JP2007016122A - 炭素繊維強化複合材料 - Google Patents
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Abstract
【課題】
従来のように力学特性に優れ、かつ、優れた耐久性を有する炭素繊維強化複合材料を提供する。
【解決手段】
少なくともマトリックス樹脂[A]、粘土鉱物からなる薄片体[B]および炭素繊維[C]からなる炭素繊維強化複合材料において、該マトリックス樹脂[A]が熱硬化性樹脂からなり、該薄片体[B]は平均厚さが0.1nm以上5nm以下でかつ平均長さが1nm以上1μm以下であり、該炭素繊維[C]の引張伸度が1.8%以上4%以下であることを特徴とする炭素繊維強化複合材料。
【選択図】 なし
従来のように力学特性に優れ、かつ、優れた耐久性を有する炭素繊維強化複合材料を提供する。
【解決手段】
少なくともマトリックス樹脂[A]、粘土鉱物からなる薄片体[B]および炭素繊維[C]からなる炭素繊維強化複合材料において、該マトリックス樹脂[A]が熱硬化性樹脂からなり、該薄片体[B]は平均厚さが0.1nm以上5nm以下でかつ平均長さが1nm以上1μm以下であり、該炭素繊維[C]の引張伸度が1.8%以上4%以下であることを特徴とする炭素繊維強化複合材料。
【選択図】 なし
Description
本発明は、優れた力学特性に加え、耐久性にも優れた炭素繊維強化複合材料に関するものである。
炭素繊維とマトリックス樹脂からなる炭素繊維強化複合材料(以下、CFRPと略すことがある。)は、比強度、比剛性、耐熱性および耐環境性に優れているため、スポーツ分野や航空機分野を始め、幅広く普及し使用されている。特に近年、高伸度タイプと呼ばれる炭素繊維が開発され、この高伸度タイプの炭素繊維を用いたCFRPは、特に比強度に優れているため、今後、航空機分野を始め多方面への適用が期待されている。
しかしながら、高伸度タイプの炭素繊維を用いたCFRPの場合は、繰り返し疲労に代表される耐久性については、マトリックス樹脂の耐久性の方がより問題になる。なぜならば、従来の低伸度タイプの炭素繊維の場合、引張伸度はせいぜい1.5%程度であったため、耐久性を評価する疲労試験では、1.2%程度の歪みに相当する荷重を繰り返し負荷し、その際に生じるひび割れ(以下、クラックと呼ぶことがある。)の数で評価する程度であった。この位の荷重では、CFRPを構成するマトリックス樹脂の伸度に余裕があるため、仮にマトリックス樹脂にクラックを生じやすいという問題が内在していたとしても、その問題が顕在化することは無かった。しかしながら、引張伸度1.8%を超えるような高伸度タイプの炭素繊維を用いたCFRPの場合は、疲労試験でも1.5%程度の歪みに相当する荷重が繰り返し負荷されるため、マトリックス樹脂の耐久性が徐々にクローズアップされることとなっているのである。これまで、マトリックス樹脂の架橋密度を下げる、あるいは、熱可塑性樹脂を添加する、などしてマトリックス樹脂の伸度を向上させ耐久性を付与する研究もなされてきていたが、架橋密度を下げるとTgが下がってしまい、熱可塑性樹脂を添加すると粘度が上昇し成形性が失われてしまうなど、他の物性を損なうことなく耐久性のみを向上させることは難しいのが現状である。
一方で、マトリックス樹脂の耐久性に限ったことではないが、近年ナノテクノロジーを用いてマトリックス樹脂の諸物性を向上させる研究が盛んに行われている。例えば、層状粘土鉱物から得られる薄片体を用いて、マトリックス樹脂の曲げ強度や剪断強度を向上させる発明が開示されている(特許文献1参照)。同じく、層状粘土鉱物から得られる薄片体を用いた例として、マトリックス樹脂の線膨張係数を下げ、耐熱性を向上させる発明が開示されている(特許文献2参照)。
しかしながら、ことCFRP用のマトリックス樹脂、特に高伸度タイプの炭素繊維を用いたCFRPのマトリックス樹脂の耐久性に関しては、この問題が顕在化したのが近年になってからであることに加えて、ナノテクノロジーをCFRPに適用した検討がほとんどなされてこなかったことから、未だに有効な対策が無いのが実状であり、この問題を解決する技術が所望されて久しいのである。
特開平06−136242号公報
特開2002−220513号公報
本発明の目的は、かかる従来技術のもつ課題を解決し、従来のように力学特性に優れ、かつ、優れた耐久性を有する炭素繊維強化複合材料(CFRP)を提供することにある。
本発明は、かかる課題を解決するために、次のような手段を採用するものである。すなわち、本発明の炭素繊維強化複合材料は、少なくともマトリックス樹脂[A]、粘土鉱物からなる薄片体[B]および炭素繊維[C]からなる炭素繊維強化複合材料であって、該マトリックス樹脂[A]が熱硬化性樹脂からなり、該薄片体[B]は平均厚さが0.1nm以上5nm以下でかつ平均長さが1nm以上1μm以下であり、該炭素繊維[C]の引張伸度が1.8%以上4%以下であることを特徴とする炭素繊維強化複合材料である。
本発明の炭素繊維強化複合材料の好ましい態様によれば、前記の粘土鉱物からなる薄片体[B]の平均アスペクト比は10以上10000以下であり、その薄片体[B]の含有量はマトリックス樹脂[A]100重量部に対して2重量部以上8重量部以下であり、その薄片体[B]の全陽イオン交換容量は50ミリ当量/100g以上200ミリ当量/100g以下である。
