JP2008290645A - 列車運行管理システム - Google Patents

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Abstract

【課題】列車運行管理システムにおいて、指令員に対する列車運行予測結果の表示と実際の進路制御順序とを一致させると同時に、進路制御順序そのものの変動を低減する。
【解決手段】列車の進路の制御順序を定めた進路制御順序ファイルに基づいて進路制御を実施する進路制御装置と、入出力手段より進路制御順序ファイルの更新要求があった場合に、優先判断手段によって列車の運行状況に応じた進路制御順序を決定し、列車運行を予測し、予測結果に基づいた進路制御順序ファイルを作成する第1予測手段と、上記進路制御順序ファイルの更新要求がない場合には、作成済みの進路制御順序ファイルを用いて列車運行を予測する第2予測手段とを備えた構成とする。
【選択図】図1

Description

この発明は、鉄道における列車運行管理システムに関するものである。
列車運行管理システムにおいて、ダイヤ乱れ時には指令員が列車の遅延を把握し、ダイヤの推移を予測し、さらに運転整理を手作業で行っていた。ここで、運転整理とは、ダイヤが乱れた場合に列車の運転を正常な状態に回復するための処置で、列車の運転順序や行き先の変更、運休、到着線路の変更などが行われる。
運転整理は指令員の熟練度に依存する部分が多く、運転整理案の作成支援を目的として、現在時刻以降の列車の運行状態を列車運行管理システムにおいて予測し、指令員に結果をダイヤスジで表示する列車運行予測が導入されてきた。
しかしながら、予測結果を指令員に対する表示に利用するだけでは、列車の運行状況が乱れた場合などには、予測結果と実際の進路(信号機)の制御順序が異なり、指令員の状況把握が困難となることがあった。
これに対し、予測結果に基づいて、列車運行管理システムにおいて進路制御順序を決定し、指令員に対する表示のとおりに進路制御を行うシステムがあった(例えば、非特許文献1参照。)。
「列車運行予測による優先判断機能の開発」村岡 憲次,他5名,第40回鉄道サイバネ・シンポジウム論文集,論文番号404(2003)
しかしながら、このようなシステムでは、現在時刻までの列車の運行実績に基づいて現在時刻以降の列車の運行を予測し、予測結果を表示すると共に、この予測結果を予測ダイヤとして信号機の制御順序を決定する進路制御装置に配信し、信号機制御の優先判断機能に適用する。そのため、列車の運行が乱れた場合や、運行実績の詳細な情報に基づいた予測を行う場合には、予測結果が変動しやすくなる。それにより、予測結果に基づいて決定する進路制御順序が頻繁に変動し、指令員の状況把握が困難になるという問題が依然として残されていた。
この発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、指令員に対する予測結果の表示と実際の進路制御順序とを一致させると同時に、進路制御順序そのものの変動を低減することを目的としている。
この発明に係る列車運行管理システムは、列車の進路の制御順序を定めた進路制御順序ファイルに基づいて進路制御を実施する進路制御装置、
列車の運行状況に応じた進路制御順序を決定する優先判断手段と、上記進路制御順序ファイルが未作成の場合または上記進路制御順序ファイルの更新要求があった場合に、設定された列車ダイヤと実際の列車の運行実績と上記優先判断手段で決定された進路制御順序とを用いて列車運行を予測し、予測結果に応じた進路制御順序ファイルを作成する第1予測手段と、進路制御順序ファイルが作成済みの場合であり、かつ上記進路制御順序ファイルの更新要求がない場合に、設定された列車ダイヤと実際の列車の運行実績と作成済みの上記進路制御順序ファイルとを用いて列車運行を予測する第2予測手段とを有する列車運行予測装置、
および上記列車運行予測装置で予測された予測結果を出力すると共に、上記列車運行予測装置に上記進路制御順序ファイルの更新要求を入力する入出力手段を有する入出力装置を備えたものである。
また、この発明に係る別の列車運行管理システムは、列車の進路の制御順序を定めた進路制御順序ファイルに基づいて進路制御を実施する進路制御装置、
列車の運行状況に応じた進路制御順序を決定する優先判断手段と、設定された列車ダイヤと実際の列車の運行実績と上記優先判断手段で決定された進路制御順序とを用いて列車運行を予測し、予測結果に応じた進路制御順序ファイルを作成する第1予測手段と、設定された列車ダイヤと実際の列車の運行実績と作成済みの進路制御順序ファイルとを用いて列車運行を予測する第2予測手段と、上記第2予測手段の予測結果と第1予測手段の予測結果とより、設定された条件における総遅延時分が小さい方の予測結果を選択する制御順序評価手段とを有する列車運行予測装置、
