JP2008291811A - セタン価推定装置及び方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】燃料のセタン価を適切に推定することを可能とする。
【解決手段】セタン価推定装置(1)は、一又は複数の気筒(#1等)と、気筒へ燃料を噴射する噴射手段(30)と、気筒における着火時期を測定する測定手段(40)と、運転状態に基づいて、第1セタン価の燃料性状に対応される第1着火時期(IGT_H)を特定する第1特定手段(21)と、運転状態に基づいて、第2セタン価の燃料性状に対応される第2着火時期(IGT_L)を特定する第2特定手段(22)と、第1着火時期に対応する第1セタン価(CN_L)、及び、第2着火時期に対応する第2セタン価(CN_H)に基づいて、測定された着火時期に対応する噴射された燃料の真のセタン価(CN)を推定する推定手段(23)と、を備える。
【選択図】図2

Description

本発明は、例えばディーゼルエンジン等の内燃機関において燃料のセタン価を推定するセタン価推定装置及び方法の技術分野に関する。
この種の装置に係るセタン価の検出する方法として、特許文献1等では、燃料の着火時期を利用したものが提案されている。詳細には、特許文献1等では、内燃機関がフューエルカット状態にあるときに所定量の燃料を噴射し着火時期を測定する際の、例えばエンジン回転数などの内燃機関の運転状態の範囲を規定する。そして、この規定された範囲の運転状態で測定された着火時期によって、セタン価を検出する手法について提案されている。
特開2005−344557号公報 特開2004−239229号公報 特開2006−226188号公報 特開2006−16994号公報 特開2002−201997号公報 特開2004−340026号公報 特開2005−344550号公報
しかしながら、前述した特許文献1等で提案されている手法では、セタン価の検出精度と、セタン価の検出頻度との関係がトレードオフの関係となってしまい、セタン価を適切に検出することが技術的に困難となってしまう。具体的には、セタン価の検出精度を一定のレベルまで確保するために、着火時期を測定する際の内燃機関の運転状態の範囲を狭くする場合(言い換えると条件を厳しくする場合)、セタン価を検出する機会が少なくなってしまい、セタン価の検出頻度が減少してしまう。他方、セタン価の検出頻度を一定の頻度まで確保するために、着火時期を測定する際の内燃機関の運転状態の範囲を広くする場合(言い換えると条件を緩くする場合)、内燃機関の運転状態による影響が大きくなってしまい、セタン価の検出精度が悪化(低レベル化)してしまう。
そこで本発明は、例えば上記の問題点に鑑みなされたものであり、燃料のセタン価を適切に推定することが可能なセタン価推定装置を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明に係るセタン価推定装置は、内燃機関に有される一
又は複数の気筒と、前記気筒へ燃料を噴射する噴射手段と、前記気筒における着火時期を測定する測定手段と、前記気筒内の圧力を含む運転状態に基づいて、第1セタン価の燃料性状に対応される第1着火時期を特定する第1特定手段と、前記運転状態に基づいて、第2セタン価の燃料性状に対応される第2着火時期を特定する第2特定手段と、前記特定された第1着火時期に対応する前記第1セタン価、及び、前記特定された第2着火時期に対応する前記第2セタン価のうち少なくとも一方に基づいて(例えば線形補間)、前記測定された着火時期に対応する前記噴射された燃料の真のセタン価を推定する推定手段と、を備える。
本発明に係る「内燃機関」とは、一又は複数の気筒を有し、当該各々の燃焼室において、例えば軽油等の、少なくともセタン価が規定され得る各種燃料を含む混合気が燃焼した際に発生する爆発力を、例えばピストン、コネクティングロッド及びクランク軸等を適宜介して動力として取り出すことが可能に構成された機関を包括する概念であり、例えば2サイクル或いは4サイクル型のディーゼルエンジン等を指す。本発明に係る内燃機関には、このような燃料を貯留する、例えば燃料タンク等の貯留手段が備わる。
特に、第1特定手段によって、気筒内の圧力を含む運転状態に基づいて、例えば既知である第1セタン価の燃料性状に対応される第1着火時期が特定される。ここに本発明に係る「運転状態」とは、内燃機関の駆動状態や走行状態を包括する概念である。この運転状態の具体例としては、例えば内燃機関の回転数、内燃機関の温度(例えばエンジン水温)、気筒内の圧力(例えば過給圧)、燃料の温度、燃料を噴射する際の噴射圧力、及び、空燃比等を挙げることができる。特に、気筒内の圧力や、内燃機関の温度や、空燃比は、燃料の着火時期に与える影響が大きいので運転状態に含めることが好ましい。また、本発明に係る「特定」とは、典型的には、着火時期を示す何らかの物理量やパラメータの所定範囲を、直接的に「特定」、「選択」等することを意味する。更に、着火時期を示す何らかの物理量やパラメータを、間接的に「検出」、「測定」、「計測」等することを含んでいてもよい。
と同時に又は相前後して、第2特定手段によって、運転状態に基づいて、例えば既知である第2セタン価の燃料性状に対応される第2着火時期が特定される。尚、第1セタン価と第2セタン価とは異なっていることが真のセタン価を高精度に推定する観点において好ましい。
次に、推定手段によって、特定された第1着火時期に対応する第1セタン価、及び、特定された第2着火時期に対応する第2セタン価のうち少なくとも一方に基づいて、測定された着火時期に対応する噴射された燃料の真のセタン価が推定される。尚、本発明に係る「推定」とは、典型的には、セタン価を示す何らかの物理量やパラメータの所定範囲を、直接的に「推定」、「特定」等することを意味する。更に、セタン価を示す何らかの物理量やパラメータを、間接的に「検出」、「測定」、「計測」等することを含んでいてもよい。