本発明の炭素繊維強化複合材料の好ましい態様によれば、前記のマトリックス樹脂[A]はエポキシ樹脂である。
本発明の炭素繊維強化複合材料の好ましい態様によれば、前記の炭素繊維[C]の単繊維断面形状に外接する円の半径Rと内接する円の半径rとの比R/rは、1.0以上1.1以下である。
本発明の炭素繊維強化複合材料の好ましい態様によれば、炭素繊維強化複合材料は、更に熱可塑性樹脂を主体とする平均粒径が1μm以上150μm以下の微粒子を含有している。
本発明の炭素繊維強化複合材料の好ましい態様によれば、前記のマトリックス樹脂[A]、粘土鉱物からなる薄片体[B]および炭素繊維[C]からなる層が複数枚積層された炭素繊維強化複合材料中であって、該層と層との間に挟まれた層間領域に、熱可塑性樹脂を主体とする粒子の80重量%以上が存在している。
本発明によれば、従来のように力学特性に優れ、かつ、優れた耐久性を有し、さらに、熱的にも安定し耐衝撃性にも優れた炭素繊維強化複合材料(CFRP)が低コストで得られる。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
本発明の炭素繊維強化複合材料は、少なくともマトリックス樹脂[A]、粘土鉱物からなる薄片体[B]および炭素繊維[C]で基本的に構成されている。
本発明で好適に用いられるマトリックス樹脂[A]は、熱硬化性樹脂である。熱硬化性樹脂としては、具体的には、エポキシ樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、マレイミド樹脂、シアン酸エステル樹脂および尿素樹脂などが挙げられる。これらの中で、エポキシ樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂およびこれらの樹脂の混合物は、高い力学特性を有し、好ましく用いられる。特に、エポキシ樹脂は力学特性に優れ、粘土鉱物からなる薄片体[B]とも親和性が高く、かつ、炭素繊維[C]との接着にも優れているため、特に好ましく用いられる。
エポキシ樹脂としては、分子内に複数のエポキシ基を有する化合物が用いられる。エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フェノール化合物とジシクロペンタジエンの共重合体を原料とするエポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂などのグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、およびこれらの樹脂の組み合わせが好適に用いられる。
特に、ビスフェノールA、AD、S6およびF型から選ばれる、もしくは、これらを組み合わせて得られるエポキシ樹脂を好ましくは5から50重量部と、グリシジルアミン型エポキシ樹脂を好ましくは50から95重量部含むエポキシ樹脂は、力学物性と取り扱い性のバランスに優れており、かつ、粘土鉱物からなる薄片体[B]との親和性に優れ耐疲労性が著しく向上するので特に好ましく用いられる。
また、エポキシ樹脂と組み合わせて硬化剤を用いることができる。エポキシ樹脂と組み合わせて用いられる硬化剤としては、例えば、芳香族アミン、脂肪族アミン、カルボン無水物およびルイス酸錯体などが挙げられる。またこれらの硬化剤は、硬化活性を高めるために適当な硬化助剤を組み合わせて用いることができる。エポキシ樹脂に硬化助剤を組み合わせる場合の好ましい例としては、ジシアンジアミドに、3−(3,4−ジクロロフェニル)−1、1−ジメチル尿素(DCMU)などの尿素誘導体を硬化助剤として組み合わせる例、芳香族アミンに酸フッ化ホウ素エチルアミン錯体を硬化助剤として組み合わせる例、およびカルボン酸無水物やノボラック樹脂に3級アミンを硬化助剤として組み合わせる例などが挙げられる。
本発明では、上記のマトリックス樹脂[A]に熱可塑性樹脂を混合し溶解させて用いることもできる。このような熱可塑性樹脂としては、主鎖に、炭素炭素結合、アミド結合、イミド結合、エステル結合、エーテル結合、カーボネート結合、ウレタン結合、尿素結合、チオエーテル結合、スルホン結合、イミダゾール結合およびカルボニル結合からなる群から選ばれた結合を有するものが挙げられる。特に、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、ポリエーテルイミドおよびポリイミドからなる群から選ばれた1種以上の樹脂が好ましく用いられる。熱可塑性樹脂を混合させるときは、エポキシ樹脂100重量部に対して熱可塑性樹脂をこのましくは1から20重量部混合させることにより、エポキシ樹脂に適度な粘弾性や力学特性を与えることができる。
本発明で用いられる粘土鉱物からなる薄片体[B]は、主に層状粘土鉱物をマトリックス樹脂[A]に添加することによって、一層一層が剥離され得られる薄片体である。用いられる層状粘土鉱物としては、例えば、モンモリロナイト、サポナイト、バイデライト、ヘクトライトおよびスチーブンサイトなどのスメクタイト型粘土鉱物や、バーミキュライト、イライトおよびセリサイオなどが挙げられ、天然品と合成品のいずれも使用することがきる。これらの中でも、スメクタイト型粘土鉱物が好ましく、さらにモンモリロナイトが最も好ましい。
