JP2008291102A - 積層プラスチックフィルムおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】
プラスチックフィルムと、表面にメッシュ状の突起を有するプラスチックフィルムを、粘着剤を介して貼合するに際して、気泡が残る等の問題がなく、良好に貼合された積層プラスチックフィルムを提供する。
【解決手段】
プラスチックフィルムと、表面にメッシュ状の突起を有するプラスチックフィルムを、剪断速度100〜103s−1においてチキソトロピック流体である粘着剤を介して積層した積層プラスチックフィルムである。
【選択図】 なし
Description
本発明は、プラスチックフィルムと、表面にメッシュ状の突起を有するプラスチックフィルムを、粘着剤を介して貼合した積層プラスチックフィルムおよびその製造方法に関するものである。
プラズマディスプレイパネル(以下、PDPと略す。)テレビは、一般にパネル前面にフィルターを設置し、ディスプレイ表面での電磁波抑制(以下、EMIシールドと略す。)機能、反射防止又は防眩機能、ディスプレイの色調補正機能、近赤外線遮蔽機能、静電気防止機能、表面防汚機能、ディスプレイの保護機能、等の機能を付与している。
一般に前面フィルターは、これら機能を付与した複数の機能性フィルム、ガラスを貼合し、一体化した構成となっている。これらの機能性フィルムは一般に機能性コーティング剤を塗布した平面性の高いフィルムであるが、一方、EMIシールド機能を付与するため用いられるEMIシールドドフィルムは、EMIシールド特性が優れる理由から金属メッシュをプラスチックフィルム上に形成した構成のフィルムが一般に用いられてきた(特許文献1、2参照)。
かかる金属メッシュをプラスチックフィルム上に形成したEMIシールドフィルムは、表面にメッシュ突起を有しているので、他の機能性フィルムと、例えば粘着剤、接着剤等により貼合する場合、貼合時に空気層を噛み込んだり、気泡が残る等の問題があり、貼合した後に、例えば加圧、加熱を行い、気泡を除去する等の煩雑な工程を組み合わせる必要があった。一方、EMIシールドフィルムのメッシュが形成されている反対面の平滑なフィルム面と他の機能性フィルムを貼合する手法により、貼合時に気泡が入りやすい問題は回避できるが、フィルターの設計が制限されるばかりか、PDPにフィルターを直接貼合する場合には、EMIシールドフィルムのメッシュ面とPDPを貼合する必要があり、同様の問題があった。
上記したように、EMIシールドフィルムの金属メッシュ面を他の機能性フィルムと貼合する場合、金属メッシュ状の導電性部材に見られるような、表面の平滑性に欠ける部材のロールラミネート加工では、粘着剤の層をさらに厚く形成する必要があるが、流動性の特性限界からこれらの部材の凹凸を完全に埋めることができず、細かい気泡の介入で光線透過率を低下させるばかりか、厚い粘着剤の層自身での粘性ムラ等で、製品表面の平滑性を悪化させる問題が発生する。また、その気泡を除去するために加圧加熱等の手段を組み合わせる必要があり、生産性に劣り、煩雑であった。
特開2004−117545号公報
特開2002−123182号公報
そこで本発明の目的は、プラスチックフィルムと、表面にメッシュ状の突起を有するプラスチックフィルムを、粘着剤を介して貼合するに際して、気泡が残る等の問題がなく、良好に貼合された積層プラスチックフィルムおよびその製造方法を提供することにある。
本発明の積層プラスチックフィルムは、プラスチックフィルムと、表面にメッシュ状の突起を有するプラスチックフィルムを、粘着剤を介して貼合するに際して、剪断速度100〜103s-1においてチキソトロピック流体である粘着剤を用いる積層プラスチックフィルムである。
本発明の積層プラスチックフィルムは、プラスチックフィルムと、表面にメッシュ状の突起を有するプラスチックフィルムを特定の粘着剤を介して貼合することによって、気泡等の外観欠点のない積層プラスチックフィルムを提供することができる。
本発明で得られる積層プラスチックフィルムは、特に、プラズマディスプレイパネル(PDP)のパネル面から発生する電磁波のシールド等を目的としたフィルター用途に好適に用いられる。
本発明の積層プラスチックフィルムは、プラスチックフィルムと、表面にメッシュ状の突起を有するプラスチックフィルムを、剪断速度100〜103s−1においてチキソトロピック流体である粘着剤を介して貼合して得られる積層プラスチックフィルムである。
本発明で用いられるプラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリメチルメタクリレートフィルム、ポリカボーネートフィルム、トリアセチルセルロースフィルム、ポリアリレートフィルムおよびポリエーテルスルホンフィルム等が挙げられ、特に好ましくはポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略す。)フィルムが好適に使用される。
本発明で用いられるプラスチックフィルムは、透明であることが好ましい。ここでいう透明とは、JISK7136(2000年版)に定める全光線透過率が70%以上であり、ヘイズが3.0%以下のものをいう。
本発明で用いられるプラスチックフィルムの厚みは、好ましくは、25ミクロン以上250ミクロン以下の範囲であり、より好ましくは、50ミクロン以上200ミクロン以下の範囲である。厚みが25ミクロン未満ではフィルム剛性が低下し、取り扱いが難しくなることがあり、一方、250ミクロンを超えると逆にフィルム剛性が高くなり、取り扱いが難しくなると同時に経済的に不利になることがある。
本発明において、プラスチックフィルムとして、特に、芳香族ポリエステルフィルムを使用する場合においては、塗工層との密着性を向上させることを目的に、アンカーコート処理し、易接着層を設けた芳香族ポリエステルフィルムが好適に使用される。
プラスチックフィルムとして、芳香族ポリエステルフィルムを使用する場合、アンカーコート剤としては、脂肪族ポリエステル、脂環族ポリエステル、アクリル酸エステル、ポリウレタン、ポリエチレンイミン、シランカップリング剤、およびこれらの混合物や共重合体等を挙げることができる。アンカーコート層の厚みは、0.05以上1.0ミクロン以下の範囲が好ましい。厚みが0.05ミクロンより薄いと十分な接着性が得られない場合があり、一方、1.0ミクロンより厚いと接着性の効果は飽和する場合がある。該易接着層は、透明プラスチックフィルム基材を製造した後、成膜しても良いし、透明プラスチックフィルム基材の製造時にインラインで成膜しても良い。
本発明で用いられるプラスチックフィルムは、上記のようなフィルム単体でもよいが、PDP用フィルターを用途とした場合、PDPとして要求される機能、例えば、反射防止又は防眩機能、色調補正機能、近赤外線遮蔽機能、静電気防止機能、表面防汚機能を付与した機能性プラスチックフィルムが好ましい。
