JP2008287808A - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体 Download PDF

Info

Publication number
JP2008287808A
JP2008287808A JP2007132287A JP2007132287A JP2008287808A JP 2008287808 A JP2008287808 A JP 2008287808A JP 2007132287 A JP2007132287 A JP 2007132287A JP 2007132287 A JP2007132287 A JP 2007132287A JP 2008287808 A JP2008287808 A JP 2008287808A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
underlayer
layer
magnetic recording
magnetic
recording medium
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2007132287A
Other languages
English (en)
Inventor
Takeshi Miki
剛 三木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sony Corp filed Critical Sony Corp
Priority to JP2007132287A priority Critical patent/JP2008287808A/ja
Publication of JP2008287808A publication Critical patent/JP2008287808A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Thin Magnetic Films (AREA)
  • Magnetic Record Carriers (AREA)
  • Hard Magnetic Materials (AREA)

Abstract

【課題】 厚さが薄く、垂直磁気記録層における磁性体の配向分散を減少させることができ、かつ、安価に製造できる下地層を有する垂直磁気記録媒体を提供すること。
【解決手段】 平坦な非磁性基板1の上に、軟磁性裏打ち層2としてCoZrNb系合金層を形成する。続いて第3下地層3および第2下地層4を形成した後、第1下地層5としてRu層を形成する。次にCoCrPt系合金からなる磁性体微結晶とSiO2またはTiO2からなるグラニュラ構造の垂直磁気記録層6を形成して、垂直磁気記録媒体10を作製する。本発明の特徴として、Taからなる第2下地層4と、HfまたはZrの単体、或いはその合金からなる第3下地層3を形成する。合金はNi、Ta、Ru、Co、またはZrとの合金であり、HfまたはZrの分率が10at%以上である。上記の構成で、Δθ50を3度程度、第3下地層3と第2下地層4の合計膜厚を3.5nm程度に抑えることができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、磁気記録再生装置に用いられる磁気記録媒体に関するものであり、詳しくは、垂直磁気記録媒体の下地層に関するものである。
従来、ハードディスクドライブ(HDD)装置などの磁気記録再生装置の磁気記録媒体として、主に面内磁気記録媒体が用いられてきた。面内磁気記録媒体とは、基板に対して平行な方向の磁化によって記録を行うように設計された磁気記録媒体であって、磁気記録層内の磁性体微結晶の磁化容易軸が基板に対して平行に配向するように形成されている。ここで、磁化容易軸とは、磁化の方向がそろいやすい磁性体結晶の結晶方位であり、例えば、コバルト系合金磁性体ではコバルトが形成する六方最密構造のc軸に一致する。
近年、HDD装置などの磁気記録再生装置の大容量化および高記録密度化に対する要求はますます増大している。これに対応するために、記録単位である1ビットのデータを記録する磁性体(記録ビット)の体積は徐々に縮小されてきており、面内磁気記録媒体では超常磁性限界と呼ばれる限界に近づきつつある。記録ビットの大きさが超常磁性限界を下回ると、磁性体の磁化方向が熱運動によって乱され、記録情報が数年の間に失われ、記録再生特性が悪化する熱揺らぎ現象が問題になる。面内磁気記録媒体では、記録ビット間には反発力が作用するため、熱揺らぎが起こりやすい。
