JP2008302541A - 炭素繊維強化プラスチック製部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】航空や宇宙航空の航空機主翼または尾翼ボックス構造用の構造部材として用いられる衝撃後圧縮強度と損傷視認性を両立させる炭素繊維強化プラスチック製部材を提供する。
【解決手段】少なくとも2種の一方向材[A]、[B]が積層されてなる航空機主翼または尾翼ボックス構造用の炭素繊維強化プラスチック製部材であって、前記[B]がボックス構造の内面に積層され、かつ[B]のGIIcが[A]のGIIcの110%〜200%の範囲内であるか、または[B]の引張強度が[A]の引張強度の50%〜95%の範囲内であることを特徴とする炭素繊維強化プラスチック製部材。
【選択図】図1

Description

本発明は航空や宇宙航空の航空機主翼または尾翼ボックス構造用の構造部材として用いられる炭素繊維強化プラスチックに関する。
繊維強化プラスチック(以下、FRPと略すこともある)は軽量かつ優れた機械的特性を有することから、航空や宇宙航空などの航空機の構造部材や、スポーツ用部材として幅広く使用されている。特に、炭素繊維を補強繊維とした炭素繊維強化プラスチック(以下、CFRPと略すこともある)は比強度、比剛性に優れた材料であるため、重量の制約の大きい航空機分野での需要が拡大しつつある。
FRPを構造部材、特に、航空や宇宙航空などの航空機部材として用いる場合、衝撃後圧縮強度(以下、CAIと略すこともある)が重要な特性である。これは、部材が工具落下や小石の衝突などといった衝撃を受けると、外観上は顕著な損傷が認められない場合でもFRPの層間に剥離が生じて圧縮強度が低下する現象であり、これが著しいと構造部材として用いることができなくなるため、特に重要視される特性となっている。
近年、FRPのCAIを向上させる方法として、荷重を受け持つ主部材と、故意に変形、破壊させることにより衝撃エネルギーを吸収する補強材を組み合わせたハイブリッド複合材が注目されている。例えば、炭素繊維とポリベンザノール繊維を強化繊維としたFRPの表層と、CFRP製の内層を組み合わせたハイブリッド複合材が提案されており(例えば、特許文献1参照)、また、二次元積層型繊維強化複合材料と三次元強化繊維複合材のハイブリッドFRPが提案されている(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、これらの提案では耐衝撃製を向上させることが可能であるものの、損傷視認性を向上させることは難しい。
また、CAIと損傷視認性を両立させる技術も提案されているが(例えば、特許文献3、4参照)、特許文献3ではマトリックス樹脂のポリエーテルエーテルケトンが非常に高価であるという問題点があり、特許文献4は樹脂伸度の最適化によりCAIと損傷視認性を両立させているものの、成形法が限定されるという問題を有する。
以上のように、CAIと損傷視認性を兼ね備えた、実用的なFRP製構造材料は提案されていないのが現状である。
特開平8−59845号公報 特開平8−99381号公報 特開平6−91816号公報 特開2006−241308号公報
本発明の目的は、上述の従来技術の課題を解決することにあり、より具体的には、航空や宇宙航空の航空機主翼または尾翼ボックス構造用の構造部材として用いられる損傷視認性に優れ、かつ高い衝撃後圧縮強度を有する炭素繊維強化プラスチック製部材を提供することにある。
上記目的を達成するために、次のような構成を有する。すなわち、
(1)少なくとも2種の一方向材[A]、[B]が積層されてなる航空機主翼または尾翼ボックス構造用の炭素繊維強化プラスチック製部材であって、前記[B]がボックス構造の内面に積層され、かつ[B]のGIIcが[A]のGIIcの110%〜200%の範囲内であることを特徴とする炭素繊維強化プラスチック製部材。
(2)少なくとも2種の一方向材[A]、[B]が積層されてなる航空機主翼または尾翼ボックス構造用の炭素繊維強化プラスチック製部材であって、前記[B]がボックス構造の内面に積層され、かつ[B]の引張強度が[A]の引張強度の50%〜95%の範囲内であることを特徴とする炭素繊維強化プラスチック製部材。