プラスチックフィルムに、反射防止機能を付与する方法は、例えば、プラスチックフィルムの表面に屈折率の異なる層を、塗剤を用いたコーティング方法あるいは、金属酸化物を蒸着する方法等により製膜する手法が知られている。また、プラスチックフィルムに、防眩機能、色補正機能、近赤外線遮蔽機能、静電気防止機能、表面防汚機能を付与するためには、プラスチックフィルム表面に、これらの機能を有する塗剤をコーティングすることによって得られる。
プラスチックフィルムと、表面にメッシュ状の突起を有するプラスチックフィルムと貼合する場合、その機能性付与面を貼合することも可能である。特に、反射防止または防眩機能を付与したプラスチックフィルムを除く機能付与フィルムの場合は、表面にメッシュ状の突起を有するプラスチックフィルムと貼合する場合、その機能性付与面を貼合することが好ましい。一方、反射防止または防眩機能を付与したプラスチックフィルムは、その機能付与面は、表層に設置するのが適切である。
本発明の積層プラスチクフィルムは、好ましくは、プラスチックフィルムが反射防止層を有するフィルムであって、該反射防止層を有する面の反対面と、表面にメッシュ状の突起を有するプラスチックフィルムの突起を有する面が向かい合うよう積層され積層プラスチックフィルムである。
さらに、本発明の積層プラスチクフィルムを、PDP用フィルターを用途として使用する場合、プラスチックフィルムの一方の面に反射防止層を有し、もう一方の面に光線吸収層を有するフィルムとすることが好ましい。プラスチックフィルムの一方の面に反射防止層を有し、もう一方の面に光線吸収層を有するフィルムとすることによって、一枚のフィルムにより必要な機能を付与できるため好適である。
本発明の積層プラスチクフィルムでは、光線吸収層を有するフィルムとする場合、光線吸収層を形成する染料、顔料、着色剤としては、ポルフィリン系、テトラアザポルフィリン系、スクアリリウム系、アゾメチン系、シアニン系、オキソノール系、アントラキノン系、キサンテン系、アゾ系、ベンジリデン系、ジイモニウム系、クロム錯塩等の染料、カーボンブラック、鉄、金属酸化物等の顔料を挙げることができ、これらは、1種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明の積層プラスチックフィルムでは、表面にメッシュ状の突起を有するプラスチックフィルムを用いる。
本発明におけるメッシュ状の突起とは、網目状の突起であり、好ましくは、プラスチックフィルムの表面に網目状に形成された線状構造体である。網目の形状は特に限定されず、例えば、正3角形等の3角形、正方形、長方形、菱形、台形などの4角形、6角形、8角形等の多角形、円形、楕円形、ハニカム形などの形状の開口部を有し、これらの開口形状を組み合わせた網目構造を挙げることができる。
本発明の積層プラスチックフィルムでは、表面にメッシュ状の突起を有するプラスチックフィルムは、一般的にライン間隔は形状により異なるため、一義的に決めることはできないが、ライン幅は、好ましくは、1ミクロン以上50ミクロン以下である。1ミクロン未満では、加工工程でメッシュが断線しやすくなり、好ましくなく、一方、50ミクロンを越えると、積層プラスチックフィルムの光線透過率が低下するため、好ましくない。また、メッシュの高さを表すライン厚みは、1ミクロン以上50ミクロン以下が好ましい。1ミクロン未満では、メッシュが断線しやすくなるため、好ましくなく、一方、50ミクロンを越えると粘着剤がメッシュ間に入り込みにくくなるため、好ましくない。
例えば、メッシュ状が格子状である場合、高い光線透過率と視認性から、好ましくは、ライン間隔が、150ミクロン以上500ミクロン以下、より好ましくは、ライン間隔が、200ミクロン以上450ミクロン以下であり、ライン間隔は、高い光線透過率を得るため、200ミクロン以上が好ましい。また、好ましくは、ライン幅が、1ミクロン以上50ミクロン以下、より好ましくは、ライン幅が、3ミクロン以上30ミクロン以下である。さらに、好ましくは、ライン厚みが、1ミクロン以上50ミクロン以下であり、より好ましくは、3ミクロン以上30ミクロン以下である。
本発明の積層プラスチックフィルムは、さらにより好ましくは、メッシュ状の突起を有するプラスチックフィルムのメッシュ状の突起が、格子状であり、そのライン幅が、1ミクロン以上50ミクロン以下、ラインとラインの間隔が、150ミクロン以上500ミクロン以下であり、かつライン厚みが、1ミクロン以上50ミクロン以下である。
本発明の積層プラスチックフィルムでは、表面にメッシュ状の突起を有するプラスチックフィルムは、メッシュ状の突起部分を除いた開口部の占める割合(以下、開口率と呼ぶ)及びメッシュの厚さは、例えば、メッシュ状が格子状である場合、高い光線透過率を得るために30%以上95%以下が好ましい。
本発明におけるメッシュ状の突起を有するプラスチックフィルムの好適な例として、PDP用フィルター部材として用いられるEMIシールド材料を挙げることができる。これは、PDP面を通して漏れた電磁波を遮蔽する機能を有するフィルムであって、プラスチックフィルムに銅箔を貼合した後、フォトリソ法等によってエッチングする方法、あるいは触媒層を印刷した後、めっきを施す方法等によって得ることができる。また、別の方法として導電性繊維メッシュがあり、金属化繊維織物から構成され、例えば、ポリエステル等の合成繊維製織物等に表面樹脂処理した後、その上にニッケル、又は銅、ニッケルのような導電性金属をめっき加工した導電布等が挙げられる。
本発明の積層プラスチックフィルムは、好ましくは、メッシュ状の突起を有するプラスチックフィルムが、プラズマディスプレイ装置から発生する静電気及び/又は電磁波ノイズをシールドするための電磁波遮蔽フィルムである。
本発明における表面にメッシュ状の突起を有するプラスチックフィルムにおいて、メッシュ形状が四角形の場合、その頂点角度あるいはバイアス角度(正四角形の傾き角度)は任意に選択することが可能である。
本発明の積層プラスチックフィルムは、好ましくは、一方の面に反射防止層を有する。
さらに、本発明の積層プラスチックフィルムは、好ましくは、もう一方の面に500nm以上に極大吸収を有する1種以上の染料、顔料、着色剤を含有する光線吸収層を有するフィルムである。
本発明の積層プラスチックフィルムは、好ましくは、光線吸収層を有する面と、表面にメッシュ状の突起を有するプラスチックフィルムの面が向かい合うよう積層されている。
次いで、本発明の積層プラスチックフィルムの粘着剤について、説明する。
本発明における粘着剤は、剪断速度100〜103s-1においてチキソトロピック流体である粘着剤であることが必須である。