および上記制御順序評価手段における選択結果を出力すると共に、上記列車運行予測装置に上記進路制御順序ファイルの更新要求を入力する入出力手段を有する入出力装置を備えたものである。
この発明によれば、列車の運行状況が変動しても、進路制御順序を決定する進路制御順序ファイルを、更新要求がない限り変更しないようにしたので、進路制御順序そのものの変動を低減することができ、指令員の列車運行状況判断が容易となる効果がある。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1による列車運行管理システムを示す構成図である。
図1において、列車運行管理システムは、運転整理卓(入出力装置)100、ダイヤ管理装置200、列車運行予測装置300、および進路制御装置400を備えており、それぞれ、CPUやメモリおよび外部記憶装置といったコンピュータとしての構成によって実現されている。
運転整理卓100は、指令員が予め設定された列車ダイヤを変更する要求をダイヤ管理装置200に入力したり、進路順序を変更する要求を列車運行予測装置300に入力したり、列車の運行実績や運行予測結果、進路制御順序等の列車運行状況を表示したりするための入力・表示手段(入出力手段)101を備えている。
ダイヤ管理装置200は、ダイヤ管理手段201を備えており、運転整理卓100からの要求によってダイヤファイル202を変更したり、列車運行予測に利用する基本データとしてダイヤファイル202を列車運行予測装置300に送信したりする。ダイヤファイル202には、列車が駅に到着する着時刻、列車が駅から出発する発時刻、着発番線などがダイヤデータとして格納されている。
列車運行予測装置300は、進路の制御順序を決定するための優先判断手段301と、列車の運行を予測する第1予測手段302および第2予測手段303とを有する列車運行予測手段310を備えている。また、列車運行予測装置300は、列車運行予測手段310により予測された列車運行予測結果を格納する列車運行予測ファイル304、および進路の制御順序を決定する進路制御順序ファイル305を備えている。列車運行予測装置300の各構成要素301〜305については、後で詳述する。
進路制御装置400は、進路制御順序ファイル305に基づいて進路制御を行う進路制御手段401を備えている。進路制御手段401は、列車の安全を確保する保安装置である連動装置と接続されており、連動装置に進路制御情報を送信する。連動装置は、進路制御手段401からの進路制御情報により、転てつ器や信号機を制御する。以降、進路制御手段401が、連動装置に進路制御情報を送信することを「進路制御」と呼ぶ。
また、進路制御装置400は、現在時刻までの列車の運行実績を列車運行実績ファイル402として管理し、列車運行予測装置300に送信する。
図2は、この発明の実施の形態1に係る列車運行予測ファイル304の説明図である。
図2において、A、B、Cは、列車を表す。
また、AT、BT、21T、22T、1LT、XT、23T、24T、1RT、2RT、3RT、4RTは、ある定められた区間単位で列車の在線位置を把握する装置であり、上記区間単位の軌道回路を表している。各軌道回路において、列車在線中の状態を「落下」、列車不在の状態を「扛上」と呼ぶ。
また、21イ、21ロ、22イ、22ロ、23、24は、軌道が分岐する箇所に設置される転てつ器を表し、通常の方向に向いている状態を「定位」、通常とは異なる方向に向いている状態を「反位」と呼ぶ。
また、図中の実線A、破線B、および二点鎖線Cで示す矢印は、列車に対する進路を表し、始点から終点までの軌道回路列を定義する。
また、1R、2R、3R、4R、1L、2L、3L、4Lは、信号機を表し、転てつ器が所定の方向を向き、始点から終点までの進路が確保されたときに進行現示となる。
列車運行予測ファイル304は、現在時刻以降に予測される列車の運行に関係するイベントをデータとして格納したものである。図2の例では、列車運行予測ファイル304は、イベントの発生した時刻、イベントに関係する列車番号、イベント内容で構成されており、列車Aについては、時刻TAに2番線に到着、列車Bについては、時刻TBに1番線から出発、列車Cについては、時刻TCに3番線から出発、といったデータが格納されている。
