JP2019069561A - ハニカム構造体およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】均質な性質を維持しつつ機械的強度を調整できるハニカム構造体およびその製造方法を提供する。【解決手段】複数本の筒状部材11を有するハニカム構造体10であって、複数本の筒状部材11には、積層板12を複数層備える第一筒状部材11が複数本含まれており、複数本の第一筒状部材11が、積層板12を複数備えており、複数本の第一筒状部材11のうち、一本または二本以上の第一筒状部材11は、積層板12として、第一繊維強化樹脂層13と、繊維Fの配向方向が第一繊維強化樹脂層13における繊維Fの配向方向と交差する第二繊維強化樹脂層14と、を備えている。各層の層数が異なれば、第一筒状部材11の機械的性質が変化する。つまり、機械的性質が異なる第一筒状部材11が混在しているので、混在状況を調整すれば、多様な性質を有するハニカム構造体10を形成することができる。【選択図】図1

Description

本発明は、ハニカム構造体およびその製造方法に関する。さらに詳しくは、繊維強化プラスチックによって形成されたハニカム構造体およびその製造方法に関する
ハニカム構造体は、軽量かつ高強度にできることから、構造用材料として使用されている。例えば、鉄やアルミニウム製のハニカム構造体であれば、同じ曲げ剛性を発揮する鉄板やアルミニウム板に比べて、大幅に軽量化することができる。このため、軽量かつ剛性が求められる飛行機や自動車などの輸送機器、建築材等の構造材料として使用されている。
かかるハニカム構造体として、鉄やアルミニウム製のハニカム構造体に加えて、近年では、繊維強化プラスチック(FRP)製のハニカム構造体も製造されている。FRP製のハニカム構造体は、アルミニウムと比較しても軽量化を図れるという利点がある。とくに、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)は非常に強度が高いので、上述したような用途での使用が期待されている。
FRP製のハニカム構造体を製造する方法として、筒状のコアユニットを形成し、このコアユニットを複数並べて接続することによってハニカム構造体を製造する方法が開示されている(例えば、特許文献1、2)。
また、特許文献1、2には、機械的強度の異なるコアユニットを使用することによって、ハニカム構造体の機械的強度を部分的に変更することも開示されている。このように、部分的に機械的強度が異なるハニカム構造体とすれば、曲げ剛性などを部分的に変更できるので、多様な性質を有する構造材料を形成できる可能性がある。
特開2006−247867号公報 特開2004−358806号公報
しかるに、特許文献1では、機械的強度を変更させる方法として、FRPを構成する糸の太さや種類、量、樹脂の種類や量などを変更する方法が開示されているが、強度調整に関する具体的な記載はない。
一方、特許文献2では、芯材に巻き付ける強化繊維シートの層数を変更することによってコアユニットの機械的強度を変更できる旨の記載がある。しかし、特許文献2には、異なるコアユニットをどのように使用すればハニカム構造体の性質(曲げ強度など)を調整できるかについては全く記載がない。
本発明は上記事情に鑑み、機械的強度を調整できるハニカム構造体およびその製造方法を提供することを目的とする。
(ハニカム構造体)
第1発明のハニカム構造体は、複数本の筒状部材を有するハニカム構造体であって、前記複数本の筒状部材には、繊維強化樹脂からなる層を複数層備える第一筒状部材が複数本含まれており、該複数本の第一筒状部材のうち、一本または二本以上の第一筒状部材は、繊維強化樹脂からなる層として、第一繊維強化樹脂層と、繊維の配向方向が前記第一繊維強化樹脂層における繊維の配向方向と交差する第二繊維強化樹脂層と、を備えていることを特徴とする。
第2発明のハニカム構造体は、第1発明において、前記複数本の第一筒状部材は、繊維強化樹脂からなる層の層数が同数であり、かつ、前記第二繊維強化樹脂層の層数が異なる筒状部材を含んでいることを特徴とする。
第3発明のハニカム構造体は、第1または第2発明において、前記第一筒状部材の第二繊維強化樹脂層は、繊維の配向方向が、前記第一繊維強化樹脂層における繊維の配向方向に対して直交していることを特徴とする。
第4発明のハニカム構造体は、第1、第2または第3発明において、前記複数本の筒状部材には、前記第一筒状部材と異なる第二筒状部材が含まれていることを特徴とする。
第5発明のハニカム構造体は、第4発明において、前記第二筒状部材は、その断面形状が前記第一筒状部材と断面形状が同じ形状であることを特徴とする。
第6発明のハニカム構造体は、第1乃至第5発明のいずれかにおいて、前記第一筒状部材を含む複数本の筒状部材を連結したハニカムユニットを複数有しており、各ハニカムユニットでは、各ハニカムユニットに含まれる前記第一筒状部材の前記繊維強化樹脂からなる層の総層数および前記第一繊維強化樹脂層の層数が同数であることを特徴とする。
第7発明のハニカム構造体は、第1乃至第6発明のいずれかにおいて、前記複数本の筒状部材の軸方向の端部に配置される表面部材を備えていることを特徴とする。
第8発明のハニカム構造体は、第7発明のいずれかにおいて、前記複数本の筒状部材を軸方向から挟む一対の前記表面部材が設けられていることを特徴とする。
第9発明のハニカム構造体は、第7または第8発明において、前記複数本の筒状部材のうち少なくとも一部の筒状部材が前記表面部材に連結されていることを特徴とする。
(ハニカム構造体の製造方法)
第10発明のハニカム構造体の製造方法は、繊維強化樹脂からなる層を複数層備える第一筒状部材を含む複数本の筒状部材を有するハニカム構造体の製造方法であって、前記複数本の筒状部材は、繊維の配向方向が異なる層を有する前記第一筒状部材を複数本有しており、前記複数本の筒状部材を軸方向が平行となるように並べて接合することを特徴とする。