以上の結果、内燃機関の運転状態の変化を考慮して、セタン価の検出精度と、セタン価の検出頻度との両立しつつ、セタン価を適切に検出すること可能である。具体的には、内燃機関の運転状態の変化を考慮しつつ、セタン価をより高精度に検出することが可能である。と共に、内燃機関の運転状態の変化に殆ど又は完全に無関係に、セタン価を検出する機会を確保し、セタン価の検出頻度を一定の頻度まで確保することが可能である。
また、特に、推定手段は、所定のフューエルカットの状態で、セタン価を推定してよい。詳細には、噴射手段によって、セタン価の推定用の燃料が噴射される。具体的には、通常の運転状態から、例えばアクセル開度が低下した所定のフューエルカットの状態において、通常の噴射量と比較して微小な量であるセタン価を推定するための燃料が所定のタイミングにおいて噴射されてよい。ここに、本発明に係る、「所定のフューエルカットの状態」とは、車両が走行状態にあって、且つ内燃機関における動力の発生に供すべき燃料の噴射が停止された状態を包括する概念であり、典型的な一例としては車両が減速期間にある状態を指す。従って、気筒内の圧力の変化を通常運転と比較して小さなレベルの変化にさせることができると共に、例えば内燃機関の温度を示すエンジン水温等の運転状態の変化を通常運転と比較して小さなレベルの変化にさせることができる。
このようなフューエルカット状態においてなされるセタン価の推定処理とは、予め実験的に、経験的に、理論的に又はシミュレーション等に基づいて、少なくとも実践上不具合が生じない程度の精度でセタン価を推定し得るものとして定められてなるプロセス、アルゴリズム又は演算式等に従った、物理的、機械的、電気的若しくは化学的な制御又は論理演算若しくは数値演算を包括する概念であって、特にセタン価の推定に供し得る燃料の噴射、好適には微小量の燃料噴射を伴う処理を包括する概念である。例えば、好適な一形態として、セタン価の推定手段は、フューエルカット状態における微小量の燃料噴射、及び機関回転数の変動又は燃焼圧の変動等に基づいた、当該噴射された燃料においてセタン価の差が顕著に現れ得る着火遅れ期間の測定等の各種プロセスを含むセタン価推定処理を実行し、例えばこの着火遅れ期間や着火時期に基づいてセタン価を推定する。
従って、セタン価の推定手段とは、例えば燃料噴射装置、着火遅れや着火時期の測定に供し得る燃焼圧センサ、機関回転数の特定に供し得る機関回転数センサ又はクランクポジションセンサ、及びそれらを然るべきアルゴリズムや動作プロセスに従って物理的に、機械的に又は電気的に制御可能なECU(Electronic Control Unit:電子制御ユニット)の各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等を適宜に含み得るシステム全体として規定されてもよいし、セタン価の推定に特化して設けられる訳ではないこれら噴射装置等既存のユニットを然るべき制御プログラムに従って電気的に制御するECUや各種コントローラのみとして規定されてもよい。
本発明に係るセタン価推定装置の一の態様では、前記運転状態を検知する検知手段と、前記検知された運転状態に対応される運転状態モデル(例えば線形結合)を決定する決定手段と、を更に備え、前記第1特定手段は、前記決定された運転状態モデルに基づいて、前記第1着火時期を特定し、前記第2特定手段は、前記決定された運転状態モデルに基づいて、前記第2着火時期を特定する。
本発明に係る「運転状態モデル」とは、例えば運転状態を示す複数の変数に対して複数の係数を夫々乗算した線形結合などの、運転状態を定量的又は定性的に考慮する関数やマップや数式モデルを意味する。
本発明に係るセタン価推定装置の他の態様では、前記第1特定手段は、前記運転状態を示す複数の変数に対して複数の係数を夫々乗算した線形結合によって、前記第1着火時期を特定し、前記第2特定手段は、前記運転状態を示す複数の変数に対して複数の係数を夫々乗算した線形結合によって、前記第2着火時期を特定する。
この態様によれば、多種多様な運転状態の全てに適用可能な関数やテーブルやマップ等を準備する必要性を殆ど又は完全になくすことできる。この結果、複数の運転状態のうち一の運転状態に適用可能な、データ量が顕著に少ない、着火時期とセタン価との定量的又は定性的な関係を規定する関数やテーブルやマップ等を用意すればよい。と共に、制御対象として保持したり記憶したりするデータ量を顕著に低減可能である。
本発明に係るセタン価推定装置の他の態様では、前記運転状態を示す複数の変数は、前記内燃機関の回転数、前記内燃機関の温度(例えばエンジン水温)、前記気筒内の圧力(例えば過給圧)、前記燃料の温度、前記燃料を噴射する際の噴射圧力、及び、空燃比のうちの少なくとも一つである。
この態様によれば、複数の変数によって示される運転状態の変化を適切且つ迅速に考慮して、燃料の真のセタン価をより高精度に推定することが可能である。
本発明に係るセタン価推定装置の他の態様では、前記推定手段は、前記第1着火時期に対応する前記第1セタン価と、前記第2着火時期に対応する前記第2セタン価とを、線形的又は非線形的に補間することで、前記真のセタン価を推定する。
この態様によれば、線形的又は非線形的に補間する数学的な手法によって、燃料の真のセタン価をより高精度に推定することが可能である。
本発明に係るセタン価推定装置の他の態様では、前記運転状態に基づいて、第3セタン価の燃料性状に対応される第3着火時期を特定する第3特定手段を更に備え、前記推定手段は、前記第1着火時期に対応する前記第1セタン価と、前記第2着火時期に対応する前記第2セタン価と、前記第3着火時期に対応する前記第3セタン価とを、線形的又は非線形的に補間することで、前記真のセタン価を推定する。
この態様によれば、着火時期と燃料のセタン価との定量的又は定性的な関係が、非線形であることに適切に対応した線形補間によって、燃料の真のセタン価をより高精度に推定することが可能である。
本発明に係るセタン価推定装置の他の態様では、前記噴射手段は、前記内燃機関が所定の走行状態にある場合、前記内燃機関を駆動するための駆動用燃料と異なる所定の燃料(セタン価の推定用燃料)を噴射する。
この態様によれば、噴射手段によって、セタン価の推定用の燃料が噴射される。具体的には、通常の運転状態から、例えばアクセル開度が低下した所定のフューエルカット状態において、通常の噴射量と比較して微小な量であるセタン価を推定するための燃料が所定のタイミングにおいて噴射されてよい。