なお、列車運行予測ファイル304には、列車の着発以外のイベント(例えば進路の制御、軌道回路の落下・扛上等)がデータとして格納されていてもよい。
図3は、この発明の実施の形態1に係る進路制御順序ファイル305の説明図である。
進路制御順序ファイル305は、制御順序、制御対象列車番号、制御対象進路名称、着発時刻等の進路制御順序情報で構成されている。ここで、着発時刻は、制御対象進路が入場列車に対する入場進路の場合、駅(ホーム)への到着時刻、また、制御対象進路が出発列車に対する出発進路の場合、駅(ホーム)からの出発時刻がデータとして格納される。
例えば、図3の進路制御順序ファイル305には、先ずはじめに列車Aに対して進路2Rを制御(時刻TA’に2番線到着)、次に列車Bに対して進路1Lを制御(時刻TB’に1番線から出発)、次に列車Cに対して進路3Lを制御(時刻TC’に3番線から出発)、・・・の順序で進路を制御するデータが格納されている。
なお、図3の例では、制御順序を表す数値の小さいほうの進路を先に制御するとしているが、その大小関係は、予め条件として定めることにより、大小いずれの設定であってもよい。また、同時に制御可能な複数の進路に対し、同じ数値を設定するようにしてもよい。
また、制御順序を規定するのに、整数値の代わりに、予測時の進路制御時刻を設定するようにしてもよい(ここでの進路制御時刻は、その時刻に実際の制御を行うためのものではなく、制御順序を規定するための指標としての時刻を示す。)。
次に、第1予測手段302の動作について説明する。
第1予測手段302は、運転整理卓100から更新要求が入力された場合に、ダイヤファイル202と列車運行実績ファイル402とに基づいて列車の運行を予測し、列車運行予測ファイル304と進路制御順序ファイル305とを作成する。
なお、列車運行実績ファイル402は、現在時刻までの列車の運行に関係するイベントをデータとして格納したものであり、図2に示す列車運行予測ファイル304と同様の形式のファイルである。列車運行実績ファイル402には、列車運行予測ファイル304と同様に、列車の着発以外のイベントがデータとして格納されていてもよい。
ここで、第1予測手段302において、ダイヤファイル202と列車運行実績ファイル402とに基づいて列車の運行を予測する際には、優先判断手段301を用いて進路制御順序を決定する。
優先判断手段301の一例を説明する。
ダイヤファイル202には、列車Aが2番線到着した後に、列車Bが1番線から出発するデータが格納されており、列車Aの到着が遅れているとする。列車Aの遅延が大きくなると、列車Bの出発も遅れ、さらに遅延が大きくなる。
そこで、優先判断手段301は、ダイヤファイル202と列車運行実績ファイル402との間に予め定められた条件が成立した場合(例えば、ダイヤファイル202に格納されている列車Aの2番線到着時刻より所定時間経過しても、列車運行実績ファイル402に列車Aの2番線到着時刻が格納されない場合)には、列車Bに対して、進路1Lを先に制御する、といったように、列車の運行状況に応じて進路の制御順序を決定する。
このように、第1予測手段302は、運転整理卓100から更新要求が入力された場合に、ダイヤファイル202と列車運行実績ファイル402とに基づき、優先判断手段301によって列車に対する進路制御順序を決定し、決定された進路制御順序と、ダイヤファイル202と、列車運行実績ファイル402とを用いて列車運行予測ファイル304と進路制御順序ファイル305とを作成する。なお、作成した進路制御順序ファイル305によりそれまでの進路制御順序ファイルを更新する場合には指令員からの承認入力を経た後に更新するとよい。
進路制御順序ファイル305は、新たなダイヤファイル202が与えられた場合や、運転整理などによってダイヤファイル202が更新された場合にも、第1予測手段302によって作成、更新される。この際、第1予測手段302は指令員からの承認入力を経た後、進路制御順序ファイル305を作成、更新する。
次に、第2予測手段303の動作について説明する。
第2予測手段303は、ダイヤファイル202と列車運行実績ファイル402と進路制御順序ファイル305とに基づいて列車の運行を予測し、列車運行予測ファイル304を作成する。
第2予測手段303において列車の運行を予測する際には、優先判断手段301によって進路制御順序を決定せず、進路制御順序ファイル305によって定められている進路制御順序を守る予測をし、列車運行予測ファイル304を作成する。
このように、第2予測手段303は、進路制御順序ファイル305が作成済であり、更新要求がない場合に、列車運行予測ファイル304を作成する。
