JP2008297601A - プレスプレート用オーステナイト系ステンレス鋼 - Google Patents
プレスプレート用オーステナイト系ステンレス鋼 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2008297601A JP2008297601A JP2007144839A JP2007144839A JP2008297601A JP 2008297601 A JP2008297601 A JP 2008297601A JP 2007144839 A JP2007144839 A JP 2007144839A JP 2007144839 A JP2007144839 A JP 2007144839A JP 2008297601 A JP2008297601 A JP 2008297601A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- stainless steel
- mass
- less
- press plate
- austenitic stainless
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Withdrawn
Links
Classifications
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C22—METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
- C22C—ALLOYS
- C22C38/00—Ferrous alloys, e.g. steel alloys
- C22C38/18—Ferrous alloys, e.g. steel alloys containing chromium
- C22C38/40—Ferrous alloys, e.g. steel alloys containing chromium with nickel
- C22C38/44—Ferrous alloys, e.g. steel alloys containing chromium with nickel with molybdenum or tungsten
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C22—METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
- C22C—ALLOYS
- C22C38/00—Ferrous alloys, e.g. steel alloys
- C22C38/001—Ferrous alloys, e.g. steel alloys containing N
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C22—METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
- C22C—ALLOYS
- C22C38/00—Ferrous alloys, e.g. steel alloys
- C22C38/02—Ferrous alloys, e.g. steel alloys containing silicon
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C22—METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
- C22C—ALLOYS
- C22C38/00—Ferrous alloys, e.g. steel alloys
- C22C38/04—Ferrous alloys, e.g. steel alloys containing manganese
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C22—METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
- C22C—ALLOYS
- C22C38/00—Ferrous alloys, e.g. steel alloys
- C22C38/18—Ferrous alloys, e.g. steel alloys containing chromium
- C22C38/34—Ferrous alloys, e.g. steel alloys containing chromium with more than 1.5% by weight of silicon
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C22—METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
- C22C—ALLOYS
- C22C38/00—Ferrous alloys, e.g. steel alloys
- C22C38/18—Ferrous alloys, e.g. steel alloys containing chromium
- C22C38/40—Ferrous alloys, e.g. steel alloys containing chromium with nickel
- C22C38/42—Ferrous alloys, e.g. steel alloys containing chromium with nickel with copper
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C22—METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
- C22C—ALLOYS
- C22C38/00—Ferrous alloys, e.g. steel alloys
- C22C38/18—Ferrous alloys, e.g. steel alloys containing chromium
- C22C38/40—Ferrous alloys, e.g. steel alloys containing chromium with nickel
- C22C38/58—Ferrous alloys, e.g. steel alloys containing chromium with nickel with more than 1.5% by weight of manganese
-
- H—ELECTRICITY
