JP2008291992A - 摩擦伝動ベルト - Google Patents

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Abstract

【課題】有機過酸化物の反応後の分解物がブルームすることなく外観に優れ、またベルト表面の摩擦係数を低下させて通常走行時における異音の発生を阻止した摩擦伝動ベルトを提供することにある。
【解決手段】心線2をベルト長手方向に沿って埋設した接着層3と、この接着層3の一方の面に設けられた圧縮層4と、接着層3の他方の面を被覆するカバー帆布からなる伸張層5とを有するVリブドベルト1であり、圧縮層4の表面層である摩擦伝動面は少なくとも摩擦伝動面が、エチレン・α−オレフィンエラストマー100重量部に対して、ジアルキルパーオキサイドからなる有機過酸化物1〜10重量部、ポリエチレングリコール1〜10重量部、そしてカーボンブラックを配合したゴム組成物で構成される。
【選択図】 図1

Description

本発明は動力伝動に用いられる摩擦伝動ベルトに関する。
従来から、自動車用エンジン等に使用される動力伝動ベルトとしては、天然ゴム、スチレン・ブタジエンゴム、クロロプレンゴム等のゴムが一般的に使用されていた。しかし、近年、省エネルギー化及びコンパクト化の社会的要請を背景に、自動車のエンジンルーム内の部品が密集して配置される傾向があり、それに起因してエンジンルーム内の雰囲気温度は従来に比べて上昇してきている。
このような高温雰囲気下において、動力伝動ベルトを構成する前記ゴムが硬化し、早期にクラックが生じるという問題が指摘されていた。また省エネルギー化に伴ってエンジンの回転変動が大きくなり、その影響を受けて動力伝動ベルトの張力変動が増大し、早期摩耗や発音などの問題が発生してきた。更に、クロロプレンなどのハロゲンを含んだゴムはダイオキシンの発生につながることから、環境負荷物質であるハロゲンを含有しないゴムで製造されたベルトが近年求められている。
このような要求に対して、最近ではエチレン・プロピレン系ゴム(EPM)あるいはエチレン・プロピレン・ジエン共重合体ゴム(EPDM)等のエチレン・α−オレフィンゴムが、優れた耐熱性を有しているとともに比較的に安価なポリマーであり、脱ハロゲンという要求を満たしていることからも有望視されている。具体的には、α−β−不飽和有機酸の金属塩で補強されたエチレン・α−オレフィンエラストマーを使用した動力伝動用ベルトが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかし、優れた耐熱性を得るためにエチレン・α−オレフィンエラストマーを有機過酸化物で加硫する場合が多く、有機過酸化物の種類によっては反応後の分解物がブルームしやすくなるという問題があった。特に、有機過酸化物として、例えば、α、α’−ビス(t−ブチルペルオキシ)ジイソプロピルベンゼンを含有したゴム組成物をブレーキホースとして使用した場合、未反応の有機過酸化物や有機過酸化物の分解残渣がブレーキ液に溶出するといった不具合があることも特許文献2に報告されている。
特表平9−500930号公報 特開2002−249623号公報
かかる現状を鑑み、本発明ではエチレン・α−オレフィンエラストマーを有機過酸化物で加硫する場合、有機過酸化物の反応後の分解物がブルームすることなく外観に優れ、またベルト表面の摩擦係数を低下させて通常走行時における異音の発生を阻止した摩擦伝動ベルトを提供することにある。
本願請求項1記載の発明は、少なくとも摩擦伝動面が、少なくとも摩擦伝動面が、エチレン・α−オレフィンエラストマー100重量部に対して、ジアルキルパーオキサイドからなる有機過酸化物1〜10重量部、ポリエチレングリコール1〜10重量部、そしてカーボンブラックを配合したゴム組成物で構成される摩擦伝動ベルトにあり、たとえジアルキルパーオキサイドとエチレン・α−オレフィンエラストマーとの極性が相違し、またジアルキルパーオキサイドの分解物が常温で固体であっても、ポリエチレングリコールの存在によってブルームの発生を阻止することができる。
本願請求項2記載の発明は、ジアルキルパーオキサイドは、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、そしてジクミルパーオキシドから選ばれた少なくとも1種である。
