JP2008297415A - プラスチックフィルムおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】両面にコロナ処理を施したプラスチックフィルムであっても、ワインダーで巻き取った後にブロッキングを起こすことがなく、したがってそのフィルムを支障なくスリット工程に供することができるようにする。
【解決手段】プラスチックフィルムであって、幅2000mm〜5000mmに形成されるとともに、両面にコロナ処理が施され、少なくとも片面における幅方向の両端部にコロナ処理の非処理部分がそれぞれ形成されている。両面がコロナ処理されたプラスチックフィルムの製造方法であって、幅2000mm〜5000mmのプラスチックフィルムの少なくとも片面における幅方向の両端部に、コロナ処理の非処理部分をそれぞれ形成する。
【選択図】なし

Description

本発明はプラスチックフィルムおよびその製造方法に関し、特に、両面にコロナ処理を施したプラスチックフィルムおよびその製造方法に関する。
プラスチックフィルムのシート表面を活性化して、印刷インキ、剥離剤、接着剤等の塗工の際や、金属蒸着に代表される蒸着の際における接着性(濡れ性)を改良することで、2次加工を効果的に施すことを目的とした、プラスチックフィルムの表面処理手段として、コロナ放電処理が広く知られている。
一方、ポリアミド樹脂からなるポリアミドフィルムは、機械的特性、光学的特性、熱的特性、ガスバリア性、強靭性などに優れているため、印刷、蒸着、コーティングなどの2次加工を施したり、シーラントフィルムなどの他のプラスチックフィルムや金属箔とラミネートした積層フィルムとしたりして、包装用途、特に食品包装用途を主体に、広く使用されている。
たとえばボイル・レトルト用途に用いられるポリエステルフィルム/ポリアミドフィルム/シーラントフィルムの構成の積層フィルムの場合は、中間層として使用されるポリアミドフィルムとして、その両面にコロナ処理が施されたものが好んで使用される。
一般的なプラスチックフィルムの製造方法によると、コロナ処理は、未延伸フィルムを同時延伸または逐次延伸し熱固定する工程と、その後にフィルムをワインダーで原反ロールとして巻き取る工程との間で施される。両面にコロナ処理を施す場合は、一方の面にコロナ処理を施し、次いでもう一方の面にコロナ処理を施す。得られた原反ロールは、スリット工程に移され、所望の幅、長さに裁断された後、製品ロールとして出荷される。
しかしながら、両面にコロナ処理が施されていると、ロールとして巻き取られたときに、コロナ処理により活性化された表面同士が接触するため、しばしば原反ロールにおいてフィルム同士がブロッキングしてしまい、スリット加工にて巻き出すことができなくなるという不具合が発生することがある。
このような不具合は、両面蒸着用ポリプロピレンフィルムにおいても見られる。その対策として、特許文献1、2には、両面にコロナ処理を施したポリプロピレンフィルムであって、ブロッキング性が改良されたものが開示されている。そのうち、特許文献1では、フィルム表面に特定の径の突起を形成してブロッキングを抑制している。また、特許文献2では、カルボニル基を含まない酸化防止剤を添加することにより、反応性を低くしてブロッキングを抑制している。
しかし、もとより官能基を多く含有するポリアミドフィルムやポリエステルフィルムにおいては、上述の改良を適用してもその効果は十分ではない。
特開2001−2805号公報 特開2002−234958号公報
本発明は、上記問題を解決して、両面にコロナ処理を施したプラスチックフィルムであっても、ワインダーで巻き取った後にブロッキングを起こすことがなく、したがって支障なくスリット工程に供することができるプラスチックフィルムおよびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、両面にコロナ処理したプラスチックフィルムは、通常幅が2000mmおよびそれを超えている原反ロールではブロッキングが起こりやすく、それに対し、スリットにより幅が500mm程度〜2000mm未満に裁断された通常の製品ロールではブロッキングがほとんど発生しない事実に着目し、その理由を次のように推定した。
