JP2008292635A - 光ファイバケーブル及びその布設方法 - Google Patents

Abstract

【課題】既設のケーブルや電線等に巻付け挿通させてケーブルハンガとしての機能を持たせると共に、光ケーブルとしても使用することができ、光ファイバの引き落としが容易な光ファイバケーブルとその布設方法を提供する。
【解決手段】光ファイバ心線と金属線条とが外被によって被覆された光ファイバケーブルであって、外形が螺旋状に形成され、スパイラルケーブルハンガとしての機能を備えていることを特徴とする。なお、前記の螺旋状の巻回方向が反転した反転部を有するようにしてもよい。また、光ファイバ心線が中空の金属線条内にルースに収納された形態、光ファイバ心線が金属線条に撚りつけられた形態、光ファイバ心線の両側に平行に金属線条を配した形態、等の各種の形態で形成することができる。
【選択図】図１

Description

本発明は、幹線光ケーブルからの中間分岐や引き落としに用いるような光ファイバケーブル及びその布設方法に関する。

近年の映像配信、ＩＰ電話、Ｂフレッツ等のブロードバンドサービスの拡大により、光ファイバによる一般家庭向けのデータ通信サービス（ＦＴＴＨ：Fiber To The Home）の加入者が増加している。このＦＴＴＨでは、通常、多数の光ファイバを集合した光ケーブルから、クロージャと称されている接続函で光ファイバを分岐し、分岐された光ファイバにドロップ光ケーブル（吊線付き光ファイバ）と言われている光ファイバケーブルを接続して加入者宅等に引き落とす方法が用いられている。

ドロップ光ケーブルは、一般にケーブル内の光ファイバが１心〜数心で、これにテンションメンバを並行に配して、外被で一体化して形成されている。外被の形状は、長辺が３ｍｍ程度、短辺が２ｍｍ程度の断面矩形状のもの、あるいは、外径が２ｍｍ程度の円形のものが用いられる。そして、電柱等に架空された光ケーブルから引き落としを行う場合は、吊線等の支持手段を有するドロップ光ケーブルが用いられている。
また、吊下げ用ワイヤ（メッセンジャワイヤとも言う）に、螺旋状に巻回したスパイラルワイヤ（スパイラルケーブルハンガとも言う）を挿通させ、スパイラルワイヤ内に吊線無しの光ケーブルを通して支持させる方法もある（例えば、特許文献１参照）。

さらに、光ケーブルの布設作業を簡略にするために、光ケーブルを螺旋状にカール加工したものを用い、既設の吊線やケーブルを利用して巻付け、長手方向に引張って布設することにより、布設作業の簡略化を図る方法もある（例えば、特許文献２参照）。
特開平９−２４３８９０号公報 特開２００５−２９２２０５号公報

しかしながら、特許文献１に開示のようなスパイラルケーブルハンガを利用して光ケーブルを架空布設する場合、スパイラルケーブルハンガを取り付ける作業と、このスパイラルケーブルハンガ内に光ケーブルを通線する作業の２つの作業が必要となり、手間と要するものである。また、特許文献２に開示のように、カール加工された光ケーブルは、光ケーブルをメッセンジャワイヤや既設の電線等に巻付けて布設するに止まり、ケーブルハンガとしての機能を持たせることはできないものである。

本願発明は、上述した実情に鑑みてなされたもので、既設のケーブルや電線等に巻付け挿通させてケーブルハンガとしての機能を持たせると共に、光ケーブルとしても使用することができ、光ファイバの引き落としが容易な光ファイバケーブルとその布設方法を提供する。

本発明による光ファイバケーブルは、光ファイバ心線と金属線条とが外被によって被覆された光ファイバケーブルであって、外形が螺旋状に形成され、スパイラルケーブルハンガとしての機能を備えていることを特徴とする。なお、前記の螺旋状の巻回方向が反転した反転部を有するようにしてもよい。
また、本発明による光ファイバケーブルは、光ファイバ心線が中空の金属線条内にルースに収納された形態、光ファイバ心線が金属線条に撚りつけられた形態、光ファイバ心線の両側に平行に金属線条を配した形態、等の各種の形態で形成することができる。

本発明によれば、光ファイバケーブルは、既設のケーブルまたは電線等に巻付け、挿通させることにより布設することができ、光ファイバの引き落としを容易にすることができる。また、布設された光ファイバケーブルは、そのままスパイラルケーブルハンガとして、他のケーブルや電線の通線支持に使用することができる。