本願請求項3記載の発明は、摩擦伝動ベルトがVリブドベルトであることを特徴とする。
本願請求項記載の発明では、ジアルキルパーオキサイドからなる有機過酸化物とポリエチレングリコールを併用することによってベルト用ゴムの物性を低下させることなく、ジアルキルパーオキサイドの分解反応物のブルームを抑制することができて外観の優れた、またベルト表面の摩擦係数を低下させて通常走行時における異音の発生を阻止した摩擦伝動ベルトになる。
本発明の実施の形態について説明する。本実施形態は、摩擦伝動ベルトとして、ベルトの長手方向に延びる複数のリブ部を有するVリブドベルトに本発明を適用したものである。
図1に示すようにVリブドベルト1は、心線2をベルト長手方向に沿って埋設した接着層3と、この接着層3の一方の面に設けられた圧縮層4と、接着層3の他方の面を被覆するカバー帆布からなる伸張層5とを有する。そして圧縮層4には、ベルト長手方向に延びる断面略三角形状の複数のリブ部6が設けられている。ここで摩擦伝動面は圧縮層4の表面層をいう。
本発明で使用する心線2は、ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維、ポリエチレンナフタレート(PEN)繊維、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)繊維、ポリブチレンテレフタレート(PBT)繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール(PBO)繊維、ポリアミド繊維、ガラス繊維、またはアラミド繊維などから構成される撚糸コードが使用できる。
前記心線は接着処理を施されることが望ましく、例えば(1)未処理コードをエポキシ化合物やイソシアネート化合物から選ばれた処理液を入れたタンクに含浸してプレディップした後、(2)160〜200°Cに温度設定した乾燥炉に30〜600秒間通して乾燥し、(3)続いてRFL液からなる接着液を入れたタンクに浸漬し、(4)210〜260°Cに温度設定した延伸熱固定処理器に30〜600秒間通し−1〜3%延伸して延伸処理コードとする、ことができる。
RFL処理液はレゾルシンとホルムアルデヒドの初期縮合物をゴムラテックスと混合したものであり、この場合レゾルシンとホルムアルデヒドのモル比は1:2〜2:1にすることが接着力を高める上で好適である。モル比が1/2未満では、レゾルシン−ホルムアルデヒド樹脂の三次元化反応が進み過ぎてゲル化し、一方2/1を超えると、逆にレゾルシンとホルムアルデヒドの反応があまり進まないため、接着力が低下する。
ゴムラテックスとしては、スチレン・ブタジエン・ビニルピリジン三元共重合体、水素化ニトリルゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴムなどがあげられる。
また、レゾルシン・ホルムアルデヒドの初期縮合物と上記ゴムラテックスの固形分質量比は1:2〜1:8が好ましく、この範囲を維持すれば接着力を高める上で好適である。上記の比が1/2未満の場合には、レゾルシン−ホルムアルデヒドの樹脂分が多くなり、RFL皮膜が固くなり動的な接着が悪くなり、他方1/8を超えると、レゾルシン・ホルムアルデヒドの樹脂分が少なくなるため、RFL皮膜が柔らかくなり、接着力が低下する。
更に、上記RFL液には通常の加硫促進剤や加硫剤を添加してもよい。
伸張層5を構成する帆布は、織物、編物、不織布などから選択される繊維基材である。構成する繊維素材としては、公知公用のものが使用できるが、例えば綿、麻等の天然繊維や、金属繊維、ガラス繊維等の無機繊維、そしてポリアミド、ポリエステル、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリフロルエチレン、ポリアクリル、ポリビニルアルコール、全芳香族ポリエステル、アラミド等の有機繊維が挙げられる。織物の場合は、これらの糸を平織、綾織、朱子織等することにより製織される。
上記帆布は、公知技術に従ってRFL液に浸漬することが好ましい。またRFL液に浸漬後、未加硫ゴムを帆布に擦り込むフリクションやゴムを溶剤に溶かしたソーキング液に浸漬処理することができる。尚、RFL液には適宜カーボンブラック液を混合して処理反を黒染めし、公知の界面活性剤を0.1〜5.0質量%加えてもよい。