従って、気筒内の圧力の変化を通常運転と比較して小さなレベルの変化にさせることができると共に、例えば内燃機関の温度を示すエンジン水温等の運転状態の変化を通常運転と比較して小さなレベルの変化にさせることができる。
この結果、第1セタン価又は第2セタン価の燃料性状に対応される第1着火時期又は第2着火時期を特定するための運転状態を定量的又は定性的に考慮する手段や数式モデルをより簡便化させることができる。加えて、測定された着火時期に対応する噴射された燃料の真のセタン価を定量的又は定性的に推定するための関数やマップや数式モデルをより簡便化させることができる。
上記課題を解決するために、本発明に係るセタン価推定方法は、内燃機関に有される一又は複数の気筒と、前記気筒へ燃料を噴射する噴射手段と、を備えるセタン価推定装置におけるセタン価推定方法であって、前記気筒における着火時期を測定する測定工程と、前記気筒内の圧力を含む運転状態に基づいて、第1セタン価の燃料性状に対応される第1着火時期を特定する第1特定工程と、前記運転状態に基づいて、第2セタン価の燃料性状に対応される第2着火時期を特定する第2特定工程と、前記特定された第1着火時期に対応する前記第1セタン価、及び、前記特定された第2着火時期に対応する前記第2セタン価のうち少なくとも一方に基づいて、前記測定された着火時期に対応する前記噴射された燃料の真のセタン価を推定する推定工程と、を備える。
本発明に係るセタン価推定方法によれば、上述した本発明のセタン価推定装置に係る実施形態が有する各種利益を享受することが可能となる。
尚、上述した本発明のセタン価推定装置に係る実施形態が有する各種態様に対応して、本発明のセタン価推定方法に係る実施形態も各種態様を採ることが可能である。
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について説明する。
(1)車両の基本構成
先ず、図1を参照して、本実施形態に係る内燃機関の排気浄化装置を搭載した車両の基本構成について説明する。ここに、図1は、本実施形態に係る内燃機関の排気浄化装置を搭載した車両の基本構成を図式的に示した模式図である。尚、本実施形態に係る内燃機関の排気浄化装置を搭載した車両は、#1気筒「1a」から#4気筒までの四つの気筒が一列に並べられた、いわゆる直列四気筒のレシプロ式内燃機関(所謂、「ディーゼルエンジン」:以下、適宜、「エンジン1」と称す)に適用した一形態を示している。エンジン1は例えば自動車の走行用駆動源として使用され、エンジン1で発生した駆動力が、図示しない、クラッチや変速機やディフェレンシャルギヤやドライブシャフトを介して車輪に伝達される。
図1に示されるように、エンジン1は、電子スロットル弁2、AFM(Air Flow Meter)2a、シリンダ#1から#4、吸気通路3、排気通路4、吸気濾過用のエアフィルタ5、ターボ過給機6、コンプレッサ6a、タービン6b、吸気量調節用の絞り弁7、吸気系の過給圧を測定する過給圧センサ7a、DPNR(Diesel Particulate-NOx active Reduction system)触媒8、排気浄化ユニット9、燃料添加弁10、EGR通路11、EGR触媒12、EGRクーラ13、EGR弁14、排気絞り弁15、マフラー16、ECU20、インジェクタ30、コモンレール31、燃料ポンプ32、内燃機関の回転数を測定するためのクランク角センサ33、及び、圧力センサー40を備えて構成されている。尚、ECU20によって、本発明に係る「推定手段」の一具体例が構成されている。特に、ECU20に有される記憶部では、検出されたセタン価等の各種の入力されるデータを格納可能であると共に、ECU20が推定手段として機能する際に使用する、所定のプログラムや所定のマップが格納されている。また、シリンダ内の圧力を測定する圧力センサー40によって、本発明に係る「測定手段」の一具体例が構成されている。また、インジェクタ30によって、本発明に係る「噴射手段」の一具体例が構成されている。
図1に示されるように、エンジン1は、車両に走行用動力源として搭載されるもので、エンジン1の還流系、所謂、EGR(Exhaust Gas Recirculation)系は、そのシリンダ#1から#4には、吸気通路3及び排気通路4が接続され、吸気通路3には吸気濾過用のエアフィルタ5、ターボ過給機6のコンプレッサ6a、吸気量を調節するための絞り弁7が、排気通路4にはターボチャージャ6のタービン6bがそれぞれ設けられている。排気通路4のタービン6bよりも下流側には排気浄化手段としての吸蔵還元型NOx触媒の一例であるDPNR触媒8を含んだ排気浄化ユニット9と、そのDPNR触媒8の上流に還元剤としての燃料を添加する燃料添加手段としての燃料添加弁10とが設けられている。排気通路4と吸気通路3とはEGR通路11で接続され、EGR通路11には、還流ガスの流れる方向を基準として、上流側から下流側へ向かって、EGR触媒12、EGRクーラ13、及びEGR弁14が設けられている。
ターボ過給機6は、それぞれ可変ノズル6nを備えた可変ノズル式ターボ過給機であり、それぞれに設けられた可変ノズル6nの開度を変更することによってタービン6bの入口部分の流路断面積を変更することができる。
また、エンジン1の吸気系は、図示しない外気を取り込むためのエアダクトから、AFM(Air Flow Meter)2a、電子スロットル弁2、吸気通路3へ流れ、更に吸気ポートを経由して、シリンダ#1から#4内の燃焼室へ吸気されるように構成されている。吸気ポートには、吸気ポートを開閉する吸気弁が設けられている。他方、エンジン1の排気系は、排気ガスが、気筒#1から#4内の燃焼室から排気ポート、図示しない排気通路4、DPNR触媒8、及びマフラー16を経由して、大気中へ排出されるように構成されている。
