JP6709100B2 - ハニカム構造体およびその製造方法 - Google Patents

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本発明は、ハニカム構造体およびその製造方法に関する。さらに詳しくは、繊維強化プラスチックによって形成されたハニカム構造体およびその製造方法に関する
ハニカム構造体は、軽量かつ高強度にできることから、構造用材料として使用されている。例えば、鉄やアルミニウム製のハニカム構造体であれば、同じ曲げ剛性を発揮する鉄板やアルミニウム板に比べて、大幅に軽量化することができる。このため、軽量かつ剛性が求められる飛行機や自動車などの輸送機器、建築材等の構造材料として、使用されている。
かかるハニカム構造体として、鉄やアルミニウム製のハニカム構造体に加えて、近年では、繊維強化プラスチック(FRP)製のハニカム構造体も製造されている。FRP製のハニカム構造体は、アルミニウムと比較しても軽量化を図れるという利点がある。とくに、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)は非常に強度が高いので、上述したような用途での使用が期待されている。
FRP製のハニカム構造体を製造する方法として、筒状のコアユニットを形成し、このコアユニットを複数並べて接続することによってハニカム構造体を製造する方法が開示されている(例えば、特許文献1、2)。
また、特許文献1、2には、機械的強度の異なるコアユニットを使用することによって、ハニカム構造体の機械的強度を部分的に変更することも開示されている。このように、部分的に機械的強度が異なるハニカム構造体とすれば、曲げ剛性などを部分的に変更できるので、多様な性質を有する構造材料を形成できる可能性がある。
特開2006−247867号公報 特開2004−358806号公報
しかるに、特許文献1では、機械的強度を変更させる方法として、FRPを構成する糸の太さや種類、量、樹脂の種類や量などを変更する方法が開示されているが、強度調整に関する具体的な記載はない。
一方、特許文献2では、芯材に巻き付ける強化繊維シートの層数を変更することによって機械的強度を変更できる旨の記載がある。しかし、特許文献2では、層数を変更することによって、コアユニット自体が異なるものとなってしまう。例えば、層数を多くすれば強度は強くなるが、コアユニットの厚さは厚くなってしまい、その重量や比重が変化してしまう。すると、機械的強度が異なる部位では、機械的強度以外の性質も変化してしまうため、全体が均質なハニカム構造体を形成することはできない。
上記のごとき事情は、鉄やアルミニウム等の金属によって形成されたハニカム構造体でも同様であり、現状では、機械的強度を変化させつつ、機械的強度以外は均質な状態に維持されたハニカム構造体は存在していない。
本発明は上記事情に鑑み、均質な性質を維持しつつ機械的強度を調整できるハニカム構造体およびその製造方法を提供することを目的とする。
第1発明のハニカム構造体は、複数の筒状部材を有するハニカム構造体であって、前記複数の筒状部材が、繊維強化樹脂からなる層を複数備えており、該複数の筒状部材のうち、一または二以上の筒状部材は、繊維強化樹脂からなる層として、基準樹脂層と、繊維の配向方向が前記基準樹脂層における繊維の配向方向と交差する配向樹脂層と、を備えており、前記複数の筒状部材は、繊維強化樹脂からなる層の層数が同数であり、前記一または二以上の筒状部材には、前記配向樹脂層の層数が異なる筒状部材が含まれていることを特徴とする。
第2発明のハニカム構造体は、第1発明において、前記配向樹脂層は、繊維の配向方向が、前記基準樹脂層における繊維の配向方向に対して直交していることを特徴とする。
第3発明のハニカム構造体は、第1または第2発明において、前記筒状部材を複数連結したハニカムユニットを複数有しており、各ハニカムユニットを構成する筒状部材では、該筒状部材における前記繊維強化樹脂からなる層の層数および前記基準樹脂層の層数が同数であり、前記複数のハニカムユニットは、該ハニカムユニットを構成する筒状部材における前記繊維強化樹脂からなる層の層数および/または前記基準樹脂層の層数が異なるハニカムユニットを有していることを特徴とする。