ここで圧縮層4は、エチレン・α−オレフィンエラストマー100重量部に対して、溶解度指数が8.3〜10.7(cal/cm31/2の可塑剤を10〜25重量部、無機充填剤を60〜110重量部配合したゴム組成物で構成されている
エチレン・α−オレフィンエラストマーとしては、エチレンとα−オレフィン(プロピレン、ブテン、ヘキセン、あるいはオクテン)の共重合体、あるいは、エチレンと上記α−オレフィンと非共役ジエンの共重合体などであり、具体的にはEPMやEPDMなどのゴムをいう。上記ジエン成分としては、エチリデンノルボルネン、ジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、シクロオクタジエン、メチレンノルボルネンなどの炭素原子数5〜15の非共役ジエンが挙げられる。
無機充填剤は、カーボンブラック、金属炭酸塩、金属珪酸塩などを挙げることができる。尚、補強性を考慮すると、少なくともカーボンブラックが含有されることが望ましい。
カーボンブラックは、窒素吸着比表面積(NSA)20〜150cm/g,DBP吸油量が50〜160cm/100gの特性を有するものを使用することが好ましい。更に好ましくは窒素吸着比表面積が65〜125m/gかつジブチルフタレート吸油量が90〜125cm/100gのカーボンブラックを選択すると耐摩耗性に優れた構成とすることができる。即ち、本発明にかかるゴム組成物は溶解度指数が8.3〜10.7(cal/cm31/2の可塑剤を多く配合しているため、耐摩耗性が低く粘着摩耗が発生し易い性質を有するが、無機充填剤として窒素吸着比表面積が65〜125m/gかつジブチルフタレート吸油量が90〜125cm/100gのカーボンブラックを含めることで、優れた耐摩耗性を呈し、粘着摩耗を抑制する効果がある。ここで、窒素吸着比表面積は、カーボンブラックの比表面積であって、JIS K 6217―2に従い測定される。またDBP吸油量(ジブチルフタレート吸油量)は、ストラクチャーの指標であって、JIS K 6217―4に従い測定される。
金属炭酸塩としては、炭酸カルシウムを挙げることができ、金属珪酸塩としては、珪酸カルシウム、珪酸カリウムアルミニウム、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウムなどが挙げられる。更に具体的には、珪酸アルミニウムとしてはクレイ、珪酸マグネシウムとしてはタルク、珪酸カリウムアルミニウムとしてはマイカなどを挙げることができる。これらは単独又は併用することができる。なかでも炭酸カルシウムは、ゴムとの相溶性が良く、強度等の機械物性に悪影響を及ぼさないことから望ましい。
上記無機充填剤の平均一次粒径は、0.01〜3.00μmのものが好ましい。3.00μmを超えるとベルトの耐久性に悪影響があるといった不具合があり、0.01μm未満のものは分散性が悪くゴム物性が不均一になる。
上記無機充填剤の含有量はエチレン・α−オレフィンエラストマー100重量部に対して60〜110重量部である。60重量部未満の場合は、可塑剤をブリードさせる効果が小さく、また耐粘着摩耗性が充分ではない。一方で、110重量部を超えると、耐屈曲性が低下するといった不具合がある。また無機充填剤として、カーボンブラックと金属炭酸塩及び/又は金属珪酸塩を配合する場合、強度、耐摩耗性及び耐発音性を考慮すると、エチレン・α−オレフィンエラストマー100重量部に対してカーボンブラックを30〜100重量部、金属炭酸塩及び/又は金属珪酸塩を10〜80重量部とすることが望ましい。
前記ゴム組成物には架橋剤として有機過酸化物を配合する。有機過酸化物としては、ジアルキルパーオキサイド、例えばジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)−3−ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン、及び1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン等が挙げられる。これらの中でも、1分半減期温度が175℃前後のジクミルパーオキサイド、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼンが適切な加硫速度を有するために好ましい。