これに対し、垂直磁気記録媒体は、基板に対して垂直な方向の磁化によって記録を行うように設計された磁気記録媒体であって、磁気記録層内の磁性体微結晶の磁化容易軸が基板に対して垂直に配向するように形成されている。垂直磁気記録媒体では、記録ビット間に吸引力が作用し、この吸引力は記録密度が増すにつれて強くなるため、面内磁気記録媒体に比べて記録ビットの情報が静磁気的に安定であり、熱揺らぎに対する耐性が高い。このため、より高記録密度化が可能な媒体として垂直磁気記録媒体が注目されている(例えば、渦巻拓也,雑誌FUJITSU,56,4,p.286-291(2005))。
図6は垂直磁気記録媒体の構成の一例を示す断面図である。図6に示すように、垂直磁気記録媒体は、通常、基板101上に軟磁性裏打ち層102、下地層103〜105、垂直磁気記録層106、および保護層107などが積層されて形成されている。垂直磁気記録層106は、例えばコバルト系合金磁性体からなる。軟磁性裏打ち層102は、記録時に磁気ヘッドから発生する磁束を基板に垂直な方向に導き、磁束が隣接する記録ビットへ広がるのを抑え、書き込みを行おうとする記録ビットに磁束を集中させる働きをする高透磁性材料層である。軟磁性裏打ち層102の作用は、単磁極型磁気記録ヘッドを用いる場合に顕著になる。
原理的には優れていても,最近まで垂直磁気記録媒体が実用化されなかった原因として、垂直磁気記録媒体の媒体ノイズが大きいことがある。垂直磁気記録媒体のノイズを大きくする原因の1つは、垂直磁気記録層106における磁性体微結晶の磁化容易軸の配向が、基板101に垂直な方向からずれる配向分散である。このずれが生じると、磁性体微結晶の磁化の効率が悪化する。また、記録ビット間の境界領域(遷移領域)で、磁化方向が異なる磁性体微結晶が垂直方向において重なると、記録ビット間の境界が不明確になり、記録密度を上げることが難しくなる。その他に、磁性体微結晶の結晶粒径が大きいと遷移領域の材質的なばらつきが大きくなり、境界が不明瞭になってジッター的なノイズが増大する。加えて、結晶粒径のばらつきが大きいと、各粒子の保磁力など磁気特性の分散も大きくなり、これも不明瞭な遷移領域を作る原因になる。
従って、垂直磁気記録媒体のS/N比(Signal to Noise Ratio)を向上させるには、垂直磁気記録層106における磁性体微結晶の配向分散を減少させ、さらに磁性体微結晶の結晶粒径を微小化するのがよく、この役割を担っているのが下地層103〜105である。下地層は、通常、複数の層からなる。ここでは、垂直磁気記録媒体の直下の層を第1下地層と呼び、それより下方の層をまとめて下部下地層(シード層)と呼び、各層は上から順に第2下地層、第3下地層と呼ぶことにする。
第1下地層105としては、通常、ルテニウム層などが用いられる。ルテニウム層は、結晶方位が一定方向に揃った層を自身が形成することによって、その上に形成される磁性体微結晶の配向を制御する。従って、垂直磁気記録層106における磁性体微結晶の配向分散を小さく抑えるためには、結晶方位が一定方向に揃った第1下地層105を形成する必要がある。
結晶方位が揃った第1下地層105を形成する役割を担うのが、第2下地層以下の下部下地層(シード層)である。下部下地層(シード層)については種々の構成が検討されており、単層または積層構造が提案されている。
例えば、特許文献1では、厚さ15nmのルテニウム層などの第1下地層105の下部下地層(シード層)として、厚さ8nmのタンタル層を形成する例や、図6に示したように、厚さ8nmのタンタル層からなる第3下地層103の上に、厚さ5nmの白金層からなる第2下地層104を積層する例が示されている。
また、後述の特許文献2では、厚さ2nmのルテニウム層からなる第1下地層の下部下地層(シード層)として、厚さ5nmの白金炭素合金(PtC)層を形成した例が示されている。ここで、白金炭素合金層における炭素含有量は、1〜40at%、好ましくは5〜30at%、特に好ましくは25at%であり、その厚さは0.5〜15nm、好ましくは1〜10nm、特に好ましくは5nmである。
