JP2008298151A - Vリブドベルト - Google Patents
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Abstract
【課題】Vリブドベルト表面に潤滑成分を含んだ塗膜を形成することで摩擦係数を低減しミスアライメントやスティックスリップによる発音を抑制するVリブドベルトを提供する。
【解決手段】接着ゴム層5にベルト長手方向に沿って心線4が埋設され、接着ゴム層5の下部に複数のリブ部7を有するVリブドベルト1において、リブ部7表面にシリコン系潤滑塗料或いは二硫化モリブデン系潤滑塗料から選ばれた少なくとも一つの塗膜が形成されているVリブドベルト1である。
【選択図】図1
【解決手段】接着ゴム層5にベルト長手方向に沿って心線4が埋設され、接着ゴム層5の下部に複数のリブ部7を有するVリブドベルト1において、リブ部7表面にシリコン系潤滑塗料或いは二硫化モリブデン系潤滑塗料から選ばれた少なくとも一つの塗膜が形成されているVリブドベルト1である。
【選択図】図1
Description
本発明は、動力伝動などに用いられるVリブドベルトに関する。
摩擦伝動ベルトの重要な特性として、動力を伝達することに加え、使用中に異音が発生しないこと、耐久性、特に耐摩耗性に優れることが挙げられる。これらの特性を満たす為にナイロン及びメタ系又はパラ系アラミドなどの有機短繊維を配合し、それらでベルト側面を覆うことで耐発音性、耐摩耗性、耐粘着摩耗性の向上を図っている。
特に近年の自動車用エンジンでは、コンパクト化、燃費向上、排出ガス低減を行う為希薄燃焼となっており、このためにエンジンの回転変動、振動が従来エンジンと比べ大きくなっている。又補機ベルトのサーペンタイン化によって小プーリ化、屈曲角の小さなエンジンレイアウトになっており、補機ベルトへの負荷が一層大きくなりミスアライメントやスティックスリップによる異音発生の問題が顕在化している。
特に、ベルトに水が掛かった場合には、摩擦係数が大きく低下する為に乾燥時と水濡れ環境時の摩擦係数の差が大きくなり、又、不均一な水膜が形成される為によりスティックスリップによる発音が起こり易くなっていた。
このような問題に対し、従来は前述のように圧縮ゴム層に有機短繊維を配合してベルト側面に該繊維を突出させることでベルト側面を覆い摩擦係数を低下させ異音発生の対策とすることが一般的であった。
又、鉱物油やシリコン油を付着させ、リブ部表面の摩擦係数を低下させることが提案されていた。(例えば特許文献1)
さらに、水濡れ環境時の摩擦係数低下の対策として多孔質無機充填剤を圧縮ゴム層に添加して、多孔質無機充填剤をリブ表面に露出させることでベルトとプーリの間に進入した水を吸収し、乾燥時と同等の伝達性能を維持する方法が提案されていた。(特許文献2参照)
特開2001−336585号公報
特開2000−03904号公報
さらに、水濡れ環境時の摩擦係数低下の対策として多孔質無機充填剤を圧縮ゴム層に添加して、多孔質無機充填剤をリブ表面に露出させることでベルトとプーリの間に進入した水を吸収し、乾燥時と同等の伝達性能を維持する方法が提案されていた。(特許文献2参照)
しかし、ベルト側面を有機短繊維で覆う方法では、有機短繊維の配合量が増加すると、たとえ表面を接着処理したとしても物性低下や加工性に問題が発生する為配合量に限界があるとともにベルト走行によって表面に突出した有機短繊維の脱落、摩滅などにより、摩擦係数の低減効果が低下するという問題があった。
又、上記特許文献1のリブ表面にタルクなどのパウダーを塗布したり、シリコン油を付着させる方法は、ベルトの初期走行段階でのスリップ音を軽減することを狙ったもので、初期走行時の効果は期待できるものの、長時間走行した後のベルトでは滑剤が表面から飛散しやすくなるためベルト表面の摩擦係数を軽減する効果を長期間にわたって維持することはできなかった。
又、特許文献2の多孔質無機充填剤を配合する方法では水濡れ環境時でも伝達性能は維持されるものの、摩擦係数が高い為に乾燥時でもスティックスリップによる発音が起こり易い。又、補強効果の小さい多孔質無機充填剤を多量に配合すると耐摩耗性が低下するという問題がある。
本発明は、Vリブドベルト表面に潤滑成分を含んだ塗膜を形成することで摩擦係数を低減しミスアライメントやスティックスリップによる発音を抑制することを目的とする。
本発明は、接着ゴム層にベルト長手方向に沿って心線が埋設され、接着ゴム層の下部に複数のリブ部を有するVリブドベルトにおいて、リブ部表面にシリコン系潤滑塗料或いは二硫化モリブデン系潤滑塗料から選ばれた少なくとも一つの塗膜が形成されているVリブドベルトにある。
本発明によると、接着ゴム層にベルト長手方向に沿って心線が埋設され、接着ゴム層の下部に複数のリブ部を有するVリブドベルトにおいて、リブ部表面にシリコン系潤滑塗料或いは二硫化モリブデン系潤滑塗料から選ばれた少なくとも一つの塗膜が形成されているVリブドベルトであることから、耐久性を損なうことなく、ベルトが乾燥しているとき、水に濡れた状態である場合に拘わらず、発音を低減することができる。