上記ジアルキルパーオキサイドは、単独もしくは混合物として、エチレン・α−オレフィンエラストマー100重量部に対して1〜10重量部の範囲で好ましく使用される。
上記ジアルキルパーオキサイドの分解反応物がブルームするのは、分解物が常温で固体であること、ポリマーとの極性が異なることによるが、これに該当するジアルキルパーオキサイドの一つとして、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、ジクミルパーオキサイド等が挙げられる。
上記ジアルキルパーオキサイドの分解反応物のブルーム抑制剤として、ポリエチレングリコールが使用されるが、エチレン・α−オレフィンエラストマー100重量部に対して、1〜10重量部添加される。添加量が1重量部未満であれば、ブルーム抑制剤の機能を発揮せず、他方10重量部を超えると、ジアルキルパーオキサイドのブルームは阻止されるが、ポリエチレングリコールがブリードする問題が発生する。
また前記ゴム組成物は、エチレン・α−オレフィンエラストマー100重量部に対して、N,N’−m−フェニレンジマレイミド及び/又はキノンジオキシム類を好ましくは0.5〜13重量部配合することができる。N,N’−m−フェニレンジマレイミド及び/又はキノンジオキシム類は共架橋剤として作用し、0.5重量部未満では添加による効果が顕著でなく、13重量部を超えると引裂き力並びに接着力が急激に低下する。このとき、共架橋剤としてN,N’−m−フェニレンジマレイミドを選択した場合、架橋密度が高くなり、耐摩耗性が高く、また注水時と乾燥時の伝達性能の差が少ないといった特徴がある。またキノンジオキシム類を選択した場合は、繊維基材との接着性に優れるといった特徴がある。
キノンジオキシム類としては、p−ベンゾキノンジオキシム、p,p’−ジベンゾキノンジオキシム、テトラクロロベンゾキノンポリ(p−ジニトロベンゾキノン)等が挙げられる。接着性や架橋密度を考慮すると、p−ベンゾキノンジオキシムやp,p’−ジベンゾキノンジオキシムなどのベンゾキノンジオキシム類が好ましい。
そして、それ以外に必要に応じて、短繊維、老化防止剤、安定剤、加工助剤、着色剤のような通常のゴム配合物に使用されるものが使用される。これらの配合成分をゴム組成物に混合させる方法としては特に制限はなく、例えば、バンバリーミキサー、ニーダー等を用い、適宜公知の手段、方法によって混練することができる。
接着層3は、ゴム成分としてエチレン・α−オレフィンゴム単独またはその他の種類ゴムからなる相手ゴムを混ぜ合わせたブレンドゴムを用いることが望ましい。エチレン・α−オレフィンゴムにブレンドする相手ゴムとしては、ブタジエンゴム(BR)、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、ニトリルゴム(NBR)、水素化ニトリルゴム(H−NBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)、天然ゴム(NR)の少なくとも一種のゴムを挙げることができる。勿論、上記と同様のゴム組成物を用いることも可能である。
尚、Vリブドベルトは、図1のような構成に限定されず、例えば接着層を配置しないVリブドベルトや、背面に帆布を貼着せずゴムを露出させたVリブドベルトなども本発明の技術範囲に属する。以下、これらの実施形態を図面をもとに説明する。
図2に示すVリブドベルト21は、背面28が植毛層24を設けたゴム組成物で形成された伸張層25と、該伸張層25の下層に接着層22が配設され、更にその下層に圧縮層26を配置した構成を有する。心線23は、ベルト長手方向に沿って本体内に埋設されてなり、その一部が伸張層25に接し、残部が接着層22に接した状態となっている。そして前記圧縮層26はベルト長手方向に伸びる断面略三角形の複数のリブ27が設けられている。ここで、圧縮層26に含有される短繊維はリブ形状に沿った流動状態を呈し、表面近傍の短繊維はリブ形状に沿って配向している。
図3に示すVリブドベルト31は、背面38が短繊維34を含有するゴム組成物で形成された伸張層35と、該伸張層35の下層に圧縮層36を配置した構成を有する。心線33は、ベルト長手方向に沿って本体内に埋設されてなり、その一部が伸張層35に接し、残部が圧縮層36に接した状態となっている。そして、前記圧縮層35にはベルト長手方向に伸びる断面略三角形の複数のリブ37が設けられており、該リブ表面には植毛層39が設けられている。ここで、伸張層35に含有される短繊維はランダム方向に配向している。