(3)前記一方向材[A]、[B]のGIIcが1.75kJ/m以上であることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の炭素繊維強化プラスチック製部材。
(4)前記一方向材[A]、[B]の引張強度が2.5GPa以上であることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載の炭素繊維強化プラスチック製部材。
(5)前記一方向材[B]の弾性率が[A]の弾性率の50%〜150%の範囲内であることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかに記載の炭素繊維強化プラスチック製部材。
(6)前記一方向材[A]、[B]の強化繊維の体積含有率が50%〜70%であることを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれかに記載の炭素繊維強化プラスチック製部材。
(7)前記一方向材[A]、[B]が積層されてなる厚さ4〜5mmの炭素繊維強化プラスチック製部材について、JIS K 7089(1996)に従って試験片の厚さ1mmあたり6.67Jの衝撃を付与した時の衝撃後圧縮強度が275MPa以上であることを特徴とする前記(1)〜(6)のいずれかに記載の炭素繊維強化プラスチック製部材。
(8)前記一方向材[A]、[B]が積層されてなる厚さ4〜5mmの炭素繊維強化プラスチック製部材について、JIS K 7089(1996)に従って試験片の厚さ1mmあたり6.67Jの衝撃を付与した時のデント深さが0.22mm以上であることを特徴とする前記(1)〜(7)のいずれかに記載の炭素繊維強化プラスチック製部材。
本発明の炭素繊維強化プラスチック製部材は、高い衝撃後圧縮強度を有し、かつ、損傷視認性に優れることから、航空機部材、宇宙航空機部材などの航空機主翼または尾翼ボックス構造用の構造部材に好適に使用することができる。
本発明に用いる炭素繊維としては、具体的にはアクリル系、ピッチ系、レーヨン系などの炭素繊維が使用でき、特に引張強度の高いアクリル系炭素繊維が好ましい。
炭素繊維のストランド弾性率は、その部材の設計用途により決定され特に限定されないが、200GPa以上500GPa以下が好ましく、220GPa以上360GPa以下であればより好ましい。弾性率が200GPaより低いと、部材の弾性率が低くなり航空機構造材などへの適用に限界があり、逆に弾性率が500GPaより高いと、炭素繊維の強度が低くなる傾向があるためである。
強化繊維の破断伸度はその部材の設計用途により決定され特に限定されないが、1.5%以上2.5%以下が好ましい。なお、ストランド弾性率と破断伸度はJIS R 7601(1986)によって測定することができる。
本発明のCFRPのマトリックス樹脂としては、熱により硬化する熱硬化性樹脂が好ましく用いられる。熱硬化性樹脂としては、具体的には、エポキシ樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、マレイミド樹脂、シアン酸エステル樹脂および尿素樹脂などが挙げられる。これらの中で、エポキシ樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂およびこれらの樹脂の混合物は、高い力学特性を有し、好ましく用いられる。特に、エポキシ樹脂は力学特性に優れ、かつ、炭素繊維との接着にも優れているため、特に好ましく用いられる。
エポキシ樹脂としては、分子内に複数のエポキシ基を有する化合物が用いられる。エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フェノール化合物とジシクロペンタジエンの共重合体を原料とするエポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂などのグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、およびこれらの樹脂の組み合わせが好適に用いられる。
特に、ビスフェノールA、AD、S6およびF型から選ばれる、もしくは、これらを組み合わせて得られるエポキシ樹脂を好ましくは5から50重量部と、グリシジルアミン型エポキシ樹脂を好ましくは50から95重量部含むエポキシ樹脂は、力学物性と取り扱い性のバランスに優れており、特に好ましく用いられる。