燃料添加弁10は、DPNR8の上流に燃料を添加してDPNR8に吸収されたNOxの放出やDPNR8のS再生のために必要な還元雰囲気を生成するために設けられている。燃料添加弁10の燃料添加動作はエンジンコントロールユニット(ECU)20にて制御される。ECU20はシリンダ#1から#4に燃料を噴射するためのインジェクタ30、燃料ポンプ32からインジェクタ30へ供給される燃料圧力を蓄えるコモンレール31の圧力調整弁といった各種の装置を操作してエジン1の運転状態を制御する周知のコンピュータユニットである。ECU20はエンジン1に吸入される空気とインジェクタ30から添加される燃料との質量比として与えられる空燃比が理論空燃比よりもリーン側に制御されるようにインジェクタ30の燃料噴射動作を制御する。
DPNR触媒8は、排気空燃比が理論空燃比よりもリーンの時は窒素酸化物(NOx)を吸蔵し、排気空燃比が理論空燃比又は理論空燃比よりもリッチのときは吸蔵していたNOxを放出して窒素(N2)に還元する性質を有している。DPNR触媒8に吸蔵可能なNOx量には上限があるため、吸蔵されているNOx量がこの上限に達しないように触媒14からNOxを放出させてN2に還元させるNOx還元を所定の間隔で行い、DPNR触媒8の排気浄化性能を高い状態に維持する。また、DPNR触媒8は、排気中に含まれる硫黄酸化物(SOx)により被毒される。そのため、DPNR触媒8をNOx触媒から硫黄(S)が放出される温度域に昇温させるとともに排気空燃比を理論空燃比又は理論空燃比よりもリッチにして硫黄被毒を回復させてDPNR触媒8の機能を再生させるS再生を所定の間隔で行う。以降、NOx還元及びS再生をまとめて機能再生処理と呼ぶこともある。これら機能再生処理は、燃料添加弁10からDPNR触媒8の上流の排気通路4内に燃料を添加して行う。
尚、本発明において吸蔵還元型NOx触媒は、NOxを触媒にて保持できるものであればよく、吸収又は吸着いずれの態様でNOxが保持されるかは吸蔵の用語によって制限されない。また、SOxの被毒についてもその態様を問わないものである。更に、NOxやSOxの放出についてもその態様を問わない。
各種のアクチュエータの動作は、エンジンコントロールユニット(ECU)20によって制御される。ECU20は、マイクロプロセッサ及びその動作に必要なRAM、ROM等の周辺機器を含んだコンピュータとして構成され、各種センサから入力される信号に基づいて可変ノズル6nなどの各種の装置を操作してエンジン1の運転状態を制御する周知のコンピュータユニットである。ECU20には例えばエンジン1のクランク軸の角度に対応した信号を出力するクランク角センサ33、排気浄化ユニット9を通過した排気の温度に対応した信号を出力する排気温センサ、及びAFM2a、などが接続され、ECU20はこれらの出力信号を参照してエンジン1の運転状態を制御する。また、ECU20は、図3及び図8に示したルーチンを実行することにより本発明の制御手段として機能する。尚、これらのルーチンの詳細は後述する。ECU20による制御対象はその他にも種々存在するが、ここでは図示を省略する。
(2)燃料のセタン価の推定原理
次に、図2から図4を参照して、本実施形態に係る燃料のセタン価の推定原理について、説明する。
(2−1)推定処理を行うECUの構成
先ず、図2を参照して、本実施形態に係る燃料のセタン価の推定処理を行うエンジンコントロールユニット(ECU)20の構成について説明する。ここに、図2は、本実施形態に係るセタン価の推定処理を行うエンジンコントロールユニット(ECU)20の構成を概念的に示したブロック図である。尚、図2中のステップ番号は、後述される図3中のステップ番号に対応される。また、ECU20によって、本発明に係るセタン価推定装置の少なくとも一部が構成されている。
図2に示されるように、本実施形態に係るセタン価の推定処理を行うエンジンコントロールユニット(ECU)20は、第1特定手段21、第2特定手段22、及び推定手段23を備えて構成されている。
第1特定手段21は、相対的に小さいセタン価CN_L(即ち、本発明に係る第1セタン価の一具体例)に対応した第1着火時期IGT_Lを、運転状態の変化を考慮した線形結合を示した後述される式(1)に基づいて、特定する。
第2特定手段22は、相対的に大きなセタン価CN_H(即ち、本発明に係る第2セタン価の一具体例)に対応した第2着火時期IGT_Hを、運転状態の変化を考慮した線形結合を示した後述される式(2)に基づいて、特定する。
推定手段23は、特定された第1着火時期IGT_Lに対応する第1セタン価CN_L、及び、特定された第2着火時期IGT_Hに対応する第2セタン価CN_Hを、後述される式(3)に基づいて線形補間することで、測定された着火時期IGTに対応する噴射された燃料の真のセタン価CNを推定する。
(2−2)セタン価の推定処理
次に、図3及び図4を参照して、本実施形態に係るセタン価の推定処理について説明する。ここに、図3は、本実施形態に係るセタン価の推定処理の流れを示したフローチャートである。尚、このセタン価の推定処理は、ECU20によって、例えば、数十ミリ秒、又は数ミリ秒等の所定の周期で繰り返し実行される。図4は、本実施形態に係る、燃料の真のセタン価を線形補間によって推定する原理を図式的に示したグラフである。尚、図4中のX軸は着火時期を示し、Y軸はセタン価を示す。
図3に示されるように、先ず、ECU20の制御下で、例えばクランク角センサ33によって内燃機関の回転数が検知されるなどして、内燃機関の運転状態を示す各種の変数やパラメータが検知される(ステップS10)。
次に、ECU20の制御下で、フューエルカットが要求されたか否かが判定される(ステップS101)。ここで、フューエルカットが要求されたと判定される場合(ステップS101:Yes)、ECU20の制御下で、インジェクタ30によって、セタン価の推定用の燃料が噴射される(ステップS102)。他方、ステップS101の判定の結果、フューエルカットが要求されたと判定されない場合(ステップS101:No)、ECU20の制御下で、内燃機関を駆動するための通常の燃料が噴射される(ステップS107)。
次に、ECU20の制御下で、圧力センサー40によって、燃料の着火時期が実際に測定され、この測定値が変数IGTに代入される(ステップS103)。