これらの層状粘土鉱物は、本来は後述するナノレベルの大きさの薄片体が層状に重なった構成を有するマイクロレベルの大きさの粘土鉱物であるが、後述する添加量や全陽イオン交換容量の条件により、マトリックス樹脂内で、その層状粘土鉱物を構成する薄片体一層一層が剥離して、ナノレベルの大きさ(長さ)で超微細な薄片体となり、マトリックス樹脂内に均一に分散されることにより、炭素繊維強化複合材料に耐久性を付与する。また、層状粘土鉱物は異物や不純物として作用しないため、マトリックス樹脂が本来持つ力学特性などを損なうこともない。
ここで、粘土鉱物からなる薄片体は、平均厚さが0.1nm以上5nm以下で、かつ平均長さが1nm以上1μm以下である。薄片体の平均厚さが5nmを超えるか平均長さが1μmを超えると、薄片体がマトリックス樹脂内で異物として作用してしまい、熱硬化性樹脂が本来持つ高い力学特性などを損なってしまう。また一方、薄片体の平均厚さは0.1nmが実質的に最小であり、また、平均長さも1nmが実質的に最小である。
本発明において、粘土鉱物からなる薄片体の平均厚さと平均長さは、次の方法で規定するものをいう。
すなわち、本発明のCFRPから、2mm角程度の大きさで任意の位置100点をサンプリングし、透過型顕微鏡で観察する。観察結果を、例えば、Adobe社製Photoshop等の画像処理ソフトで取り込み、画像を白黒で2極化した後、十分に剥離分離している薄片体を10体選び、それらの長さを測る。薄片体が湾曲している場合は、画像処理ソフトのトレース機能を用いて薄片体の実長さを測定する。薄片体の厚さは、長さ方向を5分割し各点の厚さの平均を取る。
粘土鉱物からなる薄片体[B]の平均アスペクト比は、10以上10000以下であることが好ましい。これは、例えば、平均アスペクト比が低い薄片体では、仮にマトリックス樹脂中に多数薄片体が存在していたとしても長さが短いため、クラックの進展経路に薄片体が存在する確率が低くなり、結果として、薄片体がクラックの伝播を阻止する抵抗体として働く効果が小さくなる。これに対して、高いアスペクト比を持つ薄片体の場合は、薄片体が同じ体積分だけマトリックス樹脂中に存在していても、長さが長いため、薄片体がクラックの進展経路に存在する確率が高くなり、結果として、クラックの伝播を阻止する抵抗体として、より効果的に作用することができる。平均アスペクト比が10を下回るとこの作用が弱まってしまい、逆に10000を超えるアスペクト比を持つ薄片体は、実質的に存在しない。また、平均アスペクト比の高い薄片体があまりに多すぎると、クラックの伝播を阻止する抵抗体としては良いものの、逆に、異物としてマトリックス樹脂の他の力学特性(例えば、靭性など)を損なうおそれがあるので、平均アスペクト比は、より好ましくは50以上200以下である。平均アスペクト比が、上記の範囲であると、クラックの伝播を阻止する抵抗体としての作用が十分にあり、かつ、薄片体が異物としてマトリックス樹脂の他の特性を損ねることなく、理想的な状態となる。
平均アスペクト比の算出方法は、以下の方法を用いる。すなわち、CFRPから2mm角程度の大きさで任意の位置100点をサンプリングし、透過型顕微鏡で観察する。観察結果を、例えば、Adobe社製Photoshop等の画像処理ソフトで取り込み、画像を白黒で2極化した後、十分に剥離分離している薄片体を10体選び長さを測る。薄片体が湾曲している場合は、画像処理ソフトのトレース機能を用いて薄片体の実長さを測定する。薄片体の厚さは長さ方向を5分割し各点の厚みの平均を取る。このようにして得られた薄片体の長さと厚みについて長さ/厚みを計算し、その薄片体のアスペクト比とする。この作業を100サンプル(1サンプルあたり薄片体10体)について行い、薄片体1000体のアスペクト比の平均を、平均アスペクト比とする。
粘土鉱物からなる薄片体[B]は、マトリックス樹脂[A]内で十分分散した状態で存在するようにするが、そのためには、薄片体[B]の含有量がマトリックス樹脂[A]100重量部に対して2重量部以上8重量部以下であることが好ましい。薄片体[B]の含有量が8重量部を超えると、層状粘土鉱物から薄片体が剥離し十分分散することが困難になり、結果として、マイクロレベルの大きさの異物としてマトリックス樹脂内に存在し、マトリックス樹脂が本来持つ高い力学特性を損なってしまうことがある。また、薄片体[B]の含有量が2重量部を下回ると、層状粘土鉱物がマトリックス樹脂内で十分分散するものの、存在する薄片体の絶対量が不足し、マトリックス樹脂に十分な耐久性を付与することができなくなってしまう。
薄片体の含有量は、以下に示す方法によって計算することができる。すなわち、CFRPから2mm角程度の大きさで任意の位置100点をサンプリングし、透過型顕微鏡観察する。その観察結果を、同様にAdobe社製Photoshopなどの画像処理ソフトで取り込み、白黒で2極化した後、薄片体の面積とマトリックス樹脂の面積を画像処理ソフトの面積測定機能で測定した後、サンプルの厚みをこれら面積にかけることによって薄片体とマトリックス樹脂の体積を算出する。この体積に薄片体とマトリックス樹脂の密度をかけることによって薄片体とマトリックス樹脂の重量を算出し、この重量比から薄片体の含有量を求めることができる。本発明において、薄片体は、主に層状粘土鉱物をマトリックス樹脂に添加することによって得ることができるので、薄片体の含有量と層状粘土鉱物の添加量とは実質的に同義である。