図により本発明の実施の形態を説明する。図１（Ａ）は本発明による光ファイバケーブルの外観を示し、図１（Ｂ）は反転部を有する例を示す図、図２（Ａ）〜図２（Ｃ−２）は光ファイバケーブルの各種の構成例を説明する図である。図中、１は光ファイバケーブル、２，２ａ〜２ｄは光ケーブル素材、３は巻回ターン、４はメッセンジャワイヤ、５は反転部、１０は光ファイバ心線、１０ａはコア部、１０ｂはクラッド部、１０ｃは保護被覆、１１ａ〜１１ｃは金属線条、１２ａ〜１２ｄは外被を示す。

図１（Ａ）に示すように、本発明による光ファイバケーブル１は、図２の各構成例に示すような光ケーブル素材２（２ａ〜２ｄ）を螺旋状に巻回し、所定径Ｄの巻回ターン３からなるコイル形状が維持されるとともに、コイル軸方向に伸縮可能なように形成される。この光ファイバケーブル１は、例えば、メッセンジャワイヤ４のような吊線や、その他、比較的太径の幹線光ケーブルや給電線や電話線等の電線に巻回して布設され、スパイラルケーブルハンガとしての機能を備えている。

光ファイバケーブル１を形成する光ケーブル素材２は、後述するように、光ファイバ心線を金属線条に添わせて外被で一括被覆して形成され、その巻回ターン３の直径Ｄは、光ファイバの許容曲げ径以上で形成される。使用される光ファイバ心線が、ガラスファイバ外径が１２５μｍの標準的なシングルモード光ファイバである場合、巻回ターン３の直径Ｄは３０ｍｍ〜７０ｍｍとされ、光ファイバの許容曲げ径がさらに小さい場合は、これより小径とすることができる。

また、光ケーブル素材２は、円形状または矩形状のものを用いることができ、円形状の場合で外径Ｆが３ｍｍ〜１０ｍｍ程度とするのが好ましい。また、巻回ターン２の巻回ピッチＥは、布設状態で２００ｍｍ〜８００ｍｍ程度となるのが望ましい。しかし、光ファイバケーブル１をメッセンジャワイヤ４等に挿通させるときは、例えば、巻回ターン３が互いに接近した状態で、一方の端部から他方の端部をメッセンジャワイヤ４等に巻き付けるように巻回して挿通させる。この後、一方の光ファイバケーブル１の端部側を固定し、他方の端部側を引き延ばして移動させることにより、所定の長さに布設される。

また、図１（Ｂ）に示すように、螺旋状の光ファイバケーブル１の途中に、所定の巻回ターン数（例えば、５〜１０ターン位）毎に巻回方向を反転させた反転部５を設けるようにしてもよい。この反転部５を設けることにより、既設のメッセンジャワイヤ４等に挿通させる際に、反転部５毎に巻き付け方向を反対にするので、光ファイバケーブル１の巻き付け量が多い場合は、終端側を回転させることなく巻き付け挿通が可能となり、作業性を向上させることができる。また、後述するように布設された光ファイバケーブルをケーブルハンガとして使用する際には、通線するケーブルの中間部分を反転部５から挿通させて支持させることもでき、布設の作業性を向上させることができる。

本発明による光ファイバケーブル１は、図２に示すような種々の形態の光ケーブル素材を用いて形成することができる。
図２ａに示す光ケーブル素材２ａは、光ファイバ心線１０をスリーブ状の金属線条１１ａ内に単心または複数心でルース状態で収納する例である。スリーブ状の金属線条１１ａは、強度、加工性の点でアルミ金属で形成するのが好ましく、螺旋状に加工するのに外径が１.０ｍｍ〜５.０ｍｍで、内径が０.５ｍｍ〜３.０ｍｍとするのが望ましい。スリーブ状の金属線条１１ａと光ファイバ心線１０との間には緩衝材１３等を介在させて、光ファイバ心線１０に対する側圧を緩和するようにしてもよい。

光ファイバ心線１０は、例えば、コア部１０ａとクラッド部１０ｂからなる外径１２５μｍのガラスファイバを、保護被覆１０ｃで覆って形成される。なお、保護被覆１０ｃは、紫外線硬化樹脂等の樹脂被覆で、１層または複数層で形成され、被覆外径が０.２５ｍｍ、０.５ｍｍ、０.９ｍｍなどの種々のものを用いることができる。
外被１２ａは、通常の光ケーブル外被として使用されているのと同様な難燃ポリエチレン等で形成され、スパイラルケーブルハンガとして使用するのを考慮すると、その外径は３ｍｍ〜１０ｍｍ程度が適当である。

