JP2008286143A - 副室式ガスエンジン用のピストン - Google Patents
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Abstract
【解決手段】上死点(TDC)におけるピストン上縁面とシリンダカバーの下面との間に形成されるスキッシュ部を備え、副室内で生成された燃焼伝播を副室の副室噴孔から燃焼室内に噴出させる副室式ガスエンジンに用いられる皿状キャビティーを有するピストンにおいて、前記スキッシュ部に臨む側のピストン上縁面の平行長さTとエンジンのシリンダ内径Bとの比を、0<T/B≦0.07に設定したことを特徴とする。
【選択図】図1
Description
然るにかかる副室式ガスエンジンにおいては、ピストン1のTDCにおいて、TDCにおけるピストン上縁面1aとシリンダカバー3の下面3aとの間の、シリンダライナ4寄りの部分に、スキッシュ部6が形成されている。
このため、かかる副室式ガスエンジンでは、従来は、ピストン1の上部に形成される皿状キャビティー1bのキャビティー径Bsを適度に小さくし、スキッシュ部6を適度に大きく採ることによりスキッシュ流を発生させ、燃焼を促進する手法が効果的であるとされてきた。
従って、シリンダ内径Bが大きくなるほど、スキッシュ部6に溜まる未燃の混合気6aが多くなる傾向を有していた。尚、2はピストンリングである。
また、前記スキッシュ部6への火炎ジェット18の到達が遅れることは、該スキッシュ部6に溜まった未燃の混合気6aが不規則な時期に突然燃焼し易くなり、いわゆるノッキングの発生を誘起する。
従って、シリンダ内径Bが大きくなるほど、スキッシュ部6に溜まる未燃の混合気6aが多くなる。
即ち、副室噴孔13からのトーチ状の火炎ジェット18がスキッシュ部6の奥まで十分に到達しないことから、図4のA矢印方向の火炎伝播が十分になされず、スキッシュ部6に溜まった混合気6aが未燃のまま残留することにより、燃焼効率が低下する。
またスキッシュ部6に溜まった未燃の混合気6aが大気中に放出されるため、排気ガスの状態が悪化する。
さらに、該スキッシュ部6に溜まった未燃の混合気6aが不規則な時期に突然燃焼し易くなり、いわゆるノッキングの発生を誘起する。
しかしながら、かかる不具合が、ピストン1の皿状キャビティー1bの形状及び前記スキッシュ部6に臨む側のピストン上縁面1aの平行長さTとの関係と、どのような関係があるのかは、明らかになっていない。
(1)皿状キャビティーの終焉部とスキッシュ部に臨む側のピストン上縁面との間にR部が形成され、前記スキッシュ部に臨む側のピストン上縁面の平行長さTとエンジンのシリンダ内径Bとの比を、0.04≦T/B≦0.05に設定したことを特徴とする。
(2)シリンダ内径Bが250≦B≦350(単位mm)のとき、最適なスキッシュ部のピストン上縁面の平行長さTは17.5≦T≦24.5(単位mm)に設定したことを特徴とする。
従って、シリンダ内径Bが大きくなるほど、スキッシュ部に溜まる未燃の混合気が多くなり、燃焼効率が低下する。
ピストン上縁面の平行長さTとシリンダ内径Bとの割合のT/Bを、常時一定に保持し、シリンダ内径Bが増加するとそれに応じて前記平行長さTも増加し、シリンダ内径Bが減少するとそれに応じて前記平行長さTも減少させることにより、T/B≦0.07の範囲に保持する。
この、0<T/B≦0.07なる関係は次のようにして設定される。
図3は未燃THC(トータル炭化水素)排出量:Bと、エンジン熱効率:Aと、T/Bとの関係を示す実験データである。同図に示すように、T/B=0.07を超えると、未燃THC排出量:Bが増大するとともに、エンジン熱効率:Aが低下する。従って0<T/B≦0.07以内が適切な領域となる。
これにより、かかる火炎ジェットの火炎伝播がスキッシュ部内に残留する未燃混合気を押し出すこととなって、該スキッシュ部への未燃混合気の溜まり量が低減される。
すなわち、皿状キャビティー径を適度に大きくとり、スキッシュ部の領域を適度に小さくとることによって、副室の噴孔からトーチ状に噴出される火炎ジェットの火炎運動を極力阻害しないでスキッシュ部に導くようにT/Bの比が設定される。
このように構成すれば、皿状キャビティーの終焉部とスキッシュ部に臨む側のピストン上縁面との間にR部が形成されている場合には、R部とピストン上縁面の交点から平行長さTを0.04≦T/B≦0.05に設定することにより、前記0<T/B≦0.07で説明したのと同様に火炎ジェットの火炎伝播がスキッシュ部内に残留する未燃混合気を押し出すことができ、該スキッシュ部への未燃混合気の溜まり量が低減される。
図3の関係から、T/Bを0(ゼロ)に近づければそれだけ未燃THC排出量:Bが減少し、エンジン熱効率:Aはほぼ一定のため、0(ゼロ)に近づければよいが、皿状キャビティーの周壁の肉厚が薄くなり製造が難しくなるため、前記R部を形成して0.04≦T/B≦0.05とすることで、最適なスキッシュ部の形状範囲の設定を行なうことができる。
図1に示される副室式ガスエンジンにおいて、1はピストン、1bはピストン1の上部に形成された深さがHなる皿状キャビティー、3はシリンダカバー、4はシリンダライナである。15は皿状キャビティー1b、シリンダカバー3およびシリンダライナ4によって区画形成させる燃焼室である。また、2はピストンリングである。