粘土鉱物からなる薄片体[B]の全陽イオン交換容量は、50ミリ当量/100g以上200ミリ当量/100g以下であることが好ましい。全陽イオン交換容量がこの範囲内であると、薄片体の分散が容易となるからである。ここでも、本発明において、薄片体は主に層状粘土鉱物をマトリックス樹脂に添加することによって得ることができるので、薄片体の全陽イオン交換当量と層状粘土鉱物の全陽イオン交換当量とは実質的に同義である。
本発明にかかる全陽イオン交換容量は、次のカラム浸透法により算出される数値を言う。すなわち、長さ12cm、内径1.3cmの浸出管中に脱脂綿と濾紙HVにより5mmの濾過層を作成し、その上に石英砂とともに層状粘土鉱物を0.2〜1g充填し、これに対し1規定酢酸アンモニウム液100mlを4〜20時間かけて浸透させアンモニウムイオンで飽和した層状粘土鉱物を得る。これを10%食塩水100mlで洗浄しアンモニウムイオンを交換浸出させ、アンモニウムイオンの含量を測定し、この測定値から層状粘土鉱物100g当たりの陽イオンのミリグラム当量を算出し、全陽イオン交換容量とする。
本発明で用いられる炭素繊維[C]は、JIS R 7601に記述されている測定方法による引張伸度が1.8%以上4%以下であることが好ましい。引張伸度をこの範囲内にすると、薄片体によるマトリックス樹脂のクラック伝播抵抗向上効果を有効に活かせるからである。炭素繊維には、例えば、ピッチ系、PAN系およびレーヨン系など炭素繊維があるが、中でも引張伸度の高いPAN系の炭素繊維が特に好ましい。
炭素繊維の単繊維断面形状は、実質的に真円であることが好ましく、具体的には、単繊維断面形状に外接する円の半径Rと内接する円の半径rとの比R/rが1.0以上1.1以下の真円状であることが好ましい。
単繊維断面形状が真円状以外の形状、例えば、空豆状であった場合、粘度鉱物からなる薄片体が炭素繊維との引力により、空豆型のくぼんだ箇所に引き寄せられて、この領域の薄片体濃度が高くなり、その他の領域では薄片体の濃度が低くなるという、不均一分散を引き起こし、その結果、マトリックス樹脂内に均一に付与されるべき耐久性向上効果にムラがでる可能性がある。これに対し、単繊維断面形状が真円状の場合は、粘度鉱物からなる薄片体は単繊維周辺に均一に分散し、その結果、マトリックス樹脂の耐久性も均一に向上させることができる。
本発明で用いられる炭素繊維[C]は連続繊維であることが好ましい。連続でない場合は、炭素繊維を複合材料に加工したときに、補強繊維としての強度を十分に発揮させることが困難となる。炭素繊維は、その形状や配列については特に限定されず、例えば、単一方向、ランダム方向、シート状、マット状、織物状および組み紐状であっても良い。特に、比強度と比弾性率が高いことを要求される用途には、炭素繊維が単一方向に引き揃えられた配列のものが最も適しているが、取り扱いの容易な織物状の配列のものも本発明に適している。また、炭素繊維の繊度やマルチフィラメントとして使用する場合の本数は特に限定されるものではないが、取り扱い性や得られたCFRPの力学特性に優れているという観点から、トータル繊度は好ましくは100tex以上2000tex以下であり、またフィラメント本数は好ましくは3000以上30000以下の範囲である。炭素繊維の繊度やフィラメント数は、JIS R 7601によって測定することができる。
さらに、本発明で用いられる炭素繊維の体積含有率(Vf)は特に限定されるものではないが、得られるCFRPの比強度や比弾性率に優れているという観点から、Vfは30%以上80%以下であることが好ましい。Vfは、JIS K 7075に従って測定することができる。
本発明で得られるCFRPの構成は、マトリックス樹脂[A]と炭素繊維[C]からなる層が複数枚積層され、そのマトリックス樹脂[A]中に粘度鉱物からなる薄片体[B]が分散してなる形態が好ましい。
本発明ではさらに、マトリックス樹脂に、熱可塑性樹脂、エラストマー、熱可塑エラストマーまたは/およびエラストマー等を配合させることができ、またマトリックス樹脂に不溶な微粒子などを配合することによってマトリックス樹脂を改質することができる。具体的には、マトリックス樹脂に不溶な微粒子を配合することにより、マトリックス樹脂の靭性を向上させることができ、CFRPの耐衝撃性を向上させることができる。好ましく用いられる微粒子は、ポリアミド、ポリアリレート、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホンおよびポリアラミドからなる群から選ばれた1種以上の熱可塑性樹脂からなる微粒子である。
そして、この微粒子が、マトリックス樹脂[A]、粘土鉱物からなる薄片体[B]および炭素繊維[C]からなる層が複数枚積層された繊維強化複合材料中で、該層と層との間に挟まれた層間領域に、熱可塑性樹脂を主体とする微粒子の80重量%以上が存在していることが好ましい。