(ハニカム構造体の製造方法)
第4発明のハニカム構造体の製造方法は、繊維強化樹脂からなる層を複数有する筒状部材を、軸方向が平行となるように複数本並べて接合する際に、繊維強化樹脂からなる層における繊維の配向方向が異なる筒状部材を混在させることを特徴とする。
第5発明のハニカム構造体の製造方法は、第4発明において、前記複数の筒状部材は、繊維強化樹脂からなる層の層数が同じ層数であり、該複数の筒状部材のうち、一または二以上の筒状部材は、繊維強化樹脂層として、基準樹脂層と、繊維の配向方向が前記基準樹脂層における繊維の配向方向と交差する配向樹脂層と、を備えていることを特徴とする。
第6発明のハニカム構造体の製造方法は、第5発明において、前記一または二以上の筒状部材には、前記配向樹脂層の層数が異なる筒状部材が含まれていることを特徴とする。
第7発明のハニカム構造体の製造方法は、第5または第6発明において、前記配向樹脂層は、繊維の配向方向が、前記基準樹脂層における繊維の配向方向に対して直交していることを特徴とする。
第8発明のハニカム構造体の製造方法は、第5、第6または第7発明において、前記繊維強化樹脂からなる層の層数および前記基準樹脂層の層数が同じである前記筒状部材を複数連結したハニカムユニットを形成し、該ハニカムユニットを構成する前記筒状部材の前記繊維強化樹脂からなる層の層数および/または前記基準樹脂層の層数が異なるハニカムユニットを連結することを特徴とする。
(ハニカム構造体)
第1発明によれば、一または二以上の筒状部材は、基準樹脂層と配向樹脂層を備えているので、各層の層数が異なれば、筒状部材の機械的性質が変化する。つまり、機械的性質が異なる筒状部材が混在しているので、混在状況を調整すれば、多様な性質を有するハニカム構造体を形成することができる。しかも、複数の筒状部材における繊維強化樹脂からなる層の層数が同数であるので、複数の筒状部材の重量や比重などを同じにできる。したがって、重量や比重などは全体で均質に維持しつつ、機械的性質が部分的に異なるものとすることができる。
第2発明によれば、筒状部材の製造が容易になるし、ハニカムユニットが各方向に均一に補強される。例えば、基準樹脂層の繊維がハニカムユニットの軸方向に配向している場合を想定すると、配向樹脂層の繊維が軸方向と直交することにより、軸方向および径方向の双方とも強度、弾性率を高くできるという点で好ましい。
第3発明によれば、各ハニカムユニットで機械的性質が異なるので、その組み合わせを調整すれば、多様な性質を有するハニカム構造体を形成することができる。しかも、ハニカムユニットを連結してハニカム構造体を形成するので、ハニカム構造体の製造が容易になる。
(ハニカム構造体の製造方法)
第4、第5発明によれば、機械的性質が異なる筒状部材が混在しているので、混在状況を調整すれば、多様な性質を有するハニカム構造体を形成することができる。
第6発明によれば、複数の筒状部材における繊維強化樹脂からなる層の層数が同数であるので、複数の筒状部材の重量や比重などを同じにできる。したがって、重量や比重などは全体で均質に維持しつつ、機械的性質が部分的に異なるものとすることができる。
第7発明によれば、筒状部材の製造が容易になるし、ハニカムユニットが各方向に均一に補強される。例えば、基準樹脂層の繊維がハニカムユニットの軸方向に配向している場合を想定すると、配向樹脂層の繊維が軸方向と直交することにより、軸方向および径方向の双方とも強度、弾性率を高くできるという点で好ましい。
第8発明によれば、各ハニカムユニットで機械的性質が異なるので、その組み合わせを調整すれば、多様な性質を有するハニカム構造体を形成することができる。しかも、ハニカムユニットを連結してハニカム構造体を形成するので、ハニカム構造体の製造が容易になる。
本実施形態のハニカム構造体10の概略説明図である。 複数のハニカムユニット20A,20Bを組み合わせたハニカム構造体10の一例を示した図である。