ここで、本発明で言うチキソトロピック流体とは、チキソトロピー流動を有する流体を指す。チキソトロピー流動に関しては、成書「レオロジーの世界」(尾崎邦宏著、工業調査会(2004年発行)、p114)に詳細に記載されているが、攪拌・振動などによる流体粘度の低下を指す。すなわち、攪拌、振動、ズリ速度などの増加により、流体粘度が低下する減少を指す。粘着剤が適度なチキソトロピー性を有していると、粘着剤を被着体に塗布する際、粘着剤のタレや流れを抑制でき、また適度で比較的均一な膜厚を容易に得ることができる。さらに、適度なチキソトロピー性は、粘着剤の被着体へのヌレ性やなじみ、浸透性を促進、向上し、仮に被着体が複雑な形状をしていたとしても自己構造化の働きにより粘着剤と被着体との間の空隙を最小限に抑制する作用があり、粘着力を改善、向上する機能が発現される傾向が見られる。
本発明における粘着剤は、特に、加熱残分が35〜55重量%のとき剪断速度100〜103s-1においてチキソトロピック流体である粘着剤が好ましい。
粘着剤のレオロジー、特に流動特性を厳密に規定することは、粘着剤のセルフレベリング性、自己構造化を設計する上できわめて重要である。
すなわち、剪断速度が、5.5±0.5s−1のときの粘度をPa、剪断速度が、550±50s−1のときの粘度をPbとすれば、本発明における粘着剤のPaとPbとの関係は、Pa/Pbの値が、好ましくは、1.03〜8.00、より好ましくは、1.05〜6.00、さらに好ましくは、1.23〜5.55であり、PaとPbの最良の関係は、2.03〜5.05である。Pa/Pbの値が1.03未満の場合には、粘着剤のセルフレベリング性、自己構造形成能が不足するため、均一で、平滑な粘着剤膜を得られない場合がある。また、導電性メッシュへの浸透性が劣る傾向が見られ、透明性の高い導電性メッシュフィルムの製造が困難となる場合がある。Pa/Pbの値が8.00を超える場合には、粘着剤のチキソトロピー性が強すぎて、粘着剤の塗布工程でスジムラ、ロール目などの不具合が出やすくなる傾向が見られる。
粘着剤のレオロジーは、ジャスコインタナショナル製「VAR型ビスコアナライザー」を使用し、25℃で測定した。
本発明の積層プラスチックフィルムは、粘着剤が、分子中に水酸基、カルボキシル基、またはエポキシ機のいずれか1種以上の官能基を有するものである請求項1から3のいずれかに記載の積層プラスチックフィルム。
本発明の粘着剤は、数平均分子量3〜50万のアクリル樹脂を含むことが望ましい。本発明では、アクリル樹脂の数平均分子量はGPCにより、Polymer Laboratories社製「Polymethyl Methacrylate Polymer Standard」を分子量標準として測定した。アクリル樹脂のMnが3万未満では、アクリル樹脂の凝集力が弱く、糊残り、糸引きを起こしやすくなってリワーク性が悪化する傾向が見られる。アクリル樹脂のMnが50万を越える場合には、粘着剤の粘度が高くなりすぎ塗工作業性を改善するために多量の溶剤で希釈する必要が生じるため、簡素後の体積収縮が大きく、粘着剤表面に凹凸、傷などの基剤の不具合を拾いやすくなる傾向が見られる。
本発明の積層プラスチックフィルムの粘着剤は、数平均分子量5〜50万のアクリル樹脂を含むことがより好ましい。本発明の積層プラスチックフィルムの粘着剤は、さらに好ましくは、数平均分子量5〜25万のアクリル樹脂を含む。
本発明の積層プラスチックフィルムの粘着剤で好ましく使用されるアクリル樹脂は、(メタ)アクリル酸エステル単量体をラジカル重合することにより製造される。ラジカル重合の方法としては、塊状重合、懸濁重合、溶液重合、乳化重合、沈殿重合などが例示できるが、本発明の粘着剤組成物で好ましく使用されるアクリル樹脂は、いずれの方法で製造してもよい。粘着剤としての使い勝手の良さ、ハンドリングの観点から、本発明の粘着剤組成物では、アクリル樹脂は、溶液重合で製造することが推奨される。
本発明の積層プラスチックフィルムの粘着剤で好ましく使用されるアクリル樹脂を構成する(メタ)アクリル酸エステル単量体としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸イソボイルニル、ジシクロペンテニルオキシアクリレート、アクリル酸2,2,2−トリフルオロエチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ステアリル、ジシクロペンテニルオキシメタクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート、メタクリル酸2,2,2−トリフルオロエチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸4−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2−ヒドロキシル、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸メチルグリシジル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート、γ―メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ―メタクリロキシプロピルトリエトキシシランなどが例示される。(メタ)アクリル酸エステル単量体は、単独でも、もしくは2種類以上の混合物であってもよい。
また、本発明の積層プラスチックフィルムの粘着剤は、同時に、スチレン、α−メチルスチレンなどの(メタ)アクリル酸エステル単量体と共重合できるラジカル重合性単量体を併用することもできる。
本発明の積層プラスチックフィルムの粘着剤で好ましく使用されるアクリル樹脂を構成する(メタ)アクリル酸エステル単量体としては、(メタ)アクリル酸エステル単量体のなかでは、ホモポリマーのガラス転移温度(以下Tgとも言う)が、好ましくは30℃以下、より好ましくは、20℃以下、さらに好ましくは、0℃以下であるアクリル酸エステル単量体を、好ましくは、50重量%以上、より好ましくは、60重量%以上、さらに好ましくは、80重量%以上共重合することが推奨される。ここで、ホモポリマーのガラス転移温度は、東亞合成(株)、日本触媒化学(株)などの(メタ)アクリル酸エステル単量体販売会社発行のカタログ値を採用した。