第11発明のハニカム構造体の製造方法は、第10発明において、前記第一筒状部材には、前記繊維強化樹脂からなる層の総層数および/または前記第一繊維強化樹脂層の層数が異なる筒状部材が含まれており、前記繊維強化樹脂からなる層の総層数および/または前記第一繊維強化樹脂層の層数が異なる第一筒状部材が混在するように前記複数本の筒状部材を軸方向が平行となるように並べて接合することを特徴とする。
第12発明のハニカム構造体の製造方法は、繊維強化樹脂からなる層を複数層備える第一筒状部材を含む複数本の筒状部材と、該複数本の筒状部材の軸方向の端部に配置された表面部材と、を有するハニカム構造体の製造方法であって、熱を加えると接着性発揮する接着素材を含むシート状部材を前記複数本の筒状部材の端部と前記表面部材との間に配置して、前記シート状部材の接着素材が接着性を発揮する温度まで加熱することを特徴とする。
第13発明のハニカム構造体の製造方法は、第12発明において、前記複数本の筒状部材に複数本の前記第一筒状部材が含まれており、該複数本の第一筒状部材のうち、一本または二本以上の第一筒状部材は、繊維強化樹脂からなる層として、第一繊維強化樹脂層と、繊維の配向方向が前記第一繊維強化樹脂層における繊維の配向方向と交差する第二繊維強化樹脂層と、を備えていることを特徴とする。
第14発明のハニカム構造体の製造方法は、第13発明において、前記一本または二本以上の筒状部材には、前記第二繊維強化樹脂層の層数が異なる筒状部材が含まれていることを特徴とする。
第15発明のハニカム構造体の製造方法は、第11または第14発明において、前記第一筒状部材の第二繊維強化樹脂層は、繊維の配向方向が前記第一繊維強化樹脂層における繊維の配向方向に対して直交していることを特徴とする。
第16発明のハニカム構造体の製造方法は、第11、第14または第15発明において、前記繊維強化樹脂からなる層の総層数および前記第一繊維強化樹脂層の層数が同じである前記第一筒状部材を複数有する第一ハニカムユニットを形成し、前記繊維強化樹脂からなる層の総層数および/または前記第一繊維強化樹脂層の層数が前記第一ハニカムユニットに含まれる前記第一筒状部材と異なる前記第一筒状部材を複数有する第二ハニカムユニットを形成し、該第二ハニカムユニットと該第一ハニカムユニットとを連結することを特徴とする。
(ハニカム構造体)
第1発明によれば、複数本の筒状部材に第一筒状部材とそれ以外の筒状部材が混在していれば、第一筒状部材とそれ以外の筒状部材の混在状況を調整することによって多様な性質を有するハニカム構造体を形成することができる。また、一本または二本以上の第一筒状部材が第一繊維強化樹脂層と第二繊維強化樹脂層を備えているので、かかる第一筒状部材の各層の層数を変えれば機械的性質を変化させることができる。したがって、第一筒状部材のみでハニカム構造体を形成しても、機械的性質が異なる第一筒状部材を混在させれば、多様な性質を有するハニカム構造体を形成することができる。
第2発明によれば、複数本の第一筒状部材における繊維強化樹脂からなる層の層数が同数であるので、複数本の第一筒状部材の重量や比重などを同じにできる。したがって、第一筒状部材のみでハニカム構造体を形成すれば、重量や比重などは全体で均質に維持しつつ、機械的性質が部分的に異なるハニカム構造体を形成することができる。
第3発明によれば、ハニカム構造体の筒状部材の軸方向および径方向の双方とも強度、弾性率を高くできる。また、第一繊維強化樹脂層および第二繊維強化樹脂層を有する筒状部材の製造が容易になる。
第4、第5発明によれば、第一筒状部材と異なる第二筒状部材を使用しているので、全て同じ構造の第一筒状部材を使用しても、機械的性質が部分的に異なるハニカム構造体を形成することができる。
第6発明によれば、各ハニカムユニットは均質なハニカムユニットとすることができる。しかも、ハニカムユニットを連結してハニカム構造体を形成するので、ハニカム構造体の製造が容易になる。そして、一のハニカムユニットと他のハニカムユニット間で、繊維強化樹脂からなる層の総層数および/または第一繊維強化樹脂層の層数が異なる第一筒状部材をそれぞれ使用すれば、異なる性質を有するハニカムユニットを形成できる。すると、ハニカムユニットの組み合わせを調整すれば、多様な性質を有するハニカム構造体を形成することができる。
第7〜第9発明によれば、表面部材が設けられているので、ハニカム構造体を種々の構造材として使用することができる。
(ハニカム構造体の製造方法)
第10、第11発明によれば、機械的性質が異なる第一筒状部材を混在させ、かつ、その混在状況を調整すれば、多様な性質を有するハニカム構造体を形成することができる。
第12発明によれば、表面部材を有するハニカム構造体の製造が容易になる。
第13発明によれば、機械的性質が異なる第一筒状部材を混在させ、かつ、その混在状況を調整すれば、多様な性質を有するハニカム構造体を形成することができる。
第14発明によれば、複数本の第一筒状部材における繊維強化樹脂からなる層の層数が同数であるので、複数本の第一筒状部材の重量や比重などを同じにできる。したがって、複数本の筒状部材の全てに第一筒状部材を使用した場合、重量や比重などは全体で均質に維持しつつ、機械的性質が部分的に異なるものとすることができる。
第15発明によれば、ハニカム構造体の筒状部材の軸方向および径方向の双方とも強度、弾性率を高くできる。また、第一繊維強化樹脂層および第二繊維強化樹脂層を有する筒状部材の製造が容易になる。
第16発明によれば、各ハニカムユニットで機械的性質が異なるので、その組み合わせを調整すれば、多様な性質を有するハニカム構造体を形成することができる。しかも、ハニカムユニットを連結してハニカム構造体を形成するので、ハニカム構造体の製造が容易になる。