図1は、上記の層間領域を例示説明するためのモデル断面図である。ここで層間領域とは、図1に示すように、それぞれマトリックス樹脂[A]と粘土鉱物からなる薄片体[B]、そして炭素繊維[C]からなる層1、層2および層3において、これら隣接する層と層の間の接する部分(例えば、層1と層2の接する部分、あるいは、層2と層3の接する部分)に形成されている領域であり、各層1、2、3の平均厚みをtとすると、層と層とが接する面から厚さ方向へ上下に0.15tずつ入った0.3tの厚みを持つ領域をいう。この層と層との間に挟まれた層間領域に、熱可塑性樹脂を主体とする微粒子4が存在している。
このような構成をとることにより、外部からの衝撃に対する耐衝撃性は主に層間領域に存在する微粒子によって衝撃を吸収し、繰り返し荷重など内部応力疲労に対する耐久性は粘度鉱物からなる薄片体[B]により向上させることができるという、トータルで優れたCFRPを得ることができる。また、層間領域は炭素繊維に比べて熱膨張係数が高いため、層間領域を含有するCFRPは厚さ方向の熱膨張係数が高くなり熱安定性が損なわれる傾向があるが、本発明では粘度鉱物からなる薄片体が層間の熱膨張係数を低減させ、その結果、厚さ方向にも熱的に安定なCFRPを得ることができる。
このような効果を得るためには、熱可塑性樹脂を主体とする微粒子の80重量%以上が層間領域に存在していることが好ましく、この条件を満たす部分がCFRP中に、好ましくは全体の30%以上、より好ましくは、全体の50%以上の部分でこの条件を満たしていることが好ましい。
本発明において、層間領域に存在する熱可塑性樹脂を主体とする微粒子の量は、以下の方法によって求めることができる。まず、CFRPを積層面に垂直に切断し、その断面を70倍以上に拡大して200mm×200mm以上の写真を作成する。この断面写真を用いて、まずは平均的な層の厚みを求める。層の平均厚みは写真上で、少なくとも5層以上の積層部分の厚みを、任意に選んだ5カ所で測定し、その値を該積層数で除して求める。次に、同じCFRPの断面を500倍以上に拡大して200mm×200mm以上の写真を作成する。この写真を用い、一つの層間に着目し、その層間部分のほぼ中心に線を引く。次いで、先に求めた層の平均厚みの30%を間隔とする2本の線、および層の平均厚みを間隔とする2本の線をその中心線に対して対称に引く。写真中の層の平均厚みの30%を間隔とする2本の線に囲まれた部分が層間領域である。そして、層間領域の中の熱可塑性樹脂を主体とする微粒子の面積、および、層の平均厚みを間隔とする2本の線に囲まれた部分における熱可塑性樹脂を主体とする微粒子の面積をそれぞれ定量し、その比を取ることにより層間領域に存在する熱可塑性樹脂を主体とする微粒子の割合が算出できる。熱可塑性樹脂を主体とする微粒子の面積は、例えば、Adobe社製Photoshop等の画像処理ソフトに写真を取り込み、微粒子の色に相当する部分を面積測定機能で測定することにより求めることができる。本発明においては重量%によって、層間領域に存在する熱可塑性樹脂を主体とする微粒子の量を規定しているが、重量比は先の面積比に比重をかけた値と同じであるので、面積比の測定は重量比の測定と同義である。
本発明において、層間領域に存在する熱可塑性樹脂を主体とする微粒子の量は、以下の方法によって求めることができる。まず、CFRPを積層面に垂直に切断し、その断面を70倍以上に拡大して200mm×200mm以上の写真を作成する。この断面写真を用いて、まずは平均的な層の厚みを求める。層の平均厚みは写真上で、少なくとも5層以上の積層部分の厚みを、任意に選んだ5カ所で測定し、その値を該積層数で除して求める。次に、同じCFRPの断面を500倍以上に拡大して200mm×200mm以上の写真を作成する。この写真を用い、一つの層間に着目し、その層間部分のほぼ中心に線を引く。次いで、先に求めた層の平均厚みの30%を間隔とする2本の線、および層の平均厚みを間隔とする2本の線をその中心線に対して対称に引く。写真中の層の平均厚みの30%を間隔とする2本の線に囲まれた部分が層間領域である。そして、層間領域の中の熱可塑性樹脂を主体とする微粒子の面積、および、層の平均厚みを間隔とする2本の線に囲まれた部分における熱可塑性樹脂を主体とする微粒子の面積をそれぞれ定量し、その比を取ることにより層間領域に存在する熱可塑性樹脂を主体とする微粒子の割合が算出できる。熱可塑性樹脂を主体とする微粒子の面積は、例えば、Adobe社製Photoshop等の画像処理ソフトに写真を取り込み、微粒子の色に相当する部分を面積測定機能で測定することにより求めることができる。本発明においては重量%によって、層間領域に存在する熱可塑性樹脂を主体とする微粒子の量を規定しているが、重量比は先の面積比に比重をかけた値と同じであるので、面積比の測定は重量比の測定と同義である。
このような構成を得るため、これら微粒子の粒径は、1μm以上150μm以下であることが好ましい。粒径が150μmを超えると、炭素繊維の配列を乱したり、積層して得られるCFRPの厚さが厚くなり相対的に炭素繊維の体積含有率を下げ、力学特性を低下させる。また、粒径が1μmを下回ると、炭素繊維の繊維間に粒子が入り込み、層間部分に局在化せず、粒子の存在効果が十分に得られず耐衝撃性が低くなる。
