JP2008299115A - 帯電部材、プロセスカートリッジ及び電子写真装置 - Google Patents

帯電部材、プロセスカートリッジ及び電子写真装置 Download PDF

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Abstract

【課題】長期間の繰り返し使用によってもトナーやトナーに用いられる外添剤などが表面に固着しにくく、高温高湿環境下で水分の影響を適度に受け、DC接触帯電方式に用いても、長期間安定した帯電及び画像出力が可能な帯電部材を提供する。
【解決手段】最外層がオキシアルキレン基を有するポリシロキサンから形成されている帯電部材であって、該ポリシロキサン中の水酸基量(帯電部材表面にゲルマニウムプリズムを当接して顕微ATR−IR法にて全反射の赤外線吸収強度を測定した時、C−H伸縮振動由来のピーク(2932cm-1)の強度を100とし、それに対する水酸基由来のピーク(3352cm-1)の強度の大きさ)が50.0%以上100.0%以下であることを特徴とする帯電部材。
【選択図】図1

Description

本発明は、帯電部材、及び該帯電部材を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置に関する。
現在、電子写真感光体の表面を帯電する方式の1つとして、接触帯電方式が実用化されている。接触帯電方式は、電子写真感光体に接触配置された帯電部材に電圧を印加し、帯電部材と電子写真感光体の当接部近傍で微少な放電をさせることによって、電子写真感光体の表面を帯電する方式である。
電子写真感光体の表面を帯電するための帯電部材としては、電子写真感光体と帯電部材との当接ニップを十分に確保する観点から、支持体及び該支持体上に設けられた弾性層(導電性弾性層)を有するものが一般的である。
また、弾性層は、低分子量成分を比較的多量に含むことが多いため、この低分子量成分がブリードアウトし、電子写真感光体の表面を汚染することが多い。これを抑制するために、弾性層上には、導電性弾性層に比べて弾性率の高い表面層(最外層)を設けることもよく行われている。
また、帯電部材としては、耐久性や接触の安定性が良好なことから、ローラ形状であるものが一般的である。以下、ローラ形状の帯電部材を「帯電ローラ」ともいう。
また、接触帯電方式の中でも広く普及している方式は、直流電圧に交流電圧を重畳した電圧を帯電部材に印加する方式(以下「AC+DC接触帯電方式」ともいう。)である。この方式の場合、帯電開始電圧の2倍以上のピーク間電圧を持つ交流電圧が用いられることが多い。
AC+DC接触帯電方式は、交流電圧を用いていることにより、帯電均一性の高い安定した帯電を行える方式である。しかし、交流電圧源を使用する分、直流電圧のみを帯電部材に印加する方式(以下「DC接触帯電方式」ともいう。)に比べて、帯電装置や電子写真装置が大型化し、引いてはコストアップとなってしまう。
すなわち、DC接触帯電方式は、AC+DC接触帯電方式に比べて、帯電装置や電子写真装置が小型化でき、コストダウンの点で優れた帯電方式である。
導電性が必要なトナー搬送用ローラに関する発明において、該ローラの表面を柔軟にするためにポリウレタンの被覆層を形成し、そのポリウレタンの性能向上のために、シラノール基を生成可能な官能基をウレタン骨格に導入することが行われている(特許文献1)。つまり、加水分解してシラノール基を生成し得る官能基を有し、かつ、ソフトセグメント含有率が50重量%乃至80重量%であるポリウレタン樹脂を主成分とするウレタン被覆剤組成物を用いることが提案されている。ここでは、ポリエーテルポリオールとして、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドのような環状エーテルを開環付加重合させた、ポリオキシエチレンポリオール、ポリオキシプロピレンポリオール、ポリオキシテトラメチレンポリオールが使用できるとしている。これにより、表面が軟質でかつ荷電性、搬送性に優れたウレタン被覆ローラが提供できるとしている。
また、導電性基体上に形成される2層以上の機能層を含んでなる導電性部材で、最外層以外の少なくとも1以上の該機能層の表面を、少なくとも環状エーテル化合物を含有する処理剤で処理したものが知られている(特許文献2)。この環状エーテル化合物を含有する処理剤の処理が、機能層の剥離を抑制することができるとしている。
特開平11−181350号公報 特開2001−356563号公報
しかしながら、DC接触帯電方式は、交流電圧による帯電均一性向上効果が無いため、帯電部材の表面の汚れ(トナーやトナーに用いられる外添剤による)や、帯電部材自体の電気抵抗の不均一性が、出力画像に現れやすい。特に、DC接触帯電方式の場合、繰り返し使用により帯電部材の表面にトナーやトナーに用いられる外添剤が不均一に強く付着(固着)すると、高温高湿(30℃/80%RH)環境下に、ハーフトーン画像を出力した際、その固着部分が過帯電や帯電不良を引き起こすことがある。
本発明の目的は、長期間の繰り返し使用によってもトナーやトナーに用いられる外添剤が表面に固着しにくく、DC接触帯電方式に用いても、長期間安定した帯電及び画像出力が可能な帯電部材を提供することである。さらに、本発明は、該帯電部材を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、帯電部材の最外層を、高温高湿環境下で水分の影響を適度に受ける材料で構成することにより、上記課題が解決されることを見出した。さらに、本発明者らは検討し、ついに本発明に至った。
すなわち、本発明は、下記構成である。
(1)最外層がオキシアルキレン基を有するポリシロキサンから形成されている帯電部材であって、該ポリシロキサン中の水酸基量(帯電部材表面にゲルマニウムプリズムを当接して顕微ATR−IR法にて全反射の赤外線吸収強度を測定した時、C−H伸縮振動由来のピーク(2932cm-1)の強度を100とし、それに対する水酸基由来のピーク(3352cm-1)の強度の大きさ)が50%以上100%以下であることを特徴とする帯電部材。
(2)オキシアルキレン基を有するポリシロキサンからなる最外層が、下記工程を経て形成されている上記(1)の帯電部材。
(A)カチオン重合可能な基を有する加水分解性シラン化合物を加水分解して縮合させる工程、
(B)工程(A)で得られた加水分解縮合物に、オキセタン環を有する化合物を添加する工程、及び
(D)カチオン重合可能な基を開裂させて、工程(B)により得られた混合物中の加水分解縮合物とオキセタン環を有する化合物を架橋させる工程。
(3)工程(B)において、カチオン重合可能な基を有する加水分解縮合物とオキセタン環を有する化合物が質量比で90/10乃至50/50の範囲にある上記(2)の帯電部材。
(4)オキシアルキレン基を有するポリシロキサンからなる最外層が、下記工程を経て形成されている上記(1)の帯電部材。
(A)カチオン重合可能な基を有する加水分解性シラン化合物を加水分解して縮合させる工程、
(B)工程(A)で得られた加水分解縮合物に、オキセタン環を有する化合物を添加する工程、
(C)工程(B)で得られた加水分解縮合物とオキセタン環を有する化合物の混合物に、さらに、アクリル系ポリマーとシリコン系ポリマーとから形成されたブロック共重合体を添加する工程、及び
(D)カチオン重合可能な基を開裂させることにより、工程(C)で得られた混合物に含まれる加水分解縮合物とオキセタン環を有する化合物を架橋させる工程。
(5)アクリル系ポリマーとシリコン系ポリマーとから形成されたブロック共重合体がA−Bタイプのジブロック共重合体である上記(4)の帯電部材。
(6)工程(C)において、カチオン重合可能な基を有する加水分解縮合物とブロック共重合体の合計量とオキセタン環を有する化合物の量が質量比で95/5乃至50/50の範囲にある上記(4)又は(5)の帯電部材。
(7)オキシアルキレン基を有するポリシロキサンからなる最外層が、下記工程を経て形成されている上記(1)の帯電部材。
(E)カチオン重合可能な基を有する加水分解性シラン化合物とフッ化アルキル基を有する加水分解性シラン化合物の混合物を加水分解で縮合させる工程、
(F)工程(E)で得られた加水分解縮合物に、オキセタン環を有する化合物を添加する工程、及び
(G)カチオン重合可能な基を開裂させることにより、工程(F)により得られた混合物中の加水分解縮合物とオキセタン環を有する化合物を架橋させる工程。
(8)工程(F)において、カチオン重合可能な基を有する加水分解縮合物とオキセタン環を有する化合物が質量比で90/10乃至50/50の範囲にある上記(7)の帯電部材。
(9)オキセタン環を有する化合物が、式(1)、式(2)、式(3)又は式(4)で表される化合物である請求項2乃至8のいずれか1項に記載の帯電部材。
Figure 2008299115
〔式(1)において、
1は、水素原子、炭素数1乃至6のアルキル基、炭素数1乃至6のフルオロアルキル基、アリル基、アリール基、フリル基又はチエニル基であり、
2は、炭素数1乃至6のアルキル基、炭素数2乃至6のアルケニル基、置換基を有することのあるアリール基、芳香族置換アルキル基、炭素数2乃至6のアルキルカルボニル基、炭素数2乃至6のアルコキシカルボニル基又は炭素数2乃至6のN−アルキルカルバモイル基である。〕
Figure 2008299115
〔式(2)において、
1は、前記式(1)におけると同様であり、
3は、線状又は分枝状のアルキレン基、線状又は分枝状のポリ(アルキレンオキシ)基、線状又は分枝状の2価の不飽和炭化水素基、カルボニル基、カルボニル基を含むアルキレン基、カルボキシル基を含むアルキレン基、カルバモイル基を含むアルキレン基、芳香族環を含むアルキレン基、又はポリシロキサン結合を含むアルキレン基である。〕
Figure 2008299115
〔式(3)において、R1は、前記式(1)におけると同様である。〕
Figure 2008299115
〔式(4)において、
1は、前記式(1)におけると同様であり、
4は、炭素数1乃至12の分枝状のn価の炭化水素基、分枝状のn価のポリ(アルキレンオキシ)基又は分枝状のn価のポリシロキシ基であり、
nは、3又は4である。〕
(10)電子写真感光体と該電子写真感光体の表面を帯電するための帯電部材が一体に支持され、電子写真装置の本体に着脱自在であるプロセスカートリッジであって、該帯電部材が上記いずれかの帯電部材であることを特徴とするプロセスカートリッジ及び電子写真装置。
(11)帯電部材が電子写真感光体に接触配置されている上記のプロセスカートリッジ及び電子写真装置