- H05—ELECTRIC TECHNIQUES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
- H05K—PRINTED CIRCUITS; CASINGS OR CONSTRUCTIONAL DETAILS OF ELECTRIC APPARATUS; MANUFACTURE OF ASSEMBLAGES OF ELECTRICAL COMPONENTS
- H05K3/00—Apparatus or processes for manufacturing printed circuits
- H05K3/46—Manufacturing multilayer circuits
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C21—METALLURGY OF IRON
- C21D—MODIFYING THE PHYSICAL STRUCTURE OF FERROUS METALS; GENERAL DEVICES FOR HEAT TREATMENT OF FERROUS OR NON-FERROUS METALS OR ALLOYS; MAKING METAL MALLEABLE, e.g. BY DECARBURISATION OR TEMPERING
- C21D2211/00—Microstructure comprising significant phases
- C21D2211/001—Austenite
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C22—METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
- C22C—ALLOYS
- C22C2202/00—Physical properties
Landscapes
- Chemical & Material Sciences (AREA)
- Engineering & Computer Science (AREA)
- Materials Engineering (AREA)
- Mechanical Engineering (AREA)
- Metallurgy (AREA)
- Organic Chemistry (AREA)
- Manufacturing & Machinery (AREA)
- Microelectronics & Electronic Packaging (AREA)
- Heat Treatment Of Steel (AREA)
- Production Of Multi-Layered Print Wiring Board (AREA)
- Heat Treatment Of Sheet Steel (AREA)
Abstract
【課題】平坦度と硬さという両立困難な特性を兼ね備え、しかも、銅と同程度の熱膨張係数を有するプレスプレートを容易に製造することができる新たなプレスプレート材料を提供すること。
【解決手段】Si:1.0〜4.0質量%、Cr:10.0〜25.0質量%、Ni:5.0〜15.0質量%、C+N:0.3質量%以下(0質量%を含む)、Mn:5質量%以下(0質量%を含む)、Cu:5質量%以下(0質量%を含む)、Mo:5.0質量%以下(0質量%を含む)、残部:Fe及び不可避的不純物の組成を有し、以下の式(1)で表されるオーステナイト安定指標Md30(℃)が25以下であるプレスプレート用オーステナイト系ステンレス鋼板:
Md30(℃)=551−462(C+N)−9.2Si−8.1Mn−29(Ni+Cu)−13.7Cr−18.5Mo・・・(1)。
【選択図】なし
【解決手段】Si:1.0〜4.0質量%、Cr:10.0〜25.0質量%、Ni:5.0〜15.0質量%、C+N:0.3質量%以下(0質量%を含む)、Mn:5質量%以下(0質量%を含む)、Cu:5質量%以下(0質量%を含む)、Mo:5.0質量%以下(0質量%を含む)、残部:Fe及び不可避的不純物の組成を有し、以下の式(1)で表されるオーステナイト安定指標Md30(℃)が25以下であるプレスプレート用オーステナイト系ステンレス鋼板:
Md30(℃)=551−462(C+N)−9.2Si−8.1Mn−29(Ni+Cu)−13.7Cr−18.5Mo・・・(1)。
【選択図】なし
Description
本発明は、プレスプレート用オーステナイト系ステンレス鋼、すなわち、プレスプレートを製造する際に材料として供されるオーステナイト系ステンレス鋼に関する。
また、本発明は、該オーステナイト系ステンレス鋼を用いたプレスプレートの製造方法、及び、該オーステナイト系ステンレス鋼からなるプレスプレートに関する。
また、本発明は、該オーステナイト系ステンレス鋼を用いたプレスプレートの製造方法、及び、該オーステナイト系ステンレス鋼からなるプレスプレートに関する。
プレスプレートとは、多層プリント配線板、化粧板、合板等の多層積層体をプレス成形により製造する際に、プレス機と多層積層体の間や多層積層体同士の間を仕切るために使用される厚さ数mm程度以下の平板の治具である。
例えば、多層プリント配線基板を製造する場合、銅張積層板(回路形成板)と接着用プリプレグ(薄板状樹脂)とを重ね合わせ、その上部、下部に銅箔を積層して積層体とし、積層体−プレス機間及び複数の積層体間にプレスプレートを介在させ、ホットプレス機により上下方向から、加熱、加圧することにより、複数の多層プリント配線板が同時に熱間プレス成形されている。
例えば、多層プリント配線基板を製造する場合、銅張積層板(回路形成板)と接着用プリプレグ(薄板状樹脂)とを重ね合わせ、その上部、下部に銅箔を積層して積層体とし、積層体−プレス機間及び複数の積層体間にプレスプレートを介在させ、ホットプレス機により上下方向から、加熱、加圧することにより、複数の多層プリント配線板が同時に熱間プレス成形されている。
プレスプレートには、以下に示すような特性が要求され、これらの特性の良否が多層積層体の品質を大きく左右する。
1.表面の平坦度に優れること。
2.硬いこと。
3.積層体表面に転写されるような表面欠陥がないこと。
1.表面の平坦度に優れること。
2.硬いこと。
3.積層体表面に転写されるような表面欠陥がないこと。
従来、多層プリント配線板用のプレスプレートを製造するための材料としては、SUS630鋼やSU420J2鋼等のマルテンサイト単相からなるマルテンサイト系ステンレス鋼や、準安定オーステナイト系ステンレス鋼において加工誘起マルテンサイトを生成させた加工硬化型オーステナイト系ステンレス鋼(特許文献1)等、マルテンサイト相により硬さを付与したステンレス鋼が使用されている。