本発明の積層プラスチックフィルムの粘着剤で好ましく使用されるアクリル樹脂を溶液重合で製造する際に使用される有機溶剤としては、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、シクロヘキサノン、シクロヘキサン、ヘプタン、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、グリセリン、フィタントリオール、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、グリシドール、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカーボキシレート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、キシリレンジオキセタン、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、リン酸トリクレジルなどが例示される。これらの有機溶媒は単独でも、2種類以上の混合物であってもよい。
本発明の積層プラスチックフィルムは、粘着剤が、分子中に水酸基、カルボキシル基、またはエポキシ機のいずれか1種以上の官能基を有するアクリル樹脂を含むものであることが好ましい。
本発明の積層プラスチックフィルムの粘着剤において好ましく用いられるアクリル樹脂が有する水酸基は、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどのポリイソシアネート化合物で架橋、鎖延長することができ、粘着剤の凝集力と機械的強度を向上することができる。この結果、リワーク性が向上し、糊残りや、糸引きが改善される傾向が見られる。また、PETフィルムなどの特定基材に対し、きわめて良好な付着性を発揮する傾向が見られる。
本発明の積層プラスチックフィルムの粘着剤において好ましく用いられる水酸基含有アクリル単量体としては、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸4−ヒドロキシブチルなどが例示できる。水酸基含有アクリル単量体は単独でも、もしくは2種類以上の混合物であってもよい。
水酸基含有アクリル単量体は、アクリル樹脂の凝集力を高め、リワーク性を向上する作用がある。また、ウレタン硬化剤などにより架橋することでPETフィルムなどの基材への付着性を向上する作用がある。
本発明の積層プラスチックフィルムの粘着剤において好ましく用いられる水酸基含有アクリル単量体は、粘着剤組成物にアクリル樹脂が含有される場合、アクリル樹脂中に、好ましくは、0.2〜20重量%、より好ましくは、2〜15重量%、さらに好ましくは、3〜10重量%共重合されるのが望ましい。
本発明の積層プラスチックフィルムの粘着剤において好ましく用いられるアクリル樹脂が有するエポキシ基は、テルペンフェノール樹脂、1−アミノ−3−ジメチルアミノプロパン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、イミダゾール化合物などの活性水素原子含有化合物で架橋することができ、水酸基同様、粘着剤の凝集力と機械的強度を向上することができる。この結果、リワーク性が向上し、糊残りや、糸引きが改善される傾向が見られる。さらにまた、ガラスなどの特定基材に対し、きわめて良好な付着性を発揮する傾向が見られる。
本発明の積層プラスチックフィルムの粘着剤において好ましく用いられるエポキシ基含有アクリル単量体としては、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸メチルグリシジル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレートなどが例示できる。エポキシ基含有アクリル単量体は単独でも、もしくは2種類以上の混合物であってもよい。
本発明の積層プラスチックフィルムの粘着剤にアクリル樹脂が含有される場合、エポキシ基含有アクリル単量体はアクリル樹脂中に共重合されることで、導電性メッシュ材料、例えば銅メッシュ、との接着性を飛躍的に向上し、導電性メッシュ材料が酸化などにより腐食するのを強く抑制する働きも有している。
エポキシ基含有アクリル単量体は、粘着剤にアクリル樹脂が含有される場合、アクリル樹脂中に、好ましくは、0.02〜30重量%、より好ましくは、0.5〜15重量%、さらに好ましくは、5〜12重量%共重合されるのが望ましい。
本発明の積層プラスチックフィルムの粘着剤において好ましく用いられるカルボキシル基含有アクリル単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸などが例示される。カルボキシル基含有アクリル単量体は単独でも、もしくは2種類上の混合物であってもよい。カルボキシル基含有アクリル単量体は、酸化チタン、酸化亜鉛などの顔料分散性を向上するために非常に有効なアクリル単量体である。また、アクリル樹脂の凝集力を向上し、粘着性向上や共重合量次第では耐水性を向上する上で効果が見られる傾向にある。カルボキシル基含有アクリル単量体は、アクリル樹脂の酸価が好ましくは0.02〜50mgKOH、より好ましくは0.5〜30mgKOH、さらに好ましくは1.2〜30mgKOHとなるよう共重合されるのが望ましい。このとき仮に顔料が分散、配合されていたとしても透明性、可視光線透過性が優れ、低ヘイズの粘着剤が製造できる。
本発明の積層プラスチックフィルムの粘着剤において好ましく用いられるアクリル樹脂が、水酸基含有アクリル単量体がラジカル共重合されたアクリル共重合体セグメント(A)と、エポキシ基含有アクリル単量体またはカルボキシル基含有アクリル単量体がラジカル共重合されたアクリル共重合体セグメント(B)からなるABブロック共重合体を含むものであるとき、粘着力が向上し、特に粘着剤が塗布され粘着面に保護フィルムが貼付された粘着テープなどの保存経時での粘着力保持性に優れ望ましい。さらに、本発明の粘着剤組成物において好ましく用いられるアクリル樹脂が、ABブロック共重合体を含むものであるとき、導電性メッシュへの浸透性がきわめて優れたものとなる傾向が強く見られる。このとき、導電性メッシュフィルムの可視光線透過性が向上し、ヘイズが低下する傾向が見られる。
本発明の積層プラスチックフィルムの粘着剤組成物において好ましく用いられる水酸基含有アクリル単量体がラジカル共重合されたアクリル共重合体セグメント(A)と、エポキシ基含有アクリル単量体またはカルボキシル基がラジカル共重合されたアクリル共重合体セグメント(B)からなるABブロック共重合体が、ヒンダードアミン化合物と有機過酸化物との反応物を重合開始剤としてラジカル共重合されたものであるとき、上記特性が顕著となる傾向にありより一層望ましい。
ヒンダードアミン化合物としては、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、3−ドデシル−1−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)ピロリジン−2,5−ジオン、N−メチル−3−ドデシル−1−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)ピロリジン−2,5−ジオンなどが例示される。ヒンダードアミン化合物は単独でも、もしくは2種類以上の混合物であってもよい。