本発明の帯電部材は、最外層が、表面IR分析で求めた水酸基量がコントロールされた、オキシアルキレン基を有するポリシロキサンから形成されているので、表面吸着水量が制御されており、長期間安定した帯電及び画像出力が可能な帯電部材である。また、DC接触帯電方式に用いて、その性能は優れている。したがって、本発明の帯電部材は、プロセスカートリッジや電子写真装置の帯電部材として有用なものである。
本発明は、最外層がオキシアルキレン基を有するポリシロキサンから形成されており、いる帯電部材であって、該ポリシロキサン中の水酸基量(帯電部材表面にゲルマニウムプリズムを当接して顕微ATR−IR法にて全反射の赤外線吸収強度を測定した時、C−H伸縮振動由来のピーク(2932cm-1)の強度を100とし、それに対する水酸基由来のピーク(3352cm-1)の強度の大きさが50.0%以上100.0%以下であることを特徴とする帯電部材である。
すなわち、本発明の帯電部材は、少なくとも、導電性の支持体、導電性弾性層及び最外層(表面層)を有するものである。なお、本発明の帯電部材の最も簡単な構成は、支持体上に導電性弾性層及び最外層の2層を設けた構成であるが、支持体と導電性弾性層との間や導電性弾性層と最外層との間に別の層を適宜設けてもよい。
図1に、本発明のローラ形状の帯電部材の一例の断面図を示す。なお、11は支持体であり、12は導電性弾性層であり、13は最外層である。
帯電部材の支持体は、少なくとも表面が導電性を有していれば、いずれでも使用可能であり、例えば、鉄、銅、ステンレス、アルミニウム、アルミニウム合金又はニッケルで形成されている金属性(合金製)の支持体を用いることができる。また、これらの表面に、耐傷性付与を目的として、導電性を損なわない範囲で、メッキ処理などの表面処理を施してもよい。
導電性弾性層には、従来の帯電部材の弾性層(導電性弾性層)に用いられているゴムや熱可塑性エラストマーなどの弾性体を1種又は2種以上用いることができる。以下、特にことわらない限り、導電性弾性層を「弾性層」という。
弾性層用のゴムとしては、以下のものが使用できる。ウレタンゴム、シリコーンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンゴム、ポリノルボルネンゴム、スチレン−ブタジエン−スチレンゴム、アクリロニトリルゴム、エピクロルヒドリンゴム及びアルキルエーテルゴム。
また、熱可塑性エラストマーとしては、スチレン系エラストマー及びオレフィン系エラストマーが用いられる。スチレン系エラストマーとしては、三菱化学株式会社製「ラバロン」、クラレ株式会社製「セプトンコンパウンド」が市販されている。オレフィン系エラストマーとしては、三菱化学株式会社製「サーモラン」、三井化学株式会社製「ミラストマー」、住友化学工業株式会社製「住友TPE」及びアドバンストエラストマーシステムズ社製「サントプレーン」が市販されている。なお、これらはいずれも商品名である。
弾性層には、導電剤を適宜使用することによって、その導電性を所定の値にすることができる。弾性層の電気抵抗は、導電剤の種類及び使用量を適宜選択することによって調整することができる。その電気抵抗の好適な範囲は、102Ω以上108Ω以下であり、より好適な範囲は103Ω以上106Ω以下である。
弾性層に用いられる導電剤としては、陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、両性イオン界面活性剤、帯電防止剤及び電解質が挙げられる。
陽イオン性界面活性剤としては以下のものが使用できる。ラウリルトリメチルアンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウム、オクタドデシルトリメチルアンモニウム、ドデシルトリメチルアンモニウム、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム及び変性脂肪酸のジメチルエチルアンモニウムのような第四級アンモニウムの塩。塩の形としては、以下のものが挙げられる。過塩素酸塩、塩素酸塩、ホウフッ化水素酸塩、エトサルフェート塩及びハロゲン化ベンジル塩(臭化ベンジル塩や塩化ベンジル塩など)。
陰イオン性界面活性剤としては、脂肪族スルホン酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩、高級アルコールエチレンオキサイド付加硫酸エステル塩、高級アルコール燐酸エステル塩及び高級アルコールエチレンオキサイド付加燐酸エステル塩が使用できる。
帯電防止剤としては、例えば、高級アルコールエチレンオキサイド、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル及び多価アルコール脂肪酸エステルのような非イオン性帯電防止剤が使用できる。
電解質としては、例えば、周期律表第1族の金属(Li、Na、Kなど)の塩、第四級アンモニウム塩などが挙げられる。周期律表第1族の金属の塩として、具体的には、LiCF3SO3、NaClO4、LiAsF6、LiBF4、NaSCN、KSCN及びNaClを挙げることができる。
導電剤として、ケッチェンブラックEC(商品名)、アセチレンブラック、ゴム用カーボン、酸化処理を施したカラー(インク)用カーボン、及び、熱分解カーボンなどの導電性のカーボンも用いることができる。なお、ゴム用カーボンとして、以下のものが挙げられる。Super Abrasion Furnace(SAF:超耐摩耗性)、Intermediate Super Abrasion Furnace(ISAF:準超耐摩耗性)、High Abrasion Furnace(HAF:高耐摩耗性)、Fast Extruding Furnace(FEF:良押し出し性)、General Purpose Furnace(GPF:汎用性)、Semi Rein Forcing Furnace(SRF:中補強性)、Fine Thermal(FT:微粒熱分解)及びMedium Thermal(MT:中粒熱分解)。
また、導電剤として、天然グラファイト及び人造グラファイトのようなグラファイトを用いることもできる。
さらに、導電剤として、酸化スズ、酸化チタン及び酸化亜鉛のような金属酸化物や、ニッケル、銅、銀及びゲルマニウムのような金属を用いてもよい。
また、導電剤として、ポリアニリン、ポリピロール及びポリアセチレンのような導電性ポリマーを用いることもできる。
弾性層には、無機又は有機の充填剤や架橋剤を添加してもよい。充填剤としては、シリカ(ホワイトカーボン)、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、クレー、タルク、ゼオライト、アルミナ、硫酸バリウム及び硫酸アルミニウムが挙げられる。架橋剤としては、イオウ、過酸化物、架橋助剤、架橋促進剤、架橋促進助剤、架橋遅延剤が挙げられる。
弾性層の硬度は、帯電部材を被帯電体である電子写真感光体と当接させた際に帯電部材が変形するのを抑制する観点から、アスカーCで70度以上であることが好ましく、特に73度以上であることがより好ましい。また、製造が良好であること、電子写真感光体との当接精度が良好となることから95度以下であることが好ましい。
また、当接ニップを十分に確保するために設けた弾性層の機能を十分に発揮させる観点から、帯電部材の最外層の弾性率は2000MPa以下であることが好ましい。一方、一般的に、層の弾性率を小さくするほど架橋密度が低下する傾向にあるため、帯電部材の表面にブリードアウトした低分子量成分による電子写真感光体の表面の汚染を抑制する観点から、帯電部材の最外層の弾性率は100MPa以上であることが好ましい。
最外層は厚い程上記の低分子量成分のブリードアウトの抑制効果が大きいが、逆に帯電部材の帯電能が低下してしまう。具体的に、最外層の層厚は0.01μm以上1.00μm以下であることが好ましく、特には0.05μm以上0.60μm以下であることがより好ましい。
最外層の膜厚は、帯電部材から表面部位をカミソリで削ぎ、液体窒素につけて凍結し、破断させた後に、その断面を走査型電子顕微鏡(SEM)(日本電子株式会社製)で約20000倍の倍率で確認することにより行える。
また、帯電部材の表面へのトナーや外添剤の固着を抑制する観点から、帯電部材の表面(=最外層の表面)の粗さ(Rzjis)は、JIS B0601(2001)で、10μm以下であることが好ましく、7μm以下であることがより好ましく、5μm以下であることがより一層好ましい。
次に、本発明の帯電部材について説明する。
本発明の帯電部材は、上記のとおり、帯電部材の最外層が、オキシアルキレン基を有するポリシロキサンからなり、表面を反射IR測定で求めたポリシロキサン中の水酸基量が50.0%以上100.0%以下であることを特徴とする。なお、この水酸基量の測定方法については後述する。
水酸基量が100%を超えると、吸着水が多くなるためか帯電部材表面の膜抵抗への影響が大きくなる。つまり帯電時の帯電部材からの放電量が不安定となり、画像弊害を起こすと予想される。また水酸基量が50%未満では、水分の最表面への吸着水が少なくて、流体潤滑膜的な役割が小さい。そのためにトナーやその外添剤等の付着が多くなり、こちらも帯電時の放電量が不安定となりやすくなると予想される。
帯電部材としては、その最外層が、下記の各工程を経て得られる組成物で形成されていることが好ましい。
(A)カチオン重合可能な基を有する加水分解性シラン化合物を加水分解して縮合させる工程、
(B)工程(A)で得られた加水分解縮合物に、オキセタン環を有する化合物を添加する工程、
(C)工程(B)で得られた加水分解縮合物とオキセタン環を有する化合物の混合物に、さらに、アクリル系ポリマーとシリコン系ポリマーとから形成されたブロック共重合体を添加する工程、
(D)カチオン重合可能な基を開裂させることにより、工程(C)で得られた混合物中に含まれる加水分解縮合物とオキセタン環を有する化合物を架橋させる工程。
上記工程により作製された帯電部材を、以下「本発明の第1の帯電部材」ともいう。
ここで形成されるポリシロキサンは、先ず、カチオン重合可能な基を有する加水分解性シラン化合物を加水分解によって縮合させて加水分解縮合物を得る。次いで、該カチオン重合可能な基を開裂させることにより、オキセタン環を有する化合物と架橋させることにより形成される。
カチオン重合可能な基を有する加水分解性シラン化合物としては、下記式(5)で表される加水分解性シラン化合物が好適である。
Figure 2008299115
〔式(5)において、
21は飽和又は不飽和の1価の炭化水素基であり、
22は飽和又は不飽和の1価の炭化水素基であり、
21は2価の有機基であり、
Rc21はカチオン重合可能な基であり、
dは0乃至2の整数、eは1乃至3の整数、かつd+e=3である。〕