また、エポキシ樹脂と組み合わせて硬化剤を用いることができる。エポキシ樹脂と組み合わせて用いられる硬化剤としては、例えば、芳香族アミン、脂肪族アミン、カルボン無水物およびルイス酸錯体などが挙げられる。またこれらの硬化剤は、硬化活性を高めるために適当な硬化助剤を組み合わせて用いることができる。エポキシ樹脂に硬化助剤を組み合わせる場合の好ましい例としては、ジシアンジアミドに、3−(3,4−ジクロロフェニル)−1、1−ジメチル尿素(DCMU)などの尿素誘導体を硬化助剤として組み合わせる例、芳香族アミンに酸フッ化ホウ素エチルアミン錯体を硬化助剤として組み合わせる例、およびカルボン酸無水物やノボラック樹脂に3級アミンを硬化助剤として組み合わせる例などが挙げられる。
本発明では、硬化後のマトリックス樹脂において溶解し粒子を形成していない熱可塑性樹脂をマトリックス樹脂に含んでいても良い。このような熱可塑性樹脂としては、主鎖に、炭素炭素結合、アミド結合、イミド結合、エステル結合、エーテル結合、カーボネート結合、ウレタン結合、尿素結合、チオエーテル結合、スルホン結合、イミダゾール結合およびカルボニル結合からなる群から選ばれた結合を有するものが挙げられる。特に、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、ポリエーテルイミドおよびポリイミドからなる群から選ばれた1種以上の樹脂が好ましく用いられる。熱可塑性樹脂を混合させるときは、エポキシ樹脂100重量部に対して熱可塑性樹脂を好ましくは1から20重量部混合させることにより、エポキシ樹脂に適度な粘弾性や力学特性を与えることができる。
また、本発明のCFRPでは、耐衝撃性を付与するために熱可塑性粒子を含む層を設けることができる。
本発明のCFRPは、熱可塑性樹脂を主体とする微粒子(以下、単に微粒子ともいう)を含んでいる。ここで熱可塑性樹脂を主体とする微粒子とは、熱可塑性樹脂を50重量%以上、好ましくは80重量%〜100重量%含む微粒子のことを言う。かかる微粒子は、未硬化のマトリックス樹脂に、熱可塑性樹脂、エラストマー、熱可塑エラストマーおよび/またはエラストマーなどを溶解配合させ、硬化後において形成させるようにしたものでも、また未硬化のマトリックス樹脂に、それに不溶な微粒子などを配合して硬化させ形成されるものであっても良い。マトリックス樹脂の中に、かかる微粒子が存在することにより、マトリックス樹脂の靭性を向上させることができ、CFRPの耐衝撃性を向上させることができる。好ましく用いられる微粒子は、ポリアミド、ポリアリレート、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォンおよびポリアラミドからなる群から選ばれた少なくとも1種の熱可塑性樹脂からなる微粒子である。
本発明のCFRPは、マトリックス樹脂、熱可塑性樹脂を主体とする微粒子および炭素繊維を含む層(以下、基本CFRP層ともいう)が複数積層されてなるようにするのが良い。そして、かかるCFRP中で、各基本CFRP層の間に位置する層間領域に、炭素繊維強化複合材料の全体に存在する熱可塑性樹脂を主体とする微粒子の総量のうち、80重量%〜100重量%の微粒子が存在していることが好ましい。
図1に、本発明の一例であるCFRPのモデル断面図を示す。図1において、CFRPは、基本CFRP層1、基本CFRP層2および基本CFRP層3が積層されている。図1では、基本CFRP層1は、炭素繊維が紙面に対し垂直方向に配列されており、基本CFRP層2は、炭素繊維が紙面に対し45度方向に配列されており、基本CFRP層3は、炭素繊維が紙面に対し並行で横方向に配列されている。
ここで層間領域とは、図1に示すように、隣接する基本CFRP層同士の間の接する部分(たとえば図1の場合は基本CFRP層1と基本CFRP層2、あるいは、基本CFRP層2と基本CFRP層3)に形成されている領域であり、各層の平均厚みをtとすると、層と層とが接する面から厚さ方向へ上下へ0.15tずつ入った0.3tの厚みを持つ領域をいう。本発明の効果を得るためには、CFRP全体に存在する微粒子のうち、その80重量%以上が層間領域に存在していることが好ましく、この条件を満たす部分がCFRP中に好ましくは全体の30%以上、より好ましくは、全体の50%〜100%存在することが好ましい。