図4は、この発明の実施の形態1に係る列車運行予測装置300における動作を示すフローチャートであり、進路制御順序ファイル305の管理方法を示している。
図4において、列車運行予測装置300は、進路制御順序ファイル305が作成済みかどうかをチェックする(ステップS1)。進路制御順序ファイル305が未作成の場合、第1予測手段302によって列車の運行を予測し(ステップS2)、列車運行予測ファイル304を作成し(ステップS3)、進路制御順序ファイル305を作成し(ステップS4)、列車運行予測ファイル304を運転整理卓100に送信し(ステップS5)、進路制御順序ファイル305を運転整理卓100と進路制御装置400に送信する(ステップS6)。
ステップS1において、進路制御順序ファイル305が作成済みの場合、運転整理卓100から、進路制御順序ファイル305の更新要求があるかどうかをチェックする(ステップS7)。更新要求がある場合には、第1予測手段302によって列車の運行を予測し(ステップS2)、進路制御順序ファイル305を再作成し(ステップS3)、列車運行予測ファイル304を作成し(ステップS4)、列車運行予測ファイル304を運転整理卓100に送信し(ステップS5)、進路制御順序ファイル305を運転整理卓100と進路制御装置400に送信する(ステップS6)。
ステップS7において、更新要求がない場合には、作成済みの進路制御順序ファイル305を読み込み、第2予測手段303によって列車の運行を予測し(ステップS9)、列車運行予測ファイル304を作成し(ステップS10)、列車運行予測ファイル304を運転整理卓100に送信し(ステップS5)、進路制御順序ファイル305を運転整理卓100と進路制御装置400に送信する(ステップS6)。
運転整理卓100は、入力・表示手段101により、列車運行予測装置300から送信される列車運行予測ファイル304と進路制御順序ファイル305の内容を表示する。
以上のように、本実施の形態の列車運行予測装置300では、一旦進路制御順序ファイル305を作成した後、更新要求がなければ、第2予測手段303によって進路制御順序ファイル305で定められる進路制御順序を守る列車運行を予測して列車運行予測ファイル304を作成し、作成した列車運行予測ファイル304と進路制御順序ファイル305との内容を運転整理卓100に表示しており、この表示に基づいて指令員が進路順序の変更をするか否かを決定できるようにしている。また、上記表示に基づき指令員が進路順序の変更を決定した場合は、入出力手段101より列車運行予測装置300に進路制御順序ファイル305の更新要求が入力され、列車運行予測装置300は、第1予測手段302によって、列車の運行状況に応じた進路制御順序で列車運行予測ファイル304と進路制御順序ファイル305とを作成し、作成した列車運行予測ファイル304と進路制御順序ファイル305との内容を運転整理卓100に表示している。
次に、進路制御装置400の動作について説明する。進路制御手段401は、列車運行予測装置300から送信される進路制御順序ファイル305を読み込み、進路制御順序ファイル305によって定められている進路制御順序を守る進路制御を行う。
なお、上記実施の形態では、第1予測手段302および第2予測手段303で予測した予測結果をステップS5で運転整理卓100に送信し、さらにステップS6で進路制御順序ファイル305を運転整理卓100と進路制御装置400に送信するようにしたが、運転整理卓100には予測結果、進路制御順序ファイルの内容の他に、ダイヤや列車運行実績を表示しても良い。
以上のように、実施の形態1の列車運行管理システムは、進路制御順序ファイルが未作成の場合または上記進路制御順序ファイルの更新要求があった場合に、設定された列車ダイヤと実際の列車の運行実績と優先判断手段で決定された列車運行状況に応じた進路制御順序とを用いて列車運行を予測し、予測結果に応じた進路制御順序ファイルを作成する第1予測手段と、進路制御順序ファイルが作成済みの場合であり、かつ上記進路制御順序ファイルの更新要求がない場合に、設定された列車ダイヤと実際の列車の運行実績と作成済みの上記進路制御順序ファイルとを用いて列車運行を予測する第2予測手段とを備えている。そのため、列車の運行状況が変動しても、進路制御順序を決定する進路制御順序ファイルを、更新要求がない限り変更しないようにしたので、進路制御順序そのものの変動を低減することができ、指令員の列車運行状況判断が容易となる効果がある。
実施の形態2.