かかる副室式ガスエンジンにおいては、シリンダ中央部に副室口金11を備え、該副室口金11内に副室12を備えており、該副室12と燃焼室15との間に複数の副室噴孔13を備えている。
従って、図1にされるような副室式ガスエンジンでは、副室12内で生成された火炎を、副室12の副室噴孔13から燃焼室15内に噴出させるため、副室噴孔13からのトーチ状の火炎ジェット18が生成される。そして、この火炎ジェット18は遠くまで到達することを必要とする。
また、スキッシュ部6に溜まった未燃の混合気6aが大気中に放出されるため、排気ガスの状態が悪化する。
さらに、前記スキッシュ部6への火炎ジェット18が遅れることは、該スキッシュ部6に溜まった未燃の混合気6aが不規則な時期に突然燃焼し易くなり、いわゆるノッキングの発生を誘起する。等の問題を有している。
なお、シリンダ内径Bは、ピストン径と略同等であるため、ピストン径を用いてもよい。
この、0<T/B≦0.07なる関係は次のようにして設定される。
図3は未燃THC(トータル炭化水素)排出量:Bと、エンジン熱効率:Aと、T/Bとの関係を示す実験データである。同図に示すように、T/B=0.07を超えると、未燃THC排出量:Bが増大するとともに、エンジン熱効率:Aが低下する。従って0<T/B≦0.07以内が適切な領域となる。
これにより、かかる火炎ジェット18aがスキッシュ部6の未燃の混合気6aを押し出すこととなって、該スキッシュ部6への未燃の混合気6aの溜まり量が低減される。
すなわち、皿状キャビティー径を適度に大きくとり、スキッシュ部6の領域を適度に小さくとることによって、副室の噴孔からトーチ状に噴出される火炎ジェット18の火炎運動を極力阻害しないでスキッシュ部6に導くようにT/Bの比が設定されている。
また、スキッシュ部6に溜まった未燃の混合気6aの大気中への放出が抑制されるため、排気ガスの状態の悪化を回避できる。
また、スキッシュ部6に溜まった未燃の混合気6aの低下により、未燃の混合気6aの不規則な時期に突然燃焼するのが回避され、いわゆるノッキングの発生を防止できる。
この第2実施例においては、皿状キャビティー1bの終焉部とスキッシュ部6に臨む側のピストン上縁面1aとの間を結合するR部が形成されている場合であり、
この場合は、スキッシュ部6に臨む側のピストン上縁面1aの平行長さTとエンジンのシリンダ内径Bとの比を、0.04≦T/B≦0.05に設定する。
このように、皿状キャビティー1bの終焉部とスキッシュ部6に臨む側のピストン上縁面1aとの間を結合するR部が形成されているときには、ピストン上縁面1aの交点から平行長さTを0.04≦T/B≦0.05に設定するのが好適である。この場合も前記0<T/B≦0.07の関係を保持している。
その他の構成は図1(A)と同様でありこれと同一の部材は同一の符号で示す。
図3の関係から、T/Bを0(ゼロ)に近づければそれだけ未燃THC排出量:Bが減少するため、0(ゼロ)に近づければよいが、皿状キャビティーの周壁の肉厚が薄くなり製造が難しくなるため、前記R部を形成して0.04≦T/B≦0.05とすることで、最適なスキッシュ部の形状範囲の設定を行なうことができる。
このように構成すれば、シリンダ内径Bを250≦B≦350(単位mm)と比較的大きくとった場合に、17.5≦T≦24.5(単位mm)に設定することで前記のように0<T/B≦0.07の関係を保持した設定となり、前記実施例1と同様に火炎ジェットの火炎伝播がスキッシュ部内に残留する未燃混合気を押し出すこととなって、該スキッシュ部への未燃混合気の溜まり量が低減される。
1a ピストン上縁面
1b 皿状キャビティー
2 ピストンリング
3 シリンダカバー
3a シリンダカバーの下面
4 シリンダライナ
6 スキッシュ部
6a 混合気
12 副室
13 副室噴孔
15 燃焼室
18 火炎ジェット
H 皿状キャビティーの深さ
T ピストン上縁面の平行長さ
B シリンダ内径
Claims (3)
- 燃焼ピストンの上死点におけるピストン上縁面とシリンダカバーの下面との間に形成されるスキッシュ部を備え、副室内で生成された火炎を副室の副室噴孔から燃焼室内に噴出させる副室式ガスエンジンに用いられる皿状キャビティーを有するピストンにおいて、前記スキッシュ部に臨む側のピストン上縁面の平行長さTとエンジンのシリンダ内径Bとの比を、0<T/B≦0.07に設定したことを特徴とする副室式ガスエンジン用のピストン。
- 皿状キャビティーの終焉部とスキッシュ部に臨む側のピストン上縁面との間にR部が形成され、前記スキッシュ部に臨む側のピストン上縁面の平行長さTとエンジンのシリンダ内径Bとの比を、0.04≦T/B≦0.05に設定したことを特徴とする請求項1記載の副室式ガスエンジン用のピストン。
- シリンダ内径Bが250≦B≦350(単位mm)のとき、最適なスキッシュ部のピストン上縁面の平行長さTは17.5≦T≦24.5(単位mm)に設定したことを特徴とする請求項1記載の副室式ガスエンジン用のピストン。
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