式(5)中のRc21のカチオン重合可能な基とは、開裂によってオキシアルキレン基を生成するカチオン重合可能な有機基を意味し、エポキシ基、オキセタン基のような環状エーテル基及びビニルエーテル基である。これらの中では、入手の容易性及び反応制御の容易性から、エポキシ基が好ましい。
式(5)中のR21及びR22の飽和又は不飽和の1価の炭化水素基として、アルキル基、アルケニル基及びアリール基が挙げられる。これらの中では、炭素数1乃至3の直鎖又は分岐状のアルキル基が好ましく、メチル基やエチル基がより好ましい。
式(5)中のZ21の2価の有機基としては、具体的には、アルキレン基及びアリーレン基であり、これらの中では、炭素数1乃至6のアルキレン基が、さらにはエチレン基が好ましい。
eは3であることが好ましい。なお、dが2である場合、存在する2個のR21は互いに異なっていてもよい。さらに、eが2又は3である場合、2個又は3個のR22は互いに異なっていてもよい。
上記式(5)で表される加水分解性シラン化合物の具体例を、以下に示す。
(5−1):グリシドキシプロピルトリメトキシシラン。
(5−2):グリシドキシプロピルトリエトキシシラン。
(5−3):エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン。
(5−4):エポキシシクロヘキシルエチルトリエトキシシラン。
さらに、帯電部材の表面物性を制御するために、カチオン重合可能な基を有する加水分解性シラン化合物に加えて、下記式(6)で表される加水分解性シラン化合物を併用することが好ましい。
Figure 2008299115
〔式(6)において、
11は、フェニル基で置換されていてもよいアルキル基又はアルキル基で置換されていてもよいアリール基であり、
12は飽和又は不飽和の1価の炭化水素基であり、
aは0乃至3の整数で、bは1乃至4の整数で、かつa+b=4である。〕
11のアルキル基として、炭素数1乃至21の直鎖状のアルキル基が好ましく、R11のアリール基として、フェニル基が好ましい。
aは1乃至3の整数であることが好ましく、特には1であることがより好ましい。また、bは1乃至3の整数であることが好ましく、特には3であることがより好ましい。
12の飽和又は不飽和の1価の炭化水素基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基及びアリール基が挙げられる。これらの中では、炭素数1乃至3の直鎖又は分岐状のアルキル基が好ましく、さらにはメチル基、エチル基及びn−プロピル基がより好ましい。
aが2又は3である場合、2個又は3個のR11は互いに異なっていてもよい。また、bが2、3又は4である場合、2個、3個又は4個のR12は互いに異なっていてもよい。
上記式(6)で表される加水分解性シラン化合物の具体例を以下に示す。
(6−1):テトラメトキシシラン。
(6−2):テトラエトキシシラン。
(6−3):テトラプロポキシシラン。
(6−4):メチルトリメトキシシラン。
(6−5):メチルトリエトキシシラン。
(6−6):メチルトリプロポキシシラン。
(6−7):エチルトリメトキシシラン。
(6−8):エチルトリエトキシシラン。
(6−9):エチルトリプロポキシシラン。
(6−10):プロピルトリメトキシシラン。
(6−11):プロピルトリエトキシシラン。
(6−12):プロピルトリプロポキシシラン。
(6−13):ヘキシルトリメトキシシラン。
(6−14):ヘキシルトリエトキシシラン。
(6−15):ヘキシルトリプロポキシシラン。
(6−16):デシルトリメトキシシラン。
(6−17):デシルトリエトキシシラン。
(6−18):デシルトリプロポキシシラン。
(6−19):フェニルトリメトキシシラン。
(6−20):フェニルトリエトキシシラン。
(6−21):フェニルトリプロポキシシラン。
(6−22):ジフェニルジメトキシシラン。
(6−23):ジフェニルジエトキシシラン。
上記式(6)で示される構造を有する加水分解性シラン化合物を使用する場合、aは1乃至3の整数であることが好ましく、R11のうちの少なくとも1個は炭素数1乃至21の直鎖状のアルキル基であることが好ましい。
上記式(6)で示される構造を有する加水分解性シラン化合物は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。2種以上用いる場合には、上記式(6)中のR11がアルキル基のものとR11がフェニル基のものとを併用することが好ましい。アルキル基は帯電部材の表面物性の制御に有用であるが、最表面に偏析し易く、偏析すると以下のような影響が現れる。感光ドラムの帯電1周目と帯電2周目以降の飽和電位(暗部電位VD1、VD2)との間に電位差が生じることがある。そのような場合、先に文字や黒い図形の静電潜像を形成した直後に連続してハーフトーン画像を出力すると、ハーフトーン画像上に直前の文字や黒い図形が微かに残像として現れる(ゴースト画像)。フェニル基は、まだ、明らかではないが、この電位差を小さくする効果が発揮されるので、ゴースト現象抑制の観点から使用するのが好ましい。
最外層を形成しているポリシロキサンがアルキル基及びフェニル基をシロキサン骨格に結合して有する場合、上記工程(C)で用いられたブロック共重合体由来のアクリル基成分は、ポリシロキサンの全質量に対し1.0質量%乃至20.0質量%が好ましい。また、ポリシロキサン全質量に対して、オキシアルキレン基の含有量は4.0質量%乃至30.0質量%、アルキル基の含有量は5.0質量%乃至30.0質量%、フェニル基の含有量は5.0質量%乃至30.0質量%である。さらに、該ポリシロキサン中のシロキサン部分の含有量は、ポリシロキサン全質量に対して20.0質量%乃至80.0質量%であることが好ましい。
以下、本発明の第1の帯電部材の具体的な製造方法(上記ポリシロキサンを含有する表面層の具体的な形成方法)について説明する。
まず、カチオン重合可能な基を有する加水分解性シラン化合物を、必要に応じて上記の他の加水分解性シラン化合物と共に水の存在下で加水分解反応させて加水分解縮合物を得る。なお、加水分解反応の際に、温度やpHを制御することで、縮合度を調整した加水分解縮合物を得ることができる。また、加水分解反応の際、その反応触媒として金属アルコキシドを利用し、縮合度を制御してもよい。金属アルコキシドとしては、アルミニウムアルコキシド、チタニウムアルコキシド及びジルコニアアルコキシド、ならびに、これらの錯体(アセチルアセトン錯体など)が適当である。なお、以下において、カチオン重合可能な基を有する加水分解性シラン化合物を「Mc」と、また、式(1)で表される構造を有する加水分解性シラン化合物を「M1」と略すことがある。
また、加水分解縮合物を得る際のMcとM1の使用量は、得られるポリシロキサン中のアクリル基、オキシアルキレン基及びシロキサン部分の含有量が、最終的に上記範囲になるようにすることが好ましい。すなわち、ポリシロキサン全質量に対して、アクリル基成分が1.0質量%乃至20.0質量%、オキシアルキレン基の含有量が4.0質量%乃至30.0質量%、シロキサン部分が20.0質量%乃至90.0質量%になるようにすることが好ましい。なお、M1併用の場合、Mc:M1(モル比)が10:1乃至1:10の範囲になるように使用することが好ましい。
次に、得られた加水分解縮合物に、まず、オキセタン環を有する化合物を添加し、次いでアクリル系ポリマーとシリコン系ポリマーとから形成されたブロック共重合体を添加し、最外層用塗布液を調製する。この塗布液を支持体及び該支持体上に形成された導電性弾性層を有する部材(以下、「導電性弾性部材」ともいう。)上に塗布する。
上記のように工程を分けるのは、オキセタン環を有する化合物の場合はシラン化合物を安定に加水分解縮合を行うためで、アクリル系ポリマーとシリコン系ポリマーとから形成されたブロック共重合体の場合、該ブロック共重合体を最表面に偏析し易くするためである。なお、該ブロック共重合体をシラン化合物の加水分解縮合に存在させたのでは、その偏析させる効果が小さくなり、トナーや外添剤の付着に対して有効性が小さくなる。
アクリル系ポリマーとシリコン系ポリマーとから形成されたブロック共重合体は、A−Bタイプのジブロック共重合体であるものが好ましい。なお、アクリル系単量体とシリコン系単量体の共重合体には、ランダムタイプのものやグラフトタイプのものも存在するが、最表面偏析効果としては効果が小さい。これは、ポリシロキサンとの相互作用の仕方が、特にグラフトタイプのものは、ポリマーミセル型(アクリル系単量体部分はポリシロキサン側、シリコン系単量体部分は内側)となり易いため、ポリシロキサン内部に取り込まれた構造となるためと推察される。
ここでアクリル系ポリマーのブロック部は、具体的には、下記式(7)で表される重合体構造を形成している。
Figure 2008299115
〔式(7)において、
31は水素原子又はメチル基であり、
32は炭素数1乃至20の直鎖又は分岐状のアルキレン基、炭素数6乃至12の脂環式炭化水素基であり、
nは10乃至1000の整数である。
なお、*は結合位置を示す。〕
アクリル系ポリマーの構成単量体としては、具体的には以下のものが挙げられる。(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸のようなカルボン酸含有ビニル単量体;(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピルのような水酸基含有ビニル単量;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジルのような(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−(メタ)アクリロイルモルホリンのようなアミド基含有ビニル単量体;(メタ)アクリル酸トリエチレングリコールエステル、(メタ)アクリル酸ジプロピレングリコールエステルのような(メタ)アクリル酸のポリエチレングリコールやポリプロピレングリコールのエステル;(メタ)アクリル酸−N,N−ジメチルアミノエステルのような第三級アミノ基を有するアルコールの(メタ)アクリル酸エステル;2−ヒドロキシ−3−メタクリルオキシプロピルメチルアンモニウムクローライドのような(メタ)アクリル酸から誘導される第四級アンモニウム塩。なお、本明細書において、「(メタ)アクリル酸」は「アクリル酸」と「メタクリル酸」との総称である。
また、上記構成単量体と共に、アリルアルコール;スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレンのような芳香族ビニル単量体;ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ステアリン酸ビニルのようなカルボン酸ビニルエステルも使用可能である。