実施の形態1では、一旦進路制御順序ファイル305を作成した後、更新要求がなければ、第2予測手段303によって進路制御順序ファイル305で定められる進路制御順序を守る列車運行を予測して列車運行予測ファイル304を作成し、作成した列車運行予測ファイル304と進路制御順序ファイル305との内容を運転整理卓100に表示し、この表示に基づいて指令員が進路順序の変更をするか否かを決定するようにした。列車運行予測装置300において、進路制御順序ファイル305における着発時刻と、列車運行予測ファイル304における列車の着発イベントの時刻とをチェックし、列車運行予測ファイル304の内容と進路制御順序ファイル305の内容とのずれを評価して、運転整理卓100に評価結果を表示するようにしてもよい。
図5は、本発明の実施の形態2による列車運行管理システムを示す構成図である。
本実施の形態では、列車運行予測装置300において、列車運行予測ファイル304の内容と進路制御順序ファイル305の内容とを評価する制御順序評価手段306を設けた点が実施の形態1と異なる。
次に、制御順序評価手段306の動作について説明する。
第2予測手段303は進路制御順序ファイル304を変更しないので、列車の運行状況によっては、列車運行予測ファイル304における列車の着発時刻と進路制御順序ファイル305における着発時刻にずれが発生しうる。制御順序評価手段306は、そのようなずれをチェックする。
図6は、第2予測手段303が予測時に参照した進路制御順序ファイル305と、予測によって作成した列車運行予測ファイル304の一例である。
図7は、この発明の実施の形態2に係る列車運行予測装置300における動作を示すフローチャートであり、ステップS1〜S10の動作は実施の形態1と同様である。
ステップS11において、制御順序評価手段306は、図6の列車運行予測ファイル304における列車の着発イベントの時刻と、それに対応する進路制御順序ファイル305における着発時刻とを比較し、ステップS12において、2つの時刻にあらかじめ定めた時間以上のずれが検知された場合には、ステップS13において、運転整理卓100に警告表示をする。
ステップS12で上記ずれが一定の範囲内の場合は、ステップS10で作成した列車運行予測ファイル304を運転整理卓100に送信する(ステップS5)。
運転整理卓100に表示された警告表示によって、指令員より運転整理卓100から列車運行予測装置300に対し進路制御順序ファイル305の更新要求が入力されれば(ステップS14)、第1予測手段302により実施の形態1と同様にして、列車運行予測ファイル304と進路制御順序ファイル305とを作成し、運転整理卓100に結果を表示する(ステップS2〜S6)。
なお、上記実施の形態では、第2予測手段303の予測結果と作成済みの進路制御順序ファイル305との間に所定の範囲以上のずれがある場合に、警告表示を運転整理卓100に出力するようにしたが、ずれの具体的な値などの評価結果を出力するようにしても良い。
以上のように、実施の形態2の列車運行管理システムによれば、列車運行予測装置300に、列車運行予測ファイル304の内容と進路制御順序ファイル305の内容とを評価する制御順序評価手段306を設け、評価結果を運転整理卓100に表示するようにしたので、指令員が運行状況の変化を把握しやすくなる。
実施の形態3.