図２（Ｂ）示す光ケーブル素材２ｂは、中心に配した金属線条１１ｂの外周に光ファイバ心線１０を撚り合わせて収納した例である。金属線条１１ｂは、外径が１ｍｍ〜５ｍｍで、鋼線またはアルミ線等が用いられる。光ファイバ心線１０は、図２（Ａ）で説明したのと同様で、金属線条１１ｂへは、単心または複数心で撚りピッチ２００ｍｍ〜８００ｍｍ程度で巻き付けられる。光ファイバ心線１０の撚り合わせは、金属線条１１ｂを一体的にして取扱い性をよくするためである。また、外被１２ｂは、図２（Ａ）の例と同様に、難燃ポリエチレン等で外径は３ｍｍ〜１０ｍｍになるように形成される。

図２（Ｃ−１）示す光ケーブル素材２ｃは、光ファイバ心線１０の両側に金属線条１１ｃを配して収納し、外被１２ｃを円形状とした例であり、図２（Ｃ−２）示す光ケーブル素材２ｄは、同じく光ファイバ心線１０の両側に金属線条１１ｃを配して収納し、外被１２ｄを矩形状とした例である。この形状は、ドロップ光ケーブルまたはインドア光ケーブルとして知られる形状に似た形状で、金属線条は図２（Ｂ）の例と同様に鋼線またはアルミ線を用いることができる。ただ、金属線条１１ｃは、２本としているので、機械的な強度からは、図２（Ｂ）の例の金属線条の１／２の断面積のものを用いることができる。

光ファイバ心線１０は、図２（Ａ）で説明したのと同様な光ファイバ心線を外被１２ｃ，１２ｄ内にリジッドで保持させる例で示したが、ルースに保持するようにしてもよい。また、外被１２ｃ，１２ｄは、図２（Ａ）の例と同様に、難燃ポリエチレン等で外形は３ｍｍ〜１０ｍｍになるように形成される。

なお、図２（Ｃ−１、Ｃ−２）では、ケーブル内に収納される光ファイバ心線１０は、単心または複数心とされ、また、複数心の光ファイバ心線を共通被覆で一括してテープ状としたテープ心線を用いてもよい。また、この例においては、光ファイバ心線１０と両側の金属線条１１ｃがラインＸ上に一列に並び、曲げに対する指向性が生じるので、ラインＸが巻回ターンの軸心と平行になるように巻回加工される。

上述した各種形態の光ファイバ線条２を、図１に示すような螺旋状の光ファイバケーブルとするには、コイル加工治具により光ファイバ線条内の金属線条（１１ａ，１１ｂ，１１ｃ）に、螺旋形状維持が可能な湾曲変形を与える。このため、金属線条には、コイル加工が容易であるとともに、その形状を保持しつつ適度の弾性力と抗張力を有していることが望ましい。

なお、光ファイバケーブル１の螺旋形状は、主として外被内の金属線条により維持されるが、外被（１２ａ，１２ｂ，１２ｃ）にも分担させるようにしてもよい。この場合、光ファイバ線条２を螺旋状に加工した後、巻回ターン内に円柱状の心材を入れて形状の崩れを抑止した状態で加熱処理し、螺旋状に弾性変形されている外被の歪を除去して永久変形状態に変える。これにより、外被（１２ａ，１２ｂ，１２ｃ）はカール加工された状態となり、光ファイバケーブルの螺旋形状を良好に維持することができる。

また、光ファイバ線条内の金属線条（１１ａ，１１ｂ，１１ｃ）は、光ファイバケーブル１がケーブルハンガとしても使用される場合、通線されたワイヤやケーブルを支える支持体として機能するが、光ファイバ心線の抗張力体としても作用する。このため、別途、光ファイバ心線に対する抗張力体を用いる必要がなく、断線や損失増加を考えることなく布設することができる。

図３は、上述した光ファイバケーブルを用いて、幹線光ケーブルＣから加入者宅Ｈに光ファイバを引き落とす形態の一例を説明する図である。本発明による光ファイバケーブルＭは、ケーブルハンガ兼用として布設され、既設のメッセンジャワイヤ、幹線光ケーブルＣ、あるいは電話線・電力線Ｗを利用して布設される。なお、光ファイバケーブルＭを布設するのに適切な既設のケーブル等が存在しない個所が部分的に存在する場合は、別途、メッセンジャワイヤを補充するようにしてもよい。

