JP2008295950A - 引き出し式食器洗い機 - Google Patents

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Abstract

【課題】洗浄槽の押し込み負荷が増大する問題、蓋体が浮き上がってシール不良が生じる問題などを解消した引き出し式食器線状機を提供する。
【解決手段】開蓋状態での反転子30の回転範囲がストッパー40,50で規制され、また、閉蓋状態での反転子30の回転位置が上記反転ピン38によって規制されて反転子30によるカムローラ25の下降位置が傾斜カム20によるカムローラーの下降位置よりも上方にあって、傾斜カム20のカム作用によってカムローラー25が押し下げられ、これによって蓋体が締め付けられるようになっており、カムローラー25の傾斜カム20による押し下げが十分でないとき、反転子30の押さえアーム31bで上記カムローラー25が開蓋バネに抗して押し下げられる構造になっている。
【選択図】図1

Description

この発明は、引き出し式食器洗い機の洗浄槽の蓋の開閉機構に関するものであり、平行リンクで支持された蓋体を洗浄槽に設けた傾斜カムと蓋体側のカムローラーとによるカム作用で引き下げて閉蓋するものについて、ロック手段によるロック操作なしに、洗浄槽を確実にその収納位置に移動させ、その位置に保持させることができるものであり、また、蓋体の浮き上がりによるシール不良を確実に防止することができるものである。
引き出し式食器洗い機の蓋の開閉機構は様々であるが、その一つの形態として洗浄槽の押し込み動作によって蓋体を引き下げて閉蓋させるものがある(例えば、特許第3537759号公報、特開2002−17642号公報、特開2002−143072号公報、特開2003−518号公報)。そして、蓋体を昇降自在に筐体に支持させる一つの形態として、蓋体の前後左右を平行リンクで筐体に支持させたものがある。
また、平行リンクで支持させた蓋体を昇降させる機構の一つの形態として、洗浄槽の側面に傾斜カムを設け、上記平行リンクの中間部にカムローラーを設け、当該カムローラーを上記傾斜カムで押し下げて、開蓋バネ(蓋体を開蓋方向に付勢しているバネ)に抗して蓋体を引き下げるようにしたものがある(上記特許第3537759号公報参照。以下これを「従来技術」という)。このものは、上記平行リンクをく字状の屈曲リンクとし、この屈曲リンクの中間部にカムローラーを設けてあり、当該カムローラーを上記傾斜カムで押し下げ、平行リンクを回転させて、開蓋バネに抗して蓋体を引き下げるものである。その構造は図8、図9に示されているものであり、筐体10の内側面のレール11によって洗浄槽12が前後方向(図において左右方向)に出し入れ自在に支持されており、洗浄槽12が筐体10に押し込まれて収納されたとき、その前端の前蓋13で筐体10の前端開口部が閉じられるようになっている。
そして、洗浄槽12の上方に蓋体14があり、この蓋体14は前方左右の平行リンク15、後方左右の平行リンク16で筐体10の側壁17に連結されており、開蓋バネ18で前方に引っ張られている。
洗浄槽12の側壁後部に傾斜カム20があり、当該傾斜カム20に対するカムローラー25が平行リンク16の中間部に設けられている。平行リンク16は下端を連結ピン16aで筐体10の側壁17に連結されており、上端を連結ピン16bで蓋体14の側端に連結されている。
洗浄槽12が押し込まれると、押し込み動作の終点近くで、傾斜カム20が上記カムローラー25に当接し、当該カムローラーを押し下げ、左右の平行リンク16,16を連結ピン16aを支軸にして後方方向に回転させて、蓋体の後端を後方斜め下方に引き下げる(図9c)。蓋体14は前後左右を平行リンク15,16で支持されているので、全体が引き下げられ、洗浄槽12の上方開口部に当接してこれを閉じ、その下面のパッキンによって洗浄槽の上方開口部を密封する。
傾斜カム20による蓋体14の下降ストロークは、傾斜カム20のカムストロークとカムローラー25の傾斜カム面20aに対する上下方向の位置関係等に左右され、上記パッキンに対する締め付け力は蓋体14の下降ストロークの大小に左右される。