さらに、該ブロック共重合体のアクリル系ポリマーのブロック部には、下記式(8)、式(9)で表されるようなアゾ結合、ポリエステル結合を有するポリマーとアクリル酸メチルとの共重合体が含まれていてもよい。
Figure 2008299115
〔式(8)において、
l、kは、それぞれ独立に、1乃至10の整数である。
なお、*は結合位置を示す。〕
Figure 2008299115
〔式(9)において、
mは1乃至10の整数である。
なお、*は結合位置を示す。〕
また、シリコン系ポリマーから形成されるブロックを形成するために使用できるシリコン系単量体としては、以下のものがあげられる。(CH33SiCl、(CH32SiCl2、(CH3)SiCl3、(CH3)HSiCl2、(C652SiCl2、C65Si(CH3)Cl2、C65SiCl3、(CH3)(CH2=CH)SiCl2
該ブロック共重合体において、アクリル系単量体から形成されたブロック(以下、「アクリル系ブロック」という)とシリコン系単量体から形成されたブロック(以下、「シリコン系ブロック」という)の質量比率は、特に制限されるものではない。しかし、アクリル系ブロック/シリコン系ブロックが5/95乃至95/5、特に20/80乃至80/20であることが好ましい。この比率を逸脱してシリコン系ブロックの比率が少ないと十分なトナー付着性が得られない場合がある。一方、アクリル系ブロックが少ないとポリシロキサン部分との相溶性悪化(ミクロ相分離)するため、膜自身が不均一になりやすく、十分な耐久性が得られない場合がある。
上記アクリル系ポリマーとシリコン系ポリマーとから形成されたブロック共重合体として、具体的には、市販品として、日本油脂株式会社からのモディパーFSシリーズ(商品名)があり、本発明では、いずれでも支障なくできる。
工程(A)で得られた加水分解縮合物に該ブロック共重合体を添加する量として、1質量%乃至20質量%、特に2質量%乃至10質量%が好ましい。添加量が1質量%より少ないと、十分なトナー及び外添剤の低付着性を得られにくく、20質量%より多いと、相溶性の低下やコスト高になってしまう。
帯電部材の最外層がオキシアルキレン基を有するポリシロキサンから形成され、加水分解縮合物とブロック共重合体の合計量とオキセタン環を有する化合物の量が質量比で95/5乃至50/50であることが好ましく、さらに好ましくは90/10乃至60/40である。なお、この比が90/10より大きいと水酸基量の低下抑制効果が小さく、また50/50未満では、互いの相溶性が低下し、塗工後にムラや硬化不良を生じやすくなる。
ここで、オキシアルキレン基を有するポリシロキサンからなる最外層が、(A)、(B)、(D)のみの工程から得られた最外層でも良い。しかし、上記で示した効果に更に(C)の工程を追加することで、最外層の最表面の物性として表面エネルギーを適正化することにより、より好ましい最外層を形成することができる。
また、帯電部材の最外層が、下記工程(E)、工程(F)及び工程(G)を経て得られる組成物で形成されている帯電部材も好ましい。以下、これらの工程を経て製造された帯電部材を「本発明の第2の帯電部材」ともいう。
工程(E)カチオン重合可能な基を有する加水分解性シラン化合物及びフッ化アルキル基を有する加水分解性シラン化合物を加水分解で縮合させる縮合工程、
工程(F)工程(E)で得られた加水分解縮合物に、オキセタン環を有する化合物を添加する工程、
工程(G)カチオン重合可能な基を開裂させて、工程(E)で得られた加水分解縮合物とオキセタン環を有する化合物とを架橋させる架橋工程。
オキシアルキレン基を有するポリシロキサン中、ポリシロキサン全質量に対して、フッ化アルキル基の含有量は5.0質量%乃至50.0質量%が、オキシアルキレン基の含有量は5.0質量%乃至70.0質量%であることが好ましい。また、ポリシロキサン中のシロキサン部分の含有量は、ポリシロキサン全質量に対して、20.0質量%乃至90.0質量%であることが好ましい。
該ポリシロキサンが、さらにアルキル基及びフェニル基を有する場合、ポリシロキサン中のフッ化アルキル基、オキシアルキレン基、アルキル基、フェニル基及びシロキサン部分の含有量は、ポリシロキサン全質量に対してそれぞれ下記の通りであることが好ましい。すなわち、フッ化アルキル基は5.0質量%乃至50.0質量%、オキシアルキレン基は5.0質量%乃至30.0質量%、アルキル基は5.0質量%乃至30.0質量%、フェニル基は5.0質量%乃至30.0質量%、シロキサン部分は20.0質量%乃至80.0質量%であることが好ましい。
該ポリシロキサンは、まず、Mcとフッ化アルキル基を有する加水分解性シラン化合物(以下、「Mf」と略すことがある)とを加水分解によって縮合させて加水分解縮合物を得る。これにオキセタン環を有する化合物を添加し、その後、カチオン重合可能な基を開裂させることにより、該加水分解縮合物を架橋させることによって得ることができる。
カチオン重合可能な基を有する加水分解性シラン化合物及びフェニル基、アルキル基を有する加水分解性シラン化合物としては、第1の帯電部材で使用したものと同じものが支障なく使用できる。
また、Mfとしては、下記式(10)で示される構造を有する加水分解性シラン化合物が好ましい。
Figure 2008299115
〔式(10)において、
31は、飽和又は不飽和の1価の炭化水素基であり、
32は、飽和又は不飽和の1価の炭化水素基であり、
31は、2価の有機基をであり、
Rf31は、炭素数1乃至31の直鎖のパーフルオロアルキル基である。
fは0乃至2の整数であり、gは1乃至3の整数であり、かつf+g=3である。〕
上記R31、R32の飽和又は不飽和の1価の炭化水素基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基及びアリール基が挙げられる。これらの中でも、炭素数1乃至3の直鎖又は分岐状のアルキル基が好ましく、さらにはメチル基、エチル基がより好ましい。
上記Z31の2価の有機基としては、アルキレン基及びアリーレン基が挙げられる。これらの中でも、炭素数1乃至6のアルキレン基が好ましく、さらにはエチレン基がより好ましい。
上記Rf31の炭素数1乃至31の直鎖状のパーフルオロアルキル基としては、処理性の観点から、特に炭素数6乃至31の直鎖状のパーフルオロアルキル基が好ましい。
gは3であることが好ましい。
fが2の場合、2個のR31は互いに異なっていてもよい。また、gが2又は3の場合、2個又は3個のR32は互いに異なっていてもよい。
以下に、上記式(10)で示される構造を有する加水分解性シラン化合物の具体例を示す。なお、下記式中のRはメチル基又はエチル基である。
(10−1):CF3(CH22Si(OR)3
(10−2):F(CF22(CH22Si(OR)3
(10−3):F(CF24(CH22Si(OR)3
(10−4):F(CF26(CH22Si(OR)3
(10−5):F(CF28(CH22Si(OR)3
(10−6):F(CF210(CH22Si(OR)3
上記(10−1)乃至(10−6)の中でも、(10−4)乃至(10−6)が好ましい。
Mc及びMfは、それぞれ、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
特に、Mfとして、上記式(10)で示される構造を有する加水分解性シラン化合物を用いる場合、Rf31の炭素数が異なるものを2種以上併用すると、得られるポリシロキサンは、炭素数の異なるパーフルオロアルキル基を有することになる。パーフルオロアルキル基は、帯電部材の表面に向かって配向する傾向にあるため、帯電部材の表面に向かって長さの異なるパーフルオロアルキル基が配向することになる。この場合、単一な長さのパーフルオロアルキル基が配向する場合に比べて、表面のフッ素原子濃度が密になり、帯電部材の表面自由エネルギーが低くなる。そのため、長期間繰り返し使用した際の帯電部材の表面へのトナーや外添剤の固着をより抑制することが可能となる。
上記式(3)で示される構造を有する加水分解性シラン化合物を2種以上用いる場合は、上記(10−4)乃至(10−6)の中から選択することが好ましい。
式(6)で表される構造を有する加水分解性シラン化合物及び式(10)で表される構造を有する加水分解性シラン化合物を併用する場合、式(6)中のaは1乃至3の整数であることが、また、bは1乃至3の整数であることが好ましい。さらに、a個のR11のうちの1個は炭素数1乃至21の直鎖のアルキル基であることが好ましい。そして、該炭素数1乃至21の直鎖のアルキル基の炭素数n1と、式(10)中のRf31の炭素数n2(n2は1乃至31の整数)が、「n2−1≦n1≦n2+1」の関係を満足していることが好ましい。
炭素数1乃至21の直鎖のアルキル基は、パーフルオロアルキル基と同様、帯電部材の表面に向かって配向する傾向にあるが、n1>n2+1となると、上記式(10)で示される構造を有する加水分解性シラン化合物のパーフルオロアルキル基による効果が乏しくなる場合がある。一方、n1<n2−1となると、理由の詳細は不明であるが、帯電時の放電に影響を及ぼし、ハーフトーン画像を出力した際に、その前の文字や黒い図形がわずかに残像してしまう現象(ゴースト現象)が発生しやすくなる。
本発明の第2の帯電部材の具体的な製造方法として、第1の帯電部材の製造方法と同一の製法を用いることができる。
第2の帯電部材を製造する場合、加水分解縮合物を得る際のMc及びMfの配合割合及びMc、Mf及びM1の配合割合は以下のようにすることが好ましい。すなわち、得られるポリシロキサン全質量に対して、フッ化アルキル基の含有量が5.0質量%乃至50.0質量%に、オキシアルキレン基の含有量が5.0質量%乃至70.0質量%に、シロキサン部分の含有量が20.0質量%乃至90.0質量%になるようにする。
具体的には、Mfを、全加水分解性シラン化合物に対して0.5mol%乃至20.0mol%の範囲になるように配合することが好ましく、特には1.0mol%乃至10.0mol%の範囲になるように配合することがより好ましい。
また、M1を併用する場合には、さらに、McとM1をモル比で10:1乃至1:10の範囲になるように配合することが好ましい。
前記第2の帯電部材の最外層が、オキシアルキレン基を有するポリシロキサンから形成され、工程(E)の加水分解縮合物/該オキセタン環を有する化合物が質量比で90/10乃至50/50であることが好ましく、さらに90/10乃至60/40であることが好ましい。なお、この比が90/10より大きいと水酸基量の低下抑制効果が小さく、また50/50未満では、お互いの相溶性が悪化し、塗工後にムラや硬化不良を生じやすくなる。
