JP2008288027A - 燃料電池システム及び燃料電池車両 - Google Patents
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Abstract
【課題】燃料電池スタックごとの発電性能のバラツキを生じさせることなく、燃料電池から水分を効率良く排出できる燃料電池システムと、そのような燃料電池システムを搭載した燃料電池車両を提供する。
【解決手段】電気化学反応により発電する燃料電池10と、該燃料電池10に供給される燃料ガスが充填された燃料ガスタンク20と、該燃料ガスを利用することにより燃料電池10を傾斜可能な状態で支持する支持体40とを備える。
【選択図】図2
【解決手段】電気化学反応により発電する燃料電池10と、該燃料電池10に供給される燃料ガスが充填された燃料ガスタンク20と、該燃料ガスを利用することにより燃料電池10を傾斜可能な状態で支持する支持体40とを備える。
【選択図】図2
Description
本発明は、水素と酸素との電気化学反応により発電する燃料電池システム、及び、燃料電池システムを搭載した燃料電池車両に関する
近年、水素と酸素との電気化学反応を利用して発電する燃料電池が、エネルギー源として注目されている。例えば、燃料電池の一種である固体高分子型燃料電池は、固体高分子電解質膜を水素極(アノード)と酸素極(カソード)とで両側から挟み込んだMEA(Membrane Electrode Assembly:膜−電極接合体)を含むセルを積層したスタック(燃料電池スタック)を備えている。MEAのアノードには、燃料ガスとして例えば水素ガスが供給され、カソードには酸化ガスとして、例えば空気が供給される。
このような燃料電池においては、電気化学反応により生成された水が、セル内や、各セルに燃料ガスや水素ガスを供給する配管(マニホールド)内に滞留しないように、燃料電池スタック内から水分を速やかに排出するための工夫が為されている。スタック内に水分が滞留すると、燃料ガスや水素ガスの拡散が妨げられて発電電圧が低下したり(フラッディングとも呼ばれる)、低温の環境下で水分が凍結して、燃料電池スタックや配管に悪影響を及ぼすおそれがあるからである。
関連する技術として、特許文献1には、燃料電池スタックから水を効率良く排出するために、燃料電池スタックを構成する燃料電池の単位ユニットの下縁部を傾斜させることが開示されている。
特開2000-30725号公報
ところで、通常の燃料電池システムにおいては、複数の燃料電池スタックが並べて配置されており、それらの燃料電池スタックは電気的に直列となるように配線されている。即ち、隣り合う2つの燃料電池スタックは、アノード及びカソードが反対向きとなるように配置されている。そのため、特許文献1に記載されているように、燃料電池システムを1つの方向に傾けると、ある燃料電池スタックにおいてはアノード側に水分が集まり、その隣の燃料電池スタックにおいてはカソード側に水分が集まることになる。ところが、カソード側に比較して、アノード側の排水性はあまり良くないので、アノード側が傾斜の下側となっている燃料電池スタックにおいては発電性能が低下し、結果として、燃料電池スタックごとに性能のバラツキが生じてしまう。
一方、現在使用されている車両には、車両が衝突した際に人体を保護するためのエアバッグが設置されているものがある。通常、このような車両においては、センサにより車両の衝突を検知し、小型の加熱装置で膨張ガス発生剤を加熱することにより膨張ガス(窒素ガス等)を発生させ、そのガスによってエアバッグを膨張させる。しかし、車両に設置できるエアバッグ用の備品(火薬、高圧ガスタンク等)の数には、設置スペース等の観点から限りがあるため、現状では、人体を保護するための最小限のエアバッグしか配備されていない。しかしながら、人体へのダメージや、車両に搭載された機器(例えば、燃料電池)へのダメージを低減するために、さらに多くのエアバッグを配備することが望まれる。