他方、洗浄槽12が引き出されると、カムローラー25に対する傾斜カム20による押さえがなくなるので、蓋体14は開蓋バネ18によって前方に引っ張られ、平行リンク15,16によって前方斜め上方に押し上げられて、洗浄槽が開蓋される。
特許第3537759号公報 特開2002−17642号公報 特開2002−143072号公報 特開2003−518号公報
〔従来技術の問題点〕
上記従来技術においては、蓋体が平行リンクで支持され、平行リンクで昇降されるから、蓋体に対する支持が安定して昇降動作が円滑で、また、安定的であり、しかも、後方左右の2つの傾斜カムで蓋体全体が昇降駆動されるから、傾斜カムによる蓋体の昇降駆動機構が極めて簡単に構成されるという利点がある。
他方、従来技術では、上記パッキンに対する締め付け力は蓋体14の下降ストロークの大小に左右され、蓋体14の下降ストロークの大きさは、後端左右の傾斜カムとカムローラーとの上下方向位置関係等によって大きく左右され、この上下方向位置関係等は、洗浄槽や傾斜カムなどの各部の製作精度、組み付け精度、洗浄槽等の変形の大きさ等によって左右される。また、蓋体14は筐体10の側壁に平行リンクを介して支持されているのに対して傾斜カム20は洗浄槽の側壁に固定されており、洗浄槽の側壁は筐体側壁に対して歪むので、その結果、傾斜カムとカムローラーの位置関係にずれを生じる。
以上の諸要因のために、左右の傾斜カムによる締め付け力が変動し、左右の傾斜カムによる締め付け力が不均等になって、シール不良による水の漏洩を生じることがある。
また、カムローラーに傾斜カム20のカム面20aが当接して、そのカム作用で蓋体が開蓋バネに抗して引き下げられるとき、洗浄槽の押し込み負荷が急に大きくなるという問題があり、また、洗浄槽が終点まで押し込まれてから傾斜カムがカムローラーで押し戻され、その結果、蓋体が浮き上がり、さらに、洗浄槽が押し戻されてしまうという問題がある。このために、ロック装置を操作して洗浄槽を終点位置にロックしておく必要がある。
〔課題〕
この発明では、蓋体がその前後左右を平行リンクで支持されており、傾斜カムでカムローラーが押さえられ、カムローラーで蓋体が引き下げられて洗浄槽が閉蓋されるようになっている引き出し式食器洗い機について、上記のとおりの洗浄槽の押し込み負荷が増大する問題、蓋体が浮き上がってシール不良が生じる問題などを解消することを目的とし、そのための課題は、洗浄槽の押し込み動作をその最終段階で助勢するとともに、蓋体の浮き上がりを確実に防止し、洗浄槽が収納位置に自動的に保持されるように、上記蓋体の閉蓋機構を工夫することである。
上記課題を解決するための手段は、前後左右の4つの平行リンクで蓋体の前後左右が支持されていて、後方左右の平行リンクの中間部にカムローラーがあり、洗浄槽側壁後部に設けた傾斜カムで上記カムローラーを押さえて蓋体を引き下げて洗浄槽の上部開口を閉蓋するようになっている引き出し式食器洗い機について、次の(イ)乃至(ト)によるものである。
(イ)中間部に上記カムローラーが設けられている平行リンクを筐体に取付ける連結ピンに反転子が所定範囲で回転可能に枢支されており、
(ロ)上記反転子が上方に開口した切り欠きと押さえアームを有し、洗浄槽側壁に反転ピンが突設されており、
(ハ)反転用引っ張りバネと反転子と反転ピンとによってセンターオーバー機構が構成されており、
(ニ)上記傾斜カムによって上記カムローラーが押し下げられ、蓋体が開蓋バネに抗して押し下げられて閉蓋されるようになっており、
(ホ)開蓋バネによって蓋体を上方に引き戻す力よりも反転用引っ張りバネで蓋体を押し下げる力の方が大きく、
(ヘ)開蓋状態での反転子の回転位置がストッパーで規制され、また、閉蓋状態での反転子の回転位置が上記反転ピンによって規制されて反転子によるカムローラーの下降位置が傾斜カムによるカムローラーの下降位置よりも上方にあって、傾斜カムのカム作用によってカムローラーが押し下げられ、これによって蓋体が締め付けられるようになっており、
(ト)カムローラーの傾斜カムによる押し下げが十分でないとき、反転子の押さえアームで上記カムローラーが上記開蓋バネに抗して押し下げられる構造になっていること。