図8は、本発明の実施の形態3による列車運行管理システムを示す構成図である。
実施の形態1、2では、一旦進路制御順序ファイル305を作成した後、更新要求がなければ、第2予測手段303によって進路制御順序ファイル305で定められる進路制御順序を守る列車運行を予測して列車運行予測ファイル304を作成するようにした。本実施の形態では、列車運行予測装置300において、一旦進路制御順序ファイル305を作成した後、第2予測手段303により第2列車運行予測ファイル304−2を作成すると共に、更新要求が無くても、第1予測手段302により第1列車運行予測ファイル304−1を作成する点が、実施の形態1、2と異なる。
また、本実施の形態では、列車運行予測装置300において制御順序評価手段306を設けるが、この制御順序評価手段306は、2つの列車運行予測ファイル304−1、304−2の内容を評価対象とする。
図9はこの発明の実施の形態3に係る列車運行予測装置300における動作を示すフローチャートである。
先ず、第1予測手段302によって列車の運行を予測し(ステップS15)、第1列車運行予測ファイル304−1を作成し(ステップS16)、この第1列車運行予測ファイル304−1に基づいて進路制御順序ファイル305を作成する(ステップS17)。
続いて、第2予測手段303によって列車の運行を予測し(ステップS18)、第2列車運行予測ファイル304−2を作成する(ステップS19)。
なお、進路制御順序ファイル305を初回に作成する際には、ステップS18ではステップS17で作成した進路制御順序ファイル305を使用する。
ステップS20において、制御順序評価手段306は、作成された2つの列車運行予測ファイル304−1、304−2の内容を、それぞれダイヤファイル202の内容と比較して、列車の総遅延時分を各々計算する。
列車の総遅延時分は、例えば、現在時刻からあらかじめ定めた範囲の時間内の列車に対して計算する。この際、評価対象とする列車や区間などの条件を、運転整理卓100から設定できるようにしてもよい。
ステップS21では、ステップS20においてそれぞれ計算した列車の総遅延時分を比較し、列車の総遅延時分が小さい方の列車運行予測ファイルを選択する。
ステップS22では、ステップS21で選択された列車運行予測ファイルが第2列車運行予測ファイル304−2であるか否かを判定し、第2列車運行予測ファイル304−2である場合、すなわち第2列車運行予測ファイル304−2の方が第1列車運行予測ファイル304−1より列車の総遅延時分が小さい場合には、ステップS23で、第2列車運行予測ファイル304−2を運転整理卓100に送信する。
また、ステップS24では、進路制御順序ファイル305は更新せず、第2列車運行予測ファイル304−2作成時に用いた進路制御順序ファイル305を運転整理卓100と進路制御装置400に送信する。
ステップS22で、選択されたファイルが第2列車運行予測ファイル304−2でない場合、すなわち第1列車運行予測ファイル304−2の方が第2列車運行予測ファイル304−1より列車の総遅延時分が小さい場合には、ステップS25において、運転整理卓100に警告表示をする。
運転整理卓100に表示された警告表示によって、指令員より運転整理卓100から列車運行予測装置300に対し進路制御順序ファイル305の更新要求が入力されれば(ステップS26)、ステップS27において、進路制御順序ファイル305を、ステップS17で作成された進路制御順序ファイル305に更新する。
ステップS28では、第1予測手段302により作成された第1列車運行予測ファイル304−1を運転整理卓100に送信し表示する。
ステップS29では更新した進路制御順序ファイル305を運転整理卓100と進路制御装置400に送信する。
ステップS26において、進路制御順序ファイル305の更新要求が無ければ、進路制御順序ファイル305の更新は行わず、第2予測手段303により作成された第2列車運行予測ファイル304−2と更新前の進路制御順序ファイル305を運転整理卓100に送信し、表示する(ステップS23、S24)。
以上のように、本実施の形態の列車運行管理システムによれば、2つの異なる列車運行予測手段302、303によって、2つの異なる列車運行予測ファイル304−1、304−2を並行して作成し、制御順序評価手段306によって総遅延時分が小さいほうの予測結果を選択し、選択した予測結果に対応する進路制御順序ファイル305で進路制御を行うので最適な順序で進路制御を行うことができる。また、指令員の列車運行状況判断が容易となる効果がある。
さらに、進路制御順序ファイル305を更新する際には運転整理卓100からの更新要求を受けてから進路制御順序ファイル305を更新するようにしたので、指令員の列車運行状況判断が容易となる効果がある。
実施の形態4.