幅の広いフィルムを製造するとき、通常、フィルムを完全にフラットにすることは困難であり、後述するたるみが発生する。たるみのあるフィルムを巻き取ると幅方向に張力のばらつきが生じ、その結果、部分的に巻き硬度が高くなってしまう。両面コロナフィルムを部分的に巻き硬度が高くなった状態に巻き取ると、ブロッキングが発生する。
一方、2000mm未満の幅に裁断されている製品ロールは、上記のたるみが相対的に小さくなること、原反ロールに比べて巻長が短いこと、コロナ処理を施してから時間が経過していることなどがあいまって、ブロッキングが発生しにくくなると考えられる。
そこで本発明者は、鋭意検討を重ねた結果、プラスチックフィルムを中だるみ状に製膜し、両面にコロナ処理するに際し、少なくともフィルム片面における幅方向の両端部に非処理部分を形成して巻き取ることにより、上記の目的を達成し得ることを見いだして、本発明に到達した。
すなわち、本発明の要旨は、下記のとおりである。
(1)幅2000mm〜5000mmに形成されるとともに、両面にコロナ処理が施され、少なくとも片面における幅方向の両端部にコロナ処理の非処理部分がそれぞれ形成されていることを特徴とするプラスチックフィルム。
(2)たるみ量が0.5〜2.0であることを特徴とする(1)のプラスチックフィルム。
(3)濡れ張力が両面ともに44〜52mN/mであることを特徴とする(1)または(2)のプラスチックフィルム。
(4)ポリアミドフィルムであることを特徴とする(1)から(3)までのいずれかのプラスチックフィルム。
(5)両面がコロナ処理されたプラスチックフィルムの製造方法であって、幅2000mm〜5000mmのプラスチックフィルムの少なくとも片面における幅方向の両端部に、コロナ処理の非処理部分をそれぞれ形成することを特徴とするプラスチックフィルムの製造方法。
(6)プラスチックフィルムのたるみ量を0.5〜2.0とすることを特徴とする(5)のプラスチックフィルムの製造方法。
(7)プラスチックフィルムの濡れ張力を両面ともに44〜52mN/mとすることを特徴とする(5)または(6)のプラスチックフィルムの製造方法。
(8)プラスチックフィルムがポリアミドフィルムであることを特徴とする(5)から(7)までのいずれかのプラスチックフィルムの製造方法。
本発明によれば、プラスチックフィルムが、幅2000mm〜5000mmに形成されるとともに、両面にコロナ処理が施され、少なくとも片面における幅方向の両端部にコロナ処理の非処理部分がそれぞれ形成されているものであるため、原反ロールでのブロッキングが起こりにくくなり、したがって、両面にコロナ処理を施すことにより中使いに適したプラスチックフィルムを得ることができる。
以下、本発明を具体的に説明する。
本発明において、コロナ処理を施されたプラスチックフィルムは、公知の方法で製造することができる。たとえば、Tダイから溶融ポリマーを押し出した後、キャスティングロールで冷却して未延伸シートを作製し、これを同時2軸延伸、または、逐次2軸延伸する。延伸後のフィルムは、寸法安定性を良くするために、200℃前後の温度で短時間の熱処理が施される。
本発明のプラスチックフィルムの幅は2000mm〜5000mmであることが必要であり、好ましくは3000mm〜4500mmである。プラスチックフィルムの幅が2000mm未満では、ブロッキングは生じにくくなるが、工業生産においては、スリット工程にて所望の幅に裁断する自由度が低くなるため、生産性に劣りコスト高となる。反対に、プラスチックフィルムの幅が5000mmを超えると、延伸応力が高くなりすぎて延伸工程でフィルムが破断しやすくなり、たとえ延伸できたとしても相対的にたるみが大きくなる結果ブロッキングを起こしやすくなる。
