JP2008289300A - 永久磁石式回転電機 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】着磁コイルと電機子コイルを設けた固定子と回転子を有する。回転子は、エアギャップ面が凹凸形状で軸方向に2分割された回転子鉄心と、前記分割された鉄心間に挟まれた第1の永久磁石と、前記分割鉄心の凹部に埋め込まれた第2の永久磁石からなり、前記鉄心凸部と第2の永久磁石で磁極を構成する。第1の永久磁石は保磁力と磁化方向厚みの積が小とし、第2の永久磁石は保磁力と磁化方向厚みの積が大とする。着磁コイルで作る磁界により、前記保磁力と磁化方向厚みの積が小となる永久磁石を不可逆的に磁化させることにより、全鎖交磁束量を変化させる。着磁コイルに極短時間の電流を流すことで、永久磁石を不可逆的に磁化させるので、着磁コイルに流す電流が少なくて済む。
【選択図】図1
Description
(a) 実施形態の構成
以下、本発明に係る永久磁石式型回転電機の実施形態について、図1〜図9を参照して説明する。図1は、本発明の第1実施形態における回転電機の軸方向断面、図2は、本発明の第1実施形態における回転子鉄心7の径方向断面であって、図2(A)に図1のA−A’断面における回転子鉄心7Aの断面を、図2(B)にB−B’断面における回転子鉄心7Bの断面を示す。
次に、前記のような構成を有する本実施形態の作用について説明する。
初めの状態(本発明では増磁状態)では、第1の永久磁石8は左側がN極、右側がS極に磁化されているものとする。回転子鉄心7Aでは、第1の永久磁石8により回転子鉄心7がN極に磁化され、鉄心の外周部の凸部10にN極の磁極が形成される。
図3に着磁コイル4による磁束と第1の永久磁石8による磁束を示す。着磁コイル4に極短時間に電流を流し、軸方向で、第1の永久磁石8の磁化方向とは逆方向に磁界を発生させる。着磁コイル4による磁界で第1の永久磁石8は磁化されて、磁力が低下する。さらに大きな磁化電流では、第1の永久磁石8の極性は反転させることができる。
第2の永久磁石9は保磁力が大きいため初期の磁化方向を保っており、エアギャップ面はS極である。一方、保磁力の小さな第1の永久磁石8では極性が反転したので、回転子鉄心7はS極に磁化されて凸部10はS極の磁極となる。したがって、全てS極が形成される。
着磁コイル4に電流を流し、図6に示すように減磁状態とは逆方向の磁界を発生させ、第1の永久磁石8の磁力を弱くするか、さらに電流を大きくして第1の永久磁石8の極性を反転させる。
つぎに、可変速運転において、本発明の動作について説明する。
低速域で動作させる場合は、前記の述べた増磁状態とし、第1の永久磁石8と第2の永久磁石9による鎖交磁束が加え合せで最大になるので、トルクも最大になる。
本実施形態の永久磁石式回転電機は、永久磁石の鎖交磁束を大幅に変化させることができるので、負荷状態、回転速度に応じて最適な永久磁石の鎖交磁束量にすることにより、全運転範囲で高効率が得られる。さらに着磁コイル4に流す電流は第1の永久磁石8を磁化させる瞬間のみなので、損失はほとんどない。
(a) 永久磁石9を埋め込んだもの
図9は、前記第1実施形態の変形例を示すもので、その回転子鉄心7Aまたは回転子鉄心7Bの断面を示している。この変形例では、第2の永久磁石9は回転子鉄心7に埋め込まれている。なお、この永久磁石9を回転子鉄心7に埋め込むには、回転子鉄心7の端面から軸方向に沿って空隙を形成し、その内部に棒状の永久磁石9を挿入したり、回転子鉄心7の表面に形成した凹部内に永久磁石9を挿入した後に蓋をしても良い。
第1実施形態では8極の回転電機を示したが、16極等の多極の回転電機にも本発明を適用できるのは当然である。極数に応じて永久磁石の配置位置、形状が幾分変ることは勿論であり、作用と効果は同様に得られる。
前記第1実施形態においては、磁極を形成する永久磁石において、保磁力と磁化方向の厚の積をもって永久磁石を区別する定義をしている。したがって、磁極には同じ種類の永久磁石で形成し、磁化方向厚みを異なるように形成しても同様な作用と効果が得られる。