次に、ECU20の制御下で、第1特定手段21によって、気筒内の圧力を含む運転状態に基づいて、第1セタン価の燃料性状に対応される第1着火時期が特定される(ステップS104)。具体的には、例えば次の式(1)で示されるように、運転状態を示す複数の変数やパラメータに複数の係数を夫々乗算した線形結合によって、第1セタン価CN_Lに対応される第1着火時期IGT_Lが特定される。
IGT_L = AL×Ne + BL×Pair + CL×Te + DL×Pfl+…+ CONST_L
…… 式(1)
但し、
Ne:回転数
Pair:過給圧
Te:エンジン水温
Pfl:燃料圧力
また、AL、BL、CL、DL、及び、CONST_Lは、所定の係数を夫々示す。
次に、ECU20の制御下で、第2特定手段22によって、運転状態に基づいて、第2セタン価の燃料性状に対応される第2着火時期が特定される(ステップS105)。具体的には、例えば次の式(2)で示されるように、運転状態を示す複数の変数やパラメータに複数の係数を夫々乗算した線形結合によって、第2セタン価CN_Hに対応される第2着火時期IGT_Hが特定される。
IGT_H = AH×Ne + BH×Pair + CH×Te + DH×Pfl+…+ CONST_H
…… 式(2)
但し、
Ne:回転数
Pair:過給圧
Te:エンジン水温
Pfl:燃料圧力
また、AH、BH、CH、DH、及び、CONST_Hは、所定の係数を夫々示す。
上述した式(1)及び式(2)における係数や定数は、理論的、経験的、実験的、又はシミュレーション的などに、運転状態を示す複数の変数やパラメータに対応した所望の着火時期が得られるように、個別具体的に規定されてよい。
従って、複数の運転状態のうち一の運転状態に適用可能な第1セタン価の燃料性状に対応される第1着火時期が、式(1)によって簡便に特定される。加えて、複数の運転状態のうち一の運転状態に適用可能な第2セタン価の燃料性状に対応される第2着火時期が、式(2)によって簡便に特定される。この結果、多種多様な運転状態に適用することが可能な、着火時期とセタン価との定量的又は定性的な関係を規定する関数やテーブルやマップ等を用意する必要が殆ど又は完全に無く、制御対象として保持したり記憶したりするデータ量を低減可能である。
次に、ECU20の制御下で、推定手段23によって、運転状態の変化を考慮して、特定された第1着火時期IGT_Lに対応する第1セタン価CN_L、及び、特定された第2着火時期IGT_Hに対応する第2セタン価CN_Hのうち少なくとも一方に基づいて、測定された着火時期に対応する噴射された燃料の真のセタン価CNが推定される(ステップS106)。具体的には、図4に示される座標平面上において、例えば次の式(3)で示されるように、例えばX軸を着火時期として、Y軸をセタン価とする座標平面上における線形補間によって、燃料の真のセタン価を推定することが可能である。
CN =CN_L +(CN_H − CN_L)×(IGT−IGT_L)/(IGT_H −IGT_L)
…… 式(3)
但し、
CN:燃料の真のセタン価
CN_L:第1セタン価
CN_H:第2セタン価
IGT:実際に測定された着火時期
IGT_L:第1着火時期
IGT_H:第2着火時期 。
(3)本実施形態の作用と効果との検討
次に、図5及び図6を参照して、本実施形態に係るセタン価の推定処理の作用と効果とについて検討する。ここに、図5は、比較例に係る着火時期と燃料のセタン価との定量的又は定性的な関係を示したグラフである。図6は、比較例に係る、内燃機関の運転状態の影響を考慮した、着火時期と燃料のセタン価との定量的又は定性的な関係を示したグラフである。
一般的なディーゼルエンジン等の内燃機関において、例えば軽油等の燃料の着火時期は、燃料が噴射されるタイミングや時期、燃料の噴射量などの燃料の噴射パターンによって、変化する。仮に、このような燃料の噴射パターンを固定した場合でも、例えば、内燃機関の回転数、内燃機関の温度(所謂、エンジン水温)、気筒内の圧力(所謂、過給圧)、燃料の温度、及び、燃料を噴射する際の噴射圧力などの内燃機関の運転状態の影響により、燃料の着火時期は変化する。
(3−1)基本概念
先ず、基本概念として、内燃機関の運転状態が一定である場合について、着火時期とセタン価との関係について考察する。図5は、内燃機関の運転状態が一定である際、燃料の噴射パターンを一定にした場合における、着火時期と燃料のセタン価との定量的又は定性的な関係を示している。図5に示されるように、セタン価の値が相対的に小さい燃料を使用する場合、着火時期は、TDC(Top Dead Center)のタイミングから遠ざかる側、即ち、遅れ側に推移し、セタン価の値が相対的に大きい燃料を使用する場合、着火時期は、TDCのタイミングに近い側、即ち、進み側に推移する。
(3−2)運転状態の検討
次に、内燃機関の運転状態が可変である場合について、着火時期とセタン価との関係について考察する。図6は、内燃機関の運転状態が可変である際、燃料の噴射パターンを一定にした場合における、着火時期と燃料のセタン価との定量的又は定性的な関係を示している。
図6中の曲線A及び曲線Bに示されるように、燃料の噴射パターンを一定にした場合でも、内燃機関の運転状態の変化に応じて、着火時期と燃料のセタン価との定量的又は定性的な関係は変化する。具体的には、図6中の曲線Aに示されるように、内燃機関の回転数が相対的に小さくなるように変化した場合、内燃機関の回転数が相対的に大きい場合と比較して、例えば「CN2」である同一のセタン価に対する着火時期は、TDCのタイミングに近い側、即ち、進み側に推移する。概ね同様にして、図6中の曲線Bに示されるように、内燃機関の回転数が相対的に大きくなるように変化した場合、内燃機関の回転数が相対的に小さい場合と比較して、例えば「CN2」である同一のセタン価に対する着火時期は、TDCのタイミングから遠ざかる側、即ち、遅れ側に推移する。
このように、着火時期とセタン価との定量的又は定性的な関係は、内燃機関の運転状態に顕著に影響を受けるので、着火時期を決定することで、一義的にセタン価を特定することは技術的に困難である。