そこで、上記の問題点に鑑み、本発明は、燃料電池スタックごとの発電性能のバラツキを生じさせることなく、燃料電池から水分を効率良く排出できる燃料電池システムと、そのような燃料電池システムを搭載した燃料電池車両を提供することを第1の目的とする。また、本発明は、より多くのエアバッグを配備可能な燃料電池車両を提供することを第2の目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の1つの観点に係る燃料電池システムは、電気化学反応により発電する燃料電池と、前記燃料電池に供給される燃料ガスが充填された燃料ガスタンクと、前記燃料ガスを利用することにより前記燃料電池を傾斜可能な状態で支持する支持体とを備える。
このように、燃料電池を必要に応じて所望の角度に傾斜させることにより、電気化学反応の際に生成された水分を燃料電池から速やかに排出することができる。
このように、燃料電池を必要に応じて所望の角度に傾斜させることにより、電気化学反応の際に生成された水分を燃料電池から速やかに排出することができる。
ここで、前記支持体として、前記燃料ガスの圧力に基づいて伸縮するシリンダ又はバルーンを用いることにより、燃料ガスの圧力を有効に利用することができる。
また、前記燃料電池システムは、前記燃料電池において生成された水分を排出する配管をさらに備えても良く、その場合に、前記支持体は、前記配管が設けられた側が低くなるように前記燃料電池を支持する。
本発明の1つの観点に係る燃料電池車両は、上記燃料電池システムを備えている。このような燃料電池車両においては、フラッディングによる発電電圧の低下が抑制されると共に、低温の環境下にある場合においても、水分の凍結による燃料電池の性能低下が防止される。
さらに、前記燃料電池車両は、前記燃料ガスを利用して膨張するエアバッグをさらに備えても良い。
さらに、前記燃料電池車両は、前記燃料ガスを利用して膨張するエアバッグをさらに備えても良い。
また、本発明のもう1つの観点に係る燃料電池車両は、電気化学反応により発電する燃料電池と、前記燃料電池に供給される燃料ガスが充填された燃料ガスタンクと、前記燃料ガスを利用して膨張するエアバッグとを備える。
ここで、前記燃料ガスタンクには燃料ガスが高圧に充填されているので、複数のエアバッグを瞬時に膨らませることができる。
ここで、前記燃料ガスタンクには燃料ガスが高圧に充填されているので、複数のエアバッグを瞬時に膨らませることができる。
また、前記燃料電池車両は、衝突センサと、前記燃料ガスタンクから前記エアバッグに燃料ガスを供給する配管に設けられ、前記衝突センサの検出結果に基づいて動作する弁とをさらに備えても良い。
本発明によれば、燃料電池を必要な角度に傾斜させることにより生成水を排出するので、アノード及びカソードの排水性の違いに起因する燃料電池スタックごとの発電性能のバラツキを生じさせることなく、フラッディングによる発電電圧の低下や、水分の凍結による燃料電池の性能低下を抑制することが可能になる。また、本発明によれば、燃料電池用の高圧の燃料ガスをエアバッグの膨張ガスとして用いるので、エアバッグ用の備品を車両に別途搭載することなく、より多くのエアバッグを車両内に設置できるようになる。それにより、万が一、車両が何らかの物体に衝突した場合においても、乗員や車両搭載機器に対するダメージを軽減することが可能になる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳しく説明する。なお、同一の構成要素には同一の参照番号を付して、説明を省略する。
図1は、本発明の一実施形態に係る燃料電池車両を示す側面図であり、図2は、同システム図である。
車両1は、燃料電池10と、複数の燃料ガスタンク20と、衝突センサ30と、シリンダ40と、複数のエアバッグ51、52、53とを含んでいる。
図1は、本発明の一実施形態に係る燃料電池車両を示す側面図であり、図2は、同システム図である。
車両1は、燃料電池10と、複数の燃料ガスタンク20と、衝突センサ30と、シリンダ40と、複数のエアバッグ51、52、53とを含んでいる。