なお、本発明において、層間領域に存在する熱可塑性樹脂を主体とする微粒子の量は、以下の方法によって求めることができる。まず、CFRPを積層面に垂直に切断し、その断面を70倍以上に拡大して200mm×200mm以上の写真を作成する。この断面写真を用いて、まずは平均的な層の厚みを求める。層の平均厚みは写真上で、少なくとも5層以上の積層部分の厚みを、任意に選んだ5カ所で測定し、その値を該積層数で除して求める。次に、同じCFRPの断面を500倍以上に拡大して200mm×200mm以上の写真を作成する。この写真を用い、一つの層間に着目し、その層間部分のほぼ中心に線を引く。次いで、先に求めた層の平均厚みの30%を間隔とする2本の線、および層の平均厚みを間隔とする2本の線をその中心線に対して対称に引く。写真中の層の平均厚みの30%を間隔とする2本の線に囲まれた部分が層間領域である。そして、層間領域の中の熱可塑性樹脂を主体とする微粒子の面積、および、層の平均厚みを間隔とする2本の線に囲まれた部分における熱可塑性樹脂を主体とする微粒子の面積をそれぞれ定量し、その比を取ることにより層間領域に存在する熱可塑性樹脂を主体とする微粒子の割合が算出できる。なお、熱可塑性樹脂を主体とする微粒子の面積は、たとえばAdobe社製Photoshopなどの画像処理ソフトに写真を取り込み、微粒子の色に相当する部分を面積測定機能で測定することにより求めることができる。なお、本発明においては重量%によって、層間領域に存在する熱可塑性樹脂を主体とする微粒子の量を規定しているが、重量比は先の面積比に比重をかけた値と同じであるので、面積比の値は重量比の値と同義である。
本発明において、これら微粒子は、その粒径が、1μm以上150μm以下であることが好ましい。粒径が150μmを超えると、炭素繊維の配列を乱したり、積層して得られるCFRPの厚さが厚くなり相対的に炭素繊維の体積含有率を下げ、力学特性を低下させることがあり、粒径が1μmを下回ると、炭素繊維の繊維間に粒子が入り込み、層間部分に局在化せず、粒子の存在効果が十分に得られず耐衝撃性が低くなることがある。なお、微粒子の平均的な粒径は以下の方法によって求めることができる。まず、CFRPを積層面に垂直に切断し、その断面を200倍以上に拡大して200mm×200mm以上の写真を作成する。写真上で任意に選んだ10個の微粒子の粒径を測定し、その平均値を計算することにより微粒子の平均的な粒径を求めることができる。
そして、本発明では力学特性の異なる2種以上の一方向材を組み合わせることにより損傷視認性を高めることができる。
本発明者らはCAIインパクト時の損傷進展メカニズムを詳細に検討した結果、損傷視認性が一方向材のGIIcと引張強度とのバランスによって支配されていることを明らかにしたものである。
図2〜図8は損傷進展を模式的に示した図であり、衝撃負荷下におけるCFRPのモデル断面図である。CFRPに衝撃負荷5を与えて、CFRPが衝撃を受けると、まず図2のように、最も引張応力の高いインパクト裏面でトランスバースクラック(縦亀裂)6が発生する。このような亀裂が発生するのは、一方向材の90°方向の引張強度が最も低いためである。次に、荷重の増加に伴って図3のように各層にトランスバースクラック6が発生し、その後、図4のように、各層のトランスバースクラック6を繋ぐように層間剥離7が発生する。衝撃エネルギーの大半はこの層間剥離7によって吸収されていると考えられる。その後、図5のように、層間剥離7が更に進展してエネルギーを吸収していく。この時、層間剥離(これがそのまま損傷面積、ひいてはCAIに繋がる)7の長さはインパクト裏面に行くに従い長くなる。ここまでは構成によって変化しない。
その後の損傷最終形態が積層構成および一方向材[A]、[B]のGIIc、引張強度とのバランスによって異なってくる。
例えば、一方向材[A]のみで構成されるCFRPの場合は、図6のようにインパクト裏面で最後に引張による繊維破断8が発生する。
これに対し、インパクト面が[A]、裏面が[B]という構成の場合、上記の繊維破断に加えて、図7のようにインパクト面で層間剥離9が発生する。この層間剥離と繊維破断の相乗効果によりデント深さが増加し、損傷視認性が向上する。