ここで図3では、伸張層35を帆布で構成せず、短繊維を含有するゴム組成物で形成した構成を示したが、この際、背面駆動時の異音を抑制すべく、背表面に凹凸パターンを設けることができる。凹凸パターンとしては、編布パターン、織布パターン、スダレ織布パターンなどを挙げることができるが、最も好ましくは織物パターンである。また短繊維としては、ポリエステル、アラミド、ナイロン、綿などを所望に応じて配合することができる。尚、伸張層、圧縮層及び接着層を構成するゴム組成物、心線などは上述と同様のものが使用できる。
そして図3では、伸張層35に含有される短繊維はランダム方向に配向しているが、ベルト幅方向に配向させるなど一方向に配向していてもかまわない。尚、ランダム方向に配向させた場合、多方向からの裂きや亀裂の発生を抑制できるといった特徴があるが、このとき短繊維として屈曲部を有する短繊維(例えばミルドファイバー)を選択すると、より多方向から作用する力に対して耐性ができるといった特徴がある。
また図3のように、接着層を配置しない構成の場合、心線33は伸張層35と圧縮層36の境界領域でベルト本体に埋設されることになる。この時、心線33とベルト本体との接着性を考慮すると、伸張層35及び圧縮層36のどちらか一方のゴム層は、短繊維を含有しないゴム組成物で構成することが望ましい。
尚、図2では伸張層25を、短繊維を含有しないゴム組成物表面に植毛層24を設けた構成としているが、短繊維を含有するゴム組成物表面に植毛層を設けた構成とすることも可能である。
また図2では、圧縮層26に含有される短繊維はリブ形状に沿った流動状態を呈しているが、短繊維が幅方向に配向した構成としてもかまわない。
尚、Vリブドベルトが背面伝動を行う場合は、伸張層の表面も摩擦伝動面となりうる。よって、伸張層を本発明のゴム組成物で構成してもかまわない。
また摩擦伝動面の摩擦係数は、0.3〜0.6であることが望ましい。0.3未満であると充分な摩擦伝動性を維持することが困難となり、0.6を超えると発音抑制効果が充分ではない。尚、摩擦係数は下記実施例の試験条件にて測定される値である。
次に、これらVリブドベルトの製造方法を説明する。製造方法としては限定されるものではないが例えば以下のような方法がある。
まず円筒状の成形ドラムの周面に伸張層を構成する部材と接着層を構成する接着ゴムシートとを巻き付けた後、この上にコードからなる心線を螺旋状にスピニングし、更に圧縮層を構成する圧縮ゴムシートを順次巻き付けて未加硫スリーブを形成した後、加硫して加硫スリーブを得る。次に、加硫スリーブを駆動ロールと従動ロールに掛架され所定の張力下で走行させ、更に回転させた研削ホイールを走行中の該加硫スリーブに当接するように移動してスリーブの圧縮層表面に3〜100個の複数の溝状部を一度に研磨して摩擦伝動面を形成する。このようにして得られたスリーブを駆動ロールと従動ロールから取り外し、該スリーブを他の駆動ロールと従動ロールに掛架して走行させ、カッターによって所定に幅に切断して個々のVリブドベルトに仕上げる。
尚、本実施形態は、Vリブドベルトに本発明を適用した一例であるが、Vリブドベルトに限らず、他の種類の摩擦伝動ベルトにも本発明を適用することは可能である。
次に、本発明を実施例により具体的に説明する。
実施例1〜6、比較例1〜4
以下の実施例1〜6、比較例1〜4のVリブドベルトは、ポリエステル繊維のロープからなる心線を接着ゴム層内に埋設し、接着ゴム層の一方の面にゴム付綿帆布を2プライ積層し、接着ゴム層の他方の面側に設けられた圧縮ゴム層に3個のリブ部をベルトの長手方向に配したものである。
ここで、圧縮層として、表1に示すゴム組成物から調整し、バンバリーミキサーで混練後、カレンダーロールで圧延したものを用いた。ここで、HAFカーボンブラックは、窒素吸着比表面積が83m/gかつジブチルフタレート吸油量が102cm/100である。圧縮層には短繊維が含まれており、該短繊維はベルト幅方向に配向している。一方、接着層は、表1に示すゴム組成物から短繊維を除いたゴム配合となっている。ここで、表1に示す配合のゴム組成物を165°Cで30分間プレス架橋した架橋ゴム物性を評価した。得られた架橋ゴムの硬度(JIS−A)をJIS K6253に、切断時の伸びEB(短繊維の配向方向に対して直角方向)をJIS K6251に従って測定した結果を表2に示す。