本実施形態のハニカム構造体10の概略説明図である。 複数のハニカムユニット20A,20Bを組み合わせたハニカム構造体10の一例を示した図である。 表面部材35を有するハニカム構造体30の概略説明図である。 (A)は試作したハニカム構造体の写真であり、(B)はハニカムセルの各部寸法を記載した概略説明図である。 (A)は圧縮試験後のハニカム構造体の写真であり、(B)はサンドイッチパネルの4点曲げ試験の試験状況の写真である。 (A)はハニカムコアおよびサンドイッチパネルのFEMモデルであり、(B)はサンドイッチパネルFEMモデルの4点曲げ負荷を計算した結果である。
本実施形態のハニカム構造体は、繊維強化樹脂によって形成された筒状部材を使用して構成されたものであり、使用する筒状部材を調整することによってハニカム構造体の強度を部位によって変化させることができるようにしたことに特徴を有している。
本発明のハニカム構造体の用途はとくに限定されず、種々の用途に使用することができる。例えば、軽量かつ強度や衝撃吸収性等が要求される構造材料に本発明のハニカム構造体を使用することができる。例示すれば、種々の材料のリブや補強材のコア材料等に本発明のハニカム構造体を使用できるし、飛行機の翼やボディ、自動車のシャーシ、建設材料の構造材等としても本発明のハニカム構造体は使用できる。
(ハニカム構造体10)
以下に、本実施形態のハニカム構造体10を説明する。
図1に示すように、本実施形態のハニカム構造体10は、一般的なハニカム構造体と同様に、複数の貫通孔11hが形成された構造体である。より具体的に説明すると、複数本の筒状部材11が、その軸方向を平行にした状態で、その側面同士を接触させた状態で連結して形成されたものである。
図1に示すように、本実施形態のハニカム構造体10は、上述した複数本の第一筒状部材11を、繊維強化樹脂(FRP)によって形成したものである。具体的には、複数の繊維強化樹脂からなる層(第一繊維強化樹脂層13および第二繊維強化樹脂層14)を有する積層板12によって側壁が形成された第一筒状部材11を複数本連結して、本実施形態のハニカム構造体10は形成されている。
図1に示すように、各第一筒状部材11の積層板12は、繊維Fの配向方向が交差する第一繊維強化樹脂層13と第二繊維強化樹脂層14とを有している。具体的には、第一繊維強化樹脂層13は、その繊維Fの配向方向が第一筒状部材11の軸方向と平行になっており、第二繊維強化樹脂層14は、その繊維Fの配向方向が第一筒状部材11の軸方向と直交するようになっている。つまり、積層板12は、第一繊維強化樹脂層13の繊維Fの配向方向と第二繊維強化樹脂層14の繊維Fの配向方向が直交するように形成されている。
そして、本実施形態のハニカム構造体10では、全ての第一筒状部材11において、積層板12における繊維強化樹脂層の層数(第一繊維強化樹脂層13の層数と第二繊維強化樹脂層14の層数を合わせた層数)は同数であるが、第一繊維強化樹脂層13の層数(言い換えれば第二繊維強化樹脂層14の層数)が異なる第一筒状部材11を有している。例えば、図1であれば、第一筒状部材11Aは、第一繊維強化樹脂層13が3層、第二繊維強化樹脂層14が2層であるが、第一筒状部材11Bは、第一繊維強化樹脂層13が2層、第二繊維強化樹脂層14が3層となっている。このような第一筒状部材11Aと第一筒状部材11Bを比較すると、第一筒状部材11Aは、軸方向の引張や圧縮に対する強度は第一筒状部材11Bよりも強く、第一筒状部材11Bは、径方向の引張や圧縮に対する強度は第一筒状部材11Aよりも強くなっている。逆に言えば、第一筒状部材11Aは、径方向の引張や圧縮に対する強度は第一筒状部材11Bよりも弱く、第一筒状部材11Bは、径方向引張や圧縮に対する強度は第一筒状部材11Aよりも弱くなっている。
このように、ハニカム構造体10を、積層板12における繊維強化樹脂層の層数は同数であるが第一繊維強化樹脂層13の層数が異なる第一筒状部材11(図1の第一筒状部材11A,11B)によって形成すれば、多様な性質を有するハニカム構造体を形成することができる。
例えば、図2(A)に示すように、ハニカム構造体10の中央部分は第一繊維強化樹脂層13の層数が多い(3層)第一筒状部材11A(総層数5層)によって形成し(ハニカムユニット20A)、ハニカムユニット20Aの周囲を第二繊維強化樹脂層14の層数が多い(3層)第一筒状部材11B(総層数5層)で囲むようにする(ハニカムユニット20B)。すると、ハニカムユニット20Aの壁は、総層数10層で第一繊維強化樹脂層13の層数が6層となり、ハニカムユニット20Bの壁は、総層数10層で第二繊維強化樹脂層14の層数が6層となる。このハニカム構造体10の場合、軸方向からの力は第一筒状部材11Aに支えさせることができ、径方向からの力は第一筒状部材11B支えさせることができる。そして、このハニカム構造体10の場合、壁を構成する第一繊維強化樹脂層13と第二繊維強化樹脂層14がともに5層(総層数10層)であるハニカム構造体に比べて、ハニカムユニット20Aでは軸方向の力に対する強度が増加しており、ハニカムユニット20Bでは径方向の力に対する強度が増加している。つまり、図2(A)のハニカム構造体10は、上述したようなハニカムユニット20Aおよびハニカムユニット20Bで形成されているので、軸方向と径方向の両方からの力に対して強い強度を示す構造体となる。