あるいは、外側が[B]、内側が[A]という構成の場合は、図8のように裏面の繊維破断と厚さ方向の中央付近の層間剥離の相乗効果によりデント深さが増加する。
このように、裏面の繊維破断と層間剥離の発生位置をコントロールすることによってCAIを維持しつつ損傷視認性を向上させるに至ったものである。このコントロールに寄与している力学特性は、一方向材[A]と[B]のGIIcの比、並びに引張強度の比であるということを見出した。
損傷視認性を向上させるためには、[B]のGIIcが[A]のGIIcの110%〜200%の範囲内であることが重要であり、[B]のGIIcが[A]のGIIcの110%〜125%の範囲内であると好ましい。
また、損傷視認性を向上させるためには、[B]の引張強度が[A]の引張強度の50%〜95%の範囲内であることが重要であり、[B]の引張強度が[A]の引張強度の80%〜95%の範囲内であると好ましい。
本発明のCFRP製部材を航空機主翼のボックス構造または尾翼のボックス構造に用いる場合、一方向材[B]がボックス構造の内面、すなわち[B]がインパクト裏面になるように配置する。[B]がボックス構造の内面でない場合はインパクト裏面での引張破壊が発生せず、損傷視認性が低下することがある。
本発明のCFRP製部材に用いる一方向材[A]、[B]としては、GIIcが1.75kJ/mm以上であることが好ましく、1.90kJ/mm〜10.00kJ/mmの範囲内であればより好ましい。GIIcが上記範囲より低い場合は損傷面積の増加によってCAIが低下する場合があり、上記範囲より高い場合はCFRP製部材の引張強度が低下する場合があり、特に航空機等の構造部材には用いることができなくなる。GIIcは、JIS K 7086(1993)に従って測定することができる。
本発明のCFRP製部材に用いる一方向材[A]、[B]としては、引張強度が2.5GPa以上であることが好ましく、2.6GPa〜10GPaの範囲内であるとより好ましい。引張強度が上記範囲より低い場合はCFRP製部材の引張強度が低下する場合があり、上記範囲より高い場合はCAIが低下する場合があり、特に航空機などの構造部材には用いることができなくなる。引張強度は、JIS K 7073(1988)に従って測定することができる。
本発明のCFRP製部材に用いる一方向材[A]、[B]の弾性率の比は、[B]の弾性率が[A]の弾性率の50%〜150%の範囲内であることが好ましく、85%〜115%の範囲内であるとより好ましい。弾性率の比がこの範囲外であると、成型した部材に反りが発生する場合があり、構造部材として用いることができなくなる。
本発明のCFRP製部材に用いる一方向材[A]、[B]の強化繊維の体積含有率は50%〜70%の範囲内であることが好ましく、53%〜60%の範囲内であるとより好ましい。体積含有率が上記範囲より少ないとCFRPの重量が重くなり、また、応力集中の影響で強度が低下する場合が有り、上記範囲より多いとCFRP内部に未含浸部分やボイドといった欠陥部分が発生し、物性低下を起こす場合がある。体積含有率は、JIS K 7075(1991)に従って測定することができる。
本発明のCFRP製部材にJIS K 7089(1996)に従って試験片の厚さ1mmあたり6.67Jの衝撃エネルギーを付与した後のCAIが275MPa以上であることが好ましく、300MPa〜600MPaの範囲内であるとより好ましい。CAIが上記範囲より低い場合は強度不足である場合があり、上記範囲より高い場合はCFRP製部材の引張強度が低下する場合があり、特に航空機などの構造部材には用いることができなくなる。
本発明のCFRP製部材にJIS K 7089(1996)に従って試験片の厚さ1mmあたり6.67Jの衝撃エネルギーを付与した後のデント深さd(図7、図8参照)が0.22mm以上であることが好ましく、0.25mm〜0.5mmの範囲であるとより好ましい。デント深さが0.22mm未満の場合はインパクト裏面の繊維破断が発生せず、損傷部の視認性が低下することがあり、デント深さが0.5mmを超える場合はCAIが低下する場合がある。
次に、本発明のCFRP製部材を製造するに好適な方法について説明する。