また、後述の非特許文献1では、第2下地層(シード層)として厚さ2.5nmのタンタル層を形成した例が示されている。
特開2005−196813号公報(第8−10及び12頁、図2,3及び表2,3) 特開2006−202476号公報(第6−8及び11頁、図1及び表1) W. K. Shen et al.,IEEE Transactions on Magnetics, Vol. 42, No. 10,p. 2381〜2383(2006)
垂直磁気記録媒体においては、磁気記録層と軟磁性裏打ち層の間の距離を縮めることで、急峻な記録磁界を確保することが可能となり、記録分解能が向上する。従って、特許文献1に記載されている下部下地層(シード層)、特にタンタル層と白金層の積層構造では、その厚さを抑え、より薄型化することが望まれる。
特許文献2では、白金が高価なので別の材料が使えればさらに望ましいと考えられる。
非特許文献1では、シード層厚が非常に薄いことは好ましいが、垂直磁気記録層における磁性体微結晶の配向分散は悪化しており、十分ではない。
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであって、その目的は、厚さが薄く、垂直磁気記録層における磁性体の配向分散を減少させることができ、かつ、安価に製造できる下地層を有する垂直磁気記録媒体を提供することにある。
本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、下部下地層(シード層)としてハフニウム又はジルコニウムの単体、或いは合金からなる層を形成することにより、上記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに到った。
即ち、本発明は、基体上に、少なくとも、軟磁性裏打ち層、第3下地層、第2下地層、第1下地層、および垂直磁気記録層がこの順で積層された磁気記録媒体において、
第2下地層がタンタルTaからなり、
第3下地層が、ハフニウムHf又はジルコニウムZrの単体、或いは、少なくともハフ ニウムおよびジルコニウムのいずれかを含む合金からなる
ことを特徴とする、磁気記録媒体に係わるものである。
本発明の磁気記録媒体は、前記垂直磁気記録層の下地層として前記第1下地層〜前記第3下地層を有する垂直磁気記録媒体であるが、前記第2下地層としてタンタル層を形成し、その下地層として、ハフニウムHf又はジルコニウムZrの単体、或いは、少なくともハフニウムおよびジルコニウムのいずれかを含む合金からなる前記第3下地層を形成することを特徴とする。この新規に見出された材料構成の前記第2下地層および前記第3下地層を形成することによって、結晶方位が一定方向に揃った前記第1下地層が形成され、その結果、磁性体微結晶の磁化容易軸が前記基体の面に対し垂直に揃った前記垂直磁気記録層が形成される。この際、前記第2下地層と前記第3下地層とを合わせた膜厚は数nm程度で十分である。この結果、記録分解能が高く、前記垂直磁気記録層における磁性体の配向分散に起因する媒体ノイズが少なく、さらなる高密度磁気記録が可能で、かつ、安価に製造できる垂直磁気記録媒体を提供することができる。
本発明の磁気記録媒体において、前記合金が、ニッケルNi、タンタル、ルテニウムRu、コバルトCo、及びジルコニウムからなる群から選ばれた少なくとも1種との合金であるのがよい。また、前記合金におけるハフニウム又はジルコニウムの組成分率が、10at%以上であるのがよい。
また、前記第3下地層の厚さが1〜5nmであるのがよい。また、前記第2下地層の厚さが1〜5nmであるのがよく、1.5〜2.5nmであるのがより好ましい。後述の実施例で示されるように、本発明に基づく前記第2下地層および前記第3下地層は、数nm程度の合計膜厚で十分な性能を発揮する。
また、前記第1下地層がルテニウムからなるのがよい。ルテニウム結晶は六方最密構造を有し、前記垂直磁気記録層の磁性体材料として用いられるCoCrPt合金との格子整合性が高い。このため、その(0001)面の上にコバルトを主成分とするCoCrPt合金微結晶をエピタキシャル成長させ、その磁化容易軸をルテニウム層の(0001)面に対し垂直に配向させることができる。
次に、本発明の好ましい実施の形態を図面参照下に、より具体的に説明する。