〔作用〕
蓋体は、前後左右の平行リンクによって昇降自在に支持されており、洗浄槽が筐体に収納されたとき、その側壁後部の傾斜カムによって後方の平行リンクのカムローラーが押し下げられ、蓋体が開蓋バネに抗して引き下げられ、これによって蓋体が引き下げられて閉蓋されることは従来技術と違いはない。
洗浄槽が押し込まれると、その終点近くに達したとき、反転ピンが反転子の上記切り欠きに係合して、反転用引っ張りバネに抗して反転子を押して後方方向に回転させ(バネ力の蓄積)、その後、反転子は反転用引っ張りバネで後方方向に駆動され(バネ力の放出)、反転ピンを介して洗浄槽を後方に押すことになる。その後、傾斜カムがカムローラーに近づき、傾斜カムのカム面がカムローラーに当接してこれを押し下げる。傾斜カムがカムローラーに当接してこれを押すようになると、開蓋バネによる抵抗を受けるようになるが、洗浄槽の押し込み操作は、傾斜カムがカムローラーに当接する前から反転用引っ張りバネによって反転子、反転ピンを介して助勢されているので、開蓋バネによる上記抵抗に関わりなくスムーズに行われる。
傾斜カムがカムローラーに当接した後の洗浄槽の押し込み操作で傾斜カムが後方に押され、その傾斜カムのカム面でカムローラーが押し下げられ、これによって蓋体が洗浄槽に押しつけられてその上部開口を密閉する。そしてこのとき、洗浄槽が完全に収納されて反転ピンが止まり、反転ピンで反転子の後方への回転が規制されるまで、反転用引っ張りバネが洗浄槽の押し込み操作を助勢することになり、またその押さえ部が傾斜カムの水平下面の近くまで下降する。
また、洗浄槽が押し込まれた後の状態において、カムローラーが傾斜カムの水平下面によって押さえられていないで傾斜カム面に当接していると、カムローラーで傾斜カムが前方に押され、カムローラーが傾斜カム面に沿って上昇しようとするが、このカムローラーは反転子の押さえ部で押さえられ、また、反転子によって反転ピンを介して洗浄槽が後方へ押されているので、洗浄槽が前方に押し戻されることはなく、したがって、洗浄槽は収納状態に確実に保持され、シール不良を生じることはない。
ところで、傾斜カムによってカムローラーが押さえられている状態で、さらに反転子の押さえ部でカムローラーが押さえられると、蓋体に対する締め付け力が過大になって、早期にシール不良を生じさせることになり、組み付け誤差や、洗浄槽の歪みなどのために蓋体に対する締め付け力がそれを増大させているときはなおさらである。しかし、この発明によるときは、閉蓋動作の終点では、反転子の回転位置がストッパーで規制されているので、反転子による助勢を受けることなく、したがって、傾斜カムによって蓋体が締め付けられるので、蓋体が過大な力で締め付けられていることはない。
なお、上記の作用からして、反転子が平行リンク下部の連結ピンに枢支されている必要はないが、反転機構を簡略にし、反転子を小型化する上で上記連結ピンに反転子を枢支させるのが望ましい。機構設計上は反転子を上記連結ピン近傍の別途の枢支軸に枢支させることもでき、これによって所期の機能を奏することができる。
洗浄槽の押し込み操作による閉蓋動作は、閉蓋完了直前まで反転子によって助勢されるので、開蓋バネによる抵抗の影響を受けることはなく、開蓋バネによる抵抗に関わりなくスムーズに行われる。しかし、閉蓋のための蓋体の押し下げは傾斜カムで行われ、蓋体に対する締め付けは、反転子による助勢(反転用引っ張りバネのバネ力(又はバネ荷重))のない状態で傾斜カムのカム作用で行われる。したがって、蓋体に対する締め付け力が反転子による助勢で過大になることはない。
また、傾斜カムによるカムローラーの押し下げが不十分である場合は、反転子の押さえ部がカムローラーを押さえて蓋体に対する締め付け力を確保するので、傾斜カムの製作誤差や組み付けの誤差等(以下、「組み付け誤差等」という)のために蓋体に対する締め付け力が不足してシール不良を生じることはない。