本実施形態のハニカム構造体は、繊維強化樹脂によって形成されたものであり、強度を部位によって変化させることができるようにしたことに特徴を有している。
本発明のハニカム構造体の用途はとくに限定されず、種々の用途に使用することができる。例えば、飛行機の翼やボディ、自動者のシャーシ、建設材料の構造材等のように、軽量かつ強度や衝撃吸収性等が要求される構造材料に使用することができる。
(ハニカム構造体10)
以下に、本実施形態のハニカム構造体10を説明する。
図1に示すように、本実施形態のハニカム構造体10は、一般的なハニカム構造体と同様に、複数の貫通孔11hが形成された構造体である。より具体的に説明すると、複数本の筒状部材11が、その軸方向を平行にした状態で、その側面同士を接触させた状態で連結して形成されたものである。
図1に示すように、本実施形態のハニカム構造体10は、上述した複数本の筒状部材11を、繊維強化樹脂(FRP)によって形成したものである。具体的には、複数の繊維強化樹脂からなる層(基準樹脂層13および配向樹脂層14)を有する繊維強化樹脂層12を有する筒状部材11を複数本連結して、本実施形態のハニカム構造体10は形成されている。
図1に示すように、各筒状部材11の繊維強化樹脂層12は、繊維Fの配向方向が交差する基準樹脂層13と配向樹脂層14とを有している。具体的には、基準樹脂層13は、その繊維Fの配向方向が筒状部材11の軸方向と平行になっており、配向樹脂層14は、その繊維Fの配向方向が筒状部材11の軸方向と直交するようになっている。つまり、繊維強化樹脂層12は、基準樹脂層13の繊維Fの配向方向と配向樹脂層14の繊維Fの配向方向が直交するように形成されている。
そして、本実施形態のハニカム構造体10では、全ての筒状部材11において、繊維強化樹脂層12の層数(基準樹脂層13の層数と配向樹脂層14の層数を合わせた層数)は同数であるが、基準樹脂層13の層数(言い換えれば配向樹脂層14の層数)が異なる筒状部材11を有している。例えば、図1であれば、筒状部材11Aは、基準樹脂層13が3層、配向樹脂層14が2層であるが、筒状部材11Bは、基準樹脂層13が2層、配向樹脂層14が3層となっている。すると、筒状部材11Aと筒状部材11Bを比較すると、筒状部材11Aは、軸方向の引張や圧縮に対する強度は筒状部材11Bよりも強く、筒状部材11Bは、径方向の引張や圧縮に対する強度は筒状部材11Aよりも強くなっている。逆に言えば、筒状部材11Aは、径方向の引張や圧縮に対する強度は筒状部材11Bよりも弱く、筒状部材11Bは、径方向引張や圧縮に対する強度は筒状部材11Aよりも弱くなっている。
このように、ハニカム構造体10を、繊維強化樹脂層12の層数は同数であるが基準樹脂層13の層数が異なる筒状部材11によって形成すれば、多様な性質を有するハニカム構造体を形成することができる。
例えば、図2(A)に示すように、ハニカム構造体10の中央部分は基準樹脂層13の層数が多い(3層)筒状部材11A(総層数5層)によって形成し(ハニカムユニット20A)、ハニカムユニット20Aの周囲を配向樹脂層14の層数が多い(3層)筒状部材11B(総層数5層)で囲むようにする(ハニカムユニット20B)。すると、ハニカムユニット20Aの壁は、総層数10層で基準樹脂層13の層数が6層となり、ハニカムユニット20Bの壁は、総層数10層で配向樹脂層14の層数が4層となる。このハニカム構造体10の場合、軸方向からの力は筒状部材11Aに支えさせることができ、径方向からの力は筒状部材11B支えさせることができる。そして、このハニカム構造体10の場合、壁を構成する基準樹脂層13と配向樹脂層14がともに5層(総層数10層)であるハニカム構造体に比べて、ハニカムユニット20Aでは軸方向の力に対する強度が増加しており、ハニカムユニット20Bでは径方向の力に対する強度が増加している。つまり、図2(A)のハニカム構造体10は、上述したようなハニカムユニット20Aおよびハニカムユニット20Bで形成されているので、軸方向と径方向の両方からの力に対して強い強度を示す構造体となる。