図1は、本発明の実施の形態に基づく垂直磁気記録媒体の構成を示す断面図である。図1に示すように、垂直磁気記録媒体10は、前記基体である基板1の上に軟磁性裏打ち層2、第3下地層3、第2下地層4、第1下地層5、垂直磁気記録層6、および保護層7がこの順で積層され、表面が潤滑剤膜8で被覆されている。
基板1としては、非磁性基板で、表面が平坦であることが重要である。具体的には、ガラス基板やシリコン基板などがよく、その他に、セラミック基板やプラスチック基板などの非金属基板、或いはアルミニウムやアルミニウム合金などの金属基板などを用いてもよい。
垂直磁気記録層6を構成する磁性体微結晶の材料としては、例えばCoCrPt系合金を挙げることができる。CoCrPt系合金は、高い結晶磁気異方性エネルギーを有しているため、熱揺らぎに対する耐性が高く、高記録密度化に適し、磁気記録層を構成する磁性体材料として好適に用いられている。しかしながら、垂直磁気記録層6では、磁性体微結晶の磁化容易軸が基板1に対して垂直に配向するように形成されるため、結晶成長のメカニズムが面内磁気記録層の場合と異なり、磁気記録媒体のノイズの低減に有効な加熱成膜によるクロム偏析が十分に起こらない。このため、CoCrPt系合金単独で垂直磁気記録層を形成すると、磁性体微結晶間の磁気的相互作用を十分に小さくすることができず、媒体ノイズが大きくなるという問題が生じる。
そこで、垂直磁気記録層6をCoCrPt系合金からなる磁性体微結晶とSiO2またはTiO2とで構成し、粒径5nm程度の磁性体微結晶がSiO2またはTiO2で取り囲まれ、磁性体微結晶間が幅1〜2nmのSiO2またはTiO2によって隔離されているグラニュラ構造の磁気記録層を室温成膜で形成するのがよい(例えば、特開2002−83411号公報および特開2001−43526号公報参照。)。このようにすると、磁性体微結晶間の磁気的相互作用を小さくし、媒体ノイズを小さくすることができる。
軟磁性裏打ち層2の材料としては、高透磁率の軟磁性材料、例えばCoZrNb系合金を挙げることができる。軟磁性裏打ち層2は、記録時に磁気ヘッドから発生する磁束を基板1に垂直な方向に導き、磁束が隣接する記録ビットへ広がるのを抑え、書き込みを行おうとする記録ビットにおける磁束密度の垂直方向成分を増大させる働きをする。
図2は、垂直磁気記録層6への記録に好適に用いられる単磁極型磁気記録ヘッド11と、垂直磁気記録層6と、軟磁性裏打ち層2との関係を示す斜視図および一部断面図である。
図2に示すように、軟磁性裏打ち層2は、記録時に磁気記録ヘッド11から発生する記録磁界を、主磁極12に対向する位置と補助極13に対向する位置との間で基板面に平行な方向に導く。これによって、軟磁性裏打ち層2は、主磁極12から発生した磁力線14が軟磁性裏打ち層2を通って補助極13へ還流する閉磁気回路を形成し、磁気ヘッド機能の一部を分担する。この結果、磁気記録ヘッド11は、軟磁性裏打ち層2との磁気的相互作用によって垂直磁気記録層6に直交する方向に記録磁界を集中させ、急峻で大きな磁界を垂直磁気記録層6に発生させることができる。なお、1記録ビットのサイズは、20nm×100nm程度である。
第1下地層5は、垂直磁気記録層6における磁性体微結晶の配向分散を減少させ、また、磁性体微結晶の結晶粒径のばらつきを抑え微小化することによって、磁気記録媒体のS/N比を向上させる働きをする。第1下地層5を形成する材料としては、最密構造を有する材料が好ましく、例えば、ルテニウムRuを挙げることができる。
ルテニウム結晶は六方最密構造を有する。第1下地層5としてルテニウム層を設けると、その(0001)面の上に垂直磁気記録層6のコバルトの(0001)面がエピタキシャル成長し、コバルトを主成分とするCoCrPt合金微結晶の磁化容易軸をルテニウム層の(0001)面に対し垂直に配向させることができる。この際、ルテニウム層はCoCrPt合金との格子整合性が高いので、磁性体微結晶の結晶構造の歪みを防止して、配向性を向上させることができる。なお、ルテニウム層の厚さは、15〜20nm以下とするのがよい。これは、ルテニウム層の厚さが薄いほど、磁気記録層と軟磁性裏打ち層との間の距離が小さくなり、磁気記録ヘッドからの磁界勾配が急峻になって、高密度記録に適するからである。ただし、結晶配向を良くし、さらに結晶粒の分離を行うためには、ルテニウム層の厚さに最小限度の厚さ、例えば2〜3nm程度の厚さが必要になる。