図1に本発明に係る摩擦伝動ベルトの一実施例としてVリブドベルトの断面図を示す。Vリブドベルト1は、短繊維をランダムに配向させたゴム層からなる伸張部5と、撚糸コードよりなる心線3を埋設した接着部2、その下側に圧縮部6を配置した構成からなる。前記心線3は、その一部が伸張部5に接し、残部が接着部2に接した状態となっている。そして圧縮部6は、ベルト長手方向に延びる断面略三角形である台形の複数のリブを有しており、該リブが摩擦伝動部、そしてリブ表面が摩擦伝動面となっている。
本発明においては、リブ部表面には、シリコン系潤滑塗料或いは二硫化モリブデン系潤滑塗料から選ばれた少なくとも一つの塗膜が形成されている。
シリコン油や鉱物油などの油をリブ表面に塗布する場合と比べてシリコン系潤滑塗料或いは二硫化モリブデン系潤滑塗料から選ばれた少なくとも一つの塗膜が形成されていることで、滑剤が表面から飛散し難くなり、表面の摩擦係数を長期間に渡って低減できる。
シリコン油や鉱物油などの油をリブ表面に塗布する場合と比べてシリコン系潤滑塗料或いは二硫化モリブデン系潤滑塗料から選ばれた少なくとも一つの塗膜が形成されていることで、滑剤が表面から飛散し難くなり、表面の摩擦係数を長期間に渡って低減できる。
短繊維9bとしては、6ナイロン、66ナイロンなどのポリアミド短繊維、レーヨン短繊維、p−アラミド、m−アラミドなどのアラミド短繊維、綿短繊維、そしてポリエチレン短繊維等を挙げることができる。好ましくは、繊維径が5〜36μm、繊維長が0.2〜2.0mmの短繊維を用いることが望ましい。
動力伝動面を構成する圧縮部6はゴム組成物で構成され、原料ゴムは、天然ゴム、ブチルゴム、スチレン・ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、アルキル化クロロスルフォン化ポリエチレン、エチレン‐α−オレフィンゴム、水素化ニトリルゴム、水素化ニトリルゴムと不飽和カルボン酸金属塩との混合ポリマー等のゴム材料を単独で、又はこれらを混合して用いることが使用できる。中でもエチレン・α−オレフィンゴムが、優れた耐オゾン性、耐熱性、耐寒性を有しているとともに比較的に安価で、脱ハロゲンという要求を満たすことから好ましく用いられる。又、エチレン・α−オレフィンゴムは他のゴムに比べて水濡れ性に乏しいことから、好適に使用される。
エチレン・α−オレフィンゴムとしては、エチレンとα−オレフィン(プロピレン、ブテン、ヘキセン、オクテンなど)の共重合体、或いは、エチレンと上記α−オレフィンと非共役ジエンとの共重合体であり、具体的にはエチレン−プロピレンゴム(EPM)やエチレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPDM)などのゴムを言う。上記ジエン成分としては、エチリデンノルボルネン、ジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、シクロオクタジエン、メチレンノルボルネンなどの炭素原子数5〜15の非共役ジエンが挙げられる。EPDMは耐熱性や耐寒性に優れるという特性を有しており、耐熱・耐寒性能の高い動力伝動ベルトを得ることができる。このEPDMはヨウ素価が3〜40のものが好ましく用いられる。ヨウ素価が3未満であると、ゴム組成物のスコーチが短くなって扱い難くなり、耐熱性が悪くなるものである。
上記ゴムの架橋には、硫黄や有機過酸化物が使用される。有機過酸化物としては具体的には、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、1.1−t−ブチルペロキシ−3.3.5−トリメチルシクロヘキサン、2.5−ジ−メチル−2.5−ジ(t−ブチルペロキシ)へキサン、2.5−ジ−メチル−2.5−ジ(t−ブチルペロキシ)へキサン−3、ビス(t−ブチルペロキシジ−イソプロピル)ベンゼン、2.5−ジ−メチル−2.5−ジ(ベンゾイルペロキシ)へキサン、t−ブチルペロキシベンゾアート、t−ブチルペロキシ−2−エチル−ヘキシルカーボネートが挙げられる。この有機過酸化物は、単独もしくは混合物として、ゴム100重量部に対して1〜8重量部の範囲で好ましく使用される。