また、図2(B)のハニカム構造体10は、左側の部分は配向樹脂層13の層数が少ない(2層)筒状部材11A(総層数5層)によって形成され(ハニカムユニット20A)、右側の部分は配向樹脂層14の層数が多い(3層)筒状部材11B(総層数5層)で形成されたもの(ハニカムユニット20B)である。この場合、壁を構成する基準樹脂層13と配向樹脂層14がともに5層(総層数10層)であるハニカム構造体に比べて、ハニカムユニット20Aでは径方向の力に対して変形しやすくなる一方、ハニカムユニット20Bでは径方向の力に対して変形しにくくなる。すると、このハニカム構造体10を、そのハニカムユニット20Aが外方に位置するように配置して構造物を形成すれば、構造物に対する外部からの力をハニカムユニット20Aで吸収する一方、構造物自体の構造はハニカムユニット20Bで維持することができる。つまり、図2(B)のハニカム構造体10を使用すれば、衝撃吸収性と強度を兼ね備えた構造物を製造することができる。
そして、本実施形態のハニカム構造体10の場合、複数の筒状部材11の繊維強化樹脂層12において基準樹脂層13の層数や配向樹脂層14の層数が異なっても、繊維強化樹脂層12を構成する層の総層数は同じである。つまり、複数の筒状部材11(例えば、筒状部材11Aと筒状部材11B)は、繊維強化樹脂層12を構成する層の繊維Fの配向状態が異なるだけで、繊維強化樹脂層12の厚さやその重量、比重等は全ての同じになる。
すると、本実施形態のハニカム構造体10は、機械的性質が異なる筒状部材11を使用しても、機械的性質以外は、ハニカム構造体10全体でほぼ均一にすることができる。つまり、本実施形態のハニカム構造体10は、重量や比重などは全体で均質に維持しつつ、機械的性質が部分的に異なるものとすることができる。
したがって、本実施形態のハニカム構造体10を構造用材料として使用すれば、構造や素材等を変更しなくても、特定の部位の剛性を高めたり、逆に特定の部位の剛性を弱めたりすることが可能となる。
(筒状部材11の製造方法)
上述したように、筒状部材11は、繊維強化樹脂層12を構成する層の総層数を同じにしても、基準樹脂層13や配向樹脂層14の層数を変化させることによって、機械的性質を変化させることができる。この筒状部材11において、基準樹脂層13や配向樹脂層14の層数は以下のようにすれば変化させることができる。
例えば、筒状部材11の繊維強化樹脂層12は、複数枚のプリプレグPGを積層して樹脂材料Mを硬化させて形成することができる。プリプレグPGは、複数本の繊維Fが互いに平行となるように並べて形成したシートに樹脂材料Mを含侵させたシート材料である。このため、プリプレグPGを積層する際に、繊維Fの配向方向を調整すれば、その層を基準樹脂層13とすることができるし、配向樹脂層14とすることもできる。つまり、プリプレグPGの繊維Fの配向方向を筒状部材11となった際の軸方向と一致させれば、そのプリプレグPGが硬化して形成される層は基準樹脂層13になる。一方、プリプレグPGの繊維Fの配向方向を筒状部材11となった際の半径方向(周方向)と一致させれば、そのプリプレグPGが硬化して形成される層は配向樹脂層14になる。したがって、筒状部材11の繊維強化樹脂層12を形成する際に、プリプレグPGの繊維Fの配向方向を調整すれば、基準樹脂層13の層数と配向樹脂層14の層数を調整することができる。
(筒状部材11の構成について)
上記例では、ハニカム構造体10の全ての筒状部材11の繊維強化樹脂層12が基準樹脂層13と配向樹脂層14の両方を備えている場合を説明した。しかし、必ずしも全ての筒状部材11の繊維強化樹脂層12が基準樹脂層13と配向樹脂層14の両方を備えていなくてもよい。つまり、複数本の筒状部材11のうち、一または二以上の筒状部材11の繊維強化樹脂層12が基準樹脂層13と配向樹脂層14の両方を備えていればよい。言い換えれば、いくつかの筒状部材11は、基準樹脂層13だけまたは配向樹脂層14だけで繊維強化樹脂層12が形成されていてもよい。しかし、全ての筒状部材11の繊維強化樹脂層12が基準樹脂層13と配向樹脂層14の両方を有している方が、種々の方向からの荷重に対して強いハニカム構造体を得ることができる。また、各ハニカムユニットで積層構成を変えることにより、機械的性質を部分的に変化、制御することも容易にできる点で好ましい。