ヒンダードアミン化合物は、アクリル共重合体セグメント(A)またはアクリル共重合体セグメント(B)を構成する(メタ)アクリル酸エステル単量体100重量部に対して、好ましくは0.002〜20.0重量%、より好ましくは0.005〜15.0重量%、さらに好ましくは0.02〜12.0重量%使用されるのが望ましい。
有機過酸化物としては、過酸化ベンゾイル、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイドなどが例示される。該有機過酸化物は単独でも、もしくは2種類以上の混合物であってもよい。
ヒンダードアミン化合物と有機過酸化物とは、ヒンダードアミン化合物1モルに対して有機過酸化物が、好ましくは1×10−4モル〜2.5モル、より好ましくは5×10−4モル〜2.0モルの割合となるよう使用される。
ヒンダードアミン化合物と有機過酸化物との反応生成物は、例えば、窒素ガス、ヘリウムガスなどの不活性ガス置換された容器中で、ヒンダードアミン化合物と有機過酸化物とを混合するだけで製造することができる。該反応は酸塩基の中和反応であり、大きい発熱を伴う場合があり得るので、反応系を冷却しながら少量ずつ反応させるのが好ましい。また、より好ましくは、有機溶媒中で希釈し実施されるのが望ましい。有機溶媒で希釈し実施される場合には、発熱も見られず、安全かつ確実に目的の反応物を製造することができる。
水酸基含有アクリル単量体がラジカル共重合されたアクリル共重合体セグメント(A)の数平均分子量(以下Mnとも言う)は、好ましくは2〜20万、より好ましくは3〜15万であることが推奨される。アクリル共重合体セグメント(A)の数平均分子量が、2〜20万であると、導電性メッシュへの粘着剤浸透性やリワーク性がよく、粘着剤の塗装作業性がよく、十分な粘着性が得られる。
水酸基含有アクリル単量体がラジカル共重合されたアクリル共重合体セグメント(A)と、エポキシ基含有アクリル単量体またはカルボキシル基含有アクリル単量体がラジカル共重合されたアクリル共重合体セグメント(B)は、アクリル共重合体セグメント(A)とアクリル共重合体セグメント(B)の合計量を100重量部として、アクリル共重合体セグメント(B)が、好ましくは5〜98重量部、より好ましくは10〜90重量部、さらに好ましくは15〜85重量部であることが望ましい。アクリル共重合体セグメント(B)が、5〜98重量部であると、粘着剤の導電性メッシュへの浸透性がよく、可視光透過率や、透明性、ヘイズがよい。もっとも好ましくは、アクリル共重合体セグメント(B)の量が、アクリル共重合体セグメント(A)とアクリル共重合体セグメント(B)の合計量を100重量部としたとき、(1)15〜45重量部、(2)55〜85重量部のいずれか2領域である。この領域にあるとき、粘着剤が導電性メッシュにもっとも浸透しやすくなり、可視光透過率が高く、ヘイズの小さい導電性シートの製造が容易となる。
本発明の積層プラスチックフィルムの粘着剤には、必要に応じて着色が可能である。着色剤を含有する層は、染料、顔料といった着色剤とバインダー樹脂とから構成される。着色剤には、通常色材工業で用いられている各種の無機顔料、有機顔料、染料が使用される。一般に透明性から有機顔料、染料が好ましく、耐光性、耐熱性から有機顔料の方が更に好ましい。また、2種類以上の着色剤を混合し、例えばPDPの発光特性に適合するような色相に調整して用いることもできる。
ここで、有機顔料としては、例えば、黒色顔料としては、カーボンブラック、青色顔料としてはフタロシアニン系顔料、インダンスレンブルー系顔料、赤色顔料としてはキナクリドン系顔料、ウオッチング系顔料、パーマネント系顔料、アンスラキノン系顔料、ベリレン系顔料、縮合アゾ系顔料などがあり、例えば、黒としてカーボンブラック、青としてフタロシアニン系顔料、赤としてキナクリドン系顔料を用いて、その配合比で色相を調整して用いる。
本発明の積層プラスチックフィルムの製造方法は、剪断速度100〜103s−1においてチキソトロピック流体である粘着剤をメッシュ状の突起を有するプラスチックフィルムに塗布した後、引き続いて一方のプラスチックフィルムを貼合して、プラスチックフィルムと、表面にメッシュ状の突起を有するプラスチックフィルムを、粘着剤を介して積層した積層プラスチックフィルムを製造する。
以下、本発明の積層プラスチックフィルムの製造方法を例示する。
粘着剤は、プラスチックフィルムに塗布した後、好ましくは、乾燥炉、オーブン等によって塗剤中の溶剤を乾燥させた後、一方のプラスチックフィルムと貼合する。
本発明の積層プラスチックフィルムの製造方法において、粘着剤を塗布するプラスチックフィルムとしては、表面にメッシュ状の突起を有するプラスチックフィルムの該メッシュ面に塗布する。これにより、貼合後の積層プラスチックフィルムに気泡が噛み込まれにくい。
本発明の積層プラスチックフィルムの製造方法における粘着剤の塗布方式としては、ロールコーター、リバースコーター、コンマコーター、リップコーター、ダイコーター等の方式が可能であり、塗工量等の条件によって適宜選択することができる。
本発明によって得られる積層プラスチックフィルムは、その後さらに粘着層を設け、ガラスと貼合するか、あるいは直接PDPに貼合することによって、他の機能性フィルムやガラスと貼合することによって表面部材として用いることができる。
本発明の積層プラスチックフィルムは、優れた帯電防止性能と低ヘイズを両立させることができ、優れた帯電防止性能と低ヘイズの積層プラスチックフィルムが得られる。この積層プラスチックフィルムは、フラットパネルディスプレイ、特にPDPのフィルター用途に好適に用いられる。
以下、本発明の積層プラスチックフィルムについて実施例に基づき、より具体的に説明する。以下、組成比は特に断りがなければ重量組成比を表すものとする。なお、各例に先立ち、以下の実施例で用いた各特性の測定方法について説明する。
(1)重合率(単位:%)
加熱残分(JIS K 5400 −1997による)から算出した。
加熱残分(JIS K 5400 −1997による)から算出した。
(2)重合系の酸素濃度
重合系の酸素濃度は、酸素濃度計「XO−326ALA」(新コスモス電機(株)の酸素濃度計)で測定した。
重合系の酸素濃度は、酸素濃度計「XO−326ALA」(新コスモス電機(株)の酸素濃度計)で測定した。
(3)数平均分子量(Mn)
GPCにより、Polymer Laboratories 社製「Polymethyl MethacrylatePolymer Standard」を分子量標準として測定した。
GPCにより、Polymer Laboratories 社製「Polymethyl MethacrylatePolymer Standard」を分子量標準として測定した。