本発明で使用するオキセタン環を有する化合物は、オキセタン環1個乃至4個を有するものである。オキセタン環を5個以上有する化合物を使用すると、組成物の流動性が失われ場合がある。本発明で使用するオキセタン環を有する化合物は、オキセタン環を1個乃至4個有する化合物であれば、種々のものが使用できる。
1個のオキセタン環を有する化合物としては、下記一般式(1)で示される化合物が挙げられる。
Figure 2008299115
〔式(1)において、
1は、水素原子、炭素数1乃至6のアルキル基、炭素数1乃至6のフルオロアルキル基、アリル基、アリール基、フリル基又はチエニル基であり、
2は、炭素数1乃至6のアルキル基、炭素数2乃至6のアルケニル基、置換基を有することのあるアリール基、芳香族置換アルキル基、炭素数2乃至6のアルキルカルボニル基、炭素数2乃至6のアルコキシカルボニル基又は炭素数2乃至6のN−アルキルカルバモイル基である。〕
なお、R1及びR2の炭素数1乃至6のアルキル基としては、具体的に、メチル基、エチル基、プロピル基及びブチル基が挙げられる。R2の炭素数2乃至6のアルケニル基としては、具体的に、1−プロペニル基、2−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基及び3−ブテニル基が挙げられる。R2の置換基を有することのあるアリール基や芳香族置換アルキル基として、フェニル基、ベンジル基、フルオロベンジル基、メトキシベンジル基、フェノキシエチル基のような芳香環を有する基を示すことができる。R2の炭素数2乃至6のアルキルカルボニル基としては、具体的に、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基及びブチルカルボニル基を挙げることができる。R2の炭素数2乃至6のアルコキシカルボニル基として、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基及びブトキシカルボニル基を挙げることができる。また、R2の炭素数2乃至6のN−アルキルカルバモイル基として、具体的に、エチルカルバモイル基、プロピルカルバモイル基、ブチルカルバモイル基及びペンチルカルバモイル基を挙げることができる
次に、2個のオキセタン環を有する化合物としては、下記一般式(2)で示される化合物が挙げられる。
Figure 2008299115
〔式(2)において、
1は、前記式(1)におけると同様であり、
3は、線状又は分枝状のアルキレン基、線状又は分枝状のポリ(アルキレンオキシ)基、線状又は分枝状の2価の不飽和炭化水素基、カルボニル基、カルボニル基を含むアルキレン基、カルボキシル基を含むアルキレン基、カルバモイル基を含むアルキレン基、芳香族環を含むアルキレン基、又はポリシロキサン結合を含むアルキレン基である。〕
式(2)において、R1は、式(1)におけるものと同様である。R3の線状又は分枝状のアルキレン基としては、具体的に、エチレン基、プロピレン基及びブチレン基を挙げることができる。
3の線状又は分枝状のポリ(アルキレンオキシ)基として、具体的に、ポリ(エチレンオキシ)基及びポリ(プロピレンオキシ)基を挙げることができる。R3の線状又は分枝状の2価の不飽和炭化水素基として、具体的に、プロペニレン基、メチルプロペニレン基及びブテニレン基を挙げることができる。R3の芳香族環を含むアルキレン基として、具体的に下記式(11)及び式(12)で示される基を示すことができる。
Figure 2008299115
〔式(11)において、R5は、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基のような炭素数1乃至4のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基のような炭素数1乃至4個のアルコキシ基、塩素原子、臭素原子のようなハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メルカプト基、低級アルキルカルボキシル基、カルボキシル基、又はカルバモイル基である。なお、*は結合位置を示す。〕
Figure 2008299115
〔式(12)において、R6は、酸素原子、硫黄原子、メチレン基、NH、SO、SO2、C(CF32又はC(CH32である。なお、*は結合位置を示す。〕
また、R3のポリシロキサン結合を含むアルキレン基としては、具体的には下記式(13)で示される基を示すことができる。
Figure 2008299115
〔式(13)において、R7は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基のような炭素数1乃至4のアルキル基、又はアリール基である。hは、0乃至2000の整数である。R8はメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基のような炭素数1乃至4のアルキル基、アリール基又は下記式(14)で示される基である。なお、*は結合位置を示す。〕
Figure 2008299115
〔式(14)において、R9は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基のような炭素数1乃至4のアルキル基、又はアリール基である。iは0乃至100の整数である。なお、*は結合位置を示す。〕
2個のオキセタン環を有する化合物において、上記した化合物以外の好ましい例としては、下記一般式(3)で示される化合物も使用できる。
Figure 2008299115
〔式(3)において、R1は、式(1)におけると同様である。]
さらに、3個乃至4個のオキセタン環を有する化合物としては、下記一般式(4)で示される化合物が挙げられる。
Figure 2008299115
〔式(4)において、R1は、前記式(1)におけると同様であり、R4は、炭素数1乃至12の分枝状のn価の炭化水素基、分枝状のn価のポリ(アルキレンオキシ)基又は分枝状のn価のポリシロキシ基であり、nは、3又は4である。〕
式(4)において、R1は、前記一般式(1)におけるものと同様の基である。R4の、炭素数1乃至12の分枝状のn価の炭化水素基として、具体的に下記式(15)乃至式(17)で示される基を挙げることができる。
Figure 2008299115
〔式(15)において、R10はメチル基、エチル基、プロピル基のような低級アルキル基である。なお、式(15)乃至式(17)において、*は結合位置を示す。〕
4の分枝状ポリ(アルキレンオキシ)基として、具体的に、下記式(18)で示される基を挙げることができる。
Figure 2008299115
〔式(18)において、jは1乃至10の整数である。なお、*は結合位置を示す。〕
4の分枝状ポリシロキシ基として、具体的に下記式(19)で示される基を挙げられることができる。
Figure 2008299115
〔式(19)において、*は結合位置を示す。〕
次に、得られた加水分解縮合物とオキセタン環を有する化合物を一定割合で混合した表面層用塗布液を調製し、支持体及び該支持体上に形成された導電性弾性層を有する部材(以下、「導電性弾性部材」ともいう。)上に、塗布する。
表面層用塗布液を調製する際には、塗布性向上のために、加水分解縮合物以外に、適当な溶剤を用いてもよい。適当な溶剤としては、エタノール、2−ブタノールのようなアルコール、酢酸エチル、メチルエチルケトンおよびこれらを混合したものが挙げられる。また、表面層用塗布液を導電性弾性部材上に塗布する際には、ロールコーターを用いた塗布、浸漬塗布、リング塗布のような公知の塗布方法を採用することができる。
その後、導電性弾性部材上に塗布された表面層用塗布液に活性エネルギー線を照射する。すると、表面層用塗布液に含まれる加水分解縮合物中のカチオン重合可能な基が開裂し、これによって該加水分解縮合物自身が架橋すると共にオキセタン環との架橋及びオキセタン環の重合をさせることができる。この架橋反応及び重合反応により表面層用塗布液は硬化して表面層を形成する。
なお、活性エネルギー線としては、紫外線が好ましい。上記活性エネルギー線照射時に発生した熱により、導電性弾性層が膨張し、その後冷却によって収縮した際、表面層がこの膨張・収縮に十分に追従しないと、シワやクラックが多い表面層になってしまう場合がある。しかし、活性エネルギー線として紫外線を用いた場合、短時間(15分以内)に加架橋反応が進行することができる上、熱の発生も少ないため、表面層のシワやクラックが発生しにくい。
また、帯電部材の置かれる環境が温湿度の変化が急激な環境である場合、その温湿度の変化による導電性弾性層の膨張・収縮に表面層が十分に追従しないと、表面層にシワやクラックが発生することがある。しかし、架橋反応を熱の発生が少ない紫外線によって行えば、導電性弾性層と表面層との密着性が高まり、導電性弾性層の膨張・収縮に表面層が十分に追従できるようになるため、環境の温湿度の変化による表面層のシワやクラックも抑制することができる。
また、架橋反応を紫外線によって行えば、熱履歴による導電性弾性層の劣化を抑制することができるため、導電性弾性層の電気的特性の低下を抑制することもできる。
紫外線の照射には、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、低圧水銀ランプ、エキシマUVランプなどを用いることができ、これらのうち、紫外線の波長が150nm乃至480nmの光を豊富に含む紫外線源が用いられる。
なお、紫外線の積算光量は、以下のように定義される。
紫外線積算光量[mJ/cm2]=紫外線強度[mW/cm2]×照射時間[s]
紫外線の積算光量の調節は、照射時間、ランプ出力、ランプと被照射体との距離で行うことが可能である。また、照射時間内で積算光量に勾配をつけてもよい。
紫外線の積算光量は、低圧水銀ランプを用いる場合、紫外線積算光量計UIT−150−AやUVD−S254(商品名)にて、エキシマUVランプを用いる場合、紫外線積算光量計UIT−150−AやVUV−S172(商品名)にて測定できる。なお、これら紫外線積算光量計はいずれもウシオ電機株式会社製である。
また、架橋反応の際、架橋効率向上の観点から、カチオン重合触媒(重合開始剤)を共存させておくことが好ましい。例えば、活性エネルギー線によって賦活化されるルイス酸のオニウム塩に対してエポキシ基は高い反応性を示すことから、上記のカチオン重合可能な基がエポキシ基である場合、カチオン重合触媒としては、ルイス酸のオニウム塩を用いることが好ましい。
その他のカチオン重合触媒としては、例えば、ボレート塩、イミド構造を有する化合物、トリアジン構造を有する化合物、アゾ化合物、過酸化物が挙げられる。