次に、本発明のCFRPの製造方法について説明する。
本発明のCFRPは、上記マトリックス樹脂[A]と粘度鉱物からなる薄片体[B]を含んでなる樹脂組成物を、炭素繊維[C]に含浸させてなるプリプレグを積層し、樹脂組成物を硬化させることによって得ることができる。プリプレグの製造には、各種の方法を用いることができる。例えば、加熱した樹脂組成物中に炭素繊維を通す方法、樹脂組成物をリバースロールコータなどを用いて離型紙などの表面にフィルム状に塗布し、炭素繊維の片側あるいは両側から挟み込み、加熱・加圧して含浸させる方法、樹脂組成物を溶媒に溶解して溶液とし、溶液と共に炭素繊維を通して含浸した後、乾燥して溶媒を除去する方法など、各種の方法を適用することができる。このプリプレグの片面または両面の表面近傍に、前述の微粒子を存在させ、積層、硬化して得られたCFRPの層間領域に微粒子を分布させることが有効であることが知られている。
本発明のCFRPは、プリプレグを複数積層後、硬化する方法以外にも、ハンドレイアップ法、フィラメントワインディング法およびレジントランスファーモールディング法など成形方法を用いて製造することができる。
また、本発明で得られたCFRPは、航空機の部材の他に、テニスラケットやゴルフシャフトなどのスポーツ用品、自動車のバンパーやドアなどの外板部材、およびシャシーやフロントサイドメンバなど自動車の構造部材などに適用することができる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。以下の記載で、部数は全て重量部を表す。
(実施例1)
(1)樹脂組成物の作製
下記の原料をニーダーを用いて混練し、樹脂組成物を得た。
・ビスフェノールA型エポキシ樹脂 40部
(“EPON”(登録商標)828、 Resolution Performance Products社製)
・テトラグリシジルキシレンジアミン 60部
(Araldite MY9512、Vantico Inc.社製)
・4−4’−ジアミノジフェニルスルフォン 45部
(“Ardur”(登録商標)976−1,Vantico Inc.社製)
・層状粘土鉱物 5部
(Cloisite25A、SouthernClay社製、平均厚さ0.7nm、平均長さ50nm、全陽イオン交換当量95ミリ当量/100g、平均アスペクト比74)
(2)プリプレグの作製
上記の樹脂組成物を、リバースロールコーターを用いて、樹脂目付37.0g/m2となるように離型紙上に塗布し、樹脂フィルムを作製した。次に、一方向に整列させた炭素繊維(”トレカ”(登録商標)T700S(東レ(株)社製、伸度2.1%、R/r=1.0))を、その両側から前記の樹脂フィルムで挟み、加熱加圧して樹脂を含浸させ、炭素繊維目付150g/m2、樹脂含有率が33重量%の一方向プリプレグを得た。
(1)樹脂組成物の作製
下記の原料をニーダーを用いて混練し、樹脂組成物を得た。
・ビスフェノールA型エポキシ樹脂 40部
(“EPON”(登録商標)828、 Resolution Performance Products社製)
・テトラグリシジルキシレンジアミン 60部
(Araldite MY9512、Vantico Inc.社製)
・4−4’−ジアミノジフェニルスルフォン 45部
(“Ardur”(登録商標)976−1,Vantico Inc.社製)
・層状粘土鉱物 5部
(Cloisite25A、SouthernClay社製、平均厚さ0.7nm、平均長さ50nm、全陽イオン交換当量95ミリ当量/100g、平均アスペクト比74)
(2)プリプレグの作製
上記の樹脂組成物を、リバースロールコーターを用いて、樹脂目付37.0g/m2となるように離型紙上に塗布し、樹脂フィルムを作製した。次に、一方向に整列させた炭素繊維(”トレカ”(登録商標)T700S(東レ(株)社製、伸度2.1%、R/r=1.0))を、その両側から前記の樹脂フィルムで挟み、加熱加圧して樹脂を含浸させ、炭素繊維目付150g/m2、樹脂含有率が33重量%の一方向プリプレグを得た。
(3)硬化板の作製
上記のプリプレグを、[0/45/90/−45]s(記号sは、鏡面対称を示す。)の構成で積層し、オートクレーブ中で温度177℃、圧力0.6MPaで2時間加熱硬化し、CFRPを得た。
上記のプリプレグを、[0/45/90/−45]s(記号sは、鏡面対称を示す。)の構成で積層し、オートクレーブ中で温度177℃、圧力0.6MPaで2時間加熱硬化し、CFRPを得た。
(4)CFRPの物性測定
硬化板からASTM D3039(1996)に従って試験片を切り出し、ASTM D3479(2000)に従って、引張伸度の70%に相当する荷重を繰り返し百万回与えた。その後、試験片の端面を研磨し、光学顕微鏡で観察して、90度層に入っているクラックの数を数え、耐久性の指標とした。結果を表1に示す。
硬化板からASTM D3039(1996)に従って試験片を切り出し、ASTM D3479(2000)に従って、引張伸度の70%に相当する荷重を繰り返し百万回与えた。その後、試験片の端面を研磨し、光学顕微鏡で観察して、90度層に入っているクラックの数を数え、耐久性の指標とした。結果を表1に示す。