また、図2(B)のハニカム構造体10は、左側の部分は第二繊維強化樹脂層13の層数が少ない(2層)第一筒状部材11A(総層数5層)によって形成され(ハニカムユニット20A)、右側の部分は第二繊維強化樹脂層14の層数が多い(3層)第一筒状部材11B(総層数5層)で形成されたもの(ハニカムユニット20B)である。この場合、壁を構成する第一繊維強化樹脂層13と第二繊維強化樹脂層14がともに5層(総層数10層)であるハニカム構造体に比べて、ハニカムユニット20Aでは径方向の力に対して変形しやすくなる一方、ハニカムユニット20Bでは径方向の力に対して変形しにくくなる。すると、このハニカム構造体10を、そのハニカムユニット20Aが外方に位置するように配置して構造物を形成すれば、構造物に対する外部からの力をハニカムユニット20Aで吸収する一方、構造物自体の構造はハニカムユニット20Bで維持することができる。つまり、図2(B)のハニカム構造体10を使用すれば、衝撃吸収性と強度を兼ね備えた構造物を製造することができる。
そして、本実施形態のハニカム構造体10の場合、複数本の第一筒状部材11の積層板12において第一繊維強化樹脂層13の層数や第二繊維強化樹脂層14の層数が異なっても、積層板12を構成する層の総層数は同じである。つまり、複数本の第一筒状部材11(例えば、第一筒状部材11Aと第一筒状部材11B)は、積層板12を構成する層の繊維Fの配向状態が異なるだけで、積層板12の厚さやその重量、比重等は全て同じになる。
すると、本実施形態のハニカム構造体10は、機械的性質が異なる第一筒状部材11を使用しても、機械的性質以外は、ハニカム構造体10全体でほぼ均一にすることができる。つまり、本実施形態のハニカム構造体10は、重量や比重などは全体で均質に維持しつつ、機械的性質が部分的に異なるものとすることができる。
したがって、本実施形態のハニカム構造体10を構造用材料として使用すれば、構造や素材等を変更しなくても、特定の部位の剛性を高めたり、逆に特定の部位の剛性を弱めたりすることが可能となる。
(第一筒状部材11の製造方法)
上述したように、第一筒状部材11は、積層板12を構成する層の総層数を同じにしても、第一繊維強化樹脂層13や第二繊維強化樹脂層14の層数を変化させることによって、機械的性質を変化させることができる。この第一筒状部材11において、第一繊維強化樹脂層13や第二繊維強化樹脂層14の層数は以下のようにすれば変化させることができる。
第一筒状部材11の積層板12は、複数枚のプリプレグPGを積層して樹脂材料Mを硬化させて形成することができる。プリプレグPGは、複数本の繊維Fが互いに平行となるように並べて形成したシートに樹脂材料Mを含侵させたシート材料である。このため、プリプレグPGを積層する際に、繊維Fの配向方向を調整すれば、その層を第一繊維強化樹脂層13とすることができるし、第二繊維強化樹脂層14とすることもできる。
例えば、プリプレグPGの繊維Fの配向方向を第一筒状部材11となった際の軸方向と一致させれば、そのプリプレグPGが硬化して形成される層を第一繊維強化樹脂層13とすることができる。一方、プリプレグPGの繊維Fの配向方向を第一筒状部材11となった際の半径方向(周方向)と一致させれば、そのプリプレグPGが硬化して形成される層を第二繊維強化樹脂層14とすることができる。つまり、第一筒状部材11の積層板12を形成する際に、プリプレグPGの繊維Fの配向方向を調整すれば、第一繊維強化樹脂層13の層数と第二繊維強化樹脂層14の層数を調整することができる。
(第一筒状部材11の構成について)
上記例では、ハニカム構造体10の全ての第一筒状部材11の積層板12が第一繊維強化樹脂層13と第二繊維強化樹脂層14の両方を備えている場合を説明した。しかし、必ずしも全ての第一筒状部材11の積層板12が第一繊維強化樹脂層13と第二繊維強化樹脂層14の両方を備えていなくてもよい。つまり、複数本の第一筒状部材11のうち、一本または二本以上の第一筒状部材11の積層板12が第一繊維強化樹脂層13と第二繊維強化樹脂層14の両方を備えていればよい。言い換えれば、いくつかの第一筒状部材11は、積層板12の全ての層の繊維Fの配向方向が同じとなっていてもよい。例えば、ある第一筒状部材11は、積層板12の全ての層の繊維Fの配向方向が第一筒状部材11の軸方向と平行していてもよいし、ある第一筒状部材11は、積層板12の全ての層の繊維Fの配向方向が第一筒状部材11の軸方向と直交していてもよい。しかし、全ての第一筒状部材11の積層板12が第一繊維強化樹脂層13と第二繊維強化樹脂層14の両方を有している方が、種々の方向からの荷重に対して強いハニカム構造体を得ることができる。また、一部の第一筒状部材11で積層構成を変えることにより、機械的性質を部分的に変化、制御することも容易にできる点で好ましい。
なお、積層板12の第一繊維強化樹脂層13の繊維Fの配向方向や第二繊維強化樹脂層14の繊維Fの配向方向は、上述した状態に限定されない。つまり、第一繊維強化樹脂層13のFの配向方向と第二繊維強化樹脂層14の繊維Fの配向方向は、必ずしも直交していなくてもよい。また、第一繊維強化樹脂層13の繊維Fの配向方向は、必ずしも第一筒状部材11の軸方向と平行になっていなくてもよいし、第二繊維強化樹脂層14の繊維Fの配向方向は、必ずしも第一筒状部材11の軸方向と直交していなくてもよい。各樹脂層13,14の繊維Fの配向方向を調整することによって、第一筒状部材11が最も強度を発揮する方向が変化するので、ハニカム構造体10を使用する状況などに応じて適宜調整すればよい。
(第二筒状部材)
上記例では、ハニカム構造体10の全ての第一筒状部材11において積層板12における繊維強化樹脂層の総層数が同じ場合を説明した。積層板12における繊維強化樹脂層の総層数を同じにすることによって、第一筒状部材11は、機械的強度に差があっても密度や重量などを同じ状態にすることができるという利点が得られる。