各種カチオン重合触媒の中でも、感度、安定性及び反応性の観点から、芳香族スルホニウム塩や芳香族ヨードニウム塩が好ましい。特に、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム塩、下記式(20)で示される化合物(商品名:アデカオプトマーSP150、株式会社アデカ製)、下記式(21)で示される化合物(商品名:イルガキュア261、チバスペシャルティーケミカルズ社製)が好ましい。
Figure 2008299115
図2に、本発明の帯電部材を有するプロセスカートリッジを備えた電子写真装置の概略構成の一例を示す。
図2において、1は円筒状の電子写真感光体であり、軸2を中心に矢印方向に所定の周速度で回転駆動される。電子写真感光体1としては、支持体及び支持体上に形成された無機感光層もしくは有機感光層を有するものが一般的である。また、電子写真感光体は表面層として電荷注入層を有するものであってもよい。
回転駆動される電子写真感光体1の表面は、本発明の帯電部材3(図2においてはローラ形状の帯電部材)により、正又は負の所定電位に均一に帯電され、次いで、スリット露光やレーザービーム走査露光の露光手段(不図示)から出力される露光光(画像露光光)4を受ける。こうして電子写真感光体1の表面に、目的の画像に対応した静電潜像が順次形成されていく。
帯電部材3による電子写真感光体1の表面の帯電の際、帯電部材3には、電圧印加手段(不図示)から直流電圧のみの電圧あるいは直流電圧に交流電圧を重畳した電圧が印加される。後述の実施例においては、帯電部材には直流電圧のみの電圧(−1000V)を印加した。また、後述の実施例において、暗部電位は−500V、明部電位は−150Vとした。
電子写真感光体1の表面に形成された静電潜像は、現像手段5の現像剤に含まれるトナーにより現像(反転現像もしくは正規現像)されてトナー像となる。次いで、該トナー像が、転写手段(転写ローラなど)6からの転写バイアスにより、転写材供給手段(不図示)から電子写真感光体1と転写手段6との間(当接部)に電子写真感光体1の回転と同期して給送された転写材(紙など)Pに順次転写されていく。
現像手段としては、例えば、ジャンピング現像手段、接触現像手段、磁気ブラシ手段などが挙げられるが、トナーの飛散性改善の観点から、接触現像手段が好ましく、後述の実施例においては、接触現像手段を採用した。
また、転写ローラとしては、支持体上に中抵抗に調整された弾性樹脂層を被覆してなるものが例示される。
トナー像の転写を受けた転写材Pは、電子写真感光体1の表面から分離されて定着手段8へ導入されて像定着を受けることにより画像形成物(プリント、コピー)として装置外へプリントアウトされる。両面画像形成モードや多重画像形成モードの場合、この画像形成物は、不図示の再循環搬送機機構に導入されて転写部へ再導入される。
トナー像転写後の電子写真感光体1は、クリーニング手段(クリーニングブレードなど)7によって転写残りの現像剤(トナー)が除去され、さらに前露光手段(不図示)からの前露光光(不図示)により除電処理された後、繰り返し画像形成に使用される。なお、帯電手段が接触帯電手段である場合は、前露光は必ずしも必要ではない。
上述の電子写真感光体1、帯電部材3、現像手段5、転写手段6及びクリーニング手段7などの構成要素のうち、複数のものを容器に納めてプロセスカートリッジとして一体に結合して構成することができる。このプロセスカートリッジは複写機やレーザービームプリンターなどの電子写真装置本体に対して着脱自在に構成されている。図2では、電子写真感光体1、帯電部材3、現像手段5及びクリーニング手段7を一体化してカートリッジ9とし、電子写真装置本体のレールなどの案内手段10を用いて電子写真装置本体に着脱自在にされている。また、本発明の電子写真装置は、帯電部材へ印加される電圧が直流電圧のみである電圧印加手段を有するものであることが好ましい。
以下に、具体的な実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例中の「部」は「質量部」を意味する。
弾性層用原料の主なものを示す。
・ゴム成分
NBR:アクリロニトリルゴム「ニポールDN219」(商品名、結合アクリルニトリル量 33.5%、日本ゼオン株式会社製)
・カーボンブラック
EC:導電性カーボン「ケッチェンブラックEC600JD」(商品名、ライオン株式会社製)
HS:導電性カーボン「旭カーボンブラック 旭HS−500」(商品名、旭カーボン株式会社製)
MT:MTカーボン「サーマックスN990」(商品名、Thermax社製)
・その他成分
BF:エポキシ化1,2−ポリブタジエン「BF−1000」(商品名、株式会社アデカ製)
加硫促進剤:テトラベンジルチウラムジスルフィド「サンセラーTBZTD」(商品名、三新化学工業株式会社製)
加硫剤:イオウ
最外層用原料の主なものを示す。
・加水分解性シラン化合物
GPTES:グリシドキシプロピルトリエトキシシラン「KBE−403」(商品名、信越化学工業株式会社製)
PhTES:フェニルトリエトキシシラン「KBE−103」(商品名、信越化学工業株式会社製)
HeTMS:ヘキシルトリメトキシシラン「KBM−3063」(商品名、信越化学工業株式会社製)
SIT:トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチルトリエトキシシラン「SIT8175.0」(商品名、Gelest,Inc製)
・アクリル系ポリマーとシリコン系ポリマーからなるブロック共重合体
FS:アクリル系ポリマーとシリコン系ポリマーから形成されたA−Bタイプのブロック共重合体「モディパーFS−710」(商品名、固形分 15質量%、日本油脂株式会社製)
・オキセタン環を有する化合物
OXT−221:ビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル「アロンオキセタンOXT−221」(商品名、東亞合成株式会社製)
OXT−121:1,4−ビス{[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]メチル}ベンゼン「アロンオキセタンOXT−121」(商品名、東亞合成株式会社製)
OXT−211:3−エチル−3−フェノキシメチルオキセタン「アロンオキセタンOXT−211」(商品名、東亞合成株式会社製)
OX−SC:オキセタニルシリケート「アロンオキセタンOX−SC」(商品名、東亞合成株式会社製)
・光カチオン重合開始剤
SP−150:光カチオン重合開始剤「アデカオプトマーSP−150」(商品名、株式会社アデカ製)
製造例1:導電性弾性ローラの製造
NBR 100部に対し、充填剤としてEC 4部、HS 18部及びMT 40部を加え、さらに酸化亜鉛5部、ステアリン酸1部及びBF 10部を加えて、6Lニーダーで20分間混練した。この20分間混練したものに、加硫促進剤4.5部及び加硫剤1.2部を加え、オープンロールでさらに8分間混練して、混練物を得た。
支持体として、直径6mm、長さ252mmの鋼製の円柱に、表面をニッケルメッキ加工したものを用意した。この支持体の両端10.5mmずつを残し、金属及びゴム用熱硬化性接着剤「メタロックU−20」(商品名、株式会社東洋化学研究所製)を塗布し、30分間温度80℃で乾燥させた後、さらに1時間温度120℃で乾燥した。
混練物をクロスヘッド押出機に供給し、熱硬化性接着剤を塗布乾燥した支持体と同時に押し出し、支持体上に外径8.75mmの円筒形の混練物層を形成した。その後、混練物層の長さ232mmとなるように端部を切断し、連続加熱炉で温度160℃1時間加硫して、導電性弾性層用加硫品を得た。
次に、表面研磨前の導電性弾性層用加硫品の導電性弾性層部分(ゴム部分)の両端を切断し、導電性弾性層部分の軸方向幅を正確に232mmとした。その後、導電性弾性層部分の表面を回転砥石で研磨して、端部直径8.26mm、中央部直径8.50mmのクラウン形状で、表面の十点平均粗さ(Rzjis)が4.0μmで、振れが20μmの導電性弾性ローラを得た。
なお、十点平均粗さ(Rzjis)はJIS B6101−2001に準拠して測定した。
また、振れの測定は、高精度レーザー測定機LSM−430v(商品名、ミツトヨ株式会社製)を用いて行った。詳しくは、該測定機を用いて外径を測定し、最大外径値と最小外径値の差を外径差振れとし、この測定を5点で行い、5点の外径差振れの平均値を被測定物の振れとした。
得られた導電性弾性ローラの硬度は73度(アスカーC)であった。
実施例1
・最外層用塗布液−1の調製
GPTES 17.82g(0.064mol)、PhTES 46.16g(0.192mol)及びHeTMS 13.18g(0.064mol)を、水25.93g及びエタノール54.51gと300mlのナスフラスコ中で加えた。これらを室温で30分攪拌し、次いで120℃に設定したオイルバス上で、24時間加熱還流して、加水分解縮合物I(固形分28質量%)を得た。
この縮合物Iを12.5g取り、2−ブタノール2.5g/エタノール32.5gの混合溶剤に分散させた。この分散液にさらにアクリル系ポリマーとシリコン系ポリマーから形成されたA−Bタイプのブロック共重合体であるFS 2.5gを添加して、固形分7質量%である縮合物I+アクリル−シリコーンブロック共重合体含有アルコール溶液を得た。
この縮合物I+アクリル−シリコーンブロック共重合体含有アルコール溶液50gに、オキセタン環を有する化合物であるOXT−221を0.5g添加し、更に光カチオン重合開始剤SP−150をメチルイソブチルケトン(MIBK)で10質量%に希釈したものを1g添加し、最外層用塗布液−1を得た。
最外層用塗布液−1の固形分質量比は、(縮合物I+アクリル−シリコーンブロック共重合体)/オキセタン環を有する化合物=87.5/12.5であった。
・帯電部材Iの製造
次に、最外層用塗布液−1をエタノールで固形分0.5質量%となるように調整した後、製造例1で作製した導電性弾性ローラの導電性弾性層上にリング塗布した。この塗布面に、254nmの波長の紫外線を積算光量が9000mJ/cm2になるように照射して、最外層用塗布液−1を硬化(架橋反応による硬化)及び乾燥させて最外層を形成した。なお、紫外線の照射は、ハリソン東芝ライティング株式会社製の低圧水銀ランプによった。
紫外線の照射によって、加水分解縮合物I中のグリシドキシ基とオキセタン環を有する化合物のオキセタン環が開裂し、架橋反応が生じていると考えられる。
製造した帯電部材Iの最外層の体積抵抗率、表面自由エネルギー(γTOTAL)及び表面の水酸基量をそれぞれ下記により測定した結果、それぞれ、3.2×1013Ω・cm、22.5mJ/m2、82.1%であった。
(最外層の体積抵抗率)