そこで、上述した特許文献1等では、内燃機関がフューエルカット状態にあるときに規定燃料量の燃料を噴射し着火時期を測定する際の、例えばエンジン回転数などの内燃機関の運転状態の範囲を規定する。そして、この規定された範囲の運転状態で測定された着火時期によって、セタン価を検出する手法について提案されている。
しかしながら、この特許文献1等で提案されている手法では、セタン価の検出精度と、セタン価の検出頻度との関係がトレードオフの関係となってしまい、セタン価を適切に検出することが技術的に困難となってしまう。具体的には、セタン価の検出精度を一定のレベルまで確保するために、着火時期を測定する際の内燃機関の運転状態の範囲を狭くする場合(言い換えると条件を厳しくする場合)、セタン価を検出する機会が少なくなってしまい、セタン価の検出頻度が減少してしまう。他方、セタン価の検出頻度を一定の頻度まで確保するために、着火時期を測定する際の内燃機関の運転状態の範囲を広くする場合(言い換えると条件を緩くする場合)、内燃機関の運転状態による影響が大きくなってしまい、セタン価の検出精度が悪化(低レベル化)してしまう。
(3−3)運転状態による着火時期の変動を補正する際の矛盾
次に、上述したような内燃機関の運転状態の影響による着火時期の変動量を補正する手法について考察する。即ち、次のような具体例において、内燃機関の運転状態の影響による着火時期の変動量を補正する手法について考察する。先ず、着火時期と燃料のセタン価との定量的又は定性的な関係が、上述した図6中の曲線Bに示されるようであると予想したとする。しかしながら、この予想に反して、着火時期を実際に計測した際、内燃機関の回転数が低回転側に変化し、上述した図6中の曲線Aに示されるように、着火時期と燃料のセタン価との定量的又は定性的な関係が、同一のセタン価に対する着火時期がTDCのタイミングに近い側、即ち、進み側に実際には推移してしまった場合について考察する。
このような内燃機関の運転状態の影響による着火時期の変動を補正するには、上述した図6に示されるように、例えば「CN1」である相対的に高い値のセタン価である燃料を使用している場合、補正量Δigt1だけ着火時期を補正する必要がある。概ね同様にして、上述した図6に示されるように、例えば「CN2」である相対的に低い値のセタン価である燃料を使用している場合、補正量Δigt2だけ着火時期を補正する必要がある。
しかしながら、このような手法では、補正された着火時期から一義的にセタン価を検出するために、最初にセタン価の値によって着火時期を補正しないと、セタン価を検出することが不可能であるという論理的な矛盾が生じてしまう。或いは、多種多様な運転状態に適用することが可能な、着火時期とセタン価との定量的又は定性的な関係を規定する関数やテーブルやマップ等を用意する場合、多種多様な運転状態を規定するための膨大なデータ量を制御対象として保持や記憶することは実践上に困難であると共に、このような膨大なデータ量に対して制御を行うことも実践上に困難である。
(3−4)本実施形態の作用と効果
これに対して、本実施形態によれば、第1特定手段21によって、気筒内の圧力を含む運転状態に基づいて、第1セタン価の燃料性状に対応される第1着火時期IGT_Lが特定される。と同時に又は相前後して、第2特定手段22によって、運転状態に基づいて、第2セタン価の燃料性状に対応される第2着火時期IGT_Hが特定される。
従って、複数の運転状態のうち一の運転状態に適用可能な第1セタン価の燃料性状に対応される第1着火時期IGT_Lが、上述した式(1)によって簡便に特定される。加えて、複数の運転状態のうち一の運転状態に適用可能な第2セタン価の燃料性状に対応される第2着火時期IGT_Hが、上述した式(2)によって簡便に特定される。従って、多種多様な運転状態の全てに適用可能な関数やテーブルやマップ等を準備する必要性を殆ど又は完全になくすことできる。この結果、複数の運転状態のうち一の運転状態に適用可能な、データ量が顕著に少ない、着火時期とセタン価との定量的又は定性的な関係を規定する関数やテーブルやマップ等を用意すればよい。と共に、制御対象として保持したり記憶したりするデータ量を顕著に低減可能である。
次に、ECU20の制御下で、推定手段23によって、運転状態の変化を考慮して、特定された第1着火時期IGT_Lに対応する第1セタン価CN_L、及び、特定された第2着火時期IGT_Hに対応する第2セタン価CN_Hのうち少なくとも一方に基づいて、測定された着火時期に対応する噴射された燃料の真のセタン価CNが推定される(ステップS106)。具体的には、上述の図4に示される座標平面上において、例えば上述の式(3)で示されるように、例えばX軸を着火時期として、Y軸をセタン価とする座標平面上における線形補間によって、燃料の真のセタン価を推定することが可能である。
以上の結果、内燃機関の運転状態の変化を考慮して、セタン価の検出精度と、セタン価の検出頻度との両立しつつ、セタン価を適切に検出すること可能である。具体的には、内燃機関の運転状態の変化を考慮しつつ、セタン価をより高精度に検出することが可能である。と共に、内燃機関の運転状態の変化に殆ど又は完全に無関係に、セタン価を検出する機会を確保し、セタン価の検出頻度を一定の頻度まで確保することが可能である。
(4)他の実施形態
次に、図7及び図8を参照して、他の実施形態に係るセタン価の推定処理について説明する。尚、他の実施形態に係る構成要素において、上述した実施形態と概ね同一の構成要素については、同一の符号番号を付しそれらの説明については、適宜省略する。
(4−1)推定処理を行うECUの構成
先ず、図7を参照して、他の実施形態に係る燃料のセタン価の推定処理を行うエンジンコントロールユニット(ECU)20の構成について説明する。ここに、図7は、他の実施形態に係るセタン価の推定処理を行うエンジンコントロールユニット(ECU)20の構成を概念的に示したブロック図である。尚、図7中のステップ番号は、後述される図8中のステップ番号に対応される。
図7に示されるように、他の実施形態に係るセタン価の推定処理を行うエンジンコントロールユニット(ECU)20は、上述した第1特定手段21、第2特定手段22、及び推定手段23に加えて、第3特定手段24を備えて構成されている。
