調値セットに変換するための第1の対応関係を設定する工程と、
    請求項1の分版方法に従って、前記1次色表色系内の複数の入力色に対する前記1次色階調値セットを前記インクセットの各インク量に変換するための第2の対応関係を設定する工程と、
    前記第1と第2の対応関係を用いて、前記第1の表色系で表された前記第1の階調値セットと前記インクセットの各インク量との対応関係を求めるとともに、前記色変換ルックアップテーブルに格納する工程と、
    を備える、
    色変換ルックアップテーブルの作成方法。
  28. 第1の表色系で表された入力カラー画像データを、再現色表色系で表された第2のカラー画像データに変換する画像データ処理装置であって、
    請求項27の方法に従って作成された色変換ルックアップテーブルと、
    前記色変換ルックアップテーブルを参照して前記変換処理を実行する色変換モジュールと、
    を備える、画像データ処理装置。
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