帯電部材の最外層を形成する際に用いた最外層用塗布液を、アルミニウムシート(厚さ100μm)上にスピンコータを用いて塗布し、これを帯電部材の最外層を形成する際と同様の条件で硬化・乾燥させて、アルミニウムシート上に層を形成した。なお、アルミニウムシート上に最外層用塗布液を塗布する際の塗布量は、アルミニウムシート上に形成される層(硬化・乾燥後の層)の厚みが10μmになるように調整した。このようにして上に層を形成したアルミニウムシートを4cm×4cmの正方形に切断し、サンプル片の層側の表面に金蒸着を施した。この金蒸着を施したサンプル片を、図3に示す抵抗測定システムに組み込み、印加直流電圧10Vの条件で抵抗を測定した。測定して得られた抵抗をサンプル面積、厚みから体積抵抗率に換算し、測定対象の帯電部材の最外層の体積抵抗率とする。なお、図3中、201はサンプル片、202は抵抗測定装置「4140B PA METER/DC VOLTAGE SOURCE」(商品名、HEWLETT PACKARD社製)、203は接触電極端子、及び204は平板電極である。
(帯電部材の全表面自由エネルギー(γTotal)の測定)
帯電部材の表面自由エネルギーの測定には、表1に示す表面自由エネルギー3成分が既知のプローブ液体(講習会テキスト 『接触角による物質表面の濡れの測定と評価』)を使用して測定し、後記の北崎・畑の理論式により求めた。なお、下記において、L、Sはそれぞれ液体、固体の当該項目を示す。
γd : 分散力項
γp : 極性項
γh : 水素結合項
Figure 2008299115
具体的には、接触角計「CA−X ROLL型」(商品名、協和界面株式会社製)を使用し、帯電部材の表面/導電性弾性層の表面における上記各プローブ液体の接触角θを測定し、以下の北崎・畑の理論の式を用い、表1のプローブ液体3種の表面自由エネルギーγLd、γLp、γLhと、それぞれ求めた接触角θとから3つの式を作り、その3元連立方程式を解いて、γSd、γSp、γShを算出し、γSd、γSp及びγShの和をもって帯電部材の表面自由エネルギー(γTotal)とした。なお、本発明の帯電部材の全表面自由エネルギー(γTotal)は、15mJ/m2を超えて30mJ/m2以下であることが望ましい。
Figure 2008299115
接触角θの詳細な測定条件は以下のとおりである。
測定:液滴法(真円フィッティング)
液量:1μl
着滴認識:自動
画像処理:アルゴリズム−無反射
イメージモード:フレーム
スレッシホールドレベル:自動
(水酸基量の測定)
帯電部材をそのまま赤外顕微鏡「AIM−8000R」(商品名、株式会社島津製作所製)の試料台にセットし、顕微ATR−IR法(ゲルマニウムプリズムを試料表面に当接し、全反射により測定)で測定を行った。その後、データ処理には、2点ベースライン補正(3992cm-1、2000cm-1)を行い、水酸基由来のピーク(3352cm−1)とC−H伸縮振動由来ピーク(2935cm−1)の強度を求めた。次いで、その強度比[=水酸基ピーク強度/C−H伸縮ピーク強度×100]を算出し、水酸基量とした。
なお、帯電部材Iの場合、水酸基ピーク強度は0.023であり、C−H伸縮ピーク強度0.028であったので、水酸基量は82.1%となる。
得られた帯電部材を用いて、下記のように画像出力して評価した。
電子写真感光体として、支持体上に層厚13μmの有機感光層を形成してなる有機電子写真感光体を使用した。この有機感光層は、支持体側から電荷発生層と変性ポリカーボネート(結着樹脂)を含有する電荷輸送層とを積層してなる積層型感光層で、この電荷輸送層が電子写真感光体の表面層となっている。
帯電部材と電子写真感光体を、プロセスカートリッジに組み込み、このプロセスカートリッジをA4紙縦出力用のレーザービームプリンター「HP Color LaserJet 3600」(商品名、ヒューレットパッカード社製)に装着した。このレーザービームプリンターの現像方式は反転現像方式で、転写材の出力スピードは47mm/sと94mm/sであり、画像解像度は600dpiである。
また、使用したトナーは、以下のようにして得られた重合トナーであり、そのガラス転移温度は62℃で、体積平均粒子径は6.2μmであった。ワックス、荷電制御剤、着色剤、スチレン、ブチルアクリレート及びエステル樹脂を含む重合性単量体組成物を水系媒体中で懸濁重合して得られたトナー粒子に、シリカ微粒子及び酸化チタン微粒子を外添して、本評価用トナーを作製した。
画像出力は、30℃/80%RH環境下で行い、2枚間欠モードを行った。また、出力画像は、印字率3%、縦横等間隔の格子パターンである。これを47mm/sのプロセススピードで3000枚出力した。
出力画像の評価は、1枚目(初期)と1000枚目ごとに得られた出力画像を目視により観察し、下記基準で行った。
◎:帯電ムラが出力画像上確認できない。
〇:帯電ムラが出力画像上僅かで、ほとんど確認できない。
△:帯電ムラが出力画像上確認できるが、事実上問題が無いレベルである。
×:帯電ムラが出力画像上確認でき、帯電ムラの程度が大きい。
なお、具体的には、帯電ムラとはランダムな黒い横スジ状を示す。
以上の評価結果を表2に示す。
実施例2
実施例1と同様にして固形分7質量%の縮合物I+アクリル−シリコーンブロック共重合体含有アルコール溶液を得た。その30gにオキセタン環を有する化合物OXT−221 1.9gと2−ブタノール/エタノール=2/13の混合溶剤18.6gを添加し、さらに光カチオン重合開始剤SP−150をMIBKで10質量%に希釈したものを1g添加し、最外層用塗布液−2を得た。
最外層用塗布液−2の固形分質量比は、(縮合物I+アクリル−シリコーンブロック共重合体)/オキセタン環を有する化合物=52.5/47.5である。
その後、実施例1と同様にして、帯電部材IIを得た。
帯電部材IIの最外層の体積抵抗率は2.1×1013Ω・cmであり、表面自由エネルギー(γTotal)は20.5mJ/m2で、水酸基量は90.9%であった。
以上の評価結果と共に画像出力の評価結果を表2に示す。
実施例3
オキセタン環を有する化合物としてOXT−121を使用する他は実施例1と同様にして最外層用塗布液−3を得た。なお、最外層用塗布液−3の固形分質量比は、(縮合物I+アクリル−シリコーンブロック共重合体)/オキセタン環を有する化合物=87.5/12.5である。その後、実施例1と同様にして、帯電部材IIIを得た。
帯電部材IIIの最外層の体積抵抗率は、2.1×1013Ω・cmであり、表面自由エネルギー(γTotal)は20.5mJ/m2で、水酸基量は51.7%であった。
以上の評価結果と共に画像出力の評価結果を表2に示す。
実施例4
オキセタン環を有する化合物としてOXT−121を使用する他は実施例2と同様にして最外層用塗布液−4を得た。なお、最外層用塗布液−4の固形分質量比は、(縮合物I+アクリル−シリコーンブロック共重合体)/オキセタン環を有する化合物=52.5/47.5である。その後、実施例2と同様にして、帯電部材IVを得た。
帯電部材IVの最外層の体積抵抗率は5.3×1012Ω・cmであり、表面自由エネルギー(γTotal)は22.8mJ/m2で、水酸基量は95.5%であった。
以上の評価結果と共に画像出力の評価結果を表2に示す。
実施例5
・最外層用塗布液−5の調製
加水分解性シラン化合物として、GPTES 11.76g(0.042mol)、PhTES 40.62g(0.169mol)、HeTMS 13.21g(0.064mol)及びSIT XXXgを用いた。これらを、水25.93g及びエタノール82.70gと300mlのナスフラスコ中に加えた後、室温で30分攪拌し、次いで120℃に設定したオイルバス上で、24時間加熱還流して、加水分解縮合物II(固形分28質量%)を得た。
この縮合物IIを12.5gとり、2−ブタノール 5.0g/エタノール 32.5gの混合溶剤に分散させて、固形分7質量%の縮合物II含有アルコール溶液50gを調製した。この縮合物II含有アルコール溶液にオキセタン環を有する化合物OXT−21を0.5g添加し、更に光カチオン重合開始剤SP−150をMIBKで10質量%に希釈したものを1g添加し、最外層用塗布液−5を得た。
最外層用塗布液−5の固形分質量比は、縮合物II/オキセタン環を有する化合物=87.5/12.5である。
・帯電部材Vの製造
その後、実施例1と同様にして、帯電部材Vを得た。
帯電部材Vの最外層の体積抵抗率は4.9×1013Ω・cmであり、表面自由エネルギー(γTotal)は16.7mJ/m2で、水酸基量は69.2%であった。
以上の評価結果と共に画像出力の評価結果を表2に示す。
実施例6
実施例5と同様にして固形分7質量%の縮合物II含有アルコール溶液を調製した。その30gにオキセタン環を有する化合物OXT−211 1.9gと2−ブタノール/エタノール=2/13の混合溶剤18.6gを添加し、さらに光カチオン重合開始剤SP−をMIBKで10質量%に希釈したものを1g添加し、最外層用塗布液−6を得た。
最外層用塗布液−6の固形分質量比は、縮合物II/オキセタン環を有する化合物=52.5/47.5である。
その後、実施例5と同様にして、帯電部材VIを得た。
帯電部材VIの最外層の体積抵抗率は8.8×1012Ω・cmであり、表面自由エネルギー(γTotal)は18.5mJ/m2で、水酸基量は95.7%であった。
以上の評価結果と共に画像出力の評価結果を表2に示す。
実施例7
オキセタン環を有する化合物としてOX−SCを用いる他は、実施例5と同様にして最外層用塗布液−7を得た。なお、最外層用塗布液−7の固形分質量比は、縮合物II/オキセタン環を有する化合物=87.5/12.5である。その後、実施例5と同様にして、帯電部材VIIを得た。
帯電部材VIIの最外層の体積抵抗率は5.8×1013Ω・cmであり、表面自由エネルギー(γTotal)は17.3mJ/m2で、水酸基量は65.4%であった。
以上の評価結果と共に画像出力の評価結果を表2に示す。
実施例8
オキセタン環を有する化合物としてOX−SCを用いる他は、実施例6と同様にして最外層用塗布液−8を得た。なお、最外層用塗布液−8の固形分質量比は、縮合物II/オキセタン環を有する化合物=52.5/47.5である。その後、実施例6と同様にして、帯電部材VIIIを得た。
帯電部材VIIIの最外層の体積抵抗率は9.3×1012Ω・cmであり、表面自由エネルギー(γTotal)は18.8mJ/m2で、水酸基量は92.3%であった。
以上の評価結果と共に画像出力の評価結果を表2に示す。
実施例9
実施例1で合成した加水分解性縮合物Iに、実施例1で使用したオキセタン環を有する化合物としてOXT−221を混合して最外層用塗布液−9を得た。なお、最外層用塗布液−9の固形分質量比は、縮合物I/オキセタン環を有する化合物=52.5/47.5である。その後、実施例1と同様にして、帯電部材IXを得た。