実施の形態1〜3では、列車運行予測装置300で予測された予測結果に基づいて進路制御順序ファイル305の作成、変更といった管理を行うようにしたが、各実施の形態1〜3において、列車運行予測装置300における進路制御順序ファイル305の管理に加え、さらに手動で進路制御順序ファイル305を作成、変更できるようにしてもよい。
進路制御順序ファイル305の手動での入力による作成、変更は、運転整理卓100における入力・表示手段101によって行う。
手動で進路制御順序ファイル305が入力されることによって作成、変更された場合、列車運行予測装置300は、第2予測手段303によって、手動で作成、更新された上記進路制御順序ファイル305によって定められている進路制御順序を守る列車の運行を予測し、列車運行予測ファイル(304、または304−2)を作成する。
以降、更新要求がない限り、、第2予測手段303によって、手動で作成、更新された進路制御順序ファイル305によって定められている進路制御順序を守る列車の運行を予測する。
なお、実施の形態2で示したように、列車運行予測装置300が制御順序評価手段306を有する場合は、列車運行予測ファイル304における列車の着発時刻と、手動で入力されることによって作成、変更された進路制御順序ファイル305における着発時刻とのずれをチェックし、あらかじめ定めた時間以上のずれが検知された場合には、運転整理卓100に警告表示をするようにする。
また、実施の形態3で示したように、第2予測手段303による予測と同時に、第1予測手段302によって列車の運行を予測し、2つの列車運行予測ファイル(304−1、304−2)を作成する場合には、進路制御順序ファイル305が手動で入力されることによって作成、変更された直後に、2つの予測手段(302、303)によって作成された2つの列車運行予測ファイル(304−1、304−2)の内容を制御順序評価手段306によって評価し、第1列車運行予測ファイル(304−1)のほうが、列車の総遅延時分が小さい場合、運転整理卓100に警告表示をするようにする。
以上のように、実施の形態4の列車運行管理システムによれば、列車運行予測装置による進路制御順序ファイルの管理に加え、手動で入力することによって進路制御順序ファイルを作成、変更できるようにしたので、指令員の意思が反映された管理が可能となる。
また、制御順序評価手段を備え、手動で入力することによって作成、変更した進路制御順序ファイルの内容を上記制御順序評価手段で評価するようにすれば、指令員の意思が反映された、詳細な進路制御順序の管理が可能となる。
なお、上記各実施の形態1〜4では、列車運行予測装置において、第1および第2予測手段を設けているが、2つの予測手段302、303の機能を統合した予測手段を設けるようにしてもよい。
本発明の実施の形態1による列車運行管理システムを示す構成図である。 本発明の実施の形態1に係る列車運行予測ファイル304の説明図である。 本発明の実施の形態1に係る進路制御順序ファイルの説明図である。 本発明の実施の形態1に係る列車運行予測装置における動作を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態2による列車運行管理システムを示す構成図である。 本発明の実施の形態2による列車運行予測装置における制御順序評価手段の説明図である。 本発明の実施の形態2に係る列車運行予測装置における動作を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態3による列車運行管理システムを示す構成図である。 本発明の実施の形態3に係る列車運行予測装置における動作を示すフローチャートである。
符号の説明
100 運転整理卓、101 入力・表示手段、200 ダイヤ管理装置、201 ダイヤ管理手段、202 ダイヤファイル、300 列車運行予測装置、301 優先判断手段、302 第1予測手段、303 第2予測手段、304 列車運行予測ファイル、304−1 第1列車運行予測ファイル、304−2 第2列車運行予測ファイル、305 進路制御順序ファイル、306 制御順序評価手段、310 列車運行予測手段、400 進路制御装置、401 進路制御手段、402 列車運行実績ファイル。

Claims (8)

  1. 列車の進路の制御順序を定めた進路制御順序ファイルに基づいて進路制御を実施する進路制御装置、