第3特定手段24は、中間レベルのセタン価CN_Mに対応した第3着火時期を、運転状態の変化を考慮した線形結合を示した後述される式(4)に基づいて、特定する。この中間レベルのセタン価CN_Mは、上述した相対的に小さいセタン価CN_Lより大きいと共に、上述した相対的に大きなセタン価CN_Hより小さい値をとることが好ましい。
推定手段23は、特定された第1着火時期IGT_Lに対応する第1セタン価CN_L、特定された第2着火時期IGT_Hに対応する第2セタン価CN_Hに加えて、特定された第3着火時期IGT_Mに対応する第3セタン価CN_Mを、後述される式(5)及び式(6)に基づいて線形補間することで、測定された着火時期IGTに対応する噴射された燃料の真のセタン価CNを推定する。
(4−2)セタン価の推定処理
次に、図8及び図9を参照して、他の実施形態に係るセタン価の推定処理について説明する。ここに、図8は、他の実施形態に係るセタン価の推定処理の流れを示したフローチャートである。尚、このセタン価の推定処理は、ECU20によって、例えば、数十ミリ秒、又は数ミリ秒等の所定の周期で繰り返し実行される。図9は、他の実施形態に係る、気筒内の圧力の変化を示したグラフ(図9(a))、水温の変化を示したグラフ(図9(b))、及び燃料の噴射量と噴射タイミングとを示したグラフ(図9(c))である。
図8に示されるように、上述したステップS10を経て、ECU20の制御下で、フューエルカットが要求されたか否かが判定される(ステップS101)。ここで、フューエルカットが要求されたと判定される場合(ステップS101:Yes)、ECU20の制御下で、インジェクタ30によって、セタン価の推定用の燃料が噴射される(ステップS102)。具体的には、図9(a)に示されるように、通常の運転状態から、例えばアクセル開度が低下した所定のフューエルカット状態において、図9(c)に示されるように、通常の噴射量と比較して微小な量であるセタン価を推定するための燃料が時間t1や、時間t2や、時間t3等のタイミングにおいて噴射されてよい。ここに、本実施形態に係る、「所定のフューエルカット状態」とは、車両が走行状態にあって、且つ内燃機関における動力の発生に供すべき燃料の噴射が停止された状態を包括する概念であり、典型的な一例としては車両が減速期間にある状態を指す。
従って、図9(a)に示されるように、気筒内の圧力の変化を通常運転と比較して小さなレベルの変化にさせることができると共に、図9(b)に示されるように、例えば内燃機関の温度を示すエンジン水温等の運転状態の変化を通常運転と比較して小さなレベルの変化にさせることができる。
この結果、第1から第3セタン価の燃料性状に対応される第1から第3着火時期を特定するための運転状態を定量的又は定性的に考慮する手段や数式モデルをより簡便化させることができる。加えて、測定された着火時期に対応する噴射された燃料の真のセタン価CNを定量的又は定性的に推定するための関数やマップや数式モデルをより簡便化させることができる。
次に、ステップS101、ステップS102、ステップS103、ステップS104を経て、ECU20の制御下で、第3特定手段24によって、運転状態に基づいて、第3セタン価CN_Mの燃料性状に対応される第3着火時期IGT_Mが特定される(ステップS201)。具体的には、例えば次の式(4)で示されるように、運転状態を示す複数の変数やパラメータに複数の係数を夫々乗算した線形結合によって、第3セタン価CN_Mに対応される第3着火時期IGT_Mが特定される。
IGT_M = AM×Ne + BM×Pair + CM×Te + DM×Pfl+…+ CONST_M
…… 式(4)
但し、
Ne:回転数
Pair:過給圧
Te:エンジン水温
Pfl:燃料圧力
また、AM、BM、CM、DM、及び、CONST_Mは、所定の係数を夫々示す。
上述した式(4)における係数や定数は、理論的、経験的、実験的、又はシミュレーション的などに、運転状態を示す複数の変数やパラメータに対応した所望の着火時期が得られるように、個別具体的に規定されてよい。
次に、上述したステップS105を経て、ECU20の制御下で、推定手段23によって、運転状態の変化を考慮して、特定された第1着火時期IGT_Lに対応する第1セタン価CN_L、及び、特定された第2着火時期IGT_Hに対応する第2セタン価CN_Hに加えて、特定された第3着火時期IGT_Mに対応する第3セタン価CN_M基づいて、測定された着火時期に対応する噴射された燃料の真のセタン価CNが推定される(ステップS202)。具体的には、例えば次の式(5)及び式(6)で示されるように、例えばX軸を着火時期として、Y軸をセタン価とする座標平面上における線形補間によって、燃料の真のセタン価を推定することが可能である。
(IGT > IGT_M の場合)
CN =CN_L +(CN_M − CN_L)×(IGT−IGT_L)/(IGT_M −IGT_L)
…… 式(5)
(IGT ≦ IGT_M の場合)
CN =CN_M +(CN_H − CN_M)×(IGT−IGT_M)/(IGT_H −IGT_M)
…… 式(6)
但し、
CN:燃料の真のセタン価
CN_L:第1セタン価
CN_H:第2セタン価
CN_M:第3セタン価
IGT:実際に測定された着火時期
IGT_L:第1着火時期
IGT_H:第2着火時期
IGT_M:第3着火時期 。
この結果、着火時期と燃料のセタン価との定量的又は定性的な関係が、非線形であることに適切に対応した線形補間によって、燃料の真のセタン価をより高精度に推定することが可能である。
上述した実施形態では、運転状態を考慮しつつ、第1から第3セタン価の燃料性状に対応される第1から第3着火時期を夫々特定するための手段として、内燃機関の運転状態を示す複数の変数やパラメータに複数の係数を夫々乗算した線形結合について説明したが、理論的、実験的、経験的、又はシミュレーション的に、運転状態を定量的又は定性的に考慮する関数やマップや数式モデルを適用してよい。