前述のとおり、プレスプレートには、硬さと表面の平坦度の両立が求められる。例えば、多層プリント配線板製造用のプレスプレートの場合、400HV程度以上の表面硬さと、3mm程度以下の平坦度が求められる。
しかし、表面硬さ400HV以上という硬いステンレス鋼からなる鋼板は、調質圧延やテンションレベラー等による形状修正のみで十分に平坦化することは困難である。そのため、従来プレスプレートの材料として用いられているマルテンサイト系ステンレス鋼では、焼入れあるいは焼戻し工程で平坦度を確保することが必要とされ、製造工程の負担が大きいという問題がある。
しかし、表面硬さ400HV以上という硬いステンレス鋼からなる鋼板は、調質圧延やテンションレベラー等による形状修正のみで十分に平坦化することは困難である。そのため、従来プレスプレートの材料として用いられているマルテンサイト系ステンレス鋼では、焼入れあるいは焼戻し工程で平坦度を確保することが必要とされ、製造工程の負担が大きいという問題がある。
また、プレスプレートを多層プリント配線板の製造に用いる場合、プレスプレートは銅箔と直接接触することになるところ、従来プレスプレートの材料として用いられているマルテンサイト系ステンレス鋼の熱膨張係数は約11.0×10-6/℃であり、銅の熱膨張係数(約16.0×10-6/℃)と比較して小さい。そのため、従来材料を用いて製造したプレスプレートには、熱間プレス成形中に、銅箔がプレスプレートとの熱膨張差分の収縮応力を受け、破断したりシワが発生するという問題がある。
銅箔の破断やシワは、銅箔により形成される回路の短絡等の不具合を招き、多層プリント配線板の不良の原因となる。特に、近年、多層プリント配線板の高密度化に伴い、多層プリント配線板に積層される銅箔の厚みも薄くなる傾向にあり、熱間プレス成形中の銅箔の破断やシワ発生の問題がより深刻なものとなってきている。
銅箔の破断やシワは、銅箔により形成される回路の短絡等の不具合を招き、多層プリント配線板の不良の原因となる。特に、近年、多層プリント配線板の高密度化に伴い、多層プリント配線板に積層される銅箔の厚みも薄くなる傾向にあり、熱間プレス成形中の銅箔の破断やシワ発生の問題がより深刻なものとなってきている。
以上の問題点のうち、製造工程の負担が大きい点に対しては、テンションレベラー等による形状修正だけで高い平坦度を達成できるよう、プレスプレート材料を軟らかくすることが考えられる。オーステナイト相はマルテンサイト相と比較して軟質な組織であるため、プレスプレート材料として、オーステナイト比率の高いオーステナイト系ステンレス鋼を用いれば、プレスプレートの平坦度を高めることが容易になる。
また、銅箔との熱膨張差によるシワの発生の問題点に対しては、プレスプレート材料の熱膨張係数を銅と同程度の値にすることが考えられる。マルテンサイト組織を有するステンレス鋼の熱膨張係数は銅のそれより低い約11.0×10-6/℃であるのに対して、オーステナイト組織を有するステンレス鋼の熱膨張係数は約16.0×10-6/℃で銅の熱膨張係数とほぼ同等である。よって、プレスプレート材料として、マルテンサイトが少なく、オーステナイト比率の高いオーステナイト系ステンレス鋼を用いれば、熱膨張係数の低下を防ぎ、オーステナイト組織の熱膨張係数、すなわち、銅と同程度の熱膨張係数を維持することができる。
このように、平坦度、熱膨張係数の観点からは、プレスプレート材料として、マルテンサイトが少なく、オーステナイト比率の高いオーステナイト系ステンレス鋼を用いることが好ましい。
しかし、オーステナイト系ステンレス鋼において硬質なマルテンサイトを少なくし、軟質なオーステナイトの比率を高めると、今度は、もうひとつの重要な特性である硬さを満足するプレスプレートを製造することができなくなる。この点、ステンレス鋼にプレスプレートに要求されるレベルの硬さを付与する手段として、マルテンサイトの生成に代わる実用的な手段は現在のところ知られていない。
かかる事情の下、平坦度、熱膨張係数の点で前述のような不都合が伴うにもかかわらず、プレスプレート材料として、マルテンサイト相により硬さを付与したマルテンサイト系ステンレス鋼や加工硬化型オーステナイト系ステンレス鋼が使用され続けている。
しかし、オーステナイト系ステンレス鋼において硬質なマルテンサイトを少なくし、軟質なオーステナイトの比率を高めると、今度は、もうひとつの重要な特性である硬さを満足するプレスプレートを製造することができなくなる。この点、ステンレス鋼にプレスプレートに要求されるレベルの硬さを付与する手段として、マルテンサイトの生成に代わる実用的な手段は現在のところ知られていない。
かかる事情の下、平坦度、熱膨張係数の点で前述のような不都合が伴うにもかかわらず、プレスプレート材料として、マルテンサイト相により硬さを付与したマルテンサイト系ステンレス鋼や加工硬化型オーステナイト系ステンレス鋼が使用され続けている。
そこで、本発明の目的は、平坦度と硬さという両立困難な特性を兼ね備え、しかも、銅と同程度の熱膨張係数を有するプレスプレートを容易に製造することができる新たなプレスプレート材料を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するためにステンレス鋼について鋭意検討した結果、Siを1.0〜4.0質量%含有した特定の組成のオーステナイト系ステンレス鋼は、そのままでは軟質であるが、時効処理を施すことにより、ひずみ時効が起こり、飛躍的に硬化して、プレスプレートに求められる硬さを有するようになることを見出した。
そして、本発明者らは、このようなオーステナイト系ステンレス鋼を材料として用い、時効処理前の軟質な状態で形状修正し、その後時効処理を施してひずみ時効硬化させることにより、平坦度と硬さを両立するプレスプレートを製造することができることに到達した。
さらに、このようなオーステナイト系ステンレス鋼を用いて製造したプレスプレートは、マルテンサイト量が少なく、残部はオーステナイト鋼であるため、銅と同程度の熱膨張係数を有することが分かった。
そして、本発明者らは、このようなオーステナイト系ステンレス鋼を材料として用い、時効処理前の軟質な状態で形状修正し、その後時効処理を施してひずみ時効硬化させることにより、平坦度と硬さを両立するプレスプレートを製造することができることに到達した。
さらに、このようなオーステナイト系ステンレス鋼を用いて製造したプレスプレートは、マルテンサイト量が少なく、残部はオーステナイト鋼であるため、銅と同程度の熱膨張係数を有することが分かった。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