一方、ハニカム構造体10を構成する筒状部材として、積層板12における繊維強化樹脂層の総層数が第一筒状部材11と異なる筒状部材(以下、総層数変化筒状部材という)を一部に使用してもよい。例えば、特定の部位に配置する筒状部材に、積層板12における繊維強化樹脂層の総層数を第一筒状部材11よりも多くしたり少なくしたりした総層数変化筒状部材を使用してもよい。この場合、積層板12を形成する素材は同じでも、総層数変化筒状部材の密度や重量などは第一筒状部材11と異なるので、ハニカム構造体10全体が均質にはならないが、総層数変化筒状部材が配置された部位は、他の部位よりも、強度を大幅に大きくしたり大幅に小さくしたりすることができる。したがって、特定の部位について特別に強度を高めたい場合や特別に強度を弱めたい場合などには、その部位に配置する筒状部材として、第一筒状部材11に代えて、総層数変化筒状部材を使用することができる。
また、ハニカム構造体10の特定の部位の強度を変更したい場合などには、その部位に第一筒状部材11とは素材が異なる筒状部材(以下、素材変化筒状部材という)を使用してもよい。例えば、素材変化筒状部材として、アルミニウム等の金属や繊維強化樹脂以外の素材によって形成された筒状部材や、積層板を形成する素材が第一筒状部材11と異なる筒状部材等を使用することができる。この場合も、特定の部位に配置する筒状部材として素材変化筒状部材を使用すれば、素材変化筒状部材が配置された部位の強度を変更することができる。例えば、アルミニウム製の筒状部材を素材変化筒状部材として使用した場合には、その部分の強度を他の部分(つまり第一筒状部材11が配置されている部分)の強度をよりも弱くすることがきる。したがって、特定の部位について特別に強度を高めたい場合や特別に強度を弱めたい場合などには、その部位に配置する筒状部材として、第一筒状部材11に代えて、素材変化筒状部材を使用することができる。
なお、上記例では、ハニカム構造体10を構成する筒状部材のうち、第一筒状部材11が主たる筒状部材となっている場合を説明している。一方、ハニカム構造体10を構成する主たる筒状部材を上述した総層数変化筒状部材や素材変化筒状部材として、ハニカム構造体10の一部を第一筒状部材11に変更してもよい。この場合でも、ハニカム構造体10における第一筒状部材11が配置された部位の強度を変更することができる。例えば、アルミニウム製の筒状部材を主たる筒状部材として使用し、特定の部位に第一筒状部材11を使用してハニカム構造体10を形成した場合には、ハニカム構造体10における特定の部位の強度を他の部分よりも強くすることがきる。
上述した総層数変化筒状部材や素材変化筒状部材が、特許請求の範囲にいう第二筒状部材に相当する。以下では、総層数変化筒状部材と素材変化筒状部材の両方を含んで第二筒状部材という場合がある。
(ハニカム構造体10の製造方法)
上述したハニカム構造体10を製造する方法はとくに限定されないが、上述したように、複数本の第一筒状部材11(または複数本の第一筒状部材11と複数本の第二筒状部材)をその軸方向が互いに平行となるように配置してその側面同士を接触させた状態で連結して形成することができる。
この場合、第一筒状部材11同士を連結する方法はとくに限定されないが、第一筒状部材11の積層板12の樹脂材料が完全に硬化したのち、エポキシ樹脂系やウレタン樹脂系、シリコーン系などの反応型接着剤、ニトリルゴムやクロロプレンゴムなどを含むエラストマー系接着剤等の接着剤を塗布して連結してもよい。
また、複数本の第一筒状部材11の積層板12の樹脂材料が硬化する前に第一筒状部材11の側面同士を接触させて、その状態で積層板12の樹脂材料を硬化させて第一筒状部材11同士を連結してもよい。
なお、複数本の第一筒状部材11だけでなく、積層板を形成する素材が第一筒状部材11と異なる素材変化筒状部材や、総層数変化筒状部材を使用する場合でも、同様の方法で筒状部材同士を連結することもできる。
また、図2に示すようなハニカム構造体10を形成する場合、つまり、ハニカムユニット20A,20Bからなるハニカム構造体10を形成する場合には、ハニカムユニット20Aおよびハニカムユニット20Bを予め形成しておき、適宜、ハニカムユニット20A,20Bを組み合わせてハニカム構造体10を製造してもよい。このようにすれば、複数本の第一筒状部材11を毎回束ねて連結する場合に比べて、ハニカム構造体10を形成する手間を省くことができる。この場合には、ハニカムユニット20A,20Bにおいて互いに接触する部分に上述したような接着剤を塗布して連結することができる。また、後述するような接着シートをハニカムユニット20A,20Bの間に配置して、ハニカムユニット20A,20Bを連結することも可能である。
(第一筒状部材11および貫通孔11hについて)
図1では、第一筒状部材11の外形断面と貫通孔11hの断面が、互いに相似形な六角形の場合を示している。しかし、第一筒状部材11の外形断面および貫通孔11hの断面は必ずしも六角形でなくてもよく、円形や三角形、四角形、五角形でもよい。
また、第一筒状部材11の外形断面と貫通孔11hの断面は互いに相似形でなくてもよく、異なる形状としてもよい。例えば、第一筒状部材11の外形断面を六角形とし、貫通孔11hを円形にしてもよい。しかし、第一筒状部材11の外形断面と貫通孔11hの断面を互いに相似形とすれば、第一筒状部材11の製造が容易になるし、軽量で強度、弾性率の高い構造体が得られるという点で好ましい。
(総層数変化筒状部材および素材変化筒状部材について)
総層数変化筒状部材や素材変化筒状部材を使用する場合には、総層数変化筒状部材や素材変化筒状部材における外形断面や貫通孔11hの断面、壁厚等は、第一筒状部材11と異なっていてもよい。しかし、総層数変化筒状部材や素材変化筒状部材における外形断面や貫通孔11hの断面、壁厚等が、第一筒状部材11と同じになるように形成されていれば、ハニカム構造体10やハニカムユニット20の製造が容易になるし、外観に統一感が生じるという点でも好ましい。
(積層板12の素材)
第一筒状部材11や総層数変化筒状部材、積層板を形成する素材が第一筒状部材11と異なる素材変化筒状部材(以下、これらを合せて第一筒状部材11等という場合がある)では、積層板12等の素材となる繊維や樹脂材料はとくに限定されないが、例えば、以下のような素材を使用することができる。