帯電部材IXの最外層の体積抵抗率は3.7×1012Ω・cmであり、表面自由エネルギー(γTotal)は28.3mJ/m2で、水酸基量は92.5%であった。
以上の評価結果と共に画像出力の評価結果を表2に示す。
比較例1
実施例1と同様にして固形分7質量%の縮合物I+アクリル−シリコーンブロック共重合体含有アルコール溶液50gを得た。これに光カチオン重合開始剤SP−150をMIBKで10質量%に希釈したものを1g添加し、最外層用塗布液−10を得た。
最外層用塗布液−10には、オキセタン環を有する化合物は全く加えなかった。
その後、実施例1と同様にして、帯電部材Xを得た。
帯電部材Xの最外層の体積抵抗率は1.3×1013Ω・cmであり、表面自由エネルギー(γTotal)は25.2mJ/m2で、水酸基量は44.4%であった。
以上の評価結果と共に画像出力の評価結果を表2に示す。
比較例2
実施例1と同様にして固形分7質量%の縮合物I+アクリル−シリコーンブロック共重合体含有アルコール溶液を得た。その20gにオキセタン環を有する化合物OXT−221を2.6g加え、2−ブタノール/エタノール=2/13の混合溶剤27.9gを添加した。さらに光カチオン重合開始剤SP−150をMIBKで10質量%に希釈したものを1g添加して、最外層用塗布液−11を得た。なお、最外層用塗布液−11の固形分質量比は、(縮合物I+アクリル−シリコーンブロック共重合体)/オキセタン環を有する化合物=35.0/65.0である。
その後、実施例1と同様にして、帯電部材XIを得た。
帯電部材XIの最外層の体積抵抗率は2.2×1012Ω・cmであり、表面自由エネルギー(γTotal)は24.5mJ/m2で、水酸基量は107.7%であった。
以上の評価結果と共に画像出力の評価結果を表2に示す。
比較例3
製造例1で作製した導電性弾性ローラを用い、その表面に下記によりウレタン樹脂からなる被覆層を形成して、帯電部材XIIを作製した。
・ウレタン被覆組成物の調整
攪拌装置を備えたガラス製3つ口フラスコに、イソフォロンジイソシアネート(IPDI)80g、ポリオキシテトラメチレングリコール(PTMG、分子量2000)252g及びジメチロールプロピオン酸(DMPA)14.4gを入れた。これに、溶剤として酢酸エチル100g、触媒としてジブチルチンジラウレート0.02gを加えた後、オイルバスで80℃に加熱し、その温度で維持して6時間反応させた。その後60℃に温度を下げ、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン11.5gを追加し、さらに30分間反応させ、イソシアネート基が残存しているポリウレタンプレポリマーの溶液を得た。このプレポリマーを、トリエチルアミン9gを含む水500g中に分散させ、乳化確認後、水180gにピペラジン6水和物11.9g及びビス(アミノプロピル)アミン2.4gを溶解して加え、さらに30℃にて3時間鎖延長反応を行って高分子量化させた。得られた水分散液より酢酸エチルを減圧回収し、実質的に有機溶剤を含まないウレタン被覆剤組成物(最外層用塗布液−12)を得た。
・帯電部材XIIの製造
このウレタン被覆剤組成物の塗布液中に製造例1で作製した導電性弾性ローラ浸漬し、ウレタン被覆ローラ(帯電部材XII)を得た。
最外層用塗布液−12を用いて、実施例1におけると同様に帯電部材XIIの体積抵抗率を測定したところ、2.1×1010Ω・cmであった。また、帯電部材XIIの表面自由エネルギー(γTotal)は35.6mJ/m2であり、水酸基量は145.8%であった。
これらの評価結果と共に、画像出力の評価結果を表2に示す。
Figure 2008299115
以上のとおり、本発明によれば、長期間の繰り返し使用によってもトナーやトナーに用いられる外添剤などが表面に固着しにくく、特に高温高湿環境下で水分の影響を適度に受ける材料で構成することで、DC接触帯電方式に用いても、長期間安定した帯電及び画像出力が可能な帯電部材、ならびに、該帯電部材を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置が提供できる。
本発明の帯電部材の構成の一例を示す断面図である。 本発明の帯電部材を有するプロセスカートリッジを備えた電子写真装置の一例の概略構成図である。 帯電部材の最外層の体積抵抗率の測定に用いた装置の概略図である。
符号の説明
1 電子写真感光体
2 軸
3 帯電部材
4 露光光
5 現像手段
6 転写手段
7 クリーニング手段
8 定着手段
9 プロセスカートリッジ
10 案内手段
101 支持体
102 導電性弾性層
103 最外層
201 処理剤
202 抵抗測定装置
203 接触電極端子
204 平板電極
P 転写材

Claims (14)

  1. 最外層がオキシアルキレン基を有するポリシロキサンから形成されている帯電部材であって、該ポリシロキサン中の水酸基量(帯電部材表面にゲルマニウムプリズムを当接して顕微ATR−IR法にて全反射の赤外線吸収強度を測定した時、C−H伸縮振動由来のピーク(2932cm-1)の強度を100とし、それに対する水酸基由来のピーク(3352cm-1)の強度の大きさ)が50.0%以上100.0%以下であることを特徴とする帯電部材。
  2. オキシアルキレン基を有するポリシロキサンからなる最外層が、下記工程を経て形成されている請求項1に記載の帯電部材。
    (A)カチオン重合可能な基を有する加水分解性シラン化合物を加水分解して縮合させる工程、
    (B)工程(A)で得られた加水分解縮合物に、オキセタン環を有する化合物を添加する工程、及び
    (D)カチオン重合可能な基を開裂させて、工程(B)により得られた混合物中の加水分解縮合物とオキセタン環を有する化合物を架橋させる工程。
  3. 工程(B)において、カチオン重合可能な基を有する加水分解縮合物とオキセタン環を有する化合物が質量比で90/10乃至50/50の範囲にある請求項2に記載の帯電部材。
  4. オキシアルキレン基を有するポリシロキサンからなる最外層が、下記工程を経て形成されている請求項1に記載の帯電部材。
    (A)カチオン重合可能な基を有する加水分解性シラン化合物を加水分解して縮合させる工程、
    (B)工程(A)で得られた加水分解縮合物に、オキセタン環を有する化合物を添加する工程、
    (C)工程(B)で得られた加水分解縮合物とオキセタン環を有する化合物の混合物に、さらに、アクリル系ポリマーとシリコン系ポリマーとから形成されたブロック共重合体を添加する工程、及び
    (D)カチオン重合可能な基を開裂させることにより、工程(C)で得られた混合物に含まれる加水分解縮合物とオキセタン環を有する化合物を架橋させる工程。
  5. アクリル系ポリマーとシリコン系ポリマーとから形成されたブロック共重合体がA−Bタイプのジブロック共重合体である請求項4に記載の帯電部材。
  6. 工程(C)において、カチオン重合可能な基を有する加水分解縮合物とブロック共重合体の合計量とオキセタン環を有する化合物の量が質量比で95/5乃至50/50の範囲にある請求項4又は5に記載の帯電部材。
  7. オキシアルキレン基を有するポリシロキサンからなる最外層が、下記工程を経て形成されている請求項1に記載の帯電部材。
    (E)カチオン重合可能な基を有する加水分解性シラン化合物とフッ化アルキル基を有する加水分解性シラン化合物の混合物を加水分解で縮合させる工程、
    (F)工程(E)で得られた加水分解縮合物に、オキセタン環を有する化合物を添加する工程、及び
    (G)カチオン重合可能な基を開裂させることにより、工程(F)により得られた混合物中の加水分解縮合物とオキセタン環を有する化合物を架橋させる工程。
  8. 工程(F)において、カチオン重合可能な基を有する加水分解縮合物とオキセタン環を有する化合物が質量比で90/10乃至50/50の範囲にある請求項7に記載の帯電部材。
  9. オキセタン環を有する化合物が、式(1)、式(2)、式(3)又は式(4)で表される化合物である請求項2乃至8のいずれか1項に記載の帯電部材。
    Figure 2008299115
    〔式(1)において、
    1は、水素原子、炭素数1乃至6のアルキル基、炭素数1乃至6のフルオロアルキル基、アリル基、アリール基、フリル基又はチエニル基であり、
    2は、炭素数1乃至6のアルキル基、炭素数2乃至6のアルケニル基、置換基を有することのあるアリール基、芳香族置換アルキル基、炭素数2乃至6のアルキルカルボニル基、炭素数2乃至6のアルコキシカルボニル基又は炭素数2乃至6のN−アルキルカルバモイル基である。〕
    Figure 2008299115
    〔式(2)において、
    1は、前記式(1)におけると同様であり、
    3は、線状又は分枝状のアルキレン基、線状又は分枝状のポリ(アルキレンオキシ)基、線状又は分枝状の2価の不飽和炭化水素基、カルボニル基、カルボニル基を含むアルキレン基、カルボキシル基を含むアルキレン基、カルバモイル基を含むアルキレン基、芳香族環を含むアルキレン基、又はポリシロキサン結合を含むアルキレン基である。〕
    Figure 2008299115
    〔式(3)において、R1は、前記式(1)におけると同様である。〕
    Figure 2008299115
    〔式(4)において、
    1は、前記式(1)におけると同様であり、
    4は、炭素数1乃至12の分枝状のn価の炭化水素基、分枝状のn価のポリ(アルキレンオキシ)基又は分枝状のn価のポリシロキシ基であり、
    nは、3又は4である。〕
  10. 電子写真感光体と該電子写真感光体の表面を帯電するための帯電部材が一体に支持され、電子写真装置の本体に着脱自在であるプロセスカートリッジであって、該帯電部材が請求項1乃至9のいずれか1項に記載の帯電部材であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
  11. 帯電部材が電子写真感光体に接触配置されている請求項10に記載のプロセスカートリッジ。
  12. 電子写真感光体及び該電子写真感光体の表面を帯電するための帯電部材を有する電子写真装置であって、該帯電部材が請求項1乃至9のいずれか1項に記載の帯電部材であることを特徴とする電子写真装置。
  13. 帯電部材が電子写真感光体に接触配置されている請求項12に記載の電子写真装置。
  14. 帯電部材に印加される電圧が直流電圧のみである電圧印加手段を有する請求項12又は13に記載の電子写真装置。
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