また、上記例では、ハニカム構造体10の全ての筒状部材11の繊維強化樹脂層12の総層数が同じ場合を説明した。しかし、筒状部材11は、必ずしも全ての筒状部材11の繊維強化樹脂層12の総層数が同じでなくてもよい。例えば、特定の部位に配置する筒状部材11の繊維強化樹脂層12の総層数を、他の筒状部材11よりも多くしたり少なくしたりしてもよい。この場合、ハニカム構造体10全体が均質にはならないが、総層数の異なる筒状部材11が配置された部位は、他の部位よりも、強度を大幅に大きくしたり大幅に小さくしたりすることができる。したがって、特定の部位について特別に強度を高めたい場合や特別に強度を弱めたい場合などには、その部位に配置する筒状部材11の繊維強化樹脂層12の総層数を、他の筒状部材11よりも多くしたり少なくしたりしてもよい。
さらに、繊維強化樹脂層12の基準樹脂層13の繊維Fの配向方向や配向樹脂層14の繊維Fの配向方向は、上述した状態に限定されない。つまり、基準樹脂層13のFの配向方向と配向樹脂層14の繊維Fの配向方向は、必ずしも直交していなくてもよい。また、基準樹脂層13の繊維Fの配向方向は、必ずしも筒状部材11の軸方向と平行になっていなくてもよい。これらを調整することによって、筒状部材11が強度を発揮する方向が変化するので、ハニカム構造体10を使用する状況などに応じて適宜調整すればよい。
(ハニカム構造体10の製造方法)
上述したハニカム構造体10を製造する方法はとくに限定されないが、上述したように、複数本の筒状部材11をその軸方向が互いに平行となるように配置してその側面同士を接触させた状態で連結して形成することができる。
この場合、筒状部材11同士を連結する方法はとくに限定されないが、筒状部材11の繊維強化樹脂層12の樹脂材料が完全に硬化したのち、エポキシ樹脂系やウレタン樹脂系、シリコーン系などの反応型接着剤、ニトリルゴムやクロロプレンゴムなどを含むエラストマー系接着剤等の接着剤を塗布して連結してもよい。また、筒状部材11の繊維強化樹脂層12の樹脂材料が硬化する前に筒状部材11の側面同士を接触させて、その状態で繊維強化樹脂層12の樹脂材料を硬化させて筒状部材11同士を連結してもよい。
また、図2に示すようなハニカム構造体10を形成する場合、つまり、ハニカムユニット20A,20Bからなるハニカム構造体10を形成する場合には、ハニカムユニット20Aおよびハニカムユニット20Bを予め形成しておき、適宜、ハニカムユニット20A,20Bを組み合わせてハニカム構造体10を製造してもよい。このようにすれば、複数本の筒状部材11を毎回束ねて連結する場合に比べて、ハニカム構造体10を形成する手間を省くことができる。
(筒状部材11および貫通孔11hについて)
図1では、筒状部材11の外形断面と貫通孔11hの断面が、互いに相似形な六角形の場合を示している。しかし、筒状部材11の外形断面および貫通孔11hの断面は必ずしも六角形でなくてもよく、円形や三角形、四角形、五角形でもよい。
また、筒状部材11の外形断面と貫通孔11hの断面は互いに相似形でなくてもよく、異なる形状としてもよい。例えば、筒状部材11の外形断面を六角形とし、貫通孔11hを円形にしてもよい。しかし、筒状部材11の外形断面と貫通孔11hの断面を互いに相似形とすれば、筒状部材11の製造が容易になるし、軽量で強度、弾性率の高い構造体が得られるという点で好ましい。
(繊維強化樹脂層12の素材)
繊維強化樹脂層12の素材となる繊維や樹脂材料はとくに限定されないが、例えば、以下のような素材を使用することができる。
(繊維)
繊維には、例えば、炭素繊維や有機高弾性繊維(例えばアラミド繊維等)、ガラス繊維、ボロン繊維、アルミナ繊維、炭化珪素繊維、タングステンカーバイド繊維、ポリエステル繊維やアクリル繊維等の合成繊維、天然繊維などを使用することができる。とくに、炭素繊維を使用すれば、ハニカム構造体を、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)製とすることができる。CFRPは非常に強度、弾性率が高いので、筒状部材11の繊維強化樹脂層12を薄くしても強度を高く維持できるので、ハニカム構造体10を軽量かつ高強度とすることができる。