(繊維)
繊維には、例えば、炭素繊維や有機高弾性繊維(例えばアラミド繊維等)、ガラス繊維、ボロン繊維、アルミナ繊維、炭化珪素繊維、タングステンカーバイド繊維、ポリエステル繊維やアクリル繊維等の合成繊維、天然繊維などを使用することができる。とくに、炭素繊維を使用すれば、ハニカム構造体を、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)製とすることができる。CFRPは非常に強度、弾性率が高いので、第一筒状部材11等の積層板12等を薄くしても強度を高く維持できるので、ハニカム構造体10を軽量かつ高強度とすることができる。
(樹脂材料)
樹脂材料としては、熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、マレイミド樹脂、アセチレン末端を有する樹脂、ビニル末端を有する樹脂、シアン酸エステル末端を有する樹脂、等の熱硬化性樹脂を単体、または、2種類以上を組み合わせて使用することができる。
また、ポリオレフィン系樹脂やポリカーボネート樹脂、アクリル系樹脂、フッ素系樹脂等の熱可塑性樹脂を単体、または、2種類以上を組み合わせて使用することができる。
(ハニカム構造体30の他の例)
また、図3に示すように、ハニカム構造体30は、上述したような筒状部材(第一筒状部材11や第二筒状部材)によって形成されたハニカムユニット31を挟む一対の表面部材35,35を備えていてもよい。この場合、一対の表面部材35,35とハニカムユニット31を構成する筒状部材の端縁とを連結すれば、サンドイッチ構造を有する板状のハニカム構造体30とすることができる。
かかる板状のハニカム構造体30の場合、一対の表面部材35,35によってハニカム構造体30の筒状部材の貫通孔が塞がれた状態となる。したがって、ハニカム構造体30をそのまま壁や床、天井等のボード等として使用することができる。
かかるハニカム構造体30を製造する場合において、ハニカムユニット31と一対の表面部材35,35とを連結する方法はとくに限定されない。ハニカムユニット31の筒状部材を構成する第一筒状部材11等の積層板12等の樹脂材料が完全に硬化したのち、エポキシ樹脂系やウレタン樹脂系、シリコーン系などの反応型接着剤、ニトリルゴムやクロロプレンゴムなどを含むエラストマー系接着剤等の接着剤を塗布して連結してもよい。
また、上記接着剤に代えて、熱を加えると接着性発揮する接着素材を含むシート状部材(以下、接着シート32という)を使用してハニカムユニット31と一対の表面部材35,35とを連結してもよい(図3(B)参照)。例えば、一対の表面部材35,35とハニカムユニット31との間に接着シート32を配置して積層体を形成する。その状態で接着剤を硬化させれば、一対の表面部材35,35とハニカムユニット31とを連結させることができる。この場合、使用する接着シート32が、加熱して硬化する前に、接着剤の一部をハニカムユニット31の第一筒状部材11等に含侵させたりそれらの隙間に流入させたりできるものであればより望ましい。すると、一対の表面部材35,35とハニカムユニット31との結合力をより強くすることができる。
上述した接着シート32としては、フィルム状接着剤を挙げることができる。フィルム状接着剤は、熱を加えると接着性発揮する接着素材としてエポキシ樹脂組成物等を、繊維基材等の支持体に塗布あるいは含浸させたものである。例えば、特許第4242771号公報などに開示されているような接着剤フィルムや市販されているフィルム状接着剤を上述した接着シート32として使用することができる。
なお、上述した接着シート32としてプリプレグを使用することもできる。プリプレグの場合、プリプレグをハニカムユニット31と一対の表面部材35,35との間に配置すれば、プリプレグに含侵されている樹脂材料をハニカムユニット31の第一筒状部材11等に含侵させたりそれらの隙間に流入させたりすることも可能となる。すると、樹脂材料が含侵などした後、積層体を加熱すれば、一対の表面部材35,35とハニカムユニット31とを強固に連結させることができる。
とくに、プリプレグを使用する方法は、一対の表面部材35,35が種々の繊維強化樹脂によって形成されたシート材料(CFRP製の板材等)から形成されている場合などに適している。つまり、一対の表面部材35,35に使用されている樹脂と、ハニカムユニット31の第一筒状部材11等の繊維強化樹脂に使用されている樹脂を同じ素材とすれば、一対の表面部材35,35とハニカムユニット31との結合がより強固になる。
さらに、一対の表面部材35,35が、種々の繊維強化樹脂によって形成されたシート材料(CFRP製の板材等)から形成されている場合であれば、以下のようにしてもよい。
まず、シート材料の樹脂材料およびハニカムユニット31の第一筒状部材11等の積層板12等の樹脂材料が硬化する前に、シート材料とハニカムユニット31の第一筒状部材11の端面とを接触させる。そして、両者が接触した状態で積層板12の樹脂材料を硬化させる。すると、特別な接着剤などを使用しなくても、表面部材35とハニカムユニット31とを連結させることができる。
なお、一対の表面部材35,35は、ハニカムユニット31を構成する全ての筒状部材と連結されていなくてもよく、一部の筒状部材とのみ連結されていてもよい。つまり、一対の表面部材35,35から、筒状部材が脱落しないようになっていればよい。
また、ハニカム構造体30として、一対の表面部材35,35を有している場合を説明したが、ハニカム構造体30は筒状部材の一方の端縁側にのみ表面部材35を設けてもよい。
さらに、ハニカム構造体30は、表面部材35の全面にハニカムユニット31を配置しなくてもよく、一部に柱状にハニカムユニット31を設けてもよい(図3(C)参照)。