本発明においては、フィルムはその両面にコロナ処理を施したものであることが必要である。コロナ処理を施さないものであったり、片面のみにコロナ処理を施したものであったりした場合は、ブロッキングの問題が生じないためである。
本発明に用いることができるコロナ放電装置は、フィルムが巻き掛けられるコロナ処理ロールと、このコロナ処理ロールにおけるフィルムが巻き掛けられている部分に向かい合って設けられたコロナ放電用電極とを有する。コロナ放電用電極は、トルクチューブに取り付けられるとともに、発振器からの周波数の高い高圧の交流電力の供給を受けることができるように構成されている。そしてコロナ放電装置は、フィルムの両面を処理できるように少なくとも2箇所に設置される。
コロナ処理ロールは、金属ロールの周囲にゴム層が形成された構成とされ、フィルムに均一なコロナ処理を施せるように、特定の誘電率と、耐電圧と、耐熱性とを有するように構成されている。
本発明においては、プラスチックフィルムにおける幅方向の両端部の少なくとも片面に、非コロナ処理部分を作成することが必要である。両端部の両面に非コロナ処理部分を作成するのが好ましい。非処理部分の幅は、特に限定されないが、10mm〜100mmが好ましく、20mm〜50mmがさらに好ましい。非処理部分の幅が100mmを超えると、両面コロナ処理された製品となる部分が減少し、生産収率が悪化するため好ましくない。非処理部分の幅が10mm未満の場合は、フィルムの幅方向の端部でブロッキングが発生しやすくなる。
非処理部分を作成するには、電極をフィルム幅より短くしたり、電極におけるフィルムの端部に相当する部分を絶縁体でマスキングしたりすればよい。マスキングに用いる絶縁体としては、合成品としては、各種のセラミック、ガラス、合成樹脂、合成ゴムなど挙げられ、天然品としては、ゴム系材料、天然樹脂、油脂、石油系物質(パラフィン、ワックス等)などが挙げられる。しかし、特に限定するものではない。電極の部分をマスキングするための被覆方法には、蒸着、塗布、絶縁体テープの貼付などがある。これらは特に限定するものではないが、種々のフィルム幅に対応するために、電極に対し絶縁体テープを任意の幅で貼付するのが好ましい。
次にフィルムのたるみについて説明する。テンター法により延伸されたフィルムは、ボーイング現象に起因する幅方向の物性差が潜在している。特に収縮応力の緩和が不十分であると、幅方向の位置によって収縮量に差異が現れ、結果として幅方向におけるフィルムの長さが異なり、フィルムのフラット性が悪くなったたるみとして観察される。たるみを定量化するときには、ロール状に巻き取られたフィルムの表層を幅方向に切り開いて展開する。すると、フィルムは巻取り時の張力から解放されてたるみが復元するので、幅方向の任意の位置で流れ方向すなわち周方向の長さを測定すると、測定位置によってその長さが異なる。このとき、その測定した長さの最大値と最小値からたるみ量を次のように定義する。
たるみ量=(最大値−最小値)÷最大値×1000
たるみ量は、熱固定されたフィルムの冷却速度によりコントロールすることができる。すなわち、フィルムの冷却速度を遅くすることにより、収縮応力の緩和が進みたるみ量は小さくなる。逆にフィルムの冷却速度が速いと、収縮応力の緩和が不十分となりたるみ量が大きくなる。
また、流れ方向の長さが最大値をとる位置が、フィルムの幅方向に中央から80%以内にあるときは、その形状を中だるみであるという。そうでない場合は、中吊りと表現する。
本発明において、プラスチックフィルムは中だるみ形状であるのが好ましい。中だるみでない場合は、フィルムの幅方向に沿った中央部付近がブロッキングしやすく、両端部を非コロナ処理としたことによる効果が得られにくい。
たるみ量は、0.5〜2.0であるのが好ましい。たるみ量が0.5未満であると、フィルムの平面性は優秀であるが、両端部非処理の効果が小さくなり、ブロッキングしやすくなる。たるみ量が2.0を超えると、原反にシワが入ったり、スリット後の製品ロールにおいても2次加工で種々の不具合が生じたりする。