Si:1.0〜4.0質量%、Cr:10.0〜25.0質量%、Ni:5.0〜15.0質量%、C+N:0.3質量%以下(0質量%を含む)、Mn:5質量%以下(0質量%を含む)、Cu:5質量%以下(0質量%を含む)、Mo:5.0質量%以下(0質量%を含む)、残部:Fe及び不可避的不純物の組成を有し、以下の式(1)で表されるオーステナイト安定指標Md30(℃)が25以下であるプレスプレート用オーステナイト系ステンレス鋼板:
Md30(℃)=551−462(C+N)−9.2Si−8.1Mn−29(Ni+Cu)−13.7Cr−18.5Mo・・・(1)。
Si:1.0〜4.0質量%、Cr:10.0〜25.0質量%、Ni:5.0〜15.0質量%、C+N:0.3質量%以下(0質量%を含む)、Mn:5質量%以下(0質量%を含む)、Cu:5質量%以下(0質量%を含む)、Mo:5.0質量%以下(0質量%を含む)、残部:Fe及び不可避的不純物の組成を有し、以下の式(1)で表されるオーステナイト安定指標Md30(℃)が25以下であるプレスプレート用オーステナイト系ステンレス鋼板:
Md30(℃)=551−462(C+N)−9.2Si−8.1Mn−29(Ni+Cu)−13.7Cr−18.5Mo・・・(1)。
本発明のプレスプレート用オーステナイト系ステンレス鋼によれば、平坦度と硬さという従来両立困難であった2つの特性を兼ね備えたプレスプレートを容易に製造することができる。
また、本発明のオーステナイト系ステンレス鋼を用いて製造したプレスプレートは、銅と同程度の熱膨張係数を有するので、該プレスプレートを用いることにより、不良の少ない多層プリント配線板を製造することが可能となる。
また、本発明のオーステナイト系ステンレス鋼を用いて製造したプレスプレートは、銅と同程度の熱膨張係数を有するので、該プレスプレートを用いることにより、不良の少ない多層プリント配線板を製造することが可能となる。
以下に、本発明について具体的に説明する。
まず、本発明のオーステナイト系ステンレス鋼について説明する。
本発明においては、オーステナイト系ステンレス鋼の組成を特定の範囲に限定することにより、オーステナイト系ステンレス鋼を、マルテンサイトの生成が少なく、ひずみ時効により形状変化を伴うことなく飛躍的に硬化するものとしている。
まず、本発明のオーステナイト系ステンレス鋼について説明する。
本発明においては、オーステナイト系ステンレス鋼の組成を特定の範囲に限定することにより、オーステナイト系ステンレス鋼を、マルテンサイトの生成が少なく、ひずみ時効により形状変化を伴うことなく飛躍的に硬化するものとしている。
本発明のプレスプレート用オーステナイト系ステンレス鋼は、Si:1.0〜4.0質量%、Cr:10.0〜25.0質量%、Ni:5.0〜15.0質量%、C+N:0.3質量%以下(0質量%を含む)、Mn:5質量%以下(0質量%を含む)、Cu:5質量%以下(0質量%を含む)、Mo:5.0質量%以下(0質量%を含む)、残部:Fe及び不可避的不純物の組成を有し、以下の式(1)で表されるオーステナイト安定指標Md30(℃)が25以下である。
Md30(℃)=551−462(C+N)−9.2Si−8.1Mn−29(Ni+Cu)−13.7Cr−18.5Mo・・・(1)。
Md30(℃)=551−462(C+N)−9.2Si−8.1Mn−29(Ni+Cu)−13.7Cr−18.5Mo・・・(1)。
本発明のオーステナイト系ステンレス鋼において、Siの含有量は1.0〜4.0質量%である。Siは、一般的には、脱酸の目的で1.0質量%以下でステンレス鋼に添加されるが、本発明においては、このような目的に加え、時効処理によってオーステナイト相にひずみ時効硬化をもたらすために添加する。
プレスプレートに求められるレベルの硬さを付与するのに十分なひずみ時効硬化を起こすためには、Siの含有量は1.0質量%以上である必要がある。一方、過剰のSiはステンレス鋼の高温割れを誘発する。そこで、本発明においては、Siの含有量を1.0〜4.0質量%とする。
プレスプレートに求められるレベルの硬さを付与するのに十分なひずみ時効硬化を起こすためには、Siの含有量は1.0質量%以上である必要がある。一方、過剰のSiはステンレス鋼の高温割れを誘発する。そこで、本発明においては、Siの含有量を1.0〜4.0質量%とする。
本発明のオーステナイト系ステンレス鋼において、Crはステンレス鋼としての耐食性を確保するために必須の成分であるが、過剰にCrを含有すると高温でδフェライト相が多量に生成してしまう。そこで、本発明においては、Crの含有量を10.0〜25.0質量%とする。
本発明のオーステナイト系ステンレス鋼において、Niはオーステナイト相を生成させ、安定化させるために必須の成分である。しかし、Niの含有量が15.0質量%より多くなると、オーステナイト相が安定になりすぎる。そこで、本発明においては、Niの含有量を5.0〜15.0質量%とする。
マルテンサイトの生成の抑制の観点からは、Niの含有量は、8.0質量%以上であることがより好ましく、さらに好ましくは10.0質量%以上である。
マルテンサイトの生成の抑制の観点からは、Niの含有量は、8.0質量%以上であることがより好ましく、さらに好ましくは10.0質量%以上である。
本発明のオーステナイト系ステンレス鋼において、C、Nはオーステナイト相を安定化する働きをするが、過剰のC、Nは固溶強化によってオーステナイト相を硬質化して、形状修正による平坦化を困難にする。そこで、本発明においては、必要に応じてオーステナイト系ステンレス鋼はC、Nを含有していてもよいが、C、Nの含有量を、合わせて0.3質量%以下(0質量%を含む)とする。
本発明のオーステナイト系ステンレス鋼において、Mnはオーステナイト相を安定化する働きをするが、過剰のMnはステンレス鋼の耐食性を損なう。そこで、本発明においては、必要に応じてオーステナイト系ステンレス鋼にMnを添加してもよいが、Mnの含有量は5.0質量%以下(0質量%を含む)とする。
本発明のオーステナイト系ステンレス鋼において、Cuはオーステナイト相を安定化する働きをするが、過剰のCuは熱間加工性に悪影響を及ぼす。そこで、本発明においては、必要に応じてオーステナイト系ステンレス鋼にCuを添加してもよいが、Cuの含有量を5.0質量%以下(0質量%を含む)とする。
とする。
とする。
本発明のオーステナイト系ステンレス鋼において、Moは耐食性改善効果を示すが、過剰のMoはオーステナイト相を硬質化して、形状修正による平坦化を困難にする。そこで、本発明においては、必要に応じてオーステナイト系ステンレス鋼にMoを添加してもよいが、Moの含有量は5質量%以下(0質量%を含む)とする。
式(1)で表されるオーステナイト安定指標Md30(℃)は、加工誘起マルテンサイト変態の起こりやすさを表すパラメータであり、Md30(℃)の値が大きいほど、オーステナイトが不安定で、マルテンサイトが生成しやすくなる。