本発明のハニカム構造体について、その強度と剛性を確認した。
実施例に使用したハニカム構造体は、CFRPによって中空な六角柱状のハニカムセルを形成し、このハニカムセルを複数本連結してハニカム構造体を形成した(図4(A))。
ハニカムセルは、CFRPプリプレグ(炭素繊維強化エポキシプリプレグ(T700S/2592)、東レ製)を複数枚積層して形成されたものである。
今回の試験では、各プリプレグの繊維の角度が、内側から[90°/90°/90°/90°](試験体1)、[90°/0°/90°/90°](試験体2)、[90°/0°/O°/0°](試験体3)となるハニカムセルを製造し、このハニカムセルを7個連結したハニカム構造体について試験を行った。なお、試験体1のハニカムセルを連結して製造されたものをハニカム構造体1とし、試験体2のハニカムセルを連結して製造されたものをハニカム構造体2、試験体3のハニカムセルを連結して製造されたものをハニカム構造体3とした。なお、90°とは、プリプレグの繊維がハニカムセルの軸方向と直交している場合であり、0°とは、プリプレグの繊維がハニカムセルの軸方向と平行な場合である。
ハニカム構造体1〜3のハニカムセルは全て同じ形状および大きさとなるように形成した。ハニカムセルの各部の代表的寸法は、セルサイズs=14mm、セル壁厚さa=1.12mm、セル高さh=8mmである(図4(B)参照)
実験では、上記ハニカム構造体1〜3について圧縮試験を実施して、ハニカム構造体1〜3の圧縮強度を測定した。
また、ハニカム構造体1〜3をハニカムセルの軸方向から圧縮して、軸方向の圧縮強度も求めた。
結果を表1に示す。
表1に示すように、ハニカム構造体1〜3の全てについて、座屈(図5(A)矢印部分)が生じた。ハニカム構造体1では、座屈後、荷重が低下したため、座屈強度=最終強度であるが、ハニカム構造体2、3では座屈後も荷重が増加した(安全上、負荷を中断したため最終強度は不明)。
一般にハニカムの場合、座屈強度=圧縮強度とみなせるため、安全側を見て座屈強度を用いて評価した。ハニカム構造体1〜3のうち、最も圧縮強度が弱いハニカム構造体1でも圧縮強度は31MPa(3100t/m)であり、同一セルサイズのアルミハニカムの圧縮強度の39倍であることが確認された。ハニカム構造体1〜3を構成するハニカムセルのセル壁厚さが通常のアルミハニカムより15〜20倍程度厚いことを差し引いても、この値はアルミハニカムを上回っている。
また、ハニカム構造体1に対してハニカム構造体2、3の圧縮強度を大きくできることから、各層の繊維の配向を調整することにより圧縮強度を調整できることが確認できる。

また、ハニカム構造体1〜3の弾性率の理論値を求めると以下のようになった(表2)。この結果より、曲げ荷重に対しても各層の繊維の配向を調整することにより強度と剛性を任意に設計できることが確認できる。

また、ハニカム構造体2、3について、コア材とするサンドイッチパネル(長さ330mm、幅70mm、厚さ10mm)を製造した。サンドイッチパネルのスキン材(本願の表面部材に相当する)には、繊維が1方向に揃っているCFRP板(厚さ1mm)を使用した。なお、スキン材とハニカム構造体2、3の接着には、アクリル系接着剤(セメダイン社製)を使用した
このサンドイッチパネルについて、4点曲げ試験を行った(図5(B)参照)。4点曲げ試験は、下圧子間距離300mm、上圧子間距離100mmとし、試験速度1mm/minとした。負荷中の荷重と変位を測定するとともに、試験片の上面および下面中央に貼付けた
ひずみゲージより曲げひずみを測定した。
結果を表3に示すが、曲げ弾性率と曲げ強度は積層構成によってあまり変化しない。

FEM解析(FEMソフト:ANSYS(ANSYS社製))によって、図6(A)に示すサンドイッチパネルFEMモデルの4点曲げ負荷を計算した結果を図6(B)に示す。図6(B)はサンドイッチパネルの応力分布であるが、スキンとハニカム構造体の界面においてせん断応力集中(図6(B)の丸印)が生じている。
上記結果から、ハニカム構造体2、3をコア材とするサンドイッチパネルの曲げ弾性率と曲げ強度が積層構成によってあまり変化しないのは、曲げ剛性が主にスキン材の厚さと剛性によって決まること、および、曲げ破壊はスキンとハニカム構造体の界面はく離で生じていることに起因しているからと考えられる。
したがって、曲げ弾性率と曲げ強度を改善するには、スキンとハニカムコアの界面の接着強度向上が必要であることが確認できる。
(CFRPハニカム構造体の剛性の理論式)
CFRP積層板の弾性率を予測する理論式と一般の等方性材ハニカムの弾性理論を組み合わせることにより、CFRPハニカム構造体の剛性を予測する近似的な理論式を導出した。
ハニカム構造体(図4(B)参照)について、図4(B)におけるX1、X2、X3方向の弾性率E 、E ,E を求めた。正六角形セルの場合、セル壁の長さはl=l=lである。CFRP六角柱を貼り合わせてハニカム材を作製した場合、ハニカムコのセル壁厚さはa=2tとなる。
CFRPハニカムのX−X面内の弾性率(曲げ弾性率)は、CFRPセル壁の長さ方向の弾性率E を用いて以下の式(1)から計算できる。

式(1) E =E =4/31/2(a/l)

一方、CFRPハニカムの面外(X方向)の弾性率(圧縮弾性率)は、CFRPセル壁の高さ方向の弾性率E1 を用いて以下の式(2)から計算できる。

式(2) E =2/31/2(a/l)E

つまり、ハニカムの剛性はセル寸法(セルサイズとセル壁厚さ)およびセル壁の弾性率に依存する。セルサイズは小さく、セル壁は厚いほど剛性が高い。特に曲げ弾性率については、セルサイズ縮小の効果が大きい。一方、セル壁の弾性率は積層構成によって決まる。
以上より、セル寸法と積層構成を変えることによって、剛性を任意に設計できることが理論的に明らかになった。