本発明の第2実施形態について説明する。この第2実施形態の軸方向断面を図10に、回転子断面を図11(A)(B)に示す。これら図10及び図11(A)(B)に示すように、この第2実施形態は、前記第1実施形態の永久磁石式回転電機において、第2の永久磁石9の替わりに空気層とし、回転子鉄心断面を凹凸形状としたものである。この場合、回転子鉄心7A,7Bの凸部10が第1の永久磁石8により、それぞれN極、S極に磁化されている。
本発明の第3実施形態について説明する。
この第3実施形態の回転電機では、着磁コイル4に短時間の電流によるパルス的な磁界で第1の磁石を不可逆的に磁化して鎖交磁束量を変化させる。中速度回転域や高速度回転域では、さらに負のd軸電流による磁束を常時発生させることにより、負のd軸電流による磁束と永久磁石による磁束からなる鎖交磁束は、前記負のd軸電流による磁束で調整することができる。
第1実施形態または第2実施形態において、永久磁石8の保磁力と磁化方向厚みの積が小となる第1の永久磁石8として、Dy元素またはTb元素が少ないNdFeB磁石で構成する。Dy元素とTb元素はNdFeB磁石の高温時の耐減磁特性を向上させるために添加する。
2…固定子鉄心
3…電機子コイル
4…着磁コイル
5…固定子ヨーク
6…回転子
7,7A,7B…回転子鉄心
8…第1の永久磁石
9…第2の永久磁石
10…回転子鉄心の凸部
Claims (19)
- 固定子に電機子巻線と磁化巻線を有し、形状または磁気特性の異なる2種類以上の永久磁石を用いて磁極を形成し、複数の前記磁極で回転子を構成し、
前記固定子の磁化巻線を永久磁石の不可逆的な磁化に必要な時間励磁して発生した磁界により、各磁極で少なくとも1種類の永久磁石を磁化させて永久磁石の磁束量を不可逆的に変化させることを特徴とする永久磁石式回転電機。 - 請求項1に記載の永久磁石式回転電機において、前記固定子の磁化巻線を励磁して発生させる磁界により少なくとも1種類の永久磁石を磁化させて永久磁石の極性を反転させることを特徴とする永久磁石式回転電機。
- 請求項1〜2のいずれかに記載の永久磁石式回転電機において、前記固定子の磁化巻線を励磁して発生させる磁界により少なくとも1種類の永久磁石を磁化させて永久磁石の磁束量を不可逆的に変化させ、全ての永久磁石による電機子巻線の鎖交磁束量をほぼ0にすることを特徴とする永久磁石式回転電機。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の永久磁石式回転電機において、前記固定子の磁化巻線を励磁して発生させる磁界により前記永久磁石の一部を磁化させるか、永久磁石の極性を反転させて、永久磁石の鎖交磁束量の増減を制御することを特徴とする永久磁石式回転電機。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の永久磁石式回転電機において、前記永久磁石を2種類以上の保磁力の異なる永久磁石で構成することを特徴とする永久磁石式回転電機。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の永久磁石式回転電機において、前記永久磁石は、保磁力と磁化方向厚みの積が他の永久磁石と異なる永久磁石を含んでいることを特徴とする永久磁石式回転電機。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の永久磁石式回転電機において、保磁力と磁化方向厚みの積が他の永久磁石と比較して小さい永久磁石の磁束量を、前記固定子の磁化巻線を励磁して発生させる磁界で不可逆的に変化させるか、または前記永久磁石の極性を反転させることを特徴とする永久磁石式回転電機。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の永久磁石式回転電機において、回転子鉄心は軸方向で2つに分割され、前記分割された鉄心間に第1の永久磁石が設けられ、分割された各回転子鉄心には第2の永久磁石と軟磁性材の磁極が交互に配置されて全磁極を構成し、第1の永久磁石を挟んで2分割された回転子は1極分の角度で互いに周方向にずれた構成とすることを特徴とする永久磁石式回転電機。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の永久磁石式回転電機において、固定子の着磁コイルは軸方向に磁束を発生し、回転子に設けられた第1の永久磁石の磁化方向は回転子の軸方向とし、回転子鉄心にある第2の永久磁石の磁化方向はほぼ径方向とすることを特徴とする永久磁石式回転電機。