Md30(℃)が25以下となるようステンレス鋼の組成を設計することにより、加工誘起マルテンサイトの生成を抑制することができる。
さらに、Md30(℃)を−20以下に調整すると、工業的に採用されている圧延条件下では加工誘起マルテンサイトが生成しにくくなるので好ましい。Md30(℃)の値は、より好ましくは−90以下、さらに好ましくは−120以下である。
Md30(℃)が25以下となるようステンレス鋼の組成を設計することにより、加工誘起マルテンサイトの生成を抑制することができる。
さらに、Md30(℃)を−20以下に調整すると、工業的に採用されている圧延条件下では加工誘起マルテンサイトが生成しにくくなるので好ましい。Md30(℃)の値は、より好ましくは−90以下、さらに好ましくは−120以下である。
本発明においては、形状修正による平坦化の観点からは、プレスプレート用オーステナイト系ステンレス鋼の表面硬さは、400HV以下であることが好ましく、380HV以下であることがより好ましく、350HV以下であることがさらに好ましい。ここで、「表面硬さ」とは、ビッカース硬さをいう。
本発明のオーステナイト系ステンレス鋼においては、マルテンサイト量を30体積%以下とすることにより、このような表面硬さを達成することができる。ここで、「マルテンサイト量」とは、オーステナイト系ステンレス鋼中に存在する全マルテンサイト相のオーステナイト系ステンレス鋼全体に対する割合をいう。
本発明において、オーステナイト系ステンレス鋼のマルテンサイト量は、複雑な試行錯誤を行うことなく焼鈍や熱間、冷間圧延等の加工条件をわずかに調整することによって、簡単に、マルテンサイト量を30体積%以下とすることができる。
なお、オーステナイト系ステンレス鋼中のマルテンサイト量は、例えば、フェライトスコープを用いて測定試料表面のマルテンサイト相の量を測定することにより求めることができる。
本発明において、オーステナイト系ステンレス鋼のマルテンサイト量は、複雑な試行錯誤を行うことなく焼鈍や熱間、冷間圧延等の加工条件をわずかに調整することによって、簡単に、マルテンサイト量を30体積%以下とすることができる。
なお、オーステナイト系ステンレス鋼中のマルテンサイト量は、例えば、フェライトスコープを用いて測定試料表面のマルテンサイト相の量を測定することにより求めることができる。
次に、本発明のプレスプレートの製造方法について説明する。
本発明のオーステナイト系ステンレス鋼を用いて、以下の工程a〜cを経てプレスプレートを製造することができる。
a.本発明のオーステナイト系ステンレス鋼からなる鋼板を用意する工程、
b.工程aで用意した鋼板を形状修正する工程、
c.工程bで形状修正した鋼板を2枚の定盤の間に拘束した状態で350℃〜550℃で時効処理を施す工程。
本発明のオーステナイト系ステンレス鋼を用いて、以下の工程a〜cを経てプレスプレートを製造することができる。
a.本発明のオーステナイト系ステンレス鋼からなる鋼板を用意する工程、
b.工程aで用意した鋼板を形状修正する工程、
c.工程bで形状修正した鋼板を2枚の定盤の間に拘束した状態で350℃〜550℃で時効処理を施す工程。
工程aにおいて、本発明のオーステナイト系ステンレス鋼からなる鋼板を用意する方法に限定はなく、従来公知の方法に従って製造することができる。
例えば、原料成分を真空溶解炉等により溶解後鋳造し、必要に応じて熱間鍛造、熱間圧延した後、その板厚が目標の値となるまで焼鈍及び冷間圧延を繰り返すことによりオーステナイト単相又はマルテンサイト相が少量生成したオーステナイト系ステンレス鋼を製造することができる。
なお、鋳造方法に限定はないが、連続鋳造法を採用することが効率的である。また、焼鈍と冷間圧延との間に、焼鈍後のスケール除去を目的として酸洗工程を介在させることが好ましい。
例えば、原料成分を真空溶解炉等により溶解後鋳造し、必要に応じて熱間鍛造、熱間圧延した後、その板厚が目標の値となるまで焼鈍及び冷間圧延を繰り返すことによりオーステナイト単相又はマルテンサイト相が少量生成したオーステナイト系ステンレス鋼を製造することができる。
なお、鋳造方法に限定はないが、連続鋳造法を採用することが効率的である。また、焼鈍と冷間圧延との間に、焼鈍後のスケール除去を目的として酸洗工程を介在させることが好ましい。
工程bにおいて鋼板を形状修正する方法に限定はなく、例えば、テンションレベラー、ローラレベラー、ストレッチャー等を用いた公知の矯正方法によって表面が平坦になるように形状修正すればよい。
工程bにおいては、鋼板の平坦度が3mm以下となるように形状修正することが好ましい。
工程bにおいては、鋼板の平坦度が3mm以下となるように形状修正することが好ましい。
工程cにおいて、形状修正済みの鋼板を350〜550℃で時効処理することにより、オーステナイト系ステンレス鋼をひずみ時効硬化させ、プレスプレートとしての用途に求められる表面硬さを付与する。
時効処理温度は350〜550℃である。十分なひずみ時効硬化を起こさせるためには、400℃以上で時効処理を行うことが好ましく、420℃以上で時効処理を行うことがより好ましい。一方、430HV以上の表面硬さを得るという観点からは、時効処理温度は520℃以下であることが好ましく、より好ましくは500℃以下である。
また、処理時間に限定はなく、鋼板の表面硬さが必要な値に達するまで行う。通常は10分〜10時間程度であり、工業生産性を考慮すると1時間程度が好ましい。
また、処理時間に限定はなく、鋼板の表面硬さが必要な値に達するまで行う。通常は10分〜10時間程度であり、工業生産性を考慮すると1時間程度が好ましい。
本発明のオーステナイト系ステンレス鋼は、時効処理中に若干のマルテンサイト変態が起こり、形状が悪化する場合もある。
そのため、時効処理は、鋼板を2枚の定盤の間に拘束した状態で行う。このようにすることにより、工程bにおいて達成された良好な平坦度を保ったままの平坦な鋼板を得ることができる。ここで、使用する定盤としては、鋼板を拘束できる硬さを有し、平坦なものであれば限定はないが、例えば、厚さ1.0〜5.0mm程度で、鋼板よりも大きいサイズのステンレス鋼板等を好ましく用いることができる。
そのため、時効処理は、鋼板を2枚の定盤の間に拘束した状態で行う。このようにすることにより、工程bにおいて達成された良好な平坦度を保ったままの平坦な鋼板を得ることができる。ここで、使用する定盤としては、鋼板を拘束できる硬さを有し、平坦なものであれば限定はないが、例えば、厚さ1.0〜5.0mm程度で、鋼板よりも大きいサイズのステンレス鋼板等を好ましく用いることができる。
次に、本発明のプレスプレートについて説明する。
銅箔にシワや破断のない優れたプリント配線板を製造するためには、プレスプレートの熱膨張係数は銅と同程度でなければならない。