また、上述した実施形態では、測定された着火時期に対応する噴射された燃料の真のセタン価CNを推定するための手段として、例えばX軸を着火時期として、Y軸をセタン価とする座標平面上における線形補間について説明したが、理論的、実験的、経験的、又はシミュレーション的に、真のセタン価CNを定量的又は定性的に推定する関数やマップや数式モデルを適用してよい。
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴うセタン価推定装置及び方法もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
本実施形態に係る内燃機関の排気浄化装置を搭載した車両の基本構成を図式的に示した模式図である。 本実施形態に係るセタン価の推定処理を行うエンジンコントロールユニット(ECU)20の構成を概念的に示したブロック図である。 本実施形態に係るセタン価の推定処理の流れを示したフローチャートである。 本実施形態に係る、燃料の真のセタン価を線形補間によって推定する原理を図式的に示したグラフである。 比較例に係る着火時期と燃料のセタン価との定量的又は定性的な関係を示したグラフである。 比較例に係る、内燃機関の運転状態の影響を考慮した、着火時期と燃料のセタン価との定量的又は定性的な関係を示したグラフである。 他の実施形態に係るセタン価の推定処理を行うエンジンコントロールユニット(ECU)20の構成を概念的に示したブロック図である。 他の実施形態に係るセタン価の推定処理の流れを示したフローチャートである。 他の実施形態に係る、気筒内の圧力の変化を示したグラフ(図9(a))、水温の変化を示したグラフ(図9(b))、及び燃料の噴射量と噴射タイミングとを示したグラフ(図9(c))である。
符号の説明
1 エンジン
2 電子スロットル弁
2a AFM(Air Flow Meter)
#1から#4 シリンダ
3 吸気通路
4 排気通路
5 吸気濾過用のエアフィルタ
6 ターボ過給機
6a コンプレッサ
6b タービン
7 吸気量調節用の絞り弁
7a 過給圧センサ
8 DPNR触媒
9 排気浄化ユニット
10 燃料添加弁
11 EGR通路
12 EGR触媒
13 EGRクーラ
14 EGR弁
15 排気絞り弁
16 マフラー
20 ECU
30 インジェクタ
31 コモンレール
32 燃料ポンプ
33 クランク角センサ
40 圧力センサー

Claims (8)

  1. 内燃機関に有される一又は複数の気筒と、
    前記気筒へ燃料を噴射する噴射手段と、
    前記気筒における着火時期を測定する測定手段と、
    前記気筒内の圧力を含む運転状態に基づいて、第1セタン価の燃料性状に対応される第1着火時期を特定する第1特定手段と、
    前記運転状態に基づいて、第2セタン価の燃料性状に対応される第2着火時期を特定する第2特定手段と、
    前記特定された第1着火時期に対応する前記第1セタン価、及び、前記特定された第2着火時期に対応する前記第2セタン価のうち少なくとも一方に基づいて、前記測定された着火時期に対応する前記噴射された燃料の真のセタン価を推定する推定手段と、
    を備えることを特徴とするセタン価推定装置。
  2. 前記運転状態を検知する検知手段と、
    前記検知された運転状態に対応される運転状態モデルを決定する決定手段と、を更に備え、
    前記第1特定手段は、前記決定された運転状態モデルに基づいて、前記第1着火時期を特定し、
    前記第2特定手段は、前記決定された運転状態モデルに基づいて、前記第2着火時期を特定することを特徴とする請求項1に記載のセタン価推定装置。
  3. 前記第1特定手段は、前記運転状態を示す複数の変数に対して複数の係数を夫々乗算した線形結合によって、前記第1着火時期を特定し、
    前記第2特定手段は、前記運転状態を示す複数の変数に対して複数の係数を夫々乗算した線形結合によって、前記第2着火時期を特定することを特徴とする請求項1又は2に記載のセタン価推定装置。
  4. 前記運転状態を示す複数の変数は、前記内燃機関の回転数、前記内燃機関の温度、前記気筒内の圧力、前記燃料の温度、前記燃料を噴射する際の噴射圧力、及び、空燃比のうちの少なくとも一つであることを特徴とする請求項1から3のうちいずれか一項に記載のセタン価推定装置。
  5. 前記推定手段は、前記第1着火時期に対応する前記第1セタン価と、前記第2着火時期に対応する前記第2セタン価とを、線形的又は非線形的に補間することで、前記真のセタン価を推定することを特徴とする請求項1から4のうちいずれか一項に記載のセタン価推定装置。
  6. 前記運転状態に基づいて、第3セタン価の燃料性状に対応される第3着火時期を特定する第3特定手段を更に備え、
    前記推定手段は、前記第1着火時期に対応する前記第1セタン価と、前記第2着火時期に対応する前記第2セタン価と、前記第3着火時期に対応する前記第3セタン価とを、線形的又は非線形的に補間することで、前記真のセタン価を推定することを特徴とする請求項1から5のうちいずれか一項に記載のセタン価推定装置。
  7. 前記噴射手段は、前記内燃機関が所定の走行状態にある場合、前記内燃機関を駆動するための駆動用燃料と異なる所定の燃料を噴射することを特徴とする請求項1から6のうちいずれか一項に記載のセタン価推定装置。
  8. 内燃機関に有される一又は複数の気筒と、
    前記気筒へ燃料を噴射する噴射手段と、を備えるセタン価推定装置におけるセタン価推定方法であって、
    前記気筒における着火時期を測定する測定工程と、
    前記気筒内の圧力を含む運転状態に基づいて、第1セタン価の燃料性状に対応される第1着火時期を特定する第1特定工程と、
    前記運転状態に基づいて、第2セタン価の燃料性状に対応される第2着火時期を特定する第2特定工程と、
    前記特定された第1着火時期に対応する前記第1セタン価、及び、前記特定された第2着火時期に対応する前記第2セタン価のうち少なくとも一方に基づいて、前記測定された着火時期に対応する前記噴射された燃料の真のセタン価を推定する推定工程と、
    を備えることを特徴とするセタン価推定方法。
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