図2に示すように、燃料電池10は、電解質及びその両側に配置された電極層(アノード及びカソード)を含む複数のセルが積層された複数の燃料電池スタック11を含んでいる。2つの燃料電池スタック11は、電極板12を介して、電気的に直列となるように接続されている。これらの燃料電池スタック11を形成する各セルは、燃料ガスとしての水素ガスと、酸化ガスとしての空気との供給を受けて電気化学反応を生じることにより発電する。さらに、燃料電池10の筐体10aには、各セルにおける電気化学反応の際に生成された水(生成水)を排出するための排出管13が設けられている。排出管13には、ドレン弁HDRが設けられている。なお、図1においては、排出管13が車両の前方側に設けられているが、排出管13の配置は適宜変更しても良い。
燃料ガスタンク20には、燃料電池10において用いられる燃料ガスが充填されている。燃料ガスタンク20から導出された燃料ガスは、圧力調整弁H1及び開閉弁H2が設けられた燃料ガス供給管21を通って燃料電池10に供給される。また、燃料電池10において使用されたガス(燃料オフガス)は、燃料オフガス導出管22を通り、循環ポンプH3により燃料ガス供給管21に圧送され、燃料電池10において再利用される。さらに、燃料オフガス導出管22には、ドレン弁H4が設けられた燃料オフガス排出管23が接続されており、ドレン弁H4を随時開弁することにより、燃料オフガスが排出される。
また、燃料ガスタンク20には、圧力調整弁H5が設けられたシリンダ駆動用ガス配管24と、開閉弁H6が設けられたエアバッグ駆動用ガス配管25とが接続されている。これらの圧力調整弁H1及びH5、並びに、開閉弁H2及びH6の動作は、後述するコントロールユニット31によって制御されている。
衝突センサ30は、車両1が何らかの物体に衝突し、所定以上の衝撃を検知した場合に、衝突検出信号をコントロールユニット31に出力する。
コントロールユニット31は、圧力調整弁H1及びH5並びに開閉弁H2及びH6の動作を制御している。
コントロールユニット31は、圧力調整弁H1及びH5並びに開閉弁H2及びH6の動作を制御している。
シリンダ40は、ガスの圧力を利用して伸縮する支持体であり、燃料電池10の一方の端部(排出管13の反対側)を支持するように設置されている。このシリンダ40は、燃料ガスタンク20から所定の圧力の燃料ガスが導入されることにより、所定の高さに保たれており、その結果、燃料電池10が所望の傾きで支持される(図3参照)。燃料ガスの圧力は、コントロールユニット31の制御の下で動作する圧力調整弁H5によって調整されている。
再び図1を参照すると、エアバッグ51は燃料電池保護用のエアバッグであり、燃料電池10付近に配置されている。また、エアバッグ52及び53は乗員保護用のエアバッグであり、エアバッグ52は運転席及び助手席の前方に配置されており、エアバッグ53は座席の側方に配置されている。各エアバッグ51〜53は、気密で耐火性を有する素材からなり、且つ、折りたたまれた状態の袋体を備えている。
万が一、車両1が何らかの物体に衝突した場合に、コントロールユニット31(図2)は、衝突センサ30から出力された衝突検出信号に基づいて、開閉弁H2及び圧力調整弁H5を閉じると共に、開閉弁H6を開き、さらに、燃料ガスタンク20から燃料ガスが高圧で噴射されるように、圧力調整弁H1を調整する。それにより、燃料ガスがエアバック51〜53に瞬時に導入され、エアバッグ51〜53は、所定の大きさに急速に膨張して、乗員や所定の機器を保護する。
以上説明したように、本実施形態においては、シリンダ40を用いることにより、燃料電池10を傾斜可能な状態で支持するので、燃料電池10の搭載スペースや排出管13の位置等に応じて、燃料電池10の姿勢を調整することができる。また、通常の発電時には燃料電池10を水平或いは緩やかな傾斜状態に保ち、必要に応じて燃料電池10の傾斜角度を大きくすることにより、アノード及びカソードの排水性の違いに起因する燃料電池スタック11ごとの発電性能のバラツキを抑制することができる。