本発明において、コロナ処理は、プラスチックフィルムの濡れ張力が44〜52mN/mになるよう調整するのが好ましい。さらに好ましくは46〜50mN/mである。コロナ処理度を適宜調節することにより、上記範囲の濡れ張力を達成できる。濡れ張力が52mN/mを超えると、ブロッキングしやすくなったりフィルムが劣化したりする。44mN/m未満の場合は、2次加工後の密着性が劣り、ボイル・レトルト時に積層フィルムに剥離が生じるなどの不具合が発生しやすくなる。
本発明において、プラスチックフィルムとしては、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂等を主成分とするフィルムを挙げることができる。なかでも、ポリアミド樹脂を主成分とするフィルムであることが好ましい。ポリアミド樹脂としては、3員環以上のラクタム、重合可能なω−アミノ酸、二塩基酸とジアミンなどの重縮合によって得られるポリアミド樹脂を用いることが出来る。具体的には、ε−カプロラクタム、アミノカプロン酸、エナントラクタム、7−アミノヘプタン酸、11−アミノウンデカン酸、9−アミノノナン酸、α−ピロリドン、α−ピペリドンなどの重合体や;ヘキサメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、メタキシリレンジアミンなどのジアミンと、テレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、セバチン酸、ドデカン二塩基酸、グルタール酸などのジカルボン酸との塩を重縮合せしめて得られる重合体や;これらの共重合体などが挙げられる。例えば、ナイロン4、6、7、8、11、12、6・6、6・10、6・11、6・12、6T、6/6・6、6/12、6/6T、6I/6Tなどが挙げられる。機械的特性や熱的特性に優れる点から、包装用ポリアミドフィルムでは、ナイロン6を主成分としたものが好適である。
さらに、必要に応じて、通常配合される各種の添加剤および改質剤、例えば、滑材、耐熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、粘着性付与剤、シール性改良剤、防曇剤、結晶核剤、離型剤、可塑剤、架橋剤、難燃剤、着色剤(顔料、染料など)などを配合してもよい。
また、機能性を付与することを目的として、インラインコート延伸技法を用いて、未延伸のポリアミドフィルムに帯電防止剤、接着改良組成物、バリア性樹脂等をコートした後、これを延伸することもできる。
また、ポリアミドフィルムは、単層フィルムであってもよいし、表層がポリアミドであれば共押出の積層フィルムであってもよい。
以下に、本発明を実施例によって具体的に説明する。ただし、本発明は、その要旨を逸脱しない限りこれらに限定されるものではない。
なお、フィルムの各物性は、以下に示す方法によって求めた。
(1)濡れ張力:JIS K6768に従い、測定した。
(2)たるみ量:直径600mm以上に巻き取った原反ロールの表層を幅方向に切り開いて展開し、巻取り時の張力から解放してたるみを復元させたうえで、幅方向に50mmピッチで、周方向の長さをそれぞれ測定した。その最大値と最小値から、次式によりたるみ量を求めた。
たるみ量=(最大値−最小値)÷最大値×1000
(3)ブロッキング
原反ロールからフィルムを巻き出してスリットする際の、原反ロールからのフィルムの剥離状況を観察し、以下の判定基準で判定した。
○:剥離音がなく、容易に巻き出すことができた。
△:剥離音が認められるが、フィルムが破れることなく巻き出すことができた。
×:フィルムが破れて原反ロールから巻き出すことができなかった。