- 請求項1〜9のいずれかに記載の永久磁石式回転電機において、固定子の着磁コイルは軸方向に磁束を発生し、回転子に設けられた第1の永久磁石の磁化方向は回転子の軸方向とし、軸方向に分割された各回転子鉄心においては、第2の永久磁石は全て同じ極性でほぼ径方向に磁化され、第1の永久磁石を挟んで配置された2分割されたもう一つの回転子鉄心に設けられた第2の永久磁石とは、極性は互いに逆の極性になることを特徴とする永久磁石式回転電機。
- 請求項1〜10のいずれかに記載の永久磁石式回転電機において、分割された2つの回転子鉄心と第1の永久磁石を1組とし、軸方向に多数の組により回転子を構成することを特徴とする永久磁石式回転電機。
- 電機子巻線と磁化巻線を有する固定子と、回転子とを備え、前記回転子には、永久磁石と回転子鉄心表面の凹凸形状を用いて磁極を形成し、
前記固定子の磁化巻線を永久磁石の不可逆的な磁化に必要な時間励磁して発生した磁界により、前記永久磁石を磁化させて永久磁石の磁束量を不可逆的に変化させることを特徴とする永久磁石式回転電機。 - 請求項1〜12のいずれかに記載の永久磁石式回転電機において、着磁コイルに電流を短時間流して発生させる磁界で永久磁石を磁化させて永久磁石の磁束量を不可逆的に変化させるか、前記磁界で永久磁石の極性を反転させ、さらにq軸電流によりトルクを制御することを特徴とする永久磁石式回転電機。
- 請求項1〜13のいずれかに記載の永久磁石式回転電機において、最大トルク近傍、または定格トルク近傍で運転する場合は、磁極の永久磁石の鎖交磁束が加え合わせになるように保磁力と磁化方向厚みの積が他よりも小さな永久磁石を磁化させ、トルクの小さな軽負荷時または中速回転域と高速回転域で運転する場合は、前記の保磁力と磁化方向厚みの積が他よりも小さな永久磁石は、電流による磁界で磁化させて鎖交磁束を不可逆的に減少させるか、または前記磁界で前記永久磁石の極性を反転させることを特徴とする永久磁石式回転電機。
- 請求項1〜14のいずれかに記載の永久磁石式回転電機において、着磁コイルの電流を短時間流して発生させる磁界により各磁極で少なくとも1種類の永久磁石を磁化させて永久磁石の磁束量を不可逆的に変化させ、さらにトルクの小さな軽負荷時または中速回転域と高速回転域では、前記の永久磁石の磁束の不可逆変化動作に加えて電機子巻線に負のd軸電流を流すことを特徴とする永久磁石式回転電機。
- 請求項1〜15のいずれかに記載の永久磁石式回転電機において、保磁力が小さな永久磁石として、20℃において600kA/m以下の保磁力を有する永久磁石とすることを特徴とする永久磁石式回転電機。
- 請求項1〜16のいずれかに記載の永久磁石式回転電機において、保磁力が小さな永久磁石はアルニコ磁石またはFeCrCo磁石とし、保磁力と磁化方向厚みの積が大きな永久磁石は希土類永久磁石とすることを特徴とする永久磁石式回転電機。
- 請求項1〜17のいずれかに記載の永久磁石式回転電機において、保磁力が小さな永久磁石として、Dy元素、Tb元素をほとんど含まない希土類永久磁石から構成されることを特徴とする永久磁石式回転電機。
- 請求項1〜18のいずれかに記載の永久磁石式回転電機において、電気的な短絡が起こった場合、運転電源の制御が不能になった場合に、着磁コイルにより第1の永久磁石を磁化させることを特徴とする永久磁石式回転電機。
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