本発明のハニカム構造体は、飛行機や自動車などの輸送機器、建築材等の構造材料に適している。
10 ハニカム構造体
11 第一筒状部材
12 積層板
13 第一繊維強化樹脂層
14 第二繊維強化樹脂層
15 表面部材
20 ハニカムユニット
30 ハニカム構造体
31 ハニカムユニット
32 接着シート
35 表面部材
F 繊維

Claims (16)

  1. 複数本の筒状部材を有するハニカム構造体であって、
    前記複数本の筒状部材には、
    繊維強化樹脂からなる層を複数層備える第一筒状部材が複数本含まれており、
    該複数本の第一筒状部材のうち、一本または二本以上の第一筒状部材は、
    繊維強化樹脂からなる層として、第一繊維強化樹脂層と、繊維の配向方向が前記第一繊維強化樹脂層における繊維の配向方向と交差する第二繊維強化樹脂層と、を備えている
    ことを特徴とするハニカム構造体。
  2. 前記複数本の第一筒状部材は、
    繊維強化樹脂からなる層の層数が同数であり、かつ、前記第二繊維強化樹脂層の層数が異なる筒状部材を含んでいる
    ことを特徴とする請求項1記載のハニカム構造体。
  3. 前記第一筒状部材の第二繊維強化樹脂層は、
    繊維の配向方向が、前記第一繊維強化樹脂層における繊維の配向方向に対して直交している
    ことを特徴とする請求項1または2記載のハニカム構造体。
  4. 前記複数本の筒状部材には、
    前記第一筒状部材と異なる第二筒状部材が含まれている
    ことを特徴とする請求項1、2または3記載のハニカム構造体。
  5. 前記第二筒状部材は、
    その断面形状が前記第一筒状部材の断面形状と同じ形状である
    ことを特徴とする請求項4記載のハニカム構造体。
  6. 前記第一筒状部材を含む複数本の筒状部材を連結したハニカムユニットを複数有しており、
    各ハニカムユニットでは、
    各ハニカムユニットに含まれる前記第一筒状部材の前記繊維強化樹脂からなる層の総層数および前記第一繊維強化樹脂層の層数が同数である
    ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のハニカム構造体。
  7. 前記複数本の筒状部材の軸方向の端部に配置される表面部材を備えている
    ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のハニカム構造体。
  8. 前記複数本の筒状部材を軸方向から挟む一対の前記表面部材が設けられている
    ことを特徴とする請求項7記載のハニカム構造体。
  9. 前記複数本の筒状部材のうち少なくとも一部の筒状部材が前記表面部材に連結されている
    ことを特徴とする請求項7または8記載のハニカム構造体。
  10. 繊維強化樹脂からなる層を複数層備える第一筒状部材を含む複数本の筒状部材を有するハニカム構造体の製造方法であって、
    前記複数本の筒状部材は、
    繊維の配向方向が異なる層を有する前記第一筒状部材を複数本有しており、
    前記複数本の筒状部材を軸方向が平行となるように並べて接合する
    ことを特徴とするハニカム構造体の製造方法。
  11. 前記第一筒状部材には、
    前記繊維強化樹脂からなる層の総層数および/または前記第一繊維強化樹脂層の層数が異なる筒状部材が含まれており、
    前記繊維強化樹脂からなる層の総層数および/または前記第一繊維強化樹脂層の層数が異なる第一筒状部材が混在するように前記複数本の筒状部材を軸方向が平行となるように並べて接合する
    ことを特徴とする請求項10記載のハニカム構造体の製造方法。
  12. 繊維強化樹脂からなる層を複数層備える第一筒状部材を含む複数本の筒状部材と、該複数本の筒状部材の軸方向の端部に配置された表面部材と、を有するハニカム構造体の製造方法であって、
    熱を加えると接着性発揮する接着素材を含むシート状部材を前記複数本の筒状部材の端部と前記表面部材との間に配置して、前記シート状部材の接着素材が接着性を発揮する温度まで加熱する
    ことを特徴とするハニカム構造体の製造方法。
  13. 前記複数本の筒状部材に複数本の前記第一筒状部材が含まれており、
    該複数本の第一筒状部材のうち、一本または二本以上の第一筒状部材は、
    繊維強化樹脂からなる層として、第一繊維強化樹脂層と、繊維の配向方向が前記第一繊維強化樹脂層における繊維の配向方向と交差する第二繊維強化樹脂層と、を備えている
    ことを特徴とする請求項12記載のハニカム構造体の製造方法。
  14. 前記第一筒状部材には、
    前記繊維強化樹脂からなる層の総層数および/または前記第一繊維強化樹脂層の層数が異なる筒状部材が含まれている
    ことを特徴とする請求項13記載のハニカム構造体の製造方法。
  15. 前記第一筒状部材の第二繊維強化樹脂層は、
    繊維の配向方向が前記第一繊維強化樹脂層における繊維の配向方向に対して直交している
    ことを特徴とする請求項11または14記載のハニカム構造体の製造方法。
  16. 前記繊維強化樹脂からなる層の総層数および前記第一繊維強化樹脂層の層数が同じである前記第一筒状部材を複数有する第一ハニカムユニットを形成し、
    前記繊維強化樹脂からなる層の総層数および/または前記第一繊維強化樹脂層の層数が前記第一ハニカムユニットに含まれる前記第一筒状部材と異なる前記第一筒状部材を複数有する第二ハニカムユニットを形成し、
    該第二ハニカムユニットと該第一ハニカムユニットとを連結する
    ことを特徴とする請求項11、14または15記載のハニカム構造体の製造方法。

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