(4)ラミネート強度(実施例1〜9、比較例2):幅800mmにスリットしたポリアミドフィルムの一方の面に、ドライラミネート用ポリウレタン系接着剤(武田薬品工業社製、A515/A50)を4〜5g/m塗工し、ポリエステルフィルム(ユニチカ社製、PET−12、12μm)を、ドライラミネート法(温度80℃、圧力490kPa)によりラミネートした。次いで、もう一方の面に、同様にしてドライラミネート用未延伸ポリプロピレン(東セロ社製、RXC−18、60μm)をラミネートし、ポリエステル/ポリアミド/ポリプロピレンフィルム構成の積層体を得た。
幅15mmに裁断したフィルム積層体を試料として用い、20℃×65%RHの環境下にて、T型剥離法により引張速度300mm/minの速度で剥離し、ラミネート強度を測定した。このとき、ポリエステル/ポリアミドのラミネート強度と、ポリアミド/ポリプロピレンのラミネート強度とを、それぞれ測定した。なお、ポリエステル/ポリアミドは2N/cmおよびそれを超える値、ポリアミド/ポリプロピレンは4N/cmおよびそれを超える値であるのが、包装用フィルムとしてきわめて適切である。
実施例1
押出機およびTダイを用いて、ユニチカ社製ナイロン6(グレードA1030BRF)を温度235℃で溶融して未延伸シートとして押し出し、表面温度を15℃に温調した冷却ドラム上で密着させて冷却し、150μmの厚みの未延伸シートを得た。
得られたシートを70℃に温調した温水槽に送り、1分間の調湿処理を施した。その後、シートにおける幅方向の両端部をフラット式同時2軸延伸機のクリップに把持させ、195℃の条件下、縦3.0倍、横3.3倍の延伸倍率で同時2軸延伸を施した。その後、横方向の弛緩率を5%として、200℃で3秒間の熱処理を施した。そして、フィルムを150℃で2秒間冷却して引取り機で引取り、フィルムの幅方向の両端部におけるクリップの掴み代をカットした。カットすることにより得られたポリアミドフィルムの幅は、3500mmであった。次に、コロナ放電電極におけるフィルム幅方向の両端部に相対する場所を絶縁テープでマスキングし、幅方向の両端部をそれぞれ30mm残してポリアミドフィルムの表側の第1面にコロナ処理を施し、同様に裏側の第2面にもコロナ処理を施した。コロナ処理の条件は、空気雰囲気下、フィルムと電極との間隔を1mmとし、処理電力を20W・min/mとした。続いてワインダーで巻取り、厚さが15μmのポリアミドフィルムを得た。得られたフィルムについて、熱固定されたフィルムの冷却速度にもとづくたるみ量、コロナ処理の度合いにもとづく濡れ張力、ブロッキング性能、ラミネート強度を測定した結果を表1に示す。
Figure 2008297415
実施例2〜9、比較例1〜3
フィルム幅、コロナ非処理部の幅、たるみ量を、表1に示すように変更した。また、実施例5では180℃で2秒間の冷却とし、実施例6では100℃で2秒間の冷却とした。実施例7では、フィルム中央部を180℃、フィルム端部を150℃で、それぞれ2秒間冷却した。実施例8では第2面のコロナ処理電力を30W・min/mとし、実施例9では第1面のコロナ処理電力を15W・min/mとした。それ以外は実施例1と同様にして、フィルムを得た。得られたポリアミドフィルムのたるみ量、濡れ張力、ブロッキング性能、ラミネート強度を測定した結果を、表1に示す。
実施例10
押出機およびTダイを用いて、ユニチカ社製ポリエチレンテレフタレート(融点256℃、固有粘度0.67)を温度270℃で溶融して未延伸シートとして押し出し、表面温度を20℃に温調した冷却ドラム上で密着させて冷却し、240μmの厚みの未延伸シートを得た。
得られたシートを85℃に温調した周速の異なるロール間で縦方向に4倍に延伸し、その後、シートの幅方向の両端部をフラット式延伸機のクリップに把持させ、120℃の条件下、横方向に5倍の延伸倍率で延伸を施した。その後、横方向の弛緩率を2%として、230℃で3秒間の熱処理を施した。そして、フィルムを180℃で2秒間冷却して引取り機で引取り、フィルムの両端部におけるクリップの掴み代をカットした。このときフィルムの幅は4500mmであった。次に、コロナ放電電極におけるフィルム両端部に相対する場所を絶縁テープでマスキングし、幅方向の両端部をそれぞれ30mm残してポリアミドフィルムの表面にコロナ処理を施し、同様に裏面にもコロナ処理を施した。コロナ処理の条件は、空気雰囲気下、フィルムと電極との間隔を1mmとし、処理電力は、第1面を20W・min/mとし、第2面を25W・min/mとした。