(4)ガラス転移温度
本発明では、アクリル樹脂のガラス転移温度は成書「高分子の力学的性質」(J.E.NIELSEN著、小野木重治訳、化学同人(1975年発行))に記載されている方法(p15〜p27)に準じて算出した。すなわち、下記の式により算出した。
本発明では、アクリル樹脂のガラス転移温度は成書「高分子の力学的性質」(J.E.NIELSEN著、小野木重治訳、化学同人(1975年発行))に記載されている方法(p15〜p27)に準じて算出した。すなわち、下記の式により算出した。
1/Tg=Σ(wi/Tgi)
(ここで、Tgはアクリル樹脂のTg(絶対温度 K)、Wiはi単量体の共重合量(重量分率)、Tgiはi単量体から作製されたホモポリマーのガラス転移温度を表す。)
また、共重合する単量体から作製されるホモポリマーのTgは、前記文献「高分子の力学的性質」に記載されている値、および、アクリル単量体製造会社(例えば、三菱レイヨン、東亞合成、日本触媒工業、日本油脂など)のカタログ記載値を採用し、用いた。
(ここで、Tgはアクリル樹脂のTg(絶対温度 K)、Wiはi単量体の共重合量(重量分率)、Tgiはi単量体から作製されたホモポリマーのガラス転移温度を表す。)
また、共重合する単量体から作製されるホモポリマーのTgは、前記文献「高分子の力学的性質」に記載されている値、および、アクリル単量体製造会社(例えば、三菱レイヨン、東亞合成、日本触媒工業、日本油脂など)のカタログ記載値を採用し、用いた。
(5)粘着剤のレオロジー
ジャスコインタナショナル製「VAR型ビスコアナライザー」を使用し、25℃で測定した。測定条件は以下の通りである。
〔レオロジー測定条件〕
マニュアル測定回数1回、測定インターバル2.000E4+0 s
剪断速度テーブル剪断速度1.000E+0 − 1.000E+3 1/s
ディレイタイム1.015E+0 − 1.6000E+1 s
積算時間1.030E+0 −3.100E+1 s 。
ジャスコインタナショナル製「VAR型ビスコアナライザー」を使用し、25℃で測定した。測定条件は以下の通りである。
〔レオロジー測定条件〕
マニュアル測定回数1回、測定インターバル2.000E4+0 s
剪断速度テーブル剪断速度1.000E+0 − 1.000E+3 1/s
ディレイタイム1.015E+0 − 1.6000E+1 s
積算時間1.030E+0 −3.100E+1 s 。
(6)熱残分(NV)(単位:%)
JIS K−5400(1997)にしたがって測定した。
JIS K−5400(1997)にしたがって測定した。
(7)数平均分子量
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を使用し、標準ポリメタクリル酸メチルを分子量標準とし、テトラヒドロフランをキャリアーとして測定した。
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を使用し、標準ポリメタクリル酸メチルを分子量標準とし、テトラヒドロフランをキャリアーとして測定した。
(8)光線透過率(単位:%)
JISK7136(2000年版)に定める全光線透過率計(日本電色工業(株)製 NDH−2000)を用いて測定した。
JISK7136(2000年版)に定める全光線透過率計(日本電色工業(株)製 NDH−2000)を用いて測定した。
(9)ヘイズ(単位:%)
JISK7136(2000年版)に定める全光線透過率計(日本電色工業(株)製 NDH−2000)を用いて測定した。
〔アクリル樹脂の製造例〕
1.アクリル樹脂(1)の製造例
窒素ガス吹き込み管、温度センサー、コンデンサー、撹拌装置がついた2リットル四つ口フラスコに重合溶媒として酢酸ブチルを214.3gg仕込んだ。窒素ガスをフラスコ底部に導入し、バブリングしながら30分間保持した。この後、フラスコ内の酸素濃度が0.2vol%未満であることを確認した。
JISK7136(2000年版)に定める全光線透過率計(日本電色工業(株)製 NDH−2000)を用いて測定した。
〔アクリル樹脂の製造例〕
1.アクリル樹脂(1)の製造例
窒素ガス吹き込み管、温度センサー、コンデンサー、撹拌装置がついた2リットル四つ口フラスコに重合溶媒として酢酸ブチルを214.3gg仕込んだ。窒素ガスをフラスコ底部に導入し、バブリングしながら30分間保持した。この後、フラスコ内の酸素濃度が0.2vol%未満であることを確認した。
窒素ガスのバブリングは、継続したまま、フラスコに4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンを0.84g(アクリル単量体混合物(a−1)の0.40重量%)仕込み、均一になるよう溶解した。次いで、過酸化ベンゾイルを0.778g(4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンと等モル量)仕込み過酸化ベンゾイルが溶解し、均一な溶液になるまで攪拌を継続した。昇温を開始し、30分間で90℃に昇温、以下90℃に温度を保持した。
アクリル単量体混合物(a−1)(アクリル酸n−ブチル/メタクリル酸2−エチルヘキシル/メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(=90/5/5)500gを容器に仕込み、定流量ポンプを使用してフラスコ内に2時間で滴下した。この後、90℃をキープしたまま、重合率(以下αとも言う)が0.80になるまで重合を継続した(約10時間必要であった)。α=0.8のとき、Mnは82000であった。αとMnの関係を図1に示した。図1から本重合反応がリビングラジカル重合で進行していることが分かる。
90℃をキープしたまま、続けてアクリル単量体混合物(b−1)(アクリル酸n−ブチル/メタクリル酸2−エチルヘキシル/メタクリル酸2−ヒドロキシエチル/スチレン/メタクリル酸グリシジル)(=70.1/0.2/5.0/0.7/24.0)71.4g、酢酸ブチル30.6gを投入し、α=1.0になるまで重合を継続し、ABブロック共重合体(1)を製造した。(約8時間必要であった)αとMnの関係を図2に示した。図2から本重合反応がリビングラジカル重合で進行しており、ABブロック共重合体が生成していることが分かる(推定Aセグメント組成:アクリル酸n−ブチル/メタクリル酸2−エチルヘキシル/メタクリル酸2−ヒドロキシエチル=90/5/5、推定Bセグメント組成:アクリル酸n−ブチル/メタクリル酸2−エチルヘキシル/メタクリル酸2−ヒドロキシエチル/スチレン/メタクリル酸グリシジル=81.7/3/5/0.3/10、A/B=70/30)。