また加硫促進剤を配合しても良い。加硫促進剤としてはチアゾール系、チウラム系、スルフェンアミド系の加硫促進剤が例示でき、チアゾール系加硫促進剤としては、具体的に2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトチアゾリン、ジベンドチアジル・ジスルフィド、2−メルカプトベンゾチアゾールの亜鉛塩等があり、チウラム系加硫促進剤としては、具体的にテトラメチルチウラム・モノスルフィド、テトラメチルチウラム・ジスルフィド、テトラエチルチウラム・ジスルフィド、N,N’−ジメチル−N,N’−ジフェニルチウラム・ジスルフィド等があり、またスルフェンアミド系加硫促進剤としては、具体的にN−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド、N,N’−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド等がある。また、他の加硫促進剤としては、ビスマレイミド、エチレンチオウレアなども使用できる。これら加硫促進剤は単独で使用してもよいし、2種以上の組み合わせで使用してもよい。
また、共架橋剤(co−agent)を配合することによって、架橋度を上げて粘着摩耗等の問題を防止することができる。共架橋剤として挙げられるものとしては、TAIC、TAC、1,2ポリブタジエン、不飽和カルボン酸の金属塩、p−ベンゾキノンジオキシム、p,p’−ジベンゾキノンジオキシム、テトラクロロベンゾキノンポリ(P−ジニトロベンゾキノン)、グアニジン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、N−N’−m−フェニレンビスマレイミド、硫黄など通常、有機過酸化物架橋に用いるものであるが、なかでもN,N’−m−フェニレンジマレイミド及び/又はキノンジオキシム類が好ましい。その配合量はゴム100重量部に対して、0.5〜10重量部が望ましく、0.5重量部未満では添加による効果が顕著でなく、10重量部を超えると引裂き力や接着力が低下するといった不具合がある。このとき、共架橋剤としてN,N’−m−フェニレンジマレイミドを選択した場合、架橋密度が高くなり、耐摩耗性が高く、また注水時と乾燥時の伝達性能の差が少ないといった特徴がある。またキノンジオキシム類を選択した場合は、繊維基材との接着性に優れるといった特徴がある。
接着部2は、圧縮部6と同様のゴム組成物を用いることもできるが、別のゴム組成物で構成してもよい。上述の如き原料ゴム、配合剤を用いることができるが、接着性を考慮すると短繊維は混入しないほうが好ましい。
心線3は、ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維、ポリエチレンナフタレート(PEN)繊維、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)繊維、ポリブチレンテレフタレート(PBT)繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール(PBO)繊維、ポリアミド繊維、ガラス繊維、またはアラミド繊維などから構成される撚糸コードが使用できる。
前記心線3は接着処理を施されることが望ましく、例えば(1)未処理コードをエポキシ化合物やイソシアネート化合物から選ばれた処理液を入れたタンクに含浸してプレディップした後、(2)160〜200°Cに温度設定した乾燥炉に30〜600秒間通して乾燥し、(3)続いてRFL液からなる接着液を入れたタンクに浸漬し、(4)210〜260°Cに温度設定した延伸熱固定処理器に30〜600秒間通し−1〜3%延伸して延伸処理コードとする、ことができる。
この前処理液で使用するイソシアネート化合物としては、例えば4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレン2,4−ジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ポリアリールポリイソシアネート(例えば商品名としてPAPIがある)等がある。このイソシアネート化合物はトルエン、メチルエチルケトン等の有機溶剤に混合して使用される。
また、上記イソシアネート化合物にフェノール類、第3級アルコール類、第2級アルコール類等のブロック化剤を反応させてポリイソシアネートのイソシアネート基をブロック化したブロック化ポリイソシアネートも使用可能である。
エポキシ化合物としては、例えばエチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール等の多価アルコールや、ポリエチレングリコール等のポリアルキレングリコールとエピクロルヒドリンのようなハロゲン含有エポキシ化合物との反応生成物や、レゾルシン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジメチルメタン、フェノール・ホルムアルデヒド樹脂、レゾルシン・ホルムアルデヒド樹脂等の多価フェノール類やハロゲン含有エポキシ化合物との反応生成物などである。上記エポキシ化合物はトルエン、メチルエチルケトン等の有機溶剤に混合して使用される。