ルテニウム層は、結晶方位が一定方向に揃った層を自身が形成することによって、その上に形成される磁性体微結晶の配向を制御する。従って、垂直磁気記録層6における磁性体微結晶の配向分散を小さく抑えるためには、基板1の面に対し結晶方位が一定方向に揃ったルテニウム層を第1下地層5として形成する必要がある。このような第1下地層5を形成する役割を担うのが下部下地層(シード層)である。
本実施の形態では、本発明の特徴である下部下地層(シード層)として、タンタルTaからなる第2下地層4と、ハフニウムHfまたはジルコニウムZrの単体、或いは、少なくともハフニウムおよびジルコニウムのいずれかを含む合金からなる第3下地層3とを形成する。この際、第3下地層3を形成する合金は、ニッケルNi、タンタル、ルテニウムRu、コバルトCo、およびジルコニウムからなる群から選ばれた少なくとも1種との合金であるのがよく、ハフニウムまたはジルコニウムの組成分率が10at%以上であるのがよい。また、第3下地層3の厚さが1〜5nmであるのがよい。また、第2下地層4の厚さが1〜5nmであるのがよく、1.5〜2.5nmであるのがより好ましい。後述の実施例で示されるように、第2下地層4および第3下地層3は、合計膜厚が3.5nm程度で最も高い性能を発揮する。
磁性体微結晶の磁化容易軸の配向状態は、X線回折装置を用いてコバルトの(0002)面によるX線散乱(XRD)を測定することによって知ることができる。すなわち、磁化容易軸の配向分散(基板1の面に垂直な方向からのずれ)が大きいほど、(0002)面からのX線散乱ピークの散乱角の半値幅△θ50が大きくなる。従って、X線散乱ピークの半値幅△θ50を磁化容易軸の配向分散を示す指標として用いることができる。一般に、△θ50が4〜5度以下であれば、磁化容易軸の配向状態は良好であるとみなされる。
保護層7は、垂直磁気記録層6の腐食を防ぐとともに、磁気ヘッドが媒体に接触したときに媒体表面の損傷を防ぐためのもので、従来公知の材料を使用でき、例えばカーボンを含むものが使用可能である。
潤滑剤膜8は、従来公知の材料、例えばパーフルオロポリエーテル、フッ素化アルコール、フッ素化カルボン酸などを用いるのが好ましい。
磁気記録媒体10を製造するには、基板1の上にスパッタリング法などによって、軟磁性裏打ち層2、第3下地層膜3、第2下地層4、第1下地層5、垂直磁気記録層6を順次形成し、さらに、スパッタリング法やCVD法(化学気相成長法)などによって保護層7を形成し、ディッピング法などによって潤滑剤膜8を形成するのがよい。
実施例では、図1に示した垂直磁気記録媒体10を作製し、垂直磁気記録層6における磁性体微結晶の磁化容易軸の配向分散の指標である△θ50と、第2下地層4であるTa層の厚さ、第3下地層3であるNiHf層の厚さ、およびNiHf層におけるHfの分率との関係を調べた。
実施例1
基板1として平滑なガラス基板を用いた。スパッタリング装置の真空チャンバ内に基板1を配置し、スパッタリング装置の真空チャンバ内を2×10-8Torr以下に排気した後、アルゴン雰囲気とし、基板1を加熱することなく、対応するターゲットを用いてスパッタリング法によって下記の各層を成膜し、垂直磁気記録媒体10を作製した。
まず、軟磁性裏打ち層2としてCoZrNb合金層を50nmの厚さに成膜した後、第3下地層3としてNiHf合金層(Hf分率40at%)を1.6nmの厚さに成膜した。次にその上に第2下地層4としてTa層を1〜5nmの間の種々の厚さに成膜した。続いて第1下地層5としてRu層を18nmの厚さに成膜し、さらに垂直磁気記録層6としてCoCrPt−SiO2層を10nmの厚さに成膜し、最後に保護層7としてカーボン層を3nmの厚さに成膜した。ただし、Ru層は成膜条件を変えて2層に形成した。これは、垂直磁気記録層6のCoCrPt−SiO2層の結晶粒の分離と配向分散の低減とを両立させるのに効果があるからである。
各層2〜7を形成したスパッタ条件は、下記の通りである。
<材料>(膜厚) :<スパッタ条件>
CoZrNb(50nm) :Arガス圧力2mTorr、RF170W
NiHf(1.6nm) :Arガス圧力4mTorr、DC150W
Ta(1〜5nm) :Arガス圧力4mTorr、DC150W
Ru(10nm) :Arガス圧力5mTorr、DC150W
( 8nm) :Arガス圧力10mTorr、DC150W