したがって、本発明において、プレスプレートの熱膨張係数は、14.5×10-6/℃以上であることが好ましく、15.0×10-6/℃以上であることがより好ましく、15.5×10-6/℃以上であることがさらに好ましい。
銅箔にシワや破断のない優れたプリント配線板を製造するためには、プレスプレートの熱膨張係数は銅と同程度でなければならない。
したがって、本発明において、プレスプレートの熱膨張係数は、14.5×10-6/℃以上であることが好ましく、15.0×10-6/℃以上であることがより好ましく、15.5×10-6/℃以上であることがさらに好ましい。
本発明のプレスプレートにおいては、マルテンサイト量を30体積%以下とすることにより、熱膨張係数を上記の値とすることができる。
本発明のオーステナイト系ステンレス鋼の熱膨張係数は、マルテンサイト量が22.0体積%の前後で急激に変化する。したがって、プレスプレートのマルテンサイト量は22.0体積%以下であることがより好ましい。
本発明のオーステナイト系ステンレス鋼の熱膨張係数は、マルテンサイト量が22.0体積%の前後で急激に変化する。したがって、プレスプレートのマルテンサイト量は22.0体積%以下であることがより好ましい。
本発明のプレスプレートは、ひずみ時効硬化によって十分な硬さが付与されているので、マルテンサイト量を0体積%まで低減してもよいが、プレスプレートの硬さが特に重視される場合には、マルテンサイト相による硬化も併用すべく、適度にマルテンサイトを生成させてもよい。
このように、本発明において、プレスプレートのマルテンサイト量は、硬さや熱膨張係数等を考慮して適宜決定することができる。
このように、本発明において、プレスプレートのマルテンサイト量は、硬さや熱膨張係数等を考慮して適宜決定することができる。
本発明においては、マルテンサイト量が30体積%より少ないオーステナイト系ステンレス鋼を材料として用いることにより、最終製品であるプレスプレートのマルテンサイト量を30体積%以下とすることができる。もっとも、プレスプレート製造中にもマルテンサイト変態は起こりうるので、この点を加味して、材料となるオーステナイト系ステンレス鋼のマルテンサイト量を決定することが必要である。
本発明において、プレスプレートの表面硬さは、400HV以上であることが好ましく、より好ましくは430HV以上である。
以下に実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されない。
i)プレスプレートの製造
1.鋼板の製造
表1のA〜Dで示す組成を有する共試材80tを、それぞれ、電気炉で真空溶解して、厚さ200mmの鋼塊に鋳造した。得られた鋼塊に熱間圧延を施して板厚3.0mmの熱延板を製造した。これらの熱延板に焼鈍を施し酸洗後、冷間圧延を施して板厚1.5mm、又は、1.0mmの冷延板を製造した。これらの冷延板に焼鈍を施して酸洗後、さらに、冷間圧延を施し、実施例又は比較例のオーステナイト系ステンレス鋼からなる板厚0.6mmの鋼板No.1〜8を得た。
2.時効処理
鋼板No.1〜8を500mm×500mmに切断し、600mm×600mm×20mm(厚さ)のステンレス鋼板2枚の間に挟み込んで拘束した状態で450℃の時効処理炉の中に1時間保持し、時効処理を施した。
i)プレスプレートの製造
1.鋼板の製造
表1のA〜Dで示す組成を有する共試材80tを、それぞれ、電気炉で真空溶解して、厚さ200mmの鋼塊に鋳造した。得られた鋼塊に熱間圧延を施して板厚3.0mmの熱延板を製造した。これらの熱延板に焼鈍を施し酸洗後、冷間圧延を施して板厚1.5mm、又は、1.0mmの冷延板を製造した。これらの冷延板に焼鈍を施して酸洗後、さらに、冷間圧延を施し、実施例又は比較例のオーステナイト系ステンレス鋼からなる板厚0.6mmの鋼板No.1〜8を得た。
2.時効処理
鋼板No.1〜8を500mm×500mmに切断し、600mm×600mm×20mm(厚さ)のステンレス鋼板2枚の間に挟み込んで拘束した状態で450℃の時効処理炉の中に1時間保持し、時効処理を施した。
ii)オーステナイト系ステンレス鋼の特性の評価
i)の1.で得た時効処理前の鋼板No.1〜8の表面硬さと、2.時効処理後の鋼板No.1〜8の表面硬さ、マルテンサイト量、熱膨張係数を表1に示す。
なお、表面硬さは、荷重98Nのビッカース硬度計を用いて、各試料につき5ヶ所測定し、その平均値をその試料の表面硬さとした。
また、マルテンサイト量は、振動型試料磁力計で磁気的性質である飽和磁化を求め、マルテンサイト量と飽和磁化量が比例することを利用して、その比率より算出した。 さらに、熱膨張係数は、示差式熱膨張計により20〜100℃での平均熱膨張係数を測定した。
i)の1.で得た時効処理前の鋼板No.1〜8の表面硬さと、2.時効処理後の鋼板No.1〜8の表面硬さ、マルテンサイト量、熱膨張係数を表1に示す。
なお、表面硬さは、荷重98Nのビッカース硬度計を用いて、各試料につき5ヶ所測定し、その平均値をその試料の表面硬さとした。
また、マルテンサイト量は、振動型試料磁力計で磁気的性質である飽和磁化を求め、マルテンサイト量と飽和磁化量が比例することを利用して、その比率より算出した。 さらに、熱膨張係数は、示差式熱膨張計により20〜100℃での平均熱膨張係数を測定した。
本発明の実施例のオーステナイト系ステンレス鋼からなる鋼板No.1〜4は、時効処理前においては、表面硬さが319〜385(HV)であり、形状修正により容易に平坦化できるものであった。
そして、鋼板No.1〜4は、時効処理を施すことにより表面硬さが50〜70(HV)と大幅に増加し、プレスプレートに求められるレベルの硬度にまで硬化させることができた。
さらに、鋼板No.1〜4の時効処理後のマルテンサイト量は、0.3〜23.0体積%と少なく、その結果、これらの熱膨張係数は銅と同程度の値であった。
そして、鋼板No.1〜4は、時効処理を施すことにより表面硬さが50〜70(HV)と大幅に増加し、プレスプレートに求められるレベルの硬度にまで硬化させることができた。
さらに、鋼板No.1〜4の時効処理後のマルテンサイト量は、0.3〜23.0体積%と少なく、その結果、これらの熱膨張係数は銅と同程度の値であった。
比較例のオーステナイト系ステンレス鋼からなる鋼板No.5〜8は、いずれも、時効処理によって表面硬さはあまり増加しなかった。
そのため、鋼板No.5〜7は、表面硬さが330〜387(HV)であり、形状修正により容易に平坦化できるものであったが、時効処理後の表面硬さはプレスプレートに求められるレベルに達しなかった。