RFL処理液はレゾルシンとホルムアルデヒドの初期縮合物をゴムラテックスと混合したものであり、この場合レゾルシンとホルムアルデヒドのモル比は1:2〜2:1にすることが接着力を高める上で好適である。モル比が1/2未満では、レゾルシン−ホルムアルデヒド樹脂の三次元化反応が進み過ぎてゲル化し、一方2/1を超えると、逆にレゾルシンとホルムアルデヒドの反応があまり進まないため、接着力が低下する。
ゴムラテックスとしては、スチレン・ブタジエン・ビニルピリジン三元共重合体、水素化ニトリルゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴムなどがあげられる。
また、レゾルシン・ホルムアルデヒドの初期縮合物と上記ゴムラテックスの固形分重量比は1:2〜1:8が好ましく、この範囲を維持すれば接着力を高める上で好適である。上記の比が1/2未満の場合には、レゾルシン−ホルムアルデヒドの樹脂分が多くなり、RFL皮膜が固くなり動的な接着が悪くなり、他方1/8を超えると、レゾルシン・ホルムアルデヒドの樹脂分が少なくなるため、RFL皮膜が柔らかくなり、接着力が低下する。
更に、上記RFL液には加硫促進剤や加硫剤を添加してもよく、添加する加硫促進剤は、含硫黄加硫促進剤であり、具体的には2−メルカプトベンゾチアゾール(M)やその塩類(例えば、亜鉛塩、ナトリウム塩、シクロヘキシルアミン塩等)ジベンゾチアジルジスルフィド(DM)等のチアゾール類、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド(CZ)等のスルフェンアミド類、テトラメチルチウラムモノスルフィド(TS)、テトラメチルチウラムジスルフィド(TT)、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド(TRA)等のチウラム類、ジ−n−ブチルジチオカルバミン酸ナトリウム(TP)、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛(PZ)ジエチルジメチルジチオカルバミン酸亜鉛(EZ)等のジチオカルバミン酸塩類等がある。
また、加硫剤としては、硫黄、金属酸化物(酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化鉛)、有機過酸化物等があり、上記加硫促進剤と併用する。
上記心線3を用いたVリブドベルト1は、Vリブドベルトを2%伸張させるのに必要な引張力が100〜250N/リブ、更に好ましくは130〜210N/リブとすると、たとえリブゴム磨耗等によりベルト伸びが発生した場合でも、急激な張力低下を引き起こすことなく、安定した張力が維持できる。250N/リブを超えるとベルト伸び時に急激な張力低下が見られ、100N/リブ未満であると心線伸びによるベルト張力低下が大きくなる。
またベルトに147N/5本コードの初荷重をかけ、100°C雰囲気下30分放置した後に発生したベルト乾熱時収縮力が50〜150N/5本コードである特性を付与すると、ベルト伸びが発生しても張力を自己調整可能であり、オートテンショナーを設置しなくともベルトスリップ率が小さくてベルト寿命が長いものを得ることができる。ベルト乾熱時収縮力が50N未満の場合には、ベルト張力を調整する性能に乏しく、スリップ率が高くなる傾向がある。また、ベルト乾熱時収縮力が150Nを越える場合には、ベルト長さの経時収縮が大きくなる傾向がある上に、スリップ率が小さくなる効果は小さい。
伸張部5は、圧縮部6と同様のゴム組成物を用いることもできるが別のゴム組成物で構成してもよい。ここで伸張部5は、短繊維を含有するゴム組成物で形成されているが、背面駆動時の異音を抑制すべく、背表面に凹凸パターンを設けることもできる。凹凸パターンとしては、編布パターン、織布パターン、スダレ織布パターンなどを挙げることができるが、最も好ましくは織物パターンである。また短繊維としては、ポリエステル、アラミド、ポリアミド、綿、PBOなどの短繊維を所望に応じて配合することができる。図1において短繊維はランダム方向に配向しているが、ベルト幅方向に配向させるなど一方向に配向していてもかまわない。尚、ランダム方向に配向させた場合、多方向からの裂きや亀裂の発生を抑制できるといった特徴があるが、このとき短繊維として屈曲部を有する短繊維(例えばミルドファイバー)を選択すると、より多方向から作用する力に対して耐性ができるといった特徴がある。ミルドファイバーは、例えばポリアミド製のものを用いることができ、繊維長が0.1〜3.0mmの範囲であることが望ましい。また、伸張部における短繊維の配合量は、ゴム100重量部に対して短繊維が35〜100の範囲の割合となるように、短繊維が含有されていることが望ましい。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明する。
実施例1〜2 比較例1〜3
エチレン含量が55%、ジエン量が2.0%のエチレン−プロピレン−ジエン・ターポリマー(EPDM)からなるゴム組成物を圧縮ゴム層としたVリブドベルトのリブ表面に潤滑塗料を塗装し、耐久走行評価、発音試験を行った。その結果を表1に示す。