    列車の運行状況に応じた進路制御順序を決定する優先判断手段と、上記進路制御順序ファイルが未作成の場合または上記進路制御順序ファイルの更新要求があった場合に、設定された列車ダイヤと実際の列車の運行実績と上記優先判断手段で決定された進路制御順序とを用いて列車運行を予測し、予測結果に応じた進路制御順序ファイルを作成する第1予測手段と、進路制御順序ファイルが作成済みの場合であり、かつ上記進路制御順序ファイルの更新要求がない場合に、設定された列車ダイヤと実際の列車の運行実績と作成済みの上記進路制御順序ファイルとを用いて列車運行を予測する第2予測手段とを有する列車運行予測装置、
    および上記列車運行予測装置で予測された予測結果を出力すると共に、上記列車運行予測装置に上記進路制御順序ファイルの更新要求を入力する入出力手段を有する入出力装置を備えたことを特徴とする列車運行管理システム。
  2. 列車運行予測装置は、第2予測手段の予測結果と作成済みの進路制御順序ファイルの進路制御順序情報とを比較評価し、評価結果を入出力手段に出力する制御順序評価手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の列車運行管理システム。
  3. 制御順序評価手段は、第2予測手段の予測結果と作成済みの進路制御順序ファイルの進路制御順序情報との間に所定の範囲以上のずれがある場合に、評価結果を入出力手段に出力することを特徴とする請求項2に記載の列車運行管理システム。
  4. 列車の進路の制御順序を定めた進路制御順序ファイルに基づいて進路制御を実施する進路制御装置、
    列車の運行状況に応じた進路制御順序を決定する優先判断手段と、設定された列車ダイヤと実際の列車の運行実績と上記優先判断手段で決定された進路制御順序とを用いて列車運行を予測し、予測結果に応じた進路制御順序ファイルを作成する第1予測手段と、設定された列車ダイヤと実際の列車の運行実績と作成済みの進路制御順序ファイルとを用いて列車運行を予測する第2予測手段と、上記第2予測手段の予測結果と第1予測手段の予測結果とより、設定された条件における総遅延時分が小さい方の予測結果を選択する制御順序評価手段とを有する列車運行予測装置、
    および上記制御順序評価手段における選択結果を出力すると共に、上記列車運行予測装置に上記進路制御順序ファイルの更新要求を入力する入出力手段を有する入出力装置を備えたことを特徴とする列車運行管理システム。
  5. 列車運行予測装置は、制御順序評価手段における選択結果が第1予測手段の予測結果の場合に、上記選択結果を入出力手段に出力することを特徴とする請求項4に記載の列車運行管理システム。
  6. 入出力手段は、進路制御順序ファイルを作成または更新することが可能であり、列車運行予測装置は、上記入出力手段より進路制御順序ファイルの作成または更新が行われた場合、第2予測手段により設定された列車ダイヤと実際の列車の運行実績と作成、更新された進路制御順序ファイルとを用いて列車運行を予測することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の列車運行管理システム。
  7. 入出力手段は、進路制御順序ファイルを作成または更新することが可能であり、列車運行予測装置は、上記入出力手段より進路制御順序ファイルの作成または更新が行われた場合、第2予測手段により設定された列車ダイヤと実際の列車の運行実績と作成、更新された進路制御順序ファイルとを用いて列車運行を予測し、この予測結果と上記入出力手段により作成、更新された進路制御順序ファイルの進路制御順序情報とを制御順序評価手段により比較評価し、評価結果を上記入出力手段に出力することを特徴とする請求項2に記載の列車運行管理システム。
  8. 入出力手段は、進路制御順序ファイルを作成または更新することが可能であり、列車運行予測装置は、上記入出力手段より進路制御順序ファイルの作成または更新が行われた場合、第2予測手段により設定された列車ダイヤと実際の列車の運行実績と作成、更新された進路制御順序ファイルとを用いて列車運行を予測し、この予測結果と第1予測手段の予測結果とより、設定された条件における総遅延時分が小さい方の予測結果を制御順序評価手段により選択し、選択結果を上記入出力手段に出力することを特徴とする請求項4に記載の列車運行管理システム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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