或いは、車両1に、車両自体の傾きを検出するセンサをさらに設け、車両の傾きに応じてシリンダ40の高さを変化させることにより、排出管13側が常に低くなるように、燃料電池10の傾斜角度を調節しても良い。例えば、排出管13が燃料電池10の前方に配置されている場合に、上り坂の走行中には、シリンダ40の高さを高くして、燃料電池の傾斜角度を大きくすることにより、排出管13から生成水を排出することができる。反対に、下り坂の走行中には、シリンダ40を低くし、車両1に対して燃料電池10を水平に保つことにより、必要以上に燃料電池10が傾斜してアノード又はカソードが生成水に浸るのを防ぐことができる。
さらに、シリンダ40は、燃料ガスの圧力を利用して伸縮するので、車両1が走行中に地面等から受ける衝撃を緩和するダンパーとしても機能する。それより、燃料電池10が車両1の走行中に受けるダメージを低減することができる。
なお、本実施形態においては、燃料電池10の下に1つのシリンダ40を配置することにより燃料電池10を1つの方向に傾斜させたが、複数のシリンダ40を配置することにより、燃料電池10の傾斜方向を適宜変更しても良い。また、シリンダ40の代わりに、燃料ガスの圧力に基づいて膨張及び収縮するバルーンや、その他、ガスの圧力に基づいて伸縮動作する機器を用いても良い。
また、本実施形態においては、3種類のエアバッグを車両内の3箇所にそれぞれ配置しているが、エアバッグの種類や配置はこれらに限定されず、さらに多くのエアバッグを様々な位置に設置しても良い。例えば、燃料電池保護用のエアバッグを、燃料電池10の筐体内(2つの燃料電池スタック11の周囲や間)に配置しても良い。
以上の実施形態においては、普通乗用車に燃料電池システムを搭載した場合について説明したが、その他、バス、トラック、電車等、燃料電池システムを搭載しうる車両(移動体)であれば、いかなる車両に本発明を適用しても良い。
1…車両、10…燃料電池、13…排出管、20…燃料ガスタンク、30…衝突センサ、31…コントロールユニット、40…シリンダ、51〜53…エアバック、H1…圧力調整弁、H6…開閉弁
Claims (7)
- 電気化学反応により発電する燃料電池と、
前記燃料電池に供給される燃料ガスが充填された燃料ガスタンクと、
前記燃料ガスを利用することにより前記燃料電池を傾斜可能な状態で支持する支持体と、
を備える燃料電池システム。 - 前記支持体は、前記燃料ガスの圧力に基づいて伸縮するシリンダ又はバルーンを含む、請求項1記載の燃料電池システム。
- 前記燃料電池において生成された水分を排出する配管をさらに備え、
前記支持体は、前記配管が設けられた側が低くなるように前記燃料電池を支持する、請求項1又は2記載の燃料電池システム。 - 請求項1〜3のいずれか1項記載の燃料電池システムを備える燃料電池車両。
- 前記燃料ガスを利用して膨張するエアバッグをさらに備える請求項4記載の燃料電池車両。
- 電気化学反応により発電する燃料電池と、
前記燃料電池に供給される燃料ガスが充填された燃料ガスタンクと、
前記燃料ガスを利用して膨張するエアバッグと、
を備える燃料電池車両。 - 衝突センサと、
前記燃料ガスタンクから前記エアバッグに燃料ガスを供給する配管に設けられ、前記衝突センサの検出結果に基づいて動作する弁と、
をさらに備える請求項6記載の燃料電池車両。
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JP2007131579A JP2008288027A (ja) | 2007-05-17 | 2007-05-17 | 燃料電池システム及び燃料電池車両 |
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2007
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