(実施例2〜6、比較例1〜5)
実施例1に従い、下記に示す層状粘土鉱物、微粒子および炭素繊維を、表1のとおり用いてCFRPを作成し、得られたCFRPの物性を測定した。また、実施例3では、実施例1に示した方法に加え、下記に示す方法で微粒子補強プリプレグを作製し、以下、硬化板の作製とCFRPの物性測定は、実施例1に従って行った。
[層状粘土鉱物]
・Cloisite30B
(SouthernClay社製、平均厚さ0.7nm、平均長さ60nm、全陽イオン交換当量120ミリ当量/100g、平均アスペクト比82)
・CloisiteNa+
(SouthernClay社製、平均厚さ0.7nm、平均長さ50nm、全陽イオン交換当量0ミリ当量/100g、平均アスペクト比76)
・膨潤性雲母ME−100
(コープケミカル社製、平均厚さ1.1nm、平均長さ3.2μm、全陽イオン交換当量120ミリ当量/100g、平均アスペクト比30)
[微粒子]
・“トレパール”(登録商標)TN
(東レ(株)社製、平均粒径12.5μm)
[炭素繊維]
・炭素繊維”トレカ”(登録商標)T800S(東レ(株)社製、伸度2.0%、R/r=1.0)
・炭素繊維”トレカ”(登録商標)T800H(東レ(株)社製、伸度1.9%、R/r=1.6)
・炭素繊維”トレカ”(登録商標)T300(東レ(株)社製、伸度1.5%、R/r=1.5)
(5)実施例3の微粒子補強プリプレグ作製方法
実施例1の方法で一方向プリプレグを作製した後、別途、表1の樹脂組成を混練させ、目付20.5g/m2で離型紙上にフィルムコーティングしたものを作製し、これを二次樹脂フィルムとした。この二次樹脂フィルムを向かい合わせにした後、先に作製しておいた一方向プリプレグを通し、加熱プレスロールで加圧して、炭素繊維目付150g/m2、樹脂含有率が43.4重量%の微粒子補強プリプレグを得た。
実施例1に従い、下記に示す層状粘土鉱物、微粒子および炭素繊維を、表1のとおり用いてCFRPを作成し、得られたCFRPの物性を測定した。また、実施例3では、実施例1に示した方法に加え、下記に示す方法で微粒子補強プリプレグを作製し、以下、硬化板の作製とCFRPの物性測定は、実施例1に従って行った。
[層状粘土鉱物]
・Cloisite30B
(SouthernClay社製、平均厚さ0.7nm、平均長さ60nm、全陽イオン交換当量120ミリ当量/100g、平均アスペクト比82)
・CloisiteNa+
(SouthernClay社製、平均厚さ0.7nm、平均長さ50nm、全陽イオン交換当量0ミリ当量/100g、平均アスペクト比76)
・膨潤性雲母ME−100
(コープケミカル社製、平均厚さ1.1nm、平均長さ3.2μm、全陽イオン交換当量120ミリ当量/100g、平均アスペクト比30)
[微粒子]
・“トレパール”(登録商標)TN
(東レ(株)社製、平均粒径12.5μm)
[炭素繊維]
・炭素繊維”トレカ”(登録商標)T800S(東レ(株)社製、伸度2.0%、R/r=1.0)
・炭素繊維”トレカ”(登録商標)T800H(東レ(株)社製、伸度1.9%、R/r=1.6)
・炭素繊維”トレカ”(登録商標)T300(東レ(株)社製、伸度1.5%、R/r=1.5)
(5)実施例3の微粒子補強プリプレグ作製方法
実施例1の方法で一方向プリプレグを作製した後、別途、表1の樹脂組成を混練させ、目付20.5g/m2で離型紙上にフィルムコーティングしたものを作製し、これを二次樹脂フィルムとした。この二次樹脂フィルムを向かい合わせにした後、先に作製しておいた一方向プリプレグを通し、加熱プレスロールで加圧して、炭素繊維目付150g/m2、樹脂含有率が43.4重量%の微粒子補強プリプレグを得た。
以上の各実施例と各比較例の構成と得られた結果を、次の表1に纏めて示す。実施例1〜6のように、薄片体の平均厚さと長さが本発明で規定されている範囲内である場合は、得られたCFRPの耐久性が向上し、さらに、薄片体の含有量、全陽イオン交換容量、平均アスペクト比も本発明で規定された範囲内にある場合は、得られたCFRPの耐久性が特に向上していることが分かる。例えば、実施例1および実施例2と比較例1を比較すると、薄片体を添加することにより、クラック数が1/4近くまで減少している。また、実施例3と比較例4を比較しても、クラック数が大幅に減少している。一方で比較例2と比較例3を比較すると、層状粘土鉱物の添加によりクラック数が減少しているものの、減少幅は40%程度にとどまっている。また、微粒子を添加した実施例3は、耐久性が向上するのみならず耐衝撃性にも優れ特に好ましい結果が得られた。
本発明の炭素繊維強化複合材料(CFRP)は、航空機の部材の他に、テニスラケットやゴルフシャフトなどのスポーツ用品、自動車のバンパーやドアなどの外板部材、およびシャシーやフロントサイドメンバなど自動車の構造部材などに適用することができる。
また、本発明のCFRPは、炭素繊維以外の補強繊維を使用した繊維補強複合材料の用途にも応用することができる。
1 マトリックス樹脂[A]、粘土鉱物からなる薄片体[B]および炭素繊維[C]からなり、炭素繊維が紙面に対し垂直方向に配列されている層