本発明において一方向材とは、一方向に引き揃えられた炭素繊維に、上記した未硬化のマトリックス樹脂を含浸させたものである。一方向材の製造には、各種の方法を用いることができる。例えば、加熱した未硬化のマトリックス樹脂中に炭素繊維を通す方法、未硬化のマトリックス樹脂をリバースロールコータなどを用いて離型紙などの表面にフィルム状に塗布し、炭素繊維の片側あるいは両側から挟み込み、加熱・加圧して含浸させる方法、未硬化のマトリックス樹脂を溶媒に溶解して溶液とし、溶液と共に炭素繊維を通して含浸した後、乾燥して溶媒を除去する方法など、各種の方法を適用することができる。
本発明のCFRP製部材は、上記した一方向材を積層し、未硬化のマトリックス樹脂を硬化させることによって得ることができる。
該CFRP部材を構成する一方向材[A]、[B]の強化繊維の方向は、その部材の設計用途により決定され特に限定されないが、例えば、強化繊維を±45°、0°、90°に配向させた擬似等方性材料は必要な設計要件を容易に満たすことができるため好適に用いられる。
本発明のCFRP部材を成形する方法は、その部材の設計用途により決定され特に限定されないが、一方向材を積層し、オートクレーブで加熱、加圧して成型する方法が好適に用いられる。
以下に、実施例および比較例を用いて本発明をさらに具体的に説明する。
<一方向材[A]>
東レ(株)製プリプレグ P2352W−19
GIIc 2.01kJ/m
引張強度 2.98GPa
引張弾性率 154GPa
繊維体積含有率 56%
<一方向材[B]>
東レ(株)製プリプレグ P2302−19
GIIc 2.31kJ/m
引張強度 2.74GPa
引張弾性率 156GPa
繊維体積含有率 56%
<一方向材[A]と[B]の物性比(%)>
[B]のGIIcが[A]のGIIcの115%
[B]の引張強度が[A]の引張強度の92%
[B]の弾性率が[A]の引張弾性率の101%
CFRPを構成する一方向材を、[45/0/−45/90]3s(記号sは、鏡面対称を示す)の構成で積層し、オートクレーブ中で温度177℃、圧力0.6MPaで2時間加熱硬化し、CFRPを得た。このCFRPについて、0度方向が152.4mm、90度方向が101.6mmの長方形に切り出し、この中央に落下高さ571mmで5.4kgの落錘衝撃を与えた後、マイクロメータにて衝撃によりへこんだ部分の内でもっとも大きいデント深さを求めた。その後JIS K7089(1996)に従い、CAIを求めた。また、測定については、室温乾燥状態(25℃±2℃、相対湿度50%)で行った。
<実施例1>
図9に示す表面12層が一方向材[A]、裏面12層が一方向材[B]で構成されるCFRP板を作成し、[A]面に前述の方法で落錘衝撃を与え、デント深さ、CAIを求めた。
<実施例2>
図10に示す表面および裏面から8層ずつが一方向材[B]、中央の8層が一方向材[A]で構成されるCFRP板を作成し、落錘衝撃を与え、デント深さ、CAIを求めた。
<比較例1>
図11に示す24層全てが一方向材[B]で構成されたCFRP板を作成し、落錘衝撃を与え、デント深さ、CAIを求めた。
<比較例2>
図12に示す24層全てが一方向材[A]で構成されたCFRP板を作成し、落錘衝撃を与え、デント深さ、CAIを求めた。
<比較例3>
図13に示す表面12層が一方向材[B]、裏面12層が一方向材[A]で構成されるCFRP板を作成し、[B]面に落錘衝撃を与え、デント深さ、CAIを求めた。
<比較例4>
図14に示す表面および裏面から8層ずつが一方向材[A]、中央の8層が一方向材[B]で構成されるCFRP板を作成し、落錘衝撃を与え、デント深さ、CAIを求めた。
以上の各実施例と各比較例の得られた結果を表1にまとめた。
実施例1と比較例1、2との比較から、一方向材[A]または[B]のみの構成よりも2種の一方向材を組み合わせた構成の方がデント深さが大きくなるということが分かる。加えて、実施例1と比較例3との比較から、同じ構成でも[B]をインパクト裏面にした方がデント深さが大きくなるということが分かる。また、実施例2と比較例1、2との比較から、実施例2のようなサンドイッチ構造でもデント深さが大きくなることが分かる。さらに、実施例2と比較例4の比較から、サンドイッチ構造においても、[B]がインパクト裏面に配置される構成である方がデント深さが大きくなることが分かる。以上のことから、実施例1または2の構成であれば、CAIを維持しつつデント深さ、すなわち損傷視認性が向上するということが分かる。