CoCrPt−SiO2(10nm):Arガス圧力10mTorr、DC100W
カーボン(3nm) :Arガス圧力4mTorr、DC150W
成膜した膜の厚さは、成膜時間と、上記のスパッタ条件下における下記の成膜速度から推定した。
<材料> :<成膜速度>
CoZrNb : 45nm/10min
NiHf : 96nm/10min
Ta :120nm/10min
Ru :190nm/10min(Arガス圧力5mTorr時)
:180nm/10min(Arガス圧力10mTorr時)
CoCrPt−SiO2 : 66nm/10min
カーボン : 38nm/20min
図3は、垂直磁気記録層6における磁性体微結晶の磁化容易軸の配向分散の指標である△θ50と、第2下地層4であるTa層の厚さとの関係を示すグラフである。図3から、Ta層の厚さが1〜5nmである場合に△θ50は4度より小さく、配向分散が小さく抑えられていることがわかる。特に、Ta層の厚さが1.5〜2.5nmである場合に△θ50は3.4度より小さくてより好ましく、2nm程度の場合に、配向分散が最も小さく抑えられることがわかる。なお、△θ50は、島津製作所製のX線回折装置XRD−6000(40kV、30mA)を用いて調べた(以下、同様。)。
実施例2
第2下地層4であるTa層の厚さを2nmに固定し、第3下地層3であるNiHf層(Hf分率40at%)を0〜4nmの間の種々の厚さに成膜し、その他は実験1と同様にして、垂直磁気記録媒体10を作製した。
図4は、磁化容易軸の配向分散の指標である△θ50と、第3下地層3であるNiHf層(Hf分率40at%)の厚さとの関係を示すグラフである。図4から、NiHf層の厚さが1nm以上である場合に、△θ50はほぼ最小値を保ち、配向分散が最小に抑えられることがわかる。
実施例3
基板1として、ガラス基板の代わりに平滑なシリコン基板を用いた。第3下地層3であるNiHf層の厚さを1.5nmに、また、第2下地層4であるTa層の厚さを2nmに固定し、NiHf層についてはHfの分率を0〜100%の種々の大きさに変え、その他は実験1と同様にして、垂直磁気記録媒体10を作製した。
この際、NiHf合金層はNiターゲットとHfターゲットの同時スパッタリングによって形成し、合金層の組成(Hf分率)は、NiおよびHfのスパッタパワーを変えることによって調整した。また、合金層の組成(Hf分率)は、各ターゲットの成膜速度に基づいて推定した。下記に成膜速度の一例を示す、
<材料> :<スパッタ条件> :<成膜速度>
Ni :Arガス圧力4mTorr、DC100W: 87nm/10min
Hf :Arガス圧力4mTorr、DC150W:136nm/10min
図5は、磁化容易軸の配向分散の指標である△θ50と、NiHf層におけるHf分率との関係を示すグラフである。図5から、Hf分率が0%(Niのみ)の場合には、△θ50が大きくて、配向分散が大きいが、Hf分率が10%以上である場合に、△θ50はほぼ最小値に保たれ、配向分散が最小に抑えられていることがわかる。また、Hf分率が100%であっても(第3下地層3がHf単体であっても)、配向分散は最小に抑えられる。
これは、第3下地層3の材料としてNiHfに代えてTaHfやRuHfやCoHfやZrHfを用いた場合でも、同様の結果が得られた。また、Hfに変えてZrを用いた場合でも同様の結果が得られ、第3下地層3の材料としてNiZrやTaZrやRuZrやCoZrやZr単体を用いた場合でも、垂直磁気記録層6における磁性体微結晶の磁化容易軸の配向分散は低減された。
なお、実施例2と実施例3とを同じ条件、すなわち、第2下地層4であるTa層の厚さが2nm、第3下地層3であるNiHf層の厚さが1.5nm、NiHf層のHf分率が40at%の条件で比べると、実施例2では△θ50が3.2度程度であるのに対し、実施例3では△θ50が3.0度程度に向上している。これは、ガラス基板に代えて、表面がより平坦なシリコン基板を用いた効果であると考えられる。