(樹脂材料)
樹脂材料としては、熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、マレイミド樹脂、アセチレン末端を有する樹脂、ビニル末端を有する樹脂、シアン酸エステル末端を有する樹脂、等の熱硬化性樹脂を単体、または、2種類以上を組み合わせて使用することができる。
また、ポリオレフィン系樹脂やポリカーボネート樹脂、アクリル系樹脂、フッ素系樹脂等の熱可塑性樹脂を単体、または、2種類以上を組み合わせて使用することができる。
本発明のハニカム構造体は、飛行機や自動車などの輸送機器、建築材等の構造材料に適している。
10 ハニカム構造体
11 筒状部材
12 繊維強化樹脂層
13 基準樹脂層
14 配向樹脂層
20 ハニカムユニット
F 繊維

Claims (8)

  1. 複数の筒状部材を有するハニカム構造体であって、
    前記複数の筒状部材が、
    繊維強化樹脂からなる層を複数層備えており、
    該複数の筒状部材のうち、一または二以上の筒状部材は、
    繊維強化樹脂からなる層として、基準樹脂層と、繊維の配向方向が前記基準樹脂層における繊維の配向方向と交差する配向樹脂層と、を備えており、
    前記複数の筒状部材は、繊維強化樹脂からなる層の層数が同数であり、
    前記一または二以上の筒状部材には、
    前記配向樹脂層の層数が異なる筒状部材が含まれている
    ことを特徴とするハニカム構造体。
  2. 前記配向樹脂層は、
    繊維の配向方向が、前記基準樹脂層における繊維の配向方向に対して直交している
    ことを特徴とする請求項1記載のハニカム構造体。
  3. 前記筒状部材を複数連結したハニカムユニットを複数有しており、
    各ハニカムユニットを構成する筒状部材では、該筒状部材における前記繊維強化樹脂からなる層の層数および前記基準樹脂層の層数が同数であり、
    前記複数のハニカムユニットは、
    該ハニカムユニットを構成する筒状部材における前記繊維強化樹脂からなる層の層数および/または前記基準樹脂層の層数が異なるハニカムユニットを有している
    ことを特徴とする請求項1または2記載のハニカム構造体。
  4. 繊維強化樹脂からなる層を複数有する筒状部材を、軸方向が平行となるように複数本並べて接合する際に、繊維強化樹脂からなる層における繊維の配向方向が異なる筒状部材を混在させる
    ことを特徴とするハニカム構造体の製造方法。
  5. 前記複数の筒状部材は、繊維強化樹脂からなる層の層数が同じ層数であり、
    該複数の筒状部材のうち、一または二以上の筒状部材は、
    繊維強化樹脂からなる層として、基準樹脂層と、繊維の配向方向が前記基準樹脂層における繊維の配向方向と交差する配向樹脂層と、を備えている
    ことを特徴とする請求項4記載のハニカム構造体の製造方法。
  6. 前記一または二以上の筒状部材には、
    前記配向樹脂層の層数が異なる筒状部材が含まれている
    ことを特徴とする請求項5記載のハニカム構造体の製造方法。
  7. 前記配向樹脂層は、
    繊維の配向方向が、前記基準樹脂層における繊維の配向方向に対して直交している
    ことを特徴とする請求項5または6記載のハニカム構造体の製造方法。
  8. 前記繊維強化樹脂からなる層の層数および前記基準樹脂層の層数が同じである前記筒状部材を複数連結したハニカムユニットを形成し、
    該ハニカムユニットを構成する前記筒状部材の前記繊維強化樹脂からなる層の層数および/または前記基準樹脂層の層数が異なるハニカムユニットを連結する
    ことを特徴とする請求項5、6または7記載のハニカム構造体の製造方法。
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