実施例1〜2 比較例1〜3
エチレン含量が55%、ジエン量が2.0%のエチレン−プロピレン−ジエン・ターポリマー(EPDM)からなるゴム組成物を圧縮ゴム層としたVリブドベルトのリブ表面に潤滑塗料を塗装し、耐久走行評価、発音試験を行った。その結果を表1に示す。
摩耗試験は、Vリブドベルトを3リブ幅にカットしたものを準備し、ステンレス製案内ローラ(直径60mm、プーリ溝角度36度、プーリ溝先端部ピッチ3.56mm)にVリブドベルト1の巻き付け角度が90度となるように掛け、Vリブドベルトの片一端を固定し、他方一端に1.75kgf/3リブのウェイトを垂下させ、案内ローラを42rpmで回転させたときの、ロードセルの値を検出することによって張り側の張力T1と緩み側の張力T2(1.75kgf)を検出し、張力比(T1/T2)から摩擦係数μ=(1/2π)ln(T1/T2)を求めた。尚、測定時間はプーリを起動後5〜30秒を記録し、T1はその最大値を用いている。
高温耐久走行試験では図2に示すレイアウトにて駆動プーリの回転数を4,900rpmとして雰囲気温度120°Cで走行させた。
発音評価では、得られたVリブドベルトを直径135mmの駆動プーリ、直径112mmの第一従動プーリ、クラッチ機構を有する直径60mmの第二従動プーリの間に所定のベルト張力で懸架して、室温で駆動プーリを5,000rpmで回転させながら第二従動プーリを回転始動させた時に発生した鳴き音の有無、及び注水時の鳴き音の有無を測定した。
実施例1ではリブ表面にシリコン系の潤滑剤を、実施例2では二硫化モリブデン系の潤滑剤を塗装した。摩擦係数は潤滑剤の塗装のない場合と比べて大きく低下し、発音評価では乾燥時、水濡れ時ともに良好な結果であった。
比較例1はリブ表面にグラファイト系の潤滑剤を塗装した場合である。摩擦係数は塗装のない場合と比べると低下し、発音評価では乾燥時においては発音が無かったが、水濡れ時においては発音した。
比較例2はリブ表面に潤滑剤を塗装しない場合である。摩擦係数は高く、発音評価では乾燥時、水濡れ時共に発音した。
比較例3は、ゴム配合中にナイロン短繊維を配合し、さらに二硫化モリブデンを配合した場合である。摩擦係数は低く、発音評価においても良好な結果であったが、耐久寿命が短くなった。
本発明は、ベルト走行時の騒音を軽減したVリブドベルトに適用できる。
1 Vリブドベルト
2 伸張部
3 カバー帆布
4 心線
5 接着ゴム層
6 圧縮ゴム層
7 リブ部
2 伸張部
3 カバー帆布
4 心線
5 接着ゴム層
6 圧縮ゴム層
7 リブ部
Claims (1)
- 接着ゴム層にベルト長手方向に沿って心線が埋設され、接着ゴム層の下部に複数のリブ部を有するVリブドベルトにおいて、リブ部表面にシリコン系潤滑塗料或いは二硫化モリブデン系潤滑塗料から選ばれた少なくとも一つの塗膜が形成されていることを特徴とするVリブドベルト。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007144099A JP2008298151A (ja) | 2007-05-30 | 2007-05-30 | Vリブドベルト |
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Family Applications (1)
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JP2007144099A Pending JP2008298151A (ja) | 2007-05-30 | 2007-05-30 | Vリブドベルト |
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Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2000230185A (ja) * | 1999-02-12 | 2000-08-22 | Oiles Ind Co Ltd | 潤滑塗料および二つの摺動部材を組合わせた摺動構造並びにすべり支承装置 |
JP2001336585A (ja) * | 2000-05-31 | 2001-12-07 | Mitsuboshi Belting Ltd | Vリブドベルト |
JP2005320536A (ja) * | 2004-04-30 | 2005-11-17 | Klueber Lubrication Muenchen Kg | ポリイミドベースの潤滑塗料 |
-
2007
- 2007-05-30 JP JP2007144099A patent/JP2008298151A/ja active Pending
Patent Citations (3)
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