一方、鋼板No.8は、時効処理後の表面硬さは必要な値に達したが、この硬さはマルテンサイト相により付与されたものであり、時効処理後のマルテンサイト量が多かった。そのため、熱膨張係数が14.5×10-6(/℃)と小さかった。また、時効処理前の表面硬さも447(HV)と高いため、形状修正が困難なものであって、プレスプレートの製造には適していなかった。
そのため、鋼板No.5〜7は、表面硬さが330〜387(HV)であり、形状修正により容易に平坦化できるものであったが、時効処理後の表面硬さはプレスプレートに求められるレベルに達しなかった。
一方、鋼板No.8は、時効処理後の表面硬さは必要な値に達したが、この硬さはマルテンサイト相により付与されたものであり、時効処理後のマルテンサイト量が多かった。そのため、熱膨張係数が14.5×10-6(/℃)と小さかった。また、時効処理前の表面硬さも447(HV)と高いため、形状修正が困難なものであって、プレスプレートの製造には適していなかった。
そして、本発明の鋼板No.3と比較例である鋼板No.6とを比較すると、両者の時効処理後の表面硬さは同程度であったが、本発明の鋼板No.3の方がより少ないマルテンサイト量でこのような表面硬さを達成していた。その結果、本発明の鋼板No.3の方がより銅に近い熱膨張係数を有していた。
また、本発明の鋼板No.4と比較例である鋼板No.7とを比較すると、両者のマルテンサイト量は同程度であったが、本発明の鋼板No.4の方が、より大きい時効処理後の表面硬さを有していた。
以上より、本発明のオーステナイト系ステンレス鋼によれば、従来のプレスプレート材料と比較して、表面硬さと平坦度と熱膨張係数をバランスよく兼ね備えたプレスプレートを製造できることが確認できた。
また、本発明の鋼板No.4と比較例である鋼板No.7とを比較すると、両者のマルテンサイト量は同程度であったが、本発明の鋼板No.4の方が、より大きい時効処理後の表面硬さを有していた。
以上より、本発明のオーステナイト系ステンレス鋼によれば、従来のプレスプレート材料と比較して、表面硬さと平坦度と熱膨張係数をバランスよく兼ね備えたプレスプレートを製造できることが確認できた。
本発明のオーステナイト系ステンレス鋼は、これを形状修正して時効処理を施すだけで、研磨等の特別な処理を施すことなく、優れた表面硬さと平坦度を兼ね備えた鋼板を製造することができるので、各種プレスプレートの製造に好適に用いることができる。
特に、本発明のオーステナイト系ステンレス鋼は、銅と同等の熱膨張係数を有し、3mm以下という極めて高い平坦度を有する板を製造することができるので、多層プリント配線板製造用プレスプレートの製造に適している。
特に、本発明のオーステナイト系ステンレス鋼は、銅と同等の熱膨張係数を有し、3mm以下という極めて高い平坦度を有する板を製造することができるので、多層プリント配線板製造用プレスプレートの製造に適している。
Claims (8)
- Si:1.0〜4.0質量%、Cr:10.0〜25.0質量%、Ni:5.0〜15.0質量%、C+N:0.3質量%以下(0質量%を含む)、Mn:5質量%以下(0質量%を含む)、Cu:5質量%以下(0質量%を含む)、Mo:5.0質量%以下(0質量%を含む)、残部:Fe及び不可避的不純物の組成を有し、以下の式(1)で表されるオーステナイト安定指標Md30(℃)が25以下であるプレスプレート用オーステナイト系ステンレス鋼板:
Md30(℃)=551−462(C+N)−9.2Si−8.1Mn−29(Ni+Cu)−13.7Cr−18.5Mo・・・(1)。 - 表面硬さが、400HV未満である請求項1に記載のプレスプレート用オーステナイト系ステンレス鋼。
- 以下の工程a〜cをこの順で含むプレスプレートの製造方法:
a.請求項1又は2に記載のオーステナイト系ステンレス鋼からなる鋼板を用意する工程
b.工程aで用意した鋼板を形状修正する工程、
c.工程bで形状修正した鋼板を2枚の定盤の間に拘束した状態で350℃〜550℃で時効処理を施す工程。 - 請求項1又は2に記載のオーステナイト系ステンレス鋼からなるプレスプレート。
- 熱膨張係数が、14.5×10-6/℃以上である請求項4に記載のプレスプレート。
- マルテンサイト量が、30体積%以下(0体積%を含む)である請求項4又は5に記載のプレスプレート。
- 表面硬さが、430HV以上である請求項4〜6いずれか1項に記載のプレスプレート。
- 多層プリント配線板製造用である請求項4〜7いずれか1項に記載のプレスプレート。
Priority Applications (4)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007144839A JP2008297601A (ja) | 2007-05-31 | 2007-05-31 | プレスプレート用オーステナイト系ステンレス鋼 |
TW097116380A TW200912016A (en) | 2007-05-31 | 2008-05-02 | Austenite stainless steel plate for pressboard |
KR1020080050347A KR20080106067A (ko) | 2007-05-31 | 2008-05-29 | 프레스 플레이트용 오스테나이트계 스테인리스강 |
CNA2008101081744A CN101314836A (zh) | 2007-05-31 | 2008-05-30 | 压板用奥氏体系不锈钢板 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007144839A JP2008297601A (ja) | 2007-05-31 | 2007-05-31 | プレスプレート用オーステナイト系ステンレス鋼 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2008297601A true JP2008297601A (ja) | 2008-12-11 |
Family
ID=40105981
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2007144839A Withdrawn JP2008297601A (ja) | 2007-05-31 | 2007-05-31 | プレスプレート用オーステナイト系ステンレス鋼 |
Country Status (4)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2008297601A (ja) |
KR (1) | KR20080106067A (ja) |
CN (1) | CN101314836A (ja) |