窒素ガス吹き込み管、温度センサー、コンデンサー、撹拌装置がついた2リットル四つ口フラスコに重合溶媒として酢酸エチル/酢酸n−プロピル(50/50)を500g仕込んだ。窒素ガスをフラスコ底部に導入し、バブリングしながら30分間保持した。この後、フラスコ内の酸素濃度が0.2vol%未満であることを確認した。
窒素ガスのバブリングは、継続したまま、フラスコに4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンを0.84g(アクリル単量体混合物(a−1)の0.40重量%)仕込み、均一になるよう溶解した。次いで、過酸化ベンゾイルを0.778g(4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンと等モル量)仕込み過酸化ベンゾイルが溶解し、均一な溶液になるまで攪拌を継続した。昇温を開始し、30分間で80℃に昇温、以下80℃に温度を保持した。
アクリル単量体混合物(a−1)(アクリル酸n−ブチル/アクリル酸シクロヘキシル/メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(=90/5/5))500gを容器に仕込み、定流量ポンプを使用してフラスコ内に2時間で滴下した。この後、80℃をキープしたまま、重合率が1.00になるまで重合を継続した。製造時間は約10時間であった。
トルエン248.4gを添加し、冷却を行ってアクリル樹脂(1)を製造した。アクリル樹脂(1)は加熱残分(以下NVとも言う)40.5%、数平均分子量(以下Mnとも言う)22万、ガラス転移温度(以下Tgとも言う)−48℃であった。
2.アクリル樹脂(2)の製造例
窒素ガス吹き込み管、温度センサー、コンデンサー、撹拌装置がついた2リットル四つ口フラスコに重合溶媒としてトルエン214g、重合開始剤としてt−ブチル−パーオキシベンゾエート1.5gを仕込み、90℃に昇温した。
窒素ガス吹き込み管、温度センサー、コンデンサー、撹拌装置がついた2リットル四つ口フラスコに重合溶媒としてトルエン214g、重合開始剤としてt−ブチル−パーオキシベンゾエート1.5gを仕込み、90℃に昇温した。
重合温度を180分かけて112℃まで昇温しながら、アクリル単量体混合物(a−2)(アクリル酸n−ブチル/メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(95/5))500gを容器に仕込み、定流量ポンプを使用してフラスコ内に3時間で滴下した。
滴下終了後、1時間毎にトルエン10g、t−ブチル−パーオキシベンゾエート0.5gの混合物を3回10分間で滴下し、最後の滴下が終了してからさらに2時間重合を継続して重合を終了し、冷却を開始した。
反応液の温度が60℃以下になったことを確認した後、酢酸エチル503gを添加しアクリル樹脂(2)を製造した。アクリル樹脂(2)はNV=39.8%、Mn=8.5万、Tg=−51℃であった。
〔粘着剤組成物の製造例〕
粘着剤(1)の製造例(実施例に使用した)
アクリル樹脂(1)に、硬化剤としてイソホロンジイソシアネート(以下IPDIとも言う)を硬化剤のNCO基/アクリル樹脂の水酸基がモル数比(以下これをNCOインデックスとも言う)で1:1となるよう配合(すなわちNCOインデックス1.0)し、さらに酢酸エチルで加熱残分が35%になるよう調節し粘着剤(1)を製造した。
粘着剤(1)の製造例(実施例に使用した)
アクリル樹脂(1)に、硬化剤としてイソホロンジイソシアネート(以下IPDIとも言う)を硬化剤のNCO基/アクリル樹脂の水酸基がモル数比(以下これをNCOインデックスとも言う)で1:1となるよう配合(すなわちNCOインデックス1.0)し、さらに酢酸エチルで加熱残分が35%になるよう調節し粘着剤(1)を製造した。
粘着剤(1)は、EMIシート用として適切なチキソトロピー性を有していた。すなわち、剪断速度5.61s−1の粘度Paは、6.2Pas、剪断速度562s−1の粘度Pbは、3.5Pas(Pa/Pb=1.88)であった。
粘着剤2の製造例(実施例に使用した)
アクリル樹脂(1)に「YSポリスターTH−130」(ヤスハラケミカル(株)のテルペンフェノール樹脂系粘着付与剤)を10phr配合し、次いで硬化剤としてIPDIをNCOインデックスが1.0となるように配合した。さらに酢酸エチルで加熱残分が35%になるよう調節して粘着剤(2)を製造した。
アクリル樹脂(1)に「YSポリスターTH−130」(ヤスハラケミカル(株)のテルペンフェノール樹脂系粘着付与剤)を10phr配合し、次いで硬化剤としてIPDIをNCOインデックスが1.0となるように配合した。さらに酢酸エチルで加熱残分が35%になるよう調節して粘着剤(2)を製造した。
粘着剤(2)は、EMIシート用として適切なチキソトロピー性を有していた。すなわち、剪断速度5.62s−1の粘度Paは、5.8Pas、剪断速度562s−1の粘度Pbは、3.3Pas(Pa/Pb=1.78)であった。
粘着剤3の製造例(比較例に使用した)
アクリル樹脂(2)に硬化剤としてIPDIをNCOインデックスが1.0となるよう配合し、さらに酢酸エチルで加熱残分が35%になるよう調節し粘着剤(3)を製造した。
アクリル樹脂(2)に硬化剤としてIPDIをNCOインデックスが1.0となるよう配合し、さらに酢酸エチルで加熱残分が35%になるよう調節し粘着剤(3)を製造した。
粘着剤(3)は、剪断速度5.60s−1の粘度Paは、2.8Pas、剪断速度565s−1の粘度Pbは、2.8Pas(Pa/Pb=1.00)であった。粘着剤(3)は、チキソトロピー性を有していなかった。
(実施例1)
原反厚み100ミクロンのポリエチレンテレフタレートフィルム上に設けられた、ライン間隔300ミクロン、ライン幅20ミクロン、膜厚10ミクロンの正方形メッシュパターンを有するEMIシールドフィルムのメッシュ面に、上述した粘着剤(1)をダイ方式によって塗工し、120℃、1分間乾燥し、乾燥膜厚25ミクロンとなるように塗工した。その後、この塗工面と原反厚み100μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを2本のゴムロールを用いて、線圧5kg/cm、ラインスピード10m/分で貼合し、積層プラスチックフィルムを得た。得られた積層プラスチックフィルムを400倍の光学顕微鏡により観察した結果、目視できる気泡の噛み混みはなかった。
原反厚み100ミクロンのポリエチレンテレフタレートフィルム上に設けられた、ライン間隔300ミクロン、ライン幅20ミクロン、膜厚10ミクロンの正方形メッシュパターンを有するEMIシールドフィルムのメッシュ面に、上述した粘着剤(1)をダイ方式によって塗工し、120℃、1分間乾燥し、乾燥膜厚25ミクロンとなるように塗工した。その後、この塗工面と原反厚み100μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを2本のゴムロールを用いて、線圧5kg/cm、ラインスピード10m/分で貼合し、積層プラスチックフィルムを得た。得られた積層プラスチックフィルムを400倍の光学顕微鏡により観察した結果、目視できる気泡の噛み混みはなかった。