続いてワインダーで巻取り、厚さが12μmのポリエステルフィルムを得た。ラミネート強度については、ポリアミド/ポリエステル/ポリプロピレン構成に変更した積層フィルムで、ポリアミド/ポリエステル、ポリエステル/ポリプロピレンのラミネート強度を測定した。ポリアミドフィルムには、ユニチカ社製ON−15、15μmを用いた。ポリプロピレンフィルムには、東セロ社製RXC−18、60μmを用いた。ラミネートは、ドライラミネート用ポリウレタン系接着剤(武田薬品工業社製、A515/A50)を用い、温度80℃、圧力490kPaでドライラミネートすることにより実施した。
得られたラミネートフィルムについて、たるみ量、濡れ張力、ブロッキング性能、ラミネート強度を測定した結果を表1に示す。ラミネート強度は、T型剥離法によって引張速度300mm/minで測定した。
実施例1〜5、実施例8および実施例10のものは、ブロッキングを起こすことなく、しかもラミネート強度の高いポリアミドフィルムであった。ただし、実施例4のものは、非コロナ処理部を広くしたため、製品となる両面コロナ部分の割合が低く、若干コスト高であった。
実施例6のものも、ブロッキングを起こすことなく、しかもラミネート強度の高いポリアミドフィルムであった。ただし、たるみ量が大きかったために、原反に若干のしわが入っていた。
実施例7のものは、たるみの形状が中吊りであったが、外部環境の影響を受けやすい端部にコロナ処理の非処理部を形成したため、フィルム巻きだし時にブロッキングによる破れが生じることはなかった。
実施例9のものは、コロナ処理度が低かったため、ブロッキングを起こすことはなかったものの、ラミネート強度がやや低かった。
比較例1のものは、フィルムの幅方向の端部に非処理部を作らなかったため、原反でブロッキングが発生してしまった。このため、ラミネートに供することができなかった。
比較例2のものは、原反の幅が狭過ぎたため、工業生産機台としてはコスト高であった。
比較例3のものは、得ようとする原反の幅が広過ぎたため、延伸工程で破断が発生した。このため延伸ポリアミドフィルムが得られなかった。

Claims (8)

  1. 幅2000mm〜5000mmに形成されるとともに、両面にコロナ処理が施され、少なくとも片面における幅方向の両端部にコロナ処理の非処理部分がそれぞれ形成されていることを特徴とするプラスチックフィルム。
  2. たるみ量が0.5〜2.0であることを特徴とする請求項1記載のプラスチックフィルム。
  3. 濡れ張力が両面ともに44〜52mN/mであることを特徴とする請求項1または2記載のプラスチックフィルム。
  4. ポリアミドフィルムであることを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項記載のプラスチックフィルム。
  5. 両面がコロナ処理されたプラスチックフィルムの製造方法であって、幅2000mm〜5000mmのプラスチックフィルムの少なくとも片面における幅方向の両端部に、コロナ処理の非処理部分をそれぞれ形成することを特徴とするプラスチックフィルムの製造方法。
  6. プラスチックフィルムのたるみ量を0.5〜2.0とすることを特徴とする請求項5記載のプラスチックフィルムの製造方法。
  7. プラスチックフィルムの濡れ張力を両面ともに44〜52mN/mとすることを特徴とする請求項5または6記載のプラスチックフィルムの製造方法。
  8. プラスチックフィルムがポリアミドフィルムであることを特徴とする請求項5から7までのいずれか1項記載のプラスチックフィルムの製造方法。
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