光ファイバケーブルＭは、図１で説明したように、螺旋状の巻回ターン間を縮小した状態で、既設のメッセンジャワイヤ、幹線光ケーブルＣや電話線・電力線Ｗ等に巻き付けて挿通させる。次いで、光ファイバケーブルＭの一方の端部を固定し、他方の端部を移動させて巻回ターン間を引き延ばし、所定の経路に布設する。所定の経路に布設するのに複数本の光ファイバケーブルＭを必要とする場合は、ジョイント部材Ｊを用いて連結し、所定の長さの距離を布設することが可能な光ファイバケーブル長とする。

ジョイント部材Ｊは、金属線条を含む外被の部分を連結する機械的なコネクタ手段と、光ファイバ心線を接続する光学的なコネクタ手段を備えたものが用いられる。なお、機械的なコネクタ手段と光学的なコネクタ手段を複合一体化したものを用いるか、または、光ファイバケーブルＭの端部において、金属線条と光ファイバ心線を分離し、それぞれを別個のコネクタ手段で連結するようにしてもよい。なお、光学的なコネクタ手段としては、屋外での使用ということで防水性のものが望ましい。

光ファイバを引き落とす場合、クロージャＫを用いて幹線光ケーブルＣから所定の光ファイバ心線が分岐される。そして、本発明による光ファイバケーブルＭの一方の端部を、ケーブル内の金属線状を用いて、クロージャＫまたは近くの電柱等Ｐの構造物を利用して引き止め固定し、光ファイバケーブルＭの光ファイバ心線は、クロージャＫ内に分岐されている光ファイバ心線と光学的に接続される。螺旋状の光ファイバケーブルＭは、途中、ジョイント部材Ｊを介して連結し所定の長さにして、既設の幹線光ケーブルＣや電力線Ｗに挿通支持させて加入者宅Ｈの光ケーブル端末Ｔまで布設される。光ケーブル端末Ｔでは、光ファイバケーブルＭの他端が引き止め固定され、光ファイバ心線は光学的なコネクタ手段を介して、屋内に導入される。

以上のようにして家屋Ｈに引き落とされる光ファイバケーブルＭは、幹線光ケーブルＣあるいは電話線・電力線Ｗに巻き付けるだけで布設することができ、また、余長に対する特別の考慮を払う必要がないので、ケーブル布設の作業性がよく、短時間で布設することが可能となる。また、布設後の光ファイバケーブルＭは、他のケーブルＬを通線するケーブルハンガとしても使用することが可能で、新たな電力線・電話線や光ケーブルの引き落としが必要となった場合に、その支持体とすることができる。

本発明による螺旋状の光ファイバコイルの概略を示す図である。 本発明による光ファイバケーブルを形成する光ケーブル素材例を示す図である。 本発明による光ファイバケーブルを用いた光ファイバの引き落とし形態の一例を示す図である。

符号の説明

１…光ファイバケーブル、２，２ａ〜２ｄ…光ケーブル素材、３…巻回ターン、４…メッセンジャワイヤ、５…反転部、１０…光ファイバ心線、１０ａ…コア部、１０ｂ…クラッド部、１０ｃ…保護被覆、１１ａ〜１１ｃ…金属線条、１２ａ〜１２ｄ…外被。

Claims (6)

1. 光ファイバ心線と金属線条とが外被によって被覆された光ファイバケーブルであって、外形が螺旋状に形成され、スパイラルケーブルハンガとしての機能を備えていることを特徴とする光ファイバケーブル。
2. 前記螺旋状の巻回方向が反転した反転部を有していることを特徴とする請求項１に記載の光ファイバケーブル。
3. 前記光ファイバ心線は、中空の前記金属線条内にルースに収納されていることを特徴とする請求項１または２に記載の光ファイバケーブル。
4. 前記光ファイバ心線は、前記金属線条に撚りつけられていることを特徴とする請求項１または２に記載の光ファイバケーブル。
5. 前記光ファイバ心線は、両側に平行に金属線条が配されていることを特徴とする請求項１または２に記載の光ファイバケーブル。
6. 請求項１〜５のいずれか１項に記載の光ファイバケーブルを、電柱間または電柱と建造物との間に布設されているメッセンジャワイヤ、ケーブルまたは電線に挿通させて布設することを特徴とする光ファイバケーブルの布設方法。

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