TW (1) | TW200912016A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP2799569A4 (en) * | 2011-12-28 | 2016-03-09 | Posco | High-strength austenitic stainless steel and method of production thereof |
CN110885951A (zh) * | 2019-11-25 | 2020-03-17 | 南通市腾飞金属铸造有限公司 | 一种炉排配方 |
Families Citing this family (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5110073B2 (ja) * | 2009-12-11 | 2012-12-26 | Jfeスチール株式会社 | 熱間プレス部材およびその製造方法 |
DE102010045221B4 (de) * | 2010-09-13 | 2017-10-05 | Daimler Ag | Stahlkolben für Verbrennungsmotoren |
US9421741B2 (en) * | 2012-07-10 | 2016-08-23 | Neomax Materials Co., Ltd. | Chassis and method for manufacturing chassis |
CN104831188B (zh) * | 2015-03-30 | 2016-08-24 | 北京中科普金特种材料技术发展有限公司 | 一种304型抗菌不锈钢板带材的热处理方法 |
CN106957996B (zh) * | 2017-04-27 | 2018-11-06 | 东北大学 | 一种含Sn超级奥氏体不锈钢冷轧板的制备方法 |
CN111867239B (zh) * | 2019-04-24 | 2021-08-27 | 广东生益科技股份有限公司 | 覆铜层压板和印制电路板 |
-
2007
- 2007-05-31 JP JP2007144839A patent/JP2008297601A/ja not_active Withdrawn
-
2008
- 2008-05-02 TW TW097116380A patent/TW200912016A/zh unknown
- 2008-05-29 KR KR1020080050347A patent/KR20080106067A/ko not_active Application Discontinuation
- 2008-05-30 CN CNA2008101081744A patent/CN101314836A/zh active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP2799569A4 (en) * | 2011-12-28 | 2016-03-09 | Posco | High-strength austenitic stainless steel and method of production thereof |
CN110885951A (zh) * | 2019-11-25 | 2020-03-17 | 南通市腾飞金属铸造有限公司 | 一种炉排配方 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
KR20080106067A (ko) | 2008-12-04 |
CN101314836A (zh) | 2008-12-03 |
TW200912016A (en) | 2009-03-16 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP2008297601A (ja) | プレスプレート用オーステナイト系ステンレス鋼 | |
CN110536971B (zh) | 无方向性电磁钢板的制造方法、马达铁芯的制造方法和马达铁芯 | |
KR101177540B1 (ko) | 가공성이 우수한 오스테나이트계 고Mn 스텐레스강 | |
JP6601646B2 (ja) | 無方向性電磁鋼板の製造方法とモータコアの製造方法ならびにモータコア | |
KR102173302B1 (ko) | 비자성 오스테나이트계 스테인리스강 및 그 제조방법 | |
JP6598007B2 (ja) | Fe−Ni系合金薄板の製造方法 | |
KR20150121061A (ko) | 오스테나이트계 스테인리스 강판 및 이를 사용한 고탄성한계 비자성 강재의 제조 방법 | |
WO2016047734A1 (ja) | オーステナイト系ステンレス鋼板およびその製造方法 | |
WO2017154981A1 (ja) | マルテンサイト系ステンレス鋼箔およびその製造方法 | |
CN107109603A (zh) | 屈服强度和冲击韧性优异的超级双相不锈钢及其制造方法 | |
JP2008038191A (ja) | オーステナイト系ステンレス鋼とその製造方法 | |
JP2017133100A (ja) | 無方向性電磁鋼板およびその製造方法 | |
JP2018003139A (ja) | ステンレス鋼 | |
JP2011012334A (ja) | フォトエッチング加工用ステンレス鋼板およびその製造方法 | |
JP6500389B2 (ja) | 熱延鋼板の製造方法 | |
JP2008274407A (ja) | 建材用極薄冷延鋼板およびその製造方法 | |
JP6146582B2 (ja) | 無方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JP4479053B2 (ja) | 高強度かつ平坦性に優れたステンレス鋼板とその製造方法 | |
JP6111109B2 (ja) | 時効硬化特性に優れた低Niオーステナイト系ステンレス鋼板およびその製造方法 | |
KR101668533B1 (ko) | 표면 품질이 우수한 듀플렉스 스테인리스강 | |
KR101641798B1 (ko) | 마르텐사이트계 스테인리스강 및 그 제조 방법 | |
JPS62238333A (ja) | ウエハスライサ用極薄オ−ステナイト系ステンレス鋼板の製造方法 | |
JP5668379B2 (ja) | 方向性電磁鋼板およびその製造方法 | |
JPH08269636A (ja) | プレスプレート用ステンレス鋼およびその製造方法 | |
KR101435704B1 (ko) | 페라이트계 스테인리스강의 연연속 제조방법 및 이를 이용하여 제조된 페라이트계 스테인리스강 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20100803 |