ベルトの製造方法としては、以下のような公知の方法を用いた。まず、フラットな円筒状の成形モールドに2プライのゴム付綿帆布及び接着ゴム層を巻きつけ、心線をスピニングし、さらに、圧縮ゴム層を巻きつけた後、圧縮ゴム層の上に加硫用ジャケットを挿入する。ついで、成形モールドを加硫缶内に入れて加硫した後、筒状の加硫スリーブを成形モールドから取り出す。そして、加硫スリーブの圧縮ゴム層をグラインダーにより研削して複数のリブ部を形成してから、カッターにより個々のベルトに切断して、Vリブドベルトを得た。
また、得られたVリブドベルトのリブゴム表面を観察し、ブルームまたはブリードの有無を判定した。
次に、以下に述べるような、耐熱耐久試験、粘着摩耗試験を行った。
図4に示すように、耐熱耐久試験の評価に用いた走行試験機は、駆動プーリ10(直径120mm)、アイドラープーリ11(直径85mm)、従動プーリ12(直径120mm)、テンションプーリ13(直径45mm)とを順に配置して構成したものである。そして、試験機の各プーリ10〜13にVリブドベルト1を掛架し、Vリブドベルト1のテンションプーリ13への巻き付け角度を90°に、アイドラープーリ11への巻きつけ角度を120°にして雰囲気温度120°C、駆動プーリの回転数4900rpm、ベルト張力57kgf/3リブの試験条件で、駆動プーリ10に荷重を付与してVリブドベルト1を走行させ又、従動プーリ12には負荷12PSを与え走行させた。一度24時間で打ち切り、粘着磨耗の有無を点検した。
その後、再度走行させ、目標走行時間を400時間とした。400時間故障なく走行した場合には打ち切りとし、心線に達する亀裂の時間を調べた。
耐粘着摩耗試験では、各Vリブドベルトを、室温下において、駆動プーリ(直径120mm)、従動プーリ(直径120mm)及びアイドラープーリ(直径45mm)に掛架し、従動プーリの負荷2馬力、アイドラープーリの取付け荷重102kgf、回転数800rpmの条件下で、24時間走行させた後のベルト表面の粘着摩耗の有無を調べた。
以上のベルトの外観、耐熱耐久試験、粘着磨耗試験の結果を表1に併記する。
Figure 2008291992
表1に示すように、比較例1はポリエチレングリコールを配合していなかったため、有機過酸化物の分解反応物のブルームが見られた。比較例2はポリエチレングリコールを多量に配合しすぎたためブリードが見られた。比較例3は有機過酸化物としてジアルキルパーオキサイドではない、n−ブチル4,4−ビス(t−ブチルぺルオキシ)バレレートを使用したため、加硫速度が速くなり、スコーチが短く、伸びが短く、結果としてベルトのクラックが入りやすくなった。比較例4は有機過酸化物が15重量部であるため、ブルームが発生し、硬度が大きく、ベルト走行時の亀裂数も多くなった。
一方、実施例はジアルキルパーオキサイドとポリエチレングリコールの組み合わせで、ブルームなく、適切な加硫速度が得られベルト走行性能も良好であった。
本発明にかかる摩擦伝動ベルトは自動車用あるいは一般産業用の駆動装置などに装着できる。
本発明に係る摩擦伝動ベルトであるVリブドベルトの断面斜視図である。 本発明に係る摩擦伝動ベルトである別のVリブドベルトの断面図である。 本発明に係る摩擦伝動ベルトである更に別のVリブドベルトの断面図である。 実施例における耐熱耐久試験のレイアウトを示す図である。
符号の説明
1 Vリブドベルト
2 心線
3 接着層
4 圧縮層
5 伸張層
6 リブ部

Claims (3)

  1. 少なくとも摩擦伝動面が、エチレン・α−オレフィンエラストマー100重量部に対して、ジアルキルパーオキサイドからなる有機過酸化物1〜10重量部、ポリエチレングリコール1〜10重量部、そしてカーボンブラックを配合したゴム組成物で構成されることを特徴とする摩擦伝動ベルト。
  2. ジアルキルパーオキサイドは、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、そしてジクミルパーオキシドから選ばれた少なくとも1種である請求項1記載の摩擦伝動ベルト。
  3. 摩擦伝動ベルトが、Vリブドベルトである請求項1または2記載の摩擦伝動ベルト。
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