したがって、蓋体が過大な締め付け力を受けてパッキンが早期に損傷されることはなく、また、締め付け力が過小になってシール不良を生じることもない。そして、洗浄槽の押し込み操作で反転用引っ張りバネを伸ばして畜力し、押し込み操作の最終段階でこれを放出させて利用するから、開蓋バネによる抵抗が加わるにもかかわらず、洗浄槽の押し込み操作は安定的にスムーズになされる。
以上がこの発明の主たる作用効果であるが、反転用引っ張りバネで反転子を介して洗浄槽を後方に押して収納位置に保持し、開蓋バネに抗して蓋体を密封した状態に保持するから、蓋体に対する締め付けが緩むことはなく、また、洗浄槽が筐体から自然に押し出されてくることはない。したがって、洗浄槽を収納位置に固定するための特別のロック手段を設ける必要はない。
また、反転用引っ張りバネが密着コイルバネであることで、初期張力を大きくして、反転子の回転に伴う数mmの伸張で大きなバネ荷重を反転子に与えることができ、反転子を小型にすることができる。
次いで、図面を参照して実施例を説明する。
この実施例の基本構造は、図8、図9に示す従来例と格別の違いがない。
図1において平行リンク16が連結ピン16a,16bで筐体の側壁、蓋体14にそれぞれ連結されており、平行リンク16の中間部にカムローラー25があり、洗浄槽側壁の傾斜カム20で上記カムローラー25が押し下げられ、これで蓋体14が洗浄槽12の上部開口を閉蓋する構成になっている。そして、平行リンク16の下端を筐体側壁に連結している連結ピン16aに反転子30の中間部が枢支されている。したがって、この実施例では連結ピン16aが反転子30の枢支軸を兼ねていることになる(以下、これを一方において「連結ピン」と称し、他方において「枢支軸30s」と称する)。
なお、この実施例では傾斜カムとカムローラーによる傾斜カム機構が前方にも設けられているように図示されている、蓋体14は前後左右の平行リンクで支持されているのであるから、上記傾斜カム機構で前方の平行リンクを押し下げることは必ずしも必要でない。しかし、前方の平行リンクをも傾斜カムで押し下げる方が、平行リンクにかかる負担を低減してその押し下げ動作をよりスムーズにするのに有効である。
反転子30はその上部31に上方に開口した切り欠き32があり、当該切り欠き32の右側の片(右側片)が押さえアーム31bであり、当該押さえアーム31bが左側の片(左側片)31aよりも長い。上記左側片31aの先端部に切り起こし片31xがあり、この切り起こし片31xに反転用引っ張りバネ35の上端が連結されている。他方、反転用引っ張りバネ35の下端が筐体10(図2等)の側壁の切り起こし部10xに連結されている。この反転用引っ張りバネ35は密着コイルバネであり、初期張力がかけられている。そして、枢支軸30sを支軸にして反転子30が左右に回転するとき、反転用引っ張りバネ35が枢支軸30sを通過してその左右に移動する(センターオーバーする)ようにしている。筐体の側壁に上下のストッパー40,50があり、反転子30の下部33がこれらのストッパーに当接して反転子30の左右両方向への回転範囲が規制される。
なお、この実施例ではストッパー40は、組み付け誤差や異常による反転子の後方への過剰回転を阻止するためのものである。
反転子30の上部31の押さえアーム31bの上端が押さえ部31cになっていて、反転子30が時計方向に回転した状態にあるとき(図1参照)、上記押さえ部31cがカムローラー25に当接してこれを押さえることができるようになっている。
洗浄槽12の側壁に反転ピン38が突設されており、洗浄槽12が押し込まれたときに上記反転ピン38が反転子30の切り欠き32に嵌り込む機構になっている。
洗浄槽12が引き出された状態では、反転子30は前方方向(反時計方向)に回転した位置にあり、反転用引っ張りバネ35が枢子軸30sよりも前方(左方)に位置していて、反転子30を反時計方向に付勢している(図3)。この状態から洗浄槽12が押し込まれると、押し込みストロークの終点近くで反転ピン38が上記切り欠き32に嵌り込み、枢支軸30sを中心にして反転子30を後方方向(時計方向)に回転させる。反転子30の時計方向への回転に伴って、反転用引っ張りバネ35が伸張されながら後方に移動して枢支軸30sに接近し、その中心線が枢支軸30sに重なり(図4)、これを通過して枢支軸30sの後方(右方)に移動する。このとき、反転用引っ張りバネ35による反転子30に対する回転力が反時計方向から時計方向に反転する。その後、反転子30は、反転用引っ張りバネ35によって時計方向に押され、反転ピン38を介して洗浄槽12を後方に押すことになり、これによって押し込み操作を助勢することになる。