本発明のCFRP製部材は、航空機、宇宙機、自動車、船舶などの構造材料に好適に用いることができる。
本発明の一例であるCFRPのモデル断面図である。 衝撃負荷下におけるCFRPのモデル断面図である。 衝撃負荷下におけるCFRPのモデル断面図である。 衝撃負荷下におけるCFRPのモデル断面図である。 衝撃負荷下におけるCFRPのモデル断面図である。 衝撃負荷下におけるCFRPのモデル断面図である。 衝撃負荷下におけるCFRPのモデル断面図である。 衝撃負荷下におけるCFRPのモデル断面図である。 実施例1のモデル図である。 実施例2の衝撃負荷下におけるCFRPのモデル図である。 比較例1の衝撃負荷下におけるCFRPのモデル図である。 比較例2の衝撃負荷下におけるCFRPのモデル図である。 比較例3の衝撃負荷下におけるCFRPのモデル図である。 比較例4の衝撃負荷下におけるCFRPのモデル図である。
符号の説明
1:基本CFRP層
2:基本CFRP層
3:基本CFRP層
4:微粒子
5:衝撃負荷
6:トランスバースクラック
7:層間剥離
8:繊維破断
9:最終形態で発生する層間剥離
d:デント深さ

Claims (8)

  1. 少なくとも2種の一方向材[A]、[B]が積層されてなる航空機主翼または尾翼ボックス構造用の炭素繊維強化プラスチック製部材であって、前記[B]がボックス構造の内面に積層され、かつ[B]のGIIcが[A]のGIIcの110%〜200%の範囲内であることを特徴とする炭素繊維強化プラスチック製部材。
  2. 少なくとも2種の一方向材[A]、[B]が積層されてなる航空機主翼または尾翼ボックス構造用の炭素繊維強化プラスチック製部材であって、前記[B]がボックス構造の内面に積層され、かつ[B]の引張強度が[A]の引張強度の50%〜95%の範囲内であることを特徴とする炭素繊維強化プラスチック製部材。
  3. 前記一方向材[A]、[B]のGIIcが1.75kJ/m以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の炭素繊維強化プラスチック製部材。
  4. 前記一方向材[A]、[B]の引張強度が2.5GPa以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の炭素繊維強化プラスチック製部材。
  5. 前記一方向材[B]の弾性率が[A]の弾性率の50%〜150%の範囲内であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の炭素繊維強化プラスチック製部材。
  6. 前記一方向材[A]、[B]の強化繊維の体積含有率が50%〜70%であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の炭素繊維強化プラスチック製部材。
  7. 前記一方向材[A]、[B]が積層されてなる厚さ4〜5mmの炭素繊維強化プラスチック製部材について、JIS K 7089(1996)に従って試験片の厚さ1mmあたり6.67Jの衝撃を付与した時の衝撃後圧縮強度が275MPa以上であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の炭素繊維強化プラスチック製部材。
  8. 前記一方向材[A]、[B]が積層されてなる厚さ4〜5mmの炭素繊維強化プラスチック製部材について、JIS K 7089(1996)に従って試験片の厚さ1mmあたり6.67Jの衝撃を付与した時のデント深さが0.22mm以上であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の炭素繊維強化プラスチック製部材。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2017217812A (ja) * 2016-06-07 2017-12-14 日産自動車株式会社 繊維強化樹脂製部材

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