2 マトリックス樹脂[A]、粘土鉱物からなる薄片体[B]および炭素繊維[C]からなり、炭素繊維が紙面に対し45度方向に配列されている層
3 マトリックス樹脂[A]、粘土鉱物からなる薄片体[B]および炭素繊維[C]からなり、炭素繊維が紙面に対し平行で横方向に配列されている層
4 微粒子
2 マトリックス樹脂[A]、粘土鉱物からなる薄片体[B]および炭素繊維[C]からなり、炭素繊維が紙面に対し45度方向に配列されている層
3 マトリックス樹脂[A]、粘土鉱物からなる薄片体[B]および炭素繊維[C]からなり、炭素繊維が紙面に対し平行で横方向に配列されている層
4 微粒子
Claims (9)
- 少なくともマトリックス樹脂[A]、粘土鉱物からなる薄片体[B]および炭素繊維[C]からなる炭素繊維強化複合材料であって、該マトリックス樹脂[A]が熱硬化性樹脂からなり、該薄片体[B]は平均厚さが0.1nm以上5nm以下でかつ平均長さが1nm以上1μm以下であり、該炭素繊維[C]の引張伸度が1.8%以上4%以下であることを特徴とする炭素繊維強化複合材料。
- 粘土鉱物からなる薄片体[B]の平均アスペクト比が10以上10000以下であることを特徴とする請求項1記載の炭素繊維強化複合材料。
- 粘土鉱物からなる薄片体[B]の含有量が、マトリックス樹脂[A]100重量部に対して2重量部以上8重量部以下であることを特徴とする請求項1または2記載の炭素繊維強化複合材料。
- 粘土鉱物からなる薄片体[B]の全陽イオン交換容量が50ミリ当量/100g以上200ミリ当量/100g以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の炭素繊維強化複合材料。
- マトリックス樹脂[A]がエポキシ樹脂であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の炭素繊維強化複合材料。
- 炭素繊維[C]の単繊維断面形状に外接する円の半径Rと内接する円の半径rとの比R/rが、1.0以上1.1以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の炭素繊維強化複合材料。
- 熱可塑性樹脂を主体とする微粒子を含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の炭素繊維強化複合材料。
- 熱可塑性樹脂を主体とする粒子の平均粒径が1μm以上150μm以下であることを特徴とする請求項7記載の炭素繊維強化複合材料。
- 少なくともマトリックス樹脂[A]、粘土鉱物からなる薄片体[B]および炭素繊維[C]からなる層が複数枚積層された炭素繊維強化複合材料中であって、該層と層との間に挟まれた層間領域に、熱可塑性樹脂を主体とする粒子の80重量%以上が存在していることを特徴とする請求項7または8に記載の炭素繊維強化複合材料。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005198833A JP2007016122A (ja) | 2005-07-07 | 2005-07-07 | 炭素繊維強化複合材料 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012520205A (ja) * | 2009-03-10 | 2012-09-06 | ザ・ボーイング・カンパニー | 準等方性ラミネート材を用いた複合構造 |
WO2013146254A1 (ja) * | 2012-03-29 | 2013-10-03 | 東海ゴム工業株式会社 | 導電性組成物および導電膜 |
JP2019116254A (ja) * | 2017-12-27 | 2019-07-18 | 株式会社イノアックコーポレーション | 回転翼及びそれを用いた無人航空機 |
-
2005
- 2005-07-07 JP JP2005198833A patent/JP2007016122A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2012520205A (ja) * | 2009-03-10 | 2012-09-06 | ザ・ボーイング・カンパニー | 準等方性ラミネート材を用いた複合構造 |
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JPWO2013146254A1 (ja) * | 2012-03-29 | 2015-12-10 | 住友理工株式会社 | 導電性組成物および導電膜 |
US9504151B2 (en) | 2012-03-29 | 2016-11-22 | Sumitomo Riko Company Limited | Conductive composition and conductive film |
JP2019116254A (ja) * | 2017-12-27 | 2019-07-18 | 株式会社イノアックコーポレーション | 回転翼及びそれを用いた無人航空機 |
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