なお、反転用引っ張りバネ35は反転子30に対して大きなバネ力(又はバネ荷重、以下同じ)を与えるものでなければならず、また、反転用引っ張りバネ35の伸張量は小さく、かつ、そのバネ係数は小さい方が好ましい(洗浄槽12の出し入れ操作に対する負荷の変化が小さい方が好ましい)ので、バネ係数が比較的小さい密着コイルバネであり、これによって、大きな初期張力が与えられている。この反転用引っ張りバネ35のバネ特性は図7に示すものであり、伸び量「L+5mm」でのバネ荷重が3kgf、伸び量「L+10mm」でのバネ荷重が5kgfになっている。この例では、カムローラーが押さえられ閉蓋された状態で、上記伸び量は約「L+5mm」である。 なお、上記Lは反転用引っ張りバネ85の初期伸び量であり、この初期伸び量によってその初期張力がかけられている。
洗浄槽が押し込まれたとき、反転子30は後方方向(時計方向)に回転し、反転ピン36で押さえられて所定位置で停止しており、このとき押さえアーム31bの押さえ部31cの下面(カムローラー25に対する押さえ面)は傾斜カム20の水平下面20bよりも間隔s(この例では1mm)だけ上方位置にある(図1−1参照)。この状態では、反転用引っ張りバネ35によって反転子が時計方向に付勢されているが、カムローラー25は傾斜カム20で所定位置まで押し下げられ、その水平下面20bで押さえられている(図1−1参照)ので、押さえ部31cの下面はカムローラー25から上方に離れており、カムローラー25を押さえてはいない。
しかし、カムローラー25が傾斜カム20によって所定位置まで押し下げられないときは、カムローラー25は押さえ部31cの下面で押さえられるので(図1−2参照)、傾斜カム20による押し下げが不十分でも、蓋体14が浮き上がることはない。このようにして、反転子30の押さえ部31cでカムローラー25が押さえられたとき(図1−2参照)、そのバネ荷重(図7の例では約3kgf)によって蓋体14に対する十分な締め付け力が得られるように、例えば、2kgfのバネ荷重がカムローラー25にかけられる。このカムローラー25に対する押さえ力の大きさについては、反転用引っ張りバネ35のバネ荷重と反転子の構造設計によって適宜加減することができる。
洗浄槽12が筐体10に押し込まれると、その押し込みストロークの終点近くで反転ピン38が反転子30の切り欠き32に嵌り込み(図3)、反転用引っ張りバネ35に抗して反転子30を後方に押し、これを時計方向に回転させ(図4)、その後、傾斜カム20がカムローラー25に接近し、やがてその傾斜カム面20aでカムローラー25を押し下げ、平行リンク16を後方に回転させて蓋体14を後方斜めに引き下げさせる(図5)。そして、洗浄槽12の押し込みストロークの終点で、傾斜カム20の水平下面20bで押さえられて所定位置に保持される(図6)。このとき、反転子30の押さえ部31cも傾斜カム20の水平下面20bの近くまで下降して停止する。この実施例では、押さえ部31cの下面が傾斜カム20の水平下面20bよりも少し上方に位置するように設計している(図1−1における間隙s参照)が、これをどの程度にするかは、組み立て誤差、洗浄槽の変形をどの程度に見込むかの設計的事項である。この実施例では、上記間隔sの設計値を1mmにしている。カムローラー25に対して傾斜カムによる押さえと、上記押さえ部31cによる押さえとが共に作用することはなく、傾斜カムによる押さえが不十分で蓋体14に対する締め付け力が足りないときは反転子30の押さえ部31cが補完的な機能を奏する位置関係を選択することが肝要である。