上述したように、第2下地層4としてTa層を形成する場合、その下地層である第3下地層3として、HfまたはZrの単体、あるいはHfまたはZrが10at%以上の分率で含まれる合金からなる層を形成することで、垂直磁気記録層6における磁性体微結晶の磁化容易軸の配向分散が大きく抑制され、配向分散の指標であるΔθ50は3度程度に抑えられる。このとき、第2下地層4の厚さは2nm程度、第3下地層3の厚さは1.5nm程度であり、両者を合わせた下部下地層(シード層)の厚さが3.5nm程度と非常に薄く抑えられる。この結果、磁気記録層6と軟磁性裏打ち層2との間の距離を縮めることで、急峻な記録磁界を形成することが可能となり、記録分解能が向上する。
第3下地層3としてHfまたはZrの合金からなる層を形成する場合、HfまたはZrの分率は10at%程度以上であればよい。従って、この合金をNiやCoとの合金とすることによって第3下地層3を磁性体層とし、軟磁性裏打ち層2と同様に機能させることができる。この場合、磁気記録層6と軟磁性裏打ち層2との距離を第3下地層3の厚さ分さらに縮めることができ、さらに急峻な記録磁界を形成することが可能となり、記録分解能がさらに向上する。
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明したが、本発明はこれらの例に何ら限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能であることは言うまでもない。
本発明によると、安価で高性能の垂直磁気記録媒体を提供することができ、高密度磁気記録の実現に寄与することによって、ハードディスクドライブ(HDD)装置などの磁気記録再生装置の有用性のさらなる向上と普及とに貢献できる。
本発明の実施の形態に基づく垂直磁気記録媒体の構成を示す断面図である。 同、垂直磁気記録層への記録に用いられる単磁極型磁気記録ヘッドと、垂直磁気記録層と、軟磁性裏打ち層との関係を示す斜視図および一部断面図である。 本発明の実施例による、垂直磁気記録層における磁性体微結晶の磁化容易軸の配向分散の指標である△θ50と、第2下地層であるTa層の厚さとの関係を示すグラフである。 同、磁化容易軸の配向分散の指標である△θ50と、第3下地層であるNiHf層(Hf分率40at%)の厚さとの関係を示すグラフである。 同、磁化容易軸の配向分散の指標である△θ50と、NiHf層におけるHf分率との関係を示すグラフである。 従来の垂直磁気記録媒体の構成の一例を示す断面図である。
符号の説明
1…基板、2…軟磁性裏打ち層、3…第3下地層、4…第2下地層、5…第1下地層、
6…垂直磁気記録層、7…保護層、8…潤滑剤膜、10…垂直磁気記録媒体、
11…単磁極型磁気記録ヘッド、12…主磁極、13…補助極、14…磁力線、
101…基板、102…軟磁性裏打ち層、103…第3下地層、104…第2下地層、
105…第1下地層、106…垂直磁気記録層、107…保護層、108…潤滑剤膜

Claims (7)

  1. 基体上に、少なくとも、軟磁性裏打ち層、第3下地層、第2下地層、第1下地層、および垂直磁気記録層がこの順で積層された磁気記録媒体において、
    第2下地層がタンタルTaからなり、
    第3下地層が、ハフニウムHf又はジルコニウムZrの単体、或いは、少なくともハフ ニウムおよびジルコニウムのいずれかを含む合金からなる
    ことを特徴とする、磁気記録媒体。
  2. 前記合金が、ニッケルNi、タンタル、ルテニウムRu、コバルトCo、及びジルコニウムからなる群から選ばれた少なくとも1種との合金である、請求項1に記載した磁気記録媒体。
  3. 前記合金におけるハフニウム又はジルコニウムの組成分率が10at%以上である、請求項1に記載した磁気記録媒体。
  4. 前記第3下地層の厚さが1〜5nmである、請求項1に記載した磁気記録媒体。
  5. 前記第2下地層の厚さが1〜5nmである、請求項1に記載した磁気記録媒体。
  6. 前記第2下地層の厚さが1.5〜2.5nmである、請求項5に記載した磁気記録媒体。
  7. 前記第1下地層がルテニウムからなる、請求項1に記載した磁気記録媒体。
JP2007132287A 2007-05-18 2007-05-18 磁気記録媒体 Pending JP2008287808A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007132287A JP2008287808A (ja) 2007-05-18 2007-05-18 磁気記録媒体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007132287A JP2008287808A (ja) 2007-05-18 2007-05-18 磁気記録媒体