(実施例2)
原反厚み188ミクロンのポリエチレンテレフタレートフィルムを使用したEMIシールドフィルムを使用したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2の積層プラスチックフィルムを得た。得られた積層プラスチックフィルムを光学顕微鏡で観察した結果、目視できる気泡は観察されなかった。
原反厚み188ミクロンのポリエチレンテレフタレートフィルムを使用したEMIシールドフィルムを使用したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2の積層プラスチックフィルムを得た。得られた積層プラスチックフィルムを光学顕微鏡で観察した結果、目視できる気泡は観察されなかった。
(実施例3)
ライン間隔200ミクロン、ライン幅を10ミクロン、膜厚15ミクロンである正方形メッシュを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例3の積層プラスチックフィルムを得た。得られた積層プラスチックフィルムを400倍の光学顕微鏡により観察した結果、目視できる気泡の噛み混みはなかった。
ライン間隔200ミクロン、ライン幅を10ミクロン、膜厚15ミクロンである正方形メッシュを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例3の積層プラスチックフィルムを得た。得られた積層プラスチックフィルムを400倍の光学顕微鏡により観察した結果、目視できる気泡の噛み混みはなかった。
(実施例4)
EMIシールドフィルムと貼合するポリエチレンテレフタレートフィルムの原反厚みを188ミクロンに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例4の積層プラスチックフィルムを得た。得られた積層プラスチックフィルムを400倍の光学顕微鏡により観察した結果、目視できる気泡の噛み混みはなかった。
EMIシールドフィルムと貼合するポリエチレンテレフタレートフィルムの原反厚みを188ミクロンに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例4の積層プラスチックフィルムを得た。得られた積層プラスチックフィルムを400倍の光学顕微鏡により観察した結果、目視できる気泡の噛み混みはなかった。
(実施例5)
粘着剤を上述した粘着剤(2)としたこと以外は、実施例1と同様にして実施例5の積層プラスチックフィルムを得た。得られた積層プラスチックフィルムを光学顕微鏡で観察した結果、目視できる気泡は観察されなかった。
粘着剤を上述した粘着剤(2)としたこと以外は、実施例1と同様にして実施例5の積層プラスチックフィルムを得た。得られた積層プラスチックフィルムを光学顕微鏡で観察した結果、目視できる気泡は観察されなかった。
(比較例1)
粘着剤を上述した粘着剤(3)としたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例1の積層プラスチックフィルムを得た。得られた積層プラスチックフィルムを400倍の光学顕微鏡により観察した結果、100ミクロンを越える大きさの気泡が存在を確認した。
粘着剤を上述した粘着剤(3)としたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例1の積層プラスチックフィルムを得た。得られた積層プラスチックフィルムを400倍の光学顕微鏡により観察した結果、100ミクロンを越える大きさの気泡が存在を確認した。
(比較例2)
原反厚み100ミクロンのポリエチレンテレフタレートフィルムの片面に比較例1と同様にして粘着剤を塗工した後、EMIシールドフィルムと実施例1と同様の条件で貼合し、比較例2の積層プラスチックフィルムを得た。得られた積層プラスチックフィルムは、メッシュ間に最大100ミクロン程度の大きさの気泡が確認された。
原反厚み100ミクロンのポリエチレンテレフタレートフィルムの片面に比較例1と同様にして粘着剤を塗工した後、EMIシールドフィルムと実施例1と同様の条件で貼合し、比較例2の積層プラスチックフィルムを得た。得られた積層プラスチックフィルムは、メッシュ間に最大100ミクロン程度の大きさの気泡が確認された。
Claims (8)
- プラスチックフィルムと、表面にメッシュ状の突起を有するプラスチックフィルムを、剪断速度100〜103s−1においてチキソトロピック流体である粘着剤を介して積層した積層プラスチックフィルム。
- 粘着剤の加熱残分が35〜55重量%のとき、剪断速度100〜103s−1においてチキソトロピック流体である請求項1記載の積層プラスチクフィルム。
- 粘着剤が、分子中に水酸基、カルボキシル基、またはエポキシ基のいずれか1種以上の官能基を有する数平均分子量5〜50万のアクリル樹脂を含むものである請求項1または2に記載の積層プラスチックフィルム。
- メッシュ状の突起を有するプラスチックフィルムのメッシュ状の突起が、格子状であり、そのライン幅が、1ミクロン以上50ミクロン以下、ラインとラインの間隔が、150ミクロン以上500ミクロン以下であり、かつライン厚みが、1ミクロン以上50ミクロン以下である請求項1から3のいずれかに記載の積層プラスチックフィルム。
- メッシュ状の突起を有するプラスチックフィルムが、プラズマディスプレイ装置から発生する静電気及び/又は電磁波ノイズをシールドするための電磁波遮蔽フィルムである請求項1から4のいずれかに記載の積層プラスチックフィルム。
- プラスチックフィルムが反射防止層を有するフィルムであって、該反射防止層を有する面の反対面と、表面にメッシュ状の突起を有するプラスチックフィルムの突起を有する面が向かい合うよう積層された請求項1から5のいずれかに記載の積層プラスチックフィルム。
- プラスチックフィルムが、一方の面に反射防止層を有し、もう一方の面に500nm以上に極大吸収を有する1種以上の染料、顔料、着色剤を含有する光線吸収層を有するフィルムであって、該光線吸収層を有する面と、表面にメッシュ状の突起を有するプラスチックフィルムの面が向かい合うよう積層された請求項1から6のいずれかに記載の積層プラスチックフィルム。
- 粘着剤をメッシュ状の突起を有するプラスチックフィルムに塗布した後、引き続いて一方のプラスチックフィルムを貼合する請求項1から7のいずれかに記載の積層プラスチックフィルムの製造方法。
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