そして、正常である場合は、カムローラー25は傾斜カム20の傾斜カム面20aで必要なだけ押し下げられて、水平下面20bで押さえられ、蓋板14が引き下げられる。そしてこれで、蓋体14が洗浄槽12の上方開口に押しつけられてこれを密閉する(図6)。このとき、上記のとおり、押さえ部31cの下面がカムローラー25よりもsmmほど上方に離間しているから、カムローラー25は押さえ部31cに対してフリーである。
なお、上記smmは、この実施例ではほぼ1mmである。
しかし、傾斜カム20によるカムローラー25に対する押し下げが十分でないときは、カムローラーが押さえ部31cに当接してこれによって押さえられて蓋体14で洗浄槽が密閉される(図1−2参照)。
洗浄槽12が筐体10に収納され、蓋体14で閉蓋された状態(図6)から引き出されると、反転子30の切り欠き32に嵌っている反転ピン38によって反転子30が前方に押され、反転用引っ張りバネ35に抗して反時計方向に回転される。この反転子の回転によって、押さえ部31cが上方に移動し、同時に傾斜カム20が前方に移動してゆくので、カムローラー25に対する押さえが完全に解除され、蓋体14が開蓋バネ18と平行リンク15,16とによって前方斜め上方に戻され、これによって洗浄槽12の上部開口が開かれる。
そして、洗浄槽12がさらに引き出されてゆくに伴って反転子30はさらに反時計方向に回転するので、反転用引っ張りバネ35が枢支軸30sを通過してその前方に移動し、その後、反転ピン38が切り欠き32から抜け出して(図3)、反転子から前方に離れてゆき、また、反転子30は反転用引っ張りバネ35で前方に回転され、ストッパー50に当接する位置まで回転してその位置に保持される。
は、実施例の要部拡大図 (a)は、図1の要部拡大正面図、(b)は、同拡大側面図 (a)は、図1の他の要部拡大正面図、(b)は、他の同拡大側面図 は、図1におけるA−A断面図 は、図2の一部拡大図 は、洗浄槽の押し込み動作の説明図 は、洗浄槽の押し込み動作の他の説明図 は、洗浄槽の押し込み動作のさらに他の説明図 は、洗浄槽の閉蓋状態を示す図 は、反転用引っ張りバネの特性を示す図 は、従来例の断面図 は、従来例における閉蓋動作の説明図
符号の説明
10:筐体
12:洗浄槽
13:前蓋
14:蓋体
15,16:平行リンク
16a,16b:連結ピン
20:傾斜カム
25:カムローラー
30s:枢支軸
31:反転子の上部
31b:押さえアーム
31c:押さえ部
32:切り欠き
33:反転子の下部
35:反転用引っ張りバネ
38:反転ピン
40,50:ストッパー

Claims (2)

  1. 前後左右の4つの平行リンクで蓋体の前後左右が支持されていて、後方左右の平行リンクの中間部にカムローラーがあり、洗浄槽側壁後部に設けた傾斜カムで上記カムローラーを押さえて蓋体を引き下げて洗浄槽の上部開口を閉蓋するようになっている引き出し式食器洗い機において、
    中間部に上記カムローラーが設けられている平行リンクを筐体に取付ける連結ピンに反転子が所定範囲で回転可能に枢支されており、
    上記反転子が上方に開口した切り欠きと押さえアームを有し、洗浄槽側壁に反転ピンが突設されており、
    反転用引っ張りバネと反転子と反転ピンとによってセンターオーバー機構が構成されており、
    上記傾斜カムによって上記カムローラーが押し下げられ、蓋体が開蓋バネに抗して押し下げられて閉蓋されるようになっており、
    開蓋バネによって蓋体を上方に引き戻す力よりも反転用引っ張りバネで蓋体を押し下げる力の方が大きく、
    開蓋状態での反転子の回転位置がストッパーで規制され、また、閉蓋状態での反転子の回転位置が上記反転ピンによって規制されて反転子によるカムローラーの下降位置が傾斜カムによるカムローラーの下降位置よりも上方にあって、傾斜カムのカム作用によって蓋体が締め付けられるようになっており、
    カムローラーの傾斜カムによる押し下げが十分でないとき、反転子の押さえアームで上記カムローラーが上記開蓋バネに抗して押し下げられる構造になっていることを特徴とする引き出し式食器洗い機。
  2. 上記反転用引っ張りバネが密着コイルバネである請求項1の引き出し式食器洗い機。
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