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2008287808A true JP2008287808A (ja) 2008-11-27

Family

ID=40147396

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007132287A Pending JP2008287808A (ja) 2007-05-18 2007-05-18 磁気記録媒体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2008287808A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9299378B2 (en) 2014-03-31 2016-03-29 Sony Corporation Magnetic recording medium having a recording layer with a diffraction peak of magnetic atoms

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9299378B2 (en) 2014-03-31 2016-03-29 Sony Corporation Magnetic recording medium having a recording layer with a diffraction peak of magnetic atoms

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4169663B2 (ja) 垂直磁気記録媒体
JP5067739B2 (ja) 磁性薄膜とその成膜方法並びに磁性薄膜の応用デバイス
JP5550007B2 (ja) 磁性薄膜及びその製造方法、並びにこのような磁性薄膜を用いた各種応用デバイス
JP5105333B2 (ja) 磁気記録媒体、その製造方法および磁気記録再生装置
JP2005353256A (ja) 垂直磁気記録媒体およびその製造方法、磁気記憶装置
JP2009110641A (ja) 垂直磁気記録媒体
JP2008176858A (ja) 垂直磁気記録媒体、及びそれを用いたハードディスクドライブ
JP2009070540A (ja) 垂直磁気記録媒体及びその製造方法
JP2008034060A (ja) 垂直磁気記録媒体および磁気記憶装置
JP6205871B2 (ja) 磁気記録媒体
JP2007035139A (ja) 垂直磁気記録媒体及び磁気記録再生装置
JP2007172815A (ja) 耐食性を改善する極薄核生成膜を備えた垂直磁気記録ディスク及び同ディスクの製造方法
JP2008117506A (ja) 垂直磁気記録媒体
JP2010034182A5 (ja)
JP2007257679A (ja) 磁気記録媒体、その製造方法、および磁気記憶装置
JP2008226416A (ja) 垂直磁気記録媒体とその製造方法
JP5782819B2 (ja) 垂直磁気記録媒体
US20070207348A1 (en) Perpendicular magnetic recording medium, method of manufacturing the same, and magnetic storage unit
JP4174772B2 (ja) 垂直磁気記録媒体
JP2003203330A (ja) 磁気記録媒体
KR100464318B1 (ko) 자기기록매체
JP4069205B2 (ja) 磁気記録媒体の製造方法
JP2009026394A (ja) 磁気記録媒体及び磁気記録再生装置
JP6416041B2 (ja) 垂直磁気記録媒体及び磁気記録再生装置
JP2005196959A (ja) 垂直磁気記録媒体

Legal Events

Date Code Title Description
RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20090529